公開初日を迎えた映画『散歩する侵略者』の舞台あいさつが9日、東京・新宿ピカデリーで行われ、長澤まさみ、松田龍平、長谷川博己、高杉真宙、恒松祐里、黒沢清監督が出席した。公開初日を迎えたこの日は、主演の長澤らキャスト陣と黒沢監督が勢揃いして舞台あいさつ。劇中では常に怒っている主人公の加瀬鳴海役を演じた長澤は「ずっと怒ってましたね(笑)。怒るという感情の中に、鳴海のすべてが注ぎ込まれていたので、人間らしい役を演じられて勉強になりました」と新たな役柄を演じて刺激を受けた様子。そんな長澤について黒沢監督は「『こんな風に』とお願いすると、普通は『はい!』とか『嫌だ』とか言われるんですけど、長澤さんは『あっ、はい』と言うんです。虚無的な顔をされて、それがうれしいやら困ったやら。でも必ずやってくれる頼もしい女優さんでした」と褒めると、長澤は「『あっ』と『はい』の間に多分考えているんですよ。はっきりしているんだかしてないんだかという感じですね(笑)」と苦笑した。松田や高杉と同じく、劇中で侵略者を演じた女子高生役の恒松は、本作で初めてのアクションシーンに挑戦。ロケの前には2カ月間アクションの練習をしたそうで、その成果もあって本番では共演したアンジャッシュの児嶋一哉に蹴りを入れるなど、ド派手なアクションを披露した。「児嶋さんは意外と身長が高くてそこに一発で首を蹴るのが難しかったですね」と身長差に苦労した様子だったが、「一発で決まった?」という質問には「はい! 練習の成果があって一発で決まりました。今回の女の子は普通より力が強いので、みんながバンバンやられて気持ちよかったです(笑)」と笑顔を見せた。劇作家・前川知大率いる劇団イキウメの人気舞台『散歩する侵略者』を黒沢清監督が映画化した本作。 数日間の行方不明の後、夫が"侵略者"に乗っ取られて帰ってくる、という大胆なアイディアをもと、日常が異変に巻き込まれていく世界を描く。夫の異変に戸惑いながらも夫婦の再生のために奔走する主人公の加瀬鳴海を長澤まさみ、侵略者に乗っ取られた夫の加瀬真治を松田龍平、一家惨殺事件の取材中に侵略者と出会うジャーナリストの桜井を長谷川博己が演じたほか、恒松祐里が女子高生の立花あきら役を熱演している。
2017年09月09日●映画の社会的な面に反応があった『トウキョウソナタ』で第61回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞したほか、何度もカンヌ映画祭に作品が正式出品されている黒沢清監督。最新作である『散歩する侵略者』もまた、カンヌ映画祭で世界に発信されることとなった。誰もが名前を知りながら、実態についてはあまり知られていないカンヌ映画祭だが、映画監督にとっては「嬉しさと不安」が半々の特殊な場だという。『散歩する侵略者』は、劇団「イキウメ」の同名舞台を実写映画化した作品だ。ある日、自分の夫(松田龍平)が”侵略者”となって帰ってきた妻(長澤まさみ)や、”侵略者”と出会ってしまったジャーナリスト(長谷川博己)が、自分の立場を選択しながら物語が動いていく。人間から概念を奪うという独特な設定を持ったこの侵略サスペンスは、カンヌでどのように捉えられたのだろうか。○カンヌの反応は?――第70回カンヌ国際映画祭 「ある視点」部門に正式出品された『散歩する侵略者』ですが、現地での反応はいかがでしたか?みなさん真剣にご覧になっていたようですね。楽しい娯楽映画的な要素もふんだんに入れて作っているつもりではありますけど、こういう内容ですから、作品の訴えている社会的な面を真剣にとらえようとされている感じでした。――日本の反応とは違いそうでしょうか?キャスティングが豪華なので、日本だと次々と有名な方が出てくることに目に奪われるかもしれないですね。内容的には日本の方が見ても複雑で考えさせられる要素があると思うんですが、きらびやかな感じがするので、娯楽映画として素直に受け取ってくれるのかなという気がします。――何度もカンヌ国際映画祭に参加されている黒沢監督ですが、カンヌには身が引き締まる感覚などありますか?他の映画祭と比べて特殊と言いますか……ただお祭りのようにみんなが映画を楽しみにしてくれているだけじゃない、厳しい目があります。みんなが批評家ですから「ダメなものはダメと言ってやる」「どこか弱点を見つけて攻撃してやる」という緊張感が映画祭全体に漂っています。世界の批評の目にさらされるのは、何度行っても複雑な感じですよね、作っている方としては。呼んでおいてひどいこと言うのか! と(笑)。――嬉しいと同時に不安というような……。半々ですね(笑)。嬉しいは嬉しいんですけど、何を言われるんだろうという不安もあります。誰からも非難されないような無難な作品は逆に、最初から選ばれないんですけどね。ある種の社会性を持っている作品や、従来の作り方と違った作り方をしている作品は、同時に攻撃の対象にもなるから、怖いですよ。カンヌはギリギリのところでどちらに転ぶか、判定が難しい作品を好んで出してくるので、うまくいけば全く新しい映画が出たと言われることになります。そういう意味では刺激的な映画祭ですね。●「ダメなものはダメと言う」緊張感○映画表現の醍醐味を――現地ではっとした意見はありましたか?取材でもやはり、カリカチュアライズされているとはいえ「現代の日本はこういう状況にあるのか」という質問は多く受けました。みんながあまり何も言えず、でもある種の危機が迫っていて、どう訴えていいかわからない危機的状況にあるのか、というようなことです。――今回は侵略者が人間の「概念を奪う」という独特なシーンが出てきます。この表現にいたるまで難しそうだなと思ったのですが、いかがでしたか。難しかったです。とても秀逸なアイディアだと思ったんですが、舞台上では「この作品ならではのルールなんだな」と成立しているものが、映画では現実的に何が起こっているのか、実際の家の中や街角で表さなければならない。いろいろ考えたんですけど、概念とは何かってわかんないですね(笑)。科学的には説明しないことにしました。ただ、重要な概念を奪われると、人はなぜかスッキリして解放されるというふうにしました。それがこの映画のルールだとなるべく早めに理解してもらえれば嬉しいです。「概念、もらった」と言われると、へなへなとなって涙が出ちゃった、そして自分の中が変わっている……という。――演劇のお客さんはルールを飲み込むことに慣れているけど、映画だとまたもう少し観ている人の感じ方が違うかもしれないですよね。そこは実写映画という表現独特のリアリティで、舞台やアニメとも違うところですよね。舞台だと日本人が外国の作品をやってもOKですから、羨ましいですよ。映画で日本人が金髪のカツラつけて日本語をしゃべって、外国人という設定だったら、誰一人真面目に見ないですよね。わかっていても、「それは嘘でしょ」と指摘されてしまう。現実じゃないとわかっていながら、常に現実と見比べながら受け取られてしまう。でもその分うまくやると、記憶の中で本当に現実に起こったんじゃないかという錯覚も起こせるんです。それが映画作りの醍醐味で、空から攻撃が来るシーンをうまく撮れば、本当にそんな攻撃が起こったように、その瞬間は迫真の表現として伝えられる。それが映画ならではの表現だと思います。(C)2017『散歩する侵略者』製作委員会
2017年09月08日黒沢清監督が、劇作家・前川知大率いる劇団「イキウメ」の同名人気舞台を映画化し、第70回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品され、世界中から注目を集めた『散歩する侵略者』。この度、本作にジャーナリスト・桜井役で出演する長谷川博己の新たな場面写真をシネマカフェが独占入手した。数日間の行方不明の後、夫が「侵略者」に乗っ取られて帰ってくるという大胆なアイディアをもとに展開していく本作。そんな本作で長谷川さんが演じているのは、ある町で起こった一家惨殺事件を追うアウトローなジャーナリスト。彼のもとに現れた地球を侵略しに来たという謎の少年・天野(高杉真宙)に“ガイド”を依頼され、もう一人の侵略者・立花あきら(恒松祐里)が加わり、人間と侵略者の奇妙な旅がスタート。最初は彼らの言動に戸惑うも、彼らと行動を共にするに連れて次第に心境の変化が…。突然、地球侵略を宣言する侵略者に、半信半疑ながらも向き合う桜井は、観客の心の代弁者とも言うべきキャラクターだ。今回到着したのは、サングラスをかける“渋カッコいい”姿と、秘密裏に事件を追う桜井のジャーナリズムを感じる姿を写したビジュアル。桜井らしさの溢れるこのサングラスは、実は長谷川さんが自前で用意した私物!8月に行われた完成披露上映会の舞台挨拶では、「(サングラスは)買ったばかりなのに壮絶なアクションシーンでぼろぼろになってしまいました」と残念そうに撮影エピソードを明かしていた。役作りを積極的に黒沢監督に提案し、“桜井”という人物を構築していったと言う長谷川さん。特に桜井をイメージした“べらんめえ口調”のような独特の喋り口調は、黒沢監督が長谷川さん本人の癖だと勘違いするほどだったそう。また黒沢監督は、「こういう人がいてくれるから映画はいろんな表現が可能だと思える、素晴らしい俳優」と長谷川さんを絶賛している。『散歩する侵略者』は9月9日(土)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:散歩する侵略者 2017年9月9日より全国にて公開(C) 2017『散歩する侵略者』製作委員会
2017年09月01日黒沢清監督のもと、松田龍平、長澤まさみ、長谷川博己ら豪華キャストで映画化される『散歩する侵略者』。このほど、本作のスピンオフドラマとなる「予兆散歩する侵略者」がWOWOWにて放送&メンバーズオンデマンド先行配信されることが決定。夏帆、染谷将太、東出昌大らが参加することになった。山際悦子(夏帆)は、同僚の浅川みゆき(岸井ゆきの)から、「家に幽霊がいる」と告白される。みゆきの自宅には実の父親がいるだけだった。みゆきの精神状態を心配した悦子は、夫・辰雄(染谷将太)の勤める病院の心療内科へみゆきを連れていく。診察の結果、みゆきは「家族」という“概念”が欠落していることが分かる。帰宅した悦子は、辰雄に病院で紹介された新任の外科医・真壁司郎(東出昌大)に違和感を抱いたことを話すが、辰雄からは素っ気ない返事のみ。やがて、常に真壁と行動をともにする辰雄が精神的に追い詰められていく様子に、悦子は得体の知れない不安を抱くようになる。ある日、悦子は病院で辰雄と一緒にいた真壁から「地球を侵略しに来た」と告げられる。冗談とも本気ともつかない告白に、悦子は自分の身の周りで次々に起こる異変に、真壁が関与しているのではないかと疑い始め…。9月9日(土)より公開される映画『散歩する侵略者』は、劇作家・前川知大率いる劇団「イキウメ」の人気舞台を、国内外で常に注目を集める黒沢監督が映画化。数日間の行方不明の後、夫(松田龍平)が「侵略者」に乗っ取られて帰ってくる、という大胆なアイデアをもとに、誰も見たことがない新たなエンターテインメントを作り上げ、第70回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品されたことも記憶に新しい。