ついに放送がスタートした「ドラゴン桜」で主演する阿部寛が海外作品に挑戦した、大阪アジアン映画祭のオープニングを飾ったマレーシアの歴史ラブストーリー『夕霧花園』(ゆうぎりかえん)の公開が決定した。1980年代、マレーシアで史上2人目の女性裁判官として活躍するユンリンは、キャリアアップのため連邦裁判所事を目指していた。かつて愛した中村が、とある財宝にまつわるスパイとして指弾されているのを知り、彼の潔白の証拠を探すことを決意する。ユンリンにとって忘れることのできない約30年前の記憶を手繰り寄せ、想いが交差していく――。本作は、ブッカー賞ノミネート、マンアジア文学賞と歴史小説のウォルタースコット賞を受賞したマレーシアの作家タン・トゥアンエンの小説「The Garden of Evening Mists」を、台湾恋愛映画の名手トム・リン監督が映画化。第二次世界大戦におけるマレーシアの歴史と共に、一組の男女の切ない恋が紐解かれていく本作。物語は、亡き妹の夢である日本庭園造りに挑んだヒロイン・ユンリンと、日本人庭師・中村が出会ったことで動き出す。キャメロンハイランドの美しい景色を舞台に、日本軍による占領という歪んだ主従関係にあったマレーシアと日本という国の因縁を超えて惹かれあう2人を、戦中の1940年代、戦後の1950年代、1980年代からなる3つの時間軸を通して描いていく。阿部さんが演じたのは、繊細で幻想的な役どころの日本人庭師・中村有朋。庭師であり多才な芸術家、そして終戦時、日本軍により埋められたとされる莫大な埋蔵金「山下財宝」にまつわる秘密を握るスパイ疑惑をかけられるキャラクターだ。「トム・リン監督より出演依頼がマレーシアのastro Shawという制作会社経由で事務所までメールで連絡を頂きました。話を進めるにつれ、監督の熱意が伝わってきました。まず脚本を読ませて頂き、そこから一年近く監督とのやり取りを経て本作品への出演を決めました」と出演の経緯を明かした阿部さんは、「有朋のキャラクターはミステリアスとも言えるかもしれませんが、武士道のような一種の美学が彼にはあり、それは日本人の僕としてとても共感できるもので、そういう意味ではとても親しみが持て、演じやすい人物でもありました」と役について語る。また「監督から聞いた言葉でもありますが、悪者と善人を単純に描くという良くある戦争映画ではありません。戦争で傷ついた心をもつ人物たちが愛を通して理解し、許し合うラブストーリーです。そこを皆様にはぜひ観て頂きたいです」とアピールしている。また、ユンリン役には、『The EYE 【アイ】 』『MISSING ミッシング』『10人の泥棒たち』など、香港・台湾映画界をメインに活動するリー・シンジエ。1980年代のユンリンを女優で監督のシルビア・チャン。ほかにも、ジュリアン・サンズ、映画監督のホー・ユーハンがカメオ出演している。今回の公開決定にトム・リン監督は「ようやく日本で公開される運びとなり、大変嬉しく思っています。過去3作品にわたって私の映画が日本で公開されてきましたが、今回が一番興奮し、また同時に緊張もしています」と思いを語っている。また公開決定と併せて、ユンリンと中村のそれぞれの意味ありげな目線が印象的なメインビジュアルと、劇中の様子を覗くことができる場面写真も一挙に公開された。『夕霧花園』は7月24日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)■関連作品:夕霧花園 2021年7月24日より渋谷ユーロスペースほか全国にて公開ⓒ2019 ASTRO SHAW, HBO ASIA, FINAS, CJ ENTERTAINMENT ALL RIGHTS RESERVED
2021年04月27日30年近くに渡るスペインでの指導経験を通じて、育成の大切さ、指導者が変わることの重要性を痛感したと話す、佐伯夕利子さん。インタビュー最終回では、ビジャレアルアカデミー所属時の育成改革の話から、保護者、指導者ができることについて話をうかがいました。(取材・文鈴木智之)ビジャレアルが行った育成改革改革のおかげで、これまで選手をジャッジして来たことに気付いたと佐伯さんは語ります(写真はサッカー少年のイメージ)<<第3回:「ひどい指導者がいる」と批判するだけでは何も変わらない、佐伯夕利子さんが日本の指導現場に提言■少しずつでも前進、進化することが大事――2014年に始まったビジャレアルの育成改革から6年が経ちました。佐伯さんはクラブを離れて一時帰国中に日本で活動されていますが、進み具合はどのように感じていますか?もともと、8年から10年スパンで結果が出るものと考えていました。これは改革が始まってから気がついたのですが、フットボール界は指導者やスタッフの入れ替わりが激しく、毎年のように変わります。ですので、3歩進んだと思ったら2歩下がるような状態です。ビジャレアルに指導者が120人いると、どうしても学びの浸透度に差が出てきてしまいます。足並みをそろえている間にシーズンが終わり、また人が入れ替わる...といったことが起きるので、すごく難しい状況だと感じています。そのため、思ったようなスピードで前進できるものではないというのが、正直な感想です。ただ、クラブとして継続して取り組むことで文化になりますし、求めているスピード感で物事が変わらなくても、一歩一歩前進し、進化することが大切だと思っています。――2014年に育成改革がスタートし、2020年で6年になります。当時15歳の選手が、現在のU-23にいるわけですね。いまのU-23の監督は改革初期にいなかった人なのですが、ご自身がこれまで見てきたチームや選手との違いを、明確に感じたそうです。彼は「今年のU-23の選手たちは、これまで自分が見てきた選手と違う。常に選手同士でフットボールについて会話をしているし、練習への取り組み方、レクチャーを聞く姿勢などは、これまでの指導人生で関わってきた選手たちと違う」と言っていたので、少しずつではありますが、何かが変わってきているように感じています。■選手の育成は数値化できるものではない――育成が難しいのは、「これをやったからこうなりました」と、結果がすぐに、明確に出るわけではないことです。はい。選手の成長は可視化、数値化できるものではないので、ビジャレアルが育成の方針を変えたことに対して、選手の学びにどのような変化が生まれているのかは、本人さえもわからないことがあります。クラブとしても、選手の成長率が何%伸びました、偏差値がいくつ上がりましたと、わかりやすく成果を表すものはないという結論に達しました。その中で私達が「間違いない」と確信を持って取り組むことが、どれだけ効果があるのかはわかりませんが、取り組みを続けることで、選手自身が人として豊かになっていき、その結果、サッカー選手として成長し、選手としての価値も高まっていくと考えています。こうすればいいという正解はありませんが、自分たちが信じて、良いと思うことに取り組むこと、そしてそれに誇りを持つことが、何よりも大切なのではないかと思っています。■より良い選手になってほしいなら...。堅苦しくないようゲーム感覚で――サカイクはサッカーをする子どもを持つ、保護者の方々がたくさん読んでくれています。保護者の立場から、子どもたちとどのように接すればいいのでしょうか?保護者であれ、指導者であれ、選手や子どもに関わる大人は、より良い人間、より良い選手になってほしいと思っているものですよね。ただし、そのためのアプローチを間違っていたり、わかっていなかったり、勘違いしている大人がたくさんいます。指導者レベルでは、かつての私もそうでした。保護者のみなさんは、子どもとより深いところでつながっているので、俯瞰して見るのは難しいことかもしれませんが、私達がやったような、映像を使って......というような堅苦しいやり方ではなく、ゲームのような感覚でやってみるといいのかなと思います。――具体的にはどのようなことでしょうか?うちの息子に自立して欲しい、自分でものを考えて、積極的に取り組むような人間になってほしいと思うのであれば、親である自分自身が、そうなるような取り組みをしているのだろうかと、紙に書き出してみるのもいいと思います。試合のユニフォームやスパイクを、親である自分が用意してはいないだろうかと、ご自身の行動を「子どもが自立する」という視点で考えたときに、どこへ向いているのかをゲーム感覚で確認するのもいいかもしれません。■サッカーに必要なものを子ども自身が考えることが自立につながる――サッカークラブは子どもたちに自立してほしいと考え、そのための取り組みをしているのに、保護者が過保護になってしまっているというのは、指導現場でもよく見聞きします。「明日のサッカーに必要なものはなんだろう?」と、子ども自身が考えて準備することも、自立する上では大切なことですよね。「明日の試合に、お弁当はいりますか?」と、親がコーチに聞いてしまっては、お子さんはお弁当がいるかどうかを気にすることはありません。「今日から、お弁当がいるかどうかはお母さんは聞かないから、自分でコーチに聞きなさい」と言うのも、ひとつの方法です。自分のお子さんにこうなってほしいという最終像があって、それに向かってプラスになることを、自分がやっているのか。そこに意識を向けてみるといいと思います。――子どもの自立のために、クラブと保護者が同じ方向を向くのが理想ですね。子どもは成長の途中なので、良いときもあれば悪いときもあります。指導者や保護者は、彼らと伴走しながらサポートしていくものです。練習中に「なぜ彼はふてくされるんだろう?」という場面があったとして、その裏側には必ず何か理由があります。そこに目を向けず「ふてくされて態度が悪い、○○くん」とダメ出しやネガティブフィードバックをしたり、「そんな態度では試合には出さない」と言って、週末の試合から干したりすることを、私達指導者は繰り返してきました。でもそうではなくて、人間にはいろいろなコンテキスト(前後関係)があり、ファクター(事実)があります。そこに理解を示し、歩み寄り、選手のバックグラウンドを知ろうとすることは、とても大切なことだと思います。罰するのは、その後からでも遅くないからです。■これまでと違う日本人が育っている。大人も進化し続けないと指導の質が上がらない――時代の流れとともに、求められる指導者像や選手へのアプローチは変わってきていると感じますか?はい。時代の流れは早いので、指導者は敏感に感じ取り、変化していく必要があると思っています。フットボール界だけ、指導現場だけで物事は測れません。社会の潮流や教育現場の流れなども鑑みることが大切です。近年、日本は教育方針が大幅に変わりました。いまの子どもたちが大人になる10年、20年後は、これまで私達が知っている日本人とは違ったタイプが育っているでしょう。しかし、それに対応する我々上の世代は、昭和の教育を受けている人が大半です。これまでとは違う日本人が育っているのに、育てる側の人間がついていけないと誤差が生じます。――前提条件が違う人達同士、ミスマッチが生じるわけですね。だからこそ我々上の世代、つまり大人が敏感になること。進化することに貪欲に、エネルギーを注ぐ努力をする必要があります。そうしないと、指導現場の質も上がらないと思います。子どもたち、青少年はその時代に沿った人格形成をされています。いまの子どもたちの価値観を、昭和に戻すのは無理な話です。そうであるにも関わらず、指導者が選手に圧力をかけ、恐怖心で抑え込んできた事実が、スポーツ現場にはあります。そこに対して、どう意識を変えていくか。お話してきたビジャレアルの育成改革もそうですが、勇気を持って、我々大人が取り組むべきだと思います。<<第3回を読む佐伯夕利子(さえき・ゆりこ)1973 年10月6日生まれ/イラン生まれ92 年にスペインに移住し、93 年から指導者の道を歩み始める。レアル・マドリードのスクールをはじめ、スペイン男子3 部リーグ、アトレティコ・マドリッド女子チームなどで監督経験を積む。08 年からビジャレアルに在籍し、男子U19のコーチ、レディースの監督、女子部統括責任者などを歴任。18 年に公益社団法人日本プロサッカーリーグの特任理事(非常勤)に選任され、2020年3月からJリーグ常勤理事。
2021年02月22日20年以上に渡ってスペインで指導者として現場に立ち、アトレティコ・マドリードやビジャレアルのアカデミーなどで活動してきた、佐伯夕利子さん。なかでも2014年にビジャレアルのアカデミーが実行した「育成改革」には、指導者人生を揺るがすほどの影響を受けたと言います。インタビュー第3回では、佐伯さん自身の変化について、話をうかがいました。(取材・文鈴木智之)ビジャレアルが行った育成改革改革のおかげで、これまで選手をジャッジして来たことに気付いたと佐伯さんは語ります(写真はサッカー少年のイメージ)<<第2回:そのコーチングは「指導者が考える正解」では?ビジャレアルが将来を見据えて行った指導者改革■「これまで選手をジャッジし続けてきた」と気づいた――ビジャレアルの育成改革では指導風景を撮影し、映像をもとに指導者間でディスカッションしたとおっしゃっていましたが、佐伯さん自身フィードバックを受けて、どのような変化があったのでしょうか?まず、選手に対するアプローチの仕方が、ガラリと変わりました。なかでも強く感じたのが「私はこれまで、選手をジャッジし続けてきたんだ」ということです。たとえば、「この選手は良い選手」「この選手はそうでもない」というのもジャッジです。誰しも指導者にはお気に入りの選手がいて、どんな状態でもピッチにいてほしい。説明のつかない信頼感を寄せている選手がいます。その子に対するジャッジは、文句なしに「良い選手」です。でもいま振り返ると、それは思い込みだったのではないだろうかと。もしかすると、良い選手であるという先入観のもと、ラベリングをしていたのかもしれません。――ご自身の考えを、客観的に見られるようになったのですね。他に変わったのが、口から出る言葉です。人間は無意識のうちに、習慣化した言葉を使っています。指導中にも、頻繁に口をついて出ます。ビジャレアルの育成改革ではメソッド部門のメンタルコーチたちが、私の近くに影のように寄り添い、練習中にカメラを回し、メモをとりながら「佐伯コーチは練習中、何を言っているのか?」を記録しました。そして、私の口から出てくる言葉を全部「仕分け」してくれるんです。ポジティブな言葉とネガティブな言葉を分け、選手に対してポジティブなフィードバックが多かったのか、ネガティブなフィードバックが多かったのかに分けます。■言葉を可視化したことで、選手が自分の言葉をどう感じるかに気付けた――どんな言葉をかけているか、可視化されるわけですね。そうなんです。たとえば、90分の練習でA君に18回、B君に8回、C君に2回、声をかけたとします。「この数字を見て、佐伯コーチは何を感じますか?」と質問をされます。そこで私は「A君に18回も声をかけている。すごく執着しているな」とわかるわけです。次に、A君にかけたポジティブな言葉とネガティブな言葉を仕分けされた表を見せられます。すると、18回のうち15回がネガティブで、3回がポジティブなワードを使っていたことがわかりました。――A君に対して、ネガティブに執着していたわけですね。そこで私は自分の考えを正当化するんです。「でも、あの子には、これまで何度も注意しているんですよ。それなのに、状況を見ないでボールを受けてしまって、それから何をしようかを考えるから、ボールを奪われることが多くて。何度言っても改善されないんです」というように。指導者というのは自分を正当化させたら天下一品で、いくらでも言葉が出てきます。でも、はたして本当にそうなんだろうか? というところを、メソッド部のコーチが掘り下げてくれるんです。一つひとつ踏み込んで、「この言葉は、A君に対してどのように伝わってったと思う?」「このように言われたら、A君はどのように思ったと思う?」と、あえて指摘せず、質問を投げかけることで私自身にその答えを出させるのです。それを繰り返すことによって、「こんな言葉を使ってしまった」「こんな言い方をしてしまった」「A君は、いまどう思っただろう?」という意識が芽生えるようになりました。自分の指導を俯瞰できるようになったというと、おおげさに聞こえるかもしれませんが、いままでそんなことは思ったことがなかったので、一番の成長だと思います。――すごいアプローチですね。例えば同じシチュエーションで同じミスをした時に「また?」と指導者が言ったとします。その「また?」が、言われた選手に与えるインパクトは、どのようなものがあるだろうか?「また?」と言われた次のアクションで、結局あなたが望むプレーをA君はできた?と聞かれるわけです。同じミスをしたときに、指導者に「また?」と言われたら、次から身体が縮こまってしまい、より良いアクションは起こせないですよね。メソッド部門の人たちはそのような対話を通じて、私を変えてくれました。■スペインでは勘違い指導者の居場所がなくなりつつある――キャリアのある指導者を変えるのは、大変なことだと思います。変える方も、変わる方も。私だけでなく、スペイン国内の大多数の指導者は、多くの勘違いのもとに指導をしてきたのだと思います。幸運なことに、私はそれに気がつくことができました。さらに申し上げると、スペイン国内では指導者のプロファイルが変わってきていると感じています。これまではパフォーマンス系の指導者、例えば吠えるタイプの指導者やミスをした選手がいたら、ピッチサイドで地面にペットボトルを投げつけてみたり、審判に食ってかかったりするような指導者が多くいました。審判にプレッシャーをかけることイコール、チームへのプラスになるという変な信仰があったり。まだまだそのような指導者は少なくありませんが、流れが変わってきて、徐々にそういった指導者の居場所がなくなってきていると感じています。■知識があっても現代のやり方に合わない指導者は求められていない――そのような指導者はかつては「熱心な指導者」と言われていましたが、世の中が変わってきた中で、求められる指導者像も変化してきたのでしょうか?そう思います。先日、スペインの有名なスポーツダイレクターと話をしたのですが、同じことをおっしゃっていました。「○○監督はフットボールの知識があって、4-3-3について語らせたら、自分がいままで出会ってきた中でナンバーワンだ。だけどスポーツダイレクターの立場から考えると、彼を監督して招聘するのはありえない。なぜならもうそういう時代じゃないし、彼のやり方は求められていないんだよね」と言っていました。選手とのコミュニケーション方法やチームの作り方、自分の知識の伝え方など、時代とともに求められるやり方も変わってきているのだと思います。――オールドスタイルの指導者の居場所がなくなってきているのですね。はい。スペインで言うと、1980年代、90年代の指導スタイルから、進化していない人達の居場所がなくなってきているように感じます。そういう人達は、海外に居場所を求めています。なぜならばアフリカやアジアなどは、ヨーロッパと比べて人権への意識が低い地域もあるので、そのような指導がまだ認められるからです。もちろん、アフリカやアジアで仕事をしている指導者全員がそうだと言っているのではありません。そこは誤解なさらないようにしてほしいです。中には実力が認められて、海を渡った指導者もいます。でも、そうでない人がいるのも事実です。■過去にもてはやされた手法をなぞることがイケてると勘違いしていた――日本のスポーツ界にも、指導者のパワハラは根強く残っています。ハラスメント系の指導者というのが、一昔前はイケている指導者だった時期がありましたよね。「あの監督は情熱がある」といったように、色々な言葉で正当化されてきたんです。私もそう思っていた時期もありました。例えば、「メンバーリストは相手のチームよりも後に出せ」とか、色々なことを教えられました。