「ロバート」の秋山竜次が伝説の音響効果マンに扮し、先日より放送スタートした「精霊の守り人 悲しき破壊神」の音作りにチャレンジするコラボ企画番組「ロバート秋山の爆笑『精霊の守り人』を作ってみた」という10分のミニ番組が、1月28日(土)に放送されることが決定した。本企画は、秋山さんがサウンドのカリスマ・明智國重(60)に扮し、彼が日本初の本格ファンタジー大作「精霊の守り人 悲しき破壊神」に挑むというもの。異世界の民族、激しいアクションシーン、少女から放たれる破壊的パワー、難題は山積。深い経験に裏打ちされた斬新なアイデアが生み出す、画期的(?)な音作りの現場に潜入する。また、本番組放送後には「精霊の守り人 悲しき破壊神」の第1話の再放送をお届け。先週放送を見逃した方は、併せてチェックしてみて。同日夜からは第2話「罠」も放送され、一気に「精霊の守り人」を楽しむことができる。「精霊の守り人」は作家・上橋菜穂子による野間児童文芸新人賞受賞小説が原作。第2部は原作の「守り人」シリーズから「神の守り人〈来訪編・帰還編〉」「蒼路の旅人」「天と地の守り人〈第1部〉」を基に、お尋ね者となった女用心棒バルサと、新ヨゴ国の皇太子となったチャグム、別れ別れになった2人の冒険が描かれる。「ロバート秋山の爆笑『精霊の守り人』を作ってみた」は1月28日(土)16時20分~NHK総合にて放送。大河ファンタジー「精霊の守り人 悲しき破壊神」は毎週土曜日21時~NHK総合テレビにて放送。(cinemacafe.net)
2017年01月27日大人計画主宰・松尾スズキ演出のミュージカル『キャバレー』が、1月11日(水)に開幕。それに先駆け、前日に公開稽古と会見が行われ、松尾をはじめ、長澤まさみ、石丸幹二、小池徹平、小松和重、村杉蝉之介、平岩紙、秋山菜津子が登壇した。ミュージカル『キャバレー』チケット情報本作は、1966年に初演されてから世界中で繰り返し上演されている傑作ミュージカル。日本でもさまざまな演出、さまざまなキャストで上演されているが、松尾演出の『キャバレー』は、2007年以来10年ぶりの再演。舞台は1929年、ナチス台頭前夜のベルリン。キャバレー「キット・カット・クラブ」は、毎夜毎夜、退廃的なショーと刹那的な恋の駆け引きが繰り広げられるバラ色の場所。そこで出会ったショーの花形・歌姫サリー(長澤)と、アメリカからやってきた駆け出しの作家・クリフ(小池)はたちまち恋に落ち、一緒に暮らし始める。個性的な人々との賑やかな毎日の中に、いつしかナチズムの足音が高く聞こえ始め――。公開稽古前の会見で松尾が「こういう会見で演出家が何を言ってもコメントとして使われることはない」と語り始めるとキャスト陣は大笑い。「長澤さんに言ってほしい言葉を言います。“松尾さんの独創的な演出により芸術的かつ娯楽性の高い素晴らしい作品になったと思います”」。それを聞いた長澤が「もう一回言ってもらっていいですか?」と松尾にお願いするなど和やかな雰囲気。その長澤は今作がミュージカル初挑戦だが「ここにいる先輩方に支えられて稽古も今日まで乗り切ってきました。初めてのことなんだけれどすごく楽しく稽古ができていたので、稽古場と同じ気持ちをお客さんに届けられたら」と笑顔を見せた。「キット・カット・クラブ」で妖しい魅力でお客を惹きつけるMC役を演じる石丸は「ご覧の通り普通の人間ではないですが(笑)。こういう役どころですので、日常にない世界に飛び込んで演じてみたいなと思っています」。長澤演じるサリーの恋人・クリフを演じる小池は「すごく空気のいい素敵なカンパニーに入れていただいたなという気持ちでいっぱいです。長澤さんとはべったりしたシーンやドキドキするシーンもあるので、ぜひ早く皆さんに観てほしいです!」。公開されたのは一幕。きらびやかで妖しくゴージャスな「キット・カット・クラブ」のショーでは長澤がセクシーな衣装で華やかなダンス&歌を披露。恋や欲望、情熱、そして喜びが描かれた一幕の終わりに迫るナチスの脅威。二幕で広がる世界はどうなるのか…期待したい。公演は1月22日(日)まで東京・EXシアター六本木にて、その後、横浜、大阪、仙台、愛知、福岡を巡演。撮影・取材・文:中川實穗
2017年01月12日お笑いトリオのロバートが、テレビ埼玉(テレ玉)の新番組『ロバートの秋山竜次音楽事務所』(1月9日スタート、毎週月曜23:00~23:30)を開始することになり、26日、東京・新宿の吉本興業東京本部で会見を行った。この番組はロバートの3人が、芸能プロダクション「秋山竜次音楽事務所」の社長・秋山竜次と、新人社員・山本博、秋山の友人で別会社の社長・馬場裕之となって、所属タレントを増やすために埼玉の街へ繰り出し、未来のスター候補を発掘・スカウトしていくという街ブラバラエティ。会見に登場するなり、秋山は、あぶら取り紙しか入っていないというセカンドバッグを山本に預けて、集まった報道陣に名刺を配り始め、「細かいことが必要なら書類も配りますから」「媒体さんは名前言っていただかないと、付き合いがあるから」と、敏腕社長ぶりを見せた。そして、自慢の所属タレントを紹介。「皆さんご存知、ポップスの若木けいじとか。最近ではちょっと出てきてる三谷兄弟。ダンス&弾き語りユニットのLAKESは、湖の横でずっとやってるからね」と、早速売り出した。町田愛というセクシー女優も所属しており、「もともと私の知り合いだったんだけどさ、『出ろ!』って言って脱がしてデビューさせたんだけどもね」と、ジャンルの幅広さをアピールした。馬場は、今回の新番組に出資する「有限会社ワールド・ハート」の社長。同社は東京・竹の塚にオフィスを構え、「儲けとかじゃなくて、ボランティアやってるようなもんです」(馬場)と奉仕の精神で事業を行っているそうで、イベントの企画・運営から、最近では熊本県天草にソーラーパネルを設置してエネルギーを売る事業も行い、各地で炊き出しをするボランティア団体「白さぎの鐘」のリーダーも務める。秋山は「馬場社長は、人が笑顔になることには全部お金を出すんだ。その精神がすごくて」と絶賛。ちなみに、今回の新番組への出資比率は、ワールド・ハートが9割、テレビ埼玉が1割だそうだ。会社概要の説明がひと通り終わったところで、番組の紹介へ。秋山は冠番組に喜んだそうだが、企画から丸投げされたそうで、「衝撃だったのは『何という番組の名前がいいですか?』と言われたこと」と、あまりの自由さに驚き。山本は「テレ玉さんは器がでかいですね」とヨイショした。スタッフは、同局の千鳥の冠番組『いろはに千鳥』(毎週火曜23:00~23:30)と同じチームだそうだが、1日8本撮りで知られる番組だけに、秋山は「最初の公園でのオープニングトークで1本撮ろうとしている」と、ロケが始まっても衝撃が続いたそう。最初のロケは4本撮りだったが、4本目として予定していた撮影が急きょなくなり、1本目として撮った部分を2週にわたって放送することになったそうだ。他にも、何の変哲もない路地での移動中もカメラが回っていたそうで、「本来は(編集で)切られるであろう箇所が、ふんだんに使われている」と予告。これには、恥ずかしい気持ちもありながら、「やっぱりやりがいがありますよね。遠慮は全くしないつもりで、好きなことをやっていこうと思います」と意気込みを示した。埼玉で行ってみたい街を質問された秋山は「営業で地方に行くと、地産池消じゃないですけど、しっかり地の物の風俗嬢をビジネスホテルにお呼びすることを心がけているので、埼玉のそういうところに行って、そこでスカウトできるかもしれない」と意欲。スカウトの基準を聞かれると、「1回お会いして、おしゃべりしてお茶して、少しそういう関係になって、ぬくもりを感じて温かいなと思った方は、事務所に入れようかなと思います」と、独自の尺度を明かした。このように、いかがわしい事務所と思いきや、秋山はライバル会社として「ヤマハかな」と大手企業の名前を。「ピアノ作ってるし、音楽スクールもやってるじゃない? 音楽としてデカいから、あそこだけには絶対負けたくないんだよね」と闘志を燃やし、馬場は「将来的にはガソリンを使わないバイクも作って」と、ビジネスの嗅覚を働かせていた。
