『カカフカカ』は愛のない体の関係×特別感の新しい少女マンガのかたち
治療のためといえば、なんか医療行為っぽいけど、愛があるかと言えば、なさそう。
そんな愛のないセックスという禁忌と、特別感という本流を組み合わせてできたのが、 『カカフカカ』なのです。新しい!
そして、突然特別感を与えられた寺田さんは、中学生の頃、世界の中心は自分にあると思っていた、無敵な人間でした。それがだんだんと「自分は別になにもすごくない」ことに気づいていきます。そして自信のカケラもなくなった現在、24歳。男も家も仕事もありません。
無意味に万能感に満ちあふれる時代って、ある人にはありますよね。この前ちょっと話をした青年は、輝くばかりの「わかった感」を噴出していたので、話を聞きながら「いったいこの先、どこでポッキリ折れるのかな」なんて想像してしまった。
少女マンガでは、自己否定感の表現が年々形が変わっています。70年代は「みなしご」だったり「お転婆で女らしくない女の子」だったり。現在は「友達作りに悩む」「空気を読むのに腐心する」なんてカタチで表現されます。女性がその時代その時代で、何に悩んでいるのかがよくわかりますね。70年代の少女マンガの主人公なんて、暑っ苦しく自分や正義をふりかざして、誰も空気読んだりしませんから。