※写真はイメージです年齢が上がるにつれ、男女ともに多くなる「夜間頻尿」。たかが頻尿と思われがちだが、睡眠不足からうつ傾向に陥るなど生活の質を低下させることも。日ごろから飲み続けている薬の副作用、という点は意外と知られておらず、一度チェックをと医師は促す。頻尿の副作用リスクが高い薬厚生労働省によると、75歳以上の実に40・7%の人が「5種類以上」の薬を飲んでいるという。その薬ひとつひとつの副作用をチェックしている人は少ないかもしれないが、副作用として自覚しやすいのが頻尿だ。昼間であればまだしも、夜トイレに起きる回数が増えると、睡眠不足で昼間ぼうっとしてしまい、活力がなくなったり事故につながったりする危険がある。だから「たかがおしっこ」「年だから仕方ない」と我慢するのは禁物。「60歳以上であれば、多くの人が夜1回トイレに起きるようになります」と話すのは、日本大学医学部附属板橋病院・病院長の高橋悟先生だ。「夜中に2回以上トイレに起きるようであれば、夜間頻尿の治療の対象になります。睡眠不足になり昼間の生活の質が落ちてしまうからです」(高橋先生、以下同)夜トイレに起きるのは、「夜の尿量が多い」「トイレに行きたくなる」と主に2つの理由があるのだが、そうしたことがいま飲んでいる薬が原因かもしれないのである。高血圧や糖尿病の人は要注意!では、どんな薬に注意したらいいのだろうか。高橋先生によると、主に高血圧や糖尿病の治療薬の副作用が考えられるという。高血圧の治療に使われる降圧剤は「ARB」「β遮断薬」など種類が多い。夜間頻尿に影響があるとして特に覚えておきたいのが、「カルシウム拮抗薬」と「利尿剤」だ。カルシウム拮抗薬は血管を広げて血圧を下げる薬で、腎臓への血流が増え、腎臓で濾過される血液量が増えるため頻尿を引き起こすことがある。利尿剤は尿量を増やして体内の余分な水分を減らす薬だが、これは飲む時間によっては夜間頻尿にはメリットになることもある。「利尿剤は午後2時、3時ごろまでに飲めば、かえって夜間頻尿を改善するという論文もあります。日中にたまった下半身の水分を、夕方までに1回出して就寝することができるからです」そもそも高血圧の人は夜間頻尿であることが多く、そこに降圧剤を使うことで、さらに夜間頻尿の原因を増やすことになってしまう。糖尿病の治療薬では「SGLT2阻害薬」と呼ばれる薬が、夜間頻尿の原因になっている場合がある。体内の余分な糖を体外に出すために尿をつくる薬だ。「この薬は強力な血糖値降下作用があり、糖尿病の改善にはいい薬ではあります。ただ糖を尿中に排出させることで、浸透圧によって排尿量が増えてしまいます。すると体内に水がなくなるので、余計のどが渇いて水を飲むため、夜間多尿になりやすい」さらに糖分の多い尿がたくさん出るため雑菌も増えやすく、女性は膀胱炎や尿路感染症のリスクが高くなる。「実際、SGLT2阻害薬の副作用には尿路感染症が明記されています。重症化すると腎盂腎炎に至ってしまうので注意が必要です」この薬の影響か、近年、排尿障害で病院に駆け込む中高年女性が増えているという。できれば生活習慣を改善し、高血圧や糖尿病を直すことが理想的だ。「コロナ禍で外出しなくなったため糖尿病が悪化したり、血圧が高くなったりする人も少なくありません。さらに女性の場合、骨粗鬆症の影響で排尿障害になることも。症状があってもコロナ感染を恐れ、診察控えをする人もまだまだ多く、潜在的な患者さんは多いと思われます」かぜ薬で頻尿になることも頻尿の副作用リスクが高い薬には「抗コリン作用」があるものが多い。「抗コリン作用は、お腹が痛いときなどに胃腸の動きを穏やかにする作用があります。そうすると膀胱の収縮も抑えられ排尿障害が出てしまい、残尿が増え、結果として昼も夜も頻尿になる可能性があります」抗コリン作用が含まれるのは、胃痛薬や腹痛薬、いわゆるかぜ薬である総合感冒薬、花粉症などの抗アレルギー薬などで、身近な薬に多く、だからこそしっかりチェックしておきたい。中でも総合感冒薬は、尿道が締まってしまう危険があるため、前立腺肥大症がある男性は、飲まないことが推奨されている。また、統合失調症の薬「クロルプロマジン」など心療内科や精神科で処方される薬には、だいたい抗コリン作用があるので、排尿障害を引き起こす可能性があるという。「1つの薬だけでなく複数の薬にそれぞれ抗コリン作用がある場合、その合わせ技で排尿障害が起きることがあります。最近懸念されているのは、高齢者がこうした薬を飲むと、認知障害が進むこと。そのため抗コリン作用がある薬は特に高齢者には安易に使わないよう、厚生労働省や日本老年医学会でも注意を促しています」頻尿の症状は、こうした薬を飲み始めて2、3日のうちに起きるという。ただし、新たな薬ではなくて、以前から服用していた薬でも頻尿になることがあるそうだ。「抗コリン作用のある薬は便秘にもなりやすいのです。女性の場合であれば、便秘を合併することで頻尿になることがよくあります」それまで特に症状がなかったのに「便秘+頻尿」になったら、薬の影響も考えるべきだという。医師に相談を「もしかして夜間頻尿は薬が原因かも」と思ったら、医師には早めに相談したい。「受診時に『最近夜中にトイレに起きることがよくあるけれど、飲んでいる薬が影響あるということはありませんか』と聞いてみましょう。きちんとした医師ならその薬を処方する理由や、副作用の可能性などを説明してくれるでしょう。今後の薬の処方についても配慮してくれます。もし医師が何も対応しなければ、思い切って医師や病院を変えることも検討していいかもしれません」なるべく影響の出にくい薬に変更したり、飲むタイミングを変えてみたりするほか、同じ薬でも減量すると症状が治まることがある。「自分で勝手に薬が原因かもと判断して、服用をやめることは厳禁です。糖尿病の薬も高血圧の薬も飲まないと命に関わる場合があるので、勝手な判断でやめずに早めに医師に相談しましょう」夜間頻尿改善のための市販薬には漢方薬が多いがエビデンスは十分ではないそう。しかし最近では、女性向けには日本初の市販薬が発売された。なお食品ではクランベリージュースに閉経後の女性に対して膀胱炎への予防効果があるという研究発表がある。「とはいえ、また服用する薬が増えることになるので、まずは薬の見直しが大事です」夜間頻尿の要因は、もちろん薬だけではない。高血圧や糖尿病などの基礎疾患、腰が曲がって神経を圧迫する腰部脊柱管狭窄症、尿を出す力が低下する低活動膀胱などがあげられる。さらに女性の場合は肥満などさまざまあり、こうした複合的な要因があると、当然だが治りにくい。「高齢になるほどに排尿トラブルは起こりますから、薬を飲むようになったら副作用の説明を必ずチェックし、体調の変化にも気を配りましょう。夜間頻尿の予防には、散歩や軽い運動をするといいですね。夜間頻尿の一因である足のむくみもとれますし、体重も減り、夜ぐっすり眠れます。生活習慣病や肥満の予防にもつながりますよ」病気別でわかる 夜間頻尿の副作用のある薬●高血圧カルシウム拮抗薬、利尿剤●糖尿病SGLT2阻害薬●花粉症・アレルギー抗アレルギー薬●かぜ総合感冒薬(市販)●胃痛・腹痛抗コリン薬(コランチルなど)●心不全利尿剤●うつ病・統合失調症抗不安薬(クロルプロマジンなど)教えてくれたのは…高橋 悟先生 ●医師。医学博士。日本大学医学部泌尿器科学系主任教授。日本大学医学部附属板橋病院・病院長。「夜間頻尿診療ガイドライン」作成委員会副委員長も務めるなど、日本の泌尿器科の権威のひとり。テレビやラジオなどにも出演多数。〈取材・文/江頭紀子〉
2022年04月22日幼い子供に苦い薬を飲ませるのは、至難の技です。そのため子供には、甘い味付けがされた、シロップタイプの薬を飲ませることがあります。1歳の娘さんを育てている、しおこ(@shiokmbbb)さんは、ある日、我が子にシロップタイプの薬を飲ませようとしていました。しおこさんが飲ませようとしていた薬は、娘さんが赤ちゃんだった頃、喜んで飲んでいたもの。しかし、娘さんは「おくちゅりいらない!」と拒否したといいます。しおこさんが「おいしいから!」と、半ば強引に飲ませると…。次からは「おいちいねぇ」って朗らかに飲んでくれるようになりました薬剤師さんから食べ物や飲み物に混ぜないでくださいね!って言われてるので毎回ガチンコで挑んでるんですけど、今後粉薬とかに移行した時の攻略法が思いつかない… pic.twitter.com/0uJ1Vj8wgN — しおこ1y (@shiokmbbb) April 11, 2022 娘さんは、怒りの叫び声を上げながらも「おいちいねぇ!!」とひと言。感情を爆発させながら、正直な感想をいってしまうところに、きゅんとしますね。この漫画には、子供を育てる親から、さまざまなアドバイスが寄せられています。・我が家では、シロップに付いてくるスポイトを使って飲ませます。味が分からないよう、ちょっとずつ与えるのがポイントです。・うちでは、小皿にお薬を出して、ストローで吸わせる作戦を行っています!・とっても怒っているのに、「おいちぃね!」っていう娘さん、かわいすぎます!お薬飲めて、えらいね!このお薬がおいしいことを学習した娘さんは、「おいちいねぇ」と、喜んで飲んでくれるようになったそうです。しかし、しおこさんは「また飲まない期間を経ると、このお薬の味を忘れて、嫌がるんだろうな」ともコメント。しおこさんと娘さんの、薬を巡る攻防は、しばらく続きそうです…。[文・構成/grape編集部]
2022年04月13日タレントの辻希美が2日に自身のアメブロを更新。薬を飲んでいてもきつかった症状について明かした。この日、辻は「今日はお散歩がてら桜並木を自転車で行きました」と報告。桜並木の写真とともに「最高だったぁ」とコメントした。一方で「今日はいつも以上に花粉にやられ…」と明かし「薬を飲んでもキツかった」と花粉症の症状に悩まされている様子を説明。「そんな今日は毛蟹が届き」と毛ガニを手にする自身の姿を公開し「一気に茹でていきまーす」と予告し、ブログを締めくくった。
2022年04月03日花粉症や新型コロナワクチンの副反応に備えるためなど、頼る機会の増えた市販薬。毎年、市販薬を多く購入している世帯であれば、ぜひ活用すべき国の特例制度がある。市販薬を1年間に1万2,000円以上(世帯合計)購入した場合、上限8万8,000円まで所得控除が受けられる「セルフメディケーション税制」だ。’17年にスタートした同制度。これまでは医師の処方箋から市販薬に転用された“スイッチOTC医薬品”のみが控除対象だったが、’22年1月から対象品目が一般用医薬品(OTC医薬品)にまで拡大され、大幅に利用しやすくなった。薬局やドラッグストアで販売されているすべての医薬品が対象ではないが、解熱鎮痛薬、鼻炎薬、総合感冒薬、胃薬、虫刺され薬、シップ薬など、’22年3月7日時点で6,399品目が対象となっている(対象品目は購入時のレシートに●や★などの目印が付く。厚生労働省のホームページでも確認可)。利用対象の基本条件は、次にまとめた4項目。■「セルフメディケーション税制」の対象となる条件【1】「セルフメディケーション税控除対象」のマークがついた市販薬を年間1万2,000円以上(世帯の合計)購入している。【2】市販薬を購入した際のレシートを保管してある。【3】申告を行う年に予防接種や健康診断などを受けて健康管理に取り組み、その領収書や診断結果を保管してある。【4】「医療費控除」を受けていない。4つの項目を満たせば、確定申告の際に申請が可能となる。課税所得400万円の世帯が、対象の医薬品を2万円購入した場合、課税所得から8,000円が控除され、所得税が1,600円、個人住民税が800円の計2,400円が還付される。医薬情報研究所エス・アイ・シーの医薬情報部門責任者で薬剤師の堀美智子さんは、次のように語る。「たとえば、家族全員が花粉症の市販薬を1カ月飲み続けている世帯などは、年間に購入するほかの薬を含めると、1万2,000円は軽く超えると思います。還付される金額が少なくても、控除を受ける条件がそろっているなら活用したほうがいいでしょう」1年間にかかった医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%)を超えた場合に受けられる「医療費控除」よりも適用となる下限額が低いこの制度。コロナ禍以降、市販薬で体調管理をしていた人にとっては、ちょっとした節税になるはずだ。
2022年03月28日※写真はイメージです「薬が薬を呼び、患者は薬の雪だるま状態になっている」と語るのは伊東エミナ医師。医者は薬を出し続け、その薬を疑わない患者ーーそんな日本の医療現場に疑問を投げかけている。だが、毎日飲み続けることで実は高まっている「クスリのリスク」。医療を受けるひとりひとりが知っておくべき医療の“からくり”を紹介する。年を重ねるごとに病院に足を運ぶ機会は増えていくもの。比例して多くなっていくのが薬の量だ。医療機関で処方される薬と年齢の関係を示した厚生労働省のデータがある。1か月に調剤薬局を通じて受け取る薬の種類が40代以降は増える傾向にあり、65歳以上の約15%が5~6種類、75歳以上の約25%が7種類以上の薬を服用している。このような薬との“深い”付き合いに警鐘を鳴らすのが、エミーナジョイクリニック銀座の院長、伊東エミナ先生。「薬の処方はあくまで対症療法です。すなわち症状を緩和するための治療法で、病気を根本から治すものではありません。薬の服用が副作用を伴うのはみなさんご存じだと思います。副作用によって症状が悪化したら、そこで新たな薬が出される。高血圧などの慢性疾患やうつ病などの場合は、病気の症状と副作用の区別がつかず、新たな薬の処方につながることも。薬が次の薬を呼ぶ負のスパイラルにより、雪だるま式に増えていくのです」薬をくれる医者は良い医者という誤認識薬では病気は治らない。副作用も怖いし、薬を増やす弊害もある。にもかかわらず、薬が大量に処方され続けているのはなぜなのか。伊東先生は、国民皆保険制度のマイナス面を要因として挙げる。「公的な医療保険の加入により、国民の誰もが保険医療を受けられる国民皆保険は優れた制度です。その恩恵はお医者さん側も受けています。診察し、薬を出すことで安定収入を得られるのは同制度のおかげだからです。患者さんからすれば、『医者は薬を出すもの』と認識し、『保険の適用で安くすむ』と安心しますよね。こうしてできあがるのは、薬を媒介にしてお医者さんと患者さんの間で信頼関係が成り立つ構図です。薬を出すお医者さんがよいお医者さんとは限らないのに、そう錯覚する人も出てくるでしょう」(伊東先生、以下同)薬を出してもらわないと安心しない。薬を出さない医者はおかしい─。そんな意識が芽生えていないだろうか。「風邪やインフルエンザの患者さんに、抗生物質を処方するお医者さんがいまだにたくさんいます。抗生物質はウイルスによる風邪やインフルエンザの感染には効果がありません。むしろ不要なときに抗生物質を飲むと腸の中の善玉菌まで殺し、悪玉菌を優位にして免疫力を下げることになります」薬を増やす悪因は医者への過度な信頼感かといって、患者のほうから薬を拒否するのは容易ではない。医者と患者は上下の関係になりがちだからで、言われるがまま薬を飲んでいる人は多いだろう。だが、権威ある立場の医者に対する信頼感がゆらぐ話もある。「健康診断の基準値の変遷は、医療業界と製薬会社とのつながりを疑わざるえない問題です。例えば高血圧の基準値でいえば、1987年は上の血圧が180以上でした。その後、数値は年々下がり、現在は140以上に。高血圧の基準値が下がれば、降圧剤などの薬を処方する機会は必然的に増えます。それはお医者さんにとっても製薬会社にとってもプラスですよね」薬がすべて悪ではなく、症状の緩和に不可欠な良薬もあるという。注意すべきはメリットよりデメリットが目立つ薬。高齢化社会に入り、医療費や保険料負担が増え続ける中、心身に悪影響を及ぼす薬にお金を払うのはムダでしかなく、ましてや飲むのは避けたいはずだ。「薬を最小限にとどめ、病気を根本から治す医療を志したのは、ストレスを主な原因とする私自身の病気体験がきっかけでした」と語る伊東先生。日本では数少ない根本治療専門クリニックを開業し、心身回復のための治療やケアに従事。不調には背骨のゆがみや体内の炎症などが複合的に関わるとし、表面的な症状だけに薬を出す対症療法に異を唱える。病院や薬に頼らない母の考えのもとに育つ伊東先生は幼少期、風邪をひくと高熱が出て扁桃腺が腫れることが多かった。しかし、病院や薬とは一切無縁だった。「母の行動や考え方によるものです。風邪のときは私に葛湯やお粥を食べさせ、どんどん汗を出し、下着を取りかえる。すると一晩で熱は下がり、扁桃腺の腫れも引いた。ほかの病気でも同様に薬を飲ませず、自然治癒に導いてくれました。私の医療に対する姿勢の基礎は、こうした母の教えによって培われたように思います」高校時代、心から慕う母親が子宮筋腫と診断され、入院を余儀なくされる。やがて悪性とわかり、抗がん剤治療へ。「母の病気から医師になる決意を固めました。母は抗がん剤の副作用に苦しみながらも打ち勝ち、回復。それでも、もう少し早く筋腫を発見できていたら……という思いはいまも拭えません」医学部に進学。国家試験に合格し、研修医を経て内科医として医師のスタートを切った。診療と研究の経験を積み重ね、6年目のこと。アメリカの大学に留学するチャンスを得る。だが、留学中に思わぬ病に襲われるのだ。「アメリカではホルモンと老化に関する専門的研究に没頭する忙しい毎日でした。言葉や文化、食事などが異なる異国の地というのもあり、ストレス過多の状態だったのでしょう。胃や精神に不調をきたすようになったのです。病院で出された薬を飲んでも効かず、さらに薬疹が出始め、吐き気もひどかった。症状は悪化する一方でしたね」薬で苦しんだ体験を治療に生かすと決意一時帰国を決断し、自らの病に思いをめぐらす療養の日々を過ごす。「なぜ自分は病気になったのか、薬が効かないのはなぜか、薬は怖いものではないか……と。もともと薬による対症療法主体の医療に感じていた疑問が、自身の経験で確信に変わりました。そして病気の根本的な原因を改善し、自然治癒力を高める治療の大切さに改めて気づき、ライフワークとすることに目覚めました」しかし壁が立ちはだかる。留学を終えて帰国したのち、根本治療の研究の場は与えてもらえなかった。組織の中では、新しい分野を追究するより、上からの指示に従う人材が必要とされたのだ。あえなく辞職した伊東先生は、志を貫くべく開業し、現在に至る。「当院で行う根本治療は日本の医療制度の関係上、保険外治療が中心。最良の医療を届けたいと思いながら、経済的な壁ができていることに、歯がゆさを感じます。アメリカでは根本医療に通じる機能性医学というジャンルの研究が進んでいる。日本でも同様に重視され、抜本的な医療改革のもと、根本治療が保険適用となることを夢見ています」薬は怖いもの…と気づいた伊東エミナ先生の歩み【幼少期】母親の方針から、病院や薬とは縁のない家庭で育つ。高熱には葛湯、下痢には梅酢を与えられ、自然治癒へと導かれた【医学生時代】母親の病気を機に医師を目指す。抗がん剤の副作用と不安に苦しむ姿に、医師として患者に寄り添うことを決意【医師になる】6年目、米国ヴァージニア大学に留学中、心身に不調をきたす。処方された薬が効かず、身体は拒否反応を示す。帰国し湯治場での療養で心身が回復。この体験をきっかけに、病気の本質的原因に関する根本治療の研究を開始【現在】独自に根本治療の研究を重ね、2010年、東京・銀座にクリニックを開業。以来、国内・米国研究所と連携し、最新医学をベースに心と身体の機能回復を専門にサポートしている。予防医療、自然医療の啓発をライフワークに認知症、がん……強い薬ほど身体を蝕むという事実薬と密接につながり、切り離させない医療の現実。対症療法主体の現代の医療は「自然治癒力を低下させ、かえって病気を悪化させることも少なくない」と伊東先生は指摘する。では、薬にはどのような危険が潜んでいるのか。具体例を挙げ、紐解いてもらった。「胸やけなどの治療には胃酸の分泌を抑える薬が出されます。たしかに胃酸は抑えられますが、その分、食物や栄養の消化吸収を助け、細菌から身体を守る胃酸の機能低下を招く。結果、悪玉菌を繁殖させることになりかねません。また胃酸を抑える薬が認知症のリスクを高めるというエビデンスも発表されています」前述した風邪やインフルエンザなどで出される抗生物質。その弊害はウイルスに効果なしというだけではない。「抗生物質を長期間服用すると、体内の菌が遺伝子変異を起こし、抗生物質に対して耐性を獲得します。つまり、抗生物質が効かない菌が作り出されてしまうのです」薬の効果とリスクは身体にとって表裏一体いまや日本人の2人に1人がかかるとされるがん。がん治療薬の抗がん剤が強い副作用を伴うのは周知のとおり。「抗がん剤はがん細胞を破壊する優れた薬です。ただ同時に、がんを患う患者さんの身体にも大きなダメージを与えます。抗がん剤が身体内から抜け切るには長い時間がかかり、その際、肝臓や腎臓、骨髄などを傷めるのです。抗がん剤など強い効力をもつ薬ほど、身体が蝕まれていくのは否めません」更年期障害の治療で用いられるホルモン剤の投与も身体への負担が大きいという。「保険で処方されるホルモン薬を用いた海外の大規模な研究では、乳がんや心血管疾患などのリスクが高まることがわかったため、研究が途中で中止になりました。この研究以外にも、ホルモン薬の副作用について多くの医学的根拠が明らかにされています」薬を増やすほどに副作用も重層的に高血圧の場合、血圧を下げる降圧剤を処方されるのが当たり前になっている。「降圧剤の副作用は多岐にわたり、血圧を下げすぎることで頭痛やめまいなどが生じます。