原則責任を負わない「公務員」に求償請求が認める判例が続出…弁護士が内容を解説
であると判断されたため、国立市は平成20年に不動産デベロッパーに対して約3,120万円の賠償金を支払っていました。
この損害賠償金相当額等の支払を国立市の元市長に対して請求する住民訴訟が提起され、国立市が元市長に対して求償請求したのがこの事例です。
元市長の妨害行為というのは、次のようなものでした。
(1)マンションの建築計画が、不動産業界の噂程度のもので、土地周辺住民や一般市民には知られていなかった段階で、市長として知り得た建築計画という内部情報を住民に提供してマンション建設に反対する住民運動を企図したこと
(2)将来給水拒否等の不利益を受ける可能性があることを示唆して不動産デベロッパーの顧客に影響を与えたこと
(1)は、内部情報の提供行為について、この行為の違法性の認識について元市長は当然に認識していたはずであり、元市長に違法性の認識がなかったとしても、この行為が市長の職務を逸脱したもので、手段として社会に認められることがない違法な行為であることは容易に認識できた、という理由で重過失を認定しています。また(2)は、給水拒否の示唆については、上下水道を供給しないなどの対応が不動産デベロッパーの顧客に対して不安を与えることは容易に認識でき、これによって不動産デベロッパーにも損害を与えることも容易に認識できたはずであること、また正当な理由なく上下水道の供給をしないことが違法であることは明らかであるから、そのような不安を与える行為の違法性について容易に認識できた、という理由で重過失を認定しています。