でも時代は変わり、指導者がメンバーリストをいつ出すかに気を取られている間に、そのエネルギーを選手に向けて、選手のことを考える時間に当てたほうがよっぽど良いですよね。――そう思います。試合前というのは、選手が試合に向けてどのような気持ちでいるか。それに指導者は寄り添っていなければいけないはずなのに、つまらない信仰のようなものを、私達はたくさん作り上げてきてしまいました。それをなぞることが、イケている指導者だと勘違いし、そのような指導者をスペインのサッカー界は大量生産してしまったのです。しかし現在、先進的なクラブは、そのようなプロファイルの指導者は求めていません。ビジャレアルが2014年に改革しようとしたのは、まさにその部分で、それが遅かったのか、早かったのかはわかりませんが、私に多くの影響を与えてくれました。■ひどい指導者たちを批判するだけでは何も変わらない。指導環境改善のためにできること――過去の誤った振る舞いに気がついたとき、どのように感じたのでしょうか?私はメソッド部門のコーチに「いままでの自分はひどい指導者だったんだと、恥ずかしく思う」と言いました。すると、「いいんだよ。キミに非があるわけではないんだから。キミは、そのやり方しか知らなかっただけなんだ。それが正しいと思っていただけなんだ」と。さらに、こう言われました。「キミがやってきたことと、違ったアプローチがあることも知ってほしい。こういうやり方もあるんだと知ることで、指導者として豊かになれるはず。指導者をそのように育ててきた、スペインのスポーツ文化にも責任はある。人間は知っていることしか見えない。キミたちはひとつのやり方しか教わってきていないから、見えるものも見えなくなっているんだ。知ることによって、見えるものも変わるはずだから、『知る』を増やそう」と。――深い言葉ですね。日本のスポーツ界には未だにハラスメントがあり、子どものスポーツに対して、ひどい指導をしている人も多いと聞きます。でもそこで、「ここにひどい指導者がいる」「あそこにもいるぞ」と批判を繰り返すだけでは、何も変わりません。なぜならばそのような指導者達は、言い訳でなく、他のやり方を知らないんです。そして、いままではそのやり方で試合に勝ったり、大会に優勝したりと、機能してきてしまったのです。なので、その部分に対する『学びくずし』と言うか、そこに取り組むためのきっかけや、サポートする人がいない限り、指導者は変わることができない。私の経験上、そう思います。(第4回に続く)<<第2回を読む佐伯夕利子(さえき・ゆりこ)1973 年10月6日生まれ/イラン生まれ92 年にスペインに移住し、93 年から指導者の道を歩み始める。レアル・マドリードのスクールをはじめ、スペイン男子3 部リーグ、アトレティコ・マドリッド女子チームなどで監督経験を積む。08 年からビジャレアルに在籍し、男子U19のコーチ、レディースの監督、女子部統括責任者などを歴任。18 年に公益社団法人日本プロサッカーリーグの特任理事(非常勤)に選任され、2020年3月からJリーグ常勤理事。
2021年02月16日30年近くに渡ってスペインで活動し、サッカー指導の現場で奮闘してきた佐伯夕利子さん。スペインの指導ライセンスレベル3(日本のS級に相当)を取得し、アトレティコ・マドリードの女子チームやビジャレアルのアカデミーで指導を行ってきました。2020年よりJリーグの常勤理事となり、現在は日本を拠点に活動(11/30-2/1まで一時帰国中)しています。選手の育成について多くの知見を持つ佐伯さんに「子どもたちを伸ばすために、指導者が変わらなければいけない理由」をテーマにインタビューを行いました。第2回はビジャレアルが行った育成改革の内容に迫っていきます。(取材・文鈴木智之)ビジャレアルが行った育成改革改革の第一歩は、指導者が自分を知ることから始まったそう(写真はサッカー少年のイメージ)<<第1回:1人ひとりの個性を見て個別最適化がチーム強化に。スペインの名門ビジャレアルが育成改革に取り組んだキッカケ■育成はすぐに結果が出るものではない。「今」だけ見ていて良いのか――サカイクでは、「子どもを変えるには、大人が変わらなければいけない」というメッセージを打ち出しています。ビジャレアルの育成改革は、まさに大人(指導者)が変わることで、子どもたちの変革をうながしたそうですが、どのような取り組みをしたのでしょうか?それまでの私達はサッカークラブの指導者なので、普段からサッカーの話ばかりをしていました。どんなシステムがいいのか、サイドバックの選手に求める要素は...といった形です。あるとき、ビジャレアルの育成改革を推進したコーチに「そんな話を何十年もしてきて、これから先の何十年も続けていくのか?」と言われたときに、はっとしたのです。指導者として、それはあまりにも貧しいのではないか。そうではなくて、もっと広い視野で選手を育てるべきなのではないかと。ご存知のとおり、育成はすぐに結果が出るものではありません。目の前にいる選手が8年後、10年後にこうなっていてほしいという理想像に向かって、進んでいかなくてはなりません。8年後、10年後に、今いるコーチが引き続き、ビジャレアルにいるとは限りませんが、選手たちの将来にとってプラスになるのであれば、より良いアプローチを模索するべきだということで、まずは指導者に対して様々な取り組みが行われました。■選手には「自分で考える」を求めていたのに、指導者が具体的に指示しすぎていた――どのようなことが行われたのでしょうか?改革の第一歩は、指導者が自分を知ることから始まりました。「理想の選手を育成するにあたって、それに適した指導を、私達指導者が行っているか」に目を向けました。ビジャレアルアカデミーが掲げる理想の選手像は、自ら積極的に考えて、判断して実行できる選手であり、試合中、変わっていく状況に対して適応できる能力を備えた選手です。そう言っている割には、攻撃パターンを3つぐらい作って、それをただ繰り返すドリルのようなトレーニングをさせていたり、「自分で考えてプレーしよう」と言いながら、指導者が「右に蹴れ、左に蹴れ、いまのは違うだろ」と言い続けていました。――多くの指導者にとって、耳の痛い話ですね。ビジャレアルアカデミーでは、私達指導者がどのような振る舞いをしているのか、それを自分たちの目で確かめるところから始めました。具体的には、アクションカメラの「Go Pro」をつけて指導の現場に立ち、いつもどおりトレーニングをします。「Go Pro」は自分の目線と同じなので、選手の反応が撮影されています。その映像を見ると、多くの発見がありました。練習前後に選手を集めて、指導者がトレーニングについての話をするのですが、いつもうなずいて聞いているように見えたA君が、実は聞いている素振りをしているだけだったり、聞いていなさそうに見えたB君が、話を理解しようとしていたりと、指導者が持つ印象と映像に映っている事実が異なっていました。その理由は、指導者が選手にするラベリングにあります。指導者のレッテルや主観が、事実を違うように映していたのです。――映像で見るからこそ、多くの情報を客観的に得ることができるわけですね。もう一つはハンディカムで指導者自身を映し、トレーニング中や試合中にどのような指示出し、振る舞いをしているかを、コーチングスタッフ全員でチェックし、ディスカッションをする場を設けました。これは週に1回、2時間の学びの場なのですが、自分の指導の様子がみんなの前で映し出され、選手とどのようなコミュニケーションをとっているか、どのような言葉を使っているかなどにフォーカスし、ディベートをしました。■そのコーチングは指導者が考える「正解」では?――そこでは、どのようなディスカションがなされるのでしょうか?映像には試合の様子は映っておらず、指導者の姿だけが収められています。そこで試合中、私が選手のあるプレーに対して「いまのはパスじゃなくて、ロングキックでしょ!」と言ったとします。すると進行役が映像を止めて、「いまのコミュニケーションについて、他の指導者はどう思う?」と意見を聞いていきます。そうやって、指導者の振る舞いを一つひとつ検証していくのです。――指導者からするとハードな学びの場ですね。はい。たとえば他のコーチから「この前のスタッフミーティングで、『自主的に物事を考えられる選手になってほしい』という話をしたよね。でも『ロングキックでしょ!』というコーチングは指導者であるあなたが考える正解であって、パスをした選手の判断や選択肢を否定することになっている。結局、あなたが言うとおりのプレーをしないと、ネガティブなフィードバックをされる。つまり、ダメな選手と評価されるわけだ。それは私達の目指す方向性ではないし、言っている事とやっている事が違うよね」といったフィードバックを受けます。それを1年間繰り返しました。■20年の指導歴で初めて自分が成長できる機会だった――指導者のみなさんは、そのフィードバックをすんなりと受け入れることができたのでしょうか?大人になると、誰しも自分をさらけ出すのは嫌ですよね。自分の指導の様子を撮影されて、みんなの前でフィードバックを受けるのは居心地が悪く、怒りや恥ずかしさなど、いろいろな感情が混ざり合います。私達にとっては、すごく難しい時間であり空間でしたが、その経験をしたことで、「使用前、使用後」と呼べるような変化がありました。中にはふてくされて、自分の殻に閉じこもってしまった人もいて、学びという面では残念なことではありますが、そこまで踏み込んで、指導者を改革しようとしてくれたビジャレアルというクラブは勇気があるなと感じました。――佐伯さんご自身は、それらの取り組みによる変化をどのように感じたのでしょうか?ビジャレアルの育成改革がスタートしたのが、2014年です。私はそれまで、20年ほど指導者をしていましたが、これまでの20年間、何をしていたのだろうと思うぐらい、使用前と使用後の変化を感じました。「選手を育成する」ということについて、間違えてとらえていたのだと気がつくことができたのです。時間が経てば経つほどその想いが強くなり、自分の中で整理できなかった思考が、緩やかなスピードではありますが固まってきました。それまで、選手に対するアプローチに違和感を覚えたことはありませんでした。自分のやっていることに間違いはないと思っていましたし、周りから疑問を投げかけられることもありませんでした。つまり20年以上の指導歴で、自分が成長する機会は一度もなかったのです。(第3回に続く)<<第1回を読む佐伯夕利子(さえき・ゆりこ)1973 年10月6日生まれ/イラン生まれ92 年にスペインに移住し、93 年から指導者の道を歩み始める。レアル・マドリードのスクールをはじめ、スペイン男子3 部リーグ、アトレティコ・マドリッド女子チームなどで監督経験を積む。08 年からビジャレアルに在籍し、男子U19のコーチ、レディースの監督、女子部統括責任者などを歴任。18 年に公益社団法人日本プロサッカーリーグの特任理事(非常勤)に選任され、2020年3月からJリーグ常勤理事。
2021年02月09日1992年よりスペインで暮らし、サッカー指導の現場で奮闘してきた佐伯夕利子さん。2003年には日本人女性初となる、スペインの指導ライセンスレベル3(日本のS級に相当)を取得。アトレティコ・マドリードの女子チームやビジャレアルのアカデミーで指導を行ってきました。2018年にJリーグの特任理事に選任されると、2020年に常勤理事となり、スペインより(11/30~2/1まで一時帰国中)帰国することになりました。育成について多くの知見を持つ佐伯さんに「子どもたちを伸ばすために、指導者が変わらなければいけない理由」をテーマにインタビューを行いました。ビジャレアルの育成改革を中心とした、濃密なインタビューを4回に渡ってお届けします。(取材・文鈴木智之)育成の名門ビジャレアルが「ピッチ外」という育成で一番大変な面に目を向けるようになったキッカケとは(写真はサッカー少年のイメージ)■小中学生で親元を離れるのは良いことなのか――佐伯さんが所属していたビジャレアルは、育成に定評のあるクラブです。スペインの年代別代表に選手を輩出し、トップチームにも多数の選手を送り込んでいます。育成に実績のあるクラブが、なぜ改革をしようと決断したのでしょうか?私が所属していたビジャレアルが、アカデミーの指導改革を行ったのが、2014年です。ビジャレアルはご存知のとおり、育成に特化してクラブを運営してきました。アカデミーからトップチームへと選手が昇格し、クラブとしても欧州チャンピオンズリーグなどで上位に食い込む中で、国内外から評価を得るようになりました。ビジャレアルはスペイン全土から選手をスカウトし、寮に入れて育成していきます。一番下は小学6年生です。小学生、中学生という多感な時期に、親元を離れて生活するのが良いことなのか。まずそこに葛藤がありました。スペインは地域性が色濃い国です。ビジャレアルはバレンシア州にあるのですが「バレンシア語」といって、使う言葉も違います。――別の地域から来た子どもは、馴染むのが大変ですね。そうなんです。遠方から来た子達を地元の学校に入れても、授業がバレンシア語なので、何を言っているかわからない。そのため、学校に馴染むことができないといった問題がありました。そのような経緯があり、(小学生年代で越境させる子はほとんどいなくなりました)。やはり、多感な時期は親元で生活するのがいいだろうという結論に達したのです。このように様々なトライアンドエラーを繰り返しながら、選手の育成をしてきました。寮生活をしている子は100人ほどいますが、それだけの数がいると、人間性の部分での指導、アプローチが行き届かないこともあります。そこであるとき、気がついたのです。「私達はプロクラブの指導者と名乗っておきながら、グラウンドの中で行われることだけを指導しているのではないか」と。やれ4-4-2だ4-3-3だという話ばかりで、グラウンドを一歩離れた選手の姿に、どれだけ関心を持って指導していたのだろうかと省みたのです。■アカデミー生の90%以上はプロになれない――ヨーロッパのトップクラブのアカデミーが、そのような観点を持ったことは、非常に興味深いです。ビジャレアルのアカデミー生は"フットボールバブル"と呼ぶべき、恵まれた環境でサッカーに取り組んでいます。全額クラブ負担で衣食住のケアがされていて、寮には栄養士もランドリーサービスもあります。Tシャツにさえ、アイロンをかけてもらえる環境です。学費はクラブが負担し、サッカーをすることで報酬も得ています。一般の中高生ではありえない環境ですが、その状態で長く育ってしまうと、いつしかそれが普通になってしまいます。そして18歳になると高級車を買ったり、iPhoneの最新版を持ったり、ブランド品を身につけたりという感覚になってしまうわけです。――まさにバブルですね。普通の中高生の感覚からかけ離れた状態をクラブが作っておきながら、彼ら全員がプロ選手になれるわけではありません。プロとして契約書にサインできる選手が、アカデミーの中で何人いるかと考えた時に、ビジャレアルのようなエリートアカデミー選手でも6~7%という数字が出てきました。つまりアカデミーの93%の選手は、プロとして生計を立てて行くことができないわけです。クラブもそれを理解しながら、選手に投資をしています。プロになった1%の子だけに目を向けて、その他の 99%の子達に責任を持たなくていいのでしょうか。「トップチームに何人昇格した」「他のクラブに高額で移籍させることができた」というのが私達の勲章ではなく、いま面倒を見ているアカデミーの選手達が、サッカー選手ではなくなった時、もっと言うとビジャレアルというバックグラウンドがなくなった時の姿に責任を持つことが、私達指導者の責務ではないかという反省が、改革のきっかけになりました。■ピッチ外という一番大変な面に向き合うようになったキッカケ――非常に考えさせられますね。ごくまれに、ユース出身の選手が犯罪を犯したというニュースを耳にします。でも、その段階ではもう自分たちのクラブの選手ではないので、大抵が知らん顔をします。「何年か前に、そんな選手いたよね」「ひどい人生を送っているね」と話をするだけで、彼らがビジャレアルのアカデミーにいた時、つまり成長段階で彼らの周りにいたのは、他ならぬ私達です。アカデミーを巣立っていった選手が、そのような状況になっていることに対して、「私達は責任を感じなくていいのだろうか?」といったことを指導者間でディベートし、内省を行いました。――責任感あふれる行動だと思います。指導者として勇気を持って、一番大変でエネルギーを吸い取られるところに、あえて向き合っていく。それがプロフェッショナルクラブの指導者と言えるのではないか。指導者とはそういう仕事なのではないかという考えに基づいて、改革をしました。たとえばAという選手がいたとして、彼は学校では生徒会長であり、彼女の前では恋人であり、クラブではおとなしいキャラクターだけど、親の前ではよく喋る子だったりと、様々な側面をもっています。しかし、私達は「サッカークラブにいるA君」という面でしか見ておらず、判断していませんでした。105m☓68mのグラウンドの中にいるときのA君に対してしか、アプローチしていなかったのです。――サッカー選手としてだけでなく、ひとりの人間として包括的に見ることの大切さに目を向けたのですね。サッカー選手としての価値を高めていくことが、最終的なクラブの目標としてはあるけれども、「価値とは何だろう?」と考えた時に、ボールを上手に扱えることなのか、速く走れることなのか、デュエルでたくさんボールを奪うことができることなのか......。そうではなく、もっと壮大なものではないだろうかという結論に達しました。つまり「人として豊かになれば、ピッチ上でのパフォーマンスにもプラスに現れてくるのではないか」ということです。なぜならばフットボールは、スピードやパワー、持久力など数値で測れるものを競う競技ではなく、様々なファクターの中から瞬時に判断し、たくさんの選択肢を持った中から、最適な行動を自分で選び取ることが必要なスポーツだからです。そこにスキルが加わり、クオリティの高いパフォーマンスに変わっていきます。■学校と連携して選手の日常を知る取り組み――どのようにして、サッカー以外の部分に目を向けていったのでしょうか?ひとつは学校との連携です。勉強に対してどのように取り組んでいるのか、学校ではどのような生徒なのか、先生との関係性はどうかなど、学校に対してクラブの指導者が積極的に関わるようになりました。いまでは学校の職員会議に、ビジャレアルのスタッフが参加する関係性です。さらに「Google Drive」というITソフトを使い、その選手に関わる多くの人と情報を共有し合う仕組みを作りました。Aという選手には、サッカーの指導者、寮の生活指導スタッフ、勉強を担当する先生、掃除や洗濯など身の回りのケアをする人など、たくさんの人が関わっています。そこで「Google Drive」の中に、Aという選手のファイルを作り、その日にあった特筆事項などを共有します。――現代的な仕組みですね。たとえば、学校の先生が「A君は同級生のB君と激しい言い争いをして、気が立っているので、寮に戻ったときの態度が悪いかもしれません」と記入しておけば、寮の生活指導の先生も「なんだこいつは。態度悪いな」となるのではなく、A君を取り巻く環境を理解することで対応も変わり、コミュニケーションも豊かになります。コーチはA君の身に起きた出来事を知っているので、練習場に来る時はふてくされているだろうなと、前もってイメージすることができます。そうすると、A君と接するときの指導者の態度も変わってきます。■一人ひとりが豊かになることがチームの強化につながる――それをチーム全員分するというのは、時間もエネルギーも相当かかりませんか?はい。チームに選手が20人いるとして、それぞれの人格や置かれている状況、バックボーンは全員違います。そうであるにも関わらず、私達はチーム全体にメッセージを発したり、フィードバックを行ってきました。それらの意味のなさに気がつき、すごく反省しました。個々にアプローチをし、個別に最適化を図ること。その結果として、選手一人ひとりが豊かになることが、チームの競技力や強化につながるのではないかと、考えが変わりました。そのような取り組みを行い、一つひとつ改革をしていきました。(第2回に続く)佐伯夕利子(さえき・ゆりこ)1973 年10月6日生まれ/イラン生まれ92 年にスペインに移住し、93 年から指導者の道を歩み始める。レアル・マドリードのスクールをはじめ、スペイン男子3 部リーグ、アトレティコ・マドリッド女子チームなどで監督経験を積む。08 年からビジャレアルに在籍し、男子U19のコーチ、レディースの監督、女子部統括責任者などを歴任。18 年に公益社団法人日本プロサッカーリーグの特任理事(非常勤)に選任され、2020年3月からJリーグ常勤理事。
