45歳で離婚、47歳で留学、60代で再婚 マツコが絶賛するアップルパイの美味しさの秘訣
それから平野さんは3人のお菓子の先生から教えを受けた。
特に3番目に出会ったシャロル・ジーン先生には9カ月の集中講義を受け、アメリカンベーキングの基礎を徹底的に学んだ。
「シャロル先生の教えは“テクニックは見て、まねて、学びなさい”。私は、先生の手先、指先の力の入れ具合まで、想像力を駆使して盗み取ろうと必死でした。努力、努力の毎日が今まで感じたことがないほど私を充足させてくれました」
シャロル先生からケーキディプロマ(修了証書)を授与され、2年3カ月の留学を終え、帰国。シャロル先生はいまでは平野さんの親友だ。帰国後は京都の実家のキッチンで、お菓子教室を開いた。
「特徴を出そうと、アメリカ開拓時代のコスチュームを着たんです」
それが京都新聞で紹介されると、2人しかいなかった生徒数が瞬く間に150人に増えた。
2000年、貯めておいた月謝と少しの借金で、教室と店舗を併設した「松之助」を京都にオープンする。「松之助」は、能装束織物の匠だった祖父の名前だ。
「そこそこ裕福な家庭に生まれて、私の仕事もお遊び程度に思う方がいたかもしれませんが、実家の援助はなく、必死でしたよ」
京都店が軌道に乗ると、次は東京進出だ。