6月のWOWOW映画は、第71回ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞『偶然と想像』ほか、濱口竜介監督を特集。そのほか、荒井晴彦監督の『花腐し』[R15+指定版]など、俊英監督の新作邦画、さらには劇場版『名探偵コナン』2作、花江夏樹吹き替え主演の中国アニメ、大友克洋の漫画に着想を得た北欧ホラーといった、多彩かつこだわりの詰まったラインアップとなっている。注目は、4月26日(金)より最新作『悪は存在しない』が公開される濱口竜介監督の特集。今回は『偶然と想像』を含む、6作品が集結。いまや世界的な監督として知られる濱口監督が、東京藝術大学の卒業作品として制作した『PASSION』など、貴重な過去作品もある。最新作『悪は存在しない』© 2023 NEOPA / Fictiveそのほかにも6月は俊英監督の邦画が登場。荒井晴彦監督特集では最新作『花腐し』[R15+指定版]をはじめ、『火口のふたり』[R15+指定版]など、荒井氏自身が監督を務めた作品全4本を網羅。梅雨の季節によく合う、しっとりとした大人の人間模様を堪能できる作品。アニメでは、劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』の公開を記念して、第25作『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』と第26作『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』を全編ノーカットで2週連続放送。『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』©2023 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会中国発・獅子舞競技を題材にした3DCGニメーション『雄獅少年/ライオン少年』も見逃せない。日本語吹き替え版の主演は、人気声優・花江夏樹。本国中国では映画満足度ランキング第1位を獲得した大ヒット作。『雄獅少年/ライオン少年』(C)BEIJING SPLENDID CULTURE & ENTERTAINMENT CO.,LTD(C)TIGER PICTURE ENTERTAINMENT LTD. All rights reserved.そして世界各国の秀作を紹介する映画特集「ワールドシネマセレクション」では、今回ノルウェー発のサイキックホラー『イノセンツ』が必見。大友克洋の傑作漫画「童夢」にインスピレーションを受けて作られた本作は、ノルウェーの団地を舞台に、不穏さにあふれた北欧ホラー独特の世界観を描き出す。『イノセンツ』(C)2021 MER FILM,ZENTROPA SWEDEN,SNOWGLOBE,BUFO,LOGICAL PICTURES(C)Mer FilmWOWOW映画 6月の主なラインアップ※黄色マーカーは特集◆6月1日(土)&8日(土)2週連続・『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』 ※放送同時配信のみ・『名探偵コナン 黒鉄の魚影』 ※放送同時配信のみ◆6月1日(土)『雄獅少年/ライオン少年』◆6月4日(火)~6日(水)サスペンス特集:灼熱のフィリピン(3作品) ※放送同時配信のみ・「高級娼婦」・「セカンドチャンス 若返った熟女」・「グッドサマー 肉体解放区」◆6月10日(月)~14日(金)『ジェーンとシャルロット』放送記念!女優シャルロット・ゲンズブール(5作品)・『なまいきシャルロット』・『フェリックスとローラ』・『ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール』・『午前4時にパリの夜は明ける』・『ジェーンとシャルロット』◆6月16日(日)『花腐し[R15+指定版]』 ※放送同時配信のみ【関連特集】『花腐し』放送記念!荒井晴彦監督特集(4作品)6月16日(日)~19日(水)・『火口のふたり』[R15+指定版]・『この国の空』・『身も心も』◆6月23日(日)『偶然と想像』 ※放送同時配信のみ【関連特集】『偶然と想像』放送記念!濱口竜介監督特集(6作品)6月20日(木)~23日(日)・『PASSION』・『親密さ』・『天国はまだ遠い』・『永遠に君を愛す』・『ドライブ・マイ・カー』※『ドライブ・マイ・カー』以外は放送同時配信のみ『偶然と想像』(C)2021 NEOPA / Fictive◆6月25日(火)『イノセンツ』【関連特集】ワールドシネマセレクション(4作品)6月25日(火)~28日(金)・『6月0日 アイヒマンが処刑された日』・『ファースト・カウ』・『サタデー・フィクション』(シネマカフェ編集部)■関連作品:火口のふたり 2019年8月23日より新宿武蔵野館ほかにて公開©2019「火口のふたり」製作委員会偶然と想像 2021年12月17日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開©︎ 2021 NEOPA / fictive名探偵コナン ハロウィンの花嫁 2022年4月15日より全国東宝系にて公開©2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会名探偵コナン 黒鉄の魚影 2023年4月14日より全国東宝系にて公開(C)2023青山剛昌/名探偵コナン製作委員会花腐し 2023年11月10日よりテアトル新宿ほか全国にて公開©2023「花腐し」製作委員会
2024年04月27日映画監督の役割とは何か――?そんな極めて抽象的な質問に、濱口竜介監督は「ある種、自分の生理的な判断によって“OK”と“NG”を振り分けること」と答えてくれた。ヴェネチア、カンヌ、ベルリンの世界三大国際映画祭とアカデミー賞の全てで受賞歴を持ち、いまや新作が発表されるたびに常に世界的な注目を集める存在となった濱口監督だが、彼はどのようにして“映画監督”になったのか? そして、彼はどのように新作を企画し映画として形にするのか?まもなく公開となる『悪は存在しない』は、『ドライブ・マイ・カー』でもタッグを組んだ音楽家の石橋英子のライブパフォーマンスの映像作品として企画がスタートし、制作の過程で当初の作品とは別に1本の長編映画として誕生したという、まさに異色の作品だ。世界を魅了し、驚かせ続ける“濱口映画”の作り方について、じっくりと話を聞いた。映画監督への道「漠然としていました」――濱口監督は、大学で映画サークルに入る以前は、映画をむさぼり観るようなタイプではなかったとうかがいました。それ以前は、どういったカルチャーに触れられていたのでしょうか? また、映画に深くハマるようになったきっかけは何だったんでしょうか?テレビドラマにゲーム、漫画、J-POP…当時の日本のどこにでもあったサブカルはごく普通に触れて楽しんでいましたが、夢中になっていたとは言えないですね。引っ越しばっかりしていたもので、その土地に根ざした遊びはしてなくて、それしかなかったというのが実際だと思います。ただ、映画館に行くのは昔から好きでした。小学生の頃『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観て、中学生で『ターミネーター2』を観て面白いと思って、高校生くらいになるとミニシアター系やアート系の映画も観るようになって、自分のことを「映画好きなんじゃないか」と思って、大学で映画サークルに入るんです。そこで、自分なんて実は全然観てなかったんだって気づいた感じです。映画自体は好きだったけど、全然足りていなかった…と。――「自分で映画作りたい」という思いで映画サークルに入られたんですか?そうですね。僕は一年浪人して大学に入ったので、浪人期間中は、なかなか映画館にも行けず、すごくつらさもありました。なので、大学に入ったらやりたいことをやろうって思いが強まって、そのひとつが映画でした。とはいえ、いま思うと、映画をどう作るのかということについて、何も知らなかったですね。――その後、大学生活を送りつつ、仕事として“映画業界”を志すようになったのは?大学3年くらいになると就職活動が始まるんですけど、何を大学でやってきたかと振り返るわけです。大学で大して勉強したわけでもないんですけど、何かしら、大学でやってきたことを就職で活かしたいなと思うんです。学科も映画で卒論を書けるところを選んだし(※大学では文学部 美学芸術学専修課程を専攻)、考えたら映画のことしかやってこなかったので、就活でも映像関係の会社ばかりを受けていました。でも、時代が就職氷河期だったからなのか? 私のコミュニケーション能力に問題があったのか…(苦笑)? 映像関係の会社も軒並み落ちまして…。「どうしようか?」と思っていた時、助監督の仕事を紹介していただけたんですね。――その後、しばらくして、東京藝術大学大学院の修士課程に入り直されていますが、そこに至る経緯は?商業映画の現場で助監督の仕事を始めたんですけど、何も知らないまま入ったわけです。助監督としてどう動くかなど全くわかってない状態で、しかも、そんなにコミュニケーション能力も高くなくて、ちゃんと人から教えてもらえないまま、目の前で現場が動き始めているという状況で…。商業映画1本と2時間ドラマの助監督をやったんですけど、端的に言って仕事ができなかったんですね(苦笑)。その時の監督の知り合いの映像制作会社を紹介していただいて「修行してきなさい」となって、そこでそれなりに楽しいと思いながら働きつつ、その会社が作っているのはBSテレビの経済番組などでしたので「楽しい」がちょっと違うわけですね。「自分は映画がやりたかったはずなんだけどな…」と。そうしたら、芸大の映像研究科が映画監督になるコースを開講することになって、2005年に第一期生を募集していて、しかも教授は北野武監督と黒沢清監督だと。そりゃすごい! 自分のこれまでの趣味と照らし合わせても「ここしかないかもしれない」と思って受けました。一年目は落ちて、二度目で翌年の2006年に受かりました。流れ流れてという感じでしたね。濱口竜介監督――当時から「将来、映画監督になる」といことは意識されていたんでしょうか?本当に五里霧中というか「なんも見えねぇ…」って感じでしたね。あの当時、いや、いまも若い人にとってそうかもしれませんが「監督にどうやったらなれるのか?」というのが全然わかんなくて、聞いたところでは「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」で入賞するとプロデューサーにピックアップされるらしいとか、助監督を続けて階段を昇っていくと、30代後半から40代手前くらいで監督の口があるんじゃないか?とか…漠然としていました。ただ自分に助監督の能力がないことは明瞭にわかったので、その線は消えたわけです。PFFに出したりもしたんですが、全部落ちたり。とは言え、そんなに悪いものは撮っていないはずだという思いもあったので、自主映画で撮っていこうと。「職業にする」というよりは、まずは自主映画・学生映画という形で作品をつくらないと、次の段階に進めなさそうだなって感覚でした。それで藝大大学院も受験するわけなんですけど、「職業として映画監督になれるか」というのはどこまでもわかんなかったですね。――その後、自主映画で短編、長編を含めて様々な作品を手掛け、『寝ても覚めても』では商業監督映画デビューを果たしましたが、自分が「映画監督である」と実感がわいたのはいつ頃ですか?これもすごく難しくてですね…、ある意味、意識の中では自分はずっと「監督」ではあるんですよね。その意識は学生時代からあるんですけど、ただそれが「職業」になったのは、本当に最近ですね。それで食べていけるようになったのが本当にごく最近なので。“商業映画”の意識「せめぎあいの中で作品ができていく」――『寝ても覚めても』以前に『ハッピーアワー』が国際的にも非常に高い評価を受けました。ただ、あの時点で無名の若手監督が5時間を超える映画を作り、劇場公開されるというのはすごいことだと思います。企画を通すということや、プロデューサー的な視点でどうやったら多くの人に劇場で映画を観てもらえるか?といった部分は、意識されていたんでしょうか?その意識が全くなかったわけではないですが『ハッピーアワー』に関して言えば、コントロールが全く効いてなかったというのが実際のところですね(苦笑)。クレジットとしても自分はプロデューサーではないですし。『ハッピーアワー』やその後の『偶然と想像』、今回の『悪は存在しない』でもプロデューサーに入ってもらっている高田聡さんという方がいて、(高田プロデューサーが所属する)「NEOPA」という会社は、実はIT企業なんですけど、高田さんは映画サークル及び学科の先輩なんです。その会社の取締役である高田さんの裁量の範囲で、NEOPAから出資していただけることになりました。『ハッピーアワー』最終的に「すいません、5時間になっちゃいました」という感じだったんですが、それでもOKをいただけて、これはプロデューサーである高田さんの度量の広さというのがまずありますね。『ハッピーアワー』は製作に2年くらいをかけていて、僕にとってもスタッフにとっても人生の一部のような存在になるわけですよね。