身体を突き動かすラテンのリズムで綴る 『イン・ザ・ハイツ』ゲネプロレポート
登場人物一人ひとりが葛藤や決断を吐露するなかに、各々の歩んできた人生や信念までもが浮かび上がってくるソロナンバー群。ウスナビとヴァネッサ(石田ニコル)、ベニーとニーナ(田村芽実)というふた組のカップルの関係性の変化を、局面ごとに異なる曲調が表すラブソングたち。『イン・ザ・ハイツ』は、そもそも“ドラマチックな歌に導かれるようにして物語が編まれていく”ミュージカルなのだ。
登場人物の人種や世代に応じても曲調が使い分けられているとは言え、身体を突き動かすようなラテンのリズムに貫かれている点は全曲に共通しており、日本版キャストにとっては挑戦だっただろう。
そんななか、平間はラップに違和感なく感情を乗せてどこかいたずらっ子的なウスナビを造形し、東は持ち前の豊かな声量でベニーの野心と恋心を熱く表現。田村と石田の日本人離れした声帯の強さとリズム感、大人チーム(田中利花、戸井勝海、未来優希)のさすがの表現力、阪本奨悟の軽やかな存在感なども印象に残る。わけても出色はダニエラ役のエリアンナで、彼女が中心となって歌う第二幕の《Carnaval del Barrio》は、TETSUHARUによる情熱的な振付ともあいまって大きな見どころ――ならぬ、“つい一緒になって身体が動いてしまうどころ”となっていた。