公益財団法人国立劇場おきなわ運営財団による『歌舞劇「首里城物語」』が2022年2月26日(土) ~ 2月27日(日)に国立劇場おきなわ 大劇場(沖縄県浦添市)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 ⼤剛)にて発売中です。カンフェティにてチケット発売中! 公式ホームページ 2020年に逝拠された沖縄初の芥川賞作家、大城立裕氏は、数多くの新作組踊や沖縄芝居を創作いたしました。その中から、沖縄の復帰20周年記念企画として発表した歌舞劇「首里城物語」を復帰50周年の幕開けの企画として取り上げ上演します。組踊の誕生を軸に、首里城火災から復元する姿や、若い男女の恋愛模様を織り込みながら、芸能の力強さを発信します。今回は、中堅・若手の実演家を中心に、あらたに上演します。-演目-歌舞劇「首里城物語」作:大城立裕演出:嘉数道彦振付:佐辺良和音楽:具志幸大演出助手:川満香多【あらすじ】時は18世紀、国王の命を受けた踊奉行・玉城朝薫は、新たな芸能を創るため、山原から踊り上手な若者ジラーを首里に連れてきます。郷里に許婚ナビーを残し、城内で稽古に励むジラーでしたが、御内原の神女・思戸金と出会い、惹かれ合う様になります。しかし、道ならぬ二人の恋には思わぬ結末が待っていました…。朝薫の新たな芸能創作への情熱と使命感、それらが招いた悲劇への苦悩と様々な葛藤を乗り越え、新たな芸能「組踊」は誕生するのでした…。【配役】玉城朝薫:玉城 盛義国王:宮城 茂雄王妃:花岡 尚子思戸金:上原 美希子ジラー:大浜 暢明ナビー:横田 鈴奈仁王:髙宮城 実人カミジャー:玉城 匠ジラーの母:呉屋 かなめ踊り手:伊藝 武士佐喜眞 一輝知花 令磨山城 崚称髙井 賢太郎岡本 凌玉城 慶喜納 彩華玉城 知世髙里 風花仲嶺 夕理彩宮崎 花澄 入福浜 天乃平田 晴香【地謡】歌三線:玉城 和樹竹田 祐規大城 建大郎棚原 健太澤井 毎里子大濱 麻未親田 鈴箏:新垣 和代子糸数 成美林 杏佳フルート:渡久地 圭チェロ:山木 友喜子パーカッション:山城 美帆※演目・出演者等は変更となる場合がございます。あらかじめご了承ください。公演概要歌舞劇「首里城物語」公演期間:2022年2月26日 (土) ~2月27日 (日)会場:国立劇場おきなわ 大劇場(沖縄県浦添市)■ タイムテーブル2月26日(土)14時開演2月27日(日)14時開演※開場は、開演の45分前■ チケット料金全席指定:3,500円(税込) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年01月27日寺山修司といえば、昭和に人気を博した劇作家であり詩人で歌人。軽妙でリリカルな文体で描き出す世界は、どこか妖しく不可思議でありながら、人間くさくてユーモラスでもある。いまだ根強いファンを持つ作家の20代後期の作で未上演となっていた戯曲『海王星』が、山田裕貴さん主演で上演される。寺山修司が書き下ろした未上演の幻の音楽劇が初演。「これまで映画にも舞台にもなっていない戯曲を、みなさんの前でお披露目できるというのは、とても光栄なことです。ただ…めちゃくちゃ難しい。最近自分がお芝居をしていて、どういう気持ちでここにいるのかわからなくなることってなかったんです。でも今回の役に関しては、自分の中で気持ちがうまく繋がらなくて、その状態のままセリフを発するということに、すごく難しさを感じています」そして一拍おいてから「この人がどういう声で話すのか。どんな間で、それがどれくらいの音圧でしゃべるのか。今、呼吸はどうなっていて、心臓のバクバクはどれくらいなのか。そんなところから悩んじゃって…」とも。つまり普段、そこまで追求し演じているということなのだろう。「考えすぎなのかもしれないですけど、一回違うと思い始めると細かいところまで気になってきちゃうんです。共演のみなさんはまず動いてみるということができるのですが、映像の仕事が圧倒的に多い僕には、頭と体を切り離して動くということがなかなかできないんですよね」演じるのは、船の難破で父を亡くした青年・猛夫。ホテルを舞台に、父への想いと、父と再婚するはずだった魔子に惹かれていく自身の恋心との狭間で苦悩する姿が描かれる。「演出の眞鍋(卓嗣)さんから説明していただいたのは、登場人物はみな、追い求める理想像とは違う現在の自分に劣等感を抱いている人たちだということ。その劣等感やコンプレックスを隠すために、夜な夜な集まってドンチャン騒いで寂しさを紛らわしている。理想と現実という両極端のベクトルが反作用を起こして、気持ちの中でゴチャゴチャしてほしい、役としても俳優としても内側にカオスを持っていてほしいと言われました。だから今は、そのカオスを一生懸命やろうとしています」いつだってそうやって悩み考えて考えて、あのどこか生々しさを感じさせる役が生まれてくるのだ。「不器用だからめちゃくちゃ考えるんだと思います。そうしながらやっていくうちに、わからなかった感情に気づいたり、しゃべる声や動きがしっくりくる瞬間があるんです。ただ、しっくりきすぎるのもよくなくて。きれいに見えすぎてしまっていないかということも、疑ってみないといけない。…なんか嫌なんです、“お芝居です”と見えてしまうことが。誰かの人生をのぞいているような感覚で観てもらいたいんです」映画にドラマにと今年最も活躍した俳優のひとりと言っていいだろう。「僕はまだ、こんな作品をやりたいです、と自分から言えるような俳優ではないと思っています。ただ、熱量を持って僕にぜひと言ってくださるならば、できる限り応えたいと思っています。今回の舞台もそう。声をかけてくださった方たちもだし、僕が出てるからと観に来てくださる方々、みんながよかったと思えるものにできたらと思っています。今回くらいカオスを抱えた役を演じるのは、もしかしたら初めてかもしれない。今はまだどう表現したらいいかわからないけれど、だからこそ表現の仕方が見つかった瞬間、すごく気持ちがいいかもしれないです」PARCO PRODUCE 2021 音楽劇『海王星』戦艦の船底にあるホテル。父親が乗った船が難破し、悲しみに暮れる猛夫(山田)の前に、父の婚約者の魔子(松雪)が現れる。互いに惹かれ合うが、死んだはずの父(ユースケ)が生還し…。12月6日(月)~30日(木)渋谷・PARCO劇場作/寺山修司演出/眞鍋卓嗣音楽・音楽監督/志磨遼平(ドレスコーズ)出演/山田裕貴、松雪泰子、清水くるみ、伊原六花、大谷亮介、中尾ミエ、ユースケ・サンタマリアほか全席指定1万3000円ほかパルコステージ TEL:03・3477・5858大阪、富山、宮城、青森、名古屋公演あり。やまだ・ゆうき1990年9月18日生まれ。愛知県出身。最近の出演作に、映画『東京リベンジャーズ』『燃えよ剣』など。主演ドラマ『志村けんとドリフの大爆笑物語』(フジテレビ系)は今月放送予定。ジャケット¥91,300パンツ¥52,800(共にコモン スウェーデン/ジェムプロジェクター TEL:03・6418・7910)シューズ¥51,700(フェランテ/トゥモローランド TEL:0120・983・522)その他はスタイリスト私物※『anan』2021年12月8日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・森田晃嘉ヘア&メイク・小林純子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2021年12月06日ふいに聞こえてきたセリフから妄想を展開する、劇作家の根本宗子さん。今回の妄想主役は「体格のいい男性」です。執筆期になると決まって行く喫茶店やホテルのラウンジがあることはたびたび書いているからずっと読んでくださっている方々(毎週これを欠かさず読んでいる人って編集者の方以外そもそもいるのか?という「わたしのことなんて誰も気にしちゃいない」モードが今急に襲ってきた)はご存知であろう。最近はなるべく早い時間から仕事を始めたいため、喫茶店か美術館の中のカフェなどに午前中から行くようにしている。外にさえ出てしまえば仕事はするので、家でぐだぐだしてしまうあの午前中をなんとかやめたいという思いからだ。10月までは舞台をやっていて、あまり喫茶店で執筆をすることがなかったので久々にいつもの場所へとやってきた。「あのー、これ、言っておいた方がいいかもしれないなぁ…」という男性の声が聞こえた。声のする方を見ると、高級そうなスーツに身を包み、きっと良い暮らしをしているのだろうなという品の良い中年男性が自分よりも年下のスーツの男性たちに話していた。どうやら取引先との商談のようだ。「あのねー、これは伝えておいた方がいいと思うんですよねー」と何度もその男性は言って、その先を焦らしてなかなか言わない。なんだろう、そんなに重大な何かがあるのか?とわたしも若いスーツの男性たちも耳を傾けた。「これだけは言っておいた方がいいかもしれない。わたしね、パソコンが苦手です」妄想スイッチON!え?…え?文字で伝わらないのがもどかしいが、この男性のトーンはとんでもないことを伝えるようなトーンだったんですよ。と同時にわたしの耳は彼の声と喋り方に聞き覚えを感じた。ロバート秋山さんだ。もちろん別人だが見た目も声もそっくりなのだ。わたしは今、クリエイターズ・ファイルの収録を目撃しているのかもしれない、と思って再度彼のいる方を見ると、さっきまで品よく見えていた彼の着ているスーツが「後輩からもおしゃれと慕われ、大金を動かしている人風のスーツ」に見えてきた。「パソコンが苦手」発言が彼なりのギャグなのかまじなのか、わたしはこの日閉店まで考えたがわからなかった。ねもと・しゅうこ1989年、東京都生まれの劇作家。月刊「根本宗子」主宰。2015年に上演した舞台『もっと超越した所へ。』が、山岸聖太監督、前田敦子×菊池風磨出演で映画化決定。原作と脚本を務める。2022年公開。※『anan』2021年12月8日号より。(by anan編集部)