“お祭り”というよりは、生活の一部みたいな感じですね。有名な人も出ていないですし、『ハッピーアワー』の時は、お客さんというよりは、一緒に仕事をした人たちのために最良の形で完成させるというモチベーションが強くて、その結果、あの長さになって、それを受け入れていただいたという感じです。その意味で、プロデューサー的な才覚は自分にはあまりないと思いますね。――『ドライブ・マイ・カー』のような作品の製作プロセスでも、商業的な部分を意識することはないのでしょうか?特に、いわゆる商業映画の枠組みでやるときはプロデューサーという立場の人たちがいて、C&Iエンタテインメントにいた山本晃久さん、その上司の久保田修さん、ビターズ・エンドの定井勇二さんが主にクリエイティヴ面でも関わってくださっているんですけど、その方たちの意見はきちんと聞いて参考にしています。まず、多大な経済的リスクを負っているのはその方たちなので、その人たちの「これでよいか悪いか?」というジャッジは受け入れるんですけど、そこで「自分が面白いと思うことかどうか」という部分はきちんと出すようにしています。ただ、山本さん、久保田さん、定井さんは『寝ても覚めても』の頃から、それぞれの立場から、かなり自分のやりたいことを尊重してくださったので、自分も含めたそれぞれの立場の意見の、そのバランスの中でできていくというか。自分もプロデューサーのジャッジへの信頼があるので、そのせめぎあいの中で作品ができていくという感じですね。『ドライブ・マイ・カー』――本作『悪は存在しない』は、石橋さんからライブパフォーマンス用の映像の依頼を受けて企画がスタートし、そこからさらに枝分かれして長編映画になったという異色の作品ですが、この作品に関しても、クリエイターとしての「これは映画になる」という手応えと、プロデューサー的な目線で「これは(商業)映画になる」という感覚が重なるような瞬間は?それはどこまでもなかったですね。今回、また高田さんにプロデューサーをお願いしていますが、製作中の高田さんの名言で「まあ、できてから考えようか」というのがありまして(笑)。完成してどんな作品なのかわかって、それから考えればいいんじゃないかと。まあ経済的なリスクが自分たちの耐えられる範囲内であるならば、明らかにそれが最良の選択肢なので、じゃあそうしようかとなった感じです。実際、それがこうやって劇場公開までされることになって、本当に運がよかったなって思いますし、高田さんのそのスタンスには心から感謝していますね。――濱口監督にとって、映画づくりのプロセスにおける「映画監督」の役割・仕事はどういうものだと思いますか?ある種のビジョンを提示したり、作品の全体の方向性を示すことが求められる部分もありますが、基本的には撮影の1テイク、1テイクであったり、編集の一工程、一工程に対し「OK」か「NG」かを判断する仕事ですね。単純に「OK」か「NG」かを示すだけでは暴力的なので、必要なら言語化も説明もしますけど、究極的には、個人の生理的な判断で「OK」と「NG」を振り分けていくのが仕事のような気がしますその基準をきちんと守り通せたら、映画になるだろう、という思いでやっています。――繰り返しの質問になりますが、企画を「成り立たせる」という部分や「いかにこの企画を通すか?」という部分に関して、意識されたことはないんでしょうか?これは本当に、僕がプロデューサーに恵まれているんだと思いますが、そういう経験がないんですよね。プロデューサーが「こういうことなら商業映画として劇場に掛けられる」と判断して、商業映画の枠に入れてくれたり、高田さんのように、僕のジャッジを信頼してくださって、とりあえず完成させて、その後のことは、できたものを見て考えればいいと考えてくださる――。もちろん「お金にならなくてもいい」と思っているわけではないでしょうが、そこは自分に対する信頼感をもって「この枠組みの中でやるなら、何をしてもいいですよ」とやらせてくださる方がいるので、「この企画をどうしなきゃいけない」ということは考えず、どちらかというと、その時に自分の中にある課題意識――「現場のここをもうちょっと改善したい」「演出のここをもうちょっとうまくなりたいな」みたいなことに取り組める企画を立てることが多いですね。インプット、キャラクター、ラスト…濱口映画ができるまで――ここから、具体的な作品づくりのプロセスについてもお聞きしていきます。今回の物語はオリジナル脚本ですが、石橋さんの知り合いから実際に起きた問題について話を聞き、それらをベースに物語を構築していったそうですね。物語の組み立てやキャラクターの膨らませ方はどのように行なっていくのでしょうか?脚本に関しては本当に難しくて、いまだに「これが正解」というものがないんですよね。「こうしたら面白い本が書ける」という方式は良くも悪くも確立していなくて、その都度、企画に合わせて七転八倒的な感じで、のたうち回るようにしてできていきます。今回は、まずリサーチをしてみようということで、でも、どこから手を付けていいかわからず、とりあえず、石橋さんの音楽ができる場所の近くでリサーチをすれば、石橋さんの音楽に合うものが何かできるんじゃないか? というくらいのところから、藁をもつかむような思いでリサーチを進めていったら、だんだんと「こういうものが撮れるな」とか「こういうことがあるのか」というのが積み重なっていき、ある時、スーッと筋が通ったということしか言えないんですよね。ある瞬間に突然、組み上がっていくというのは、今回もそうだし『ドライブ・マイ・カー』もそうでした。原作を何度も繰り返し読む中で、ある時、組み上がったという感覚でした。そのために必要なのはインプットをするということですね。インプットが十分にされていれば自然とアウトプットされるんだろうと思います。『悪は存在しない』――今回でいうとインプットにあたるのは…?今回の場合はリサーチそのものがインプットでしたね。使われなかった要素もいっぱいあるんですけど、土地を回って教えていただいた「あの木が〇〇で…」「水はこっから湧いていて…」といった話やその土地の歴史や何かの話のひとつひとつがそうですね。『ドライブ・マイ・カー』では原作そのものもそうだし、「ワーニャ伯父さん」の存在もインプットになったと思います。『偶然と想像」では、喫茶店で隣のテーブルで話されていた会話がインプットになったことがありました。あとは普段の日常の暮らしの細かい感情がインプットになる――「いま、自分の中でザワっとしたこの感覚を覚えておこう」ということもありますね。――キャラクターの膨らませ方に関して、例えば今回の物語で巧(大美賀均)や娘の花(西川玲)を中心に進むかと思いきや、中盤以降で思いもよらない人物が重要な存在になっていきますが、これはどのように…?これは面白くしようと思ったらそうなったって感じですね。単純な映画の好みの話なんですけど、僕自身が不意打ちを食らうのが好きなんですね。「まさかそんなことになるなんて!」というのがすごく好きで、そのパターンのひとつとして「お前、そんな重要なキャラだったのか?」というのがありまして(笑)、急にガツンと来るみたいなのが、映画を見る側の体験としても好きで、自分が作るときもそういうことを起こそうとするんですよね。先ほどのインプットで言うと、映画を観ている時の自分の身体に起こる状態の変化も、ひとつの大きなインプットとしてありますね。『悪は存在しない』――ラストシーンの意図や重要性についてもお聞きします。『ドライブ・マイ・カー』では、ラストで描かれているあの状況はどういうことなのか? という“論争”が起きましたが、そうやってラストシーンの描き方で観る者の心をざわつかせようというのはかなり意図的にされているんでしょうか?それはメチャメチャあると思いますね。映画を観た人は、ラストシーンの印象を引きずって映画館を出るということになるので、ラストシーンというのはかなり大事だと思っています。これも個人的な映画の趣味なんですけど「え? これはどう感じたらいいんですか…?」という気持ちで映画館を出るのが好き、というかかけがえのないことだと思うんですよね。数日途方に暮れますが、気がついてみれば、それが最も残る体験になっている。長く映画ファンでいますが、それが結局最高なのでは、と思っているので、観客にもそういうものを提供したいです。とはいえ、あまりにもわからないと「え? これはどう感じたらいいの?」と感じる“土台”そのものがなくなってしまうので、ある程度の土台を構築した上で、どこかでズレというか、ある種の不条理が入ってくることで「いや、こういうふうに思ってたのに、何なんですか、これは?」というものができるのが大事だなと思います。ただそれもあまりやり過ぎると、観客との関係性が切れてしまうので、その塩梅は常に難しいですけど、観客の体験のためにやるのが大事なことだと思いながらやっています。――今回のラストの衝撃に関しては『ドライブ・マイ・カー』以上だと思いますが、監督の中で様々な構築があった上で、あのラストを選ばれたということですか?ああいうのを明確に言語化してやっているかというと、必ずしもそうではないと思います。ただ結局「こうあるべきだ」という基準が言語化されずとも自分の中にあるわけです。ずっと物語を書いてきて「これがこの物語のラストになるんだ」という納得感――自分の中で腑に落ちた感じで書けることがすごく大事で、そういう身体レベルの納得感があると、やはりそれを演じる人にも伝えることができる気がします。そうすると、今度は演じる人も「これはこういうものなのだ」と確信をもって演技をしてくれて、その確信に満ちた演技を見ると「やはりこういうことなのかな」と観客もまた納得ができるのでは……と思っています。(そのラストが)起きたこととして、そこから「じゃあ、なんでそういうことになったのか考えよう」という、書いているときの感覚は、観客の視点とすごく近いと思いますね。――最後に映画業界で働くことを志している人に向けて、メッセージをお願いします。大事なことは二つで、まず「イヤなことは無理にやらない」ということですね。いまの若い人の感覚で「なんかこの映画の現場、おかしいんじゃないか?」、「こういう働かせられ方は変じゃないか?」と感じたら、その感覚は正しいです。そんなところにいる必要はありません。その感覚を大事にして成長してほしいし「何かがおかしい」と思うことに無理に自分を合わせないことはとても大事だと思います。とはいえ、イヤなことから遠ざかるだけでは成長できないのは確かなので、何かしら勉強を続けることが大事だと思います。現場から離れた時期も自分がやっていたことは、「映画を観る」ってことですね。現場の経験があると、「これはこう撮っているのかな」とか「こう撮れるのはすごいことだ」という感覚もより繊細なものになっていきます。映画館に行くのがベストですが、最近では配信サービスも充実して、低コストでたくさんの作品を観ることができる。これはやっぱりすごいことです。現場に行くと、やっぱり映画を観るって大事なことだなというのはスタッフやキャストとのコミュニケーションでもすごく感じます。「勉強する」というと堅苦しいですが、でも勉強して自分の感覚が変わっていくのを感じるって楽しいことなんですよ。そういう楽しみを自分から手離さなければ、イヤなことを拒みながらでも意外と生きていけると思います。保証はできませんが(笑)、自分の人生を振り返るとそういうことなんじゃないかと思います。(photo / text:Naoki Kurozu)■関連作品:悪は存在しない 2024年4月26日よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、K2ほか全国にて公開© 2023 NEOPA / Fictive
2024年04月26日映画『悪は存在しない』の公開を記念して、シモキタ‐エキマエ‐シネマ「K2」では4月19日(金)より濱口竜介監督特集を実施する。2022年にオープンした、シモキタエキウエ直結のミニシアター、シモキタ‐エキマエ‐シネマ「K2」。今回の特集上映では、来るべき長編映画『FLOODS』のパイロット版でもある『不気味なものの肌に触れる』、奇妙な共同生活を送る、AVのモザイク付けを生業とする雄三と女子高生の三月を描く、クラウドファンディングのリターンとして企画された短編『天国はまだ遠い』。『PASSION(英語字幕あり)』、『何食わぬ顔(long ver.)』、『なみのおと(英語字幕)』、『なみのこえ 気仙沼(英語字幕)』、『なみのこえ 新地町(英語字幕)』、『うたうひと(英語字幕)』がラインアップ。1日1作品、1週間の特集上映となっている。なお、『悪は存在しない』公開初日には、『ハッピーアワー』のオールナイト上映も実施される。『悪は存在しない』は4月26日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シモキタ‐エキマエ‐シネマ「K2」ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:ハッピーアワー 2015年12月12日よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて公開© 2015 神戸ワークショップシネマプロジェクト何食わぬ顔PASSION悪は存在しない 2024年4月26日よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、K2ほか全国にて公開© 2023 NEOPA / Fictive