2021年02月02日職場でU‐8以下の子どもたちを指導することになったけど、自分自身はサッカー経験なし。初めてサッカーをする子たちばかりだけど、楽しんで基本が身に付くような練習はある?とお悩みのコーチよりご相談いただきました。長くサッカーを続けるためにも、サッカーに出会う時期の楽しさは大事ですよね。現在低学年や未就学児に指導されている方も池上さんのアドバイスを参考にしてください。これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、この年代への指導で大事なことをお伝えします。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<何をやっても楽しそうじゃない子のテンションを上げる練習を教えて<お父さんコーチからの質問>こんにちは。職場の幼稚園、小学校低学年でボランティアコーチをしています。自身はプレーの経験は無く、元2級審判員です。今は3級で現役です。これまでも何回も聞かれているかもしれませんが、サッカーが初めてのこの年代に楽しみながら基本を教えるには、どうすれば良いでしょうか?<池上さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。メールに「サッカーが初めてのこの年代に楽しみながら基本を教えるには、どうすれば良いか?」とありますね。ご相談者様がおっしゃる「基本」とは、ボールを蹴る、運ぶ、止めるといった主には個人スキルを想像されていると想像します。しかしながら、サッカーは自分以外の仲間がいますね。その仲間とパスをつなぎながら、相手にボールを取られずシュートまでもっていく。そしてゴールを狙う。それがサッカーです。たとえ幼児だろうと、指導はそこから入ってほしいと思います。ところが、未就学児や小学校の低学年にミニゲームをしてもらうと、団子になります。特定の子どもだけがドリブルをし、他の子が追いかけて行くような場面が多く、ボールを扱う子どもが限られてしまいます。そのため、ボールを扱えるように、止める、蹴るを体験できる対面パスやコーンドリブルの時間が増えていく。そんな傾向があります。■「まだ団子サッカーで仕方がない」ではダメ先日、千葉県柏市サッカー協会からの依頼で、セミナーを開きました。その際に町のクラブの方から、団子サッカーをどう解消したらいいか?といった質問がありました。多くの方が「まだ幼稚園だから団子で仕方がない」と考えているようです。しかし、そのままにしておかないでください。そこからどうサッカーにつなげるか。指導者の方に対策を立ててほしいのです。仲間とつないでいくのが当たり前のこと。それがサッカーだという認識を持てるよう子どもを育てる必要があります。団子サッカーを卒業させようと考えた場合、子どもたちに「団子にならないようにしよう」とか「団子にならないで広がって」と指示することが少なくありません。ところが、言っても、言っても、団子になってしまう。指導者は途方に暮れます。■団子サッカー解消のためにどうすればいいかでは、どうするか。まずは、子どもたちに、自分たちがどんな状況になっているかを理解してもらいます。「いま、どんなふうになってる?」問いかけると、子どもなりの意見が出てきます。「○○君は僕の味方なのに、僕のボールを取りに来る」「人がいっぱいいるから前に行けない」2、3人だけでなく、みんなに尋ねてみてください。そういうことを認識させることが大事です。そのあとで、「なるほど。みんなそんなことを感じているんだね。じゃあ、どうしたらいいかな?」とまた問いかけます。そして、それぞれが「みんな広がってみる」とか「空いてる人にパスする」と、対策が出てきたら、「じゃあ、そこに気をつけてやってみよう」とまたミニゲームをやらせます。子どもですから、もちろんすぐに「自分で気をつける」ことはできません。が、やりながら、コーチからも、考える材料になる問いかけをします。「味方の近くにいるのと、遠くにいるのとでは、どっちが相手からボールを取られないかな?」そんなふうに話し合いながら練習を進めてください。そのとき、決して答えを言わないでほしいと思います。■手取り足取り教えることが指導ではない以前、私が日本人コーチの佐伯夕利子さんが所属するスペインのビジャレアルの5歳児たちのミニゲームの動画を見せた時のことです。幼児でもパスをつなげることを見せて、「ここまでに育てるのに2~3年かかるそうです」と話したら、参加していた方がこうおっしゃいました。「私はそんなに我慢できません」日本の指導者は、どうも早く結果がほしいようです。コーチが我慢する、しないの問題ではないことを理解してほしいものです。子どもたちにサッカーがどんなスポーツかを教えるには、前述したようにやり取りしながら理解を深めていく「時間」が必要不可欠だということをわかってもらえないでしょうか。「コーチがこんなに言ってるのに、どうして君たちはやらないの?」「やらないから上手くならないよね」そんなふうに責めたり、手取り足取りして教えることが指導だと思っていませんか?子どもたちを「一日も早くうまくしなければ」と思っていないでしょうか?何かができたら、次はこれというふうに、進み具合を大人のほうで決めて、そこに当てはめようとしてしまう。そこに追い付けない子どものことを心の中で否定したり、成長をあきらめていないでしょうか?指導に決まったマニュアルはありません。いま、目の前の子どもは上手くできないかもしれません。ただ、大人の目には見えないけれど、前述したように考えさせる指導をしていけば、子どもは日々何かを獲得するはずです。ビジャレアルの子どもたちも、そのようにしてサッカーの認知度を上げたのだと考えます。■サッカー経験がなくてもできる、子どもたちが自分で考えるようになる「問いかけ」また、「上手くなってもらうには、どんな声がけをしたらいいですか?」という質問をよく受けます。すでにお伝えしたように決まったマニュアルはないので、こう声をかければ上達する、という魔法の法則はありません。あるとすれば、いまのどう?うまくいった?というような問いかけです。子どもが自分で考え始めるきっかけになる問いかけは、別にベテランでなくても、サッカー経験者でなくても、誰でも聞けます。考え方を理解してもらえれば簡単なことです。ただし、この問いかけを続けるには、そういうことが必要であることを大人のほうがきちんと理解していなくてはいけません。ミスパスを「それはミスだね」とだれにでも言えますが、それは指導ではありません。そういったことを理解してもらわなくてはなりません。■問いかけと対話を重ねて子どもたちの視野を広げてあげるミスパスがあれば、「いま、誰にパスしようと思ったの?」と聞くことができるコーチになってください。「だってあそこに味方がいたんだもん」「右に味方がいたから」と答えれば、「じゃあ、左にいたのは見えた?」と尋ねる。そうすれば、「じゃあ、右も左も見られるといいね」となります。その次に「両方見ました」と言ってくる日が来ます。そのときは、じゃあ、その選択はどうだった?となります。対話だけをみても、その子どもが進化しているのがわかるかと思います。選ぶのはその子の権利。コーチの役目は、視野を広げてあげることなのです。池上正さんの指導を動画で見る>>■「こっちでしょ」コーチが答えを教えると、ほかの可能性を見逃す(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)「こっちでしょ」と一つの答えだけをコーチが教えてしまうと、見逃すものがいっぱい出てきます。サッカーをより楽しくするためには、どこがいいかな?と子どもがワクワクしながら考えられること。それができる環境を指導者が保証してあげることが重要です。そうすると、よりサッカーを楽しむためには、視野を広げるんだ、という結論になります。より楽しくなるよね、という考え方をもって子どもに接してください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2021年01月22日ゲームは好きだけど、複数人で協力するプレーがまだできない。一人でできるドリブル練習の方が集中できる子どもたち。U‐6世代ならそんなもの?今は個人のスキルを身につけさせた方がいいのか、それとも仲間との協力プレーを意識させる方法はある?と指導者よりご相談をいただきました。先日配信した、「日本での指導の順番が海外とは逆」という記事でお伝えした課題は、サッカーを始めたばかりの年代にも言えるのだそう。これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが送るアドバイスを参考にして、子どもたちに仲間と協力するプレーを意識づけてあげてください。(取材・文島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<ボールを蹴るのは上手いけど、手で投げたりキャッチが苦手な子が多い。全身をうまく使えるようになる方法を教えて<お父さんコーチからの質問>U‐6世代を指導している者です。まだまだ集中力が続かない年代なので、楽しんでもらうことをモットーにしているのですが、自分が得意でなかったり、あまり好きではないメニューになるとどうしても気が散りがちです。ゲームは好きですが、複数人で協力し合うプレーなどがまだまだ苦手で、一人でできるドリブルなどのほうが集中できるようです。この年代では個人のスキルを身につけさせることが先決でしょうか。仲間との協力を意識させるようになる練習やウォーミングアップなどがあれば教えてください。<池上さんのアドバイス>ご相談、ありがとうございます。いただいたメールを読んで、ジェフ時代にオシムさんに言われた言葉を思い出しました。当時私はジェフの普及事業として、ホームタウンにある小学校や幼稚園などを巡回して授業をする「サッカーおとどけ隊」の内容を考えていました。クラブハウスでスタッフと相談していると、オシムさんがやってきたので、「どんなことをしたらいいか考えている」と話したら、一言だけおっしゃいました。「子どもたちにサッカーのやり方を教えるのではなく、サッカーすることを教えなさい」と。■6歳でもプレーを止めて考える時間を与えようサッカーをするといえば、一番楽しいのはゲームです。ゲームをしながら、子どもがサッカーというスポーツを理解していく手助けをしてみましょう。この連載直近の回で「チームの底上げ」や「判断を伴う練習」というテーマでお伝えした、スペインリーグのビジャレアルの育成方法を憶えていますか?日本人コーチの佐伯夕利子さんが育成のトップで活躍されているこのクラブでは、子どもたちにゲームを楽しんでもらいながら、サッカーの成り立ちを理解(認知)させます。考えながら動くことは難しいので、その状況ではどんな選択肢があるかをわかってもらうために「一回止まって考えてみようよ」と呼びかけます。6歳でも、試合を止めて、一緒に考えてみます。一見すると、とても大変そうですが、少しずつやっていくと子どもとさまざまなコミュニケーションがとれるようになります。そんな時間をとれば少しずつ変わってきます。ビジャレアルは、これを3歳児からやっているのですから、日本の6歳児も十分できるはずです。私もこれを実践しています。大阪で「サッカープレーパーク」という無料のスクールを実施していますが、集まるとまずゲームです。様子を見ながら、プレーを止めて対話する時間をつくります。答えは言いません。「どうして、ここにいったの?」「なぜこうなったのかな?」周りを見ていなかった。パスするのを忘れた......ハッキリだったり、ぼそぼそだったり、いろんな声が聴こえてきます。子どもたちの意見は一切否定せず、私の意見も言います。「そうか。オッケー。コーチはね、こうするといいかなって思ったよ。そんなことも考えながらプレーしてごらん」詰問するような言い方ではなく、あくまでリラックスした状態で、伝わりやすい言葉を選んで話します。6歳くらいだと、ボール保持者にぶつかっていく子どももいます。「みんな、知ってる?ソーシャルディスタンス。あるよね?コロナに感染しないようにしてるよね。サッカーもそういうふうにしよう。サッカーの試合、思い出してみて!自分からぶつかっていく人はいないよね」子どもたちはゲラゲラ笑います。全員ではないにしろ、少しイメージできます。ディフェンスが間にいてパスができないとき、どうする?「ドリブルで少し移動してからパスを出す」そんな答えが出てきます。そうやって、子どもが自分で気づいて、自分で学んで理解していくと、パスが早く出始めたり、自分でひとりでドリブルでいってしまうことが減ったりします。■「パスした方がいい理由」を見つけられるように導くサッカープレーパークでは、小学1年生から中学1年生まで一緒にサッカーをします。ある日のこと。小学1年生でドリブルばかりする子がいました。サッカーの初心者では当然です。そこで止めて、私はみんなに声をかけました。「ねえ、君さ、自分の味方がだれか理解していますか?えっと、この子の味方の人?」周りにいた子が一斉に手を挙げました。「ほら、こんなにいるよ」ドリブルをしていた6歳の小学1年生に尋ねます。「君はドリブルしていたね。コーチが前にいたね。右のほうに味方がいるよね。ドリブルをしていた君は、コーチにボールをとられたね。どう?味方にパスする?ドリブルする?どっちのほうがいいと思う?」すると、次にボールをもったとき、その子はドリブルをしながら周りを見たのです。パスもするようになりました。このように頭で理解をさせるのが非常に大切です。コーチの方は子どもたちに「パスしろ!」と言いますが、どうしてパスしたほうがいいのかを子どもたちは理解していません。「ああ、だからパスしたほうがいいんだ!」と子どもたちが納得できるように、その答えを自分で見つけられるような指導をコーチのほうもしていません。そういった指導でも、もし子どもがパスしたとしたら、それはパスをしないと怒られてしまうからだと私は思います。私の孫はいま小学3年生です。先日、通っているサッカースクールの子たちでチームを作って大会に出ました。全員顔見知りではなく、互いに恥ずかしがっていました。孫は特に内気な子で、コーチにベンチから大声で名前を呼ばれるとびっくりしてミスをしてしまいます。ほとんどがポジションが悪くて失敗するのですが、それが重なるとどんどん下を向いていきます。その大会の後、私のプレーパークにもやってきました。私は子どもたちに「ナイス」「お、いいね」とほめることしかしないので、帰宅後に「今日はいっぱいほめられて楽しかった」と母親である私の娘に言ったそうです。リラックスして楽しくプレーしていれば、いいプレーはたくさん出て来るようになります。■褒めながらプレーの幅を広げていく声かけ(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)ご相談者様いわく「協力し合うプレーなどがまだまだ苦手」とのことですが、少しでもみんなで協力してできたことがあったらほめてください。自分でドリブルしてうまくできたことを「すごいね」などとほめてしまうと、それだけしかできなくなります。「ドリブルうまいね。良かったよ。でも、こんなときはどうする?」そんなふうにプレーの幅を広げていくことが指導者の役目です。これまでは、6歳や小学校低学年は個人のスキルを身につけることに重点が置かれていました。でも、決してそうじゃないことがわかっています。みんなでサッカーをすることがどういうことなのか。ここをぜひ理解させましょう。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2020年07月31日読むだけで、肌も心も美しくなる2020年7月3日、さくら舎から、佐伯チズの新刊『佐伯式 艶肌術と心磨き』が発売された。同書では、化粧品に頼らなくても、お金をかけなくても、キレイになれるを方法をレクチャー。難病と向き合いながら佐伯チズが執筆した、読む「心の美容液」となっている。販売価格は1,540円(税込み)。Amazon.co.jpや楽天ブックスなどで購入することができる。美肌を目指している人や、最新版の佐伯式メソッドを知りたい人などにオススメだ。世界中から愛された美肌師 佐伯チズ佐伯チズは1943年6月23日生まれ。滋賀県出身。1967年にゲランに入社し、1988年からはパルファン・クリスチャン・ディオールのインターナショナル・トレーニング・マネージャーとして活躍。2003年に定年退職し、エステティックサロン「サロン ドール マ・ボーテ」を開業する。『頼るな化粧品!』『今日の私がいちばんキレイ』など著書多数。講談社から出版された『美肌革命』は、英語、中国語、フランス語など9か国語に翻訳されている。これまでに出版した著書は累計500万部以上。2020年6月5日にALS(筋萎縮性側索硬化症)のため永眠。多くの人から支持され続けている。(画像は佐伯チズ オフィシャルブログ「願えば、かなう。」より)【参考】※佐伯チズ オフィシャルブログ「願えば、かなう。」※Amazon.co.jp※楽天ブックス※佐伯チズ オフィシャルサイト