2021年12月05日直木賞作家・辻村深月による、アニメ業界で奮闘する者たちを描いた小説の映画化『ハケンアニメ!』。この度、本作劇中アニメのクリエイター陣が発表され、各作品のアニメ場面写真も解禁となった。主演の吉岡里帆をはじめ、中村倫也、柄本佑、尾野真千子といった実力派キャスト陣による珠玉のドラマはもちろんのこと、本作の大きな見どころの一つが、劇中で覇権を争う2作のアニメーションのクオリティの高さ。現在、東映映画YouTubeチャンネルで特報が配信中の「サウンドバック 奏の石」(斎藤瞳監督)と「運命戦線リデルライト」(王子千春監督)は、その出来栄えがアニメファンを中心に話題を集めている。吉岡さんが演じる斎藤瞳が所属する「トウケイ動画」と、中村さんが演じる伝説の天才監督、王子千晴が所属する「スタジオえっじ」、カラーの異なる2本のアニメを制作するのは、いずれも人気実力ともに日本を代表するトップクリエイター陣だ。吉岡里帆:瞳は王道!ジュブナイルロボットアニメ瞳が監督する「サウンドバック 奏の石」を手掛けるのは、「テルマエ・ロマエ」「若おかみは小学生!」などで知られる谷東(たにあづま)監督。キャラクター原案を担当したのは、「ツルモク独身寮」「ワタナベ」「ショコラ」などの作品を手掛けた漫画家・アーティストの窪之内英策。メカデザインは、「機動戦士ガンダム00」シリーズや「マジンガーZ/INFINITY」などで知られるメカニックデザイナーの柳瀬敬之が担当。主人公トワコと仲間たちが、のどかな田舎町を突然襲った巨大ロボットから平和を守るため、音を奏でて戦うというストーリー。窪之内氏の写実的で繊細な人物描写と、柳瀬氏がデザインした、吸い込む音で姿が変わる巨大ロボットのコンビネーションで描く、王道ジュブナイルロボットアニメーションが誕生した。中村倫也:王子、ポップなキャラデザとパワフルな作画に注目対して王子監督が生み出す「運命戦線リデルライト」の監督は、「プリキュア」シリーズほか「ONE PIECE STAMPEDE」などで知られる大塚隆史監督。キャラクター原案は、「デュラララ!!」「ハイキュー!!」「魔法少女まどか☆マギか」などで知られる岸田隆宏が務めた。魔法少女・充莉が自らの魂の力で乗るバイクを変形させて、ライバルたちとレースで競い合うというストーリー。最大の特徴は主人公たちが1話ごとに1歳年を取るという設定。そこに、ポップで可愛らしいキャラデザとパワフルな作画のギャップが加わり、天才・王子の世界観が表現された。原作者の辻村さんも、小説ではアニメが面白く見えるようにこだわりを持って執筆しており、今回の映画化にあたり最も期待していた部分がアニメのクオリティだと語る。さらに辻村さんは劇中アニメの制作にあたり、映画で全編使われるわけではないエピソードを含む各12話分のプロットを自ら書き下ろし。単独でアニメシリーズになりうるほど高い完成度を誇るプロットに、映画スタッフやアニメパートスタッフも感激し、現場全体が熱意に満ちた状態で渾身の劇中アニメ制作が進められた。なお、本作の原作本の出版元・マガジンハウスの雑誌「anan」の12月1日発売号にて、本作のアニメクリエイター陣のインタビューが掲載中となっている。『ハケンアニメ!』は2022年5月、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月、全国にて公開予定©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2021年12月01日ふいに聞こえてきたセリフから妄想を展開する、劇作家の根本宗子さん。今回の妄想主役は「ねー(ニコニコ)の人」です。みんな否定をされるのは嫌だ。わたしだってそうだ。こんな仕事をしていると余計そうだ。でも、一方で否定と受け取らず、「意見」として他者の声に耳を傾けることも大事だ。年々これは感じるし、誰の言葉も聞かなくなったら終わりだ、と日々思う。何事もバランスだ。バランス感覚は年齢とともに良くなるもんでもなく、うまくいったりいかなかったりする。成長ってなんなんだ本当に。言われて傷ついたり腹が立ったりしたことに対してきちんと怒りを見せることも誠実さだと思う。でも怒りすぎて正しいはずの人が損をしているのだってたくさん見てきた。白と黒はいつだって反転してしまう。そんな世の中を切り取って、どうにか「正しい人が正しい選択をしている瞬間」をいろんな角度で描き、それが観客の中で何か作用したらいいと願って演劇をやってきた。先日幕を下ろした自分の演劇をやりながらそんなことを考えていた。そうしたら、否定されても負けない最強のおじちゃんを目撃した。相手は完全におじちゃんをなめてかかっている。普通ならおじちゃん激おこだ。しかし、否定されるたび、マスクをしていてもわかる満面の笑みで「ねー、そうだよねーん」と返している。すごい、凄すぎる。妄想スイッチオン!キレるおっさんばかりを10代から間近で見てきたわたしは驚きだった。こんな言われ方しても壊れたおもちゃみたいに笑って「そうだよねーん」を出せるおじちゃん、あんた一体何者だ。もちろんこれを見習いたいとは思わないし、見習えないのだが、でもこのくらい相手との噛み合わなさを楽しんでリズムとテンポのみで返事をしていく技術って意外と生きていく上で必要なのかもしれない。とわたしは思った。怒らなくて済むならなるべく怒りたくない。みーんながそう思ってるよね。今週はファミレスでハンバーグでも食べよ。仕事外の時間の使い方を全部うまくやってハッピーに過ごしましょう。なんだこの占いの締めみたいな締め方。また来週。ねもと・しゅうこ1989年、東京都生まれの劇作家。月刊「根本宗子」主宰。全公演の作・演出を担当。LINE「VISION」にて、企画・脚本・演出・監督を務め、田村芽実を主演に迎えた映像コンテンツ『20歳の花』が配信中。※『anan』2021年11月3日号より。(by anan編集部)
2021年10月26日複数の作家・演出家が、アクション、マイム、音楽劇、ワードレス殺陣芝居など、さまざまなジャンルの作品を生み出し、上演するスタイルの劇団壱劇屋。8月に東京での開催を断念した「wordless × 殺陣芝居」シリーズの『二ツ巴-Futatsudomoe-』が、12月22日(水)から26日(日)まで、東京・池袋シアターグリーンBIG TREE THEATERで開催されることが決定した。物語は、水が枯渇したとある都に住む2組の父と娘の話。その地では、神に祈り水を乞うための儀式として、人柱を捧げる因習があった。農夫である父と共に暮らす娘・ともえと、都を治める王を父に持つ娘・トモヱ。過酷な運命に身を置く少女達の物語。本作には台詞が一切無く、2018年に大阪で開催された際は、1500名を動員した。農夫である父と共に暮らす娘・ともえ役には須藤茉麻、都を治める王を父に持つ娘・トモヱ役には2018年に同役を演じた谷川愛梨を迎える。チケットは11月中旬より、各ファンクラブサイトから受付開始予定。
2021年10月01日フランスで1637年に初演された劇作家ピエール・コルネイユの一大ヒット作『ル・シッド』が7月21日~25日東京池袋のあうるすぽっとで日本初上演される。相思相愛の恋人同士が互いの親の諍いの為に仇同士となってしまう関係性を軸に、登場人物全てが誰一人妥協せず、自分の誇りを曲げず、絶対的な恋の炎に身を焼いていく恋愛劇に、元宝塚歌劇団男役スターとして活躍した宇月颯、十碧れいや、麻央侑希が顔を揃えた。宇月「カスティーユ国の王女を演じます。騎士ロドリグに恋していますが、王女としての責任、国への愛に懸けて、この恋を葬らなければならないと、まさに恋と戦をしている強さを持った女性なので、双方への強い思いを表現したいです」十碧「私の演じる騎士ロドリグは、恋人のシメーヌへの愛、父への愛、国への愛と全てに対して強い愛を持っている人で、王女様からも思われているのに相応しい人物で在りたいです。あくまでも人間ロドリグを演じるので男役の型は意識していませんが、それでもマント捌きや剣の扱い方など宝塚で培ったものは活かしたいですね」麻央「ひたすらシメーヌを愛していると表明する場面が多い騎士・サンシュ役ですが、他の方の台詞で『ロドリグに劣らぬ人物』と称されているので、それが背中からにじみ出るように演じたいです」宇月「サンシュって登場の度に場の空気を変えるキーパーソンだよね!いまそれを言う?みたいなところがあって(笑)」麻央「あれだけシメーヌに告白しているのに、ロドリグとシメーヌの背中も押すので、大きな人だなぁと」宇月「私は絡みが全くないからサンシュと芝居がしたかった!ロドリグは王女も自分を好きなことに気づいているのかな」十碧「それですよね!私は台本3ベージ分の長台詞で、皆自分がどんなに相手を思っているかだけを語り続けるから(笑)」麻央「会話になってないんじゃ?って思いますよね(爆笑)」宇月「そう、この物語進んでる?とさえ思うけど、実はちゃんと進んでいるのが凄い!フランスの古典劇と聞くと難しく思われるかも知れませんが、決してそんなことはなくお客様に自由に受け取っていただける作品なので、是非楽しみに劇場にいらして下さい!」文:橘涼香
2021年07月21日燃え殻の書き下ろし小説が、成田凌、黒木華を出演者に迎え、朗読劇となることが発表された。作家である「私」が「謎の美女」により現実とも虚構ともつかない世界に誘われるという物語の本作、朗読劇「湯布院奇行」。その主人公、小説家の「私」役を務めるのは、NHK連続テレビ小説『おちょやん』などの好演で全国的な人気を誇る成田凌。そして彼を翻弄する「謎の美女」役を、映画・ドラマ・舞台と数多くの作品で主演を務める実力派女優・黒木華が演じる。脚色は『シリーズ江戸川乱歩短編集』の奇才・佐藤佐吉、演出を映画『花束みたいな恋をした』の土井裕泰が務める。9月28日(火)から30日(木)まで新国立劇場 中劇場にて。●コメント成田凌脚本を読ませていただき、次の行にどんな言葉が来るのか、わくわくが止まりませんでした。少し不気味で、美しく愛おしい、湯布院奇行という旅に没入していただきたいです。信頼できるスタッフ、心強い共演者と共に、初の朗読劇を楽しみたいと思います。黒木華土井監督と成田凌さんと朗読劇という形で、燃え殻さんの不思議で色気のある世界をどう広げられるのか、想像を膨らませて楽しみたいと思います。燃え殻宛のない物語を書いてしまったのは、去年の夏のことでした。今回のプロデューサーの佐井さんに、その物語を送ったことですべてが始まりました。素晴らしいスタッフの方々、出演者の皆さまと一緒に作品作りができることを、期待半分、恐怖(武者震いと思いたい)半分で、いまから楽しみにしております。佐藤佐吉デビュー作からファンだった燃え殻さんの原作。演出が土井裕泰監督。脚本のお話をいただいた時お断りする理由は全くなかったので即答でお引き受けしました。今までとはちょっと肌触りの違う燃え殻ワールドご堪能ください。土井裕泰「これを朗読劇にしたいのです」とある日私のPCに送られてきたファイルには“湯布院奇行”という標題が記されていて、その時抱えていたままならぬ仕事のままならなさにほとほと疲弊しきっていた私は、何かから逃れるように、縋るようにそのファイルを開き、頁をめくってしまった。そしてその日から、この不可思議な「湯布院」の物語と人間たちが私の中に棲みついてしまったのです。成田凌、黒木華という敬愛する俳優達との、この奇しき道行きがどこにたどり着くのか、「朗読劇」という新しい扉の前で立ち竦みながらも、わくわくと震えが止まらないでいるのです。朗読劇 「湯布院奇行」9月28日(火)〜9月30日(木)原作:燃え殻脚本:佐藤佐吉演出:土井裕泰出演:成田凌、黒木華会場:新国立劇場 中劇場公式サイト:
