作家・山内マリコさんインタビュー地元を出て親友と出会えた経験が恋愛よりも自分を救ってくれた
――ただ、『問題のあるレストラン』も最後はレストランがつぶれてしまったように、楽園のようなコミュニティも永遠には続かなくて、やはり流動的な関係として描かれることが多いですね。
山内:人と人が出会うタイミングって、奇跡みたいなもので、その奇跡が永久に続くことはないってことでしょうかね。
それこそ私、まだ若くて心がスポンジみたいに柔らかい状態の頃に、親友と思える子と出会って、仲を深め合えたけど、今はもう人間として成型の段階でかなり固まってきてて(笑)、最後にヤスリをかけるような時期だから。もしも今、彼女と出会っても、そこまでの関係にはなれなかった気もします。やっぱり、引き寄せ合うタイミングが重要なんですよね。――そのときの自分のライフステージによっても、出会いたい人、出会うべき人は変わっていくし、“居場所”も変わっていいってことですよね。
山内:うん、変わりますね。たぶん私、今はもうそんなに大きく価値観を揺さぶられるような人とは、かえって出会いたくないかもしれない。
今そんな出会いがあっても、面倒くさくなって「ちょっと忙しいんで」とシャットアウトしてしまうかも(笑)。
――次回「結婚するなら“彼氏”ではなく“親友”と思える相手がいい」