2020年07月08日全体的に足元の技術は高いけど、勝負のタイミングでバックパスを選択したり、確実に勝てそうなポイントでしか仕掛けない。「判断力」を養うにはどうすればいいの?というご質問をいただきました。池上さんは、前回の内容でお伝えした、日本での指導の順番が海外とは逆で細かな基本技術から入る事による日本サッカーの課題に通ずると言います。子ども達に判断を伴うプレーを身につけさせるためにはどうすればいいか、スペイン・ビジャレアルFCの育成組織で指導されている日本人コーチのお話なども交えてご紹介します。これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが送るアドバイスを参考にして、子ども達の判断力を養う指導を実践してみてください。(取材・文島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<同学年でもレベル差があってデコボコ。チームの底上げを図る練習メニューはある?<お父さんコーチからの質問>はじめまして。指導年代はU-12です。よく言われる「判断を伴う練習」について教えてほしいです。足元の技術はレベルが高い子が多いのですが、ゲームになるとボールを前へ進めていい場面なのに後ろに下げたり、「今だ」という場面でも確実に勝てそうな勝負にしか挑まない子が多いのです。失敗するのが怖いという側面もあるとは思いますが、どんな場面なら前進させていいかの理解も不足しているのかなと感じています。もっと積極的に仕掛けてもいいのに......と思っているのですが、どんなトレーニングや声かけをすれば状況の理解を深めたり、積極的になれるものでしょうか。<池上さんのアドバイス>ご相談、ありがとうございます。「判断を伴う練習はどんなことをすればいいか」というご質問ですが、これはぜひ前回の記事もともにご参考いただけるとより分かりやすいかと思います。前回の相談は「チームの底上げ」でしたが、そのためにはサッカーの成り立ちを理解(認知)したうえで判断力を養うべきだとお話ししました。■判断を伴う練習の前に「認知」を高めよう。「場面」を描かせる学びが必要日本は育成する「順番」が欧州と違うこと。「認知→判断→行動(プレー=技術指導)」と教えなくてはいけないのに、細かな基本技術から入るため、認知、判断の指導がスムーズにいかないという日本の少年サッカーの課題でもあります。2対1の状況であれば、自分がゴールに向かったほうがいいのか、味方にパスしたほうが得点の可能性が高いのか。では、いつどんなタイミングでパスするといいのか。そんな認知する力から教えましょうと伝えました。そう考えると、質問された「判断を伴う練習」に入る前に、まず認知力を高めなくてはいけません。それは、いきなり実練習でなくても、座学でもいいのです。ホワイトボードに「こんな状況のとき、みんなはどう考える?」「後ろに下げる?」「自分でいっちゃう?」「右と左どっち?」などと問いかけて、考えさせます。いきなり答えをいって説明すると、子どもはイメージできないので、頭に場面を描きやすいように段階的に教えます。そういう学びもサッカーには必要です。判断を伴うのであれば、ボールにかかわるのはひとりではないという前提になります。シュートかパスか?という判断。その際にパスするための情報は何があるか?味方の位置は、どうなのか。自分よりもシュートが入る可能性高い空いている味方、マークの位置、ボールをコントローしている足、体の向きと、さまざまな「情報」があります。これを習得するには、ジグザグドリブルや対面パスといったクローズドスキルではなく、2対1、3対2、3対3など、数的優位を作れたり、作れなかったりする少人数の対人練習をやっていくことが肝要です。■脳と身体が繋がるように、子どもたちに「どうする?」と問いかけ想像力を引き出すこのように、できるだけ早く対人のトレーニングをする。子どもがサッカーの練習に集中できる時間は概ね1~1時間半ほどです。決まった時間を生かすためにも、導入を丁寧にやることを心がけてください。例えば、3対1。自分がボールを持っていて、目の前に相手守備が立っている。真横に味方がいる。その逆サイドの5メートル前方、つまりゴールが近いところにもうひとり仲間がいる。「どっちにパスする?」「自分はどうする?」という質問を投げます。多くの子どもは、ゴールに近いほうの味方へのパスを選びます。次は、自分をマークしている守備との距離の問題です。パスをしようと思ったら、味方のほうに相手守備が動こうとした。そうなったら、自分がフリーになる。ドリブルで進んでいくと、今度は自分のほうに寄って来た。さあ、どうする?どのタイミングでパスをする?そのうちに真横にいた違うサイドの味方のほうがゴールに近くなった。さあ、どうする?このようにして、子どもの想像力を引き出してあげます。そんなことを毎回すれば、間違いなく判断できる子が育ちます。スペインのビジャレアルCF育成部でコーチをしている佐伯夕利子さんが、子どものボール回しの様子をフェイスブックに投稿しています。ぜひ一度チェックしてみてください。見事にパスをつないでいます。佐伯さんの解説に、そこに登場する5歳の子どもたちは「選ばれし子ではない」とあります。つまり、セレクションをするなどして、上手な子を集めているわけではないということです。では、どうしたら、ビジャレアルの子どもたちのように、認知して、判断できる力が養われるのか。それは、丁寧にコーチたちが子どもと向かい合っているからです。「いま、なぜそこにパスをしたの?」「いま、どうしてドリブルしたの?」そんなふうにいつも聞き返します。このように対話することを「フィードバックする」と言いますが、いまなぜこうしたのかを3歳の子にも聞き返す。脳と身体がつながるようにトレーニング組み立てられています。試合前のロッカールームでも、コーチは5歳の子に質問をします。「どんな試合がしたい?」「今までやってきた練習は、どういうものだったかな?」「今日は何を試したい?」これが日本だったら、どうでしょか?「絶対勝つぞ」とか「こうやるぞ」とコーチが率先して話していないでしょうか。アドバイスの内容も、コーチたちのきめつけばかりではないでしょうか。■子どもは目の前に「問い」があるからこそ考え始める(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)子どもは、目の前に「問い」があるからこそ、考え始めます。そして、大きくなったらあらゆることを自問自答できるようになります。もし、みなさんが本当に子どもたちに自分で考える力や判断する力を養ってほしいと思っているのなら、子どもへの「問い」を増やしてください。私は今、大阪の地域総合型スポーツクラブ「岸和田FC」で、アドバイザーを務めています。「指導者のレベルを上げたいので、来てください」と言われて始めました。先日、佐伯さんの映像を見せたら「こんな指導に変えたい」とみなさんおっしゃっていました。認知、判断、行動の順番で教えていく。こういう練習に変えたい、と。私は「このクラブがそうなったとしたら、きっと日本初なので頑張ってください」と伝えました。しかしながら、映像を見た後に「こんなに我慢できないなあ」とひとりの方がつぶやかれました。正直な感想だと思います。「そうなんですよ。ビジャレアルのコーチたちも、答えを言いたくて仕方がない。でも、我慢している。答えを言ってしまったら、子どものためにならないと考えているんですよ」と私は話しました。佐伯さんの映像も、3年かけて彼らがいいコーチであろうと葛藤と闘って成し遂げた映像なのです。判断力を養うためには、子ども達への問い掛けを増やすことを実践してみてください。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2020年06月19日佐伯チズ氏の新刊の予約受け付けがスタート2020年7月9日、宝島社から、佐伯チズ氏の著書『夢は薬 諦めは毒 ~あなたに寄り添う33の言葉~』が発売される。ALS(筋萎縮性側索硬化症)と闘う佐伯チズ氏が、「人生は毎日のトライ&エラー」「顔とは、心の証明であり、健康のカルテであり、人生の看板である」「手は最高の道具」など、遺言として残していきたい33の言葉を綴っている。肌が喜ぶ佐伯式美肌メソッドや、キレイの素となるチズ氏のお取り寄せ歴も紹介。販売価格は1,430円(税込み)。宝島CHANNELやAmazon.co.jpなどで予約を受け付けている。病気と闘いながら活動を続ける佐伯チズ氏佐伯チズ氏は1943年6月23日生まれ。滋賀県出身。ゲランやパルファン・クリスチャン・ディオールなどで活躍した後、エステティックサロン「サロン ドール マ・ボーテ」を開業。ローションパックをはじめとした美容法が海外からも注目され、著書『美肌革命』は英語、中国語、フランス語など9カ国語に翻訳されている。『美肌食』『頼るな化粧品!』『キレイの躾』『佐伯チズの和美人の本』など著書多数。講演やテレビ、雑誌などでも活躍している。(画像は佐伯チズオフィシャルサイトより)【参考】※宝島CHANNE※佐伯チズオフィシャルサイト※佐伯チズオフィシャルブログ※Amazon.co.jp
2020年06月10日美容家の佐伯チズさんが6月5日、ALS(筋萎縮性側索硬化症)のため76歳で逝去した。所属事務所が9日に公式サイトで発表した。今年3月23日、ALSに罹患したことを公表していたチズさん。その際に公開された動画では、「半年ほど前から右脚に違和感を感じ、昨年末には思うように動かすことができなくなりました」と報告していた。また視聴者「自分の健康・元気。これがあってこそのキレイだということを忘れないで」と呼びかけ、「それを実践してきたつもりだったんですよ。健康で元気だったんですけど、急に脚が動かなくなって、教えていただいたのがこの結果だったんですね」と心境を明かしていた。だがチズさんは「夢は薬、諦めは毒/願えば叶う。決して諦めませんから」と病に立ち向かう姿を見せていた。病気を公表してからわずか2カ月あまり。チズさんを追悼する声が溢れている。《ALS闘病を発表されたばかりだったのに。早すぎます。たくさんの美容法を教えていただきました。ありがとうございました。心からお悔やみ申し上げます》《美容のカリスマ、佐伯チズさんが…ご冥福をお祈りします。これまで沢山ステキな発信をありがとうございました》美容家でタレントのIKKO(58)も、Twitterで《大先輩の美容家・佐伯チズ先生 数々の偉大なる功績は、私達、後輩の道標でありました》と深い敬意を表し、《今朝、訃報に触れ、ただただ驚きでしたが、天国で、ゆっくりお休みになってください。心からご冥福をお祈り申し上げます》と偲んでいた。これまでチズさんは美容業界に数々の偉大な功績を残してきた。20歳で上京したチズさんは、「ゲラン」をはじめとするフランス化粧品メーカーで約35年勤務。その後、転職した「クリスチャン・ディオール」を03年に定年退職し、美容家として独立。エステティックサロン「サロンドール・マ・ボーテ」を開業し、現役エステティシャンとして活躍した。いっぽうで美肌塾も開講し、チズさんのノウハウを広く伝授することにも力を注いだ。定年退職とほぼ同時に出版した初著書『佐伯チズの頼るな化粧品!顔を洗うのをおやめなさい!』(講談社)は、ベストセラーに。現在40冊にものぼるチズさんの著書は、一貫して「お金をかけずにお肌も心もきれいに」がテーマだったという。チズさんはテレビや雑誌でも引っ張りだことなり、“美容のカリスマ”とも呼ばれた。なかでもチズさんが提唱した、水で濡らしたコットンに化粧水を含ませて湿布のように顔に貼り付ける「佐伯式ローションパック」は一躍ブームに。チズさんはスキンケアの基本として普及するように、「ロ(6)ーションパ(8)ック」という語呂から毎年6月8日を「ローションパックの日」とも制定していた。順風満帆なキャリアに見えるチズさんだが、過去には信頼してマネジメントを任せていた女性・Aさんに会社を乗っ取られかけたことも。そのため、個人資金2億円を使途不明のまま失ってしまったという。チズさんは17年11月、本誌にその事情を明かしていた。「Aが勝手に、『佐伯は高齢ですから』と仕事の依頼を断っていたんです。私のあずかり知らないところで新製品の開発もしていました。新規事業は失敗し、経費ばかりがかさむ。縮小するかじ取りをしたときは、後の祭りでした。登録商標の大部分、顧客情報も奪われ、すべてを失いました」だがチズさんは希望を捨てなかった。チズさんが42歳の時に、肺がんで亡くなった夫・有教さん(享年52)の“声”に励まされたという。生前に「がんばれ。きっと乗り切れる」と有教さんが励ましてくれたことを思い出したチズさんは、「前を向いて生きなければと思いました」と語っていた。そんなチズさんは、美容家としての信念をこう明かしていた。「私は、人さまをきれいにしてさしあげたい。その一心で施術をしてきました。お金のためでも、名前を売るためでもない。真心を尽くせば、それは必ず自分にも返ってくるんです」チズさんの遺志はこの先も受け継がれていくのだろう。
2020年06月09日2020年6月5日に、美容アドバイザーの佐伯チズさんが『ALS(筋萎縮性側索硬化症)』により亡くなったことを、所属事務所が明らかにしました。76歳でした。同年3月に『ALS』と診断を受けてから、「美容家・佐伯チズとして全うしたい」という強い意思のもと、闘病生活を送っていたとのことです。弊社所属の美容家・佐伯チズが、2020年6月5日、ALS(筋萎縮性側索硬化症)のため、永眠いたしました。享年76歳でございました。2020年3月にALSとの診断を受けて以降、本人の強い意志のもと、美容家として全うすること、佐伯チズらしくあることを第一義に病と向き合ってまいりました。佐伯チズ オフィシャルブログーより引用葬儀は遺族の意向により、親族のみで執り行ったとのこと。『お別れの会』などの実施については、新型コロナウイルス感染症の状況を見極めながら検討し、決定した際には改めて報告するといいます。ご冥福をお祈り申し上げます。[文・構成/grape編集部]
2020年06月09日未就学〜小学6年までを指導している。まずはサッカーというスポーツを楽しんでもらうことを前提に、年代が進むにつれ考えて動くプレーを身につけさせたい。おすすめのメニューや声かけはある?とのご相談をいただきました。今回も、これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが練習メニューや声かけをアドバイスします。(取材・文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<試合ばかりで練習がつぶれる。技術は試合だけで身に付くの?練習を削ってでも試合を重視するべきか教えて<お父さんコーチからの質問>こんにちは。街クラブで未就学児から小学6年生までを教えています。年代ごとに教えなければいけないことはあると思いますが、まずはサッカーというスポーツを楽しんでもらう事と、学年が進むにつれて、考えて動くプレーを身につけさせたいと思っています。楽しくやりながら、状況を判断して動けるチームにする練習や、自分で考えて動けるようになることを意識させるために伝えるべき言葉(説明)などがあれば教えてください。<池上さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。サッカーというスポーツを教えてあげることが肝要です。そして、それをなるべく早く、低学年でも、幼児からでも伝えてください。■全員がプレーに関わった実感を持てると楽しくなる小さいときは、体格や運動能力の違いが大きいため、他の子より少しできる子がひとりでドリブルをしてゴールを奪う。ボールを持ち続ける。そんな場面がよく見られます。ですので、子どもたちには最初にこう声掛けしてください。「サッカーってみんなでパスをつないで協力してゴールを奪うスポーツですよ。誰かひとりだけが頑張るスポーツではないよ。もしひとりの子の力で点が取れたとしても、それはいいチームじゃないよ」そのことをまずわかってもらったうえで、みんなの力を結集して点を取るためにはどうするか、を伝えていきます。「味方を助けるためにどこへ動く?」「パスをもらうためには?」「得点するためには、どこに行く方がチャンスになる?」そういうところからスタートしましょう。ボールを持っている子は周りをまず見ること。どこにパスすれば点を取れるか、ゴールに近づけるか考えること。相手がやってきて、ボールを取られそうになるかもしれないので、そうなる前に助けてくれる人がいるとしたら誰を使うかを考えましょう。そんな順番でサッカーを学んでもらいます。みんなが味方を使うことを考えられるようになれば、みんなにパスがいきます。そうすると、断然サッカーが楽しくなります。ゲームでない練習、例えば「とりかご」をするときは、10本パスを回すと得点がもらえる。そんなふうに、ちょっとした仕掛けをします。単なる練習にせず、そんなふうにやるだけで子どもたちは大喜びします。みんなにパスが来るから楽しい。そんな感覚をぜひ身に付けさせてください。自分が出したパスが通ると楽しくなる。それがゴールにつながればもっと嬉しい。もちろんゴールを決めてもうれしいのですが、そこにコミットしたという実感を全員が持てることが一番重要です。■FCバルセロナの指導で定義される「いいポジション」とはそこまでもっていくには、最初の段階では流れを止めて説明する必要があります。学年が下がれば下がるほど、ゆっくり説明します。「はい、ストップ。いま、こんなところにみんないたよね。そこにいてパスはもらえますか?」そんな問いかけをして考えさせます。これは、文句とか叱るといったことではありません。スペインでは、質問することを「フィードバック」という言い方をします。このフィードバックでどんな言葉を使うかがとても重要です。例えば「どうしてそんなところにいるの?」は、それは間違ってますよ、と否定することになります。大人なので「いいポジション」は1か所ではないことを理解していますが、具体的にいうといったいどんなポジションなのかをわかってもらう必要があります。FCバルセロナの育成で「いいポジション」とは、「それは自分とボールの間に相手選手がいないから線が引けるね」というふうに説明しています。そのうえで、そこに「顔を出しなさい」と声をかけるわけです。と同時に「でも、ボールに線を引けるところはいっぱいあるよね。できれば、ボールよりも前(ゴールに近いほう)でパスをもらうことを推奨します。ボールを下げないように指導します。例えば、「ボールより前に線が引けるところはどこ?」という言い方をします。このように、ボールをもらえるポジションはいっぱいあります。どこが正しいか、は誰にも決められないと私は思います。しかしながら、日本の指導者は、「もう少し右だよ」と言って一歩の差を指摘するコーチは少なくありません。フリーズさせて(プレーを止めて)「そこじゃもらえないでしょ。あと1メートル動かなきゃ」とアドバイスします。そうではなくて、スペースに出せばいいので、そういう練習をすればいいのです。やりながら互いに理解を深めていけば、悪いポジションにいることがわかってきます。中田英寿さんが現役時代、試合中も誰もいないスペースにスルーパスをよく出していました。味方が反応せず、外に出たり、相手に取られるのですが、それでもそのスペースがあるよと仲間に伝えたかったのだと思います。見ていると、日本は低学年でパスを使うゲームや練習をほとんどやらせません。メニューが個人技術、クローズドスキルに偏っている気がします。「ゲームをたくさんやらせましょう」という話をすると、ゲームではスキルが上達しないのではないかと不安そうです。それなのに、試合になると練習していないことを要求したりします。子どもは戸惑います。スペイン在住の育成コーチでJリーグ理事でもある佐伯夕利子さんがフェイスブックで発信している3~5歳くらいの練習動画と彼女の文章に驚かされたことがあります。小さな幼児が、どんどんパスを回してゴールを奪っていました。俗な言い方ですが「サッカーになっている」わけです。■育て急ぐのか、勝ち急ぐのか......。日本と海外の指導者の違い(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)佐伯さんは「3歳児には3歳児なりの考え方がある」と書いています。だんごになることもある。成長段階ではそうなることを理解しなくてはいけません。「年少さんだからだんごでも仕方ないよね。年中になるとこんなふうになったらいいかな」そんな展望を指導者が持っておく。そのうえで、ゆっくりとサッカーの本質を伝えていきます。コーチたちがゆっくりと問いかけをしながらやります。決して「だんごはサッカーじゃない」といった言い方はしません。「みんなここにいるけど、どうかな?味方もいるし、相手もいるよ。とられないところってどこかな?」そんなやり取りを佐伯さんたちはいっぱいしてきたと思います。3歳は3歳なりに意見がある。すぐに答えをいうのでなく、ダメでしょではなく。「ぼくはここがいいと思った」と言えば、「オッケー。なぜそこがいいのかな?」と常に彼女たちスペインのコーチはやさしく対話します。常にやさしいのです。日本のコーチの指導は性急に見えます。とても急いでしまう。育て急ぐのか、勝ち急ぐのか。両方かもしれません。ぜひそのような哲学的な部分も見直しながら、ゆっくり指導してください。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2020年04月24日美容家の佐伯チズさん(76)が3月23日に、ALS(筋萎縮性側索硬化症)に罹患したことを公表した。「美のカリスマ」として活躍するチズさんの難病公表に、衝撃が広がっている。チズさんは同日ブログに掲載した動画で、「半年ほど前から右脚に違和感を感じ、昨年末には思うように動かすことができなくなりました」と経緯を語った。「この50年間、馬車馬のごとく頑張って参りました。入院や点滴もしたことがなかった」と明かしたチズさんは、「自分の健康、元気。これがあってこそのキレイだということを忘れないで」と訴えた。続けて「『夢は薬、諦めは毒』私はもう老春ですが、皆さんはまだ青春です」とし、「私まだまだ負けないわよ。皆さんに言ったことは続けていきますよ。だから一緒についてきてください」と力強く呼びかけた。現在は車椅子で移動しているというチズさんだが、「ひとりでも多くの方をキレイに」と願う気持ちは不変だ。その懸命な姿勢は、84年に死別した夫の存在も大きいようだ。「42歳でご主人を亡くしたチズさんは、美容に手がつかないほど落ち込みました。そんな時、友人から紹介されたクリスチャン・ディオールで働き始めることに。定年まで勤め上げられたのは、ご主人が生前に『弱音を吐かず頑張りなさい』と励ましてくれたおかげと語っていました」(美容誌関係者)そのいっぽうで、チズさんは定年後、別の苦悩が生じていた。17年11月に本誌で、家族のように慕っていたマネージャーに裏切られたことを明かした。会社や多額の資産を失ってしまったが、チズさんならではの“使命”に気付いたという。「『きれいにしてさしあげたい』と、お客さまの肌と対話するときは、ほかのことなんて考えられない。やっぱりお客さまあっての自分なんです」不屈の精神で難病に立ち向かおうとするチズさんに、多くのエールが寄せられている。《こんな時でも凛としている彼女を心から尊敬します》《佐伯チズさん、辛いですが 負けないで下さい。 応援しています》《「夢は薬。諦めは毒。」素晴らしい言葉。凛としていて今もお綺麗です。少しでも回復することを祈っています》
