がん保険の一時金(診断給付金)はがんになったら受け取れる、用途が限定されないまとまった資金です。がん保険の中で一番重要な保障と言っても過言ではありません。ただ、使い勝手がいい反面、掛金が高いので金額をいくらにするかなどは悩むところでもあります。今回は診断給付金などの一時金の必要性や有効性についてわかりやすく解説していきます。診断給付金の概要と必要性がん保険の診断給付金とは、がんと診断されたときに支払われる一時金です。特定の治療目的の給付金と違い、自由に使えるため、入院や通院にかかる費用以外に使うことができます。また、がんのために収入が減った時に生活費の補填に使うこともできます。生命保険の死亡保険金以外でこのような大きい金額のお金の給付は他にはありません。しかも、死亡保険金と違い、がんになった人が自分のために使えることも魅力です。診断給付金のメリットがんと診断されただけで、治療が始まる前にお金が受け取れる使途に縛りがなく、個人個人の事情に合わせて活用することができる死亡保険金と違い、非課税がん治療の最近の傾向「手術」「抗がん剤治療」「放射線治療」はがんの3大治療と呼ばれています。放射線治療は通院による治療が主で、抗がん剤治療も通院による治療が急激に増えています。さらに、手術についても鏡視下手術など身体へのダメージが少ないものは入院なしで受けられることがあります。厚生労働省の「患者調査」によると、悪性新生物の平均入院日数は2002年では35.7日ありましたが、2017年には17.1日と15年間で約半分に短期化しています。診断給付金の必要性上記の諸事情を踏まえて、がん診断給付金の必要性の有無を考えていきたいと思います。日本において販売されていた古いがん保険の中で、一時金がなく、入院給付金が主な保障の商品がありました。現在のように外来だけで治療をする場合もあるとしたら、この保険は全く役に立たないことになります。診断給付金であれば、治療費やそれ以外の経済的リスクを広範囲でカバーすることができます。今日の日本の医療事情において診断給付金は、最も有効かつ必要性があると言えるでしょう。がん治療の平均的な費用と診断給付金の目安がんの治療費はどのくらい?がんにかかるお金にどんなものがあるか血液検査やレントゲンなどの検査費用外来での診察費手術費用薬代入院費用通院のための交通費診断書代入院時の日用品などの雑費差額ベッド代食事代実際のところ、いくらくらいかかる?がん政策情報センターによる「がん患者意識調査2010年」のデータによると、がん治療において1年間で実際に負担した費用で最も回答が多かったのは100万円~150万円でした。この結果から、がんの治療費はそれほど莫大なものになる可能性は低いことがわかります。目安になる診断給付金の額は?診断給付金は多いに越したことはありませんが、掛金を無限に負担できるわけでもありません。おおよその費用から「がんになったときに、とりあえず100万円受け取れればかなりの助けになる」と筆者は考えます。治療が始まる前に100万円を受け取っておければ、がんになった精神的ショックも少し落ち着くでしょう。ただし、診断給付金の用途は治療費だけではありません。「がん保険に何を求めるか」で金額は変わってくるはずです。がんを取り巻く諸事情と診断給付金の使い道とはいえ、やはり使い勝手のいい一時金はなるべく多く受け取りたいものです。なぜなら、治療費以外にがんについては考えておくべきお金のことがあるからです。[adsense_middle]治療費だけではない、一時金の使い道一般的なイメージではがん保険の給付金は入院費やその他の治療費が目的と考えられているようです。しかし、診断給付金の使い方にはそのような縛りはありません。場合によっては自由診療を受ける可能性も筆者の知人でがんになり、抗がん剤の投与で副作用が出たため、抗がん剤専門の医師のいる県外の病院へ転院した人がいました。その場合、交通費以外にそれまで外来で受けていた治療を入院で受けるなど、自己負担もかなり大きくなりました。さらに、抗がん剤で自由診療の薬を使っていましたので、かなり高額な費用だったと考えられます。けれども、がんにかかって「治りたい、元気になりたい」との思いから、高額な療法を選択するケースも十分考えられます。そんな場合、診断給付金に余裕があればそのような療法を選択することができます。今、注目の「免疫療法」とは?免疫療法とは人間の身体に備わっているがん細胞等の異物を取り除く免疫機能を利用した、がんの治療法です。免疫療法には様々な種類があり、研究開発が進められています。今、注目されている「オプジーボ」は免疫療法で使われる薬剤です。オプジーボは非常に高価(年間1000万円以上)なことで知られていますが、一部のがんについては健康保険が適用されるようになりました。それ以外については保険適用外の自由診療になります。仮にオプジーボを投与する場合、診断給付金だけでは費用はまかないきれませんが、薬代の一部に充てることはできそうです。ちなみに商品によっては診断給付金の最高額が1000万円くらいにできるものもあります。利用する可能性が高い、高額療養費が使えない場合も考えておくがんの医療費は高額になる場合が多く、健康保険で自己負担が3割だとしてもまだ大変なケースもあります。そんな場合のために公的健康保険には「高額療養費」という制度があります。高額療養費制度とは?高額療養費制度とは公的健康保険において、医療機関でかかった医療費の自己負担額が1カ月で一定額を超えた場合に、その超えた金額が支給される制度です。がんの治療をする場合、利用する可能性が非常に高い制度です。高額療養費制度の例70歳未満で、標準報酬月額が28万円以上~50万円未満の方に100万円の医療費がかかった場合を例にあげます。健康保険の自己負担額は3割の30万円です。このケースは高額療養費の対象で、自己負担限度額は8万7430円になります。高額療養費の支給額は21万2570円となります。月をまたぐと対象にならない場合もある高額療養費の判断の基準は暦月の1ヶ月単位です。例えば自己負担額が15万円だったとします。同一の月であれば高額療養費の対象になります。ところが、例えば前月7.5万円、今月7.5万円の場合だとどちらの月も対象になりません。必ず高額療養費が使えると思っていたら当てが外れた、ということもありうることに注意が必要です。このような場合にも、がん保険からの診断給付金や治療給付金があると助かります。治療が長びいた場合、医療費以外の経済的リスクが発生がんの費用の自己負担分が年間100万円もあったときに保険に入っていなければ、かなり経済的に苦しくなるでしょう。さらに、治療が長びいた場合、高額療養費制度を利用しても自己負担はかさんでいきます。病気のために働けなくなるリスクがんになると、高額な医療費負担だけでなく、療養中は働けず収入が途絶える可能性も高くなります。会社員の場合、健康保険に傷病手当金の制度があるため、休職しても月給の約2/3を1年6ヵ月にわたって受け取ることができます。ありがたい制度ですが、生活費は変わらないのに医療費もかかる状況で、収入が2/3になってしまうのは大変なダメージです。しかも、自営業者やフリーランスには傷病手当金のような所得を補償する制度もありません。がんが長びくと収入減への対策も必要になる例えば、ある世帯の1カ月あたりの生活費が25万円だったとします。仮にがんで1年働けないとしても、その間の生活費は300万円、医療費が100万円かかります。傷病手当金のない自営業者やフリーランスなら、まるまる400万円を自己負担しなければならないというわけです。男性、女性に限らず世帯の収入の担い手にとって、収入減への対策は不可欠といえるでしょう。そのような場合でも、がん保険の一時金なら収入減をカバーすることもできます。乳がんで乳房を失ったときの乳房再建乳がんの手術で乳房を失うと身体のバランスが悪くなって肩が凝ったり、喪失感にさいなまれたりする女性は多いです。乳房を再建することで、これらの問題を解決もしくは軽減することができます。乳房再建手術の費用は健康保険の適用対象です。自己負担分は片側でおよそ10万円から40万円くらいです。がん保険の中には乳房再建費への保障がある商品もありますが、そのような保障がなくても診断給付金で費用を賄うこともできます。抗がん剤の副作用で髪の毛が抜けた場合抗がん剤の副作用で脱毛した場合、治療が終われば髪の毛は生えてきます。それでも、脱毛中に他人に会う場合など、気持ちが落ち込むことも多々あるでしょう。そんなときに医療用ウィッグ(かつら)は、自分らしく生きていく助けになります。診断給付金があればかつらを買うこともできます。保障と掛金のバランスの見極めが、がん保険最大のポイント以上を踏まえ、がん保険の保障を最適にするにはどうすればいいかを検討します。診断給付金の受取り回数をチェック診断給付金を保障のメインに放射線などの治療給付金も有効先進医療は必要保険料払込免除もあったほうがいい通院給付金はできればほしい費用対効果の高い保障を組み合わせる[adsense_middle]診断給付金の受取り回数をチェック診断給付金の支払いが初回限定か複数回無制限かはがん保険選びの最重要ポイントです。現在、売れている商品の中には一時金の支払いが1度だけのものがあります。それに対し、治療が続く限り一時金を毎年受け取れるという商品もあります。女性に多い乳がんなどは5年生存率が高い反面、再発・転移のリスクも高いため長期にわたる治療を覚悟しなくてはなりません。仮に再発した場合に「もう大きな金額の一時金は支払いません」という保険では役に立ちません。ゆえに、一時金が何回でも支払われることは必須です。診断給付金を保障のメインに診断給付金は、がん保険になくてはならない必須の保障です。がんと診断されたらすぐに、自由に使える大きい金額のお金が受け取れるのです。公的医療保険が使えない自由診療だけでなく民間療法にも使えます。また、がんによる収入減のカバーにもなります。仮にがんにかかって保険の入り直しができなくても、一時金を何回も受け取ることができれば、がんの医療事情の変化にも対応できるでしょう。診断給付金は、自営業者やフリーランスの場合はできれば200万円くらいほしいところですが、掛金が高くなるのがネックです。放射線などの治療給付金も有効最近のがん治療は抗がん剤、ホルモン剤、放射線の割合が高くなってきました。これらを外来で行うことが多いため、従来のがん保険の中心だった入院給付金より抗がん剤給付金や放射線治療給付金などのほうが有効です。そうした治療給付金を付ける場合、長びく治療に対応するため、回数が無制限のものを選びましょう。先進医療は必要先進医療は、重粒子線治療などがんに関わるものが多く、費用も数百万円になります。医療保険などに付いていれば十分ですが、基本的には必要な保障です。掛金も安いため、付けるか付けないかを検討するまでもないでしょう。もし、自分にとって有効な治療なのにお金が払えないために諦めざるを得ない、そんなことにはならないようにしたいものです。通院給付金はできればほしい通常、医療保険の通院給付金は「入院後の通院のみ保障」です。これに対し、がん保険の場合、入院後に限らず通院のみで保障される通院給付金も多いです。このタイプであれば、掛金があまり高くならなければ付けて損はないと思います。抗がん剤や放射線の治療は通院で行われることが多いためです。保険料払込免除もあったほうがいいがん保険の払込免除特約は、「診断確定で、以降の保険料の払込を免除する」というもので、上皮内新生物は対象外の場合が多いです。がんにかかったら給付金があるとはいえ、掛金を払い続けることが困難な場合もあるでしょう。終身払いで、掛金があまり高額でない場合は付けておきたい特約です。費用対効果の高い保障を組み合わせる以上、診断給付金を中心にがん保険の有効な保障をご紹介しました。一時金は医療目的だけなら100万円、生活費にも充てたい場合は200万円などと考えていきます。男性は50代以降、がんにかかる確率と掛金の両方が高くなります。あまり負担感の大きくない掛金で効果的なの保障の組み合わせを検討しましょう。また、がん保険は保険料の安い若いうちに加入したほうが有利です。がん保険の一時金(診断給付金)についてのまとめがん保険の診断給付金は必要不可欠な保障です。がんの医療事情が変わっても自由に使える一時金があれば、がん保険が役に立たなくなることはありません。掛金とのバランスを考えて最適な一時金を設定してください。
2020年03月09日痛い、費用が高い、そもそも見つけにくい……。多くの問題を抱えていた従来のがん検査。それを次々とクリアするような技術が開発され、これからは「早期発見・早期治療」が限りなく可能な時代へ!ーー。1月6日、たった1滴の「尿」から、がんの有無を見分ける検査法がついにスタートした。その検査法とは、線虫の一種である「シー・エレガンス」という体長約1ミリメートルの生物の嗅覚を利用した「N-NOSE」だ。この線虫には、犬の約1.5倍の嗅覚がある。資料写真では、シャーレにがん患者の尿を垂らしたところ、その尿に向かって線虫が集まっていく様子がとらえられている。この線虫、健常者の尿からは逃げていくという性質を持っている。「早期がんを含むがん患者と健常者の尿を採取し、計1,368名を対象にした基礎研究を行ったところ、ステージ0〜1のがん患者を85%、ステージ4で91.7%の確率で見分けるという結果を得ました」こう語るのは「N-NOSE」を運営、事業展開するHIROTSUバイオサイエンス広報担当・永溝はるかさん。現在、線虫が反応することがわかっているがんは15種類(胃、大腸、肺、乳、膵臓、肝臓、前立腺、子宮、食道、胆嚢、胆管、腎臓、ぼうこう、卵巣、口腔・咽頭)。開発したのは、同社代表の広津崇亮さん。同氏は、九州大学大学院の助教時代に、線虫ががん患者の尿の臭いをかぎ分けることを証明した生物学者。’16年に実用化に向けて独立し、同社を設立した。生物によってがんの有無を診断するのは「N-NOSE」が世界初の技術だというが、私たちもこの検査を簡単に受けることができる。まず、「N-NOSE」を導入している医療機関や検診センターに、検査の申し込みをして尿を提出する。そして、HIROTSUバイオサイエンスの検査センターにて、その尿を使って線虫検査が実施され、2週間後にがんの有無が報告されるという、非常にシンプルなシステムだ。「N-NOSE」のメリットは、その簡単さだけでなく、費用面にもある。検査費用は、9,800円(税別・保険適用外)。薬剤を体内に投与して全身のがんを検査する「PET検査」の場合、10万円前後の費用がかかるのに対し、こちらはかなり格安といえるのだ。今回の実用化にあたり、すでに法人や健康保険組合などからの問い合わせが殺到しており、一般対応は1月中旬以降、同社のホームページ上で、取り扱い施設を順次公開するとのこと。現状では、この検査はがんの有無の判別にとどまるが、’22年を目標に、まずは膵臓癌の特定を目指しており、実用化に向けてすでに実証実験に取り組んでいるそう。「早期のがんにも反応するので、リスクが高いという結果が出ればこれまで検診に行かなかった方も受けようと思うはず。そういう流れを作る検査になっていけばよいと考えております」(永溝さん)初年度で25万検体を目標にしており、今後は国内だけでなく、海外でも事業展開していく予定だ。健康診断のオプションで検査が受けられる日も近いかも。「女性自身」2020年1月28日号 掲載
2020年01月19日人生において訪れるさまざまな転機。なかでも“大きな病気”と向き合うには相当な覚悟が必要です。ここでは、「がん」を経験したことが、その後の生きる糧となった方のお話を紹介。葛藤の日々の先には“新しい私”との出会いがありました。■田中愛子さん(39)・暮らしの保健室かなで「がんカフェ」代表「副作用って、個人差があると思うんです。みなさんは、この薬は本音ではどうでしたか」「実は私、最近、自分がいなくなったあとのことも考えてしまうんです。具体的にはお葬式とか」毎月第1火曜日の11時から15時30分まで、江戸川区松島にある「暮らしの保健室かなで」で開催される“がんカフェ”。がんを体験したサバイバーや、がんと診断され不安を抱えた人、その家族、医療関係者などが集まり、情報交換や相談をする場だ。このカフェを作ったのが、田中愛子さん。自身も、がんサバイバーだ。「32歳で乳がんの告知を受けたとき、最初に考えたのが、49歳で大腸がんで亡くなった父親のこと。がんイコール死でした。手術後に抗がん剤治療を始める前は、将来に備えて、卵子の凍結保存なども検討しましたが、80万円という高額な費用に断念しました。コンサルティングをやっていた職業柄、情報収集も得意のはずでした。しかし、孤独感や死の恐怖など、体験した者でしかわからない悩みが、より深刻でした」職場復帰後、自身の体験を社内報につづると大きな反響があった。「がんを体験しても、ふだんはそのことを隠して生活している人が多いんだと改めて知りました。だったら、そんな人が気軽に集まれる場所を作ろうと思ったんです」’16年2月、「ハッピーライフ・ウィズ・キャンサー」をテーマにがんカフェがスタート。参加費用は、フリードリンク300円のみ。「女性患者同士で手術後の傷を見せあったりも。いちばん知りたいことですよね。私自身、がんカフェでの体験を通じて、人生の優先順位が明確になりました」がんカフェには、関東一円や京都などから参加者30人ほどが集まる。カフェのスタートからわずか2カ月後にがんの再発が見つかったが、それを機に新たに“再発転移の会”も作った。「今後は“働くがん患者の会”も平日夜に開催したい。暗い表情で参加した方が、帰るときには少しだけ笑顔を取り戻している。『救われました』と言ってくれる人が1人でもいる限り、がんカフェは続けます」「女性自身」2019年12月24日号 掲載
2020年01月04日10月18日、がんに関する発表があった。’16〜’17年の2年間にがんになった20〜39歳の約8割が女性で、その原因は子宮頸がんや乳がんの増加にあるというのだ(国立がん研究センター・国立成育医療センター)。こうしたデータを見ると、「娘もがん保険に加入させなきゃ」と思う人もいるかもしれないが、本当にがん保険は必要なのか。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。■1回3,349万円の新薬が約40万円に3つのポイントを見てみましょう。【1】データの分析まず、20〜39歳でがんになる割合を考えましょう。20〜39歳の人口は約2,860万人に対して、がんになった方は約1万8,000人。つまり、がんになるのは20〜39歳の0.06%と少数です。(’15年・国立がん研究センター)。若いがん患者の約8割が女性とは驚きですが、実は、レアケースの内訳だと冷静に受け止めましょう。【2】がんの治療費がん治療は高額になるイメージがありますが、実際のところは?たとえば乳がんの方の入院費用は平均約74万円です(’18年度・全日本病院協会)。3割負担だと約22万円になりますが、高額療養費制度を利用すると、自己負担は一般的な収入の方で月9万円ほど。ただ「先進医療が必要になったら、保険適用外だから高額になる」と心配する方もいるでしょう。しかし、先進医療はどんどん保険適用に組み込まれてきています。たとえばオプジーボ。当初は患者1人当たり年間3,500万円かかると話題になりましたが、’14年から保険適用になりました。’16年からは重粒子線や陽子線の治療が、今年5月には1回3,349万円の白血病治療薬キムリアにも保険適用が広がっています。さらに来年度中には、遺伝性の乳がんの再発予防治療も保険適用になるようです。保険適用になると、高額療養費制度が利用できます。超高額なキムリアも、自己負担は約40万円に抑えられます(一般的な収入の方)。安全性や治療効果などが定まった先進医療は、保険適用に格上げされるため、ほとんどのがん患者は保険のきく治療を受けています。【3】医療保険やがん保険の給付金がんで入院したら、給付金はいくら受け取れるのでしょう。最近の保険料が手ごろな医療保険は、入院給付金が60日までというものが多いです。とすると、入院日額1万円としても、最大60日分で60万円。これに手術一時金が20万円付いても、受け取る給付金は合計80万円。この程度なら貯金でまかなえる方も多いでしょう。また、がんの平均入院日数は16.1日で、乳がんだと11.5日です(’17年・厚生労働省)。入院期間が短いので、入院給付金も少なくなります。保険はがんにならないお守りなどではなく、単純にお金の備えです。加入には、治療費と自分の貯蓄、支払う保険料と受け取る給付金などの比較検討をしてください。若い女性にがんが多いというのは心配です。若いからと油断せず、早期発見のため、みんなでがん検診を受けましょう。
