フランスにて開催中の「第69回カンヌ国際映画祭」。この度、14日(現地時間)に、日仏合作映画『淵に立つ』が「ある視点部門」で公式上映され、主演の浅野忠信をはじめ、筒井真理子、古舘寛治、深田晃司監督がレッドカーペットに登場。上映後、場内は観客からのスタンディングオベーションが鳴り止まないほどの大盛況を見せた。本作は、下町で金属加工業を営む夫婦(古舘寛治、筒井真理子)のもとに、突然ひとりの男(浅野忠信)が現れ、奇妙な共同生活が始まり、一見平和だった家族に“異物”が混入することで夫婦それぞれが抱える秘密があぶり出されていく人間ドラマ。夫婦とは、家族とは、愛とは、人間とは何か、普遍的なテーマを問いかけながら、人間の心の奥底を揺さぶる衝撃作だ。監督は、世界の映画祭で数々の受賞歴を誇る『歓待』や、『ほとりの朔子』(ナント三大大陸映画祭クランプリ)、『さようなら』(東京国際映画祭コンペ出品)など、次々と話題作を世に出し続ける深田監督。世界的に評価の高い黒沢清、是枝裕和、三池崇史監督に次ぐ、新しい世代の監督として世界中から注目を集めている。そしてキャストには、今回が深田監督との初のコラボレーションとなる主演の浅野さんをはじめ、『歓待』『ほとりの朔子』に続き、深田組常連の古舘さん、映画やテレビ・舞台と幅広く活躍する筒井さんが出演している。現地時間14日、はじめの舞台挨拶では「まずは2時間楽しんでください。私から言えることは、本当に素晴らしい俳優たちの演技、日本を代表できる俳優たちの演技をこの映画で2時間堪能できると思います」という深田監督の挨拶で映画がスタート。そして上映が終わると場内の観客からの鳴り止まないスタンディングオベーションが沸き起こった。そして監督は「最高のスタートを切れたと思っています」と上映後第一声を述べ、また今回で2年連続のカンヌ国際映画祭参加となった浅野さんは「これから毎年来られるよう頑張ります(笑)」と新たな目標を語った。さらに囲み取材にて古舘さんは、「すごく温かい拍手を頂いて、とても嬉しいです」と話し、ずっとカンヌに行きたいと思っていたという筒井さんは、「報告をマネージャーからもらったとき、『あぁー』って、遠い目になってしまって(笑)いまもちょっとふわふわしています」とコメントした。そして浅野さんは、「本当に長い戦いだったので、それがやっと実ったというか。このカンヌに来るときも、飛行機がたどり着かないとか、荷物が着かないとか、ハプニング続きだったんです。本当にいまとてもほっとしています」とここに来るまでにいろいろあったことを明かし、また「とても良い役を頂いて、これをどう演じるのかというのは、自分でも大きな課題だったもので、監督が忍耐強く見守って、僕の意見も全部取り入れてくれて、こういう映画に仕上げて頂けたので、これは僕にとっても大きな一歩になったかなと思っています」と映画についてふり返った。初のカンヌ国際映画祭となった深田監督は「何とも比較できない経験ですね」と述べ、さらに「ただ誰一人としてカンヌがゴールだと思っている監督はいないと思うので、これからがスタートだと思って、これからもコツコツと地道に映画を作っていきたいと思います」と気持ちを新たにしていた。また本作については、「こういう最高の舞台を与えられましたが、やっとこれからよちよち歩きを始めた赤ん坊のような映画で、これから皆さんに観てもらって、いろんな声をかけてもらって大きく育っていく子どもだと思っています。ぜひ皆さんで見守って育んで頂ければと思います」と話した。『淵に立つ』は2016年秋、有楽町スバル座ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年05月16日阿部寛と樹木希林が親子役を演じ、現在開催中の第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門への正式出品が決定している是枝裕和監督の最新作『海よりもまだ深く』。このほど、叶わぬ夢ばかり追い続ける阿部さん演じる主人公・良多と、同じ探偵事務所に勤める池松壮亮演じる後輩・町田の“迷”探偵ぶりが微笑ましい(?)本編映像が解禁となった。是枝監督が新たに送り出すのは、“なりたかった大人”になれなかった大人たちの物語。阿部さんが演じる主人公の良多は、15年前に一度に文学賞をとったきりの“自称・作家”で、妻(真木よう子)に愛想を尽かされた身。月に一度、息子(吉澤太陽)に会うことを楽しみにしていた。そんな良多を穏やかな眼差しで見つめる母(樹木希林)が暮らす団地で、ある台風の夜、元家族が集まることに…。本作から今回到着した本編映像は、阿部さん演じる良多と池松さん演じる町田との掛け合いが絶妙な、とあるシーン。町田は、仕事も、家庭も、人生につまずきっぱなしの良多をさりげなくフォローする役割を担っており、この2人が見せる息ぴったりの名コンビっぷりも本作の見どころの1つだ。「俺は息子に会うためだったら、どんな危ない“綱”だって渡るぞ」と良多が言うと、すかさず「“綱”です」と、町田がツッコミを入れるところから始まる映像。すると、そこに待ち合わせをしていたと思われるひとりの高校生(葉山奨之)が現れる。どうやら職場には内緒で、高校生相手によからぬ金儲けをしようと企んでいた様子の2人。「あんまり火遊びするんじゃねーぞ」と忠告する良多に対し、「あんたみたいな大人にだけはなりたくないですよ!」と啖呵を切る高校生。その言葉にムッとした良多は、「そんなに簡単に、なりたい大人になれると思ったら大間違いだぞ!」と逆ギレするも、すぐにそっぽを向かれ、去られてしまうのだ。そんな良多の不甲斐ない姿をみて、思わず吹き出す町田。良多のダメさ加減と、本作が初共演とは思えないほど息のあった阿部さんと池松さんのやりとりに、思わずクスッとしてしまうシーンに仕上がっている。本作で一番印象に残ったシーンとして、この映像のシーンを上げていた阿部さん。池松さん演じる町田はなぜ、こんなにも“ダメダメ”な大人にそこまでつき合うのか?「オレ、良多さんには“借り”あるんで」という町田の真意も気になる映像を、まずはこちらから確かめてみて。『海よりもまだ深く』は5月21日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年05月16日NHK・Eテレでは、5月12日(木)と19日(木)の2夜にわたり毎週木曜日放送の「ミュージック・ポートレイト」にて、妻夫木聡と満島ひかりの対談を放送することが分かった。4月7日よりSEASON6が始動した「ミュージック・ポートレイト」は、2人の著名人が“大切な10曲”を持ち寄り語り合う番組。まったく違う道のりを歩いてきた2つの人生が、音楽を通して響き合う。過去には、工藤静香とミッツ・マングローブ、YOUと是枝裕和、北川悦吏子と斎藤工らが登場。そして記念すべきSEASON6の初回&第2回放送には、西川貴教(「T.M.Revolution」)と高橋みなみが出演し話題を集めた。今回は、ともにトップを走り、兄妹のように親しい2人の俳優、妻夫木さんと満島さんを迎えオンエアする。端正なルックスと誰からも愛されるキャラクターで、『感染列島』や『悪人』、「オレンジデイズ」など、いまや映画やドラマにと主役を張り続ける妻夫木さん。しかし、18歳でほろ苦い俳優人生のスタート…。だからこそ役者という仕事に恋をした。そして、つかんだ夢の大河ドラマ主演。だが、上り詰めた地位に安住することなく、次に挑んだのは殺人犯。役者としての自らを極限まで追い込み続けた妻夫木さんに、力をくれた歌とは…?一方の満島さんは、11歳でアイドルユニットとしてデビュー。そして、スクリーンの中に自分の夢を見いだした彼女は、女優の道を歩み始めた。転機となったのは、壮絶な映画づくりの現場。「毎日明日死ぬって思ってた…」厳しい撮影の経験が彼女を本物の役者として脱皮させた。『北のカナリアたち』や舞台「100万回生きたねこ」など、映画にドラマ、そして舞台で刺激的な出会いと衝突を繰り返しながら、成長を続ける満島さんに寄り添ってくれた歌とは?今回、第1夜では人生の前半1曲目から5曲目までを紹介し、そして第2夜は、人生の後半6曲目から10曲目までを紹介する。映画・舞台に、そして海外の作品にも活躍の場を広げている妻夫木さん。そして、話題のドラマ「トットてれび」で若き日の黒柳徹子を演じている満島さん。互いに自分の意思で新境地を切り開き、来年公開予定の『愚行録』では兄妹役を演じるなど、これまで何度も共演を重ね、役者同士認め合う2人。さらに、普段でも兄と妹のように慕い合う存在だからこその苦悩、葛藤、そして本音がここで語られるようだ。「ミュージック・ポートレイト 妻夫木聡×満島ひかり」は5月12日(木)22時~第1夜、19日(木)22時~第2夜NHK・Eテレにて放送。(cinemacafe.net)
2016年05月10日是枝裕和監督最新作『海よりもまだ深く』の母の日トークイベントが5月8日(日)に開催。主演の阿部寛、その母を演じた樹木希林、音楽を担当した「ハナレグミ」の永積タカシ、是枝監督が制作過程や母の日にまつわるトークを繰り広げた。『海よりもまだ深く』は、是枝監督が実際に子どものころから20代後半まで暮らしていた清瀬市の団地で撮影された。ギャンブル好きのダメ中年男の良多は別れた妻に引き取られた息子を連れ、老いた母がひとりで暮らす団地へ行く。折しも台風が近づいており、別れた妻も合流し、4人はひと晩を過ごすことになるが…。母の日のイベントということもあり、樹木さんを中心にトークは展開するが、この日も樹木さんは独特の物言いで会場をわかせる。開演前から会場の前に行列ができているのを見たそうだが「観終わって、元が取れなかったらごめんなさいね」とこれから映画を観る観客を前に先回りで謝罪!是枝作品出演は今回で5回目となるが「最初の『歩いても歩いても』はともかく、2作目(『奇跡』)、3作目(『そして父になる』)、4作目(『海街diary』)はみんな、忘れてるでしょ?自分も忘れてるから」と言ってのける。それでも、是枝監督の現場は心地が良いよう。「誰もとがってない。私ひとりがとがってました。(作品を)作ろうという目的に向かっていくところがいい。『私をこう撮って』とか『この衣裳は気に入らない』なんて言う女優がいなかったから。私の衣裳なんて、寝巻か普段着か区別がつかない」とユーモアたっぷりに語っていた。「ハナレグミ」の永積さんは音楽および主題歌「深呼吸」について「(監督に)いろいろ質問したんですけど、ニコニコしてて、何も答えてくれない。『いい感じでいけるでしょ?』といつもいなされてました(笑)」と口にするが、監督は「イメージを決めつけて書いてほしくなかったからあいまいにしていた」と説明。しかし、「深呼吸」のメロディを聞いて「この歌で終わるのかと思うと嬉しかった」と称賛した。ここでも樹木さんは、エンディングで流れた「深呼吸」の感想を問われると「ボーっと聴いてました。こういうのが好きなんだ…と」とそっけない感想で、慌てて阿部さんが「僕は感動しましたよ!温かい歌でした」とフォロー。さらに、阿部さんが樹木さんとの共演について「狭い団地で至近距離でガッチリと共演し、いつまでも息子がかわいい母に温かい気持ちになったし、この距離感が嬉しかった」と語るも、樹木さんは「私は圧迫感がありましたよ」と言い「こんな大きな似ても似つかない息子が来て、狭い団地の小さな風呂にぎゅーっと入って。ローマ風呂に入ってたのにかわいそうに…」とブツブツと語り、会場は笑いに包まれた。この日は、男性陣から樹木さんに200本のカーネーションをプレゼント。樹木さんは「こんな金があるなら…」とボヤキつつも「でもありがとう」と語り、多すぎる花をステージを降りて観客に1本ずつプレゼントするサービスまで行なった。『海よりもまだ深く』は5月21日(土)より公開。(text:cinemacafe.net)