高齢者の場合は転倒を招いて骨折し、寝たきりとなるケースも」心身の不調をきたすうつ病は抗うつ薬の治療が通例。しかも大量に薬を処方されることが少なくない。「病気の症状なのか薬の副作用なのかわからず、薬が増えていく典型パターンです。当院の例では、うつ症状が改善して薬をやめたのち、『頭がもうろうとしていたのは薬のせいだった』と気づく患者さんは多いですよ」このように薬の服用は危険と隣り合わせなのだ。「ただし、自己判断で薬をやめるのも危険です。必ず医師の指導を受けるようにしてください。大前提として、飲み続けて害のない薬は世の中にひとつも存在しません」治るどころか悪化のリスクが!飲み続けてはいけない薬●高血圧高血圧には降圧剤が処方される。「私がかつて視察した老人施設では、上の血圧が70にもかかわらず降圧剤が使われていた」と伊東先生。降圧剤の副作用は、頭痛、めまい、肝障害、心不全、貧血など多数ある。●うつうつ病の治療薬には抗うつ剤が用いられる。抗うつ剤の副作用は、嘔吐、下痢、不眠、動悸、不整脈など。薬物治療ではうつ症状の改善を望めないことが多いため、必然的に薬の増加と服用の継続につながり、副作用のリスクは高まっていく●がんがん治療薬の抗がん剤は強い副作用で知られる。脱毛、吐き気、嘔吐、手足のしびれ、抑うつ状態、疲労感など、幅広い副作用に襲われる。「抗がん剤はがん細胞を破壊する効果は高い。ただ身体に対しても同様のダメージをもたらすため、耐えられない患者さんは多いです」●アトピーアトピー性皮膚炎の治療にはステロイド外用薬がおなじみ。皮膚炎を抑える高い効果がある一方、継続して使用すると、皮膚がうすくなる、ニキビができやすくなる、うぶ毛が生えるなどの副作用をもたらす。ステロイドには毒性もあるため、多用は危険●花粉症花粉症の治療には抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などが処方される。副作用として眠くなったり、のどが渇いたりすることが知られる。花粉症はこれら薬を飲んでも根本的な完治に至らない。その結果、薬の服用と副作用が延々と続いていく●更年期障害閉経前後、女性ホルモンの低下により、ほてりやイライラなどさまざまな症状を引き起こす更年期障害。「治療はホルモン剤を投与するホルモン補充療法が一般的ですが、投与年数や薬剤によっては乳がんや心血管疾患などのリスクが高まることが報告されています」長い目で見て薬に頼らない医療の形を医療機関の多くは薬による対症療法を主体としているが、何の疑問も持たず薬漬けとなったら病気はいっこうに治らない。そこで病気の根底にある原因を明らかにし、心身をもとから健康に導く根本治療が必要になってくる。「病気の根本原因には、脊椎・骨盤のゆがみ、腸内環境や遺伝子要因、合わない食品などによる脳や自律神経および副腎の疲労、内臓機能障害、体内の慢性炎症が生じることなどが挙げられます。これらに対して最適なケアで自然治癒力を高める。それによって病気を根本的に治すとともに、病気にならない身体づくりをサポートします」初期投資はかかっても豊かな生活につながる根本治療には食事の改善や運動、良質なサプリメントなども必要不可欠となる。「食事の改善は、小麦や乳製品など身体の炎症を引き起こすものをカットすること。運動は血流をよくするのに欠かせず、手軽にできるスクワットがオススメです。栄養確保のサプリメントは商品を見極めなければならないため、医師など専門家に相談し良質なものを選びましょう」薬漬けになっても病状が改善せず、一縷の望みで来院した患者が、体内環境を整える治療で健康を取り戻すことも。「自費診療は高いと思われるかもしれません。しかし病気を根本から治療することに大きな意義があります。長い目で見れば、増大する保険医療費による財政圧迫を減らせる。私はそう信じています」苦しみから解放された人の声薬に頼らない治し方●長袖で隠していた肌をノースリーブで出せる喜び長年、アトピー性皮膚炎の炎症に苦しんでいたMさん。それがステロイドを使わず、背骨のゆがみを整える「脊椎調整治療」と「腸内環境改善治療」により、短期間で症状が大幅に改善した。「アトピーの炎症はお肌だけでなく、身体の中からも生じています。そこでカギを握るのが背骨のゆがみです。背骨は自律神経の通り道になっています。脊椎調整治療で背骨のゆがみを治すことにより、圧迫されていた自律神経の障害がなくなる。すると炎症をはじめ、血流、副腎機能、胃腸機能などが改善していくのです。ステロイドを使わないアトピー根本治療で精神の不安定感もなくなり、患者さんは笑顔を取り戻しました」●ステージ4の乳がんが根本治療で消滅ステージ4の乳がんを患っていた40代のSさん。ホルモン療法や化学療法の効果が感じられず来院したが、根本治療開始から約半年程度経過後、がんは完全消滅となった。「がんの根本治療は、免疫機能や血流の改善、炎症の抑制、検査に基いた厳格な食事療法などを行います」これらの治療を総合的に実施し、がん細胞が生き残れない環境に身体をつくり変えていくことがポイント。併せてメンタルサポートも行う。「私たちの身体にはもともと、アポトーシスと呼ばれるがん細胞を殺す力が備わっています。身体全体の機能改善により、その力を正常に機能させることができます」●認知症による言語障害も霧が晴れたように改善重い認知症を患っていた高齢のKさん。日常生活に支障をきたし、言語障害もあった。専門医師がスポーツ医学に基づいた脊椎調整治療を施し、背骨や骨盤のゆがみを整えた結果、症状が大幅に改善。元気に歩けるようになり、言語障害も回復した。「前述したとおり、背骨は自律神経の通り道です。脊椎や骨盤のゆがみと自律神経は密接に関わっています。そのゆがみを正すことで、認知機能や脳の血流が上がり、認知症の症状が改善に向かったわけです」教えてくれたのは・・・伊東エミナ先生 ●エミーナジョイクリニック銀座院長。医学博士。東京女子医科大学医学部卒業後、同大学内分泌内科勤務。米国大学留学、同大学国際統合医科学インスティテュート助教などを経て、2010年より現職。〈取材・文/百瀬康司〉
2022年03月07日あかぎれやひび割れなどに効果があるとされている、『軟膏』。保湿力が高いものの、ベタつきが強く、一度手に付けると洗い流しにくいといった特徴があるといわれています。タムラグリア(@tamuragrea)さんの自宅では、軟膏を容器に入れて保存していました。ある日、軟膏の様子を見て、タムラグリアさんは思わず絶叫。見たら「やってしまったな!」といいたくなる様子がこちらです。おおおおおおオロナインー!!!!!!!!!! pic.twitter.com/jYNhPOd9dG — タムラグリア (@tamuragrea) February 17, 2022 タムラグリアさんの子供が、軟膏の入った容器に手を突っ込んでいたのです!床や子供の手には、軟膏が大量に付着。軟膏が大量に使われたことでもったいなさを感じつつも、ここまで来ると笑ってしまいそうです。【ネットの声】・ツボにハマって爆笑した。この後片付けが大変だ!・子供なら1回は通る道。うちの子も手を出してたな。・既視感しかない。ついこの間、ボディークリームでやられた。タムラグリアさんによると、普段は子供の手が届かない場所に、しっかりと保管しているそうです。子供は、ほんの少し目を離した瞬間を狙い、軟膏の容器を開けていたとのこと。手に付いた軟膏を、子供が誤飲すると危険な可能性があります。きちんと親が注意していても、子供は時に予想外な行動に出るもの。可能な限り気を付けつつ、いざという時は対処できるようにしたいですね。[文・構成/grape編集部]
2022年02月20日※画像はイメージです「サプリメントは安易にとらないほうがいいです」と警告するのは、内科医でアクア・メディカル・クリニック院長の寺田武史先生だ。■薬とサプリの飲み合わせは危険身体のためと思って飲んでいるサプリメント(以下、サプリ)がかえって身体に悪影響を及ぼすリスクがあるからだという。特に問題となっているのが病院で処方された薬とサプリの飲み合わせだ。日本医師会では服用している医薬品とサプリの相互作用で思わぬ健康被害が発生することがあるとして、啓発用ポスターを用いて広く注意を促している。薬物性肝障害などの重篤な副作用を引き起こすケースもあるようだ。また、アメリカでは年間約2万3千人もの人がサプリが原因と考えられる健康被害で救急外来を受診しているという報告も(『JAMA Internal Medicine』2019.1.7)。「コロナ禍で、自分の身体は自分で守ろうと健康志向の高い人が増え、これまではサプリを飲んでいなかったけれども自己判断で飲み始めた人もいると思います。しかし、病院からもらう薬の効きめが変わったり、副作用が強くなることもあるので慎重になるべきです」(寺田先生、以下同)処方薬との飲み合わせによって健康被害が出るだけでなく、サプリ単体でも吐き気や腹痛、下痢、また発疹やじんましんなどが見られた場合は身体が異常を訴えている緊急事態。いわゆる、薬物アレルギーを起こし、最悪の場合、命の危険を伴うこともある。「このような症状が出たらすぐにとるのをやめて病院を受診してください」薬やサプリは100%安全ではない。飲み方次第では毒にもなるのだ。効果的かつ安心安全に服用するために、よくある“落とし穴”を紹介する。■医師が教える「危険な飲み合わせ」の一覧〜危険な飲み合わせ 処方薬×サプリ&漢方〜【高血圧の薬】・ACE阻害薬×EPA・DHA(オメガ3系脂肪酸)オメガ3系脂肪酸は本来なら血液をサラサラにするいい油だが、薬と併用することで急激な血圧降下が起こり、めまいや立ちくらみを起こす。最悪の場合、意識を失って命の危険も。・ACE阻害薬×セサミン(ゴマ)ゴマに含まれる成分、セサミンには血圧低下効果があり、一緒にとると血圧が下がりすぎるおそれがある。・降圧薬・利尿薬・強心薬×甘草・麻黄(漢方)甘草には体内のカリウムを排泄させる作用があるため利尿薬との併用で血圧が下がりすぎる場合が。麻黄には興奮作用などがあるため、心疾患がある方は不整脈を誘発するおそれがある。【糖尿病の薬】・グリメピリド・メトホルミン・インスリン注射剤など×イチョウ葉エキス・アシュワガンダ・ウコン・地黄・麻黄(漢方)イチョウ葉エキスなどはインスリンの分泌を促進し血糖降下作用があるため併用すると、低血糖を引き起こすおそれが。けいれんや動悸、意識障害が表れる危険も。【脳卒中や心筋梗塞の薬(抗血栓薬)】・ワルファリンカリウム×ナットウキナーゼ・ビタミンE・ビタミンK・コエンザイムQ10・甘草(漢方)ナットウキナーゼとビタミンEは血液凝固を抑制するため併用すると出血や青あざの原因に。ビタミンK、コエンザイムQ10、甘草は血栓ができやすくなり、脳卒中などにつながるおそれが。【更年期障害の薬・うつの薬・不眠の薬】・SSRI・SNRIなど×セントジョーンズワート(西洋オトギリソウ)セントジョーンズワートは薬と似た作用があり、副作用が強まる危険が。心臓の異常や手足の震え、うつ症状の悪化などあらゆる症状が表れ、最悪の場合は死に至ることもある。【骨粗鬆症の薬】・活性型ビタミンD3製剤×ビタミンDこれらを併用するとカルシウムの吸収がよくなりすぎて腎臓に余計な負担がかかる。【抗生物質】・テトラサイクリン・ニューキノロン系×カルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛などのミネラルカルシウムなどのミネラルが薬の成分と結合し、体内への吸収が阻害されるため薬が効かなくなることも。〜危険な飲み合わせ 処方薬×食べ物&飲み物〜・薬全般×グレープフルーツなどの柑橘類グレープフルーツに含まれるフラノクマリンという物質がさまざまな薬と相性が悪い。高血圧の薬(カルシウム拮抗薬など)では血圧を下げすぎたり、高コレステロール血症の薬(アトルバスタチン・シンバスタチン系)ではコレステロールを下げすぎてしまうほか、最悪の場合は肝機能障害や筋肉組織が溶ける「横紋筋融解症」などを引き起こす危険も。そのほか、脳卒中や心筋梗塞の薬、心臓病の薬、鎮静薬、てんかんの薬、うつの薬などさまざまな薬の作用を強めるなどの重大な副作用を招くおそれがある。薬の服用期間中は食べないほうがいい。なお、果肉だけでなく、ジュースもNG。また、グレープフルーツ以外にも文旦、はっさく、スウィーティー、メロゴールドなども要注意。・高血圧の薬(ACE阻害薬)×MCTオイル(ココナッツやパーム種子など植物由来の油)MCTオイルの中鎖脂肪酸に含まれるカプリル酸に血圧低下作用があるため、とりすぎると血圧が大幅に下がる危険が。ふらつきやめまいなどの症状が表れるおそれも。・糖尿病の薬(グリメピリド・メトホルミン・インスリン注射剤など)×オリーブオイルオリーブオイルに含まれるオレイン酸が血糖値を下げるため、服用中は使いすぎ禁物。低血糖で動悸や意識障害を引き起こす場合も。・糖尿病の薬(グリメピリド・メトホルミン・インスリン注射剤など)×カフェインの多い飲み物カフェインは血糖上昇作用が強いため薬の作用を妨げる。コーヒーや炭酸飲料、栄養ドリンクなど、カフェインの多い飲み物のとりすぎに要注意。・抗血栓薬(ワルファリンカリウム)×納豆納豆に多く含まれるビタミンKには血液凝固作用があり、併用すると薬の効果が弱まり血栓ができやすくなる。■薬やサプリ、漢方や飲み物も注意高血圧や糖尿病、更年期障害など、身近な病気の治療薬と相性が悪いサプリがある。例えば、血液サラサラ効果で人気のEPAやDHAなどオメガ3系脂肪酸サプリやCMでおなじみのセサミンと、高血圧の薬との飲み合わせ。併用すると血圧を下げすぎてめまいや立ちくらみを起こし、意識を失うおそれがある。特にシニア世代は低血圧になったときの症状が重く出る場合があるので、注意が必要だ。また、見過ごしがちなのが漢方。処方薬と、市販の漢方薬や漢方成分を含む風邪薬やドリンク剤などとの飲み合わせにも気をつけたい。さらに、薬の作用に悪影響を及ぼす食べ物や飲み物もある。その代表がグレープフルーツ。高血圧の薬と併用すると薬が効きすぎてしまって急激な血圧低下でめまいや頭痛を引き起こすことも。飲み合わせによって、薬が効きすぎたり、効果を打ち消しあったりと、相互作用はさまざまだが、危険であることに変わりはない。どれも1時間ほど間隔をあけて飲めばリスクは下がるので、一緒に飲むことは絶対に避けたい。「思いもよらない副作用を未然に防ぐためにも、日ごろ常用しているサプリなどがあれば、お薬手帳に記載し、かかりつけ医や薬剤師に報告しておくことをおすすめします。なお、分子栄養学を学んでいる医師にかかれば栄養療法や採血などの検査を用いて本当にそのサプリがあなたに必要か否かを見極めてくれるので安心です。そういう視点でかかりつけ医を選ぶのもひとつの手だと思います」■サプリはピンキリ、裏をみるべしちなみに寺田先生によると、市販されているサプリは玉石混交。そのため、選ぶ目を持つことも重要だと訴える。「私の患者さんには原材料や製造方法など品質にこだわった医療機関でしか買えないサプリを推奨していますが、みながみな、そういうわけにもいかないので市販品なら質のいいサプリを選んでください」その方法とは、サプリの袋の裏面を見ること。「サプリはあくまでも食品ですので、食品表示法に基づいて裏面に商品に関する情報が記されています。そこを見れば、粗悪品を見抜くことができます。まずは〈原材料名〉。いちばん多く含まれているものから順に並んでいます。例えば、商品名は『マルチビタミン』でも、メーカーによって含まれている成分は大きく異なります。マルチビタミンという名前でもいちばん最初にビタミンではなく、麦芽糖や乳糖、イノシトールといった糖分が表示されているものもあるので要注意です」もうひとつは〈添加物〉。「原材料名より添加物のほうが多く表示されているものも。サプリの成分の多くが添加物という可能性が高いので避けたほうが無難です」■いいサプリの見極め方(裏面の例)名称:ビタミン類含有食品(★1)原材料名:麦芽糖、乳糖、イノシトール、ビタミンC、結晶セルロース、ビタミンB…(★2)添加物:ゼラチン、二酸化ケイ素、ショ糖脂肪酸エステル、着色料(カラメル、二酸化チタン)…(★1)原材料名に並んでいる成分は?多く含まれているものから順番に並んでいる。商品名にある栄養素の名前が最初に表示されているものは比較的品質が高いといえる。この場合はビタミン名よりも前に糖分名が書かれていて主体が糖分だとわかる。(★2)添加物がどれくらい入っているか?原材料名欄の/(スラッシュ)以降に表示されていたり、改行して表示されている場合もある。添加物名が多すぎないか要確認。特に増量剤や着色料、甘味料、保存料といった添加物が多いものは避けたほうが無難。■医師が教えるサプリ選び最後に先生おすすめのサプリを教えてもらった。「まず大前提としてサプリはすべての人に必要なわけではありませんが、強いていうなら『消化酵素』です。近年、すべての病気は腸から始まると考えられていますが、消化酵素は腸の機能を正常に保つうえでとても大事なものです。意外と日本人は胃酸の分泌量が少ない人が多く、栄養素が吸収されにくい体質なので消化酵素をしっかりとることで消化吸収を促すことができます。消化酵素のサプリはほかのサプリと比べて市販品は少ないですが、例えば個人輸入型通販サイトの『アイハーブ』にある『バイオジェスト』など、通信販売で買えるものもあります。ちなみに、このサプリは食直前の内服が効果的。もちろん、サプリでなくても消化酵素を多く含む大根おろしやパイナップルを肉などと一緒に食べるのも有効です」本来は、薬もサプリも身体のためと思って飲んでいるもの。ただ漫然と飲むのではなく、飲み合わせや食べ合わせは問題ないか、そのサプリはそもそも安心安全なものなのか、本当に必要なのかを日ごろから意識することが自分の健康を守るうえで大事なことなのだ。■今さら聞けない! 薬&サプリのギモン薬やサプリを服用するうえで、素朴な疑問を寺田先生に教わった。Q.お茶やコーヒーで薬を飲むと効果はないの?お茶やコーヒーに含まれるカフェインが薬の作用を阻害するのでNGです。お酒も血液中の薬物濃度が上昇して薬の作用が強くなるので絶対ダメ。サプリの場合はそれほど気にすることはありませんが、薬同様、水やぬるま湯がベストです。特に、貧血改善にヘム鉄を飲んでいる場合は緑茶や紅茶、コーヒーで飲むのはNG。それらに含まれるタンニンが成分の吸収を妨げてしまいます。Q.錠剤の薬が飲みにくい。砕いてもいい?そもそも薬やサプリは苦み成分が多いものもあり、飲みやすさを考慮して錠剤やカプセルにしています。砕いても効果に変わりはないので、苦さなどで飲みにくくなければ大丈夫です。Q.サプリはいつ飲むのが効果的?特に明記をしていないなら「食後」。食事をすることで胃腸が活発に動き、吸収がよくなるからです。ただし、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルや消化酵素は胃酸を中和して消化が悪くなってしまうので、食前がおすすめ。教えてくれたのは……●寺田武史先生●内科医。アクア・メディカル・クリニック院長。東邦大学大橋病院勤務後、2004年より当院。栄養療法や東洋医学を基底とした治療に加え、病気にならないための予防医療にも力を入れている。
