「私の背中は大きいだろ、彼女がゴリラで良かったな」というコメントともに投稿された、車椅子ユーザーの移動方法が話題に。車椅子の彼氏の前に立ちはだかる階段があっても、彼女が彼氏をおんぶして階段を上り、目的地の屋上デッキまでスマートに連れて行く。2人で支え合いながら一緒の景色を楽しむ姿に「最高な関係で素敵過ぎます」「大切な人同士助け合う姿は美しいよ」「なんか涙出た」と多くのコメントが寄せられています。一方で「そんな対応ができるのは、若い時だけ」「この先どうする?」と心無い声も届いているそう。2人はお互いをどのような存在ととらえ、どんな未来を思い描いているのか?投稿者の彼氏の車椅子を押すのは私だけさんと彼氏さんに話を聞きました。■「今しかできないことを全力でやりたい」車椅子の彼氏をおんぶする彼女の想い彼氏の車椅子を押すのは私だけ(@hennahitoooo_)というアカウントで、日常を配信しているお2人。7年前に脊髄損傷で車椅子となった彼氏さん、体育大学出身で体力自慢の彼女さんとの微笑ましいやりとりが魅力で、「車椅子でも手をつないで歩ける」「一緒に人力車に乗れる」と2人で様々なことに挑戦。周囲の協力を得ながらできること・できないことの現状をポジティブに発信していて、「2人の人柄が善意を呼ぶのだろう」「これからも2人の生活を楽しんでほしい」と温かい声が寄せられています。――付き合ってどのくらいが経つのですか?【彼女さん&彼氏さん】付き合って1年弱になります。出会いはマッチングアプリで、マッチしてからすごく楽しいやり取りが4ヵ月程続き、実際に会うことになりました。そこでお互いに一目惚れをし、何回かデートを重ね、出会って2週間後に付き合い始めました。――展望デッキに行くためにスロープのない階段を移動しなければならなくなった時、体力自慢の彼女さんが彼氏さんをおんぶして階段を上がる動画は174万回再生されて様々な反響があがっていました。どう感じていますか?【彼氏さん】まさかこんなに反響があるとは思わず、驚きと嬉しさが一番でした。多くの人が彼女のことを「かっこいい」「すごい」「感動した」と言ってくださってとても嬉しかったです!同時に、日々たくさんのことで助けられていると改めて気づきました。より一層感謝の気持ちと大好きな気持ちが大きくなりましたし、彼女とならどんなことも一緒に乗り越えていけると感じました。【彼女さん】このおんぶの動画は思い出のつもりであげたので、まさかこんなに多くの人に見てもらえるとは思っていなかったため、嬉しい気持ちがほとんどです。ただ、中には悪いコメント(もう消されているけれど)もあり、複雑な気持ちもありました。――確かにそうですね。「若い今だからできる」というコメントも見られましたが、どう受け止めましたか?【彼氏】年老いたらできなくなるのは自分たちもわかっていて、だからこそ今できることを全力で楽しんでいるという気持ちです。年老いたらそのときにできることを全力で楽しむつもりですし、老いたからこそできることもあるだろうし、未来も大事だけど今を大切にするべきだと感じました。【彼女】その通りだと思うし、重々承知もしています。逆に、若い今だからこそおんぶやお姫様だっこができるので、今しかできないことを全力でやりたいし、おんぶしていろいろなところを周ることを楽しんでいます。歳を取ったら取ったで、そのときはヘルパーさんに頼んだり、バリアフリー完備の施設に遊びに行ったり、年相応のことをするようにします。■「車椅子ユーザーとの暮らし、困り事や壁がどのようなものかを知ってもらえる機会になれば」――お2人はどういった場面で、お互いの存在をより強く認識しますか?【彼氏さん】自分は歩くことも難しく車椅子なので、物理的に困難なことに当たるときがあります。そんなときに彼女は率先して車椅子を押してくれたり、段差を上げてくれたり、上にあるものを取ってくれたりとたくさん助けてくれます。さらに、旅行に行く際などは、車椅子でも一緒に楽しめるようなプランを楽しそうに計画してくれるので、日常の中で支えられていると感じる場面がたくさんあります。【彼女さん】私は彼に心を支えられています。辛いことがあったときや仕事の繁忙期で疲れが溜まっているときなどに、家事を変わってくれたり甘いものを買ってくれたりと些細なことから大きなことまでいろいろと支えてもらっています。あと、私は背が高く、買い物で何かを探しているときに陳列棚の下のほうを見落としてしまいます。逆に、彼は上の方を見ることができません。そういうときに上と下の担当を決めながら探せるので、探し物が見つかりやすくていいコンビだなと感じます。――彼氏さんは、おんぶしてくれる彼女さんの行動や背中を見て、どのようなことを感じますか?【彼氏さん】すっごく頼りになるし安定感もあって、いつも安心して乗っかっていますし、くっつくこともできるからめちゃくちゃ嬉しいといつも思っています(笑)。あと、いつもより高い景色が見られて、おんぶされている間は彼女と一緒の目線で楽しめるので、そこも嬉しいです。――「彼氏の車いすを押すのは私だけ」というアカウント名にも覚悟を感じます。なぜこのアカウント名にしたのですか?【彼女さん】インパクトのある名前にしたいと思い、遊び心半分、覚悟というよりは「私以外には押させない」みたいな独占心半分でこの名前にしました。発信していくことで、車椅子ユーザーとの暮らしがどんなものか、車椅子ユーザーの困り事や壁がどのようなものかを知ってもらえる機会になればいいなと思っています。――24年4月から「合理的配慮」が義務化されましたが、実際は環境の整備もままならない部分も。ご自身ができること、周囲のサポートも踏まえて、どういった考え方が必要だと感じますか?【彼氏さん】感謝の気持ちを忘れないことが一番必要だと思います。サポートしてもらえるのが当たり前、配慮してもらえるのが当たり前なんて考えは絶対にダメだと思います。障がい者も健常者も、お互いに思いやりを持てれば、みんなが過ごしやすいバリアフリーな社会が実現できるのかなと思います。【彼女さん】やってもらって当たり前と思わないこと、サポートを受けたらしっかりと感謝する気持ちを持つことが大切だと思います。「合理的配慮の義務化」についての動画やポストはよく見かけますが、批判的なコメントも多く見られます。「合理的配慮については対話が必要」と内閣府のリーフレットにも書いてあるため、まずは話し合うことが大切だと思います。もちろん言い方の問題はありますが、障がい者の方はなんでもかんでもやれと言っているわけではなく、こうなってくれたらいいなという気持ちもあると思うので、事業者やほかの方も否定から入らずにまずは話し合いをし、お互いの理解を深めることが必要だと思います。――今後はどのような関係性になっていきたいですか?【彼氏】一生一緒に添い遂げる関係性になっていきたいです!楽しいことや幸せなことは2人で分かち合い、壁や困難は2人で一緒に乗り越えていく。そんな未来を描いています。【彼女】医療の研究が進み、神経の修復が可能になり、彼がもう一度歩けるようになったらそれはとても嬉しいです。治らず車椅子生活が続いたとしても、今と変わらず仲良しで、健康第一で、平和な日常を過ごしていけたらいいです。
2024年04月28日2023年の暑かった夏も終わり、すがすがしい秋へと季節も移ったころ、わが家では車椅子生活の義母を連れてどこかへドライブに行こうという話が持ち上がりました。しかしわが家の自動車は、デイサービスの送迎車のように車椅子ごと乗れるタイプではないので、義母を自動車に乗せることがネックになりました。あれっ? つかまる物がない…ドライブの前に車椅子の義母を車の後部座席に乗せることを試してみました。まず車椅子で車の近くに移動して、義母を立たせて後部座席に乗せようとしたのですが、義母が乗り込むときにつかまるところがないのです。前座席の肩の部分はうまくつかめず、手を滑らせてしまいました。また前座席のヘッドレストの首の部分をつかもうとしたのですが、これもうまくつかめず、乗るのに苦戦しました。義母は脳梗塞(のうこうそく)の後遺症で左半身の力が弱くなっており、右手と右足にはある程度力が入るのですが、脳梗塞を発症する前のようにはいきません。何かつかまるのに良い物があれば良いなと思いました。早速ネットで調べてみたところ、ヘッドレストに付けるアシストグリップというものを見つけました。意外に高い車の乗り口車椅子で車の後部座席に近付き、義母を立たせてから乗せようとしたとき、開口部に高さがあることに気付きました。測ってみると地面から乗り口の下辺まで45㎝もありました。義母は、脳梗塞後は足の上がりもいまいちで、私たちが手で持って足を上げてやらないとうまく乗れませんでした。私は、義母が足を置ける低い台があれば良いなと思いました。25㎝くらいの高さの台を置いてあげれば、義母も車の乗り降りがラクになるはずです。ネットで調べてみると、軽くて小さいちょうど良い高さのステップ台がありました。早速アシストグリップとステップ台を購入しました。快適なドライブを実現ドライブの当日、前座席のヘッドレストの部分にアシストグリップを付けて、足元にはステップ台を置いて義母を後部座席に乗せました。義母は、まず右手でアシストグリップを握ってステップ台に乗り、それから自動車に乗りました。ステップ台のおかげでスムーズに乗り込めました。わが家の自動車は後部座席の真ん中のシートを前に倒すとアームレスト(手首や肘などを乗せる器具)になる仕様なので、義母は体を真っすぐに保っていられるようで、安心した顔をしていました。シートベルトを締めていざ出発です。最近は身体障害者用の設備も整っており、途中のサービスエリアでトイレ休憩をしたのですが、トイレの近くに車椅子の人のための車の駐車場があったり、身体障害者用のトイレの個室もいくつもあったりと、まったく不便は感じませんでした。お店にも車椅子で気軽に入れて、昼食もとれました。おかげで家族そろって快適なドライブができました。まとめこれまでは車椅子の義母を車に乗せるのに苦戦して、家族でお出掛けをしていませんでした。しかしアシストグリップとステップ台を使用してスムーズに車の後部座席に乗せることができるようになってからは、車椅子生活の義母を連れてのお出掛けがラクになりました。これからは気候が良いときは、家族そろってお出掛けしたいと思います。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。ウーマンカレンダー/介護カレンダー編集室著者/ラベンダーミント(57歳)子育てを終え、今は義母の介護と仕事に忙しい毎日を送る主婦。日々の楽しみは、おいしいものや体に良いものを見つけてお取り寄せしたり、趣味の手芸でかわいいものを手作りすることにはまっている。