2021年07月20日成田凌と黒木華が出演する朗読劇「湯布院奇行」の上演が決定した。本作は、作家である「私」が、「謎の美女」により、現実とも虚構ともつかない世界に誘われるという物語。「ボクたちはみんな大人になれなかった」の燃え殻による書き下ろし原作を、「シリーズ江戸川乱歩短編集」の奇才・佐藤佐吉が脚色し、『花束みたいな恋をした』の土井裕泰の舞台初演出という、豪華クリエイター陣が集結している。そして、『くれなずめ』『竜とそばかすの姫』、連続テレビ小説「おちょやん」などに出演する成田さんが、小説家の「私」。「凪のお暇」「イチケイのカラス」が話題となり、今後は主演映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』の公開を控える黒木さんが、彼を翻弄する「謎の美女」を演じる。成田さんは「脚本を読ませていただき、次の行にどんな言葉が来るのか、わくわくが止まりませんでした」と物語の印象を明かし、「信頼できるスタッフ、心強い共演者と共に、初の朗読劇を楽しみたいと思います」と意気込む。黒木さんも「土井監督と成田凌さんと朗読劇という形で、燃え殻さんの不思議で色気のある世界をどう広げられるのか、想像を膨らませて楽しみたいと思います」とコメントしている。なおチケットは、9月1日(水)に一般発売、8月11日(水)にオフィシャル抽選先行が行われる。朗読劇「湯布院奇行」あらすじ「今、君の目の前に立っている女を私たちで共有しないか?」店先で女から渡された手紙に、そう書かれていた。都会での生活に疲れた作家の「私」は、知り合いの芸術家の勧めで湯布院へ向かう。そこで瓜二つの2人の女性に翻弄され、徐々に現実と虚構の境がわからなくなっていき――。朗読劇「湯布院奇行」は9月28日(火)~30日(木)新国立劇場 中劇場にて上演。(cinemacafe.net)
2021年07月20日関西を拠点に2008年高校演劇全国大会出場メンバーで結成。複数の作家や演出家が在籍し、 アクション、マイム、音楽劇、ワードレス殺人芝居など、さまざまなジャンルの作品を生み出し上演してきた「劇団壱劇屋」。2021年2月には活動拠点を拡大すべく数名の劇団員が東京支部を発足し、注目を集めていた彼らだが、2021年8月11日(水・祝)~15日(日)、東京・池袋シアターグリーンBIG TREE THEATERにて、「wordless × 殺陣芝居」シリーズの東京単独公演が決定した。「wordless × 殺陣芝居」シリーズとは 台詞は一切無し、 言葉は黙して殺陣で紡ぐというスタイルの作品で、今回上演されるのは 劇団10周年記念企画のひとつとして2018年に大阪で上演した『二ツ巴-Futatsudomoe-』。 1,500名動員を突破し、 多くの観客が涙した作品だ。物語は、 水が枯渇したとある都に住む2組の父と娘の話。その地では、 神に祈り水を乞うための儀式として、 人柱を捧げる因習があった。農夫である父と共に暮らす娘・ともえと、 都を治める王を父に持つ娘・トモヱ。過酷な運命に身を置く少女達の物語を「wordless × 殺陣芝居」で描く。農夫である父と共に暮らす娘・ともえ役には須藤茉麻、 都を治める王を父に持つ娘・トモヱ役には2018年に同役を演じた谷川愛梨を迎える。チケットは、6月4日(金)より各ファンクラブサイトから受付を開始する。拠点を拡大し、新たな一歩を踏み出す彼らのひと味違う“二ツ巴”を体感してほしい。須藤茉麻谷川愛梨『二ツ巴-Futatsudomoe-』【日程】2021年8月11日(水・祝)~15日(日)8月11日(水・祝) 18:308月12日(木) 14:00◆/18:308月13日(金) 14:00◆/18:308月14日(土) 13:00◆/17:008月15日(日) 12:00◆/16:00※受付開始は開演60分前/開場は30分前※今後の社会情勢により、 開場・開演時間が変更になる可能性があります※◆回終演後にアフターイベント開催予定(内容変更に伴う払戻はございません、 予めご了承ください)【会場】池袋・シアターグリーンBIG TREE THEATER(〒171-0022 東京都豊島区南池袋2-20-4)【チケット料金】S席:6,500円A席:6,000円学生席:3,500円(学生席は一般発売より販売開始)※全席指定※未就学児入場不可※学生席は入場時に要学生証提示【キャスト】須藤茉麻谷川愛梨岡村圭輔/柏木明日香/小林嵩平/竹村晋太朗/西分綾香/丹羽愛美/長谷川桂太/日置翼/藤島望河合龍之介日南田顕久淡海優衛藤大輝黒田ひとみ長谷川奏羽多野瑛一【スタッフ】作・演出・殺陣:竹村晋太朗(劇団壱劇屋)舞台監督:新井和幸舞台美術:愛知康子照明:小野健((株)NEXT lighting)音響:椎名晃嗣(劇団飛び道具)サンプラー:大谷健太郎(S.H.Sound / BS-II)サンプラー補助:佐松翔衣装デザイン:植田昇明(kasane)衣装製作:山井ひなた(octpot)小道具:小林嵩平(劇団壱劇屋)ビジュアル写真撮影:TAIKI KOGUCHI舞台写真撮影:河西沙織(劇団壱劇屋)劇団制作:西分綾香(劇団壱劇屋)当日運営:中宮智彩(江古田のガールズ)広報協力:四方香菜(しかプロ)■壱劇屋プロフィール関西小劇場界隈で年がら年中活動している劇団。作風を定めることなく、 幅広いジャンルで作品を発表しているのが特徴。マイムやダンスといった身体表現を織り交ぜた演劇公演や劇中に台詞が一切無い、「wordless × 殺陣芝居」をシリーズ展開している。NHK朝ドラ「まんぷく」、 舞台「刀剣乱舞」など数多くの作品に出演する劇団員・竹村晋太朗によって2015年から始動した、「wordless × 殺陣芝居」シリーズ。2017年に大阪5カ月連続上演、 2018年に東名阪三都市ツアー、 2019年に大阪公演単独で2,000名動員達成と、 精力的に創作を続けている。2019年より、 「壱劇屋東京支部」を発足し、 全国区での知名度獲得と活動拠点拡大を目指している。
2021年06月03日複数の作家・演出家が、アクション、マイム、音楽劇、ワードレス殺陣芝居など、さまざまなジャンルの作品を生み出し、上演するスタイルの劇団壱劇屋。2021年8月11日(水・祝)から15日(日)に東京・池袋シアターグリーンBIG TREE THEATERにて、台詞は一切無し、言葉は黙して殺陣で紡ぐ「wordless × 殺陣芝居」シリーズの東京単独公演が決定した。今回の上演作品は、劇団10周年記念企画のひとつとして2018年に大阪で上演した『二ツ巴-Futatsudomoe-』。1500名動員を突破し、多くの観客が涙した作品である。物語は、水が枯渇したとある都に住む2組の父と娘の話。その地では、神に祈り水を乞うための儀式として、人柱を捧げる因習があった。農夫である父と共に暮らす娘・ともえと、都を治める王を父に持つ娘・トモヱ。過酷な運命に身を置く少女達の物語を「wordless × 殺陣芝居」で描く。農夫である父と共に暮らす娘・ともえ役には須藤茉麻、都を治める王を父に持つ娘・トモヱ役には2018年に同役を演じた谷川愛梨を迎える。チケットは、6月4日(金)より各ファンクラブサイトから受付を開始する。大阪公演とは一味違う二ツ巴を是非体感してほしい。
2021年05月31日現代アートにおける、若手作家の登竜門的美術展『VOCA展』。今年は『VOCA展 2021 現代美術の展望-新しい平面の作家たち』として、2021年3月30日(火)まで、東京・上野の森美術館で開催されている。『VOCA展』が若手作家の登竜門と言われる理由は、40歳以下の作家を全国の美術館学芸員などが推薦し、その作家たちが平面作品の新作を発表する、という点だ。さらにユニークなのは、厚さ20cm以内であれば、絵画、写真、映像、インスタレーションなど、どんな平面作品でも出品可能ということ。これまでにやなぎみわ、蜷川実花、清川あさみ、山口晃などが、受賞者に名を連ねている。コロナ禍ながら、本年度は30組の作家が出品。5人の選考委員によってVOCA賞他が選出され、展覧会の前日には授賞式が行われた。登壇した作家は、VOCA賞を受賞した尾花賢一のほか、鄭梨愛、水戸部七絵、岡本秀、弓指寛治の5人。尾花は「自分が制作を進める上で、どんな場所で展示されるかが大きなモチベーション」と語り、まずは美術館のある上野という土地について調べることから始めたという。そして知った上野の明るさと暗がり、さらに過去と現在をもひとつの作品の中に存在させることで、観る者にさまざまなことを訴え、考えさせる。VOCA奨励賞受賞の鄭は、コロナ禍における制作を「大変厳しいものだった」と振り返る。「さらに今の情勢抜きでは制作出来なかった」と語る彼女の作品は、韓国から日本に渡ってきた祖父母の姿を5枚の布に写し出し、それらを重ねることで祖父母の生きてきた時間、さらには人間の死生観までも表現する。同賞受賞の水戸部は、「コロナ禍においてSNSに流れる世界のニュースを絵日記として描いた作品」と説明。絵の具を非常に厚く塗り重ねた重量感のある作品で、平面作品とは思えないほどの圧倒的なパワーを放つ。VOCA佳作賞を受賞したのは岡本と弓指のふたり。さらに岡本は大原美術館賞も受賞したが、「他の作品を見ると全然慢心していられない」と姿勢を正す。しかし襖とその先の世界という奥行きを平面で見せてしまうその作品は、本展の中でも唯一無二だ。弓指は、新型コロナをイメージし縫いつけたというジャケット姿で登壇。本人の明るいキャラクターは一瞬作品そのままにも思えるが、実はそこに描かれているのは、満蒙開拓民たちの悲しい歴史だ。タブーから目をそらさない、弓指の強い意志を印象づけた。現代アートの今後を知る上でも、見逃して欲しくない美術展である。取材・文:野上瑠美子
