6月下旬公開を予定していた中国の名匠ロウ・イエ監督『シャドウプレイ』および『夢の裏側~ドキュメンタリー・オン・シャドウプレイ』、秋公開予定のコン・リー&オダギリジョー共演『サタデー・フィクション』の日本公開が延期となることが発表された。『シャドウプレイ』は、2013年に実際に広州市で起きた汚職事件を巡る騒乱をベースに、中華圏の若手スター、ジン・ボーランを主演に迎えたサスペンス・ラブストーリー。80年代末から現在までの30年間を、時代に翻弄された複雑な人間関係とともに描きあげた。また、『夢の裏側~ドキュメンタリー・オン・シャドウプレイ』は、その『シャドウプレイ』の過酷な製作現場と、かつて『天安門、恋人たち』で中国電影局より5年の映画製作・上映禁止処分を受けたことのあるロウ・イエ監督が表現の自由をかけて検閲と闘い続ける姿を、同作の脚本家で監督の妻であるマー・インリーが記録したドキュメンタリー。さらに、日本からオダギリジョー、中島歩が参加したロウ・イエ監督最新作『サタデー・フィクション』は、第二次世界大戦が勃発する直前、世界各国の諜報員が暗躍する上海を舞台に実在する「蘭心劇場」で巻き起こる愛と謀略の物語を描く。実写版『ムーラン』に出演が決定するなどハリウッドでも活躍する、中国を代表する女優コン・リーが、華やかなショー・ビジネスの世界で活躍しながら、諜報員という裏の顔をもつミステリアスな大女優を演じる。いずれも、新型コロナウィルスの感染拡大を受け、中国での『サタデー・フィクション』の公開が未定となったためで、日本での公開は現時点で未定となっている。(text:cinemacafe.net)
2020年03月12日戦争ドキュメンタリー映画『彼らは生きていた』が、2020年1月25日(土)に公開。監督は、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズを手掛けた名匠ピーター・ジャクソン。第一次世界大戦の記録映像を復元映画『彼らは生きていた』は、イギリスの歴史博物館・帝国戦争博物館に保存されていた第1次世界大戦に関する記録映像を再構築することで誕生したドキュメンタリー作品。ピーター・ジャクソン監督は、モノクロ、無音、経年劣化が著しい100年前の記録映像に、修復・着色・3Dといった3段階の作業を400人以上のアーティストを動員して実施。およそ2200時間以上にも及ぶ当時の不鮮明な映像に、最新技術を取り入れた復元作業を試みた。“命”を吹き込む細やかな作業その復元過程の中には、気が遠くなるような細やかな作業も。バラバラのスピードで撮影されていた当時の映像を、現代のフレームに適合させるため、足りないフレームを作成したり、BBCが所有していた600時間以上ある退役軍人たちのインタビュー音声をはじめ、読唇術のプロが解析した兵士の言葉や効果音を当時の無音映像に加えるなど、完成度の高い1つの映像作品に仕上げている。徹底された色使い修正前後の違いがはっきりと伺える場面写真も到着。元の記録映像を忠実に復元するために、歴史の専門家を招いたピーター・ジャクソン監督は、兵隊一人ひとりの階級、制服やボタンの色、一瞬しか映らない小物など、細部に至るまで徹底されたカラーで再現。蘇ったカラー写真からは、100年前とは思えないほど、鮮明でいきいきとした人々の姿をとらることができる。当時の青年たちの目に映る戦場映画から読み取れるのは、戦車の突撃、爆撃の迫力、塹壕から飛び出す歩兵たちなど、過酷な戦場風景ばかりでなく、リラックスした表情で食事や休息を取る日常の様子も。遠い過去の話としてしかとらえていなかった第一次世界大戦の戦場が、普通の青年たちの目を通してリアルに映し出される、貴重な映像体験となっている。2019年米ドキュメンタリー部門でNO.1なお完成作を鑑賞したピーター・ジャクソン監督は、「フィルム上の人々の人間性に心が打たれた。復元は、実際にそこにいた人たちの人間性を引き出すんだ。この映画がこの人々を再び僕たちの生活の中に連れ戻すと実感したんだ」とコメント。本作は、2019年度のアメリカ・ドキ ュメンタリー部門でNo.1ヒットを記録したほか、有名映画批評サイト「ロッテントマト」では驚異の100%フレッシュを獲得している。詳細映画『彼らは生きていた』公開日:2020年1月25日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開製作・監督:ピーター・ジャクソン原題:THEY SHALL NOT GROW OLD配給:アンプラグド2018年/イギリス=ニュージーランド/99分/パートカラー/シネスコ/5.1ch/R15+原題:They shall not grow old
2019年12月15日12月5日(木)より、NYインディーズの名匠ハル・ハートリー監督が、クラウドファンディングサイト“キックス ターター”にて、新作映画のクラウドファンディングを行う。募集額は30万USドル(約3300万円)で、長編映画『ホエア・トゥ・ランド(原題)』の製作資金に充てられる。今年でデビュー30周年を迎えたハートリー監督の集大成的な作品であり、新作プロジェクト実現に大きな期待が高まる。NYのインディペンデント映画シーンで活躍してきたハートリー監督は、1990年初頭より高い評価を集め、今年でデビュー30周年を迎えた。主な受賞歴は、1991年のサンダンス映画祭(『トラスト・ミー』脚本賞)、2014年の東京国際映画祭(『愛・アマチュア』シルバー賞)、1998年のカンヌ映画祭(『ヘンリー・フール』 脚本賞)、2015年のベルリン映画祭(『ネッド・ライフル』)など。また、近年も日本を含む世界各地で回顧上映が行われている。新作長編『ホエア・トゥ・ランド(原題)』とは、どことなくハートリー監督本人を思わせる映画監督のジョー・フルトンを主人公にした、自伝的要素を含むコメディ作品だ。物語は58歳のジョーが人生の転機を感じ、近所の墓地で庭師として働こうとするところから始まる。ところが、思い込みの激しい人気女優の恋人ミュリエルが、ジョーの余命がわずかだと思い込み、噂を聞きつけた誰も彼もが最後の別れを言おうとジョーのアパートメントに押しかけることに……。出演はビル・セイジ、ロバート・ジョン・バーク、パーカー・ポージー、エリナ・レーヴェンソンら。ハートリー監督のキャリアの初期から深く関わってきた名優たちが集結することになる。ハートリー監督は、2011年から世界最大のクラウドファンディング“キックスターター”を通じて5回のクラウドファンディングを成功させており、インディペンデントな映画作家として新たな可能性を見出した。2017年からは年に一度、クラウドファンディングを通じて過去作品を復刻し、日本語を含む5カ国語字幕を付けてBlu-ray化するプロジェクトを続けている。海外の映画監督が「日本の観客にも観て欲しい」と自ら字幕制作に乗り出すのは非常に希有なケースだといえる。この2019年には3番目のBlu-ray/DVD BOX セット《サバイビング・デザイアー+初期短編集》を完成。収録された6本の中編短編は、『ハル・ハートリー DAYS OF 16mm FILMS サバイビング・デザイア ー+初期短編特集』として、12月6日(金)よりアップリンク吉祥寺ほかで劇場公開される。【関連リンク】 劇場公開特設サイト()■『ホエア・トゥ・ランド(原題)』クラウドファンディング詳細・タイトル『Where To Land』監督・脚本・製作・音楽:ハル・ハートリー出演:ビル・セイジ(『シンプルメン』『肉』)、タティアナ・アブラコス、ロバート・ジョン・バーク(『ブラック・クランズマン』)、エリナ・レーヴェンソン(『愛・アマチュア』『シンドラーのリスト』、パーカー・ポージー(『ブロークン・イングリッシュ』)ほか2020年4月撮影、2021年春頃完成予定クラウドファンディングサービス“キックスターター”『Where To Land』ページにて募集【関連リンク】 募集ページ()募集期間:12月5日(木)~2020年1月3日(金)ハル・ハートリー公式サイトにて詳細を随時発表【関連リンク】 ハル・ハートリー公式サイト(halhartley.com/target=)
2019年12月05日日本でも大ヒットとなった『わたしは、ダニエル・ブレイク』を最後に映画界からの引退を表明していたイギリスを代表するケン・ローチ監督が、引退宣言を撤回して手掛け、第72回カンヌ国際映画祭で世界中から絶賛された最新作『Sorry We Missed You』(原題)の邦題が『家族を想うとき』に決定し、ビジュアル&海外版予告が解禁。さらに、NHK「クローズアップ現代+」では是枝裕和監督との対談が実現していることが分かった。父リッキーは、マイホーム購入の夢をかなえるためにフランチャイズの宅配ドライバーとして独立。母アビーはパートタイムの介護士として、時間外まで1日中働いている。家族を幸せにするはずの仕事が、家族との時間を奪っていき、高校生の長男セブと小学生の娘のライザ・ジェーンは寂しい想いを募らせてゆく。そんななか、リッキーがある事件に巻き込まれてしまう――。個人事業主とは名ばかり、理不尽なシステムによる過酷な労働条件に振り回されながら、家族のために働き続ける父。そんな父を少しでも支えようと互いを思いやり懸命に生き抜く母と子どもたち。日本でも日々取り上げられている労働問題と重なる物語は、名匠が引退宣言を撤回してまで描きたかった、加速するグローバル経済の中で変わっていく市井の人々の働き方と、時代の波に翻弄される現代の家族の姿を映し出す。この度解禁された日本版ビジュアルは、イギリスの美しい夕暮れの田園風景を背景に、主人公リッキーたちが並ぶ家族4人の写真がメイン。皆で過ごす時間が減りながらも、互いを思いやり懸命に生きる彼ら。「本当はもっと一緒に過ごしたい」というストレートな想いを凝縮した、「毎日、抱きしめて」というコピーが添えられている。また、9月17日(火)のNHK「クローズアップ現代+」では、ケン・ローチ監督と是枝監督の対談の様子を収めた【是枝裕和×ケン・ローチ “家族”と“社会”を語る】を放送予定。ロンドンで行われた対談では、ローチ監督を師と仰ぐ是枝監督の思い、お互いのキャストへの演出へのこだわりや、『わたしは、ダニエル・ブレイク』『万引き家族』と共に現代社会の片隅で生きる人々を描いてパルム・ドールを受賞した両監督が「映画が不寛容な社会にできること」をテーマに熱く語る。『家族を想うとき』は12月13日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。「クローズアップ現代+」【是枝裕和×ケン・ローチ “家族”と“社会”を語る】は9月17日(火)22時~NHK総合にて放送予定。(text:cinemacafe.net)■関連作品:家族を想うとき 2019年12月13日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開©Joss Barratt, Sixteen Films 2019
2019年09月09日名匠フランク・ワイルドホーンの楽曲を堪能できるコンサート「FRANK WILDHORN & FRIENDS 2019」が10月12日 (土)・13日 (日) ・14日 (月・祝)に東京・日本青年館ホールで開催される。【チケット情報はこちら】同公演は元宝塚歌劇団星組トップスター・柚希礼音をメインアクターに据え、ブロードウェイの若手女優ジャッキー・バーンズ、ブロードウェイ『ピピン』でトニー賞を受賞したマシュー・ジェームス・トーマスが一堂に会し、名匠フランク・ワイルドホーンの楽曲を本人の演奏と歌唱を繰り広げる。柚希の代名詞とも言える『スカーレット・ピンパーネル』から『マタ・ハリ』をオリジネーターと共に届ける初の試みは、間違いなく最高の舞台となりそうだ。また、10月14日(月・祝)公演は、趣向を変えて“ブロードウェイヒッツ”を中心に、『ウエイトレス』でブレークしたベッツィ・ウルフ、『春のめざめ』や『War Horse』などブローウェイで活躍するマット・ドイル、そして韓国版『ジーザス・クライスト・スーパースター』で一躍韓国ミュージカル界を席巻するようになったチェ・ジェリムらがショーを展開。もちろんフランク・ワイルドホーンもゲスト演奏者として公演に参加し名曲の数々を披露する。チケットは9月14日(土)より一般発売開始。なお、一般発売に先駆けて、8月31日(土)午前11時よりいち早プレリザーブを実施。受付は9月4日(水)午後11時59分まで。■「FRANK WILDHORN FRINDS 2019」日時:10月12日 (土) 【昼公演】開場12:00 開演13:00 【夜公演】開場16:30 開演17:3010月13日 (日) 【昼公演】開場12:00 開演13:00 【夜公演】開場16:30 開演17:3010月14日 (月・祝)【昼公演】開場12:00 開演13:00 【夜公演】開場16:30 開演17:30会場:日本青年館ホール(東京都)出演:【10月12日 (土)・13日 (日) 】柚希礼音、ジャッキー・バーンズ、マシュー・ジェームス・トーマス【10月14日 (月・祝)】 ジャッキー・バーンズ、マット・ドイル、チェ・ジェリムゲスト演奏・フランク・ワイルドホーン音楽スーパーバイザー:塩田明弘【演奏】フランク・ワイルドホーン/フランク・ワイルドホーンバンド/ダット・ミュージック料金:指定S席12,000円(税込)U20指定席5,000円(税込)※一般発売より。20歳以下のお客様席・指定席※入場の際に年齢判別ができる身分証の開示必要