2016年05月08日阿部寛と樹木希林が親子となり、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門への正式出品が決定した是枝裕和監督の最新作『海よりもまだ深く』。このほど、5月8日(日)の“母の日”を前に、叶わぬ夢ばかりを追い続ける本作の“ダメ息子”な主人公の母親を軽妙に演じた、樹木さんの場面写真が一挙に解禁。海のように深く、温かい愛にあふれた母親の姿が明らかになった。是枝監督が自らも育った団地を舞台に、“なりたかった大人”になれなかった大人たちを描く本作。“ダメ息子”にして、“ダメ夫”に“ダメパパ”の主人公・良多を、ときに可笑しく、ときに切なく、チャーミングに演じるのは、いまや国民的名優となった阿部さん。そんな良多に愛想を尽かした元妻に真木よう子。さらに、良多の姉を小林聡美が務めるほか、リリー・フランキー、池松壮亮、橋爪功ら豪華キャストが集結していることでも話題を呼んでいる。本作では、何かと苦労させられた夫を突然亡くしてからは、団地で気楽な独り暮らしを満喫し、阿部さん演じる息子・良多に「大器晩成って、時間かかり過ぎですよ」などとツッコミながらも、息子への愛は揺るがない母を演じている樹木さん。今回到着した場面写真では、良多の仕事を心配する姿や、良多から“お小遣い”として渡されたお金を嬉しそうに受け取る姿、子どものときに良多が書いた作文に目を細めながら、孫の真悟と一緒に楽しそうに読む姿、また、いまにも泣きだしそうな表情を浮かべる姿などが映し出されており、つい、自分の母親の姿を重ねてしまいそうになるものばかり。是枝監督は、脚本を書き始めたときから、母・淑子役には樹木さんしかいないと思っていたそうで、「樹木さんがOKしてくれなければ、この作品は撮らないつもりでした。」と明かす。また、阿部さんは、現場で樹木さんの存在感に助けられたと語り、「すねをかじるような息子でもかわいがる母親を演じていらっしゃいますが、撮影でも同じように助けていただきました」とふり返っている。淑子を演じて、母親として学ぶことがあったと明かす樹木さん。「今回の役を演じながら、子どものいいところもダメなところも、全部親からつながっているんだということを実感しました。思うようにはいかないですね。でも、思うようにいかなかったからペケかと言うとそうではなくて、それでも毎日を生きているのがいいんじゃないですか。思い通りにならないのが人生ですから」と、深いコメント。さらに、「観る人がここに母親の普遍性のようなものを感じてくださるとしたら、それは上手いこといったのかもしれないけど、まあ、誰がやってもセリフ通り読めばうまくいくのよ(笑)」と、樹木さん節も健在だ。台風の夜、思いがけなくひとつ屋根の下に集まった“元家族”は、母の部屋で何を語らい、何を思っていたのか…。樹木さん演じる母の表情を見比べながら、“母の日”に思いを馳せてみては?『海よりもまだ深く』は5月21日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年05月07日是枝裕和監督のもと阿部寛と樹木希林が親子となり、“なりたかった大人”に“なれなかった大人たち”を描く『海よりもまだ深く』。本日4月26日は、阿部さん主演の大ヒット作『テルマエ・ロマエII』製作委員会によって制定された“よい(4)風呂(26)の日”であることを記念して、昔ながらの団地の風呂での入浴シーンが解禁となった。ダメダメ人生を送る中年男、良多(阿部寛)は、15年前に文学賞を1度とったきりの自称作家で、いまは探偵事務所に勤める身。元妻の響子(真木よう子)には愛想を尽かされ、息子・真悟(吉澤太陽)の養育費も満足に払えないくせに、彼女に恋人ができたことにショックを受けている。そんな良多の頼みの綱は、父亡き後、団地で気楽な独り暮らしを送る母の淑子(樹木希林)だ。ある日、たまたま淑子の家に集まった良多と響子と真吾は、台風のため、翌朝までひとつの屋根の下で過ごすことに――。小説家として再起し、再び家族の絆を取り戻すことを夢見ているものの、競輪になけなしのお金を注ぎ込んだり、元妻の新しい恋人についてアレコレ探ったりと、ちょっぴり情けなくも愛情あふれる主人公・良多を、ときに可笑しく、ときに切なく、チャーミングに好演する阿部さん。『テルマエ・ロマエ』シリーズでは、古代ローマの浴場設計技師を演じ、大きな浴槽で堂々と入浴していた阿部さんだが、“よい風呂の日”に届いた今回の映像では、189cmの身体を小さく折りたたみ、居心地悪そうにせまい正方形の風呂で入浴する姿が!台風のため急遽、実家の団地に泊まることになった良多は、年季の入った小さな浴槽につかったものの、湯船に浮かぶ“黒いふわふわとした物体”を手桶で必死にすくいだそうと悪戦苦闘する姿が映し出されている。是枝監督が9歳から28歳までの間に実際に暮らしていた、清瀬市の旭が丘団地で撮影を行っている本作。監督は、その理由について「自分の記憶の中にある団地の表情をちゃんと残しておきたかったんです。その固有名詞を観た人と共有できるかどうかはともかく、人それぞれの中に類する場所の記憶があるはずだと思い、フィクションであるものの僕自身の記憶のディティールにこだわりました」と語っている。大人になっても、実家のお風呂はやはり特別な場所。思わずクスッと笑ってしまう、阿部さん演じる良多の姿から、子どものころの懐かしい記憶をたぐり寄せてみては?『海よりもまだ深く』は5月21日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年04月26日5月21日公開の映画『海よりもまだ深く』の完成披露試写会が24日、東京・有楽町のピカデリーで行われ、阿部寛、真木よう子、吉澤太陽、樹木希林、是枝裕和監督が出席した。本作は、第69回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に出品が正式に決定した是枝裕和監督の最新作。笑ってしまうほどダメな人生を送っている中年男の良多(阿部寛)を主人公に、台風の夜に母・淑子(樹木希林)の団地に集まった元家族が一夜限りの家族の時間を送る、というストーリーだ。是枝監督作品3度目となる主演の阿部は「ここまでダメダメな男を演じるのは初めてでしたが、憎めなくて可愛いキャラクターだと思いながら楽しんで演じました。自分が演じた良多という役は、自分に一番合っていて好きなキャラクターです」と演じたキャラクターに好印象の様子で「多かれ少なかれ共通点があると思いますよ。セコいところとか弱いところとか」と笑顔。良多の母・淑子役の樹木希林は「みんなダメな息子と言うけれど、私はそれほどダメだとは思いません。私の周りなんか、もっとすごい人がいるんだから(笑) 」と話して会場の笑いを誘った。台風の夜に元家族と過ごすことで良多が変わっていく本作にちなみ、人生のターニングポイントを聞かれた阿部は「この仕事に就くとは思いませんでしたが、大学時代にモデルをしてからこういう人生を送っています。まったく予想だにしなかったので明らかにそこで人生が変わりましたね」と告白。一方の真木よう子は「私は子どもの頃はすごく変わった子で、飛行機に自分が追いつけると思って空を見ながらずっと走っていました。そこからだと思います」と明かしながら、是枝監督がかつて住んでいたという団地での撮影を「私も小さい頃、全く同じようなアパートに住んでいました。だから懐かしい気持ちになりましたね」と振り返っていた。映画『海よりもまだ深く』は、5月21日より全国公開。
2016年04月25日是枝裕和監督最新作『海よりもまだ深く』の完成披露試写会が4月24日(日)に開催。是枝監督に主演の阿部寛、真木よう子、吉澤太陽、樹木希林が上映後の舞台挨拶に出席した。『海街diary』で日本アカデミー賞最優秀作品賞、監督賞に輝いた是枝監督が、同作の撮影の合間を縫って制作した本作。台風が通過する夜、興信所の探偵として働くダメ中年の良多とそのかつての妻、2人の息子、良多の母の4人が、良多の母が暮らす団地で夜を明かすことになるが…。阿部さんは映画>『歩いても 歩いても』、ドラマ「ゴーイング マイ ホーム」に続き、是枝作品で主人公の“良多”を演じることになったが「ここまでダメダメな男は初めて(笑)」と語りつつ「でもどこか憎めず、かわいく思えた。多かれ少なかれ、僕もダメなところはたくさんある。せこいところや弱いところは共感を覚えました」と思い入れを口にする。真木さんは本作を「大好きな作品になりました」と語る。撮影は、是枝監督が実際に子ども時代を過ごした団地で行われたが、真木さんは「小さいころ、全く同じようなアパートに住んでました。(樹木さん演じる良多の母が作る)カルピスのアイスも懐かしかった」としみじみ。樹木さんは、舞台上でも劇中と同じく、息子を愛する母そのまま!映画の中で、阿部さんが大きな体を丸めて、団地の小さな風呂に浸かるシーンがあるが「あんな団地の小さな風呂じゃなく、ウチの息子はローマ風呂に入ったんだし、エヴェレストにだって登ったんだから!芽が出ないのは世間のせい!」とかばう。また良多が“ダメな男”と紹介されることについても「ダメじゃない!私の周りにはもっとすごい人たちがいっぱいいますよ」と語り、会場は笑いに包まれていた。このほかにも随所に“希林節”は健在。ここ数年の是枝作品への連続出演について尋ねられると「義理でね」と言い放ち、本作のカンヌ国際映画祭への出品に関し、現地に赴く阿部さんが「プライベートでは行ったことがあったんですが」と語ると「誰と行ったの?」と問いただすなど不規則発言を交え、たびたび客席をわかせていた。『海よりもまだ深く』は5月21日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年04月24日先日、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門への出品が決定した是枝裕和監督最新作『海よりもまだ深く』。この度、本作の主演を務める阿部寛が写る、一見ホラーかと見間違えてしまうような恐怖写真が到着した。笑ってしまうほどのダメ人生を更新中の中年男、良多(阿部寛)。15年前に文学賞を1度とったきりの自称作家で、いまは探偵事務所に勤めているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳している。元妻の響子(真木よう子)には愛想を尽かされ、息子・真悟の養育費も満足に払えないくせに、彼女に新恋人ができたことにショックを受けている。そんな良多の頼みの綱は、団地で気楽な独り暮らしを送る母の淑子(樹木希林)だ。ある日、たまたま淑子の家に集まった良多と響子と真悟は、台風のため翌朝まで帰れなくなる。こうして、偶然取り戻した、一夜かぎりの家族の時間が始まるが――。