くらし情報『レジ打ちからホテル社長へ 元専業主婦社長が語る「埋もれた人材」』

2021年10月24日 06:00

レジ打ちからホテル社長へ 元専業主婦社長が語る「埋もれた人材」

少子高齢化で人手不足のこの国で、専業主婦の持つ能力は、もっと注目されるべき。専業主婦は社会に眠っている財産です」

言葉どおり、社長に就任以来、観光業界で働いた経験のない多くの専業主婦やシングルマザーを、何人も採用してきた。彼女たちをサポートするため、職場に泊まり込むことも少なくない。

「オープン当初は毎晩、ホテルに泊まってました。毎日、ずーっと、ここにいましたよ」 こう言うとまた、薄井さんは朗らかに笑ってみせた。

■第一の使命と決めた子育ての末、娘はハーバードに。しかし、日本での再就職に難航

フィリピン・マニラで生まれた薄井さんは封建的な教育方針を持つ父に反発し、高校生の時に日本に国費留学を果たす。東京外語大に入学し、貿易会社に就職した。
知り合った外務官僚の男性と結婚したのち、長女を出産。

「私、仕事大好きだから、戻るつもりだった。でも、子供の世話をするうちに、気づいたんです。『この人を育てることが、私の最大の使命なんだ』と。もし、失敗したら、私は一生自分を責めるだろう、それは受け止めきれない。それが、はっきりわかったから、専業主婦になる決断ができた」

以後、外交官の夫について海外を渡り歩きながら家事、育児に心血を注いだ。

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