2019年08月30日アカデミー賞受賞『別離』『セールスマン』のアスガー・ファルハディ監督が、ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデムの“夫婦”を起用した『誰もがそれを知っている』。この度、ペネロペがファルハディ監督との初タッグや夫ハビエルとの共演について語るインタビュー映像が、いち早くシネマカフェに到着した。現在開催中の第72回カンヌ国際映画祭では、コンペティション部門に出品されているペドロ・アルモドバル監督最新作『Dolor y Gloria』(原題/英題:Pain and Glory )で主人公の母親役を演じて話題となり、その後もオリヴィエ・アサイヤス監督のスパイ映画『Wasp Network』(原題)や、ジェシカ・チャステイン、マリオン・コティヤールらと共演する女性スパイ映画『355』(原題)などが控え、さらに第67回サンセバスチャン国際映画祭では生涯功労賞にあたるドノスティア賞を受賞することが発表されるなど、その活躍に注目が集まっているペネロペ。映像では、本作の出演のきっかけについて「5年前に監督から電話がかかってきて、作品の構想について話があり、“もちろん任せて”と即答したわ。映画界の巨匠ですもの。彼が脚本を書き始め、映画の完成までこぎつけた」と念願のオファーであったと語る。そのファルハディ監督は今回、初のスペインロケを行っている。「彼は構想を共有してくれて、あらゆる面で明確なビジョンを打ち出してた。一方でクルーや私たちにためらわず質問してくれたわ。その姿勢は、とても謙虚で大切よ。異国の地で異なる言語を使って撮影するんですもの」と、監督とのコラボレーションについてふり返った。続けてスペイン出身である彼女は「スペイン特有のことについて聞かれた時には、いろいろ話し合った。一緒にスペイン映画を撮れてうれしかったわ。本当に光栄なことよ」と明かし、同時に監督もサポートしていた様子。今回演じたラウラ役については「複雑な役柄だったわ。彼女は大きな秘密を抱えていて、それが性格に影響してる。周りの人とのつき合い方にもね。重荷となって肩にのしかかる」と、“ある秘密”を抱えていることに触れ、それが彼女の複雑な人格を形成していると、冷静に自身のキャラクター像を分析した。また、2010年にハビエルと結婚してから、『悪の法則』(’13)や『Loving Pablo』(原題/17・未)に続き、夫婦共演3作目となる本作。前作で演じた役と本作について「2つの作品に出てくる役はまったく異なる人物で、それぞれ個性があるから演じやすかった」とふり返りながら、ハビエルとの共演については「共演が続いたのは偶然だったの。またいつか一緒に仕事する日が来るでしょうけど、頻繁に共演はしたくないわ(笑)」と最愛の夫との共演をはにかみながらコメント。最後に観客に伝えたいことについて、「登場する家族は、メタファーみたいなものなの。私たちみんなを表しているわ」と彼女は言う。「人との関わり合い方を見てるうちに、自問自答したくなるの。“なぜお互いに物事を複雑にしてしまうの?”“その必要はある?”“いつか変われる?”ってね」と映画に込められた普遍性について語り、インタビューを締めくくっている。いま熱い視線が送られているペネロペの情熱的な演技を、ぜひ劇場で見届けて。『誰もがそれを知っている』は6月1日(土)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:誰もがそれを知っている 2019年6月1日よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて順次公開Ⓒ 2018 MEMENTO FILMS PRODUCTION - MORENA FILMS SL - LUCKY RED - FRANCE 3 CINÉMA - UNTITLED FILMS A.I.E.
2019年05月27日第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された、中国の名匠ジャ・ジャンクー監督最新作『アッシュ・イズ・ピュアレスト・ホワイト/Ash is Purest White』が、邦題『帰れない二人』として9月に公開決定。新たな場面写真も到着した。ジャ・ジャンクー監督のカンヌ出品5作目となった本作。コンペティション部門上映時には「皮肉と華麗さに加え、密かにロマンチックなフィルム・ノワール。ジャ・ジャンクーは中国の偉大な映画作家だ」(テレラマ)、「中国の下層社会を背景に複雑に絡み合うロマンチックな悲劇」(ガーディアン)など、熱狂的に海外メディアに迎えられた。主人公の女性チャオを演じるのは、『山河ノスタルジア』『罪の手ざわり』など監督のミューズとして知られる、チャオ・タオ。本作の演技でシカゴ国際映画祭とアジア太平洋スクリーン・アワードで女優賞を獲得した。チャオの恋人ビンには『薄氷の殺人』で第64 回ベルリン国際映画祭男優賞を受賞したリャオ・ファン。チャオとビン、1組の女と男が辿る2001年から2018年の18年間を、変わりゆく中国を背景に丁寧に紡ぎだした。プロデューサーは日本の市山尚三が務めている。■ストーリー山西省大同。チャオは裏社会で生きる男ビンの恋人。ある日、敵対する組織に襲われたビンを助けるために、チャオは銃を発砲する。5年後、刑期を終え釈放されたチャオは、ビンを探し長江を訪れるが、かつてのビンの姿はそこにはなかった――。『帰れない二人』は9月、Bunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2019年03月25日第52回 京都名匠会が、西武池袋本店にて2018年10月18日(木)から25日(木)まで開催される。開催スタートから半世紀を迎える京都名匠会。52回目となる今回は、約70店舗がずらりと勢ぞろいし、「伝統を守りながら進む、その先の京都」をテーマに、個性豊かな和菓子や工芸品を紹介する。なかでも老舗×人気店のコラボレーションはここだけでしか食べられない限定メニューだ。村山造酢×祇園きななの大人パフェ村山造酢と祇園きななのコラボレーションによって誕生したのは、「きななパフェの千鳥酢バルサミコ風ソース」。まろやかな酸味の千鳥酢とコク深い黒砂糖がバルサミコ風の味わいとなり、アイスと混ざりあうことで大人の味わいを生む。京菓子司 俵屋吉富×豆政の花型和菓子1755年創業の老舗菓子店、京菓子司 俵屋吉富は、豆政とのコラボレーションで色鮮やかな花型の和菓子「Flowers」を提案。しゃりっとした食感の色鮮やかな琥珀羹の上に、洋菓子感覚のサクッと香ばしい豆菓子を飾って小さな花に見立てた。絶対食べたい!日替わり限定シェ・アガタの絶品抹茶テリーヌネットで数か月待ちの人気店も出品し、京都名匠会を盛り上げる。10月25日(木)限定で「シェ・アガタ」の抹茶テリーヌを販売する。バター、ホワイトチョコレート、抹茶、砂糖、卵、小麦粉だけで作った絶品ケーキはこの機会に是非食べておきたい。京とうふ藤野×晦庵河道屋「あんかけきつねそば」スイーツ以外にも、しっかりお腹を満たしてくれるメニューもラインナップ。「あんかけきつねそば」を考案したのは、京とうふ藤野と麩屋町通の名店・晦庵河道屋。やさしい出汁の味わいに、ジューシーな刻み上げと香り豊かな刻みねぎを盛り付けた、シンプルながらも心に響く和の一品だ。【詳細】第52回 京都名匠会会期:2018年10月18日(木)~25日(木)場所:西武池袋本店 本館7階=催事場住所:東京都豊島区南池袋1-28-1
2018年10月20日ジョージア(グルジア)映画界の最長老として君臨する、名匠エルダル・シェンゲラヤ監督。そんな彼が21年ぶり85歳にして完成させた映画『葡萄畑に帰ろう』から、待望の予告編が公開となった。■ワイン発祥の地・ジョージアを舞台にした人生賛歌!かつてグルジアと呼ばれていたジョージアとは、旧ソ連邦・コーカサス山脈の南の歴史ある国。ジョージアはワイン発祥の地としても世界的に知られおり、その歴史は8000年にわたると言われている。長い歴史の中、周辺の国々に翻弄されてきたジョージアの人々は、独自の言語、宗教、そしてワインを守り続け、ワインの大地・葡萄畑はまさにジョージアの魂ともいえる。本作は、そんなジョージアの魂である葡萄畑が広がる故郷への愛を謳いあげる人間賛歌となっている。ジョージア独自のクヴェブリという甕(かめ)を使った伝統的なワイン製法は、2013年に世界無形文化遺産に登録され、同年には和食も世界遺産になるなど、話題を集めている。■独特の経歴をもつジョージア最長老の監督が描く!この度解禁となった予告編には、そんな目にも美味しいジョージアワインが登場する。「この映画をジョージアのワインにたとえるならば、有名な辛口の赤ワイン『ムクザニ』です」と語るエルダル監督は、故郷への愛を描きつつ、実際に政界に身を置いていたこともある異色の経験から生まれた、権力社会への痛烈な風刺を、名匠ならではの自由な想像力と大らかなユーモアで描いている。監督が“辛口の赤ワイン”とたとえる本作の世界観は、こちらの予告からチェックしてみて。『葡萄畑に帰ろう』は12月15日(土)より岩波ホールほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:葡萄畑に帰ろう 2018年12月15日より岩波ホールほか全国にて順次公開
2018年09月23日世界的に大ヒットを記録した『ヘアスプレー』『glee/グリー』『ウォーク・トゥ・リメンバー』の名匠アダム・シャンクマン最新作『ステータス・アップデート』の公開日が11月3日(土)に決定。この度、予告編動画と場面写真が公開となった。■ストーリーカリフォルニア出身の青年カイル(ロス・リンチ)は両親の別居により、母と妹と3人で祖父のいるコネチカット州へ移り住む。自分に自信のないカイルは学校に馴染めず恋人がいないのが悩み。そんな彼が、ある日不思議な男によって“なんでも思い通りになる世界”に導かれる。男は<ユニバース>というソーシャルアプリがダウンロードされたスマホをカイルに手渡し、<ユニバース>に投稿したことは全て現実になるという。魔法のアプリを駆使して、望むものを何でも手に入れたカイルだったが、やがて重大なことに気がついていく。そして、人生最大の選択が目の前に迫っていた――。■ディズニーチャンネルのトップスターが夢の共演!主人公のカイルを演じるのは、ディズニー・チャンネルの人気青春ドラマ「オースティン&アリー」の主演を務めブレイク、バンド「R5」のボーカルとしても活躍し第2のザック・エフロンと全米で呼び声高いロス・リンチ。カイルが想いを寄せるダニー役には、ディズニー・チャンネル「やってないってば!」でヒロインを務め若手女優として話題沸騰中のオリヴィア・ホルトだ。ディズニー・チャンネル出身のトップスター2人が夢の共演を果たし、パワフルな歌声を披露している。また、映画のカギを握る同級生シャーロット役に、『マッドマックス怒りのデスロード』のコートニー・イートンが小悪魔的魅力たっぷりに演じている。そのほか、『X-MEN』シリーズのジーン・グレイ役で知られるファムケ・ヤンセン、『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』のフランクリン役で有名なロブ・リグルなどが脇を固め、物語にリアリティと笑いを与えて感動へと誘う。■2人の歌声&音楽に注目が集まる予告編ディズニー・チャンネル出身の人気若手スター、ロス・リンチとオリヴィア・ホルトがブルーノ・マーズの大ヒット曲「ロックト・アウト・オブ・ヘブン」を熱唱するシーンなどが収められている予告編動画がこの度解禁。劇中で流れるブルーノ・マーズ、レイチェル・プラッテン、トミー・ジェイムス、レナード・コーエンなど、音楽への注目も欠かせない作品になっている。場面写真でも2人のダンスシーンを捉えたカットなどが公開され、『ヘアスプレー』監督とディズニースターのコラボに期待が高まる。『ステータス・アップデート』は11月3日(土)より渋谷シネクイント、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ステータス・アップデート 2018年11月3日より渋谷シネクイント、新宿武蔵野館ほか全国にて公開(C)2017 Status Update, LLC All Rights Reserved
