質問:がんは遺伝すると聞いたことがあります。生活習慣が異なってもがんは遺伝するのでしょうか?現在、第一子を妊娠中の30歳です。夫の母がぼうこうがんに、私の母が卵巣がんになり、手術は成功したものの、転移の恐怖や、後遺症で苦しんでいます。がんは遺伝するとも聞いたことがあります。実際のところ、生活習慣が異なっても遅かれ早かれがんは遺伝するのでしょうか?愛知県:とちおとめ♪さん(30)回答:「ぼうこうがん」と「卵巣がん」の遺伝性についてお答えします。――「ぼうこうがん」の遺伝性ご妊娠中とのことで、おめでとうございます。また、義理のお母さまがぼうこうがん、実のお母さまが卵巣がんにかかられたということで、大変でしたね。がんの原因に関しては、さまざまな研究が進められていますが、子宮頸がんなどのようにウイルスとの関連がある程度明らかになっているものもありますが、多くは遺伝的なものと生活習慣の組み合わせで生じるものとされています。義理のお母さまがかかられたぼうこうがんに関しては、遺伝性のものは少ないとされており、喫煙との関連性が非常に高いといわれています。それ以外に、特定の染料を使う職業や皮革製品の製造などに携わる人の発症率が高いことも指摘されていて、職業による発がんも見られるとされています。<「卵巣がん」の遺伝性>一方、お母さまがかかられた卵巣がんに関しては、一部遺伝性があることがはっきりしています。およそ5~10%の卵巣がんは、「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」によるものと考えられており、BRCA1遺伝子、BRCA2遺伝子という遺伝子の変異が関与するといわれています。これらは、遺伝子検査で調べることができます。遺伝性乳がん卵巣がん症候群が疑われる場合としては、若くして乳がんを発症していること、両方の乳房に乳がんを発症すること、乳がんと卵巣がんの両方を発症すること、家系内に乳がん・卵巣がん・すい臓がん、または男性の乳がんの患者さんがいるなどといったケースが挙げられます。ご相談者さまの場合は、家系内に卵巣がんの患者さんがお母さまだけであり、ある程度お年を召してからの発症ということならば、遺伝性のものである可能性はそう高くはないでしょう。ご心配であれば念のため検査を受けてもよいかもしれません。また、卵巣がんは原因がはっきりしないものが多くを占めますが、初経(初潮)が早かった人(12歳以下)、閉経が遅かった人(55歳以上)、30歳以降に出産した人、妊娠や出産経験がない人、排卵誘発剤による不妊治療を受けた人などが、相対的にリスクが高いとされています。がんの多くは遺伝性ではありませんし、その後の生活習慣が発症に大きな影響を与えると考えられています。食事のバランスや運動習慣、生活のリズム、禁煙などに気をつけて生活することで多くは予防できると思われます。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:20年ほど前から胸の痛みと背中・のど・右鼻に違和感があります…20年ほど前から胸の痛みと背中・のど・右鼻に違和感があります。胃カメラでも異常なく、狭心症の検査も行い、ニトロを飲んでも効かなかったので、そのまま通院していません。20年前は1分ほどだったのですが、今では長いときは30分ほど痛みが続きます。先日耳鼻科も受診しましたが異常ありませんでした。受診はしていませんが、起立性低血圧もあると思います。何の病気か不安です。教えてください。兵庫県:キキさん(53)回答:胸の痛みと、背中・のど・鼻の違和感についてお答えします。――「微小血管狭心症(びしょうけっかんきょうしんしょう)(MVA)」について胸の痛みと、背中、のど、右鼻に違和感があるということですね。以前、胃カメラで異常がみられず、狭心症の検査でニトロを服用したけれども効果がみられなかったが、最近では痛みの持続時間が長くなってきており、ご自身としては起立性低血圧の症状も自覚していらっしゃるということでよろしいでしょうか。広範囲にわたって症状が出ており、専門の先生が診察されてもはっきりした病名がついていないようなので、私がこれらの情報から病名を推測するのは非常に困難なのですが、比較的最近、1998年よりニトロの効かない狭心症である、「微小血管狭心症(MVA)」という新しい疾患概念が出てきていますので、ご紹介したいと思います。一般的に、狭心症を診断する際には、特徴的な心電図変化があること、ニトログリセリン製剤など硝酸薬を舌下することで症状が消失する、といったことにより診断されます。しかし、ニトログリセリン製剤が約半分の患者さんにしか効かないという特殊な狭心症の存在が明らかになりました。これが、微小血管狭心症であり、一般的な狭心症のように冠動脈の狭窄やれん縮によって起こる狭心症ではなく、心臓の筋肉の中の細い血管のれん縮や閉塞により、血流不足が起きて胸痛を呈するものと考えられています。特徴としては、中高年の女性に多く、心電図の特徴的な変化は見られるがニトログリセリンが半数くらいでしか効かないこと、痛みが出る時間や状況はさまざまで、1時間半を超えて長い間続くこともあること、などが挙げられます。今までは、いわゆる心臓神経症の一種などとされてきましたが、現在では原因もわかってカルシウム拮抗薬(きっこうやく)を用いた治療が定着してきています。<循環器内科の受診をおすすめします>ご相談者さまの症状が微小血管狭心症によるものであるかどうかはわかりませんが、発作の時間が長くなってきていること、長期間循環器内科を受診されていないことなどから、一度受診してご相談されてみることをおすすめいたします。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:脳血管疾患・くも膜下出血後の片麻痺があります。改善する新しい治療法を紹介してほしい。私は2年前の2月、入浴中に倒れて病院へ運ばれ、脳血管疾患・くも膜下出血と診断され、緊急手術でクリッピング手術をしました。まだ、片麻痺が残り左手・左足がビリビリと痛み、ひどい時は杖が必要です。2年の通院で痛みが軽くなりましたが、さらに改善したく食事療法や運動療法関連の本を読み努力しています。新しい治療法があれば試したく、研究中のものでもいいので紹介してほしいです。静岡県:ゆうママさん(41)回答:「くも膜下出血」後の治療についてお答えします。――脳卒中後の痛みについて一昨年に脳血管疾患・くも膜下出血を患われ、クリッピング手術を受けられたということですね。くも膜下出血は死に至る可能性もある怖い病気ですので、2年が経過して片麻痺が残り、左手足のビリビリとした痛みもあるということはお辛いでしょうが、自宅での生活が可能になったということは本当によかったと思います。少し専門的なお話になりますが、経験されているくも膜下出血後の痛みは、中枢性の疼痛と呼ばれ、原因としては脊髄視床路(せきずいししょうろ)および大脳皮質への投射路と関係するものと考えられます。こういった痛みには従来の鎮痛薬やモルヒネなどは効きづらく、抗てんかん薬、抗うつ薬、バルビツール系などのお薬で効果があることがあります。また、ペインクリニックなどで行っている局所麻酔薬の投与や、交感神経ブロックも効果を示すことがあります。加えて、自発性定常痛(特に刺激を加えなくても同じ部位に痛みがでるもの)に対しては、状況により「脳深部電気刺激療法」と呼ばれる治療法が適応となる場合もあります。この脳深部電気刺激療法とは、体内に電極を挿入し、特定の場所に弱い電流を流すことで痛みの緩和を目指すものです。完全に痛みがコントロールできることは少なく、また、入院して電極を埋め込むことや機器の操作が必要になってきますが、鎮痛薬を減らしたり、少しでも楽に生活したりするためには役に立つことがあります。<麻痺に対してのリハビリテーション>加えて、麻痺に対しては運動を正しいやり方で繰り返すことによって、新しい神経ネットワークを構築するのが目標になりますが、動かさなくなってから時間が経過すると、筋肉がこわばった状態になり関節が硬くなってしまうことがよくあります。これは痙縮(けいしゅく)と呼ばれる、脳血管疾患発症後一定期間経過した後のリハビリの大きな妨げになるものです。痙縮を改善する目的で、ボツリヌス菌と呼ばれる猛毒をごく薄く薄めたものを使う治療も保険内で行われています。リハビリテーション科や神経内科で扱いがあるかと思いますので、ご興味があれば、受診して相談なさることをおすすめします。脳血管疾患後のリハビリとしては、できる範囲で日常動作を継続していくことが大きなカギとなります。再度同じような病気にかかることがないよう、血圧のコントロールや服薬などは忘れずに行ってください。どうぞお大事に。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:一般的に何歳ぐらいから脳血管疾患の危険性が増すのでしょうか?30代半ばの主婦です。父方、母方両方の祖母が、脳卒中が原因で、認知症になったり、亡くなったりしました。私自身はお酒もたばこもたしなみませんが、一般的に何歳ぐらいから脳血管疾患の危険性が増すのでしょうか?また、早期発見できた場合とできなかった場合、どれだけの医療費の負担差が予想されるでしょうか?滋賀県:atuさん(35)回答:年齢と「脳血管疾患」の関係についてお答えします。――「脳血管疾患」の危険因子一般的には、脳梗塞などの脳血管疾患は、中高年や高齢者に発症することが多いです。一方、脳血管疾患の一つであるくも膜下出血は、40代、50代の働き盛りにも起きますので、特定の年代に限ったものではありません。では、脳血管疾患の危険因子を見てみましょう。■高血圧最も危険な原因は「高血圧」です。軽度の高血圧者(上の血圧が140~159mmHgほど)が脳卒中で死亡する危険度は、至適血圧者(してきけつあつ:理想的な血圧の値のこと)(110~119mmHg)と比べ、約3倍になります。重度の高血圧者(上の血圧が180mmHg以上)の場合、リスクは7倍以上に高まります。その他の要因は下記が挙げられます。 ■不整脈 「心房細動」という不整脈は、心臓が原因で起こる脳梗塞の最大の原因になります。きちんと脈を刻めない心臓は、流れが滞り、血液の塊ができてしまいます。その塊が脳へと飛び、脳梗塞になるのです。主な原因は高血圧、心筋症、心臓に酸素を送る冠動脈の動脈硬化です。