2021年03月12日『進撃の巨人』『プロメア』など数々の大ヒットアニメ作品の劇伴音楽を担当する劇伴作家・澤野弘之が手がけるボーカルプロジェクト、SawanoHiroyuki[nZk](サワノヒロユキヌジーク)。3月3日(水)に発売される通算4枚目となるオリジナルアルバム『iv』(読み:イヴ)に収録される、ボーカリストが明かされていなかった未発表曲「Till I」のボーカリストが話題のシンガーソングライター・優里であることが発表された。路上でのライブ活動やSNSから有名となった優里は、インディーズ配信曲「かくれんぼ」と「かごめ」が2作連続でiTunes総合TOP10入りを果たし、「ドライフラワー」が各音楽配信サービスのランキングで軒並み1位を獲得するなど、若者を中心に注目を集める新時代のアーティストだ。トレンドの最先端を担う優里が歌う「Till I」を楽しみにしてほしい。さらに、アルバム『iv』には残り3曲の未発表楽曲が存在している。未発表楽曲の情報は本日オープンしたアルバム特設サイトに順次掲載されるので、続報に期待してほしい。優里コメント今回澤野さんのアルバムに参加させて頂くことになりまして、とても嬉しい気持ちです。初めてのボーカル参加ということで最初にお話をいただいた時は大丈夫かなと不安がいっぱいでしたが、今回の「Till I」を聴かせてもらって、この曲を歌えることになって、歌いたい!という気持ちが溢れ、澤野さんの音楽に交わりたいという想いで歌うことができました。聴いてくれる皆さんに、優里の歌でよかったと思ってもらえると嬉しいです。澤野さんありがとうございました!澤野弘之コメント優里さんの歌声を初めて聴いた時、一瞬で声・パフォーマンス・エネルギーに物凄くひかれました。今後の活躍が楽しみなアーティストであり、ご一緒できた事を本当に嬉しく思っています。バラード楽曲ではありますが、彼の表現する静と動のコントラストによって楽曲をよりエモーショナルにして貰えたと感じています。レコーディングを夢中にさせてくれる素晴らしいボーカリスト、メロディ・アレンジだけでは広げる事のできない世界観に持ち上げて頂けた事に本当に感謝しています。【リリース情報】SawanoHiroyuki[nZk] 4th アルバム『iv』発売日:3月3日(水)特設サイト: <形態>・初回生産限定盤(CD+BD)4,700 円+税・通常盤(CD)3,200 円+税<CD収録曲>M01:「IV」M02:「タイトル未定」M03:「タイトル未定」M04:「Chaos Drifters」by SawanoHiroyuki[nZk] / Jean-Ken JohnnyM05:「N0VA」by SawanoHiroyuki[nZk] / naNamiM06:「Tranquility」by SawanoHiroyuki[nZk] / AnlyM07:「time」by SawanoHiroyuki[nZk] / ReoNaM08:「Trollz」by SawanoHiroyuki[nZk] / LacoM09:「Till I」by SawanoHiroyuki[nZk] / 優里M10:「Felidae<iv ver.>」by SawanoHiroyuki[nZk] / Gemie&TielleM11:「CRY」by SawanoHiroyuki[nZk] / mizukiM12:「タイトル未定」M13:「OUT OF “ⅳ”」BONUS TRACKM14:「Barricades 」by SawanoHiroyuki[nZk] / YoshM15: 「Keep on keeping on 」by SawanoHiroyuki[nZk] / mizukiM16:「NEXUS 」by SawanoHiroyuki[nZk] / Laco<BD収録内容>※初回生産限定盤のみ『澤野弘之 LIVE “BEST OF VOCAL WORKS [nZk]” side SawanoHiroyuki[nZk]』ライブ映像収録【ライブ情報】『澤野弘之 LIVE【emU】2021』出演者:澤野弘之(Piano) / 飯室博・椿本匡賜(Guitars) / 田辺トシノ(Bass) / 藤崎誠人(Drums)/ KOHTA YAMAMOTO(Synthesizer) / 相澤光紀(Manipulation) / 室屋光一郎(Violin)/ 水野由紀(Cello) / 藤田乙比古(Horn)GUEST VOCAL:Eliana / Gemie / Laco(EOW) / mpi会場:立川ステージガーデンチケット:全席指定 8,000円(税込)※3歳以上チケット必要、3歳未満入場不可お問合わせ:DISK GARAGE 050-5533-0888(平日 12:00~19:00)特設サイト: ●DAY1・澤野弘之 LIVE【emU】2021 feat. Tetsuro Araki日程:2月13日(土)OPEN 16:00 / START 17:00演奏予定作品:アニメ『ギルティクラウン』 / アニメ『甲鉄城のカバネリ』 / アニメ『進撃の巨人』●DAY2・澤野弘之 LIVE【emU】2021 feat. Tetsuro Araki日程:2月14日(日)OPEN 13:00 / START 14:00演奏予定作品:アニメ『ギルティクラウン』 / アニメ『甲鉄城のカバネリ』 / アニメ『進撃の巨人』・澤野弘之 LIVE【emU】2021日程:2月14日(日)OPEN 17:00 / START 18:00演奏予定作品:『プロメア』メドレー / 『進撃の巨人』組曲 / アニメ『七つの大罪』/ アニメ『ギルティクラウン』/ アニメ『キングダム』他
2021年01月22日複数の作家・演出家が、アクション、マイム、音楽劇など、さまざまなジャンルの作品を生み出し、上演するスタイルの劇団壱劇屋。新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期となった彼らの新作舞台『BLACK SMITH』の振替公演が、2月19日(金)より、大阪ビジネスパーク 円形ホールにて開催される。劇団壱劇屋 『BLACK SMITH』チケット情報『BLACK SMITH』は、竹村晋太朗が作・演出を手掛ける“殺陣シリーズ”の最新作。過去最大のスケールで挑む、四方囲み舞台でのアクション大作だ。物語の舞台はいつかの、どこかの国。人々が神という存在を視認できる場所。人あらざる酒呑童子が人々を襲い、暴虐の限りを尽くす頃。酒呑童子を討伐すべく集結した7人の鍛冶師たち…。神に選ばれし鍛冶師たちによる、天を衝き血を揺るがす世紀の大合戦が繰り広げられる。壱劇屋の殺陣シリーズは、主要となるキャラクターたちの他、“アクションモブ”と呼ばれるアンサンブルキャストが縦横無尽に舞台を駆け巡り、次々とスピード感あふれる怒涛の殺陣芝居を展開。今回は劇団員に加え、個性あふれるゲストが集結、総勢31人が四方囲みのステージを所せましと暴れまわる。めくるめくアクションの連続に目を奪われること間違いなしだ。公演延期から約10か月、彼らの中に溜めこまれたエネルギーが今回のステージで爆発するはず。彼らのほとばしる“熱”をぜひ劇場で感じてほしい。公演は2月19日(金)から21日(日)まで、大阪ビジネスパーク 円形ホールにて。チケットの再販は12月28日(月)より。
2020年12月25日“ダンス劇”というオリジナルジャンルの表現で、2015年からコンスタントに作品を発表している「踊る『熊谷拓明』カンパニー」。その7作目となる新作『舐める、床。』が12月10日(木)より東京・あうるすぽっとにて上演される。カンパニー名に自身の名を冠する熊谷拓明は、シルク・ドゥ・ソレイユ『believe』に2008年~2011年まで出演、独創的な即興のソロパートで米・ラスベガスで850ステージに立ったという経歴の持ち主で、帰国後は“ダンス劇作家”として作・演出・振付、そして出演もこなしている。その作品は、台詞を喋っていた演者が揺れるように動き出したかと思うと、いつしか激しい踊りとなり、さらに鼻歌のような歌がいつしか場面を動かすような音楽になり、音楽が去ると客席にテーマを投げかけるような台詞が始まる……と、まるで映画のような情景描写を浮かび上がらせる構成に。緩やかにカジュアルに社会を見つめた独自のスタイルを確立し、独特の感性で紡ぎ出す台詞と独創的な振付で物語を繰り広げている。今作『舐める、床。』では、他人の意見と感情に必要以上に耳を澄ませて、自分の心を思いやる余裕がなくなった人たちの心が生んだガラスの部屋という設定。そこに集まる8人は、自分の形を人の言葉で知り、一喜一憂する日々。そんな日々に心が馴染まない男は、オブラートに包まれた自分の“本当”に向かって歩き出す……。上演に向けて熊谷は「こんな時期に、という言葉を良く見聞きしますが、私にとってはいつの時期も覚悟と勢いが必要な作業でした。自分の家で、自分ひとりで上演するわけではないので、それなりの責任も必要だったのだと思います。そんな中で一番大きな原動力となっているのは、この小さな世の中に必死でしがみついて、自分の作品を残したいという強い想いなんです。今回は私が思う『愛』を悔いなく描きたく思います」とコメント。出演は、カンパニー初のオーディションを経て決まった松田尚子、原田茶飯事、岡本優、東出宜子、原佑介、稲葉由佳利、福島玖宇也、そして熊谷。美術、照明、音楽を巧みに組み込んだ空間で身体性の高い表現を披露する。なお、12月12日(土)に熊谷と近藤良平によるポストトークを開催。詳細は公演公式サイトを。文:伊藤由紀子踊る「熊谷拓明」カンパニーダンス劇『舐める、床。』作・演出・振付:熊谷拓明美術:上領大祐照明:山口明子[Theatre Kanpany]音楽・音響:余田崇徳出演:松田尚子 / 原田茶飯事 / 岡本優 / 東出宜子 / 原佑介 / 稲葉由佳利 / 福島玖宇也 / 熊谷拓明2020年12月10日(木)~12月13日(日)会場:東京・あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)■ポストトーク開催!12/12(土)13:30の回終演後、近藤良平×熊谷拓明によるポストトーク開催(開催回のチケットをお持ちの方が参加可能)