カンヌ国際映画祭「ある視点」部門への出品は、『空気人形』以来、7年ぶり2度目となる是枝監督。また、カンヌ国際映画祭自体への出品は、『そして父になる』『海街diary』などに続き、本作で6作品目。そんな是枝監督が新たに送りだすのは、“なりたかった大人”になれなかった大人たちの物語。いまや国民的名優となった阿部さんが、主演として叶わぬ夢ばかり追い続ける情けない良多役を演じ、そんな良多に愛想を尽かした元妻に真木よう子、良多の人生を穏やかな眼差しで見つめる母に樹木希林、さらに、小林聡美、リリー・フランキー、池松壮亮、橋爪功ら豪華キャストが顔を揃えた。今回到着したのは、阿部さん演じる主人公・良多の顔が不気味に発光する姿が映し出された画像。実は本画像、台風の夜、トイレに起きてきた息子の真悟を夜中の公園へ誘おうと、懐中電灯の光で自らの顔を照らして待ち伏せするというコミカルなシーンでの一コマ。一見ホラー映画!? と見間違えしてしまうような恐怖画像のようだ。大ヒットとなった「下町ロケット」では、ロケットエンジン開発に熱意と情熱を持つ町工場の社長役、『エヴェレスト 神々の山峰』では、人生全てをエヴェレスト登頂に賭ける勇敢な男を演じた阿部さん。しかし、本作では15年前に文学賞を一度獲ったきりの売れない作家で、妻には愛想を尽かされ離婚。息子の養育費も満足に払えないくせに彼女に未練たっぷりという、笑ってしまうほどのダメ人生を更新中の中年男役を演じている。そんな今回のキャンティングにおいて、『歩いても 歩いても』「ゴーイング マイホーム」などで阿部さんとタッグを組んできた是枝監督は「ほかの人にお願いする発想がまったくなかった」 と明かし、「脚本を書き始めたときから、阿部さんの声を思い浮かべて書いています。ダメ男と言える良多をあそこまでダメな感じでやってくださって(笑)、本当に素晴らしかったです」と阿部さんを絶賛。一方、これほどまでのダメ男を演じたのは初めてだったという阿部さんは、今回の役は“新鮮で楽しい経験”だったと語り、「虚勢を張ったり、強がったりするけど、本当は弱いんです。いつまでも夢を追いかけている良多の甘えを、いままでにない、面白い人間味として出せたのではないかと思います」とコメントを寄せた。『海よりもまだ深く』は5月21日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年04月21日浅野忠信が主演を務める映画『淵に立つ』が、2016年秋、有楽町スバル座ほか全国の劇場で公開される。下町で金属加工業を営む夫婦(古舘寛治、筒井真理子)のもとに、突然一人の男(浅野忠信)が現れ、奇妙な共同生活が始まる。そして一見平和だった家族に“異物”が混入することで夫婦それぞれが抱える秘密があぶり出されていく……。本作は、夫婦とは、家族とは、愛とは、人間とは何か、そんな普遍的なテーマを問いかけながら、人間の心の奥底を揺さぶる人間ドラマだ。監督は、世界の映画祭で数々の受賞歴を誇る『歓待』、二階堂ふみ主演『ほとりの朔子』など、36歳にして次々と話題作を世に出している深田晃司。世界的に評価の高い黒沢清や河瀨直美、是枝裕和らに次ぐ、新しい世代の監督として世界中から注目を集めている人物だ。主演をつとめるの浅野忠信は、国内外で評価の高い『私の男』『岸辺の旅』や、マーティン・スコセッシ監督『沈黙 Silence』出演など、近年は国際的にも活躍。本作では、静かなる狂気を秘めた異質な男を熱演し新境地をみせている。そして、『歓待』『ほとりの朔子』に続き深田組常連の古舘寛治、映画・テレビ、舞台と幅広く活躍する筒井真理子が脇を固める。本作の製作布陣は、カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門オープニング作品に選ばれ、日本国内約150館で上映、世界45カ国で上映された河瀨直美監督作『あん』の主要メンバーによる製作チームで、フランスのCOMME DES CINEMAとの共同制作による日仏合作作品となる。また、第69回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に正式出品されることが決定。第68回カンヌ国際映画祭の同部門で日本人初の監督賞を受賞した『岸辺の旅』(黒沢清監督)で、深津絵里とともに主演をつとめた浅野は、2年連続で主演作が選出されたこととなる。【作品情報】『淵に立つ』公開時期:2016年秋 有楽町スバル座ほか全国で公開脚本・監督:深田晃司出演:浅野忠信、古舘寛治、筒井真理子、太賀、三浦貴大、篠川桃音、真広佳奈英語題:HARMONIUM /2016年/日本・フランス/日本語©2016映画「淵に立つ」製作委員会/COMME DES CINEMA
2016年04月17日経済の長期低迷、デフレ脱却もままならぬ中、かつての高度経済成長期の象徴ともいえる”団地”が、いま映画界でちょっとしたブームになっている。当時、地方から都市部へ移り住む人の流れに合わせて各地に次々と建設されたが、時代の移り変わりとともに、その一帯がどこか取り残されたかのような印象を受ける不思議な建物、“団地”。奇しくも、この春からそんな“団地”を舞台に、名監督や新進クリエイターたちが三者三様のアプローチで描いた映画が続々と公開される。■藤山直美×阪本順治監督『団地』…「うわさのコインロッカーや!」阪本順治監督の書き下ろし完全オリジナル脚本に、稀代のコメディエンヌ・藤山直美を再び主演に迎えて贈る会話劇<a href="">『団地』</a>。映画ファンが待ち望んだ新作でありながら、多くの観客の予想を遥かに上回る物語の企画の発端は、藤山さんのスケジュールがぽっかり空いたことから。撮影スケジュールの兼ね合いもあり、ワンシチュエーションものが良いということで、ふと監督の脳裏に“団地”を舞台にした本作のクライマックスシーンが浮かんだことからスタートした。さまざまな人生が交差する団地という“小宇宙”を舞台に、ごく平凡な夫婦の全然普通じゃない日常を、独特のオフビートな感覚で描きだす。藤山さんの新境地ともいえる、未知なる魅力を引き出した“妄想としゃべくりのハーモニー”には、岸部一徳、石橋蓮司、大楠道代、宅間孝行、さらに斎藤工など、クセとアクの強いキャスト陣も集結する。■単身高齢者を追うドキュメンタリー『桜の樹の下』…「故郷を離れ、流れついた」神奈川県・川崎市にある市営団地に暮らす単身高齢者たちを追ったドキュメンタリー。戦前から工業都市として発展した川崎は、高度経済成長期に多くの労働者を抱え、当時の公営団地は地方などから来る若き働き手の、そして現在では単身高齢者の受け皿となっている。孤独を感じつつも毎日を生き、そして自らの死とも向き合う高齢者たち。団地で暮らす4人の高齢者たちにカメラを向け、彼らの日常、思いを切りとった本作は、山形国際ドキュメンタリー映画祭2015の日本プログラムに正式出品され、大きな話題を呼んだ。監督を務めるのは、20代の女性監督・田中圭。■阿部寛×是枝裕和監督『海よりもまだ深く』…「パパはなりたいものになれた?」<a href="">『海街diary』</a><a href="">『そして父になる』</a>の是枝裕和監督が、<a href="">『歩いても 歩いても』</a><a href="">『奇跡』</a>に続いて阿部寛と3度目のタッグを組んだ『海よりもまだ深く』。阿部さん演じる主人公の良多はある台風の日、別れた妻(真木よう子)や1人息子と、母(樹木希林)の暮らす団地で一夜を過ごすことになる。本作の主な舞台としなったのは、是枝監督が9歳から28歳まで実際に暮らしていた東京都清瀬市の旭が丘団地。本作について是枝監督は、「登場人物は皆、“こんなはずじゃなかった”という思いを抱きながら、夢見た未来とは違ういまを生きている大人たち。映画の舞台である団地も建設された当時は思いもしなかったであろう、老人ばかりの現在を生きている。本作はそんな等身大の人々のいまに寄り添ったお話」とコメントを寄せている。コメディ、ドキュメンタリー、人間ドラマと異なったスタイルだが、それぞれの“団地”描写の中に込められた、その限られた空間にしか醸し出すことのできない日々の暮らし。まさに昭和の象徴であり、失われた家族や地域のカタチが色濃く残る“団地”。その個々の思い出や人間関係、時間と空間の“濃密さ”が、クリエイターたちを刺激し、惹きつけるのかもしれない。『団地』は6月4日(土)より有楽町スバル座・新宿シネマカリテほか全国にて公開。『桜の樹の下』はポレポレ東中野ほか全国にて順次公開。『海よりもまだ深く』は5月21日(土)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年04月05日創業30周年を迎えた映画会社「GAGA株式会社」のラインアップ発表会が3月23日(水)に開催され、新規事業としてアニメーション事業への参入などが発表されると共に公開を控える『海よりもまだ深く』の是枝裕和監督、『溺れるナイフ』の山戸結希監督らが出席した。昨年の27作品から8作品増えて、今年は過去最多の35作が紹介された。最初に挨拶に立った依田巽会長兼社長CEOは、同社の方針として、洋画作品の輸入配給・邦画製作と配給をコアビジネスと位置付けつつ、さらにサブカル、教育としてのアニメ、2.5次元作品の映画化などを新たなビジネスとして掲げた。注目作品としては、同社にとっては2011年の『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』以来となるアクション大作『ゴッド・オブ・エジプト』。『セッション』のデイミアン・チャゼル監督の最新作で音楽とダンスで描くラブストーリー『LA LA LAND』(原題)、グザヴィエ・ドランの新作『IT’S ONLY THE END OF THE WORLD』(原題)など、ジャンルも規模も様々な多彩な作品が名を連ねる。また、詳細は近日公表される予定だが、アニメーション事業への参入も発表された。邦画作品では「GAGA+」レーベルの作品として、過去に幾度となく映像化されてきた人気少女漫画の映画化となる『イタズラなKiss THE MOVIE』(PART1/PART2)が秋に公開。『そして父になる』、そしてアカデミー賞最優秀作品賞、最優秀監督賞に輝いた『海街diary』の是枝裕和監督の最新作『海よりもまだ深く』は5月21日(土)より公開となる。阿部寛を主演に迎え、台風の夜にひとつ屋根の下で過ごすことになったかつて家族だった者たちの姿を描く本作。阿部さんは、作家崩れの探偵で、従来の作品ではなかなか見せることのなかったダメ男っぷりを見せている。壇上に上がった是枝監督は、撮影を前に阿部さんに対し「今回の役が、これまでで一番だらしなく、情けなく、背中が丸まった男です」と説明したという。『歩いても 歩いても』でも是枝作品の主演を務めている阿部さんだが、監督は「少し若いけどほぼ同世代。共に子供ができる前に一度、ご一緒したけど、2人とも父親になって50代を迎え、もう一度やりたいと思った」と起用の理由を明かした。それ以外の邦画では、ジョージ朝倉の伝説的少女漫画を小松菜奈、菅田将暉という旬の2人を主演に迎えて映画化する『溺れるナイフ』が11月に公開。山戸結希監督は、『おとぎ話みたい』で公開館のテアトル新宿の実写・レイトショー作品における1週目の動員記録を13年ぶりに更新し注目を集め、『5つ数えれば君の夢』も称賛を浴びており、「乃木坂46」や「神聖かまってちゃん」のミュージックビデオでも話題を呼んでいる。登壇した山戸監督は、すでに終わった撮影を「青春映画の撮影現場も青春そのものでした」とふり返り、主演の小松さん、菅田さんについて「すでに巨匠の監督の作品にも出ていますが、巨匠の監督ではなく私だから2人にできることは何か?映画は、真っ暗闇で憧れている人の姿を大きなスクリーンで見られるもの。2人に憧れている人は、2人にどんな姿でスクリーンに映ってほしいのか?を考えました」と本作でしか見られない2人の姿を焼き付けたことに自信を見せる。「日本中の女の子が無視できない作品、世界中の女の子に届く作品にしたいと思って作りました!」と力強く語った。また2017年5月の公開作品として、三島由紀夫の作品群の中でも珍しいSF小説を、『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督が映画化する『美しい人』も控える。宇宙人に“覚醒”した一家を描いており、リリー・フランキー、亀梨和也、橋本愛、中島朋子が家族を演じる。ビデオメッセージを寄せた吉田監督は「とてつもないエンターテイメント作品になる」と自信をのぞかせていた。(photo / text:Naoki Kurozu)
