昨今よく耳にする「私人逮捕」 条件や誤認時の罰則を徹底解説
として、逮捕罪は成立しないと判断しました。
この裁判例に従えば、適法な現行犯逮捕であると誤信し、かつ、その誤信に相当の理由があると認められるときは、現行犯逮捕について責任を負わないということになります。もっとも、どういった状況であれば「誤信したことについて相当の理由がある」といえるかは、まさにケースバイケースですから、軽率に「現行犯人だ」と信じ込んで逮捕することには、相応のリスクがあるといえるでしょう。
実力行使は許されるのか?
櫻町弁護士:最後に、現行犯逮捕に伴って「実力行使」が許されるかという点については、最高裁昭和50年4月3日判決(刑集 29巻4号132頁)が、
「現行犯逮捕をしようとする場合において、現行犯人から抵抗を受けたときは、逮捕をしようとする者は、警察官であると私人であるとをとわず、その際の状況からみて社会通念上逮捕のために必要かつ相当であると認められる限度内の実力を行使することが許され、たとえその実力の行使が刑罰法令に触れることがあるとしても、刑法三五条により罰せられないものと解すべき」
として、一定の実力行使を認めています。