2019年11月15日「乳がんは近年、よく治るようになりました。私の患者さんのなかには再発・転移をしても、治療を受けてその後、十数年がんが出てこない人、治療を終えてから出産する人も珍しくはなくなりました」そう話すのは、国際医療福祉大学三田病院乳腺センター長などを歴任、現在はよしもとブレストクリニックを開業し、数千人の乳がん女性と向き合ってきた吉本賢隆先生。発見され、数カ月で命を落としてしまう人もいる一方、再発・転移しても結果的に生還する人がいる。がんは部位やケースによって、まったく違う病気のようだ。「統計精度の問題はあるが、がん全体の生存率は7~8年前と比較すると、おそらく上昇しているといえると思います」こう語るのは、国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センター長の東尚弘先生。そこで本誌は、国立がん研究センターがん対策情報センターで8月に公表された、「がんの部位別・5年生存率」をもとに、がんの部位別に専門医から傾向と対策を聞いた。【子宮頸がん】子宮頸がんは全ステージで5年生存率75.3%と、治りやすいがんと言えそう。成城松村クリニック院長・松村圭子先生は、子宮頸がんには、早期発見が重要と指摘する。「子宮頸がんで亡くなる人は、長年細胞診を受けていないため早期発見ができず、手遅れになってしまうケースが多いのです。子宮頸がんは、性交渉によって感染するHPV(ヒトパピローマウイルス)が原因であることが判明しており、20代の患者が罹患するなど、若年化が顕著です。住民検診で推奨されている、2年に1度の子宮頸がんの細胞診(検診)を受けておけば、がんになる手前の、前がん病変もすくい上げることができるのですが」子宮頸がんは、前がん病変、あるいはステージ0期であれば、部分切除が可能であり、ほぼ100%完治を目指せる。またステージ1期であっても、子宮を温存できれば、その後の妊娠・出産は可能になる。乳がん同様、治りやすいがんの代表格でもあるのだ。【子宮体がん】この十数年、子宮頸がんの罹患数に匹敵するほど急増しているのが子宮体がん。5年生存率は全ステージで82.1%と、治りやすいがんといえそう。やはり子宮頸がんと同じく、早期発見が重要だ。不正出血など兆候があれば、速やかに検査を受診することが重要、と松村先生は言う。「子宮体がんの多くは、乳がんと同じくエストロゲンの過剰刺激によって発症するので、生涯の月経回数が多い、すなわち妊娠・出産回数の少ない人が高リスクになります。早期発見・治療につながれば、治りやすいがんともいえます」「治りやすいがん」は早期発見が鍵になるということだ。しかし、検診で早期発見をすることについて東先生は次のように語る。「どんながんでも早期発見が有効かというと、そうではありません。がんによっては、早期発見できたとしても有効な治療ができなかったり、逆にそもそも進行が非常に遅いがんの過剰診断であったり、やみくもに検診を進めると、ただ『がん患者である』という状態を長くするだけになってしまうこともあります。それを防ぐため、検診の有効性は発見率だけでなく死亡率の減少で証明をします。私が強調したいのは、そうして有効性が確立されている『対策型検診』は受けてほしいということです」この対策型検診は、厚生労働省のHPなどで公開しているが、40歳以上の大腸がんの便潜血、40歳以上の乳がんのマンモグラフィー、20歳以上の子宮頸がん細胞診などである。
2019年11月14日ファイナンシャル・プランナーの黒田尚子さんは、がんサバイバーです。「がんは『情報戦』とも言われでいて、私ががん告知のショックから比較的早く復活できたのは、『がん=死病ではなく、治る可能性も高い』という知識があったためです」と、言います。今回は、がんになった時、安心して治療に専念できるよう、お金についてのお話しを伺いました。この記事は、 「妊娠中に、がんが見つかったら!?「がんは情報戦」に役立つ4つの知識」 「ママががんになってしまった…治療は? 子どもへの告知は?」 の続きです。■がんにかかる医療費はいくら?「一般的に、がんでかかる医療費は、100万円~200万円くらいと言われています」(黒田さん)。「がんと診断されたら一時金100万円!」などという、がん保険の広告を目にしたことはありませんか? これは、裏を返せば「がん治療●万円くらいかかるから、準備しておいた方がいいよ」ということなのです。医療費が具体的にどれくらいかかるか知りたい場合は、特定非営利活動法人・東京地域チーム医療推進協議会(Team Net)が運営している「がん治療費.com」で、がんの部位・進行度別の治療費の見積もりがわかります。》 「がん治療費.com」 ■がんにかかるお金、医療費以外はいくら?がんになった場合、必要なお金は医療費だけではありません。がんにかかるお金のうち、医療費以外のお金を整理してみましょう。■「かかる費用」と「かける費用」の見極めを!医療費以外のお金は「かかる費用」というよりは、自分の意思で「かける費用」に分類できるものが多く含まれており、お金をかけようと思えば、無制限にかかる支出です。反対に言えば、手持ちのお金でまかなえる範囲で済まそうと、割り切って考えれば、圧縮することもできるはずの費用でもあります。「がんにかかるお金を考えるときは、それが『かかる費用』なのか、『かける費用』なのか? を分けて考えることが大切です」(黒田さん)。■がんにかかるお金のベースは「公的保障」そして、もう一つ知っておいて欲しいことは、公的保障のことです。私たちの生活は、がんに限らず、さまざまな場面で公的な制度でカバーされています。がんにかかるお金も、「公的保障」をから考え始めてみると良いかもしれません。<がんの経済的リスクに備える方法>この時に大切なことは、制度やしくみを知っているかどうかがです。制度やしくみを簡単にまとめました。今は、「検索キーワード」を知っているかが大切ですね。【困ったときに利用できる公的制度】●がんの医療費で困ったとき・公的医療保険のしくみを理解する・各種公的医療費助成制度・国民健康保険の自己負担減免制度●がんの医療費が高額になったとき・高額療養費制度・高額介護合算療養費・組合健保(付加給付)●お金(医療費や生活費)を借りたいとき・高額療養費貸付制度・生活福祉資金貸付制度●がんで休職したとき・傷病手当金●がんで失業したとき・雇用保険の基本手当●がんで障害が残ったとき・障害年金・身体障碍者手帳●医療費を税金で取り戻したいとき・医療費控除●とにかく生活に困ったとき・生活保護■「ママの保障を見直ししすぎない」ことも大事前の図のとおり、がんの経済的リスクに備える方法は、「公的制度」→「預貯金」→「民間保険」です。けれども、30代で預貯金が充分にある人は少ないでしょう。そんな場合は、民間の保険加入について、どんなふうに考えたら良いのでしょうか?「妊娠・出産で、保障の見直しをするご家庭はとても多いですよね。よくあるパターンは、『パパの死亡保障を手厚くしたい』『子どもの学資保険に加入しておきたい』というケース。それ自体はまったく悪いことではないのですが、その分の保険料をどこから捻出するか? というときに、ママの保障を減らして、つまりママの保険を見直ししすぎてご自身がノーマークになってしまう方も多いんです。私は、『ママの保険を見直ししすぎないで!』と、お伝えしています」(黒田さん)。■ママのがんが心配ならママの保障を見直ししすぎない。一理ありますね! 「もしも…」ということも頭を片隅に置いて、安い掛け金の保険でちょっとした備えをしておくのもアリかもしれません。最後にそんなニーズにフィットする保険を3つご紹介します。▼がんに備えるおすすめ保障●「アクサダイレクトのがん定期」/アクサダイレクト生命(株)(月額保険料920円 保険料払い込み期間10年)保険料を抑えて、一定期間のがん保障を確保したい人向き。がん入院給付金日額1万円の場合、初めてがんと診断されたら100万円もらえる。●「女性のためのミニがん保険980」/医師が考えた少額短期保険(株)(月額保険料980円)とくに女性特有のがんを手厚くしたい人向け。乳房、子宮、卵巣がんと診断された場合、80万円の診断一時金が受け取れる(それ以外のがんの場合は50万円)●「メディフィットEX」/メディケア生命(株)(通院時代のおくすり保険)(月額保険料935円 ※3疾病タイプ)入院よりも通院保障を確保したい人向き。乳がんになってホルモン治療を5年間続けた場合(1か月処方)、最大で300万円もらえる(抗がん剤治療給付金額月額5万円の場合)。がん以外の3疾病または9疾病の薬も保障。※保険料は、『30歳女性・2019年6月時点』にて試算いかがでしたか? がんは、わずかな知識と行動で、大きく運命を変えられる病気です。この連載を通じて、それが少しでも伝わるとうれしいです。 ■今回のお話を伺った黒田尚子さんのご著書 『がんとお金の本』 黒田尚子さん/ビーケイシー(1,620円(税込))●黒田尚子(くろだ なおこ)さん1級ファイナンシャル・プランニング技能士。2009年乳がん告知を受け、2011年に乳がん体験者コーディネーター資格を取得。自らの実体験をもとに、がんをはじめとした病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行う。現在は、各種セミナーや講演・講座の講師、新聞・書籍・雑誌・Webサイト上での執筆、個人相談を中心に幅広く行う。
2019年07月20日「『もしかして、自分もがんになるかも…』と思った人勝ちですよね」というのは、がんサバイバーであり、ファイナンシャル・プランナーの黒田尚子さん。※「がんサバイバー」とは、がんと診断された人、治療中の人、またその家族も含めたがんを体験した人を指します。情報は、力です。いざというときに慌てないよう、あらかじめ知っておいた方が良い情報はあります。今回は、黒田さんが「がん患者の世界」に足を踏み入れた頃のお話しから伺いましょう。この記事は、 「妊娠中に、がんが見つかったら!?「がんは情報戦」に役立つ4つの知識」 の続きです。■「がん」告知ってどんな感じ?<黒田さんの場合>黒田さんが乳がんの告知を受けたのは、富山にある女性医療専門のクリニックでした。医師から「検査の結果が出ました。簡単に言えば、乳がんですね」と事実を淡々と告げられたそう。「告知を受けたとき、困難な局面のときこそ笑えという教訓を思い出し、主治医が話している間も、なんとか笑顔を浮かべようとしていました」(黒田さん)そんな黒田さんの態度が不審に見えたのか、主治医からは、「大丈夫ですか? ちゃんと、わかってます? あなたの状況は、『早くがんが見つかってよかったね』というレベルじゃないんですから、しっかり治療に専念してくださいよ!」と、念押しされたとか。黒田さんはもそうだったように、ほとんどの人は、がん告知を受けるとパニック状態に入り、頭が真っ白になるといいます。「がんと告知されてパニックになるのは、精神的な初期反応としてはあたり前だということを、ぜひ、最初に覚えておいて下さい」(黒田さん) ■がんの治療法判断は、慌てず、あせらず黒田さんは、さらに教えてくれました。「がん種類や進行度にもよりますが、通常、たとえ数日や数週間、治療を行うのが遅れても、急に容体が悪くなったり、がんが進行したりするものではありません」(黒田さん)なるほど! こういった知識が頭の片隅にあるだけで、ショックの受け止め方が違ってくるかもしれませんね。「患者さんの多くは、『がんは進行する病気」という認識があるため、がんと告知されると、一日も早く治療を始めなければと追い込まれた気持ちになります。一部のがんを除き、多くの場合、がんは何年もの時間を経て大きくなっているといえます。ですから、早期発見、早期治療といっても慌てず、治療方法を十分に理解し、自分で納得して治療を受けることが大切です。」出典: 静岡がんセンター 「がんに限らず重大な決断を迫られたときは、安易に即決しないことは大切です。『結果はわかりました。今後の治療法については、落ち着いて家族とも相談したいので、また後日相談に伺います』などと、冷静に判断するための時間を持つことをお勧めします」(黒田さん) 不安な人は、精密検査の結果を聞く際(つまり、がん告知を受けるとき)に、家族や親しい人と一緒に話を聞く、あるいは情報を得るのも良いかもしれませんね。■ママががんになったとき、子どもへの告知どうする?ママの場合、子どもへの告知も考える必要があります。子どもは大人が考えているよりも、周囲の状況や様子をよく理解しているものです。黒田さんも、当時5歳だった一人娘に「がん」を、どのように説明したらよいか? は、悩みました。「アメリカのKNIT(ニット Kids Need Information Too)というプログラムでは、子どもに親のがんを知らせるときに、念頭に置くこととして次の3つの「C」を提唱しています」(黒田さん)<子どもに伝えるときに念頭に置く3つの「C」>1)Cancer(がん) :がんという病名を隠さないこと2)not Catchy(うつらない):がんが他の人に感染する病気でないこと3)not Caused(引き起こされたことでない):がんは子供や親のせいでないこと日本では、がん患者である親を持つ子供をサポートするための「Hope Tree(ホープツリー」というサイトがあります。》 「Hope Tree(ホープツリー」 ■がんを告知されたときに考えたいこと黒田さんは、がんの告知を受けたときよりも、「あなたの5年生存率は、50%ですよ」と余命宣告を受けたときの方が、ショックだったそう。「娘は5歳。あんな小さな子を残して、どうして、たった5年で死ねる? そりゃ、まずいでしょ!」と。「ママががんになってしまったときに考えるべきこと」を、黒田さんに教えていただきました。万一、がんになったときに「たしか、そんな記事、読んだこともあったな」と思い出していただけるといいなと思います。そのとききっと、頭が真っ白になっているでしょうから、これを「杖」にして、気持ちを立て直していかれることを願っています。【がん告知後のチェックポイント】●がん(病気)について・どこの病院で治療を行うか(セカンドオピニオン、転居の有無)・どのような治療を行うか・病気を含め、心配事について相談できる人はいるか●仕事・お金について・誰に、どのように(どこまで)カミングアウトするか・「がん」のことを、(幼い)こどもにどう説明するか・入院・治療の間の子供の育児や親の介護をどうするか●家族・友人・職場について・仕事を続けるか(仕事の引継ぎ、休職・退職)・治療費をどう捻出するか・自分の加入している保険(がん保険等)の保障はどうか出典: 『がんとお金の本』 ■「がんは情報戦」の本当の意味とは?がんは、「情報戦」とも言われています。黒田さんが比較的早く、がん告知のショックから復活できたのは、日ごろ、がん保険などをアドバイスする上で、「がん=死病ではなく、治る可能性も高い」という知識があったためだそうです。黒田さんは、言います。「おそらく私たち(患者)は、『主治医が患者のあらゆることを考えて、一番良い治療をコーディネートしてくれるハズ』と思い込んでいます。でも、自分ががんになってみて、『それはちょっと違う』ということに気がつきました」たとえば、乳がんになって「乳房温存」を希望する患者に対して、主治医は全摘した方が良いという判断をしたとします。この場合、患者のために最善の治療をアドバイスしたにもかかわらず、患者にとっては、意に沿わない治療方法ということになります。「治療が進んで、あとから『こんなはずではなかった』と後悔することのないよう、『自分はこうしたい!』という意思をきちんと主治医に伝えて、患者が、自分の治療に対して主体的に判断していくことが大切だと実感しました。そのためにも、必要な情報を集めることがとても重要なのです」治療に対して、自分で主体的に判断する。そのために情報とともに必要なものは、安心して治療に専念できるための「お金」です。次回は、がんのお金についてお話しを伺います。 ■今回のお話を伺った黒田尚子さんのご著書 『がんとお金の本』 黒田尚子さん/ビーケイシー(1,620円(税込))●黒田尚子(くろだ なおこ)さん1級ファイナンシャル・プランニング技能士。2009年乳がん告知を受け、2011年に乳がん体験者コーディネーター資格を取得。自らの実体験をもとに、がんをはじめとした病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行う。現在は、各種セミナーや講演・講座の講師、新聞・書籍・雑誌・Webサイト上での執筆、個人相談を中心に幅広く行う。
2019年07月19日がん保険は、保障が一生涯続く終身型のがん保険と、保障される期間が限定されている定期型のがん保険の2つに大きく分けられます。終身型のがん保険は、終身がん保険とも呼ばれ、現在がん保険を販売している保険会社の多くは、終身がん保険が主流になっています。そこで本記事では、終身がん保険に加入するメリットやデメリットを中心に定期型のがん保険との違いについて解説を進めていきます。終身がん保険とは上記は、アフラックが、がん経験がある人に対して質問をした回答を引用したものとなりますが、がん治療などで実際にかかったお金は、少なくとも50万円から300万円を超えた場合など、実際にかかったお金に大きな開きがあることが確認できます。なお、がん治療のお金に大きな開きがある理由として以下のようなことが考えられます。がん治療のお金に大きな開きがある3つの理由がん治療のお金に大きな開きがある主な理由として、以下の3つの理由が考えられます。がんの進行状況(ステージ)やがんにかかった身体の部位による理由がん治療の長期化(再発・転移)による理由がん治療を行っている病院の治療方針(保険適用外の治療など)による理由上記3つの理由によって、がんの治療にかかるお金には大きな開きが生じると考えられ、がん保険に加入してがんの治療費をまかなうためには、終身がん保険をはじめとした特徴を知るだけでなく、がん保険の選び方もしっかりと知っておく必要があると言えます。終身がん保険の選び方終身がん保険は、医師からがんと診断されてがんが確定した時にまとまった保険金が受け取れる一時金給付と、がんで入院、手術、通院などをした場合に保険金が支払われる治療給付に大きく分けられる特徴があります。終身がん保険を選ぶ上では、一時金給付と治療給付の違いを知り、どちらの給付を重視するか比較検討することが大切です。終身がん保険に関するまとめ終身がん保険は、現状、どの保険会社においても、がん保険の主流となっているため、メリットやデメリットといった特徴から保険料の支払方法まで幅広く知った上で自分に合った商品を選ぶことが大切です。また、がん保険に加入するそもそもの目的は、万が一がんにかかってしまった場合の備えであるはずですから、定期型のがん保険やがん特約のように保障される期間が限定されるものは、加入目的や合理性に欠けるものと思われます。