2016年03月24日8歳の少年が交通事故で死んだ。事故加害者の夫と不倫中の派遣社員・千恵子、パン工場で働きながら少年を育てていたシングルマザーの吉乃、加害者の夫で編集者の健二、加害者で人気スタイリストの美里。事故によって、それぞれが抱えることになった喪失とかすかな光を描いた連作短編集『一瞬の雲の切れ間に』。ドキュメンタリー映画の俊英、砂田麻美さんが初めて挑戦した完全なるフィクションだ。「最初に決めたのはタイトルでした。たまたま仕事で長崎の原爆資料館に行ったとき、原爆投下の状況を説明した文章の中に<一瞬の雲の切れ間に>という言葉があって、それがすごく印象に残ったんです。ほんの一瞬の出来事で、一生背負わなければいけない罪を犯してしまったり、運命がまるきり変わってしまうような事柄に遭遇したりするんだ、と。それを軸に据えたら、語り手としてどんな人を据えたらいいのかのイメージが一気に湧いてきました」事故から数えて2年ほどの年月。その間に起きたことや、それ以前の過去を、語り手それぞれが回想する形で物語が進む。そのときに浮かび上がるのは、人間というものの善悪入り交じる複雑な多面性だ。「映像は人物に確たるキャラクターを持たせないと伝わりにくいので、多くを語らせずに観客にゆだねる表現をします。だからよけいに、“書く”ことでしかできない表現を意識しました。できるだけ裏の裏までえぐって、その人のいいところも悪いところも余すところなく書こうと」執筆は主にスタバで。1日10枚とノルマを決めてコツコツ書いた。「5枚しか書けなかったら、翌日巻き返して15枚書く。スイッチが入れば周りが見えないほど集中できる方なので、そこまでいくと、脳裏に浮かんでいるイメージを文章に変換させることができるのですが」ちなみに本作には、5人の語り手がいるのだが、そのラストに登場するのは、意外な人物だ。「事件をめぐる人間関係の枠から、少し距離がある人物を1人出そうというのは最初に決めていて、その人物が、この物語を束ねる存在になるだろうという予感はありました」サスペンスフルに展開するエンディングと、その先に見える一条の光。その完成度を、ぜひご覧あれ。◇少年の死亡事故に直接的、間接的に関わった人々の胸の内が語られる連作短編形式。後悔、懺悔、赦し、希望など千々に心乱れる人々を描く。ポプラ社1400円◇すなだ・まみ映画監督。1978年生まれ。是枝裕和監督らの監督助手を務め、初監督作品『エンディングノート』で日本映画監督協会新人賞等を受賞。それをもとに小説『音のない花火』を発表。※『anan』2016年3月23日号より。写真・岡本あゆみ(砂田さん)森山祐子(本)インタビュー、文・三浦天紗子
2016年03月22日マカオのザ・ヴェネチアン・マカオ内「ヴェネチアン・シアター」にて3月17日(現地時間)、第10回アジア・フィルム・アワードのセレモニーが開催。日本からは『岸辺の旅』の浅野忠信が最優秀助演男優賞、樹木希林が特別功労賞の受賞を果たした。アジア・フィルム・アワードは、アジア映画を対象とした映画賞として2007年よりスタート。2014年より、東京国際映画祭が香港国際映画祭、釜山国際映画祭と共にアジア・フィルム・アワード・アカデミーを創設し、アジアの映画業界と連携し、その年のアジアの映画人を表彰しスポットライトを当てることで、アジア映画ファンの創出や世界へのアジア映画の振興、文化交流を図っている。今年日本からは、最優秀作品賞に『恋人たち』、最優秀監督賞に『海街diary』の是枝裕和、最優秀男優賞に『あん』の永瀬正敏、最優秀女優賞に『海街diary』の綾瀬はるか、最優秀助演女優賞には『GONIN サーガ』の土屋アンナ、『ビューティー・インサイド』の上野樹里、優秀新人賞に『ソロモンの偽証』の藤野涼子などがノミネートされていた。最優秀助演男優賞を受賞した浅野さんは、ジャ・ジャンクー監督のミューズであり『山河ノスタルジア』でも主演を務めるチャオ・タオよりトロフィーを渡され、「この会場にいらっしゃる(アジア各国・地域の)素晴らしい映画人のみなさんと仕事をしたい!その準備はできています!でも撮影現場には日本食を必ず用意してくださいね」と、国際的な仕事への強い意欲を英語でアピールしていた。黒地に深紅模様の着物姿でステージに登壇した樹木さんは、『歩いても歩いても』(第3回AFA最優秀監督賞受賞)、『海街diary』、最新作の『海よりもまだ深く』と数々の作品を共にする是枝監督よりトロフィーを渡され、「今夜の授賞式を素晴らしいものにするために、沢山の人たちが駆けずり回り、心を砕いていました。私がいただいた功労賞はそっくりそのままその方たちに差し上げます。ですが、トロフィーは1個しかないので持って帰ります(笑)」と笑顔でスピーチし、会場にいるアジア各国の映画人より大きな拍手が沸き起こった。ホウ・シャオシェン監督の『黒衣の刺客』が最優秀作品賞含め8部門を受賞したほか、主演男優賞を『インサイダーズ/内部者たち』よりイ・ビョンホンが受賞。10回の節目を迎えるセレモニーにはアジア各国・地域から多くのスターが集まり、盛況のうちに終了した。<第10回アジア・フィルム・アワード受賞結果一覧>最優秀作品賞:『黒衣の刺客』最優秀監督賞:ホウ・シャオシェン『黒衣の刺客』最優秀男優賞:イ・ビョンホン『インサイダーズ/内部者たち』最優秀女優賞:スー・チー『黒衣の刺客』最優秀助演男優賞:浅野忠信『岸辺の旅』最優秀助演女優賞:チョウ・ユン『黒衣の刺客』最優秀新人賞:Jessi LI『Port Of Call』(原題)最優秀脚本賞:ジャ・ジャンクー『山河ノスタルジア』最優秀編集賞:ウィリアム・チョン、CHU Ka Yat、ホイ・ウォン、フィリップ・ユン『Port Of Call』(原題)最優秀撮影賞:リー・ピンビン『黒衣の刺客』最優秀作曲賞:リン・チャン『黒衣の刺客』最優秀衣装デザイン賞:LEE Ji-yeon、シム・ヒョンソップ最優秀美術賞:ホァン・ウェンイン『黒衣の刺客』最優秀視覚効果賞:Prasad SUTAR『Bajirao Mastani』(原題)最優秀音響賞:チュ・シーイ、ドゥー・ドゥージ、ウー・シューヤオ『黒衣の刺客』特別功労賞:樹木希林、ユエン・ウーピンNext Generation Award:ユ・アインHighest-Grossing Asian Film 2015:『モンスター・ハント』(text:cinemacafe.net)
2016年03月18日『海街diary』で第39回日本アカデミー賞「最優秀作品賞」「最優秀監督賞」を受賞した是枝裕和監督の最新作『海よりもまだ深く』。このほど、阿部寛、樹木希林、真木よう子ら豪華俳優陣が顔をそろえた本作から、“元”家族の“海よりもまだ深~い”想いが交錯するかのようなポスタービジュアル解禁となった。笑ってしまうほどのダメ人生を更新中の中年男、良多。15年前に文学賞を1度とったきりの自称・作家で、現在は探偵事務所に勤めている。元妻の響子には愛想を尽かされ、息子・真悟の養育費も満足に払えないくせに、彼女に新恋人ができたことにショックを受けている。そんな良多の頼みの綱は、団地で気楽な独り暮らしを送る母の淑子(樹木希林)だ。ある日、たまたま淑子の家に集まった良多と響子と真悟は、台風のため翌朝まで帰れなくなる。こうして、一夜かぎりの“元”家族の時間が始まるが…。本作は、『海街diary』で鎌倉を舞台に、面倒くさいけれどいつまでもそばにある家族の愛を描き出した是枝監督が、自身も育った団地を舞台に、“なりたかった大人”に“なれなかった”大人たちについて描く物語。今回解禁となったポスタービジュアルには、叶わぬ夢ばかり追う情けない主人公・良多を軽妙に、チャーミングに演じている阿部さんと、そんな息子を穏やかな眼差しで見つめる母・淑子の樹木さん、そして、そんな男に愛想を尽かした元妻・響子の真木さんと息子・真悟の吉澤太陽という、かつて“元”家族だった4人の姿が映し出されており、良多の実家である団地を背景に、それぞれがどこか遠くを見つめ、思いにふける表情が印象的。さらに、それぞれ微妙に異なる表情を見せる4人には、「みんながなりたかった大人になれるわけじゃないんだよ」(良多)、「月に1度の父親ごっごでよく言うわねそんなこと」(響子)、「宝くじが当たったら、みんなでまた一緒に暮らせるかなぁ…」(真悟)、「なんで男は今を愛せいないのかねぇ…」(淑子)と、“海よりもまだ深~い”想いがつまった台詞が共に添えられ、見る者をハッとさせている。台風の夜に、偶然ひとつ屋根の下に集まった “元”家族。このポスタービジュアルから、「夢見た未来と違う今を生きる」彼らが、“海よりもまだ深い”人生の愛し方をそっと教えてくれる物語に思いを馳せてみて。『海よりもまだ深く』は5月21日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年03月15日ブルーリボン賞、キネマ旬報ベストテン、日本アカデミー賞など、2015年の映画賞の結果が続々と発表されたが、改めて、2015年は日本の映画界にとってどのような年だっただろうか? 『キネマ旬報2016年3下旬号』(発売中 1200円+税 キネマ旬報社刊)の内容から、振り返る。2015年に日本で公開された映画は邦画が581本、洋画が555本の計1,136本だった。興行収入は邦画1,203億6,700万円、洋画967億5,200万円、合計で2,171億1,900万円となった。前年から比べると4.9%増と、わずかながら上向きの様子が見える。しかし、作品ごとの金額を見ると、ヒット作とそれ以外で大きく二極化していることがわかる。興行収入10億円を超えた作品は、全部で60本(2015年公開作品の5%にあたる)。この60本のヒット作品の興収合計が1,600億円にも及んでおり、興行収入全体の8割を占めている。元パラマウント ピクチャーズ ジャパン営業部の中川聡氏は「残りの95%の作品はどこに行ってしまったのか」と指摘する。