2018年09月10日「スター・ウォーズ」最新作にしてシリーズ屈指の人気を誇るハン・ソロのアナザー・ストーリー『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(公開中)でメガホンを握った名匠、ロン・ハワード監督が来日! 誰もが知っているSWのアイコン的存在のキャラクターの描写の仕方をはじめ、盟友ジョージ・ルーカス監督の友情関係、本作の監督交代劇への真意や、来年開業する米ディズニーランドSWエリアにまつわる話などについて聞いた。――あのハン・ソロが、誰もが知るハン・ソロになるまでの物語ということで、映画の途中で確かに見覚えがある佇まいになっていく感じがありました。演出で「ハン・ソロになって」と言うわけではないと思いますが、どのように段階的にハン・ソロに見せていったのでしょうか?僕にとっては、自己中心的な男だと打ち出しているあの彼が、実は高貴なものがチラッと見え始めた瞬間だと思うんです。今まで隠していたけれど、無視できない何かに気付いた瞬間でもあり、変化や進化、ヒーローとして成熟していく道のりのことですね。まずそれは、ミレニアム・ファルコンを自分で操縦するタイミングで生まれ始めた。なぜなら彼とマシーンの関係、ハン・ソロとチューバッカがひとつになり、最高のヒーロ像がそこで立ち現れる。これは、人生とちょっと似ていますね。誰でもそうだけれど、たくさんの試練を経験します。気持ちの上でも肉体的な面でもいいけれど、何か危険なストレスを感じる。そういう状況に直面すれば、人は変わります。神話的なところに、1970年代のロック的なバイブスも持たせたかった。古典的なある種、大人への成長の物語であると僕はとらえました。――ハン・ソロが愛するキーラのキャラクターもポイントでした。彼女は、現代的な女性像にも通じる存在でした。すごく話し合いました。現代のパワフルな女性たちが生きるジレンマにすごく近いものを感じるし、それを彼女はすごく体現していると思う。彼女は引き裂かれていますよね。自分の心が求めているものとキャリア、パワーを得ようとする気持ちと、愛のために犠牲を払うのか、の間でね。僕自身は彼女はハンへの愛をずっと持っていると思います。でも、女性はある意味実用的な側面があり、特にサバイバルや愛と、生存ということを天秤にかけた時、実用的な選択をすることが多い。だからキーラは、すべての要素を考慮していると思います。ハンの将来的な身の安全を含めて。――ところで2019年にオープンする予定の米ディズニーランドのSWランドには、ミレニアム・ファルコンに乗るアトラクションもありますが、パークに連動するコンテンツが登場する場合、質問が来るそうですね。先日来日したアンソニー・ルッソ監督やリー・アンクリッチ監督は、質問攻めだったそうですよ。特に来てはいないですね。僕はルーカス・フィルムの人間ではなく、この企画だけにコミットしているからね。ただ、パークス&リゾーツの人間は、映画の中に登場する列車にすごく興味を示していたよ。だからといって、それができるかどうかはわからないけれど、そうとう惹かれていたことは間違いないよ。(C)2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.――そもそも、まず映画を撮ることになった時、ジョージ・ルーカスとの友情関係も含めて、どういう心境になりましたか?もともと僕は「ウィロー」のテレビシリーズを撮りたくてキャスリーン・ケネディと何度か会っていて、僕は「ウィロー」のキャラクターが大好きだから、またテレビ用にぜひ作りたいとずっと思っていました。でも実は「こういう話があるの」とキャスリーンに今回の話をされ、監督を変える判断をしたと。そしてほかの候補を探しているとね。実は最初、僕を候補に入れないでと言ったんです。――それはなぜですか?ただ、脚本は拝見すると言いました。絶対に監督を変えるという決断を本当にしたのかと、まず確認したわけです。というのも、どういう作品であれ、監督を途中で変えるということは絶対に作品にとってよいことではないからね。フィル・ロードとクリス・ミラーの2人の前の監督たちにも僕はリスペクトをしているからね。でも、最終的に変える決断をしたということを確認したよ。僕も脚本を気に入ってね。――確かに監督を途中で変えて、ベターになった例はすぐ思い浮かばないですね。そこで運命的と思ったことは、スケジュールがたまたま空いていたことと、もともとキャスリーンとも仕事をしてみたいと思っていたことなどだね。SWシリーズの監督にも興味はあったけれど、2~3年コミットすることは、やや重いかなとも思っていた。もちろん、そこにはルーカスとの長い友情もあり、究極的には今回のチャンスを逃せば、自分は後悔するだろうと考え、そしてこれをクリエイティヴなチャレンジと受け止め、「イエス」と言いました。――結果、大成功でしたね。個人的には最高の映画だと思っています。どうもありがとう。クリエイティブな意味でもすごく刺激的で、目からウロコというか、こういうタイプの娯楽作品を作ることは、なんてわくわくするのだろうと改めて感じたし、イマジネーションを刺激してくれる。神話的な物語であるところも面白いし、それからキャストやスタッフとのコラボレーションも楽しみました。誇らしく思っていることは、それぞれがプレッシャーのなかで成し遂げたことだよ。――今日はありがとうございました。SWを知らないような方々へは、どうアピールいたしますか?この『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』は、ほかのSWを観たことがない、一切知識がなくても楽しめる初めてのSWになりうるよ。だから、いまいちSWって何? という人にも最高の1本目になりうる。もちろん、知識がある人には、よりボーナスになる楽しみがあるけれどね。誰もが楽しめるアクション、アドベンチャーものなので、楽しんでください。■プロフィールロン・ハワード監督1954年生まれ。アメリカ、オクラホマ州出身。キャリアスタートは子役で、若手俳優として映画『アメリカン・グラフティ』(73)などに出演。以後、監督業に興味を持ち、『スプラッシュ』(84)、『ウィロー』(88)、『バックドラフト』(91)、『アポロ13』(95)など話題作を軒並みリリース、ハリウッド屈指のヒットメーカーとなる。『ビューティフル・マインド』(01)では、アカデミー賞監督賞・作品賞を受賞。話題となった『ダ・ヴィンチ・コード』(06)に始まるシリーズでもメガヒットを収めている。■著者プロフィール鴇田崇映画&ディズニー・パークスを追うフリーライター。年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートをひたすら取材しまくる。ジョン・ラセター、アラン・メンケン、キャスリーン・ケネディ、バイロン・ハワード、ティム・バートンなど、ディズニー映画関連人物のインタビュー経験も豊富。世界のディズニー・パークスでは東京だけでなく、アナハイムも偏愛している。instagram→@takashi.tokita_tokyo
2018年07月02日第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された、アジアを代表する名匠ホン・サンス監督の最新作『それから』。主演をつとめるキム・ミニは、R18指定作品『お嬢さん』(パク・チャヌク監督)の妖しくミステリアスなお嬢さん役の大胆な演技で国際的に評価を高めた。現在ではホン・サンスの新たなるミューズとして、2015年の『正しい日 間違えた日』以降、4作品で主演を務めている。そんな彼女が監督のすごさを語るインタビューが、シネマカフェに到着した。いま世界から最も熱い視線を注がれる名監督×名女優コンビキム・ミニとホン・サンス監督の初タッグ作『正しい日 間違えた日』はロカルノ国際映画祭グランプリを受賞、続く『夜の浜辺でひとり』では韓国俳優史上初となるベルリン国際映画祭女優賞に輝く快挙を達成。また、『クレアのカメラ』ではフランスの大女優イザベル・ユペールとの共演を果たしており、いまキム・ミニには世界中から熱い視線が送られている。ホン・サンスとの4度目のタッグとなる最新作『それから』は、妻に浮気を疑われ、窮地に立たされている社長ボンワン(クォン・ヘヒョ)と、彼が経営する出版社に勤めることになったアルム(キム・ミニ)が織りなすヒューマンドラマ。出勤初日早々、社長の妻が会社を訪れ、アルムを夫の不倫相手と決めつけ騒ぎ立てる。同じ日の夜、彼女の前任者であり、社長の愛人であった女がひょっこり戻ってきたことで、事態は思わぬ方向へ…。カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、かつてロベルト・ロッセリーニとイングリット・バーグマン、ジャン=リュック・ゴダールとアンナ・カリーナ、小津安二郎と原節子といった名監督と名女優のコンビが生み出してきた名作に連なる作品として喝采を浴びた。キム・ミニ「本当に面白い」、予測不能の撮影を明かすキム・ミニは、「この映画は前作『夜の浜辺でひとり』とは全く違います。『それから』でのわたしは、ストーリーから一歩引いた観察者の役割です。一番はじめにストーリーを聞かされたとき、私の演じるアルムはそんなに重要な人物じゃなさそう、これって本当に主役といえるのかしら、と思いました」と言う。「ホン・サンス監督はシナリオをちゃんと書きません。ストーリーを聞かされてもこれから話がどう変わってゆくか予測もつかないし、そもそも監督にだって分かっていないんです。主役なのか、そうでないのかってことすら結局分からない。実は、アルムという人物にもっと重要性を持たせようと監督が決めたのは撮影がある程度進んでからなんです。彼がすごいのはそういうところなんですね」と明かすキム・ミニ。「最後のシーンでアルムが会社に戻って、ボンワン社長とのとあるやりとりですべてがひっくりかえる、まさにどんでん返しです。最後になって過去と現在が同時に立ち現われてくる。こういうところが本当に面白いんですよ」。シナリオを書かないホン・サンス監督と “あうん”の呼吸ホン・サンス監督が『それから』を撮るきっかけとなったのは、“家に帰りたくない男”の存在を知ったことから。昨今、日本でもまっすぐ家に帰らない“フラリーマン”が話題となっているが、本作の舞台に使った極小出版社の主人が「家から逃れるため」に早朝4時半に事務所に出勤し、深夜まで帰らない、という生活に監督が衝撃を受けたことからスタートしているという。監督といえば、場所と俳優だけ決めて、撮影する日の朝までシナリオを書かないことで有名。とはいえ、主演女優としてこの物語の真実を知っていたのか、それとも最後の瞬間まで、監督は主演女優にも映画の全容を隠していたのか、気になるところ。すると、キム・ミニからは「わたしが彼に質問しても決してはっきりと答えてくれません。いつも『どうなるかよく分からないな』と返ってくるだけ。彼自身が知らない以上、わたしが知っているわけはありません」と超然とした回答が…。毎朝、監督からはその日の撮影分のシナリオを渡されて、シーンについて少し話すだけで撮影に入るそうだが、『それから』にはワンシーン・ワンカットで撮られた長回しのシーンも多々。とくに、キム・ミニ演じるアルムとクォン・ヘヒョ演じるボンワン社長が、信仰や人生観について語り合う場面の撮影には苦労をしたらしい。「あの日、シナリオを受け取ったのは朝の10時。約5分間のワンシーン・ワンカットになる予定でした」とキム・ミニ。「陽が差している時間は限られていたので、結局そのシーンは2テイクしか撮れませんでした。私は監督に、演技に満足いかないのでもう一度やらせてほしいと頼んだのですが、『いや、これでいい』と言われました。翌日もう1回チャンスをくれることもあるのですが、このシーンに関してはダメでした。結局その2つのテイクのうち最初のものが選ばれました」と明かしている。本作の見どころ、たった2テイク!ワンカット長回しシーンの裏側は…しかし、この場面は、まさかそんな即興的に撮られたとは思えないほど完成度の高いワンシーンであり、『それから』の大きな見どころの1つともなっている。実生活でも恋人同士であることを公言しているキム・ミニとホン・サンス監督のこと、プライベートな会話が基になっているのではと邪推してしまうが…、キム・ミニは「こんな会話を交わしたことなど全くありません」ときっぱり。では、どうして、ごく自然な会話劇となったのか、その答えは監督の演出にあったようだ。「朝の10時にシナリオを渡されて『じゃあこのシーンについてちょっと話をしよう』ということになりました。日常の会話で話すような事柄ではないですから、当然覚えるのに相当苦労しました。信仰や神について監督はたっぷり1時間くらいかけて自分の考えを説明してくれました。内容を理解していないとセリフだって覚えられないですから」。これまでも優れたタッグ作を世に送りだしてきた2人だが、こうしたホン・サンス監督の丁寧な演出の積み重ねで、キム・ミニとの信頼関係は確固たるものとなったのだろう。公私にわたるミューズのキム・ミニを得た恋愛映画の名手は、最新作『それから』では人間ドラマの名手へと昇華したとの評価が高まっている。本作は、まさに監督と女優の幸せなコラボレーションから生まれた名作といえそうだ。『それから』は6月9日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:それから(2018) 2018年6月9日よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開© 2017 JEONWONSA FILM CO. ALL RIGHTS RESERVED.