2016年12月26日パキスタン系アメリカ人の作家アヤド・アフタルが2013年にピューリッツァー賞を受賞した舞台『DISGRACED/ディスグレイスト─恥辱』が、日本初演の幕を開けた。作家と同じ出自をもつ主人公と白人の妻との無意識下のズレが、次第に大きな事件に発展していくさまを描いた問題作。人種や宗教観の相違という、日本ではなじみの薄いテーマが大きな要素を担っているが、観る前の心配は杞憂に終わった。小日向文世や秋山菜津子、安田顕といった実力派役者陣が火花を散らしてぶつかり合う、見応えのある舞台となっている。【チケット情報はこちら】ニューヨークに住む弁護士アミール(小日向)は、パキスタン系アメリカ人。白人の画家でイスラム美術を敬愛する妻エミリー(秋山)と何不自由ない生活を送っていたが、甥のエイブ(平埜生成)から“指導者”を助けてほしいと頼まれ、仕方なく引き受けたことで、世間の風向きが変わり始める。そんなある日、エミリーの絵がホイットニー美術館で展示されることになり、アミールと同じ事務所の弁護士で黒人のジョリー(小島聖)と、その夫のユダヤ人でホイットニー美術館のキュレーター・アイザック(安田)が来宅する。食事の席での冗談めかした会話は、次第に各々の人種にまつわる話題へと移り始め……。大河ドラマ『真田丸』でも、無邪気さと残酷さを併せ持つ豊臣秀吉を演じて高い評価を得た小日向だが、その陰影に富む役作りは本作でも健在。幼少期の「クソのような境遇」から、努力と実力で現在の社会的地位にまで上りつめたアミールが、封じ込めたはずのコンプレックスと葛藤におびえるさまが痛々しくも切ない。そんな彼のトリガーとなるのが、安田扮するアイザックだ。美術館のキュレーターだが、絵を値踏みするような口ぶりはニューヨーカーらしいスノッブさ。だが絶対的な“美”への服従は芯にもっている人物像が伝わってくる。同じように高い知性を持ちながらも、出自への迷いが拭いきれないアミールと、出自を受け入れ苛立ちを明確にするアイザックとが対峙するシーンは、息詰まるような緊張感で見応えがあった。美人で頭がよく、才能も思いやりもあるエミリー役の秋山と、褐色の肌に腰高のスタイル、強い眼差しをもつジョリー役の小島は、共にハマり役。アミールとアイザックはもちろん、エミリーとジョリーもそれぞれの夫とぶつかり合い、日常の瑣末な物事に対する反応を細かく積み上げていくことで、この世界観の"体温"に説得力が出た。人種、宗教、仕事、男女の愛、すべてを織り込むようにして進む物語の果てに、甥のエイブがアミールに放つひと言が、胸に迫る。上演は、休憩なしの1時間45分。とぎれることのない緊張感が演劇的高揚感に変わる、希有な1本である。舞台『DISGRACED/ディスグレイスト─恥辱』は9月25日(日)まで東京・世田谷パブリックシアター、9月27日(火)に名古屋・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール、9月30日(金)から10月2日(日)まで兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて上演。取材・文佐藤さくら
2016年09月13日「ロバート」の秋山竜次が、さまざまなクリエイターに扮してインタビューを受けていく「クリエイターズ・ファイル」が、DVD付きで書籍化することが決定した。秋山さんが本シリーズで演じるのは、個性豊かであくの強い様々なクリエイターたち。秋山さんがコントなどでも見せる「こんな人居る!」と感じさせる妙なリアルさと、どこかハチャメチャな言動のキャラクター。こだわりを強く持ち独特の雰囲気を醸し出す“クリエイター”という枠が秋山さんにドハマリし、Youtubeでアップされた本シリーズの動画は累計960万回(2016年8月時点)を超えている。今回掲載されるのは、シリーズ1本目の「ジェネラルCGクリエイター:磯貝KENTA」から、最新作「トータル・脳ガズム・トレーナー:パール川辺」の全15本のインタビューとDVDには映像が納められ、本書籍限定で「(株)コンプリートアースOPS:ジェネラルリーダー・川端司」という新しいクリエイターのインタビューが映像と共に登場する。また、DVDにはシリーズ6回目で登場した「トータル・ファッション・アドバイザー:YOKO FUCHIGAMI」による新作が発表されるとか。さらには、DVDのナレーションや本書籍の帯文章に至るまで、秋山さんによるキャラクターのものと、秋山さんワールド全開の1冊となっている。「クリエイターズ・ファイル Vol.01」は9月20日(火)発売。(text:cinemacafe.net)
2016年09月01日小日向文世、秋山菜津子、安田顕、小島聖、平埜生成と実力派俳優が揃った舞台『DISGRACED/ディスグレイスト─恥辱』がまもなく幕を開ける。それぞれ出自の異なる2組の夫婦4人の姿から今の世界の問題を浮き彫りにして、2013年のピュリッツアー賞を受賞し、2015年トニー賞ベストプレイ部門にもノミネートされた作品だ。ニューヨーク、ロンドンで話題を集めたこの傑作をどう届けるのか。日本初演に向けた稽古場を覗いた。舞台『DISGRACED/ディスグレイスト─恥辱』チケット情報稽古場に入るとリビングのセットがこしらえられていた。ここは小日向文世演じるパキスタン系アメリカ人のアミールと、秋山菜津子扮する白人のエミリー夫婦が暮らすニューヨークのアパートメントの一室であり、物語は全編ここで展開していくことになる。見学した二場は、夫婦の間に緊張感が漂い始める場面からスタートした。その発端は、イスラム教の指導者が逮捕されたことにある。弁護士のアミールは甥のエイブから自分たちの指導者を助けて欲しいと頼まれる。自身のキャリアに影響が出るのを恐れて弁護人になることを拒否するものの、妻のエミリーに助けるべきだと主張され審問に立ち会うことに。正しいことをしたと夫を誇りに思う妻のエミリーに対し、不安を隠しきれずイライラするアミール。演出の栗山民也が大事にしなければならない言葉や瞬間を指示するたびに、その対比が明確になっていき、イスラム系民族の生きにくさが立ち上がってくる。小日向の持ち味の軽妙さがそこにユーモラスさを添えるのも面白い。秋山の知的な美しさはエミリーの偏見のない人間性を際立たせている。そこに、画家であるエミリーの絵を見に現れるのがユダヤ人の美術館キュレーター、アイザックだ。演じるのは安田顕。イスラムの影響を色濃く映したエミリーの絵に大いに惹かれつつもどこか懐疑的な様子のアイザックを、冷ややかな佇まいで見せていく。栗山はここでも、3人が居合わせる瞬間の立ち位置や目線、ふたりきりになったエミリーとアイザックにふと交錯する感情などを細かく丁寧に演出。台詞の裏にある物語が膨らんでいく。このあと三場では、アイザックの妻であるアフリカ系アメリカ人のジョリーも登場して四つ巴の会話劇が展開し、それぞれが抱える宗教や民族問題、夫婦間の問題などがいよいよあからさまになることに。そのやりとりの豊穣さは、二場の稽古を見ただけで予感できる。ジョリーを演じるのは小島聖。エイブは平埜生成。舞台で繰り広げられるそれぞれの主張と関係を自分ならどう考えるか。対話の面白さを受け止めながら、思考するという演劇の能動的な醍醐味も味わえるのではないだろうか。公演は9月10日(土)から25日(日)まで東京・世田谷パブリックシアター、9月27日(火)に名古屋・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール、9月30日(金)から10月2日(日)まで兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて上演する。取材・文:大内弓子