現在主流の「シネマコンプレックス」システムでは、ヒット映画はロングラン上映を行うが、客が入らなければ上映回数が減り、すぐに打ち切りとなる。これにより、大ヒットする映画と、そうでない映画の差が開いてしまっているという。邦画1位となったのは、『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』(東宝)、さらに『バケモノの子』『HERO』『名探偵コナン 業火の向日葵』『映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記』『ドラゴンボールZ 復活の「F」』『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』『映画「ビリギャル」』『映画「暗殺教室」』と、東宝作品が続いていく。上位10作品の中で、東宝以外の作品となったのは、9位『ラブライブ! The School Idol Movie』(松竹)のみだった。この勢いにより、東宝は歴代4位の好成績を記録している。アニメ作品、人気TVシリーズの映画化、ベストセラーコミックの実写化など、ファミリー層や若者をメインターゲットにする同社の路線が大きく成功した。また、ギャガとの共同配給作品である『海街diary』(是枝裕和監督)は第68回カンヌ国際映画祭コンペディション部門に出品され、日本アカデミー賞作品賞を受賞するなど、収入と評価両方に優れた結果を残した年だった。創業120周年をむかえた松竹は自社製作に力を入れたが、年間興収は前年対比83,4%と厳しい結果に。しかしながら、『ソロモンの偽証 前篇・事件』『ソロモンの偽証 後篇・裁判』『駆込み女と駆出し男』『愛を積む人』『日本のいちばん長い日』『天空の蜂』『母と暮せば』等、業界で高く評価され、数々の賞を受賞する作品を多く生み出し、「ものづくりの会社」として大きく存在感を示した。一方、洋画は興行収入が12.1%アップ。『ジュラシック・ワールド』『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』などのシリーズものや、ディズニーアニメ『ベイマックス』などのヒットで明るい話題を提供した。熱狂的なファンの多かった『マッドマックス 怒りのデスロード』は18億1,000万円と、話題性から言えばもう少し伸ばしたかったところだ。しかし、「爆音上映」などの施策が当たり、「立川シネマシティだけで7,500~8,000万が上っている」(中川氏)など、今後の映画館にとって重要な事例となるだろう。
2016年03月14日昨年、戦後70周年特別番組として広島テレビにて放送された、原子爆弾により幼くして命を奪われた旧制・広島二中一年生が最後に残した言葉を読み語る朗読劇「いしぶみ~忘れない。あなたたちのことを~」。この度、綾瀬はるかが朗読をする本番組を再編集し、新たに『いしぶみ』として7月下旬より、劇場にて公開することが決定した。太平洋戦争末期、それまでたった一度しか空襲がなかった広島市には、東京や大阪から多くの子どもたちが疎開してきた。戦争も最終段階に入ったこの頃は、労働力不足を補うために、中学生も建物の解体作業や農作業などにかり出されていた。学校で勉強できる日は少なく、夏休みもなく、みんな日本の勝利を信じて一生懸命働いていた。昭和20年8月6日は、朝から暑い夏の日だった。この日、建物の解体作業のため、朝早くから広島二中の一年生は本川の土手にいた。端から点呼を終えたその時、500m先の上空で爆発した原子爆弾が彼らの未来を一瞬にして奪ったのだ。少年たちは、元気だった最後の瞬間、落ちてくる原子爆弾を見つめていた。あの日、少年たちに何が起きたのか…。遺族の手記に残された死にゆく彼らの最後の言葉を伝えていく――。昭和44年に広島テレビで放送され、芸術祭優秀賞やギャラクシー賞などを受賞し、名女優・杉村春子を語り部として制作された「碑」を、『そして父になる』でカンヌ国際映画祭審査員賞をはじめ数々の賞に輝いた是枝裕和監督が現代に蘇らせた新しい朗読劇。語り部には、広島市出身の女優・綾瀬さんが挑み、『海街diary』に続き、再び是枝監督とタッグを組んでいる。今回の映画公開決定について綾瀬さんは「原爆の惨禍によって、突然に短い命を終えていった子どもたちの最期の一日を綴ったこの手記は戦争の悲惨さ、平和の尊さを伝えていると思います。この夏『いしぶみ』をご覧頂いて、一人でも多く平和への強い思いが芽吹くきっかけになったならと願っています」と語り、また是枝監督は「50年近く前に放送されたオリジナルの『碑』を観たとき、この番組に関わったすべてのスタッフ、そして朗読の杉村春子さんに心から畏敬の念を抱きました。そこには、伝えることについての大胆で真摯な考察と、視聴者の想像力への信頼が溢れていました。今のテレビが失いつつあるこのふたつと、自分が正面から向き合ってみたい。そんな思いからこの『いしぶみ』はスタートしています」と作品への想いを語った。さらに本作の舞台を手がけるのは、「劇団☆新感線」や野田秀樹、三谷幸喜など、第一線で活躍する演出家や作家の舞台美術を手がけている堀尾幸男。想像力を掻き立てる舞台セットが朗読を引き立てている。そして、ジャーナリストの池上彰が遺族やその関係者へのインタビューを通して、70年を経てなお残る「物語」の続きを伝えている。『いぶしみ』は7月下旬、ポレポレ東中野(東京)、第七藝術劇場(大阪)、八丁座(広島)、ほか全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2016年03月08日第39回日本アカデミー賞授賞式が3月4日(金)に開催。是枝裕和監督の『海街diary』が最優秀作品賞、監督賞を含む最多4冠を獲得。主演男優賞は二宮和也、主演女優賞は安藤サクラ、助演女優賞は2年連続となる黒木華、助演男優賞は本木雅弘が受賞した。『海街diary』は最多12部門で優秀賞を受賞しており、そのうち作品賞、監督賞に加え、撮影賞・照明賞(瀧本幹也・藤井稔恭/※この2部門は同一作品が受賞)でも最優秀賞を受賞。広瀬すずも新人俳優賞(※同部門は最優秀賞の選出はなし)を受賞している。長女を演じた綾瀬はるかの最優秀主演女優賞、次女、三女を演じた長澤まさみ、夏帆の最優秀助演女優賞獲得は残念ながらならなかったが、作品賞の受賞が決まると4姉妹全員が笑顔で是枝監督と共に壇上に並んだ。ひとつ前に発表された監督賞受賞の際には、是枝監督は「僕は、20年映画をやってきて、ここに呼んでいただけるようになったのはこの2年ほどで、ずっと他人事でTVで見て言いたい放題悪口を言ってました(笑)」と告白。続けて「またいつ呼ばれなくなるか分かんないし、おべっか言ってもしょうがないので正直に言います」と前置きし「今年は本国のアカデミー賞でもいろいろ問題があって、検討されるようですが、この(日本の)イベントも、まだまだいろんな改革をしなければいけないところがいっぱいあります。これまでは外から批判してきましたが、もういい歳ですから、一緒になって、より素敵なイベントにできるよう、自分も努力をしていきたいと思います」と愛のあるコメントで会場をわかせた。そして、今度は最優秀作品賞受賞で登壇すると、是枝監督は柔らかい笑みを浮かべ「最後に大きなご褒美が待ってました」と喜びを語った。“長女”綾瀬さんは「本当に嬉しい。みんなでひとつになって作った作品を多くの人に見ていただけたことが何よりありがたいです」と満面の笑み。“次女”長澤さんは、綾瀬さん、夏帆さんという同世代の女優、そして“妹”広瀬さんとの共演に触れ「この4人で姉妹ができてよかったです」と語る。“三女”夏帆さんは「ここにみんなで立てていることが嬉しいです」、そして末の妹の広瀬さんは「『海街diary』で家族になれたこと、全てがこれからお芝居を続けていく上で財産です。お姉ちゃんたちのような女優になれるよう、追いかけていきたいです」と笑顔を見せた。俳優部門では『母と暮せば』の二宮和也と黒木華がそろって最優秀主演男優賞、最優秀助演女優賞を受賞。最優秀主演女優賞には、低予算での製作、小規模公開ながらも大きな話題を呼んだ『百円の恋』の安藤サクラに輝いた。なお、『百円の恋』は足立伸が最優秀脚本賞も受賞しており、堂々の2冠を達成!そして『日本のいちばん長い日』と『天空の蜂』の2作で優秀助演男優賞受賞の本木雅弘は、この2作で票が割れることも予想されたが、見事に『日本のいちばん長い日』の昭和天皇役で最優秀賞受賞となった。本木さんは『シコふんじゃった。』(第16回)、『おくりびと』(第32回)での最優秀主演男優賞に続くアカデミー賞最優秀賞(※助演男優賞では初)受賞となった。壇上で本木さんは、出演を迷った際に義母の樹木希林の言葉に背中を押されたことを明かし「困った時の義母頼み。常に救いです。まだまだ長生きしてもらわないと」と語ったが、これに対し樹木(『あん』で優秀主演女優賞受賞)は「一家の主ですから、仕事してもらわないと。黙ってると何もしないから不安でした」と軽妙に返し、会場は笑いに包まれた。トロフィーを受け取った本木さんは改めて「原田監督にオファーをいただいて、そのささやかな入口から始まって、こんな素晴らしいことが起こるとは。2作とも、もがき、あがいた役作りでしたが、何とかやり切ることができました。50代を迎え、いい意味で肩の力が抜けていきそうな気配がします。これからもうまく時代の風をつかんで、楽しんで芝居をしていけたらと思います」と挨拶した。このほか、最優秀アニメーション作品賞は細田守監督の『バケモノの子』が獲得。また、『バクマン。』で初めて映画音楽を担当したサカナクションが、最優秀音楽賞を受賞した。『バクマン。』は編集賞でも最優秀賞を獲得しており、ニッポン放送の「オールナイトニッポン」視聴者の投票による話題賞作品部門も受賞した。話題賞の俳優部門は『幕が上がる』に5人そろって主演した「ももいろクローバーZ」が受賞。新人俳優賞は有村架純、土屋太鳳、広瀬すず、藤野涼子、篠原篤、野田洋次郎、山崎賢人、山田涼介という旬な8人に贈られた。【第39回日本アカデミー賞受賞一覧】最優秀作品賞:『海街diary』最優秀監督賞:是枝裕和(『海街diary』)最優秀主演男優賞:二宮和也(『母と暮せば』)最優秀主演女優賞:安藤サクラ(『百円の恋』)最優秀助演男優賞:本木雅弘(『日本のいちばん長い日』)最優秀助演女優賞:黒木華(『母と暮せば』)最優秀脚本賞:足立紳(『百円の恋』)最優秀美術賞:花谷秀文(『海難1890』)最優秀撮影賞:瀧本幹也(『海街diary』)最優秀照明賞:藤井稔恭(『海街diary』)最優秀録音賞:松蔭信彦(『海難1890』)最優秀編集賞:大関泰幸(『バクマン。』)最優秀音楽賞:サカナクション(『バクマン。』)最優秀外国作品賞:『アメリカン・スナイパー』最優秀アニメーション作品賞:『バケモノの子』新人俳優賞:有村架純(『映画ビリギャル』)、土屋太鳳(『orange -オレンジ-)』、広瀬すず(『海街diary』)、藤野涼子(『ソロモンの偽証』)、篠原篤(『恋人たち』)、野田洋次郎(『トイレのピエタ』)、山崎賢人(『ヒロイン失格』、『orange -オレンジ-』)、山田涼介(『暗殺教室』)協会特別賞:松田和夫(衣裳)、ガル・エンタープライズ(予告編製作)協会栄誉賞:仲代達矢話題賞:<作品部門>『バクマン。』、話題賞:<俳優部門>:ももいろクローバーZ(『幕が上がる』)(text:cinemacafe.net)■関連作品:海街diary 2015年6月13日より全国にて公開© 2015吉田秋生・小学館/フジテレビジョン小学館東宝ギャガ
