くらし情報『91歳の現役記者 赤ちゃんをおんぶして取材にいそしみ、今年で40年』

2023年2月19日 06:00

91歳の現役記者 赤ちゃんをおんぶして取材にいそしみ、今年で40年

「自分の老後も心配だけど、人情厚い中野で暮らしているから安心」と涌井さん

「自分の老後も心配だけど、人情厚い中野で暮らしているから安心」と涌井さん



【前編】「街の人情伝えます」現役91歳 かあちゃん記者、疾走るより続く

中野区白鷺にある細田家住宅は、区内に唯一残る江戸末期のかやぶき屋根の古民家だ。樹木に覆われたその敷地内で、1月29日の日曜日の午後1時から、「中野たてもの応援団」によるたくあん作り実習の樽開けが行われた。

昨年から仕込まれていた50本のたくあん漬けが完成するとあって、大勢の参加者が集まった。

「この大根の品種は?練馬大根じゃないんですか?ずいぶん細い大根ですね?」

先ほどから、主催者たちにしきりに質問しながらメモを取っているのは、こちらも中野区で唯一のローカル新聞である『週刊とうきょう』の主筆兼記者の涌井友子さん(91)。

この日、快晴ではあったが、寒波に襲われ、気温はわずか6度。涌井さんは、145cmという小柄な体をダウンジャケットに包み、頭には毛糸の帽子、手にはボールペンとメモ帳、肩からはデジカメをぶら下げ、次々と参加者からもコメントを取っていく。

今朝、ここへ循環バスに乗って到着したときこそトレードマークの青い杖をついていたが、取材が進む間に、いつか杖も傍らに置きっぱなしで話に夢中に。

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