2019年07月18日がん保険は、がんの治療に特化した生命保険のことを言い、仮に、がんにかかってしまった場合の治療費補填に大きな効果を発揮します。その一方で、がん保険は、がんに対してのみ保障が有効であるため、他の病気にかかった場合にがん保険から保障されないといった大きなデメリットもあります。そこで本記事では、保障に偏りのあるがん保険の選び方について、できる限り失敗しないポイントの解説を進めていきます。がん保険の種類と特徴がん保険の選び方を解説する前に、まずはがん保険の種類と押さえておくべき特徴をここでは紹介していきます。がん保険の契約をする前に、どのようながん保険がご自身のニーズに沿っているか確認することが大切です。がん保険の主な種類と違いがん保険には、大きく終身型のがん保険と定期型のがん保険があります。終身型のがん保険は、保険期間(保障期間)が、基本的に死亡するまで続き、保険会社によっては、がんになった場合、以後の保険料の払込をしなくてもよい払込免除が加入当初から自動的に付帯されている場合が多くなっています。定期型のがん保険は、保険期間(保障期間)が一定期間となっており、たとえば、10年間や60歳までのように、契約時点で定めた時期に達すると保障が終了する特徴があります。現状、終身型のがん保険が主流です。がん保険の特徴がん保険は、がんの治療に特化した生命保険といった特徴がありますが、ここでは、この特徴以外に押さえておきたいポイントを個別に解説していきます。がん保険に加入したとしても、医療保険などのように保障がすぐに開始されないがん保険の保険料は、基本的に掛け捨てがんになってから、がん保険に加入するのは困難1年間に支払ったがん保険の保険料は、生命保険料控除の対象【がん保険の特徴①】がん保険に加入したとしても、医療保険などのように保障がすぐに開始されない通常、終身保険や医療保険などの生命保険は、原則として、保険会社が加入の申し込みに対して引き受けをした場合に保障が開始されることになります。ただし、がん保険の場合は、保険会社を問わず、約3ヶ月(90日)の免責期間を設けており、この期間は、保険料を支払っているのにも関わらず、保障がされない条件が付されます。これは、がんの疑いのある人が、駆け込みでがん保険に加入するのを防止する目的もあるためです。【がん保険の特徴②】がん保険の保険料は、基本的に掛け捨てがん保険は、終身型と定期型のがん保険があることを紹介しましたが、終身型のがん保険で保険料払込期間を定めていない場合の保険料は掛け捨てになります。また、がん保険は、がんにならないと保障がされることはありません。この辺をよく理解し、仮にがんにならないで一生を終えた場合、これまで支払ってきたがん保険の保険料は無駄になってしまうことを割り切った上で加入の検討をする必要があります。【がん保険の特徴③】がんになってから、がん保険に加入するのは困難がん保険は、基本的に健康な人が加入できるものになり、生涯を通じてがんになったことがある人は、基本的にがん保険に加入することは困難です。保険会社の中には、持病があっても加入することができる引受基準緩和型のがん保険や、アフラックの「生きるためのがん保険 寄りそうDays」のように、がんを経験された人でも加入できるがん保険もありますが、保険料や保障内容は、一般のがん保険よりも劣る点に注意が必要です。【がん保険の特徴④】1年間に支払ったがん保険の保険料は、生命保険料控除の対象1月1日から12月31日までの1年間において、がん保険の支払った保険料は、生命保険料控除の介護医療用として所得控除の対象になるため、所得税および住民税の税金額を軽減させられる効果が得られます。[adsense_middle]がん保険の選び方で押さえておくべき一時金給付と治療給付がん保険の種類と特徴について、基本的な部分を解説させていただきましたが、実のところ、がん保険を考える上において、一時金給付と治療給付といった2つの給付について知っておくことも欠かせません。そこで次項では、がん保険の選び方でとても大切なポイントにあたる、がん保険の一時金給付と治療給付について、それぞれの特徴とポイントを紹介していきます。がん保険の一時金給付とはがん保険の一時金給付とは、医師からがんと診断され、がんが確定した時にまとめて保険金が支払われる、いわゆる診断給付金のことを言います。現在、ほとんどのがん保険には診断給付金が付帯されているものの、保険会社の中には、診断給付金が付いていないがん保険や診断給付金を保険契約する前に外すことができるがん保険など、種類は様々です。がん保険の一時金給付における主な2つのメリットがん保険の一時金給付(診断給付金)における主なメリットには、がんの治療方法が大きく変わったとしてもお金の面で困りにくい、様々なケースで保険金が活用できるといったメリットが挙げられます。がんの治療方法が大きく変わったとしてもお金の面で困りにくい様々なケースで保険金が活用できる【がん保険の一時金給付におけるメリット①】がんの治療方法が大きく変わったとしてもお金の面で困りにくいがんの治療方法は、日々進化しておりますが、20年後や30年後といった将来において、さらに治療方法が進化していることが考えられます。この時、がんの治療方法が大きく変化したとしても、がん保険の一時金給付(診断給付金)は、医師からがんと診断されて、がんが確定した時に保険金が支払われるため、がんの治療方法が大きく変わったとしても、保険金を受け取りやすくお金の面で困りにくいメリットが得られます。【がん保険の一時金給付におけるメリット②】様々なケースで保険金が活用できる現在、がん保険の一時金給付(診断給付金)は、複数回給付されるタイプのものが多く販売されておりますが、1回目の一時金給付(診断給付金)を受け取るハードルは極めて低いものになっています。この時、まとめて受け取ったお金は、長くかかるがんの治療費や就労が制限されることによる収入減少の補填に充てるなど、様々なケースで保険金を活用できるメリットが得られます。がん保険の一時金給付における主な2つのデメリットがん保険の一時金給付(診断給付金)における主なデメリットには、保険料が高め、がん治療が長引くとお金が足りなくなる懸念が生じるといったデメリットが挙げられます。保険料が高めがん治療が長引くとお金が足りなくなる懸念が生じる【がん保険の一時金給付におけるデメリット①】保険料が高めがん保険の一時金給付(診断給付金)は、後述する治療給付とは異なり、がんの短期の治療でも保険金が多く支払われることになるため、保険料が高めです。がん診断給付金は、保険会社によって設定できる金額に違いはあるものの、30万円から多いところでは600万円となっており、設定した保険金額によって、保険料も高くなるデメリットがあります。【がん保険の一時金給付におけるデメリット②】がん治療が長引くとお金が足りなくなる懸念が生じる現在、がんの治療は、入院日数が短く通院日数が長い傾向にあり、がんの治療が一通り終えるまで年単位での長い時間を要することになります。この時、がんの治療期間が長引く程、多くの治療費がかかってしまうため、まとまって受け取った診断給付金だけではお金が足りなくなる懸念が生じてしまうデメリットがあります。また、2回目以降のがん診断給付金は、保険会社によって給付条件が異なる点にも要注意です。がん保険の治療給付とはがん保険の治療給付とは、がん治療を受けた月に保険金が給付されるタイプのもので、たとえば、入院給付金、手術給付金、通院給付金、放射線や抗がん剤治療で給付されるものなど、その種類は多岐に渡ります。特に、通院やがんの3大治療と呼ばれる手術、放射線、抗がん剤といった治療におけるそれぞれの給付は、がん保険を販売している保険会社によって異なるため、がん保険の選び方を考える上でとても重要なポイントになります。がん保険の治療給付における主な2つのメリットがん保険の治療給付における主なメリットには、保険料が安い、がんの治療方法が長引いたとしても給付が続くといったメリットが挙げられます。保険料が安いがんの治療方法が長引いたとしても給付が続く【がん保険の治療給付におけるメリット①】保険料が安いがんの治療給付をメインとしたがん保険は、保険料が安く、これはどこの保険会社にも共通したメリットになっています。また、入院給付金や通院給付金などをはじめとした治療給付は、給付される日数が無制限であることも多く、がん治療の万が一の備えには安心できるメリットがあります。【がん保険の治療給付におけるメリット②】がんの治療方法が長引いたとしても給付が続くがん治療は、長い期間に渡って続く可能性が高いことをすでに紹介しましたが、仮に、がんの治療が長引いたとしてもがんの治療給付は、治療の都度給付が続くことになるため、治療費が家計を圧迫しにくいメリットが得られます。ただし、契約した保険金額によって、このメリットは左右されることになるため、目先の保険料の安さを優先して保障の質が低い場合は、かえって逆効果になってしまうことも念頭に入れておく必要があるでしょう。[adsense_middle]がん保険の治療給付における主なデメリットがん保険の治療給付における主なデメリットには、将来、がんの治療方法や医療情勢に大きな変化があった場合、当時、加入契約したがん保険の保障内容が、その時の現状と即していない可能性が生じます。このデメリットは、すでにがん保険に加入している人で、契約からすでに何十年も経過している人は要注意とも言えます。40代や50代で、がん保険に何年も前から加入している人は一度見直しを生命保険や医療保険のがん特約には注意抱き合わせ保険は、特約料が掛け捨てで保障が中途半端【がん保険の治療給付におけるデメリット①】40代や50代で、がん保険に何年も前から加入している人は一度見直しを40代や50代で、がん保険に何年も前から加入している人は、現状と保障内容が即していない懸念があるため、一度見直しをされてみることをおすすめします。治療給付ではありませんが、たとえば、一昔前のがん保険では、がん診断給付金が1回限り給付され、2回目以降は給付されないなどの条件もあり、がん治療の備えをしているのにも関わらず、がん治療の備えとしては、不十分であることも容易に予測できます。【がん保険の治療給付におけるデメリット②】生命保険や医療保険のがん特約には注意こちらは、がん保険に新規加入や見直しをする上での注意点となりますが、たとえば、日本生命、明治安田生命、住友生命などのように、国内生命保険会社の生命保険で、抱き合わせ保険になっている保障内容のものを実務上、よく見かけます。抱き合わせ保険とは、1つの保険契約で死亡、がん、介護、医療といった様々な保障が組み合わせられているものですが、がん特約のように、特約がべったりと張り付いている生命保険です。【がん保険の治療給付におけるデメリット③】抱き合わせ保険は、特約料が掛け捨てで保障が中途半端抱き合わせ保険は様々な保障が付いているため、何も知らない顧客の満足度や一昔前に人気があった生命保険かもしれませんが、特約料が掛け捨てで保障が中途半端なほか、最後にはまともな保障も残らない最悪な生命保険です。たとえば、がん特約の場合、保障が入院に限定されているなど、現代のがん治療に即した保障内容になっていない場合が多く、とても利用価値が期待できない可能性が高いため、本当に注意が必要です。がん保険の選び方の基本は比較検討がん保険の特徴のほか、一時金給付と治療給付の違いについて解説をさせていただきましたが、当然のことながら、がん保険の選び方の基本は、保険会社のがん保険を比較検討することです。実際、がん保険の疑問として、がん保険を選ぶにはどこがいいのか、医療保険とがん保険は両方加入した方がいいのか、などの疑問が特に多い印象を受けますが、失敗しないがん保険選びは、がん保険の特徴を知り、細かく比較検討することに尽きるでしょう。女性の方は、女性限定のがん保険も視野に入れてみるがん保険には、乳房や子宮といった女性特有の病気にも手厚く対応した女性限定のがん保険も保険会社各社で販売されています。一般のがん保険に比べて女性限定のがん保険は、少々保険料が高くなるものの、女性の場合、若い内から女性特有の疾病やがんにかかる確率も男性に比べて高い統計もあることから、この辺が心配な女性の方は、女性限定のがん保険も視野に入れてみると良いでしょう。がん保険の選び方に関するまとめがん保険は、がん治療に特化した生命保険といった大きな特徴があるため、まずは、がん保険の基本部分を理解した上で、そもそも加入する必要性があるのかどうかについて再確認することが大切です。仮に、がん保険が必要と判断した場合は、一時金給付と治療給付のどちらに重きを置くのかなどといったがん保険の選び方を再確認し、選んだ給付に強みのあるがん保険(保険会社)選びをすることが大切だと言えます。
2019年07月17日がん保険には色々なタイプの商品がありますが、積立型タイプのがん保険があることをご存知でしょうか。今回はこの積立型がん保険をランキング形式で紹介しながら、積立型タイプの特徴についてわかりやすく説明していきたいと思います。積立型がん保険のランキングそれではランキング形式で積立型がん保険を紹介していきたいと思います。今回のランキングの検討に際しては、がん保険だけではなく、がんの保障を含んでいる保険も調査対象としています。(小規模短期保険を除きます)また、今回の評価ポイントとしては、確実に積立となっているかどうかという観点を重視して、筆者独自の判断で順位づけをしました。調査対象:がん保険・がん保障を付帯している保険評価観点:確実に積立になっているかどうか第5位:がん診断保険R(東京海上日動あんしん生命)第5位は、東京海上日動あんしん生命のがん診断保険Rです。ペットネームのRはリターン(Return)の頭文字からとったものだと推測されますが、まさにこのリターンということが積立型がん保険であることを表しています。最初に、商品概要を一覧表で見てみましょう。がん診断保険Rの特徴がん診断保険Rの積立内容ですが、70歳時(厳密には70歳の年契約応当日)に、主契約の払込保険料相当額を「健康還付給付金」(上表の場合は合計6,094円のうち、主契約分3,360円の35年間分である1,411,200円)として受け取れることです。逆に言うと特約の保険料は掛け捨てになっていて、主契約の保険料が積立型であるといえるでしょう。上記の例でも約140万円となりますので、それなりにまとまった金額の積立になります。しかしながら注意点としては、70歳になるまでは還付されないため、途中で解約しても受け取れません。また、70歳までの間に主契約の診断給付金100万円を受け取っていたとすると、それは健康還付給付金から差し引かれます。(上記の例でいうと、1,411,200円マイナス1,000,000円で411,200円が受け取れます。)第4位:総合保障保険 スーパー2000(楽天生命)第4位は楽天生命の総合保障保険 スーパー2000です。2000というのは毎月の保険料負担を一律2,000円としているところから名付けられています。それでは具体的な保障内容を確認していきましょう。総合保障保険 スーパー2000の特徴冒頭でも紹介しましたが、総合保障保険 スーパー2000の最大の特徴は保険料が一律2,000円と設定されており、月々の保険料負担を軽くしていることです。また積立型の内容ですが、1年間入院がない場合に5,000円を受け取ることが出来ます。年間の保険料負担は24,000円ですから、支払った保険料の2割を受け取れることになります。注意点としては、がん以外の保障が備わっているため、人によっては要不要が分かれると思います。次の注意点は、年齢が上がるにしたがって保障額は減っていくという点です。これは保険料を一律2,000円にしていることで生じる結果です。(通常は保障額を一定にするために保険料が上がっていきます。)最後に、保障が1年更新となっていることに注意してください。最長65歳までは更新をして保障を継続していくことが出来ますが、一生涯の保障ではありません。第3位:アクサダイレクトのがん終身(アクサダイレクト生命)第3位は、アクサダイレクト生命のがん終身です。こちらもまずは保障内容をご覧ください。アクサダイレクトのがん終身の特徴アクサダイレクトのがん終身の積立内容を確認していきましょう。がんにならなかった場合という前提条件はありますが、3年ごとに5万円の無事故給付金を受け取ることができます。3年間の保険料合計は上記の例ですと142,920円となり、保険料の約35%が受け取れる計算となるので保険料に占める積立の割合は多いと言えるでしょう。注意点としては、3年間のうちにがんとなってしまった場合には無事故給付金は受け取れないという点です。それ以外はがん保険としてもバランスの取れた内容になっています。[adsense_middle]第2位:リンククロス ピンク(損保ジャパン日本興亜ひまわり生命)第2位は、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命のリンククロス ピンクです。特徴的な保障内容となっていますので、まずは保障内容を確認してください。リンククロス ピンクの特徴リンククロス ピンクの積立内容ですが、がんにならなかった場合という前提条件になりますが、2年ごとに5万円が受け取れるという内容になっています。上記の例ですと2年間の保険料合計は78,960円ですから、実に6割を超える金額が積み立てられているということになるのです。また、がん保険の特徴としては、女性専用であることに加えて、がん診断給付金の保障に絞った内容となっており、追加加入を考える際にも対象としたい積立型がん保険と言えるでしょう。第1位:フェミニーヌ(損保ジャパン日本興亜ひまわり生命)第1位は損保ジャパン日本興亜ひまわり生命のフェミニーヌです。フェミニーヌというと女性保険というイメージが強いのですが、がん保障も兼ね備えた積立型の保険といえるのです。それでは保障内容を確認していきましょう。フェミニーヌの特徴フェミニーヌは入院の保障をベースに、がんになった場合に給付金が上乗せされるという保障内容となっています。積立の内容としては、3年ごとに105,000円を受けることが出来ます。2位から5位までの積立型がん保険とは異なり、がんであろうが入院をしていようが、生存している限りは受け取れる給付金となっています。これがフェミニーヌの最大の特徵です。上記の例ですと、3年間の保険料合計は224,424円となっていますので、105,000円はその約47%となりますので、およそ半分弱の積立になっているということがわかります。積立型のがん保険ランキングに関するまとめ積立型のがん保険について、ランキング形式で紹介をしてきました。積立型といっても、がんの給付に関係なく支払われるタイプの商品や、がんにならなかった場合に支払われるタイプの商品など、積立型の内容に違いがあることを押さえてください。そのうえで、当然ながらがんの保障と、保険料負担額を考慮して、ご自身に合った積立型がん保険を選ばれることが大切です。特に積立型の貯蓄性が高まるほど保険料負担額は重くなりますので、途中で続けられなくなる、ということがないように注意してください。