2016年03月05日女優の長澤まさみ(28)が4日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われた第39回日本アカデミー賞授賞式に出席し、露出度の高いセクシー衣装で会場の視線を釘付けにした。是枝裕和監督作『海街diary』で、夏帆と共に優秀助演女優賞に選ばれた長澤。惜しくも最優秀助演女優賞は逃したが(黒木華が『母と暮せば』で受賞)、映画人が一年に一度集う授賞式で色香漂う存在感を示した。その姿は、司会の宮沢りえも「フゥー!」「すてきなドレス」と盛り上がるほどで、背中は大きく開き、足の付け根ギリギリまでの深いスリットからは歩くたびに美脚があらわに。長澤は宮沢の反応に照れくさそうにしながらも、『海街diary』の撮影現場の雰囲気を聞かれると、「すごくアットホーム」「スタッフさんもみんなが家族みたいで、1つの家族が本当に家族の物語を撮っている感じがしてとにかく穏やかな空気でした」と恵まれた環境を思い返していた。中でも是枝監督の演出は特に印象深かった様子。是枝監督は、撮影の合間に出演者同士で交わされるコミュニケーションを観察し、それをヒントに翌日の撮影が行われることがあったという。
2016年03月05日V6の岡田准一が4日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われた第39回日本アカデミー賞の授賞式に出席し、プレゼンターとして4回登壇した。この日は3回登壇の黒木華(助演女優賞、助演男優賞プレゼンター、協会特別賞プレゼンター)、是枝裕和監督(脚本賞、監督賞、作品賞)らがいたものの、一番登壇回数が多かったのは"プレゼンター・岡田准一"だった。岡田は前回の日本アカデミー賞で、「最優秀主演男優賞」「話題賞・俳優部門」(以上『永遠の0』)、「最優秀助演男優賞」(『蜩ノ記』)の3部門を受賞している。まず岡田が現れたのは助演女優賞で、前回の最優秀助演男優賞受賞者としてプレゼンターを務めた。受賞者たちに「この場所はすごく素晴らしい場所で、皆さんきっと今ドキドキしながら、いろんな感情を持って待たれていると思っています」と声をかけ、最優秀助演女優賞の1名を発表。黒木華(『母と暮せば』)にブロンズを渡した。2回目に現れたのは、ニッポン放送のラジオ番組『オールナイトニッポン』リスナー投票の結果によって決まる「話題賞」。前回の話題賞・俳優部門受賞者として「僕自身、この賞をいただいたときにすごく光栄に思い、話題になるということはすごく大事だなと。今日受賞される皆さんもきっとそう思っているんじゃないかと思います」とコメントし、話題賞・俳優部門受賞のももいろクローバーZ(『幕が上がる』)、話題賞・作品部門受賞の『バクマン。』大根仁監督とかたく握手を結んだ。3回目は、前回の最優秀主演男優賞受賞者として新人俳優賞のプレゼンターとして登場し、若手の俳優たちにエール。ジャニーズ事務所の後輩であり、新人俳優賞を受賞した山田涼介(『暗殺教室』)を思わせるように「個人的に嬉しい登壇者もいますので」と発言すると、山田も頭を下げて応えていた。4回目に登場したのは、最優秀主演女優賞。前回の最優秀主演男優賞受賞者として、「女優さんというのは、現場で光のような存在に感じることがあります。『役柄に愛される』ことをさらっとされているのが印象的で、いつもすごいなと思っています」と女優陣をたたえ、最優秀主演女優賞に選ばれた安藤サクラ(『百円の恋』)の名前を読み上げた。この活躍ぶりに、ツイッターでは「またプレゼンター岡田」「深刻なプレゼンター不足?」「岡田くんずっといればいいのに」などと話題となっていた。
2016年03月05日第39回日本アカデミー賞の授賞式が4日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われ、『海街diary』が作品賞、監督賞、照明賞、撮影賞の4部門で最優秀賞を受賞。是枝裕和監督と綾瀬はるから出演女優陣が登壇し、受賞の喜びを語った。『海街diary』は、鎌倉の一軒家で暮らす3人の姉妹と、腹違いの末っ子が家族になっていく姿を描いた作品。優秀主演女優に長女役の綾瀬はるか、優秀助演女優賞に次女役の長澤まさみと三女役の夏帆、新人俳優賞に四女役の広瀬すずと、姉妹そろっての受賞が話題となっていた。是枝監督は、「すごく長い時間をかけて撮影させていただいた、お金を出していただいたプロデューサーの方々にも本当に感謝しています」と関係者の貢献に言及。撮影は実在する鎌倉の民家を借りて1年を通して行われたため、「あの家がなかったら多分撮れなかった映画だと思います」と振り返った。一方の綾瀬は、「本当にうれしいです。みんなで一つになって作ったものを多くの方々に見ていただけたことが、何よりありがたいと思っています」と笑顔を見せ、続く姉妹たちも「同世代の女優さんと共演する機会はなかなか少ないなと思っていて、一緒に現場にいることで、自分の未熟さも感じられて、頑張らないとと勇気をもらえました」(長澤)、「ここにみんなで立てることが本当に嬉しいです」(夏帆)と喜びを伝えた。末っ子役の広瀬は感極まった様子で「この空間にいるのがすごく、鳥肌が立ちっぱなしなんですが」と前置き。「お姉さんたちのような女優さんになれるように、追いかけ続けられるように頑張ります」と今後の目標を話すと、司会を務めていた西田敏行も優しい声で「すずちゃん、頑張ってね」と声をかけていた。■最優秀賞受賞リスト作品賞…『海街diary』監督賞…是枝裕和(『海街diary』)主演男優賞…二宮和也(『母と暮せば』)主演女優賞…安藤サクラ(『百円の恋』)助演男優賞…(本木雅弘『日本のいちばん長い日』)助演女優賞…黒木華(『母と暮せば』)アニメーション作品賞…『バケモノの子』脚本賞…足立紳(『百円の恋』)音楽賞…サカナクション(『バクマン。』)編集賞…大関泰幸(『バクマン。』)録音賞…松陰信彦(『海難1890』)照明賞…藤井稔恭(『海街diary』)撮影賞…瀧本幹也(『海街diary』)美術賞…花谷秀文(『海難1890』)外国作品賞…『アメリカン・スナイパー』■これまでの最優秀作品賞第38回…『永遠の0』第37回…『舟を編む』第36回…『桐島、部活やめるってよ』第35回…『八日目の蝉』第34回…『告白』第33回…『沈まぬ太陽』第32回…『おくりびと』第31回…『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』第30回…『フラガール』第29回…『ALWAYS三丁目の夕日』第28回…『半落ち』第27回…『壬生義士伝』第26回…『たそがれ清兵衛』第25回…『千と千尋の神隠し』第24回…『雨あがる』第23回…『鉄道員(ぽっぽや)』第22回…『愛を乞うひと』第21回…『もののけ姫』第20回…『Shall we ダンス?』第19回…『午後の遺言状』第18回…『忠臣蔵外伝 四谷怪談』第17回…『学校』第16回…『シコふんじゃった。』第15回…『息子』第14回…『少年時代』第13回…『黒い雨』第12回…『敦煌』第11回…『マルサの女』第10回…『火宅の人』第9回…『花いちもんめ』第8回…『お葬式』第7回…『楢山節考』第6回…『蒲田行進曲』第5回…『駅 STATION』第4回…『ツィゴイネルワイゼン』第3回…『復讐するは我にあり』第2回…『事件』第1回…『幸福の黄色いハンカチ』
2016年03月05日第70回「毎日映画コンクール」のオープニングセレモニーと授賞式が16日、神奈川・ミューザ川崎シンフォニーホールで行われ、各賞を受賞した綾瀬はるか、長澤まさみ、塚本晋也、加藤健一、野田洋次郎、藤野涼子、桃井かおりらが出席した。今年で70回目を迎える同賞は、毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社などが主催している映画賞。一般客が見守る中、受賞者の一部がミューザ川崎内「光のブリッジ」を歩くオープニングセレモニーが行われた後、各賞の表彰式が行われた。是枝裕和監督の『海街diary』から、長女役の綾瀬はるかが主演女優賞、次女役の長澤まさみが助演女優賞を受賞。綾瀬は「チャキチャキしていて明快な役でしたので、優柔不断な私とは真逆で難しいと思いましたが、撮影が始まって新しい発見もありました」と振り返り、「改めて是枝監督をはじめ支えて下さったスタッフやキャストの皆さん、映画を見て下さったお客様に感謝しております」と受賞を喜んだ。この日も登壇した次女役の長澤に「現場で1番みんなをまとめてくれました」と感謝の言葉をかけ、長澤も「綾瀬さんと喧嘩するシーンが多かったんですけど、綾瀬さんが同じ場所で次女を受けてくれたからその関係性が出来たんじゃないかと思います」と応えた。その長澤は本作で自慢の美脚を披露するなどセクシーな次女を熱演しているが「監督からは『エロスの部分を担って欲しい』と言われたので、エロスを担当しました(笑)」と笑顔で振り返っていた。監督賞と主演男優賞には、『野火』の塚本晋也監督が受賞。まさかの主演男優賞に「監督賞より最初に主演男優賞を伺ったものですから、そこですか?という感じでした」と戸惑った様子で「絶句して、その夜は三國連太郎さんや緒形拳さんという歴代の受賞者を見てますます実感が湧きませんでしたね。本当にすみません…。老後の楽しみにさせてください」と観客を笑わせた。なお、監督賞と主演男優賞のダブル受賞は、1946年のスタート以来、70年という長い歴史の同賞でも塚本監督が初めてとなる。○第70回「毎日映画コンクール」受賞一覧作品部門日本映画大賞:『恋人たち』日本映画優秀賞:『岸辺の旅』外国映画ベストワン賞:『バードマン』監督賞・脚本賞監督賞:塚本晋也『野火』脚本賞:原田眞人『駆込み女と駆出し男』俳優部門男優主演賞:塚本晋也『野火』女優主演賞:綾瀬はるか『海街diary』男優助演賞:加藤健一『母と暮らせば』女優助演賞:長澤まさみ『海街diary』スポニチグランプリ新人賞:野田洋次郎『トイレのピエタ』スポニチグランプリ新人賞:藤野涼子『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』田中絹代賞:桃井かおりスタッフ部門撮影賞:藤澤順一『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』美術賞:原田哲男『日本のいちばん長い日』音楽賞:坂本龍一『母と暮らせば』録音賞:小川武『恋人たち』ドキュメンタリー部門ドキュメンタリー映画賞:『沖縄 うりずんの雨』アニメーション部門アニメーション映画賞:『百日紅~Miss HOKUSAI~』大藤信郎賞:『水準原点』TSUTAYA映画ファン賞TSUTAYA映画ファン賞(日本映画部門):『幕が上がる』TSUTAYA映画ファン賞(外国映画部門):『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』特別賞特別賞:橋本忍(脚本家)、櫛桁一則(「シネマリーン」支配人)
