くらし情報『昨今よく耳にする「私人逮捕」 条件や誤認時の罰則を徹底解説』

昨今よく耳にする「私人逮捕」 条件や誤認時の罰則を徹底解説

ただし、上記東京高裁判決の原審(東京地裁平成元年8月29日判決(判タ716号63頁))においては、高裁とは逆に、

「すりという犯罪行為があったかどうかそれ自体が明らかでなく、仮に犯罪行為があったとしても、原告がその犯人であるかどうか明らかでなく、原告を犯人ではないかと疑うに足る相当な根拠さえもあったとは言い難いのであるから、乙野が原告を逮捕した行為は違法であったといわざるをえず、過失も否定することはできないものといわなければならない」

として、現行犯逮捕をした人物に損害賠償金の支払いが命じられています。

違法とされることもある

以上のようなことから、「特定の犯罪が行われたこと及び特定の者がその犯人であることが、犯行時又はこれに接着した時において明白である」かどうかに疑いがもたれるようなケースでは、現行犯逮捕が違法とされる可能性があることに留意すべきといえるでしょう。なお、広島高裁昭和44年5月9日判決(判時 582号104頁)は、車両損壊行為が器物損壊罪にあたるとしてなされた現行犯逮捕に関し、車両損壊につき所有者の承諾があったために器物損壊罪は成立せず、したがって違法な現行犯逮捕であったという事案において、事実関係を詳細に認定した上で、

「現行犯逮捕として法律上許されるものと誤信し、かつ、そのように誤信したことについて相当の理由があったものと認められ、このような場合には犯意を阻却し、罪を犯す意思がなかったものと解するのが相当である」

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