2023年12月02日YouTube「suisui-Project 〈車椅子ライフスタイル〉」は、パパとママ、そして息子のあおとくん、ワンちゃんとの日常をご覧いただけるチャンネルです。育児についてや、車椅子ユーザーのパパならではの様々な発信をご覧いただくことができますよ。今回は、あおとくんとパパのお留守番の様子をご紹介します。好奇心旺盛で活発に動き回るあおとくん。さて、2人はお留守番を無事終えることができるかな? ママ、いってらっしゃい♩ この日は、ママがお出かけ。パパとあおとくん、そしてワンちゃんでお留守番です。 ママに「いってらっしゃーい」とバイバイをするあおとくん。 その後、何度も玄関の方を眺めながらママが出かけたことを確認します。あおとくん、寂しいのかな? さて、何して遊ぶ?寂しそうにしていたあおとくんですが、すぐに気持ちを切り替えることができました。早速、遊びに夢中です♪ まずはジャングルジムに登って… お気に入りの場所に座ってちょっと休憩♪お気に入りの場所は、気持ちも落ち着きますね。 続いては、滑り台!パパが見守りながら、上手に滑ります。 ワンちゃんとも遊べるよ♪ 次はおもちゃ遊びが気になってきたあおとくん。キッチンで気になるボトルも発見!ワンちゃんも興味津々であおとくんに近づきます♪ 2人で何やら遊んでいる姿がとっても可愛くて癒されますね。 パパとも一緒にたくさん遊ぶよ! パパが乗っている車椅子にも興味津々のあおとくん。パパの元に近づきます! パパに気づいてほしい(笑)あおとくんが遊んだおもちゃを片付けているパパ。 一方、あおとくんは… パパの様子をうかがっています。一緒に遊びたいのかな?チラッとパパの方を確認しながらゴゾゴゾ… ちょっと泣いてみたりもしてみます(笑) この様子、ぜひ動画でもご覧くださいね。あおとくんなりに、パパの興味を引こうとしている姿がとても微笑ましいですよ。 車にも乗れるよ♪ご機嫌も直ったので、またまた遊びを再会! 次は、車に乗ってあおとくん登場です。 パパやワンちゃんも後に続きます♪なんだかみんなで楽しそうですね。 工夫しながら、楽しく育児! 車椅子ユーザーのパパ。一度前に倒れてしまうと起き上がるのが困難だったりと、育児をする上でも様々なことがあるそう。 それでも、あおとくんの育児を通して、できることも増えてきたのだとか。 育児を楽しみながら、ご自身のリハビリにも繋げている姿に、視聴者の方々からも応援や尊敬のコメントがたくさん届いていましたよ。 お留守番も無事に終えることができた、パパとあおとくん。2人の姿をみていると、こちらまでなんだか幸せな気持ちになれますね。 YouTube「suisui-Project 〈車椅子ライフスタイル〉」では、他にも素敵な動画がたくさん。パパとあおとくんのお留守番の動画は、他にもいくつあアップされていますのでそちらも要チェック! 他にもあおとくんの成長の記録など、様々な視点での発信を行なっていますよ。ぜひご覧くださいね。 画像提供・協力/suisui-Project 〈車椅子ライフスタイル〉
2023年07月07日犬にとって飼い主との散歩は、筋肉を維持したり、ストレスを減らしたりと、健康によいといわれています。ですが、@twenderafikiさんが飼っている犬のルーさんは、体を動かせず、ベッド上で寝たきりの生活を送っていました。飼い主さんが困っていたところ、犬用の車椅子に乗せると…。ベッドの上では全く体を動かせない完全寝たきりでも、車イスに乗せると不完全ながらも4本の足が稼働するこれを見た主治医からも驚き2度見したと絶賛されました車イスを作って下さった方から、転びながら100m歩くより車イスで100m進んだ方が筋肉は落ちないと聞いて妙に納得車イスの威力は凄い pic.twitter.com/pDkbenzTd3 — ルーさんと猫先輩から貰う幸せ♡ (@twenderafiki) October 22, 2021 元気はつらつ…!ルーさんの主治医は、その姿に思わず二度見して驚いたとか。また、車椅子を開発した人からは、「転びながら100m歩くよりも、車椅子で100m進んだほうが筋肉は落ちない」とも教わったといいます。ルーさんの姿に、「言葉にできない感情が込み上げてきます…」「素晴らしい話ですね」と多くの人が感動した様子。車椅子に乗り、これほど歩くことができて、ルーさんは喜んでいることでしょう。[文・構成/grape編集部]
2021年10月29日高齢者にとっての外出は、デイサービスや病院、近隣との交流など、意外に多くあります。新築やリフォームでは、玄関から道路までの外出ルートをいかにスムーズにし、気軽に出かけられるようにするかが重要です。ここでは、要介護者が車いすでも気楽に外出しやすい「玄関まわり」のルートづくりについて紹介します。■ 手すりにつかまり玄関の段差に腰かける認知症高齢者の場合、いずれ車椅子が必要となるのは致し方のないことでしょう。ふじよ / PIXTA(ピクスタ)なかには最期まで自分で歩いて外に出ることができる人もいますが、あくまで少数派だといえます。外出ルートでポイントになるのは、段差をどう解決するかということです。まずは玄関までの通路には手すりを設置し、歩行を助けます。Mills / PIXTA(ピクスタ)歩ける状態であれば手すりにつかまって、ゆっくりと玄関まで進み、段差(框)に腰掛けて靴を履くことができます。近くにベンチがあると、そこに座って靴を履いたり、一息ついたりできる場となります。段差近くの手すりは、横ではなく縦に設置します。Graphs / PIXTA(ピクスタ)床と室内との上り下りや、座ったり立ったりするなど、人の動きが上下になるからです。■ 段差が高い時は「携帯スロープ」を利用して車椅子を移動問題は室内から車椅子を使用している場合です。室内と床との段差が高いときは携帯スロープを利用すると良いでしょう。チンク / PIXTA(ピクスタ)18cm程度の段差であれば、120cmほどの携帯スロープで昇降できます。ただし、玄関の広さは120cmにプラスして介助者と車椅子が動ける広さ(約1~1.5m)が必要となります。スロープで車椅子を使うときに注意したいのは、上りは前向き・下りは後ろ向きで通行するということ。逆にしてしまうと、座っている人が前に落ちる可能性があります。■ 玄関から道路へはスロープやワイドステップで玄関ドアの前のスペース(玄関ポーチ)は、ドアの開くスペースのほかに車椅子がとめられるスペースも確保しましょう。東北の山親父 / PIXTA(ピクスタ)ポーチから道路までスロープを設ける場合、車椅子が無理なく通れる角度と長さを考慮しなければなりません。玄関ポーチと道路との高低差は30cm以上という住宅が多く見られます。勾配1/12(120cm行って10cm上がる)とすれば、30cm上るためには360cmのスロープが必要になります。玄関から道路まで360cmのスロープを確保するのが難しい場合、スロープを住宅の壁面に沿うようにつくったり、「ワイドステップ」にしたりすると解決できることがあります。ワイドステップとは、10cm以下の段差を2、3個つけることで、一つひとつのステップ(階段でいうと足で踏む部分)が短くできる、省スペース型のスロープのことです。30cmの段差の場合でも、2つ段差をつけると1ステップは90cmほどの長さで済み、全長180cmのスロープにすることが可能です。■ 「段差解消機」や「階段昇降機」などの設備も活用できるより手っ取り早く段差を解消するのが「段差解消機」という設備です。ABC / PIXTA(ピクスタ)仮に玄関ポーチが100cmの高さであっても、エレベーターのように車椅子に乗ったまま昇降できるので、スロープをつくる必要はなくなります。また、屋外や室内で階段の上り下りのある住宅の場合、「階段昇降機」という製品もありますので、検討してみてはいかがでしょうか。taka / PIXTA(ピクスタ)これは階段に昇降機が走行するためのガイドレールを設置し、そのガイドレールに沿って椅子が動くという仕組みです。屋外用と室内用があり、費用は平均で50万~60万円。やや高額ですが、補助金が利用できるケースもありますので、考えてみてもいいかもしれません。介護の必要な高齢者が外出する場合、介護者はその対応で体力的にも精神的にも大きな負荷がかかります。障害物のない平坦な通路ならまだしも、階段があり、モノが置かれ、風雨にさらされたりする玄関まわりでは、高齢者とともに介助者の負担も軽減するルートづくりが大切であることを理解しておきましょう。
