作家・山内マリコさんインタビュー地元を出て親友と出会えた経験が恋愛よりも自分を救ってくれた
!でも、それを「人として劣っている」とか「女として可哀想」なんて、思う必要はないんです。
――もしかすると、マイルドヤンキーのように地縁でつながった地元仲間との友情を大切にする人たちも、それと同じ感覚なのかもしれませんね。
山内:たしかにそうかも。ただ私の場合、気の合う大事な親友と出会えたのは大学時代で、「その子とずっとそこにいるわけじゃない」という、流動的な関係性だからこそよかったと思っているんです。当時は、同じ大学に通って、住んでいる部屋も徒歩1分くらいの距離で、寝るとき以外はずっと一緒に過ごしていました。
それこそ家族みたいに濃密な関係で、このまま離れたくない、この関係がないと生きていけないと思っていたんですが、卒業したら別々の場所で、自分の人生をはじめなくちゃいけない。結局、一緒にいたのは3年くらいでしたが、その3年間で十分大事なことは分かち合えた。離れてから、お互いがそれぞれの人生に飛び立って行けた。
ずっと一緒にいたら、きっとお互いを縛り付けて、苦しくなってたと思います。
――“居場所”は流動的に変わっていく方が健全だということでしょうか?
山内:気が向いたらパァーッと別の土地に移って、そこでゼロから生活するっていうのが好きなんですね。