2022年02月13日※写真はイメージです市販薬から日用雑貨まで暮らしに必要なものが買えて便利なドラッグストア。最近では、牛乳、卵、野菜、冷凍食品も取りそろえ、スーパーの役割も担いますますパワーアップ。薬やコスメを買いに来たついでに食材も買えて時短になる、処方箋の薬を待つ間に買い物ができると主婦層を中心に注目を集めているが、消費者目線で見たときの最強は?調剤、一般用医薬品、食品、ポイントの充実度などで比べてみた。■成長を続けるドラッグストア業界長引くコロナ不況のなかでも右肩上がりの成長を続けている業種がある。ドラッグストア業界だ。2020年の業界全体の売上高は8兆363億円に上り、10兆円産業となる日も間近に迫っている。「この2年ほどはコロナ特需によってマスクや除菌関連商品などの衛生用品の分野が大きく伸びました。さらに、医薬品と化粧品の2大看板に加えて食品分野を強化してきたことも、この業界が成長を続ける要因のひとつです」そう話すのは、流通ジャーナリストの石橋忠子さん。近年のドラッグストアは豆腐や牛乳などの日配品や生鮮食品にも力を入れているという。医薬品から食品まで、一度の来店でまとめて購入したいという消費者の“ワンストップニーズ”に応えるためだ。「もはやドラッグストアの競合相手は中小の薬局・薬店ではなく、コンビニやスーパー。出店ペースもますます加速し、大手ドラッグストアチェーンは軒並み年100店舗以上の拡大を続けています。業界内での競争も激しく、各社が独自のサービスを模索しながら、生き残りを図っています」(石橋さん、以下同)利便性も高まり、これまで以上に身近な存在となりつつあるドラッグストアだが、なかでもいちばん使い勝手がいいのはどこのチェーンなのだろうか。さっそく、業界の大手チェーン上位6社を部門ごとに比較調査してみた。まずチェックしたのは店舗数と売り上げ規模。実はドラッグストアチェーンは吸収合併が盛んで、昨年10月にも大きな変化が起こったばかりだ。「マツモトキヨシとココカラファインが経営統合し、業界の勢力図が激変しました。売り上げ規模でいうと、第1位のウエルシアに次いで第2位となる巨大グループが誕生したことに。都市部や繁華街に多く出店していたマツキヨはコロナ禍のインバウンド消失で大打撃を受けていますが、統合によってトップ奪還も狙える位置にきました」今回の統合により、系列店舗を含めた【店舗数】ではマツキヨとココカラの3225店舗が第1位のS評価。単純な数の勝負ではあるが、店舗数が多いということは消費者がより気軽に訪れることができるという証でもある。【売り上げ規模】はウエルシア、マツキヨココカラ、ツルハが大きい。「上位3社はいずれも1兆円前後の売り上げ規模で、それ以外の企業との差を大きく広げています。この3強が業界を牽引するかたちはこの先も続いていくと思いますよ」■化粧品や日用品に強いのは次に、ドラッグストアの専門性を担う調剤と一般用医薬品の2項目を見ていこう。そもそもドラッグストアの業態には、医薬品の調剤を扱える保険薬局としての機能がある店舗とない店舗が混在している。今回【調剤】は医師の処方箋に従って提供する医療用医薬品を中心に、【一般用医薬品】はそれ以外の第2類医薬品や第3類医薬品などのいわゆる市販薬を中心に、それぞれ売上高やサービス内容、商品の充実度をもとに判定した。「健康維持や予防医療にも注目が集まるなかで、医薬品やサプリメントを充実させたり、健康にまつわる情報提供に力を入れたりと、ヘルスケア部門のさらなる強化を意識しているのがウエルシアとスギ薬局。両社はとにかくヘルスケアに強く、調剤のみの売上高でもトップ2です。特にスギ薬局は調剤併設を早くから本格的に進めており、現在では8割ほどの店舗で調剤ができるようになりました」調剤体制の強化は各社が進めているところだが、この2社が頭ひとつ飛び出て、それぞれS評価に。一般用医薬品については調剤ほどの差はつかなかったが、解熱鎮痛剤や抗アレルギー薬など医薬品でもプライベートブランド(PB)商品を幅広く展開するマツキヨに軍配が上がった。「ツルハの『くらしリズム』やスギの『エスセレクト』など、PB商品には各社が力を入れています。そのなかでもマツキヨのPB医薬品は売り場の目立つところに陳列されており、種類も豊富です」次に気になるのは【化粧品】の項目。コロナ禍の在宅勤務やマスク着用によって以前よりは販売額が落ちているものの、化粧品は医薬品とともに“ヘルス&ビューティーケア”と呼ばれ、ドラッグストアの2大看板商品のひとつだ。ビューティーとは基礎化粧品やコスメを指す。「化粧品で圧倒的に強いのがマツキヨで、化粧品部門がマツキヨ全体の売り上げの4割近くを占めるほどです。こちらもPB商品の充実が勝因のひとつで、顧客データを活用し、消費者ニーズを満たすPB商品の開発に力を入れてきた結果の表れですね」化粧品の売上高ではマツキヨの後をウエルシア、サンドラッグ、ツルハが追うかたちでそれぞれAランクに。2位以下にさほど大差はつかないが、特筆すべき点があるとすればツルハの追い上げだ。「ツルハは資生堂やカネボウなど大手化粧品会社とのつながりを強めています。定期的に『カネボウまつり』を行うなど、特にカネボウとの関係は強固。メーカーとの距離の近さもドラッグストアの力のひとつかもしれませんね」【日用品】部門も見ていこう。ドラッグストアは医薬品と化粧品で十分に利益を得られるため、集客のための目玉として、ティッシュペーパーなどの日用品については思い切った安売りをしている。「日用品はどこも安売り合戦になりがちです。単純な価格比較だけでいうと、ポイント還元やキャッシュレス決済に未対応のコスモスは、そのぶんほかよりも価格を低くすることで対抗しています。他店の税抜き価格よりもコスモスの税込み価格のほうが安いということも多くありますね」調査の結果、日用品部門でもマツキヨ、ウエルシア、ツルハなどPBの強いチェーンの健闘が目立った。特にウエルシアは近年『くらしウエルシア』というブランドを立ち上げ、環境配慮型の商品の開発を進めている。「ウエルシアのPBは環境へのやさしさなどで付加価値を高めた商品を数多くラインナップしています。そういった取り組みが消費者に受け入れられれば、日用品でも差別化できそうです」■外食チェーンとコラボ次に評価するのは【食品】部門。大手スーパー・イオングループのノウハウを生かすウエルシアや、子会社にディスカウントストアのダイレックスを持つサンドラッグなど、各社がそれぞれのやり方で食品の強化を進めている。「大手ドラッグストアでいち早く食品の取り扱いを進めたのがコスモス。売り上げの5割以上を食品部門が占め、業界を牽引する存在です。冷凍食品や日配品などの取り扱いにも早くから取り組んでおり、売上高ランキングでは2位のツルハに2倍ほどの差をつけて、断トツの1位ですね」ドラッグストアの食品にまつわるニュースは豊富だ。特にウエルシアは独自のサービスも多く、埼玉県坂戸市の店舗では駐車場で「朝市」をスタートしたり、オリジン弁当や吉野家と提携してそれらの弁当を棚に並べる店舗も。「東日本大震災が起きたあとに、コンビニでは卵や牛乳、惣菜などの販売が一気に加速しました。同様に、このコロナ禍を境にドラッグストアの食品市場も急成長しており、薬のついでに食品を買うというのも当たり前の社会に変化していくと思います」最後は、消費者として最も気になる【ポイント還元】。“ポイ活”ブームにおいて、あらゆる商品がそろったドラッグストアは過酷なポイント付与合戦の主戦場ともいえる。「独自のポイントサービスはもちろん、楽天やTポイントなどの大手との連携を進めるチェーンも多いです。マツキヨは以前からアプリの開発でクーポン配布などを強化していますし、歩いて独自のマイルを貯められるスギ薬局の『スギサポwalk』という歩数記録アプリも人気です」毎月20日に行われるウエルシアの『お客様感謝デー』では貯まったTポイントの1・5倍分の買い物ができると人気で、“ウエル活”とも呼ばれる。これらの話題を提供する企業が高評価を得るかたちとなった。以上、各項目を判定した結果、ドラッグストア通信簿で最も優秀な成績を収めたのはウエルシアに。「ウエルシアはヘルスケアに強く、薬にまつわる情報開示や店員への相談などの体制も整えています。価格はピカイチに安いというわけではないですが、消費者にとってますます使い勝手がよくなることは間違いないと思います」過熱するドラッグストア戦争。それぞれのチェーンの強みをうまく把握し、より上手に使っていきたい。今回は、ドラッグストア業界の売り上げで上位を占める6社を取り上げた。各項目は企業発表のデータを基本に、商品数やPBの有無、売り上げに占める構成比などを基に独自の基準で評価した。基本的には各社の主要店舗以外にも、マツキヨグループの「どらっぐぱぱす」などやツルハHDグループの「くすりの福太郎」「ウォンツ」「レディ薬局」など、それぞれのグループ店舗についても含めたデータを評価対象とし、1月20日に調査。加速するPB商品戦国時代大手メーカーのナショナルブランド商品と比べて「ただ安いだけ」といった評価ははるか過去のもの。ますます混迷を極める競争のなか、さまざまな付加価値を得てドラッグストアの売り上げを支えている人気のPBをチェック!特に幅広い食品のラインナップが魅力のコスモスのPB『ON365』。「おいしい惣菜」シリーズなどの冷凍食品はもちろん、ベーコンやちくわなどの日配品、さらにはお酒まで、高品質で低価格な商品が並ぶ。マツキヨのPB『matsukiyo』の強さの秘訣はその開発力。化粧品やサプリなど、顧客の声を細やかに取り入れるだけでなく、購買動向などのビッグデータも用いて、ニーズの高い良品を数多く生み出している。『くらしウエルシア』はウエルシアの日用品PB。機能、品質、エコ性能に配慮した付加価値の高い商品展開が魅力で、「誰も傷つけたくないスポンジ」など、ユーモアあふれるネーミングセンスも評価できる。〈取材・文/吉信 武〉
2022年02月05日■前回のあらすじ「うっかり忘れ」について病院で具体策を質問した夫に、無言の医師。そしてC薬の服用量を増やされて…。■カウンセリングを期待したけれど…前回の診察で、C薬の含有量が増えました。前回の記事にも描いたとおり、この時は先生がカウンセリングをしてくれるんだと思っていました。でも、カウンセリングまではいかなくても、もう少し何か言ってくれてもいいんじゃないかな? とは、今でも思います。先生への信頼はなくなってしまいました。なので、「私が最初に検索してたどり着いた人気の心療内科に予約してみない?」とナギさん(夫)へ提案しました。「何ヶ月先になってもいいから、予約だけはしとこうよ。その間にC薬は飲み続けられるんだからさ」と。ナギさんも納得しました。■結局私がしないといけないの?先生への信頼をなくした私は(というか信頼が生まれなかったという方が正しいかも)、でもどうにかしないと自分がつらいと思い…。結局私がしないといけないのか。それができないから病院に行ってもらったのに。そう思うと心が折れそうでしたが、それっぽい本を片っ端からポチりました。ナギさんは活字の本が苦手というのは以前にも描いたのですが、国語の教科書レベルでも苦痛らしく、読んでいると本当にすぐ眠ってしまうそうです。これを利用して、「眠れない時は活字の本を読めば?」と言ったこともあるのですが、そもそも「読みたい気分」にならないそうなので私のアドバイスが採用されたことはありません。これをふまえて、ナギさんに渡したADHDの本も漫画が多いものにしました。漫画で描かれた認知行動療法の本もあったのですが、お試しで見てみたら文字が多かったり求めている内容と違ったりして…。理想の本に出会うまでには何冊か読まないといけないというのは私自身もよく経験しているので、まず私が確認してからナギさんに伝えるなり読んでもらうなりしないと…と思いました。次回に続く「もしかして、夫はADHD?」(全19話)は21時更新!※この記事に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師にご相談ください。
2022年01月16日「冬」におすすめしたい薬膳を使用奥鎌倉の古民家を活用したアートスペースBLACK CUBEで、2022年1月29日(土)から30(日) の2日間、「喫茶養生記」と薬膳の考えに基づく薬膳スイーツ体験ワークショップが開催されます。同イベントは、文化庁「上質な観光サービスを求める旅行者の訪日等の促進に向けた文化資源の高付加価値化促進事業」採択事業の一環として実施され、2022年春以降の本格始動に先駆けたモニタリングイベントです。薬草調合師の新田理恵さんによるメニューや薬膳の効用についてのガイダンスを受けながら、「冬」におすすめしたい薬膳を使ったお茶とスイーツを楽しむことができます。巡りを助ける薬膳パワーイベントにて提供される薬膳スイーツは、"un:parfait(アン・パフェ)"と名付けられ、季節に合わせたナッツ、ドライフルーツ、スパイス、ハーブ、プラントベースのムース、ベイクなどをアンサンブルで堪能できます。古民家という非日常空間で、温かい野草茶やスパイスの効いたハーブティーなどの数種類のお茶とともに、伝統植物が体の巡りを助ける新たなスイーツ体験を実現します。参加費2000円(税込)、各回すべて完全予約制です。(画像はプレスリリースより)【参考】※BLACK CUBE特設ページ
2022年01月16日助産師・国際ラクテーションコンサルタントの榎本さんが、赤ちゃんへの正しい薬の与え方について教えてくれました。良かれと思ってやっていた赤ちゃんへの薬の与え方が実はNG行動かもしれません!しっかり確認しておきましょう。 風邪などで赤ちゃんへ薬を飲ませなくてはいけない時に、飲ませ方に苦労されている方は多いかと思います。今回は、赤ちゃんへのお薬の飲ませ方についてお話ししていきます。基本的なお薬の飲ませ方粉薬は通常、服用直前に少量の水や湯ざましを加えて混ぜ、スプーンやスポイトで口の中に入れ、その後、水や白湯などを飲ませます。話しかけて飲ませ、上手に飲めたらほめてあげましょう。シロップなどは、スプーンやスポイトで同様に飲ませます。ミルクや搾乳には混ぜるのはNG!粉薬やシロップをミルクや搾乳に溶かして飲ませる方がいます。これはやっている方も多いのですが、実はNGです。ミルクや母乳(搾乳)の味を変えてしまうと、嫌がって通常のミルクや搾乳を飲まなくなってしまうリスクがあります。同様に、食べるのを嫌がるようにならないよう、おかゆなど主食に混ぜないようにしましょう。粉薬は、水や白湯で溶かすようにしてください。哺乳瓶であげると、後々に哺乳瓶を嫌がるお子さんもいるので基本的にはスポイトやスプーン、薬杯であげるようにしましょう。 粉薬を飲むのを嫌がって飲んでくれない!どうしたら良い?赤ちゃんは、粉薬の「苦味」「におい」「ざらつき」等が原因で嫌がることがあります。最近では味やにおいを工夫して飲みやすくしている薬もあります。特にジェネリック製剤で工夫されている薬もあるので、薬剤師に相談されると良いかと思います。どうしても飲まない場合には、次のような方法を試してみてください。 ①ペースト状にして飲ませる小皿などに粉薬と少量の水を加え、練ってペースト状にします。(水が多いとまとまり辛いので少量にします)口の中の頬の内側や上あごに塗りつけ、水、湯ざましなどを飲ませます。舌先は苦味を強く感じるので避けましょう。白湯を嫌がる場合は、母乳やミルクをあげます。 ②飲食物に混ぜて飲ませるくすりの味を隠すため、赤ちゃんが好む飲食物に少量混ぜて一緒に飲ませます。酸味がある飲食物(オレンジジュース、スポーツドリンク、乳酸菌飲料、ヨーグルト等)に混ぜるのは避けましょう。薬のコーティングがはがれ、余計に苦味が出たり、効果が弱くなる薬もあります。また、熱いスープや食べ物に混ぜると、くすりの品質が損なわれることがありますので、避けましょう。また、粉薬を飲食物に混ぜたまま長時間放置すると苦味が増したり、変質したりすることがありますので、飲ませる直前に混ぜるようにしましょう。 ③アイスクリームなどに包み込んで飲ませる冷たいと味覚が鈍るため、アイスクリームやシャーベットなどに包み込むようにして飲ませます。また、服用を補助するゼリー状の商品に薬を包んで飲ませる方法もあります。まとめお薬の種類によっても注意点が変わることがあるので、お薬に適した方法は薬剤師に相談するようにしましょう。また、赤ちゃんはお腹がいっぱいのときは、なかなか薬を飲んでくれなかったり、体調がよくない時はいつもより機嫌が悪かったり、ぐっすり眠っていることも多く、薬をいつ飲ませたら良いか迷うこともあるかと思います。例えば、食後の指示の処方薬が必ず食後に飲まないといけない薬かなど、タイミングや飲まない時の対処方法も医師または薬剤師に確認しておきましょう。 【引用参考文献】五十嵐隆監修一般社団法人日本小児総合医療施設協議会編集乳幼児・小児服薬介助ハンドブック監修者・著者:助産師 国際ラクテーションコンサルタント・おむつなし育児アドバイザー 榎本美紀2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業。病院勤務での経験を元に、母乳育児支援の国際ライセンスである国際ラクテーションコンサルタントとして、地域の母乳育児を支援。訪問時の相談は多岐にわたり、おむつなし育児アドバイザーとしてトイレトレーニングなどの相談も。一児の母。
2022年01月14日■前回のあらすじ2回目の診察で、医師に「薬を飲んでも、眠くなる以外とくに変化がない」と報告した夫。仕事での困り事を聞かれ答えると、また別の薬を試してみようと言われたのでした。■医師の対応にモヤモヤ遂にADHDの薬が処方されました。お試しで飲んでみて問題がなかったら継続的に処方すると言われたそうです。このC薬は、処方する医師と処方される患者双方の登録が必要な薬とのこと。患者が登録する際に必要なもののひとつとして「第三者からの情報提供」があり、小学校や中学校の通知表、連絡帳、母子手帳、の提出が必要となるそうです(これらがない場合は、家族、友人、職場の人など第三者と一緒に受診する必要があるそうです)。■明らかに違う! その理由とは…あくまでも、ナギさん(夫)個人の感想です! 念のため! C薬飲んだら全員こうなるわけではないと思います!「仕事中の時間が遅く感じる」って、私の感覚だとあんまり良くないイメージだったんですけど、ナギさんいわく、その分こなせる量が増えたから「良かった」そうです。確かにそう考えると、今までこなしてきた仕事量を上回る成果を出せてるということなので、いいことなんでしょうね。次回に続く「もしかして、夫はADHD?」(全19話)は21時更新!※この記事に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師にご相談ください。
2022年01月13日【無印&100均】お薬グッズの整理収納アイデア集人気の無印良品や100均グッズを使ったお薬の整理収納アイデアを特集。使い掛けのお薬や湿布、消毒グッズなどもスッキリ使いやすく収納&使用期限などもしっかり管理できていれば、いざという時にも安心です。無印&100均グッズを上手に組み合わせた、参考になるお薬グッズの整理収納アイデアをお届けします。収納ケース&ボックスに一括収納無印の工具箱でおしゃれなお薬収納instagram(@korenankore72)無印良品で人気のスチール工具箱を使った、おしゃれなお薬収納。マグネット付きのクリップを蓋の裏にくっつけて、絆創膏や使い掛けの湿布なども挟んで収納できます。無印の収納キャリーケースにお薬収納instagram(@s.k.m.f)無印良品の収納キャリーケースは持ち手付きで、とっても便利。仕切りが付いていて、お薬の他にもサプリやクリームなどを一括収納できるところが魅力。無印の小分けボトルでおしゃれな薬収納instagram(@harmaaco)壁に取り付けたスチール製の薬箱内に、無印の小分けボトルを使ってお薬を収納したおしゃれなアイデア。小分けボトルには1回に飲む分ごとにお薬を収納。ウォーターサーバー上に取り付けてあり、お薬が飲みやすい工夫がされています。無印トタンボックスにお薬収納instagram(@letoile__life)密閉性が高く、収納力も抜群な無印良品のトタンボックスはお薬の収納にも便利。処方箋のお薬は100均のジップ袋に用法が書かれた紙と一緒に収納すれば、スッキリ整理収納できますよ。無印の救急箱タイプキャリーケースにお薬収納instagram(@mk.1010)無印良品の救急箱タイプキャリーケースは、中が3つに仕切られていてお薬収納がしやすいデザイン。セリアのカードケースを使って、市販薬を整理すればかさばらずスッキリ収納することができます。ひと目で分かりやすい整理収納100均のカードケースでお薬を分類instagram(@kao_kurashi)リビングクローゼット内にある、無印のポリプロピレンケース引き出しを使ったお薬収納。セリアのカードケースを上手に使うことで引き出し内もスッキリ。ラベリングで中身を表示して、家族みんなが分かりやすい工夫を。無印の整理トレーでお薬収納を便利にinstagram(@emiyuto)無印良品のデスク内整理トレーは、2段に重ねて使えて引き出しスペースを無駄なく活用できます。使用頻度の高い体温計や耳かきは上段に、下段にお薬や塗り薬を収納すれば使い勝手も◎。無印&100均グッズで間仕切り使いやすくinstagram(@yuko96)テレビボードの引き出し内をお薬収納スペースにした整理整頓術。市販薬はカードケースに入れ替えることで、コンパクトな収納が叶います。キッチン引き出しを無印&100均で間仕切りinstagram(@izabel13ok)キッチンコンロ横の小さめな引き出しは、お薬の収納スペースに便利。100均のシガレットケースは蓋が取り外せて絆創膏やお薬の収納に最適です。無印のファイルボックス用ポケットは、引っ掛けて使えるので細かいものの収納におすすめです。無印ファイルボックスがお薬収納に便利instagram(@kagi.__)無印良品のファイルボックスハーフは、テレビボードの整理収納におすすめのアイテム。使用頻度の高い消毒液や絆創膏、頭痛薬や湿布類などもスッキリ収めることができます。収納グッズに工夫をプラス無印のケースをお薬収納に活用instagram(@kayo.home00)無印良品のEVAケースにはマスクやお薬手帳を、ポリプロピレン小物ケースに飲み薬や目薬などを収納した整理整頓術。ラベリングしてあるので中身が一目瞭然で使いやすさも◎。100均シガーケースでお薬収納instagram(@ume._.home)テレビボード内に収められたかごには家族のお薬や体温計、爪切りなどがひとまとめに収納されています。箱がかさばる市販薬は100均のシガーケースに詰め替えてコンパクトに。無印のEVAケースにお薬手帳を収納instagram(@konoasa_i)無印良品のファスナー付きEVAケースはお薬手帳や診察券をまとめておくのに、とっても便利。急な発熱などで病院へ行く際も準備がスムーズに出来ますよ。100均カードケースでお薬収納instagram(@s.k.m.f)100均のカードケースは、お薬の整理収納におすすめの便利アイテム。種類ごとに分類して、ラベリングすることでお薬を探す手間も省けます。仕切りを上手に組み合わせることで引き出し内もスッキリ。無印のケース&ラベリングでおしゃれに収納instagram(@___n.ouchi)家族で使うお薬は、収納ボックスにひとまとめにして分かりやすく整理整頓するのがポイント。無印のファスナー付きEVAケースや小物ケースを上手く活用することでお薬をしっかり管理できますよ。無印&100均グッズでお薬収納をブラッシュアップ無印良品や100均グッズを使ったお薬の整理収納アイデアをたっぷりとご紹介しました。収納グッズの選び方や管理方法など、どれも参考になるアイデアばかりでしたね。ご紹介した整理収納術をヒントに、お家のお薬収納を見直してみてみませんか?
