日本の子どもの貧困率が年々悪化!?国が取り組む支援制度とは
子どもに良い教育を受けさせたいと思うのは、どの親も同じかと思います。しかし家庭の経済状況によって、質の高い教育を受けることも、能力や可能性を最大限伸ばし、自分の夢に挑戦することもままならない子どもも、残念ながら多数いるのが現実です。そこで国は、平成26年8月に「子供の貧困対策に関する大綱」を閣議決定し、教育支援、生活支援、保護者の就労支援、経済的支援など、あらゆる面での支援を強化し、子どもの貧困対策を総合的に推進することになりました。
日本の子どもの貧困率は年々悪化しています。厚生労働省がまとめた「平成25年 国民生活基礎調査の概況」によると、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす子ども(17歳以下)の割合を示す「子供の貧困率」は、平成15年は13.7%、平成18年は14.2%、平成21年は15.7%となっています。そして平成24年は16.3%(約6人に1人)と、過去最悪の数値となっているのです。
「子供の貧困対策に関する大綱」内で掲げた重点施策、「学校をプラットフォームとした総合的な子供の貧困対策の推進」に対し、平成27年度の文部科学省予算案では、前年度よりも8億円以上増の21億8,200万円を計上しています。その対策のひとつとして新しく実施されるのが、「地域未来塾」と呼ばれるものです。
それでは、どのような対策を国は進めていくのでしょうか。そして、この「地域未来塾」とは一体どんなものなのでしょう。
教育相談の充実、学習支援の充実とは
子どもの貧困対策は、経済的支援だけでなく、次の2つの支援体制をさらに充実させることで、総合的に推進していくものとされています。
(1)教育相談の充実
(予算額6億4,700万円(前年度予算額は3億9,400万円))
福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーを、必要とする全ての学校で活用できるように、段階的にその配置を拡充します。現在1,466人いるスクールソーシャルワーカーを、2,247人に増やします。さらに、貧困対策のための重点加配として、600人のソーシャルワーカーを新規に配置します。
(2)学習支援の充実
(予算額2億700万円(新規対策分))
家庭で勉強する習慣が十分に身についていない中学生を対象に、大学生や教員OB等の地域住民の協力による原則無料の学習支援を新たに実施します。現在も全公立中学校の約7%である700中学校区が学習支援を実施していますが、平成27年度は2,000中学校区、さらには今後5年間で5,000中学校区を目指すとのこと。
この「無料の学習支援」こそが、「地域未来塾」です。