2020年03月23日第15回大阪アジアン映画祭のオープニング作品が『夕霧花園』(原題)に、クロージング作品が『蒲田前奏曲』に決定した。オープニング作品『夕霧花園』は、マレーシアを舞台に、現地華人女性の日本人庭師への秘めた思いを描いた人間ドラマ。マレーシア出身の作家、陳團英(TAN Twan Eng)の英文小説で、英ブッカー賞最終候補作にもなった『The Garden of Evening Mists』を原作とする本作は、HBOアジアが製作の一翼を担い、さまざまな国・地域からスタッフとキャストが招聘され制作された。監督は、OAFF2014で審査委員も務めた台湾映画界の俊英、トム・リン。『九月に降る風』 『星空』『百日告別』が日本でも劇場公開され、高い評価を得ている。主演は、マレ ーシア出身で香港・台湾映画界をメインに活躍するリー・シンジエ、そして、日本から阿部寛が出演。さらに、台湾を代表する女優であり、近年は監督としての活躍も目覚ましいシルヴィア・チャンも出演している。2019年11月に開催された台湾の第56回金馬奨では、作品賞、監督賞、主演女優賞をはじめとする9部門にノミネートされた。クロージング作品『蒲田前奏曲』は、中川龍太郎、穐山茉由、安川有果、渡辺紘文の若手監督4人による連作スタイルの長編映画。蒲田に住む売れない女優マチ子を主軸に、マチ子の周りの人間模様を通して、”女”であること、”女優”であることを求める社会への皮肉をコミカルに描く。最新作『静かな雨』が釜山国際映画祭上映、東京フィルメックス 観客賞受賞など、国内外の注目を集める中川龍太郎、『Dressing Up』で日本映画ブロフェッショナル大賞新人監督賞受賞の安川有果、長編デビュー作『月極オトコトモダチ』が MOOSIC LAB グランブリ受賞、東京国際映画祭上映の穐山茉由、最新作『叫び声』が東京国際映画祭日本映画スブラッシュ 部門監督賞に輝いた渡辺紘文(大田原愚豚舎)が務める。『飢えたライオン』で主演を務め、舞台、TVドラマなどでも活躍する松林うららが自身の地元である蒲田を舞台にブロデュースし、自らも出演。また、伊藤沙莉、 瀧内公美など、旬の俳優が名を連ねる。本作は、過去、現在、未来を描く4つのエピソードから構成される。各エピソードの詳細は以下の通り。第1番「蒲田哀歌」<大過去>(監督:中川龍太郎、出演:古川琴音、須藤蓮、松林うらら)オーディションと食堂でのアルバイトの往復で疲れ果てている売れない女優、マチ子。ある日、彼氏と間違われるほど仲の良い弟から彼女を紹介されショックを受ける。だが、その彼女の存在が、女として、姉として、女優としての在り方を振り返るきっかけとなる。第2番「呑川ラブソディ」<現在>(監督:穐山茉由、出演:伊藤沙莉、福田麻由子、川添野愛、和田光沙、松 林うらら、葉月あさひ、山本剛史)アルバイトをしながら女優をしているマチ子。大学時代の友人5人と久々に女子会をするが、独身チームと既婚チームに 分かれ、気まずい雰囲気に。そこでマチ子は蒲田温泉へ行くことを提案する。5人は仕事、男性のことなどを話し合い、次第に隠していたものが丸裸になっていく。第3番「行き止まりの人々」<過去とトラウマ>(監督:安川有果、出演:瀧内公美、大西信満、松林うらら、吉村界人、二ノ宮隆太郎、近藤芳正)映画のオーディションを受けたマチ子。セクハラや metoo の実体験やエビソードがあれば話すという内容だったが、皆、思い出すことに抵抗があり、上手く演じられない。そんな中、マチ子の隣にいた黒川(※)だけは迫真の演技を見せる。マチ子は黒川と共に最終選考に残ったが...…。第4番「シーカランスどこへ行く」<未来>(監督:渡辺紘文、出演:久次璃子、渡辺紘文)マチ子の実家は大田原にある。大田原に住む親戚の小学5年生のリコは、大田原でとある映画の撮影現場にいる。とある監督が撮影現場にやってきて...…。 渡辺紘文監督ならではの視点で東京中心主義、映画業界、日本の社会問題批判を皮肉に表現し描く。『夕霧花園』3月6日(金)第15回大阪アジアン映画祭 梅田ブルク7で上映『蒲田前奏曲』3月15日(日)第15回大阪アジアン映画祭 ABC ホールで上映今秋公開※黒川の「黒」は、正しくは旧字体
2020年02月04日今回の「やさしいママのヒミツ」は、ママたちから絶大な人気を誇るこども服と雑貨のセレクトショップ「cuccu(クック)」を運営する佐伯さつきさん。12歳と4歳の2人の男の子のママでもあり、会社員のご主人と4人暮らしです。佐伯さつき さんご主人の直哉さん、碧(あおい)くん(12歳)、類(るい)くん(4歳)の4人家族こども服と雑貨のセレクトショップ「cuccu(クック)」を運営。「こどもだからこそ」できるおしゃれをテーマにセレクトにしたこども服は、おしゃれだけど着せやすいとおしゃれなママたちから大人気。ショップのインスタグラムで発信するパパやお子さんとの日常のひとコマの写真にもファンが多い。HP: Instagram: @cuccu_net ご主人の仕事の都合で、2014年~2017年の3年間、アメリカで暮らしていた佐伯さんご一家。次男の類くんはアメリカで生まれました。子育てと両立させながらどうやって人気ショップを運営してきたのか、ご主人との協力体制や年の差育児のあれこれなど、たっぷりお伺いしました。「家族に無理をさせないビジネス規模」を継続まずは、さつきさんの平日の一日のスケジュールを教えてもらいました。 6:30 : 夫出勤 6:50 : 長男と起床。長男と朝食を食べる。合間に台所片付け、洗濯、身支度 7:50 : 長男学校へ 8:00 : 次男起床。朝食を食べさせる 9:00 : 次男を自転車で幼稚園へ 9:30 : 仕事開始 13:50 : 次男を幼稚園へお迎えに。忙しいときはそのまま帰宅して仕事の続き。オフシーズンは幼稚園ママとおしゃべりを楽しむことも 17:30 : 夕食準備 18:30 : 夕食 19:30 : 夫帰宅 20:00 : 夫が長男、次男と入浴 21:00 : 夫と長男で次男を寝かしつけ 22:00 : 長男就寝 23:00 : 就寝さつきさんの仕事は、ネットショップ「cuccu」のサイト運営と仕入れ。インスタグラムの更新やメールマガジンの配信もしています。商談等がなければ仕事場は自宅です。さつきさんが「cuccu」をオープンさせたのは長男が2歳のときでした。「息子が生まれて子ども服を買うようになったのですが、なかなか好みのものがみつからなくて。いろいろなお店をまわったり、ネットで探したり、ときには海外から通販で買ったりするうちに、自分の好きなものだけ置いているお店があればいいなあと思うようになったんです。それと、子どもが生まれてから買い物に行きづらいことにもストレスを感じていて。野菜もネットスーパーで買うような生活では、子ども服を買うのはどうしても後回しになってしまう。夜に子どもを寝かしつけてから、ゆっくり買い物ができるようなお店をつくれたらいいなと思ったのがはじまりです」cuccuのインスタグラムのモデルとしてもおなじみの碧くんと類くん。子ども用ブルーライトカット眼鏡をかけて。それまでは会社員だったというさつきさん。起業を決意するにはきっかけがありました。「育休明けで仕事に復帰していたある日、勤めていた支店がなくなると言われて。もともと自分でお店をやりたいという思いはあったので、会社でその話を聞いた当日に夫に相談してみたら、“いいよ”と即答してくれたんです」ママの起業は夢がある一方、失敗すれば多額の負債を抱える可能性も。「なんとかなると思って」と快諾してくれたご主人に、今は感謝しているといいます。「私はひとつのことに夢中になるとそれしか見えなくなってしまう性格。夫もそれをよくわかってくれていて、以前から“その熱量を何かに生かせたらいいね”というのは言ってくれていました。とはいえ何か具体的な話をしたことはなかったので、いきなりだったとは思います。結局、支店はなくならないことになったんですけどね(笑)」「cuccu」では動物ポシェットなどのファッション小物やおもちゃも人気。当初は、自宅の一部屋を使って、商品の梱包や発送もすべて一人でやっていたそう。その後、注文が増えてきたので、在庫管理や商品の梱包・発送は別のスタッフに任せ、さつきさんはショップの運営と仕入れに集中することにしたそうです。「ネットさえあれば私自身の仕事はどこでもできる環境を整えていたので、夫の仕事でアメリカで暮らすことになったときもショップを継続することができました。初めての海外暮らしは、いろいろ大変でした。次男はアメリカで産んだのですが、異国での出産もわからないことだらけ。みんなでがんばらないといけなかったから、自然と家族の団結力が生まれ、絆が強まったと思います。cuccuは今年の12月で10周年。ありがたいことに順調にここまできました。ショップのインスタグラムの投稿に“いいね”をもらえることもそうですが、人から評価されることは仕事のやりがいにつながっています。長く続けていると事業を拡大する人も多いのですが、私自身は今すぐにとは考えていません。今は家族が一番なので、自分ができる範囲でやっています。子供たちと過ごす時間も多く取れているし、家族に無理のない程度のバランスのよいビジネスができていると感じます」デリバリーや外食も前向きな気持ちで利用家族を一番に考えているとはいえ、どうしても仕事の忙しさには波も。商品の入荷が多いオンシーズンは、サイトの更新などに追われ、一日中仕事をしていることもあるといいます。「忙しいときは遠慮せずに夫に言うようにしていますね。夫は会社員なのでいつでも助けてもらえるわけではないですが、なんとかしたいという気持ちを持ってもらえるだけでもちがいますよね。そもそも私、家事と育児に関してはあきらめが早いんです(笑)。自分を犠牲にしてまでがんばるのは好きじゃないので、疲れたら無理はしません。仕事が忙しいときや生理前で体調がよくない日は、“今日はママ何もしなーい”って子どもたちに宣言して、ソファでダラッとしちゃいます。夕ごはんにはデリバリーも活用しますよ。夕食をつくれない日に夫が早く帰って来られたら、平日にみんなで外食に行くこともあります。夫も私も、お酒を飲んだり外食したりするのが好きなので、むしろ美味しいものを食べにいくチャンスだと思って楽しんじゃいます」どうせ外食するなら「つくれなかった…」という後ろめたい気持ちで行くより、それ自体をイベントとして楽しんでしまうほうがハッピー。「たぶん、考え方が前向きなのかも」とさつきさんはにっこり笑います。続けるには「変わることをおそれない」自宅のインテリアを彩る雑貨は、cuccuで扱っているものが多いそう。「基本的に自宅のインテリアもcuccuで扱っている雑貨や服も、インスピレーションで選んでいます。シックなものが好き、という根本的なところは変わりませんが、こまかな好みは結構変わっています。以前は“変わる”ということが、なんだかポリシーがないみたいに感じられて、口に出しづらいこともあったのですが、今は変われるから続けていける部分もあると思っています。“自分はこう”と凝り固まってしまうと、時代の変化とともに逆に受け入れられなくなってしまうこともあるかなと思うんです」センスのよいインテリアに囲まれた家の中は、整然と片付いていて、男の子が2人いるとは思えないほど。「私は部屋が散らかっているとイライラしてしまうタイプ。生活が乱れる感じがしてしまうんです。実際に部屋が汚いときは、私自身の心の状態もよくないときが多いんですよね。子どものおもちゃを片付けるのは苦にならなくて、むしろ、子どもがちょっと遊びをやめたらどんどん片付けちゃう(笑)。ただ、毎日掃除機をかけることはできないので、ロボット掃除機を使っています」年の差兄弟だから、あえての別行動も弟ができたと告げたとき、涙を流して大喜びした長男の碧くん。 そのときの動画 をcuccuのインスタグラムに投稿すると、たくさんの「いいね」が付きました。リビングのブランコはお友だちにも大人気だとか。「まさか泣くほど喜ぶとは思っていなくて、私も驚きましたね。生まれてからもとてもかわいがってくれて、オムツ交換も手伝ってくれました。次男は元気いっぱい。長男はまったく手がかからなかったので、次男が生まれて“初めて子育てしたね”って夫と話すくらい(笑)。でも、年が離れているので、兄弟げんかはほとんどないし、長男のやさしさには私も日々助けられています。兄弟の年の差が離れていることで、悩ましいのがおでかけの場所ですね。遊園地に行っても乗れるアトラクションもちがうし、公園でのキャッチボールも兄弟一緒にはできない。次男が行きたいという場所に長男が興味をもてないこともあれば、その逆もあります。片方につきあわせてばかりでは、もう一人がつまらないと思うので、そういうときは夫婦が分かれて、子どもと2人で行動します。できるだけ長男も次男もやりたいことができるようにしてあげる、ということは心がけていますね」長男の碧くんは3歳からピアノを習っていて、パパママどちらかとピアノライブに行くこともあるそう。さつきさんは長男の ユーチューブチャンネル をつくり、ピアノ演奏の動画投稿をお手伝いしています。「長男はユーチューブが大好きで、ユーチューバーになりたいというから、試しに得意なピアノでやってみたら? とはじめました。ピアノは渡米時と帰国時に二度、約半年ほど一度中断しましたが、本人がまたやりたいといって再開している習いごとです。実際にユーチューブに投稿するとなると、演奏をミスして何度も撮りなおさなければならなかったり、キャプションを考える必要があったり、結構大変。長男もユーチューバーの人たちがどれだけ時間をかけてつくっているかとか、そんなに簡単ではないとか、いろいろなこともわかってきたみたいです」旅行の記録や成長記録はフォトブックで目に見えるかたちにして、旅の思い出がずっと子どもたちの記憶に残るように。「もちろん、家族みんなででかけることもあります。最近家族でハマっているのがボーリング。子ども用の滑り台を使えば次男も遊べるので、家族みんなで行きます。夫と私はマイシューズも買いました。4~5回行けばレンタルよりお得なんです(笑)。それから旅行も。もともと夫も私も旅行が好きで、子どもが生まれてからも年に一回は家族旅行へ行きます。旅行の記録はフォトブックにまとめて、リビングに飾っています。そうすると子どもたちも喜んで見返してくれます」共働きだから家事育児は夫婦で分担直哉さんの通勤は車で片道1時間。朝は家族が寝ているうちに家を出るので家族とはすれ違いの生活。ただ、帰宅は早めなので、平日でも夜は子どもとコミュニケーションがとれていると話します。「最近は会社も働き方改革によって残業が減っているので、ここ1~2年は早く帰宅できています。夕飯を一緒に食べるのは無理でも、お風呂に一緒に入ったり、次男の寝かしつけを長男と一緒にしたりしていますね。長男ともたくさん会話ができていて、今は好きな子は誰々…なんてことまで話してくれて。隠しごともなさそうですね。これからもいろいろしゃべってくれるといいなと思いますけど、自分は子どもの頃そこまでしゃべらなかったですから、どうですかね(笑)。基本的に子どもたちにも奥さんにも、やりたいことをやってほしいと思っているので、できるかぎりそれを受け止めていきたいですね。目指す家族のかたちは、みんなでずっと仲良く暮らしていくこと。そのためにも子どもや奥さんとのコミュニケーションを大切にしていきたいです」(直哉さん)「料理以外の家事は好きじゃないけど(笑)、共働きだしやりますよ」(直哉さん)直哉さんは育児だけでなく、家事にも協力的。平日のごはんはさつきさんがつくりますが、週末は直哉さんが担当。魚の煮つけからタイ料理までつくる料理好き。加えて皿洗いや洗濯などの家事をすることも多いといいます。「本当に助かっています。ただ夫も最初から家事が完璧だったわけではなくて。最初のうちは洗濯物をたたもうと思ったらズボンの中から靴下が出てきた…なんてこともありました。もちろん手伝ってくれるだけでもありがたいのですが、そのレベルを超えて2人でうまく家事を回していけるようになりたいと思っていたので、気づいたことはひとつずつ伝えていましたね」(さつきさん)こんなふうに二人三脚で家事育児をまわすお二人に、環境や手肌にもやさしい、“無香料”のサラヤの洗剤「ヤシノミシリーズ」を試していただきました。「サラヤ」のヤシノミシリーズ。左から「ヤシノミ柔軟剤」、「ヤシノミ洗たく洗剤」、食器用の「ヤシノミ洗剤」。人と地球へのやさしさを考えて、香料や着色料などは一切無添加。洗った後の排水もすべて微生物によって分解され、すばやく地球にかえります。 楽天で買う | amazonで買う | ロハコで買う 実はさつきさん、以前に「ヤシノミ洗剤」を使っていたことがあるのだそう。「長男が生まれたとき、調味料を無添加のものにしたり、洗剤を環境にやさしいものにしたり、こだわるようになったんです。でもアメリカに行ったら意識がゆるくなってしまって…」1971年の誕生以来、洗浄には不要なものを入れない“無香料・無着色”にこだわった、環境にやさしい植物系洗剤。洗浄成分の濃度を16%にすることにより「手肌へのやさしさ」と「洗浄力」を実現。「ヤシノミ洗剤」本体(ポンプ付き500l/400円)、詰め替え(480ml/270円)※すべて税別 楽天で買う | amazonで買う | ロハコで買う 「ヤシノミ洗剤は環境にはよいけれど、なんとなく油汚れに弱い…という印象があって。皿洗いは夫もするので、落ちづらいと面倒くさがるだろうなと思って使わなかったのですが、こういうふうに洗う前に汚れを拭き取ったり、ため洗いをしたりすれば落ちやすくなりますね」油汚れが残っているときはキッチンペーパーや新聞でさっと拭き取ったり、ため洗いをしたりすれば、汚れも落ちやすく、洗剤と水の節約に。余分な油を排水に流さずに済みます。 ヤシノミ洗剤の使い方>> 「手には年齢が現れると思っているので、食器洗いのときは手袋をするのですが、肌にやさしいヤシノミ洗剤なら手袋なしでも安心して使えました。