2019年06月15日今回は既にがん保険に加入されている方向けに、がん保険の見直しポイントをわかりやすく説明していきたいと思います。新規加入とは異なり、見直しする場合ならではの注意点がありますので、今回ご説明するポイントを踏まえたがん保険の見直しをお勧めします。がん保険の見直し方法のポイント見直し方法のポイントですが、以下の3つのステップで進めていくことをお勧めします。加入中の契約を確認する自分に不足している保障を認識する追加契約か切替契約かを検討するそれぞれ順を追って内容を説明していきましょう。がん保険見直しのためのステップ1:加入中の契約を確認するまず最初のステップは、加入中の契約を確認することです。加入中の保険はもちろんですが、他に医療保険や死亡保険にがんの保障が付帯されていることもありますので注意してください。がんの保障かどうかを見極めるには、「がん(悪性新生物)」という文言を確認すればよいのですが、「三大疾病、五大疾病」というように「がん(悪性新生物)」が含まれているものの、別の表現で記載されていることもあります。どのような場合のがん保障かを確認するそして「がん(悪性新生物)」の内容を確認するときに、どのような状態になったらお金がもらえるのかを確認します。具体的にいくつかの事例を挙げておきましょう。がん診断(給付金)→がんと診断された場合がん入院(給付金)→がん治療のために入院した場合がん通院(給付金)→がん治療で通院した場合がん手術(給付金)→がん治療のために手術した場合抗がん剤治療(給付金)→抗がん剤を用いてがん治療した場合上記の通り、場合ごとにがん保障を整理します。古い契約の注目ポイントとは加入中の契約を確認する際に、15年以上前に契約した古い契約がある場合は以下の点に注意して保障内容を確認してください。次のステップである、自分に不足している保障を認識するために大切な作業となります。「上皮内がん(上皮内新生物)は保障から除く」という内容になっていないかがん入院保障に「日数制限」が記載されているか保険期間は「終身」ではなく「●●歳まで」と区切りがあるかもちろん上記以外でも、保障を制限するような内容があれば、メモしたり付箋をつけたりすることをお勧めします。がん保険見直しのためのステップ2:自分に不足している保障を認識する次のステップは、自分に不足している保障を認識していくプロセスになります。下表のように保障ごとに内容と金額に分けて整理して、自分にとって不足している保障をチェックしていきましょう。チェックする項目は以下の通りです。保障内容:どんな場合に保障してくれるのか保障期間(保険期間):いつまで保障してくれるのか保障金額(保険金額・給付金額):いくら受け取れるのか条件や制限:上記項目に関する条件や制限(例:支払限度日数)表の右側には評価欄として、自分に不足していると思われる内容をメモできるようにしておきます。この評価内容に基づいて、最新のがん保険の内容と比較しながら、次のステップの追加契約・切替契約を検討することになります。[adsense_middle]がん保険見直しのためのステップ3:追加契約か切替契約かを検討する2つめのステップで自分にとって不足している保障が認識できた後は、3つめのステップで見直し後の保障を検討することになります。自分にとって不足している保障を備えた、現行販売されているがん保険をいくつかピックアップして、追加契約をするのか、新しい保険に全面的に切り替えるのかを考えていきます。では、どのような場合に追加契約をしたほうがよいのか、または切替契約がよいのかを場合分けして確認していきましょう。追加契約が良い場合追加契約が良い場合はどのような場合でしょうか。追加契約ということは、現在加入済みのがん保険を残すということになります。したがって、現在加入済みのがん保険については自分に合っていると評価できるものの、一部保障が足らないという状態です。具体的に考えられるケースは以下のような場合です。がん診断給付金が50万円なので100万円ほど上乗せしたい先進医療の給付金がないので追加したい女性特有がんの場合の上乗せ保障がほしいこうした場合には足らない保障をコンパクトに備えているがん保険を探した上で、追加契約をされるとよいでしょう。持病や病歴がある場合見直しされるときに持病があったり、過去5年以内に病歴がある場合は、現在のがん保険に不足があったとしても切替せずに、追加加入の方向で検討してください。理由はこうした持病や病歴があると、切替や追加を問わず、新規の契約には加入出来ない可能性が高いためです。切替契約が良い場合追加契約以外の場合には、切替契約をお勧めします。特に2つめのステップで、上皮内がんが対象外であったり、保障期間が終身ではなかったり、という場合には現在のがん保険よりも2世代前ぐらいのがん保険で古い型の保険であることが多いためです。ご自身で改めてがん保険に入るとしたらどのような保障が必要だろうかと、イチから考えて切替契約をされるのがよいでしょう。がん保険の見直しのメリット・デメリットここまで見直しの方法(3つのステップ)について確認をしていきましたが、ここからは見直しをすることによるメリットとデメリットについて整理しておきましょう。がん保険の見直しのメリットがん保険の見直しをすることのメリットは大きく2つあります。最新のがん保険の保障内容で見直しができることニーズの変化に合わせて、保障の内容をフィットさせることができること1つ目は、最新のがん保険の保障内容で見直しができることです。保険会社は民間企業ですので、常に加入者のニーズを捉えて絶えず商品開発を行っています。そうした最新のがん保険の保障で見直せるということは、保障内容が充実すると言い換えることができます。2つ目は、ご自身のニーズの変化に合わせて、保障の内容をフィットさせることができるということです。当初は保険料が割安で最低限の保障内容でよいと加入していたがん保険も、加齢とともに手厚いがん保障の必要性を感じるかもしれません。そうしたニーズに合わせることができるのが、がん保険の見直しのメリットです。がん保険の見直しのデメリット一方で、がん保険の見直しをすることのデメリットもあります。追加契約か切替契約かを問わず、基本的には保険料が上がることになります。これは保障を増やす方向の見直しが多くなるので当然といえば当然ですが、見直し後の保険料で今後もきちんと継続できるのかを見極めるのが大切です。見直しをして保障を充実させたのはいいけれど、数カ月後には保険料負担に耐えられなくて、がん保険を解約してしまった、というのでは何のための見直しかがわからなくなってしまいます。また、追加契約の場合ですが、ちょうど足らない分だけの上乗せでの加入というのができにくいことが多くあります。どうしても保障が重複して、必要以上に保障が多くなってしまうということがデメリットとして挙げられます。がん保険の見直しに関するまとめがん保険の見直しについて、その方法を3つのステップに分けて説明をしてきました。まず最初に現在加入のがん保険についてその内容を確認するとともに、自分のニーズに照らして不足している内容を把握します。その上で追加契約をするのがよいのか、切替契約をするのがよいのかを検討した上で、実際の見直しを進めていきましょう。
2019年06月06日「がんは今や珍しい病気ではなくなった」とよく言われます。だからこそ「もし自分ががんになってしまったらどうしよう」と、頭を悩ませてしまう人は多いでしょう。とくに、子を持つパパやママの場合、子どもの将来のことが何よりも気になるだろうと思います。そこで、子育て世代のがん患者を対象にした調査をもとに、親ががんになったときに子どもの教育計画にどう変化が起こったのか見ていきます。■子育て世代がん患者の教育費への影響は?「子育て世代のがん患者における教育費に関する調査」報告書(「一般社団法人キャンサーペアレンツ」と「ライフネット生命保険」共同調査)によると、最初のがん告知を受けたときに不安に感じたこととして、「家族への影響」と答えた人が8割以上となりました。またがんり患による子どもの教育費に影響があると答えた人は、5割強近くとなりました。Q.がんに罹患したことで、子どもの進路など教育計画に影響はあったか?影響があった 22.1%今後影響があると考えている 31.7%影響はなかった 53.5%■収入減でも「教育費は抑えたくない」思いがんにり患したときに、教育費への影響があると答えた人が5割いますが、別の質問では、実際に「教育費を抑えた」と回答したのはわずか2割足らずでした。コメントからも、親たちが教育費を抑えずに、試行錯誤している様子が伝わってきます。「本当は公立に行ってほしかったが、受験対策や入ってからの役員などフォローが難しいと思い、私立の学校を選びました。教育費は抑えられなかった」(46歳女性)「教育費、本当は抑えるべきなんだろうけど、中学受験に向けて必死に頑張っている子どもに、塾を辞めてほしいとは言えなかった」(39歳女性)「子どもたちの教育費用だけは抑えたくなかったので、学費や塾代などは貯蓄から回しました」(45歳女性)また調査によると、がんのステージによって教育費への影響は異なっており、ステージ1の人の場合では、支出を抑えたのは9.7%。一方、ステージがあがってくると、2割を超えるようになります。■「進路への影響」に不安を抱える親たち子どもへの影響を少なくしたいと考える親は多いでしょう。しかし、教育費は子どもを持つ世帯すべてにとって、大きな課題です。調査によると、がん告知後、平均して2割程度、世帯収入が下がるとあります。がんになったことで「子どもの進路などの教育計画に影響があった」という人たちの具体的な声を紹介します。「都立高校を受験させ、予備校も行かせず、学費保険を中途解約して治療費に充てた」(52歳女性)「がんにならなければ、パートから正社員へと考えていた時期でした。手術、抗がん剤治療の期間が長かったため、正社員で働くことは諦めました。子どもの大学進学については、自宅から通える範囲の公立校を目指してもえるようにと話をしました。塾にも通っていません」(41歳女性)さらに、「今後影響があると考えている」人たちからは、次のようなコメントが寄せられました。●塾に入れてあげられない●私立進学は難しい●進学時期の教育費が貯蓄ではまかなえず、体調がどこまで働ける体に戻れるか不安●今後のお金がどれくらいかかるかわからず、子どものための貯蓄ができるか不安「教育費を抑えたくない」という気持ちの一方で、実際には経済的な理由からなかなか思うようにいかないという親の歯がゆさが感じられます。■もし、がんになったときお金は? それでは、がんになった場合、どのような支援を受けて、収入の減少を補えばいいのでしょう。Q.がんにり患したことで、金銭面の支援を受けたものは?※複数回答あり1位 民間の保険会社からの給付金 72.6%2位 親からの金銭的な援助 35.7%3位 傷病手当金 31.4%~以下略~全体の7割の人たちは、民間の保険会社からの給付金を利用し、親(祖父母)からの支援を受けた人も約35%と、2番目に多い結果となりました。保険の給付金というと、「治療費に使う」というように考えてしまいますが、実際には自身や家族の生活水準を保つために使ってもいいものです。例えば、家事代行を頼むために使うなど、使い道の観点を変えてみてもいいかもしれません。■子育て世代ががんと教育費に向き合うにはお金、治療法、家庭内の貯蓄など、情報を知っていることで対応が変わってくることもあります。万が一のときについて、家族や夫婦間でも話しあっておくことだけでも違ってくるのではないでしょうか。たとえば、貯蓄、生活費、保険など、さまざまな観点で家計を見直したり、場合によってはファイナンシャルプランナーに相談してみたり。もし、病気になったときには家族だけで抱え込まずに、祖父母や周りの人たちの力を借りることが大切なのだと、今回の調査結果をみて思いました。もしもがんになって途方に暮れてしまったら、子育て世代のがん患者を支援する団体や仕事面や精神面など、さまざまな支援の窓口があります。ここまで、子育て世代ががんになった場合に教育費とどのように向き合っていくべきか考えてきました。実際に病気と闘いながら子育てをするのは大きな苦労があるのだと身につまされるとともに、今自分にもきっとできることがあるのだと、気づかされます。「もしそうなったらどうするのか」といった不測の事態への対応を考えながらも、日々子どもたちとの生活を大事にしていきたいですね。「子育て世代のがん患者における教育費に関する調査」キャンサーペアレンツの会員(子どもをもつガン患者)398名へのインターネットによる調査(一般社団法人キャンサーペアレンツ×ライフネット生命保険共同調査)<参考>キャンサーペアレンツ:こどもをもつがん患者同士でつながるためのSNS
2019年05月30日保険会社のCMなどで「2人に1人ががんになる時代です」という話を聞いたことをある人もいらっしゃると思いますが、若いのであまり自分には関係ないと思う人も少なくないのではないでしょうか。 しかし、ママ世代にも重なる30代~40代は男性より女性のほうが、がんになる人数が多いため、できることから対策が必要になる時期でもあります。そのため、がんの基礎知識と対策としての予防、検診、保険についてお伝えします。 1.がんの基礎知識がんは遺伝子に傷がついてできた異常な細胞が増殖することで起こり、進行すると生命に重大な影響を与える病気です。一部のがんを除いて発生の原因が分かっていません。その他の病気は原因や治療法が確立されているものも多いため、一生のうち、がんと診断される人が多いのが実情です。 『公益財団法人がん研究振興財団のがんの統計‘18』によると、2014年データを基準とすると日本人男性の61.9%、女性の46.5%が一生のうち一度はがんと診断されるようです。しかし、かつては不治の病とされていたがんも医療の進展に伴い、早期発見すれば治る病気になりつつあります。そのためにも、予防・検査・保険での対策が必要となります。予防・検査については専門外となりますが、一般的な内容をお伝えします。 2.予防・検診は日々の習慣からがんは発生原因が分かっているものが少ないため、完全な予防というものはありませんが、生活習慣によって発生確率を下げることはできるようです。国立がん研究センターによると「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動(運動)」「適正体重の維持」を習慣にしている人としていない人では、男性で43%、女性で37%がんのリスクが低くなったとのことです。また、がんの発生の原因として分かっているピロリ菌(胃がん)や肝炎ウイルス(肝臓がん)などは、検査によって判明し、治療で除去できる場合も増えていますので、健康診断・人間ドック等での検査をおすすめします。 また、がん検診は初期の場合はほとんど自覚症状がないため、定期的に行うことが大切です。勤務先やお住まいの自治体、扶養されている場合は加入している健康保険組合等から検診の案内もあると思いますが、できる限り受診するようにしましょう。 厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」では、子宮頸がん検診は20歳以上を対象に2年に1回、乳がん検診は40歳以上を対象に2年に1回、胃がん検診は50歳以上を対象に2年に1回(※当分の間、胃部X線検査は40歳以上、1年に1度の実施も可)と定めています。 子育てや日々の生活でお忙しいと思いますが、がんが重症化すると治療のためにそれ以上の負担や時間がかかる可能性が高いので、検診を習慣化するとよいと思われます。 3.がん保険は治療の選択肢や経済的負担を軽減がんになった場合は治療が必要ですが、多くの場合は健康保険での治療が可能です。標準治療と呼ばれる「手術」「抗がん剤」「放射線」であれば、健康保険が適用され、高額療養費も対象となれば治療費の自己負担も多額にはなりません。しかし、入院中の生活費や収入減少の補てん、家事の代行には費用がかかるので、貯蓄か保険でカバーする必要があります。 また、健康保険の対象とならない先進医療や自由診療を選択する場合には、治療費用が数十万円~数百万円かかることもあるので、これも貯蓄か保険でカバーできればより安心です。そのため、十分な貯蓄がない場合にはがん保険の加入を検討されるとよいでしょう。 がん保険は保険会社や商品によって異なりますが、多くの場合、①入院や手術、抗がん剤や放射線治療などの治療ごとに保険金が受け取れるもの、②がんと診断された際に一時金としてまとまった保険金が受け取れるものがあります。保険料は内容や年齢、性別によって異なりますが、月額千円台~数千円程度で加入できるものがほとんどですので、家計がやりくりできる範囲でがん保険を検討してみましょう。 がん保険に限らず、ほとんどの民間の保険は健康のうちでなければ、加入が難しかったり、対象となる病気が制限されたりしますが、がん保険はがんに関連のない病気であれば加入に支障はありませんが、がんに関連する病気がある場合は加入そのものができないことがほとんどですし、一生涯使う可能性のある保険ですので、加入は早めのほうがよいと思われます。 日々の生活で重い病気を意識する人は多くないと思いますが、がんになる可能性で言えば女性でも約半数はかかる病気です。予防、検診、保険と今からできる準備をする機会にしていただければと思います。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2019年05月14日交通事故を起こしてしまったAさんは、弁護士特約付きの保険に入っていました。「いざというとき弁護士費用を無料で支払ってくれる」と聞いていたため、さっそく保険会社に連絡を入れます。すると返ってきたのは「高すぎてこれは払うことができない」という、想定外の回答でした。「実質自己負担無料」と聞いていたのに…。狼狽したAさんは、現在困り果ててしまっています。 納得のいかないAさんAさんは頭にきて「相場はあるのですか?上限はいくらまでだったんですか?」と食い下がりましたが、明確な答えは返ってこなかったとのこと。あまりにも腹が立ったAさんは、訴えることも考え、相場や上限を調べましたが、はっきりとした金額はわからなかったそうです。条項を確認せず契約してしまったことは自分の落ち度だと考えていますが、納得のいかないものを感じています。弁護士特約のことはやはり弁護士に聞いてみるのがベターでしょう。相場はおおよそいくら位なのか、そして上限などは存在するのか。虎ノ門法律経済事務所池袋支店齋藤健博弁護士にうかがいました! 弁護士特約に相場や上限はある?齋藤弁護士:「実は、法律相談にも弁護士費用特約を用いることは可能です。ある会社では、1事故につき、1名あたり300万円程度と見積もることはできますが、保険の種類にもよるので、一概には言えません。事故といえども、たとえば人損なのか、物損なのか、等級はどの程度の被害なのか、など、事故は一件一件ことなる形で生じるものですから、相場等を一概に申し上げるのは難しいのが現状です」上限や相場は契約内容や事故の種類、等級などによって変わってくるようです。そのため、はっきりとした規定は存在していないのですね。 保険契約前にしっかりと確認を弁護士特約はあくまでも保険会社が定めているもので、設定されている保険の種類に左右されます。そのため、Aさんは違法性を主張することは難しいものと思われます。内容はかなり事細かで、注意事項や除外事項なども多く、保険会社の営業に「言われるがまま」に契約してしまうと、Aさんのようにあとで「こんなはずではなかった」と感じてしまいます。後で支払ってもらえないというケースを防ぐ意味でも、その保険が物損・人損など、どのような事故に対応しているのか、そして支払いについてなど、契約条項をよくチェックしておくことが重要といえそうです。 *取材協力弁護士: 虎ノ門法律経済事務所池袋支店齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)「弁護士特約」を使おうとしたら保険会社が拒否!上限や相場はあるの?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。「弁護士特約」を使おうとしたら保険会社が拒否!上限や相場はあるの?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2019年05月09日自動車保険は、契約加入することによって補償される基本補償と補償の質を高めるための特約の2種類の補償から成り立っています。実のところ、保険会社によっては、販売している特約の中に、自転車事故にかかる特約を取り扱っているところもあり、自動車事故と自転車事故の両方から補償を受けられる場合もあります。本記事では、自動車保険で別途加入することができる自転車特約と必要性はどうなのかについて解説を進めていきます。自動車保険で自転車事故が補償されるために必要なこと自動車保険で自転車事故が補償されるためには、人身傷害保険に加入していること、個人賠償責任保険(特約)に加入している必要があります。ただし、いずれにつきましても大きな注意点があるため、具体的にどのような場合に補償されるのか、以下、ポイントの解説をしていきます。