2016年08月30日女優の広末涼子、お笑いトリオ・ロバートの秋山竜次が22日、都内で行われたサントリーのノンアルコールチューハイ『のんある気分』新CM発表会に出席した。サントリーは、『のんある気分』をリニューアル発売。それに伴い、イメージキャラクターに起用した広末涼子と秋山竜次が出演している新CM「今日の気分」編が23日から全国で放映される。池の畔で釣りを楽しむ広末が同商品を取り出して喉を潤し、池の神様として秋山が登場するという、コミカルな内容となっている。発表会では、秋山が演じるクリエイティブ・ディレクターの"近松マサヲミ"がCMを手掛けたとして、演出の感想を求められた広末は「現場でも迫力のある演出をされ、それと同時に繊細な演出をされる方でした」と振り返りながら、「近松さんは秋山さんが大好きでいらっしゃるみたいで、『広末さんのところを切ろうか』と仰っていましたね。明日からオンエアされるCMはあんまり映ってないかもしれません」と撮影を振り返り、「『広末さんの事務所サイドには隠していたい』とも仰っていました」と苦笑い。また、同商品について「すっきり爽やかな気分にさせられます。アルコールが飲めない時でもお酒の味わいが楽しめますし、しかも種類がいっぱいあって選択肢が多いです」と絶賛し、下戸だという秋山も「僕は元々お酒を飲めませんが、これはお酒の味がするし、夜に書斎で面白いことを考える時はいいですよ。ノンアルの方がいいネタが浮かびそうですね」とすっかり気に入った様子だった。"新しい選択"をテーマにした同CMにちなみ、「最近プライベートでした新しい選択は?」という質問に広末は「私は意外と新しいことを始めないんです。飲み物も決めた物をずっと飲んだり生活スタイルも変わらないので」としつつ「でも最近変わったことがあって、ロバート秋山ファンを始めました。最近は寝る前に秋山さんの『願い』という歌を枕元で聴いています。笑いって日々の中で大切ですよ。癒やされています」と話していた。
2016年08月23日どこまでが素で、どこからがキャラなのか。その間をふわふわ浮遊する天才芸人、秋山竜次。話題の「クリエイターズ・ファイル」の撮影におじゃまして、昨今の人気について聞きました。――先日ヤフーニュースで、「クリエイターズ・ファイル」が話題になってましたね。連載第15回でなりきったウェディングプランナーの“揚江美子”という女性の写真を見た方々が、「秋山に似てる、いや本人だろ?!」と…。秋山:そうなんですよね。いやいやどう見ても俺だろ?なんだそのありがたい間違いは、っていう(笑)。もっとがっつり扮装しているときなら見間違うのもわかるけど、あの揚江美子さんは、カツラしかかぶってないレベルの扮装だったんですよ。そんなときに限って話題になるっていう…。しかも「秋山に似てるおばさんがいる。かわいそうだ」っていう意見ね(笑)。――改めて説明しますと、「クリエイターズ・ファイル」というのは、秋山さんが架空のクリエイターになりきり、人物インタビューを受けるという“壮大なコント”企画で、『honto+』というフリーペーパーと、YouTubeで動画を配信するという連載企画です。それがここまで話題になっている感じは、どうですか?秋山:アンアンさんが昨年秋に取材してくださった(1979号'15年11月11日発売)のが、ちょうど8回目の撮影で、僕が過去になりきった人たちの写真を、誌面に並べてくださったじゃないですか。それを見たときに、「あ、結構おもしろくなってるな?」って思えて、これ、長く続けたら意外といい感じになるかもって確信を得たんです。あの頃から徐々にいろんなところで取り上げてもらえたり、話題にしていただけるようになって、今に至るって感じですね。「お前いつからこんなことやってたの?なんで言わねんだよ!」とか言われましたけど、いや、気づいてなかっただけでしょって。――確かに動画とフリーペーパーって、あえて言いますが、決して派手な媒体ではないですもんね。テレビなどとは違って…。秋山:僕もツイッターとかやってないですから、宣伝しようがないんですよ。でもある程度溜まった頃に話題になれて逆に良かったです。クオリティの高いものを1年以上溜めて溜めて、今放出してる感じ。――ダムみたいですね。秋山:ね。でもこの笑いって、正直マニアックすぎるノリではあると思うんです。とはいえ、話題になってきたからって、わかりやすい方向に軌道修正しようとは全然思ってなくて。あらゆる意味で、クオリティの高さはキープしていきたいとは思ってます。――それは、なりきる職業選びもそうですか?秋山:はい。第16回でなりきったパール川辺さんっていう人がいるんですが、その方は、トータル・脳ガズム・トレーナーっていう職業なんですが…。――もう、胡散臭い匂いしかしないっていう(笑)。秋山:そうそう。そういうところに行った自分を褒めたいです(笑)。――以前インタビューで、歌芸に関しては替え歌が原点だったとおっしゃっていましたが、こういったなりきり芸の原点は、どんなことだったんでしょうか?秋山:うーん、何なんだろう…。なりきりといっても、僕のやってることは物まねとは違うんですよね…。見たことないし、喋ったことないし、そもそも全員この世に存在してない人たちですからね。今日扮した洋酒バイヤーに至っては、僕、酒飲めないですから。決めつけ、そう全部決めつけなんです(笑)。――なりきり芸の正解って、どんなところにあるのでしょうか?秋山:こいつだったらこういうこと言うんじゃないかな…って、探り探りやるんですけど、それがスポッとハマる瞬間があるんです。自分で言葉を言いながら、「今この感じ、いいとこ入ってる。このまま進め!」みたいな感覚。来たぞ、来たぞ、決まった!って瞬間が気持ちがいい。その、“こいつが言いそうなこと”っていうのを、ずっと考え続けてるのかもしれないです。学生時代も友達や先生の物まねをしてましたけど、そのまま真似るというより、“言いそうなことをその人っぽく言う”のが楽しかったので。――そこに愛はあるんですか?秋山:ありますあります!めちゃくちゃありますよ。すごいなとかカッコいいなと思ってるからこそ、なんかいじりたくなっちゃうんです。何なんでしょうね、これ。人のカッコつけてる瞬間とかキメに来てる一瞬を、逃したくない病なのかもしれません。そういう瞬間を、ほっとけないんです。ほじくり返したいんです。◇あきやま・りゅうじ1978年生まれ、福岡県出身。NSCを経て、‘98年よりロバートで活動開始。コントにおけるなりきり芸の評判が高く、ソロでも梅宮辰夫のお面を使った“体ものまね”などが話題に。大喜利バラエティ『IPPONグランプリ』では過去2回の優勝を誇る。◇架空のクリエイターになりきってインタビューを受けるシリーズ「クリエイターズ・ファイル」は、書店、通販、電子書籍のハイブリッド型総合書店「honto」のPRフリーペーパー『honto+』で連載中。また、インタビューの様子を収録した動画はYouTubeで月に3本配信。最新作はもちろん、バックナンバーもこちらで。※『anan』2016年8月17・24日号より。写真・内田紘倫