2018年06月04日©︎ YUMIMOROTOこんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。今回ご紹介する映画は、名匠ウッディ・アレン監督がケイト・ウィンスレットを主役に迎え、1950年代NY・コニーアイランドを舞台に、愛と裏切り、人生の切なさを描いた物語、映画『女と男の観覧車』をお送りします!映画の舞台となるコニーアイランドは、ニューヨークのブルックリンの南端に位置する半島で、ビーチと遊園地で知られ、多くの観光客で集まる美しいリゾート地ですが、ウッディ・アレン自身が子どもの頃に何度も訪れたという思い出の場所。アレン監督は、1950年代のコニーアイランドを詩情豊かな夢のような映像美で描くために『ブルージャスミン』をはじめ30本のアレン作品を支えてきた美術のサント・ロカストや『地獄の目次録』などで3度アカデミー賞を受賞した撮影監督のヴィットリオ・ストラーロと共に制作。人生の喜び、怒り、哀しみ、楽しさを乗せてまわり続ける観覧車は、この映画そのものを象徴しているかのようにエモーショナルに描かれ不思議な余韻を残します。安定を願いながら刺激を求め、真実の愛に憧れながら刹那の恋に溺れ、あくなき理想を追い求める情熱的な主人公のジニーを演じたのは、『タイタニック』『愛を読むひと』のケイト・ウィンスレット!オスカー女優ケイト・ウィンスレットの新境地をぜひ映画館でお楽しみください。■映画『女と男の観覧車』あらすじー1950年代、NYコニーアイランドを舞台にまわる、まわる、秘密の恋。舞台は1950年代、かつての賑わいは薄れたとはいえ、アメリカ最大の遊園地やビーチがあり、多くの人が行き交うニューヨークの人気リゾート地コニーアイランド。コニーアイランドの遊園地内にあるレストランで働いている元女優のジニーは、再婚同士で結ばれた回転木馬操縦係の夫・ハンプティと、ジニーの連れ子である息子のリッチーと3人で、観覧車の見える部屋で暮らしています。ある日突然、遊園地のレストランでウェイトレスとして働くジニーの前に思いがけない客が現れます。20歳でイタリア人のギャングと駆け落ちして、5年も音信不通だった夫の娘のキャロライナでした。初対面のキャロライナを戸惑いながらも自宅へ連れて帰るジニー。遊園地の回転木馬の操縦士として勤めるハンプティは、絶縁したはずの娘を見て唖然とします。キャロライナは、イタリア人ギャングの夫と離婚し、FBIに証言を強要され、命を狙われる身となっていました。キャロライナは、父との不仲を知る元夫がここには来ることはない、命を狙われてるからかくまってくれと言うのですが、ジニーは我が息子リッチーのこともあり不安でたまりません。リッチーは前夫との間の息子ですが、火遊びを繰り返しては、まわりを困らせていました。学校をサボっては映画館に入り浸ってるのも心配です。そんななか、ジニーには、秘密がありました。ニューヨーク大学の学生で、脚本家志望で夏の間にビーチで監視員のバイトをしているミッキーと恋愛関係になっていたのです。かつて駆け出しの女優だったジニーは、ドラマーの夫がありながら共演者と深い関係となり、それを知った夫は自殺。ジニーはショックから女優を辞めてしまいました。そして妻と娘を失ったハンプティと出会い再婚したのでしたが、絶望や寂しさを埋めるために一緒になったハンプティにジニーは感謝はありましたが、愛を感じることができなくなっていたのです。元女優だったというジニーの苦悩に、脚本家志望のミッキーは魅了され、ジニーもまた今の暮らしのまま一生を終えるのではなく女優としての復活を期待し始めます。一方、キャロライナは、やはり娘が可愛い父親のハンプティの支援のもと、ジニーと一緒にウエイトレスとして働き、夜学にも通い始めます。そんなある日、キャロライナとミッキーが偶然出会うことで、予想もしなかった展開に……!■映画『女と男の観覧車』作品紹介6月23日(土)より丸の内ピカデリーほか全国ロードショー公式ホームページ:www.longride.jp/kanransya-movie原題:Wonder Wheel脚本・監督:ウディ・アレン製作:レッティ・アロンソン、エリカ・アロンソン、エドワード・ワルソン製作総指揮:アダム・B・スターン、マーク・アタナシオ、ロナルド・L・シェ共同製作:ヘレン・ロビン撮影:ビットリオ・ストラーロ美術:サント・ロカスト衣装:スージー・ベンジンガー編集:アリサ・レプセルター制作年:2017年制作国:アメリカ/英語上映時間: 101分配給:ロングライド提供:バップ、ロングライド©︎ 2017 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.■映画『女と男の観覧車』キャストケイト・ウィンスレット=ジニージャスティン・ティンバーレイク=ミッキージム・ベルーシ=ハンプティジュノー・テンプル=キャロライナジャック・ゴア=リッチーデビッド・クラムホルツ=ジェイクマックス・カセラ=ライアンアートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美
2018年05月22日フランスの大邸宅に三世代で暮らすロラン家 ミヒャエル・ハネケ監督の5年ぶりとなる新作『ハッピーエンド』が、3月3日より公開中だ。前作『愛、アムール』で、老夫婦の愛と死に目を向けたハネケ監督。今作でも、『愛、アムール』に出演したジャン=ルイ・トランティニャンとイザベル・ユペールを起用し、フランスの大邸宅に三世代で暮らす、崩壊寸前の家族を描いている。 ハネケ作品の常連俳優、イザベル・ユペールが出演 フランス北部の町・カレーに住むブルジョワジーのロラン家。建築業を営んでいた家⻑のジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)は、高齢のために仕事を引退。今は娘のアンヌ(イザベル・ユペール)が家業を継ぎ、辣腕を振るっている。アンヌの息⼦・ピエールも家業を手伝っているが、精神的に不安定でトラブル続き。アンヌの弟・トマは医者として働き、再婚した妻と幼い息子とともに、同じくロラン家で暮らしていた。そこへ、トマと前妻の間に生まれた娘・エヴがやって来ることになり……。 映画は冒頭で、スマートフォン画面上の動画をうつし出す。その画面上に、撮影者による短いコメントが矢継ぎ早に打ち込まれていく。何気ない日常を切り取った映像が、動画共有アプリの投稿によって垂れ流される様子は、遠くの人と瞬時につながりながらも、身近な人と親密につながれない現代人の孤独を表しているようにも見えてくる。 闇を抱えた少女を演じるのは、ハネケ監督に抜擢されたファンティーヌ・アルドゥアン もうすぐ13歳になる少女・エヴは、両親の離婚のため父と離れて暮らしていた。しかし、ある事件をきっかけに、父親の家族が暮らす豪邸に身を寄せることに。彼女の新たな居場所となったロラン家は、使用人家族を敷地内に住まわせるほど裕福だが、家庭内がうまくいっているとはいえない。表向きは互いに気遣い、愛情をもって接しているように振る舞いながらも、家族それぞれが抱える心の痛みや苦悩には、深く立ち入ろうとしない。 一家が迎える結末は、果たしてハッピーエンドなのかある秘密を隠しながら、周囲に心を閉ざす少女・エヴ。そんな彼女の闇に気付くのは、祖父のジョルジュだけだ。「死」に興味を持つ思春期の少女と、「死」にさしかかった老境の祖父が静かに対話するとき、ふたりはかすかに心を通わせる。 映画の終盤、閉ざされた大邸宅を出たロラン一家は、広々と空を見渡せる海沿いのレストランに集まる。その後、一家が迎える結末は、果たしてハッピーエンドなのか、そうでないのか。これまでのハネケ監督作品と同様、登場人物の心情や境遇をあまり多く説明しない本作は、観る者に解釈を委ねている部分が多い。だからこそ想像力を膨らませながら、ぜひ劇場でその結末を見届けてほしい。 © 2017 LES FILMS DU LOSANGE - X FILME CREATIVE POOL Entertainment GmbH - WEGA FILM - ARTE FRANCE CINEMA - FRANCE 3 CINEMA - WESTDEUTSCHER RUNDFUNK - BAYERISCHER RUNDFUNK- ARTE - ORF ■『ハッピーエンド』2018年3月3日(土)より、角川シネマ有楽町ほか全国順次公開中監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ出演:イザベル・ユペール、ジャン=ルイ・トランティニャン、マチュー・カソヴィッツ、ファンティーヌ・アルドゥアン ほか提供:KADOKAWA、ロングライド配給:ロングライド
2018年03月18日『ブラインド・マッサージ』『二重生活』などで国際的に知られる中国の名匠ロウ・イエ監督の新作映画『SATURDAY FICTION』(英題)に、日本から実力派オダギリジョーと「花子とアン」の中島歩が出演することがわかった。本作は、ロウ・イエが代表を務める制作会社YINGFILM、日本の映画制作・配給会社アップリンク 、ドイツのベルリンを拠点とする制作会社Achtung Panda!による国際共同制作作品。太平洋戦争開戦前夜、スパイが暗躍する上海を舞台に、上海租界(外国人居留地)に実在した「蘭心劇場」で巻き起こる愛と謀略の物語となる。オダギリジョー&中島歩、国際色豊かなキャストに参戦!主演は、『紅いコーリャン』『妻への家路』などで知られる中国を代表する女優コン・リー。共演には、ドイツから海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」ジャクェン・フ=ガー役のトム・ヴラシア、フランスからは『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』のパスカル・グレゴリー、台湾から国民的人気俳優のマーク・チャオなど国際色豊かなキャストがずらり。そして、日本からは『南瓜とマヨネーズ』『湯を沸かすほどの熱い愛』や、キューバとの共同制作作品『エルネスト』に主演するなど、内外での活躍が目覚ましいオダギリジョー。さらに、NHK連続テレビ小説「花子とアン」で注目された中島歩が、海外の作品に初出演を果たす。コン・リーは香港から上海に戻った大女優、トム・ヴラシアはグランドホテルの支配人。パスカル・グレゴリーはコン・リー演じる女優の養父を演じ、マーク・チャオは「蘭心劇場」の支配人である舞台演出家に。オダギリさんは日本から来た暗号通信の専門家で、中島さんはその護衛にあたる人物を演じるという。ロウ・イエ監督からコメント到着「1941年、太平洋戦争開戦までの1週間は、中国、ヨーロッパ、アメリカ、アジアにとって全てが変わってしまう直前にあたります。また、その時代の上海はショー・ビジネスとスパイの世界が交差した特異な場所でした。この映画が描くのは、策略とロマンス、裏切りに満ちた二つの世界です」『SATURDAY FICTION』(英題)完成は2019年を予定。(text:cinemacafe.net)
