最近「毒親」本は相次いでベストセラーになり注目を集める「毒親」ですが、毒親はアダルトチルドレンの原因になったり、毒親の子が毒親になったりと長期に渡って影響を与える深刻なものです。毒親になっていないかのチェック方法から、毒親の与える深刻な影響、毒親の子が毒親にならないための方法専門家の意見を伺ったママテナの記事からまとめました。●「毒親」とは?「毒親」という言葉を知ってますか?毒親とは、子どもを自分の思い通りにしようとし、暴力や虐待、過度の干渉などによって支配下に置こうとする親のことです。子どもにとって「毒」になる親ををこう呼ぶそうです。どんなママが毒親になってしまうのか?子供が成長してアダルトチルドレンになってしまう原因も毒親にあるといいます。しかし、毒親は実は子供の時の親の影響を受けた場合が多く、被害者が加害者になるという状況もあります…。▼続きはこちら▼●あなたは毒親になってませんか?良かれと思ってしている子どもへの激励や応援は実は自分自身の思いを押し付け、子どもを追い詰めて負担になっています。あなたの毒親度チェック、6つの質問に答える事で簡単に確認できます。▼続きはこちら▼●毒親が与える深刻な影響とは?毒親に育てられた子供が親になると、自分自身が否定されて育ったため、しあわせでないと感じ同じことをしてしまう、と専門家は指摘します。毒親チェックであてはまる項目が多かった場合、自分の子供を毒親にしないためにも、この毒親連鎖を断ち切る必要があります。その方法とは?▼続きはこちら▼●しつけのポイントは?毒親にならないようにしながらも、子供のしつけはしなくてはいけないママ。具体的なしつけの方法や、両親を見て学んだことなど、しつけにかんする記事です。▼続きはこちら▼
2018年05月27日入園などをきっかけに同じ年齢の子どもと触れ合う機会が多くなると、親としてはどうしても自分の子と他の子を比べてしまいがちに。正直、気になってしまいますよね。でも、成長もできることも得意なことも、子どもそれぞれ! どうして他の子はできるのに、うちの子は…4月から保育園や運動クラブに通うようになり、他の子と同じことをするという機会が増えるにつれ「親の理想を押し付けるのはよくない」とか「他の子と比べるのはよくない」という考えはずっと頭の中にはあって、「自分はそれらを絶対にやらないぞ」と決めていたはずなのに「あれ…どうして他の子はできるのに、うちの子はできないんだろう」そんなことを考えてるようになってしまいました。できないことばかりに目がいくようになり、つい息子に厳しく「他の子もできるんだから」と本人がしたくもないことを押し付けるようになっている自分に気づき長男が、「何か造ることが得意なこと」「映画を最後まで観て感想だって言えること」「弟を笑わせようと頑張れること」そういう「できることだってある」ということを忘れてしまっていました。みんなと同じことができるのもすばらしいけどみんなと違ったって大丈夫って息子に言ってあげられる親にならねば、と思いました。
2018年04月22日学校教育だけでは一向に身につかないといわれる日本の英語教育。「わが子には効果的な英語教育を受けさせたい」と考える親たちは、英会話スクールや英語教材といった学習を行なう人も多いだろう。●日本の学校教育で、英語が身につかない理由とは?でも、なぜ日本の学校教育だけでは英語が身につかないのか?「英語塾エベレスト」を運営する代表の齋藤孝夫さんに、まずはその問題点をうかがった。「人間が言葉を覚える過程を考えるとわかりやすいです。生まれたばかりの赤ちゃんは言葉を話さず、ひたすら言葉を聞いて言語の情報を収集しています。2歳くらいになると収集した情報を整理して、少しずつ言葉を発するようになります。その後読むことができるようになり、書くことができるようになりますよね。そしてその言葉を学ぶ過程は、すべてその状況や一定のシチュエーションで学んでいきます。だからどんなシーンでどう使うかがわかるのです」(齋藤さん以下同)しかし日本の英語教育は、言語学習過程の「聞く、話す」よりも、基礎文法を覚え、読解することが多い。「その結果、設問は解けるが、どんなシチュエーションで、どう伝えたらいいかがわからないままになります。だから使えないのです。目的に対する手段が間違っていることがわかります」さらによく言われるのは「日本人は英語で話して間違えるのを嫌がるから上達しない」という国民性の問題。しかし齋藤さんは「それも日本人の性質ではなく、日本の学校教育の問題」と断言する。「学校では、英語のテストを受けさせ生徒に優劣をつけます。つまり『答えはひとつで、間違えるのはいけないこと』と、身に染みて学ばされるのです。これでは、英語がコミュニケーションツールとして機能していない。その結果、英語で話す機会があっても『間違えたくない』という気持ちが働き、黙ってしまう。大人でもそういう人は多いですよね」●重要なのは、継続して日常的に英語を使う機会では、そういったハードルがあるなかで、具体的に何をすれば英語を身につけることができるのだろうか?「重要なことは2つ。ひとつは『はじめから英語を意思の伝達手段として使うこと』。もうひとつは『その絶対量を確保すること』です。しかし日本では日本語だけで成り立つので、その環境を整えることはとても難しい。そういった意味では、日常で英語に触れるために、インターに通ったり、留学して強制的に英語を使わざるを得ない環境に身を置いたりするのは有効です」とはいえ、実際そこまで親が子どもに投資するのは、正直かなりハードルが高い。実際は英会話スクール、英語塾に通う、英語教材などで勉強をするのが一般的だろう。