しかし、過度な喫煙、飲酒、過労なども発作を誘発する場合があります。■脂質異常症動脈硬化を引き起こすLDLが高いと危険です。■高血糖状態糖尿病により高血糖状態が継続し、脂質が高い状態も加わると、動脈硬化を促します。脳の毛細血管まで硬化すると、脳梗塞のリスクが高まります。■喫煙たばこを吸わない人に比べて2.0~2.5倍も危険性が高いといわれています。喫煙をすると、血圧が上昇し脳の虚血が進行します。一酸化炭素やニコチン、タールなどが身体に入り、全身の血管が収縮するためです。 ■過度な飲酒お酒は、ほどよく飲む分には身体のリラックスや食欲の増進、血の巡りをよくするといった、プラスの効果があります。ですが、過度な飲酒は、肥満・動脈硬化・高血圧・糖尿病を引き起こし、また脳卒中のリスクを高めます。上記以外にも、家族に脳血管疾患になった人がいる場合は、脳卒中になる危険性が高くなります。遺伝の問題のため予防は難しいですが、発症のリスクが高いことを知っておいてください。<早期発見できた場合とできなかった場合の治療費>また、早期発見できた場合とできなかった場合の治療費の差、ということですが、脳血管疾患の一つである脳梗塞の場合を見てみましょう。この場合は早期の対応が重要になります。発病から3時間以内であれば、t-PAという薬を使用し、原因となった血栓を溶かすことが可能だからです。この条件に当てはまった50代の男性の場合、入院10日、治療費負担額30万円ほどで済んだのですが、t-PAを使用した治療を行うことができなかった70代の男性は、脳の血管が狭くなった部分を広げるためにステントという器具を入れる手術を行い、25日入院しました。結果、80万円ほど負担することになったのです。早期発見で、しかも血栓溶解療法が適応できた場合には、そうでない場合と比べ、治療費に大きな差が見られます。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:会社の健康診断で生活習慣病と言われました…会社の健康診断で生活習慣病と言われました。私には高脂血症と糖尿病があり経過観察項目がありました。55歳という年齢で、いつ何が起こっても不思議ではないなと思うようにもなり、脳のMRIを撮ったところ画像には白い点が4つ並んでいて、すぐにも精密検査と言われています。この年齢から具体的にどのようなことに気をつけて生活すればよいでしょうか?千葉県:かずこさん(55)回答:「高脂血症」と「糖尿病」についてお答えします。―――生活のなかでできること現在、高脂血症と糖尿病は内服薬なしで経過観察ということでしょうか。脳のMRI所見では小さな梗塞巣(こうそくそう)があり、精密検査の予定なのですね。精密検査は頚(頸)動脈の超音波検査を行って動脈硬化を調べたり、脳内の血管をCTで表現する3DCTなどで狭窄(きょうさく)や石灰化がないか確認したりすると思います。高脂血症と糖尿病に対して、生活のなかでご自身でも実践できることがありますのでご紹介します。・減量まず、肥満があるかチェックしましょう。BMI(Body Mass Index)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められた数字が、22±2であれば標準です。それ以上であれば肥満ということになります。標準体重は身長(m)×身長(m)×22で求められます。肥満と分かれば適正体重を目指して、減量していきましょう。・食事前述の標準体重に25~30kcalをかけたものが1日の摂取カロリーの目安となります。例えば、身長175cmの場合、1.75×1.75×22×25(~30)となり、おおよそ1,700~2,000kcalとなります。こう書くと難しく感じるかもしれませんので、まずは表示されているカロリーを気にすることから始めてみましょう。商品のパッケージの裏面や側面に、成分表がありカロリーが記載されています。それも面倒という場合は、間食をやめる、寝る2時間前からは食べない、お酒は飲まないといったように食生活の改善を始めましょう。・運動ウォーキング、軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を始めてみましょう。強さの目安は多少息切れはするものの、人と話しながら続けられる程度です。なお、運動療法を始める前に、運動が可能か心臓の状態を調べる必要があります。・禁煙ニコチン自体が強力な血管収縮作用を持つため、血管が狭くなり、血圧が上昇し血流は低下します。また、煙に含まれる一酸化炭素は酸素よりもヘモグロビンと結合しやすいため、全身の組織が酸素欠乏状態になってしまいます。このため二次性の多血症が起こって血液粘稠度(けつえきねんちょうど)が増し、血栓ができやすい状態になります。たばこに含まれる活性酸素も血管内皮を害するため、さらに血栓や塞栓症の発症を促します。活性酸素により酸化変性を来たした脂質は、動脈硬化を悪化させます。施設によっては禁煙外来を開設しています。喫煙されていて、自力で禁煙するのが難しい場合はご利用ください。<生活習慣の見直しを実践していきましょう>やはり、生活習慣を見直すことが一番の治療です。見直したら実践する、文字にすると簡単ですがなかなか大変です。頑張っていきましょう。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:不整脈は脳血管疾患の原因になると聞いたことがありますが、気をつけることはありますか不整脈と言われたことはありませんが、健康診断の血圧、脈拍の項で再検査や要観察となることがあります。不整脈は脳血管疾患の原因になると聞いたことがありますが、気をつけることはありますか?また、3カ月前に歩行中に車に接触し、転倒してアスファルトに後頭部を強打する事故に合いました。しばらくめまいが続きましたが今は回復しています。事故の後で脳出血の原因となることはありますか?埼玉県:みのりさん(44)回答:「不整脈」と「脳血管疾患」の関連性についてお答えします。―――「不整脈」と「脳血管疾患」の関係まず、一つ目は、不整脈と脳血管疾患の関連性に関するご質問ですね。不整脈は脳梗塞の原因として非常に重要なものと考えられていますが、すべての不整脈が脳梗塞を起こすわけではありません。健康な人にも不整脈は起こることがありますが、危険な不整脈が起こると脳梗塞を起こしたり、倒れたりすることがあります。脳梗塞と特に関連が深いと考えられている不整脈は「心房細動」と呼ばれる不整脈です。この心房細動について、少しご説明しましょう。心臓は身体の各部に血液を送り出すポンプの働きをする臓器で、左右二つずつの心室と心房とからなります。心臓の筋肉が拡張と収縮を繰り返している時、微弱な電流が発生します。心電図検査はこの電流の活動を読み取ることで、心臓の各部の働きを調べる検査になります。正常な心臓であれば、心房の収縮→心室の収縮→心室の収縮の終了、と規則的に波が出現しますが、心房細動の状態になると心房の筋肉が不規則に収縮し、小刻みに震えたような状態になります。このため、心房の中の血液の流れが滞り、主に左心房の壁の一部に血の塊(血栓)ができてこれが血流に乗って脳などに運ばれ、脳梗塞を起こすことが知られています。このメカニズムにより、心房細動のある人は、ない人に比べて脳梗塞の発症率は5倍も高いといわれています。心房細動は女性より男性に多い傾向があり、加齢とともに増えてくる傾向があります。また、高血圧や糖尿病、強いストレスなどがあると心房細動が発症しやすく、遺伝性もあることが知られています。食生活や運動習慣、適切なストレスの解消といった予防を心がけることが、脳梗塞を避けるための第一歩といえるでしょう。もちろん、もし心房細動を発症してしまったら、薬物療法はじめ適切な治療を続けることは非常に重要です。<脳の出血について>また、二つ目の、頭を強く打った数カ月後に脳に出血が起こる可能性に関するご質問ですが、頭部を強く打った後しばらくしてから、脳と脳を覆っている硬膜との間に徐々に血腫ができ、さまざまな症状が出る「慢性硬膜下血腫」という病気が知られています。高齢者に多い傾向がありますが、若い方に発生することもあり、頭痛や歩行障害、片麻痺や物忘れなどで気づかれることがあります。頭を打ったあとにある程度時間が経過していても、「おかしいな」と思われたらぜひ脳神経外科を受診してください。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日最近なかなか寝付けない…もしかしたら私は不眠症かも?と悩まれている皆様、病院を訪れることも苦しみから解放されるための一つの選択肢かもしれません。病院の受診を考えられている方に、不眠症の治療について簡単にご説明します。不眠症の治療法には、睡眠衛生指導や認知行動療法による非薬物療法と、睡眠薬を主体にした薬物療法があり、両者をうまく組み合わせることで、効果的な治療が可能になります。不眠のネガティブスパイラル慢性的な不眠に悩む患者さんは、「ぐっすり眠れない」ことが、疲労や体調不良の根源と考えるようになり始めます。眠ることばかり意識した結果、焦り、不安、緊張が徐々に強くなり、ますます眠れずに不眠恐怖症に陥る悪循環がみられがちです。このように不眠のネガティブスパイラルに陥った状態では、不眠に対する過度のとらわれから、不安・緊張感の増強、誤った回避行動による悪循環を繰り返すことになります。認知行動療法で、ネガティブスパイラルから抜け出すこういった不眠の患者さんの誤った認知と行動を修正していくのが、認知行動療法(Cognitive behavioral therapy; CBT)です。刺激制御療法、睡眠制限療法、筋弛緩療法、自律訓練法、バイオフィードバック法などを組み合わせたcombined CBT(c-CBT)が、欧米では積極的に取り入れられ、日本でも注目されています。不眠症に用いられる代表的な認知行動療法<刺激制御療法>「寝室=眠れない」という条件反射を起こす刺激を取り去り、本来の「寝室=眠れる」という条件付けを強化する方法です。・眠くなってからのみ寝床に入ること・寝床は睡眠と性生活のみに使用すること(読書、テレビ、パソコン、食事などは禁止)・寝床に入っても20分以上眠れなければ、すぐに寝床から出て、別の部屋で過ごし、再度眠気が生じてからで寝床に行くこと。