2016年02月17日第70回毎日映画コンクール表彰式が2月16日(火)に開催され、綾瀬はるかと長澤まさみが『海街diary』で女優主演賞、助演女優賞に輝き、そろってセクシーなドレス姿で壇上に立った。綾瀬さんと長澤さんは、第28回日刊スポーツ映画大賞でも、そろって主演女優賞、助演女優賞を受賞。日本アカデミー賞では夏帆も加えて優秀主演女優賞(綾瀬さん)、優秀助演女優賞(長澤さん、夏帆さん)に輝いており、最優秀賞への期待もかかる。長澤さんは、体のラインがくっきりと浮かび上がるセクシーな黒とグレーのドレスで登壇。受賞について「スタッフ、キャストのみなさんのおかげ」と感謝を口にした。4姉妹の次女を演じたが「実生活でも2人姉妹の次女なので気持ちが分かった」とも。綾瀬さん演じる長女とは劇中、何かと口論になるという関係だが「綾瀬さんはいつも柔らかく強く同じ場所にいて、次女を受け止めてくれたからできたんだと思います」と振り返った。是枝裕和監督は本作において長澤さんに「エロス担当」を任せていたと語っているが、長澤さんは「そうですね(笑)」とうなずき「タナトス(=死)とエロスでできているのが人間であり、次女にエロスを担ってほしいと言われ、担当しました!」と笑顔を見せた。続いて登壇した綾瀬さんは、左肩を露わにした黒のドレス。しっかり者の長女について「チャキチャキとして明快で、優柔不断でノロマの私と正反対で難しかったですが、演じる中で新しい自分に気づきました」と語る。次女を演じた長澤さんについては「現場でみんなをまとめてくれた」と明かし、三女を演じた夏帆さん、腹違いの四女を演じた広瀬すずさんを含め「みんなかわいらしくて、この3人だから演じやすかった」と振り返った。写真撮影では2人並んでトロフィーを手にして談笑するなど、仲の良い様子をうかがわせた。(text:cinemacafe.net)■関連作品:海街diary 2015年6月13日より全国にて公開© 2015吉田秋生・小学館/フジテレビジョン小学館東宝ギャガ
2016年02月16日第89回「キネマ旬報ベスト・テン」の表彰式が13日、東京・文京シビックホールで行われ、受賞者の深津絵里、二宮和也、本木雅弘、広瀬すず、篠原篤、橋口亮輔らが出席した。映画誌『キネマ旬報』が主催する「キネマ旬報ベスト・テン」は、今年で89回目の開催。その年を代表する日本映画、外国映画をそれぞれ10本挙げるほか、主演男優賞や主演女優賞、新人男優賞、新人女優賞などを、映画評論家や映画記者らが選出する。『岸辺の旅』と『寄生獣 完結編』の2作品で主演女優賞を受賞した深津絵里は「このような素晴らしい賞に値するような芝居だとは疑問に思いますが」と謙そんしながら「プロデューサーや監督さん、そしてスタッフさん、ともに戦いに挑んだ共演者の皆さんに心から感謝したいと思います」と笑顔。続けて「特に『岸辺の旅』で夫が浅野忠信さんじゃなければあのような空気感、繊細な表現につながらなかったと思います。浅野さんの底知れぬお力のお陰でこの賞をいただけたと思っています」と共演した浅野に感謝しきりだった。一方、『母と暮せば』で主演男優賞を受賞した嵐の二宮和也は「自分がこの作品に出る役割は、応援してくれる若い方々に戦争というものを改めて学んでいただける機会をという責務がありました。それがちょっとでも叶い、しかも素晴らしい賞をいただけて本当にうれしく思っています」と喜びの声。本作で共演した吉永小百合については「テレビで見ているパブリックイメージはありましたが、それを遙かに超越していて、どんな人でも同じ対応をしている懐の広さには驚きましたね」と語った。新人女優賞に輝いたのは、『海街diary』に出演した広瀬すず。「このような大きな舞台に立てることは自分にとって不思議な感覚ですが、日々『海街diary』という思いが強くなってきて、大人になっても是枝裕和監督やお姉ちゃん(共演した綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆)に出会えたことが自分の人生にとって大きいと思っています。これからもお姉ちゃんたちの背中を見ながらこういったところに帰れるように頑張りたいと思います」と更なる活躍に意欲。本作の監督でもある是枝監督とはたまに会う機会があるといい、その度に「ネイルをしたりしているんですけど、『また色気づいちゃって!』とか『大人っぽくなっちゃって!』と言われます(笑)」と明かして会場を湧かせていた。○第89回『キネマ旬報ベスト・テン』受賞者一覧日本映画作品賞『恋人たち』(橋口亮輔監督)外国映画作品賞『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(ジョージ・ミラー監督)文化映画作品賞『沖縄 うりずんの雨』(ジャン・ユンカーマン監督)日本映画監督賞/日本映画脚本賞橋口亮輔監督(『恋人たち』により)外国映画監督賞ジョージ・ミラー監督(『マッドマックス 怒りのデス・ロード』により)主演男優賞二宮和也(『母と暮せば』により)主演女優賞深津絵里(『岸辺の旅』、『寄生獣 完結編』により)助演男優賞本木雅弘(『日本のいちばん長い日』、『天空の蜂』により)助演女優賞黒木華(「『母と暮せば』、『幕が上がる』、『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』により)新人男優賞篠原篤(『恋人たち』により)新人女優賞広瀬すず(『海街diary』により)読者選出日本映画監督賞是枝裕和監督(『海街diary』により)読者選出外国映画監督賞デイミアン・チャゼル(『セッション』により)キネマ旬報読者賞川本三郎(キネマ旬報連載『映画を見ればわかること』により)
2016年02月14日第89回キネマ旬報ベスト・テン表彰式が2月13日(土)に開催。主演男優賞の二宮和也、主演女優賞の深津絵里、助演男優賞の本木雅弘、新人女優賞の広瀬すず、邦画1位の『恋人たち』の橋口亮輔監督、同作で新人男優賞に輝いた篠原篤らが出席した。映画雑誌「キネマ旬報」の主催で、米アカデミー賞よりも古い歴史を持つこちらの映画賞。批評家や映画記者たちによる投票結果を誌上で公開しているというのも大きな特徴となっている。二宮さんの受賞の影響もあり、この日の会場は例年以上に若い女性の姿が目立つ。二宮さんと深津さんが表紙を飾っている、受賞結果を掲載した発売中の本誌も売れ行き好調だという。『海街diary』で新人女優賞に輝いた広瀬さんは「監督との出会い、お姉ちゃんたちとの出会いは大きかったなぁと日々、改めて感じています」とメガホンを握った是枝裕和監督、姉を演じた綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆の存在の大きさを語り「これからもいろんな役に染まれるよう、お姉ちゃんたちの背中を見て頑張っていきたいと思います」とさらなる飛躍を誓った。最近でも、是枝監督とはメールを交換しているそうで「『また色気づいちゃって』とか『大人っぽくなっちゃって』とか言われます(笑)」と明かした。深津さんは『寄生獣 完結篇』『岸辺の旅』で主演女優賞を受賞。『寄生獣』ではモンスターでありつつも母性を宿す女を見事に演じたが、モンスターを演じるのは初めて?という問いに「初めてで最後だと思います」と笑う。幽霊となった夫と旅をする女性を演じた『岸辺の旅』について「夫を演じた浅野忠信さんがいなかったら、あの繊細な表現には繋がらなかった。浅野さんの底知れぬ力でこの賞をいただきました」と感謝を口にした。二宮さんは山田洋次監督の『母と暮せば』で長崎の原爆で亡くなるも、戦後数年を経て助産師として働く母の前に姿を現す青年を演じ主演男優賞を受賞。マイクの前に立った二宮さんは大きな声で「ありがとうございます!」と語りニッコリ。「僕はこの映画を1月20日に映画館で観ました。サービスデーだったんですけど、すごくいい映画でした」とユーモアたっぷりに語る。「自分の役割は、日ごろ、応援してくださっている若い方に戦争について改めて学んでいただくひとつのきっかけになることだと思ってました。その責務が少しでも果たせたら」と語った。受賞に対する「嵐」のメンバーの反応を尋ねると「朝、4人と一緒だったんですが、授賞式に行くと伝えると『おめでとう』『いってらっしゃい』と言ってくれました」と明かした。助演男優賞は『天空の蜂』『日本のいちばん長い日』の本木さん。挨拶に立った本木さんは数日前に西川美和監督の最新作『永い言い訳』の撮影を終えたことを明かしたが、同作では深津さん、そしてこの日は欠席となったが、助演女優賞に輝いた黒木華と共演していることを明かす。「深津さんが妻で、黒木さんは愛人ということで、今日は映画でも実現しなかった鉢合わせになるかと落ち着かず、罪悪感を感じてたんですが、危険を回避できました…」とほっとした表情で語り、会場は爆笑に包まれた。『日本のいちばん長い日』では昭和天皇を演じたが、引き受ける前に義母であり、原田眞人監督作品への出演経験のある樹木希林さんと話をしたと明かす。「『気楽に引き受けりゃいいのに』と(笑)。日本映画で昭和天皇を描くのは初めてであり、パイオニアになるというおまけ付きであり『できるできないは別として飛び込んでみるべき』と言っていただきました」と振り返った。(text:cinemacafe.net)■関連作品:日本のいちばん長い夏 2010年8月7日より新宿バルト9、丸の内TOEI2ほかにて公開(C) 2010 NHK アマゾンラテルナ海街diary 2015年6月13日より全国にて公開© 2015吉田秋生・小学館/フジテレビジョン小学館東宝ギャガ天空の蜂 2015年9月12日より全国にて公開(C) 2015「天空の蜂」製作委員会日本のいちばん長い日 2015年8月8日より全国にて公開(C) 2015「日本のいちばん長い日」製作委員会岸辺の旅 2015年10月1日よりテアトル新宿ほか全国にて公開(C) 2015「岸辺の旅」製作委員会/COMME DES CINEMAS母と暮せば 2015年12月12日より全国にて公開(C) 2015「母と暮せば」製作委員会