2024年04月14日タレントの南明奈(34)が9日、自身のインスタグラムを更新。夫でお笑いコンビ・よゐこの濱口優(52)と長男との“家族3ショット”を公開した。南は「時差投稿 昨年7月のお話です」と紹介し、3枚の写真をアップ。「すみだ水族館に行ってきました 息子くん、初めての水族館 ふわふわ漂うくらげが特にお気に入りでした」と振り返り、水族館を楽しむ家族ショットを披露した。この投稿に「1枚目の写真が凄く癒される」「2枚目の息子さんのお口がかわゆいです」「息子くん大きくなりましたね」「パパに似てる」「ママ似ですか?」などのコメントが寄せられている。南と濱口は2018年に結婚し、22年7月に第1子となる男児の誕生を発表した。
2024年04月10日芸能界きっての『おしどり夫婦』として知られる、タレントの南明奈さんと、お笑いコンビ『よゐこ』の濱口優さん。2022年7月には、第1子の男児が誕生し、子育てに励んでいます。2人の並んだ笑顔が…2024年2月27日、南さんがInstagramで公開した、濱口さんとのツーショット写真が話題を集めました。写真がこちら!※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 この投稿をInstagramで見る 南明奈(@akinaminami)がシェアした投稿 最近『似てるね』と言われる事がさらに増えた気がするakinaminamiーより引用南さん自身も「似ている」と自覚する、2人の笑顔。目元や口角の上がり方などが、ツーショットで見比べると、確かに似ていますよね。ネット上でも「そっくり」「兄妹ぐらい似てます」「夫婦って似てくるんですね」など、南さんのコメントに、共感する声が多く上がっています。夫の濱口さんも、南さんとの写真を、同年1月17日に、Instagramで公開しました。 この投稿をInstagramで見る 濱口優(@hamaguchi_masaru)がシェアした投稿 濱口さんのコメントによると、写真は、2023年12月に宝島社から発売されたブランドブック『DOD USAGI YEAR ANNIVERSARY BOOK』の撮影中に撮ったものだそうです。リラックスした笑顔で写る2人からは、言葉にせずとも仲のよさが伝わってきます。これからも、息子さんと3人で、幸せな夫婦生活を過ごしていってほしいですね![文・構成/grape編集部]
2024年02月29日濱口竜介監督最新作『悪は存在しない』よりポスタービジュアルが解禁された。第80回ヴェネチア国際映画祭・銀獅子賞(審査員グランプリ)を受賞したことで、カンヌ映画祭、ベルリン映画祭のいわゆる3大映画祭のグランドスラムを果たし、アカデミー賞を入れると黒澤明以来の快挙を成し遂げた濱口竜介監督。3年弱の短期間での活躍に世界で最も注目される監督の一人となった監督の『ドライブ・マイ・カー』以降の長編映画最新作品である本作は現在、世界中の映画祭、映画館で上映され、世界の映画業界を席巻し続けている。この度解禁されたのは、親娘の穏やかな生活を描いたイラストを採用したポスタービジュアル。 監督の前作『偶然と想像』のビジュアルと同じく、イタリア版ビジュアルのイラストが使用され、ごく緩やかに発展してきた長野県・水挽町(みずびきちょう)で自然に囲まれ慎ましく暮らす巧とその娘・花のふたりの穏やかな生活が描かれている。『悪は存在しない』は4月26日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シモキターエキマエーシネマK2ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:悪は存在しない 2024年4月26日よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、K2ほか全国にて公開© 2023 NEOPA / Fictive
2024年01月25日12月11日(月) 映画『正欲』の大ヒットを記念してトークイベントが実施され、稲垣吾郎、岸善幸監督が登壇。公開した後だからこそ話せる撮影現場の裏話や、稲垣が映画ライターさながらに監督に撮影手法について切り込むなど2人の信頼関係が垣間見えるクロストークが展開された。朝井リョウによる発行部数50万部突破のベストセラーを、豪華キャストで映画化した本作。11月10日(金) より公開がスタートし、公開から1カ月経ち観客動員数は20万人を突破。今でも「まさに観る前の自分には戻れないというコピー通りだった」「俳優陣の凄まじいほどの生きる葛藤の表現が素晴らしい!」「人間の心の奥底にあるものを炙り出す映画」などキャスト陣の繊細な演技や重厚なストーリーを称賛する声が絶え間なく上がっている。早速本作の反響の大きさについて問われると稲垣は「嬉しいですね。俳優もスタッフの方も覚悟が必要な、忘れられない撮影期間だったと思うので、こうやって皆さんに届いて反響を頂けるのはとても嬉しく思っています。観て頂くと新たに映画の命に灯がともる、これからもっと皆さんの力で広めて頂けたらと」と反響の嬉しさを語った。岸監督は上映された台湾や香港などにも渡航して、反響の大きさを実感しており、「香港や台湾でも反響の良さを実感しました。上映後のQ&Aなどでも沢山の質問を頂いて嬉しかったですね」と国境を越えて本作が受け入れられていることの驚きと喜びを語った。稲垣も「僕たちが伝えようとしている人間の生き方がストレートに伝わったのでは」と海外で受け入れられたことをしみじみ。普段から連載などで映画を紹介している稲垣。改めてこの作品の優れた点を問われると「監督の前で……」と少し照れながらも、「観る人の視点が価値観によって異なる作品。色んな感じ方や感想があると思いますが、何か気づきのきっかけになる映画を監督に作って頂いたので、皆で話し合えるこの時間が幸せですよね」と的確かつ観客の視点に立って作品を分析した。稲垣吾郎価値観が揺れ動く人物を演じるのは難しかったのではという問いに対して稲垣は「映画は順番に撮影していくことはなかなかできないんですよね。なので、啓喜の中の心の変化のグラデーションを監督とさじ加減を話し合いながら作り上げました。あとは監督が寄り添って導いてくださった」と答え、現場で監督と二人三脚で啓喜という人物を作ったことを語った。現場での監督について、いつもニコニコしていたと稲垣がほっこりした暴露をすると、「普段は俳優にほぼ任せることが多いが、今回は難しい題材なので現場を和やかにする雰囲気づくりは意識しました。皆さん撮影が始まるとふっと役に入られるので、それまで雑談などをしていましたね」と監督ならではの現場の雰囲気づくりの“コツ”を披露。稲垣は「父親の気持ちとかをアドバイスしてもらいました。撮影の内容的にもシリアスで緊張感があった分、監督がニコニコしていることで、みんなその空気に助けられていたと思います」と稲垣が監督への感謝の言葉を述べた。啓喜役を演じた稲垣は監督たっての希望でキャスティングされた。稲垣の演技について監督は「稲垣さんがこの映画に出て頂けるというところで90%イメージできました。そこで僕が10%分一言何か言うことでこれまでの稲垣さんではないくらいパワーを発揮してもらえるのではと思った」と話すと稲垣は「カメラが回る前に僕のところに来て耳元でボソボソって一言伝えてくれる。その一言がとても響くんですよね」と納得の様子。「ね、そうだよね」とポスターパネルの新垣結衣と磯村勇斗にマイクを向けて話しかけて、観客の笑いを誘う場面も。その一言について問われると岸は、現場に稲垣が差し入れをしてくれたものの感想を伝えていたと言う。「最初からシリアスな話をするのではなく、砕けた話をまずしてから、伝えたいことを伝える」という監督ならではのコミュニケーション術を話した。岸善幸監督「初日が大事なんだと思っています。稲垣さんと距離を縮めることは作品にとってとても重要だと思っていて、私も緊張していましたが、稲垣さんの懐が深く何でも受け入れてくれた」と稲垣への想いを語ると、稲垣も「最初の打ち合わせをしたときに作品について熱く語って頂いた。そこで監督の想いを受け取ることができたことで、現場に入ってからも多くを語らず、やりやすい環境を作ってくれました」と応え、撮影に入る前から監督との信頼関係が出来上がっていたことを振り返った。本作では編集も務めた岸監督。編集の際に感じたことを問われると「基本的に演技プランは役者陣に任せるものの、演技の演出をいれる時も少しあります。ただ、結局最終的に編集で使うのは、役者の演技プランに任せた最初の方のテイクなんです」と語る。対して稲垣は岸組の撮影について「岸監督は現場で様々な角度から撮影されていましたね。だから役者側としては、どの角度からの映像が使われるのかわからないんです。だからこそ自分が意図していない表情がカメラに撮られていて、今までに見たことのない自分がスクリーンで見れました」と感慨深げに感想を語った。しかし、「公開後の今だから思い切って聞いちゃおうかな……」と前置きした上で「ラストシーンの絵コンテが見えちゃって、僕の表情のアップで終わる予定だったと思うんですけど、完成した映画を観てそのカットは本編には使わなかったんだ、と思いました(笑)」と本音をポロリと明かす。すかさず「使わなくてすみませんでした(笑)」と頭を下げる岸監督の姿に会場は笑いに包まれる。続けて岸監督が「シーンをカットするのは本当に心苦しいことです」と語ると、稲垣は「監督のその選択がまた良いんですよね。それぞれのキャラクターがしっかり描かれた作品に仕上がったと思う」とフォローした。まだまだ話し足りない二人であったが、最後に観客への言葉を述べる段で、岸監督は「『5人のそれぞれの悩みが全部自分の中にある』という感想が印象に残っていて。色んな局面で皆さんがそれぞれのシーンで共感していただけたのかなと思う。映画って育っていくんだなあと思わせて頂きました。ありがとうございました」と感謝の言葉を述べ、稲垣は「公開されて暫く時間が経ってからもこのように皆さんの前で監督とトークすることができて嬉しいです。皆さんの大切な映画の仲間入りにしてくれたら嬉しいです。そしてまだ観ていない方に一人でも多くにこの映画を届けていきたいので、ぜひ皆さんSNSや友達に感想を伝えて広めてくれたらと思います」と観客へのフェイバリットムービーとなることを願いながら熱冷めやらぬ会場のままトークイベントは幕を閉じた。<作品情報>映画『正欲』公開中(C)2021 朝井リョウ/新潮社(C)2023「正欲」製作委員会関連リンク公式サイト:
2023年12月12日スペインの名匠ビクトル・エリセ監督の31年ぶりの最新作『瞳をとじて』から、叙情的な余韻を残す予告編が解禁。監督を敬愛する濱口竜介、岩井俊二、細田守ら映画監督や著名人のコメントも到着した。1985年、伝説のミニシアター“シネ・ヴィヴァン・六本木”で公開されると記録的な動員を打ち立て、いまもなおタイムレスな名作として多くの映画ファンの「人生ベスト」に選ばれる『ミツバチのささやき』のビクトル・エリセ監督が、第76回カンヌ国際映画祭で31年ぶりの長編新作としてカンヌプレミア部門にて発表した本作。長らくの不在を経て語られるのは、元・映画監督と謎の失踪を遂げたかつての人気俳優、ふたりの記憶をめぐる【人生】と【映画】の物語。この度、その予告が完成。映画監督を引退した主人公ミゲルは、22年前、映画の撮影中に突然姿を消した俳優で親友のフリオの失踪事件の真相を辿り、旅に出る。ミゲルの人生を大きく変えてしまった出来事の記憶を遡る中で、彼が見つけ出した答えとは――。【人生】と【記憶】をヒントに、エリセが長年見つめ続けてきた変わりゆく時代と人々の営み、そして【映画】への想いが詩情豊かに綴られたヒューマンミステリー。映像では、『ミツバチのささやき』から50年の時を経て再び“アナ”の名を持つ、フリオのひとり娘を演じたアナ・トレントの姿もとらえている。また、予告編にはひと足先に本作を鑑賞した著名人のコメントも到着。日本のミニシアターブームを牽引したビクトル・エリセの作品には多くの映画人が影響を受けたとを公言していることでも知られているが、予告でも細田守、岩井俊二、濱口竜介と日本を代表する映画・アニメーション映画監督たちがコメントを寄せる。さらに、映画監督の三宅唱、岨手由貴子、スタジオジブリの鈴木敏夫、作家の池澤夏樹、ゲームクリエイターの小島秀夫、さらには『ミツバチのささやき』を日本で初上映し、1館のみの上映で約5万人の観客を動員した“シネ・ヴィヴァン・六本木”の元支配人・塚田誠一氏など、映画を心から愛する人々からエリセの帰還に歓喜し、最新作を絶賛している。『瞳をとじて』は2024年2月9日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:瞳をとじて 2023年2月9日よりTOHO シネマズ シャンテほか全国順次公開© 2023 La Mirada del Adiós A.I.E, Tandem Films S.L., Nautilus Films S.L., Pecado Films S.L., Pampa Films S.A.