今回は、映画のアナザーストーリーを新たな設定、キャストでスピンオフドラマとして製作。映画版とは一味違った、新たな侵略サスペンスが誕生した。監督を務めるのは、映画版と同じ黒沢監督。WOWOWのドラマを手掛けるのは、2012年に放送された小泉今日子主演の連続ドラマW「贖罪」以来5年ぶりとなる。また、脚本を黒沢監督とともに担当するのは、映画『リング』シリーズで世界にJホラーブームを巻き起こした高橋洋。監督とタッグを組むのは、1998年公開の映画『蛇の道』以来。そんな強力タッグが作り出す恐怖と驚愕の世界に、夏帆さん、染谷さん、東出さんら、人気・実力を兼ね備えた豪華キャストが集結。夏帆さんは、「悦子という、揺るぎのない強さを持つ女性をどうやって演じたらいいのか、自分の未熟さに葛藤する日々でした。それでも心から尊敬する方たちと共に、ずっと憧れていた黒沢監督の世界に身を置くことができて、夢のような素晴らしい時間を過ごすことができました」とふり返っている。加えて、「宇宙人に地球を侵略される、一見突飛なお話ですが、人間という生き物を、滑稽でおもしろく、そして美しく描いた作品だと思います」と期待を込めてコメント。また、「久々の黒沢組に胸踊らせながら、素敵な時間を過ごさせていただきました」という染谷さん。「過激に、そして静かに、侵略される日々をおくり、毎日の景色が変わっていく。そんな日々を黒沢監督のもと夏帆さん、東出さんと共有できたことを感謝しています」とコメントを寄せ、「日常が侵略されたとき、何が残るのか、この作品を目撃するのが自分もとても楽しみです」と語る。『クリーピー 偽りの隣人』に続いて黒沢組に参加し、映画とはまた役柄に挑む東出さんは、「敬愛する黒沢監督のもと、高橋洋さんの素敵で怖い台本でお芝居出来ることが、嬉しくてたまりませんでした。染谷さんとは久しぶりの共演になりましたが、また現場をご一緒出来て、心から嬉しく、力になりました。いろいろな感慨もある中、視聴者の方々がご覧になったことのないような、新しいワクワクするものになればと、撮影をしてきました。是非、楽しみに待っていてください」とメッセージを贈る。さらに黒沢監督は、「映画版をサポートするためにささやかに企画されたものでしたが、主演3人の神がかった熱演もあって、予想外に獰猛な作品に仕上がりました」と激白。「本篇が進行するすぐとなりでこんなことが起こっていようとは誰が想像できたでしょう」と語っている。夏帆さんについては「何が起こっても迷いなく一瞬にして行動を開始するその様は、日本人離れしていて観客の目をくぎ付けにするでしょう」と太鼓判。染谷さんに対しても「白でも黒でもないグレーゾーンを、これほど的確に演じることのできる若手俳優はほかにいない」と明言、「もはや成熟を通り越して老獪の域に達しています」と絶賛を贈る。さらに東出さんについても、「これほど妖艶な演技を見せてくれるとは思ってもいませんでした。何かが彼の上に舞い降りたのか、それともしたたかな計算か、わからないところが魅力です」と力を込めて語っている。「もうすぐ世界が終わるとしたらどうする?」。映画『散歩する侵略者』から生まれた、新たな物語からも目が離せなくなりそうだ。「予兆 散歩する侵略者」は9月7日(木)0時~ WOWOWメンバーズオンデマンドにて先行配信開始、9月18日(月・祝)より毎週月曜0時~WOWOWプライムにて放送開始(全5話※第1話無料放送)。『散歩する侵略者』は9月9日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年07月09日長澤まさみ、松田龍平、長谷川博己、さらに高杉真宙が出演する黒沢清監督の最新作『散歩する侵略者』。本作に、先のNHK大河ドラマ「真田丸」で話題を呼び、今後も話題作が多数控える恒松祐里の出演が決定。黒沢監督からも絶賛のコメントが到着した。数日間の行方不明の後、不仲だった夫がまるで別人のようになって帰ってきた。急に穏やかで優しくなった夫に戸惑う加瀬鳴海(長澤まさみ)。夫・加瀬真治(松田龍平)は毎日散歩に出かけて行く。同じころ、町では一家惨殺事件が発生し、奇妙な現象が頻発する。ジャーナリストの桜井(長谷川博己)は取材中に1人、ある事実に気づく。やがて町は急速に不穏な世界へと姿を変え、事態は思わぬ方向に。「地球を侵略しに来た」と、真治から衝撃の告白を受ける鳴海。混乱に巻き込まれていく桜井。当たり前の日常がある日突然、様相を変える…。本作は、国内外で圧倒的な支持を集める黒沢監督が、気鋭の劇作家・前川知大率いる「劇団イキウメ」の人気舞台を長澤さん、松田さん、長谷川さんら日本映画界を代表する豪華キャスト陣で映画化。そこに今回、加わることになった恒松さんは、NHK連続テレビ小説「まれ」、映画『くちびるに歌を』などで注目を浴び、「真田丸」で主人公・真田信繁(堺雅人)の娘すえを好演して話題に。今年は公開中の『ハルチカ』、間もなく3月25日からは『サクラダリセット』の公開が控える、ネクストブレイクの1人として注目の逸材だ。演じるのは、外見はどこにでもいるあどけない普通の女子高生、しかし、その正体は“侵略者”という立花あきら役だ。恒松さんは、10年以上のバレエで培った身体能力を発揮し、本格アクションシーンに初挑戦。クランクイン前からハードなトレーニングを重ね、撮影現場ではすさまじい殺陣アクションを披露。想像を超える恒松さんの身体能力に、スタッフ・キャスト一同が感嘆するひと幕もあったという。また、アクションだけでなく、微妙な表情や芝居を求められる“侵略者”という難役を軽々と演じてみせる彼女に、黒沢監督も「末恐ろしい女優」とその才能を絶賛。どこか狂気を感じさせながら、楽しげに男たちを叩きのめすという“笑顔×狂気×ハードアクション”のニューヒロインを演じる恒松さんに、期待していて。■恒松祐里立花あきらは、外見は女子高生で中身や考え方は“侵略者”という設定なので、電車の中などで人間観察をしながら、「人間ってこういうものなのかな」って面白がる感覚があきらっぽいのではないか、と思って役作りをしました。一番苦労したのはアクションシーンですが、どう見せたらかっこいいか、というだけではなく、黒沢監督から「“人間ってこういう感じなんだ、へえー”みたいな感じのアクションで」と言われ、そういうあきらの「度を超えた」無邪気な好奇心を表現しながらアクションをするというのが、とても難しかったです。■黒沢清監督まだ若いのに、もう芸歴10年以上になるんでしょうか。まったく躊躇せず、この難役をスラスラと演じていました。しかも、そこにいるだけでパッと華がある。大女優の素質があるんでしょう。将来が楽しみです。『散歩する侵略者』は9月9日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年03月21日女優の恒松祐里(18)が、黒沢清監督がメガホンを取る映画『散歩する侵略者』(9月9日公開)に出演することが21日、明らかになった。これまで長澤まさみ(29)、松田龍平(33)、長谷川博己(40)らの出演が発表されていた。1998年10月9日生まれの恒松。子役時代から数えると芸歴は10年以上になるが、近年では大河ドラマ『真田丸』(16年)で真田信繁の娘・すえ役をはじめ、NHK連続テレビ小説『まれ』(15年)、映画『くちびるに歌を』(15年)、『俺物語!!』(15年)、『ハルチカ』(17年)、『サクラダリセット』(前編:17年3月25日公開 後編:17年5月13日公開)など話題作への出演が続く。フジテレビ系『痛快TV スカッとジャパン』では「胸キュンスカッと」の常連だ。そんな恒松にとって新境地ともいえるのが本作。外見はあどけない普通の女子高生だが、中身は「侵略者」という役どころだ。肉体を駆使して追跡してくる者たちをなぎ倒し、スイッチが入ると誰も止められなくなる暴走キャラ。10年以上のバレエ経験を生かし、本格的なアクションシーンに挑んだ。恒松は今回の役柄について、「立花あきらは、外見は女子高生で中身や考え方は『侵略者』という設定なので、電車の中などで人間観察をしながら、『人間ってこういうものなのかな』って面白がる感覚があきらっぽいのではないか、と思って役作りをしました」と説明。「一番苦労したのはアクションシーンですが、どう見せたらかっこいいか、というだけではなく、黒沢監督から『"人間ってこういう感じなんだ、へえー"みたいな感じのアクションで』と言われ、そういうあきらの『度を超えた』無邪気な好奇心を表現しながらアクションをするというのがとても難しかったです」と撮影を振り返る。一方の黒沢監督は「末恐ろしい女優」と絶賛。「まだ若いのに、もう芸歴十年以上になるんでしょうか。まったく躊躇せず、この難役をスラスラと演じていました。しかも、そこにいるだけでパッと華がある」とその魅力を語り、「大女優の素質があるんでしょう。将来が楽しみです」と今後のさらなる成長にも期待を寄せている。
2017年03月21日長澤まさみ、松田龍平、長谷川博己といった日本映画界を代表する豪華キャストを迎え、黒沢清監督が劇作家・前川知大率いる「劇団イキウメ」の人気舞台を映画化する『散歩する侵略者』。このほど、本作の追加キャストに、『PとJK』『ReLIFE リライフ』『逆光の頃』『トリガール!』など話題作が続々と控える若手人気俳優、高杉真宙の出演が決定した。数日間の行方不明の後、不仲だった夫・加瀬真治(松田龍平)がまるで別人のようになって帰ってきた。急に穏やかで優しくなった夫に戸惑う加瀬鳴海(長澤まさみ)。夫は毎日散歩に出かけて行く。いったい、彼は何をしているのか?同じころ、町では一家惨殺事件が発生し、奇妙な現象が頻発する。ジャーナリストの桜井(長谷川博己)は取材中に、ある事実に気づく。やがて、町は急速に不穏な世界へと姿を変え、事態は思わぬ方向へ――。「地球を侵略しに来た」と真治から衝撃の告白を受ける鳴海。混乱に巻き込まれていく桜井。当たり前の日常がある日突然、様相を変える。些細な出来事が、想像もしない展開へ。彼らが見たものとは、そしてたどり着く結末とは?『岸辺の旅』でカンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞し、米アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーの会員にもなった黒沢監督が、サスペンス、アクション、コメディ、そしてラブストーリーと、ひとつのジャンルには収まらない新たなエンターテインメントに挑戦する本作。この度、夫婦役を演じる長澤さん&松田さん、ジャーナリスト・桜井役の長谷川さんという豪華キャストに加え、高杉さんが参戦。演じるのは、長谷川さん演じる桜井が一家惨殺事件の取材先で出会う謎の若者・天野役。2人が出会い、行動を共にすることで物語は思わぬ方向へと進展していくキーパーソンとなる。この天野は実は、松田さん演じる“侵略者”に乗っ取られた男・真治の仲間である、第2の“侵略者”。かつてない複雑なキャラクターにして物語の牽引役を、高杉さんは黒沢監督の演出のもとでのびやかに熱演、長谷川さんとの共演シーンでも、一歩も引けを取らない圧倒的存在感を見せている。今年、新成人となった高杉さんが、明るく、さわやかな少年のイメージから一転、新境地を開拓したといえる本作。