英語が身につく英会話スクールに子どもを通わせるにはどういった点に注目したらいいのだろうか?●体験レッスンでは、スクールによる目標設定と、生徒の"会話量"を見極めよう「プログラムを見て、何をゴールにしているかを確認してください。英検取得を目的としているところが増えてきていますが、残念ながら実践ではあまり意味がありません。実践的に使えるようにするために、ここに通ったらどうなるのか明確なゴール設定とそのゴール到達のためのプロセスがしっかりと設計されている塾をお勧めします。どこを目指すかで、カリキュラムや講師の教え方が決まっていきますので。」そして、次に重要なのは、生徒にしっかり会話をさせる授業かどうかの中身(質)だという。「経験の浅い講師は、自分の話ばかりしてしまいます。会話といいつつ、生徒は話を聞いているばかり。講師が主役ではありません。生徒の話をしっかりと引きだして、いかにリードできるかがプロ講師としての腕の見せ所です。注意したいのは、会話といっても、一言生徒が答えただけで、満足してしまう講師が多い。そこを素通りせずに、ちゃんと文章に直して、生徒に言わせる努力をしているかどうか。そこをしっかり見極めてほしいですね。手間を惜しまないところか、本気度を確かめてください」もし今後子どもに英会話スクールへ通わせるなら、これらのポイントを踏まえて効果的なスクールを見極めたい。(取材・文:高山惠編集:ノオト)
2018年02月24日医学や科学が進歩するように、育児や教育に関する研究も日々進歩しています。かつては親がやってしまっていた行為のなかには、絶対にやるべきではないしつけやコミュニケーションも多そうです。最近の子ども事情、そして、親が子供にやってはいけないことが学べる記事を厳選してお届けします。その1●【九九を覚えられない子】に母親が絶対にしてはいけないことかけ算九九が苦手という子ども、小さいころ、同級生にいませんでしたか? はたまた、自身がそんなお子さまではありませんでしたか? 頭ごなしに叱っては逆効果。子どもが覚えられない原因は、意外なところにあるかもしれません。▼続きはこちら▼その2●約束を守れない子ども、どうしたらいい?家に帰ってきたら宿題をやる。借りたものは期日までにきちんと返す。門限はきちんと守る。大人でも約束を守ることは難しいものですが、子どもが約束を守らないのには理由があり、約束を破ったこともに対してすべきこともありました。▼続きはこちら▼その3●友達とうまく遊べない子が増えている!良い友人関係は生涯の宝物に。なるべく多くの友だちを作って、楽しい学校生活を送ってほしいと考えるママパパは多いけど、最近は友だちを上手に遊べない子どもが増えているそう。その背景に焦点をあてました。▼続きはこちら▼その4●モラハラ家庭で育った子はモラハラになる?モラハラな大人にまつわるニュースが時々世間を騒がせるけど、ひょっとすると、それは育ってきた家庭環境に原因があるかも。わが子をモラハラな子どもにさせないためにはどうしたら?▼続きはこちら▼その5●離婚したママが子どもにしてはいけないこと離婚率は増加傾向にあり、シングル家庭も増えています。そうした環境で育児をする場合、我が子に対して親がやってはいけない態度や行動があるそうです。▼続きはこちら▼
2018年02月23日さまざまな統計調査で、親が子どもに期待することの上位には「優しい子に育ってほしい」「好奇心旺盛な子に育ってほしい」という心の成長に関するものが多くあげられています。しかし、このようなママの願いはどうやって叶えたらいいか・・・非常に難しく感じるかもしれません。私がオススメしている方法は“植物を育てる”ということです。簡単に思われるかもしれませんが、ちょっとしたコツがポイントになりますので、今回は、親子で植物を育てることのコツと効果についてご紹介します。●植物とゆっくり向き合える植物は動物と違って、目の前で動いたり反応したりすることはありません。ゆっくりと話をしながら、子どもが自主的に向き合う(観察する)状況を作るには、植物が一番ぴったりです。まずは、お子さんと一緒にお水をあげたり、絵を描いたりしながら、じっくり観察することからはじめましょう。「こっちの葉っぱは細長いけど、こっちの葉っぱはハート型だ」「上の方の葉っぱの色と下の方の葉っぱの色が違う」など、じっくり眺めることでさまざまな発見ができます。この「それぞれちょっとだけ違う」という観察や感じ方が、心の成長の土台 となります。●植物の成長条件を体験的に学べる親子で一緒に植物を育てていると、“植物が成長するには何が必要なのか”を体験的に学ぶことができます。毎日の水やりから、植物には適度な水分が必要であることを感覚的に理解できます。また、植物によっては、大量の水をあげてはいけない季節もあり調節が必要なことも学べます。さらに、普段から葉っぱの部分に光が当たるように意識をさせたり、日陰に置いたりすることで、理科の必須知識になる“光合成”のことも自然に学ぶことができます。また、日本には四季がありますので、植物ごとにも季節があり、元気な時と休んでいる時があることを知ることもできます。●植物の生息地域を知るわが家ではいくつかの植物を子どもと育てているのですが、寒さに弱い植物がほとんどです。冬になると、葉っぱが落ちたり、変色したりします。次男が育てている“パキラ”も最近葉っぱが落ちてしまい、子どもはとても心配していました。このような時こそ、子どもに植物の仕組みを説明し、子どもの心を成長させるチャンス です。わが子には、「パキラは元々あたたかい国の植物だから、寒さに強くないんだね。」「春になってあたたかくなれば、また葉っぱが生えてくるようだね」と一緒に図鑑などで調べながら、春までどうやって育てるかを話し合いました。