2020年12月08日ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW Anderson)とアイルランドの劇作家オスカー・ワイルドのコラボレーションによるカプセルコレクションが登場。2020年12月1日(火)よりジェイ ダブリュー アンダーソンの公式サイトにて先行発売された後、ジェイ ダブリュー アンダーソン取扱店にて順次展開される。オスカー・ワイルドは、18世紀に活動していたアイルランド出身の小説家、詩人、劇作家。『ドリアン・グレイの肖像』『サロメ』などを代表作に持ち、文学的な側面だけでなく当時の社会規範に逆らった反逆的で大胆な発言や姿勢でも有名な人物だ。ジェイ ダブリュー アンダーソンの2021年春夏コレクションでは、そんなオスカー・ワイルドがインスピレーション源に。今回はその中でも、彼の言葉である“The secret of life is in art (人生の秘密はアートの中にある)”というメッセージを落とし込んだアイテムをカプセルコレクションとしてリリースする。コレクションでは、ニット、スウェットシャツ、Tシャツ、シャツのトップス4型、ネックレス、ブレスレット、イヤリングのアクセサリー3型に加え、ハット、バッグぞれぞれ1型ずつをラインナップ。スウェットシャツ、Tシャツ、シャツの3型はいずれもオーバーサイズで設計。スウェットシャツとTシャツには、“The secret of life is in art”の文字を手書きグラフィックでフロントに施した。また、ネックレス、ブレスレット、イヤリングも同じく“The secret of life is in art”のメッセージを模って成形。ネックレス、ブレスレットは、留め具の部分にジェイ ダブリュー アンダーソンのアンカーロゴのチャームを配している。【詳細】ジェイ ダブリュー アンダーソン×オスカー・ワイルド カプセルコレクション販売店舗:ジェイ ダブリュー アンダーソン取扱店※2020年12月1日(火)よりジェイ ダブリュー アンダーソンの公式サイトにて先行発売された後、取扱店舗にて順次展開。なお、商品によって発売時期は異なる。<アイテム価格例>スウェットシャツ 25,000円+税ニット 85,000円+税Tシャツ 15,000円+税シャツ 45,000円+税バッグ 75,000円+税ハット 20,000円+税ネックレス 35,000円+税ブレスレット 30,000円+税イヤリング 40,000円+税
2020年12月04日作家・中山七里が唯一映像化を望まなかった(!?)小説「作家刑事毒島」がテレビ東京系にてドラマ化が決定。テレビ東京で初主演を務める佐々木蔵之介が、作家刑事に扮する。出版プロデューサーを名乗っていた百目鬼二郎(コトブキツカサ)という男が刺殺体で発見された。警視庁捜査一課の警部・麻生と犬養隼人と共に現場に来た新入り刑事・高千穂明日香は初めての事件現場に気合が入る。被害者の元勤め先の出版社で聞き込みをすると、新人賞の審査を巡り、百目鬼に「殺してやる」などと書かれた脅迫状が送られていたことが明らかに。そこで犬養が高千穂を向かわせたのは“出版業界にめっぽう強い”というある男のところ。それが売れっ子作家・毒島真理。実は元捜査一課の優秀な刑事だったという。高千穂は毒島の毒舌やこだわりに戸惑いながらも、事件の捜査を共に進めることに…。佐々木蔵之介が演じる主人公・毒島真理は、現役のベストセラー作家でありながら元捜査一課の刑事。その経歴を生かし、若手刑事を指導する刑事技能指導官という特殊な肩書を持つ男だ。刑事時代はえげつないほど饒舌に容疑者を追い込んでいき、落ちなかった犯人は一人もいないとの伝説を持っているとか。毒島は、新川優愛演じる新入り刑事の高千穂明日香と事実上バディを組み、出版業界で巻き起こる連続殺人事件の捜査に乗り出ていく。ほかにも、女流作家・羽衣サヤ役の遊井亮子、長年作家を目指す“ワナビ”只野英郎役に塚地武雅、高千穂の先輩刑事・犬養隼人役の徳重聡、そして高千穂・犬養の上司・麻生警部役の吹越満と実力派が脇を固める。<原作者・中山七里に一問一答>Q:作家刑事毒島シリーズがドラマ化されるにあたっての思いをお聞かせください。A:この原作だけは映像化されたくなかった(横溝正史か)。Q:毒島というキャラクターを佐々木蔵之介さんが演じることについての印象はいかがですか?A:虫も殺さないような善人面という設定なので、原作者として文句の付け所がありません。Q:作家業界の独特な世界が描かれていますが、リアルな部分もあるのでしょうか?A:殺人事件以外はほぼリアル、というか、かなり希釈しています。Q:ファンや視聴者へメッセージをお願いいたします。A:歪んだ性格の犯罪者と更に歪んだ性格の刑事の対決をお楽しみください。月曜プレミア8「作家刑事 毒島真理」は11月30日(月)20時~テレビ東京系にて放送。(cinemacafe.net)
2020年10月26日「劇団た組。」を主宰し、話題の舞台を送り出す一方で、映像作家、テレビドラマの脚本家としても、次々と注目作に携わり、20代半ばにして多彩な活躍を見せる加藤拓也。シス・カンパニーとのタッグで、加藤が作・演出を担当した『たむらさん』が新国立劇場 小劇場にて10月9日(金)より3日間だけの“短期集中決戦”で上演される。出演は、これまでも加藤の作品に出演経験のある橋本淳と豊田エリー。物語に関しては、「ある男が自分の半生を語り始める」ということ以外、これまでほとんど明らかにされていない。コロナ禍の影響で、必然的にできた劇場の数日間の空きを活かすために生まれたという本作。26歳の異端児はどんな作品を見せてくれるのか?コロナ禍の中、シス・カンパニーの北村明子プロデューサーから突然、加藤のもとに電話があった。「電話には出られなかったんですが、『何か怒られるのかな?』と思って(笑)。ショートメッセージで『事務所に来られますか?』とあって、これはいよいよ怒られると思って伺ったら『こういう形で、短い期間で作品を作ることを考えているんですけどやりませんか?』と。それで始まりました」。とはいえ、とにかく開幕まで時間がない。何を書こうか? ひとつ、ヒントになったのが自粛期間中にオンラインでいくつかの作品を発表した経験だった。「オンラインで作品を発表する中で、観客との接点――どう観客と関わっていくか? というのが一番の壁だったんですね。オンラインの時、お客さんは“安全”なんです。逆に今回、お客さんを安全な場所に置かないという思いで描いています」既にエンタテインメントの世界で、演劇、映像作品を問わず、新型コロナの存在を意識し、変容してしまった世界を描くという試みは、様々なところで行われているが、加藤自身は「特別に作品にコロナを絡めているつもりはない」という。一方で「僕自身、(普段の生活などでコロナの)いろんな影響を受けているので、全く影響がないとも言えない」とも。先述のように、ある男の半生が板の上で展開するというのが大まかな物語。加藤の口からは複数存在する「正解」、そして「評価」といったキーワードが発せられた。「いくつもの“正解”があるという状況は、みなさん気づいていると思います。これも正解、あれも正解と気づいていて、どれも悪くないし、どれも選べない――そんな男の話です。先ほども言いましたが、僕自身はそこまで『いま』ということやコロナを意識してはいなかったんですが、他人に評価を下すという部分は、自粛期間中のSNSなどと重なる部分はあるのかもしれません」古田新太主演のドラマ『俺のスカート、どこ行った? 』、賀来賢人主演の『死にたい夜にかぎって』の全話の脚本、フジテレビ『不甲斐ないこの感性を愛してる』の脚本・演出など、映像作品でも存在感を高めている。「一般的にマイナスだと捉えられがちな部分が、僕の演劇の中ではプラスになると思っていて、そういう凸凹なパーソナルな部分を大切にしたい」――。自身のクリエイティブを特徴づける部分について、そう語る。シス・カンパニー、新国立劇場 小劇場、少人数芝居……そういった“枠組み”に関しては「特に意識することもないし、あまり関係ない」。ただひたすら、人間という存在の面白さをあぶり出す――。「たむらさん」とは何者なのか? たった3回の公演で何が語られるのか? 幕が開けるのを楽しみに待ちたい。シス・カンパニー公演『たむらさん』作・演出:加藤拓也出演:橋本淳、豊田エリー10月9日(金)・10(土)・11(日)新国立劇場 小劇場にて上演取材・撮影・文:黒豆直樹
2020年10月08日ふいに聞こえてきたセリフから妄想を展開する、劇作家の根本宗子さん。今回の妄想主役は「女性看護師さん」です。今年最後となる舞台『今、出来る、精一杯。』の稽古がはじまりました。この作品は自分の車椅子時代の話を書いたり、当時の実体験をそのまんま書いていたり、かなり自伝的な要素が強いお芝居で、過去2度上演しているんですが、久々にまたこの戯曲と向き合い、当時の気持ちを思い出してえぐられる毎日です。向き合っている作品によって生活ががらりと変わるとまではいかないのですが、「わー!いえーい!!」みたいな作品やっている時は、元気モリモリ!たくさん食べよう!となるし、「うおりゃー」と地の底から這い上がるような精神力で創る芝居の時は20代前半みたいな暮らしに戻ったりと、生活にも変化が多少あるため、今回は何となく家にこもって悶々と考える日々が続いています。ベッドからなるべく出たくないみたいな気持ちになるかなあとも思っていたんですけど、とにかく稽古が楽しくて、さらにそこに清竜人さんの音楽があり、大変贅沢な稽古時間を送らせてもらっています。ヘビー級の台本を扱っているが、幸せな気持ちだから、いい人について考えてみた。この間持病の検診に行った時の看護師さんが「レントゲン、気をつけて行って来てくださいね」と優しく言ってくれた。妄想スイッチオン!(尊敬スイッチです、今回)看護師さんという職業は本当に大変な仕事です。私が入院していた病院ではわがままを言って看護師さんを困らせるおばあちゃんや、看護師さんのおしりとか触る困ったおじいちゃんなどがいました。それでも笑顔でうまく対応していく看護師さんの能力や人間力、本当にすごいです。もちろん患者さんは病気と闘ってますから、当たり前でしょと思われるかもですが、それだけでは飲み込めないいろんなことが、看護師さんたちにはあるはずで。今回の看護師さんも、めちゃくちゃ病院混んでいるし、クレーマーも多いのに、すべての人に同じように接するマリアみたいな看護師さんで。私は些細なことでイライラしてる自分の小ささが悲しくなりました。はー、常に笑顔でいたいもんだ!ねもと・しゅうこ1989年、東京都生まれの劇作家。月刊「根本宗子」第17号『今、出来る、精一杯。』を12月に新国立劇場中劇場で上演。※『anan』2019年11月27日号より。(by anan編集部)