2022年01月02日「『何軒も調剤薬局を回っているのに、ここにもないんですか?ジェネリック医薬品(後発薬)がないなら先発薬でもいいのに。取り寄せもできないのはなぜですか?』。お客さまから、そんなふうに詰め寄られることもあり、ほんとうに申し訳なくて……」そう胸のうちを明かすのは、大手薬局チェーンに勤務する薬剤師のAさんだ。じつは今、患者が処方箋を持って調剤薬局を訪れても、該当の薬が手に入りにくい、という異常事態が起きている。日本製薬団体連合会が調査したところ、8月末時点で流通している医薬品1万5,444品目のうち、2割にあたる3,143品目が「欠品・出荷停止」か、欠品を避けるために、常連の取引先を中心に一定数ずつ卸す「出荷調整」の状態になっていることがわかった。うち9割がジェネリックだという。「出荷調整になると、過去にその薬を仕入れた実績のある薬局しか仕入れができません。入荷がない場合は、そのつど医師と相談して、『こっちがないなら、あっちの薬』と、まるで綱渡り……」(Aさん)厚労省に対策を求める声明を出した神奈川県保険医協会の副理事で、章平クリニック院長の湯浅章平さんは、原因をこう解説する。「医療費を抑制したい厚労省は、これまで、価格の安いジェネリック薬品の普及を推進してきました。その結果’05年には32.5%のシェアだったジェネリックが、’20年には約2.4倍の78.3%に急拡大しています。増産を求められるジェネリックメーカーは『なんとか安定供給を維持しなければ』というプレッシャーのせいか、製造工程で不備や不正が横行していたんです」昨年12月、ジェネリック医薬品メーカーの小林化工が製造した経口水虫薬を服用した患者ら数百人が体調不良を訴え、70代の女性が死亡した。この事件を受け、ほかの後発医薬品メーカーの査察が行われた結果、業界最大手の日医工ほか、多数のメーカーで製造工程の不備が発覚。これにより業務停止が相次いだため、ジェネリック医薬品が供給不足に陥ったのだ。■新規患者には薬を処方できないこともさらに、ジェネリックの不足により、同じ成分の先発薬まで品薄になってしまっているという。先発薬を製造する大手製薬会社の広報担当は、本誌の取材に対し「ジェネリックの供給不足で予想以上に先発薬の需要が高まり、製造が追いついていない」と語る。そのうえ、11月末に複数の製薬会社が薬を保管する大阪の大規模倉庫で火災が発生。品薄に拍車をかけそうだ。「命に関わるような薬も足りない」と、前出のAさんは続ける。「たとえば、てんかんを抑える“デパケン”という薬。この薬は、後発薬も含めもう半年くらい納品がありません。また、初期の心不全の患者さんが、症状を悪化させないために服用する“メインテート”という心臓病の薬も入荷しません」つい先日も、こんなことがあった。「腰の曲がった80代の女性がメインテートを探して、もう8軒も調剤薬局を回っていると言ってうちの薬局に来られたんです。体調の悪い旦那さんに代わって探していたようで……。定期的に来られる患者さんの分だけはギリギリ薬を確保していたので、その女性には、別の患者さんの確保分からお出しすることにしました」本来、患者が必要としている薬を薬剤師が調剤しない行為は、薬剤師法で禁止されている。しかし、薬が枯渇する現状では、どこの薬局も、定期診療の患者分を確保することで精いっぱいなのだ。本記事の末尾には、使用者が多いと思われる薬で出荷調整などになっているものと、今後需要がひっ迫しそうなものを一部掲載した。すでに降圧薬や胃腸薬、骨粗しょう症の薬など、供給不足の薬の種類は多岐にわたっている。「いまはなんとか足りている花粉症やアレルギーなどの先発薬も、春にかけて需要が高まれば、いつ不足するかわかりません」■薬剤師が教える薬不足への対処法こうした事態に、「患者の経済状況によって“医療格差”が生まれてしまう」と、憂慮するのは、インターパーク倉持呼吸器内科クリニック院長の倉持仁さんだ。「うちにはリウマチの患者さんもいらっしゃるのですが、リウマチの注射薬は高額で、ジェネリック(エタネルセプト)でも1回約1万5,000円します。この注射を1カ月に4本打つ必要があり、3割負担でも約2万円かかる。先発薬(エンブレル)は、さらに高く1回約2万4,000円。そのため、できるだけジェネリックを使用したいのですが、現在はどちらも入荷しにくい状況です。代わりの薬はより高価になるため、経済状況によっては薬を出すかどうか、という話になってしまいます」今回の問題の背景には「薬価の極端な引き下げ」があると倉持さん。「薬価も二極化していて、リウマチ薬のように薬価の高い薬がある一方で、よく処方される解熱剤のアセトアミノフェンのように、一錠わずか7円という極端に安いジェネリックも多いのです。しかし厚労省は、医療費削減のため、年々、ただでさえ安い薬価をさらに引き下げています。すると、薄利多売に陥ったメーカーは少しでも製造コストを削減しようとして無理をする。その結果、今回のような事態が起こったのではないでしょうか」こうした供給不足は、果たしていつまで続くのか。「厚労省は正常化までに少なくともあと2年かかると発表しています。先日、大手ジェネリックメーカーの沢井製薬が問題を起こした小林化工の工場と従業員を引き継ぎ、’23年の春に出荷を開始する見込みだと発表しましたが……」(Aさん)まだまだ安定供給までの道のりは遠そうだ。患者として、なにか備えられることはあるのだろうか。Aさんがアドバイスしてくれた。【薬不足への対処法】〈1〉かかりつけ薬局をつくる定期的に処方されている薬があることを薬局側が把握していれば、その分だけは最低限確保してくれる場合がある。〈2〉受診1週間前に薬局と電話で相談する事前に電話などで処方薬があるかを確認しておけば、来局日までに薬を用意してくれる場合がある。〈3〉健康診断や検査の結果を薬剤師に伝える本来使いたい薬が在庫切れで、代わりとなる薬を提案してもらう際に、薬が合わないリスクを減らすことができる。「かかりつけの調剤薬局を持ちましょう。いつも処方されている薬がある方は、事前にかかりつけ薬局に『次の診療はいつです』と伝えておくと、そのときまでに薬を確保してくれる可能性が高まります」(Aさん)くれぐれも、「薬がなくなる!」と慌てずに、落ち着いて備えたい。■すでにない・今後不足する可能性がある処方薬リスト
2021年12月25日《#経口中絶薬の高価格設定に反対します》人工妊娠中絶のための飲み薬である経口中絶薬をめぐって、Twitter上でこんなハッシュタグが多数投稿されている。発端は、日本産婦人科医会の木下勝之会長の発言。各報道によると木下会長は、12月22日にイギリスの製薬会社ラインファーマが厚生労働省に経口中絶薬の承認申請をしたことを受けて、次のように話した。「医師は薬を処方するだけでなく、排出されなかった場合の外科的手術など、その後の管理も行うので相応の管理料が必要だ」木下会長は、「治験を行ったうえで安全だということならば、中絶薬の導入は仕方がないと思っている」と経口中絶薬の導入に理解を述べながらも、10万円ほどかかる中絶手術と同等の価格での処方が望ましいというのだ。「これまで日本で広く行われてきた中絶手術は、金属の器具を使う『掻把(そうは)法』と呼ばれる方法で、手術費用が高額であることから望まない妊娠の一因となっていました。一方で経口中絶薬は、WHOによると海外での平均価格は740円。日本でも安価な料金で処方されるよう7つの市民団体が訴えてきました」(医療関係者)厚労省によると、2020年の国内年間累計中絶件数は約14万5,000件。前年と比べると7.3%減少してはいるものの、高額な中絶費用を工面できず、望まない妊娠の末出産に至る女性も未だ少なくない。それだけに、経口避妊薬には安価で利用しやすいはずだと期待が寄せられていた。インターネット上では怒りの声が噴出。冒頭のように抗議を示すハッシュタグが発生した。《経口避妊薬、10万はないわ。本当に困ってる子、10万も払えないでしょ?そんな簡単なことわからないの?バカなの?なんなの????》《せっかく良い手段を導入するのに今までの手術と同じ値段にしたい意味がまったく分からぬ》《こうした薬へのアクセスは人権の問題だということが、全く理解されないまま意思決定されていくのか》
2021年12月25日「昔は薬のことは全部医師任せでもよかったと思うんです。でも今は、ドラッグストアやインターネットなどで、手軽に薬が買えるようになりました。おまけにコロナ禍で、感染予防のため、病気になっても簡単に病院に行けない事態が発生したことも記憶に新しいのではないでしょうか。こういう時代だからこそ、薬に対する正しい知識が必要なのですが、まだまだ誤解が多すぎる!『たくさん薬を飲んだからすぐ治る』とは、ある60代の女性患者さんの言葉ですが、そんなことはありませんからね!」そう語るのは、内科医でYouTuberの「ドクターハッシー」こと橋本将吉先生。予防医学や健康情報を発信している先生のYouTubeは「わかりやすい」と評判を呼び、現在登録者数40万人超えの人気チャンネルに。現役の内科・総合医として診療を行うかたわら、一般向けの医学教育にも力を注ぐ人気医師だ。「僕たち医師は薬を処方する際に『なぜその薬が必要か』を説明しているのですが、患者さんの話を聞くと、『理由はわからないけど、なんとなく飲んでいる』というケースが少なくありません。しかし、薬には副作用もあるため、用法・用量を誤るとかえって健康を損なうことになりますので、安易な服用や自己判断による中止には注意が必要です。おまけに、医学も薬も日進月歩です。かつては有効性が高いとされていた薬も、のちに副作用が発見されたり、危険性が明らかになることもあるため、一概に『昔飲んでいたから大丈夫』とも言えないのです。昔に比べ、格段に薬が手に入りやすくなっているからこそ、使う際には正しい情報をアップデートしていただけたらと思います」(橋本先生・以下同)あなたの「薬の常識」は、もはや「非常識」になっているかもしれない。そこで、身近な症状ごとの「薬の新常識」を、橋本先生に聞いた。【風邪】「風邪薬といえば、つらい諸症状を抑える総合感冒薬。しかし、総合感冒薬に含まれる解熱剤には、多くの場合、胃がムカムカするといった副作用があるほか、鼻水を抑える抗ヒスタミン成分が眠気を引き起こすこともあるのです」せっかく薬を飲んでも、食欲が減退してしまっては治りが遅くなるうえ、眠気が強くなって作業の効率も下がってしまうようでは、頑張ったかいもないというものだ。「また、もし感染したのが溶連菌や肺結核などの特殊な菌で、初期症状は風邪に似ているが一般的な風邪ではなかった場合は、服薬によって症状が中途半端に落ち着いてしまうことによって、診断が遅れる可能性も否定できません。軽い風邪症状であれば、安易に風邪薬に頼るより、しっかり休んだほうが、ひどくならずに治るかもしれませんね」【感染症】「感染症から人類を救ってきたのは、抗菌薬や抗生物質などの抗生剤です。しかし、症状が治まったからといって飲むのを途中でやめるのは逆効果!体内に生き残った菌が再び増殖するだけでなく、抗生剤がきかない『耐性菌』も発生しやすくなるといわれています」抗生剤は、出された量を必ずきちんと飲み切ること。【頭痛つらい頭痛を和らげてくれる痛み止め(鎮痛剤)。処方箋なしで購入できる鎮痛剤も人気だが、使いすぎると頭痛が悪化することも!「緊張性頭痛や片頭痛といった『慢性頭痛』を抑えるために薬を使いすぎると、『薬物乱用頭痛』といって、ますます頭痛が現れることがあります。詳しいメカニズムは明らかになっていませんが、鎮痛剤を日常的に服用すると、なぜか体が痛みに対して過敏に反応するようになってしまうことがあるのです。ほかにも、一般的な副作用として胃炎や胃潰瘍、腎機能障害などもあります。痛みが弱い場合や痛みがない場合の服用は、できる限り控えたほうがいいかもしれません」【下痢】「食中毒やノロウイルスなど、感染性胃腸炎による下痢の場合、下痢止めを飲むのは逆効果です。原因菌を腸内にとどめてしまうことになるので、結果、下痢が長引き、腸粘膜の回復も遅れます。過敏性腸症候群による下痢の場合も、原因はストレスであることが多いので、そもそも下痢止めはあまり効果がありません。電車内や会議など『今、この瞬間』をしのぐためにはやむをえないこともありそうですが、安易な服用には注意しましょう」【便秘】「便秘薬にはいくつか種類がありますが、腸を刺激して便秘を改善する『腸刺激性下剤』の場合、長期的に服用すると腸の神経が鈍くなり、自力で腸を動かす力が弱くなってしまう場合があります。そのため、便秘治療では『塩類下剤』が多く使われますが、こちらも腎臓や心臓が悪い人は、マグネシウム血症に注意が必要です」便秘改善には、食事や運動など、生活習慣の見直しも忘れずに。【うつ】うつ病のときに処方される「抗うつ薬」。「抗うつ薬を飲んだら負け、という情報も出回っていますが、これは大きな間違いです!」と、橋本先生は断言する。「うつ病に対する偏見の根強さが、抗うつ薬に対する誤った情報を広めてもいるようです。確かに飲み始めて体に慣れるまでに、吐き気や嘔吐などの副作用が出現することはありますが、慣れるにつれて副作用が落ち着いていくことがほとんどです。うつのときは脳の中のセロトニンやノルアドレナリンが少なくなっているので、それらの働きをサポートするのが抗うつ薬の作用です。薬についての正しい知識を身に着けて、薬をうまく利用しながら、焦らず丁寧にうつ病と向き合う事が大切だと思います」【外傷】かつてはどの家の救急箱にも消毒薬が入っていたが、いまや「ケガをしたら消毒薬」は時代遅れ!「そもそも消毒薬は、細菌に含まれるタンパク質を破壊することによって殺菌作用を持っています。しかし、人間の細胞に含まれるタンパク質も攻撃してしまうので、傷の回復を妨げる可能性も。いまでは、傷口は水道水でしっかり洗い流し、乾かさないようにすることが重要と考えられています」【骨粗しょう症】ここからは、年齢を重ねた女性特有の症状について、それらの薬に対する注意点を解説!最近注目の骨粗しょう症予防薬には、意外すぎる副作用があった。「理由は不明ですが、顎の骨の組織や細胞が局所的に死滅し、骨が腐った状態になる『顎骨壊死』が報告されています。顎に穴があき、口腔内が貫通することも。口腔内の細菌が血流に乗って全身を巡ってしまうので、高齢者は致命的になることも考えられます」骨を強くするには、食事によってカルシウムをしっかり摂取し、日光を浴びてビタミンDを合成しつつ、適度に運動することが王道。薬の使用は、それらが難しい場合に検討してみよう。【更年期障害】更年期障害の治療といえば、ホルモン補充療法が一般的。「しかし、性ホルモンが作用する子宮や胸を刺激し続けるので、子宮がんや乳がんのリスクを上昇させるというデメリットもあります。ホルモン補充療法は、あくまで短期的なものです。治療の際は主治医と『やめどき』について、きちんと話し合っておきましょう」【こむらがえり】高齢になって筋肉量が減ると起こりやすくなる「こむらがえり」。血中のカリウム濃度を変えてくれる漢方薬・芍薬甘草湯は、薬局でも買えるのが魅力だが、飲みすぎるととんでもないことに。「この年代の患者さんは『もの忘れ』も少なくありません。そのため、一日の用量を忘れて『足がつっては薬を飲む』を繰り返した結果、血中のカリウム濃度が急激に低下してしまい、心室細動と呼ばれる命に係わる不整脈を引き起こしてしまうこともあります。この薬に限らず、処方薬と違って服用が自己判断になる市販薬は、用法・用量にも注意が必要です」忘れてはならないのが、どんな薬にもメリットとデメリットがあるということ。「このバランスを考え、薬はメリットのほうが大きい場合に『最後の切り札』として使いましょう。最初から安易に薬に頼るのではなく、まずは健康的な生活習慣を心がけることもお忘れなく!」これからは、薬と正しく付き合うことも、健康管理の一つです!
