2020年1月19日 20:00
相続したら確定申告は必要?対象となるケース&手続きの流れをFPが解説
ところが、残念ながら2019年7月の法改正後は上記のケースで次女に不動産から5,000万円分を渡してしまうと、長女の側に所得税が課税されてしまうのです。
所得税課税のメカニズム
もともと長女には次女に5,000万円を払わなければならない債務を負っています。
これに対して長女が一定の土地の持分を渡すことで5,000万円の債務から逃れられることから、税務上は長女が次女に土地を5,000万円で売却したと考えて土地の売却益に対して所得税が課税されるのです。
そもそも遺留分で渡すお金がないから土地を渡しているのに、そこに対して所得税を課税してくるとはなんとも酷な気もしますが残念ながらどうにもなりません。
所得税を回避する方法
万が一上記のケースで課税されると、所得税15%のみならず住民税についても5%課税されてしまいます(長期譲渡所得の場合)。この状況を回避するためには、遺言書が見つかった場合でも遺言書をなかったことにして遺産分割協議をすることが有効です。
遺産分割協議をした上で、土地5,000万円を次女に割り振れば所得税が課税されることはありません。あくまで遺留分の精算として次女に渡した場合に所得税が課税されるので、遺産分割協議に切り替えてしまうことで最悪の状況は回避できます。