音無美紀子×樋野興夫「小林麻央さんは勇気を遺してくれた」
音無美紀子さん(67・以下音無)「私が乳がんを経験したのも(小林)麻央さんと同じ30代で、娘は6歳、2歳の息子はまだおっぱいにかじりついていました。病気について誰にも話せずにいましたが、麻央さんはブログですべてをさらけだされていて、心の強い人だなと衝撃を受けました」
樋野興夫さん(63・以下樋野)「彼女のブログからは、空から俯瞰でものを見て、自身の生き方を問い直す哲学的な面と、闘病の苦悩を乗り越えようとする覚悟ある胆力を感じました。そして自分を励ますだけじゃなく多くの人に感銘を与え慰める、まさに『利他の心』。その存在そのものがご家族はじめ多くの人への“プレゼント”になったのでは」
乳がんを経験し、講演などの活動を行う女優の音無美紀子さんと「がん哲学外来」理事長で、がん患者やその家族と対話し、生きる希望を与えている順天堂大学医学部の樋野興夫教授。2人に1人が罹患する時代に、がんやがん患者とともに生きてきたお2人が、病いにどう向き合えばいいかを語り合った。
音無さんは’88年に乳がんが見つかり、当時標準治療だった全摘手術を受けた。