ポンプ式なので使いやすく、インテリアになじむシンプルなデザインもいいですね」また、ヤシノミシリーズに洗たく用洗剤があることは、今回初めて知ったのだそう。無香料、無着色、無添加。少ない量でも頑固な汚れをしっかり落とし、繊維に余計なものを残さない「ヤシノミ洗たく洗剤」と「ヤシノミ柔軟剤」。(いずれも600ml/オープン価格) 楽天で買う | amazonで買う | ロハコで買う >> 「子どもたちの肌トラブルもないので、洗たく洗剤はあまりこだわりなく選んでいましたが、ヤシノミシリーズは環境にやさしいことに共感できます。普段から子どもにも “環境に配慮したモノ選び” の話などもするのに、正直あまり実践できていなかったですね。これを機にもうすこし環境を意識した生活を送れたらと思います」「柔軟剤は今まで使っていませんでした。私の実家は柔軟剤をしっかり使ったふわふわタオル、逆に夫の実家は使わないゴワゴワのタオルと両極端。ふわふわすぎると化学的な感じが気になるのですが、ヤシノミ柔軟剤は、柔軟剤を使ったとはっきりわかるような香りや極端なやわらかさがなく、とても使いやすいですね」子どもが巣立った後も、夫婦仲良くいるために外食や旅行など好きなことも共通で、仲むつまじい佐伯さんご夫婦ですが、結婚15年のあいだには馴れ合いに陥ることもあったとか。「仕事から帰ってきた夫が、テレビに見入ってばかりで、話しかけてもハイハイと適当に流される…。そんなことが続いた時期があって。夫も一日のうちでテレビを見る時間は夜しかないし、仕事で疲れてもいるだろうし、気持ちはわかります。でも、私も大事な話をしたいときもあるし、後で同じ内容を聞かれるとイライラしてしまう。どちらも悪いところはあるだろうから、もっと相手を思いやろう、否定から入らないようにしよう、とかいろいろ話して。お互いちゃんと意識するようにしたら、会話の雰囲気がすごく変わりました」「夫とは、いつかタイのサムイ島に住みたいねと話しているんです。家族旅行で行ったのですが、自然豊かで本当にいいところだったし、タイ料理も好きなので。私もビーチで仕事ができたらいいなって。でも今ちゃんと会話ができていなかったら、将来子どもたちが巣立ってふたりきりになったとき、絶対うまくいかないだろうなと思うんです。やっぱり夫婦といっても他人同士なので、長年一緒にいても伝えないと伝わらないことはあると思うから、思ったことはできるだけ伝えるようにしています」子育てに正解はないから“こうしなきゃ”を持たない「子育てって正解がないと言いますよね。どんなに愛情をかけても親の愛をうっとうしく感じる子もいれば、仕事をしていて手をかける時間は短くても親にすごく感謝する子もいる。私もただの一人の人間で、完璧なママでも大人でもない。子育ても自分がよいと思うようにやることしかできないから、あんまり“こうしなきゃ”というのはないんですね。子どもがやりたいといったことはできる範囲でやらせてあげたいなと思っているくらいで。子どもたちが将来何になろうと、死ぬときに幸せだった、楽しかったなと思う人生を歩いてくれたら、それだけで親としては満足ですね」子どもたちの未来のために“人と地球にやさしい”ヤシノミ生活をヤシノミシリーズはヤシノミ由来の植物性。洗った後の排水もすべて微生物によって分解され、すばやく地球にかえります。洗っても、洗っても、安心。今日の汚れをあしたの未来に残さない。そんな “人と地球にやさしい” ヤシノミ生活をはじめてみませんか。 楽天で「ヤシノミシリーズ」を買う amazonで「ヤシノミシリーズ」を買う ロハコで「ヤシノミシリーズ」を買う \ヤシノミ洗剤は50周年!/「毎日使うものだからこそ、地球のために洗剤にできること」をひたすらに考え続けて50年。昔も今も。そしてこれからも「手肌と地球にやさしい」をコンセプトにヤシノミ洗剤はあなたの暮らしにそっと寄り添い続けます。 ヤシノミ洗剤 50周年サイトを見る 【売上1%で、ボルネオ環境保全を支援】ヤシノミシリーズの売上(メーカー出荷額)の1%はマレーシア・サバ州政府公認の国際NGO「ボルネオ保全トラスト」を通じて野生動植物の保護と生息域の確保に使われています。また、ヤシノミシリーズをはじめとするサラヤ製品では、違法労働や違法伐採によって作られた植物油ではなく、環境と人権に配慮したRSPO認証油の生産を支援しています。 無香料、無添加のヤシノミシリーズとは 取材/文:古屋江美子 撮影:林ひろし[PR] サラヤ株式会社
2019年11月29日3日講座『佐伯チズの美肌塾』開催概要2020年1月23日(木)、2月13日(木)、3月19日(木)の3日間、セブンアカデミーにおいて、『佐伯チズの美肌塾「キレイ」を引き出すための美肌レッスン』が開催される。同講座は3日講座で途中受講は不可となる。美肌の伝道師・佐伯チズが、化粧品の選び方、使い方、ローションパックの方法などを丁寧に解説。1人1人の「キレイ」を引き出し、自分に自信が持てる講座となっている。開催時間は、各日13:00から15:00まで。持ち物は卓上鏡、タオル、ターバン(髪が顔にかかる人のみ)、筆記用具。教材費込みで、受講料はセブンアカデミー会員が18,150円となっている。佐伯チズは1月23日(木)と3月19日(木)に登壇を予定している。申し込みはセブンアカデミーのウェブサイトにて受け付けている。問い合わせはセブンアカデミー(電話番号:03-6697-0771)まで。海外からも支持を集める佐伯チズ佐伯チズは1943年生まれ。外資系化粧品会社勤務を経て、エステティックサロン「サロン ドール マ・ボーテ」をオープン。その後、「佐伯式美肌塾チャモロジースクール」を開校した。現在は講演執筆活動など幅広い分野で活躍。著書には『頼るな化粧品!』、『美肌革命』などがある。(画像は佐伯チズオフィシャルサイトより)【参考】※セブンアカデミー※佐伯チズオフィシャルサイト
2019年11月25日東京ディズニーリゾートにて、2019年6月6日(木)~7月7日(日)まで“七夕”をテーマにした毎年恒例のスペシャルプログラム「ディズニー七夕デイズ」が開催されます。イベント開催に先駆けて、2019年6月3日(月)より、両パーク内のレストランやカフェに七夕をイメージした見た目もかわいいスペシャルメニューが登場。ぜひチェックしてイベント気分をより楽しんで。【TDL】七夕スペシャルメニュークリーム・シェイブアイス(ピーチ&ブルーゼリー)織姫と彦星をイメージした、ゼリー入りのシェイブアイス。色とりどりのお星さまはお麩で出来ています。食感も楽しいスイーツです。■価格:550円(税込)■提供店舗:トルバドールタバングレープ&ブルーゼリー、スーベニアカップ付きグレープやブルーゼリー、バニラムースを重ねたきれいなグラデーションで夜空の世界を表現したゼリースイーツ。彦星と織姫に扮したミッキー&ミニーが描かれた湯呑タイプのスーベニアカップがセットになっています。■価格:750円(税込)■提供店舗:スウィートハート・カフェスパークリングゼリードリンク(ぶどう)七夕の夜をイメージしたスペシャルドリンク。ぶどうゼリーが入ったブルーベリー味のスパークリングドリンクに、輝く星をイメージしたコラーゲンゼリーボールが浮かんでいます。爽やかな味わいの一杯です。■価格:380円(税込)■提供店舗:キャプテンフックス・ギャレー/ボイラールーム・バイツ七夕膳 スーベニア箸付き天の川をイメージした山葵マヨネーズがピリッと効いたローストビーフ丼がボリューム満点のスペシャルセットメニュー。■セット内容:焼き湯葉の茄子の餡かけ(ずわい蟹・枝豆)/ローストビーフ丼(山葵マヨネーズと和風ソース)/味噌汁/アセロラゼリーのところてん風彦星と織姫に扮したミッキー&ミニーが描かれたスーベニア箸がセットです。■価格:2,800円(税込)■提供店舗:れすとらん北斎※プライオリティ・シーティング対象店舗【TDS】七夕スペシャルメニューアルコールドリンク ビアカクテル(ピンクグレープフルーツ)織姫をイメージしたビールベースのカクテル。グレープフルーツの香りも楽しめる、ほろ苦くて甘酸っぱい味わい。■価格:680円(税込)■提供店舗:バーナクル・ビルズアルコールドリンク ビアカクテル(ブルーシロップ)彦星をイメージしたビールベースのカクテル。甘酸っぱい風味と爽やかな喉ごしが楽しめる夏らしい一杯。■価格:680円(税込)■提供店舗:ドックサイドダイナーアルコールドリンク シェイブアイスカクテル(ヴァイオレットリキュール)たくさんの星が広がる夜空をイメージしたシェイブカクテルです。爽やかな味わいに星型のナタデココとオレンジスライスがアクセント。■価格:680円(税込)■提供店舗:ノーチラスギャレーアルコールドリンク スコッチ ハイボール天の川が流れる七夕の夜空をイメージしたハイボール。金箔と銀箔の星型シュガーで、香りや味だけでなく華やかな見た目も楽しい一杯です。■価格:680円(税込)■提供店舗:リフレスコスアルコールドリンク スペシャルカクテル(抹茶リキュール&ミルク)笹をイメージした抹茶味のカクテル。ほんのり甘い抹茶ゼリー入りで食感も楽しめます。■価格:680円(税込)■提供店舗:ユカタン・ベースキャンプ・グリル七夕膳 スーベニア箸付き季節の野菜を味わえる、夏に食べたいさっぱりとしたスペシャルセットメニュー。鰻のまぶしご飯は、セットの旨出汁で味の変化も楽しめます。■セット内容:焼き物と揚げ物(鮎の塩焼き・キスと鶏ささみの天ぷら)/素麺(とうもろこし豆腐・枝豆・クコの実)/炊き合わせ(有頭海老・冬瓜・茄子・オクラ・胡麻ダレ)/鰻のまぶしご飯(玉子そぼろ・空豆・旨出汁)/レモンゼリー、クランベリーのシロップ彦星と織姫に扮したミッキー&ミニーが描かれたスーベニア箸がセットです。■価格:3,000円(税込)■提供店舗:レストラン櫻※プライオリティ・シーティング対象店舗クリーム・シェイブアイス(ピーチ&ブルーゼリー)■価格:550円(税込)■提供店舗:サルタンズ・オアシス/リバティ・ランディング・ダイナーグレープ&ブルーゼリー、スーベニアカップ付き■価格:750円(税込)■提供店舗:マンマ・ビスコッティーズ・ベーカリーディズニーで七夕気分を楽しんで!「ディズニー七夕デイズ 2019」開催中の東京ディズニーランドと東京ディズニーシーでは、七夕メニューのほかにも、七夕らしいデコレーションで彩られたり、織姫と彦星の衣装をまとったミッキーとミニーにも出会えたりします。夜空や星、彦星や織姫をイメージした限定メニューをお供に、七夕ムードに染まる東京ディズニーリゾートを存分に満喫してみてくださいね。イベント情報イベント名:ディズニー七夕デイズ 2019催行期間:2019年06月06日 〜 2019年07月07日住所:千葉県浦安市舞浜1-1 東京ディズニーリゾート電話番号:0570-00-8632(東京ディズニーリゾート・インフォメーションセンター)スポット情報スポット名:東京ディズニーランド(R)住所:千葉県浦安市舞浜1-1電話番号:045-330-5211スポット情報スポット名:東京ディズニーシー住所:千葉県浦安市舞浜電話番号:0570-00-8632(東京ディズニーリゾート・インフォメーションセンター)©︎ Disney
2019年06月06日佐伯チズの新刊は『まんがでわかる美肌革命』2019年4月12日、宝島社から、『まんがでわかる美肌革命』が発売される。著者は佐伯チズ、まんがは迫ミサキ。同書では、肌も心も生き方もキレイであり続けるための方法をまんがでわかりやすく紹介。正しいスキンケア方法を学ぶことで、美しく年齢を重ねることを目指す。ただの美容本ではなく、考え方や生き方も調えられる1冊となっている。人生の大きな転機を迎える40代にオススメだ。販売価格は1,512円(税込み)。宝島CHANNELやAmazon.co.jpなど予約を受け付けている。美肌の伝道師 佐伯チズ佐伯チズは1943年生まれ。外資系化粧品会社において定年退職まで働いた後、「ひとりでも多くの方をきれいにしてさしあげたい」という想いから、エステティックサロン「サロン ドール マ・ボーテ」をオープンさせる。現在は、お肌のお悩み相談や講演、執筆活動、雑誌、テレビ、ラジオ出演など幅広い分野で活躍している。著書には『美肌革命 -お金をかけずにきれいになる- 』、『頼るな化粧品!』、『まけないで 女は立ち上がるたびキレイになる 』、『佐伯チズメソッド 肌の愛し方育て方 ―今までだれも言わなかったスキンケアの新提案50』などがある。(画像は佐伯チズオフィシャルサイトより)【参考】※宝島CHANNEL※佐伯チズオフィシャルサイト※Amazon.co.jp
2019年04月02日舞浜にある人気テーマパーク・東京ディズニーリゾートでは、2019年6月6日(木)~7月7日(日)まで「ディズニー七夕デイズ」を開催します。両パークそれぞれの見どころ・期間限定スペシャルメニュー・スペシャルグッズなどをご紹介します。ぜひ足を運んでみてくださいね。短冊に願いをこめよう!七夕デコレーション東京ディズニーランドの七夕デコレーション©Disney東京ディズニーランドでは、エントランス近くの「ワールドバザール」中央部分に「ウィッシングプレイス」が設置されています。彦星と織姫に扮したミッキー&ミニーのレリーフがあり、パークに入ってすぐ七夕気分を味わえますよ。また夜になると「スターライト・ウィッシングプレイス」となり、天の川や星座など美しい星空が浮かび上がります。七夕らしい映像・音楽・光の演出を楽しみましょう。東京ディズニーシーの七夕デコレーション©Disney東京ディズニーシーでは、アメリカンウォーターフロントの「ニューヨークエリア」にある桟橋に「ウィッシングプレイス」が設けられています。ミッキーをモチーフにしたカラフルな“吹き流し”がデコレーションされていますよ。吹き流しを背景にして写真を撮影するのもおすすめです。願いを叶える「ウィッシングカード」©Disney両パークの「ウィッシングプレイス」では、キャストがミッキーの形をした短冊「ウィッシングカード」を配布しています。ぜひ夢や願い事を「ウィッシングカード」に書いてみませんか。カップルや友人同士で書いたら楽しい時間になることでしょう。キャラクターに会える!「七夕グリーティング」彦星ミッキー&織姫ミニー©Disney両パークで開催される「七夕グリーティング」では、彦星と織姫のコスチュームをそれぞれ身に着けたミッキー&ミニーとフレンズたちが現れます。東京ディズニーランドでは“人力車”、東京ディズニーシーでは“船”にのって登場。七夕らしい音楽をバックに、人気のキャラクターたちとのグリーティングを楽しめます。「七夕グリーティング」出演キャラクター©Disney・東京ディズニーランドミッキー、ミニー、ドナルドダック、デイジー、ダック、プルート、グーフィー、チップ、デール、クラリス、マックス、ラプンツェル、フリン・ライダー、ベル、王子、白雪姫、プリンス、シンデレラ、プリンス・チャーミング・東京ディズニーシーミッキー、ミニー、ダッフィー、シェリーメイ、アラジン、ジャスミン、アリエル、エリック「七夕グリーティング」実施について・東京ディズニーランド実施場所:パレードルート/実施回数:1日2回/実施時間:約25分/出演者数:32名・東京ディズニーシー実施場所:メディテレーニアンハーバー/実施回数:1日3回/実施時間:約12分/出演者数:8名※プログラムは天候等の状況により、内容が変更または中止になる場合があります。「ディズニー七夕デイズ」限定!スペシャルメニュー「クリーム・シェイブアイス(ピーチ&ブルーゼリー)」©Disney両パークでは「ディズニー七夕デイズ」限定のスペシャルメニューを提供します。「クリーム・シェイブアイス(ピーチ&ブルーゼリー)(550円)」は、見た目に涼し気なスイーツです。彦星と織姫をイメージしており、ソフトクリームの周りにはたくさんの星形のお麩を散りばめています。初夏を感じるシェイブアイスを味わってみませんか。七夕の「カクテル」©Disneyドリンクからは七夕をテーマにした色鮮やかな5種類の「カクテル(各 680円)」が登場します。思わず写真を撮影したくなるような、カラフルな見た目が特徴です。それぞれ笹・天の川など七夕にまつわるテーマで作られました。カラフルな「カクテル」を片手に「ディズニー七夕デイズ」を満喫しましょう。そのほかのスペシャルメニュー両パークでは「クリーム・シェイブアイス(ピーチ&ブルーゼリー)」と「カクテル」のほかにも、「ディズニー七夕デイズ」期間中しか手に入れられないスーベニア付きのスペシャルメニューなど全部で10種類販売予定です。どんなスペシャルメニューが登場するのかお楽しみにしていてくださいね。スペシャルメニュー販売開始日2019年6月3日(月)※メニューの内容は予告なく変更になる場合があります。また、品切れや販売終了の際はご了承ください。「ディズニー七夕デイズ」限定!スペシャルグッズ「ぬいぐるみバッジ(ミッキー)」©Disney彦星ミッキーと織姫ミニーが天の川を渡って再会するデザインのグッズはとてもロマンチック。期間限定コスチュームを着たミッキーとミニーの「ぬいぐるみバッジ(各 1,800円)」は、カップルやグループでペアでつけるのにおすすめですよ。「キーチェーン(アリエル)」©Disneyまた「スターライト・ウィッシングプレイス」に登場する星座に願いを込めるデザインの「キーチェーン(各 1,500円)(ミッキーマウスのみ1,600円)」もおみやげにおすすめ。アリエルのほかにも「ダンボ、プーさん、ミッキー」が販売されます。「ディズニー七夕デイズ」のファッションアイテム©Disneyパーク内のデコレーションをモチーフにした浴衣・手ぬぐい・扇子など約10種類のファッションアイテムを販売します。購入した浴衣に着替えて、パーク内を散策するのも楽しそうですね。販売開始日2019年6月3日(月)※「キーチェーン(ミッキーマウス)」のみ、2019年7月1日(月)より販売開始※グッズの内容は予告なく変更になる場合があります。また、品切れや販売終了の際はご了承ください。「ディズニーホテル」でも七夕気分が盛り上げる!©Disneyホテルでも「ディズニー七夕デイズ」「ディズニーアンバサダーホテル」、「東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ」、「東京ディズニーランドホテル」の3つの「ディズニーホテル」では、「ディズニー七夕デイズ」に合わせて、レストランとラウンジでスペシャルメニューを提供します。ホテルオリジナル!「ウィッシングカード」各ホテルではスペシャルメニューを注文した方に、ホテルオリジナルデザインの「ウィッシングカード」を配布してくれます。2019年6月6日(木)から両パークにある「ウィッシングプレイス」に結びつけられるので、ぜひ願い事を書いてみてください。スペシャルメニュー販売開始日2019年6月3日(月)「ディズニーリゾートライン」限定デザインの切符©Disney「ディズニーホテル」や東京ディズニーシーへのアクセスに便利な「ディズニーリゾートライン」。「ディズニー七夕デイズ」限定デザインのフリー切符を販売します。またオリジナルデザインの“スーベニアメダル”も登場。「ディズニーリゾートライン」でしか手に入らないスペシャルな切符とメダルと、ぜひチェックしてみてくださいね。「ディズニー七夕デイズ」で七夕気分に浸ろう!東京ディズニーランドと東京ディズニーシーでそれぞれ開催する「ディズニー七夕デイズ」。両パークで購入できるグッズもあれば、それぞれのパークでしか見れないショーやデコレーションがあります。ぜひ期間限定の「ディズニー七夕デイズ」に足を運んでみてくださいね。©︎ Disneyスポット情報スポット名:東京ディズニーランド(R)住所:千葉県浦安市舞浜1-1電話番号:045-330-5211スポット情報スポット名:東京ディズニーシー住所:千葉県浦安市舞浜電話番号:0570-00-8632(東京ディズニーリゾート・インフォメーションセンター)