高杉さんは、「黒沢監督とご一緒できること、また長澤まさみさん、松田龍平さん、長谷川博己さんと演技者として尊敬する先輩の方々とご一緒できる…と、本当に嬉しかったです」と、その喜びを口にする。「(演じる)天野は“侵略者”ですが、見た目は僕のまま…普通の人間なので、どうしたらそれが観る方に伝わるのか、どこまで伝えるべきなのか…というのが難しかったです」と語り、「意外と人間らしいと言いますか、信念もあり、演じていて惹かれていくキャラクターでした」と説明する。共演シーンが多かった長谷川さんについては、「長谷川さんはひたすらカッコいい方。大人の落ち着きがあって、おしゃれで…。僕はまだ映画にそこまで詳しくないので『長谷川さんに教えていただきたいなぁ』と思ってお聞きしたら、お薦めの作品をたくさん教えてくださいました。とてもわかりやすく教えていただき、自分もいろいろな経験を積んで、長谷川さんのように周囲の人に教えてあげられるような男性になりたいなと憧れますね」と明かしてくれた。そんな高杉さんを、黒沢監督は「ほれぼれする美しい顔だちとスリムな体型をしてらっしゃるのですが、それに似合わず、正真正銘の演技派俳優なので驚きました」と絶賛、「現場ではいつも泥臭いほど真剣に、この難しい役どころに取り組んでいて頼もしかったです」とコメントを寄せている。「どんな役も演じられる、十年後、二十年後が楽しみな俳優」と黒沢監督も認める高杉さん。今年、本作でさらなる話題を呼ぶことになりそうだ。『散歩する侵略者』は9月、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年01月28日映画『散歩する侵略者』が2017年9月9日(土)に公開される。本作は黒沢清監督が、劇作家・前川知大率いる劇団イキウメの舞台「散歩する侵略者」を映画化したもの。数日間の行方不明の後、夫が「侵略者」に乗っ取られて帰ってくるという大胆なストーリーだ。突然、別人のようになって帰ってきた夫に「地球を侵略しに来た」と告白され翻弄される妻・加瀬鳴海には長澤まさみ、侵略者に体を乗っ取られた男であり、加瀬鳴海の夫・真治役には、松田龍平が抜擢された。両者は今回が初共演にして、初の夫婦役となる。さらに「侵略者」と行動を共にすることになるジャーナリスト・桜井役には映画『シン・ゴジラ』で名演を見せた長谷川博己。正義感溢れる内閣官房副長官から一転、クールさと熱さを併せ持つ、人間臭いアウトローなジャーナリストという真逆の役どころとなる。そのほか、鳴海の妹役に前田敦子、『無限の住人』『忍びの国』など話題作への出演が続く満島真之介、TBS連続ドラマ「あなたのことはそれほど」で“怪演”ぶりをみせた東出昌大らの出演も決定。日本映画界の「今」を象徴するオールスターキャストが集結する。■ストーリー数日間の行方不明の後、不仲だった夫がまるで別人のようになって帰ってきた。急に穏やかで優しくなった夫に戸惑う加瀬鳴海(長澤まさみ)。夫・加瀬真治(松田龍平)は毎日散歩に出かけて行く。一体何をしているのか...? 同じ頃、町では一家惨殺事件が発生し、奇妙な現象が頻発する。ジャーナリストの桜井(長谷川博己)は取材中に一人、ある事実に気づく。やがて町は急速に不穏な世界へと姿を変え、事態は思わぬ方向へと動く。「地球を侵略しに来た」—真治から衝撃の告白を受ける鳴海。混乱に巻き込まれていく桜井。当たり前の日常がある日突然、様相を変える。些細な出来事が、想像もしない展開へ。彼らが見たものとは、そしてたどり着く結末とは?【作品詳細】映画『散歩する侵略者』公開日:2017年9月9日(土)全国ロードーショー監督:黒沢清出演:長澤まさみ、松田龍平、長谷川博己、前田敦子、高杉真宙、恒松祐里、満島真之介、東出昌大、小泉今日子ほか原作:前川知大「散歩する侵略者」配給:松竹 日活©2017『散歩する侵略者』製作委員会
2016年12月09日今年、米アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーの会員となった黒沢清監督のもと、長澤まさみ、松田龍平、長谷川博己といった実力派俳優が初共演を果たし、前川知大率いる「劇団イキウメ」の人気舞台「散歩する侵略者」を映画化することが決定した。数日間の行方不明の後、不仲だった夫・加瀬真治(松田龍平)がまるで別人のようになって帰ってきた。急に穏やかで優しくなった夫に戸惑う加瀬鳴海(長澤まさみ)。その夫は毎日散歩に出かけて行く。いったい何をしているのか…?同じころ、町では一家惨殺事件が発生し、奇妙な現象が頻発。ジャーナリストの桜井(長谷川博己)は取材中に1人、ある事実に気づく。やがて、町は急速に不穏な世界へと姿を変え、事態は思わぬ方向へ。「地球を侵略しに来た」――真治から衝撃の告白を受ける鳴海。混乱に巻き込まれていく桜井。当たり前の日常がある日突然、様相を変えたとき、彼らが見たものとは?そして、たどり着く結末とは…?NHK大河ドラマ「真田丸」や映画『アイアムアヒーロー』への挑戦、『君の名は。』への声の出演など、幅広い活躍を見せる長澤さんが、脚本を読み、出演を熱望したという本作。演じるのは、突然、別人のようになって帰ってきた夫に「地球を侵略しに来た」と告白され翻弄される主人公・加瀬鳴海。難役でありながら、女性が憧れる強い女性像を体現する。また、長澤さんと初共演にして、初の夫婦役を演じるのは、『モヒカン故郷へ帰る』『ぼくのおじさん』から異色時代劇『殿、利息でござる!』などでも、抜群の存在感と演技力で見せた松田さん。「彼以外には考えられなかった」という黒沢監督や製作陣からの熱烈なオファーに応え、“侵略者に体を乗っ取られた男”という前代未聞の役柄を絶妙なリアリティをもって演じている。そして、町で発生する一家惨殺事件を追ううちに“侵略者”と行動をともにすることになるジャーナリスト・桜井役には、大ヒット作『シン・ゴジラ』での名演も記憶に新しい長谷川博己。正義感あふれる内閣官房副長官から一転、クールさと熱さを併せ持つ人間臭いアウトローなジャーナリストという真逆の役どころで、新たな魅力を見せている。彼ら3人とも、黒沢監督とは念願の初顔合わせ。『岸辺の旅』でカンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞し、海外進出作『ダゲレオタイプの女』も注目を集めた黒沢監督が次に選んだのは、神木隆之介×門脇麦で映画化もされた「太陽」など、数多くの人気作品で知られる劇作家・前川知大率いる「劇団イキウメ」の代表作。同舞台は、2005年に初演、2007年、2011年と再演を重ね、初演後には前川氏自身の手により小説化され、雑誌「ダ・ヴィンチ」にて連載、単行本化もされている。この舞台のアイデアに感銘を受けた黒沢監督は、長年の構想期間を経て、サスペンス、アクション、コメディ、そして究極のラブストーリーと、既成のジャンルには収まりきらない、規格外の映画として重奏的に構築。ずっと仕事をしたかった人たちをキャスティングしたという豪華出演陣を迎え、まだ未発表ながら、さらなる主役級の俳優陣が多数出演することになるという。想像を超えた事態に直面し、立ち向かう夫婦の喜怒哀楽を息のあったコンビネーションで見せる長澤さん、松田さん。そして、“侵略者”に絡んでいく長谷川さんが見せる“化学反応”に、いまから期待していて。<以下、コメント>■長澤まさみ出演オファーをいただいたときは、私でいいのかなと思うほど本当に嬉しかったです。普遍的な日常の中で、気づかないうちに静かに何かが動き出している…というような、現実味のあるフィクションが好きなので、脚本はのめり込んで一気に読みました。女性として、鳴海の気持ちに共感しながら、真治のことを家族として大切に思えるようにしようと思って演じました。真治役の松田龍平さんは、そんな思いを常に受け止めてくれて、とても助けられました。黒沢監督は、細かく丁寧にお芝居をつけてくださるのですが、怒ってばかりの役だったので、いい意味で、こんなに大変でつらい現場は久しぶりだなと思いました。毎日ふらふらになりました。作品の中で描かれているようなことが、現実の世界でも起こっているかもしれないというドキドキを、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。■松田龍平脚本を読んだ段階では、「侵略者」に体を乗っ取られた男という真治の設定が想像しきれなくて、逆に何もこだわらずに撮影に臨みました。黒沢清監督と初めてご一緒できることも嬉しかったですが、黒沢監督にヒントをもらいながら、役を埋めていきました。「侵略者」がやってくる、というシンプルでわかりやすい話なのに、いろんな視点で楽しむことができるのがこの作品の魅力だと思います。鳴海と真治という、壊れかけた夫婦の関係性、真治が鳴海の心を取り戻していく話でもありますし、一方で「侵略」のあり方を描いていく話でもある。自分の身の回りのことに置き換えて観られると思います。笑える要素もあるし、アクション映画か?というような部分もあるし、自分が出演していないところでも楽しみなシーンがたくさんあります。さまざまな面白さのある、幅の広い映画になるのではないかと思います。■長谷川博己黒沢清監督作品に出演できたことをとてもうれしく思います。「侵略者」と行動をともにしていくジャーナリスト桜井役です。黒沢監督の作品は多く拝見していますが、撮影前に「(監督の)いままでの作品のことはすべて忘れてください」と仰っておられました。何か新しいことに挑戦されようとする監督の意思に心躍りました。ラブストーリーでもあれば、男同士の友情を描くノワール映画的な要素もあります。ジャンルを飛び越えた、すごい映画になるんじゃないかと楽しみにしています。■原作:前川知大そもそも自分は黒沢清監督の映画が大好きで、かなりの影響を受けています。その僕が演劇として生み出したこの物語を、映画にするのが黒沢監督というのは僕的に最高の巡り合わせでした。そこに集まった俳優陣も素晴らしく、もう期待しかありません。ある夫婦の話でありながら、世界に対する侵略者の話でもあります。映画ならではのスケール感で描かれることに興奮しています。■監督:黒沢清「イキウメ」の舞台では、決まって世界は二重三重にかさなり合っている。その絶妙な配置をどうやって映画化するか、最初それは至難のワザに思えた。私を含めてスタッフたちはみな試行錯誤しながら、現実世界の中に様々なこちら側とあちら側の境界線を用意した。それが正解なのかどうか、やってみるまで誰にもわからなかった。しかし俳優たちは誰一人ちゅうちょせず、いとも軽々その境界線を越えてくれた。時に笑いを誘いながら。こうして今まで多分誰も見たことのない、まったく新しい娯楽映画ができあがったように思う。『散歩する侵略者』は2017年9月16日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年12月06日デンマークのテキスタイルブランド・クヴァドラ(Kvadrat)が、16年4月にミラノサローネで発表した、デザイナー皆川 明によるテキスタイルコレクション「Akira Minagawa for Kvadrat」及び、インスタレーション「FOREST COMES HOME.」を10月26日から11月7日まで、東京・南青山にあるクヴァドラショールームにて特別展示する。クヴァドラは、多くのインテリアブランドや世界の美術館、ホテルなどが家具の張り地やカーテン、ラグ等で採用しているテキスタイルブランドであり、これまでに様々な分野で活躍するデザイナーたちとテキスタイルを開発してきた。16年4月のミラノサローネでは、「ミナ ペルホネン」のデザイナーとしてよく知られる皆川明とコラボレーションしている。同展では、皆川明の手掛ける繊細かつ深みのあるテキスタイルを展示。「FOREST COMES HOME.」=“森が家にやってくる”と名付けられたインスタレーションは、自然と暮らしの共存をテーマにはかない夢のような展示となっている。【イベント情報】「Akira Minagawa for Kvadrat in Tokyo」会場:Kvadratショールーム住所:東京都港区南青山3-4-6 AOYAMA 364 #103会期:10月26日~11月7日時間:9:00~18:00