眠れなければこれを繰り返す。・いかに眠れていなくても、毎朝決まった時間に起床すること。<睡眠制御療法>不眠の患者さんは、少しでも長く寝床で過ごす傾向があり、就床時間が長ければ長いほど、不眠体験も増えてしまう悪循環を断ち切る方法です。・2週間の平均睡眠時間+15分だけ寝床にいるようにする(最短は5時間まで短縮)。・起床時刻は平日も休日も一定とし、上記で算出した睡眠時間に合わせて就寝時刻を設定。・日中昼寝の禁止。・寝床にいる時間の9割以上眠れた日が5日間続いたら、就寝時刻を15分早めて、これを繰り返し、必要な睡眠時間まで徐々に延長していく。<筋弛緩療法>不眠の患者さんでは、就寝前の不安、緊張から全身の筋緊張が高まった状態にあります。前腕や上腕など末梢の特定の筋肉を収縮させて筋緊張と弛緩の感覚を覚えていき、徐々に全身の筋肉を弛緩させてリラックスした状態に導く方法が用いられます。<自律訓練法>横になってリラックスし眠りに落ちていく際に、だんだん手足が温かく重みを感じるようになり、呼吸はゆったりしていきます。このイメージを利用して、楽な姿勢をとり、「右腕が重くなる」「左腕が温かくなる」と段階的に自己暗示をかけながら、リラックスした状態を作り出す方法です。<バイオフィードバック法>筋電図など装置を利用して音を出し、筋緊張や弛緩の変化を確認しながら、コントロールしていく方法です。“簡単かつ効果大”な認知行動療法忙しい日々の診療では、時間や装置が必要なCBTは、どうしても敬遠されがちです。本格的なc-CBTは専門家にお任せするとして、時間制限療法、刺激制御療法、睡眠衛生指導を主軸とした簡易な認知行動療法をマスターして、薬剤処方と組み合わせて行えば効果大です。・睡眠時間は6時間の設定からスタート。起床時刻を決め、そこから逆算して就寝時刻を決定。・上記の時間帯以外、寝床にはいないこと。・光は就寝前は×、起床後は○。・就寝4時間前よりカフェイン、アルコールは禁止。就寝前に重い食事やたばこも禁止。・夕食前後の軽い運動とその後ぬるめのお湯に入浴する。・日中はなるべく活動的に過ごし、昼夜のメリハリをつけること。昼寝は禁止。睡眠薬治療のターゲット不眠症の患者さんでは入眠までの時間を要し(入眠潜時の延長)、中途覚醒数・時間の増加、早朝覚醒により総睡眠時間が短縮しています。また、深いノンレム睡眠(徐波睡眠)の出現量は低下し、睡眠は浅く分断化した結果、通常は約90分周期で現われるレム睡眠の出現量も減少します。このように、不眠症の患者さんでは、睡眠の長さと深さとリズムが損なわれた結果、翌日の不調感やパフォーマンスの低下を来たした状態にあります。睡眠薬治療のターゲットは、ずばり、夜間睡眠の長さと深さとリズムを取り戻し、翌日、頭はすっきりし、活き活きと過ごせる日中のパフォーマンスを回復することにあります。[参考]厚⽣労働科学研究・障害者対策総合研究事業「睡眠薬の適正使⽤及び減量・中⽌のための診療ガイドラインに関する研究班」および⽇本睡眠学会・睡眠薬使⽤ガイドライン作成ワーキンググループ 編 『睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン』 by Vic
2016年10月20日妊娠がわかってから最初にやるべきことは、ずっと付きあうことになる病院選び!しかし、地元で長くやっている病院でもない限り、どんな病院なのか知る機会は少ないですよね。それでも早く決めなきゃいけないし…。そんなときに利用すべきは、口コミサイト! いろいろなサイトがありますが、どんな情報をピックアップすれば納得した病院を選べるか、チェックすべきポイントをお教えします。■妊娠週数が進むと意外とネックな待ち時間の長さ大病院に多いのが、長い待ち時間。「予約制にもかかわらず、毎回かなり待たされる」なんて声がある病院は、できれば避けたいところ。検診は最初は月1回でも、妊娠月齢が進めば2週間に1回、1週間に1回と、頻度が高くなります。その度に待たされてばかりではイライラもたまりますし、予定も立てづらいです。大きな病院だと複数の診療科が併設されているため、長い待ち時間中にいろいろな人が出入りします。妊娠期間中は簡単に薬が飲めないため、風邪がはやる期間は気になってしまいます。■検診費用もさまざま市町村から検診の助成券が出ると思います。それを使うと検診費用がほぼかからないところもあれば、毎回結構取られるな…というところまで、じつにさまざま。家から近いこともあり、筆者は新しい大学病院に通ったのですが、助成券を使っても毎回数千円の費用がかかって少しびっくりしました…。費用にそこまで差があるとは、当時は知らなかったのです。■重視すべきサービス内容を見きわめるいざ出産! どうせなら、快適に過ごしたいですよね。入院中のサービスも病院によってちがいます。毎回食事が豪華なところもあれば、「給食みたいだった」なんて声が上がるところも。部屋から移動せず、そのまま分娩できる病院から、とくに目立ったサービスはなくいたって普通だけど、出産費用は助成金でほぼまかなえたという病院もあります。費用とサービス、どこに重きを置くかによっても選ぶ病院は大きく変わるもの。出産費用は病院によって全然ちがうのです!■「母子同室」の程度もさまざま最近では、産後すぐに母子同室という病院も少なくありません。子育てに慣れることが目的といわれています。母子同室がはじまったら、「ママの体調が悪くても、何が何でも同室」というスパルタの病院もあります。一方、ママの体調優先で、「困ったらいつでも新生児室で預かります」というスタンスのところも。こればかりは、病院のパンフレッやホームページにも書いてないので、口コミサイトで調べるといいでしょう。じつは、筆者が入院中に1番ありがたかったのは、新生児室で赤ちゃんを預かってくれたこと。事前チェックはしていなかったのですが、緊張と産後ハイで眠れなかったとき、「赤ちゃんは預かるので、休んでくださいね」といってもらえてとても助かりました。友人に話すと「うちは体調悪かったのに、お願いしても預かりはやってませんっていわれてつらかった」と聞いて、そんなところもあるんだなぁと思ったのです。産後の体調ばかりは普段気をつけていても自分でどうにかなるものではないので、事前に確認できると安心です。妊娠がわかるとドキドキしたり不安になったり、その上体調まで変化しますから心配ごとも多くなりますが、産んでみれば、どれもいい思い出です。せっかくのマタニティライフ。相性のいい病院を見つけて、楽しく過ごしてくださいね!
2016年02月25日足が痛い!と思ったとき、あなたはどこへ行きますか? 骨にヒビが入っているかもしれないなら整形外科、タコや魚の目があるなら皮膚科でしょうか? 外反母趾があるなら…果たしてどこへ? 巻き爪の痛みなら…?そんな「足」の悩みやトラブルを総合的に診てもらえる医療機関があったらいいですよね? 日本ではまだ知られていませんが、アメリカではポダイアトリー(Podiatry:足病学)という学問があり、ポダイアトリスト(Podiatrist:足病外科医)という足だけの医師がいます。実は、日本でも足専門のクリニックがあります。それは東京・表参道にある「足のクリニック 表参道」。ここでは、日本初の足の痛みや変形に特化したクリニックで、くるぶしから下の「足」のトラブルなら何でも相談できる医療機関。「日本人は、いわゆる“靴”の歴史が短いので、昔は欧米諸国に比べて足のトラブルが圧倒的に少なかったこともあり、足の専門医学がとても遅れているのだと思います。アメリカには、目が悪いから眼科、歯が痛いから歯科、と同じように足のトラブルに対しては“足科”がある。アメリカ人が日本へ来て“足科がない”と知ると、驚くんですよ。アメリカではポダイアトリーといえばとてもメジャーなんですが、悲しいことに日本では知名度が低いんです。ドクターでさえ、その言葉を知らない方もいると思います」そう教えてくれるのは、「足のクリニック 表参道」院長の桑原靖先生です。確かに、日本の辞書には、ポダイアトリーはおろか足病学という項目もありません。あのウィキペディアにすらないのです。ポダイアトリー(足病学)とはそのままズバリ、人の足についての専門医学。診察に始まり、理学療法、生体力学、薬剤の処方、特別な靴やインソール処方、手術なども含めて足に起こるさまざまなトラブルを総合的に診る医学です。桑原 靖 先生 プロフィール「足のクリニック 表参道」院長。足病学、足病外科、形成外科など。日本には足(くるぶしから下)を専門的に診療する医療機関がほとんどないことに疑問を持ち、2013年、足の痛みや変形に特化したクリニックをオープン。足に対する専門的な診療を提供することに日々力を注ぐ。「足のクリニック 表参道」 近年多くなった足のトラブル、医師はどう対応する?日本人が、欧米人と同じようにつま先を覆う靴を履くようになったのは明治時代以降。それまでは、下駄や草履を履き、しかも家ではそれも履かなかった日本人には、足に外反母趾などのりクスを抱えていてもそれに気づかなかったことでしょう。足を締めつける靴が、さまざまな足のトラブルを表面化させるようになりました。朝から寝る直前まで靴を履く習慣のある欧米諸国で、早くから足の専門医学が発展したのはうなづけます。「日本も今では、小学生の子供でも外反母趾が多い時代。親が気づいてあげないと、そのまま成長してしまいます。幼い頃から医学的な介入で予防してあげるなど、親への教育も大切だと思っています。そのためにもやはり足専門のホームドクターが必要なんです。アメリカでは足を診る専門の医師、足病外科医の数は17,000人近くいます。そのほとんどが足専門医として開業していると言われるほど。通常の医師と同じで4年間大学で勉強した後、さらに4年間、ポダイアトリーの専門教育を受けけ、その後3年間の研修期間。それでやっと国家資格がもらえるんです。これは一般の医師免許と区別された、ポダイアトリストという医師免許。ポダイアトリストは整形外科、形成外科、外科、皮膚科、血管外科などに通じて、足の病気やトラブルについて専門的に学んだ医師だけが得られる資格なんですよ。それに対して日本では、整形外科の教科書600ページのうち、足について書いてあるのはわずか20ページほど。この差は大きいですよね」(桑原先生)桑原先生の「足のクリニック 表参道」は、アメリカのポダイアトリーの知識を元に日本で治療を行うため、必要な診療科(整形外科、形成外科、皮膚科、内科、外科、血管外科など)と連携する複数の専門医が、同クリニックに勤務する体制をとっています。