2016年08月12日深刻な状況下にも笑いが起こり、同時に内省的な気持ちにも誘われる。ブラック・コメディと銘打つ、ケラリーノ・サンドロヴィッチ上演台本・演出の舞台『8月の家族たち』は、原作者のトレイシー・レッツが祖父母の実体験を基に創作した、ユーモア溢れる家族の物語だ。「8月の家族たち August:Osage County」チケット情報猛暑のオクラホマ州にある片田舎の一軒家で、物語は展開する。父親失踪の報せを受け、次々と実家に帰省する三人姉妹たち。地元に暮らす40代独身の次女アイビー(常盤貴子)、次に夫ビル(生瀬勝久)と反抗期の娘を連れた長女バーバラ(秋山菜津子)、最後に自由奔放な三女カレン(音月桂)が婚約者のスティーブ(橋本さとし)を伴いやってくる。母方の叔母マティ・フェイ(犬山イヌコ)一家も到着するが、出迎えた母バイオレット(麻実れい)はショックとガン治療に伴う薬物の過剰摂取で半ば錯乱状態に。相変わらずの毒舌ぶりは、ディナーの席でも発揮され……。いつの間にか溜め込んだ妬み、そねみ、恨みにも似た感情が夏の暑さに膨張し、わずかな摩擦で暴発する。母娘の対立を軸に、ままならぬ家族間の問題が次々に暴かれていく。抑制のきかない女たち、その剣幕に成す術もない男たち。人生経験を積んだ人ほど、登場人物らの言動に思い当たる節があるだろう。時おり自らの家族や過去の記憶が、目の前の光景に重なる。人種や文化の違いこそあれ、家族という名の社会における、人間心理の普遍性を思う。諸悪の根源みたいな母バイオレットだが、麻実れいが演じれば不思議と品格を失わない。孤独を前におののき抗い、堪え忍ぶ様を、弱さと強さをさらけ出し果敢に演じる。三姉妹役の秋山菜津子、常盤貴子、音月桂も三者三様の個性を濃密に輝かせ、犬山イヌコ扮する叔母マティ・フェイには、「こんな親戚の叔母さんいる!」という既視感に何度も笑わせられた。迎え撃つ男優陣も実力派揃い。硬軟自在な生瀬勝久は佇まいや表情でも語り、橋本さとしは胡散臭さと色気のブレンド具合が絶妙。なかでも、マティ・フェイの夫チャーリーを演じた木場勝己は、役への理解が繊細に伝わり、終盤での激白には強く胸打たれた。約3時間をかけて、家族一人ひとりのドラマが丁寧かつテンポよく描かれる。その都度、登場人物らに対する印象は、様々に色を変えていく。最後の最後まで見終わって言えるのは、家族ですらその人間の一面しか知らないのではないか、という事実。観る人によっては実人生において、何かが解決するヒントのようなものが得られるかもしれない。公演は、5月29日(日)まで東京・シアターコクーン、6月2日(木)から5日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:石橋法子
2016年05月25日2013年ピュリッツァー賞受賞、2015年トニー賞(BEST PLAY部門)にノミネートされ、ニューヨーク、ロンドンを震撼させた話題作「DISGRACED/ディスグレイスト」。小日向文世を主演に迎え日本初上演される本作から、この度、最新ビジュアルが公開。併せて「TEAM NACS」の安田顕ら出演者からコメントが到着した。ニューヨークの高級アパートメントに暮らすアミール(小日向文)はパキスタン系アメリカ人、企業専門の弁護士事務所に所属する 優秀な弁護士だ。妻のエミリー(秋山菜津子)は白人の画家。ある日、アミールの甥エイブ(平埜生成)が訪ねてくる。エイブはアミールに、自分たちの指導者が逮捕されたので助けてほしいと訴えに来たのだ。拒否するアミール、だが妻のエミリーは助けるべきだと主張する。結局、審問に立ち会い、人生の歯車が狂いだす。ある夜、アミールと同じ事務所で働く黒人弁護士ジョリー(小島聖)と、その夫でホイットニー美術館のキュレーター、ユダヤ人のアイザック(安田顕)が訪ねてくる。画家でもあるエミリーの作品がホイットニー美術館に展示されるお祝いのホームパーティーだった。誰もが、成功を掴んだと思っていた、しかし、最後に掴んだものは…。タイトルにある「disgraced」は、“辱める、地位や名誉などを失わせる”という意味。現代アメリカを舞台に、パキンスタン系アメリカ人の男と白人の妻、ユダヤ人の男とアフリカ系アメリカ人の妻という異なる背景をもつ4人が揃ったホームパーティーで、それぞれの信仰と社会政治の言葉の応酬はやがて驚くべき結末に繋がり、会話の表面から露呈される「人間の本質」が描かれる。そして今回は、オリジナルをそのままに、演出を現代演劇界の重鎮・栗山民也が手掛け上演される。主演のパキスタン系アメリカ人で企業専門の優秀な弁護士・アミールを演じるのは、大河ドラマ「真田丸」で好演中の日本を代表する名優・小日向さん。そして、アミールの妻で白人の画家エミリーには、「読売演劇大賞」最優秀女優賞受賞など映像や舞台で幅広く活躍中の実力派女優・秋山菜津子。エミリーを援助する画商のユダヤ人・アイザックには、今年20周年を迎え人気&実力ともに日本唯一の演劇ユニット「TEAM NACS」の安田さんが好演する。そのほか、アイザックの妻でアミールの同僚の黒人弁護士・ジョリーに、ドラマ「ファーストクラス」の小島聖、物語のキーとなる人物でアミールの甥・エイブに平埜生成が集結した。本作は、現代アメリカの人種・宗教問題をテーマにした作品とあって、「日本人の俳優たちがどう演じるか、非常に大きな壁が立ち塞がっている気がします」と小日向さんは語る。また安田さんも「色々な感情の機微が、剥き出し、あらわになっていき、人間のみせたくない“恥”の部分がみえてくる物語」と本作について語った。そして小日向さんは、「緊張していますし、非常に困難な作品になると思いますが、演出の栗山民也さんにどう料理していただけるか期待もしています。非常に濃密な舞台になると思います」と心境を述べ、秋山さんは「民族的なこと、社会的背景が鋭く浮き彫りになっている作品なので演じるのは難しいですが、素晴らしい共演者の皆さんと、演出家の栗山民也さんの下で作り上げていきたいと思っています。とても衝撃的な舞台になると思います」とアピール。また安田さんは共演者とは今回始めて舞台で一緒になるということで、「新しいご縁をいただけたと感謝しております」とも話した。人種・宗教といった問題をテーマに描く本作。スタイリッシュな今回のポスターからも、本作の持つテーマの重さが見て取れるようだ。世界で話題を呼んだ作品の日本初上演が、どう演出されるのか気になるところだ。舞台「DISGRACED/ディスグレイスト -恥辱」は、9月10日(土)~25(日)東京・世田谷パブリックシアターにて、9月27日(火)名古屋・日本特殊陶業市民会館にて、9月30日(金)~10月2日(日)兵庫・兵庫県立芸術文化センターにて公演。(cinemacafe.net)