2018年02月26日ミヒャエル・ハネケ監督映画『ハッピーエンド』が、2018年3月3日(土)に公開される。ミヒャエル・ハネケ最新作は、壊れゆく現代家族の物語物語の舞台は、難民が多く暮らすフランス北部の町、カレー。一見どこにでもいるような家族3世代だが、その裏には不倫や裏切りなど、それぞれに秘密をかかえながら暮らす姿を、ハネケ節たっぷりに描いた人間ドラマだ。キャストは、第85回アカデミー賞外国映画賞を受賞した『愛、アムール』で父と娘を演じたジャン=ルイ・トランティニャンとイザベル・ユペールが、本作でもある裕福な家族の父と娘を演じているほか、『アメリ』のマチュー・カソヴィッツら、フランスを代表する俳優たちが集結している。3世代が絡む複雑なキャラクターたち家族3世代が絡むキャラクターたちは、ジャン=ルイ・トランティニャン演じる一代で巨万の富を得た家長ジョルジュ・ロランを中心に、複雑な関係で構成される。イザべル・ユペール演じるジョルジュの娘アンヌは、のちに彼の後継者となる人物で、フランツ・ロゴフスキ演じる、専任職を任された息子ピエールを持つ。また、アンヌの弟で、マチュー・カソヴィッツ演じる医者のトマは、ローラ・ファーリンデン演じるアナイスと夫婦関係にある。しかし、ある事件をきっかけに、トマの元妻との間に生まれた、ファンティーヌ・アルドゥアン演じる14歳の娘エヴがロラン家に越してくることに……物語は、常に「死」が纏わりつく祖父ジョルジュとそんなエヴにスポットを当てて進んでいく。予告映像では、そんなロラン家に14歳のエヴが越してくるシーンから始まる。ジョルジュは、食事中のエヴに心ない発言を浴びせたり、突如銃の調達を命じるなど破天荒な老人として映し出される。他にも、薬物乱用で集中治療室に入れられた母親や、ハムスターの死体を携帯で映したショッキングなシーンなど、ロラン一家で巻き起こる“普通”ではない出来事を垣間見ることができる。物議を醸すハネケ節は健在89年に映画監督デビュー、『白いリボン』と『愛、アムール』でカンヌ最高賞パルムドールを2作連続で受賞しているほか、アカデミー賞外国語映画賞、セザール賞、英国アカデミー賞など、ありとあらゆる名誉ある映画賞をその手にしているミヒャエル・ハネケ。しかし、その一方で、過激なシーンや人間の愚かさや醜さを克明に描くことから、作品発表の度に物議を醸している。それは『ハッピーエンド』も例外ではなく、2017年に開催された第70回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映されると、様々な映画評が紙面を賑わせた。「“不快”な映画を作るときだ」当のハネケ本人は作品について「私の映画はすべてエモーショナルだ。ある意味、私はいつも同じような映画を作っている。映画監督とはそういうものじゃないか?だが、少しでも前より良いものを作っていきたいと願っている。とにかく、今回は“良い”映画を作ろう、とは思わなかった。“不快”な映画を作るときだ、とね」と、コメントを残している。ストーリーロラン家は建設会社を経営し、大きな邸宅に暮らしている。両親の離婚のため離れて暮らしていた孫娘のエヴは、父親トマと一緒に暮らすため、祖父ジョルジュたちの住むフランス北部のカレーに呼び寄せられる。不倫や裏切りなどそれぞれに秘密をかかえながら暮らす、壊れていく現代の家族の物語。作品情報映画『ハッピーエンド』公開日:2018年3月3日(土)脚本・監督:ミヒャエル・ハネケ『愛、アムール』『白いリボン』『ピアニスト』出演:イザベル・ユペール(『エル ELLE』『ピアニスト』)、ジャン=ルイ・トランティニャン(『愛、アムール』『男と女』)、マチュー・カソヴィッツ(『アメリ』)、トビー・ジョーンズ(『奇跡がくれた数式』)、ファンティーヌ・アルドゥアン(『少女ファニーと運命の旅』)原題:HAPPY END上映館:角川シネマ有楽町 ほか© 2017 LES FILMS DU LOSANGE - X FILME CREATIVE POOL Entertainment GmbH – WEGA FILM – ARTE FRANCE CINEMA - FRANCE 3 CINEMA - WESTDEUTSCHER RUNDFUNK - BAYERISCHER RUNDFUNK – ARTE - ORF Tous droits réservés
2017年12月08日9月9日(土)よりついに日本に上陸する『ダンケルク』。クリストファー・ノーラン監督は、「ほとんどのイギリス人同様、私もダンケルクの撤退という伝説的なストーリー、そして窮地からつかみとった勝利について聞いて育った。それは私たちの文化の大きな部分であり、体に染み込んでいる」と語り、初めての実話の映画化にイギリスから新人俳優と名優たちをキャスティングした。このほど、本作に参戦した英国映画界、演劇界を代表する名優にして名匠ケネス・ブラナーが、“天才監督”について語った特別インタビューがシネマカフェに到着した。舞台は1940年、フランスの海の町ダンケルク。陸海空から迫りくるドイツ敵軍80万人。その総攻撃はいつ始まるか分からない。絶体絶命の窮地に、英仏連合軍40万人に史上最大の救出作戦が決断される。命からがらダンケルクの浜辺に辿りついた若き兵士・トミー(フィオン・ホワイトヘッド)は、生き抜くことができるのか?7月21日(金)から全米3,720館で封切られ、オープニング興収5,050万ドルを記録した本作。興収ランキングは2週連続第1位を獲得し、スティーヴン・スピルバーグ監督『プライベート・ライアン』(’98)の数字を上回る推移となっている。また、ドイツ、ブラジル、メキシコなどでも初登場第1位を獲得し、世界63か国でオープニング興収No.1に。ノーランの母国・イギリス、映画の舞台となるフランスなどでも快進撃は続き、全米を含む世界興行収入は3億ドルを突破している(※Box Office Mojo調べ)。本作で、ダンケルクにおける救出作戦の管理責任者、ボルトン海軍中佐役を託されたケネス。シェイクスピア演劇でキャリアをスタートし、俳優、演出家としても活躍する彼は、ジョニー・デップら豪華キャスト競演『オリエント急行殺人事件』ではメガホンをとり、主人公の名探偵ポワロを演じている。また、2014年に公開された監督作の実写版『シンデレラ』は、全世界で5億4千万ドルを超える興収を記録しており、監督としての手腕も高く評価されている。ケネスは、「この映画は(ノーラン)監督にとってとてもパーソナルなもので、大きな題材であり、アクション満載の大作でありながら、とても実験的でユニークな作品。短いセリフがストーリーの輪郭を形成していく。キャラクターのバックストーリーはない。いま、ここで、目の前にあるものが常に追ってくる」と語り、圧倒的な緊迫感が続くタイムサスペンスであることを説明する。ノーラン自身による脚本は「驚くほどムダがなく、しかもとてつもなくパワフル。そこには“ノーラン映画ならこれ”と人々が関連づけるあらゆる要素が組み込まれていた」という。「数学的に正確な構造、ストーリー展開に込められた人間性と意味の奥深さ、扱う範囲の壮大さ、ストーリーを引っ張る理屈抜きの活力など、すべてが入っていた。そのストーリーに胸が躍るような体験であると同時に、戦争と歴史上のあの特別な瞬間に関する深い考察」になっていると語り、ノーランが描こうとする世界、その神髄に魅了されていた様子だ。アイルランド育ちのケネスは、「“ダンケルク・スピリット”という表現をよく耳にしたが、第二次世界大戦について学ぶようになって初めて、その意味をちゃんと理解するようになった」と明かす。「それは、どんな逆境でも決して諦めないということ。敵に占領された場所で身動きがとれなくなった40万人もの兵士たちを生還させるために、国全体が団結して、大掛かりな、不可能にも思える撤退作戦を勇敢に実行した。その精神は、致命的な敗退にもなりえた状況を、チャーチルが呼んだように“奇跡の救出”へと変えた」と、言葉に熱を込める。そして、その伝説的な実話に挑んだノーランには圧倒されたという。「作戦の純粋なスケール感にとにかく驚かされた。なんとか生き延びようと頑張っている人々の目を通して、あの戦いの途方もない大きさと危機感を、ノーラン監督がいかに巧妙に明らかにしていくかという点も凄かった」。「彼らは浜辺にいたり、空中にいたり、英仏海峡を渡る船の上にいたりする。それぞれが、この大規模で混乱を極める作戦のほんの小さな部分を体験していて、その作戦の成功の可能性はかなり低い。ノーランは脚本、そしてこの映画において、そういう人々の個人的な体験をすべてまとめ、観客に戦争というものを理屈抜きで体験させるとともに、その瞬間にどのキャラクターよりも大きな視点で、私たちにあの出来事を映像体験させてくれる」と断言。まさにノーランが挑んだのは、イギリス人なら誰もが知っている実話を、誰も体験したことの映画体験として観客に届けることだったのだ。徹底してリアルな撮影を追求した監督との現場は、「確かに大変だった」とケネス。「あれは現実にはどんな様子だったかを微かに示すものでしかない。あのとき、実際にあの防波堤に立っていた人々は、祖国が見える場所――わずか40キロぐらいの距離――にいながらも、地獄の中で動けずにいた。その体験をできるだけリアルに表現することは、監督にとっても、私たち全員にとっても非常に重要なことだった」と結んでいる。デジタルもCGも極力使わず、本物の戦闘機を飛ばし、実際に砂浜で爆破を起こすなど、徹底してリアルにこだわったノーラン監督。ケネスは劇中、兵士たちが無事、故郷に帰ることができるよう見守る指揮官として、ダンケルクの海を見つめている。『ダンケルク』は9月9日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ダンケルク 2017年9月9日より全国にて公開(C) 2017 Warner Bros. All Rights Reserved.
2017年08月14日今年開催された第70回カンヌ国際映画祭で、ダイアン・クルーガーに主演女優賞をもたらせた最新作『In The Fade』でも注目を集める名匠ファティ・アキンが描く『50年後のボクたちは』。この度、本作の本ビジュアルが公開された。14歳のマイクはクラスのはみだし者。同級生からは変人(=サイコ)扱い、両親の仲もうまくいっていない。そんなある日、チックというちょっと風変わりな転校生がやって来た。夏休み、2人は無断で借用したオンボロ車ラーダ・ニーヴァに乗って南へと走り出す。旅の途中で訪れる、いつくもの出会いと別れ。やがて無鉄砲で考えなしの旅は、マイクとチックにとって一生忘れることのできないものになっていく――。本作は、ドイツ国内で220万部以上を売り上げる大ベストセラーとなり、世界26か国で翻訳、ドイツ児童文学賞をはじめ数々の賞を総なめにしたヴォルフガング・ヘルンドルフによる国民的小説「14歳、ぼくらの疾走」の映画化。メガホンをとったのは、『愛より強く』でベルリン国際映画祭金熊賞、『そして、私たちは愛に帰る』でカンヌ国際映画祭脚本賞、『ソウル・キッチン』でヴェネチア国際映画祭審査員特別賞と、世界三大国際映画祭の全てで主要賞を受賞したファティ・アキン監督。キャストには、トリスタン・ゲーベル、アナンド・バトビレグ・チョローンバーダルらが出演している。このほど到着したのは、主人公のマイクとチックが車の上に乗って、青空を仰ぎ見ているビジュアル。そんな彼らが乗っているオンボロ車は、あのプーチン大統領も所有するという“ラーダ・ニーヴァ”。その青い車体に、緑のトウモロコシ畑、そして黄色い大地やオレンジ色のタイトルなど、色彩に富んだ一枚となっている。そして、上部には彼らが旅先で出会う、たくさんの登場人物の姿も。これから、マイクとチックには一体どんな旅が待っているのか、期待せずにはいられない。『50年後のボクたちは』は9月16日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)
2017年06月26日カンヌ国際映画祭で2度のパルムドールほか、数多くの賞を獲得しているジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督。異例の7作品連続、カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品となった彼らの最新作『午後8時の訪問者』が4月8日(土)より日本公開される。その主演を務めるのは、フランスきっての人気女優アデル・エネル。現在28歳にしてキャリア15年、“仏版アカデミー賞”セザール賞二冠の実力派。いま、大躍進中の彼女に注目した。世界的名匠・ダルデンヌ兄弟の最新作『午後8時の訪問者』は、“名もなき少女”に何が起こったのかを探るミステリー。若き女医ジェニーは、診療時間をとっくに過ぎた午後8時に鳴ったドアベルに応じなかった。すると翌日、診療所の近くで身元不明の少女の遺体が発見される。ちょっとした判断の迷いから失ってしまった、“救えたかもしれない命”。「もしかして何かが変わったのではないか」と思わせる人生の転機はどこにでもある。その転機を探るうちに、意外な真相にたどり着く…。■出演映画が5本公開!実力派女優が花開いた2016年主人公のジェニーを演じたアデル・エネルは、1989年1月1日生まれの28歳。13歳のとき、『クロエの棲む家』(’02)で映画初出演にして主演に抜擢され、「フランス映画祭」で来日も果たしている。18歳で出演した『水の中のつぼみ』(’07)で思春期の瑞々しさと危うさを兼ね備えた演技が評価され、セザール賞助演女優賞にノミネート。その後、性に奔放で自由に生きる姉を静かに支える妹を演じた『スザンヌ』(’13)で同賞助演女優賞を受賞。翌年には、軍への体験入隊をきっかけに惹かれあう男女を描いた『Les Combattants』(原題)で恋愛映画ながらアクションシーンなどもこなし、同・主演女優賞に輝いた。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで、フランス最大の映画賞で女優賞を獲得したアデル。そこから彼女の快進撃は始まっていく。