2019年11月21日岩井秀人、松井周ら、優れた劇作家・演出家を輩出している青年団の若手自主企画。演出家・蜂巣ももが青年団内で発足した「ハチス企画」の新作『まさに世界の終わり』が本日11月9日に東京・アトリエ春風舎で開幕した。伊藤キムや寺田みさこに師事しながら、演劇とダンスの境界線や、非現実な身体と言語について考え抜いてきた蜂巣。彼女が今回取り上げるのは、1995年に38歳の若さで亡くなったフランスの劇作家、ジャン=リュック・ラガルスの1990年発表作である。同作を基にした、グザヴィエ・ドラン監督による映画『たかが世界の終わり』(2016年)は、第69回カンヌ国際映画祭で、グランプリとエキュメニカル審査員賞を受賞している。長年、家族のもとを離れていた長男ルイ。彼が帰郷したのは、自らの死を家族に告げるためだった。しかし家族はそれぞれの吐露を繰り返し、ルイの言うことに耳を傾けない。いつまで経っても自分の死を告げることができないまま、時間だけが過ぎていく……。同公演の紹介文の一行目にはこうある。「家族の政治、身体を問い直す」。思えば、家族の会話をふと一歩引いて聞いてみると、めいめいが、自分の都合や事情を通すことに必死であったりする。ある時は弱っている自分を演出し、ある時は泣いてキレて暴れたりする。果たしてそこに、どんな革命がもたらされるのか。そして、彼らが掲げるフレーズはもうひとつ。「家族という他人は、友情を育むことができるのか」。そこに描かれるのは希望か、それとも……。青年団若手自主企画vol.79 ハチス企画『まさに世界の終わり』は11月24日(日)まで。文:小川志津子
2019年11月09日1954年の創立以来、一貫して「創作劇の上演」を理念に掲げ、同時代の劇作家たちとともに歩むこと65年。劇団青年座に新作を書き下ろしてきた才能豊かな劇作家リストに、また新たな名前が加わることとなった。2001年に旗揚げしたJACROWで脚本・演出を担当する一方で、サラリーマンという一面も持つ“二刀流作家”、中村ノブアキだ。自らの立場を生かした、いわゆる企業ものを得意とする彼が書き、昨夏まで8年間にわたり新国立劇場の演劇芸術監督を務めた宮田慶子が演出する『DNA』が、本日8月16日に東京・シアタートラムで開幕する。主軸となるのは、子供のいないひと組の夫婦。ふたりは同僚だったが、夫婦は同じ部署で働くことができないという社内の不文律により異動になった妻は、退職して新たな会社を立ち上げる。子供を持つべきかどうかを巡って、家庭では言い争いが絶えない……。一方、会社に残った夫が働く部署では、一歩間違えば不正ともいえる決算方法が慣習として受け継がれていた。出世のためと受け入れてきた社員たちだったが、新たに配属された社員がこれに異論を唱え……。中村が得意とする企業ものとしての部分と、新たな挑戦となる家庭劇としての部分が螺旋状に絡み合う物語で、「次代に繋ぐ」ことの意味を描く意欲作。劇団の創立65周年を彩るのに相応しい舞台となりそうだ。文:町田麻子
2019年08月16日作家・柴崎友香さんがチョコレートにまつわるエッセイを書き下ろしました。以下、『チョコレートのある世界』の全文です。なぜ、チョコレートだけが特別なのだろう。甘くておいしいものはたくさんあって、そのたくさんの中で、チョコレートはいつも特別だ。わたしには、チョコレートをとっておく癖がある。箱の中に、一つだけ。最後の一つを、食べてしまうのには、勇気がいる。深みのある褐色の、あの小さな一粒がいつまでもそこにあったらこのしあわせが続くのに、と思ってしまう。ところでわたしは、甘いものはそんなに得意ではない。「そんなに」というところが重要で、きらいではない。「好き」と言ってしまうと、とっても甘いのをたくさん食べられることになるが、そうではなくて、ちょっと甘いくらいのを、少し食べる。それが幸福を感じる時間だ。それもできれば、苦みや渋みのあるものといっしょに。お茶とかお酒とか。チョコレートは、甘いけど、苦い。その甘さと苦さの合わさったところ、同時に味わえるところに、限りない豊かさがある。チョコレートは融けるから、メインの季節は冬だということになっていて、空気がだんだん冷えて夜が長くなってくると、いつもと違うよそゆきのチョコレートにたくさん会える。気取って装飾品みたいに並んでいたり、ちょっとユーモアのある動物や身近なものをかたどっていたり、それが工夫を凝らした夢みたいな箱に入って届けられる。いろんな種類が詰められた箱をいただいたりすると、わたしはまず解説の小さな紙を熟読する。最初はまずシンプルなの、次は少し変わったフレーバーの、それから、と食べる順番に迷いに迷う時間さえ楽しい。好きなお茶を濃いめに淹れて、一粒一粒、それぞれの苦さと甘さに、驚いたりうっとりしたり。自分で辞書を作るなら「贅沢」の項目にこの時間のことを書こう、と思うくらいだ。宝石なみにきらきらしたチョコレートの一方で、毎日の時間に染み込んだ、地元の友だちみたいに気楽に付き合えるのもやっぱりチョコレートだったりする。スーパーやコンビニで売っている、定番の板チョコ、駄菓子的なチョコバー、毎シーズン出現する新商品。銀紙をわざと無造作に剥いて、ぱきっときれいに割れるとうれしい。いちご味にも弱くて、パステルピンクと焦茶色の組み合わせは何回食べても子供のころのもっとも無邪気な楽しい時間をすぐによみがえらせてくれる。パフェやパンケーキにかけるチョコレートソースになると、悪友的な存在感さえある。子供みたいに手や顔をべたべたにして食べたい誘惑にかられたりもする。ずっしり重みがあるチョコレートケーキも忘れてはならない。さんざんおいしいごはんを食べて満腹なのに食後のデザートを選ぶとき、よりによってあのほとんど黒に近い密度の高い一切れを選んでしまうのはなぜなのか。しかし運ばれて来たそれは、選択が正しかったことを毎回必ず実感させてくれるのだ。家にいるときは甘いものはたまにしか食べないのだけど、仕事をしているあいだは違う。特に小説が佳境にさしかかって、ここでがんばろう、というときに、いちばん「効く」のはチョコレートだ。ひとかけら口に入れると、充電という言葉がふさわしいくらい、そのほろ苦い甘い塊が融けて体内に入っていくのが感じられる。普段ならほんの二、三かけでじゅうぶんなのに、仕事をしているときはついつい、食べてしまう。脳がエネルギーを欲してるのだなあ、と思う。その疲労感も、チョコレートのためにある気もする。チョコレートだけが。ゆったりした憧れも、懐かしさも、ちょっとうしろめたい快楽も、繰り返しの毎日の中の小さな楽しみも、みんな味わわせてくれる。チョコレートだけがいつも特別だから、わたしは箱の中に一粒、そのしあわせを取っておきたくなる。しばさき・ともか作家。1973年、大阪府生まれ。2000年『きょうのできごと』でデビュー。近著に『つかのまのこと』(KADOKAWA)、『公園へ行かないか?火曜日に』(新潮社)など。’18年は、著書『寝ても覚めても』の映画化も話題となった。※『anan』2019年1月23日号より。写真・枦木 功(nomadica)スタイリスト・岡尾美代子撮影協力・AWABEES(by anan編集部)
2019年01月16日ふいに聞こえてきたセリフから妄想を展開する、劇作家の根本宗子さん。今回の妄想主役は「妄想させてくれないふたり」です。ファミレスで隣の席に座っていた、23歳のギャルと25歳のギャル男のカップル。12月20日に開幕した『愛犬ポリーの死、そして家族の話』。台本を手直しするため、久しぶりにファミレスで半日くらい過ごした。昼食と夕食を同じファミレスでとるくらい長時間滞在したので、気づいたら隣の席が5回転くらいしてた。最後に隣になったカップルの会話が本当に凄まじ過ぎた。ギャル「妹がデキ婚するかもしれないけど、しないかもしれない」から始まり、ギャル「あんたといても先が見えない」とデキ婚話から自分達のこの先まで話が広がっていった。彼氏のギャル男のほうは呑気に食べている。彼女の怒りは増すばかり。ギャル「あんたどんだけ食べるの?話聞いてんの?」「結婚」というかなり深刻な話題中もオムライスをばくばく食べ、その後パンケーキを食べ、唐揚げを食べ、スープを飲み、さらにアイスを食べると言い出すギャル男。妄想スイッチオン!一向に黙らないこの二人。妄想スイッチを入れたいセリフがたくさん出てくるのに全然スイッチを押させてくれない。しかもずっと聞いているのに、何故その話からその話に展開したのかが全く理解できない。さっきまで結婚について怒っていたギャルは、「サーティワンに行きたい」と言い出すし、それなのに、ギャル男はファミレスでアイスを頼んでいる。この二人の会話はどんな終わりを迎えるのだろう。最後まで聞いていると、ギャル「サーティワンでソルベ食べて、TSUTAYAで映画借りて、それ観て1時までに寝るよ。わかった?行くよ」という一言で二人はファミレスを出て行った。なんだろうこの掴めなさ…。そして、私はずっとこのカップル、彼氏をひもだと思っていた。しかし違ったのだ、ファミレスで4000円近く食べた会計は全て彼氏が彼女がトイレに行ってる間に支払い、それに対して彼女はしっかりと「ありがとね」とにっこり微笑みお礼を言っていた。ちゃんとしている二人だ。ねもと・しゅうこ1989年、東京都生まれの劇作家。月刊「根本宗子」公演『愛犬ポリーの死、そして家族の話』が、下北沢・本多劇場で上演中。※『anan』2019年1月2・9日号より。(by anan編集部)
2019年01月08日弊誌で「妄想スイッチ」を連載中の根本宗子さん。劇作家・演出家として活動を始めて来年10周年。演劇界のみならず、ミュージシャンやアイドルなどからも支持される、その創作の泉とは。演劇は、人の人生に訴えかけることができるものなんだ。友達だと言いながら、格付けしたり、マウンティングしたり。恋愛に対する執着から、とんでもない行動に出たり。女子の嫌な部分や痛々しい“あるある”を、ポップな演劇に仕立てる根本宗子さん。いまその作風が幅広い年齢層に支持され、自らの名前を冠した劇団、月刊「根本宗子」は、年々観客動員を増やしている。―― 19歳で劇団を立ち上げ、2年前には本多劇場に進出。近年はドラマや映画の脚本を手がけたり、活動の幅を広げていますね。根本:よく“いま話題の”とか、“ノリに乗っている”と紹介していただくんですが、私自身は極めて自己評価が低い人。ただ、以前は出演をオファーしてもなかなか叶わなかったのが、いまはやりたいと思った俳優さんとお仕事ができる状況にはなっています。あと、一昨年に事務所に入り、それまで完全にひとりでやっていたのが、いまは私が企画したことをどう実現させ、規模を大きくしていくかを一緒に考えてくれる人ができました。ただ、クリエイティブの部分を担うのはあくまで私で、そこは変わっていません。逆に、外部のプロデュース公演で作・演出をさせていただく機会が増えたので、自分のなかでは月刊「根本宗子」では劇団公演でしかやれないことを意識するようになっています。――実際に、創作する上でどんな違いがあるんでしょう?根本:自分のなかでは作品の組み立て方から違うんです。戯曲を書く時って、いつでもお客さん視点を入れて書くんです。それは私の強みでもあり、弱点でもあるんですけど…。例えば、昨年、KAT-TUNの上田竜也さんが主演の『新世界ロマンスオーケストラ』という舞台をやらせていただきましたが、その時に考えたのは、上田さんのファンの方々が何を観たいかでした。