2016年05月12日ドラマや映画で、眼光鋭く主人公を見つめたり、画面に登場するだけでほっこりさせたり、脇役ながらも気になる存在感を放つ中村靖日さん。「普段の僕は、どちらかというと周りから半歩か1/3歩くらい下がっているのが居心地いいっていう性質なんです。この仕事に関しても、自分ではずっと小石を積み上げている感覚。でも、気づいたら小さな山ができていたってところなのかなと」その中村さんが舞台『8月の家族たち』に出演する。メリル・ストリープ主演の映画でも知られる今作は、ピュリツァー賞やトニー賞を受賞した舞台で、現代アメリカ演劇の金字塔ともいわれている。「ブラックコメディと伺っていたのに、映画を観たらシリアスで重たいんですよね。でも、演出のKERA(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)さんがブロードウェイの舞台を映像で観たら、現地では観客がどっかんどっかん大笑いしていたそうで。同じ脚本なのにそれだけ違う印象になるんですから、今回は今回でまた別モノになるんじゃないでしょうか」役柄は、物語の中核を担うウェストン家の親戚リトル・チャールズ。常盤貴子さん演じる次女・アイビーとは、従兄弟同士ながら愛を育む。「エキセントリックな人々とニュートラルな人たちの間で、気は優しいけれど少し抜けているっていう、ちょっと違うベクトルの役なんです」家族の物語ながら、薬物依存にアルコール依存、不倫あり。悪口雑言が飛び交い、衝撃の展開へ。「人間って生きていると、まさか自分に降りかかるなんて、というような経験があると思うんです。それを増幅させたのがこの物語。誰しも自分を重ねられるシーンがきっとあるはずです。毒だらけのセリフにも共感する部分があったり。だから、ある種のデトックスみたいな気持ちで、“わかる~”って思いながら観ていただければと思います」◇5月7日(土)~29日(日)渋谷・Bunkamura シアターコクーン作/トレイシー・レッツ上演台本・演出/ケラリーノ・サンドロヴィッチ出演/麻実れい、秋山菜津子、常盤貴子、音月桂、生瀬勝久ほかS 席1万円A 席8000 円コクーンシート5000円BunkamuraチケットセンターTEL:03・3477・9999(10:00~17:30)大阪公演あり。◇なかむら・やすひ武蔵野美術大学在学中に自主映画の制作に関わり俳優の道へ。近作にドラマ『ATARU 』『悪党たちは千里を走る』など。KERA作品は舞台『世田谷カフカ』以来2作目。◇父(村井國夫)が失踪し、家族が久々に集まる。だが薬物の過剰摂取で錯乱状態の母(麻実)と三姉妹(秋山、常盤、音月)との関係はギクシャク。そこに新たな火種が投下され…。※『anan』2016年5月4日‐11日合併号より。写真・中島慶子インタビュー、文・望月リサ
2016年05月03日ブロードウェイでトニー賞最優秀作品賞をはじめ4部門を受賞した舞台『8月の家族たちAugust:Osage County』。その日本初演がまもなく幕を開ける。上演台本・演出を手がけるのは、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)。父の失踪をきっかけに集まった家族たちの不協和音を、ブラック・コメディとして描き出す。稽古は始まったばかりだが、KERAには確信が生まれているようだ。【チケット情報はこちら】物語は、詩人でアルコール中毒の父親(村井國夫)が失踪し、ガン治療薬の過剰摂取もあって錯乱状態にある母(麻実れい)のもとに、3人の娘やその家族と叔母家族が集まるところから始まる。稽古場で演じられているのはちょうど、長女(秋山菜津子)とその夫(生瀬勝久)、娘(小野花梨)が戻ってきた場面だった。久々に会う母と娘、叔母と夫のちょっとした噛み合わなさが早くもおかしい。長女夫婦が喧嘩を始めるシーンでも笑いが起こる。KERAが台詞の発し方や互いの押し引きの加減について少し指示を出すと、その笑いは増幅していく。実家の父と母も、どうやらすでに離婚しているこの夫婦も、抱える事態は深刻であるにもかかわらず、彼らが躍起になるほどその姿は滑稽に見えてくるのだ。KERAは、ピューリッツァー賞を獲り、映画化もされたこのトレイシー・レッツの戯曲と出会ったときから、コメディとして上演すると決めていた。「この脚本を終始シリアスなトーンの芝居に仕上げるのは簡単なことです。でも僕は、コメディにしたほうが伝わる痛みっていうものがあると思ってるんです。僕自身、これまで笑いによって救われてきたし、人生におけるトラブルには常に笑い飛ばすことで切り抜けるという生き方をしてきましたから」。辛辣な台詞の応酬も、「本人たちが笑ってる場合じゃない状況になっている家族をのぞき見ながら、無責任に笑ってくれればいいんじゃないかと思ってます」。キャストにはほかに、次女に常盤貴子、三女に音月桂など、総勢13名が揃う。その指揮をとり、細かく笑いを作っていくのは大変な作業だ。「でも、難しさは楽しさですから。ラクをせず、うまくいったときの達成感をカンパニー全体で分かち合えるといいなと。そして、もしもトレイシー・レッツが観に来たら、『こんな上演になるとは思ってもみなかった』と驚かせられるといいなと思いますね」。おそらく、映画版を目にした人もかなり驚くことになるだろう。が、KERA流の人間と人生の捉え方は、思わぬ力をくれるに違いない。公演は5月7日(土)から29日(日)まで東京・シアターコクーン、6月2日(木)より5日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演する。チケットは発売中。取材・文:大内弓子
2016年04月25日映画『ドクムシ』のワールド・プレミアが2月27日(土)、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 2016」にて開催され、主演の村井良大、秋山真太郎(劇団EXILE)、朝倉加葉子監督が舞台挨拶に登壇。ヒロインを演じた武田梨奈からはビデオメッセージが到着した。350万ダウンロードの電子コミックを実写化。気づくと完全に閉鎖された学校に閉じ込められていた7人の男女が、極限の中で生き残るために人間性をむき出しにしていく様を残酷に、生々しく描き出す。映像を見ればわかるように、かなり過酷な撮影現場だったようだが、村井さんは撮影での苦労について「たくさん血が出てくるんですが、一気に血を浴びるようなシーンは一発で成功させなくてはならず、プレッシャーがありました」と振り返る。秋山さんは、武田さんから放たれるビンタが「痛かったです」と苦笑。運動神経抜群の武田さんが本作では華麗なアクションを封印し、等身大の女性を演じているが、それでも彼女がビンタするシーンは「さすがと言うか…(苦笑)、『本気で来てください』と言ったら、すごい本気で来て…。そういうときに限って『もう1回、お願いします』ってなるんですよ」と振り返った。朝倉監督は、映画の中で重要かつ恐るべき(!)役割を果たす大鍋について言及。「なかなか大変なことに…(苦笑)」と言葉を濁したが、村井さんは「ニオイがすごいんです。夏で、(密閉された部屋のため)換気できないし、『鼻が曲がる』ってこういうことかと…」と顔をしかめ、秋山さんも「あの(部屋での)シーン、嫌だった」と漏らす。朝倉監督は「(映像用の)特殊造形物に加えて、本物の動物の内臓が入っていて、混ざり合ってます…(苦笑)」と映画の中だけでなく、撮影でも恐るべき光景が繰り広げられていたことを明かした。お気に入りのシーンを尋ねると、村井さんは全ての真相が明らかになった上でのラストシーンのある描写を挙げる。一方、秋山さんは映画を通じて描き出される「時間の経過」に触れ「順撮りで一週間、ヒゲも伸ばしっぱなしで、食事も基本は水分だけで固形物はなるべく摂らず、ゲッソリしていく姿は映画の中の7日間と合っていてリアルです」とまさに身を削って現場で過ごしていたことを告白した。一方、朝倉監督は武田さんが関わるあるシーンでの“首切り”描写をお気に入りにあげ「見事な首切りでした…」とウットリ。会場は笑いに包まれた。武田さんは、2月25日(木)の映画祭初日から夕張に滞在していたが、29日(月)の米アカデミー賞授賞式をレポートするためにロサンゼルスに行かねばならず、すでに夕張を発った。村井さんらは夕張入りし、わずか5分ほど武田さんと顔を合わせる時間があったそうで、村井さんは「ちょっとでも会えてよかったです」と笑顔を見せた。武田さんからはビデオメッセージが届けられ、映画について「人間の心理が見えて、いろんな意味でドキドキする作品で『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭』にピッタリだと思います。ぜひ楽しんでください!」と呼びかけていた。『ドクムシ』は4月9日(土)から22日(金)まで2週間限定公開。「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 2016」は2月29日(月)まで開催。(text:cinemacafe.net)