2023年12月08日2023年11月下旬、お笑いコンビ『よゐこ』の濱口優さんがInstagramを更新しました。濱口さんの妻は、『アッキーナ』の愛称で知られる、タレントの南明奈さん。2022年7月に第1子の男児を出産し、濱口さん夫婦は子育てに励んでいます。今回、濱口さんと南さんは、1歳の我が子にある初体験をさせたのだとか。それは…記念すべき『東京ディズニーリゾートデビュー』でした!濱口優&南明奈、1歳息子の『東京ディズニーリゾートデビュー』千葉県浦安市にある、日本を代表する巨大テーマパークの『東京ディズニーリゾート』。『東京ディズニーランド』と『東京ディズニーシー』があり、ディズニー作品の世界を再現したアトラクションや建造物は、来場者を夢の世界にいざなってくれます。きっと、幼い我が子を少しずつ人混みや長時間の移動に慣らす目的も兼ねて、楽しい気持ちになれる『東京ディズニーシーデビュー』をさせることにしたのでしょう。Instagramに投稿された写真には、我が子を大切に抱く、濱口さんの姿が写っています。※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 この投稿をInstagramで見る 濱口優(@hamaguchi_masaru)がシェアした投稿 この投稿をInstagramで見る 濱口優(@hamaguchi_masaru)がシェアした投稿 大好きな両親に抱きかかえられ、『東京ディズニーシー』内を満喫した、息子さん。顔は写っていませんが、後ろ姿からは『夢の国』を楽しんでいることが伝わってきますね。南さんのInstagramによると、パーク内での移動はベビーカーを活用したのだとか。列に並ぶ時は、ほかの人に配慮するためか、抱っこをするようにしていたそうです。息子さんは、『トイ・ストーリー・マニア!』の入り口を見て、一番喜んでいた模様。その喜びは、写真からもよく分かるでしょう!濱口さん一家のほほ笑ましい外出風景に、多くの人が笑顔になりました。・濱口さんが『パパ』をやっている…!朝から心が温まりました。・写真から幸せと家族愛があふれ出ていて、つられて笑顔になっちゃった。・息子さん、大きくなりましたね!楽しんでいるのが伝わって来るよー!幼い頃の思い出は、印象的な出来事ほど、歳を重ねても記憶に残るもの。きっと息子さんの記憶の中で、この日の『デビュー』は輝き続けることでしょう![文・構成/grape編集部]
2023年11月30日『ドライブ・マイ・カー』で第74回カンヌ国際映画祭3冠、第94回米アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督による最新作『悪は存在しない』の凱旋JAPANプレミアがメインロケ地・広島で行われ、2024年4月26日(金)より日本公開されることが発表された。今年、第80回ヴェネチア国際映画祭・銀獅子賞(審査員グランプリ)を受賞したことで、カンヌ映画祭、ベルリン映画祭の3大映画祭のグランドスラムを果たし、アカデミー賞を含めると黒澤明監督以来の快挙を成し遂げた濱口竜介。本作は、3年弱の短期間での活躍に世界で最も注目される監督の1人となった濱口監督の『ドライブ・マイ・カー』以降の長編映画最新作品であり、現在、世界中の映画祭、映画館で上映されている話題作。ジャパンプレミアは広島国際映画祭2023にて開催された。国内で初の上映となり、満席となった会場には上映後の盛大な拍手の中、レッドカーペットを歩きながら、濱口監督、企画・音楽の石橋英子、出演の大美賀均、西川玲、小坂竜士、渋谷采郁らが舞台挨拶トークショーに登壇しティーチインを含んだ1時間のトークを行った。国内初のジャパンプレミアを終えた感想を聞かれると、濱口監督は「広島では自分の初期の作品から上映していただき、また『ドライブ・マイ・カー』のメインロケ地として石橋さんと出会い、素晴らしい仕事ができて、その続きとして『悪は存在しない』のジャパン・プレミアでまた広島に来られて本当に心から嬉しく思います」と応じる。企画・音楽担当の石橋さんは「『ドライブ・マイ・カー』の時は広島に来ることができなかったのでようやく来ることができたという気持ちでして、こうして広島の地で皆さんと作品を共有できて嬉しいです」と喜びを伝えた。キャストの大美賀さんは「いろんな映画祭を巡って映画を紹介していただく経験は初めてで、このような作品に関われて嬉しいです」と語り、大美賀と親子役を演じた西川さんは「こうやってマイクを持って大勢の前でお話することも初めてで、お弁当を食べたりしてすごく楽しいです」と元気いっぱいに回答。続いて小坂さんは「自分も広島で『ドライブ・マイ・カー』でスタッフとして参加していたので大変嬉しいです」と、渋谷さんは「初めて広島に来たのですがこんなに広い会場で大きな拍手で迎えていただいて、あたたかい雰囲気ですごく嬉しいです」と、それぞれに語った。『悪は存在しない』が生まれるきっかけを作った石橋さんは「海外のプロモーターの方から、映像と一緒にライブをやらないか?と言われた時、あまりピンとは来なかったんですが、映像と音楽がそれ自体面白くて独立したものが作れれば、ライブでも毎回演奏の計画とかを色々変えていくことができて飽きずに演奏していけるんじゃないかと思って、人柄もチャーミングで作品も大好きな濱口さんにお願いしました」とコメント。濱口監督は「お話をいただいて、初めは『どうしよう!』と思いました」と言いながらも、「ライブでの映像は結構抽象的な映像のイメージがあったので。その後石橋さんから『濱口さんのいつものやり方で』とおっしゃっていただき、そこから普通に脚本を書いて劇映画を作る、そうすれば自由に使える映像素材が得られると思い、『GIFT』というライブパフォーマンス用映像が完成しました」と話す。そして「ただ自分自身が役者さんのセリフの声を聞いてしまうと感動するところもあったので石橋さんに確認を取ってもう1本、『悪は存在しない』を作ることになりました」とふり返えると、「すごく嬉しかったですね。それこそ<GIFT>でした」と石橋さんも応じた。さらに、濱口監督は、「そしてもう一つ入り組んでいることを説明しますと、主演の大美賀さんは、元々スタッフとしてシナハン(脚本を執筆する際のロケハン)時の運転手をやってもらってたところ、そのうち『あら!いいじゃない!』という気持ちになりまして(オファーしました)」と言い、場内の笑いを誘った。大美賀さんは「こんなふうに映画祭を回るなんて全く想定していなかったんですが、濱口監督の元でそういう経験をするのはすごく大事だなと思って受けました」と答え、その返答を受けて濱口監督は「大美賀さんは来月に監督作が控えてますんで」とフォローした(大美賀均監督作品『義父養父』は12月15日より下北沢のK2にて公開)。撮影や映画本編で印象に残っていることに話が及ぶと、小坂さんは、映画の中の説明会のシーンをあげ、そのシーンを演じて以来、「テレビなどの記者会見で叩かれてる人を見ると、気になるようになった」と答え、同じく渋谷さんも説明会のシーンでの他の役者の切迫した演技や声のトーンなどを感心しながら、「幸せな時間を過ごせた」と明かした。また、濱口監督は小坂さんについて、『ドライブ・マイ・カー』の車両部スタッフをやっていた時からチェーホフが好きなドライバーと認識しており、印象に残っていたという。そんな小坂さんは、『悪は存在しない』に出演が決まり当初はサイレント映画だと知らされていたが、届いた台本で自身のパートで6ページもあったことに驚いたことも打ち明けた。最後に、企画者の石橋さんは「自分が企画させていただいた作品なんですが、私自身が他人ごとのように大好きな作品なので、こうやってあたたかい時間を過ごさせていただいてありがとうございました」と言い、濱口監督は「正直、完成した自分の作品を何度も見ることはあまりないんですが、この『悪は存在しない』は珍しく何度も見てます」と明かし、「本当に飽きがこない作品なので、皆様にもぜひ何度もご覧いただいていただけたら大変嬉しいです」と締めくくった。『悪は存在しない』は4月26日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シモキターエキマエーシネマK2ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:悪は存在しない 2024年4月26日よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、K2ほか全国にて公開© 2023 NEOPA / Fictive
2023年11月27日「第36回東京国際映画祭」(TIFF)のクロージングセレモニーが1日、都内で開催され、『正欲』(岸善幸監督/稲垣吾郎主演)が観客賞と最優秀監督賞を受賞した。朝井リョウ氏による小説『正欲』を、監督・岸善幸氏、脚本・港岳彦氏で映画化した本作。稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香を出演者として迎え、家庭環境、性的指向、容姿――異なる背景を持つ人たちを描きながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出していく。観客賞、さらに最優秀監督賞にも輝き、2度ステージに登壇した岸監督。「4作目の作品ですが、名誉ある賞をいただけてこれからの映画作りの励みになります。これからも頑張っていこうと思います」と語った。そして、「この作品は、多様性の意味を、すべての人が自由で、自分を偽らずに生きていける社会は何かということを問いかけています。なかなか自分のアイデンティティを確立するというのは難しい時代です。この作品を見て多様性の意味を皆さんに考えていただけたら本当にうれしいです」と本作に込めた思いを説明。「これを励みにこれからもいろんな映画をいろんなテーマで作っていきたいと思います」と決意を新たにし、「ありがとうございました」と感謝した。なお、コンペティション部門は、114の国・地域から寄せられた1942本の中から15作品が選ばれ、日本からは『正欲』(岸善幸監督/稲垣吾郎主演)、『曖昧な楽園』(小辻陽平監督/奥津裕也主演)、『わたくしどもは。』(富名哲也監督/小松菜奈&松田龍平主演)の3作品がノミネートされていた。
2023年11月01日「第36回東京国際映画祭」(TIFF)のクロージングセレモニーが1日、都内で開催され、『正欲』(岸善幸監督/稲垣吾郎主演)が観客賞を受賞した。朝井リョウ氏による小説『正欲』を、監督・岸善幸氏、脚本・港岳彦氏で映画化した本作。稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香を出演者として迎え、家庭環境、性的指向、容姿――異なる背景を持つ人たちを描きながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出していく。今年の映画祭のナビゲーターを務める安藤桃子監督からトロフィーを受け取った岸監督は、「この作品は多様性という言葉にはじかれてしまうようなマイノリティの中のマイノリティ、非常に些細な小さな人間たちを題材にしています。言葉だけではなくこの映画を見てたくさんの人が多様性の本当の意味を感じていただけたらと思います」と本作に込めた思いを語った。そして、「こんな素敵な賞をいただけて幸せです。主演の稲垣さん、新垣さん、磯村さん、皆さんに伝えたいと思います。本当にありがとうございました」と感謝した。なお、コンペティション部門は、114の国・地域から寄せられた1942本の中から15作品が選ばれ、日本からは『正欲』(岸善幸監督/稲垣吾郎主演)、『曖昧な楽園』(小辻陽平監督/奥津裕也主演)、『わたくしどもは。』(富名哲也監督/小松菜奈&松田龍平主演)の3作品がノミネートされていた。
2023年11月01日第36回東京国際映画祭コンペティション部門正式出品である映画『正欲』が、11月10日(金) に公開される。このたび、本作のメガホンを取った岸善幸監督のQ&A付き上映会が、10月31日(火) にTOHOシネマズ 日比谷で行われた。読者の価値観を激しく揺さぶる内容が多くの読者の支持を得てベストセラーとなり、発行部数はすでに50万部を突破している、朝井リョウの同名小説を映画化した本作。メガホンを取った岸監督は、「個人的に原作が衝撃的な内容だったので、“マイノリティ中のマイノリティ”の人々がどう世界を見ているのか、自分自身も知りたいと思い、色々調べました。物語の骨格は原作で、そこに刻まれている素敵な言葉と、現実を見つめる視点を大切にしながら、キャストやスタッフとも議論を重ねて作り上げていきました」と、あらためて映画化への思いを語った。観客から、原作を読んで受けた衝撃について問われた岸監督は、「理解する側や受け入れる側で、多様性という言葉を認識していた自分がいる、ということを気付かされたのが何よりも衝撃でした」と、あらためてそのインパクトについて回答。そんな原作を映画化するにあたり、本当に必要なものは何かをシンプルに考え、原作者の朝井や脚本の港岳彦、プロデューサーたちとは何度も打ち合わせを重ねていったという。「特に朝井さんは、映画化で大切にしてほしいことについて、都度意見をいただいて、それを守りながら脚本も進めていきました」と、原作者含め製作陣の入念な話し合いのもと、映画作りが進められたことを明かしている。また、稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗といった本作の出演者についての質問が上がると、岸監督はまず、「とにかく各キャスト全員と、話し合いながら進めていきました」と一貫して俳優陣と向き合ってきたことを語った。検事の寺井啓喜役で主演を務めた稲垣については、「稲垣さんの出演する映画を観て、僕がお願いしました」と岸監督が熱望していたことを明かし、「啓喜役は、観る人やその時の状態によって、共感もできるし悪役のようにも見えるという、非常に難しい役どころ。稲垣さんは本当にジェントルマンでエレガントなのですが、どこか狂気性のようなものも垣間見える方で。啓喜は“普通”の側に立つ検事ですが、だんだんと“普通”の価値観が揺らいでいき、狂気性が出てくるキャラクターなので、そういう意味で稲垣さんはピッタリでした」とキャスティング意図についてコメント。