これだけの医師がいるのは、患者さんが抱えているトラブルや病気がバリエーション豊かだから。外反母趾やハンマートゥなどの足の変形、足底筋膜炎、ハイアーチ、モートン病、巻き爪…他にも多種多様です。「でも、その原因はと言えばほぼ一つだけ。それは足のアライメントの異常です。顔と同じように足の骨格やそれに伴うさまざまなリスクも親から遺伝し、生活習慣や歩き方、履いている靴などがそのトラブルの悪化を助長します。また原因は骨の変形だけとは限らず、皮膚や血管、靭帯や筋肉にも関係しているんですよ」(桑原先生)寝たきり高齢者や、糖尿病で足をなくす人を減らしたい!桑原先生は、もともと形成外科医。簡単に言うと形成外科は「外観や機能の再建を行なう科」で、中でも先生の専門は「創傷治癒学」です。交通事故などによる外傷ややけど、手術などでできた皮膚の傷を治すのも専門領域。実は、先生は主に糖尿病の患者さんの足の切断、いわゆる「下肢切断」を行っていました。日本国内では毎年2万本の足が、糖尿病が原因で切断されていること知っていますか? 糖尿病の方が足を切断するようになるのに、最初はただの靴ずれや巻き爪、タコなど、ささいなことが大半の原因を占めるのだそうです。「糖尿病が重症化すると合併症で神経に障害が起き、足の感覚がなくなっていくので、進行すると痛みに気づかない。靴ずれや巻き爪になっても気づかず、放っておくと、その傷から細菌が感染して潰瘍や壊疽(えそ)を起こす。聞いたことがあるでしょう? 治療が遅れると切断につながるのです。アメリカでは糖尿病患者の下肢切断率は日本ほど高くありません。そこまで重症化する人がいないからです。日本の内科では、糖尿病になった患者さんを眼科に紹介するのですが、アメリカでは眼科に加えて足科にも紹介するのが普通なんですよ」(桑原先生)足をなくす人を減らすには、もちろん、まずは糖尿病を減らすこと。でも、放っておくと治ると思われている足のトラブルを、糖尿病になる前から早い段階できちんと治療することがとても重要です。糖尿病に由来する潰瘍や壊疽を診るドクターはたくさんいます。ただ、その要因となったタコやウオノメ、巻き爪、靴ずれ、外反母趾、水虫、足底筋膜炎などのポピュラーな病気、それと重症化した潰瘍や腫瘍まで、足をトータルに診てくれるところは本当に少ないのが現状です。「もしも、ポダイアトリー(足病学)がもっと国内に広まったら、足の切断率は確実に減ると思います。また、健康で自分の足で歩ける寿命が長くなるでしょうね。そして、寝たきりの高齢者も少なくなるはず。なぜって、転倒が減るからです。寝たきりになるお年寄りの10%は、転倒が原因と言われています。転んで骨折したことがきかっけで寝たきりになってしまうわけです。今よりもっとみなさんが足の健康を保てるようになったら、それも確実に減りますよ! 小さな足のトラブルを放っておかない。ささいなトラブルでも気軽に診てもらえるクリニックが増えたら、それも叶いますね。そのためにも、みなさんにポダイアトリーというものについて、知っておいてほしいと思います」(桑原先生)
2016年02月16日靴の役割を考えたことがありますか? 靴はファッションの一部ではあるけれど、洋服と違って「流行だから」「クールに見えるから」「細く見えるから」など、単に感覚だけで選んではいけないもの。なぜって、靴を正しく選んで正しく履くことは、足をさまざまなトラブルから守ることにつながるからです。「ハイヒールが楽」という人の足は、危険信号!「『私はハイヒールのほうが楽! ぺたんこ靴は履きにくい』という人は、あたかもカッコイイ女性に見えるかもしれません。でも、長時間ハイヒールを履いていても平気ということは、足にトラブルが起きているサインなんです」と警告を発するのは、「足のクリニック 表参道」院長、桑原靖先生。アラフォー世代だから気をつけたい靴の選び方や、靴による足のトラブルについてアドバイスをいただきました。靴の役割、それは足を保護して衝撃をやわらげたり、本来の足の機能を引き出して歩行の補助をすること。靴を正しく選ぶこと、正しく履くことは足をさまざまなトラブルから守り、健康を保つことにつながります。「足の構造から考えて、ハイヒールが体に良いわけはないんです。重心が前にいくだけでなく、骨盤が前傾したままになるので身体に負担がかかります。何より、アキレス腱が拘縮(動きが悪くなること)してしまうんです。10代20代の若い体はまだ柔軟性があるので、たとえ長い時間ハイヒールを履いてアキレス腱が固く縮まったままでも、脱いでいる間にもとに戻りやすかったもの。これが年齢を重ねるにつれ、縮こまったままになっていくわけです」(桑原先生) アキレス腱は足底筋膜とつながっているため、そうなるとヒールを脱いで地面に足をついたとき、今度は足裏の腱のほうが伸ばされてしまい、逆につらいと感じます。ひどいと足裏が痛む「足底筋膜炎」や「ヒールペイン(かかとの痛み)」を引き起こすことがあります。ハイヒールの形は靴の役割を果たしていない(後で説明)ため、さまざまなトラブルにつながる可能性大。ハイヒールが楽だと感じる人、フラットシューズのほうが苦手だという人は、既にアキレス腱が拘縮しているサインかもしれません。 ハイヒールを履くなら、必ず「アキレス腱」のストレッチを!さらに、桑原先生は続けます。「アキレス腱が伸びないことは、短趾屈筋(足指を曲げる筋肉)に負担がかかることにもなります。足の指で地面をつかもうと頑張るのです。すると、ハンマートゥやマレットトゥ、クロートゥなど、指が変更してしまう病気になることも。ハイヒールを履く人で、変形はしていないけれど指の動きがなんだか悪いと感じたら、一度診察を受けたほうがいいでしょうね」ここで、桑原先生の考える、健康な足を保つ「理想の靴の条件」を紹介します。▼靴自体に安定性がある 靴と地面の接地面積が広く、靴底が固いもの。▼かかとと靴が一体化する 「靴はかかとで履く」もの。かかとが深くしっかり作られていること。▼足と接する面積が広い 特に、足の甲を覆う面積が多いほど安定しやすい。▼アーチをきちんとサポートしてくれる 内側、外側、横の3つのアーチを支えて衝撃を吸収すること。▼足が曲がってよい場所で靴も曲がる 曲がってよいのは指のつけ根だけ。他では曲がらない。▼つま先に1cm~1.5cmの余裕があること そしてそれ以上、つま先が前にすべってしまわないことこれらをすべて満たす靴は、限りなくスニーカーに近いものになってしまいます。オシャレを考えるとそうもいきませんね。靴を購入する際、ひとつでも多く上の条件に当てはまることを目標にしましょう。それでもやっぱりヒールの高い靴を履きたい人、履かなければならない人もいるでしょう。そんな人は、以前にも桑原先生が紹介されたアキレス腱ストレッチが必須。毎晩これをやるだけで、トラブル予防につながります。【アキレス腱ストレッチ】1) 両腕を真っすぐに伸ばし、壁に両手をつけます。2) 伸ばしたいほうの足を後ろに引き、前の膝をゆっくり曲げていきます。つま先は斜めにしたりせず、壁に対して垂直に。かかとは必ず床につけておきます。3) アキレス腱が突っ張る程度の状態で、ゆっくり気持ちよく伸ばします。20秒ほど動かずに。反動をつけずに行うのがポイントです。4) 反対側の足も同じようにストレッチします。 痛くない! 迷わない! アラフォーからのパンプス選びでは、現実的に、足の健康にもよくファッション性も考えたら、私たちはどんな靴を選んだらいいのでしょう? 「ヒールの高い靴は、オススメできないんです。足の変形リスクを大きくして、カチコチのふくらはぎを作り出しているようなもの。でも、どうしても履かなければならない時は、ハイヒールはまず履いている時間をできるだけ短くして、先のアキレス腱ストレッチで毎晩メンテナンスすることです。会社でヒール付きパンプスを履く人は、通勤時はスニーカーに。立ちっぱなしの方は、休み時間だけでもフラットシューズに履き替えるなど、工夫をして。また、特にサンダルなどに多いようですが、合わない靴を買ってしまって、履いているうちに楽になる…というのもオススメできません。 “足が靴に合ってしまう” のは決してよくない。買うときは、試し履きをじっくりと。普段の速度で店内を歩いてみます。そして痛くならない自信のある靴を選ぶのが基本ですよ」(桑原先生)通販で靴を買うのはオススメできませんが、試着がOKな通販も増えてきているので、賢く利用したいもの。そして、最近充実してきたインソールにも注目を。インソールはゆるい靴に入れるもの、という認識を持っていたらそれは間違いです。インソールを入れることで足をホールドし、フィット感を高めます。足にきちんとフィットするパンプスは、ストライド(歩幅)が広くなり、歩数が少なくなるため、同じ距離を歩いても疲れにくいメリットがあります。では最後に、靴選びのポイントをまとめておきます。ぜひ覚えておきましょう。【正しい靴の選び方POINT】1)ヒールの高さはできれば、4~5cmまでに。 これ以上高さのあるヒールは百害あって一利なし。 高ければ高いほど、特に足指のつけ根への負担が高くなります。2)ストラップ付きのものがベター。なければパンプスベルトを付ける。 足首の曲がる部分にストラップが付いたデザインは、 前すべりを防止してくれるだけでなく、かかとの脱げ防止に!3)甲をできるだけ覆うデザインのものを。 脱げにくく安定性があるのは、肌を覆う面積が多いデザインです。 指のすき間が見えるような浅い靴は脱げやすく、オススメできません。4)底がある程度固く、しっかりとした素材のものを。 靴の底を中から押したとき、曲がってしまうような柔らかすぎる靴底は 着地の衝撃を抑えることができません。厚く固めのほうがGOOD。5)ヒールは太め、もしくはウエッジソール。 足と地面の接地面積が広いほど、安定しています。ピンヒールよりは 断然太いヒール、またはウエッジソールのほうがよいでしょう。6)インソールを賢く利用する。 アーチを支えるのは靴よりむしろインソール。先にしっかりと作られた インソールを選び、それにあった靴を購入するのも賢い選択。桑原 靖 先生 プロフィール「足のクリニック 表参道」院長。足病学、足病外科、形成外科など。日本には足(くるぶしから下)を専門的に診療する医療機関がほとんどないことに疑問を持ち、2013年、足の痛みや変形に特化したクリニックをオープン。足に対する専門的な診療を提供することに日々力を注ぐ。「足のクリニック 表参道」