2016年02月28日ロバートの秋山竜次さんといえば、梅宮辰夫さんのお面芸や、オリジナルの歌を“なりきって歌う”芸などで独特の存在感を放つ存在。そんな秋山さんが今年新たに取り組んでいるのが、フリーペーパー『honto+』で、毎回秋山さんが架空のクリエイターになりきった状態でインタビューを受け、それを記事と動画で届ける「クリエイターズ・ファイル」。そこで、今回はそんな“紙のコント”にかける思いを詳しく伺った。***――もともとどういう経緯でこの連載が始まったんですか?自分はキャラクターに扮するのが好きなので、そういったことを誌面でできないかな、と思ったんです。実はコントって、テレビや舞台に向いているネタもあれば、そうじゃないネタもある。動きでは表現できないと諦めていたネタも、静止画しかない誌面でこそ面白くできる場合もあるのでは?と思い、この企画を始めました。最初はさじ加減が難しかったんですが、完璧になりきることが大事なんだと、2回目くらいで手応えが。“架空のクリエイターになりきっている”ということ自体が“ボケ”なので、細かいネタは一切必要ない。コントかつらではなく本物のかつら、セットではなくその職業の人が本当にいる場所で撮る。大垣節子さんの着物も、もっとわかりやすい着物にすることも考えたんですが、本当に女将が着てそうな地味な感じにした。リアリティを追求すればするほど、妙におかしさが増してくるんだってことがわかりましたね。この企画は、ふざけちゃいけないんです。――なりきるキャラクターは、秋山さんが考えるんですか?はい。企画の大前提として、クリエイターって人たちをいじりたかった(笑)。なんちゃらエグゼクティブとか、ハイパーなんちゃらとか、なんとも言えないポジションの職業の方っていらっしゃるじゃないですか。そういう人ってなんなんだろう?と前から思っていて。加えて、世界観を持っていて、なおかつ奥行きがありそうな職業がいい。とはいっても、本当に失礼極まりない話なんですが、何の下調べもしてないし、全部ただのイメージ(笑)。「こういうこと言ってそうだな~」って僕が想像してることを、羅列してるだけです。でも不思議なものでなりきって喋ってると、「めちゃくちゃいいこと言ってる、俺!」ってときや、「聞いたことある!」って自分で驚く瞬間がある。そのときがものすごく快感ですね。――11月配信の、<SHU‐ZO>さんの回の取材を拝見させていただきましたが、2時間くらい“なりきりインタビュー”を受けていて、次から次へと“それっぽい発言”をなさいますよね。よくそんなに考えつくな、と。自分としても、扮している職業について無知な秋山竜次が、2時間も、知識ゼロのまま答えられるのかなって思いますけど、そこに面白さがなんかあるような気がするんです。撮影に入る前に考えるのは名前くらい。あとは思いつくままにしゃべっていると、徐々にキャラの輪郭が見えてきて、自然に名言が出てくる。今日のSHU―ZOだったら、「踊らないのが本当のダンス」とか。クリエイターの人って、そういう極論を言いそうなイメージがあるんですよね。――磯貝KENTAさんの、「CGクリエイターになりたいやつは、CGクリエイターになれない」、みたいなヤツですね。そうですそうです。ルックスづくりと同じように、文章でも絶対にボケません。普通、芸人が取材を受けたらもっとボケると思うんですが、それをやらない面白さを追求したいんです。『honto+』の誌面上では文章で読んだときのそれっぽさを追求したいので、発言の書き直しや追加、写真のセレクトは、納得いくまで何回でもやります。だから、取材をそのまま切り取った動画と誌面では、言ってることが違ったりもするんですが、それぞれ別々のメディアとして楽しんでいただければと思ってます。ただ自分の中の優先順位は、絶対的に誌面が上。だからカメラマンも、その職業の人を普段撮ってそうな人に来ていただいてます。YOKO FUCHIGAMIさんのときは、20歳くらいの若い女の子が来て、「若いし話通じなさそうだし、大丈夫か?!」って思ったんですけど、彼女は実際アメリカでファッションをバンバン撮ってるらしく、写真を見たら、すげーって(笑)。たった4枚の写真から想像できる笑いって、相当面白いでしょう。動かないほうが面白いこともあるんです。――紙媒体の我々が言うのもなんですが、テレビや舞台以外の場所でも、笑いは表現できるんですね。できますよ!なんならこういうほうが、自分っぽいものが作れると思うし、規模が小さいぶん、アイデアをたくさん活かせる。あえて言いますが、たかがフリーペーパーの連載ですけど、お笑い容量も情熱も、めっちゃくちゃ詰まってますよ。面白度合い、相当高いと思います。もっと知名度上がるといいんだけどなぁ(笑)。◇honto+ 書店、通販、電子書籍のハイブリッド型総合書店「honto」のPRフリーペーパー。その中で秋山さんが連載しているのが、「クリエイターズ・ファイル」。全国の丸善、ジュンク堂、文教堂で毎月第1木曜に配布中。電子書籍も無料で配信中! honto.jp /cp/ebook/2013/hontoplus.html◇あきやま・りゅうじ’78年生まれ、福岡県出身。’98年にお笑いトリオのロバートを結成し、デビュー。惜しまれながら終了した番組『オモクリ監督』や、『ゴッドタン』で披露する自作の歌芸も大人気。◇ダンスパフォーマー兼振付師 SHU‐ZO米国で名振付師マイケル・ティン氏の元で研鑽を積み、映画の振り付けを中心に活動。帰国後は東京でダンススタジオを構え、活躍中。アイドルの振り付けや、海外アーティストからのオファーも。いま一番好きなダンスは、すべてを詰め込んだ「NOW」というジャンル。年齢非公表。※『anan』2015年11月18日号より。写真・内田紘倫