「最初にご本人にお会いした時も、“観客は稲垣さんを基準に映画を観て、やがて自分たちのことに翻って、あれ?と疑問が持てるような存在として演じていただきたい”とお伝えしました。啓喜役が稲垣さんですごく良かったと思っています」と、主演の稲垣を絶賛する一幕も。“ある秘密”を抱える桐生夏月役を演じた新垣については、岸監督は「プロデューサーが企画の段階で新垣さんに交渉していて、新垣さんがその後原作を読まれて、ぜひやりたいと言っていただけたんです」と出演経緯についてコメント。「夏月役を演じていただくことで、新垣さんに対する世間のイメージを覆すほどの存在感が示されて、映画にも相乗効果があると思いました。新垣さんには、感じたことを表現しながら演じることを最優先してもらいましたね」と、新垣に大きな期待を寄せていたことを明かした。夏月と秘密を共有する中学時代の同級生・佐々木佳道を演じた磯村については、『前科者』(2022)に続いての監督作出演ということもあり、確かな信頼を感じているという岸監督。「磯村さんは感情表現が豊かで、表情だけでなくて目や全身も使い、表現にグラデーションを感じるんです。自分でも演技設計をされていると思うのですが、相対する役者や芝居に対してもまた磯村さんの表現が生まれてくるというか、とても信頼しています」とコメント。さらに、「佳道という人物は、ノーマルとアブノーマルが分けづらいというか、日常的にある意味社会に紛れて暮らしています。そういう根幹に、生きづらさを感じている役なので、どう表現するかは磯村さんにまず演じてもらって、その度に対話しながら作り上げていきました」と、役作りのプロセスについても語った。さらに観客からは、映画のキーアイテムとして重要なシーンで度々登場する、“水”の描き方についての質問も。岸監督は、「水をどう撮ろうかということは、スタッフともよく話し合いました。水には美しいという大前提がありますが、暴力性もある。登場人物たちの心の表現のように、まるで水だけれど“乾いている”ような捉え方をしたいということを議論しましたね」と、水の表現について強いこだわりを持っていたことを語った。また、水の音についてもスタッフと議論を重ねたといい、「赤ちゃんを包み込む羊水のように、水を通して母親の心臓の音を聴くものであったり、水の音には命の源という考え方もある。一方で、暴力的な水もあるなと思ったので、そうしたことをそれぞれのシーンで、音楽とは別に、加工した水の音をつけたりしていきました」と、映画に深みを与えるために細部までこだわり抜いていたことを明かした。<作品情報>映画『正欲』11月10日(金) 公開(C)2021 朝井リョウ/新潮社(C)2023「正欲」製作委員会(C)2023 TIFF関連リンク公式サイト::
2023年11月01日濱口竜介監督作『悪は存在しない』がロンドン映画祭で最優秀作品賞を受賞した。審査員全員一致の決定だったという。「繊細で、シネマティック、そして完全に悟った演技によって強調された、濱口監督の確信に満ちたドラマ」「家族とコミュニティ両者の抒情的な肖像画であり、土地開発の倫理についてのニュアンスを含む考察でもある」と評された。濱口監督は同映画祭のXアカウントに動画で喜びのコメントを発表。「『悪は存在しない』がロンドン映画祭で最優秀賞受賞という本当にうれしいニュースを聞いて、驚きました。ありがとうございます」と感謝を述べた。キャストやスタッフの仕事ぶりをカメラ越しで見ていて、濱口監督自身も「素晴らしい」と思っていたため、それが評価されたことに「勇気づけられる」と語った。また、前作『ドライブ・マイ・カー』の音楽を担当し、今作では音楽と共に企画・発案も担当した石橋英子氏の名前を挙げ、「彼女の音楽の存在が、この映画を完成まで導いてくれた」と説明した。『悪は存在しない』は今年のヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞も受賞した。日本公開は2024年GWを予定している。(賀来比呂美)
2023年10月16日最新作『悪は存在しない』(英題:Evil Does Not Exist)が第80回ヴェネチア国際映画祭「銀獅子賞(審査員大賞)」を受賞した濱口竜介監督が9月12日(火)、日本外国特派員協会で報告記者会見を行った。本作は、音楽家・シンガーソングライターの石橋英子から、ライブパフォーマンスのための映像を依頼されたことから始動しており、「何もないところから始めた企画を認めていただき、『これからも地道にやっていきなさい』と背中を押された気分」と喜びを語った。その上で、「摩訶不思議な始まりの映画。体験したことのないような映画製作ができた」と本作が生まれた過程をふり返り、「石橋さんとは、まるで手紙のように、音楽と映像のやりとりをし、本当に音楽的セッションしているような感覚だった。不確かな旅に付き合ってくださった方々に感謝したい」と異色のコラボレーションを語った。「疲れていた自分にとって、回復のプロセスだった。アウトプットだけではなく、インプットできる映画製作が必要だった。結果的に『悪は存在しない』はそういう作業になった」(濱口監督)濱口竜介監督わずか3年弱で、映画『偶然と想像』で第71回ベルリン国際映画祭の審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞、映画『ドライブ・マイ・カー』(21)では第74回カンヌ国際映画祭で日本映画初となる脚本賞を含む計3部門を受賞(第94回米アカデミー賞国際長編映画賞も受賞)、それに続くヴェネチアでの受賞という世界3大映画祭を制覇。日本人では、黒澤明監督以来となる快挙を達成している。濱口監督は「黒澤明監督というとても偉大な名前を引き合いに出されることに、申し訳ない気持ちでいるという状態です」と恐縮。「比べていただくことで、黒澤監督の成し遂げたことのスケールの大きさが露わになる。2つの最高賞に輝いていますし、黒澤監督は長く質の高い仕事を続けてきた」と敬意を新たにし、「自分はこれからどうなるか震えているが、長く映画を作り続けたい」と背筋を伸ばした。次回作については「準備はしています」と説明した。世界的な注目度がさらに高まるなか、海外進出を問われると「興味あります、ずっとあります」と即答。様々な出会いを通して、映画製作を行ってきたキャリアをふり返りながら、「こればっかりは、信頼し合える人たちと出会えることが大きな要素。誰かと出会い、導かれながら、映画を作ってきたので、『この人についていけば大丈夫』と思えるのがすべて」と話していた。会見には、主演を務めた大美賀均が同席した。<『悪は存在しない』概要>『ドライブ・マイ・カー』でもタッグを組んだ音楽家・シンガーソングライターの石橋英子が、ライブパフォーマンスのための映像を濱口監督に依頼したことから、プロジェクトがスタート。その音楽ライブ用の映像を制作する過程で、1本の長編映画として本作も誕生した。自然豊かな長野県の高原を舞台に、政府からの補助金を得たグランピング施設の開業計画が持ち上がったことから、環境破壊を危惧する地元住民たちが動揺・葛藤する姿を描き出す。今回、「銀獅子賞(審査員大賞)」に加えて、映画祭本体とは別機関からの「並行賞」として、国際映画批評家連盟によって選ばれる、ヴェネチア国際映画祭の独立賞のひとつ「国際批評家連盟賞」と、「企業の倫理」について考察を与える映画に送られる賞「映画企業特別賞」、特に「環境問題」に対する現代的アプローチに対して贈られる「人・職場・環境賞」と3つの賞も受賞している。『悪は存在しない』は2024年GW、公開予定。(シネマカフェ編集部)
2023年09月12日第80回ヴェネチア国際映画祭が閉幕。コンペティション部門へ正式出品された濱口竜介監督最新作『悪は存在しない』(英題:Evil Does Not Exist)が「銀獅子賞(審査員大賞)」を受賞。最高賞の金獅子賞はヨルゴス・ランティモス監督、エマ・ストーン主演『哀れなるものたち』に。また、オリゾンティ・コンペティション部門に正式出品されていた塚本晋也監督の最新作『ほかげ』がNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞した。濱口監督は、映画『偶然と想像』で第71回ベルリン国際映画祭の審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞、映画『ドライブ・マイ・カー』(21)では第74回カンヌ国際映画祭で日本映画初となる脚本賞を含む計3部門を受賞(第94回米アカデミー賞国際長編映画賞も受賞)、それに続くヴェネチアでの受賞という世界3大映画祭を制覇する快挙となり、日本人では黒澤明監督以来となった。さらに今回、映画祭本体とは別機関からの「並行賞」として、国際映画批評家連盟によって選ばれる、ヴェネチア国際映画祭の独立賞のひとつ「国際批評家連盟賞」と、「企業の倫理」について考察を与える映画に送られる賞「映画企業特別賞」、特に「環境問題」に対する現代的アプローチに対して贈られる「人・職場・環境賞」と3つの賞も受賞している。『悪は存在しない』石橋英子の音楽が「導いてくれました」授賞式で濱口監督は、「このような素晴らしい賞をいただけるとは、この企画が始まった時は思いもよりませんでした。音楽の担当でもありこの企画の発案者でもある石橋英子さんに感謝をしたいと思います。彼女の音楽が、私を今まで体験したことがないところへ導いてくれました」と、『ドライブ・マイ・カー』でもタッグを組んだ音楽の石橋さんに言及。「そして主演の大美賀均さん、そこで(客席を指差し)カメラを構えている撮影の北川喜雄さん、この3人で脚本を書く前に一緒にドライブをして薪割りをしてこの映画をどのようなものにしようかと考えていました。この旅をしながらここまで来られて嬉しく思っています。そしてキャスト、スタッフ全ての力があってこのような素晴らしい賞をいただけたと思ってます」と語った。また、公式カンファレンスでは、「この映画はアートハウス系の映画でかつ非常に小規模のチームで作られました。小規模で自由に作った映画がこのように評価を受けるということは、映画制作の見方そのものを変えるきっかけになるのではないかとは思います」と、自身の考えをコメント。その後のメディア取材で、主演の大美賀均も「先ほど濱口監督がお話されていますが、すごく小さなチームから始まりました」と語り、「その頃の想像よりはるかにすごいところまで連れてきていただいてありがとうございます」と感謝。今回のコンペティションの中でアジアの作品として唯一だったことについて、濱口監督は「全体的にどういう風に自分たちの作品が位置付けられているか分かりませんけれども、きっと他にもいいアジア映画があったと思います。たった1本であったというバランスについて、選んでいただいたこと自体はとてもありがたいことですけれども、そのバランスは本当なのかっていうことは多少思うところではあります」とコメント。『偶然と想像』のベルリン国際映画祭銀熊賞に続いて、今回は銀獅子賞で、最高賞に届きたかったかと問われると、「そういう思いは、本当に少しもないです(笑)」と濱口監督。「こうやって賞をいただくことも思ってもみなかったので。そういう気持ちもそもそもないですね。それが正直なところです。自分達にとっては一番いいものをいただいたという感じです」と話していた。『悪は存在しない』は2024年、公開予定。塚本晋也監督『ほかげ』がNETPAC賞、日本人監督受賞は初また、日本人監督の受賞は初となる快挙となったのが、『ほかげ』。NETPAC(正式名称Network for the Promotion of Asian Cinema)とは、1990年にアジア各国の良質な作品や優秀な若き映画製作者を世界に広めるために設立された国際団体。同団体の審査員により選ばれるNETPAC賞は、最優秀アジア映画賞として世界の60以上もの映画祭に設けられている。ヴェネチア国際映画祭でNETPAC賞が授与されたのは、ジャ・ジャンク―監督『プラットホーム』(00)、ババク・パヤミ監督『1票のラブレター』(01)、ゲラ・バブルアニ監督『13ザメッティ』(05)に続き4度目。NETPAC賞の審査員長を務めたザキール・ホセイン・ラジュ氏は、「第80回ヴェネチア国際映画祭にて、一番感動した映画として『ほかげ』を選出いたしました。ただの映画としてではなく、戦後の映画として人と人の関係が変わっていく様子などを映画的に、閉所な空間で衣装やセット、メイクなどでみせていく。あまりこのような映画は観たことがなかった」と称賛。フォトコールにて塚本監督は、「生まれたばかりで、まだどんな反応かわからないこの映画に対して、最初の評価みたいなものをいただけてホッとしました。一番にスタッフに伝えたいです」と喜びのコメントを寄せた。『ほかげ』は11月25日(土)よりユーロスペースほか全国にて順次公開。第80回ヴェネチア国際映画祭コンペ部門、主な受賞結果金獅子賞(最高賞):ヨルゴス・ランティモス監督『哀れなるものたち』銀獅子賞(審査員賞):濱口竜介監督『悪は存在しない』銀獅子賞(監督賞):マッテオ・ガローネ監督『Io capitano』(原題)男優賞: ピーター・サースガード『Memory』(原題)ミシェル・フランコ監督女優賞:ケイリー・スピーニー『Priscilla』(原題)ソフィア・コッポラ監督『哀れなるものたち』『哀れなるものたち』は2024年1月26日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:哀れなるものたち 2024年1月26日より全国にて公開©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.ほかげ 2023年11月25日よりユーロスペースほか全国にて順次公開©2023 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER
2023年09月10日『ドライブ・マイ・カー』で初顔合わせした濱口竜介監督と音楽・石橋英子による共同企画『悪は存在しない』が、第80回ヴェネチア国際映画祭にて現地時間9月4日17時(日本時間9月5日深夜0時)よりワールドプレミア上映され、上映前には濱口監督とキャスト&スタッフがプレスカンファレンスとレッドカーペットに登場した。『悪は存在しない』第80回ヴェネチア国際映画祭フォトコール(C)Kazuko WAKAYAMAプレスカンファレンス各国のジャーナリストが集まったプレスカンファレンス会場に濱口監督ら『悪は存在しない』チームが登壇すると、盛大な拍手で包まれた。本作を作ることになった経緯を聞かれた濱口監督は、石橋さんから自身の音楽ライブで使う映像を依頼され、普段の自分の作り方でまず劇映画を作り、その後で音楽用の映像にする2段階の過程を踏んで製作する中で、その基となる映画が今回の『悪は存在しない』になったと語る。また、きっかけとなった石橋さんは、2年前に『ドライブ・マイ・カー』で「一緒に素晴らしい仕事をした」濱口監督に依頼を決めた。主演の大美賀均は、役については、その役のライフスタイルに憧れ、小坂竜士は“今回演じる役柄に非常に共感する部分が多かったが、できるだけ冷静に距離をとって演じた”と答え、渋谷采郁は“社会や会社の中で葛藤する登場人物に共鳴した”と答えた。また、子役の西川玲は、監督やキャストと一緒に仕事したことについての印象を聞かれ、「楽しかった!」と答え会場全体を温かな雰囲気に。西川玲『悪は存在しない』第80回ヴェネチア国際映画祭フォトコール(C)Kazuko WAKAYAMAさらに「本作は環境問題を意識したものか?」という質問に対して、濱口監督は「語る立場にはないが」と断った上で、「自分は全ては視覚的に考えるところからはじめ、それに今回の石橋さんとの調和を意識し、その間に自然がある。その自然に人間をおくと必然的に環境問題という言葉が出てくるが、それは大きな問題というより日常的な問題で、その解決には対話が必要だが、しかし今の社会は対話を尊重しておらず、それを映画にした」と語った。レッドカーペット本作の高田聡プロデューサーから撮影の北川喜雄、キャストの渋谷さん、小坂さん、西川さん、大美賀さん、音楽の石橋さん、濱口監督の順で、ヴェネチア国際映画祭のレッドカーペットへ。『悪は存在しない』レッドカーペット(C)Kazuko WAKAYAMA特にキャスト陣はレッドカーペットの独特な雰囲気に若干緊張しながらも、次第に観客やスチールからの声に笑顔で答えるなど楽しんでいた。濱口監督が、ヴェネチアの映画ファンに近寄りサインに応えると歓声があがり、西川さんも考えたてのサインを書き、そのキュートさにヴェネチアの映画ファンを驚かせた。ワールドプレミア上映チケットの確保が難しかったという本作のワールドプレミアは、満席の観客で埋めつくされた。上映前に、濱口監督ら、キャスト・スタッフが2階の客席に登場すると大きな声援が。『悪は存在しない』第80回ヴェネチア国際映画祭プレミア上映(C)Kazuko WAKAYAMAひと通り場内全体に向かって挨拶を終えると、本編の上映がスタート。冒頭から1コマも見逃さないとする場内の緊張感が伝わってくる。あっという間に映画に引き込まれた場内は、息を呑むラストシーンを迎え終了し、それまでの沈黙を破る拍手で溢れた。それから約8分間のスタンディングオベーションが始まり、場内くまなく何度も挨拶をする『悪は存在しない』チーム。興奮の中でワールドプレミアは終了となった。『悪は存在しない』第80回ヴェネチア国際映画祭プレミア上映(C)Kazuko WAKAYAMA囲み取材濱口監督は「イタリアという土地柄か企画当初では思いもよらないほど非常に温かく、情熱的に迎えてもらいありがたく思います」と答え、続く石橋さんは「私も今、濱口監督がおっしゃったように企画時にはヴェネチアにみんなで来るなんて思いもよらなく、感慨深い」とコメント。「濱口監督との共同作業の中で自分が作るつもりのなかったものが生まれたりするのは、自分の中で宝物であり本当にありがたい体験をさせていただいたと思っている」と語った。『悪は存在しない』第80回ヴェネチア国際映画祭囲み取材主演の大美賀さんは、「上映後のみなさんの反応が死ぬ時に思い出しそうなくらい嬉しかったです」と独特の表現で笑いを誘っう。さらに主演をオファーされたときは、「濱口さんが大丈夫と言うなら信じようと思い、現場では監督がとにかく俳優部を励まし、勇気づけてくれた明るい現場だった」とふり返る。大美賀均『悪は存在しない』第80回ヴェネチア国際映画祭フォトコール(C)Kazuko WAKAYAMA西川さんは、「観客の『わー!』という歓声が嬉しくて緊張しなかった」と回答し、小坂さんは「今まで経験したことがない経験をして、言葉にならない」と言い、「『ドライブ・マイ・カー』の時はスタッフとして関わっていて、いいなと思っていたんですが、まさか自分がこのように濱口監督の作品に出てヴェネチアまで来るとは思ってもみませんでした」と感慨深げ。渋谷さんは「観客のみなさんと同じスクリーンを見て、映画は本当に素晴らしく、その中にいる自分が改めてすごく嬉しいと思いました。拍手にも胸が一杯になりました」と胸中を明かした。また、記者から「本作のラストシーンについてどういう意味かと聞かれると答えにくいなと思うのですが、監督が聞かれたらどう答えますか?」という質問には、濱口監督は「そんなに難しいことはないと思ってまして、何が起きたかは明白なのでそれを考えたい人は考えていただきたいと思います」と素直に回答。石橋英子&濱口監督『悪は存在しない』第80回ヴェネチア国際映画祭フォトコール(C)Kazuko WAKAYAMAさらに『悪は存在しない』というタイトルに込めた意味について問われると、「そんなに含みはない」と答えつつ“シナハン”(“シナリオハンティング”のこと=ロケハンの前の、脚本を書くために現地を回ること)をしている時に浮かんだタイトルで、それがそのままプロジェクトのタイトルになり、この映画をご覧になった人が実際に悪が存在するかどうかを感じるのはお任せします」と締めくくっていた。『悪は存在しない』は2024年、公開予定。(シネマカフェ編集部)
2023年09月05日「服とか全部奥さんに選んでもらう」濱口優さんは、妻でタレントの南明奈さんとともに昨年7月に生まれた第一子の男の子を育てています。9日の『ぽかぽか』 に出演し、夫婦関係や育児に関するトークを展開した濱口さん。南さんとは結婚してから5年以上経つものの、普段ケンカすることはないそうです。その秘訣として「お互いイラッとすることあるかもしれないけど、その場では言わないというか。その場で言うと感情的になってぶつかるからケンカになる」ので、「どうしても言わなあかんときは、落ち着いたときに言う。そうするとケンカにならない」と説明していました。そんな濱口さんのことを、同じくゲストとして出演していた鈴木紗理奈さんは、「女の人に染まるタイプ」と断言。鈴木さんは濱口さんと『めちゃ×2イケてるッ!』で長年共演していて親交が深いこともあり、濱口さんの女性に対する姿勢も把握しているようです。そう言われた濱口さんは、自身が「女の人に染まるタイプ」であることを認め、「服とか全部奥さんに選んでもらう」「奥さんが『OK』って言ったら(その服装で)街に出る」と明かしていました。そんなふうに優しい濱口さんであるがゆえに、息子を甘やかしてしまって南さんに怒られることも。「泣くと抱っこするっていう癖を俺がつけてしまって」いるために、南さんに「私が1人でいるときも『(息子が)抱っこして』ってなるのよ」と言われることがあるといいます。それを聞いたMCのハライチ・澤部佑さんは「それは俺も言われました。『パパはすぐ抱っこするから』って」と共感していました。赤ちゃんに「抱き癖がつく」って本当?「赤ちゃんを抱っこしすぎると抱き癖がつく」とよく言われますが、これは本当なのでしょうか?「抱き癖がつく」というのは、泣いたときに抱っこしないと落ち着かない、抱っこでないと寝ない、といった状態になることをいいます。結論からいうと、そんな心配はないのでどんどん抱っこしてOKです。抱っこを求めるのは赤ちゃんが健全に発達している証拠なので、何も心配せずにみんなでたくさん抱っこしてあげましょう。赤ちゃんは、不安で泣く→抱っこで安心するという経験を繰り返すことで、親に対して安心と信頼を得ていきます。自分を守ってくれる人がいるという安心感は、新しいことに挑戦する勇気をもたらし、さまざまな経験をすることで早い自立へとつながっていきます。とはいえ、祖父母世代の中には「泣くたびに抱き上げると抱き癖がつく」という意見を持つ人も少なからずいます。昔は今のような核家族ではなく、両親以外にも抱っこしてくれる人が同居しており、また労働状況なども相まって、育児と取り巻く環境が今とは異なりました。その後、子供の発達に関する研究が進み、かつて常識と思われていたことでも、今では根拠に乏しいというケースが多くあります。もし抱き癖のことを言われたら、さまざまなメリットがあることを説明して「大好きなばあばにもたくさん抱っこされたら、赤ちゃんはすごく嬉しいし、いいこといっぱいなんだって。だから是非抱っこしてあげて」などと返せるといいですね。参照:【助産師解説】「抱き癖」はもう古い!抱っこしないと泣く・寝ないときの対処
2023年08月10日映画『悪は存在しない』が、2024年4月26日(金)に公開。監督は濱口竜介、音楽を⽯橋英⼦が担当する。濱⼝⻯介×⽯橋英⼦、ライブ映像の制作過程で生まれた物語映画『悪は存在しない』は、映画『ドライブ・マイ・カー』で初顔合わせした濱⼝⻯介と⽯橋英⼦による共同プロジェクトであり、濱⼝⻯介にとっては『ドライブ・マイ・カー』以降初の長編映画作品。⽯橋がライブパフォーマンスの為の映像を濱⼝に依頼したことをきっかけに、⾳楽ライブ⽤の映像を制作する過程で106分の⻑編劇映画『悪は存在しない』が完成したという。自然に囲まれた町、穏やかな世界から息をのむクライマックスに“映画と音楽の旅”ともいえる制作過程を経てまるでセッションのように作られた『悪は存在しない』では、自然に囲まれた長野県、水挽町(みずびきちょう)を舞台にした物語を描く。主人公の巧とその娘・花は、町の中でつつましく暮らしていた。そんな中、近所にグランピング場を作る計画が持ち上がったことで町内が動揺に包まれ、その余波を巧たちも受けることになるのだった。穏やかな世界から一転、息をのむクライマックスまでの没入感に注目だ。主演は、当初スタッフとして参加していた⼤美賀均。主人公の巧を演じる。また、巧の娘・花役に⻄川玲、物語のキーパーソンとして重要な役割を果たす人物として⼩坂⻯⼠、渋⾕采郁が脇を固める。なお、『悪は存在しない』は第80回ヴェネチア国際映画祭への出品され、審査員グランプリである銀獅子賞を受賞した。石橋英子のライブ用サイレント映画『GIFT』も同時制作また、映画『悪は存在しない』と共通の映像素材から、⽯橋英⼦の⾳楽ライブ⽤サイレント映画『GIFT(ギフト)』も同時制作。『GIFT(ギフト)』は、2023年10⽉にベルギーで開催されるゲント国際映画祭で初披露され、それ以降、⽯橋によるライブ・パフォーマンスとともに世界各地で上映が予定されている。映画『悪は存在しない』あらすじ長野県、水挽町(みずびきちょう)。自然が豊かな高原に位置し、東京からも近く、移住者は増加傾向でごく緩やかに発展している。代々そこで暮らす巧とその娘・花の暮らしは、水を汲み、薪を割るような、自然に囲まれた慎ましいものだった。しかしある日、彼らの住む近くにグランピング場を作る計画が持ち上がる。森の環境や町の水源を汚しかねないずさんな計画に町内は動揺し、その余波は巧たちの生活にも及んでいく。【詳細】映画『悪は存在しない』公開日:2024年4月26日(金)プロデューサー:⾼⽥聡監督・脚本:濱⼝⻯介⾳楽:⽯橋英⼦企画:濱⼝⻯介、⽯橋英⼦出演 :⼤美賀均、⻄川玲、⼩坂⻯⼠、渋⾕采郁、菊池葉月、三浦博之、鳥井雄人、山村崇子、長尾卓磨、宮田佳典、田村泰二郎撮影:北川喜雄録⾳・整⾳:松野泉英題:Evil Does Not Exist
2023年07月28日カンヌ国際映画祭で脚本賞など4冠、アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』で初顔合わせした映画監督・濱口竜介と音楽家・石橋英子による共同企画で完成した映画『悪は存在しない』が、第80回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門への正式出品が決定、ワールドプレミア上映されることになった。本作は、『ドライブ・マイ・カー』以来の濱口監督の長編映画最新作。はじまりは、石橋さんがライブパフォーマンスのための映像を濱口監督に依頼し、監督はこれを快諾。2人による「音楽×映像」プロジェクトがスタートした。その音楽ライブ用の映像を制作する過程で、106分の長編劇映画『悪は存在しない』が完成した。第80回ヴェネチア国際映画祭(現地時間8月30日~9月9日までの11日間開催)のコンペティション部門への正式出品が決定し、ワールドプレミア上映される。上映及び記者会見には、濱口竜介(監督)、石橋英子(音楽)、出演の大美賀均、西川玲、小坂竜士、渋谷采郁らが参加予定となっている。また、『悪は存在しない』と共通の映像素材からつくられた石橋さんの音楽ライブ用サイレント映画『GIFT(ギフト)』は、10月にベルギーで開催されるゲント国際映画祭で初お披露目となり、それ以降、石橋さんによるライブ・パフォーマンスとともに世界各地で上映が予定されている。石橋英子濱口竜介監督&石橋英子コメント濱口竜介監督「映画として演出しないと太刀打ちできない」『悪は存在しない』は元々、石橋英子さんからのライブパフォーマンス用映像依頼を受けたことをきっかけに制作が始まりました。石橋さんとデモ的な音楽と映像をやり取りするうちに、「ミュージックビデオのようなものは自分には撮れない、普段やっているように映画として演出しないと石橋さんの音楽に太刀打ちできない」という思いが固まり、物語映画の脚本を書き下ろしました。その物語映画のフッテージからライブ用映像を作ろうと考えたのです。三月に長野・東京での撮影を終えて、非常に強い手応えを感じました。出演者一人ひとりの声やありようが、私が想像していたものを遥かに越えていたからです。結果として『悪は存在しない』は、石橋さんの美しい劇伴音楽とともに一本の独立した映画として完成しました。