私がファンなら、舞台から1秒たりともハケてほしくない。それなら…というところから物語を作っていったんです。でも劇団公演に関しては、劇団についてくださっているお客さんに向けて書いています。主役の人ありきで書くのがプロデュース公演で、自分の視点で書くのが劇団公演、というのが大きな違いだと思います。――以前は、主人公を取り巻く恋愛を主軸にした物語が多かったですが、ここ最近は、家族や外の世界も描くなど、作品のテーマも広がっているように感じます。根本:単純に、以前は自分や自分の周りで起きたことを書いてきたんです。まったくそのままではなく、何かに置き換えることはしていますが。でも、昨年手がけた『皆、シンデレラがやりたい。』で書いたのは、若いアイドルにハマる40代の女性たち。自分もアイドル好きなので、反映されている部分はありますけれど、自分のことじゃない話を書いたのは大きな変化でした。いま、自分の視点から見た40代、50代の人を描くことに面白さを感じています。――次回作『愛犬ポリーの死、そして家族の話』も、そんな近年の根本さんの変化を感じられる作品になっているんでしょうか。根本:今回は、昔自分が思っていたことと、いまの自分が思っていることの両方を交ぜて書いています。若い青山美郷さんが演じるキャラクターには、昔の自分が考えていたようなことを、50代の村杉蝉之介さんには、いまの自分から見たその世代を描かなければいけない。お客さんからどんなリアクションが返ってくるか想像がつかない部分が多い公演なので、私自身、どうなるか楽しみなんです。――根本さんにとっては挑戦的な公演でもあるんですね。根本:今回、3組の夫婦が登場しますが、それぞれ夫婦の関係性も、空気感も違うんです。私は結婚したことがないので、自分ではわからないけれど、実際にあるさまざまな夫婦のケースを投影させました。いままでは、この人のこの時の感情はこうだろうというのが自分のなかに明確にある形で書いてきて、演じる役者に対しても、こう演じてください、とはっきり言えたんです。でも今回は、書いている私にもわからない…私の物差しでは測れない感情とか思考回路というものも描いている。役者さんに委ねる部分もあるだろうし、お互いに稽古場でコミュニケーションをとりながら作っていく部分が多くなるのかなと思っています。――役者に委ねられるようになったのは、なぜなんでしょう?根本:役者さんを信じてなかったわけじゃないけれど、全部を自分で決めていないと不安だったんです。それが年々変わって、少しずつ自由度が増してきています。とはいえ、アドリブをどんどん入れてください、ということではなく、役者さんが、私が考えていたものと違う芝居を提示してきた時、それもありと思えるようになったというか。私のキャパシティが広がったということなんでしょうね。今回、村杉さんに出演をお願いした理由もそれなんです。これまで村杉さんがやられてきた芝居とは全然違うタイプの作品ですし、この時に村杉さんならどう演じるかを、作品のなかに反映させていけたらなと思っているんです。ねもと・しゅうこ1989年生まれ、東京都出身。‘09年に劇団・月刊「根本宗子」を旗揚げし、すべての公演の作・演出を手がける。女優としても、自作のほか岩松了さんや赤堀雅秋さんの舞台などにも出演。現在、毎週月曜日の深夜にOAされているラジオ『根本宗子と長井短のオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)に出演中。月刊「根本宗子」第16号『愛犬ポリーの死、そして家族の話』は、12月20日(木)~31日(月)下北沢・本多劇場にて上演。物語のキーとなる“愛犬ポリー”を演じるのは、大人計画の村杉蝉之介さん。「村杉蝉之介が、犬になるまでの過程」を、気鋭の映像ディレクター・山岸聖太監督が完全密着した映像が公式サイトにて公開中。※『anan』2018年12月26日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年12月20日ふいに聞こえてきたセリフから妄想を展開する、劇作家の根本宗子さん。今回の妄想主役は「ギャンギャン犬」です。『愛犬ポリーの死、そして家族の話』絶賛稽古中である。大好きな山岸聖太監督ディレクションによる劇団初の公式ドキュメンタリー「村杉蝉之介が、犬になるまでの過程」がYouTubeで公開されているので、是非是非ご覧いただきたいのだが、今回の芝居、「犬」にまつわるお話なのだ。そのせいか、道を歩いているとやたら散歩中の犬に目がいってしまう。実家でもずっと犬を飼っていたため、動物の中で犬が一番好きな私なのだが、ここまで犬を意識して生活したことは未だかつてないかもしれない。人が犬の役をやるドキュメンタリーを撮ってるくらいだもんなあなどと思いながら自宅から駅に向かって歩いていると、ゆっくり歩くおばあちゃんが連れた小さな活発な犬が私の足元にガーーーッとやってきて、私の服の裾にかぶりついた。で、吠えまくっている。「ギャンギャンギャンギャンギャン!!!!!!!!!」根本、超びびりました。妄想スイッチオン!このギャンギャン犬、今私が「犬」の芝居を作っていると嗅ぎつけ、私に近寄ってきて、「オメーまだまだ犬のことわかってねーんだよ!!」とキレているのだ、きっと。そりゃ服の裾も噛むよなあという話だ。「なに、犬のこと知ったかぶって書いてんだよ!!」とブチギレ中である。と、妄想しながら書いてみて思ったが、いやいや、普通に違うし、他人の服の裾噛んじゃうような暴れん坊を、80歳くらいのおばあちゃん一人に散歩させるのは危険よね。普通に!おばあちゃんが犬に引っ張られて転んじゃう事故とかもあるし、犬の力ってかなり強いからおばあちゃんおじいちゃんの暴れ犬の散歩には、世の中的に何か対策をしたほうがいいと思います、根本は!ちなみに、山岸監督によるドキュメンタリーは、きっと舞台本編とは15パーセントくらいしか関係ありません(笑)。ねもと・しゅうこ1989年、東京都生まれの劇作家。月刊「根本宗子」公演『愛犬ポリーの死、そして家族の話』が、12月20日より下北沢・本多劇場でスタート。※『anan』2018年12月26日号より。(by anan編集部)
2018年12月19日ふいに聞こえてきたセリフから妄想を展開する、劇作家の根本宗子さん。今回の妄想主役は「頼ませてくれない人」です。先日、月一で行っている「根本宗子の面談室」というトークイベントのゲストに、仲良しの女優、趣里ちゃんが来てくれまして。主演映画の『生きてるだけで、愛。』公開直前ということもあり、その後『オールナイトニッポン0』にも来てくれて最高に盛り上がりまして。イベントとラジオの間、1時間くらい空き時間ができたので、二人で中華を食べたんですよ。前にもここに書いたと思うんですが、私と趣里ちゃん、信じられないくらいの量を食べるんですね。二人ともお酒を飲まないせいもあり本当に食べるのが好きで、いろいろ食べたいわけなんです。どれだけ食べるかというと、バーミヤンで二人で10品程、総額7000円くらい食べるわけですね。ファミレスですよ?ドリンクバーですよ?そんな私たちが、この日、中華をやらかしまして(二人の中で、たくさん食べることを「やらかす」と呼んでます)。ラーメンを一人1つずつ頼んで、さらにチャーハン、青菜炒め、白身魚あんかけ、餃子、と注文を続けていると、「ん?全然多いよ?」とお店のおばちゃん、うちらの注文をストップ。妄想スイッチオン!この人は私たちの敵、「頼ませてくれない人」だ。いや、わかるよ。「お前ら絶対残すだろ??女二人だろ??もったいないだろーが!!」と思われているわけなんですよね。私たちはちらっと目を合わせ、目で会話を始めるわけですね。趣里「でたよ、頼ませてくれない人だよ、これ」私「ね。食欲、全然舐められてます、私たち」趣里「え?いけるよね?」私「全然いけるよ?なんならもう1つくらいやるよ?」趣里「だよね?」私「え、どうする?せーので言う?」趣里「オッケー」二人は同時に店員さんに向かって口を開きました。「全然食べれますんで!」はい。意思疎通バッチリです。そしてペロリと食べ、趣里ちゃんは食後にタピオカまで食べました。気持ちがいいね!!ねもと・しゅうこ1989年、東京都生まれの劇作家。月刊「根本宗子」公演『愛犬ポリーの死、そして家族の話』が、12月20日より下北沢・本多劇場でスタート。※『anan』2018年11月28日号より。(by anan編集部)
2018年11月21日伊藤丈浩さんによる作品。色、柄、フォルムが美しいポットやカップ&ソーサー。 巧みな職人技術で魅せる、現代を代表するスリップウェア/伊藤丈浩さん それまで“柄もの”があまり得意ではなく、うつわは無地のシンプルなものばかりを選んできた筆者が、初めて柄ものに惹かれたのが、伊藤さんの作品でした。英国発祥の伝統的な技法である「スリップウェア」という言葉を知ったのも、伊藤さんの作品がきっかけでした。 独学でスリップウェアを習得したという伊藤さんは、2006年に益子で独立。以来その人気は拡大し、全国各地で個展を開催するまでに。 繊細で緻密、時にダイナミックな模様が描かれた作品は、いつまででも眺めていられる“美術品”と言っても過言ではありません。それはまるでテキスタイルのようでもあり、高度な職人技術に唸らされます。そして伝統技法を用いながらも、古臭さをまったく感じず、とても現代的な空気をまとっています。うつわに料理を盛り付ければ、一皿がぐっと格上げされ、食卓が華やぎます。スリップウェアに限らず、マグカップやピッチャーなどはフォルムも美しいので、植物を生けたり、ただ飾っておいたりするだけでもインテリアとして楽しめます。 陶器市では「G+OO」での取り扱いがメイン。常設もされているので、陶器市以外の機会にも出会うことができます。 端正で凛々しい、洗練された佇まいに心酔/田代倫章さん いわゆる“益子焼らしい”、素朴な雰囲気のうつわばかりを所有していた筆者にとって、田代さんの作品との出会いは一目惚れでした。例えるなら、それまで好みのタイプが一貫していたはずなのに、全然違ったタイプの人に出会って恋に落ちてしまった、といったところ。 2002年に大学の陶芸専攻科を卒業後、益子にて今成誠一氏に師事。2007年に独立された田代さん。これまで毎年のように都内と益子を中心に展示を開催している人気作家の一人です。 作品から漂うオーラには品があり、無駄を削ぎ落とした洗練された佇まいは「凛々しい」という言葉がしっくりきます。一見シャープながらも、曲線の一つひとつが優美で、質感にもそれぞれ繊細な技法が駆使されているのがわかり、柔らかな表情も持ち合わせています。