2016年02月04日アラフォー世代になると、足の爪がすべてキレイに整っている人はほとんどいません。特に「巻き爪」で苦しんでいる人は10人に1人とも言われます。その痛さは経験した人にしかわからないほど! しかも、いったん痛みが出るとなかなか治りにくく、矯正などをしても再発してしまうことが少なくありません。巻き爪を治すのってやはり難しいのでしょうか?「多くの方は、巻き爪の原因は “爪そのもの” にあると思っています。でも、実は原因のほとんどは爪ではなく “足” にあるんですよ! それを無視して爪への対処療法をするだけでは再発するのも当然なんです」と教えてくださるのは、「足のクリニック 表参道」の院長、桑原靖先生。今回は、正しい巻き爪の知識と、再発しにくい治療法を伺いました。「なぜ巻き爪になったの?」本当の原因とは・・・?そもそも巻き爪(陥入爪) とは、爪が内側へ弯曲し、巻き込んでいる状態のこと。周囲の皮膚に爪が食い込み、痛みや炎症・膿みなどを伴うこともあります。その結果、靴が履けない、上手く歩けない、爪が切れない、何もしなくても痛い…などの悩みを抱えることに。放っておくと傷口から菌が進入し、感染を起こすこともあるほどです。「巻き爪になる原因はいろいろありますが、第一には爪が受ける圧力が弱すぎる場合。爪は元々内側に巻きやすい性質があるのですが、立ったり歩いている時に圧がかかることで地面と平行の形を維持しています。ですから、体重をかけないでいると曲がっていくのはあたりまえ。長期間寝たきりになった途端、巻き爪になるなんていうのもよくある話です。また、爪にかかる圧力が均等でない場合によく起こります。つまり、足が変形している外反母趾や、足のアーチが落ちて扁平足になっている方は、痛い、痛くないは別としてほとんどと言っていいほど巻き爪になっていますね」(桑原先生)外反母趾などのトラブルがある人で、今はまだ痛みがなくても、爪の端を押すと痛む、先が細い靴を履いた時だけ痛いなどの場合、見えない部分に爪が食い込んでいることがあります。これはもちろん、放っておくと徐々に巻き爪が悪化する可能性大! また、足の指の先端の骨(末節骨)の形態異常や爪下外骨腫という良性腫瘍により、骨の形が変形してしまうなど、爪が原因ではない場合が本当に多いのだそう。巻き爪は遺伝だとか、そもそもなりやすい爪の形があると思っている人も多いものですが、違いましたね! ちょっとビックリです。巻き爪はれっきとした病気。原因にあった治療法を!ただ、先天的に巻き爪になりやすい人も確かにいるようです。それは、爪の幅が広い人、爪が大きい人など。オーバーサイズネイルと呼ばれる爪で、そもそも皮膚に爪が食い込みやすい形です。「巻き爪の原因は一概には言えないため、まずは原因を見極めることが大切です。爪の医療に詳しいドクターなら、その方の爪の形、歩き方・立ち方の癖などを総合的に見て、原因を特定することができるはずです。巻き爪はれっきとした病気です。原因を特定できないまま、やみくもに矯正などの対処療法をしても完治は望めないと思いましょう」(桑原先生)もちろん、単純に爪が原因だった場合、桑原先生のクリニックでは巻き爪専用のワイヤー矯正治療を行います。「VHO巻き爪矯正ワイヤー」と呼ばれるもので、従来のワイヤー治療に比べ、爪が短くても装着することができ、付けていても邪魔にならないのが特徴。ワイヤー挿入の際、痛みが少ないのもメリットです。 「膿んで痛みがある人は、初回は爪を切っておしまい、ということもありますね。正しく爪を切ってあげるだけで痛くなくなることも多いもの。再発予防のために正しい切り方の指導もします。また、外反母趾が原因でも、軽い巻き爪なら、きちんとした機能性インソールを入れてもらうことで改善されることもあるんです。クリニックの治療用インソールでなくとも、市販のインソールで治る人もいます。もちろん、小さすぎる靴、大きすぎる靴、つま先がきつい靴などは足に負担をかけ、巻き爪を助長してしまいますから、靴そのものにも気をつけてもらいます。こういった指導でも治らない、再発してしまう方には、根本治療の『NaOH』療法をオススメしています。痛みも少なく、歩いて帰っていただけますよ!」(桑原先生)さて、『NaOH』とはどんなものでしょう?再発しにくい、巻き爪の新治療!『NaOH』とは?桑原先生のクリニック「足のクリニック 表参道」で行っている『NaOH』は、日本ではまだあまり行われていませんが、アメリカなどではポピュラーな手術です。「手術と聞くと『え〜、巻き爪で手術までするの?』と思うかもしれませんが、1カ所5〜10分で終わり、手術直後に歩いて帰れる治療方法です。その日の入浴も可能なんですよ。手術は、巻いている爪の端を根元まで切除し、その部位から爪が伸びてこないように薬品を塗るというもの。NaOHとは、爪になる細胞を焼くための薬品の名前です。爪になる前の細胞を取ってしまうため、そこからはもう爪が生えてきません。なので、多少は爪の形が細長くなります」(桑原先生)施術する際には局所麻酔をし、十分に効果が現れてから実施するため、痛みを感じない方がほとんど。術後に痛み止めの処方をすることもあります。手術時間は合計20分程度。完治までの期間が短く、通院日数が少なくて済むのもメリットです。手術は健康保険が適用になり、料金は3割負担で10,000円程度。なお術前に別途血液検査が必要なこともあります。巻き爪で長い間悩んでいた人、さまざまな治療をしたけれど効果がなかったという方は、このNaOH手術を選択肢のひとつにしてみてはいかが? 今年の夏こそ、自信を持ってサンダルが履けるようになりましょう!桑原 靖 先生 プロフィール「足のクリニック 表参道」院長。足病学、足病外科、形成外科など。日本には足(くるぶしから下)を専門的に診療する医療機関がほとんどないことに疑問を持ち、2013年、足の痛みや変形に特化したクリニックをオープン。足に対する専門的な診療を提供することに日々力を注ぐ。「足のクリニック 表参道」
2016年01月21日趣味として、または健康のためにと、せっかく始めたランやウォーキング。続けるうちに、足に何らかのトラブルを抱えてしまう人も少なくない様子。そんな方々の駆け込み寺、「足のクリニック 表参道」の院長である桑原靖先生にお話をお聞きしました。足の痛み、そもそもの要因は、“アーチ” の崩れ「ランニングやウォーキングで足のトラブルといえば、ナンバー1は “足の裏側” が痛い人でしょうね。痛い場所は人によって違いますが、長距離を走ったり歩いたりしている人は、概ねアキレス腱からつま先までの裏側に痛みを訴えています。特に多いのは『足底筋膜炎』です」(桑原先生)「足底筋膜とは足の裏に膜のように張っている “腱組織” のことですが、部位を表しているだけなので、足裏の痛みは大抵この病名をつけられます。そもそもの要因となっているのは、アーチの崩れ。それに気がつかず、放置したまま長距離を走ったり歩いたりすると、足の裏でうまく衝撃吸収ができずに炎症が起きてしまうのです。特に女性の場合は、カカトの骨が内側に倒れる『過回内』によって、アーチが崩れていることがほとんどですね」(桑原先生)過回内によるアーチの崩れ以外にも、土踏まずのサポートが悪い靴や、柔らかすぎるシューズを履き続けている人、ふくらはぎの筋肉が硬くなっている人、毎日下り坂やでこぼこ道を走っている人なども、足底筋膜炎になりやすいもの。不思議なことに、朝起きたとき最初の一歩が痛むのも足底筋膜炎の特徴です。でも、長距離を走ったり歩いたりすることは、そんなに足に悪いことなのでしょうか?「歩く、走る、はとても原始的な運動で、特にウォーキングはそれ自体が悪いわけではありません。痛くなる人は、オーバーユース、使いすぎでしょうね。もちろん、人によって程度はさまざまで、一定のラインを超えて酷使しても痛みが出ない人もいれば、オーバーラインが低く、ちょっと走っただけで痛くなる人もいます。残念ながらこの個人差はなんとも言えませんね」(桑原先生) 重要なのはシューズより「インソール」!とはいえ、炎症が起きる前に、せめて痛みが出る前に、予防策はないのでしょうか? よくシューズが合っていないと痛みが出ると言われますが…?「シューズも大事ですが、もっと大切なのはインソールでしょうね。アスリートなどはインソールが命と言われるほど。健康のために痛みが出る手前でやめる程度ならいのですが、レベルアップしたり、パフォーマンス向上のためには、インソールはとても重要なんです。インソールにもいろいろありますが、身体機能を向上させるために開発されたスポーツ用のものを選ぶこと。また、アドバイザーがきちんといるお店で購入するのが鉄則です。市販のインソールは足に合わない場合もあるので、自分の足に合ったオーダーメードのインソールを作成することをおススメします」(桑原先生)そのレベルのインソールは土踏まずやかかとの部分が非常に硬く、アーチも驚くほど立体的にできています。インソール自体で足をガッチリホールドしてくれるといった感じです。「インソール」を選ぶときのポイントランやウォーク用のシューズは、つま先に1〜2cm余裕があるものがよいとわれますが、インソールだって同じこと。それどころか、シューズよりインソールを先に選んでも全く問題ないのです。というのも、シューズを選ぶときには、シューズ内が見えるわけではないので、つま先にどの程度余裕があるのかはわかりません。でも、インソールはサイズが目に見えているので意外にわかりやすい! 自分の足裏のアーチが合うインソールを床に置いて足を乗せ、いちばん長い指より先に1〜2cm余裕があり、横幅など、インソールからはみ出していないかどうか、確認しながら選びましょう。きちんとしたインソールを装着することで、足底筋膜炎だけでなく、タコやウオノメなど足のさまざまなトラブルは治癒することが少なくありません。「私のクリニックでは、オーダーメイドのインソールを処方しています。痛みなどの症状が強い場合のインソールは、保険適用になることもありますよ」(桑原先生) ランナーを痛みから救う「体外衝撃波」治療とは?足底筋膜炎の患者が多いことから、桑原先生のクリニック「足のクリニック 表参道」では、いち早く「体外衝撃波」による新治療を導入しました。