先日行われた「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル」で上映されたレア・フェネール監督の半自伝的映画『旅芸人と怪物たち』(’15)では団員の子どもを身ごもる若き旅芸人のひとりを熱演。さらに2016年は、5本の映画に出演し、フランスで1、2位を争うほどの超人気者の女優に上り詰めた。記憶に新しいところでは、昨年の東京国際映画祭にてグランプリを受賞した『ブルーム・オヴ・イエスタデイ』。同作では、撮影前にひと言も話せなかったドイツ語を完璧にマスター!劇中で流暢なドイツ語を披露している。作品ごとに、印象をガラッと変化させるアデル。幼いころから映画界にいることで、脚本を読む能力に長け、並外れた演技力が人気の理由の1つとされる。また、彼女のもう1つの魅力は、容姿端麗なうえ、高身長で骨格も良く、“自立した女性”を演じるとぴたりとハマること。次世代のアイコンとして彼女に注目が集まることは必然といえる。■「アメリカのエレン・ペイジ、フランスのアデル・エネル」大胆なカミングアウトで話題に!また、アデルは18歳のとき、性に揺れる思春期の少女を演じた『水の中のつぼみ』でセザール賞有望女優賞にもノミネートされ、世界的に知られることになった。そして、『スザンヌ』で同・助演女優賞を受賞した際の生放送スピーチでは、『水の中のつぼみ』の監督であり、本年度アカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされた『ズッキーニと呼ばれて(My Life as a Zucchini)』で脚本も担当している女性監督セリーヌ・シアマとの愛を告白。2014年は、同世代のエレン・ペイジがレズビアンであることをカミングアウトしたこともあり、2人の人気女優たちのカミングアウトにLGBT界が湧くことになった。彼女たちの告白がなければ、2015年のクリステン・スチュワートをはじめ、数多くの女優・モデルたちが自身のセクシュアリティについて発言することはなかったかもしれない。アデル・エネルとエレン・ペイジは、1つの時代を切り開いたといえる。■若手女優と世界的名匠監督が運命的に出会い、物語が変更!そんなアデルと、パルムドール二冠のダルデンヌ兄弟がタッグを組んだ本作は、初お披露目となったカンヌ国際映画祭で話題をさらった。アデルは、もともとダルデンヌ兄弟のファンだったということもあり、本作の出演を快諾。実は当初、主人公の設定はもう少し年齢が上だったという。だが、ダルデンヌ兄弟もアデルと出会ったことで「純真無垢な表情を持つ彼女なら、出会う人たちが思わず自分の秘密を話してしまうように思った。だから年齢設定を変えたんです」と述懐、そこまでしてアデルを起用したことを明かしている。また、アデルは175cmとモデル並みのスタイルでも知られる。彼女が本作で演じるジェニーは、医者として、患者に寄り添うように自身の身体を縮めるシーンが多数登場する。「高身長の彼女が行うその仕草に、より人間的な愛情を感じられるような気がした」とダルデンヌ兄弟は語る。そんな彼らについてアデルも、「社会の辺境に生きる人々や貧しい階級の人たちが今日の映画で取り上げられることは少ない。だからダルデンヌ兄弟のような監督たちがつねに彼らにスポットライトを当てるのは、とても大切なことだと思う」と称賛を贈る。また、ダルデンヌ兄弟の前作『サンドラの週末』のマリオン・コティヤールに続き、本作も女性が主人公であることについては、「大切なのは、男性監督と女性監督という性別ではなく、その作られる内容。男性でも素晴らしい女性映画を作る監督もいるし、フェミニストもいる」と断言。「ただ、私が嫌なのは、男性が望むような型に自分を押し込めること。彼らの好むように自分の考えをねじ曲げることはしたくないだけ。その中で、彼らの作品に出演できたことは非常に励みになったわ」。そう語る彼女の演技について、仏のレザン キュプティブル誌は「彼女にふさわしい唯一の形容詞は『天才』だ!」と手放しで絶賛。『サンドラの週末』のマリオンの演技を見てほれ込んだグザヴィエ・ドランが、自身の作品に起用することを強く熱望し、カンヌ・グランプリ受賞作『たかが世界の終わり』が生まれたように、本作を通して、アデルにも世界中の注目が集まっている。『午後8時の訪問者』は4月8日(土)よりヒューマントラスシネ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2017年03月20日本年度第89回アカデミー賞にて外国語映画賞を獲得したイランの名匠アスガー・ファルハディ監督の『セールスマン』。このほど、本作の日本公開日が6月10日(土)に決定し、ファルハディ監督のコメントとともに貴重なメイキング画像が解禁となった。作家アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」の舞台に出演中の夫婦。夫は教師をしながら、小さな劇団で妻とともに俳優をしていた。ある日、引っ越ししたばかりの自宅で、夫の留守中に妻が何者かに襲われ、暴行を受ける。事件を表沙汰にしたくないと、警察への通報を拒否する妻の態度に納得できない夫は、自分自身で決着をつけるべく、ひそかに犯人捜しを続ける。演劇と犯人探し、夫婦の感情のずれがスリリングに絡み合い、やがて事態は思わぬ展開に…。第69回カンヌ国際映画祭にて脚本賞&主演男優賞をW受賞し、本年度アカデミー賞では外国語映画賞に輝いた本作。しかし、ファルハディ監督と主演女優のタラネ・アリドゥスティは、トランプ政権の入国禁止措置に抗議し、授賞式へのボイコットを表明、連日大きくニュース報道もされた。その渦中にあって国境や信教を超えて作品が高く評価され、見事、外国語映画賞を受賞したファルハディ監督。『別離』(’11)でも同賞に輝いており、二度目のオスカー獲得という快挙を成し遂げた。ファルハディ監督は、本作について「ひとつの映画で、7,000万人のそれぞれの信仰や生活がある多様な社会全体を描くことは、誰もできないことだと認識しています。しかし、ひとつの映画で、ひとつの社会の風景を描くことはできます。それが、たとえ、私の視点であったとしてもです。しかし、映画監督として、自分の才能を限定しない限りは、イランに開かれた窓を提供する機会を与えられていると思っています」と、映画制作に込めた思いを口にする。また、暴漢に襲われる妻・ラナ役を演じたタラネ・アリドゥスティについて、「この映画の概要を書いているときから、この夫婦役を誰が演じるか考えていました。それが、映画の世界に入っていくのに大変役に立つのです。撮影中、私はとても安心した状態でいられました。なぜなら、みんなが役柄のテイストを理解していたからです」と語る。タラネから「なぜラナは家族と一緒に住んでいないのか?」と聞かれたという監督は、「私は『彼女の家族は違う町に住んでいる』という考えを伝えました。そうすると、彼女は『わかりました。それではこれから私はこの役柄をいままでとは変えて演じます。だって、彼女は地方出身ですから』と言ったのです」と、彼女との役作りにおけるやりとりを明かしている。イラン国内では60万人を動員する大ヒットとなり、全米でも1月27日にたった3館で限定公開されたが、その週公開の作品でアベレージ1位となるヒットスタートを記録。緻密な脚本と繊細な演出、スリリングな心理描写で事件の真相を紡いでゆく、サスペンスドラマの傑作として熱い視線を送られている。そして今回、主演女優タラネの来日も決定。日本でもさらに注目を集めそうだ。『セールスマン』は6月10日(土)よりBunkamura ル・シネマほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2017年03月08日「第69回カンヌ国際映画祭」にて脚本賞と主演男優賞をW受賞し、アカデミー賞外国語映画賞の最有力候補作とされるイランの名匠アスガー・ファルハディ監督の最新作が『セールスマン』(英題:THE SALESMAN)として、6月、日本上陸を果たすことが分かった。作家アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」の舞台に出演中のある夫婦。夫は教師をしながら、小さなの劇団で妻とともに俳優としても活動している。ある日、引っ越ししたばかりの自宅で、夫の留守中に妻が何者かに襲われ、2人の穏やかだった生活は一変する。事件を表沙汰にしたくない、と警察への通報を拒否する妻の態度に納得できない夫は、自分自身で決着をつけるべく、ひそかに犯人捜しを続ける。舞台の上と現実の犯人探し、夫婦の感情のずれがスリリングに絡み合い、やがて物語は思わぬ展開に…。『別離』でアカデミー賞外国語映画賞のみならず、ベルリン国際映画祭で史上初の金熊賞(最高賞)、銀熊賞(男優賞/女優賞)の主要3部門を受賞、続く『ある過去の行方』ではカンヌ国際映画祭にてベレニス・ベジョに主演女優賞をもたらしたイランの名匠アスガー・ファルハディ監督の最新作。イラン国内では約10人に1人が観たことになる60万人動員の大ヒットを記録し、本年度カンヌ国際映画祭での脚本賞&主演男優賞をW受賞。2016年ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞外国語映画賞を受賞し、第74回ゴールデン・グローブ賞にもノミネート、第89回アカデミー賞外国語映画賞のイラン代表作品にも選出されており、本日24日(火)夜に発表される同ノミネーションにおいても最有力候補とうわさされている。緻密な脚本と繊細な演出により、夫と妻のスリリングな心理描写とともに事件の真相を紡いでゆく本作。ファルハディ監督の手腕が光る、新たな傑作を楽しみにしていて。『セールスマン』は6月、Bunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2017年01月24日『スウィート ヒアアフター』(’97)などの名匠アトム・エゴヤン監督と、『人生はビギナーズ』(’10)で史上最高齢アカデミー賞助演男優賞に輝いたクリストファー・プラマー主演の『手紙は憶えている』のBlu-rayとDVDが、2017年5月3日(水)に発売が決まった。同作は一通の手紙を頼りに、70年前に家族を殺したナチスを探す復讐の旅へ出ることになったゼヴが主人公。認知症の瀬戸際にいる彼が、目覚める度に失う記憶をたぐり寄せ、それでも歩を進めていく復讐劇は、予想をはるかに超えた驚愕の結末へと向かっていく。やがて明らかになる衝撃の顛末が、劇場公開時にも話題を集めた一級のサスペンス作品だ。Blu-ray&DVDの映像特典には、日本版予告編を収録する予定のほか、初回限定特典として、特製リーフレットも封入する予定。作品の理解を深める、特製リーフレットは必読だ。また同作で脚本家デビューを果たしたベンジャミン・オーガストは、これまでのホロコーストを題材にした映画とはまったく異なるアプローチで同作の物語を作り上げ、自身でも脚本を書くアトム・エゴヤン監督をして、「完膚なきまでに独創的なストーリー」と言わしめた同作。名匠アトム・エゴヤン監督が仕掛ける至極のサスペンス映画を堪能してみて。『手紙は憶えている』Blu-ray&DVDは5月3日(水)より発売。※同日レンタル開始(text:cinemacafe.net)
2017年01月19日フランス映画の金字塔として名高い『男と女』(’66)などの名匠、クロード・ルルーシュ監督による最新作『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』のブルーレイ&DVDが、2017年3月2日(木)に発売が決定した。セル版の特典映像として、メイキング映像なども収録する。同作は、インドを舞台に2日間の旅の中で繰り広げられる男女の恋愛を丹念に描いた、大人に向けたロードムービー。映画音楽作曲家として成功を収めているアントワーヌは、美しい恋人アリスとの恋愛も順調で、あたかもいままで自分が作曲してきた映画の主人公のように、ひょうひょうとユーモアに満ちた人生を謳歌していた。ある日、ボリウッド版『ロミオとジュリエット』作品の製作のためにインドを訪れた彼は、熱気あふれる大都市ニューデリーで行われた大使館のレセプションで、フランス大使の妻・アンナと出会うが…。主演を『アーティスト』(’12)でアカデミー賞主演男優賞に輝いた名優ジャン・デュジャルダンが務めるほか、ヒロインのアンナ役を演技派のエルザ・ジルベルスタインが好演。その夫役にクリストファー・ランバートといった、実力派俳優陣が一挙集結。また、『男と女』、『愛と哀しみのボレロ』(’81)でクロード・ルルーシュとの名コンビを組み、活躍したアカデミー作曲賞受賞の名作曲家、フランシス・レイが印象的な劇中音楽を担当した。セル版の特典映像として、「メイキング映像」を収録するほか、「Deleted Scene」、「オリジナル予告篇」なども収録する予定だ。フランス映画の傑作『男と女』で知られるクロード・ルルーシュが『男と女』から50年、新たに放った大人の恋愛映画を堪能して。<『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』リリース情報>『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』DVD価格:¥3,800+税『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』ブルーレイ価格:¥4,700+税発売日:2017年3月2日(木)発売元:ファントム・フィルム販売元:ポニーキャニオン(C) 2015 Les Films 13 - Davis Films - JD Prod - France 2 Cinema(text:cinemacafe.net)