2016年10月22日オール外国人キャスト、全編フランス語で撮りあげた黒沢清監督初の海外進出作品となる最新作『ダゲレオタイプの女』。この度、本作の公開を記念し、9月3日(土)に黒沢清監督×浅野忠信のトークイベントが開催された。黒沢監督と言えば、浅野さん主演『岸辺の旅』で2015年カンヌ国際映画祭ある視点部門監督賞受賞、本年度のベルリン国際映画祭『クリーピー 偽りの隣人』正式出品、また今年6月には米アカデミー会員にも選出されるなど、世界で高い評価を受けている。本作では、世界最古の写真撮影方法“ダゲレオタイプ”を軸に、芸術と愛情を混同した写真家の父の犠牲になる娘と、“撮影”を目撃しながらも娘に心を奪われていく男の美しくも儚い愛と悲劇の物語を描き出している。一方浅野さんは、これまで第56回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された黒沢監督の『アカルイミライ』、そして国内外の賞で数々の賞を受賞した『岸辺の旅』で主演。確かな演技力で日本国内にとどまらず、『マイティ・ソー』でハリウッドデビューを果たすと、『バトルシップ』『47RONIN』など数々の海外作品に出演し、国際派俳優の地位を確立している。また、本年のカンヌでも最新主演作『淵に立つ』が「ある視点部門」で審査員賞を受賞している。そんな日本を飛び出し、世界で活躍するクリエイター同士の稀有なトークイベントが今回実現。事前予約制だった本イベントは、予約開始から瞬く間に定員に達し、当日も2人の姿が一目見たいと集まった方々で超満員。さらには立ち見の人が現れる中でのイベントとなった。まず、お互いの新作『ダゲレオタイプの女』『淵に立つ』についてトークが繰り広げられる。浅野さんは「映画の撮影でも、ときにとんでもなく動いちゃいけない状態があるんです。しかし、この(ダゲレオタイプの写真)撮影はすごいですね!体を固定されて長時間そのポーズでいる…映画もそうですが、だからこそ、俳優やモデルの感情が画面に映りこむんだと思いました」と語り、黒沢監督は「これもホラーですね(笑)。浅野さんがすごい。出ているシーンもすごいし、出ていないところでもすごい。画面に映っていてもいなくても、浅野忠信が映画を支配している。恐ろしい底知れない役を何度かやってきていると思うが、今回は決定打でした」とお互いの作品を絶賛。また、「カンヌ国際映画祭」については「日本で笑いが生まれないところで笑いが生まれることに驚きますね」(浅野さん)、「カンヌはバタバタと人が出て行くなどブーイング起こることも多いと聞きます。楽しもうとする人もいるけれど、欠点を見つけて席を立ってやるという人も多い。エキサイティングな映画祭ですね」(黒沢監督)とそれぞれ特徴を語る。さらに、日本と海外の撮影の違いについて浅野さんは「特にアメリカはお金にも、俳優にもシビア。『あなたは雇われているんだから、きちんとした英語を喋って。体鍛えて』というようなリクエストがすごい」と明かし、とても勉強になると話した。一方、今回初の海外進出を果たした黒沢監督は「俳優から100個くらい質問攻めにあって、僕は絶望して断られるんだろうなと思うのですが、フランスではそれがやる気のある証拠だそうです。日本は『質問あるか?』と聞くと俳優さんはみな『ない』と答えます。でも始まると、日本人は結局5個くらいある。フランス人はやる前はいろいろ言ってるんだけど、整理すると聞きたいことは5個くらい。結局同じなんですよね」と語った。最後に“海外で活躍したい人へ”黒沢監督は「映画の言語が世界共通なのは100パーセント間違いない。『こういう映画作りたい』という欲望を磨いていけば絶対に世界に通用する、と思います」とアドバイスを贈り、浅野さんも「日本でない国で違うやり方を学ぶのは面白いし、刺激になる。『何をやりたいか』を掘り下げると面白いし、自分が盛り上がれるんです」とコメントした。そのほか、来場者からのQ&Aで浅野さんの幼少期についてや『ダゲレオタイプの女』の撮影秘話が飛び出すなど、トークイベントは終始盛り上がりをみせ、大盛況のうちに終了した。『ダゲレオタイプの女』は10月15日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国にて公開。『淵に立つ』10月8日(土)より、有楽町スバル座ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年09月05日マーティン・スコセッシ、ウェス・アンダーソン、黒沢清、デビッド・フィンチャーといった、現代を代表する10人の監督たちがヒッチコックの映画術について語るドキュメンタリー映画『ヒッチコック/トリュフォー』(原題:Hitchcock/Truffaut)が、12月10日(土)より日本公開されることが決まった。1962年、『大人は判ってくれない』などヌーベルバーグの旗手といわれたフランソワ・トリュフォーは、敬愛する偉大な監督アルフレッド・ヒッチコックにインタビューを熱望し、ヒッチコックがそれを快諾。国籍も、年齢も、キャリアも違う2人は意気投合、長時間のインタビューが実現し、そして1冊の伝説の本「Hitchcock/Truffaut」(「定本 映画術 ヒッチコック/トリュフォー」山田宏一・蓮實重彦訳)が生まれた。この本は世界中で出版され、“映画の教科書”として、映画関係者はじめ、すべてのクリエイターたちのバイブルとして現在も読み継がれている。本作は、当時のヒッチコックとトリュフォーの貴重なインタビューの音声テープと、ヒッチコックを慕う現代を代表するフィルムメイカーたちのインタビューで紡ぐドキュメンタリー。2015年カンヌ国際映画祭クラシック部門にて上映された。登場するのは、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のスコセッシ監督をはじめ、『ゴーン・ガール』のフィンチャー監督、『クリーピー 偽りの隣人』『ダゲレオタイプの女』の黒沢監督、『グランド・ブダペスト・ホテル』のウェス・アンダーソン監督、『6才のボクが、大人になるまで。』のリチャード・リンクレイター監督ら、今日の映画界を牽引する10人。「『サイコ』は、当時も今も偉大な映画だ。物語の話術(ストーリー・テリング)の傑作だと言える、いや、それ以上の作品だ」(マーティン・スコセッシ)、「ヒッチコックは、映画魔術の天才だ。映画ばかりか、観客も演出する監督だ」(デビッド・フィンチャー)、「彼は、映画的表現とは何かを刺激するんだ。誰も考えたことのないような発想だよ」(ウェス・アンダーソン)と、彼らが劇中で語るとおり、ヒッチコックの時代を超えた映画術を新鮮な視点で現代に蘇らせるドキュメンタリーとなっている。監督は、NY国際映画祭のディレクターを務めるケント・ジョーンズ。日本語字幕は、「定本 映画術 ヒッチコック/トリュフォー」の翻訳者でもある、映画評論家の山田宏一が務めている。『ヒッチコック/トリュフォー』は12月10日(土)より新宿シネマカリテほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2016年08月22日黒沢清監督が初めてオール外国人キャスト、全編フランス語で撮りあげた最新作『ダゲレオタイプの女』が、「第41回トロント国際映画祭」スペシャル・プレゼンテーション部門に正式出品されることがこのほど決定。また、併せて本作の特報映像も到着した。ダゲレオタイプの写真家ステファンのアシスタントに偶然なったジャン。その撮影方法の不思議さに惹かれ、ダゲレオタイプのモデルを務めるステファンの娘マリー恋心を募らせる。しかし、その撮影は「愛」だけではなく苦痛を伴うものだった…。芸術と愛情を混同したアーティストである写真家のエゴイスティックさ、父を慕いながらも拘束され続ける撮影を離れ自らの人生をつかみたいマリーの想い、撮影に魅了されながらもただマリーとともに生きたいというジャンの願い、そして、自ら命を絶っていたステファンの妻の幻影…愛が命を削り、愛が幻影を見せ、愛が悲劇を呼ぶ。世界最古の撮影を通して交わされる愛の物語であり、愛から始まる取り返しのつかない悲劇――。本作は、『岸辺の旅』で2015年カンヌ国際映画祭「ある視点部門」監督賞を受賞、先日行われたベルリン国際映画祭では『クリーピー 偽りの隣人』が正式出品され好評を博すなど、世界中に熱狂的な支持者を持つ黒沢監督の最新作。世界最古の写真撮影方法“ダゲレオタイプ”を軸に、芸術と愛情を混同した写真家の父と、“永遠”を求める父の犠牲になる娘、そして“撮影”を目撃しながらも娘に惹かれていく助手を主人公に置いた、美しくも儚い愛と悲劇の物語を描き出していく。主人公・ジャンを演じるのは、数々の名匠の作品への出演が続くタハール・ラヒム。ジャンが想いを寄せるマリー役に、『女っ気なし』の新星、コンスタンス・ルソー、マリーの父でありダゲレオタイプの写真家を、ダルデンヌ兄弟作品で知られるオリヴィエ・グルメ。そして、デプレシャン作品常連の名優マチュー・アマルリックが脇を固めている。今回、本作の正式出品が決定した「トロント国際映画祭」は、今年で41回目を迎えるカナダ最大の都市・トロントで開催される、カンヌと並ぶ北米最大規模の来場者数を誇る映画祭で、”オスカーレースの前哨戦”として世界中からの注目を集める。過去には、1999年「Spotlight: Kiyoshi Kurosawa」として、黒沢監督の7作品が上映されており、監督にとっても馴染みの深い映画祭なのだ。本作が正式出品されるのは、世界を代表する映画監督の作品を集めたスペシャル・プレゼンテーション部門。昨年は、アカデミー賞作品賞&脚本賞受賞の『スポットライト 世紀のスクープ』、アカデミー賞主演女優賞を受賞の『ルーム』など、その年を席巻した錚々たる作品が上映されている。また、トロント国際映画祭正式出品にあたり、本作からは黒沢監督とタハールとコンスタンスらも参加予定。黒沢監督は「日本人の撮ったフランス映画が、カナダのトロントでプレミア上映される、何と痛快なことでしょう。映画はこうして、いとも簡単に国境を越えて行くんですね」と喜びを語った。さらに本映画祭のアーティスティック・ディレクター、キャメロン・ベイリーは、「なんて愛おしい映画なんだ!