体外衝撃波治療(extracorporeal shock wave therapy : ESWT)とは、体外衝撃波を足底筋膜炎の痛みのある部位にあてることで、痛みの除去と組織の修復を促すもの。実際の衝撃波治療は素足になって、寝た状態で行われます。寝ながらできるので身体の負担はほとんどありません。麻酔の必要もなく、約30分程度で終了します。基本は1回の治療ですが、1回で効果が得られない場合、医師と相談の上で期間をあけて再度行うこともあるようです。痛みの神経終末を変性させるとともに疼痛伝達物質を減少させて中枢への疼痛伝導を抑制する(「痛い」という刺激が脳へ伝わるのをブロック)。そして、衝撃波を当てることで、患部の血流を増やして組織のダメージを早く修復する効果が期待できるのだそう。国際衝撃波治療学会では、足底腱膜炎以外にもアキレス腱炎、アキレス腱付着部炎、膝盞腱炎、上腕骨外上顆炎、石灰沈着性腱板炎、腱板炎、大転子部痛、偽関節、疲労骨折、早期の無腐性骨折壊死、早期の離断性骨軟骨炎などにも適応するとしています。「平均的な効果は60%〜80%でしょうか。足を酷使するアスリートより普通に生活をしている患者さんの方のほうが治りが良いという報告もあります。でも、足底筋膜炎は結果としての病状であって、本当の原因は日常生活や足の構造そのものにある可能性が高いもの。ですから私の診療所では、なぜ足底筋膜炎になったのかを検査や問診で突き止め、再発予防のためのアドバイスを行なっています」(桑原先生)「アキレス腱ストレッチ」で、足の痛みをケア「足の痛み予防のためには、必ず行っていただきたいストレッチがあります。それはとても簡単なアキレス腱ストレッチなんですが、運動前後にやることで足の疲れを解消し、痛みを軽減する効果が期待できます。足底筋膜炎の痛みのある方だけでなく、かかとの痛み、日頃ハイヒールを履いている女性にもオススメですよ」(桑原先生)では、桑原先生のストレッチをご紹介しましょう。 【アキレス腱ストレッチ】1) 両腕を真っすぐに伸ばし、壁に両手をつけます。2) 伸ばしたいほうの足を後ろに引き、前の膝をゆっくり曲げていきます。つま先は斜めにしたりせず、壁に対して垂直に。かかとは必ず床につけておきます。3) アキレス腱が突っ張る程度の状態で、ゆっくり気持ちよく伸ばします。20秒ほど動かずに。反動をつけずに行うのがポイントです。4) 反対側の足も同じようにストレッチします。これなら、毎日でもできそうですね!桑原 靖 先生 プロフィール「足のクリニック 表参道」院長。足病学、足病外科、形成外科など。日本には足(くるぶしから下)を専門的に診療する医療機関がほとんどないことに疑問を持ち、2013年、足の痛みや変形に特化したクリニックをオープン。足に対する専門的な診療を提供することに日々力を注ぐ。「足のクリニック 表参道」
2016年01月15日冬のコーディネートに欠かせないブーツ。意外にブーツを履く期間は長いので、できるだけ快適に履きこなしたいものです。でもブーツを履いた時に、足の痛みや違和感、蒸れやかゆみなどが気になっていませんか? 今回は、「足のクリニック 表参道」院長である桑原靖先生に目からウロコの足知識と冬のフットケアを指南していただきました。あなたの靴、足の甲をしっかりホールドしていますか?「ブーツを含め靴というものは、本来、足を保護して衝撃を吸収したり、足の機能を引き出して歩行の補助をする役目を果たします。そこからすると、基本的にヒールは高くないほうがいい。高さがあることの他にも、ヒールによってつま先が前にズレていくことがよくない。ファッション性もあるでしょうけれど、医師の立場上、足によくない靴はやはりオススメできないんですよ」(桑原先生)ヒールがないと言えば、ここ数年ムートンブーツがカジュアル派に人気です。履きやすさも手伝ってすっかり定番化していますが、先生、これはよい傾向ですね?「いいえ。あのブーツが履きやすいというのは、おそらく幻想でしょう。いわゆる長靴のような形のブーツは、正しい歩き方ができている人には履きにくいはず。なぜかというと、あの形では足にフィットしない。特に足の甲の部分は、しっかりホールドされているべき。グニャグニャしたタイプは、ブーツの中で足が動き放題だから、先に挙げた靴の役目を全然果たせてないんです」(桑原先生)先生によれば、靴の部位で動いたり曲がってもいい部分は、足の指のつけ根のみ。それ以外は曲がってはいけないのだそうです。その上で、足首がしっかり固定されていることも大事。革製の細身のブーツなどは足首がフィットしているのでOK。ブーティでも、足の甲をしっかりホールドできる形であれば問題ありません。 あなたのブーツの中で、何が起きているの?間違った靴選びが、足のためにどんなによくないことなのか。「特にアラフォー以降の女性に多いのが『回内足』。これは、足が地面に着いたときカカトの骨が内側に倒れている状態のことです。そもそもカカトの骨は左右に倒れやすい構造をしているのですが、足をしっかりサポートしてくれない靴をはき続けたりした結果、このような変形につながることも往々にしてあるんですよ」この回内が進むことで、骨格の配列が崩れ、土踏まずがなくなってしまう『外反扁平足』も少なくないそうです。土踏まずがなくなると、長時間の歩行が疲れやすくなったり、外反母趾の悪化、足底筋膜炎を発症させることにもつながります。あなたが今日履いたブーツを見てみましょう。真後ろから見て、ゆがんでいませんか? かかとの片側だけ極端にすり減ってはいませんか? 靴底が傾いていませんか? そんな状態になっていたら、足が変形している証拠。一度きちんと診てもらうことをオススメします。大人になると、足のトラブルが増える?!なぜアラフォーでこういったトラブルが多くなるかと言えば、10代20代は体がまだ柔らかく、調整機能があります。合わない靴を履いていても、膝や股関節がフォローし、変形やゆがみが出ないように調整してくれていたのですね。それが40歳になる頃には、体も硬くなってしまいます。足の変形をそのまま放っておけば、今度は膝や股関節に負担がかかり、さらに大きなトラブルを招きます。年を重ねて関節が痛いと言う人、多いですよね? ゆくゆく手術に発展してしまうのもよくある話。「靴が原因で人工関節に… などということは、やはり避けたいじゃないですか。足を見くびってはダメです。変形に気がついたら、とにかく足を診てくれる病院を受診をして、レントゲン撮影などで骨格構造の歪みをチェックしてもらうことをお勧めします」(桑原先生)カカトのひび割れが「水虫」につながるって、どういうこと?!ブーツを履く期間は、乾燥しやすいシーズンでもあります。ブーツと関連したトラブルとして、桑原先生はカカトのカサカサやひび割れを挙げています。確かにストッキングが引っかかるのはイヤですが、ブーツとどういう関係があるというのでしょうか?「カカトのひび割れを放っておくと、水虫になりやすいんですよ。水虫だけでなく、イボなどが移ることもあります」(桑原先生)えっ、水虫やイボが移る??「水虫は、カビの一種である水虫菌(=白癬菌)に感染すること。水虫菌は水虫にかかっている人のはがれた皮膚から、スリッパやバスマットなどを介して他の人に移ります。きちんと毎日お風呂で足を洗えば、普通は菌も一緒に洗い流せるのですが、カカトの角質がめくれていたりひび割れていると、そのすき間から水虫菌が入り込む可能性が高くなるわけです。すると水虫特有のかゆみやカサカサ、発赤などの症状が出てくる人もいれば、無症状で水虫に感染したままにしてしまう人もいます。水虫菌は高温多湿の環境が大好き。ブーツは普通の靴やスニーカーよりも蒸れやすいうえ、ストッキングやタイツを履いていたらなおさら通気性が悪くなります。1日ブーツをはき続けている人などは、水虫菌を増やす原因となります。イボもヒトパピローマウイルスが皮膚に入りこみ、感染するのが原因。思ってもみない原因かもしれませんが、冬の乾燥を見くびってはいけませんよね」(桑原先生)冬のカカト、そのお手入れ方法は?かかとがカサつき、ひび割れるのは、乾燥して硬くなった皮膚に荷重がかかることにより、皮膚が引っ張られてしまうため。角質ケアとしては、クリームを朝晩なじませるのが基本。特に効果的なのは尿素入りのクリーム。尿素は角質を柔らかくして溶かす働きがあります。少し固めのクリームは、手のひらの体温で温め、柔らかくしてからなじませましょう。「軽石でこすって落とすのも悪くはないのですが、必ず清潔なものを使いましょう。バスルームに置きっ放しの軽石は、細菌が済んでいる可能性もあるので要チェックです」(桑原先生)安心してブーツを履くために、今日からしっかり水虫対策を!そして、ブーツを履き続けても清潔な足を保つためには、何より菌が育たない環境をつくること。足をよく洗うことや、ブーツの中の湿気をそのままにせず、風通しをよくすることです。特に汗をかきやすい人は気を使ってみて。ポイントとしては・・・◎ブーツを履く時間を減らすよう、職場では靴を履き替える。◎同じブーツを2日続けて履かない。◎履いたブーツはその日のうちに、新聞紙などを詰めてよく乾燥させる。◎銀や銅入りなど、デオドラント効果の高いソックスなどを履く。◎抗菌作用のあるインソールを入れる。◎足専用の制汗剤を使用する。◎ブーツを履いた後は抗菌石鹸で指の間までしっかりと洗う。特に、1日8時間以上履き続ける人は、少しでもブーツから足を抜くなどの工夫をしましょう。欧米人に比べ靴の文化が短い日本人は、いったん外出したら、その靴を履き替えることがほとんどありません。欧米の働く女性は、1日のうちで何度も靴を替えるのも普通で、例えば通勤ではスニーカー、オフィスでは仕事用パンプス、ジムではスポーツシューズ、レストランでハイヒール、自宅ではフラットシューズ…といった具合。家では靴を脱ぐ日本人がそこまでする必要はありませんが、履きっ放しを避ける意識を持つだけで、靴の傷み具合も、水虫のかかりやすさにも差が付きます。これって水虫?! と思ったら、まずやるべきことそして、水虫菌が付着してしまった場合のこと。すぐに定着&感染してしまうわけではないので、菌が付いてから24時間以内にきちんと石鹸で洗い流せばよいとのこと。要するに、普通に毎日お風呂で足を洗っていれば、感染することはあまりないのだそうです。では、足の指の間などがかゆい、ジクジクする、皮がむける、かさつく、赤くなる、水膨れができる… などの症状が出て、水虫かもしれないと思ったらどうすればよいでしょう?「みなさん、自己判断で水虫だと思い込み、市販薬を使ってしまう方も少なくありません。でも、水虫と似た症状の皮膚病はいくつもあるうえ、水虫かどうかは、医療機関で顕微鏡検査をすることでしか判断できません。水虫だと思い込み、別な病気に水虫薬を塗ってしまうのも困りものですが、自己判断で水虫に市販薬を使い、水虫菌が弱まっているために一時的に顕微鏡で菌が見つからないこともあるかもしれません。とにかく、水虫かなと思ったら、市販薬を買う前に皮膚科を受診しましょう。水虫菌がいるかどうか、必ず検査をしてもらいます。水虫は自然に治ることは決してありません。でも、正しい薬を使えば治りますし再発もしませんからね!」(桑原先生)桑原 靖 先生 プロフィール「足のクリニック 表参道」院長。足病学、足病外科、形成外科など。日本には足(くるぶしから下)を専門的に診療する医療機関がほとんどないことに疑問を持ち、2013年、足の痛みや変形に特化したクリニックをオープン。足に対する専門的な診療を提供することに日々力を注ぐ。「足のクリニック 表参道」