2018年11月26日こんにちは、車椅子ジャーナリストの徳永 啓太(とくなが けいた)です。ここでは私が車椅子を使用しているマイノリティの一人として、自分の体験談や価値観を踏まえた切り口から“多様性”について考えていこうと思っています。今回は、私の価値観と取材対象者さまの価値観を“掛け合わせる”、対談方式の連載「kakeru」の第4弾です。様々な身体や環境から独自の価値観を持ち人生を歩んできた方を取材し、Be inspired!で「日本の多様性」を受け入れるため何が必要で、何を認めないといけないかを探ります。今回は「みせる」です。2018年1月からこれまでに7回、カワイイモンスターカフェで開催された“生き様ナイト”と題したバーレスクショー。そこで小人バーレスクとしてパフォーマンスをするちびもえこさん。前例のない小人バーレスクとして、人前で“見せる”そして“魅せる”ことをなぜやろうと思ったのか。これまでの経験や考えを本人にうかがいながら、彼女の魅力について紹介したいと思います。スタイリストを目指して上京ちびもえこ:中学の頃からスタイリストになりたいと思っていて、高校はファッションコースのある学校を選びました。おしゃれに興味を持ち始めた頃、自分の丈に合った服がなかったり着たい服が着られないという現実を痛感し、この悔しさをどうやって昇華しようか考えたときに、世の中にある素敵な服や自分が着たいと思う服を自分以外の人に着せようと思ったのがきっかけです。そして18歳でバンタンデザイン研究所のスタイリスト科に入学しました。徳永:専門学校に進むことを選んだのはやはり、ファッションが好きだったからですか?ちびもえこ:好きでもあったけど中学のときに痛感した現実に対して見返したいという気持ちが強いかもしれません。ファッションも好きですが反発精神の方が強かったので職業にしたいと思いました。本当に好きなものに関しては受け身でいたいタイプですね。徳永:そうでしたか。スタイリストは裏方のお仕事ですよね。今みたいに人前へ出るようになったのはいつ頃からですか?ちびもえこ:2016年の夏ごろには本格的にスタイリストを目指していたけど、もしなることができなかったらどうしようと考えていました。 そのころ、今まで知ろうとしなかった、私と同じ境遇の方はどういうお仕事に就いているのだろうと想像を巡らすようになったんです。ネットで検索するとモデルやイラストレーターとして活躍されている後藤仁美さんのお名前が上がってきて、彼女が色々情報を発信していらしたので、そこで初めて同じ境遇の方について知りました。そこからNHKのバリコレ(バリアフリーコレクション)という身体障がい者をモデルとしたファッションショーがあることを知り、とりあえずやってみようと思い応募しました。それにモデルとして受かって表に出たのが一番最初です。その経験から小人をモデルとしたファッションショーをやっている海外のデザイナーさんからオファーがきたりしましたが、特に専門学校在学中はそれ以上表に立つことはなかったですね。徳永:なるほど、小人モデルという要素だけではなく、自分の身体と向き合ってできたパフォーマンスとが合わさって魅せれるようになったから今のもえこさんがあるということですね。レスリー・キーさんの撮影がなかったら今のもえこさんはなかったということですか?ちびもえこ:そうですね。バーレスクは考えたことなかったですね。今を思えば自分の身体と向き合ったきっかけでもあります。これまで向き合ってこなかったので。バーレスクのイベントは私が出演する前からカワイイモンスターカフェであって、「そこに出ないか」とお誘いを受けて2018年1月から出演しています。オファーを受けたときはさすがに全部脱がないだろうと思っていましたが、結果脱ぎましたね(笑)「小人バーレスク」という新たな表現徳永:8月10日に行われた「生き様ナイト」で、7回目のバーレスクショーになりましたね。僕は最初に見させてもらったときにとても衝撃を受けました。小人バーレスクを見たことがなかったのもありますが、もえこさんの脱ぎっぷり、バーレスクらしい妖艶な雰囲気を醸し出していたことがとても新鮮に見えました。ご自身としてはいかがですか?ちびもえこ:初めの頃はとにかく勉強でした。バーレスクの存在は知っていたけれど、これまで見たことがなく右も左もわからなかったし共演させていただくKUMI(くみ)さんとIG(あいじ)さんはプロのポールダンサーの方なので緊張もしました。KUMIさんから振り付けを一から教えていただいたり、衣装なども全てコスチュームデザイナーの方にお借りしたり、メイクも教えてもらったり、本当に周りの方のお力をお借りして立たせていただきました。また小人バーレスクを見にきてくださるお客さまの反応もわからなかったので、本番は教わったことを全力でやりきるのに徹していたんです。そうやって初回から3回目まではいわゆるバーレスクの王道の衣装だったり演出をやらせてもらいましたが、お客さまの反応も少しずつわかってきたところで私なりの表現ってなんだろうと考えるようになりました。その頃、もともと単独イベントではなかったこのイベントが単独イベントとして開催させていただけるようになり「生き様ナイト」として始まったのです。私の生き様とは、と考えるようにもなりましたし、そのタイミングで共演者のIGさんが「海外のテレビでバーレスクは少しの笑いが必要と言っていた」とおっしゃっていたんです。さらにその言葉を踏まえた上で、その頃バーレスク界の大先輩の方が定期的に開催しているイベントに呼んでもらって初めて自分の身内がいない空間でパフォーマンスする機会をいただき、リアルなお客さんの反応も感じました。そしてその時初めて生でプロのバーレスクダンサーさんのパフォーマンスを見させていただいたんです。本当に感動しました。何よりもお客さんが楽しそうでみんなが笑顔の空間でした。そんな様々な出来事が重なり価値観が変わり、自分のパフォーマンスでも取り入れようと思って、自分の身体を見て皆さんに笑ってもらえるような演出をしたこともありました。徳永:表舞台に立つことで誰かに影響を与えることが増えてきたと思います。今だからこそ聞きたいのですが、世間や同じ境遇の方に伝えたいことはありますか?ちびもえこ:小人に対する固定観念を覆したいですね。この身体で生まれたことをかわいそうと思われがちだと普段から感じています。私がバーレスクとして脱ぐことでこの身体を見て欲しいというよりは、この身体でしかできない表現があると思っていて。“かわいそう”ではなく“羨ましい”と感じてくれたらおもしろい世の中になりそうですよね。なので同じ境遇の方だけじゃなくて世間一般に向けて発信したいと思っています。徳永:今回私の意見だけでなく、パフォーマンスを見ていた観客や関係者の方にもえこさんについてコメントをいただきましたのでご紹介いたします。もえこさんの固定観念を覆したい気持ちが伝わっているようです。・もえちゃんの素晴らしいところは小人で生まれてきたことですね。それと彼女はすごくポジティブでいつもパワーをもらっています。・ショーに登場しただけで他にはないものをもうお持ちです。私はいわゆる一般の体型をしているから身体一つで魅せれるかと言われればできないので、もえちゃんの存在はずるいなと、もちろんいい意味で武器だなと思いますね。・回数を重ねていくことに色気が出てきて素敵です。友達を連れてきたことがあるのですが、もえちゃんの方がよっぽどバーレスクだと言っていました。もえちゃんの良さは初めてバーレスクを見る方でも楽しめると思います。・もえちゃんは「なんでこの身体なんだろう」じゃなくて「むしろこの身体を選んで生まれてきたのよ!」って気持ちで踊ってます。見た目は最初だけであとは中身なので今後ともよろしくね!Keita Tokunaga(徳永 啓太)Blog|Instagram脳性麻痺により電動アシスト車椅子を使用。主に日本のファッションブランドについて執筆。2017年にダイバーシティという言葉をきっかけに日本の多様性について実態はどのようになっているのか、多様な価値観とは何なのか自分の経験をふまえ執筆活動を開始。