2019年03月18日東京ディズニーランド・東京ディズニーシーが、“七夕”をテーマにしたスペシャルプログロム「ディズニー七夕デイズ」を開催。期間は2019年6月6日(木)から7月7日(日)まで。ロマンティックなムード漂う「ディズニー七夕デイズ」両パークでは、日本の伝統行事・七夕にちなんだイベントやデコレーションを用意。ミッキーマウスとミニーマウスは、彦星と織姫をイメージしたコスチュームで登場。仲間たちと共に、ゲストを温かく迎え入れる「七夕グリーティング」を開催する。東京ディズニーランドのパレードルートでは人力車に、東京ディズニーシーのメディテレーニアンハーバーでは船に乗って現れる。また2つのパークには、“ウィッシングプレイス”が出現。ディズニーの仲間たちの願いが書かれた短冊が笹に飾られ、七夕の雰囲気を盛り上げる。ゲストもミッキーマウス型の“ウィッシングカード”に思い思いの夢や願いを書いて、結びつけることが出来る。なおディズニーランドの会場となる「ワールドバザール中央」では、夜になると七夕ならではの光や音楽の演出も。大切な人と訪れて、ロマンチックなひと時を過ごしてみてはいかがだろう。限定アイテム&メニューもこの季節ならではのアイテムやメニューにも注目したい。各ショップには、ミッキーマウスとミニーマウスが笹の船に乗り天の川を渡る様子の描かれたロマンティックなグッズや、星座をモチーフにしたキーチェーンなど約40種類のアイテムがラインナップ。また両パークでは、彦星と織姫をイメージしたシェイブアイスをはじめとする、限定メニューも楽しむことができる。【詳細】東京ディズニーリゾートの七夕開催期間:2019年6月6日(木)~7月7日(日)開催場所:東京ディズニーリゾート住所:千葉県浦安市舞浜1-1⬛東京ディズニーランド・七夕グリーティング実施場所:パレードルート実施回数:1日2回実施時間:約25分出演者数:32名出演キャラクター:ミッキーマウス、ミニーマウス、ドナルドダック、デイジー ダック、プルート、グーフィー、チップ、デール、クラリス、マックス、ラプンツェル、フリン・ライダー、ベル、王子、白雪姫、プリンス、シンデレラ、プリンス・チャーミング⬛東京ディズニーシー・七夕グリーティング実施場所:メディテレーニアンハーバー実施回数:1日2回実施時間:約12分出演者数:8名出演キャラクター:ミッキーマウス、ミニーマウス、ダッフィー、シェリーメイ、アラジン、ジャスミン、アリエル、エリック※各プログラムは天候等の状況により、内容が変更または中止になる場合あり。<スペシャルグッズ>・ぬいぐるみバッジ 各1,800円・パーク内装飾デザインのグッズ キーチェーン 各1,500円 ※ミッキーマウスのキーチェーンは1,600円※スペシャルグッズは6月3日(月)から先行販売.※ミッキーマウスのキーチェーンのみ、7月1日(月)から販売※グッズの内容は予告なく変更になる場合有り。【問い合わせ先】東京ディズニーリゾート・インフォメーションセンターTEL:0570-00-8632(9:00〜19:00)
2019年03月17日『佐伯チズが教える キレイの五原則』開催概要2019年3月9日(土)、セブンアカデミーにおいて、1日講座『佐伯チズが教える キレイの五原則』が開催される。75歳にして、白く美しい肌をもつ佐伯チズが、美肌を叶える「キレイの五原則」を分かりやすく解説。自分の肌状態とクセを把握して、正しい化粧品の知識と使い方を学んでいく。開催時間は11:00から13:00まで。受講料はセブンアカデミーの会員が6,480円、一般が7,776円。持ち物は鏡、タオル、ターバン、筆記用具の4点。当日はメイクの上からローションパックを行っていく。佐伯チズに素肌をチェックして欲しい人は、ノーメイクで参加しよう。セブンアカデミーのウェブサイトにて、申し込みを受け付けている。講座に関する問い合わせは、セブンアカデミー(電話番号:03-6697-0771)まで。美容家 佐伯チズ佐伯チズは1943年6月23日生まれ。滋賀県出身。フランス化粧品メーカーを定年退職した後、2003年にエステティックサロン「サロン ドール マ・ボーテ」を開業。「美肌革命 -お金をかけずにきれいになる-」、「まけないで 女は立ち上がるたびキレイになる」など著書多数。成安造形大学客員教授、生活アドバイザー(衣食住)、カウンセラー、エッセイスト、映画コメンテーターとしても活躍している。(画像は佐伯チズ オフィシャルサイトより)【参考】※セブンアカデミー※佐伯チズ オフィシャルサイト※佐伯チズ オフィシャルブログ※Amazon.co.jp
2018年11月28日『「夢はくすり あきらめは毒 願えばかなう」~佐伯チズトークイベント~』開催概要2018年10月27日(土)、梅田 蔦屋書店 4thラウンジにおいて、『「夢はくすりあきらめは毒願えばかなう」~佐伯チズトークイベント~』が開催される。佐伯チズが、日常の中で「美」を積み重ねる方法を伝授。経験も知識も豊富な佐伯チズに、美しさへの近道を学んでみてはいかがだろうか。開場時間は13:30。開催時間は14:00から16:00まで。イベント終了後には、サイン会、ツーショット撮影会が予定されている。参加費は3,000円(税込み)。定員は80名。申し込みは、梅田 蔦屋書店オンラインショップと店頭にて受け付けている。イベントに関する問い合わせは、梅田 蔦屋書店(電話番号:06-4799-1800)まで。佐伯チズのプロフィール佐伯チズは1943年6月23日生まれ。滋賀県出身。外資系化粧品会社を定年退職した後、エステティックサロン「サロン ドール マ・ボーテ」をオープンさせる。美容家、カウンセラー、エッセイスト、映画コメンテーターなど様々な肩書きをもち、多方面で活躍している。著書の累計部数は500万部以上。海外からの注目度も高い。(画像は梅田 蔦屋書店より)【参考】※梅田 蔦屋書店※佐伯チズオフィシャルサイト※佐伯チズオフィシャルブログ
2018年10月11日東京ディズニーランド・東京ディズニーシーで、スペシャルプログラム「ディズニー七夕デイズ」が開催される。期間は2018年6月7日(木)から7月7日(土)まで。ロマンティックな仕掛けが沢山!「ディズニー七夕デイズ」「ディズニー七夕デイズ」は、日本の伝統的な行事である七夕をテーマとした毎年恒例のスペシャルプログラム。彦星と織姫をイメージしたコスチュームに身を包んだミッキーマウスとミニーマウス、ディズニーの仲間たちが盛り上げる「七夕グリーティング」を開催する。東京ディズニーランドのパレードルートでは人力車に、東京ディズニーシーのメディテレーニアンハーバーでは船に乗って現れる。また、両パークには“ウィッシングプレイス”が登場。ミッキーマウスをかたどった吹き流しや笹が飾られ、七夕の雰囲気を盛り上げる。“ウィッシングカード”に夢や願い事を書いて結びつけることができる。ミッキーマウスとミニーマウスが笹の船に乗り天の川を渡る様子の描かれたロマンティックなグッズも登場。テーマパーク内のレストランでは、七夕限定のスペシャルメニュー、オリジナルの短冊付きや、お土産の箸がついたメニューを提供する。ディズニーホテルからも、七夕にちなんだ特別メニュー登場「ディズニー七夕デイズ」と連動して、各ディズニーホテルのレストラン&ラウンジでも、七夕にちなんだスペシャルメニューを提供。例えば、ディズニーアンバサダーホテルのカリフォルニア料理「エンパイア・グリル」では、ディナーコースメニュー「ディズニー七夕デイズ”エンパイア・グリル・ディナー」を用意。ルッコラのソースで描いた天の川に色とりどりの前菜を載せた「シマアジのタルタル」や、メインディッシュの骨付きラムチョップ、彦星と織姫姿のミッキーマウス&ミニーマウスのデコレーション付きデザートなどが運ばれる。東京ディズニーランドホテル「ドリーマーズ・ラウンジ」からは、天の川のほとりで、ドナルドダック&デイジーダックが向かい合うロマンティックなデザートプレートが登場。笹をイメージした抹茶ロールケーキや、グラスに入った杏仁豆腐と桃のコンポート、パッションフルーツとアプリコットのシャーベットなど、華やかな色合いのスイーツがプレートの上を飾る。2018年の七夕シーズンは、東京ディズニーリゾートで家族や友人、大切な人と一緒に楽しんでみてはいかが。【詳細】東京ディズニーリゾートの七夕開催期間:2018年6月7日(木)〜7月7日(土)⬛︎東京ディズニーランド・七夕グリーティング実施場所:パレードルート実施回数:1日2回実施時間:約25分出演者数:32名⬛︎東京ディズニーシー・七夕グリーティング実施場所:メディテレーニアンハーバー実施回数:1日2回実施時間:約12分出演者数:8名出演キャラクター:ミッキーマウス、ミニーマウス、ダッフィー、シェリーメイ、アラジン、ジャスミン、アリエル、エリック ※各ログラムは天候等の状況により、内容が変更または中止になる場合あり。【問い合わせ先】東京ディズニーリゾート・インフォメーションセンターTEL:0570-00-8632(9:00〜19:00)■ディズニーホテルのスペシャルメニュー例・ディズニーアンバサダーホテル「エンパイア・グリル」ディズニー七夕デイズ”エンパイア・グリル・ディナー 10,000円・東京ディズニーランドホテル「ドリーマーズ・ラウンジ」“ディズニー七夕デイズ”デザートメドレー 2,300円・東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ「オチェーアノ」“ディズニー七夕デイズ”ランチブッフェ 大人 4,200円/7~12才 3,000円/4~6才 2,000円【レストラン予約・問い合わせ先】東京ディズニーリゾート総合予約センターTEL:0570-05-1118(レストラン予約は10:00~18:00)※一部の PHS・IP 電話・国際電話利用の人は、045-330-5711まで※「ドリーマーズ・ラウンジ」は予約不可。©Disney
2018年03月26日全国のNHK文化センターで開催される「佐伯チズの美肌塾」「佐伯チズの美肌塾」が、全国のNHK文化センターで開催される。同講座は、佐伯チズまたは、佐伯チズ認定セミナーインストラクターが講師を務める。佐伯チズ曰く、お金をかけなくてもキレイになれるという。正しい理論と、自分にあったスキンケア法をしっかり学んで、美肌を手に入れてみてはいかがだろうか。「佐伯チズの美肌塾」開講スケジュール「佐伯チズの美肌塾」は、2018年3月23日(金)11:00から13:00まで、NHK文化センター青山教室にて開催。4月8日(日)14:00から15:30まではNHK文化センター名古屋教室、4月15日(日)10:30から12:00まではNHK文化センター福岡教室、4月21日(土)11:00から12:30まではNHK文化センター豊橋、4月21日(土)15:30から17:00まではNHK文化センター浜松教室にて実施。5月13日(日)14:00から16:00まではNHK文化センター札幌教室、5月26日(土)13:30から15:00まではNHK文化センター新潟教室での開催を予定している。以降の予定と各講座の詳細な情報は、佐伯チズ オンラインショップ公式ブログまたは、NHK文化センター ウェブサイトを確認。(画像は佐伯チズ オフィシャルブログより)【参考】※佐伯チズ オフィシャルブログ※佐伯チズ オンラインショップ公式ブログ※NHK文化センター ウェブサイト
2018年03月07日4月期のテレビ東京ドラマ25枠では、主演・池松壮亮、監督&脚本・真利子哲也(『ディストラクション・ベイビーズ』)で、90年代に多くの若者を魅了した新井英樹の漫画「宮本から君へ」をドラマ化することが決定した。原作は、1990年~1994年まで「モーニング」(講談社)にて連載され、1992年第38回小学館漫画賞青年一般部門を受賞。2009年には新井氏による新たな描き下ろしを加えた「定本 宮本から君へ」が全4巻の豪華本で出版された。また本作は著名人にも多くのファンがいる。今回ドラマ化では、原作に出てくる数々の名言も登場するという。■ストーリー大学を卒業して都内の文具メーカー・マルキタの営業マンになった宮本浩(池松壮亮)は、未熟で営業スマイルひとつできず、自分が社会で生きていく意味を思い悩んでいた。そんな宮本は通勤途中、代々木駅のホームで一目ぼれしたトヨサン自動車の受付嬢・甲田美沙子に声をかけるタイミングを伺っていた。何度かチャンスはありながらもなかなか声をかけられずにいる宮本。同期の田島薫にヤイヤイ言われながらも決死の思いで声をかけるが…。そこから始まる甲田との恋模様、仕事での数々の人間模様の中で、宮本は成長し、自分の生き方を必死に見つけていく――。■池松壮亮、主人公・宮本浩は「難易度の高い役」文具メーカー「マルキタ」の新人社員で恋にも仕事にも不器用な主人公・宮本浩役を演じるのは、『ぼくたちの家族』『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』の池松さん。今回の役柄について、「僕自身が宮本浩をやれるだけの器、人間性があるのかどうか、日々自分自身に問い続けた2か月間でした。それくらい難易度の高い役でした」と述べた池松さん。22歳のときに原作に出会い衝撃を受けたそうで、「それから宮本浩という人は、僕にとってほかのどの歴史上の人物よりも星であり、ヒーローでした。人としての力、生き様を物凄く尊敬していました。間合い、台詞ひとつひとつのニュアンスに宮本浩の人間性が浮かび上がると思ってやっていました。『宮本から君へ』は、これまで取り組んできた作品の中でもかなり強敵で、日々模索しながらも、敬意を込めて映像化したいと思っていました」と思いを語っている。本作では、ライバル社と揉め事を起こした宮本が、反省で頭を丸めるシーンも登場。池松さんは「この作品以外で坊主にすることはよっぽどのことがない限りないでしょう(笑)自分で言うのもあれですが、思いのほか漫画のキャラクターに似ていて、1人ほくそ笑んでしまいました」とコメントしている。■主題歌はエレカシ「もっているものすべてをこの曲に」さらに本作の主題歌は、新井氏が大ファンだと公言している「エレファントカシマシ」の「EasyGo」に決定。主人公はボーカル・宮本浩次の名前が由来となっていることもファンにとっては有名な話。そんな宮本さんは、「真利子監督のこのドラマにかける熱意はすごかったし、真利子監督の主演池松壮亮氏への想いはさらにすさまじかった。彼らの情熱が私にも移りました。気合いで駆け抜けました。この名作マンガの主題歌を歌えることが誇らしいし真利子氏のドラマにかける思いはとてもピュアでした。自分たちのもっているものすべてをこの曲に注ぎ込みました。快心の作です」と語っている。また「エレファントカシマシ」の隠れファンだと言う池松さんは、「今回、とんでもなくいい主題歌があがってきて本当に感激しています。『剛者(つわもの)どもの夢のあと 21世紀のこの荒野に 愛と喜びの花を咲かせるぜ』という凄い歌詞があるんですが、この一文に、90年代に新井先生が書いた『宮本から君へ』をいまやる意味と可能性が隠されているように思い、自分自身が『宮本から君へ』に取り組む想いとリンクして、また救われました。主題歌も合わせて楽しみにして頂ければと思います」と絶賛している。■監督・原作者コメント真利子哲也監督「宮本から君へ」と出会ったのは10代の頃。良いものはどれだけ時間が経っても良いもので、主人公の宮本浩はじめ、脇を固める面々までそれぞれの人生があって、その関係性から生まれる物語はどの時代にも突き刺さる魂があります。この原作の映像化は生半可な覚悟でやれません。主演の池松壮亮を筆頭に、集まるべくして集まったキャスト・スタッフとともに、並々ならぬ愛をもって直球勝負を挑んだ渾身の作品です。原作・新井英樹真利子監督、池松くんはじめ役者さんスタッフの方々の熱意本当にすごかったです同じ表現者として頭の下がる思いと感謝しかありませんもう「宮本」はボクのものじゃないと思ってます原作への思いでいうと撮影現場ではボクが一番外野でしたからこれって幸せな経験ですよ池松くんの宮本、池松?ってくらい驚かされましたヒロイン(まだ公表できないのかな?)ずっと大好きです真利子くん、これからも絶対支持してくよどうか皆さん「宮本」を好き勝手、捨て石なり踏み台なりにしてくださいドラマ25「宮本から君へ」は4月6日(金)より毎週金曜日深夜0時52分~テレビ東京、テレビ大阪ほかにて放送。(cinemacafe.net)
2018年03月06日“現代の春画・妖怪画”として称される、伝説の絵師・佐伯俊男の国内最大規模の展覧会『雲然』が、2018年1月20日(土)から2月24日(土)まで東京・NANZUKAにて開催される。佐伯俊男はエロス、ユーモア、ホラーを織り交ぜた独特の作品で魅了する画家。寺山修司、澁澤龍彦らの賞賛を呼び、1970年に平凡パンチにてデビュー。同年に処女作品集『佐伯俊男画集』を発表後、原画展をパリで開催。ジョン・レノンとオノ・ヨーコのアルバム「サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ」に使用されるなど、瞬く間に国際的なアーティストへと成長した。しかしながら、佐伯の人生には悲劇的な一面も。パリで行った展覧会終了後には全作品が盗難に遭うなど、様々な災難も乗り越えてきた。そんな佐伯が描くのは、“現代の春画・妖怪画”とも呼べるブラックユーモアとエロスの世界観を持ち合わせた作品の数々。どの作品もあらゆる性的タブーを露にし、内面をえぐるような刺激的な仕掛けに満ちている。過去最大規模の展覧会となる『雲然』には、70年代から80年にかけて佐伯が描いたオリジナル作品を中心に、新作も発表。会場には彩色を加えた巨大な壁画も登場予定だ。【イベント詳細】佐伯俊男『雲然』開催期間:2018年1月20日(土)~2月24日(土)会場:NANZUKA住所:東京都渋谷区渋谷2-17-3