2016年02月13日永積崇のソロユニット・ハナレグミが、俳優・阿部寛主演で是枝裕和監督が映画化する『海よりもまだ深く』(5月21日公開)の主題歌「深呼吸」を書き下ろし、同曲を使用した予告映像が12日、公開された。本作には阿部のほか、真木よう子、樹木希林らが出演。阿部は、小説家を目指すも一向に才能が開花せず、生活費のために探偵事務所に勤める男・良多役を務める。描かれるのは、そんなバツイチでギャンブル好き、夢ばかり追いかけ続けるダメ中年でありながらも、憎めない性格の良多と、母親(樹木)や元妻(真木)らとの繋がり。なお、母親が暮らす団地のシーンは、実際に是枝監督が19年間住んでいた、東京・清瀬市の旭ヶ丘団地で撮影されているという。主題歌を手がけたハナレグミは、本編の音楽をも担当。「深呼吸」の歌詞中では、劇中で描写される"夢見た未来と少し違う今を生きる人々"の姿が投影されており、そのような人々の背中を押すような、ポジティブなムードに包まれている。ハナレグミ自身も「主人公の良多と一緒に、うつむいたり空を見上げたりしながら曲を書きました」と制作背景を明言。続けて、「『なりたい大人になれたかい?』その問いが僕の手の中にも残りそして また一つ深呼吸」と優しく語りかけるように説明した。なお、同曲は5月25日のリリースが決定している。一方の是枝監督は、製作・プロデューサーとして参加し、ハナレグミが楽曲提供した砂田麻美監督作『エンディングノート』(11年)を振り返り、「その時から、いつか自分の監督作品で、音楽を、と考えていました」と明かしながら、「今回夢がかないました」と歓喜。さらに、録音スタジオを訪問した際を思い出して「まだテーマ曲の『深呼吸』は、ほとんど歌詞はできていませんでしたが、そのメロディーラインを一度聴いただけで、身体が震えるほど」感動したと打ち明ける。完成した曲については「映画の描いていない主人公の過去や未来をも感じさせてくれる名曲」と大絶賛。「この歌で映画が締めくくれることを本当にうれしく思っています」と感慨を示した。予告映像では、そんな主題歌をBGMに、未練たっぷりの元夫・良多の情けない姿を披露。冒頭から元妻と、その新恋人が息子の野球観戦をしているのを遠巻きに双眼鏡で見ながら「もう…しちゃったのかな…」とつぶやく姿などダメ具合を見せつける。さえない良多の唯一の楽しみは、月に一度の息子と過ごす時間。しかし、その場面でも「そんな一生懸命に父親になろうとするんなら、何で一緒にいる時にもう少しさぁ…」と元妻に悪態をつかれてしまう。母親とのシーンでは、団地の一角で「すいませんね…かい性なしの息子で」とその心境を自嘲して見せる良多。それに対して母親は「幸せってのはね、何かを諦めないと手にできないもんなのよ」と元気づける。終盤では、息子に「パパは何になりたかったの?」と聞かれた良多の「パパは…まだなれてない」という本音も吐露され、主題歌も相まって、感傷的な映像に仕上がっている。(C)2016 フジテレビジョン バンダイビジュアル AOI Pro. ギャガ
2016年02月12日「下町ロケット」の熱血社長ぶりで日本中を魅了し、『エヴェレスト 神々の山嶺』では孤高のクライマーに挑む阿部寛が、一転、妻子に逃げられ、ギャンブル好きで夢ばかり追い続ける中年男を演じる是枝裕和監督の最新作『海よりもまだ深く』。このほど、「ハナレグミ」による主題歌に彩られた本作待望の予告編が完成、是枝監督からコメントが到着した。団地に1人住まいの母・淑子(樹木希林)。苦労させられた夫を突然の病で亡くしてからは、気楽なひとり暮らし。長男の良多(阿部寛)は、15年前に一度、文学賞をとったきりの売れない作家。いまは探偵事務所に勤めているが、「小説のための取材」だと言い訳している。そんな良多に愛想を尽かして離婚した元嫁・響子(真木よう子)。11歳の息子・真悟(吉澤太陽)の養育費も満足に払えないくせに未練たらたらの良多は、探偵技で響子を“張り込み”し、彼女に新しい恋人ができたことに1人ショックを受けるが…。是枝監督の『歩いても 歩いても』で親子役を演じた阿部さんと樹木希林が再び子と母となり、元妻に真木よう子、姉に小林聡美、探偵事務所社長にリリー・フランキー、探偵の相棒役に池松壮亮など、豪華なキャストが名を連ねる本作。いくつになっても大人になりきれない男と、そんな息子を深い愛で包み込む母の姿を中心に、夢見た未来と少し違う、いまを生きる家族の姿を映し出す。本作で是枝監督が楽曲をオファーしたのは、聞き手を温かさで包む独特な歌声が魅力の「ハナレグミ」。書き下ろしの主題歌「深呼吸」は、まさに劇中の“夢見た未来と少し違ういまを生きる人々”の姿が投影されており、さらに彼らの背中をそっと押してくれるような心地よい響きを放っている。また、「ハナレグミ」は主題歌以外にも本編の音楽を担当。ほろ苦くも温かい家族の物語に清新な風を送る。今回到着した予告映像では、その「ハナレグミ」の楽曲も初披露。良多が“元”家族を張り込む様子やギャンブルに興じるダメダメぶり、母・淑子や元妻・響子が良多に何も期待していない様子などが描かれる。その中、是枝監督が実際に9歳から28歳までの19年間住んでいた東京都清瀬市の団地で撮影したという淑子の家のシーンでは、台風のため翌朝まで帰れなくなった家族が一堂に会する姿も。最後に映し出される、阿部さん演じる良多のちょっと頼りなさげな背中や、樹木さん演じる母親が息子の腕をとって仲睦まじく歩く姿には、微笑ましくも自分自身の姿を重ね合わす人も多いかもしれない。<以下、コメント>■是枝裕和監督「ハナレグミ」さんには、砂田麻美監督の『エンディングノート』でご一緒させていただいたのが、最初です。その時から、いつか自分の監督作品で、音楽を、と考えていましたが、今回夢が叶いました。録音スタジオにお邪魔したとき、まだテーマ曲の「深呼吸」は、ほとんど歌詞はできていませんでしたが、そのメロディーラインを一度聴いただけで、身体が震えるほど感動しました。出来上がった曲は、もう、映画の描いていない主人公の過去や未来をも感じさせてくれる名曲で、この歌で映画が締めくくれることを本当に嬉しく思っています。■ハナレグミ主人公の良多と一緒に、うつむいたり 空を見上げたりしながら曲を書きました。「なりたい大人になれたかい?」その問いが僕の手の中にも残り、そしてまた一つ 深呼吸。この映画に参加できて、とても光栄に思います。『海よりもまだ深く』は5月21日(土)より新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年02月12日昨年の1、2月に放送され大きな反響を呼んだ「岩井俊二のMOVIEラボ」のシーズン2の放送が決定。進行役の千原ジュニアをはじめ、堤幸彦、是枝裕和、長澤まさみといったゲストが登場する。最新作『リップヴァンウィンクルの花嫁』の公開を控える映画監督の岩井俊二が主宰を務める本番組。シーズン2の今回は、1回の放送ごとにそれぞれ「走る」「闘う」「恋をする」「嘘をつく」のテーマを設け、古今東西の映画から名シーンをセレクト。ゲストとともに、そのシーンがどうように撮影され、監督たちがどんなことを表現しようとしたのかを探求する。第1回及び第2回のゲストには、昨年『天空の蜂』を手がけた映画監督の堤監督とアクション・コーディネーターの諸鍛冶裕太が登場。第3回及び第4回のゲストには、第39回日本アカデミー賞で作品賞ほか最多12部門受賞『海街diary』の是枝監督と、同作で優秀助演女優賞を受賞した長澤さんが登場する。撮影の裏話はもちろん、岩井監督とどのような対話が繰り広げられるのかに期待がかかる。また、会場にはプロの映像クリエイターを目指す若者が聴講生として参加。「1分スマホ映画ロードーショー」として、彼らにスマホを使った1分間のミニ映画を制作してもらい、その優秀作品を講師陣が講評していく。新しい才能に対して、監督たちがどんなコメントするのかが楽しみだ。「岩井俊二のMOVIEラボ」のシーズン2は、2月4日(木)よりEテレにて毎週木曜日23時から全4回放送。(text:cinemacafe.net)
2016年01月22日第70回毎日映画コンクールの各賞が決定し、『海街diary』(15年)に出演した綾瀬はるかと長澤まさみがそれぞれ、女優主演賞と女優助演賞を受賞したことが20日、明らかになった。毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社が主催する同賞は、1946年から続く映画賞で毎年2月に開催。作品部門、俳優部門、スタッフ部門、映画ファンによる投票で日本映画部門と外国語映画部門の2賞を決定する「ファン賞」(これらの部門もしくは賞は、1月1日から12月31日までに国内で14日間以上、有料で劇場公開された映画が対象)、諮問委員会が映画人の功績をたたえる「特別賞」などで表彰される。綾瀬と長澤が受賞に至った『海街diary』は、漫画家・吉田秋生氏による同名コミックを原作に、是枝裕和監督がメガホンを取った作品。神奈川・鎌倉の祖母が残した家を舞台に、"異母妹"を加えた4姉妹のリアルな家族の絆を描いた。綾瀬はその4姉妹の長女でしっかり者の香田幸役を、長澤は自由奔放な次女の佳乃役を、それぞれ演じた。日本映画大賞に選ばれたのは、『ぐるりのこと。』(08年)以来、7年ぶりとなった橋口亮輔監督の長編作『恋人たち』。監督が今撮りたい題材で、新人俳優を起用して自由につくるというオリジナルプロジェクトから生まれたことでも話題を呼んだ。監督賞および男優主演賞を獲得したのは、『野火』で1人6役をこなした塚本晋也。このほか、音楽賞は『母と暮せば』の坂本龍一、特別賞は『羅生門』(50年)などの黒澤明監督作品や『日本沈没』(73年) 、『砂の器』(74年)などの大作を手がけてきた脚本家の橋本忍氏が受賞した。○監督賞、脚本賞○スタッフ部門○アニメーション部門
2016年01月21日俳優の阿部寛(51)が、是枝裕和監督の最新作『海よりもまだ深く』(2016年5月21日公開)で主演を務めることが25日、明らかになった。阿部が是枝監督とタッグを組むのは本作で3度目となる。阿部が演じるのは、小説家を目指すも一向に才能が開花せず、生活費のために探偵事務所に勤める男・良多。バツイチでギャンブル好き、夢ばかり追いかけ続けるダメ中年でありながらも、憎めないキャラクターだ。その母親役は、樹木希林。劇中では、「大器晩成…って時間かかり過ぎですよ」「ミカンの木、花も実もつかないんだけど、あんただと思って毎日水やってんのよ」など歯に衣着せぬ物言いの親子の会話を繰り広げる。良多の前妻・響子を真木よう子が演じるほか、探偵業務の相棒役の池松壮亮、探偵事務所社長役のリリー・フランキー、良多の姉役の小林聡美、樹木の憧れのクラシックの先生役の橋爪功なども出演する。阿部は、良多のキャラクター像を、「ある種とてもダメな男。夢を追い続けているけれど、うまくいかず、嫁や子供から見放されてしまった男」と説明。続けて、「こういう役を演じるのは初めてなので、新鮮で楽しい経験でした」と笑みを浮かべながら、「"いつまでも夢を追いかけている人間"の甘えを演じることで、今までにない、面白い人間味を出せたのではないかと思います」と自信を見せる。それも、「実際、僕も10代の頃などは、夢に打ち破れ、それでも何とかやっていくような毎日の連続でした」と話す通り、阿部自身の経験にも基づいているからだ。これらを踏まえ、「強がっているのに非常に弱い、そんなダメだけど愛おしい良多を、皆さんに見ていただけたらうれしい」とアピールしている。そんな良多の母親役の樹木は、「背が高すぎて苦労した時代が長かった阿部さん、ローマ風呂だけじゃない居場所を見つけたのね」と、過去の阿部の主演作『テルマエ・ロマエ』(12年)を思わせるコメントを寄せた。別れた元妻役の真木は、響子を「将来を見ている女性です。子どもや自分の将来を見据え、それを行動に移せるしっかり者」と表現。「だから、阿部さんが演じた良多のような、夢見がちな男性が寄ってきてしまうし、反対にそういう男性を好きになってしまうのではないかと思います」と指摘する。また、阿部の出演作を多数見てきたと明かし、「ここまで"ダメ男"の役は初めてな気がします。でも、すごくハマっていらっしゃいました(笑)」「役を演じ分けられる能力がとても高くて素晴らしい俳優さん」と称賛した。映画は、2016年5月21日公開。樹木演じる母親が暮らす団地のシーンをはじめ、実際に是枝監督が9歳から28歳までの19年間住んでいたという、東京都清瀬市の旭ヶ丘団地を主な舞台として物語が展開する。(C)2016 フジテレビジョン バンダイビジュアル AOI Pro. ギャガ
2015年12月25日