2018年08月29日こんにちは、車椅子ジャーナリストの徳永 啓太(とくなが けいた)です。ここでは私が車椅子を使用しているマイノリティの一人として、自分の体験談や価値観を踏まえた切り口から“多様性”について考えていこうと思っています。そして、私の価値観と取材対象者さまの価値観を“掛け合わせる”、対談方式の連載「kakeru」第3弾です。様々な身体や環境から独自の価値観を持ち人生を歩んできた方を取材し、Be inspired!で「日本の多様性」を受け入れるため何が必要で、何を認めないといけないかを探ります。今回のテーマは「りかい」です。インタビューをしたのは、発達に障害がある方や自閉症の方を支援している笹本智哉(ささもと ともや)氏。彼は個人活動でSOCIAL WORKEEERZ (ソーシャルワーカーズ)というダンスチームを運営し、福祉施設を訪問してパフォーマンスしたり、自閉症啓発イベントなどに参加したりしています。徳永啓太(左)笹本智哉さん(右)▶徳永啓太のインタビュー記事はこちら今回私は6月9日に東海道新幹線内で起きた殺傷事件で「犯人は発達障害」と報道されて物議を醸した件について、彼に発達障害の当事者をサポートする者としての見解をうかがいたくインタビューをお願いしました。この機会に発達障害とはどのようなものなのか、正しい知識を理解し我々がどのように付き合っていけばいいのか、そして当事者が社会とつながるにはどうすればいいかを笹本氏の専門知識を交えながら、多くの方に「りかい」してもらいたいと思います。当事者と一緒に行動し、その場でサポートする仕事笹本:今回は、発達障害や自閉症の方について読者の方に理解してもらいたいと思い取材をお受けいたしました。東海道新幹線での殺傷事件の報道からは発達障害に対するメディアの偏見がみられたので、正しい知識を持ってほしいという思いがあります。事件を起こした容疑者を擁護するものでは決してありません。また今回被害に遭われた方、そしてそのご家族の方には大変心が痛い事件となってしまったことに対し、お悔やみ申し上げます。このような事件が再び起こらないことを心より願っております。徳永:このようなトピックでのインタビューとなりましたが、お受けくださり誠にありがとうございます。それでは笹本さんのされているお仕事の内容からうかがってもよろしいでしょうか。笹本:私は児童発達支援管理責任者という資格を持っていて、未就学(小学校の就学年齢に満たない児童)の発達障害児へ向けた「療育(りょういく)」の仕事をしてます。療育というのは、発達障害のある児童が日常生活で身に付けづらいコミュニケーションや運動機能、身辺自立*1に必要なスキルや学習を身につけるための支援(セラピー)です。例えば、絵の描き方・文字の書き方、「助けて」や「トイレに行きたい」などのサインの発し方、自分が何がしたいかという要求をうまく伝えるためのスキルを身に付けるのをサポートします。児童が集団で行動できるようなスキルを身につけ、友達と遊んだりする際のコミュニケーションがとれるよう、当事者と一緒に行動しその場でサポートしたり教えたりするのも支援の一つです。また児童発達支援管理責任者は、専門医から発達障害や自閉症と診断された児童やご家族、相談支援専門員、行政と一緒に考え、それぞれにあった支援の計画をたてる。それを親御さんと共有し、ご家庭でも実施してもらうよう促すことや、行政とのやりとりに必要な書類作成や発達障害の当事者が通う施設の運営・管理などをしています。(*1)洗面、着替え、歯磨き、食事、排泄などの身の回りの基本的な動作徳永:では発達障害や自閉症の方は、具体的に困ったときにどのような行動をとってしまうのでしょうか?笹本:わかりやすい例で言うとイレギュラーなことに対応できないということでしょうか。 例えば電車に興味がある子が運行時間を何時何分まで記憶していて、それが天候などの影響で時間が変わっただけでどうすればいいかわからずパニックになってしまうケース。 周囲の人の声や音をすべて拾ってしまい環境に適応できずパニックになってしまうケース。思ったことや見えたものを何でも口に出してしまうケースもあります。またそれとは反対に自分の要求をうまく言葉にできずストレスを抱え込んでしまう方もおられます。「発達障害、自閉症=犯罪を犯す」は根本的に誤った認識徳永:彼らの行動にはそれぞれ理由があるわけですね。知っていればなぜそのような行動をとっているのか理解できますが、知らないまま当事者を見かけると「変わった人」や「異常な人」ととらえてしまう。これが認識の差だと感じます。そこで今回取り上げたいのは「東海道新幹線で起きた殺傷事件にみるメディアのあり方」です。一部メディアが「犯人は発達障害」と報道し物議を醸しました。 メディア側も軽率な行動だったと謝罪をしていますが、こういった報道が流れるということは根本的に誤った認識をしている方がいるからだと思いました。当事者と接する仕事をしていて今回の報道をどうとらえていますか? 笹本:非常に安直だと思いますし、憤りを覚えます。少なくとも私が見てきたなかで発達に障害があるからといって殺人を犯すというのはありえません。以前は児童に限らず成人の方もサポートしていましたが、考えにくいです。そもそも前提として計画的に殺人を犯すという発想は私たちもしませんよね、それに発達に障害がある方は自ら計画的に何かをする行為が苦手な傾向にあるからです。もちろん私が知らないだけでなかには犯罪に興味を持ってしまう方もいるかもしれません。そのような偏った思想を持つ人は一般と同じで少数だと考えます。なので発達に障害があるからといって犯罪を犯すというイメージに直結するのはとても偏ったとらえ方で残念に思います。社会の「人間」に対する許容範囲が狭いことが生きづらさを生み出している笹本:「同じでなければいけない」という風潮は一般社会だけでなく、ヘルパーや就労支援など発達に障害がある方を支援をする現場でも感じることがあり、とても疑問に思っています。 例えば食事中は絶対に背筋をピンと伸ばさないといけないとか、日常生活の場でシャツは絶対ズボンの中にいれなきゃいけないとか。音楽イベントに来てるのに歌ったり踊ったりしたらヘルパーに注意されるとか。作業所で休み時間でも同僚に手を振ったら怒られるとか。当事者がちょっとでも要求を人に伝えたら怒るとか相手しないとか。そういった場面を目にしたことがあります。一般の方でも細かいことをすべてやれてるわけではないですし。それを当事者へ必要以上に求めている姿を見かけるととても残念な気持ちになります。私は当事者の主体性を引き出して生活をよりよくすることが支援だと思っているのですが、当事者を厳しく指導しているのは取り巻く関係者が恥をかきたくないからだと個人的に思っています。それは本当の意味で当事者支援にはならないのではないでしょうか。今回は大変難しい問題について答えてくれた笹本氏に感謝いたします。事件が起こった後に発達に障害がある方について取り上げるというのは不本意ではありますが、今回を機に発達に障害がある方や自閉症の方の正しい知識を持ってほしいという思いでおります。そんなインタビューのなかでも“社会が求める人間の能力の高さや人間像の理想が高い”という話題、そして“スタンプの版のように同じでなければ”というワードが印象的でした。私も「健常者」や「障害者」という言葉があるように、平均的なことができない人を分けたり、少し変わった考え方を持っている人に対して偏見を持つ傾向がある気がしていたからです。これでもっと社会が寛容になって、お互い認め合う余白ができればという課題が見つかり、連載のタイトルにも入っているワード「多様性」の根本を考える機会になったと思います。また最後に笹本氏がおっしゃっていた、もっと気軽に相談してほしいという点。日本は精神的に弱い方を受け入れようとしない風潮があり、そして当事者もカウンセリングを受けることに抵抗があると感じます。社会が多様性を認めようと動いているのであれば、こういったところも変えていく必要があるのではないでしょうか。最後に東海道新幹線での殺傷事件からメディアのあり方に疑問を持ったのでこの企画を提案いたしました。メディアや偏見についての異議申し立てであり、事件の容疑者を擁護するものでは決してありませんし、彼は完全に誤った行動をとったと思っております。私からも今回被害にあわれた方、そしてご家族の方にお悔やみ申し上げます。このような事件が起こらないことを心より願っております。Tomoya Sasamoto(笹本 智哉)Photo via SOCIAL WORKEEERZKeita Tokunaga(徳永 啓太)Blog|Instagram脳性麻痺により電動アシスト車椅子を使用。主に日本のファッションブランドについて執筆。2017年にダイバーシティという言葉をきっかけに日本の多様性について実態はどのようになっているのか、多様な価値観とは何なのか自分の経験をふまえ執筆活動を開始。