2016年12月09日60年代から活躍する名匠フィリップ・ガレル監督の最新作にして、第68回カンヌ国際映画祭監督週間に正式出品された『パリ、恋人たちの影』。このほど、2017年1月21日(土)より日本公開することが決定し、ビジュアルが解禁となった。夫・ピエールの才能を信じ、二人三脚でドキュメンタリー映画を制作する妻・マノン。ピエールは映画制作に行き詰まりを感じていたある日、若い研修員のエリザベットと偶然出会い、恋に落ちる。だが、愛しているのは彼女の体だけ。自分を信じ、裏切ることのない妻と別れるつもりはない。ピエールは罪悪感もないままに、2 人と関係を続けることにする。また、エリザベットは、予期せずピエールの妻マノンが浮気相手と会っているところを目撃し、彼に告げる。思い描いていた未来とは少し違う現在に、満たされない想いと孤独を抱える男と女たち。愛されたいと彷徨う3人が行きつく先とは…。本作は、ヌーヴェルヴァーグの次世代の旗手として注目を集め、60年代から現在まで活躍を続けるガレル監督の最新作。共同脚本をゴダール、ブニュエルらとタッグを組んできたジャン=クロード・カリエール、撮影監督をロメール、ルイ・マルの世界を映し出してきたレナート・ベルタが務めるなど、映画界を牽引してきた錚々たるスタッフが集結。ゴダールに「ガレルは息をするように映画を撮る」と言わしめ、レオス・カラックスらも心酔してきた独自の世界を、圧倒的な感性と技術力でより高みへと引き上げる。これまで、自身が過ごしてきた時代の空気感、そして美しくも痛みと哀愁に満ちた私的な記憶を作品に反射させてきたガレル監督。本作は、男と女の愛の普遍性を俯瞰的に描いた新境地となり、痛みだけではない、愛することの喜びをモノクロームの画面の中に浮かび上がらせ、「最高傑作だ!」(カイエ・ドゥ・シネマ)とも言われている。今回完成したビジュアルは、3人の男と女のただならぬ愛の行方を予感させるものに。モノクロームの世界観は、新しさがありつつも、どこか60年代の匂いを感じさせている。また、本作の公開に併せ、フィリップ・ガレルの過去作を貴重な35mmフィルムで上映する特集も同時開催が決定。カトリーヌ・ドヌーヴ主演『夜風の匂い』、ヴェネチア国際映画祭・銀獅子賞の『恋人たちの失われた革命』などがラインナップする。『パリ、恋人たちの影』は2017年1月21日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。フィリップ・ガレル監督の35mmフィルムによる特集上映同時開催。(text:cinemacafe.net)
2016年11月06日『男と女』『愛と哀しみのボレロ』などで知られる仏監督クロード・ルルーシュの新作『アンナとアントワーヌ愛の前奏曲』が今週末から公開になる。インドを舞台に、立場も境遇も異なる男女が偶然に出会ったことから始まるドラマで、ルルーシュ監督は「愛はこの映画の唯一のテーマだ」と力強く語る。その他の画像10月にデジタルリマスター版で再公開される名作『男と女』や、冬季オリンピックの記録映画『白い恋人たち』、様々な家族のドラマを交錯させて描く『愛と哀しみのボレロ』など、ルルーシュ監督は多くの傑作を発表しており、彼の作品に出演したい俳優は多い。『ずっとあなたを愛してる』などで知られるエルザ・ジルベルスタインと、『アーティスト』でオスカーに輝いたジャン・デュジャルダンも、監督との仕事を熱望していたようだ。「私が別のプロジェクトをやっていた時、ふたりから電話をもらったんだ。ふたりはただ、私と仕事がしたいと思っていることを知らせたかったという。彼らとお互いに考えていることを話していくうちに、私好みのラブストーリーが浮かんできた」そこでルルーシュ監督は急いで脚本を執筆。フランス大使の美しい妻アンナと、映画音楽の作曲家のアントワーヌがインドで偶然に出会い、共に旅を続けていく中で“恋の予感”がめばえていくドラマを描き出した。「愛はこの映画の唯一のテーマだ。私にとって愛とは、あらがうことのできない麻薬のようなものだ。私の作品や人生でも女性たちが重要な役割を担ってきたが、彼女たちのおかげで、今の私がある。これはいつも言っていることだが、成功した男というのは女たちが作っているんだ」。劇中のアンナとアントワーヌはお互いを知るために語り合い、時に駆け引きをしたり、迫ってくる相手をブロックしたり、逆に相手の心の奥底に入りこもうとする。「私はボクシングが好きだから、この映画を15ラウンドの試合のように作った。出会いというのは、すべて試合のようなものだ。むろん、穏やかで親しみがこもったものだけどね」そんな男女の駆け引きを美しく彩っているのが、『男と女』でもタッグを組んだフランシス・レイが手がける音楽だ。「この映画では音楽も非常に重要な位置を占めている。映画音楽作曲家というアントワーヌのキャラクターを通して、本作では、幸運にも私が一緒に仕事をすることができた、すべての偉大な作曲家たちを称えている。この作品で喜びの再会を果たしたフランシス・レイはもとより、ミシェル・ルグランやクロード・ボリンもそうだ」完成した映画について、ルルーシュ監督は「50年間の私の思いを盛り込んだ」と語る。「この年になって世界チャンピオン戦のリングに返り咲くことができるとは思っていなかった。だが自分のデビュー作のように、存分に楽しんで作ったことは確かだよ」『アンナとアントワーヌ愛の前奏曲』9月3日(土)より Bunkamura ル・シネマほかにてロードショー
2016年08月31日コリン・ファース主演『デビルズ・ノット』やライアン・ゴズリング主演『白い沈黙』などで知られる名匠アトム・エゴヤン監督が、『人生はビギナーズ』で史上最高齢でのアカデミー賞助演男優賞に輝いたクリストファー・プラマーを主演に迎えて描く『REMEMBER』が、『手紙は憶えている』とのタイトルで日本公開が決定。あわせてポスタービジュアルも解禁となった。最愛の妻ルースが死んだ。だが、90歳のゼヴは、それすら覚えていられないほど、もの忘れがひどくなっていた。ある日、彼は友人のマックスから1通の手紙を託される。「覚えているか?ルース亡き後、誓ったことを。君が忘れても大丈夫なように、全てを手紙に書いた。その約束を果たしてほしい」。実は、2人はアウシュヴィッツ収容所の生存者で、大切な家族をナチスの兵士に殺されていた。その兵士は身分を偽り、いまなお生きているという。犯人の名は“ルディ・コランダー”。容疑者は4名まで絞り込まれていた。体が不自由なマックスに代わり、ゼヴはたった1人での復讐を決意し、託された手紙とかすかな記憶だけを頼りに旅立つ。だが、彼を待ち受けていたのは、人生を覆すほどの衝撃の真実だった――。現代を舞台に、ナチスに家族を殺された年老いた男の復讐の旅が、次々に新事実を浮かび上がらせ、謎が謎を呼ぶヒューマンサスペンスとなる本作。無名の新人脚本家ベンジャミン・オーガストが書き下ろした恐ろしいほど独創的なシナリオに、心を奪われたアカデミー賞キャスト&スタッフが集結。第二次世界大戦やホロコーストを題材にした作品は数多いが、それらとは一線を画す衝撃作が完成した。監督を務めるのは、『スウィート ヒアアフター』(‘97)や『白い沈黙』(‘14)ほか、数々の映画賞に輝いてきた名匠アトム・エゴヤン。復讐の旅に向かう90歳の主人公ゼヴを演じるのは、ユアン・マクレガー主演『人生はビギナーズ』のゲイのパパ役でアカデミー賞に輝いたクリストファー・プラマー。同じく『エド・ウッド』のオスカー俳優マーティン・ランドーや、『ヒトラー ~最期の12日間~』、『リスボンに誘われて』のブルーノ・ガンツといった、ベテランの“おじいちゃん”名優たちが顔を揃える。このたび解禁されたポスタービジュアルは、4人の容疑者の居場所とみられる地図を背景に、主人公のゼヴが手紙を手に佇んでいるもの。ナチスに家族を殺された年老いた男は、果たしてどんな復讐の旅を辿るのか?驚愕のラスト5分に全てが覆る、上質なヒューマン・サスペンスを期待させるポスタービジュアルとなっている。『手紙は憶えている』は10月28日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年08月18日若きオリンピック選手たちが躍動する2016年は、現在の映画界を牽引する名匠・巨匠と冠のつく監督たちも大活躍。しかも、いずれも御年70~80歳代。いまなお第一線で活躍する、大ベテラン監督たちに注目した。●愛の語り手…クロード・ルルーシュ監督『アンナとアントワーヌ愛の前奏曲』今年で79歳となるクロード・ルルーシュが、数々の作品でタッグを組んできた作曲家フランシス・レイとの再タッグで描く、フランスのエスプリが詰まった恋愛映画『アンナとアントワーヌ愛の前奏曲』(9月3日公開)。29歳でカンヌ国際映画祭グランプリを受賞し、ルルーシュ監督を一躍スターダムに押し上げた代表作『男と女』の制作から50年後に描く、大人の男と女の恋愛模様“最終章”だ。人生を謳歌する映画音楽家のアントワーヌ(ジャン・デュジャルダン)は、ボリウッド版『ロミオとジュリエット』製作のためにインドを訪れ、フランス大使の妻アンナ(エルザ・ジルベルスタイン)と出会う。愛する夫との間に子どもを授かりたいと願う彼女は、“抱きしめる聖者”アンマに会うため、インド南部の村まで旅に出るという。多忙なアントワーヌもしばしの休養を求めて、アンナを追って2日間の旅に出かけることを決めるが…。75歳で初めて訪れ、すっかり魅了された地・インドでの全編ロケを敢行したルルーシュ。何歳になっても衰えることのないチャレンジ精神が、また1つ、恋愛映画の名作を生み出した。「愛は混沌としたものであるがゆえに、驚くべき展開となる可能性がある。私にとって愛とは、あらがうことのできない麻薬のようなものだ」と語る監督が、いまだからこそ描く大人の愛のカタチを堪能してみてほしい。●再び実話に寄り添う…クリント・イーストウッド監督『ハドソン川の奇跡』自身最大のヒット作となった『アメリカン・スナイパー』に続き、86歳の名匠が描くのは、全世界が目撃した“奇跡”と、その知られざる真実。『許されざる者』『ミリオンダラー・ベイビー』で2度のアカデミー賞監督賞に輝くクリント・イーストウッドが、同じく2度のアカデミー賞主演男優賞を手にするトム・ハンクスを主演に迎えて手掛けるのが『ハドソン川の奇跡』だ。2009年1月15日、厳冬のニューヨーク。160万人が住むマンハッタン上空1,000mで突如起こった航空機事故。全エンジン完全停止。制御不能。高速で墜落する70トンの機体。未曽有の大惨事を救った生死を分けた30秒。その時、いったい何が起きたのか?航空旅客機史上最大の非常事態の中、制御不能となった飛行機をハドソン川に不時着させ、“乗員乗客155名全員生存”を果たしたサリー機長(トム・ハンクス)。だが、その裏側では、彼の判断をめぐり国家運輸安全委員会の厳しい追及が行われ…。●長年の夢を実現…マーティン・スコセッシ監督『Silence』(原題)御年74歳のマーティン・スコセッシ監督が、長年のテーマでもある宗教と現実の倒錯がもたらす葛藤を描く、遠藤周作原作「沈黙」の映画化には全世界が注目中。公開は2016年11月予定。アンドリュー・ガーフィールド主演で、リーアム・ニーソンやアダム・ドライバー、そして日本が舞台ということで浅野忠信、窪塚洋介、イッセー尾形、塚本晋也ら、内外の超豪華キャストが集結。小松菜奈は本作でハリウッドデビューを飾る。