英国に住んでいた夫の話だと、ガーデニングは季節が終わると花を引っこ抜いて入れ替えるらしいのですが、1つの植物を長く育てる風習は日本人っぽい心の現れなのかもしれません。少し話は脱線しましたが、子どもは枯れてしまった原因がわかったことで安心し、また、育ちやすい環境や時期があることも体験的に学ぶことができました。このような体験的な学びは、子どもが楽しく学ぶためにとても大切なことです。●植物を育てることによる心の成長“相手のことを思いやる”というのは、昨今のニュースなどを見ていると、大人でもなかなか難しいことかもしれません。つまり、成長すれば自然に身につくものではないということです。植物を育てていると「大きくなったかな」「元気がないな」など自分以外の対象に目を向けますし、植物の気持ちになって推測することを始めます。心理学では視点取得(してんしゅとく)といって、人の気持ちをわかろうとする基本的な人間の機能 です。この機能と感情をうまく連動させることが、思いやりや優しさにつながります。つまり、自分の視点だけで考えないことが重要なのです。「お水が足りなさそうだからあげよう」「元気に育ってほしいから、もっと明るい場所に置こう」など、毎日の観察をもとに、自分のことだけでなく植物のことも考えられるようになったら素敵ですね。----------最後に少し、わが家の取り組みをご紹介します!昨年の夏、アサガオの種を上級生からプレゼントされたため、育ててみることにしました。1つの鉢で育ててもよかったのですが、子どもにとっては“自分”の花というのは特別な存在になるので、パパ、長男、次男と3つの鉢に分けて育てました。アサガオの本で成長の様子を学びながら、今か今かと発芽を待ち望みました。しばらくすると、ポツポツと芽が出てきたのですか、なぜか長男の鉢の芽だけが出ず・・・。男の子は1番にこだわりやすいといわれますが、わが子も例外ではなく・・・誰よりも早い発芽を望んでいたため、肩を落としていました。そんな長男に対しては、「みんな同じスピードで大きくなるわけじゃないんだよ」「後からぐんぐん大きくなると思うよ」といったように声をかけるようにしました。ようやく芽が出てきた時は、とても嬉しそうに目を輝かせていました!そして、数センチ芽が伸びてきた頃、顕微鏡を使って葉っぱを観察しました。肉眼では見えないものが見えることに子どもたちは大興奮でした。葉っぱ以外にも、皮膚をみたりホクロをみたり途中脱線をしつつ、最後は顕微鏡で見たものを絵に描くことができました。顕微鏡を用いることや絵を描くことを通じて、じっくり観察することや細かい部分にも意識を向けることを学べたように思います。アサガオの種を今年はたくさん収穫できたので、来年育てることを楽しみにしています。いかがでしたか。今回は、親子で植物を育てることのコツと効果についてご紹介しました。アサガオは育てやすい植物ですので、今年の夏は皆さんもチャレンジしてみませんか?●ライター/今井千鶴子●モデル/神山みき
2018年01月22日各地で講演活動を行い、障害のある子の「親なきあと」の現状や対策について発信する行政書士の渡部伸先生と、自閉症児の母であり、発達ナビで連載コラムを執筆する立石美津子さんによる「親なきあと」についての対談企画、第二弾。対談の前編、「親なきあと、障害のある子はどう暮らす?お金は足りる?」では、保護者が元気で動けるうちに、税の控除や手当なども活用しながら資産をつくる、親なきあとに障害年金がもらえるように準備したり、のこした資産を信託するなど、適切に渡していくことの準備が必要だということが分かりました。「親なきあと」の暮らしはどうなる?住まいは?支援者は?「親なきあと」相談室を主宰する行政書士・渡部先生×自閉症の子を育てる立石さんの対談からUpload By 発達ナビ編集部「親なきあと」に関する保護者の方のもうひとつの懸念は、のこされた子どもが「どこで暮らすのか、その暮らしを誰がサポートしてくれるのか」ということです。障害者支援施設といった入所施設やグループホームなどに住むのか、福祉サービスを活用しながら1人暮らしや親族と一緒に住むのか…ぼんやりと想像はできても、わが子が将来どのような暮らしをするのか、それにはどのくらい費用がかかるのかなど、分からないことが多く、不安や疑問があると思います。対談後編の今回は「暮らし編」と銘打ち、「親なきあと」の暮らしをテーマに、お二人の対談をお届けします。「親なきあと」、障害のある子はどこに住むのか?出典 : 立石さん(以下、立石)お子さんがまだ小さいと、将来親がいなくなった後、どこに住むかということまでまだ考えが及ばないかもしれませんが、実際は親なき後の人生の方が長いですから、お金の問題もですが、どこで誰と住むのか考えておくことは大切だと思います。健常の兄弟姉妹がいたとしても、独立してそれぞれの生活を歩みますから、障害のある子の面倒を託すこともできませんし…。渡部先生(以下、渡部)今、障害のある方の住む場所についても、法制度や社会環境が変わっている…過渡期なんですよ。今後の流れとしては、居宅介護などを充実させていくことで、特に軽度から中度の場合はできるだけ施設やグループホームに入らず自宅で暮らすことを目指す、という方向になってくと思います。大規模施設を作ってそこに障害のある方を集めて…というところから、福祉サービスを充実させて地域で暮らせるようにするという流れですね。発達ナビ編集部(以下、編集部)どうしてそういう流れになったんでしょう?渡部2003年に、それまで行政がサービスの利用先や内容を決めていた「措置制度」から、障害のある方の自己決定に基づいてサービスの利用を決定する支援費制度に変わったことが大きなきっかけだったと思います。