自動車保険で自転車事故が補償される場合と補償されない場合があることが確認でき、自分の身体に対する補償と相手方に対する補償は、それぞれ別の補償に加入していなければならないことも確認できます。人身傷害保険の契約は、車内外補償される必要がある自動車保険で自転車事故が補償されるためには、自動車保険に加入する際の基本補償になっている人身傷害保険について、補償範囲が車内外補償になっていることが必須です。一般に、人身傷害保険は、保険契約をした自動車で車内のみ補償する場合と車内外で補償する場合の2つにわかれており、ご自身が事故によって死亡、後遺障害、傷害を負った時に補償されるものになります。個人賠償責任保険(特約)に加入すると相手方の補償がされる自転車を運転している際、相手方の自動車と接触事故を起こし、相手の自動車に損害を与えてしまった場合、個人賠償責任保険(特約)に加入することによって、相手に対する損害を賠償することができます。事故状況や損害額によって保険金が変わることになりますが、人身傷害保険の車内外補償と個人賠償責任保険(特約)に加入していることが、自動車保険で自転車事故が補償されるために必要なことになります。自動車保険の自転車特約とは?自動車保険の自転車特約とは、自転車走行中に転倒や歩行中に他人の乗っている自転車とぶつかったことによって、死亡、後遺障害、けがをした場合に、定額で保険金が支払われるものになります。上記は、おとなの自動車保険の例になりますが、重要なポイントは、けがによって死亡した場合、後遺障害を負った場合、または入院された場合に限り保険金が支払われるところにあります。自動車保険の自転車特約は、付帯する必要はあるのか?これまでの解説を総合的に考慮しますと、自動車保険の自転車特約は、不要であると考えられます。1つ目の理由として、自動車保険の基本補償となっている人身傷害保険を車内外補償にしていることで、自転車特約が無くても補償がカバーできることがあげられます。2つ目の理由として、自転車事故によってけがをした場合、入院を伴わなければ保険金が支払われないことがあげられ、通院では保険金が支払われないことを踏まえますと、はたして加入している意味に疑問が生じます。高額療養費制度や傷病手当金といった公的保険からの保障もある私たちは、健康保険や国民健康保険といった公的保険に必ず加入しており、仮に、入院を伴うことで医療費が高額になった場合、高額療養費制度によって、多くの医療費を負担する必要はありません。また、健康保険に加入している被保険者の方は、傷病手当金といって、病気やけがなどによって連続して3日間仕事を休んだ場合、4日目から所得補償がされる制度もあり、これらを考慮すると自転車特約の必要性は、より低くなると考えられます。交通事故は、過失割合によって損害額が異なる交通事故が発生するということは、交通事故が発生するに至った原因が必ずあります。この時、交通事故の当事者と被害者の双方がいた場合、交通事故が発生するに至った原因や状況などによって、双方にどのくらいの責任があるのかといった過失割合が認定されます。過失割合が認定されると、損害額や相手に対して賠償する金額が算定されますが、交通ルールを守っている場合の事故におきましては、過失割合は低く認定されます。自動車保険の自転車特約にかかる保険料自動車保険の自転車特約にかかる保険料は、保険会社によって異なりますが、たとえば、SBI損保が販売している自転車事故補償特約は、1日あたり約10円、1ヶ月あたり約300円となっています。先に、自動車保険の自転車特約は、不要と述べましたが、保険料は非常に安価であるため、日常生活で自転車を利用する場合で、安心を準備したい方にとってみますと、お守り料金として自転車特約の加入を検討してみるのも良いでしょう。自動車保険の自転車特約をおもな保険会社別に比較自動車保険の自転車特約について加入検討している方を対象に、ここでは、おもな保険会社別に補償内容などを比較したものを紹介していきます。なお、比較表は、保険会社各社が公開しているWEBサイトを参考するものとし、内容が明示されていないものについては、記載なしの表記としています。保険会社によって、自動車保険の自転車特約についての取り扱いや補償内容が異なることが比較表からわかります。セゾン自動車火災保険の特徴セゾン自動車火災保険では、自動車保険の自転車特約を取り扱っておりますが、けが(傷害)による補償は、入院を伴わなければ補償がされない特徴があります。また、特約保険料がWEBへ記載されていないため、保険会社へ尋ねるか、見積もりを作成して特約保険料を確認する必要があります。SBI損保の特徴SBI損保でも、自動車保険の自転車特約を取り扱っておりますが、けが(傷害)による補償が、一律で50,000円の支払いとなる特徴があります。保険料は、1日あたり約10円で、月額換算すると約300円という安価な保険料も特徴の1つと言えます。損保ジャパン日本興亜の特徴損保ジャパン日本興亜では、自動車保険の自転車特約は取り扱っておらず、人身傷害保険と別途特約で販売されている個人賠償責任保険で自転車に対する補償を確保できると、WEBサイトで謳っています。個人賠償責任保険に、すでに加入している場合は、別途特約に加入したり、別に販売されている自転車保険に新規に加入する必要もありません。3社の保険会社を比較して考えられること自動車保険の自転車特約は、3社の保険会社を比較すると、保険会社の考え方や販売戦略が大きく異なることを感じ取れます。自転車にかかる補償を必要としている方にとってみますと、どのように補償されるのが自分にとって最も望ましいのかを考えた上で加入検討をしたいものです。また、自転車の補償確保の方法として、自転車保険も販売されており、どちらがより自分にとってニーズを満たすのか比較して考えてみるのも良いでしょう。自転車特約まとめ自動車保険で別途加入できる自転車特約は、人身傷害保険や個人賠償責任保険などで補償が確保できている場合は、加入不要です。あくまでも、自転車を利用する頻度や家族構成などを踏まえた上で、総合的に判断することが必要となりますが、加入検討する場合は、日常生活と結びつけて考えることが大切です。自転車特約は、他の保険の加入内容によって補償が重複する可能性もあるため、この機会に一度、再確認されるのも良いでしょう。
2019年04月08日がん検診といったら、なんでも受ければよしというものではない。がん検査にも「適齢期」があり、高齢になるとがんを早期発見する利益より、検査を受けることの不利益が大きくなってしまうことも――。「自治体の検診は無意味ではありません。ただ、そもそも検診は『スクリーニング検査』といって健康な人のなかから、がんが疑われる人を一定数すくいあげ、ふるいにかけるというのが本来の狙い。ですから100%もれなく拾い上げるわけではありません。それを承知したうえで、がん検診を受けることの利益と不利益を確認しておくこと。体への負担といった不利益のほうが大きくなる検査は、あえて受けない選択肢もあります」そう語るのは国立がん研究センター検診研究部部長・中山富雄氏。では、私たちは何を目安に検査を選択すればよいのだろう?そこで参考になるのが、厚労省が取りまとめた「受けたほうがいい」「受けなくていい」検診のガイドラインである。がん検診に適すると評価されている胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんについて、中山氏を代表とする厚労省の「有効性評価に基づくがん検診ガイドライン」作成チームが、慎重に検討を重ねたうえで、対象者の適正年齢、推奨グレード(A~D、科学的根拠を検討中のI)、そして、受けることによる利益と不利益を定めたものである。「このガイドラインはなんでもかんでも受ければよし、とする風潮のがん検診にブレーキをかける意義もあります」(中山氏)A、Bはおおむね同じ評価で、有効性が高い。Cは受ける利益もあるがそれと同程度の不利益もある。Dは受ける利益がないと評価された検査。Iの評価となっている検査については科学的評価が定まっておらず、今後ランクアップしてAになる可能性もありえるものだ。中山氏とともに、ここでは「胃がん」「大腸がん」の検査を見ていこう。【胃がん】X線検査は、おおむね効果があると認められている。日本では胃がん罹患者じたいが減少しており、家族に胃がんの罹患者がいない人は2年に1度を推奨。対象年齢は、かつては40歳以上を対象としていたが、ピロリ菌感染者の減少により罹患者が急に減っていることから、50歳以上に引き上げられている。ただ、高齢者になると話は変わってくる。「内視鏡はやめておきませんか?」「年をとったら受けられないのか!」昨今、医師と80歳以上の高齢者との間でこんな侃々諤々の問答が繰り広げられているという。実は、がん検査にも「適齢期」があり、高齢になるとがんを早期発見する利益より、検査を受けることの不利益が大きくなってしまうのだ。具体的に高齢になるとどんな不利益があるのか。「まずX線検査は、事前にバリウムを大量に飲むことで、便秘や腸閉塞などのリスクが高くなります。誤嚥や腸閉塞、腸に穴が開くといった合併症が起こる可能性があります。内視鏡検査については、80歳以上になると、胃の粘膜が薄くなり、そこに空気で無理やりに膨らませると、胃壁に穴が開いて、緊急手術という例もあります」(中山氏)そのことから、最近は独自に上限について定める自治体も登場。長野県伊那市では’14年度から、愛知県田原市では’16年から、胃がんのX検査の対象年齢を79歳までと定めた。実は年齢の上限がないのは、先進国では日本とドイツだけ。日本でもガイドライン作成チームが、がん検診を受ける年齢に上限を設ける方向で検討中だという。【大腸がん】便潜血検査は、すべてのがん検査のなかで、唯一推奨グレードAだ。いわゆる「検便」で、採取するだけで済む、極めて体への負担が少ない検査で、年1回の検査が推奨されている。だが、内視鏡検査などは、「やはり80歳を超えると、検査のダメージも懸念されます」(中山氏)。「腸壁が薄くなっていることから内視鏡検査で腸に穴が開いたり、傷ができたりすることのリスクがあります。また下剤を2リットル飲むのは若い人でも負担が大きい。さらに、下剤を飲むことは高齢の方にはかなり危険を伴います。下剤が利きすぎて、脱水症を起こして倒れたり、脳梗塞を引き起こして、健康だった人が寝たきりになってしまうケースもあります」唯一推奨Aの検便も、高齢になると考えてほしいと中山氏は語る。「受けて異常が見つかってしまうと、次のステップに進むか否かが問題になりますので、この年代であれば、急いでがんを発見して治療をせずとも、症状が出てから治療を検討するほうが賢明だと思います。大腸ポリープで命を落とす可能性は5年先、10年先といわれます。ですから、仮に85歳で発見しても、5年間でほかの不調の出る可能性もあるので、急いでポリープを見つける有効性はないという考え方もできます。便潜血検査も、慎重に検討すべきかもしれません」アメリカでは大腸内視鏡検査は10年に1度を推奨しており、高齢になっても毎年人間ドックで受けているという人は、見直してもいいかもしれない。
2019年03月27日「がん患者の登録が’16年に施行されて初めて全数調査。これまでよりも正確で詳細ながん患者の実態分析が可能です。ランキングに一喜一憂することなく、この調査結果から浮かび上がる、がん予防のヒントを見つけ出すことが重要です」そう語るのは、国立がん研究センター「全国がん登録」室長の松田智大医師。厚生労働省が1月17日に公表した「’16年がん患者数」は、すべてのがん患者を追跡する「全国がん登録」のデータを初めて集計・分析したもの。この調査結果で見えてくるのが「女性のがんが少ない県」である。「全国がん登録」に調査に関わっている松田先生が続ける。「がんのリスクを減らし、かつ科学的根拠が示されている健康習慣は『禁煙、節酒、食生活、身体運動、適正体重の維持』の5つ。これらに加えて“がんになりにくい地域”には、それなりの食生活や生活習慣が隠されているのです」女性のがんが少ない都道府県ランキングトップ10は次のとおり(人口10万人あたりのがん罹患者数)。【第1位】愛知県・321.9人【第2位】山口県・327.2人【第3位】群馬県・328.3人【第4位】山形県・330.9人【第5位】岡山県・331.2人【第6位】長野県・331.4人【第7位】沖縄県・332.7人【第8位】栃木県・333.8人【第9位】静岡県・335.0人【第10位】島根県・336.8人※厚生労働省「がん登録2016年速報」より作成この“がんにならない県” ランキングで第1位になった愛知県にはどんな秘密があるのだろう。愛知県がんセンター研究所の松尾恵太郎医師が語る。「愛知県の女性の場合、がんのリスクを上げる喫煙率や飲酒率では、全国平均を大きく下回っています。また、肥満が比較的少ないのも重要なこと。厚生労働省の調査でも肥満率は全国の平均より下にあります。また、年間のスポーツ行動者率は全国6位。つまり体を動かす習慣を持つ人も多いのです。さらに県内の女性に、がんが少ない要因は、乳がんになる人が少ないことです」たしかに「全国がん登録」の最新のデータによると、愛知県女性の乳がんの罹患率は7.5%(’16年累積罹患率10万人あたり)で全国トップ3に入る低さ。愛知県が乳がんの罹患を抑えている背景とは?松尾先生が分析する。「乳がんは、乳腺が女性ホルモンにさらされ続けることによって発症リスクが上がります。妊娠中は分泌が止まるため、女性ホルモンにさらされない期間が生じます。そんな機会が多い方が、乳がんの罹患リスクを下げます。実は愛知県は人口が多い割に婚姻率が高く、また若くして結婚している女性が多いのが特徴。妊娠回数も多いことが予想され、乳がんの罹患率を下げることに寄与している可能性もあります」愛知県の婚姻率は全国3位(’16年総務省統計局調べ)。ちなみに「女性のがんが少ない県」第2位、山口県の女性の平均結婚年齢は28.6歳(’15年人口動態統計)。日本でもっとも早婚の県のひとつである。愛知県の県庁所在地・名古屋市では、喫茶店文化が花開いていることで知られている。名古屋市の喫茶代は1世帯あたり年間1万2,945円(’14~’16年平均、総務省調査)と全国2位だ。名古屋学芸大学健康・栄養研究所の下方浩史所長は次のように語る。「そんな喫茶店の多くで提供されるのはボリュームたっぷりのモーニングサービス。その背景には、愛知県民に朝食をしっかり取る習慣が根づいていることがあるでしょう。朝から良質なタンパク質などをしっかり食べれば、体内時計が整います。体内時計が正しく動くことは、がんの増殖を抑える効果があるともいわれているのです。喫茶店は、愛知県に住む女性たちにとっての社交場。友人とのおしゃべりは、がんの発症要因と考えられるストレスの発散にも。また大いに笑う楽しい会話は免疫力を高め、がん細胞を消滅させるナチュラルキラー細胞を増やしてくれるのです」また、愛知県といえば、トヨタを筆頭に、デンソー、ブラザー工業など大企業が多い。そんな企業の福利厚生が、がんになりにくい県をつくっていると、下方所長。「従業員ばかりではなく、家族の健康にも配慮する、古きよき日本の文化が残っている企業が多く、主婦の健診や人間ドックの補助金が出ることも。そのように健康を意識する機会が増えれば、食生活や生活を変えるきっかけにもなるでしょう」(下方所長)
2019年02月01日厚労省が新たに発表したがん罹患率の調査結果は、これまでのものよりさらに正確な数字だといわれるが、がん患者が少ない地域の“生活スタイル”をのぞいてみると驚きの共通点が見えてきた――。「がん患者の登録が’16年に施行されて初めて全数調査。これまでよりも正確で詳細ながん患者の実態分析が可能です。ランキングに一喜一憂することなく、この調査結果から浮かび上がる、がん予防のヒントを見つけ出すことが重要です」そう語るのは、国立がん研究センター「全国がん登録」室長の松田智大医師。厚生労働省が1月17日に公表した「’16年がん患者数」は、すべてのがん患者を追跡する「全国がん登録」のデータを初めて集計・分析したもの。この調査結果で見えてくるのが「女性のがんが少ない県」である。「全国がん登録」に調査に関わっている松田先生が続ける。「がんのリスクを減らし、かつ科学的根拠が示されている健康習慣は『禁煙、節酒、食生活、身体運動、適正体重の維持』の5つ。これらに加えて“がんになりにくい地域”には、それなりの食生活や生活習慣が隠されているのです」女性のがんが少ない都道府県ランキングトップ10は次のとおり(人口10万人あたりのがん罹患者数)。【第1位】愛知県・321.9人【第2位】山口県・327.2人【第3位】群馬県・328.3人【第4位】山形県・330.9人【第5位】岡山県・331.2人【第6位】長野県・331.4人【第7位】沖縄県・332.7人【第8位】栃木県・333.8人【第9位】静岡県・335.0人【第10位】島根県・336.8人※厚生労働省「がん登録2016年速報」より作成この“がんにならない県”ランキングで第1位になった愛知県にはどんな秘密があるのだろう。そして、上位に入っている県にはどんな共通点があるのだろうか?愛知県がんセンター研究所の松尾恵太郎医師が語る。「愛知県の女性の場合、がんのリスクを上げる喫煙率や飲酒率では、全国平均を大きく下回っています。また、肥満が比較的少ないのも重要なこと。厚生労働省の調査でも肥満率は全国の平均より下にあります。また、年間のスポーツ行動者率は全国6位。つまり体を動かす習慣を持つ人も多いのです」また、愛知県といえば八丁味噌や三河味噌などの豆味噌が食卓を彩ることが多いが……。「愛知県民は味噌汁以外だけでなく味噌カツや味噌煮込みうどん、どて煮など調味料として豆味噌を多用していることは重要なポイントです。蒸した大豆を味噌玉にして、こうじに仕込んでつくる豆味噌には、女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボンが豊富。それが乳がんの発症を防ぐ効果があると考えられています」(松尾先生)発酵食品である豆味噌の抗酸化力に注目しているのが、椙山女学園大学の江崎秀男教授(管理栄養学)。「2年以上熟成させる豆味噌には褐色の色素『メラノイジン』が多く含まれ、米味噌や麦味噌と比較しても抗酸化作用が強いのが特徴。体を酸化させて細胞や遺伝子を傷つけてがんを発生させる、活性酸素を除去する働きがあるのです。また『メラノイジン』には、糖尿病を予防する機能も。がんの発症リスクを2~3割上げるといわれるのが糖尿病です。実は愛知県は、糖尿病による死亡率がもっとも低い県です」豆味噌だけではない。愛知県では、生産量の多い酢、みりん、醤油などバラエティ豊かな発酵食品がそろっていることも忘れてはならない。発酵食品といえば「女性のがんが少ない県」で第3位に入っている群馬県は「乳酸菌飲料」の年間消費額が全国平均の2倍近くで、全国トップクラス。腸内環境を整え、免疫力を高める効果がある発酵ライフも大切なようだ。愛知県の年間日照時間は2168時間(総務省統計局調べ)で全国第2位。この日照時間の長さとがんとの関係に注目しているのは、名古屋学芸大学健康・栄養研究所の下方浩史所長だ。「愛知県が、全国でも有数の日照時間が長い地域であることはあまり知られていません。日光を浴びると体内でビタミンDが生成されます。食物から摂取するよりも、日を浴びるだけで効果的にビタミンDが活性化されます。骨格の形成に関与することがわかっているビタミンDですが、最近では免疫機能を高め、肝臓がん、肺がん、乳がんなどの予防効果があることもわかっています」ちなみに、群馬県も1年間の快晴日数46日で全国2位と、共通している部分といえる。がんの予防には、野菜の多い食生活が欠かせないが、実は愛知県は、カゴメの調査によると1人あたりの1日の野菜平均摂取量は99.5グラムで全国ワーストだ。「愛知では共働きで働いている人が多いこともあり、お総菜を買って食べたり、外食の機会が多かったりすることで、野菜の摂取量が低いのかもしれません。しかし、トマトやキャベツなどの日本有数の産地である濃尾平野があり、親戚や知人には農業関係者がいる人も。そこから新鮮な野菜をもらうなど、統計には出てこない“摂取量”もあるはずです。海に面した愛知は新鮮な魚介類や海藻なども豊富。そんな豊かな食の環境もがんの発症を抑えていると考えています」(江崎教授)農業王国の群馬県の野菜産出額は愛知県に次ぐ第6位。ふぐで有名な下関で知られる山口県は、豊かな海に囲まれている。ここにもなにかしらのヒントがありそうだ。最後に、松尾先生が言う。「日本人の2人に1人がなるがんは、私たちにとって身近な病気です。がんのリスクを下げる生活習慣や食などを複合的に、そして地道な取り組みをコツコツ積み重ねることが近道なのです」
