「答えじゃなく共感をくれる、演劇というツールの特性が生かされた作品です」~ミュージカル『next to normal』演出家・上田一豪インタビュー~
日本独自の演出・デザインにより上演された2022年公演より(写真提供:東宝演劇部)
(2022年公演演出時は)「どの言葉がどのタイミングで、どういう温度でお客さんに届くべきか、というところはかなりこだわらせてもらいました」(上田)(写真提供:東宝演劇部)
――再演のお稽古が佳境を迎えていますが、手応えの程はいかがですか。
初参加の方もいらっしゃいますが、望海風斗さん、甲斐翔真さん、渡辺大輔さんは続投ということで、作品理解がさらに深まっているのを感じます。またそれぞれ、年齢や環境といった意味で人生のステージが少しずつ変わっていて、演じる役の感情線みたいなものに、より無理なく寄り添えるようになっている感じがするのも面白いですね。それに僕も2回目なので、このワードで心がこう動いて、この瞬間にこういう気持ちがあふれるようになりたい、という説明を丁寧にすることができている。説明の通りにやってほしいということじゃなく、板の上ではその瞬間瞬間に感じたまま演じてもらいたいんですが、僕の“好み”は全部お伝えできたかなと思います(笑)。そういうところに時間をかけられるのはやはり、再演ならではですね。