2018年07月11日初めまして、車椅子ジャーナリストの徳永 啓太(とくなが けいた)です。私が車椅子を使用しているマイノリティの一人として、自分の体験談や価値観を踏まえた切り口と、取材対象者さまの価値観を“掛け合わせる”対談方式の連載「kakeru」の第2弾です。ここでは様々な身体や環境から独自の価値観を持ち人生を歩んできた方を毎月取材し、「日本の多様性」を受け入れるため何が必要で、何を認めないといけないかを探ります。徳永 啓太▶徳永啓太のインタビュー記事はこちら今回のテーマは「ちがい」です。インタビューをしたのはプロダクトブランド「MUKU」を運営する松田文登(ふみと)さん、崇弥(たかや)さんの双子の兄弟。知的障がいのあるアーティストが描くアート作品をプロダクトに落とし込むことをコンセプトに、傘やネクタイと身近なものを老舗の職人とのコラボレーションにより展開し、社会と繋がることモットーにしている。今あるものとはちがう視点から、ちがう価値観を届けたいという彼ら。プロダクトや福祉、アートと様々な方面で活動する中で見えてきたこととは何か、そしてその「ちがい」にブランドとしてどうアプローチしているのかを探っていきます。左から文登さん、崇弥さんアートを超えるプロダクトを目指して徳永:まずはMUKUを始めるきっかけなどをお伺いしてもよろしいでしょうか?松田崇弥(以下、崇弥):知的障がいのある方のアート作品に興味を持ったきっかけは双子の上に自閉症の兄がいまして、 幼少期は週末など母親に連れられて福祉施設に通っている方たちとキャンプに行ったりした経験から、 小学校の卒業論文に「養護学校の先生になりたい」と書くぐらい福祉関係の仕事に興味がありました 。今は広告の仕事をしていますが、ある日母親から岩手県にある「るんびにい美術館*1」を紹介され 、主に知的障がいのある方のアートを展示している美術館があることを知りました。そこに展示してある作品のクオリティーの高さに驚き、これはちゃんとプロダクトに落とし込めば世の中に提供できると思いました。 このときの衝撃を双子で話し合い、MUKUをスタートすることに決めたのです。(*1)知的な障がい、精神的な障がいなどのあるアーティストの作品を多く展示する岩手県・花巻市にある美術館。館内のアトリエではアーティストたちが作品の制作を行っている徳永:MUKUの活動でお互いの役割分担はありますか?松田文登(以下、文登):僕が営業や施設の方とのお話をさせてもらっていて、 崇弥が企画や広告などを担当しています。 先ほど崇弥から知的障がいのある方のアート作品の活動についての話がありましたが、僕は日本の縫製工場が失われつつある現状を知り、職人仕事を盛り上げていきたいという気持ちがあるため、「知的障がいのある方のアート」と「職人仕事を盛り上げる」という二つを掲げてやっていきたいと思っています。徳永:MUKUとしてのブランドのこだわりを教えてください。文登:僕らは「アートを超えるプロダクトを作りたい」といつも話していて、 まずはじめに値段が高くなっても構わないので、最高品質のものを作ること、そして日本製品にすることを決めました。価格が上がるという面もありますが、「知的障がいのある方の中からアートを通じてヒーローを生み出す」ことをやりたいと思っていて、そのためには品質は徹底的にこだわりたいと思っています。現在お願いしている職人さんは山形に自社工房を構える創業明治38年の「銀座田屋」というネクタイを専門にしているところです。細い絹糸を使用していて、高密度かつ多色の織りが出来ることで、アート作品の細やかな表現が再現できプリントよりも上品な仕上がりが実現しています。また傘は日本橋にある洋傘一筋87年の小宮商店というところにお願いしています。蓋を開けてみるとどちらも自社以外の製品を作るのはMUKUとが初めてということで、職人さんは「技術をより多くの人に知ってもらう機会になった」と喜んでくださいました。Artwork by SASAKI SANAEアート作品では白色になっているものを、ネクタイでは銀色で表現することで高級感が出る仕上がりになっている徳永:絵のセレクトやアーティストとの契約はどのように行なっていますか?崇弥:MUKUには双子を合わせてメンバーが5人いるんですが、みんなで話し合って決めています。 我々のところに美術館や親御さんから直接情報をいただき、そこから素敵な作品を我々で選びご連絡させていただいて、契約を結ばせてもらっています。 また僕らは売上分ではなく、工場へ発注した段階でデザイン使用料として商品価格の一部をアーティストさんに渡す仕組みにしています。なので今後も製造した分に比例してアーティストさんへ貢献できます。徳永:なるほど!アーティストにしっかり使用料が渡る仕組みになっているわけですね。他にも知的障がいのある方のアートでプロダクト作りをしている企業はありますが、品質へのこだわりと若者に受け入れられやすいようなプロモーションをしていて、これまでにないものだと感じました。徳永:個人的にこういった施設に通っている方のアート作品を世の中に広める活動について思うことがあって、アーティストと紹介する前に“知的障がい”という言葉を説明に使うことが、ありかなしかという問題です。どんな人であれ、いいものはいいと判断したいのですが、僕は“知的障がい”という言葉をみると良くも悪くも偏った見方をしてしまうなと正直思っていまして、その言葉だけで物事に対する価値観が変わってしまうこともあるかなと思っています。崇弥:この活動を始めて約1年半になりますが、最初は“知的障がい”という言葉を使わなくていいんじゃないかと話をしていました。一方でその言葉を使わなくなると、ブランドとしてのアイデンティティがなくなっていることに気がつきました。 色々話し合い悩んだ末、最終的には“知的障がい”という言葉を使うことにしました。 文登:ある日るんびにい美術館のアートディレクターをされている板垣さんと話をする機会があり、 “知的障がい”という言葉をつけるかつけないかついて悩んでいたことを打ち明けました、板垣さんからは「出すも出さないも、最終的に出た答えでいいのでは」というご意見をいただきました。しかし正直なところ、まだすっきりとした答えが出ていないと思っています。理想は、MUKUの情報を知らずにアーティストの作品を見てかっこいいと思ってくださった方が、後から知的障がいのある方の作品だと知るというサイクルに持っていけたらいいなと思っています。 崇弥:この件に関しては、常に僕たちも考えていてそのサイクルができたら一番嬉しいのですが、今の段階だとその導線を作るのは難しいとも感じています。 例えばトークショーに呼ばれる機会も増えてきたのですが、知的障がいのある方と一緒に活動していることの話について聞かれることが多く、作品にあまり触れられてないなと感じる時があります。僕らは世の中によく思われたいからやっているわけではなくて、彼らのアートの価値が正しくつけられるように持っていきたくて活動していると思っているので、世間が期待していることと僕らの考え方に差があり、それに違和感を覚えています。 徳永:最近知的障がいのある方のアート作品が注目される機会が多くあると思いますが、「知的障がいのある方=アーティスト」というわけではないと思います。もちろん中にはとても優れた才能を持っている方もおられますが、そういった方ばかりではないですよね。そうした方の作品をすくい取るというか、プロダクトに落とし込む受け皿のような活動をデザインを通じてできたらいいなと前々から思っていて、MUKUさんは今後そういった活動の役割として重要な位置になると思いました。崇弥:そうですね。僕たちが使用許可も含めて交渉できるアーティストの作品は現在1000作ほどですが、 毎年MUKUとして世の中に発表できているのは10数作という現状があり、とてももったいなさを感じています。今後はいろんな企業や行政、クリエイターと彼らの作品をプロダクトに落とし込めないか企画、提案をしていきたいなと思っています。インタビューの中でも少し触れていますが、そもそもアーティストであることに“障がい”のあるなしは関係ないはずなのに、“知的障がいのある方のアート作品”と言葉で括って取材することは野暮だと思っていました。それは「いいものはいい」と判断したいのに、知的障がいという言葉を使った説明が私の判断を鈍らせているためでもあります。また福祉関連に関わることは、色々な方が色々な解釈をされる分野でもあり、とてもセンシティブな問題がつきまとうと思っていて、どのような話題にするか正直迷いました。しかしお話しすることが決まったとき、私が疑問に思っている事柄についてどのように考えているのか、あえて深く掘り下げてみようと考え質問を投げかけました。それに対してMUKUのお二人は知的障がいという言葉の扱い方から、福祉事業でしっかりビジネスを試みていることまで難しい問題に快く答えてくれました。特に「売って儲けることでアーティストへ貢献したい」と筋の通ったお答えにはとても感心いたしました。何事にも継続が必要で、そのためには資金が必要です。なのでビジネスをすることは、とてもまっとうな考えだと思います。MUKUさんのように、アートとプロダクトを通じて価値観を整理するような活動を今後とも期待したいです。MUKUWebsite|Facebook|Twitter|Instagram“ちがう視界から、ちがう世界を描き出す”をテーマに、強烈なアイデンティティをもつアーティストが描くアート作品をプロダクトに落とし込み、社会に提案するブランド。クリエイティビティを徹底的にブランディングすることで、社会に新しい価値の提案を目指す。2016年六本木アートナイト、国立新美術館の展示会、伊藤忠青山アートスクエアの企画展、代官山蔦屋書店のフェアへの参加、100個のプロジェクトがうごめく実験区100BANCHへの参画など、福祉の枠を越えた精力的な活動を行う。▶︎これまでの徳永啓太の「kakeru」・#001 乳がんを患ってから起業。病気にかかると行動に制限をかける人が多いなか、“新しい肩書き”を手にした女性▶︎オススメ記事・障害者という“レッテル”はやめよう。アートキュレーターが語る「言葉に左右されない審美眼」の重要性・使わなくなった毛皮製品を仕立て直す男が、いくら“社会にいいこと”でも「押し付けでは意味がない」と考える理由Portrait photos by Anne Yano (Website|Instagram)Other images via MUKUText by Keita TokunagaーBe inspired!