2015年11月12日内野聖陽が伊右衛門、秋山菜津子がお岩を演じる魅惑の『東海道四谷怪談』が6月10日(水)に新国立劇場で幕を開ける。演出は同劇場で上演された『エドワード二世』などで昨年、読売演劇大賞に輝いた森新太郎。稽古が佳境を迎える中、森に話を聞くとともに、稽古場をのぞかせてもらった。舞台『東海道四谷怪談』チケット情報元来、多くの登場人物たちの因果や運命が交錯する群像劇の側面が強いが今回、大胆にいくつかのエピソードをカットし、あくまで伊右衛門とお岩のふたりの関係性に絞りこんだ。森は「人々の人生を削って短く薄く詰め込むのではなく、ふたりの男女を軸に濃密なドラマにしたかったし、そこで人間の抱える荒んだ心の闇を見せたい。やればやるほど『あぁ、男ってこうだよな』と思うし(笑)、現実に対する南北の冷徹なまなざしを感じます」と語る。広さも奥行きも高さもある中劇場での上演だが「広漠と横たわる暗闇を活かしたい。なるべく具体的なものを排して、ごくシンプルにしている。必要最低限の小道具と俳優の肉体、テキストがあればやれる」とも。足し算ではなく引き算で、人々の心情を文字通り「浮かび上がらせていく」意図が感じられるが、その最たる部分が、秋山が唯一の女性キャストであり、男性がお岩以外の女性の人物を演じるという点。「リアルな女性の繊細さ――こんな状況に置かれた女性がどういう声を上げ、どんな目をして死に、どんな心理で復讐しようとするのか?僕も男なので、そこは謎を解き明かすような気持ち。“お岩対社会”という構図が見えてくる」と説明する。脚本を読むとネズミや鬼火を使った表現などどう見せるのかと気になるシーンも多いが「それが何かと言えばお岩の激しい情念の表れなので“温度”をそこに残したい」。有名な戸板返しや仏壇返し、面体の崩れたお岩の化粧のシーンなども「いろいろ考えてます」と不敵に笑う。お岩の存在を色濃く浮かび上がらせる最重要人物は言うまでもなく伊右衛門である。森は内野を「伊右衛門をやるために生まれてきたような男!」とまで言うが、稽古場をのぞいてみてその言葉に納得させられた。序幕の伊右衛門がお岩の父・左門にお岩との復縁を求めるごく短いやり取りの中で、内野は伊右衛門の卑屈さ、尊大さ、瞬時にわき上がる怒りなどいくつもの感情を巧みに表現。幕が上がって数分で、伊右衛門という人間の性根、小悪党ぶりがまざまざと理解できる。伊右衛門をはじめとする小さな悪の積み重ねを一身に背負い、ひとりの女性がどのような変容を遂げていくのか、仕上がりが楽しみだ。6月10日(水)から28日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場にて。取材・文:黒豆直樹
2015年06月08日2015年夏には劇場版の公開も予定されている人気アニメ『ガールズ&パンツァー』に登場する「秋山優花里」が、1/8スケールで立体化され、2015年7月にコトブキヤから発売されることが決定した。現在「コトブキヤオンラインショップ」にて予約受付中で、価格は8,424円(税込)。秋山優花里は、県立大洗女子学園・あんこうチームの一員で、戦車への愛情とともに造詣も深い筋金入りの戦車マニア。豊富な軍事知識や、戦術行動時には大胆なほどの行動力を見せることから、隊長の西住みほを戦術・精神の両面で支え、大洗の全国制覇に貢献した。漫画『コミックフラッパー』版では主人公も務めている。今回は「IV号戦車D型改(F2型仕様)」のキューポラに座り、元気いっぱいな笑顔の表情の秋山優花里を立体化。ユニークなシルエットのふわふわとした髪や衣装はもちろん、キュープラや脇に抱えた真鍮特有の鈍い輝きの砲弾など、無機物特有の色味にもこだわって造形されている。商品価格は8,424円(税込)で、現在「コトブキヤオンラインショップ」にて予約受付中。商品の発売および発送は、2015年7月を予定している。(C)GIRLS und PANZER Projekt
2015年03月10日インテリアショップのIDEE(イデー)は6月4日まで、「Life in Art」の第19弾となるイラストレーターの秋山花展「A PAIR OF・・・」を、Cafe&Meal MUJI新宿で開催している。○「二組の・・・」がテーマ同社は、インテリアにアート作品を取り入れ日々を豊かにする暮らし「Life in Art」を提唱。これまでに様々なアーティストの展示会を行ってきた。第19回となる今回は、雑誌『暮らしの手帖』などで挿絵を連載中のイラストレーター、秋山花の作品が展示される。今回のテーマは「A PAIR OF・・・」。2本の木、2羽の鳥など、ペアならではのお互いの関係や距離が表現された作品が紹介される。同氏の淡々としながらも奥行き深い作品とともに、心軽やかな時間を過ごしてほしいとのこと。展示会の会場は、新宿区新宿3-15-15 新宿ピカデリーB1F、無印良品MUJI新宿/Cafe&Meal MUJI新宿。営業時間は11時~21時、ラストオーダーは20時。同企画の展示作品およびこれまでの企画の作品は、「IDEE Life in Art」サイトから購入することができる。
2014年05月02日NODA・MAP 第17回公演『エッグ』の制作発表が7月20日に行われ、作・演出の野田秀樹と出演の妻夫木聡、深津絵里、仲村トオルらが登壇した。NODA・MAP 第17回公演『エッグ』チケット情報本作は野田が芸術監督を務める東京・池袋の東京芸術劇場のリニューアルこけら落とし公演。スポーツと音楽というふたつの要素を中心にした作品だ。妻夫木がこの世にないスポーツの新人選手、仲村がベテラン選手を演じ、深津はシンガーソングライター役。重要な要素となる音楽は椎名林檎が担当する。「どのような作品にしたいか」と問われた野田は「不可解にして愉快、爽快で若い、老獪な芝居」と韻を踏んで表現。「この世に存在しないスポーツを描き、見る人が想像するという不可解。見事なキャスティングと自負する役者たちが自在に動く愉快、椎名さんの爽快な音楽。そして最近考え込んだようなものが多かった自分の芝居を壊すという意味の“若い”、とはいえ若い演出家にはつくれない作品をつくるという意味で老獪」と流れるように説明した。そこに共演の橋爪功が「野田作品は奇っ怪。音楽をテーマにするというのでミュージカルだと思って引き受けたら違った。自分が歌うシーンがなさそうなので不愉快」と切り返し笑いを誘った。今回でNODA・MAP3作目となる妻夫木は「野田さんはいつも、終わったあとも未来永劫その舞台の世界について想像し続けられるような作品をつくる方。今回も、自分も観客の方も見たことのない景色を見たいし、見せたいと思います」と意気込んだ。野田作品に初めて参加する仲村は「転校した学校でかくれんぼをしていて、うまく隠れすぎて見つけてもらえなかったところを、日が暮れたころにようやく見つけてもらった気分。泣きながらありがとうと抱きつきたいです」と独特の言い回しでこの作品に参加できる喜びを表現していた。深津はすでに椎名とレコーディングを始めているそうで「才能があるうえにやさしくかわいく、あげくの果てに頭がいい。彼女を通じて役作りが始まっていて、得した気分です」と椎名にべた惚れの様子。そんな椎名から寄せられた「唯一無二と書いてトクベツと読むこの声に、似合わない調べはありません」というコメントが読み上げられると、「この言葉を勇気に頑張りたい」と思いを新たにしていた。最後に振付師を演じる藤井隆がスポーツに掛けて「オリンピックイヤーに、池袋で野田さんのオリンピックが開かれます」ときれいにまとめて会場は笑いに包まれた。出演はほかに秋山菜津子、大倉孝二。公演は9月5日(水)から10月28日(日)まで東京芸術劇場プレイハウスにて上演。チケットは7月21日(土)10:00より一般発売開始。取材・文:釣木文恵
