開館5年で300万名が来場!塩尻市立図書館に何が起きたのか?
本書にはこうあります。
「(『本の寺子屋』は)地域に生きる市民の生活の中心にもう一度、本を据え直し、読書を習慣化させるための方策を、書き手、つくり手、送り手、読み手が共同して創り出そうという仕組みである。
その根底には、映像や音楽の鑑賞からは得られない、読書のみが与えてくれる知的興奮、喜びがある、との信念がある」
貸出冊数を増やすためなら、ベストセラーや人気作家の書籍をたくさんそろえるのが近道。
しかし、それでは「本の復権」の理念に反する、というのが塩尻市立図書館の思い。それより、年に1度か2度くらいしか貸し出されなくても「その本が図書館にあって助かった」という利用者を増やすことに予算を使いたい、という思いが根底にあるからです。塩尻市立図書館は、そんな「課題解決型図書館」を目指しているのです。
*
塩尻市立図書館の取り組みは、地域の活性化にも大きな役割を担っています。
本書は、このユニークな図書館のあゆみが関係者の思いに深く寄り添って書かれたノンフィクション。
著者グループは「本の寺子屋」の受講生です。
「売れる本」ではなく「いい本」の復権を――そんな、図書館の熱い思いに打たれます。