大東駿介×浅野和之 日本初演『What If If Only―もしも もしせめて』は夜、寝る前にふと思い出す芝居
何て言ったらいいんだろう。チャーチルは、“彼に突然光が射して、人間が変わった”みたいな作り方はしていないと思うんですよ。難しいね。でも何か彼の中から出てきたものによって、変わっていくところは感じてもらえるだろうなと思う。チャーチル自身も、言葉に置き換えてそれを伝えようとするより、何かもっと感覚的なものに訴えかけているような気がする。僕が演じる未来というのは、五感のような気もするんだよね。視覚とか嗅覚とか触覚とか、そういった五感みたいなもの。そういう感じ方をする作品なのかな……って漠然としていてすみません(笑)。
大東いや〜難しい、何でしょうね。この某氏には、“あの時ああしていれば”“もしもああならなければ”ということが山ほど、痛みの数だけあって。だけど結局生きていく限り、起きたことを変えることは出来ないし、過ぎ去った“もしも”より、今自分が手にしているもので歩んでいくことが、次の未来を作るんだなと……。でもそうわかってはいるけど進めない、みたいな。単純にいうとそういう話なんですけど(笑)。進むに進めない人間の葛藤を20分の戯曲に起こしてある、それが凄いなと。自分の人生においてもいろんなことを思い起こさせる作品なんですよ。