2019年02月01日がん保険と医療保険はどちらを選ぶのが良いのでしょうか?あるいはどちらを優先して先に加入するのが良いのでしょうか?すでに医療保険に加入している人はがん保険は不要なのでしょうか?または、がん保険と医療保険の両方に加入していて、重複した保障で無駄になっていないかどうかを確認したいという方もいるかもしれません。今回はがん保険と医療保険の共通点や相違点、そしてどちらを選ぶのが良いのかをわかりやすく説明していきたいと思います。がん保険と医療保険の共通点がん保険と医療保険の共通点を確認していくために、それぞれの基本的な仕組みを理解しましょう。がん保険の仕組みまず、がん保険の基本的な仕組みを確認しましょう。がん保険には、通常以下のような保障があります。がんと診断された場合の保障(1回のみ100万円など)がんで入院・通院した場合の保障(1日につき1万円など)がんで手術した場合の保障(1回につき10万円など)がんで特定の治療をした場合の保障(1回につき20万円など)がん保険の仕組みについては詳細を別の記事で説明していますので参考にしていください。医療保険の仕組み次に医療保険の基本的な仕組みを確認しましょう。医療保険は、以下のような保障が基本となっています。病気やケガで入院・通院した場合の保障(1日につき5千円など)病気やケガで手術した場合の保障(1回につき15万円など)特定の病気で治療した場合の保障(1回につき20万円など)現在の医療保険には多種多様な保障内容があるようにみえますが、突き詰めると上記の基本的な保障にまとめることができます。がん保険と医療保険との類似点両保険の基本的な仕組みを確認したところで、類似点を整理していきましょう。両保険とも入院・通院・手術・特定の治療といった場合に給付金が支払われる、という点です。類似点:入院・通院・手術・特定の治療で場合に給付金が受け取れる点がん保険と医療保険の相違点それでは逆に相違点を確認していきましょう。がん保険と医療保険のどちらを選ぶのが良いのかを考える際に最も参考になるのが、この相違点となります。異なる保障範囲医療保険は、視力回復手術(レーシック)などの一部を除いて、ほとんどの病気やケガという幅広い対象を保障するのが特徴です。これに対してがん保険は、がんに特化した保障範囲です。医療保険は保障する範囲が広く、がん保険はがんのみで保障範囲が狭い、というのが一つ目の相違点です。相違点1:医療保険は保障範囲が広く、がん保険はがんのみの保障範囲である点手厚いがん保障医療保険は幅広い病気やケガを保障範囲とする反面、保障額は入院や通院で1日につき3千円からせいぜい1万5千円までが限度です。また手術も1回につき5万円から40万円となっています。これに対して、がん保険はがんのみを保障範囲としますが、医療保険と比べて手厚い保障となっています。なかでも特徴的なのが、がんと診断された場合に支払われる「診断給付金(診断一時金などの別名もあり)」です。この診断給付金は1回だけの支払いである保障がほとんどですが、その1回の支払額は100万円から300万円となり、手厚い保障金額となっています。相違点2:がん保険独自の手厚い保障がある点なお診断給付金については詳細を別記事に記載していますので参考にしてください。がん保険には免責期間があるがん保険に加入した後の3ヶ月間(90日間)は免責期間といい、がん保険の保障が開始されません。なぜ免責期間があるのかというと、がんは自覚症状がある場合が考えられるからです。がんかもしれないと疑いを持った方が、まずがん保険に加入してから次に病院に行ってがんの診断を受けて、すぐに給付金の支払いを受ける、ということが出来てしまいますこうしたことを避けるため、がん保険には3ヶ月間という給付金が支払われない期間があるのです。医療保険にはこうした免責期間がありません。相違点3:がん保険には免責期間90日間がある点なお、免責期間については詳細を別記事に記載していますので参考にしてください。がん保険と医療保険をどちらを選べばよいのかここまでがん保険と医療保険の類似点と相違点について確認をしてきました。それでは次にがん保険と医療保険ではどちらを優先すればよいのか、あるいはどのような組み合わせやセットで加入したほうが良いのか、についてケース別に説明をしていきましょう。どちらにも加入していないケースがん保険と医療保険のどちらかに加入したい、あるいは先にどちらかに加入したいという場合を考えてみましょう。これまで整理してきた通り、あなた自身がどんな保障が欲しいかということがまず最初に重要です。病気やケガの幅広い保障が欲しいということでしたら医療保険を優先して検討しましょう。やはりがんになった時の保障を最初に手当てしておきたいということでしたらがん保険です。次に重要なのはがん保険や医療保険に加入する本来の目的です。病気・ケガ、がんになった時の治療費や急な出費に備えるのが、がん保険・医療保険の目的です。自分の貯蓄などで手当てできない部分を保険で補完するという考え方で、必要ながん保険や医療保険を検討されることをお勧めします。なお、がん保険の具体的な選び方については別の記事で詳しく紹介しましたので、参考にしてください。既に医療保険に加入しているケース次に医療保険に既に加入済みである場合に、どのようながん保険を検討したらよいのかを考えていきましょう。がんを含めた病気やケガの保障は医療保険で手当てされています。そうすると、あえてがん保険の加入を考えるのであれば、がん保険にしかない保障を中心に加入を考えたほうがよいということになります。がん保険独自の保障ということで先ほどご説明したのが、診断給付金などといわれる一時金の保障です。特に一時金だけ欲しいという方は、ネットライフ生命のダブルエールのように診断給付金だけに絞り込んだ商品もありますので参考にしてください。がん保険にのみ加入しているケースがん保険にすでに加入している場合は、がん以外の病気やケガでの保障がどれぐらい必要かを検討したうえで、医療保険の加入を検討しましょう。特に公的医療制度の自己負担3割が適用されず、治療費の全額が自己負担となってしまう先進医療を対象とした医療保険もあります。がん保険も医療保険も両方加入しているケースがん保険と医療保険に両方加入している場合には、両方の保険で重複している保障がないかを念のため確認しておきましょう。例えば医療保険の特約(追加保障)にがんの保障がついているのに、別にがん保険に加入している、といった事例などもありますので注意してください。がん保険と医療保険の比較まとめがん保険と医療保険ではどちらを選ぶのがよいのか、あるいは優先して加入すべきなのはどちらなのかを考えるために、両保険の類似点と相違点を整理しました。類似点:がん、病気・ケガになった場合の入院・手術・通院などの給付金があることです。相違点:医療保険が幅広く病気・ケガを保障しているのに対して、がん保険はがんのみに重点を絞って手厚い保障になっていることです。なお、がん保険には免責期間という当初3か月は保障対象外の期間があるので注意してください。がん保険と医療保険の選び方ですが、がん保険についてはがん診断給付金の一時金といった独自の手厚い保障を中心に検討しましょう。医療保険は幅広い保障であることから、がん保険との重複に気を付けて加入を検討しましょう。
2019年01月29日「免責期間なし」というがん保険をご存知でしょうか?そもそもがん保険でよく聞く「免責期間」とはどういう内容でしょうか?また、「免責期間なし」の商品と「免責期間」のある商品とではどのような違いがあるのでしょうか?今回は、通常のがん保険にある「免責期間」と、逆に「免責期間なし」の商品についてわかりやすく説明していきたいと思います。免責期間とは?まず、がん保険にある「免責期間」とは一体どういう内容でしょうか?免責とは責任を免れる、ということですが、誰の責任かというと保険会社の責任です。保険会社が保険金・給付金を支払うという責任から免れる期間、というのが「免責期間」ということになります。保険の責任開始の考え方「免責期間」を考える前に、まず保険会社が責任を持つ、ということについて確認していきましょう。保険に加入すると、具体的に保険会社はいつから保険金・給付金の支払いに責任を持ってくれるのでしょうか?保険会社が保険金・給付金に責任を持ち始めるタイミングを責任開始(日)といいます。がん保険であれば、がんに罹患した場合や治療になった場合に、商品内容で約束した給付金を支払う責任が開始される日のことです。がん保険以外の保険であれば、次の3つが揃った日から責任開始となります。保険の申込健康状態の告知(または医師による診査)第一回保険料の払込通常の保険であれば、上記の3つが揃って、保険会社が責任を開始するのですが、がん保険に免責期間があるということは、この責任開始のタイミングが、がん保険では他の保険と異なる(遅くなる)ということになるのです。免責期間の内容ではがん保険の「免責期間」はどれぐらいの長さなのでしょうか?実はがん保険の「免責期間」は90日間となっています。責任開始の3つ(申込、告知・診査、保険料払込)が揃ったとしても、そこから90日は免責期間として保障は開始されません。このため免責期間のことを保障が開始されるまで待つ期間という意味で、待機期間と呼ぶこともあります。万が一、この免責期間(待機期間)中にがんに罹患した場合はどうなるのでしょうか?保険契約は無かったこととなり、支払った保険料が返還されることになります。もちろん、がんと診断されていたとしても、そのがん保険から給付金は支払われません。「免責期間」がある理由なぜがん保険には、こうした「免責期間」が設定されているのでしょうか?がん保険には「免責期間」があるのに、その他の保険にはなぜ「免責期間」がないのでしょうか?その理由を考えてみましょう。実はがん保険は、「がんに罹患したかもしれない」という自覚症状がある方が加入することを排除しきれない、という宿命があります。どういうことなのか、具体例で説明しましょう。例えば乳房にしこりのようなものがある、と気づいた女性がいたとしましょう。健康診断や病院の検査に行く前に、がん保険に加入をします。保険会社の責任が開始する3つの条件として、申込、告知・診査、保険料払込をご紹介しましたが、がん保険の加入の際は、ほとんどが医師による診査はなく、加入するご自身の健康状態を告知することになります。この時には、健康診断も病院の検査も受けていませんので、告知は問題なく、保険に加入することが出来るのです。そしてがん保険の加入の後に、病院の検査を受けて、乳がんと診断されると、入ったばかりのがん保険から一時金などの給付金が支払われることになります。金額だけで考えるならば、数千円から1万円程度の保険料を払って、100万円〜300万円の一時金を受け取ることが可能となってしまいます。こうした、いわば一時金の受け取りを目的として保険に入ってくることを避けるために、90日間という「免責期間」を設けて、保険加入者の人達の公平性を保つようにしているのです。仮にがんの自覚症状がある方が加入したとしても、病院にも行かずに我慢し続けることは出来ない期間を考慮して90日間が設定されていると言われています。「免責期間なし」のがん保険とは?がん保険になぜ「免責期間」があるのか、その理由を確認してきました。では逆に「免責期間なし」のがん保険はあるのでしょうか?実は数が少ないながらも、「免責期間なし」のがん保険は存在します。それでは次に「免責期間なし」のがん保険を紹介しましょう。一時金の保障を除外した商品内容「免責期間なし」のがん保険「アクサ生命の「治療保障」のがん保険」です。さっそく具体的な商品内容を確認しましょう。<アクサの「治療保障」のがん保険>基本給付金額 :10万円保険期間:10年保険料払込期間:10年上記の商品内容の通り、「免責期間なし」商品の特徴は、一時金としての保険金・給付金がなく、手術などの比較的少額の給付金に絞られていることです。これは、さきほど確認した「免責期間」を設けている理由と整合がとれています。100万円を超えるような一時金の給付金がないことで、自覚症状のある方が申し込みの手間をかけて、かつ保険料まで払い込んで加入してくる動機を減らせることが出来るからです。では、こうしたがんと診断された場合に給付される一時金は必要なのでしょうか?結論からいうと、こうしたがん保険の一時金こそ、がん保険を他の保険と区別する特徴と言うことができます。(注)「免責期間なし」のがん保険を検討する際には、こうした一時金の有無について十分に理解することが前提となります。まとめ「免責期間なし」のがん保険について確認をしてきました。そもそも「免責期間」がある理由は、がんの罹患について自覚症状を伏せたまま、がん保険に加入することが出来るため、そうした方が有利に保険金支払いを受けてしまうためです。こうした事態を避けて、保険に加入する人達の公平性を保つために、保険に加入してから90日間はがんに罹患しても保険金や給付金の支払いがないという「免責期間」を設けているのです。「免責期間なし」という商品もありますが、そうした商品には、がんと診断された場合の一時金給付がありません。100万円単位となる一時金がなければ、自覚症状を伏せてまで保険に加入されるリスクを減らせることになるからです。「免責期間なし」で診断一時金もない商品がよいのか、「免責期間」があるものの診断一時金がある商品がよいのかは、ご自身の目的と照らし合わせて慎重に検討されることが大切です。
2019年01月15日「がん保険」には「何歳から」加入すると良いのでしょうか?できる限り若いうちから加入した方が良いのでしょうか?それとも若いうちにはがん保険に加入する必要はないのでしょうか?今回は、がんの罹患率とがん保険の商品の仕組みから、がん保険に加入する時期ついて確認をしていきたいと思います。がん保険って何?という方はまずこちらをご覧ください。そもそも、がん保険は何歳から加入できるの?がん保険には何歳から加入すると良いのかを考える前に、そもそもがん保険には何歳から加入できるのでしょうか?人気のがん保険といわれる5商品(注)の加入できる年齢(契約年齢範囲)を確認してみましょう。会社・商品によって違いがありますが、概ね20歳以上から50歳まではほとんどの方が加入対象年齢であることがわかります。がんの罹患率から加入時期を考えよう!がん保険には何歳から加入するのが良いのかを考えるには、何歳からがんに備えればいいのかを考えればいいことになります。「がんの備え=がん保険への加入」と言い換えることもできます。がんに対する備えが必要な年齢=がん保険の加入を検討する年齢何歳くらいからがんになる可能性が高まる?それでは、何歳くらいからがんになる可能性が高まるのでしょうか?統計データを基に、年齢とがんに罹患する関係を確認していきましょう。まず年齢の推移によるがん罹患率の変化を確認してみましょう。下のグラフは国立がん研究センター「がん登録・統計」にて掲載されている統計情報で、全てのがんに対する年齢別の罹患率(2014年)が線グラフで表示されています。グラフをご覧いただいた通り、男女ともに50歳代くらいから罹患率が増加し、高齢になるほど罹患率は高くなっていくことがわかります。特徴的なのは、30歳代後半から40歳代にかけては、女性の方が男性より罹患率がやや高くなっていることです。逆に60歳代以降になりますと、男性の方が女性より顕著に罹患率が高くなっていきます。生涯でがんに罹患する確率はどれくらい?次の統計情報をご紹介しましょう。下の表は、がんの累積罹患リスクというもので、ある年齢までにある病気に罹患する(その病気と診断される)おおよその確率を表したものです。生涯でがんに罹患する確率と言い換えることができます。上の表からどのようなことが読み取れるか確認していきましょう。まず、生涯でがんに罹患する確率は、男性62%(2人に1人)、女性47%(2人に1人)ということです。最初の線グラフでは、30歳代や40歳代であれば、がんの罹患率は高くないから安心と思われた方もいらっしゃると思います。しかしながらこちらの表であらためて確認出来ることは、生涯でがんに罹患するリスクが2人に1人という事実です。また女性にとっては、乳がん(11人に1人)、子宮がん(33人に1人)というデータもがんへの備えが必要だと理解できる参考情報になるのではないでしょうか。以上のとおり統計情報からわかることは、がんの罹患率は50歳代から上昇し、生涯にがんに罹患するのが2人に1人であるという事実です。こうしたことから実際にがんに備えるためには50歳より以前にがん保険に加入することを検討しておいた方が良い、ということができるのです。がん保険の仕組みから加入時期を考えよう!さきほどまでは、がんの罹患率といったデータから、がん保険にはがんの罹患率が高まる50歳代よりも以前に加入した方が良い、ということが確認できました。ここからは、がん保険の商品の仕組みから、がん保険に加入した方が良い年齢があるのかどうかを検討していきたいと思います。若い時の方が保険料が安いがん保険の商品の特徴・仕組みから、がん保険に何歳で加入したほうがよい、ということは言えるのでしょうか?昨今のがん保険は、終身タイプの商品が数多く販売されています。終身タイプの商品は、保険期間が終身(一生涯)であるとともに、あなたが支払う保険料も終身払い続けるという仕組みになっています。こうすることで毎月・毎年の保険料負担が一定で変わることはありません。ここで注目いただきたいのは、この終身タイプでの保険料は年齢ごとに、どの程度差があるのかということです。保険は原則として、同じ保障であれば加入する年齢が高ければ高いほど保険料は高くなります。具体的な商品を挙げて年齢別の保険料を比較してみよう!紹介するのは女性向けがん保険(※)で人気のアメリカンファミリー生命の「生きるためのがん保険Days1レディースプラン」です。<保障内容(入院日額:1万円の場合)><上記保障内容での月払保険料>20歳 2,616円30歳 3,591円40歳 5,502円50歳 7,209円60歳 8,936円例えば30歳で加入した場合には保険料3,591円ですが、40歳で加入した場合は保険料5,502円となり、約1.5倍となります。このように、若い年齢で加入することができるほど、保険料負担は軽くなることがわかります。保険料払込免除で保険料払込負担を軽減出来る若い年齢のうちの方が、同じ保障でも保険料負担が安いということを確認してきました。しかしながら「若い年齢からがん保険に加入していると結局がんに罹患しないまま20年・30年と保険料を払い続けることになり、結果としては損をするのではないか」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。結果論としては30歳で加入して60歳までがんに罹患しないまま保険料を支払い続けるということはありえます。しかし、それを損だと決めつけることも出来ません。どういう意味かと申しますと、30歳代・40歳代でも低いながらもがんに罹患するリスクはあります。その期間を保険で保障されていたのですから、経済的リスクに対して対処していたということになります。そのコストが保険料負担となっているわけなので、無駄遣いをしていたわけではありません。このように単に損だということにはならないと考えることもできます。また、最近の終身タイプの商品には、保険料払込免除という機能がついており、万が一がんになった場合、以後の保険料払込が不要となる商品もあります。若い年齢で加入してがんに罹患した後にも、がん保険は継続することが多いです。その場合に保険料払込は免除となるのは、経済的に非常に助かるわけです。若い時にがん保険に入ると保険料総額が大きくなる、という決めつけた議論がされる場合がありますが、保険料払込免除について考慮しておくことで、若い時に加入する=総額が増えるとは一概に言い切れない、ということを押さえておきましょう。まとめがん保険は何歳から加入した方がよいのかということを確認してきました。がん保険には概ね20歳から50歳ぐらいまで加入できるので、あとは私たちが何歳ぐらいになって加入するかの問題となります。まずは、がんの罹患率データを確認すると、生涯の罹患率は2人に1人であり、50歳代から罹患率が上昇していきます。このため50歳代より前に、がん保険の加入を検討した方が良いといえます。また、がん保険の仕組みから加入時期を考えてみましたが、できる限り年齢が若いうちに加入しておいた方が、月々の保険料負担が軽くなります。以上の両面から考慮すると、がんに罹患した時の経済的保障をがん保険で手当てしたいと考えている方で、保険料負担が問題ないのであれば、20歳代・30歳代のうちから将来に備えてがん保険に加入するのは十分に価値のある選択といえるでしょう。