今はヴェネチア国際映画祭が、この奇妙な成り立ちの映画の魅力を受け止めて、コンペティション部門に選出してくれたことを心から嬉しく思っています。この場を借りて、キャスト・スタッフの素晴らしい仕事にも感謝します。また共通の映像素材から生まれた『GIFT』は、『ドライブ・マイ・カー』で石橋英子さんに「ディスカバリー・オブ・ザ・イヤー」賞を授与したベルギーのゲント国際映画祭で、石橋英子さんのライブパフォーマンスとともにお披露目されます。私自身も、石橋さんの一ファンとして、この夢のような機会を心から楽しみにしています。石橋英子「『ドライブ・マイ・カー』での経験がとても素晴らしかった」2年前、海外のプロモーターの方から、”映像と一緒にライブをやってみる気はないか?”という漠然とした提案をいただきました。私はジャンルや演奏をする場所にこだわりをあまり持たずに活動してきたこともあり、そのアイデアが自分を面白い場所に連れて行ってくれるのではないかと、これも漠然とした単純な期待から本気で考えてみることにしました。多くの素晴らしい実験映像作品、アート映像作品と言われている作品もありますし、おそらく最初にプロモーターが提案したのはこういった作品を作っている作家をイメージしたのではないかと推測しますが、私は一緒にお仕事して楽しかった人にお願いしたいと思い、まだ授賞式ラッシュなどでお忙しかった濱口さんにだめもとでご相談させていただきました。『ドライブ・マイ・カー』でご一緒させて頂いた経験がとても素晴らしかったからです。物語を紡ぐ才能の持ち主であると同時に、「東北記録映画三部作」のドキュメンタリー作品等からみられるように音楽的詩的な作り方をされていて、あらゆる制限から自由を渇望しつつも思いやりと洞察力に溢れた濱口さんとなら何か一緒に面白いことができるのではないかと思いました。素晴らしい作品になることは最初からわかっていてもなお、脚本や映像を共有していただくにつれ、これは凄いことになってきたぞ、、と私が当初考えた事を遥かに超えた作品が出来上がって行くのを目の当たりにし、その事に驚きながら音楽を作りました。今もまだ驚いています。そして一つの独立した映画作品になり、こうしてヴェネチア国際映画祭に出品されることをとても嬉しく思います。“悪は存在しない”、ライブ用サイレント映画『GIFT』が今後どんな旅をしていくのか、とても楽しみです。『悪は存在しない』は2024年、公開予定。(シネマカフェ編集部)
2023年07月26日2022年12月26日に、お笑いコンビ『よゐこ』の濱口優さんと、妻でタレントの南明奈さんが、そろってInstagramを更新。会員制のスーパーマーケット『コストコ』で、仕事の撮影があったことを明かしました。それぞれのInstagramで披露した、店内でのショッピングの様子がこちらです。※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 この投稿をInstagramで見る 南明奈(@akinaminami)がシェアした投稿 この投稿をInstagramで見る 濱口優(@hamaguchi_masaru)がシェアした投稿 南さんは、夫婦そろっての撮影について「楽しかった」とコメントをつづっています。おしどり夫婦として有名な2人には、たびたび夫婦そろっての仕事が入ってくることも。Instagramを通して垣間見える夫婦の仲のよさに、ネット上では「笑顔が似ている」「本当に憧れの2人」といった反応が上がりました。濱口さんと南さんは、仕事だけでなく、プライベートでの夫婦の姿を公開することもあります。同月13日には、『#3人でお散歩』というハッシュタグを付けて、幼い我が子と散歩した時の様子を披露。 この投稿をInstagramで見る 南明奈(@akinaminami)がシェアした投稿 この投稿をInstagramで見る 濱口優(@hamaguchi_masaru)がシェアした投稿 同年7月に第1子である息子さんが誕生した、濱口さん夫婦。散歩中の楽し気な会話が聞こえてきそうですね。【ネットの声】・なんか泣ける…。2人が幸せだと、自分のことのように嬉しい。・素敵!南さんのやわらかい笑顔を見て、心が温かくなった。・ママの顔、パパの顔になってますね。ずっとお幸せに!・服が似ているけど、もしかしてペアルック…?本当に仲よしですね。数年後、息子さんが大きくなった時に、改めて写真を見返すのも楽しそうです。家族の思い出は、仕事とプライベートともに、今後ますます増えていくことでしょう![文・構成/grape編集部]
2022年12月28日稲垣吾郎、新垣結衣を迎え、朝井リョウによる小説「正欲」を『あゝ、荒野』の岸善幸監督が映画化。制作決定に伴い、各キャスト・監督・原作者よりコメントが到着した。原作小説は、2009年『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞、2013年『何者』では直木賞を受賞した朝井リョウが、作家生活10周年で書き上げた渾身の1作。2021年3月に発売されるやいなやその内容が波紋を呼び、第34回柴田錬三郎賞を受賞した話題作。自身も「小説家としても一人の人間としても、明らかに大きなターニングポイントとなる作品です」と語っている。家庭環境、性的指向、容姿ーー。様々に異なった“選べない”背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出していく衝撃的なストーリーを、ある種のラブストーリーとして映画化するのは、『あゝ、荒野』『前科者』などを経てその手腕にさらに期待が高まる演出家・岸善幸と、原作を大胆に再構築しながら監督の演出の可能性を拡げていく脚本家・港岳彦。稲垣吾郎×新垣結衣、奇跡のタッグ横浜検察庁に務める検察官であり、自分の力でマイホームを持ち、妻と子を養う寺井啓喜(てらい・ひろき)役に、『半世界』『ばるぼら』に加え、公開を控える『窓辺にて』など精力的に映画出演を務め、その演技・役柄の幅広さを不動のものとした稲垣吾郎が挑む。そして、広島のショッピングモールで契約社員として働く桐生夏月(きりゅう・なつき)役に、大ヒットドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」や映画『GHOST BOOKおばけずかん』などに出演、いまや国民的人気を誇る新垣結衣。特殊性癖を持つことを隠して生きる夏月という難役に挑む。小学校不登校の息子が世間から断絶されてしまう可能性を恐れる寺井と、自ら世間との断絶を望む夏月が、いつ、どこで、どのように交わっていくのか…。生きることと死ぬことが目の前に並んでいるとき、生きることを選ぶきっかけになり得るものをひとつでも多く見つけ出したい。映画に込める想いをどう昇華させていくのかが見どころになっている。コメント到着稲垣吾郎脚本を読み終えた時、この作品に関われる事を嬉しく思いました。難しい題材にチャレンジする、監督、スタッフの皆様と共に丁寧に演じていきたいと思います。新垣結衣原作を読んで、何かを問われたような気持ちになりました。それは、「何が正しいか」とかそういう単純なものではないような、でも実はとてもシンプルなことのような気もしました。考え続ける事、他を想像し続ける事をいつも以上に大切にしながら、制作に臨めたらと思っています。岸監督とは初めてご一緒しますが、初顔合わせから親身に役についての相談などを聞いてくださり、とても心強く、感謝しています。撮影では、自分なりに、夏月達が生きる世界を夏月達のように必死に生きたいと思います。監督・岸善幸原作の衝撃と感動がずっと消えません。朝井さんの“視点”が生み出した登場人物たち、その感情をどう表現するべきか、模索が続いています。稲垣吾郎さん、新垣結衣さんをはじめとするキャストの皆さんとの対話を重ねて、少しずつ輪郭が浮かび上がってきたところです。人と人のつながりを描こうと思います。大切なのに、難しい、つながり。世界から「普通ではない」と片づけられてしまう人たちの、歪みのないつながりを描こうと思います。原作・朝井リョウ言葉にするとは線を引くということです。明確に名付けがたい感情や現象に無理やり輪郭を与えてしまうのが、言葉です。映画には、表情、声色、沈黙など、言葉以外のものが沢山映ります。それらが、私が書きながら取りこぼしていったものたちを一つでも多く拾い上げてくれることを願っています。そして、この物語の核が、いい映画を創るという意思以外の部分で歪められることのないよう、緊張感とともに祈っています。『正欲』は2023年、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2022年09月12日オスカー、英国アカデミー賞、日本アカデミー賞など、国内外で数えきれないほどの賞を受賞し高い評価を受けている濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が、2022年の国際映画批評家連盟賞グランプリを受賞した。『ドライブ・マイ・カー』は、国際映画批評家連盟(FIPRESCI)の会員による2022年の最優秀作品としてグランプリに輝いた。最終候補には同作のほか、『リコリス・ピザ』(ポール・トーマス・アンダーソン監督)、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(ジェーン・カンピオン監督)、『Triangle of Sadness』(リューベン・オストルンド監督)、『わたしは最悪。』(ヨアキム・トリアー監督)が挙がっていた。同賞は1999年に設立。これまでペドロ・アルモドバル監督(『オール・アバウト・マイ・マザー』)、ジャン=リュック・ゴダール監督(『アワーミュージック』)、ロマン・ポランスキー監督(『ゴーストライター』)、アルフォンソ・キュアロン監督(『ROMA/ローマ』)といった偉大な監督たちが受賞。今年の最終候補に挙がっていたポール・トーマス・アンダーソン監督は、『マグノリア』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』『ファントム・スレッド』で3回受賞を果たしている常連である。昨年は、『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督が選ばれた。(賀来比呂美)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2022年08月23日『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介監督の初の“短編集”として、ミニシアターを中心にヒットを記録した『偶然と想像』のBlu-rayリリースが決定した。『ドライブ・マイ・カー』が第74回カンヌ映画祭で脚本賞など4冠、米アカデミー賞で国際長編映画賞に輝き、本作で第71回ベルリン国際映画祭・銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞し、いまや世界が最も注目する監督のひとりとなった濱口監督。濱口竜介監督 Photo by Mike Coppola/Getty Images短編集となる本作は、人生を静かに、大きく揺り動かす「偶然」をテーマに、親友同士の他愛ない恋バナ、大学教授に教えを乞う生徒、二十年ぶりに再会した女友達を描く3編からなる。軽快な物語の始まり、日常の対話から一転、鳥肌が立つような緊張感とともに引き出される人間の本性、鮮やかに切り取られる人生の一瞬に、観る者は日本映画の新時代を感じることになるだろう。さらに、古川琴音、中島歩、森郁月、甲斐翔真らフレッシュな顔ぶれと、濱口組出演経験のある玄理、渋川清彦、占部房子、河井青葉ら個性豊かな俳優陣が好演。映像特典として、その出演俳優による撮影現場をふり返るインタビュー「濱口竜介と俳優たち"創作"の場をつくるために」(47分)も収録される。『偶然と想像』Blu-rayは9月30日(金)より発売。価格:5,170円(税込)発売元:NEOPA(text:cinemacafe.net)■関連作品:偶然と想像 2021年12月17日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開©︎ 2021 NEOPA / fictive
2022年08月22日お笑いコンビ・よゐこの濱口優(50)とタレント・南明奈(33)夫妻が18日、YouTube公式チャンネル『濱口夫婦チャンネル』を通じ、第1子男児の誕生を発表した。濱口の「われわれ夫婦からみなさまにご報告がございます」に続いて、南が「先日、元気な男の子を出産し、我が家に新しい家族が増えました」と報告。濱口は「生まれてくるまでみなさんにご心配をおかけするのもなと思いまして、発表はこのような形になりました」と経緯に触れ、南はうれしそうに「優さん似の男の子が生まれました」と笑顔を見せた。また、濱口は生放送中だったことから「立ち会えないのかな」と諦めていたが、「待ってくれるかのように、生放送が終了して僕が駆けつけるときになってから生まれてきてくれました」とタイミングにも恵まれた様子。「生まれてきてすぐに顔も見れたんですけども、本当にそっくり」「眉毛がめちゃくちゃ濃かったです(笑)」と誇らしげで、南も「助産師さんの何人もの方が『旦那さん似ですね』」と明かした。また、2人はSNSでも報告し、濱口は「この度私達夫婦に、新しい家族が増えました」「元気な男の子です」「母子共に健康です」「皆様に支えられ無事出産を迎える事ができました」「これからも温かい家庭を築いていきます」「今後とも我々家族をよろしくお願いします」、南は「先日男の子を出産しました。少し大きめの優さんに似た男の子です。元気な産声が聞こえ初めて姿を見たときは嬉しさとホッとしたのとで涙が溢れました。産院の皆様、妊娠期間中支えてくださった皆様ありがとうございました。そして優さん本当にありがとう!わからない事も多く慌ただしい毎日ですが1日1日を大切にし、家族みんなで力を合わせ楽しく過ごしていきたいと思います。これからもみなさんよろしくお願いします」と喜びをつづっている。2人は昨年4月に第1子妊娠を発表。6月には、南が「私達夫婦に授かった命は、空へと戻りました」と死産を伝え、「約7ヶ月という時間でしたが、私達家族は幸せでした。皆様から頂いた祝福の言葉が子どもの生きた証です。現在は無事退院し、回復に向け自宅で安静にしております。夫婦で支え合って、前に進んでいこうと思います。これからも私達をあたたかく見守ってください」と呼びかけていた。
