昨今よく耳にする「私人逮捕」 条件や誤認時の罰則を徹底解説
に問われる可能性があります。
この点について、東京高裁平成3年5月9日判決(判時 1394号70頁)は、「刑事訴訟法二一二条、二一三条によって現行犯人を逮捕するには、特定の犯罪が行われたこと及び特定の者がその犯人であることが、犯行時又はこれに接着した時において明白であることを要するものであり、これらの要件が満たされていたかどうかは、「客観的に判断されるべきであり、逮捕者の主観において犯行及び犯人が明白であったことをもって足りるものということはできない」と述べています。
その上で、「逮捕が、要件において欠けるところがなく、適法であると判断される限りにおいては、後に被逮捕者につき犯罪の嫌疑が十分ではないことが判明しても、逮捕行為自体が違法であったとの評価を受けるものではなく、したがって、それが民事上不法行為を構成する余地もないものということができる」としています。
したがって、後に、現行犯逮捕が誤りであったと判明した場合でも、「特定の犯罪が行われたこと及び特定の者がその犯人であることが、犯行時又はこれに接着した時において明白であった場合には、正当・適法な現行犯逮捕であり、民事上・刑事上の責任を負うことはない、といえるでしょう。