2012年07月20日2008年、新国立劇場の演劇企画「シリーズ・同時代」の第3弾として上演され、翌年の第53回岸田國士戯曲賞を受賞した蓬莱竜太作の『まほろば』。男を描くことに長けた蓬莱の女性のみの芝居として話題を呼んだ本作が、同劇場で4月2日(月)より再び上演される。キャストもほぼ初演のまま、演出も栗山民也が続投とあって快調に進む稽古場を、3月某日に訪ねた。作品は、生理、妊娠、閉経といった女性特有の身体の特徴を劇中でシンボリックに扱いながら、女4世代6人が“女性が結婚をし子を産み、育てていくこと”、“次世代へ命をつなぐこと”の赤裸々な本音をぶつけあう。物語の舞台は長崎の田舎町にある旧家。町の祭りの夜、宴会準備の忙しい最中に、前の晩には40代未婚の長女ミドリ(秋山菜津子)が、そして今日は次女キョウコ(魏涼子)の娘・ユリア(前田亜季)が男関係に疲れて、相次いで東京から帰ってきた。自らが男子を産めなかった負い目から母ヒロコ(三田和代)は、本家のお家断絶を阻止するために長女ミドリに婿取りを容赦なく迫るが、ミドリは閉経したので無理だと言い、物議を醸す。家族が混乱するなか、今度はユリアが未婚のまま自分を産んだ母同様、不倫の果てに宿したお腹の子を産みたいと言い出して……。訪れた日は物語が大きく動き出す第3場の通し稽古。都会で奔放に生きるミドリ役の秋山がやぶれかぶれになってユリアに子を産めと迫るシーン、70代の“大母様”タマエ役の中村たつが何も考えていなさそうで物語の核心を突くシーン、本家の体面でがんじがらめになっているヒロコ役の三田の巧みなセリフ術などに笑いが起きる。通した後、演出の栗山は「(台本の至るところに多用されている)『間』と『……』を字面として覚えていると緊迫感のない、温度の低い芝居が出来あがってしまう」と俳優に注意を促し、物語の緩急をつける場所を台本のページごとに細かい指示を出す。娘の妊娠が発覚し、彼女を責めるキョウコ役の魏には場の空気を変えるセリフが多いため、怒りのテンションからセリフの速度まで事細かに指導。また俳優陣では三田がリーダーシップを取り、秋山ら共演者に相談を持ちかける。次のセリフの入りのタイミングが遅くならないよう、小道具の携帯電話はどこに置くべきかなど、前後の芝居の流れを反芻しながら自主的に決めているのが印象的で、再演ならではの稽古の進行の速さとキャスト陣のなかで問題点が共有できている様子がうかがえた。10代から70代までのあけすけなガールズトークを生かすのも殺すのも、役者の「間」にかかっている。そこに徹底してこだわる栗山演出で、あと2週間、どれだけ物語が立体的に立ち上がってくるか、大いに期待したい。同作品は新国立劇場 小劇場にて、4月2日(月)から15日(日)まで上演。その後、4月18日(水)長野・まつもと市民芸術館、21日(土)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、28日(土)山形・シベールアリーナと各地を回る。チケットぴあでは新国立劇場、兵庫公演のチケットを発売中。
2012年03月21日故・井上ひさしが共同脚本に名を連ねた山田洋次監督の映画でその名を知られる『キネマの天地』(1986年公開)。映画公開と舞台初演から25年を経てこまつ座で初上演される本作の公開舞台稽古が、9月4日、東京・紀伊國屋サザンシアターで行われた。チケット情報舞台版『キネマの天地』は映画の続編として企画され、映画公開と同年の1986年に井上ひさしの作・演出により日生劇場で上演。ゆえに、新進女優・田中小春ら数人は映画版と同じキャラクターが登場するが、ストーリーは映画版とまるで異なるサスペンス・コメディだ。映画全盛期の昭和10年。“K.T”のイニシャルを持つ4人のスター女優が、ある映画監督に呼び出されて築地東京劇場に集められる。そこで舞台『豚草物語』への出演をオファーされ、早速稽古を始めることになった4人。実はこの監督の妻は彼女たちとも面識があり、「K.Tに殺される」と日記に書き残して謎の死を遂げた女優だった。監督はある万年下積役者を刑事に仕立て、妻殺しの真犯人を暴こうと画策しており……。麻実れい、三田和代、秋山菜津子、大和田美帆の各世代を代表する実力派女優たちがスター女優に扮し、豪華競演。彼女たちを迎え撃つ男性陣も、監督役に浅野和之、助監督役に古河耕史、そして下積俳優役に木場勝己と、いずれ劣らぬ実力者揃いだ。演出は、本作初演で演出助手として演出家・井上ひさしをサポートした経験を持つ栗山民也が務める。「時代や社会批判が重いテーマとして作品に潜んでいるのが井上作品の特長ですが、これは演劇論・俳優論に徹した珍しい作品」と三田和代が語るように、井上作品の系譜においては性質を異にする印象。ドンデン返し連発の娯楽作として肩肘張らずに楽しめ、約2時間半(休憩含)の上演中も笑いが絶えなかった。一幕は、スター女優たちの美しくもオソロしい自己顕示のバトル。いがみ合いながらも、愛すべき4人が絶妙なコンビネーションを見せる。彼女たちの化けの皮が次々とはがされてゆく二幕では、笑いの中に、“演じること”にとりつかれた者の悲哀が色濃く加わる。このコントラストが見事だ。役者の凄まじいまでの執念が結実したラストは、名優・木場勝己渾身の名演もあいまって、切なく、深く心に刻まれた。また同時に、作者・井上ひさしが役者に対して抱いていたであろう親愛とリスペクトが胸に迫る。そんな思いを役を通じて体現できることは、役者にとって無上の喜びであるだろう。客席を関係者が占める舞台稽古には珍しくもある熱のこもった拍手が、“演じることにとりつかれた”舞台上の役者たちを暖かく包み込んでいた。10月1日(土)まで紀伊國屋サザンシアターにて上演。その後、10月4日(火)・5日(水)に大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、10月8日(土)に岩手・盛岡劇場、10月10日(月)に山形・川西町フレンドリープラザでも上演する。東京、大阪のチケットはぴあにて発売中。取材・文:武田吏都
2011年09月05日お笑いトリオ、ロバートの秋山竜次が3月28日(日)、沖縄・宜野湾市の沖縄コンベンションセンター内ほかで開催中の第2回沖縄国際映画祭「Laugh部門」に出品中の出演映画『宇宙で一番ワガママな星』の公式上映で、ゴリ(ガレッジセール)、田中直樹(ココリコ)、監督を務めたテレビ朝日のディレクター、伊東寛晃と舞台挨拶を行った。宇宙旅行を夢見る5人の男の宇宙訓練施設での生活を描くコメディで、ゴリさんは5人のうちの一人。ほかにきたろう、マイケル富岡らが出演。秋山さんは「信者役で、10秒ぐらいで終わっちゃうんですよ。だから10秒に魂を込めました」と告白。ゴリが「自白しちゃった?俺も言いたくて言いたくて仕方がなかった。ほかに舞台挨拶に来るべきな長い時間出ている人たくさんいるのに、10秒だよ、お前」と可笑しそうに突っ込むと、「参加したんだから舞台挨拶する権利はある。前半10秒、後半3秒。とにかく13秒に魂を込めました。本当に信者で洗脳されているテイストを出したんで」と訴え、観客の笑いを誘った。一方で“熟女好き”で知られる秋山さんは、「沖縄は40代、50代のレベルが高い」とニンマリ。ゴリから「さっき楽屋に来た73歳のうちの母ちゃんをヘンな目で見てただろう!」と問われ「5年前ならギリですよ」と答えた。『宇宙で一番ワガママな星』は現在、劇場公開に向けて調整中。(photo/text:Yoko Saito)沖縄国際映画祭現地レポート■関連作品:第2回沖縄国際映画祭 [映画祭] 2010年3月20日よりカウントダウンイベント開始、24日から28日まで映画祭開催■関連記事:【沖縄国際映画祭】黒沢かずこ主演『クロサワ映画』2冠!即興の歌で喜び表現【沖縄国際映画祭】キム兄、鈴木杏樹の天然トークに苦笑い【沖縄国際映画祭】間寛平、イランから衛星中継でギャグ3連発【沖縄国際映画祭】ナベアツの晴れ舞台でケンコバ暴走挨拶【沖縄国際映画祭】次長課長・河本が沢尻ネタで悪ノリ&大鶴義丹の衝撃NGを暴露
2010年03月28日