マットと艶のコンビネーションも絶妙で、すべての作品にどこか色気を感じます。基本は白と黒のモノトーン展開というのも潔くてかっこいい。 食器として使うのを躊躇ってしまうほど美しいのですが、料理を盛り付けるとまるで高級料亭の一皿かと思えてしまうほど、見栄えがランクアップします。 陶器市では「組合広場」の道を挟んで向かい側(共販センター近く)に出店しています。 木のぬくもりと丁寧な手仕事が、日常を豊かにしてくれる/木工房玄 益子の陶器市では多数の木工作家が出店しています。その中でも、ここ何年も隅々まで陶器市を巡ってきた筆者のお気に入りが「木工房 玄」の作品です。 代表の高塚和則さん率いる「木工房 玄」は、栃木県塩谷郡塩屋町に工房を構え、手作業で家具や食器、小物などを製作しています。原木を仕入れ、製材、自然乾燥させ、プロダクトごとに適した木を選び、一つひとつ丁寧に作っています。使用している木材は主にクルミ、栗、桜、ナラ、トチ、タモなど国産の広葉樹。仕上げには木の風合いを生かすよう、天然のオイルを使っています。時が経つほどになじみ、風合いの良さが出てくるのも無垢材ならではの良さです。 筆者も愛用している、表面に手彫りで細かい凹凸の表情をつけたクルミのカッティングボードは見た目も素敵で、使い勝手も抜群です。凹凸のない裏面で食材をカットでき、パン皿としてや、ワンプレート皿として、おもてなしにチーズや前菜を少しずつ盛りつけたりと、大活躍。ほかに花形のコースターやパン皿、オーバル皿も人気のようです。 また製品の取り扱い方やお手入れ法についても親切に教えてくださるので、気軽に相談できます。 陶器市では「遺跡広場」に出店しています。 ナチュラルな色と気泡がノスタルジックな再生ガラス/伊藤亜木さん 陶器にハマると自然とガラスにも惹かれるもので、その第一歩として初めて購入した作家ものが伊藤亜木さんのガラスでした。東京生まれの伊藤さんは、某ファクトリーにて吹きガラスを始めた後、硝子会社に入社。その後2006年に栃木県茂木町にガラスの窯を構え現在に至ります。 再生ガラスを用いた作品の特長のひとつは、優しく自然な色合い。水色のものは窓ガラスから、透明のものは蛍光管から作られているそうです。もうひとつの特長は、気泡。ガラスの中にキラキラと現れる大小のつぶつぶがなんとも涼しげで、ソーダ水を思わせます。 また、ぽてっとした厚みと丸みも可愛らしく、再生ガラスならではのナチュラルな雰囲気と相まって味わいが増します。 ラインナップはグラスをはじめ、お皿、フラワーベース、箸置き、ポット、アクセサリーなど、バラエティ豊か。特にこれからの暑いシーズンには、ガラスのうつわと箸置きを食卓に並べれば、たちまち夏らしく涼しい雰囲気に。こんな風に季節に応じて食卓も衣替えすると、日々の暮らしがより楽しく、豊かに感じられます。 陶器市では「KENMOKUテント村」に出店しています。 以上、益子春の陶器市レポート【作家編】パート2でした。すてきな作家さんが多すぎてここで紹介しきれないのが心苦しいですが、いつかまた別の機会に紹介できればと思っています。春の陶器市は閉幕しましたが、次は秋の陶器市(11月2日〜11月5日)が待っています!このレポートを参考に、ぜひ益子へ訪れてみてください。 text : Yu Konisho
2018年06月14日芥川賞作家の小山田浩子さんが、待望の新作を上梓。「自分の好きなものが詰まった一冊になったので、嬉しいです」と語るのは、2014年に「穴」で芥川賞を受賞した小山田浩子さん。待望の新作『庭』は、ユーモラスで奇妙、鮮やかでちょっぴり不穏な15篇が詰まった短篇集。「どれも結婚や子ども、出産といったテーマを意識していたのは間違いないです。それ以外に、読み返すと自分の実家や田舎に行く、という話が多くて。それはもうフェティッシュ的に好きなのかも(笑)」たとえば巻頭の「うらぎゅう」は、実家に戻り、祖父に不思議な儀式に連れていかれる女性の話。「これは砂灸という、砂に足形をつけてそこにお灸をするという風習を聞いて“何それ”と思ったことがきっかけでした。ここに出てくる話はどれも、そんなふうに見聞きしたり経験したりしたことが元になっていることが多いですね」祖母が彼岸花を薬草として育てていた記憶、住んでいるアパートに出るヤモリ、山の旅館に行ったら愛想のいい猟犬がいた思い出、女子校時代に校舎によく出現した小さな蟹、ショッピングモールのフードコーナーにいるさまざまな家族……。そんな現実の光景から、とんでもない非日常的展開を導き出すのが小山田作品の魅力だが、「普通のことを書いていたらこうなった、という感覚です。自分に何かを空想して物語を広げる能力があるとは思わないんです。ただ、見聞きしたことの前後を、見たことがあるかもしれない気持ちで、思い出すように書いています」動物や植物が多数出てくるのは、「じっと考えているより、虫や植物をずっと見ていた時のほうが、面白いことがたくさん出てくるんですよね。それも、実際に眺めるのでなく、どんな感じだったか思い出しながら書いている感じです」ちょっぴり不条理な世界で生きる人々が描かれる本作。夫婦や親子の気持ちの齟齬も淡々と描かれるが、「家族でも分かり合えないことや、しっくりこないことはありますよね。でもそれは悪いことじゃない。それでやってきたし、やっていくんだ、というのが気持ちとしてあります」暮らしと不可思議な世界のあわいに潜む、人生の真実を垣間見せてくれる。そんな作品集なのである。『庭』庭の彼岸花、窓のヤモリ、井戸にいるどじょう……。草花や生き物に囲まれた、ちょっぴり不条理な世界の人々の日常をとらえた短篇集。新潮社1700円おやまだ・ひろこ作家。1983年、広島県生まれ。2010年、中篇「工場」で新潮新人賞を受賞して作家デビュー。’13年、作品集『工場』で織田作之助賞、’14年「穴」で芥川賞を受賞した。※『anan』2018年4月25日号より。写真・土佐麻理子インタビュー、文・瀧井朝世
2018年04月24日今日から「アンジェのあきいろ作家市」第2弾がスタートします。実りの秋の食卓に似合う、人気作家さんのうつわを集めた「アンジェのあきいろ作家市」。第2弾は下記の4名の作家さんたちのうつわをご紹介します。・阿部春弥(あべはるや)さん・石田裕哉(いしだひろや)さん・葛西国太郎(かさいくにたろう)さん・安福由美子(やすふくゆみこ)さん一度売り切れてしまうとなかなか手に入らないものが多いので、気になるものは早めにチェックしてみてくださいね。■ 阿部春弥さんの柔らかなうつわにはいつもの和食をのせて和食が映える、阿部さんのうつわたち。繊細で冷たい感じさえする磁器も多い中で、阿部さんが生み出す磁器のうつわは潔さを持ちつつもどこか優しげなうつわです。「温かみのある、柔らかなものを作っていきたいんです。僕が作っているものは、日常使いのものですから。」いつものおうちごはんを大らかに受け止めてくれる阿部春弥さんのうつわたちは数が少なめ。気になる方はお早めにどうぞ。■ 静かに花咲く石田裕哉さんの花のうつわたち引き算が難しく装飾のやめ時が見つからないこともあると苦笑いをしていた石田さんに今回作っていただいたのは、静かに咲く花のうつわたち。作ったうつわを自宅で使いながら、料理を盛った時の柄ゆきからそのサイズ感までをご自身の目で確認する作業を大切にする、石田さんの丁寧な手仕事です。■ 葛西国太郎さんの色絵豆皿で、食卓に華やぎをアンジェでも人気のHANI(ハニ)の葛西国太郎さんのうつわも再入荷。「使うと陽気に、そして楽しくなるような、気さくなうつわを作りたいと思っています。そして、それをどんどん使って沢山ごはんを食べてほしいです。」テーブルに並べるだけでダイニングが明るくなるような葛西さんの色絵豆皿は、いくつも揃えたくなる愛らしさです。■ まるで時を重ねたような、安福由美子さんのうつわ何年もの歳月を重ねてようやく生まれるような、そんな質感を纏っているのは安福由美子さんのうつわたち。存在感がある力強いそのうつわたちは、不思議とどんな料理も受け入れる懐の深さも持ち合わせます。「ここぞ」という時に出したい、ひとさらです。「アンジェのあきいろ作家市」には、作り手の「今」を閉じ込めた作家もののうつわたちが集まっています。お気に入りのうつわを見つけて、いつもとちょっぴり異なる食卓での時間を楽しんでみてくださいね。=文:宮城= 食のはなし 作り手さんのはなし 器のはなし 【あきいろ作家市はこちらからどうぞ】
2017年09月29日劇作家の西森英行による書下ろしのふたり芝居『フェイス』が9月21日、浅草九劇で開幕。舞台『フェイス』チケット情報ある青年と精神科医の数年ぶりの再会から始まる物語。劇場に足を踏み入れると、そこには四方を客席が取り囲むひとつの空間が。観客はその空間(=密室)で繰り広げられるふたりのやり取りの始終を目撃することとなる。かつての、そして今のふたりの関係は…。その謎のひとつひとつが明かされていく一方で、現在進行形の事件の謎も投げかけられる。このふたつの謎解きが両輪となり進むサスペンスタッチの展開に引き込まれ、やがてたどり着く心の深淵。劇場空間が一体となって一気に駆け抜ける70分間、頭も心もフル回転し、観劇後は心地よい疲労と時間をかけて咀嚼したくなる余韻が残る。そんな密室劇、心理劇、ふたり芝居、客席が囲む舞台…さまざまな圧の中で、キャラクターに命を吹き込むのは伊藤裕一と坂元健児。圧をもろともせずに、見事にふたりだけの美しく、激しく、切ない世界を体現している。明かせないことが多くあるため、詳細を語ることは控えるが、伊藤の繊細さ、坂元の温かさを起点に、ふたりともこれまでに見せたことのないような表情、芝居を見せる。西森の脚本・演出は、自身が心理学に精通しているからこそのリアリティと演劇としてのエンターテインメント性を持ち合わせる。俳優が発する研ぎ澄まされた言葉、台詞がときに突き刺さり、ときに優しく包む。そんな緊張と緩和が織りなす展開に、客席から笑いがこぼれる瞬間も。小道具も最小限、そんなシンプルな舞台では芝居を彩る“音”、“光”も非常に大きな効果を持つ。舞台にのめり込むほどに目、耳、心の感度が自然と上がっていた。生の舞台の醍醐味がそこにあった。『フェイス』というタイトルに潜むふたつの意味、〔face…顔、表情、対面する/faith…信頼、信仰、誠実、約束〕が導く物語の結末は光なのか闇なのか。それは最終的には観る者に委ねられる。でも、きっと…。そう信じたくなる青年と精神科医の物語に、観劇後も心を寄せたくなる。公演は9月29日(金)まで浅草九劇にて上演。チケットは当日引換券が発売中。取材・文 功刀千曉
2017年09月22日