美しく、考え抜かれている。ジャンル映画であり、映画の歴史への讃歌であり、そしてまぎれもない黒沢清作品だ」と熱いコメントを寄せている。『ダゲレオタイプの女』は10月15日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年07月27日「NEW 天野明展 in 京都」が、京都造形芸術大学で開催される。会期は、2017年1月20日(金)から2月12日(日)まで。「NEW 天野明展 in 京都」は、現在「ジャンプ+」に連載される『エルドライブ【elDLIVE】』をはじめ、2004年から2012年まで「週刊少年ジャンプ」に連載され、さまざまな分野でメガヒットとなった『家庭教師ヒットマンREBORN!』、『PSYCHO-PASS サイコパス』の生みの親、漫画家・天野明にスポットをあてたもの。天野作品の美麗原画が120点以上並ぶほか、天野明が書き下ろしデザインした限定グッズなどを販売する。さらに、京都会場限定の映像も登場。『エルドライブ【elDLIVE】』の声優座談会や、『家庭教師ヒットマンREBORN!』アニメ10周年記念キャスト同窓会を上映する。その他、コラボカフェも運営される予定なので、ファンにはたまらないイベントになりそう。なお、本イベントは、京都造形芸術大学とアニメショップ「アニメイト」の連携プロジェクト「ワンソース・マルチユース」の第一弾として開催されるもの。マンガやアニメーション、映画、ゲーム、小説、グッズなど、複数の分野に跨って人気を博すメガヒットコンテンツのつくり手と伝え手、売り手の現場を大学内に持ち込み、学生たちにワンストップでの学びの場にしてもらおうという企画だ。【概要】NEW 天野明展in京都会期:2017年1月20日(金)~2月12日(日)※2017年2月1日(水)・2日(木)は閉館会場:京都造形芸術大学住所:京都市左京区北白川瓜生山2-116 瓜生館2階および人間館1階 ギャルリ・オーブ開催時間:10:00~19:00(各日最終入場時間は18:30)入場料:瓜生館2階 無料、ギャルリ・オーブ 800円(税込)TEL:075-791-9122
2016年07月18日映画『クリーピー 偽りの隣人』の公開を記念して6月21日(火)、主演の西島秀俊と黒沢清監督、さらに本作には出ていないが黒沢組常連で、同監督の下で17年前の『ニンゲン合格』で西島さんとも共演している役所広司も来場し、異例のトークイベントが開催された。“クリーピー”は「気味が悪い」を意味する英語で、ある失踪事件の謎を追う犯罪心理学者が妻と共にまさにクリーピーな事件に巻き込まれていく様を描き出す。役所さんは、自身が出ていない作品の感想を、黒沢監督の前で求められ「僕にとっても監督は映画の先生なので…(苦笑)」と困惑しつつ「エンターテインメントとしても面白く、観終わって解釈の余白を与えてくれる」と称賛。「なんでここに僕が出ていないんだと思った」と嫉妬交じりに語るが、西島さんは「役所さんが出たら僕が出られない」と苦笑。黒沢監督も「ワンカットでも出てもらえばよかった…」と悔やんだが、役所さんは「犬でもいいから」と語り、会場は笑いに包まれた。トークでは1999年に公開された『ニンゲン合格』の思い出も!黒沢監督が「当時は僕も若く、哀川翔さんが出てるいわゆるVシネをいっぱい撮ってて、その流れの中で役所さん主演の『CURE』を撮り、次の年に同じ流れで『ニンゲン合格』を撮ったんです。楽しかったけどVシネのノリで、とにかく作ることだけで楽しかった」と述懐。西島さんは「当時は僕はほとんど映画の一番手なんてなかったんですが、話をいただいたら、役所さんに哀川さん、麻生久美子さん、大杉蓮さん、洞口依子さん、菅田俊さんと黒沢組のオールスターで、戻れるならあの時に戻りたいです…(笑)」と懐かしそうにふり返る。役所さんは、西島さんについて「『ニンゲン合格』で仕事して、なぜ黒沢監督が西島くんをキャスティングしたか分かりました。(一時期は)あまり、TVに出てなかったのが、最近はTVにも出て、頑張ってるけど、また映画中心で40代、50代と黒沢監督とやれる役があるんじゃないかと一ファンとして楽しみです!」とエール!黒沢監督は「今回の『クリーピー』は、かつては(主演は)役所さんだった。今回、役所さんではないと思いつつ、どこかで『役所さんなら高倉役はこうかな?』とどこかで基準というか、モデルにしてるところがあった。『CURE』の頃の役所さんとほぼ同い年の西島さんならどうするか見たかったし、ポジションが似ている」と2人の名優をハッキリと比較の俎上にあげて語る。西島さんは「僕はただの(役所さんの)ファン(笑)。黒沢監督の作品で、役所さんの役は、最初は人間だけど、どこかで人間を超えた“何か”になる。それは役所さんにしかできない。『クリーピー』を『CURE』と比べる声もありますが、正直、勝負にならないです(苦笑)」と改めて役所さんの偉大さについて語った。『クリーピー 偽りの隣人』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年06月22日西島秀俊、竹内結子、川口春奈、東出昌大、香川照之に『ソロモンの偽証』の藤野涼子ら、日本映画界を代表する豪華キャストを迎えて贈る黒沢清監督の最新作『クリーピー 偽りの隣人』。このほど、昨年『岸辺の旅』で第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞した黒沢監督が、撮影中、最も“怖かった”キャストが明らかになり、その場面写真がシネマカフェにて解禁となった。犯罪心理学者・高倉が追う未解決一家失踪事件と、彼の奇妙な隣人・西野一家の、気味の悪い(クリーピーな)関係に迫る衝撃のサスペンス・スリラーとなる本作。これまで、『CURE キュア』『回路』『叫』『ドッペルゲンガー』など、数々の恐怖映画を手がけ、『アカルイミライ』『トウキョウソナタ』、そして『岸辺の旅』などが、カンヌやヴェネチア国際映画祭をはじめ数々の映画祭を席巻し世界が注目する日本人監督のひとり、黒沢監督がメガホンをとることでも話題を呼んでいる。そんな巨匠がこれまでに仕事をともにした俳優は、本作の西島さん、香川さんをはじめ、役所広司、浅野忠信、オダギリジョー、深津絵里、小泉今日子など、名だたる大物俳優ばかり。しかし、実力派俳優たちを見事に演出し、世界の観客を夢中にさせてきた巨匠が、本作ではかなり手を焼いたキャストがいたことが発覚!そのキャストとは…西島さん演じる高倉の愛犬・マックス!黒沢監督は、「犬って何をするのか全然わからない。こちらが意図しない思わぬ動きを取ったり、急に吠えたり…」と、現場がマックスによって翻弄されていたことを吐露。「犬をメインで撮るシーンは、正直、いままでで一番怖かった。犬は苦手ではなく、むしろ好きなのに、なぜか僕に吠えてくる。ほかの人にはなつくのに、僕が手を差し出すと牙を剥く。だから怖くなりました」と明かしている。もしかすると、犬は本作の“不気味な闇”にも似た、黒沢監督の中に潜む邪悪な“何か”を感じ取っていたのかも!?今回は、そんなマックスと西島さんとのお散歩シーンの場面写真も到着。そんな監督の不安を少しも感じさせない、むしろ微笑ましい“ワン”シーンとなっている。『クリーピー 偽りの隣人』は6月18日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年06月02日『CURE』『トウキョウソナタ』など日本国内のみならず世界中から熱狂的な支持を集める黒沢清監督が、前編フランス語で撮りあげた初の海外作品『La Femme de la Plaque Argentique』(原題)の邦題が『ダゲレオタイプの女』に決定した。職を探していたジャンは、ひょんなことから、ダゲレオタイプの写真を撮り続けている写真家・ステファンの弟子として働き始めることになる。ステファンの家では、娘のマリーが何十分も器具に固定されていて、写真の被写体としての役目を果たしている。ステファンの妻・ドゥニーズも、彼のダゲレオタイプ写真の被写体となっていたが、昔、屋敷内で首を吊って自殺してしまっていた。ドゥニーズの亡霊におびえるステファン。マリーに惹かれ始めたジャンは、マリーがドゥニーズの二の舞にならないように、彼女を屋敷の外に連れ出そうとするが――。本作は、全編フランス語で撮影され、「ダゲレオタイプ」と呼ばれる世界最初の写真撮影法を用いて肖像写真を撮影するカメラマンの家に隠された秘密と愛を描く、ホラー・ラブストーリー。主人公のジャンを演じるのは、『預言者』(ジャック・オディアール監督)『ある過去の行方』(アスガー・ファルハディ監督)『消えた声が、その名を呼ぶ』(ファティ・アキン監督)など名匠の作品への出演が続くタハール・ラヒム。ジャンが想いをよせるマリー役には『女っ気なし』などで若手女優として注目を集めるコンスタンス・ルソー、マリーの父であり、ダゲレオタイプのカメラマンであるステファンをダルデンヌ兄弟作品常連のオリヴィエ・グルメが好演している。また名優マチュー・アマルリックがステファンの友人・ヴァンサン役で出演しているのも注目だ。昨年『岸辺の旅』でカンヌ国際映画祭ある視点部門監督賞を受賞し、高い評価を得た黒沢監督。このたび挑んだ初の海外作品について、「初めてフランスで映画を撮りました。日本と何か大きく違うことがあるんじゃないかと最初は心配しましたが、杞憂でした。映画はやはり世界共通言語のようです」と撮影を振り返り、また「日本の怪談にならったホラーとラブ・ストーリーを組み合わせた物語を、フランス人スタッフもキャストもたちどころに理解し、全ての作業がスムーズに進みました」と語っている。日本の監督とフランスのスタッフ&キャストが作り上げる愛と死の物語。日本のみならず、世界中から熱い注目を集めることとなりそうだ。『ダゲレオタイプの女』は2016年秋、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2016年01月25日『トウキョウソナタ』『岸辺の旅』の黒沢清監督がフランスで手がけた新作映画の邦題が『ダゲレオタイプの女』に決まり、今秋に日本で公開されることが発表になった。その他の情報新作『クリーピー』が第66回ベルリン映画祭に正式出品されるなど、世界の映画ファン・評論家から支持を集めている黒沢監督が、全編フランス語で撮影した初の海外作品が日本で公開になる。ダゲレオタイプと呼ばれる世界最初の写真撮影法を用いて肖像写真を撮影する写真家の家が舞台で、かつてここでは写真家の妻が被写体を務めていたが、その昔に彼女は首を吊って自殺をしていた。映画ではこの屋敷に秘められた過去と、愛のドラマが描かれる。ジャック・オディアール監督の『預言者』やアスガー・ファルハディ監督の『ある過去の行方』に出演したタハール・ラヒムや、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ作品の常連オリヴィエ・グルメ、マチュー・アマルリックらが出演する。黒沢監督は「初めてフランスで映画を撮りました。日本と何か大きく違うことがあるんじゃないかと最初は心配しましたが、杞憂でした。映画はやはり世界共通言語のようです。日本の怪談にならったホラーとラブ・ストーリーを組み合わせた物語を、フランス人スタッフもキャストもたちどころに理解し、すべての作業がスムーズに進みました。そして、一本の見紛うことのないフランス映画ができあがりました」と語っている。『ダゲレオタイプの女』秋、全国ロードショー