2019年01月08日今や世帯加入率が62.8%(注)となっているがん保険。生命保険を検討する際の保険種類として、その認知度は高くなっています。しかし、一方で「本当にがん保険って必要なの?不要ではないの?」という疑問をいだく方もいらっしゃるようです。今回は具体的なケース(がん保険に入らなかった場合と、がん保険に入っていた場合)を設定して、がん保険が必要なのか不要なのかをどのように考えればよいかをわかりやすく説明していきたいと思います。注:生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する実態調査」がん保険に入らなかった場合には?それでは早速、ある具体的な人物像を設定して、がん保険に入らなかった場合と入っていた場合とを比較していきます。まずはがん保険に入らなかった場合を考えてみましょう。人物像を設定30歳女性のAさんは独身の会社員(年収400万円)で一人暮らしをしています。このAさんが、がん保険に入っていないまま、5年後の35歳の時に会社の健康診断で再検査をすすめられ、病院で乳がんとの診断を受けたとしましょう。入院後乳房温存手術を行い、1週間入院後に退院となりました。その後5週間にわたって放射線療法を受けたと仮定します。公的医療制度と自己負担額は?皆さまご存知の通り、がん保険に入っていなかったとしても公的な医療制度があります。今回のAさんの場合では、この公的な医療制度はどのように適用されて、Aさんの自己負担はどのぐらいになるのかを確認していきましょう。まず、Aさんに対する治療費総額はどれぐらいになるでしょうか?乳がんの専門学会でのデータをもとに試算すると以下の通りとなります。乳房温存手術で1週間入院:75万円放射線療法で5週間通院:47万円上記の治療費合計122万円はあくまで総額であり、皆さんが負担する金額ではありません。公的な医療制度が適用されて、皆さんの負担は通常この治療費総額の3割となります。自己負担額の治療費をあらためて示すと以下の通りで合計37万円となります。乳房温存手術で1週間入院:23万円放射線療法で5週間通院:14万円さらに、高額療養費制度というものがあり、1ヶ月の自己負担額は、80,100円+(267,000円を超えた額)×1%が限度となります。今回は入院後6週間が経過したケースですが、仮に1ヶ月間で37万円の自己負担額であったとすると、自己負担額は81,100円程度となります。がん保険に入っていない場合のまとめ以上の通り今回Aさんが、がんに罹患して治療する際にかかる自己負担額を確認してきました。がん保険に入っていなかったとしても、こうした負担額をまかなえる貯蓄があればとりあえずの対処は大丈夫ということになります。ただし気をつけていただきたい点があります。今回のケースでは、公的保険の適用外となる治療がありませんでしたが、先進医療といわれる治療を行った場合は、公的医療が適用されないため、全額自己負担となります。例えば身体への負担が少なく乳房等の切除を避けたいと考えて量子線治療という先進医療を選択した場合、276万円という全額自己負担の治療費がかかることあります。(注)また治療費以外にも差額ベッド代といわれる入院代の追加費用や病院での食事代、入退院や通院でのタクシー代などの費用が別途かかることは押さえておきたいところです。(注)生命保険文化センター「ひと目でわかる生活設計情報」しかし逆にいえば、こうしたもしもの時の貯蓄が無く、がん保険にも入っていない場合は、経済的に苦しい状態になる可能性が残ってしまうのです。がん保険に入っていた場合には?それでは次に、がん保険に入っていた場合を考えてみましょう。人物設定先程と同じ30歳女性のAさんに登場していただきましょう。このAさんが、30歳でがん保険に加入していて、5年後の35歳の時に会社の健康診断で再検査をすすめられ、病院で乳がんの診断を受けたとしましょう。その後の経過は先程と同じと考えます。このAさんが加入していたがん保険を設定しましょう。アクサダイレクト生命のがん終身に入っており、保障内容は以下の通りだったとします。もちろんこの保障内容で実際に加入することが出来ます。アクサダイレクト生命がん終身・保険期間:終身・保険料払込期間:終身・月払保険料:3,600円がん保険の給付金が支払われるAさんが入っているがん保険から、どれぐらいの給付金が支払われるでしょうか?今回の治療で支払われる給付金は以下の通りです。がん診断給付金で200万円がん入院給付金で14万円(7日間×2万円)がん手術給付金で10万円退院後療養給付金で10万円合計すると234万円となります。がん保険の保険料負担を考えておくこれに対して、Aさんの治療費の自己負担は先程の保険に入っていなかった場合と同じく8万円程度となりますが、出費はそれだけではありません。35歳にまるまでの5年間、がん保険に加入していたのですから、その保険料の負担を考慮に入れなければいけません。この負担額は毎月3600円×5年(60ヶ月間)であり約22万円となります。最初のがん保険に入っていなかった場合と平等に比較するためには、この保険料負担も入れて考える必要があるのです。自己負担額8万円程度に支払保険料の22万円を合わせて30万円の負担に対して、234万円の給付金の支払いがある、ということになります。がん保険に入っている場合のまとめこれまで確認してきた通り、がん保険に入っていた場合は、がん治療の自己負担額を十分まなかえる給付金が支払われることがわかりました。しかしながら一方で毎月がん保険の保険料は支払う必要があり、さきほどのAさんのケースでは、5年間で22万程度の負担が発生することになります。加えて5年後にがんになるとは限りませんので、10年後、15年後かもしれませんし、逆に1年後かもしれません。10年後、15年後にがんになった場合は、そこまでの支払保険料は2倍、3倍になりますし、60歳、70歳まで保険を継続することになれば、30年、40年の保険料負担になるのです。なお、今回のAさんが加入していた商品のように保険料払込免除特約(注)があれば、がんになった以降の保険料の負担はなくなります。以上のことも考慮にいれてがん保険の必要性を考えると良いでしょう。(注)保険料払込免除特約とは?がん保険は、がんの診断で保険金を受け取った後も、保険自体は消滅せずに継続となります。そうすると本来は保険料をその後も支払う必要があるわけですが、保険料払込免除特約が付帯している保険は、その後の保険料支払いが免除されるわけです。これはがんに罹患した人にとってはとても有難い制度です。まとめ今回は、「がん保険は本当に必要なの?不要ではないの?」といわれる素朴な疑問を出発点として、がん保険に入っていた場合と入っていなかった場合とを比較することで、がん保険が必要か不要かを考えるヒントにしていただきました。がん保険に入っていない場合には、当然ながら公的な医療制度で保障される範囲をこえた治療費の自己負担額を貯蓄しておくことが必要となります。一方でがん保険に入っている場合には、そうした自己負担額をがん保険の給付金で手当てすることが可能ですが、そのがん保険の保険料(費用)を毎月支払い続ける必要があります。がん保険が必要か不要かを判断する際は、「がんになった時にどれぐらいの自己負担となり、それを貯蓄で支払えるかを考える。」または「自己負担をがん保険の給付金で手当てするために保険料はどれぐらいなら支払うのかを考える。」こうした両面から検討することが重要なのです。
2018年12月24日初めて日本でがん保険が発売されてから40年以上が経過しました。以来、がん治療の発展とともに、がん保険を取り扱う保険会社も増え、商品も変化し続けて今日に至っています。様々ながん治療が増加するにしたがって、がん保険の保障内容も広がってきたといえるでしょう。一方でそうした保障の広がりには大きな注意点があります。今回はその注意点をがん保障の「一時金」というキーワードとともに、わかりやすく説明していきたいと思います。保障内容と保障金額から商品をとらえ直すがんのための経済的保障をしてくれるのが「がん保険」です。では「がん保険」とは、具体的に、どのような場合に、どれぐらいの金額を保障してくれる商品なのでしょうか?どのような場合に支払われるのか = 保障内容どれぐらいの金額が支払われるのか = 保障額がん保険の商品は、この保障内容と、保障額で構成されているのです。そして、生命保険の商品でいうところの「一時金」というのは、保障額に関する言葉です。100万円以上のまとまった金額のお支払いのことを生命保険では「一時金」と呼ぶことが多いです。では100万円に満たない支払いの金額をどのように呼ぶかというと給付金と呼ぶことが多いです。また「一時金」というのは原則1回だけの支払いを表します。これに対して給付金というのは、1日つき1万円支払います、というように複数回支払われることが前提となった表現です。なお、生命保険の仕組みについては以下の記事で詳しく紹介しましたので、参考にしてください。保障内容と保障額の2軸で考える皆さんが、がん保険の商品を選ぶ際には、保障内容にまず注目されることが多いと思います。これは至極当然のことで、「どんな場合に支払いをしてくれるのか(くれないのか)」が一番重要といえるからです。しかしながら、それと同時に重要なのが、では「その保障内容でどれぐらいの金額を支払ってくれるのか」という視点なのです。では実際の商品でこの保障内容と保障額を具体的に説明していきましょう。今回は、「保障内容を幅広く揃えた商品」と、「絞り込んだ保障内容の商品」という両極端の2商品をご紹介します。この2商品を比べていただくことで、浮かび上がってくる「一時金」という保障額の重要性もご理解いただけると思います。幅広い保障の商品最初に、幅広い保障内容が選べる商品の代表例として、チューリッヒ生命のガン治療保険プレミアムDX(以下、プレミアムDXといいます)をご紹介します。このプレミアムDXは、がん保険ランキング上位にあがってくるほどの人気商品となっています。このプレミアムDXの保障内容と保障額の具体例は下表の通りです。<30歳女性での設計例>保険期間:終身保険料払込期間:終身月払保険料:4,686円表をご覧頂くだけで保障内容の広さ(給付金の種類の多さ)がすぐにわかっていただけると思います。保障内容が細分化されており、この中から自分にとって必要だと思われる保障内容を取捨選択出来るわけですから、人気商品であるのもうなずけます。そしてもう一点、ご注目いただきたいのが、保障額です。自由診療抗がん剤・自由診療ホルモン剤治療給付金は月額60万円、がん診断給付金は50万円ですが、それ以外の給付金の金額(単位)は多いもので10万円、少ないもので数千円となっています。保障内容が幅広い反面、100万円単位の「一時金」といえる保障額はなく、低額の給付金が種類多くある、という特徴の商品となっているのです。とりあえずまとまった金額が欲しい、という方には注意が必要といえるでしょう。保障を絞った商品では次に、保障を絞った商品の代表例として、ライフネット生命のがん保険ダブルエール(以下、ダブルエールといいます)をご紹介します。ダブルエールも、プレミアムDXとは全く異なる商品性によって人気商品となっています。ではダブルエールの保障内容と保障額の具体例を確認していきましょう。<30歳女性、シンプルプランでの設計例>保険期間:終身保険料払込期間:終身月払保険料:4,311円ダブルエールの保障内容はかなり絞り込まれていて、プレミアムDXとは大きく異なる保障内容であることが理解いただけたことと思います。その一方で、がんと診断された時に支払われる、がん診断一時金が300万円となっており、まさに「一時金」と呼ぶにふさわしい保障額になっていることが分かると思います。がんと診断されたら、とりあえずまとまった金額が欲しいという方に適した商品といえるでしょう。理由は保険料負担先程2つの商品の保障内容と保障額を具体的に確認してきました。ここで読者の皆様はこんな風に思われるかも知れません。「プレミアムDXは保障内容の範囲(種類)が多いのに、なぜ保障額を抑えているの?もっと保障額を上げればいいじゃない?」「ダブルエールはなぜ保障内容を絞っているの?いろいろな保障内容を増やせばいいじゃない?」実はこれらの疑問に対する答えは、「保険料」にあるのです。保険料とは、あなたが保険会社に毎月(毎年)支払うお金のことです。がんに罹患した時に、保険会社から保障内容にある一時金や給付金を支払ってもらうためには、あなたは保険会社に保険料を支払わなければなりません。したがって、保険料はあなたにとって出費であり、負担になるものです。もう一度2つの商品の表をご覧いただくと、保険料(30歳女性の例)が掲載されています。プレミアムDXは月払4,686円、ダブルエールは月払4,311円です。仮に、プレミアムDXの幅広い保障内容のそれぞれの給付金の保障額を2倍にしたらどうなるでしょうか?単純計算でも9000円以上になります。保障額を3倍にすれば15000円ぐらいにはなるでしょう。がんの経済的保障がどうしても必要といっても、そのために毎月支払う保険料があまりにも多くなりすぎると、がんになった時のリスクの対処の前に、毎月の家計が大変になってしまうのです。商品を販売している保険会社もその辺りのことはよくわかっていて、保険を検討する人が毎月確実に支払える程度の保険料で商品設計をしてくるわけです。保障内容が幅広いプレミアムDXの保障額は、なぜ抑えられているのでしょうか?その理由は保険料負担を重くしすぎないためです。一時金が充実しているダブルエールの保障内容は、なぜ絞られているのでしょうか?その理由も保険料負担を重くしすぎないためなのです。まとめがん保険は、がん治療の進化とともに、その保障内容が変化してきました。変化の一つの方向性としては、保障を幅広く細分化してラインナップしてきたことです。これにより、自分が必要だと思われる保障を取捨選択して加入できる商品も増えてきました。しかしながら、幅広く細分化してラインナップされてきた反面、それぞれの保障ごとの保障額が低額に設定されている点には注意が必要です。がん治療の進化に合わせた保障が欲しいということで、こうした幅広い保障から取捨選択することもよいですが、がんに罹患した時にはまとまった一時金が欲しいという方は、がん診断給付金(がん診断一時金)が手厚い商品をチェックされることをお勧めします。
2018年12月11日「最終的に温存手術を選ばず全摘の決断をしたのは、理屈ではなく体の中でがんがものすごい速さで育っていくのを感じたからです」エネルギッシュに報道の現場を飛び回っていたある日、右胸にしこりを見つけた。社会人2年目の春だった。絶望に打ちひしがれながらも、家族や医師、同僚に支えられて、日本テレビ報道局社会部記者の鈴木美穂さん(35)は、徐々に前を向けるように。闘病を経験している記者として、がんとともにありながらも、希望の持てる生き方を伝えたいと模索してきた。いま夫という家族を得て、鈴木さんは新たなチャレンジに歩みだそうとしている――。’06年4月、鈴木さんは日本テレビに入社。面接時からドキュメンタリー志望と伝えていた彼女だったが、希望どおり、報道局へと配属された。入社1年目のAD時代から、自らネタを見つけては企画書を提出して、ニュース番組内での放送を実現。さらに1年後には、若手の皇室担当としてベテラン記者に交じり夜討ち朝駆けで、ハードながら充実した日々を送っていた。右胸のしこりに気づいたのは、そんな24歳の春だった。’08年5月2日、乳がんと検査結果を告げられる。「結婚も、出産もしないまま、私は死ぬのか。健康優良児で、親族にも一人もがんはいませんでしたから、『なんで私なの?』と、かつてないほどひどく混乱しました」女性の11人に1人がかかるといわれる乳がん。鈴木さんのがんは進行が早く、当時は再発リスクも高いといわれていた。“HER2陽性”タイプだった。「死にたくない」という一心で、最良と思える治療を求めて、病院をまわった。そんななか出会ったのが、取材で懇意になった医師が紹介してくれた国際医療福祉大学三田病院・乳腺センター長の吉本賢隆先生(70・現よしもとブレストクリニック院長)だった。「がんになって最もつらかったのは、未来が見えないことでした。私の未来の可能性を一緒に考えてくれた吉本先生に主治医になってもらおうと決めました」5月21日、右乳房の全摘出手術を行った結果、ステージ3の乳がんで、リンパへの転移も判明。抗がん剤治療が始まり、副作用で全身の脱毛が始まる。この苦境を支えたのが、24時間交代で付き添ってくれた家族であり、要所で治療の様子を撮影してくれた職場の仲間だった。「先輩ディレクターの『美穂はいつか自分の体験を伝えたくなるときがくるから』という提案がきっかけで、ときには家族もカメラを回してくれました。私自身、『がんになった自分だからできることがある』と信じていたというより、正直、当時はそうでも思わないと気力を維持できなかった」ちょうどHER2陽性タイプに効果のある分子標的薬が開発されたことも味方した。放射線など「治療のフルコース」を経て、8カ月の休職後、職場復帰を果たす。仕事に復帰することで不安が少しまぎれてはいたが、同じ悩みを語り合える場が欲しかった。「当時は、報道でもがん患者にはモザイクをかけるような時代。特に若いがん患者の情報は少なかったんです。同じ体験をした人たちに会いたいと思いました」’09年夏、仲間を集めて、35歳以下の若年性がん患者の団体「STAND UP!!」を立ち上げた。がん告知から5年目を迎えた’13年には、ヨガなどがん患者のためのワークショップを主催する「Cue!」をスタートさせて講演なども行い、海外のがん関連の会議にも積極的に参加。「完治まで10年といわれる乳がんですから、5年目は“折り返し”のイメージ。講演では『励まされました』という人がいて頑張ろうと思うんですが、同時に自分の体験を思い出してつらくなり、落ち込むということの繰り返しでした」しかし、国内外の患者らとの交流のなかで、少しずつ前向きな気持ちが大きくなっていく。「患者が、がんになった直後から立ち寄れて、欲しい情報も得られる常設の場が必要だと、より痛感するようになりました。日本では、治療法はもちろん仕事や恋愛、結婚、出産などの悩みを吐き出したり共有できる場所がなかったんです」そして思った。「だったら、自分で作ろう!」と。「がん患者が集える場所をつくろうと、両親も巻き込んで、一緒に不動産会社めぐりをしていました。世田谷に約8,000万円の一軒家の物件を見つけ、生涯ローンを組む寸前までいっていたんです」そんな矢先の、発症から6年目の’14年春、ウィーンでがんに関する国際会議に出席した鈴木さんは「マギーズセンター」と出合い、「これだ!」と衝撃を受ける。イギリス人の造園家のマギーさんが乳がんになったとき、「患者や家族が安らぐと同時に専門家に気軽に相談できる場所を」と、’96年にスコットランドのエディンバラに設立した施設。「早速、パソコンで“マギーズ”とカタカナで検索したら3件だけヒットして、そのすべてに“秋山正子”の名がありました」すぐに新宿区で「暮らしの保健室」を主宰する看護師の秋山正子さん(68)のもとへ、都のモデル事業の取材として駆けつけた。秋山さんは、当時のことをこう語る。「インタビューが終わるころには、『一緒にやりましょう』と手を取り合っていて。医療関係の人材確保は私、土地建物の資金面や広報は鈴木さんという互いに補い合える協力関係ができて、一気に計画は加速しました」’16年10月10日、「第二のわが家」をコンセプトに、がんにまつわるさまざまな相談が無料という画期的な施設「マギーズ東京」がオープンした。そんな鈴木さんは次のステップに踏み出そうとしている。「根っこにあるのは、私の原体験としてのがん闘病ですが、今後は病気に関するサポートに限らず、生きづらさや困難を抱える人たちを、そっと包み込む寛容な社会をつくっていきたい。そのために必要と思えば、場や商品づくりや、記者のときと同様に情報発信もしていきたい」