2016年01月14日子どもが小さいうちは、予防接種やちょっとした体調の変化などで病院にかかる回数も多いものです。日常的に病気を診てもらったり、気軽に相談に応じてくれたりする病院があればママも心強いですよね。「子育てと病院」に関する調査結果では、そんな乳幼児の病院事情が詳しく紹介されています。子どものかかりつけ医を「決めている人」は全体の約8割医師・病院検索サイトのドクター・オウチーノが行った「 『子育てと病院』に関するアンケート調査 」によれば、「月に1回以上、子どもを病院に連れて行く」という人は48.4%と約半数の結果に。また、「子どものかかりつけ医はいますか?」という質問に79.0%の人が「いる」と答え、約8割もの母親が子どものかかりつけ医を決めていることがわかりました。かかりつけ医を決めた理由には「家から近いから」という意見がもっとも多く、先生が丁寧に話を聞いてくれるなど「信頼できる先生だから」という意見も多いようです。また、かかりつけ医を決めていない人の中には「その時の症状や時間帯によって使い分ける」「1ヵ所では不安」という意見も挙げられています。子どもを病院に連れて行く時に「困っていること」子どもを病院に連れて行く際、困るのは「待ち時間の長さ」ではないでしょうか。私も子どもが小さかった頃は、「いつ泣きだすか」とヒヤヒヤしたことがありました。今回の調査でも「待ち時間が長い」が36.3%、「他の子どもの菌をもらう」が20.2%、「予約が取りづらい」が9.7%など、子どもを病院に連れて行く際のお悩みが明らかになっています。絵本やおもちゃが常備してある医院でも、時間が長いと子どもが飽きてしまうことも多く、おお腹が空いたり、眠くなってぐずったり…と「どうしようもない」状態に陥ってしまうママも多いよう。「連れていくのはしんどいけれど、きちんと診てほしい」というママの心の葛藤が見え隠れしているようです。子どもが病気になった時の対処法また、仕事をもつワーキングマザーを対象に「仕事がある日に子どもが病気になった場合、どう対処していますか?」と質問すると「自分が仕事を休む・早退する」という人が72.0%、次いで「両親・義親に頼る」が28.0%、「夫が仕事を休む・早退する」が13.3%という結果となりました。自分が仕事を休む・早退するのは「融通がききやすい職場だから」とする人が多く、子育てに理解のある職場も多いようです。ただ、自分で解決できない場合は夫よりも自分や義理の両親にお願いする場合が多く、夫婦で仕事と育児を両立させることは難しい現状も明らかになっています。子どもの体調変化は、ママの不安の種になってしまうことも。頼れる病院がある、という支えはとても心強いものです。各家庭に合った良い病院選びも、子育てにおいて重要なことのひとつといえそうです。(すだあゆみ)
2015年12月10日ファミリーマートが病院内、病院近隣で販売中の「メディカルフーズ(療養食)」の取り扱いを本格化する。病院との連携を強化して、現状の14店舗から2017年度までに200店舗に拡大させる。病院内店舗を持つコンビニはほかにもあるが、他社にない取り組みとし、差別化要因ともなりそうだ。メディカルフードは、塩分量、タンパク量、糖類などに配慮した食品。同社は約180品目揃え、このうち約90品目を各店舗の利用者を分析してピックアップし、専用棚を設置して販売する。商品ジャンルは栄養強化食品、減塩、タンパク調整食品、低カロリー食品などとなり、国から許可を得た特別用途食も含まれる。これまでテスト的に14店舗で販売していたが、2017年度までに200店舗に拡大、病院内、近隣店舗で半々という構成になる。同社の取り組みが特徴的なのは、病院と密接に連携したことにある。高血圧、腎疾患、糖尿病患者が、医師・管理栄養士らの栄養指導を受けた後で、病院内の店舗、近隣の店舗で、メディカルフードを即座に購入できるのだ。「メディカルフードを取扱う病院・クリニックはたくさんあるが、基本的には取り寄せとなっているのが現実。スペース都合上、商品を並べられないという課題があった。患者からは多くのアイテムが一つから買えるということで喜んでもらえている」(新規事業開発本部 医療・介護部長の福井弘彦氏)。売上も好調のようだ。メディカルフーズは、医療の側面が強く、販売単価も高い。ターゲットを絞った購入動機の高い商品となる。一般的な主食系の食材を200円程度としても、500円~1000円ものがよく売れているのが現状だ。一人当たりの購入金額が大きく、まとめ買いで1万円以上の購入する顧客もいる。リピーターも多い。こうした同社の取り組みは、コンビニの病院内出店においての強みになるかもしれない。コンビニの進出先は、病院内にも広がっており、ローソンは「ホスピタルローソン」を展開、セブン-イレブンも同様に出店している。病院との密接な連携の点では、まだ競合のコンビニ他社はないとしている。病院側にとっても、いままでにないニーズを満たせるようになり、ファミリーマートを選択する理由になりえる。2025年には5人に1人が高齢者になり、病院とコンビニのつながりは、より密接なものになるのは確実。今回の取り組みが、他社との大きな差別化要因になれるのか。コンビニと病院との連携の真価が問われるのはこれからだ。
2015年12月02日ソフトバンクは8日、病院の診察料を携帯電話料金とまとめて支払える「スマート病院会計」を、ソフトバンクのスマートフォンを利用する顧客向けに、2015年12月以降に提供開始すると発表した。現在、病院で受診する際の顧客の不満として、会計時の待ち時間の長さなどが挙げられている。「スマート病院会計」は診察料を後から携帯電話料金とまとめて支払えるため、受診後の会計をせずにそのまま帰れるほか、外出先での急病時などでも診察料を気にせずキャッシュレスで受診できる。また、通院先や診察料などの受診履歴をスマートフォンで一括管理することができる。対象機種は、iPhone、iPad、ソフトバンク スマートフォン、タブレット。なお、「スマート病院会計」開始時は、順天堂大学医学部附属順天堂医院、東京医科歯科大学附属病院をはじめ、全国の病院、クリニックなど130以上の医療機関が同サービスへの対応を予定しており、2016年12月には1,000以上の医療機関に拡大する予定となっている。
2015年10月09日小学校高学年で女子だけが集められ、初潮教育があったのを覚えていますよね? 初潮の知識は教えてもらったけれど、そういえば閉経については誰も教えてくれませんでした。アラフォー女子がまもなく迎えようとしている更年期、あまりよく知らないでは済まされないと思いませんか?「女性は、生涯の中で2つの大きな『変化の時期』を迎えます。1つめは思春期、2つめが更年期。更年期というと病名のように思う人もいるかもしれませんが、思春期同様、女性のライフサイクルの中の一時期の呼び方に過ぎません。英語ではMenopause(メノポーズ)と言われますが、前向きにとらえ、”The change of life”という表現もあるほどですよ」そんなふうに話してくださるのは、女性の健康、特に更年期に詳しい婦人科医 小山嵩夫先生です。小山嵩夫先生 プロフィール婦人科医。専門は生殖内分泌学、女性の健康増進。日本のHRT(女性ホルモン補充療法)の第一人者として知られる。1996年、女性の健康管理を目的としたクリニック「小山嵩夫クリニック」を銀座に開業。「NPO法人 更年期と加齢のヘルスケア」および「一般社団法人 日本サプリメント学会」理事長として、更年期前後から元気に生きるための啓発活動を行っている。著書に『遺伝子を調べて選ぶサプリメント』『女性ホルモンでしなやか美人』(ともに保健同人社)、『40歳であわてない! 50歳で迷わない!もっと知りたい「女性ホルモン」』(角川学芸出版)など。 「更年期」は誰でも通る変化の時期です!グラフでもわかるように、思春期は女性ホルモンの分泌量がぐっと増える時期。更年期は、逆に分泌量が急降下していく途中にあります。女性ホルモンの量は卵巣の機能そのもの。卵巣の機能が低下する時期が更年期です。「閉経したら更年期が始まる」と勘違いしている人も多いのですが、閉経は更年期の途中で起こるもの。女性ホルモンの分泌量がゼロに近づく間に生理は徐々に起こらなくなり、完全に止まって1年以上経過した状態を「閉経」と呼びます。閉経年齢の平均は約50.5歳。閉経の前後5年ずつ、45〜55歳の10年間を更年期と呼んでいるのはこのためです。ただ、個人差も大きく、これはただの目安に過ぎません。40代前半で閉経して更年期症状に悩む人がいるかと思えば、55歳でもまだ生理がある人もいます。その人の更年期がいつだったかのかは、過ぎてみてわかると考えましょう。そして、よく聞く「更年期障害」は、この時期に起こるさまざまな障害という意味で、全員に必ずしも起こるものではありません。社会生活に支障がないようなら、障害とは言わずに「更年期に起こる不調」「更年期の症状」などと呼んでいます。更年期女性の体に起こる、さまざまな変化とは?思春期の体に大きな変化があったように、更年期も変化が訪れます。まず誰もが感じるのは美容面の変化。