2016年01月25日西島秀俊を主演にサスペンス・スリラーの名手・黒沢清監督が贈る最新作『クリーピー』がこの度、第66回ベルリン国際映画祭に正式出品されることが決定。併せて「ベルリナーレ・スペシャル」部門で行われるワールド・プレミア上映に西島さんと黒沢監督が参加することが明らかになった。元刑事でいまは犯罪心理学者の高倉(西島さん)は、かつて同僚だった刑事・野上(東出昌大)から、6年前に発生した一家失踪事件の分析を依頼される。しかし、事件の唯一の生き残りである長女・早紀(川口春奈)の記憶をたどるも、核心にはたどりつけずにいた。一方、高倉が妻・康子(竹内結子)と共に最近引っ越した新居の隣人は、どこかつかみどころのない家族。病弱な妻と中学生の娘・澪をもつ人の良さそうな主人・西野(香川照之)との何気ない会話に翻弄され、困惑するばかり。そしてある日、澪が告げた言葉に、高倉は衝撃を受ける…。日本ミステリー文学大賞「新人賞」を受賞した前川裕の小説を原作とし、不気味な隣人との接触をきっかけに、日常から深い闇へとひきずりこまれていく夫婦の姿を描いた本作。西島さんを始め竹内結子、川口春奈、東出昌大、藤野涼子、香川照之ら演技派俳優が集結している。黒沢監督にとってベルリン国際映画祭は、1999年のフォーラム部門に出品した『ニンゲン合格』(’99)以来。同作でも主演だった西島さんと共に、『クリーピー』で17 年ぶりのベルリン参加となる。同部門には過去に『レ・ミゼラブル』、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』などの話題作が過去に上映されており、日本映画は木下惠介監督の『二十四の瞳』(’05)や大島渚監督の『儀式』(’10)、山田洋次監督の『東京家族』(’13)などが上映されている。本作は、同部門の中でも特に期待された作品を上映するGala(ガラ・スクリーニング)枠となり、欧州最大規模のキャパシティ1,750席と最新の機器を備えた、世界中の国際映画祭の中でも最大級の劇場である「Friedrichstadt-Palast フリードリッヒシュタット・パラスト」で上映される予定だという。出品決定を聞いた黒沢監督は「たいへん驚いています。荒々しいスリラー映画をよくぞ選んでくれました。ベルリン映画祭ってフトコロが深いですね」と喜びを語っている。「第66回ベルリン国際映画祭」は2月11日~21日(現地時間)まで開催。『クリーピー』は6月18日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年01月19日国内のみならずフランス全土で大ヒット公開中の『岸辺の旅』のトークイベントが11日にテアトル新宿で開催され、黒沢清監督と蒼井優が登壇。「この役はなんとか蒼井さんで!」と監督の熱烈オファーを受けた蒼井が「こんな恐ろしいオファーはない」「玉砕してもいいかと思ってやらせて頂いた」と当時の心境や撮影秘話を明かした。その他の写真『岸辺の旅』は、失踪から3年後に死者として帰ってきた夫(浅野忠信)と、その妻(深津絵里)が、失踪中にお世話になった人々を訪ねて旅を続ける様を描いたラブストーリー。蒼井は本作で、夫と深い関係にあった女性・朋子として、深津演じる妻と対峙する、出演シーンは短いながらも観るものに強烈な印象を残す役どころを演じている。「僕にしては珍しいのですが、脚本を書いている途中から朋子役は蒼井優さんがいいんだけどと、強く言っていました」という監督の言葉を受け蒼井は、「台本を読んだときには、すごい役がきてしまったなって思ったのと同時に、深津さんと対峙するようなこんな恐ろしいオファーはないなと思った」と言い、「でも黒沢監督とは一度『贖罪』という作品を一緒にやらせていただいて、その現場がすごく楽しかったので、またお仕事できるんだったら玉砕してもいいかと思ってやらせて頂きました」と吐露。深津とは「共演は今回が初めて」で、「深津さんのカッコよさにしびれた」と話し、「現場ではすごく緊張していたので、結果的には深津さんがやってくださるので、それに合わせてやっていきました。深津さんが机を挟んで目の前にいて、とてもじゃないけど世間話ができるような感じではなく、すごく集中力をもたれた方なんだなと思いました」と印象を語った。「『岸辺の旅』の撮影は、ちょうど別のドラマの撮影中で、深津さんの座り方がとてもきれいで…。あの姿勢だけだったら真似してもばれないんじゃないかって私の“深津イズム”が思って。ドラマの現場に戻ってからそれをずっとやっていたんです。そしたらそのままぎっくり腰になっちゃって(会場爆笑)。私の腰にきていたので、完敗でした」。蒼井が「完成した映画では、あぁ、怖いな。私こんな顔していたんだって思いました」と話すと、監督は「深津さんと蒼井さんは、だいたい自分がどうやればいいか分かっていて、『このへんでふたりがリングに上がって、このへんでジャブをくりだして、このへんでゴングが鳴って。まず蒼井さんから軽くパンチが入って、深津さんも善戦するんですが、蒼井さんの圧勝で』と。それで、分かりました。ではよろしくという感じで撮影しました」と語り、「最初このシーンは、深津さんのアップで終わるはずでしたが、その後、深津さんの後ろ姿になるので、蒼井さんのアップで終わればすごいものになるなと思って、編集でそのようにしました」と明かした。『岸辺の旅』テアトル新宿ほか公開中
2015年10月13日女優の桜庭ななみが8日、東京・丸の内ピカデリーで行われた藤沢周平・新ドラマシリーズ「果し合い」の完成披露試写会後の舞台あいさつに、仲代達矢、柳下大、原田美枝子、杉田成道監督とともに登壇した。同作で、想う相手に嫁げず、両親に家柄のいい男との縁組を押し付けられるという役を演じた桜庭は、演じてみての感想を聞かれると「江戸時代の階級社会の中で、自分の思いとは裏腹に、望まない結婚はあったというか、常識だったと思うんですけど、今回は自分の想いを貫いて、女性の強さを持っていて憧れがありますね」と声を詰まらせながら当時の女性たちに思いをはせた。そんな桜庭について杉田監督は「彼女が17歳のときに「最後の忠臣蔵」で一緒になったんですが、元々着物が似合う人ですが、竹林に立つとその立ち姿が遠めから見ても美しいなって。いつの間にこんな鶴のようになってしまったんだろうって思いました」と目を細めた。また、同作で主演を務めた仲代は「80を過ぎまして、このような作品の大事な役をさせていただいて、本当に幸せ者だと思います」と感慨深げにあいさつをし、原田とは黒沢明監督の映画『乱』で共演して以来30年ぶりに共演したそうで「(当時の役で)彼女に散々いじめられまして、今回も多少いじめられまして(笑)。でも彼女の演技は『乱』のときもそうでしたけど、今回も本当に素晴らしいと思いました」と絶賛した。そんな原田は「本をいただいたときから、これを仲代さんがおやりになると聞いて、絶対に素晴らしい作品になると思って、それを今日見させていただいて、仲代さんが何十年も俳優としてやってこられた歴史があるからこそできる作品だから、改めて本当に尊敬しました」と語り、「30年間、一度もお会いしていなかったんですけど、(共演できて)本当に嬉しかったですね。前回は親の仇役だったので、一言も口を聞いていないんですけど、今回も仲が悪くて(笑)。でも同じ黒沢組を通ってきた先輩に会えてうれしかったです」と笑顔で語った。同作は、庄司佐之助(仲代達矢)は生涯の大半を、兄が家督を継いだ庄司家の部屋住みとして無為に過ごしてきた。厄介者扱いする家族の中、唯一心許せるのは甥の娘・美也(桜庭ななみ)だけ。美也に縁談が持ち込まれたところから運命は動きだし、佐之助は再び刀を手にすることとなる――というストーリー。BSスカパー!にて10月31日(15:00~ 19:00~)の2回放送。さらにこの日、仲代の口から東京・築地の東劇にて11月7日~13日の期間で劇場上演されることも発表された。
2015年10月09日国内外で高い人気を誇る黒沢清監督が、日本映画界を代表する深津絵里と浅野忠信をW主演に迎えておくる待望の最新作『岸辺の旅』。2010年に発表された湯本香樹実の同名小説を映画化したある夫婦の“究極のラブストーリー”です。瑞希の夫である優介が失踪してすでに3年の時が経っていた。喪失感を抱えながらも仕事を再開し、慎ましく暮らす瑞希の前に、ある日突然姿を現した優介。しかし、優介が告げたのは、「俺、死んだよ」という衝撃の言葉だった。そして、瑞希の元へ戻るまでの3年間に優介が過ごしていた場所やお世話になった人たちを訪ねる旅に誘われた瑞希は、優介と一緒に旅に出ることにする。旅の途中で、優介の知られざる一面や秘密に驚きながらも、失われた時間を取り戻すかのように楽しむ2人。改めてお互いの愛や気持ちを確かめあうものの、本当の別れを告げるときは刻一刻と近づいていた……。黒沢監督は、第68回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で日本人初となる監督賞を本作で受賞。今回のキーワードは「信頼」ということで、さまざまな危機が訪れても、ゆるぎない愛で難題を乗り越え、最後には2人が100%信頼しあうドラマを描きたかったという監督。死んでからより信頼が深まったり、死んでみて初めてお互いをより理解できたりすることもあると感じたそうで、「“死者とともに生きる”意味と実感が少しでも伝わるといいな」とその思いを語っています。そして、今回夫婦役を演じた深津絵里と浅野忠信は、息の合ったやりとりをみせ、初共演とは思えないほど。2人の間に流れる深い愛と強い絆、そして切なさに心を締め付けられます。その他、小松政夫や蒼井優、柄本明といった豪華共演陣の存在感も見逃せません。“死んだ夫と旅をする”というありえない設定ながらも、心にすっと入ってくるストーリーは、死は終わりではなく、死んだあとも生きている人との関係は続いていくのだと感じさせられます。そして、大事な人を失う辛さを抱えながらも、それを受け止めて前に進むことの大切さも教えてくれるのです。死をも超えた“究極の夫婦の愛”に心を揺さぶられてください。イベントデータ:『岸辺の旅』公開表記:10月1日(木)より、テアトル新宿ほか全国ロードショー配給:ショウゲート©2015「岸辺の旅」製作委員会/ COMME DES CINÉMAS