2018年05月08日作家の乙武洋匡氏が7日、自身のツイッターを更新。脊髄損傷による両下肢麻痺で、今後は車椅子での生活になると公表したアイドルグループ・仮面女子の猪狩ともかにエールを送った。乙武洋匡氏自身も車椅子生活を送っている乙武氏。ツイッターで「盲目のお笑い芸人がR1グランプリで優勝する時代。『車椅子アイドル』がいたっていいですよね」とコメントし、「面識はありませんが、応援させていただきます!」とメッセージを送った。猪狩は4月11日、都内で強風によって倒れた看板の下敷きになる事故に遭い、緊急手術を受けて入院していたが、グループの公式ツイッターで7日、「『脊髄損傷による両下肢麻痺』となり、自分の力で脚を動かす事が困難で今後は車椅子での生活となります。退院後は仮面女子として活動を続け、これを事務所も支えていきます」と発表された。
2018年05月07日アイドルグループ・仮面女子の猪狩ともかが、脊髄損傷による両下肢麻痺で、今後は車椅子での生活になることが、グループの公式ツイッターで報告された。また、猪狩本人も、自身の公式ブログで報告した。猪狩は4月11日に都内で、強風で倒れた看板の下敷きになるという事故に遭い、緊急手術。その後、ICU(集中治療室)、HCU(高度治療室)を経て、一般病棟に入院中だという。公式ツイッターでは「『脊髄損傷による両下肢麻痺』となり、自分の力で脚を動かす事が困難で今後は車椅子での生活となります」と病状を説明し、「退院後は仮面女子として活動を続け、これを事務所も支えていきます。これからも猪狩ともかを宜しくお願いします」と伝えた。猪狩も同日、自身のブログを更新し、「主に負った怪我は、・瞼裂傷・頭部挫創・骨折(脚、肋骨、胸椎、腰椎)そして、・脊髄損傷その影響で両下肢麻痺。私は歩くことはもちろん、自分の力で脚を動かすことすらできなくなってしまいました。治る可能性は極めて低く、今後、車椅子での生活を余儀なくされました」と詳しく説明。「体調・怪我は徐々に良くなり、今は自立した車椅子生活を送れるよう毎日リハビリに励んでいます。退院は今から約3ヶ月後の予定です」と記した。そして、「ずっと心配してくださっている皆さんにまずは早く『私、大丈夫だよ!』って言いたくてもどかしい日々が続きました。でも私自身、状況を把握・受け入れるのに相当な時間が掛かりました」と葛藤を明かし、「自分自身が受け入れることに時間がかかったこと、ファンの皆さんに何とお伝えしたらいいか分からなかったこと、そんなことを考えていると、なかなか文章にまとめることができず、ご報告が遅くなってしまいました。ごめんなさい」と発表を決意するまでの思いをつづった。また、「“歌って踊らなくなる時 = 卒業”としか考えたことがなかった私は、踊れない猪狩ともかを想像することができなくて。そんな状態の私に需要はあるのか。いったい何ができるのか」「絶望しました」と悩むも、「不思議と“仮面女子としての活動を辞める”という考えに至ったことは1度もありませんでした」とのこと。 「そう思わせてくれたのは支えてくれる周りの全ての人でした」とし、家族や友人、スタッフ、メンバー、ファンへの感謝をつづった。「私は生きています。このことだけは何にも代えることのできない神様からのプレゼントだと思っています。その分試練も与えられたけど、きっと越えられない試練は与えないはず」と猪狩。「これからどんなことがあっても、向日葵のように上を向いて楽しくて幸せな人生を歩んでいく。そして毎日を丁寧に大切に生きていきたい」とつづり、「私は前を向いています。もう心配しないでね。これからも猪狩ともかを見守ってください。そして一緒に歩んでいければ嬉しいです。この先もずっと、よろしくお願いします」とメッセージを送った。
2018年05月07日初めまして、車椅子ジャーナリストの徳永 啓太(とくなが けいた)です。ここでは私が車椅子を使用しているマイノリティの一人として、自分の体験談や価値観を踏まえた切り口から”多様性”について考えていこうと思っています。そして、私の価値観と取材対象者さまの価値観を“掛け合わせる”、対談方式の連載「kakeru」をスタートします。様々な身体や環境から独自の価値観を持ち人生を歩んできた方を毎月取材し、Be inspired!で「日本の多様性」を受け入れるため何が必要で、何を認めないといけないかを探ります。徳永 啓太今回は「はじめる」をテーマに活躍されている方の背景や、なぜ始めたのか熱い想いを伺ってみたいと思います。インタビューしたのは2017年に起業をした中島 ナオさん。彼女は学芸大で美術教育・デザインを学び、会社員として働いていましたが、2014年に乳がんを患っていることが発覚。がんの治療を行いながらも環境を変えるため学芸大大学院に進みます。再び学び、デザイン教育の研究を進めていた際、身体と向き合う事で生まれたヘッドウェア「N HEAD WEAR」を開発。その鮮やかで他にはないデザインによりメディアから注目を浴びます。現に私もそのヘッドウェアが彼女を知るきっかけになりました。その後、彼女が起業し、新しいことを”はじめる”決意をした理由とは。左:徳永 啓太右:中島 ナオさん▶徳永啓太日本の「多様性」に疑問符をつける。“健常者であることが良しとされる国”を車椅子で生きていて感じること“暗い”や“辛い”というがん患者のイメージを払拭する女性インタビューするまで考えることの無かった「がん」について自分の事のように情報を集めてみることからはじめました。そこで感じたことは、日頃から将来起こりうる病や怪我、事故などに関心を持ち、意識しながら生活をしていないという事でした。例えば、風邪を引かないとその予防策について調べないし、怪我をしないとその症状について関心を持ちません。予想をしていないからこそ、その分自分に大きな病にかかったとき「まさか自分が」と大きなショックを受けます。 特に「がん」はその一つ。重い症状と今のメディアの影響により、がん患者と聞くと“暗い”や“辛い”というイメージを持ってしまいます。実際私もそうでした、彼女に会うまでは。N HEAD WEARを被る中島 ナオさん中島ナオ(以下、ナオ):これ自分で作ったんです。いまあるアイテムに被り続けたいものがなくて。そしたら見知らぬおば様に”いいわね、素敵ね”って声をかけて頂いて嬉しくて。 今回、私は中島さんの病について知りたいと思いがんの質問ばかり用意していたが、それは不毛なことであるという事に後々気付かされます。そしてこちらからお願いしたインタビューにもかかわらず、最初に質問したのは彼女からでした。積極的で明るい姿勢に、また私の凝り固まったイメージを更新してくれました。彼女は私が持っていたイメージを払拭するかのように明るくキラキラしていました。 ナオ:徳永さんは車椅子に乗っていますが、身体的に病が進行するってことはありますか? 徳永 啓太(以下、徳永):私は脳性麻痺という障害名で体が動きにくく、力が弱かったり細かい動作ができなかったりしますが進行性ではないです。強いていうなら老化でしょうか。それは一般の方と同じだと思います。沢山ある情報のなかで見えてくる「白」か「黒」ナオ:私がブログで発信を始めたのは、がんになっても大丈夫と言える社会を実現させたいと思ったからです。それは医学的にも社会的にも今は実現できてないと思います。それを変えたくて。というのもまだまだがんになったら生活の中で手放すことの方が多い、職業だったり私生活などでも諦めている人が多いと感じるからです。私がやっていきたいことは”白”と”黒”と二極化された情報だけでなく、その間グレーの中で生活する上でもっと希望が持てる情報を届けたいと思ってます。そういった考えに至るまでは個人的にSNSで顔を出すことすら好まないタイプでした。▶ナオさんがグレーについて綴ったブログ『輝くグレーの世界もあるんだよ!』はこちら。 徳永:SNSで顔を出さない人だったなんて想像つきませんでした。変わった転機はあるのでしょうか。 ナオ:1年半前(2016年)に転移してステージ4(がんが他の臓器に転移し手術が難しい状態)になり状況が変わったことですね。治療とずっと向き合っていかないといけない状況です。この先どこまで続くかわからない、現状を変えるしかないと、丁度この時期に具体的な行動を始めていきました。リアルと向き合ってできるデザイン「N HEAD WEAR 」徳永:がんになってからデザイナーになって、そして起業したんですよね。 ナオ:そうです!以前、会社員としてデザインの仕事をしていた時期もありますが、その後は教育関係の仕事をしていましたし、具体的にデザイナーとして歩み始めたのは病気になってからです。というのもやはり希望を感じるものを作りたくて、確かに無理していくことはないけれども、何かを失っても、諦めなくてもすむ側面はあると思っています。だからあえていっぱい始めてみようと思って。始めた事はヘッドウェア以外にもいっぱいあります。 徳永:実は今日インタビュアーとして、ナオさんから普通聞きづらいような事を聞くのが私の役目だと思っていました。でもそうではなくで、生活の事情を踏まえたうえで解決できるデザインを提供したいんだなと思いました。私でいうと例えば車椅子で生活する上で排泄の事情や、街中で困る情報を提供する事で読んだ方が関心を持ったり共感してもらったりする事で広めていく。それに価値があると思っているんですが、ナオさんは別の角度から発信していきたいんだなと感じました。 ナオ:ヘッドウェアもそうですが、問題に対して今あるものと違う路線で形にしていきたいですね。以前は洋服でさえ買うのをためらった時期もありました。それはこの先どうなるかわからないからいつまで着られるかわからないんです。そう言った背景を持つ私がこれからもいろんな事を始めて発信する事で、同じ境遇の方が希望を持ってくれたらいいなと思ってます。ヘッドウェアも私が一点一点作るというよりは他の企業や専門性を持つデザイナーさんと繋がって発信できたら広がるんじゃないかと思っていますし、その他構想している事を形にするべく起業する事にしました。自分で作っていくのに限界がある事も理由としてありますが、私はやりたいことを、いろんな方と一緒に叶えていきたいと思っていて、社会と接点を持つことが大きな希望につながるとも考えています。 徳永:ナオさんの場合やれる事って沢山あるって事ですよね。ヘッドウェアはその一つであって職業に縛られているわけではないからいろんな分野で活躍できることが強みですね。 ナオ:活躍していきたいですね!ガンになった時、何者でもなかったからこそ、行動し続けられているのかもしれません。起業し、関わってくださる方が増えてきている今、大きな可能性を感じています。中島ナオ氏も参加する徳田祐司個展『Another Eye』開催期間:2018年3月2日~28日場所:CLEAR EDITION & GALLERY企業ブランディング、商品企画、広告コミュニケーションなど、広範囲のプロジェクトを手掛け、国内外60以上のデザインアワードを受賞してきた徳田祐司の個展が2018年3月2日(金)より、六本木CLEAR EDITION & GALLERYで開催される。徳田は自身が代表を務めるデザインエージェンシー株式会社canariaのビジョンのひとつに「Design makes a Positive Way.」を掲げているが、今回の個展『Another Eye』にも同様の想いが込められている。詳しくはこちら。▶︎オススメ記事・「政府の対応を待っていたら、みんな死んじゃう」。“ときに危険を伴う呼吸の二面性”を芸術で発信する女性・54杯目:「セックスのこと、教えて」。担当医も教えてくれない、病気や障害を持つ人の“性教育”を話す場を作る若者 #ChronicSex|「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会All photos by Keisuke MitsumotoText by Keita TokunagaーBe inspired!
