中村勘九郎が「凄い」と語る、宮藤官九郎脚本の歌舞伎の中身とは!?
セリフも『マジかよ』とか出てきます。黙阿弥の魂を宮藤さんが『こういうことなんじゃねぇの?』って見せてくれた感じです」。勘九郎は勘太郎時代に宮藤が初めて歌舞伎の脚本を手がけた『大江戸りびんぐでっど』(2009年12月・歌舞伎座)にも出演しているが、『天日坊』は「もっとぶっ飛んでいる」そうだ。台本を読んだ父・勘三郎の「大変そうだね。大丈夫なの?」という感想を聞いて「うちの父が不安がるほどなのでこれは面白いぞ」と確信したそう。「賛否両論の嵐になると思います。でも僕は、これが歌舞伎かって問われても歌舞伎だって言いますよ。黙阿弥が生きていた時代はこれを“現代劇”として親しんでいた。
七五調だって、日本人のリズムに合ったセリフをどうやったらかっこよくしゃべれるかを、黙阿弥も考えてこうなったんだと思います」。黙阿弥と宮藤は、生きている時代が違うだけで作家としての精神は同じ。だから固定観念に「囚われちゃいけない」と話す。とはいえ、演じる側にとってのハードルも高そうだ。「この台本をどう表現するか、感覚を研ぎ澄まして稽古をしないと」。
『天日坊』のキャストは、勘九郎のほか、中村獅童、中村七之助ら次代の核となる若手歌舞伎俳優と、演出家で俳優の白井晃や大人計画の近藤公園といったジャンルを超えた個性豊かな俳優たちが揃う。