2017年12月22日東京湾を遠望し、羽田空港を離着陸する飛行機も見える高層マンション20階の1日限定2人の施術をする自宅エステティックサロン。この日は、20年以上、佐伯チズさん(74)の施術を受けている女性が来訪していた。 「先生がディオール勤務時代、帝国ホテルでサロンをされていたときから、月に必ず1回、お願いしています。お肌だけでなく、心も元気にさせてくださいます」 ’03年、クリスチャン・ディオールを定年退職したその年、佐伯さんは「水とコットンと化粧水があれば十分」という佐伯式スキンケアを提唱し、初の著書で大ブレーク。美容関係だけでなく、テレビの情報番組のコメンテーターとしても活躍してきた。だが最近、見かけなくなったと感じる人も少なくないだろう。 じつは佐伯さんは、実質10年ほどマネジメントをまかせていた女性「Aさん」に会社を乗っ取られかけ、個人資金2億円を使途不明金のまま失う苦境に陥っていたのだ。 「’15年の暮れにAが辞めたあとで知ったんですけど、Aが勝手に、『佐伯は高齢ですから』と仕事の依頼を断っていたんです。私のあずかり知らないところで新製品の開発もしていました。新規事業は失敗し、経費ばかりがかさむ。縮小するかじ取りをしたときは、後の祭りでした。登録商標の大部分、顧客情報も奪われ、すべてを失いました」(佐伯さん・以下同) そんなどん底にいたときに励まされたのは、32年前に逝った夫・有教さん(享年52)の“声”だったという。ふいに彼の“声”が聞こえたのは、Aさんの裏切りに、後ろ向きのことばかりをぐるぐると考えていた夜だった。 《恨んでもしょうがない。あなたが信じたのだから、それはあなたの責任でもあるんだよ。こういう経験が、気づかせてくれることもあるから》 それはかつて、佐伯さんが知人の500万円の借用書に裏書きをして借金を負ったときの、有教さんの言葉だった。 「同じことを言っていたんです。『がんばれ。きっと乗り切れる』って」 まるで闇の向こうから光が差し込んだようだった。 「前を向いて生きなければと思いました。そのためには、ご迷惑をおかけしたお客さまにまず謝って、許していただけるなら仕事を続けたいと」 そして、あらためて自分の原点を見つめ直した。 「私は、人さまをきれいにしてさしあげたい。その一心で施術をしてきました。お金のためでも、名前を売るためでもない。真心を尽くせば、それは必ず自分にも返ってくるんです」 ’16年春、佐伯さんは鹿児島県鹿児島市の小高い丘に広がるフラワーガーデンを訪れていた。その高貴な香りからバラの女王と呼ばれ、化粧品の原料としても素晴らしい効能を持つ「ダマスクローズ」。このバラ園では、有機無農薬栽培をしているのだ。 今年6月23日。74歳の誕生日に佐伯さんは、新ブランド「チズ・サエキジャパン・ラ・サロン・コスメ」を発表。その鹿児島のダマスクローズの花水をふんだんに使った商品である。 「肌なじみにすぐれた最新技術『ラメラテクノロジー(R)』を取り入れています。これは、基礎化粧品の研究家の鈴木喬先生が開発した世界特許で、『チズさんなら』と使用許可をくださったんです」 佐伯さんが真心をこめて人との関係を大事にしてきたからこそ、このブランドは誕生した。74歳にして新たなスタートを切り、佐伯さんは見事に返り咲いたのだ。 「『佐伯先生』とかいう呼び方はいりません。『チズさん』と呼んでください。そのほうが若返りますから」 明るく快活な口調に、会場から笑いが起こる。この日の佐伯さんは、大阪のセミナーに登壇。豪華客船の旅、プリンセス・クルーズのプロジェクト・アンバサダーとしての仕事だ。クルーズ旅行の思い出を語り、愛する夫の話もする。 「大好きな美輪明宏先生とお会いする機会があったんですけど、そのとき私の背後に、主人が見えると言ってくださったんです。私、あまりにも感激して、美輪先生にハグまでしてもらいました」 さらに参加者たちに、こう呼びかけた。 「みなさん、ハグしましょう。女性ホルモンが活性化して、若返りますよ!」 佐伯さんが会場をハグして回ると歓声が上がった。セミナー後も、写真撮影とハグの順番待ちの列ができ、誰もがほっこりと幸せな表情だ。大阪から東京にとんぼ返りする佐伯さんに休みはない。翌日は福岡、長野をまわり、また大阪へ。12月には中国・北京出張も予定されている。佐伯さんは、ふと両手を開き、ねぎらうように見つめた。 「どの指もしわが刻まれていて、左手の小指は外に反ってしまっている。でも、この手があれば生きていけるし、みなさんと一緒にいられます」 柔らかくて温かく、触れられるだけで思わず泣けてくる――人生経験と愛が詰まった魔法の手。この手があるかぎり、佐伯さんは何度でも甦る。
2017年11月25日佐伯チズの新刊「まけないで 女は立ち上がるたびキレイになる」2017年11月29日、佐伯チズの新刊「まけないで 女は立ち上がるたびキレイになる」が講談社から発売される。カリスマ美肌師の佐伯チズは、70歳を超えて、人生のどん底を経験。信頼していた人から裏切られ、会社、顧客情報、「佐伯チズ」の名前を奪われるなどして、絶望的な状態に陥った佐伯。一体、彼女はどのようにして立ち直ったのか。新刊では、佐伯チズの美しさと強さの秘密が明かされる。販売価格は1,404円。アマゾンにて予約を受け付け中。佐伯チズのプロフィール佐伯チズは1943年生まれ。外資系化粧品会社を定年退職後、エステティックサロン「サロン ドール マ・ボーテ」を開業。その後、「佐伯式美肌塾チャモロジースクール」を開校。美容理念と佐伯式美容技術の継承に努めている。出版した著書は、累計500万部以上、著書には「今日の私がいちばんキレイ」、「キレイの躾」、「佐伯チズ、美の流儀」などがある。「美肌革命」は、英語、中国語、フランス語、ロシア語、ポーランド語に翻訳されている。成安造形大学客員教授、生活アドバイザー(衣食住)、カウンセラー、エッセイスト、映画コメンテーターなど、様々な肩書きを持ち、執筆、講演、メディアなど多方面で活躍している。(画像は佐伯チズ オフィシャルブログ「願えば、かなう。」より)【参考】※佐伯チズ オフィシャルブログ「願えば、かなう。」※佐伯チズ オフィシャルサイト※アマゾン
2017年10月27日●「この人、好きだなぁ」で「一緒に」村上淳、村上虹郎、三浦誠己、渋川清彦、大橋トリオといった俳優・アーティストをかかえる芸能事務所・ディケイドが設立25周年を記念して、「日本映画とは何か」を掲げた映画『AMY SAID エイミー・セッド』(9月30日公開)を製作。前記の5人をはじめ、ディケイド所属の俳優たちが総出演し、静かな物語の中で個性をぶつけ合いながら共鳴し合うアンサンブルを披露している。元映画研究会の40代男女8人が、20年前に亡くなったエミの命日に、かつて行きつけだったバーで再会する一夜。「わたし本当は知ってるの、エミが死んだ理由」という直子(中村優子)の告白をきっかけに、それぞれの胸の奥に閉まっていたことが明らかになっていく。三浦演じる主人公・朝田は周囲から映画監督としての才能を認められながら、自らその才能に失望し、現在はパン屋で働く。彼らに共通しているのは、かつてはたぎるほどあった情熱がすっかり冷めてしまっていること。どこの同窓会にもあるようなほのかな哀愁が、この映画の中にも漂っている。公式サイトには「本気で挑んだ大人の青春映画」とある。芸能事務所自らが企画、製作した作品でここまで熱量のこもった作品は稀だ。ディケイド・佐伯真吾社長はどのような思いをこの映画に込めたのか。村上淳との出会い、そして「キミ明日から社長だから」と2代目社長に指名された日など、語られるエピソードの数々からはこの映画に至るまでの分岐点、そして映画愛・役者愛が溢れ出ている。○震災で諦めかけた20周年前作――「大人の青春」とある通り、誰もが同窓会で感じる哀愁が漂う作品でした。いつ頃からこの映画の構想を練っていたのでしょうか?5年前、設立20周年という大義名分を掲げて、主演・村上淳、主題歌・大橋トリオで映画『Playback』を撮りました。ただ、それ以前にもそういう動きはあったんですよね。それはマネージメントの一環、例えば新人育成という目的の場合もあります。大橋トリオは今年で10周年を迎えましたが、デビュー当時から映画音楽をやらせたかったので、CMなども数多く手掛けている柿本ケンサクの長編企画映画『Colors』(05)にお願いして長編を4社の出資で撮りました。そのうちの1社がディケイド。そういう「映画作りの序章」が過去にはありました。そういう流れの中である日、村上淳が「彼、才能あるよ」と勧める監督の作品DVDを受け取りました。それは『やくたたず』(10)という作品で、三宅唱という当時は学生監督だったんですが、確かに良かった。彼で1本映画を作ろうとしたんですが、すぐにできるわけでもない。制作機能がなく、そもそも自分は映画プロデューサーでもない。知り合いの映画制作会社、監督、僕の3者で集まって台本を作って自主映画を作ることに。その間、1年ぐらいかかっていたのかな。ディケイドとしてはお金を出すので、大義名分として20周年を掲げました。でも、そこで震災が起こってしまって。ちょうど3月に撮ろうと思っていたんですよ。不安だらけの世の中は混乱し、映画を撮るようなそんな状況でもなく、制作会社が降りてしまったんですが、自主体制でやるしかないと。三宅もせっかく一年アルバイトを続けながらがんばってきていたので、やめるべきではないと思ったんです。それが『Playback』でした。通常のマネージメントは、台本をもらって撮影をして、終わったら宣伝をする。断片的なことしか映画やドラマに携われないんですが、企画から公開までを知ることも裏方にとって勉強になるんじゃないかなと思って、だからこそスタッフ含め全員参加で役割分担をしています。――『Playback』後、設立25周年で映画を作るというのは、かなり早い段階から決まっていたんですか?全くないといえばウソになりますが、そのあたりは資金次第というか。ただ、お金がなくてもやってしまおうという思いはどこかにありました(笑)。我々は限られた製作費の中でやることしか作ることはできない。でも、何よりもアクションすることが重要なんだと思っています。『AMY SAID エイミー・セッド』の撮影は去年。その半年ぐらい前に台本の企画があって、村本大志監督とは撮影の一年ぐらい前から話し合っていました。――その時にストーリーは決まっていたんですか?いえ、全く決まってませんでした。監督とは15~6年の付き合いになるお茶飲み友だちです。いろいろなことを話していて、うちの役者をCMに使っていただくこともありました。村上淳のジャックスカード(01~03年)が始まりです。とにかく、いろいろなシチュエーションでキャスティングしてくださいました。そして、監督が企画する映画に役者の名前を出してくださって。でも、なかなか実現しなかった。お互い寂しい思いをしていて、「監督と映画を撮る」というのがいつの間にか1つの目標になっていました。映画の話をはじめたぐらいの時に、監督が「ディケイドのサイズ感に合ってない?」と持ってきてくれた原作がありました。企画書を書いて某出版社に持ち込んだんですがボツになってしまったんです。ここで途絶えてしまうのももったいなかったので、僕から「ディケイドの俳優が全員同級生という設定の話はどうですか」と以前から温めていた企画を提案してみたんです。それは僕が体感した40歳の頃の同窓会の空気。あの感じ、誰しもが通る道だよなぁと盛り上がりました。監督も映画研究会でそういう集まりがあったらしくて。それでお互いの方向性が合致して、2週間後には監督がプロットをあげてきたんです。それで、本格的に進めることになりました。○ちょっと面倒くさい俳優の方が面白い――近況を報告し合って、以前と違う自分を伝える同窓会。それ以外の場所でも、久しぶりに再会した人とはそういう話になりますよね。僕も40歳の時に25年前の友人と会う機会がありました。広島から上京してほぼ会ってないわけですよ。一夜、わずか3~4時間の間にいろいろなことが昨日のことのように蘇ってくる。それぞれが何をやってるのかを語り合いました。自分の岐路はどこだったのか、その時ふと思ったんですよ。自分の進路を決めたのが19~20歳ぐらい。同窓会ってそういう場だよなぁという記憶が残ってて、ディケイドで同窓会をテーマにした物語ができたらなと考えていました。――それだけの思い入れがある作品で、なぜ三浦さんを主演に指名したのでしょうか。役者をやれば、誰だって真ん中にいたいはず。そこは独断と偏見、僕の中での「真ん中にいるべき人」が三浦誠己だった。この作品は8人が主役みたいなものです。全員が脇役ですし、全員が主人公。プロットが上がってきた時に、この役は三浦しかいないと直感的に思いました。――劇中には、渡辺真起子さん演じる芸能事務所の社長(香田)が登場しますが、「自意識のない俳優はつまらない」というセリフがすごく印象に残りました。これは佐伯社長の分身ですか?僕はそんなセリフを口にしたこともないんですけども(笑)、監督はそう感じたんでしょうね。僕の心の代弁をしてくれたんだろうなと感じました。――今、このセリフを聞いてどう思われますか?大人しい回答をする俳優よりも、ちょっと面倒くさいと思わされるような俳優の方が楽しいとは思います。例えば、決められたようにやろうとしない人。でも、そういう俳優は、結果的にきっとやり遂げる。ちゃんと心と心がつながっていればね。そういう人たちばかりではないと思うんですけど、マネージメント側から見た意見です。――それは役者だけですか?たぶんマネージメントという中での話で。お仕事先の方とか監督とか、それは思い通りにならないことは避けたい。でも、往々にしてそういう人の方が面白いものを作ったりしてるんですよね。――なるほど。ところで、ディケイド所属の俳優は共通する匂いのようなものを感じますね。村上淳とは彼が17歳の時に会って、僕が23歳。それからほとんどマンツーです。僕は2代目社長なんですが、ディケイド立ち上げの時は彼の担当マネージャーでした。社長になってから17~8年ぐらい経つんですが、最初は1~2人ぐらいしか受け持てないんですよね。スタッフも増えて行く中でそれぞれの俳優といろいろなタイミングがありました。中村優子は直筆でもらった手紙で惚れた。オーディションとかの募集はしてないんですけどね。その後に山本浩司、渡辺真起子、三浦誠己が入ってきます。山本は自分がたまたま好きな映画に出ていた。「この役者はすごい!」と思う作品があって、それは彼のデビュー作でした。「どこにこんな役者いるんだろう」と思っていたら、知り合いが紹介してくれたんです。そんな感じで、自分が「この人、好きだなぁ」と思わない限り、「一緒にやりましょう」とはなりません。大西信満、KEE(渋川清彦)は別の事務所にいたんですよね。大西は『赤目四十八瀧心中未遂』(03年)、KEEは『ポルノスター』(98年)のデビュー作。そうやって、彼らの出演作が心に残っていた。事務所移籍とかは、仕方がないかもしれないけど、やはりどちらの立場も気分は良いとは思わない。でも、縁というのはある。彼らは、自ら事務所を辞めた後に、うちに来たいと言ってくれた。●藤原ヒロシ氏・高城剛氏が命名、事務所名の由来――役者を広く募ってないのはつまりはそういうことなんですね。人と人の縁だったり、社長ご自身の心に残っていた人を重視して。スカウトもしないんですか?全く無いですね。最近は資料もたくさん届きますが、そこでお会いするのも稀有ですし、所属してもらうのもなかなかないです。――三浦さんはどういうきっかけだったんですか?山本浩司を紹介してくれた子が僕に資料を送ってきてくれて。ただ、三浦誠己の場合は存在すら知らなかった。でも、いただいた資料の作品を観て驚きました。熊切和嘉監督の『爛れた家~蔵六の奇病より~』(04年)だったと思いますが、彼は2番手をやっていて、主演を超える魅力があった。「ぜひうちに来てほしい」とすぐになりましたよ。――お笑い芸人から転身した三浦さんでしたが、その後役者として出演作が増え、オファーも絶えません。これだけ成功することを予感されていたんですか?それこそ、何が成功で、何が満足かわからない。満足していないからできることでもあると思うんです。村上淳にしても村上虹郎にしても、映画でもドラマでもバラエティでも雑誌でも何でもいいと思うんですけど、目標地点はそれぞれ違う。そんな中でも「やってよかった」とか思える機会を1つでも多く作ってあげたいですね。○村上淳「カッコイイ大人になりたい」映画の世界へ――こういう話を所属の方々とすることはあるんですか。ほとんど、しないですね。一年に一回だけみなさんと新年会を迎えるぐらい(笑)。基本はそこでお話します。ご飯に誘ってくれることもありますが、基本的には各担当マネージャーが受け持っています。――先ほど2代目社長とおっしゃっていましたが、もともとはマネージャーとして入られたんですか?プロシードというキャスティング会社があって、そこの社員だったんです。石川(宏明)社長の下でお手伝いをやっていて。石川社長が91年に、藤原ヒロシ氏と高城剛氏の事務所として立ち上げたのがディケイドです。過去には松岡俊介も在籍していました。僕は藤原ヒロシ氏の担当になり、マネージャーのことを何も知らないので、とにかく一緒にいることしかできなかった。彼がやっていたのはファッションと音楽で、ほとんど付き人みたいなものでした。ディケイドを設立して数カ月後に、村上淳と会ったんです。彼はフリーでモデルをやっていて。自分でスケジュール管理をしていたんですが、混乱してきたりして、どうにもならなくなって僕が担当することになりました。――それがマネージメントの転機に。そうですね。本当に自分が芸能で頑張ろうと思ったのは村上淳が初めてです。藤原ヒロシ氏は仕事もいっぱいあったし、僕が何かをやる必要もなかった。だから、お手伝い。でも村上淳の場合は、これから何をやっていけばいいんだろうという「ゼロ」の状態だった。当時彼は「カッコイイ大人になりたい」と漠然と思っていたんでしょうね。モデルでも、役者でも「何を我慢してやらなければカッコイイ大人になれるか」を意識しているように感じました。彼の周りにはカッコイイ大人がたくさんいましたからね。どうすべきかを悩んでいて、ある時に気づいたんです。それは、「もしかしたら映画をやり続けるとカッコイイ大人になれるかもね」みたいに、本当に漠然としたものでした。なぜ映画がカッコイイのかではなくて、厳しい映画の中で揉まれれば村上淳も自分も育っていくはずと。○社長に指名された時の本音「この世の終わり」――2代目社長になる時、すぐに二つ返事だったんですか?石川会長は、割りとそういう人なんです。僕は本当に、「キミ明日から社長だから」と言われたぐらい(笑)。――急に(笑)。ある提案をしようとしたら、じゃあ自分でやってみればいいじゃんと言われて。それは決して投げやりな感じではなくて、「がんばってみな」という励ましでした。ライオンが子どもを崖から落とすみたいな感じ。僕は「この世の終わりだな」と思いましたよ(笑)。会社の経営状態も分かっていましたからね。プロシードという母体がしっかりしているから、ディケイドが支えられていると分かっていたから。――すぐに決心はついたんですか?やらないと自分が変われない。そう思いました。その上、お金を稼いでないくせに、わりと仕事は断ってましたからね。やるべきことしかやらないと心に決めていて。後々、これよく断ったなという仕事がたくさんありますが(笑)。――すごく気になります(笑)。2代目社長として17年。振り返ってみていかがですか?「もうダメだ」という瞬間はありましたけど、「しゃあない」と切り替えるようにしています。ディケイドは「10年紀」という意味。藤原ヒロシ氏と高城剛氏が「10年経ったら解散しよう」と思ってつけた名前だったんです。僕が社長になって藤原ヒロシ氏はいなくなったんですけど、それは時がそうさせたんですよね。この世の中、10の中で8は悪い状態だと思うんです。でも残りの2で挽回する。そのくらいになるよう常に考えています。8の試練を乗り越え、辛いことをがんばって2ぐらいの喜びを得ようとする。それくらいのことです。苦労や試練の先に、思っていた仕事が巡ってくることが結構あります。仕事を得るということなんですかね。営業10件行って、2件ぐらいに聞いてもらえる。そういう感覚です。○ディケイドに天才はいない――所属俳優も増えて事務所の知名度も上がってきました。8が減ってきたんじゃないですか?それはあるかもしれないですね。でも、誰?と思ってらっしゃる方はまだまだたくさんいらっしゃるはずです。――この作品には「才能」がキーワードになっています。これまでたくさんの方々を見てこられて、あらためて「才能」についてはどのようなお考えですか?たぶん、天才はうちにはいないんだと思います。でも、みんな努力する人。役者をやっていると、バイトやらないと食えない人もいるでしょうし、ディケイドにも役をとるためにバイトで食いつないでいる役者もいました。そうやって苦労して1本仕事が決まっても、それが次につながるとは限らないですよね。いい結果を残さないと次につながらない。そういう爪あとを残すために彼らは日々努力をして、それを積み重ねているんだろうなと思います。(C)2017「AMY SAID」製作委員会■プロフィール佐伯真吾株式会社ディケイドの代表取締役。1991年3月28日より同社を立ち上げ、俳優・クリエーターのマネージメント、音楽レーベル運営、音楽、映像、イベントの企画制作プロデューサーなどを行う。国際映画祭の常連である河瀨直美監督をはじめ塚本晋也監督、山下敦弘監督、若松孝二監督、瀬々敬久監督、諏訪敦彦監督、大森立嗣監督らの国際的評価の高い映画作品に数多く俳優を輩出し、同社を牽引してきた。本作『AMY SAID エイミー・セッド』は、企画から全体プロデューサーしている。自社製作は『Playback』(11)に続き2作目。
2017年10月01日