2018年03月08日アイドルグループ・嵐の櫻井翔が、来年正月放送のフジテレビ系スペシャルドラマ『君に捧げるエンブレム』で主演を務めることが8日、明らかになった。車椅子バスケ選手としてパラリンピックを目指すという、実在するモデルのいる役柄に挑む。櫻井が演じるのは、日本A代表にも選ばれた天才サッカー選手・鷹匠和也。婚約者との新居も構え、順風満帆の生活を送っていたが、結婚式の衣装合わせを控えたある日、交通事故にあい、一生を車椅子で過ごすことになった。サッカーに代わるものを見つけられず、先の見えない人生を送っていたが、車椅子バスケに出会い、新たな挑戦に打ち込むことになる。今回、2年ぶりのドラマ出演となる櫻井は、久々の芝居に緊張するというが、別番組で障がい者スポーツを取材した経験もあることから「内容をお伺いして、本当に光栄だと思いました」と感想。車椅子バスケのプレーは「めちゃくちゃ難しいんです」といい、「まずはそれをきちんとしたレベルまで持って行かなくては、ということですね。正直、ちょっと不安…、まずいなぁと思っています(笑)」と本音を吐露する。また、今作では、車椅子バスケの迫力と人間ドラマが見どころになるといい、「骨太な力強い作品になると思いますので、年明け早々大きな希望の光をお伝えできたらいいなと思っております」と抱負を語っている。フジテレビの増本淳プロデューサーは、今作を「この物語は5年前から取材を進めてきた悲願のドラマ」と明かし、櫻井を「国民的スターでありながら親しみやすく、そして茶目っ気と真面目さが同居する稀有(けう)な役者」と表現。「主人公がアスリートとして純粋にかっこいい、そしてそれを支える最愛の人や、家族がこれまた抜群にかっこいい、そんな風に思ってもらえるドラマを目指します」と話している。
2016年09月08日こんにちは。医療カウンセラーのyoshiです。車椅子は体に合ったものを選んだ方が良いことは確かなのですが、実際にどのような基準があるのかを知らなければなかなか選ぶことはできません(リハビリ職や専門家が指導をしてくれる場合もあります)。体に合った車椅子の選び方があります。●体に合う車椅子の基準車椅子を利用するときに着目しておくと良い点は下記になります。・シートの幅、奥行き・アームサポート(手すり)・フットサポート・バックサポート(背もたれの部分)シートの幅は、臀部に5cmほどを加えた幅にしておくと良いです。奥行きに関しては、しっかりとシートに座った際に、膝裏とシートの先端が5cmほど空くような状態がベストです。アームサポートの高さは、高すぎると自走しにくくなってしまい、低すぎると肩に負担がかかってしまいます。アームサポートは、肘を90度曲げた状態 でゆったり乗せられるような高さにしておくと良いです。フットサポートは、足を乗せたときに大腿がシートから大きく離れてしまうような状態では高すぎます。かといって、シートにべったりと大腿がついてしまうような状態では低すぎです。シートの高さとの関係もありますが、大腿が軽くシートに乗るくらいの高さがベストでしょう。意外と意識されにくいのが、バックサポートです。バックサポートは、低すぎると体の安定感がなくなってしまい、高すぎると窮屈な車椅子になってしまいます。また、腕の動きを大きく制限してしまうこともあります。バックサポートは肩甲骨から少し下ほどの高さにしておき、腕の自由度を大きくできるようにしておくと良いです。体の状態、障害の状態によって基準は変わってきますが、基本的には上記の通りになります。車椅子を長期的に使う人の場合、慎重になりすぎるくらい精密に、高さや幅を気にしておくことをおすすめします。そうすれば、より使いやすい車椅子にしていくことができるでしょう。【参考文献】・『福祉住環境コーディネーター検定試験テキスト』東京商工会議所・編集●ライター/yoshi
2016年03月16日こんにちは。医療カウンセラーのyoshiです。車椅子を自宅で利用していく場合、問題になってくるのがスペースです。車椅子が十分に利用できるスペースの確保がされていないと、 車椅子での移動、生活というのは非常に不便になり、事故の原因になってしまうこともあります。日本の建物は、言ってしまえば、車椅子を利用していく際には不便な作りになっていることが多く、なかなかスムーズに車椅子を導入していくことができない場合も珍しくありません。特にトイレが問題になってきてしまうことが多いです。トイレというのは、車椅子からの移乗動作が必要になる点もあり、自力、介助ともにそれなりのリスクを伴ってくることになります。転倒などを起こしてしまうと、固い便器、床なども相まって大きなケガにつながってしまうことも少なくありません 。●車椅子を利用していく際の“1,800”という数字車椅子を利用していくときの、トイレのスペースとしては“1,820mm×1,820mm(壁芯から壁芯の長さ)”のスペースが必要 とされています。※壁芯というのは、壁の中心部(芯の部分)からの距離を示しています。壁の厚さを考慮して、このくらいの広さが必要ということを示しています(室内の広さとは若干意味合いが異なってくることに注意が必要です)。壁の厚さを考慮しない、室内の広さで見ていくと、1,650mm×1,650mmということになります。この広さが車椅子を利用していく際の、理想的なトイレの広さになると言えます。正方形の広さを確保できない場合でも、間口、奥行きのどちらかの長さが、1,800mm(壁芯から壁芯の長さ)を超えておく必要があるとされています。もともとこのくらい広くトイレが作られているということはあまり考えられないでしょう。そのため住宅改修が必要になる場合が多くなります 。どのようなイメージになるのかいまいち掴んでいくことができないという場合、公共施設などにある多目的トイレを一度見ていくと良いです。公共施設になるため、当然上記で挙げた数値より広くなっている可能性もありますが、イメージは掴んでいけると思います。【参考リンク】・自宅をバリアフリーに改造するには | 住まいの宝箱(上村建設株式会社)()●ライター/yoshi
2016年03月13日こんにちは。医療カウンセラーのyoshiです。車椅子というと、どのようなことをイメージするでしょうか。足が不自由な人が利用する道具というイメージが強いかもしれません。大きく間違っていることはありませんが、 車椅子はリハビリの段階で利用をすることもあれば、車椅子を利用したスポーツなどもあります。そのため、車椅子は決して不自由な人が利用をするためだけの道具ということではなく、日常生活を楽にする、自分の可能性を広げていくための道具 ということになります。車椅子の種類はスポーツ用品などのものまで含めると非常に多彩になりますが、ここでは介護という要素から車椅子を見ていきます。そうすると、大きく分けて、手動車椅子と電動車椅子になります。●手動車椅子の特徴手動車椅子は、ハンドリムという部分を利用することで、自力での移動が可能になったり、押し車のようになることで支援者が簡単に使えたりする車椅子です。特徴としては、比較的扱いが簡単であり、コストもそれほど大きくならないことになります。リクライニングができたり、解除に特化したりなど、手動車椅子の中にも多彩な種類があります。●電動車椅子の特徴電動車椅子は、手元にあるレバーを利用することで操作をしたり、ハンドルのようなもので操作をしたりする車椅子になります。操作自体は非常に簡単で力も要らないのですが、その分高価になってしまったり、適切に利用をしないと筋力低下などの原因 になってしまったりすることもあります。座面が昇降する自動式の車椅子などもあり、電動車椅子にもさまざまな種類があります。----------車椅子は、そのままの状態で使うことは少ない道具です。個人の状態に合わせて改良していく必要がある道具と言えるでしょう。そのため、万人が利用できる車椅子よりも個人用の車椅子を用意していくべきです。特に車椅子を長時間利用する人は、個別化を意識したほうがいいでしょう。【参考リンク】・生活環境に合わせた電動車いすの重要性 | 日本障害者リハビリテーション協会()●ライター/yoshi