2015年09月30日シネマヴェーラ渋谷で開催中の特集企画“カンヌ凱旋記念 黒沢清レトロスペクティブ”で23日に、『ビューティフル・ニュー・ベイエリア・プロジェクト』の上映が行われ、本作に出演した柄本佑がトークイベントに登壇。10月1日(木)より公開される監督の新作『岸辺の旅』について熱く語った。その他の写真父・柄本明は『ドッペルゲンガー』や『岸辺の旅』に、妻の安藤サクラは『贖罪』に出演。姉は『リアル~完全なる首長竜の日~』に製作スタッフとして参加するなど、黒沢監督作品とは深い縁がある柄本一家。柄本は「柄本家は全員、黒沢監督のファン」だといい、「だからうちの姉が製作部で『リアル…』の現場に入るって聞いたときには、家族で『いいなぁ』とうらやましがった」と明かした。現場での黒沢監督は、俳優にはっきりとした指示を出さず、丁寧な物言いで「こんな風にしてみてもいいですけれども、別にやらなくても良いです」というような演出の仕方をすると説明。監督から「『勝手にしやがれ』という映画でジャン=ポール・ベルモンドがこんな風に走っていくんですよね」と指示を出された際、「そういう風に引き合いに出すので、僕も何か出さないと、と思って『撃たれてはいませんけどね』と返しました」と撮影でのエピソードを次々に披露し、場内からは笑い声が上がった。そして話題は今年のカンヌ映画祭“ある視点”部門で日本人初の“監督賞”に輝いた『岸辺の旅』へ。関係者でぎゅうぎゅう詰めの試写室でいち早く本作を観たという柄本。「プレッシャーを感じながらだったので、まだ冷静に観られてはいないのですが…」と前置きしながら、「オープニングからなんだか泣けたんです。途中で曲がかかるときにも涙腺が緩みましたが、冒頭からぐっとくるというのは初めてでしたね」と話し、「いつも黒沢監督の映画には、現実の中の異世界を感じるんですが、今作は真逆で、異世界の人が普通にいるというか、それがすごく不思議で、幽霊がそもそも異質なものだからなのか、ほかの黒沢監督の作品の中でも普通すぎるほど普通で、それに逆に緊張感を感じました」と語った。特集企画“カンヌ凱旋記念 黒沢清レトロスペクティブ”10月9日(金)までシネマヴェーラ渋谷にて開催中『岸辺の旅』10月1日(木)テアトル新宿ほか全国ロードショー
2015年09月24日第68回カンヌ国際映画祭“ある視点”部門で監督賞を受賞した『岸辺の旅』の“日本凱旋”披露試写会が9月10日に都内で行われ、黒沢清監督をはじめ、夫婦役でW主演する深津絵里と浅野忠信が出席。カンヌで日本人初の監督賞受賞を果たした黒沢監督は、「あくまで作品全体に与えられた賞。こちらこそありがとうございます」とキャスト陣に感謝を述べた。その他の写真湯本香樹実による同名小説を原作に、3年間の失踪を経て、突然「俺、死んだよ」と告げに帰ってきた夫(浅野)とその妻(深津)がわずかな時間、旅に出かける姿を描く。この日は、深津と浅野はカンヌで授与された賞状と初対面し、「やっと喜びが分かち合える。実物を見るとジーンときますね、神秘的で美しい死生観を日本の皆さんにも感じてもらえれば」(深津)、「本当におめでとうございます。(賞状は)とても貴重なものですね」(浅野)と感無量の面持ちだった。夫婦役について、深津が「以前共演させていただいてから、またいつかご一緒すると思っていた。温度や波長が似ているので、夫婦役も心強く楽しかった」と振り返れば、浅野も「40代になったら、じっくり夫婦を演じてみたいと思っていたし、その相手が深津さんならいいなと思っていたので、こういう形で夢が実現してうれしい。深津さんには甘えていいんじゃないかという居心地の良さを感じていた」と明かし、相思相愛ぶりを披露した。黒沢監督は「ふたりに共通点があるとすれば、あくまで“映画の人”であり、どこにでもいるような雰囲気と、まるで神話の登場人物のような二面性を持っている点」だと説明し、「決して、砂漠で冒険したりはしませんが(笑)、想像のはるか先を行く“魂の旅”を見守ってもらえれば」とアピールした。『岸辺の旅』10月1日(木)テアトル新宿ほか公開取材・文・写真:内田 涼
2015年09月10日柳楽優弥と瀬戸康史をW主演に迎え、杉浦日向子の傑作漫画を実写映画化した『合葬』。激動の時代に翻弄される若者たちの青春を描いた本作は、第39回モントリオール世界映画祭「ワールド・コンペティション部門」にて、9月3日(現地時間)、記者会見とプレミア上映会が行われ、主演の瀬戸さんと小林達夫監督が参加。俳優デビュー10年目に初の海外映画祭となった瀬戸さんは、流暢なフランス語でスピーチを行い、カナダ・モントリオールの観客を沸かせた。幕末、将軍の警護のため有志により結成された「彰義隊」を舞台に、江戸から明治へ、時代に翻弄される若者たちの青春と生きざまを描く全く新しい時代劇として、海外からも熱い注目を集めている本作。モントリオール世界映画祭といえば、過去に、『おくりびと』(’06年/最優秀作品賞)、『わが母の記』(’11年/審査員特別大賞)、昨年は吉永小百合主演『ふしぎな岬の物語』が「審査員特別賞」「エキュメニカル賞」を、呉美保監督・綾野剛主演の『そこのみにて光輝く』が「最優秀監督賞」を受賞するなど、日本作品が高い評価を受けている国際映画祭。公式記者会見には、日本文化に興味を持つ世界各国の報道陣が集まり、小林監督と瀬戸さんが世界各国の記者からの質問に応じた。瀬戸さんは、本作への参加について、「映画での時代劇は初めてでした。『合葬』は日本人から観ても、新しい時代劇作品が出来たなと感じています。一方で、昔からある武士・サムライの精神が、いまを生きる僕たちに伝わる作品だとも思います」とコメント。本作に登場する若い侍については、「柳楽優弥さんが演じた極(きわむ)という人物は、皆が思う“THESAMURAI”で、自分の仕えている人のため、自分の志のために真直ぐに生きている人物。一方、僕が演じた柾之助(まさのすけ)は、現代人に一番近い考えを持っている人物かと思います。自分の居場所を探しながら、日々迷い、悩み…そういうところがいまを生きている僕らとの共通点だと思います」と語った。また、「日本映画の数々の時代劇の名作、なかでも溝口健二や黒沢明監督の作品は、自分が映画を志す上で大変影響を受けました」という小林監督は、「今回描いた、若者たちが知らない間に戦争に巻き込まれるという構図はどの国でもどの時代にも共通するテーマ。現代劇でこのテーマを描くと作家の主義主張やマニフェストとして作品がとらえられがちだが、時代劇で描くことによって世の中に何かを問うというよりも、寓話的、象徴的に見ていただけるのでは…」とその思いを明かした。その日の夜、行われたプレミア上映でも、昨今の日本ブームもあってか本作への注目度は高く、21時半と夜遅い上映時間にもかかわらず、20代の女性グループを含め老若男女たくさんの観客が詰めかけた。上映前、小林監督とともに登壇した瀬戸さんは、美しいグリーン色の着物姿で登場、観客からは大きな歓声がわき起こった。瀬戸さんは、初めて国際映画祭に参加したことへの感謝と、作品に描かれたテーマ“武士道”にからめた熱いメッセージを、完璧なフランス語で「激動の時代に生きた、名もない若い侍達の姿を描いた作品です。映画では侍が世の中から姿を消そうとしている時代に、彼らの日常や、迷い、悩みながらも志のために戦っている姿を描いています」と紹介。「侍は礼儀や作法を大切にし、忠誠心の強い、現代の我々日本の若者にとっても尊敬すべき精神をもっています。侍はいなくなってしまいましたが、現代を生きる僕らにも侍の心、“武士道”が残っています。私に宿っている“武士道”は、役者として、その一瞬一瞬に命をかけるという覚悟です。私にとって『合葬』は1シーン、1シーン、台詞一言、一言に命をかけて作った映画です」と力強く語ると、観客も大いに沸き、その発音は、通訳に「以前、フランス語を勉強していたのですか?」と聞かれるほど素晴らしいものだったという。プレミア上映では、エンドロールに入った途端、観客たちから自然に拍手が湧き起こり、全ての上映が終わった後、再び盛大な拍手に会場が包まれた。観客と一緒に映画を鑑賞していた小林監督と瀬戸さんが客席に向かって一礼し、会場を出ようとすると「素晴らしかった!」と次々に握手を求められ、劇場のロビーでも観客からの感想と質問が殺到。なかなか会場を去れない状態が約40分間続いたという。瀬戸さんは、そんな熱気の中、「映画が終わって拍手をいただけたことがとても嬉しい」と語った。なお、同プレミア上映の前には、瀬戸さんが粋な着物姿でモントリオールの街を散策。街角ではいたるところに、映画祭のバナーがあふれており、街をあげてのお祭りムードに、「昨夜は興奮してなかなか寝付けませんでした」と瀬戸さん。モントリオールを訪れる観光客なら必ず足を運ぶといわれる観光名所・ノートルダム聖堂の前で記念撮影。すると、聖堂の前のプラスダルム広場では、課外授業でモントリオールに訪れていたカナダ人の女子中学生にあっという間に取り囲まれ、写真撮影タイムに。「KIMONOが素敵!」「日本の俳優なの?かっこいい!!」と、瀬戸さんはカナダ人女性にも大人気の様子だったという。第39回モントリオール世界映画祭授賞式は、現地時間9月7日(日本時間8日)に行われる。『合葬』は9月26日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:合葬 2015年9月26日より全国にて公開(C) 2015 杉浦日向子・MS.HS / 「合葬」製作委員会
2015年09月07日黒沢清監督が、第15回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した前川裕の小説『クリーピー』を映画化することが決定した。西島秀俊、竹内結子、川口春奈、東出昌大、香川照之らが出演し、2016年初夏に公開になる。その他の写真本作は、元刑事の犯罪心理学者の高倉がかつて同僚だった刑事・野上から分析を依頼された6年前に起こった一家失踪事件と、高倉の隣人一家のあまりにも不可解な関係を軸に、日常に忍び寄る恐怖を描くサスペンス・スリラーで、黒沢監督は「はっと気づいたら時すでに遅し。すぐお隣で地獄の門が開き、日常がガラガラと音をたてて崩れていく。そんな世にも恐ろしく、かつ胸のすく映画を私は一度撮ってみたかった」とコメントを寄せている。主人公を演じる西島は『ニンゲン合格』『蟲たちの家』『LOFTロフト』に続き4度目の黒沢作品への出演となり「今回演じさせていただく主人公の高倉は、ある未解決事件を追う一方で、妻と暮らす家の周囲で自分たち自身も事件に巻き込まれていきます。身近で起きていてもおかしくない、そんな恐怖を描いたリアルで重厚な素晴らしい脚本です。監督、スタッフ、キャストの皆さんと、誰も見た事のないような恐怖を創り出したいと思っています」と語っている。高倉の妻・康子を竹内が、一家失踪事件のカギを握る少女を川口が、高倉のかつての同僚・野上を東出が、高倉の隣家の主人を香川が演じる。本作は、黒沢監督の教え子で『東南角部屋二階の女』を手がけた池田千尋と黒沢監督が共同で脚本を手がけ、来月頭には撮影を開始。松竹、アスミック・エースの共同配給で2016年初夏に全国公開になる。『クリーピー』2016年初夏 全国ロードショー