もうひとつ大きいのは、2014年に「障害者権利条約(障害者の権利に関する条約)」を批准したことですね。この条約を批准するために法制度を整備する必要が出てきて、「障害者総合支援法」ができたり、「障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」ができました。”住み慣れた地域で自分らしく暮らしていきたい”という願いにこたえていこうという流れになっているんです。2018年4月には、「自立生活援助」制度も始まります。施設やグループホーム、病院に入所している障害のある人が、1人暮らしを始める場合、一定期間、巡回したり支援するという制度です。また、そうした法制度が走り始めると、一定期間たって「自立生活援助」による支援が終了したあとをサポートするようなサービスなどが民間から出てくると思います。それによって、地域で暮らしていきやすい体制が整ってくるのではないかと期待しています立石本当に過渡期なんですね…。参考:障害者の権利に関する条約 | 外務省参考:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 | 内閣府渡部また、新しい取り組みとして、障害者とその親が一緒に住める老人ホームや、障害者のグループホームとその親が入る高齢者のグループホームがひとつの敷地内にある施設などができてきています。高齢になると、施設に入所している子どもに会いに行くことができなくなりがちですが、同じ敷地内であれば安心ですよね。立石そういう施設もあるんですね。渡部障害者の入居施設は結構定員いっぱいなことが多くて。入居できる施設は地方にあることが多いし、親も元気なうちは新幹線で1本だからすぐに会いに行けると思って入居を決めたりするのですが、いざ高齢になると、なかなか会いに行けなくなってしまう…。立石うちは母一人子一人なので、私がいなくなったら…、動けなくなったらと思うと心配なんですね。いざというとき、地元に入居できるグループホームもないかもしれない。子どもが路頭に迷わないようにしたい。それで、将来のことを考えて、グループホームを作りたいなと思っています。編集部立石さんは、実際に役所に出向かれたりして、グループホーム設立について動きはじめています。どのようなグループホームをつくられるのか、今後の発信がとても楽しみです。障害者手帳はもつべきなのか?メリットやデメリットは?Upload By 発達ナビ編集部立石いろいろお話を伺っていて、改めて思うのは、手当とか割引など活用できる制度は使って、親が元気なうちから出ていくお金を抑えられるような仕組みづくりをしておかなきゃいけないなということですね。“日本の福祉は自己申告制”ですよね。じっと待っていても役所から案内が来るわけじゃないですから、自分から積極的に行動し、情報をとりにいかないといけませんね。渡部そうですね。立石それから、いろいろな支援をうけたり、支出を抑えたりするためには、やっぱり障害者手帳を持っていたほうがいいように思います。ちなみに、障害者手帳を取得するとデメリットになるようなことってあるんでしょうか?渡部私は、特段大きなデメリットはないと思っています。あるとしたら、保護者に「持ちたくない」という気持ちがある場合、持つことがストレスになるということくらいでしょうか。立石例えば、手帳を持っているから受験や就職で不利になるということは?渡部ないと思います。必要ないときは見せなければいいだけですから。立石逆に、手帳を持っているとメリットになることと言えば?障害年金は、手帳がなくても基準を満たせばもらえるということでしたけど…。渡部手帳を持って入れば法定雇用率の中で働くことができるので企業に障害者枠で一般就労しやすいというメリットや、JRや私鉄、バスなど公共交通機関の乗車料金の割引、タクシー利用券の支給、公営住宅の優遇抽選、おむつ支給などが受けられます。デイサービスやヘルパー派遣などは、手帳がなくても申請できます。ですが、手帳があると行政側が障害状態を判断しやすい。障害の程度によって支給されるかどうか、また支給時間数などにも影響するので、手帳があったほうがスムーズにサービスを受けられるのではないかなと思います。手帳の種類・度数によっては税制面での優遇もあります。立石医療費の助成もありますよね?渡部身体障害者手帳か療育手帳の重度判定の方は、所得によって医療費が1割負担、もしくは無料になります。20歳未満は世帯主の所得が対象なので1割負担、20歳になると本人の所得が対象なので無料になる、というパターンが多いですね。市町村によっては、精神保健福祉手帳を所持している人や中度判定の方も助成対象になるところもあります。編集部いずれもお住まいの地域によって違いもあるので、行政の窓口で相談してほしいと思います。参考:心身障害者医療費助成制度(マル障)| 東京都福祉保健局立石いろいろ伺って、やっぱり手帳は、持っていてメリットはあるけれど、デメリットはないなと思いました。渡部障害状態が軽いと判断され、交付されないお子さんもいます。でも申請しなければ交付されることもないわけですから、私は「まずは申請してみたほうがいいですよ」とお話しています。立石手帳は3種類ありますが、ボーダーのお子さんは知的障害が軽いと判断されて、療育手帳が取れないこともありますよね。知的には高くても、いろんな困難を抱えているお子さんも多い…。渡部発達障害に該当しているような場合は、「精神障害者保健福祉手帳」を申請してはどうかとアドバイスをしています。