2021年12月03日※画像はイメージです来年から、75歳以上の医療費負担が1割から2割になる。窓口で払うお金がこれまでの2倍になるのだから、大きな違いだ。■医療費は今後ますます増える値上げのいちばんの理由は、2025年に団塊の世代全員が75歳以上の後期高齢者になることで起こる、医療費の急激な増加。少子高齢化が進む今、一定以上の収入がある後期高齢者にも医療費を負担してもらうことは避けられない。「しかし、今後は高齢者ではなく、現役世代の医療費増額も十分考えられます」と医療費に詳しいファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんは言う。現在、後期高齢者の医療費は、その4割を現役世代が支払う保険料で支えている。今後、後期高齢者の医療費がさらに増えれば、現役世代にも増額という形でさらなる負担がのしかかってくる可能性がある。これからますます家計を圧迫しそうな医療費を、できるだけ抑えるにはどうしたらいいのだろうか。「医療費を節約したいなら、まずは予防が大切です。病気になってから医療費を払うよりも、運動や健診などの予防にお金を使うほうが合理的です」(黒田さん、以下同)病気にならない身体づくりで予防に努めるのは大前提。ただ、このほかにも医療費を抑える方法がある。■病院代と薬代は安くできる病院や薬局で払う代金を高いなと思っても、窓口で請求されるまま払っている人が多いと思う。でも、実はこのお金、工夫次第で安くすることができる。例えば、どの病院に何時に行くかで、同じ病気でもかかる金額が変わってくる。また、薬局に行くときの持ち物や、支払う方法でも金額は違う。さらに、医療費の申告でお金が戻る制度を利用するという手もある。値上げする前に知っておきたい医療費の節約術。財布の負担をしっかりと軽くしよう。※本記事に記載されている金額は3割負担(70歳未満と現役並みの所得のある70歳以上)の場合のものです。■病院にかかる費用を節約!《病院で5000円節約》知らぬ間に高額な特別料金をとられる!『いきなり大病院に行かない』軽い風邪や小さなケガでも、何となく大きな病院に行ったほうが安心だと思っていないだろうか。でも、いきなりベッド数400床以上の大病院に行くと、初診料のほかに保険適用外の特別料金がかかってしまうのだ。その額なんと5000円以上。軽い症状で大きな病院に行く患者が増えると本来行うべき重症患者の治療などが滞ってしまうため、それを防ぐ対策だ。「医療費を節約したいなら大きな病院ではなく、まずは近所のかかりつけ医に行きましょう」設備の整った大病院での治療が必要だと判断されれば、紹介状を書いてもらえる。紹介状があれば特別料金は支払わなくてすむ。大病院に行って長時間待たされたあげく、5000円もとられたのでは大損だ。病院は賢く使い分けよう。《病院で1440円節約》「平日昼間」以外は高くつく!『22時以降や日祝は病院や薬局に行かない』急病でもないのに都合がいいからと、夜間や休日に病院にかかることを“コンビニ受診”という。気軽に行く人がいるが、これらの受診には特別料金が加算される。例えば深夜の初診なら、平日昼間だと約860円のところが1440円増の約2300円に。2.5倍以上の金額を払うことになるのだ。さらに薬局でも、1.4~2倍の別料金がかかる。夜間や休日の医療は救急のためにあるものと考え、病院にはできるだけ日中にかかるようにしたい。「ただし、急を要する場合は無理せず受診を。判断に迷ったら、救急安心センター事業(#7119)などに相談もできます」◆深夜、休日の受診にはこんなにお金がかかる!深夜(22〜6時)初診料1440円アップ!再診料1260円アップ!休日(日曜・祝日・年末年始)初診料750円アップ!再診料570円アップ!《病院で1290円節約》初診料と検査料を何度もとられる!『“はしご受診”はしない』同じ病気やケガで、複数の病院を渡り歩く“はしご受診”。自分に都合のいい診断結果を求めて、新たな病院を受診し続けるのは、金銭的にも身体的にもデメリットが大きい。通常1回目の診察では初診料がかかり、2回目以降は初診料の約4分の1の再診料ですむ。その差額は645円。はしご受診をすると毎回その金額を余計に払うことになり、例えば3回なら差額は1290円になる。「はしご受診をすると、前の病院と同じような検査を繰り返し受けることになり、医療費の無駄につながります。薬も重複しがちなので、身体への負担も心配です」勘違いされがちだが、はしご受診はセカンドオピニオンとはまったくの別物。セカンドオピニオンを利用したいときは、主治医にその旨を伝え、紹介状や検査結果を提供してもらおう。紹介状には保険が適用され1500円で作成してもらえる。セカンドオピニオンでは同じような検査や薬の処方が繰り返されることがないため、はしご受診と比べてグンと安くなる。■薬にかかる費用を節約!《薬局で80円節約》薬局選びで値段が変わる!『“門前薬局”を利用する』「薬代は全国一律ですが、薬局で払うお金は薬局の立地や規模によって違いがあります。おすすめは病院のそばにあるいわゆる門前薬局。中でも処方箋を多く扱うチェーン店を選ぶといいですよ」門前薬局は近くの病院でどんな薬が出されるかを把握しているので、処方される薬がそろっているのも強みだ。薬局で払う調剤基本料は、地域貢献度などの加算があるので一概にはいえないが、主に大手チェーン店の門前薬局なら約50~60円、個人経営の門前薬局は約80円、病院から離れた場所にある個人経営の薬局は約130円と差がある。しっかり選びたい。◆薬局代は「病院から離れる」と基本料金が高くなる!病院の近くの薬局:50~80円病院から離れている薬局:130円《薬局で40円節約》薬の記録とチリツモ節約を同時に!『お薬手帳を持っていく』いつ、どこで、どんな薬を処方してもらったかを記録する「お薬手帳」。処方薬を受け取るときに持参しなかった場合、40円高くなってしまうので要注意。「お薬手帳はアプリもあります。紙の手帳はうっかり忘れてしまいがちという人は、そちらを利用してみるとよいですよ」提示するだけで始められる、手軽なチリツモ節約だ。《薬局で5~8割減》安いジェネリックをちょっとだけ試す『「お試し調剤」を使ってみる』先発医薬品の2~5割という価格の安さが魅力のジェネリック医薬品。でも、いきなりすべてを切り替えるのは心配という人は、短期間だけ試せる「お試し調剤」を利用する手も。「例えば1週間分だけ試してみることができます。ジェネリックが合えば、残りの分も同じものに変更してもらえますよ。変更には50円かかりますが、これでジェネリックに切り替えられれば、その後の薬代を安く抑えられます」気になる人はぜひ!■病院・薬局両方で使える節約テク《病院で、薬局で720円節約》自分で管理ができるうちは節約ポイント!『薬の“おまとめ”をやめる』例えば朝・昼・夜に飲む数種類の薬を、1回分ごとにまとめてくれる「一包化」や、複数の塗り薬を混ぜて1つにしてくれる「混合処方」。飲み忘れや塗り忘れを防ぐ便利なサービスだが、実はこれにもお金がかかる。「例えば、飲み薬が43日分以上出ている場合、一包化すると薬代とは別に720円かかります。高齢の方で、薬の管理が大変な場合は必要ですが、自分で管理ができるうちは削れるお金です」必要ないと思ったら、診察のときに医師に伝えるか、薬剤師に相談してみよう。◆薬のおまとめはこんなにお金がかかる!《飲み薬》例)43日分の薬を一包化した場合:薬代+720円《塗り薬》例)2種類の軟膏を混ぜた場合:薬代+240円《病院で、薬局でポイントゲット》使い方次第でさらにお得に!『クレジットカードで支払う』最近、クレジットカードで支払いができる病院や薬局が増えている。クレジットカードのポイントも貯まるので、普段から支払いに使っている人なら、カード払いがおすすめ。また、さらにポイントをためる“裏ワザ”もあるという。「本来、医療費が高額になる場合は、事前に申請すると一定額の支払いのみですみます。でも、あえて全額カードで支払い、あとから申請することで、医療費の払い戻しとより多くのポイントをダブルで受け取る、という人もいます」工夫次第でもらえるポイントも増える。ぜひ賢く使いたい。■自治体や国への申請でお金が戻る!《申請で最大200万円が対象》市販薬や通院時の交通費も対象!『医療費控除を申請する』入院などで、年間の医療費が高額になった場合に、お金が戻ってくる制度。家族全員の医療費を合算して10万円を超えると申告でき、最高で200万円が控除の対象になる。200万円控除した場合、平均的な年収の会社員なら、約20万円ほどが戻ってくることが多い。対象になるのは医療費、市販の医薬品代、通院や入院のための交通費、公共交通機関での移動が困難なときのタクシー代と、意外と幅広い。「医療費控除は確定申告をした人が対象です。会社員の場合は個別に申告しましょう。夫婦共働きの場合は、収入の高い人が申告したほうがより税金が安くなり、戻るお金が多くなるのでお得ですよ」以前は申告時に領収書が必要だったが、2018年から撤廃に。現在はオンライン申請もできるようになり、グッと手軽になった。《申請で薬代が15%減》市販薬で税金が戻ってくる特例!『「ドラッグストアで買った薬」で節税する』ドラッグストアなどで購入できる特定の市販薬を1万2000円以上購入すると、年間の所得から最大8万8000円まで控除されるのが「セルフメディケーション税制」。医療費控除よりも金額のハードルが低いのが特徴。医療費控除との重複はできないので、控除額を計算したうえでどちらか有利なほうで申請したい。対象となる薬は2500種以上あり、新型コロナウイルスワクチンの副反応にも使える解熱鎮痛薬なども含まれている。薬の種類は厚労省のHPで確認できる。「この制度は健康診断などをきちんと受けている人が対象なので、ご注意を」◆対象になる主な薬解熱鎮痛薬……「ロキソニンS」「イブクイック頭痛薬DX」胃腸薬……「ガスター10」「ブスコパンA錠」鎮咳去痰剤……「龍角散せき止め錠」アレルギー専用鼻炎薬……「アレグラFX」虫さされ薬……「ウナコーワエースG」など全2505種■親の医療費も賢く節約親の医療費と介護費を同時に節約できるワザがあります。「高額医療・高額介護合算療養費制度」は、1年間の医療費と介護費の自己負担が高額になってしまった場合に、世帯ごとにそれらを合算。収入によって定められた金額を超えるとお金が戻ってくる制度です。例えば、親がどちらも70歳以上で、年金収入が80万円以下の場合、年間19万円を超えた分のお金が戻ってくることになります。似た名称の制度で、医療費と介護サービス費をそれぞれ別に申請する「高額療養費制度」と「高額介護サービス費制度」がありますが、これらは1か月ごとの申請。月単位で適用にならなかった分を年単位で合算して申請できます。高額になりがちな親世代の医療費と介護費を節約できる、家計にうれしい制度です。(黒田さん)教えてくれたのは●黒田尚子さん●ファイナンシャルプランナー。各種セミナーや講演・講座の講師、新聞・書籍・雑誌・Webサイト上での執筆、個人相談を中心に幅広く行う。共著に『病気にかかるお金がわかる本』(主婦の友社)など。(取材・文/後藤るつ子)
2021年10月29日医薬品や化粧品を中心に、日用品や食品まで販売しているドラッグストア。1回の買い物で必要なものが買いそろえられることも多く、家や職場などの近くにあると便利ですよね。ドラッグストア『ウエルシア薬局』を利用している、モチノリ(@Mochinori_www)さんは、店内の変化にハッとします。店内の一角に積まれた、ドラッグストアらしからぬ商品がこちら!ウエルシア薬局に解熱剤買いに来たら吉野家の牛丼売ってた pic.twitter.com/PByTk2TfRq — モチノリ (@Mochinori_www) October 1, 2021 なぜか、ドラッグストアに吉野家の牛丼が積まれていました!カゴには紅ショウガなどのトッピングも用意されており、必要な人は牛丼につけることができるようです。ドラッグストアの便利さが増し、買い物ついでに牛丼を購入できる状態に、たくさんの人が驚きました。・いいね、最高だよ!・牛丼はたぶん身体にいいから、ドラッグストアで販売されるのも納得。・俺が知らないだけで、牛肉は医薬品だったのか?・レトルトではなく、すぐに食べられる形で販売するとは挑戦的。・買い物のついでに買えるのは素敵。吉野家はすごいなぁ。吉野家によると、2021年10月1日からウエルシア薬局での牛丼販売を本格的に開始。新型コロナウイルス感染症の流行で、中食の需要が増えたことを受け、年内にはウエルシア薬局の約50店舗を取扱店とする予定だそうです。なお、モチノリさんがお昼に見に行くと、牛丼はもう売り切れていたそう。手軽に牛丼を買いたい人は、確かに多いのかもしれません![文・構成/grape編集部]
2021年10月22日皆さんこんにちは。子育てアドバイザーの河西ケイトです。突然ですが、皆さん「風邪」をひいて体調を崩した時に飲む薬はなんですか? 風邪薬? 抗菌薬?正解は風邪薬です。しかし、風邪をひいてしまった時に、抗菌薬を飲ませてしまう方が多くいます。残念ながら風邪に抗菌薬は使用できません。なぜ抗菌薬は使えないのでしょうか?風邪薬はなんのために飲む?皆さんは、風邪症状「喉のが痛み、鼻水が出始めた、熱が出て身体もだるい、風邪かも?」と感じたらどうしますか? とりあえず今できること、「休息をとったり、身体に優しい・消化に良い物を食べたり、場合によっては病院で受診を……」と、考えたことが皆さんあるのでは無いでしょうか。風邪は、誰にとっても身近な病気ですね。風邪は、「ウイルス」が原因で起こるもので、ウイルスが鼻やのどに付着して炎症を起こし、発熱・咳・くしゃみ・鼻水・たんが絡む・喉の痛みが出ることを言います。ここで私達が覚えておかなければならないのは、「風邪の原因はウイルス」ということ。風邪の原因は、ウイルスであり、細菌ではないのです。これは非常に大切なポイントとなります。風邪は、身体がウイルスと戦っているサインで、風邪を治すのは自分自身の免疫力です。薬を飲んだからと言って完治するわけではありません。風邪薬は、風邪の症状を和らげるためのもので、風邪の原因であるウイルスを退治する薬ではないのです。では、抗菌薬はどんな薬なの?では、皆さんが効果があると思っていた「抗菌薬」とどのような薬なのでしょうか。抗菌薬とは、読んで字のごとく細菌と戦う薬です。私達大人ほとんどの人が、細菌とウイルスを同じものだと考えていませんか? 実はそれが、「風邪をひいたら抗菌薬をのませなくては!」と言う誤った考えを引き起こしているのかもしれません。ここでもう一度お話しますが、細菌とウイルスは全く別の病原体!! ですから、抗菌薬はウイルスには効果はなく、ウイルスによって起こる風邪には、抗菌薬を飲んでも意味がないのです。そして、もう一つ問題なのは、抗菌薬に副作用があるということ。そうとは知らず、抗菌薬を飲み続けてしまい、「お腹が痛む」「下痢が増えた」「胃が不調」などの症状が出ることもあります。「抗菌薬は風邪に効かない」これは、絶対に覚えておかなければなりません。では、知らずに飲みすぎてしまうとどうなるでしょう?「薬剤耐性」を子どもと一緒に動画で学ぼう!抗菌薬を飲みすぎてしまうと、どうなるのでしょう? 細菌に使用する抗菌薬(抗生物質と呼ばれることもあります)の誤った使い方は、「薬剤耐性」と言って抗菌薬が効きにくくなったり、最終的には、薬が効かなくなり大きな病気を引き起こすことにも繋がります。この「薬剤耐性」を防ぐためには、「風邪などの抗菌薬が効かない病気には、絶対に使用しない。薬に対してのきちんとした知識を大人が学んでいく」を徹底すること。「薬剤耐性」については、色々なところで情報が発信されています。今回は、「薬剤耐性」について学べる動画をご紹介します。これを観ながらお子さんと一緒に「薬剤耐性」を学んでみてはいかがでしょうか。今回は、「細菌」と「ウイルス」に併せて「薬剤耐性」についてもお話させていただきました。きちんとした知識を身に着けて、自分自身やパートナーそしてお子さんの健康を守っていきたいですね。
2021年10月15日多くの鎮痛剤が並ぶが、品切れの商品が「8月中旬に2回目のモデルナワクチンを接種したんです。打ったその日はなんともなかったんですけど、翌朝5時ごろからとにかく頭痛がひどくてね……」北海道札幌市在住の50代の男性はそう振り返る。医師からは接種後、発熱や頭痛に襲われることもあると伝えられていた。そのため、寝る前に鎮痛剤を飲んでいたが、それでも、「夜になって薬の効果がきれると発熱。顔が異様に火照って、身体の節々も痛かった。それで翌朝、また鎮痛剤を飲んで、さらに昼にも飲んで、数時間たって、ようやく落ち着きました」(同・男性)それでも、接種から2日ほどは倦怠感も残った。とにかくダルかったという。■ワクチン接種が増えてなくなった鎮痛剤9月2日時点で、2回目のワクチン接種が完了した人は、全人口の47.2%に到達した。65歳以上の高齢者の接種は8割を越え、自衛隊が運営する若者向けの大規模接種センターがスタート。国内のワクチン接種率は日に日に上がっている。そんな中、薬局の店頭から“2つの市販薬”が消え、今ではなかなか手に入らなくなっている。ひとつは、ライオン『バファリンルナJ』。もうひとつはジョンソン・エンド・ジョンソン『タイレノールA』だ。冒頭にあった“副反応”への対処法として多くの人が服用する鎮痛剤だ。東京の郊外と都心にある薬局やドラッグストアチェーン店を調べてみたが、例外なく“激レア”化していた。郊外のドラッグストア店員によると、「この春ごろから品薄になっていて、この1、2か月はほとんど店頭にない状態ですね。入荷しても、大量に買っていくお客様が多くて、すぐになくなってしまう」都心の薬局もこう話す。「在庫ゼロがずっと続いています。今ではお客様に別の鎮痛剤をすすめています」(都心のドラッグストアの薬剤師)販売元にも確認してみると、ライオンは「現在、増産の体制をとっています。ご要望にお応えできる数量を、なるべく早く提供できるようにしたいと考えております」ジョンソン・エンド・ジョンソンは、「世界中のすべての市場で、製品の入手可能性を最大限に高めるように、あらゆる手段を講じています。今回の世界的な公衆衛生上の危機においても、できるだけ多くの方に製品をお届けできるよう、在庫の出荷を順次行っているほか、供給を確保するために、製造拠点で最大限の生産を行っております」だが、2社とも市場に出回る時期については“今は明確に答えられない”とのことだった。去年の2、3月にはマスクが同じように欠品状態となっていた。それもこれもコロナへの恐怖心が招いたパニックだといえよう。そもそも、なぜこの2つの市販薬だけが爆発的に売れているのか。前出のドラッグストアの薬剤師によると、「簡単に言うと、これらの薬は鎮痛剤としての成分がアセトアミノフェンだけだから。薬としての鎮痛効果はかなり弱いのですが、そのぶん身体への負担がほとんどないんです」皮膚の血管を広げて熱を放散させる作用や、脳の感受性を低下させる作用があるアセトアミノフェン。安全性の高い解熱鎮痛剤の一種で、子どもが服用しても問題ないとされている。一方、「ロキソニンなどのような非ステロイド性消炎鎮痛剤は、前者より鎮痛効果は高い。ですが、そのぶん身体への負担も大きいのではないかと考えられています」実際のところ、どうなのか。のべ1500人以上のコロナ後遺症で苦しむ患者を診断してきた『ヒラハタクリニック』の平畑光一院長に話を聞いた。■医師が2つの鎮痛剤を解説「ドラッグストアなどで市販薬を買うなら、確かにアセトアミフェンの鎮痛剤がよいでしょう。その薬自体の副反応が少ないので、安心感がありますね」手に入らない場合は、「ほかの市販薬でもいいと思います。ですが、副反応は放っておいても、基本的には大丈夫なもの。ひどくてつらいときだけ仕方なく服用する、と考えてください」(平畑先生、以下同)ワクチンによる副反応を怖がって接種をやめようと考えている人も出てきているようだが、「ダメです。現在のところコロナの最良の防御策がワクチンですから、できるだけみなさんに接種してもらいたい。過去に接種後の副反応がつらいと来院された方がいたのですが、実はコロナに感染していてその症状だったことがありました。接種したが免疫ができる前に罹患してしまったということです」つまり、もう少し早く接種していれば感染しなかったとうこと。ワクチンの副反応の情報にあまり踊らされてはいけないのだ。