2022年07月18日映画科学アカデミーが、今年新会員に招待する人々の名前を発表した。日本からは『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督、西島秀俊、プロデューサーの山本晃久、編集の山﨑梓が招待された。濱口氏は監督と脚本、ふたつのブランチから招待を受けている。またプロダクションデザインに『フォードVSフェラーリ』のマヤ・シモグチ、メイクアップアーティスト&ヘアスタイリストに『ベルファスト』のワカナ・ヨシハラの名前がある。今年招待されたのは397人。俳優では、『コーダあいのうた』のトロイ・コッツァー、『ベルファスト』のジェイミー・ドーナンとカトリーナ・バルフ、『ロスト・ドーター』のジェシー・バックリー、『ウエスト・サイド・ストーリー』のアリアナ・デボーズ、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェシー・プレモンスとコディ・スミット=マクフィー、『ラストナイト・イン・ソーホー』のアニャ・テイラー=ジョイなどの名前がある。文=猿渡由紀
2022年06月29日お笑いコンビ・よゐこの有野晋哉、濱口優が16日、都内で行われた「明治メイバランスMiniカップミルクテイストシリーズ7品『総合栄養食品』表示許可取得記念イベント」に、元プロレスラーの佐々木健介とともに出席。「栄養健康食品のように頼れる存在は?」という質問に有野は「相方」と間髪入れず回答も、濱口は妻であるタレントの南明奈と答えた。「総合栄養食品」の許可表示は、医学的、栄養学的な根拠をもとに基準が定められ、消費庁が表示の許可を出すもの。この度「明治メイバランスMiniカップ」シリーズの「コーヒー味」「ストロベリー味」「ヨーグルト味」「バナナ味」「コーンスープ味」「抹茶味」「フルーツ・オレ味」の7品が表示許可を得た。通常の食事で十分栄養を取ることができない人や、低栄養の人の頼れる存在という明治メイバランスMini。バラエティ番組等でサバイバル生活を送る濱口は「常温で保存できるので、無人島に持って行ってもいいかもしれませんね」と気に入った様子を見せる。“健康維持の頼れる存在”という商品にちなんで、それぞれの「頼れる存在」について司会者が質問すると、有野は「やっぱり相方ですね」と即答する。同じ質問をされた濱口は「モリ」と無人島生活に欠かせない道具を挙げるも「でも、奥さんかな」と妻・南明奈の名前を言い直す。続けて濱口は「僕の身体のことを気にかけてくれるし、奥さんがいないと忘れ物だらけになっちゃう」と頼れる存在であることを明かす。そんな濱口の回答に有野は「なかなか相方って言ってもらえませんね」と苦笑い。さらに「モリや奥さんの方が頼れるんですね」とさみしそうな表情を浮かべていた。また、家族をまとめる秘訣を聞かれた登壇者たち。佐々木は「黙って妻(北斗晶)の言うことを聞く」と答えると、濱口も有野も「それは間違いない」と追随。濱口は「不満を口にするより“ありがとう”の言葉を大切に心掛けています。その方が、家庭は明るくなる。妻の言うことは絶対です」と付け加えると、有野は「僕は妻に不満なんてないですからね」と濱口に突っ込みを入れていた。
2022年06月16日『ドライブ・マイ・カー』がアカデミー賞国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督の『偶然と想像』が、4月6日にフランス全土で公開され、わずか3週間足らずで動員が10万人を突破する大ヒット。フランス版ポスタービジュアルが到着した。昨年開催された第71回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)に輝き、フランス国内プレミア上映のナント三大陸映画祭では最高賞〈金の気球賞〉・観客賞のW受賞、第17回CineFestミシュコルツ国際映画祭では最高賞にあたる〈エメリック・プレスバーガー賞〉を受賞するなど、昨年日本で公開されるやBunkamuraル・シネマで連日満席が続出、傑作と称賛する反響を呼んだ本作。『ドライブ・マイ・カー』がアカデミー賞に輝いたことで本作の注目度もより一層高まり、現在は20か国以上の国と地域で上映決定、40以上の映画祭に出品となった。日本国内では2021年12月17日(金)の公開から動員数は7万人を超え、現在も4か月以上の大ヒットロングラン中。本作の公開館Bunkamuraル・シネマでの上映が5月5日(木)で終了する。フランスでは観客動員10万人を突破した(2018年公開、濱口竜介監督『寝ても覚めても』はフランスの最終動員が約10万人)。今回解禁となったフランス版ポスタービジュアルは、白を基調とした日本版とは全く異なり、第2話「扉は開けたままで」の奈緒(森郁月)が中心に大きく描かれ、パープル一色で構成された鮮明で印象的なポスターとなった。さらに韓国でも5月4日(水)より公開が決定。本作の第1話に出演している玄理が韓国での本格的活動を目指し、韓国公開に合せて訪韓も予定されている。『偶然と想像』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:偶然と想像 2021年12月17日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開©︎ 2021 NEOPA / fictive
2022年05月02日村上春樹の短編を映画化した島秀俊主演、濱口竜介監督最新作『ドライブ・マイ・カー』が第94回「アカデミー賞」国際長編映画賞を受賞した。この映画史に残る快挙を記念し、4月5日(火)に、東京・千代田区の日本記者クラブで凱旋記者会見が行われ、濱口竜介監督と主演の西島秀俊、本作のプロデューサー・山本晃久が出席した。日本映画がアカデミー賞の国際長編映画賞(旧称:外国語映画賞)を受賞するのは、映画『おくりびと』(滝田洋二郎監督)以来13年ぶりの快挙。栄誉の象徴であるオスカー像を手にして登場した濱口監督は「これだけ多くの国に作品が受け入れられたということを、驚きを持って受け止めている」と戸惑いつつも、広く支持された理由については「(原作の)村上春樹さんの物語が持つ普遍性にあると思う」と村上文学の高いドラマツルギーにあると分析する。さらに受賞の瞬間についての感想を問われると「どう言ったらいいのかわからないというのが根本にある。直前に至るまでにオスカーというものが自分の人生に関係するとは思ってもいなかったので、どう振る舞っていいのかわからなかった」と率直な感想を吐露した。また今回の快挙は自身のキャリアにおいてあくまでも「通過点であったらいい」と言うが、受賞の際のスピーチには若干の反省があるようで「僕がサンキューと言ってしまったがために会場の音楽が流れてしまって、その先の言葉が言えなかった。もし次にチャンスがあるならば、今回の教訓を活かしたい」とはにかむ。亡き妻への喪失感を抱える舞台俳優で演出家の家福悠介を演じた西島。「応援していただいたみなさんの力のお陰で素晴らしい体験をさせていただきました。現地でも『美しい映画だった』と言っていただきました。この魂の救済の映画が国や言語の壁を越えて人々の心に大きく響いたことを実感しました」と喜びを噛みしめ、山本プロデューサーも「小さくささやかな現場から始まったこの作品が数々の賞とアカデミー賞を経てみなさんのもとに戻ってきました!」と凱旋を報告した。本作は国際長編映画賞だけでなく作品賞、監督賞、脚色賞にもノミネートされている。濱口監督は「前日にノミネート者たちとのディナーがあり、スティーヴン・スピルバーグ監督やポール・トーマス・アンダーソン監督と同じテーブルになりました。なんでこんなところにいるのだろうか?という気持ちになった」と夢心地だったことを回想。映画で世界を目指す後進に向けては「このような機会(アカデミー賞ノミネートや受賞)が今後も続いてくれれば日本映画にとってはありがたいこと。世界の目が今アジア映画や日本映画に向いていることは今回の経験でわかったので、世界を目指すのならば野心を持ってやってもらいたい」とエールを送った。現地で授賞式に参加した西島は「アカデミー賞の場に行くまでは緊張するだろうと思っていたけれど、意外に緊張しなくて今日の方が緊張しています」とジョークを交える。授賞式前日には敬愛する映画監督であり俳優のジョン・カサヴェテス監督のお墓参りに行ったそうで「その時に自分の中でも驚くくらいに心が動いた。かつて濱口監督も観ていたジョン・カサヴェテス監督の特集上映から約20 年の時を経てロスに降り立ち、カサヴェテス監督のお墓に行き『明日アカデミー賞に出るんだ』と感じ入るものがありました」としみじみ。アカデミー賞という貴重な場に同席した栄誉については「素晴らしい作品という偉大な魂が僕をここに運んでくれたんだと思いました」と喜びを噛みしめた。濱口監督の演出術を「丁寧に時間をかける現場だった」と語る西島は「今回の演技は説明を排除した演技で、観客の皆さんとの共同作業で作り上げるような演技でした。自分の信じる演技を見つめ直し、勇気を出してやろうと演じた記憶があります。その演技を各国の皆さんに見てもらえたことは希望であり、素晴らしいこと」と回想。その結果「自分の信じる演技をやるしかない」という結論に達したという。そして後輩たちに向けて西島は「僕よりもはるかに才能のある日本の若い俳優さんも多いので、みなさんが自分の信じる演技を突き詰めていったその先には、信じられないようなことが起こるのではないか。今回僕が体験したことは若い俳優さんたちに会ったら伝えていきたいと思うけれど、僕程度の俳優が行けたので、みなさんにも可能性があるはずです」と謙遜交じりに後進の活躍に期待を込めた。本作は、これまでに第74回「カンヌ国際映画祭」にて日本映画初の脚本賞を含む4冠を受賞。その後「ゴールデングローブ賞」非英語映画賞、「インディペンデント・スピリット賞」国際映画賞、「クリティクス・チョイス・アワード(放送映画批評家協会賞)」外国語映画賞、「ニューヨーク映画批評家協会賞」作品賞、「ロサンゼルス映画批評家協会賞」作品賞・脚本賞・監督賞次点、「ボストン映画批評家協会賞」にて西島秀俊の最優秀男優賞を含む4冠、「米批評家協会賞」では作品賞とアジア初・主演男優賞を含む主要4部門での受賞など、世界中で90以上の賞を受賞している。『ドライブ・マイ・カー』ロングラン公開中
2022年04月05日映画『ドライブ・マイ・カー』の凱旋舞台挨拶イベントが5日に都内で行われ、西島秀俊、三浦透子、岡田将生、霧島れいか、濱口竜介監督が登場した。同作は村上春樹の同名短編小説に惚れ込んだ濱口竜介監督の最新作。妻を失い、喪失感のなかで生きる舞台俳優・家福と、寡黙な専属ドライバー・みさきという孤独な2人が、愛車サーブを通して出会い、一筋の希望にたどり着くまでを描く。第74回カンヌ国際映画祭で日本映画として初となる脚本賞を受賞した同作は国内外の様々な賞を席巻し、第64回アカデミー賞 国際長編映画賞に輝いた。授賞式の場に立った濱口監督は「気持ちを落ち着けてなんとかスピーチをしなきゃと出て行って、自分もできるだけ短くしたいと思っていたので冒頭部分は英語でと思っていたら、大体冒頭部分で終わってしまったんですけど……『Thank you』というのが早すぎたんです。その場にいた俳優さん、いなかった俳優さんにも感謝をつ会えられたので良かったと思います」と振り返った。スティーブン・スピルバーグ監督とも写真を撮っていた濱口監督は「エレベーターを待っていたらスピルバーグさんがすっと通って行かれたので、自分は怖気付いていたんですけど周りから『行きなさい』みたいな。それで『ご一緒できて光栄でした』と話しかけたら、『ドライブ・マイ・カー』について「改めて素晴らしい映画だった、賞にふさわしい映画だった』とおっしゃていただいて、夢のような体験でした。子供の頃からスピルバーグ監督の映画を見てきたので、そんなことがあるんだと思いました」と状況を語る。同じくその場にいた西島も「ポール・トーマス・アンダーソン監督が『素晴らしかった』とおっしゃったり。ジェーン・カンピオン監督が岡田くんに『Bad boy』と言って、悪い男をすばらしく演じたと伝えてらっしゃったり」と明かすと、岡田は苦笑。「『そうです』と思いましたけど、この作品をちゃんと見てくれた上でおっしゃってくれてたので、本当に嬉しかったです」と喜んでいた岡田は、「僕は授賞式前にインタビューで『コーダ あいのうた』が好きだと言っていたら、トロイ・コッツァーさんとお話しする時間があって、通訳さんと手話の通訳さんと4人だったんですが『日本の手話と違うから、こうやってやるんだ!』と興奮しておしゃべりされてるので、何も聞けなかった。それで呼ばれてしまったので去ったんですけど、すごく貴重な時間でした」と明かした。トロイ・コッツァーと写真を撮っていた霧島も「そんなにたくさんお話しできなかったんですけど、目の前にいらっしゃったので。『コーダ あいのうた』は劇場で見て本当に恥ずかしいくらい大泣きしたくらい好きな作品でしたので、ガッと捕まえて、自己紹介して『ドライブ・マイ・カー』に出ていますということを説明して『好きな映画です。美しい映画だと思いました』とお伝えしたら、本当に嬉しそうに笑ってらっしゃって、お写真お願いしました」と楽しんでいたようだった。濱口監督が「どこを見ても伝説みたいな人がいて、ウィル・スミスさんがそこを通って行ったりとか……」と言うと、会場はざわつく。「ビル・マーレイさんがいたり、楽屋裏に入って行ったらコッポラ監督とロバート・デ・ニーロとアルパチーノが準備をしていて『何なんだこの世界は』と思いました」と豪華な思い出を振り返った。この日は実際にオスカー像も登場し、「意外と重いものでしで、2年前にポン・ジュノ監督が片手で軽々上げてたので、監督の筋力がすごいなと思いました」と語る。授賞式にいなかった三浦がその場で持つこととなったが「『重い重い』と言われてたから、そんなに重くなかったです」とその場の笑いを誘うと、濱口監督は「筋力がめちゃめちゃあるのかな」とコメントしていた。
2022年04月05日