2022年7月3日 06:00
87歳DJのSumiRockこと純子さん 昼は大人気餃子店、夜は歌舞伎町で客を沸かせる
黒いマスクを外すと、スミロックは純白のヘッドフォンをつけてターンテーブルへと向かった。最新のターンテーブルはすべてデジタル制御。人生の大半をパソコンも携帯もないアナログ時代で生きてきたはずの彼女が、デジタル機材を自在に操り、体でビートを刻んで自作のミックスCDの曲をタイミングよく切り替えていく。
「スーミー!スーミー!」
お客さんはノリノリだ。『鬼滅の刃』やメイドなどのコスプレ衣装で踊る客も多い。細かい音を聞き逃すまいとヘッドフォンに添えたスミロックの指先には真っ赤なマニキュア。ファンからスマホを向けられるとクールな視線を返す。真っ赤なリップの唇で不敵にほほ笑み、両手を突き上げる。
瞬くフラッシュの渦。
あっという間の1時間。その間、一度もブースを離れず、激しいリズムに身を揺らして、スミロックは音楽を送り続けた。「喜寿って何?77歳からDJってすごい?でも私、年齢なんて気にしたことないの!」
そう明るく笑い飛ばした純子さんは、どんな人生を歩んできたのだろう。
■ジャズドラマーの父を持ち、音楽大好きに。何物にも縛られず恋愛と旅行を楽しんだ
「父は楽之と書いて、たのしといいます。ジャズドラマーで、戦前はかなり羽振りがよかったようです。