2015年07月29日第15回日本ミステリー文学大賞「新人賞」を受賞した前川裕による小説「クリーピー」が、名匠・黒沢清監督によって映画化されることが決定。主人公の犯罪心理学者を西島秀俊が演じるほか、竹内結子、川口春奈、東出昌大、香川照之といった超豪華なキャストたちが出演を果たしていることが分かった。元刑事で、いまは犯罪心理学者の高倉(西島秀俊)は、かつての同僚・野上(東出昌大)から、6年前に発生した一家失踪事件の分析を依頼される。しかし、事件唯一の生き残りである長女・早紀(川口春奈)の記憶をたどるも、核心にはたどりつけずにいた。一方、高倉が妻・康子(竹内結子)と共に最近引っ越した新居では、つかみどころのない隣人、西野(香川照之)との何気ない会話に翻弄される日々を送る羽目に。西野と病弱な妻、中学生の娘・澪の三人家族に、隣人として接していたある日、高倉家に駆け込んできた澪はこう告げる。「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です」――。未解決の一家失踪事件と、隣人一家の不可解な関係。2つの繋がりから始まる、本当の恐怖とは…。ある夫婦の日常が、“奇妙な隣人”への疑惑と不安から深い闇へと引きずり込まれていく恐怖を描き、大人気作家・綾辻行人も「展開の予想できない 実に気味の悪い(クリーピーな)物語」と絶賛した震撼のミステリー「クリーピー」。日本ミステリー文学大賞「新人賞」ほか、2013年「このミステリーがすごい!」新人賞ベストテン第1位にも輝いた法政大学教授・前川裕によるこの原作を、最新作『岸辺の旅』が本年度の第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門「監督賞」を受賞したばかりの黒沢監督がメガホンをとり映画化。黒沢監督の教え子で、『東南角部屋二階の女』で長編監督デビューを果たしている池田千尋と脚本を共同執筆し、原作とは異なる映画オリジナルの衝撃的な展開を紡ぎ出すという。『ニンゲン合格』『蟲たちの家』『LOFT ロフト』に続き、4度目の黒沢監督作品となる西島さんが主演を務め、竹内さん、川口さん、東出さんと豪華キャストが集結。西島さんと竹内さんが現代社会ならではの日常に忍び寄る恐怖を味わう夫婦を演じ、『蛇の道』『トウキョウソナタ』、ドラマ「贖罪」を経て、同じく4度目の黒沢組への出演となる香川さんが、謎の隣人・西野に扮する。<西島秀俊コメント>黒沢監督とご一緒するのは約10年ぶりです。緊張しますが、撮影現場がとても楽しみです。今回演じさせていただく主人公の高倉は、ある未解決事件を追う一方で、妻と暮らす家の周囲で自分たち自身も事件に巻き込まれていきます。身近で起きていてもおかしくない、そんな恐怖を描いたリアルで重厚な素晴らしい脚本です。監督、スタッフ、キャストの皆さんと、誰も見たことのないような恐怖を創り出したいと思っています。<竹内結子コメント>西島さん、香川さんとまたご一緒できる嬉しさもありますが、黒沢組初参加ということで緊張もありつつ、どんな世界なのか、撮影初日を迎える日が待ち遠しいです。<川口春奈コメント>豪華なキャストの皆様とご一緒させていただくのはとても緊張していますが『クリーピー』のゾクゾクとした不気味な世界観にわたしも入っていけるよう、全力で頑張っていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。<東出昌大コメント>憧れの黒沢清監督と、こんなにも早くご一緒できることに驚きはありましたが、大変嬉しく、光栄に思います。クランクインの日が待ち遠しいばかりです。万全の準備をし、現場に臨みたいと思います。<香川照之コメント>今回で4度目の黒沢組となりますが、何年かに一度黒沢組からの依頼が来るたびに、それこそ私は、宝クジに当たったかのごとき恐悦の境地に浸ります。品格に満ち、才知に富み、観客にショックを与える才能と仕掛けに溢れたこの黒沢清監督作品に、四たび、いや五たび相まみえる西島秀俊さんと共に突っ込んで行けることは、さらに私にとって至福の喜びとなるに違いありません。本当に楽しみです。<監督・黒沢清コメント>はっと気づいたら時すでに遅し。すぐお隣で地獄の門が開き、日常がガラガラと音をたてて崩れていく。そんな世にも恐ろしく、かつ胸のすく映画を私は一度撮ってみたかった。<原作・前川裕コメント>国際的にも著名な黒沢監督に、私の作品『クリーピー』の映画化の監督をしていただけるのは、望外の喜びです。そのキャストの豪華さにも驚いています。西島秀俊さんは、今をときめく人気俳優で、私が教える大学生にこのことが知られたらどんなに嫉妬の眼差しを受けるだろうかと、いまから意味不明な優越感に浸っております。「クリーピー」(CREEPY)とは、「(恐怖のために)ぞっと身の毛がよだつような:気味の悪い」という意味。国内外を問わず熱い注目を集める黒沢監督が描く、驚愕のサスペンス・スリラー。身の毛もよだつ“気味の悪い”恐怖を、いまから楽しみにしていて。『クリーピー』は8月より撮影開始、2016年初夏、全国にて公開予定。(text:cinemacafe.net)
2015年07月29日「サントリー オールフリー」より、コラーゲン2000m入りの「オールフリー コラーゲン」が6月30日(火)発売されるのを記念し、森三中の黒沢かずこが29日(月)都内で行われたイベントに登場した。黒沢さんは、「オールフリー」TV-CMシリーズに出演中の黒木華さんと「オールフリー コラーゲン」の新TV-CM「浴衣のふたり」に出演。この日も浴衣で艶やかな姿を見せた。「ひとりでのこういう場には慣れていなくて」と終始緊張しっぱなしの黒沢さんの前にサプライズで登場したのは、黒沢さん憧れの男性である齋藤孝教授。「テレビで見た通り、肌ツヤがいい!25年目の旦那として理想!」と大興奮で語っていると、司会者から「『オールフリー コラーゲン』の美味しさを歌で表現してください。」との無茶ぶりが。「めちゃくちゃ恥ずかしい!」と言いながら歌い出したものの、「おいしーね、おいしーね、おいしーね、夏だよね~♪あれ夏だよねって曲になってしまいました」とやり直し。あまりの勢いに、開場が唖然としていると、「36の独身女が突然大声だしてどうしたんだ?って感じになっていますけど、36の独身女が~たくさん集まって~あ~届いているかーい、届いているかーい、この思い~美味しいコラーゲンのオールフリー コラーゲーン♪」と見事歌に乗せて思いを伝えた。先日、森三中の大島美幸の出産に立ち会ったという黒沢さん。生まれたばかりの赤ちゃんの顔を見て「夫婦と同じ顔の赤ちゃんが出てきたので、この段階から似ていると、大きくなるのが心配。いいお嫁さんが見つかればいいんですけどね」と気の早い心配をしていた。また「笑福(えふ)」くんという名前を聞いた黒沢さんは、「この旦那さんはイニシャルで呼ぶんだ!と思ってびっくりしました。藤子F不二雄さんをイメージしているのかな、と思ったら、そういう名前でした。」と笑顔で話した。新TV-CM「浴衣のふたり」編は 6月30日(火)より全国にて放送。(text:cinemacafe.net)
2015年06月29日黒沢清監督が現地時間の23日、主演に女優の深津絵里と俳優の浅野忠信を迎えた最新作『岸辺の旅』(10月1日公開)で、第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の監督賞を受賞した。黒沢監督にとっては2008年に審査員賞を受けた『トウキョウソナタ』に続く、同映画祭での受賞となる。受賞会場となった満員のドビュッシーホールにて、審査員から「まさに岸辺(彼岸)への素晴らしい旅に連れて行ってくれる、最高の作品でした」との言葉を受けて、壇上に招かれた黒沢監督。登壇した黒沢監督は、「まさにサプライズで、とても緊張しています」とあいさつし、「監督賞は、作品全体の賞であると思っています。すべての俳優、すべてのスタッフに頂いた賞ということで、とても誇りに思います」と続けた。主演の深津と浅野については、「一緒にカンヌに来られただけでも楽しい思い出になりましたが、本日、このような賞をいただいて、さらによい思い出になりました。お二人の力があったから、こうした場に招かれましたし、お二人がいたから初めて『人生』を描くことができました。日本に帰ってから、深津さん、浅野さんと『カンヌ楽しかったね』と盛り上がりたい」と語った。現地時間17日に行われた公式上映では、観客席からのスタンディングオベーションだけにとどまらず、会場の外に待っていた多くのファンからも5分以上のスタンディングオベーションが続き、異例の大フィーバーを巻き起こしていた本作。その様子はフランスを代表する新聞リベラシオン紙でも写真入りで大きく1面で報道され、海外メディアからも、「今年のカンヌNO.1ではないだろうか!」と高い評価を得ていた。映画の原作は作家・湯本香樹実の同名小説で、3年間失踪していた夫・優介(浅野)が妻・瑞希(深津)を連れて、失踪中に世話になった人々を訪ねて行く物語。瑞希はその旅で、それまで知らなかった優介の姿を知ることになる。優介はなぜ突然帰ってきたのか、そして優介が伝えたかったこととは。黒沢監督が"究極の夫婦愛"にチャレンジしている。(C)Kazuko Wakayama(C)2015「岸辺の旅」製作委員会/ COMME DES CINEMAS
2015年05月25日24日(日)まで開催されたカンヌ国際映画祭で、ある視点部門に出品された黒沢清監督の『岸辺の旅』が、同部門の監督賞を受賞した。審査員メンバーは、イザベラ・ロッセリーニを審査委員長に計5名。壇上に上がった監督は、「とても驚いています。こうしたささやかな作品のなかからひとつの輝きを審査員の方に発見して頂いた、そういうことが起こる場所がカンヌなのだと思いました。本当にありがとうございます」と語った。その他の写真また受賞直後の会見では、いまだ興奮冷めやらぬといった様子で、審査員長のイザベラ・ロッセリーニから、「母(※今年のカンヌの公式ポスターの顔になったイングリッド・バーグマン)はずいぶん前に亡くなりましたが、わたしはいまだに母がそばで見守ってくれているような気がしていました。それはわたしだけの特殊な感覚かと思っていましたが、この映画を観てそんなことはないのだと知って驚きました」と、私的な感想をもらったことを明かした。本作は湯本香樹実の同名の小説を、今回が初タッグである深津絵里と浅野忠信主演で映画化したもの。3年前に失踪したままになっていた夫が突然舞い戻り、「俺、死んだよ」と妻に告白する。ふたりは、彼が最後に過ごした場所や時間を巡る旅に出る。これまでも死者を扱ったことのある監督だが、今回は監督にとって初めてのラブストーリーでもある。黒沢監督のファンが多いフランスでは、特に評価が高く、全国紙のル・モンドは「クロサワは、自身の芸術を超越するような素晴らしい成果を見せた」と絶賛した。公式上映に監督とともに参加した深津、浅野は上映の反応に対してそれぞれ、「とても暖かい拍手を感じました。監督のファンの方々が新作を待ち望んでいたような、みなさんの強い集中力が、じわじわと伝わってくる印象を受けました」(深津)、「僕自身、この映画を観ながら家族や友人など大切な人への愛が浮かんできました。そんなひとつの愛の形が海外の人々にも届いたのかと思い、とても嬉しかったです」(浅野)と語った。黒沢はふたりの共演を振り返り、「違うタイプの演技をされるおふたりという印象を受けましたが、それがあるレベルを超えるとまったく違和感がなくなるのだとわかりました。おふたりの力があったからこそ、こうした夫婦の愛の姿を描くことができた。本当に感謝していますし、おふたりにもカンヌを楽しんで頂けたたようで良かった」と、喜びを噛みしめた。取材・文:佐藤久理子『岸辺の旅』10月1日(木)テアトル新宿ほか公開
2015年05月25日