2015年10月9日 19:00
平安時代の恋模様を描いた『後宮』に学ぶ、女性の経済的自立の大切さ
って感じですね。
しかし、じっくり読んでみると、気付くことがあります。二条が、いやよいやよと思いながら逆らえないのは、彼女自身が誰かに後ろ盾になってもらわないと生きていけないからです。近衛の大殿が二条と関係するのは、彼女の後ろ盾となるためでした。
その上、御所様といい実兼といい、二条を好きだ好きだと言いながら、他に女がいて、子どもも産ませてます。そこへ自分ひとりを愛してくれる御室が現れたら、なびいてしまうのもムリはないでしょう。
二条は、男に経済的に依存しなければ生きていけないのです。そしてそのためには、求められたら自分の身体を差し出すしかない。
強く拒むことができないために何人もの男性と関係を持つことになりました(まあ生涯4人だけなら現代では別に普通かもしれないけど)。
『あさきゆめみし』で紫の上は、「源氏に愛し愛され、自分は果たして幸せだったのか」と自問して亡くなっていきます。ハッキリ言って源氏に振り回される人生だったわけです。当時、女性は誰かに頼って生きるしかなかったのかもしれませんが、もしも自立ができたとしたら、源氏を選んだかどうか。
二条も同様です。御所での地位を顧みなければ実兼ひとりを選んでいたかもしれないし、そもそも他にも女がいる実兼は選ばなかったのかもしれない。