2021年09月09日50人に実名アンケート!※写真はイメージです家事に仕事に、ただでさえ忙しい毎日のうえ、コロナ第5波まで襲来! 軽い不調なら病院へ行かず、薬局で買ってすませることが増えてきた。そもそも症状に合った薬を選ぶには、何を見て、どこで判断すればいいの?「薬のプロ」50人に、普段飲んでいる市販薬を明かしてもらった。■成分が多いと、気をつけるべき副作用も増える長引くコロナ禍で、具合が悪くなっても、軽い症状なら市販薬ですませるという人は多いだろう。ただ、薬局には同じような効果を謳う薬が複数並んでいて、違いがわかりにくい。一体、パッケージのどこを見て、何を基準に選べばいいの?そこで本誌は“薬のプロ”である薬剤師50人にアンケートを実施(※)。普段、買って飲んでいる市販薬とその理由を種類別に聞いた。「アンケート結果を見ると、全体を通して、配合成分が病院で処方される薬に近いか、安全性に配慮された市販薬を選ぶ人が多い。薬剤師らしい回答といえると思います」そう話すのは、著書『その病気、市販薬で治せます』(新潮新書)が話題の薬剤師・久里建人さん。実は、病院で出される処方薬に比べ、市販薬にはいろいろな成分が含まれたものが多い。素人考えでは、多くの成分が入っていたほうがよさそうに思えるが、「成分が多いと、それだけ気をつけるべき副作用も増えることになります」と、指摘する。久里さんの解説をもとに、薬剤師が選ぶ市販薬のポイントについて、さらに詳しく見ていこう。※日ごろから市販薬を服用・使用している薬剤師を対象に調査、回答は複数選択可【鎮痛薬】頭痛や生理痛、歯痛などで素早く痛みを抑えたいとき、薬剤師は何を飲んでいる?回答数9と最多だったのは『ロキソニンS』。「医療用医薬品と同一のため信頼できる」(50代・男性)「単剤でリーズナブルなので」(20代・男性)「“ロキソプロフェン”単味製剤であり、使いやすい」(50代・女性)などのコメントが並んだ。この結果に久里さんは、「病院の処方薬にも『ロキソニン』がありますので、実績もあり使いやすいといった理由からでしょうね」と分析する。『ロキソニンS』と回答した人の中には、ひとつの成分から作られた「単剤」であることを重視する声が多い。ロキソニンには胃にやさしい成分が配合された『ロキソニンSプラス』や、メーカー側が“最も有効成分が多い最高処方”と謳う『ロキソニンSプレミアム』などの種類がある。そうした中でも、最もオーソドックスなタイプが人気を集めた形だ。「『プラス』には胃酸を中和する成分が含まれていますが、短期的に飲むであろう薬に、はたして本当に必要なのか?という考え方もあるからでしょう。また、『プレミアム』に入っている鎮静成分、“アリルイソプロピルアセチル尿素”には眠気を起こしやすい副作用が。まれに、皮膚に薬疹(水疱など)が出る成分でもあります」(久里さん、以下同)薬には多かれ少なかれ副作用があるもの。効果とリスクの両方を知ったうえで選んだほうがいいだろう。■副反応対策としての“鎮痛薬”次点は回答数4で、同じく単剤の『タイレノールA』。「子どもも服用できるため」(50代・女性)「胃が弱いので愛用している。眠くならない」(40代・女性)こうした理由から支持が集まった。「『タイレノールA』は“アセトアミノフェン”で作られた薬で、処方薬の『カロナール』と同じ成分。胃に負担がかからず、妊婦や子どもでも飲むことができます。反面、『ロキソニン』に比べると効果はマイルドです」ちなみに、新型コロナワクチンの接種が進む中、副反応対策として鎮痛薬の売り上げが前年より5割増え、なかには品薄になっているものもある。ワクチン接種後には、どんな鎮痛薬を選ぶべき?「副反応で熱が出ているときに、商品を見比べて選ぶのはつらいでしょう。私は日ごろから飲み慣れているものを選ぶのがいいと思います」これから接種する人は、ワクチンの前に常備薬を購入して、備えるべし!●「鎮痛薬」回答数トップ31位ロキソニンS9票2位タイレノールA4票3位イブクイック2票3位ケロリン2票【胃腸薬】飲みすぎや食べすぎ、胃痛などの不調時に最も多く選ばれていたのは、『太田胃散』。「飲みやすい」(50代・男性)「味がクセになるので」(40代・男性)効能よりも飲みやすさや風味についてのコメントが目立った。これに久里さんは、「生薬が入っているので、その香りも効果のうちという考え方でしょうね」太田胃散の公式サイトでは、“粉を口に含み、次に少量の水を含んで舌で2~3回かき混ぜてから飲み込む”服薬法が紹介されている。「そうすることで味と香りが直接のどと食道を通り、より効果を発揮するのだとか」次点の『ガスター10』には胃酸の過剰分泌をもとから抑える成分“H2ブロッカー”を配合。また回答数3位の『第一三共胃腸薬』には消化を助ける酵素が含まれている。ストレスなどで胃酸過多のときは前者、食べすぎで胃もたれのときは後者、と使い分けるのがよさそうだ。■病院用の薬が市販化するケースも少数意見が多く寄せられるなかで、久里さんが注目したのは「『新セルベール整胃プレミアム』。“テプレノン”(という成分)が医療用と同量含まれるため」(20代・女性)という回答。「“テプレノン”は病院の薬にも使われている有名な成分で、胃の粘膜を保護する働きがあります。そうした信頼性の高さから挙げられたのでしょう。この成分が配合されている市販薬は以前からありましたが、昨年発売された『新セルベール整胃プレミアム』には、病院用と同じ量が使われています」かつては医師の処方箋がなければ入手できなかった薬が最近、ドラッグストアや薬局でも購入できるようになってきた。前述した『ガスター10』や『ロキソニン』も、病院用の薬が市販化されたものだ。「こうした動きを“スイッチOTC化”と言います。軽度の症状であれば市販薬で治すという動きは今後、加速していくでしょう。消費者にとっても、受診しなくても薬が手に入るなど利点があります」●「胃腸薬」回答数トップ31位太田胃散8票2位ガスター105票3位第一三共胃腸薬2票【風邪薬】風邪薬の中で最も多かったのは、なんと「飲まない」という回答!そもそも風邪はウイルス感染でかかることが多く、基本的に特効薬が存在しない。市販の風邪薬は、症状を抑えたり、やわらげたりする対症療法が目的だ。「そのため無理して飲む必要はない、と判断する薬剤師が多かったのだと思います。特に、総合感冒薬にはさまざまな成分が含まれていて、例えば、鼻水を抑える成分の“抗ヒスタミン剤”は眠気を引き起こすことが多い。これらの理由から服用を避ける人もいるでしょう」と、久里さん。回答の中にもそうした声が多い。「症状に適さない余分な成分が含まれていることが多いので、買うことはありません」(20代・女性)「中枢神経に作用するさまざまな成分が含まれているものがほとんど。治療効果も、出ている症状を抑えるだけで、期待が少ないと思うからです」(40代・男性)次点が、漢方薬としてなじみのある『葛根湯』。「ひき始めに服用すると悪化しないので」(30代・女性)「自分で服用するうえで効果や副作用がわかりやすい」(40代・女性)風邪の症状によって、服用する薬を使い分けている人も目につく。「『龍角散せき止め錠』は、せき止め成分のコデインが多く含まれていて、(痰を排出しやすくする)去痰作用もあるので、せきがメインの風邪にはこれ」(30代・女性)「『ペラックT錠』は、のどが痛いときに服用している」(20代・女性)「咽頭痛(のどの痛み)からくる風邪が多いので、『ルルアタックEX』」(20代・男性)『ペラックT錠』と『ルルアタックEX』は、炎症を抑える効果のある“トラネキサム酸”を配合。「病院でも『トランサミン』という名称で処方されています」(久里さん)●「風邪薬」回答数トップ31位飲まない10票2位葛根湯8票3位パブロンゴールド4票■ステロイドは怖くない【湿布薬・かゆみ止め】肩や腰、関節や筋肉痛などへの対処として、最多の回答数を集めたのは『ロキソニンSテープ』。「医療用としてもなじみがあり、処方量も多い」(30代・女性)「医療用と同量の成分で、添加物も変わらないので」(50代・男性)鎮痛剤と同様に、湿布薬としても『ロキソニン』が支持を得た。「『ロキソニン』は光線過敏症のリスクが少ないとされています。安全性への信頼感があるのではないでしょうか」光線過敏症は日光アレルギーとも呼ばれ、紫外線に当たることで炎症を起こし、赤みや腫れ、かゆみなどの症状が現れる病気だ。その原因はさまざまだが、塗り薬や湿布薬を使った部分に日光が当たって、かぶれを起こすケースも珍しくないという。一方、この季節に出番が多いかゆみ止めは、回答が見事に分かれる結果に。「『ムヒアルファ』シリーズ。市販薬にはメントールが入っていて、使用感が好きなので」(50代・女性)「『ムヒアルファEX』は、“ステロイド”が入っているので効き目あり」(50代・男性)「『ウナコーワ』シリーズは爽快感があって症状が早く引くように思う」(50代・女性)成分はもちろん、使い心地も重視する傾向が。「“ステロイド”が配合されているものを選んでいる方が多いですね。かゆみに素早く効く成分なので、満足度が高いのだと思います」しかし、ステロイドに怖いイメージを抱いたり、副作用を不安に思ったりする人は少なくない。久里さんのもとにも、よく相談があるそうだ。「短期的に塗り薬として使うぶんには問題ありません。むしろ、かきこわして患部が化膿したり広がったりしてしまうほうが怖いので、安心して使っていただきたいですね」●「湿布薬・かゆみ止め」回答数トップ31位ロキソニンSテープ7票2位ムヒアルファEX6票3位キンカン3票3位サロンパス3票■自分の体質に合った薬を選ぶべし【漢方薬・サプリメント】漢方・サプリメントでは、風邪薬で最多の回答数となった『葛根湯』が再びトップに。「肩こりや頭痛にも効く」(50代・女性)「身体を温める効果もあるので」(30代・女性)次点も、同じく漢方薬の『麻黄湯』。発汗作用があり、こちらも風邪のひき始めに飲まれることが多い。「薬局などで手に入りやすいものが選ばれているのでは?漢方薬は、使う人の症状や体質に合わせて服用するのが基本。そのためアンケート結果からも“私はこれ”といったこだわりが見られますね」と、久里先生。とはいえ素人目には違いがわかりにくく、判断が難しい。漢方薬を選ぶ際のポイントは?「いちばん簡単な方法は、パッケージにある体力の説明を読むこと。“中等度以上”とか、“中等度以下”とか、どんな体質の人に向いた薬なのか書いてあるので、そちらをチェックしましょう」この部門に限って、更年期障害や生理前のイライラや肌荒れなど、女性特有の症状にアプローチしたものを挙げる人が目立つ。「更年期なので、『加味逍遙散』を飲んでいる」(40代・女性)「『エクエル』を飲んでイライラ感がなくなったように思う」(40代・女性)『加味逍遙散』は更年期障害や月経前症候群(PMS)などによく使われる漢方薬。『エクエル』は、女性ホルモンのエストロゲンとよく似た働きをする成分「エクオール」が含まれたサプリメントで、更年期障害や、閉経後に増える骨粗鬆症の予防効果が期待されている。「サプリメントは品質の見極めが難しい。メーカーの信頼性や手に入りやすさ、価格など、総合的に判断して適切に選ぶのがいいと思います」●「漢方薬・サプリ」回答数トップ31位葛根湯8票2位麻黄湯4票3位ルテイン3票かかりつけ薬剤師へ気軽に相談を!前述のとおり近年、処方薬だったものが市販薬として購入可能になる「スイッチOTC化」が活発化している。自分で薬を選ぶ機会は今後、ますます増えていきそうだ。「病院で処方された薬を飲むのが普通だった時代から、自分の健康について主体的に取り組む時代に変わりつつあります」(久里さん、以下同)そうした中で気をつけなければならないこともある。「市販薬も使い方を誤れば症状が悪化しますし、副作用が生じるおそれもあります。例えば、頭痛で鎮痛薬を服用していたのに、飲みすぎると反対に『薬物乱用頭痛』と呼ばれる慢性的な頭痛を引き起こすこともまれにあるんです」適切に薬を選び、健康を守るためにカギとなるのは、「かかりつけ医」ならぬ「かかりつけ薬剤師」の存在。「薬局はもちろん、ドラッグストアには薬剤師が常駐している店もありますし、薬剤師が不在でも、医薬品を販売できる資格を持った登録販売者が必ずいます。なんでも相談できる人を見つけておくのがおすすめです。選び方や飲み方、服用中の薬との飲み合わせなど疑問点や不安があれば、気軽に相談してほしいですね」リサーチ協力:薬剤師コミュニティサイト「ヤクメド」(運営:メドピア株式会社)〈取材・文/高橋ももこ〉
2021年08月21日「『お薬を飲み続ける=病気が治る』ではありません。逆にずっと病気が治らないからお薬を飲み続けているのです。このことに気づかない限り、長期にわたって薬を飲み続けていると、その弊害として副作用の影響を受けることになります」こう話すのは、「薬を使わない薬剤師」として活動している宇多川久美子さんだ。「症状が体に出ているということは、『体の状態に異変がある』という体からのシグナルです。熱や発疹が出たり、鼻水やくしゃみが出ているときは、体が闘っている証拠なのです。ところが、それを薬で蓋をしてしまっては、そのときは症状が落ち着いたとしても、根本的な解決にはなっていません」(宇多川さん・以下同)これは一例だが、薬には血圧や血糖値を下げるもの、胃酸の分泌を止めるもの、脳内分泌物質を抑えるものなど、さまざまな働きで体の不調を整えてくれる役割がある。しかし、薬はあくまでも応急処置として一時的に助けてもらうものであって、長期間にわたって服用したり、依存するものではないと宇多川さんはいう。「薬には必ず副作用というものが伴います。長期服用をすることで、血流障害になったり、もっと先のことを考えると、認知症や脳梗塞などにつながりかねないものもあると考えています」今回、宇多川さんの監修のもと、長期服用をされがちな薬をリストにしてみた。■風邪薬〈市販薬〉【イブプロフェン】働き:解熱・鎮痛。/副作用:胃腸出血、腎障害、肝障害、食欲不振、腹痛、下痢、発疹、頭痛など。【クレマスチンフマル酸塩】働き:くしゃみ、鼻水などアレルギー的症状。/副作用:排尿困難、神経過敏、頭痛、焦燥感、胸やけなど。長期服用で認知症のリスク。〈処方薬〉【デキストロメトルファン】働き:咳止め。/副作用:薬物依存のリスク、めまい、頭痛、不眠、便秘、胃腸障害、過敏症など。【ロキソプロフェンナトリウム】働き:解熱・鎮痛。/副作用:胃潰瘍などの消化管出血、腸閉塞、眠気、腹痛、むくみなど。■胃腸薬〈市販薬〉【炭酸水素ナトリウム(重曹)、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル】働き:胃酸の中和。/副作用:長期の常用でアルツハイマー型認知症の要因リスク。〈処方薬〉【ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)】働き:胃酸抑制。/副作用:肝障害、黄疸、意識障害、間質性腎炎、急性腎障害、間質性肺炎、便秘、下痢、頭痛、めまい、顔面浮腫など。【プロトンポンプ阻害薬(PPI)】働き:胃潰瘍の修復。/副作用:長期服用による骨折、認知症の発症リスク、視力障害、錯乱障害、肝障害、間質性腎炎、急性腎障害、間質性肺炎、味覚異常、頭痛など。■解熱鎮痛薬〈市販薬〉【ロキソプロフェンナトリウム】働き:解熱・鎮痛。/副作用:ショック、アナフィラキシー、胃潰瘍などの消化管出血、腸閉塞、眠気、腹痛、むくみなど。【イブプロフェン】働き:解熱・鎮痛。/副作用:胃腸出血、腎障害、肝障害、食欲不振、腹痛、下痢、発疹、頭痛など。■睡眠薬〈市販薬〉【ジフェンヒドラミン】働き:睡眠改善。/副作用:発疹、動悸、めまい、倦怠感、神経過敏、頭痛、眠気、嘔吐、下痢、長期服用で認知症発症のリスクなど。〈処方薬〉【ベンゾジアゼピン系(トリアゾラム、ブロチゾラム、クアゼパム】働き:睡眠導入。/副作用:うつ状態、自殺願望、長期服用で薬物依存、離脱症状(けいれん発作、せん妄、幻覚)、精神症状(刺激興奮、錯乱)、物忘れ、肝障害、ふらつき、めまいなど。■頻尿・夜尿症〈処方薬〉【抗コリン薬(フラポキサートなど)】働き:膀胱の過敏さを抑える。/副作用:認知症、脳の働きの低下、口中乾燥、便秘。【β3受容体アゴニスト】働き:膀胱を弛緩させて尿をたまりやすくする。/副作用:動悸、めまい、口中乾燥、尿路感染症、肝機能障害。■骨粗しょう症薬〈処方薬〉【経口ビスホスホネート製剤(ミノドロン酸、アレンドロン酸など)】働き:骨を強くする。/副作用:骨折、顎関節症、便秘、腹痛、頭痛、吐き気など。■向精神薬〈処方薬〉【ベンゾジアゼピン系抗不安薬】働き:抗不安作用。/副作用:うつ状態、認知機能の悪化、健忘症状、眠気やふらつき、意識・精神障害(せん妄)など。【SSRI(パロキセチンなど)】働き:セロトニンの取り込みを抑制。/副作用:うつ状態、セロトニン症候群(手足が震えたり汗が出たりする)、錯覚、幻覚、けいれん、倦怠感、意識障害など。■糖尿病〈処方薬〉【インスリン製剤】働き:血糖値を下げる。/副作用:急激な低血糖、うつ状態、せん妄、けいれん。【スルホニル尿素薬(グリメピリド、グラクラジドなど)】働き:すい臓のインスリンをつくる。/副作用:急激な低血糖、うつ状態、せん妄、けいれん。【チアゾリジン誘導体(ピオグリタゾンなど)】働き:血糖値を改善させる。/副作用:心臓に負担、骨を弱くするリスク。【α‐グルコシターゼ阻害薬(ミグリトール、ボグリボースなど)】働き:消化吸収を遅らせ、血糖値の急上昇を抑える。/副作用:腸閉塞、低血糖、腎盂炎、敗血症、脱水など。【SGLT2阻害薬(イプラグリフロジン、タパグリフロンジンなど)】働き:血糖値を下げる。/副作用:腸閉塞、低血糖、腎盂炎、敗血症、脱水など。■脂質異常症〈処方薬〉【スタチン】働き:コレステロール値を下げる。/副作用:発がんの可能性、消化器症状、間質性肺炎など。■認知症【コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)】働き:認知症の進行を遅らせる。/副作用:不整脈、湿疹、肝機能障害、けいれん、脳血管障害、食欲不振、嘔吐、下痢など。攻撃性が増すことも。【NMDA受容体拮抗薬(メマンチン)】働き:認知症の進行を遅らせる。/副作用:めまい、傾眠、けいれん、転倒、頭痛、便秘、食欲不振、攻撃性、妄想など。腎機能が低下している場合は特に注意が必要。そもそも薬は長期服用するものではない。薬をいつまでも飲み続けるのは避け、「常に医師に丸投げ」という姿勢をとり続けるのはやめよう。
2021年08月20日健康のための薬だが、副作用はつきもの。怖いのは「依存」してしまった場合だ。医師や薬剤師の指示に従うことが第一ではあるものの、薬の別の側面も見てみようーー。「『お薬を飲み続ける=病気が治る』ではありません。逆にずっと病気が治らないからお薬を飲み続けているのです。このことに気づかない限り、長期にわたって薬を飲み続けていると、その弊害として副作用の影響を受けることになります」こう話すのは、「薬を使わない薬剤師」として活動している宇多川久美子さんだ。糖尿病、高血圧、脂質異常症など長期間にわたって服用しがちな薬は多くあるが、なかでも代表的なものに抗ヒスタミン薬がある。鼻水やじんましんの症状を抑える働きで知られているが、その際に眠気を出す働きが着目され、睡眠改善薬としても使われている。「抗ヒスタミン薬には眠気という副作用があり、その作用を睡眠改善薬として活用しているのがジフェンヒドラミンです。認知症は脳の伝達物質アセチルコリンが減るとなりやすいとされていますが、抗ヒスタミン薬には、アセチルコリンを抑える抗コリン作用があり、長期にわたる使用は認知症など、脳へのリスクがあると思われます」(宇多川さん・以下同)睡眠薬を服用している人も、最初は眠れていたはずだと宇多川さんは指摘する。「何らかの悩みやストレスが原因で、生活のリズムが崩れたことで眠れなくなっているのでは。まず、朝日を浴びて体内リズムを整えるようにし、運動などして体を動かして肉体を疲れさせると、自然と眠れるようになるものです」処方薬よりも手軽に入手できる市販薬にも、薬の落とし穴が。「胃腸薬にはアルミニウムが含まれているものが多くありますが、アルミニウムはアルツハイマー型認知症の原因物質としても指摘されています。服用期間は7日程度で抑えるようにしましょう」高血圧の薬も長期服用薬の常連だ。「高血圧の薬はどれも血流を抑えるように作用しますから、長期の服用は、血流を滞らせ、脳梗塞や認知症などのリスクがあると考えられます」骨粗しょう症の代表的な薬、ビスホスホネート製剤には皮肉にも骨折が治りにくいという副作用が。「骨粗しょう症の予防には、太陽光をしっかり浴びたり、運動をすることで、体内でビタミンDとカルシウムが生成されます。こうした生活習慣や、ビタミン・ミネラルのバランスのとれた栄養を取ることこそ、薬の服用よりも大切です」そもそも薬は長期服用するものではない。薬をいつまでも飲み続けるのは避け、「常に医師に丸投げ」という姿勢をとり続けるのはやめよう。「いわゆる“健康の基準値”は医療側の都合でいくらでも変わります。安易に薬に頼ることなく、生活習慣の見直しで改善できますので、そのことを意識しましょう」
2021年08月20日■前回のあらすじ出された薬をすべて捨てていたことを医師に告白した母。そして医師との会話のなかで予想外の事実を知らされます。■薬の副作用によって暴れたことを知り…■医師に相談したことで変わり始めた母さて、入院6日目にして、ようやく母は薬の服用を開始しました。おなじみの談話室にも1日ぶりに顔を出しました。そこには仲良く話しているトシヤ君とツヨシ君の姿が…。2人は音楽オタク的な感じですごい気が合っていたそうで、かなりマニアックな話をしていたとか。(特にツヨシ君が音楽について語らせるとすごかったらしい)1日顔を出してなかっただけでしたがトシヤ君に心配されたそうです。そんな2人に母は、昨日の薬の相談について話した母。薬を飲まずに捨ててたことに関しては、共感されたみたいです。「わかるわー、副作用キツいもんなー、僕も薬飲むのやめたいー」みたいな。2人は副作用に苦しんでることを母に打ち明けたそうなのですが、母はそれに対して先生と話して感じたことを話したそうです。※本記事はあくまで筆者の体験談であり、症状を説明したり、医学的・科学的な根拠を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師にご相談ください。次回に続く「母とうつと私」(全54話)は21時更新!