手帳が取れない場合でも、ドクターや児童相談所の判断で受けられる福祉サービスもあります。お住まいの地域によってもサービスは異なるので、そういう情報を得るためにも、行政の窓口に行ったり、地域の集まりに顔を出したりしておいたほうがいいと思います。自分から申請しないと、福祉サービスは受けられないですから。立石手帳については、母親は取りたいと思っているけれど、夫や義親が反対するケースもよく聞きます。渡部手帳を持たせたくない、つまり親や祖父母が、子どもや孫の障害を認めたくないということかなと思います。それぞれが障害や手帳に対して異なるイメージや感情を抱いているときは、無理に説得してもうまくいかない例が多いです。個人的には、お母さんが動いて手帳を取っておくというのも、一つの手段ではないかと思います。いざ必要になる時まで、タンスにしまっておけばいいわけですから。立石あぁ、なるほど。成年後見制度は、利用すべき?出典 : 立石支援する人を確保するという点で、成年後見人についても検討することになると思います。ちなみに、どの段階で成年後見人をつけることを考えたほうがいいですか?渡部成年後見人をつけると、たとえ親であっても子どもの財産を動かすことが難しくなります。報酬は財産額にもよりますが、月1~2万円かかるので、保護者が元気なうちはつけなくてもいいのではと考えています。親なきあとのことを見据えて、どの人に成年後見人をお願いできそうか考えておく、相談窓口がどこなのか知っておくくらいでいいと思います。成年後見人は高齢者には有効な制度だと思いますが、若い障害者の場合は、住んでいる場所もそれぞれですし、就労する場所もさまざま。福祉サービスでヘルパーを利用していたりもします。立石高齢者の場合は老人ホームに入っていて、仕事をしていない場合がほとんどだけれど、障害者の場合はいろんなパターンがあるということですね。渡部そうです。本来はそうした事業所をとりまとめて、障害のある人の暮らしを支援するのが成年後見人であるべきなのですが、法律の専門家ではあっても福祉の専門家ではないため、難しいのが現状です。ですので、保護者がまだ元気なうちは、つけなくていいかなというのが私見です。将来、信託や成年後見制度を利用することを頭に置いておいて、その制度について相談できる窓口を見つけておくぐらいでいいと思います。成年後見であれば地域の社会福祉協議会が相談窓口を開いている場合が多いですし、近くに法人後見を行っている団体があればそういったところとつながっておくことも大事です。また、親の会などに入っていれば、さまざまな情報が入ってきますので、ぜひいろいろなところと接点を持っておいてください。つながりをつくる、外に出ていく。保護者が、まずすべきことUpload By 発達ナビ編集部編集部親なきあとに向けて、やっておくべきことって本当にいろいろありますよね。法制度も過渡期なので、子育てもがんばりながら、最新の情報をキャッチするのも大変…。渡部ですから、たくさんつながりをもつことが大切なんですよ。同じ障害の子を持つママ友でもいい、親の会に入ると会報なんかでもたくさんの情報を送ってきてくれるし、専門家を招いた勉強会も催していたりする。まずは、情報が入ってくるつながりづくりからはじめるといいですよ。立石つながりがあると、親なきあとも、福祉の網の目からこぼれ落ちる前に、セーフティーネットにもなりますよね!何かあったときも、SOSに気づいてもらえる。渡部それから、子どもにどんな支援が必要かを書き留めておくと、親なきあとのサポートもスムーズになると思います。子どもの特性に加えて、障害福祉サービス受給者証の番号や利用している医療機関や施設なども書いておくといいですよ。「親心の記録」などの冊子を活用すると何を書いておけばいいか分かりやすいと思います。参考:「親心の記録」について・お申し込み|日本相続知財センターHP※「親心の記録」は団体向けに寄贈されています。個人で希望する方は、上記ウェブサイトよりお問い合わせください。渡部「もっとこんなこと知りたい」とか、「うちの場合はどうなるの」、「どうやって資産をのこせばいいの」など迷うことがあったら、私や私の仲間たちがやっている「親なきあと」相談室みたいな場所へ、相談に来てほしいなと思っています。障害者福祉は、窓口がいろいろ分かれていて、何をどこに相談したり申請すればいいのかが分かりづらかったりしますよね。保護者の皆さんは、子育てだけでも大変なのに、さまざまな窓口に行って聞くのは本当に大変だと思います。「親なきあと」相談室はよろず相談室なので、なんでもお伺いしますし、どこの窓口に申請したらいいのかなどもアドバイスしています。立石心強い!私もまた相談させてくださいね。参考:「親なきあと」相談室「親なきあと」の住まい・支援者についてまとめると、次のようになりそうです。・住まいについての法制度は変革期(居宅介護などが充実、軽度から中度の場合は自宅で)・成年後見制度などの利用を念頭におき、相談窓口を見つける・支援者がサポートしやすいような引継資料をつくる など住まいや支援についての法制度は過渡期にあります。さまざまな情報に触れたり、相談できるように、まずは保護者が”知る”ことや”つながる”ことが大切です。保護者が動けるうちに行動しておければ、自然と情報も入ってきます。渡部伸先生渡部行政書士事務所代表。「親なきあと」相談室主宰。慶応義塾大学法学部法律学科卒業。出版社でさまざまな事業を担当後、行政書士、2級ファイナンシャルプランニング技能士などの資格を取得。著書に『障害がある子の家族が知っておきたい「親なきあと」』(主婦の友社)、『障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本』(主婦の友社)。立石美津子さん講演家・ライター。聖心女子大卒業。幼稚園・小学校・特別支援学校教諭免許を取得後20年間学習塾を経営。自閉症児の母。著書に『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』(日本実業出版社)、『はずれ先生にあたったとき読む本』(青春出版社)、『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』(すばる舎)など多数。立石美津子さんのページ対談写真撮影:田島寛久
