2023年2月19日 06:00
91歳の現役記者 赤ちゃんをおんぶして取材にいそしみ、今年で40年
その姿を見ながら、たてもの応援団事務局の十川百合子さん(67)が言う。
「中野区内のどんな催しに出かけても、涌井さんは必ずペンとカメラを手にして、いらっしゃいます。取材するだけでなく、地元の私たちでさえ知らない人物や歴史を掘り起こして記事にして、広く中野区民に伝えてくれます。
90代になっても現役で活動する姿は、私たち区民のお手本です」
来年には、創刊50周年を迎える『週刊とうきょう』。涌井さんが亡き夫から引き継ぎ、中野の人たちから“かあちゃん記者”と呼ばれるようになってからも40年以上にわたり、ローカルな記事を通して区民をつないできた。
ちなみに、中野区の酒井直人区長(51)とも、区職員時代から26年の付き合いだという。
現在、タブロイド判モノクロ2ページのこの新聞は、月2回の発行で、部数は約3000部、購読料は6カ月3150円。
終戦後は「畑と住宅ばかりだった」という中野区が、やがてサブカルの街と呼ばれるようになる半世紀の変遷を、地域に根を下ろして見守り続けてきた涌井さん。
区民からの信頼は絶大だ。
と、そのとき、参加者の一人から逆に涌井さんに声がかかった。
「ところで、今日の記事は、いつ新聞に載るんですか」