2021年08月16日■前回のあらすじ「いつ帰ってくるの?」と弟に尋ねられた母。そのひと言に再び絶望し、目の前が真っ暗になります。■真実を打ち明けた母に医師は…■医師の顔色が変わった瞬間※この漫画は決して薬治療を批判する意図で描いている訳ではありません。今後の展開を読んで頂くとそれは分かるかと思いますが…。現在はこのような事例は少ないかと思うので、過度に心配なさらず、適切な病院に通って治療を受けてくださればと思います。何卒ご理解をお願いいたします。今はないそうなのですが、当時は外科などでも抗不安薬を処方することが可能だったらしいと母から聞いています。(もしかしたら母の勘違いかもしれませんが…。)母はうつ病だったので、本来は外科ではなく心療内科に通い続けるべきだったのですが、酷い肩こりにも悩まされ、友人からの勧めもあり外科に転院したとのこと…。その病院では、いつも飲んでる抗不安薬と、例のキツい薬を処方されたそうなのですが、結果的にキツい薬を飲んでしまったのがよくなかったのです…。(薬の名前は申し訳ないのですが、うつ病の治療をしている方の不安をあおったりする可能性があるため伏せさせて頂きます)母は当時、そこまで酷いうつ病ではなかったのですが、母が通院していた当時は軽いうつ病でも処方される場合があったらしく(現在では重い症状の方にのみ処方される薬だそうです)、そのため母にも処方されたのではないかと思われます。※本記事はあくまで筆者の体験談であり、症状を説明したり、医学的・科学的な根拠を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師にご相談ください。次回に続く「母とうつと私」(全54話)は21時更新!
2021年08月15日オンラインでかんたん薬膳・かんたんエクササイズ8月25日(水)、夏の体調を整える薬膳レシピとエクササイズのオンライン講座『夏の養生 - 暑さに負けないカラダをつくる かんたん薬膳&エクササイズ』が開催される。講師は脳腸セラピストで、健康・美容カウンセラー、ライフコンサルタント、薬膳アドバイザー、経絡ヨガ講師の桜華純子(おうかじゅんこ)氏であり、受講料は1,100円(税込)となっている。すぐに実践できる薬膳のキホン・メニュー桜華純子氏は女性向けサロン「サロン・ド・エンジェル・エンジェル」の代表であり、『桜香流(R)セルスルーエステ(R) 二の腕シェイプダイエットBOOK』『幸せになりたかったら、腸を整えなさい』などの著作もある。この講座では、スーパーマーケットでも買えるような身近な食材を薬膳として取り入れるコツを桜華氏が伝授。薬膳の基本的な知識、夏におすすめの食材と薬膳メニューがレクチャーされる。また、夏の健康維持におすすめの自宅でできるかんたんなエクササイズも教える。講座のまとめ、質疑応答の時間も設けられる予定となっている。日時: 8月25日(水) 19:00~20:00場所: オンライン配信費用: 1,100円(税込)(オトナCanPASSのサイトより引用)(画像はオトナCanPASSのサイトより)【参考】※夏の養生 - 暑さに負けないカラダをつくる かんたん薬膳&エクササイズ - オトナCanPASS - Otona CanPASS
2021年08月12日写真はイメージです「最近、患者さんから“黒柳徹子さんがCMでやってた、ジェネリックという薬を処方してください”という声が増えています」とは兵庫県尼崎市の長尾クリニック院長の長尾和宏先生。実際に「ジェネリック」という名前の薬があると勘違いしている患者さんもいるようだ。著名人によるCMの影響もあり、ジェネリック医薬品を選ぶ人は多い。一方で、今年の2月、3月にはジェネリック医薬品メーカーが製造不正により業務停止命令を受ける事件が相次いで発生した。昨年12月には、爪水虫のジェネリック治療薬に睡眠導入薬が混入し、全国で240名余りに健康被害が出る事件も起こっている。「ジェネリック」という言葉を耳にする機会はこの10年で一気に増えたが、なんとなく“安い”というイメージだけでジェネリック医薬品を“選ばされている”と感じている人もいるのではないだろうか。そもそもジェネリック医薬品は本当に安いのだろうか。また、効果があるのか、安全なのか……薬局で薬剤師に「ジェネリックにしますか?」と質問されたとき、きちんと判断するための知識を長尾先生に教えてもらった。■医師自身はジェネリックを選ばないそもそも、ジェネリック医薬品とはどんな薬なのか。「新薬(先発医薬品)と同じ有効成分を含む医薬品の総称がジェネリック医薬品(後発医薬品)です。新薬の特許が切れたあとにゾロゾロとたくさんの種類が発売されるので、昔は医師の間では“ゾロ”などと呼ばれていました。医療費負担の軽減につながるため、国は積極的にジェネリックの導入を推奨しているのが現状です」(長尾先生、以下同)新薬の研究開発には莫大な時間とコスト、労力がかかる。体力のある大手メーカー以外が参入することはなかなか難しく、開発費の回収のために新薬はあらかじめ薬価(薬の公定価格)が高く設定されていることが多い。一方で、新薬の特許が切れたあとに、公開された製造情報をもとに各メーカーがつくる薬がジェネリック医薬品だ。イチから研究開発をするわけではないため、製薬コストを抑えることができ、そのぶん薬価も安く設定できる。新薬と同じ成分や効き目で値段も安いというのなら、ジェネリック医薬品を使わない手はないと思ってしまうが……。「ただ、医師が自分で高血圧などの薬を飲むときに、ジェネリックを選ぶ人はあまり多くないでしょうね。新薬に対する規制はかなり厳しく、品質管理もしっかりされています。長年使われてきた実績があったり、大手メーカーの製品が多かったりという点でも安心感があるのでしょう」一方でジェネリック医薬品は、冒頭の業務停止命令の例があるように、品質管理に問題がある場合も。ひとつの新薬に対して大小さまざまなメーカーからジェネリック医薬品が発売されるため、その質については玉石混交だ。「アメリカには国家食品医薬品監督管理総局というものがあり、品質管理の審査は厳重。対して日本のジェネリック医薬品メーカーは各県の薬事監視員がチェックをしていますが、それでも前述の不正事件が起こっている。一流もあれば三流もあるというのが現状です。名前も知らないようなメーカーの安い薬というのは、医療機関や薬局の薬価差益(薬を出すことで得られる利益)が大きかったりもする。現在は医薬分業がだいぶ普及してきましたが、昔は儲けのために好んでジェネリックを院内処方する医者もいたようです」ジェネリックのデメリットはほかにどんなものがある?「そもそも、ジェネリック医薬品というのは、新薬とまったく同じモノというわけではありません。デパートで同じものを買っても包装がそれぞれ違うように、主成分や容量が同じであっても、添加物などの成分比率は製品により違う場合があります」食品の添加物を気にする人は多いかもしれないが、薬の添加物まで気にしたことがある人などほとんどいないだろう。しかし、それらが薬の有効性や安全性に影響を及ぼす可能性もないとはいえない。また、ジェネリック医薬品は新薬と「まったく同じ薬効」があるとは、厳密には言い切れない理由もある。「ジェネリック医薬品は人工胃液を用いた溶出試験によって、新薬と同じように胃で溶けるかどうかの実証が義務づけられています。その結果が新薬と同一でなければ発売することができません。しかし、実際に患者に投与する臨床実験で直接同じ薬効があると確認しているわけではありません。要は、同じ主成分で同じように胃で溶けるから新薬と同じように効くだろうという考え方です」人への臨床実験というのはかなりコストがかさむ分野でもある。そこがすっぽり抜け落ちているため、ジェネリック医薬品は価格を安く提供できるというカラクリだ。さらには、長く使われ続けてきた先発品と比較すれば、ジェネリック医薬品は副作用などに関するデータがまだまだ蓄積されていないものも多い。万が一副作用が起こった場合、医薬品メーカーにそのデータや知見があるかないかは、服用する側からしてみるとかなり重要な問題である。■医療費を抑制したい政府の思惑見方を変えれば、ジェネリック医薬品は「新薬とは異なる成分で、確実な効き目が立証されているわけではない、データの蓄積も少ない薬」と捉えることもできるわけだ。そのようなデメリットまできちんと理解したうえで、安さと天秤にかけて選択する必要があるはずだが、その部分は十分に知らされないまま“ジェネリック誘導”がなされているのが現状だ。では、なぜいまジェネリック医薬品が多く処方されているのか。「高齢化に伴い、医療費が逼迫している日本の医療現場では、ジェネリック医薬品はなくてはならないものになっています。全医薬品を安いジェネリック医薬品にすれば、単純計算で医療費の2~3割を削ることができるので、財務省はなりふり構わず推奨したい背景があるでしょうね」高齢化が進む中で、国としても医療費の問題は避けられない。日本のジェネリック医薬品の使用率(後発医療薬のある病気における後発医療薬の使用量の割合)は、2020年の時点で78%を超えるほどだが、未来の財政を考えると“ジェネリック誘導”はさらに加速しそうだ。ジェネリック医薬品を処方することは、病院や薬局にとってはメリットも多い。薬局には「後発医薬品調剤体制加算」という制度があり、ジェネリックを多く出した薬局は報酬が手厚くなる。病院などの医療機関にも同様の制度が組み込まれており、簡単に言えば、ジェネリック医薬品をひとつでもまぜて選べる処方にすることで保険点数の加算を得られる仕組みになっているのだ。長尾先生のクリニックでは「一般名処方」というかたちをとっており、患者が希望する場合は薬局でジェネリック医薬品にするかどうかを自由に選べるという内容の処方箋を出している。「ジェネリック誘導はもはや国策なので、内心は新薬がいいと思っていても、その潮流に歯向かう医者はほとんどいないと思います。ジェネリック医薬品がなければ病院や薬局の経営は成り立たないし、さらにはこの国の医療自体もジェネリックがないと成り立たないというわけです」国や病院、薬局へのメリットが十分にあることはわかったが、患者当人にとってジェネリック医薬品を選ぶメリットはどんなものだろうか。「まずは安さでしょうね。例えば、帯状疱疹で処方する抗ヘルペスウイルス薬の新薬などは比較的薬価が高いものが多いのですが、ジェネリック医薬品に替えることで、薬局の窓口で支払う金額は半額近くに変わります」■安くて品質の高いジェネリックも増えている錠剤の溶けやすさや飲み込みやすさなど、新薬の使いづらかった部分を改良する製薬工夫ができるのもジェネリック医薬品の利点だ。新薬の場合、許可なしに形状を変更することはできないため、薬の改良も簡単にはできない。ジェネリックならば、新薬の短所をうまく解消することで、お年寄りや小さな子どもにも飲みやすい薬を生み出すことができる。さらには、ジェネリック医薬品はたくさんのメーカーによる競争が起こるため、「安かろう、悪かろう」ということではなく、安くて品質の高い薬品も増えている。「実際に院内でジェネリックに替えて、数値的にも明らかに快方に向かった患者さんがいたり、逆にぜんぜん効かずに新薬に戻したというケースもあります。胃潰瘍や逆流性食道炎で処方するPPI(プロトンポンプ阻害薬)などは、胃の痛みや胸やけがきちんと解消されているか、患者さん自身が薬の効き目を実感しやすい。ジェネリックに替えたときに“あれ、新薬より効いてるな”などと感じて、そのまま次回からもジェネリックを希望する方もいますね」とはいえ、ジェネリックを選ぶ以前の問題として、自分が処方された薬がジェネリック医薬品かどうかを理解しないまま使っている人もたくさんいるのではないだろうか。「薬品の名前を見ればひと目で確認できます。ジェネリック医薬品は【成分名+容量+「メーカー名」】というルールで名前がついているため、薬の名前の最後に製薬会社名がついていれば、それはジェネリック医薬品。主成分の一般名がそのまま薬の名前になっていますが、新薬は『ロキソニン』など、独自の商品名がつけられています」どの薬がジェネリックなのかわかったところで、それを選ぶかどうか、患者にとっては判断する材料がほとんどないというのが実際のところかもしれない。そんななか、薬の賢い選び方というのはどのようなものだろうか。ジェネリック医薬品の特徴メリット○ 薬価が安い○ 製剤工夫がされている○ 選択の幅が増えるデメリット× 新薬と完全に同成分ではない× 新薬と同じ効き目とはいえない× 副作用などのデータが少ない■医師よりも薬剤師の方が詳しい「餅は餅屋というわけではないですが、よいジェネリック医薬品というのは、医師よりも薬剤師のほうがよく知っています。逆に言えば、どのジェネリックは質がいいということをよく理解している医師は数少ないはず。なので、ジェネリック医薬品を選ぶ際は、薬局で薬剤師としっかり相談するのがベストですね」とはいえ、前述のようにジェネリック医薬品を使うことで儲かる仕組みができているならば、薬局で相談してもジェネリック医薬品をすすめられるだけなのでは……。「複数の薬を処方されている場合は“どれをジェネリックにすればいいか”“新薬のほうがいいものはどれか”と、優先順位をつけてもらうイメージで尋ねてみるといいかもしれません。処方箋のなかにひとつでもジェネリック医薬品が含まれれば、それはジェネリック処方箋として扱われるため、薬局にとってもメリットがあるかたちで本音を語ってくれると思いますよ」筆者も歯医者で親知らずを抜いた際、処方箋を持って薬剤師の方に相談したことがある。そのときの保険調剤明細書が上の画像だ。上段の抗生物質はジェネリック医薬品を指定し、下段の痛み止めは普段から使い慣れている新薬を出してもらった。ジェネリックに替えた抗生物質は、新薬と比べると1錠あたり13円ほど安くなっていた。薬価だけで単純計算すれば、1日3回、4日間の服用で、150円と微々たる節約。しかし、たくさんの薬を毎日常用しているような人にとっては、家計にも大きな違いが出てくることだろう。「1円、2円の違いであれば、新薬を選ぶほうが無難だと思います。ただし、ジェネリックと新薬の価格差が大きいものはたくさんあり、前述の帯状疱疹に処方するバラシクロビル塩酸塩など、1錠あたり200円以上の差があるものもあります。“どれくらい価格差がありますか”と薬剤師に率直に尋ねるのも、ひとつの賢い方法ですね」ほかにも、薬を選ぶうえで患者側が知っておくべき情報はあるだろうか。「そもそも、その薬が本当に自分にとって必要なものかという意識は持っておくべきです。近年はポリファーマシー(多剤併用)についての問題も多く起こっています。たくさんの薬をもらうことで安心する患者さんもいまだに多いですが、飲み間違いや副作用の可能性も高まる。薬が多い方は、まず薬自体を減らしてもらうように医師と相談するべきだと思います」どの薬を選択するかは患者側にある権利。さまざまな背景を理解したうえで、納得して薬と付き合っていく考え方が必要になっている。●お話を伺ったのは長尾和宏先生医学博士、医療法人社団裕和会理事長、長尾クリニック院長。年中無休の外来診療と在宅医療に従事し、『その医者のかかり方は損です』など著書多数取材・文/吉信 武
2021年07月10日「ハーブというと、美容やリラクゼーションに使うもの……そんなイメージがありませんか?しかし、西洋ではハーブは薬としても使われています。古くから、病気になると身の回りのハーブで自らを癒してきた歴史があり、現在でもドイツやイギリスでは、薬局に処方用のドライハーブが並び、多くの人に愛用されているのです」そう語るのは保健医療学の博士で、薬剤師の酒井美佐子さん。水戸中央病院で医療技術部部長として勤務する酒井さんは、カナダとアメリカの大学で学んだ医療用ハーブの知見をもとに、ハーブを取り入れた自然療法を行ってきた。香りを嗅いだり、お茶を飲んだりすることでリラックスはできそうだが、そもそも不調を改善する効果はあるのだろうか……?「現在使われている医薬品の4分の1は、ハーブに由来するといわれています。紀元前5世紀には、医学・薬学の祖であるヒポクラテスによって、およそ400種類のハーブを煮出した汁が医療に使われていたとの記録も。19世紀になるとハーブから特定の成分を取り出したものが、さまざまな医薬品に応用されるようになりました」たとえば鎮痛剤として使われるアスピリンは、1899年にセイヨウシロヤナギから抽出されたサリシンを元に合成したもの。「実際に海外では、現在もハーブが医薬品として用いられています。ドイツでは、日本の厚生労働省にあたるドイツ連邦保健庁の専門委員会であるコミッションEが、医薬品としてハーブを利用する場合の安全性と効果を評価。ハーブを医薬品として承認しています」そこで、酒井さんに比較的入手しやすく、かつ、不調改善の効果が期待できるハーブを紹介してもらった。これらのハーブは、デパートなどに入るハーブ専門店や、輸入食品店などで購入することができる。■薬の原材料に使われるハーブのお茶《「チェストベリー」ホルモンの分泌を調節 》【効用】生理痛、PMS、更年期障害【禁忌・注意点】妊婦や子ども、ホルモン感受性がんの人、パーキンソン病、統合失調症の人の使用は避ける黄体形成ホルモンの分泌バランスに作用し、古くから月経不順、月経前症候群(PMS)、生理痛、高プロラクチン血症、更年期症状、不妊症など婦人科疾患に用いられてきた。乾燥エキス含有の一般医薬品「プレフェミン」(日本では要指導医薬品)も発売されている。《「パッションフラワー」緊張や不眠を緩和する 》【効用】不眠、神経緊張、ストレス性高血圧【禁忌・注意点】妊娠中は使用を避ける。抗うつ剤との併用は避ける。車の運転や機械の操縦前の使用には注意が必要古くから過度な緊張や不眠の症状に効果があるとされ、小児や高齢者にも安心して使える精神安定ハーブ。ストレスや緊張で動悸がするとき、一時的に血圧が高くなってしまったときにもよい。第2類医薬品「イララックa」(小林製薬)、「パンセダン」(佐藤製薬)にも使われている。ハーブティーは、多少の苦味があるもののクセのないまろやかな味。■薬のように飲まれるお茶《「エルダーフラワー」風邪のひきはじめ 》【効用】風邪の初期症状や鼻水【禁忌・注意点】特になしヨーロッパや北米に自生し、伝統医療として風邪や発熱などに使用されてきた。風邪のひき始めにハーブティーにして飲むことで、鼻水などを和らげる効果があることが知られている。ポリフェノールの一種であるフラボノイドを多く含む。果実のエキスはインフルエンザウイルスに対する効果が報告されており、コミッションEでは風邪に対する使用が承認されている。さらに、近年では、花粉症にも効果があるといわれている。《「セントジョーンズワート」抗うつ剤と同等効果との報告も 》【効用】神経疲労、うつ、季節性感情障害【禁忌・注意点】薬剤との併用は特に注意が必要。抗うつ薬、強心薬、免疫抑制薬、脂質異常用治療薬、経口避妊薬などとの併用は避ける。妊婦の使用も避ける伝統的に疲労、倦怠感、うつに用いられてきた。セロトニンの分泌量を増やし、抑うつや疲労感の解消に効果的。含有するヒペリシン・ハイパーフォリンに抗うつ効果があると考えられている。軽度および中等度のうつ病に対して、標準的な抗うつ剤と同程度の効果を有するという研究結果も存在。コミッションEでは、抽出物はおそらく抑うつに有効としている。■ハーブの使用には注意が必要。副作用が出る場合も……ハーブには効能がある一方で、使用には注意が必要だという。「たとえば、パッションフラワーは抗うつ剤と相互作用があり、薬が効きすぎてしまうことがあります。セントジョーンズワートは、併用する薬の種類によっては、その薬の効果を弱めることが。医薬品の添付文書の併用注意欄に『セイヨウオトギリソウ含有食品』と記載されている場合、これはセントジョーンズワートのことを指していますので、併用は避けてください」持病があり薬を服用している人や、妊娠中や授乳中の人は、医師に相談したり、「医薬基盤・健康・栄養研究所」のホームページにある〈「健康食品」の安全性・有効性情報〉で確認したりするなどの注意が必要だ。また、ネットでは薬効がうたわれているハーブの錠剤・サプリメントも販売されているが、使用は避けたほうがよいという。「錠剤やサプリメントは、効き目が強いものが多く、副作用が起きる可能性が高まります。専門的な知識のない人が使用するのは危険です」まずはハーブティーで、自分の体調に合わせたハーブ生活をスタートしてみよう!