2018年11月19日15年もの長きにわたり、女性のがん死亡者数1位である大腸がん。日本人の生活の変化が増加の原因だといわれているが、生活習慣の改善で大腸がんになるリスクは下げられるという。専門家に聞いた。「大腸がんの原因は、はっきり解明されていません。しかし大腸がんの約70%は、肛門のすぐ上、便がたまりやすい直腸とS字結腸にできるんです。つまり便秘になると、大腸がんになるリスクが高まると考えられます。腸内に老廃物をため込まないことが予防になるのです」こう語るのは、これまで4万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた腸の専門医で、『腸はぜったい冷やすな!』(光文社)など、多くの著書を発表している、松生クリニックの松生恒夫院長(63)。9月に厚生労働省が発表した「平成29年人口動態統計」によると、昨年の女性のがん死亡者数1位は、15年連続で大腸がん(結腸、直腸)だった。その数は2万3,347人。さらに、国立がん研究センターが同時期に発表した今年のがん死亡者数予測でも、2万4,800人と、今年も女性の死亡者数1位は大腸がんと予測されている。30年前と比べて倍以上に増えている大腸がんによる死亡者数。多くの女性たちがこの病いが原因で命を落としてきた。「大腸がん増加は、日本人のライフスタイルの変化、特に食生活の変化が、腸に負担をかけていることが原因だと考えられています」(松生院長・以下同)それでは、どのように生活習慣を改善すれば、腸が健康になるのだろうか。松生院長は、オリーブオイルを多用した食生活を提案している。「オリーブオイルには主成分のオレイン酸をはじめ、ポリフェノールや葉緑素、ビタミンEなどの抗酸化作用のある物質が豊富に含まれています。とくにオリーブの実を搾っただけの、精製をしていないエクストラ・バージン・オリーブオイルには、強い抗炎症作用のあるオレオカンタールも含まれています」これらの成分が、腸の老化と炎症を防いでくれる。「さらに、オリーブオイルが腸管を刺激し、腸内の老廃物にもオリーブオイルが混じるので、排便がスムーズになります。いわば“天然の下剤”のようなものですね。実際、エクストラ・バージン・オリーブオイルをたっぷりと取る食生活をしている地中海地域では、大腸がんの発症率が低いことが知られています」1日の推奨摂取量は30ミリリットル。大さじ2杯分だ。毎日これだけの量を取るには、オリーブオイルを使った凝った料理を無理して作るより、できるだけシンプルに使ったほうが長続きするという。そこで、1日30ミリリットルを実現する「ちょい足し・オリーブオイルレシピ」を紹介。■納豆オリーブオイルボウルに納豆を入れてよく混ぜ、タレとオリーブオイルを入れ、また混ぜる。納豆1パックに対して、大さじ1杯の割合で。■オリーブココア1)カップに純ココアの粉を適量入れ、熱湯を注ぎ混ぜ合わせる。2)オリーブオイルを小さじ2杯(約10ミリリットル)とオリゴ糖を適量入れてよく混ぜ合わせる。■マグロのカルパッチョ1)マグロのさくをぶつ切りにする。2)オリーブオイル、醤油を適量加えて混ぜる。最後に刻んだバジルの葉をかける。■オリーブ野菜スープ(4人分)1)オリーブオイルを大さじ2杯鍋に引いて、それぞれ食べやすい大きさに切ったベーコン、玉ねぎ(1/2個)、にんじん(1/2本)、キャベツの葉(2枚)、じゃがいも(1個)の順に入れて、よく炒める。2)火が十分に通ったら、水を600ミリリットル入れて、スープのもと、塩を小さじ1/3、こしょうを加えて、沸騰させる。3)オリーブオイルを適量入れ、味を調えて、できあがり。「納豆1パックに大さじ1杯混ぜるなど、できるだけシンプルな使い方をすることが、毎日欠かさずに取るコツです。意外に日本食に合うので、さまざまなもので試してみてください」もちろん、野菜や穀類など、食物繊維が豊富な食材を多く食べることも大切だ。さらに、岩塩、豆腐、ごまなどに含まれるマグネシウムや、漬け物、味噌、醤油などに含まれる植物性乳酸菌も腸の刺激になり、排便を促す効果がある。豆腐入りの味噌汁なども、腸にはいいという。「夕飯の主食は、肉と魚を1日おきに食べましょう。そうすれば、肉の摂取量を減らし、魚を増やすことができる。魚に含まれるEPAやDHAは、生活習慣病を予防する効果があります。オリーブオイルをかけてカルパッチョにしたり、焼き魚にするといいでしょう」
2018年11月12日「大腸がんの原因は、はっきり解明されていません。しかし大腸がんの約70%は、肛門のすぐ上、便がたまりやすい直腸とS字結腸にできるんです。つまり便秘になると、大腸がんになるリスクが高まると考えられます。腸内に老廃物をため込まないことが予防になるのです」こう語るのは、これまで4万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた腸の専門医で、『腸はぜったい冷やすな!』(光文社)など、多くの著書を発表している、松生クリニックの松生恒夫院長(63)。9月に厚生労働省が発表した「平成29年人口動態統計」によると、昨年の女性のがん死亡者数1位は、15年連続で大腸がん(結腸、直腸)だった。その数は2万3,347人。さらに、国立がん研究センターが同時期に発表した今年のがん死亡者数予測でも、2万4,800人と、今年も女性の死亡者数1位は大腸がんと予測されている。30年前と比べて倍以上に増えている大腸がんによる死亡者数。多くの女性たちがこの病いが原因で命を落としてきた。「大腸がん増加は、日本人のライフスタイルの変化、特に食生活の変化が、腸に負担をかけていることが原因だと考えられています」(松生院長・以下同)それでは、どのように生活習慣を改善すれば、腸が健康になるのだろうか。松生院長が勧める大腸がんを予防する習慣は次の5つ。【1】オリーブオイルを使った食事をする【2】夕食の主食は、肉と魚を1日おきにする【3】節度ある飲酒を心がける【4】食物繊維の多い品目を多く取る【5】適度な運動をして、肥満を避ける生活習慣の改善のほかに、忘れてはならないのが、定期的に大腸がん検診を受けることだ。「大腸がんの死亡者数が減らないのは、大腸内視鏡検査が浸透していないことが大きな要因です。現在、国内で年間400万件ぐらいの検査が行われていますが、胃の内視鏡検査など(約950万件)の半分以下に過ぎません。検査を受ける人が少ないので、大腸がんが悪くなってから見つかるケースが多く、死亡者数にブレーキがかからないのです。胃がんによる死亡者数が毎年減っているのとは対照的です」大腸がんは内視鏡検査による早期発見、早期治療で90%以上が治癒するといわれている。最後に松生院長はこんな人には、ぜひ診察を受けてほしいと言う。「いちばんは血便のある人。次に、いままでは平気だったのになぜか急に便秘が始まったような人です。また、親が60歳前後で大腸がんになったなど、家系内に大腸がんの経験者がいる場合は、遺伝性の大腸がんになるリスクが高いので、注意してください」女性のがん死亡者数1位の大腸がん。だが、正しく予防し、定期的に検査すれば、“死なない”病気なのだ。
2018年11月12日「大腸がんの原因は、はっきり解明されていません。しかし大腸がんの約70%は、肛門のすぐ上、便がたまりやすい直腸とS字結腸にできるんです。つまり便秘になると、大腸がんになるリスクが高まると考えられます。腸内に老廃物をため込まないことが予防になるのです」こう語るのは、これまで4万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた腸の専門医で、『腸はぜったい冷やすな!』(光文社)など、多くの著書を発表している、松生クリニックの松生恒夫院長(63)。9月に厚生労働省が発表した「平成29年人口動態統計」によると、昨年の女性のがん死亡者数1位は、15年連続で大腸がん(結腸、直腸)だった。その数は2万3,347人。さらに、国立がん研究センターが同時期に発表した今年のがん死亡者数予測でも、2万4,800人と、今年も女性の死亡者数1位は大腸がんと予測されている。30年前と比べて倍以上に増えている大腸がんによる死亡者数。多くの女性たちがこの病いが原因で命を落としてきた。「大腸がん増加は、日本人のライフスタイルの変化、特に食生活の変化が、腸に負担をかけていることが原因だと考えられています。それを改善するためにも、最初に自分の腸の健康状態を把握してください」(松生院長・以下同)松生院長監修のもと本誌が作成した、次のチェックリストをやってみよう。□ふだんから、野菜や生の果物をあまり食べない□水分をあまり取らない□炭水化物の摂取を避けている□牛肉や豚肉、加工肉(ベーコン、ソーセージなど)をよく食べる□下痢と便秘を繰り返している□排便後も残便感がある□排便時にときどき下血することがある□運動をしない□肥満気味だ□過度の飲酒や喫煙の習慣があるチェック数が、「3個以下」=特に問題なし。「4~5個」=やや問題があるので、チェック項目を見直そう。「6~8個」=要注意。生活習慣の改善を。「9個以上」=全面的な生活習慣の見直しが必要。近年、はやっている“炭水化物抜きダイエット”。「米やパンといった炭水化物は食物繊維と糖質でできています。食物繊維の摂取量が減ると、腸内に老廃物がたまりやすくなってしまいます。つまり便秘になりやすくなるわけです」一方、肉は大腸がんのリスクを高めるといわれているので、取りすぎは気を付けたい。さらに、夜にトイレに起きるのが、めんどうくさいなどの理由で、水分摂取を控えている人も注意が必要だ。「本来、便は腸内で泥状になっており、S状結腸で初めて固形便になります。水分が不足すると、S状結腸に至る前に固形化してしまって、便秘を引き起こします」食事や水分だけではなく、運動不足も腸の大敵だ。「大腸は、内容物を肛門のほうに送り出すぜん動運動を行っているのですが、筋力が衰えると、ぜん動運動が起こりにくくなり、便を押し出す力が弱くなってしまいます」
2018年11月12日日本人の2人に1人がかかる「がん」。今年9月上旬、国立がん研究センター(東京都中央区)が初めて公表した「がん患者の3年生存率」は、71.3%で、乳がんはステージ1では100%、乳がん全体でも95.2%となった。「かんの摘出手術をしたとしても入院期間は短くなり、通院しながら抗がん剤治療を受けるケースも増えてきました。“がん”と宣告されても、治療をすれば社会復帰できる時代になりましたので、慌てて仕事を辞めないこと。医療費の支払いという経済的な負担が伴いますので、治療を金銭面で支えてくれる公的制度を知っておくと安心できます」そうアドバイスするのは、『大図解届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)の著者で社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。そこで、がんなど病気にかかったときの、経済的負担を支える制度について教えてもらった。■払い過ぎた税金が戻ってくる1月から12月までに自己負担した医療費が10万円(または所得の5%)以上かかった場合、確定申告をすると、10万円を超えた分が所得から差し引かれる「医療費控除」が受けられる。計算方法は、「1年間に医療費として支払った額」から高額療養費の給付や医療保険の給付金など「補てんされる額」を引き、さらに「10万円」を引くと医療費控除の額になり、税率に応じて税金が還付される。たとえば、医療費控除の30万円の人が、所得税の税率が10%だった場合、3万円が還付される計算になる。通院の交通費、医師の処方による医薬品は医療費控除の対象になるが、疲労回復のためのマッサージ代は対象外など、細かく分かれているので国税庁のホームページを参考にしよう。なお、専業主婦の妻ががんになった場合は、夫が加入する保険の被扶養者なので高額療養費制度、付加給付は利用できる。会社勤めしていないので傷病手当金はもらえないが、障害年金は夫が会社員の場合は、妻は「第3号被保険者」として国民年金に加入しているので障害基礎年金がもらえる。夫が自営業の場合は、専業主婦の妻自身も国民年金に加入しているので障害基礎年金を受け取れる。医師は医療費や使える制度について教えてくれるわけではない。そんなとき、病院内の「医療ソーシャルワーカー」や、全国400以上あるがん診療連携拠点病院にある「がん相談支援センター」では、社会福祉士や看護師らが、生活面での相談に乗ってくれる。気になること、わからないことはそのままにしないで、何でも聞いてみよう。
2018年10月17日日本人の2人に1人がかかる「がん」。今年9月上旬、国立がん研究センター(東京都中央区)が初めて公表した「がん患者の3年生存率」は、71.3%で、乳がんはステージ1では100%、乳がん全体でも95.2%となった。「かんの摘出手術をしたとしても入院期間は短くなり、通院しながら抗がん剤治療を受けるケースも増えてきました。“がん”と宣告されても、治療をすれば社会復帰できる時代になりましたので、慌てて仕事を辞めないこと。医療費の支払いという経済的な負担が伴いますので、治療を金銭面で支えてくれる公的制度を知っておくと安心できます」そうアドバイスするのは、『大図解届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)の著者で社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。そこで、がんなど病気にかかったときの、経済的負担を支える制度について教えてもらった。■働くことが困難になったら病気やケガによって仕事や生活が制限されるようになった場合、現役世代の人でも年金がもらえる制度が「障害年金」。目、聴覚、手足などの障害、精神障害のほかに、呼吸器、心臓、腎臓、血液の疾患、糖尿病、そしてがんなど内臓疾患の人でももらえる。「たとえば、直腸がんを患い手術を受けて人工肛門にした、咽頭がんで摘出手術をした人などは、障害年金の対象の可能性があります」国民年金から支給される「障害基礎年金」、厚生年金から支給される「障害厚生年金」があり、もらうためには初めて医師の診断を受けた日(初診日)に65歳未満で、初診日から1年6カ月経過した日に要件を満たす障害がある、といった条件がある。また、国民年金の被保険者は市区町村、厚生年金の被保険者は年金事務所で手続きをして、医師の診断書が必要になる。「障害の等級は1級から3級まであり、障害基礎年金の1級は年額97万4,125円(’18年度)、2級は77万9,300円(同)になっています。自営業の人は、妻と(高校卒業していない)子の3人家族の場合、1級と認定されると年119万8,425円、2級は100万3,600円になります。それに対して、会社員は月収30万円とすると、1級は年221万225円、2級は185万7,900円と、2倍近くの年金がもらえます」障害年金の認定は、目に見えて体の機能が変わった場合だけでなく、がん治療による倦怠感や麻痺、しびれ、貧血、下痢など客観的にわかりにくい内部障害の場合にも該当する可能性があるので、「もらえないかも」と1人で勝手に判断しないこと。主治医に「障害年金を申請したい」と話したうえで、仕事や生活に支障をきたしていることを具体的に伝えてみよう。
2018年10月17日日本人の2人に1人がかかる「がん」。今年9月上旬、国立がん研究センター(東京都中央区)が初めて公表した「がん患者の3年生存率」は、71.3%で、乳がんはステージ1では100%、乳がん全体でも95.2%となった。「がんの摘出手術をしたとしても入院期間は短くなり、通院しながら抗がん剤治療を受けるケースも増えてきました。“がん”と宣告されても、治療をすれば社会復帰できる時代になりましたので、慌てて仕事を辞めないこと。医療費の支払いという経済的な負担が伴いますので、治療を金銭面で支えてくれる公的制度を知っておくと安心できます」そうアドバイスするのは、『大図解届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)の著者で社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。そこで、がんなど病気にかかったときの、経済的負担を支える制度について教えてもらった。■医療費が戻ってくるたとえば、入院や手術で100万円の医療費がかかったとしても、窓口で支払うのは3割負担の30万円。ここから自己負担限度額を超えた分が戻ってくるというのが「高額療養費制度」。「一般的な所得の会社員(70歳未満、年収350万~770万円)が入院・手術して1カ月で100万円の医療費がかかったケースでは、8万7,430円が自己負担限度額で、21万2,570円が払い戻される計算になります。手続きは会社員なら勤務先を通じて健康保険組合、協会けんぽで、国民健康保険に加入する自営業の人は市区町村の国民健康保険課で行います。直近12カ月で3回以上、自己負担限度額を超えた月がありますと、4回目からは『多数該当』として自己負担限度額は4万4,400円と低くなり、戻ってくるお金は25万5,600円になります」(井戸さん・以下同)また、高額療養費制度は手続きしてから指定の口座に振り込まれるまで3カ月ほどかかるが、加入する健康保険で「限度額適用認定証」を申請して、病院で提示すれば、窓口での負担は限度額で済む。もちろん、生計を一にする家族が使った医療費もまとめて計算できる「世帯合算」にも適用できる。さらに、従業員が700人を超えるような大手企業の健康保険組合では、独自の自己負担限度額を設けているケースもあるという。「『付加給付』といい、たとえば、窓口負担が30万円の人でも、『付加給付』の自己負担限度額が2万5,000円だったとしますと、27万5,000円戻ってくることになります。なお、この制度は高額療養費制度と併用可能です」夫の会社の福利厚生を知らない、という人は今すぐチェック!■欠勤したときに給料の一部がもらえる治療が長引いたり、体調が戻らなかったりして、会社を欠勤するようになって給料が支払われないとき、健康保険から「傷病手当金」がもらえる。「連続して3日間の待期の後、4日目以降の仕事に就けなかった人は、4日目から最長1年6カ月、給料の3分の2程度の支給額がもらえます。月収30万円の人が60日休業した場合、約40万円がもらえる計算になります。届け出は勤務先を通じて健康保険組合・協会けんぽに申請し、その際、医師の意見書が必要になります。国民健康保険にない制度なので自営業の人はもらえませんが、パート勤務でも健康保険に加入すれば給付の対象になります」
2018年10月17日