●アイデアの泉は枯れない…ウディ・アレン監督『教授のおかしな妄想殺人』コンスタントにオリジナル新作を発表しつづける、御年81歳のウディ・アレンが新たに描くのは、“生きる意味”を探して奇妙にすれ違う男女の運命を描く哲学的集大成たるダーク・コメディ。2011年の『ミッドナイト・イン・パリ』はキャリア最高の大ヒット、その後も年に1本の製作ペースを保ち、ケイト・ブランシェットがアカデミー賞に輝いた人間ドラマ『ブルージャスミン』、南仏を舞台にした軽妙な恋愛喜劇『マジック・イン・ムーンライト』と、手を替え品を替え、運命や偶然なるものに翻弄される人間の哀しさ、滑稽さを探究してきた。そもそも人間が“生きる意味”とは?自分自身の存在意義や人生の道標を見失ったとき、都合よく“生きがい”なんて見つかるものだろうか?と見る者へ問いかける。「人生は無意味である」という真理に到達してしまった哲学科の大学教授(ホアキン・フェニックス)。だが、“ある企て”を転機に一転、「生きがいを見つけた」と人が変わったようになっていく。そんなエキセントリックな教授に、燃え上がる恋心を抑えられなくなる女子大生ジル(エマ・ストーン)だったが…。●日本が誇る名匠…山田洋次監督『家族はつらいよ』現在、御年85歳の山田洋次監督が、1969~95年まで計48作品を手がけた『男はつらいよ』シリーズは、観客動員数はのべ8,000万人を突破し、現在も多くの人から愛されている国民的喜劇。そんな名作シリーズ終了から約20年ぶりに手がけた新たな家族の喜劇が、『家族はつらいよ』。山田監督の『東京家族』で一家を演じた橋爪功、吉行和子、妻夫木聡、蒼井優ら8人のキャストが再結集して現代に生きる新たな一家に扮し、熟年夫婦の離婚騒動をめぐって織り成される人間模様を描く。ヒットを受け、『家族はつらいよII』(仮題)も始動した(2017年初夏公開)。結婚50年を迎えようとする平田夫婦。たまには、妻に誕生日のプレゼントでも買ってやろうかと夫が欲しいものを聞いてみると、妻の答えはなんと「離婚届」!一家に突然降りかかる、まさかの“熟年離婚”騒動に子どもたちも大慌て。一家の運命は…。今回注目した監督の平均年齢は、なんと81歳。魅力的な作品を作り続ける生涯現役の監督たちからは、これからも目が離せそうもない。(text:cinemacafe.net)
2016年08月16日『呪怨』シリーズを生み出したホラーの名匠であり、ハリウッドでも活躍する清水崇監督が新作『雨女』を“4DX専用映画”として発表。椅子が動き、風が吹き、水が降ってくるなどさまざまな効果を駆使した4Dに初挑戦したこだわりを語った。その他の写真「本来はアナログ人間で、新技術、新システムに過敏なタイプではない」という清水監督。しかし、現在4DXで公開される映画のほとんどが「4DXありきで作られているわけではない」ことに新しい可能性を見出したという。「4DXの作品をいくつか見ていると、場面とエフェクトのバランスが取れてなかったり、エフェクトの手数が多過ぎて逆に醒めることがあるんです。そもそも監督やプロデューサーも4DX用に作ってるわけじゃない。今回は僕が脚本の段階から4DXの効果を書き込んでいました」。『雨女』のもとになったのは監督デビューをした18年ほど前に清水監督が温めていたホラー企画。4DXでは椅子が揺れるというのはすでに広く認知されているので、“客席に雨が降る”というインパクトを活かせるからと昔の企画を掘り起こした。「映画はやっぱり視聴ではなく、劇場で体験して欲しいし、もっと気軽に入っていただきたい。ぶらりと映画館に入って、短時間で4DXで体感してもらって、『怖かった、濡れたね!』という思い出だけでも持ち帰ってもらいたい」と抱負を語る。4DX未体験の人にも気軽に楽しんでもらうために、上映時間はコンパクトに35分、入場料は4DX料金込みで1500円とリーズナブル。今後ソフト化される予定もないという。「4DXに対してテーマパークのアトラクション的な印象を持たれている方が多いとは思いますが、『雨女』ではじっとりと湿った日本の感覚的な映画の質感を追求しています。ただエフェクトの大きさ、椅子の揺れ幅なんかは『ジュラシック・ワールド』みたいな派手な大作と一緒なんです。4DXでもここまで印象が変わる、違うことができることも知って欲しいですね」。『ガールズ&パンツァー劇場版』の4DXバージョンが連日大盛況となるなど、知名度も上がり人気も定着してきた4DX。日進月歩で進化していく映画の新たな可能性として、清水監督が目指した未体験の“恐怖”と“没入感”を体感してみてはいかがだろうか。取材・文:村山章『雨女』6月4日(土)全国のユナイテッド・シネマ他にて4DX限定公開
2016年06月01日東京国際映画祭において、昨年より新設された「SAMURAI賞」の授賞式が10月26日(月)に歌舞伎座で行われ、山田洋次監督とジョン・ウー監督が受賞。ゲストとして吉永小百合と大友啓史監督も来場した。時代を切り開く革新的な映画を世界へ発信し続けた映画人の功績を称えるために新設され、昨年は北野武監督とティム・バートン監督が受賞した同賞。今年は『男はつらいよ』シリーズや『幸福の黄色いハンカチ』、近年でも『母べえ』『おとうと』『小さいおうち』など精力的に映画を撮り続けてきた山田監督、激しいアクションシーンで香港映画を世界に知らしめ、アジアから先駆者としてハリウッドに進出したジョン・ウー監督が受賞した。両監督は花道を歩いて壇上へ。山田監督は「光栄です」と受賞を喜びつつ「自分の作品は“SAMURAI賞”にふさわしいほど勇ましくないですが…」と笑みを浮かべて語り「ふさわしいのは隣にいるジョン・ウー監督だと思います。心より彼にお祝い申し上げたいです」とウー監督を祝福した。一方、ウー監督は「最も尊敬する映画の師匠と言える山田監督と共に受賞できることを名誉に思います。監督の映画は愛と人間性に満ち溢れており、それは映画が持つ普遍的な価値観であると言えます。60年代に映画を勉強し始めた時は世界各国の映画を見ましたが、日本映画は特に数多く見てインスパイアされましたし、いまなおインスパイアされ続けています」と山田監督の功績をたたえ、会場は温かい拍手に包まれた。ゲストとして来場した大友監督は、ウー監督の大ファンで、かつてロサンゼルスに留学していた際に「チャイナマーケットで買い物している監督にお声を掛けさせていただきました」と明かす。ウー監督はその時の様子について「監督になるなら、まずは頑張っていい脚本を書きなさいと伝えました」と述懐し、その後、大友監督が日本映画界きってのアクション作品を手掛ける監督になったことを喜び「これからもひたすら映画を撮り続けてください」とエールを送った。一方、『男はつらいよ』での2度のマドンナ役を含め、最新作『母と暮せば』まで計5回、山田作品に出演してきた吉永さんは、山田監督の存在について「ジョン・ウー監督は“師”と仰ってましたが、私にとっては山田学校の校長先生であり、同時に人生の師でもあります」と語った。「撮影の合間にいろんな面白い話をしてくださり、渥美(清)さんの思い出などを話してくださるとき、映画の世界で仕事をしていてよかったと思います」とも。さらに、仕事以外の部分でも「監督の持っている価値観――戦後70年を迎え、監督に付いて行こうという思いが強くなっています。いつまでも山田学校の生徒でいたいと思っています」と最大限の賛辞と敬意を口にし、会場は再び大きな拍手に包まれた。(text:cinemacafe.net)■関連作品:母と暮せば 2015年12月12日より全国にて公開(C) 2015「母と暮せば」製作委員会
2015年10月26日第15回日本ミステリー文学大賞「新人賞」を受賞した前川裕による小説「クリーピー」が、名匠・黒沢清監督によって映画化されることが決定。主人公の犯罪心理学者を西島秀俊が演じるほか、竹内結子、川口春奈、東出昌大、香川照之といった超豪華なキャストたちが出演を果たしていることが分かった。元刑事で、いまは犯罪心理学者の高倉(西島秀俊)は、かつての同僚・野上(東出昌大)から、6年前に発生した一家失踪事件の分析を依頼される。しかし、事件唯一の生き残りである長女・早紀(川口春奈)の記憶をたどるも、核心にはたどりつけずにいた。一方、高倉が妻・康子(竹内結子)と共に最近引っ越した新居では、つかみどころのない隣人、西野(香川照之)との何気ない会話に翻弄される日々を送る羽目に。西野と病弱な妻、中学生の娘・澪の三人家族に、隣人として接していたある日、高倉家に駆け込んできた澪はこう告げる。「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です」――。未解決の一家失踪事件と、隣人一家の不可解な関係。2つの繋がりから始まる、本当の恐怖とは…。ある夫婦の日常が、“奇妙な隣人”への疑惑と不安から深い闇へと引きずり込まれていく恐怖を描き、大人気作家・綾辻行人も「展開の予想できない 実に気味の悪い(クリーピーな)物語」と絶賛した震撼のミステリー「クリーピー」。日本ミステリー文学大賞「新人賞」ほか、2013年「このミステリーがすごい!」新人賞ベストテン第1位にも輝いた法政大学教授・前川裕によるこの原作を、最新作『岸辺の旅』が本年度の第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門「監督賞」を受賞したばかりの黒沢監督がメガホンをとり映画化。黒沢監督の教え子で、『東南角部屋二階の女』で長編監督デビューを果たしている池田千尋と脚本を共同執筆し、原作とは異なる映画オリジナルの衝撃的な展開を紡ぎ出すという。『ニンゲン合格』『蟲たちの家』『LOFT ロフト』に続き、4度目の黒沢監督作品となる西島さんが主演を務め、竹内さん、川口さん、東出さんと豪華キャストが集結。西島さんと竹内さんが現代社会ならではの日常に忍び寄る恐怖を味わう夫婦を演じ、『蛇の道』『トウキョウソナタ』、ドラマ「贖罪」を経て、同じく4度目の黒沢組への出演となる香川さんが、謎の隣人・西野に扮する。<西島秀俊コメント>黒沢監督とご一緒するのは約10年ぶりです。緊張しますが、撮影現場がとても楽しみです。今回演じさせていただく主人公の高倉は、ある未解決事件を追う一方で、妻と暮らす家の周囲で自分たち自身も事件に巻き込まれていきます。身近で起きていてもおかしくない、そんな恐怖を描いたリアルで重厚な素晴らしい脚本です。監督、スタッフ、キャストの皆さんと、誰も見たことのないような恐怖を創り出したいと思っています。<竹内結子コメント>西島さん、香川さんとまたご一緒できる嬉しさもありますが、黒沢組初参加ということで緊張もありつつ、どんな世界なのか、撮影初日を迎える日が待ち遠しいです。<川口春奈コメント>豪華なキャストの皆様とご一緒させていただくのはとても緊張していますが『クリーピー』のゾクゾクとした不気味な世界観にわたしも入っていけるよう、全力で頑張っていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。<東出昌大コメント>憧れの黒沢清監督と、こんなにも早くご一緒できることに驚きはありましたが、大変嬉しく、光栄に思います。クランクインの日が待ち遠しいばかりです。万全の準備をし、現場に臨みたいと思います。<香川照之コメント>今回で4度目の黒沢組となりますが、何年かに一度黒沢組からの依頼が来るたびに、それこそ私は、宝クジに当たったかのごとき恐悦の境地に浸ります。品格に満ち、才知に富み、観客にショックを与える才能と仕掛けに溢れたこの黒沢清監督作品に、四たび、いや五たび相まみえる西島秀俊さんと共に突っ込んで行けることは、さらに私にとって至福の喜びとなるに違いありません。本当に楽しみです。<監督・黒沢清コメント>はっと気づいたら時すでに遅し。すぐお隣で地獄の門が開き、日常がガラガラと音をたてて崩れていく。そんな世にも恐ろしく、かつ胸のすく映画を私は一度撮ってみたかった。<原作・前川裕コメント>国際的にも著名な黒沢監督に、私の作品『クリーピー』の映画化の監督をしていただけるのは、望外の喜びです。そのキャストの豪華さにも驚いています。西島秀俊さんは、今をときめく人気俳優で、私が教える大学生にこのことが知られたらどんなに嫉妬の眼差しを受けるだろうかと、いまから意味不明な優越感に浸っております。「クリーピー」(CREEPY)とは、「(恐怖のために)ぞっと身の毛がよだつような:気味の悪い」という意味。国内外を問わず熱い注目を集める黒沢監督が描く、驚愕のサスペンス・スリラー。身の毛もよだつ“気味の悪い”恐怖を、いまから楽しみにしていて。『クリーピー』は8月より撮影開始、2016年初夏、全国にて公開予定。(text:cinemacafe.net)
2015年07月29日