2021年07月09日※画像はイメージです日本は世界有数の薬服用大国だ。OECDの調査によると、1人当たりの薬剤費支出総額はアメリカに次ぐ2位(2018年度)。特に高齢者の多剤服用が目立つ。厚生労働省の調査では、75歳以上の40・3%が5種類以上の薬を処方されており、7種類以上の処方があった人も23・9%いた(令和元年度社会医療診療別統計 院外処方より)。■薬の種類が増えていく理由「飲む必要のない薬を飲み、逆に体調不良に陥っている高齢者が多すぎます」と、薬剤師の宇多川久美子さんは警鐘を鳴らす。高血圧症だった60代男性は、禁煙や食事の改善により、長年飲み続けていた降圧薬をやめることができた。「いつも午前中はだるかったのに、薬をやめてからは朝すっきり起きられるようになりました」と笑顔で話す。また、糖尿病でインスリン注射が欠かせなかった80代女性は、「もう一度、友達と気兼ねなく旅行をしたい」という思いをきっかけに、生活習慣や食生活を徹底的に見直した。今では見事に脱インスリンを果たし、糖尿病の症状も出ていない。「保険制度のもとでは、薬を処方することで医師も薬剤師も利益を得ます。本当に必要な薬であれば問題ありませんが、“僕はこの薬は飲まないけど、患者には出すよ”という医師がいるのも現実なのです」(宇多川さん、以下同)例えば、高血圧症など生活習慣病の薬は、症状を抑えるにすぎない。完治することはないので、ずっと飲み続けるしかない。血圧を下げる薬に、コレステロール値を下げる薬、最近では睡眠薬なども高齢者に処方され、薬の種類はどんどん増えていく。また、日本では1つの症状について複数の薬を飲むことも当たり前になっている。例えば、眠れずに悩む高齢者に、寝つきのよくなる睡眠薬が処方されるとする。「薬のおかげで寝つきはよくなったんですけど、今度は朝早く目が覚めてしまって……」と患者が訴えると、これまでの睡眠薬に加え、また新たな睡眠薬がプラスされる。結局、睡眠薬だけで2種類を飲むことになる。「このような処方が日常的に行われていますが、アメリカでは、1つの症状につき1つの薬が基本です」薬はたった1つでも副作用がある。数が増えるほどに、薬の組み合わせによる相互作用で、重篤な副作用が起こる危険性は増す。だがそのリスクはあまり知られていない。■受診控えで死者数が減少する事例も「副作用の症状は頭痛や倦怠感など、さまざま。最悪の場合、死に至ることもあります。トロント大学の研究報告によると、アメリカでは、処方薬の副作用で年間約10万6000人が死亡しています。ちなみに、アメリカでは処方薬は1人4剤までというルールです。それでも、これだけの死亡数が報告されているのです」日本では、処方薬の副作用による死者数の統計はない。その一方で、気になるデータがある。厚生労働省の人口動態統計によると、新型コロナウイルスが猛威をふるう中、2020年度の国内の死者数が11年ぶりに前年を下回ったというのだ。「約15年前、財政破綻した夕張市でも似たような現象が起きました。夕張の市立病院がなくなり、高齢者を中心とした患者たちは病院を利用するとなると市外へ行くしかありませんでした。通院の機会が減るなか、不思議なことに夕張市民の死亡者数は減少したのです。コロナ禍の“受診控え”が目立つ今と、似た状況だと感じます。過度な医療や過剰な服薬は、必ずしも高齢者の健康にとってプラスとはいえないのです」そもそも、なぜ高齢者の多剤服用は危険なのか。「薬を飲むと、その成分は肝臓で分解・解毒され、排出されます。しかし高齢者は加齢により肝機能や腎機能が低下しているため、若者に比べて薬の成分が体内に長時間とどまりやすくなっています。ただでさえ薬の影響を受けやすいのに、それが多剤になれば、副作用のリスクが大きくなるのは当然です」加齢によって見られる、記憶障害やふらつきなどの症状も、実は薬の副作用で起きている場合があるという。「これを『薬剤起因性老年症候群』といいます。便秘や食欲低下などの比較的軽いものから、せん妄、抑うつ、排尿障害まで、さまざまな症状が見られます」この問題に対し、厚生労働省は2019年に『高齢者の医薬品適正使用の指針』を発表した。多剤服用の中でも特に害のあるものを「ポリファーマシー」と呼び、高血圧治療薬や糖尿病治療薬、認知症治療薬などジャンル別に、具体的な薬剤名を挙げて注意を促している。「血圧を下げる降圧薬は、10年、20年と飲み続けている人も珍しくありません。しかし、厚労省の指針では、記憶障害やせん妄など脳への影響が指摘されています。降圧薬は血液循環の圧力を弱める作用があるため、脳へ届ける血液量が減って酸欠状態となり、このような副作用が起こりやすくなるのです。因果関係はまだ不明ですが、長期の服用が認知症を引き起こすという研究もあります」日本では、約4000万人が高血圧とされ、降圧薬の市場規模だけでも1兆円に上るといわれている。「診断や処方せんの基準となる血圧値の分類は、日本高血圧学会が示す『高血圧治療ガイドライン』で定められています。ただし、男女の別や身長、体重などの個体差は考慮されていないのです」基準値から少しでもはずれたらすぐに薬を飲む“悪習”は、高血圧症に限らない。「コレステロールや中性脂肪の値が高いと、心疾患のリスクが高まるといわれています。ですが、これらの値を下げる脂質異常症治療薬についても、厚労省が注意喚起しています。特に75歳以上の後期高齢者においては、筋肉痛や消化器症状、糖尿病の副作用が指摘されています。なかには、筋力が低下し、四肢がまひする深刻な副作用が生じたケースもあったんです」■手軽に入手できる処方せんに問題が総合病院の薬剤師として勤務経験のある宇多川さんは、世界に誇る日本の皆保険制度も、皮肉なことに多剤服用を生み出す一因だと話す。保険適用では一般的な処方薬の個人負担額が数百円程度と安く、患者の懐が痛まないからだ。「高いものじゃないし、とりあえずもらっておけば安心」という考えが患者の意識にあり、薬に対する抵抗感が低い。最近では「こんな症状があったらお医者さんへ相談!」などのCMも頻繁に見受けられ、ますます処方薬がお手軽な印象になっている。「一時期、過活動膀胱や逆流性食道炎などの薬がCMに登場しました。これらは抗コリン系薬と呼ばれ、アセチルコリンという神経伝達物質の働きを抑える作用があります。実は厚労省が注意喚起している薬のひとつなのです」パーキンソン病治療薬や抗うつ薬の一部にも抗コリン系薬がある。また、市販の風邪薬や抗うつ薬、花粉の時期には欠かせない抗ヒスタミン剤にもアセチルコリンを抑える、抗コリン作用のある薬がある。なぜ危険なのか。「日本では、2025年には3人に1人が罹患するといわれている認知症。初期の段階では、脳内のアセチルコリンが減少することがわかっています。そのため、いま広く使われている認知症改善薬では、脳内のアセチルコリンを増やす作用があるのです」この認知症治療薬を服用している人が、抗コリン作用のある風邪薬や、抗うつ薬を飲むとどうなるのか。「かたやアセチルコリンを増やす作用、かたや減らす作用と、身体の中はもはやパニックです」ここに飲み合わせの怖さがある。患者が飲んでいる薬を医師がすべて把握し、患者側もお薬手帳で処方薬をきちんと管理していれば避けられる事態かもしれない。かといって、飲み合わせだけ気をつければいいわけではない。冒頭で触れたように、薬は単独でも必ず副作用があるからだ。「比較的新しい薬を長期にわたって服用した場合、将来どんな副作用が生じるかはわかりません。認知症の一因が脳内のアセチルコリンの減少にあるのなら、抗コリン系薬を長期間飲み続けることが、なんの影響もないと言い切れるでしょうか。1週間だけ飲んだ風邪薬が、将来の認知症につながるとは思いません。ただ、過活動膀胱やうつ病など、簡単にやめられない治療薬を何年も続けた先の影響を想像してみることは大切です。先進国において、なぜ日本で認知症患者の割合が高いのかも考える必要があるでしょう」■薬との付き合い方でいちばん大切なこと「すべての薬が悪いわけではなく、本当に必要な薬は上手に活用すべきです」と宇多川さんは強調する。「生活習慣病に限っては、薬は必要ありません。まずは生活を見直し、自分で治す心構えを持ちましょう。ただし、すでに服用している薬を勝手にやめることは危険。必ず主治医に相談してください」できるだけ薬に頼らない生活を送るには、遠慮がちでNOと言えない“日本人的”な考え方を改めることも大切だ。「医師にわずらわしく思われたくないという気持ちを捨て、うるさい患者になるべきです。気兼ねせずに、薬を飲む理由を聞き、やめたり減らしたりしたければその意思を伝えてください。コロナ禍では、自分の身体は自分で守るということがこれまでにも増して重要だと感じています」新型コロナウイルスのワクチンをめぐる騒動についても、同じことがいえそうだ。「遺伝子組み換えで作られたmRNAワクチンを、人類は初めて接種します。安全性については医師や専門家でも意見が分かれますが、未知のものなので誰にも結論は出せません。だからこそ、自分で考えて決めることが大切なのです」最近では接種の遅ればかりがクローズアップされ、安全性など本当に重要な議論が尽くされていない印象だ。「私は60代ですが、現時点でワクチン接種の意思はありません。今後、子どもをつくる可能性のある若い世代は、より注意が必要とも考えています。ただし、基礎疾患がある方はコロナで重篤化する可能性がありますので、打つメリットのほうが大きいケースもあります。薬もワクチンも、年齢や既往歴を鑑みて、リスクとメリットを比較する点は同じです。そのうえで、最終的な結論は自分で出しましょう」コロナ禍の今こそ、薬との付き合い方を真剣に考えるときだ。うだがわ・くみこ薬剤師。医者や薬への依存から脱却し、病気にならない、病気を治す啓蒙活動を行っている。新著に『薬剤師が教える 子どもから大人まで「飲み続けると危険な薬」』(PHP研究所刊)(取材・文/植木淳子)
2021年05月26日ロゼレムとは出典 : ロゼレムは、不眠症で入眠に難しさを抱えている成人に処方される睡眠改善薬です。不眠症とは、睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感や意欲低下、集中力低下、食欲低下などの不調が現れる病気のことです。不眠といっても症状はひとつではなく、4つのタイプに分けられます。眠りに就くことが難しい「入眠障害」、寝ている途中で何度も起きてしまう「中途覚醒」、朝早くに目が覚めてしまう「早朝覚醒」、睡眠時間は十分なのに睡眠の質が悪く休んだという実感が得られない「熟眠障害」です。睡眠に問題があると、日中に眠くなってしまって勉強や仕事に集中できないなど、日中の活動にも影響を与えてしまいます。さらに、発達障害のある人は幼少期から睡眠に問題を抱えることが多いことが分かっています。ADHDのある人の85%が日中の眠気か睡眠に問題を抱えていることも報告されています。睡眠の問題はADHDのある人だけでなく、自閉スペクトラム症のある人も同様に睡眠の問題を併せ持つ場合が少なくありません。発達障害のある人の睡眠問題には、体内で分泌されるホルモン「メラトニン」が特に有効であると考えられており、ロゼレムはメラトニンと同じ働きで睡眠を改善する効果があります。 Young Rosalia Yoon et al.(2013). Sleep and daytime function in adults with attention-deficit/hyperactivity disorder: subtype differences. Sleep Med . 14(7):648-55.厚生労働省『e-ヘルスネット不眠症』どのような仕組みで効果があるの?それではメラトニンは、睡眠にどのように作用するのでしょうか。睡眠には2つのメカニズムが関わっています。ひとつめは「脳が疲れたから眠くなる」メカニズムです。起きて活動すればするほど脳は疲れ、老廃物の一種である睡眠物質が蓄積されていきます。この睡眠物質がたまってくると、脳神経に働きかけて催眠鎮静作用が発揮されて眠くなるのです。もうひとつは「夜だから眠くなる」メカニズムです。私たちは普段寝ている時間になると、自然と眠くなりますよね。これには、脳の視床下部の視交叉上核というところに存在する体内時計が関わっています。夜になると体内時計が指令を出すことで、メラトニンが分泌されます。メラトニンが分泌されると、体の内部の体温や血圧が少しずつ下がり、眠りやすい状態に導き睡眠を促してくれるのです。反対にいつもと同じような時間に目覚めるのも、この体内時計の働きによるものです。体内時計の指示でメラトニンの分泌が止まって体の内部の体温が少しずつ高まり、一定レベルを超えると目覚めます。つまり、メラトニンが分泌されると自然な眠りを誘い、メラトニンの分泌が止まると目覚めるようになるんですね。このようにメラトニンは睡眠に大きく関わっていることから、睡眠ホルモンとも呼ばれています。人は目覚めて朝陽を浴びると体内時計がリセットされ、目覚めから14時間~16時間くらい経つと、体内時計が指令を出してメラトニンを分泌し、自然な眠りにつくことができます。ところが、光を発する電子メディアの見過ぎなど何かの理由でこのメカニズムがくずれてしまうと、睡眠に問題が生じて不眠症を引き起こしやすくなってしまうのです。メラトニンは光によって抑制されます。ロゼレムの有効成分ラメルテオンは、メラトニンを受け取るタンパク質の「メラトニン受容体」にくっついて作用し、メラトニンと同じ働きをします。つまりロゼレムを服用すると、体内時計の針を調節することができるわけです。たとえば望ましい就寝時刻よりも前にロゼレムを服用すると、体内時計の針が早まって体内での夜が早く訪れます。結果として、いつもよりも入眠時刻が早まり、眠りにつくのを改善します。眠りのリズムを整えることで睡眠の問題を改善するのです。武田薬品工業株式会社『体内時計と睡眠の仕組みメラトニンとは』ロゼレムの使用方法・用量は?・用量:1錠(ラメルテオンとして1回8mg)・用法:1日1回就寝前に経口投与・成人※監修者注:通常15歳以上からの適応となるが、18歳以上からが望ましい以下に該当する人には、ロゼレムは使用できません。・ラメルテオンに過敏症となってしまったことのある患者・高度な肝機能障害のある患者(肝臓で代謝されるため、有効成分の血中濃度が上昇してしまい、作用が強くあらわれる恐れがある)・フルボキサミンマレイン酸塩(SSRI)を服用している患者(販売名:ルボックス、デプロメール)また使用するにあたっての注意事項は、以下の3つです。・服用開始から2週間後をめどに、効果があるかを医師が確認します。効果が認められない場合には、服用を中止するかどうか医師が判断することとなっています。・服用は、必ず就寝前です。寝たい時間の直前に服用することで効果がみられます。なお、少しだけ寝たら起きて仕事をするなど、途中で起きる予定のある場合には服用を控えます。・服用する際は、食事と同時・食事直後は避けることです。食事と同時、もしくは食事直後にロゼレムを服用してしまうと、有効成分の血中濃度が下がり効果があまり出なくなってしまうからです。独立行政法人 医薬品医療機器総合機構『ロゼレム錠8mg』ロゼレムの副作用と注意点出典 : ロゼレムは、国内で販売されてから一定の期間が経過しているため、その安全性と有効性を確かめる再調査が行われています。ロゼレムを1回(ラメルテオンとして8mg)投与された3,223例のうち、109例(3.4%)に副作用が認められました。確認された主な副作用は、傾眠(1.2%)、浮動性めまい(0.7%)、倦怠感(0.3%)です。ロゼレムを服用した翌朝以降にも、薬剤の影響が残る場合があります。眠気、注意力・集中力、反射運動能力が低下する可能性があるため、車の運転など危険を伴う作業は行わないようにすることが必要です。海外でアナフィラキシーショックが起きたとの報告があります。出現回数がとても低く極めてまれであることから、頻度は不明ではあるものの注意が必要です。服用後に、じんましんや血管が浮き出てくるようなことがあれば、すぐに使用を中止し、医師に相談してください。他の睡眠薬とどう違うの?睡眠薬には、大きく分けて3つの種類があります。1.ひとつめは、先ほど説明したひとつめの睡眠のメカニズム「脳が疲れたから眠くなる」に働きかける薬です。これまで多く使われてきた薬の多くは、このメカニズムを利用しています。高い効果が認められる一方で、依存性があることから長期使用では注意が必要と言われています。2.ふたつめは、今回ご紹介するメラトニンによって体内時計を調節することで、入眠の困難を改善する薬です。ロゼレムの他には、「メラトベル」があります。メラトベルは、2020年に発売された、6歳から15歳までの神経発達症のある子どもに対して処方される入眠改善です。メラトベルは、その有効成分がメラトニンそのものである一方、ロゼレムはメラトニン受容体作動薬であり、メラトニンそのものではありません。 一般に受容体作動薬は小児には適用されません。3.最後は、睡眠と覚醒を調整する神経伝達物質「オレキシン」を受け取るタンパク質である「オレキシン受容体」に作用する薬です。過剰に働いてしまっている覚醒を抑えることで、睡眠を促します。比較的早くに効果があらわれ、依存性は少ないと考えられています。鹿児島市医報『ベンゾジアゼピン受容体作動薬について』(2020)59(10): 7-8まとめ今回は、不眠症で入眠に困難のある15歳以上の成人に対して処方される睡眠改善薬「ロゼレム」をご紹介しました。日本で発売されてから10年以上にわたって使用実績のある薬で、再調査でもその安全性と有効性が確認されています。ロゼレムは睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの受容体に働きかけることで、体内の時計の狂いを調節して睡眠リズムを整えます。薬の服用にあたっては、生活習慣を改善させることもとても大切です。
2021年05月07日