こんなときだから生まれた、完全リモート映画。行定勲監督インタビュー
あとは全て俳優の自主性に任せました。
アップにしたければカメラによって、引きたければ下がる。フレームから出たり入ったりするのも自由。「アドリブも自由に入れていい」と伝えました。
――劇中でみんなが話す好きな映画には行定監督の好みが見え隠れしますが、あれはすべて台本通りですか? それとも、各俳優の実際に好きな映画が反映されているのでしょうか?
脚本にある部分とない部分があります。ホン・サンスや『ラヴソング』、ジム・ジャームッシュなどは僕の好みですが、それぞれの好きな映画はそれぞれが好きなものをこのシナリオとの相互関係を含めて考えてきたものです。
俳優たちは映画をあまり観ていないような役を演じていますが、みんなかなりの映画通なので、絶妙な作品を紹介してくれたし、この映画の内容とも調和がとれていて面白かったです。
――音声が聞き取り難いところも逆にリアルでしたね。
Zoomの音声をそのまま活かしています。あえて別録りはしませんでした。
聞こえないところで聞き返すのはオンラインのリアリティなので。
聞こえなければ聞こえないと顔を寄せたり、聞き返してくれればいいと思っていました。
――今回、この新しい試みをやったことで映像表現の新たな可能性を感じたりしましたか?
今しかないツールを使ったのは必然でした。