2018年01月12日「親なきあと」とは?今できることはある?「親なきあと」相談室を主宰する行政書士・渡部先生×自閉症の子を育てる立石さんの対談からUpload By 発達ナビ編集部「子どもは学校を卒業したら働き、いつかは自立して巣立っていく―」。それが当然だと思っていたけれど、障害のある子を授かり、そうではないこともあるのだと気づいた保護者も多いのではないでしょうか。保護者がサポートできなくなった後も、子どもの人生は続きます。子どもが幸せに、自分らしく生きていくためには、親が元気なうちに準備しておく必要があります。この企画では、「親なきあと」相談室を主宰する行政書士・渡部伸先生と、自閉症児の母であり「LITALICO発達ナビ」でコラム連載を持つ立石美津子さんとの対談を通して、障害のある子の保護者が「親なきあと」に備えて何をしておけばよいのかについてお伝えします。Upload By 発達ナビ編集部発達ナビ編集部(以下、編集部)今日は、行政書士であり「親なきあと」相談室を主宰する渡部伸先生と、自閉症のあるお子さんを育てている立石美津子さんに、「親なきあと」について知っておくべきこと、やっておくべきことなどお話いただければと思っています。立石美津子さん(以下、立石)私の息子は自閉症です。来年度は高校3年生になります。学校でも、就労の実習を行う機会があったり、親として就労セミナーに出席したりしています。学校卒業後の就労や、将来的にどういったところで暮らすかなど、具体的に考える時期になりました。渡部伸先生(以下、渡部)私は市民後見人として成年後見などにかかわるほか、「親なきあと」相談室の活動を通していろいろな場所で講演を行い、直接相談も受けています。そういう中で、たくさんの保護者の方とお話する機会があります。また、私の次女には知的障害があります。講演などでよく質問を受けることや、みなさんが不安に思っていること、疑問に感じていることなどについて、お話できたらと思います。立石発達ナビを見ている保護者の方は、まだお子さんが小さい場合も多いですよね。でも、就学問題などの数年先のことを考えるだけでなく、人生という長いスパンで考えてもらいたいなと思っています。学校を卒業してから、そして親なきあとのほうが人生長いですから。お子さんの将来を見据えて、子どもが小さいうちからできることを、今日は渡部さんとお話していきたいです。編集部先日「親なきあと」についてのユーザーアンケートを取りました。「一人で暮らせるのか。難しい場合、どこで受け入れてもらえるのか」といった暮らしの場についての悩みや、将来に備えて貯蓄をしているが、「どのくらい準備すべきか分からない」「なかなか貯められない」という声、「自分の子どもの障害の程度の場合、どんなサービスが受けられるか分からない」「お金を残しても散財しそう」といった、福祉サービスや金銭管理についての疑問も多く寄せられました。「親なきあと」のお金はどうなるの?障害年金や、就労による収入は?Upload By 発達ナビ編集部立石では、まず親なきあとのお金の問題について伺ってもいいでしょうか?障害のある子には、親がのこした財産以外に、どういった収入がありますか。渡部まずもらえるお金として考えられるのは、障害年金ですね。これは、20歳以上の障害のある人に年金が支給される制度です。受給額は障害の等級によって変わってきます。ちなみに、障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金がありますが、障害厚生年金は厚生年金に加入している人が障害状態になった場合に支給されるものなので、ここでは障害基礎年金についてお話ししますね。立石障害基礎年金は、1年間でだいたいいくらぐらいもらえるんですか?渡部毎年変動はありますが、障害基礎年金は1級で年間974,125円、2級で779,300円です(2017年度)。また、受給者本人の所得に応じての制限があって、所得が一定額以上になると、年金額が半額になったり、全額支給停止になります。また、障害があると受け取れる手当や医療費の助成などは、障害者手帳を持っていることが支給要件のことが多いです。要件や受け取れる額は都道府県や市区によって異なるので、確認してほしいと思います。参考:障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法|日本年金機構出典 : 立石障害年金は、障害者手帳を持っていないと受け取れないんですか?(注:障害者手帳には「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の3つの種類があります。)渡部障害年金の判定と手帳は別な手続きなので、直接手帳の有無とは関係しません。障害年金は障害者手帳があるだけで申請できるのではなく、別の申請方法になります。ただし、年金の申請時に手帳を提出すると、障害状態を確認する補足資料になります。立石障害年金を申請するには、ドクターに診断書を書いてもらう必要がありますよね?