肌の乾燥やシワ、たるみ、ボディラインのくずれ、髪の毛のハリのなさ…、これらは女性ホルモンが減ってしまったことによる変化です。また、太りやすく痩せにくくなり、骨量が減って骨粗鬆症になりやすくなります。「不快な症状と言えば、一般的に多汗やホットフラッシュがいちばん知られていますが、長年診てきた経験からすると、身体症状よりも精神症状を訴える人が多いですね。家事など何もやる気が出ない、疲れやすい、優柔不断になった、寝つきが悪いなど、大きく捉えて“うつ症状”です。その他、湿疹が出やすくなった、頭痛やめまい、ドライアイ、手指のこわばりなど、さまざまな種類の不調が出る人がいます」(小山先生)更年期かもしれないと思って医療機関を受診すると、まずは更年期用の問診票を手渡されます。それが「更年期指数(SMI)」です。これはまさに、小山嵩夫先生が作成し、国内の医療機関に広まったもの。とても簡単なものですが、更年期であるかどうかは、ほとんどこれでわかります。▼更年期指数(SMI)をチェック!以下の項目のうち、当てはまる点数を合計してください。さあ、どの程度当てはまりますか?*当てはまる症状/強度の目安強=日常生活に差し障りがあるほどつらく、今すぐなんとかしたい。中=我慢はできるけれど、なんとかしたい。弱=症状は感じるが、我慢できる程度。無=感じない。【合計点による自己評価】0~25点 :今のところ問題なし。年1回検診は受けましょう26~50点:食事や睡眠、運動に気をつけて健康的な生活を51~65点:更年期の症状があるので、まずは婦人科を受診66~80点:婦人科で相談し、長期的な治療計画が必要81~100点:各科の精密検査、長期的な対応が必要SMI簡略更年期指数(小山嵩夫)より。※これはあくまで目安。気になる症状があるときは専門家に相談を。症状はなくても骨粗鬆症や動脈硬化など更年期特有の異常が隠れていることがあるので慎重に 「こういった問診の他に、内診や超音波エコーで卵巣の様子を診たり、血液検査で女性ホルモン値を調べることで、卵巣が機能しているかどうかを見ます。更年期なのかどうか、閉経が近いかどうか、これで判断できるのです。40代以降で何らかの不調があり、婦人科を受診すれば、だいたいこの流れで診断してくれるものです」(小山先生)「更年期の症状」の不思議。その真実を探れ!更年期の期間「日常生活に支障をきたすほどの状態(=更年期障害)」が現れる人は2~3割ですが、何らかの症状を少しでも感じている人は9割にものぼると言われています。そもそも、どうしてこのような症状が現れるのでしょう?それは、脳が混乱してしまうため。脳の視床下部は卵巣が老化していることに気がつかず、女性ホルモンを出せ出せと信号を出し続けます。卵巣がそれに応えることができずに分泌してくれないので、視床下部はパニックに。その近くには自律神経の中枢があり、バランスが取れなくなります。自律神経は全身を司っているため、あらゆる場所のさまざまな機能に支障をきたすことに…。≪更年期には脳がパニックに!≫「女性ホルモンを出すのは子宮ではなく卵巣ですよ。ちなみに、病気などで卵巣を摘出すると更年期症状が出やすくなります。逆に卵巣がひとつでも残っている状態で、子宮を摘出してもホルモン分泌には影響がなく、症状は現れません」(小山先生)これ、勘違いしている人、いますよね? ついでに、更年期にまつわる都市伝説を検証しましょう。▼都市伝説 - 1「更年期の症状や重さは遺伝する」→ △遺伝はしないとされていますが、確実なデータがないので可能性がないとは言えません。もともとの気質や生活環境が母親と似ているため、遺伝と思われている可能性もあります。▼都市伝説 - 2「生理が重い人、つわりやお産が重かった人は更年期症状も重い」→ ×生理、つわり、出産の重さと更年期症状は関係がなく、また妊娠・出産・中絶の回数も関係がありません。あくまで個人差によるものです。▼都市伝説 - 3「独身女性のほうが更年期に症状が出る確率が高い」 → ×これもまったく関係ありません。逆に「主婦のほうが重い」などと言われることもありますが、それも嘘。既婚か未婚かと症状の重さは無関係です。▼都市伝説 - 4「初潮が早かった人は閉経も早い」→ ×確かな統計はないものの、初潮の時期と閉経の時期は関係ないと言われます。実際に、初潮が早くても閉経が遅い人もよくいます。▼都市伝説 - 5「太っている人のほうが更年期の症状が出にくい」→ △エストロゲンは卵巣からの分泌のほかに、脂肪からも少量作られるため、卵巣の機能が低下しても、脂肪が多ければエストロゲン量が減りにくい可能性はあります。症状の強さや現れ方に、個人差があることを理解して「更年期の症状が人によって違うのは、要因が違うからでしょう。症状の出る要因は大きく分けて3つあると思います。卵巣機能の低下という直接的な原因に加え、その人の気質、置かれている環境が複雑に絡み合っている。例えば環境要因は人間関係の問題とか。職場や隣近所、家族との関係がうまくいっていない人は症状が出やすいということ。子どもの受験時期が過ぎたら症状もすっきり治った、職場のもめ事が解決された途端に症状が消えた、などはよくあることです。でも、クリニックに来て、カウンセリングでこのようなメカニズムを説明すると、もうそれだけで不調が軽くなる人が多いんですよ。心理的な要因は大きいですね」(小山先生)いろいろな更年期症状が重なった場合、例えば頭痛は脳外科、動悸は内科…と複数の科を受診してしまうと、薬の量も医療費もかさみ、原因がわからないまま数年が経過してしまうこともあります。これをドクターショッピングと言います。「女性ホルモン(エストロゲン)は、肌の潤い、髪のツヤなど、水分保持にかかわる働きが大きいので、乾きの症状が全身に及ぶ人もいます。目・口・鼻・のど・皮膚・髪・腟・尿道まで。尿道は、乾燥すると炎症が起きやすく、尿意を感じやすいのですが、膀胱炎と思いこんで泌尿器科を受診する人が多いんです。ドライアイは眼科、乾燥肌は皮膚科、のどの乾きをのどのつかえと感じて耳鼻科まで受診することになったら、大変です」(小山先生)更年期のうつ的な症状がある人が心療内科などを受診し、抗うつ剤を処方されることで、問題をさらにややこしくしてしまうこともあります。抗うつ剤を飲み続けると、卵巣機能の低下というシンプルな原因を隠してしまうためです。婦人科を受診して、HRT(ホルモン補充療法)を始めたら症状はスッキリ解消されたというのもよくあるエピソードです。更年期の不調かもしれないと気づいたら、まず最初に更年期をきちんと診てくれる婦人科へ! それが理想的です。
2015年03月04日博士タローは12日、がん専門医療施設として指定されている「がん診療連携拠点病院」のがん治療実績を調べることができるサイト、「がん診療連携拠点病院の実力」をオープンした。政府統計値によると、1984年のがん患者数はおよそ13万人だったが、1999年はおよそ27万人、2008年のがん患者数は1984年に対して2倍以上のおよそ30万人にまで増え続けているという。「当たり前のようにがんが受診でき、治療できる病院を要する時代を迎えている」と同社。専門的ながん医療機関として指定を受けているがん連携拠点病院の中で、もっとも多い年間患者数は8,866人、もっとも少ない拠点病院では155人(がん診療連携拠点病院院内がん登録2009年集計)。多種にわたるがんの、それぞれに合った医療を求める際には、がん患者診療経験の高い医療機関の見極めが必要となるという。同サイトは、がんの疑いによるがん受診医療機関検討時、セカンドオピニオンが必要な時、または治療中のがん医療機関を変える時、がん専門医療機関のがん治療実績をもとに、よりふさわしいがん専門医療機関が選択できるよう開発、オープンに至ったとのこと。同社では「一般の人はもちろん、医療機関にも、最新のがんに関連する医療・サイエンス動向を知ってもらえるようなコンテンツをさらに展開していく」としている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月14日病院待合室サイネージ「メディキャスター」を手掛けるメディアコンテンツファクトリーは、病院待合室テレビにおいてどのような番組放映が望まれているのかを、病院5施設の協力の下、4月から6月にかけて大規模な来院者意識調査を行った。「待合室のテレビで放映される内容」について質問したところ、「病院だけで見られる番組がいい」と答えた人が74%に達した。一方、「(地上波)テレビ番組がいい」と答えた人の割合は16%にとどまり、地上波テレビ番組はそれほど求められていない結果となった。病院向けの情報を待合室テレビに表示するサービスについて「番組が役に立ったか」を聞いたところ、「役に立った」「まあ役に立った」を合わせると98%の来院者が役に立ったと回答した。「病院だけで見られる番組は何をメインで放映してほしいか」との質問には、「病気・健康情報を多く見たい」と答えた人が59%に達した。「一般的な情報を多く見たい」と答えた12%と比べ、多くの人が医療・健康情報に関心を持っている結果となった。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月30日メドピアは、同社が運営する医師コミュニティサイト「MedPeer」にて、「初期研修を受ける病院」に関する調査を実施。その結果、6割近くは一般病院での初期研修を選択した。調査期間は5月7日~13日、2,779件の有効回答を得た。「もし、もう一度初期研修を行うなら、大学病院と一般病院のどちらで研修したいか」に回答した医師の中で、「大学病院で研修した医師」は全体の63%、「一般病院で研修した医師」は29%だった。どちらのカテゴリも「一般病院で研修したい」という回答のほうが多く、大学病院で研修を受けた医師は54%、一般病院で研修を受けた医師は、87%にのぼった。一般病院で研修を受けるメリットとして、「一般的疾患をたくさん診る機会がある」「広範囲にわたって多くの症例を勉強できる」「より実践的な知識が身に付く」というコメントがあった。一方で大学病院のメリットとしては、「先端医学は大学でしか経験できない」「医者の数が多く、時間的に余裕がある」「論文の読み方、書き方を教えてくれる」などが挙げられた。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月26日