2016年03月10日映画『マンゴーと赤い車椅子』の完成披露試写会が16日、都内で開催され、秋元才加、三田佳子、仲倉重郎監督が登壇した。本作は、事故による脊髄損傷で歩けなくなってしまった彩夏(秋元才加)の奮闘と再生の物語。秋元は、主人公・彩夏の葛藤や勇気を車椅子姿で体現した。彩夏と交流する車椅子の青年で、バンドのボーカリスト・翔太役を演じるのは、EXILEのパフォーマー、NAOTO。認知症の症状が出始めた祖母役に三田佳子が扮した。監督は、映画『きつね』(1983年)を手掛け、脚本家としても活躍する仲倉重郎で、自身の突然、車椅子人生となった体験を織り込み、本作のメガホンをとった。秋元は「車椅子を乗りこなすという技術的な問題も難しかったけど、それ以上に、いろんな葛藤や思いがあり、成長していく彩夏(役柄)をどう演じていくかってことが難しくて。監督からアドバイスをいただきながら、一生懸命演じさせていただきました。素晴らしい共演者の方々と演じさせていただき、本当にありがたかったです」と力強く語った。祖母役の三田について、秋元は「三田さんが入ってきた時、『おばあちゃんだ!』と本当に思えました。私も三田さんのように相手を引き込むような女優になりたいです」とリスペクト。三田は「うれしい。どうもありがとう」と笑顔で言った後「監督から『あんまり老けなくていいから。今の80歳は若いから』と言われてたんです。でも、若く見えちゃうと、どうしても地を隠せない、なりきってないと言われるのがすごく嫌だなと思って、90歳くらいのつもりでやったら、監督から文句が出ました」とおちゃめな笑顔を見せた。仲倉監督は、30数年温めていた映画が完成して感無量の様子。秋元について「なるほど、こういう彩夏っているんだと、新鮮な気持ちで見ていました。秋元さん、セリフがすっかり入っていて、現場に台本をもってこなかったので、セリフは直せなかったです(苦笑)。また、三田さんは、もっと若くても良いなあと思って見ていました」と笑いながら語った。また、三田が秋元について「異国情緒がある、顔に凹凸があって、すごく良いでしょ。こういう映像向きの人がどんどん新しい役をしていったら、良い女優さんになるんじゃないかと。また、現場ですごく勝ち気だなと思ったの。監督にくってかかっていたから。でも、そういう役だったからね。見込みがあるなと思いました」と彼女を称えた。秋元は「その時期、自分では気付かなかったんですが、すごく強かったみたいで」と恐縮。三田は「私も『極道の妻』をやった時、そうだったの。役に成り切っていたのよ」とうなずいた。『マンゴーと赤い車椅子』は2月7日(土)より公開。
2015年01月17日『レ・ミゼラブル』のエディ・レッドメインが、若くして難病を患った“車椅子の天才物理学者”として知られるスティーヴン・ホーキング博士に扮し、彼を支えた妻・ジェーンとの純愛を描く映画『The Theory of Everything』の邦題が、『博士と彼女のセオリー』に決定。併せて、本作初となる場面ビジュアルも到着した。学生の頃から物理学者として将来を嘱望されていたケンブリッジ大学院に在籍するスティーヴン・ホーキング(エディ・レッドメイン)は、詩を学ぶジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と出会い、恋に落ちる。しかしその直後、スティーヴンは筋萎縮性側索硬化症、いわゆるALSという難病を発症してしまう。ジェーンは余命2年という宣告を受けた彼のそばで、共に病いと闘うと心に決めるが…。ニュートンやアインシュタインと並ぶ天才と称されるほどのホーキング博士は、理論物理学者の立場から宇宙の起源の解明に挑み、現代宇宙論に多大なる影響を及ぼした。その彼の半生を描いた本作は、博士の妻であるジェーン・ホーキングの著書「Travelling to Infinity:My life with Stephen」を映画化。天才科学者が難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し余命2年と告げられながらも、最先端の研究や、講演・執筆活動に精力的に取り組み、偉業を成し遂げた陰では、ひとりの女性の支えがあった。今回到着した、恋に落ちたふたりが微笑みあう姿を写した画像からも分かるように、本作では、あまり語られることのなかった彼らの真実の純愛にスポットを当てている。監督は『マン・オン・ワイヤー』でビルの谷間を綱渡りするという“今世紀最大の犯罪芸術”と呼ばれた大道芸にカメラを向けたドキュメンタリー作品で知られるジェームズ・マーシュ。ホーキング博士の研究テーマと人生の節々をシンクロさせた演出が、よりふたりの心情を深く表現させている。ホーキング博士を体当たりで演じるのは、『レ・ミゼラブル』で自由主義者の青年マリウスを好演したエディ・レッドメインだ。徐々に筋肉が衰え、自由が利かなくなるALSの症状を段階的にリアルに再現する役作りには、アカデミー賞「主演男優賞」最有力候補との呼び声も高い。また、妻・ジェーン役に『アメイジング・スパイダーマン2』に出演を果たしたフェリシティ・ジョーンズ。余命宣告される彼との愛を選び、献身的な妻を見事に演じ切っている。アカデミー賞前哨戦となるサテライト賞では、「作品賞」「主演男優/女優賞」「脚色賞」「撮影賞」と、5部門にノミネートされている本作。希望を捨てず、苦悩や困難を共に乗り越えようとした夫婦の愛情あふれるヒューマン・ラブストーリーに、また世界中が涙することになるかもしれない。『博士と彼女のセオリー』は2015年3月より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年12月05日アールオーエヌが運営する老犬用品専門通販サイト「ペットベリー」は11日、事故や加齢により歩行困難となった犬の移動を介助する車椅子型老犬歩行介助機器「わんだふるウォーカー」を発売する。同社によれば、現在も同様の機能を備えた商品は国内に少数流通しているものの、犬の高齢化の進行速度に比べて普及はかなり遅れている現状にある。同社はこの商品の普及を促進するため、日本の福祉政策にある介助用具の購入助成金がもたらす効果に着目、助成価格として既製品の同サイズ価格帯より、平均して約3万円程度安価な2万9,800円~6万9,800円(税別・予価)に設定した。さらに個体別の体形・歩行困難度に合わせて一台一台受注生産することにしたという。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月08日いつもおしゃれなファッションアイテムを届けてくれるフェアトレード・ブランド「ピープル・ツリー」で、ケニアの子どもたちに車椅子を届けるキャンペーンがスタートした。ケニアの生産者団体「ボンボルル・ワークショップ」のアクセサリー100個につき、車椅子1台が届けられる。 「ボンボルル・ワークショップ」のアクセサリーは、ひとつひとつ職人の手によって丁寧に作られたアイテム。秋冬のコレクションは、イヤリングやネックレス、ブレスレットなど、ゴールドに輝く真鍮(しんちゅう)がとても美しく、地味になりがちな秋冬のファッションを華やかに彩ってくれそうだ。しかし、ケニアの生産現場は、今、とても苦しい状況に置かれている。「ボンボルル・ワークショップ」は、国自体が貧しいケニアで、さらに厳しい状況にある体が不自由な人たちの暮らしを支えるため、障害を持つ人にアクセサリー作りや革細工のトレーニングをし、現在100名ほどを雇用している。しかし、世界的な不景気の波を受けて海外からの注文が減り、売上が大きく落ち込んでいるのだ。「ボンボルル・ワークショップ」と15年以上パートナーの関係にある「ピープル・ツリー」は、このキャンペーンで三輪の車椅子を作るための寄付を行い、障害を持つ子どもたちが自分の意志で移動できるようになること、さらには、車椅子の生産も行う「ボンボルル・ワークショップ」の新たな雇用を生み出すことを目指している。(C) People Tree / Miki Alcalde本キャンペーンは、新作以外にも「ボンボルル・ワークショップ」のすべての商品が対象となる。ピープル・ツリー直営店、全国の取扱店の他、カタログ通販やオンライン・ショップでも販売中だ。アクセサリーを買うことが、遠く離れたケニアの子どもたちの支援になるのなら。秋冬のおしゃれに、「ボンボルル・ワークショップ」のアクセサリーを選んでみてはいかが?◆キャンペーン概要期間:2011年8月25日~12月31日対象商品:ボンボルル・ワークショップによるアクセサリー対象店舗:ピープル・ツリー直営店(自由が丘、モザイク銀座阪急)、カタログ通販、オンライン・ショップ、モバイル・ショップ、全国のピープル・ツリーお取扱店舗(一部店舗のぞく)取材/池田美砂子
2011年09月13日