でも、障害年金を申請するときには病院との関係が切れてしまっていて、子どもの状況を理解してくれているドクターが見つからないということも耳にします。渡部知的障害の診断書は原則精神科のドクターに書いてもらいますが、慣れていないとどう書けばいいのかわからず、お願いしても断られてしまうこともあるんですよ。立石子ども病院にかかっていると、18歳になるとみてもらえなくなったり、小さい頃は定期的に通院していても中高生の頃に通院しなくなることもありますからね…。まわりには、これを見越して早めに転院しているご家庭もあります。うちももう少し早く動くべきだったなと今さら後悔しているところです。渡部小児科のドクターが主治医の場合でも診断書は書けますが、断られることも多いと聞きますね。小児科から転院する場合に、紹介状なりをきちんと書いてもらって引き継げるとよいのですが。立石発達ナビのユーザーは小さいお子さんの保護者が多いと思いますが、「障害年金の申請のことも見越して、18歳以降もみてくれる病院にかかっておいたほうがいいですよ」と伝えたいです。編集部「(現在の)主治医にいつかみてもらえなくなるかもしれない」ということは、小さい子の保護者は気づきにくいですし、障害者手帳の申請方法を知らないことも多いと思います。立石さんもお話してくださったように、「18歳以降どこでみてもらえるのか、ほかの病院へ紹介はしてもらえるのか、転院のタイミングはいつがよいのか」など、早めに主治医に確認しておけると安心ですね。編集部話を収入のことに戻したいと思います。企業に障害者枠で一般就労する場合、平均賃金はどのくらいなんでしょうか?渡部企業の障害者雇用枠内で働いている場合の賃金は、もちろん個人差はありますが、現状だとだいたい月に12~13万円ぐらいが平均です。なので、障害年金が満額受給できる範囲内の収入となる人が多いと言えます。障害年金の等級が2級だと年金は毎月約6.5万円。つまり、合計して1か月あたり20万円弱の収入となります。立石一般就労でなく、就労移行支援事業所や就労継続支援B型の場合はどうなりますか。渡部就労継続支援A型の事業所で月67,795 円、B型の事業所で月15,033円(平成27年度)が平均値です。就労移行支援の場合は訓練なので、原則として支払われません。立石就労継続支援の事業所だと賃金はぐっと低くなりますね。生活も厳しくなりそうです…。平成27 年度工賃(賃金)の実績について | 厚生労働省福祉サービスなどを活用し、出ていくお金を抑えることが大切Upload By 発達ナビ編集部渡部収入はある程度限られますから、「出ていくお金」をいかに抑えるか、ということが大事なんですよ。立石というと?渡部例えば、グループホームへの支払いについては、過度な負担にならないような仕組みがされています。国からの助成金は全国統一で1万円、それに加えて独自の助成金を出している自治体もあります。東京都の場合は、合計最大2万4千円の補助があります。障害者手帳があると受けられるサービスや助成などを活用して、出ていくお金をなるべく抑えることが大切になります。交通機関の乗車料金や携帯電話料金の割引、上下水道の基本料金の免除のほか、医療費の助成もあります。税金についても住民税の非課税や控除、所得税の控除がされますね。手帳がなくても、ヘルパー派遣など、必要だと判断されたサービスについて支援を受けることができます。立石限りある財産や収入だから、行政からの助成や支援をきちんと受けられるように整えて、生活に困ることがないようにしないといけないんですね。参考:障害者の利用者負担|厚生労働省参考:障害者と税 | 国税庁「親なきあと」、お金を適切に管理する方法とは?Upload By 発達ナビ編集部渡部それに加えて必要になるのは「出ていくお金を誰がどう管理するか」です。立石せっかく親御さんがのこした資産をだまされてとられてしまったとか、散財してしまいお金が全部なくなってしまったという話も聞きますよね。渡部親が子どものためにのこした大切なお金をきちんと管理して、毎月決まった額を子どもに渡していける制度があるんですよ。立石どんな制度ですか?渡部「信託」という制度です。信託というのは、「信頼している人や企業法人に、資産を託して、きちんと管理してもらう」ことです。最近は、「民事信託」が認められるようになって、家族・親族など特別な資格を持っていない人に託すこともできるようになっています。民事信託は非営利が基本なので、管理費用が基本的にかからないことも活用しやすいポイントです。立石親族でも信託できるんですか。渡部はい。たとえば、母一人子一人の親子がいるとします。子どもが母親の財産を相続したとき、管理できないと困りますよね。このとき、信頼できる親族に信託することができます。たとえば、母親が甥と信託契約を結ぶと、財産は甥が管理・保有することになります。甥は信託銀行などの中に専用の口座を作り、そこにお金を預け、月々相続人である子どもに渡していきます。こうすると、子どもが散財したりだまされたりというリスクがなくなり、長い間しっかり守られます。また、子どもが亡くなった後、通常は使いきらなかった資産は国庫に入りますが、信託をすることで、亡くなった後のお金の行き先も決めることができます。お世話になった社会福祉法人へ寄付するとか、親の会に寄付するとかもできます。もし仮に、甥が破産してしまうようなことがあっても、信託財産は甥の財産から独立しているので、守られます。編集部信託した財産を、甥がきちんと管理してくれるかをチェックできるように、第三者に監督を頼むことはできるんですか?渡部甥を監督する受託者信託監督人というのも設定できますが、そもそも甥を信頼して託しているのならコストをかけてまで監督人をつけるべきなのか。甥も「信頼されていない」とがっかりしてしまうかも。それなら信託銀行に頼んだほうがいいかもしれませんね。編集部頼める親戚などがいない場合は、金融機関などに頼めばいいんでしょうか。渡部信託の免許を持っている信託銀行や信託会社に頼むことができます。管理費はかかりますが、企業なので管理に対するチェックも厳しく、安心感があるという利点もあります。以前に比べて信託する金額のハードルも下がっているようです。手数料も抑えられるようになってきました。信託している銀行が破綻してしまった、というようなときも信託財産は銀行の財産とは区別して管理することが法律で義務付けられていますから、安心です。それから、障害のある人が活用できる信託制度として、「特定贈与信託」といものがあります。これは、子どもや孫などに贈与をする際、特定障害者や特別障害者だと、3,000万円もしくは6,000万円まで非課税になる制度です。ちなみに、通常は年間110万円以上の贈与は、贈与額に応じて10~55%の贈与税が課税されます。特定贈与信託は信託銀行などに商事信託する必要がありますが、このとき、成年後見人をつけることが条件となっている場合もあります。参考:贈与税の計算と税率(暦年課税)| 国税庁立石贈与や相続できる財産が不動産しかないなんてこともありますよね。そういう場合でも信託できるんですか?渡部信託銀行での信託は、通常は金銭での受託のみです。ですが、一部の信託会社では、不動産で特別贈与信託が可能だと聞いています。駐車場や賃貸物件などの管理・運用を信託して、運用益を生活費として支給する例などがあるようです。保護者存命中に、親なきあとの不動産資産の管理・運用について信託できますし、非課税で贈与することで、万が一の際の相続対策も兼ねられますね。参考:不動産信託活用事例集|スターツ信託株式会社立石もう少し少額でも、金融機関に信託できる方法ってないんですか?渡部少額から始められて、信託ってどういうものかという仕組みも理解できるのが、生命保険信託です。生命保険会社と信託会社が組んで、死亡保険金を信託するという商品です。第一生命とみずほ信託銀行、ソニー生命と三井住友信託銀行、プルデンシャル生命とプルデンシャル信託会社、また最近では障害者向け保険を取り扱うジェイアイシーがみずほ信託銀行・FWD富士生命と組んで、生命保険信託商品を出しています。福祉は自己申告制。「親なきあと」、支援の網の目からこぼれ落ちないためには?出典 : 編集部相続でもなにか対策できることや、活用できる制度はあるんでしょうか?渡部相続では、障害者控除枠があります。金額は重度の特別障害者が(85-相続発生時年齢)×20万、一般障害者は20万のところが10万になります。たとえば40歳6か月で相続発生した一般障害者の場合、85-41(切り上げ)に10万円を掛けて440万円が控除額です。立石相続でも障害者控除があるんですね。保護者が元気で動けるうちに、使える制度やサービスについて学んでおかないと…。そして、子どもが支援からこぼれ落ちないような仕組みを作っておかないといけないですね。編集部お二人の対談を通して、「親なきあとに障害年金がもらえるように準備する。税の控除や手当なども活用しながら資産をつくる。のこした資産を信託するなど、適切に渡していくことの準備する」ということが必要だと分かりました。「親なきあと」のお金についてまとめると、次のようになりそうです。・障害年金の有無や就労状況で収入額は変わる・福祉サービスの活用や控除、割引などを活用し支出を抑える・信託など、資産を適切に渡す方法を知るなどさまざまな制度やサービスを活用できるように、まずは保護者が”知る”ことが大切です。そのうえで、自分の子どもに必要な支援を申請したり、備えたりしていきましょう。立石さんが、以前コラムでも書いていたように「福祉サービスは自己申告制」です。待っていても支援は受けられません。そのためには、保護者が動けるうちに行政や支援者などとつながっておく必要がありそうです。つながることで、自然と情報も入ってきます。保護者の懸念事項としてもうひとつ大きいのが「どこで暮らすのか」ということです。どこに住むか、お子さんが小さいうちからやっておくべきこと、セーフティーネットなどについては、1/12(金)に公開予定の、「親なきあと、障害のある子はどう暮らす?お金は足りる?行政書士・渡部伸先生×立石美津子さん対談【後編】にてご紹介します。Upload By 発達ナビ編集部渡部伸先生渡部行政書士事務所代表。「親なきあと」相談室主宰。慶応義塾大学法学部法律学科卒業。出版社でさまざまな事業を担当後、行政書士、2級ファイナンシャルプランニング技能士などの資格を取得。著書に『障害がある子の家族が知っておきたい「親なきあと」』(主婦の友社)、『障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本』(主婦の友社)。立石美津子さん講演家・ライター。聖心女子大卒業。幼稚園・小学校・特別支援学校教諭免許を取得後20年間学習塾を経営。自閉症児の母。著書に『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』(日本実業出版社)、『はずれ先生にあたったとき読む本』(青春出版社)、『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』(すばる舎)など多数。立石美津子さんのページ対談写真撮影:田島寛久
2018年01月10日先日最終回を迎えた2017年10月期のドラマ『明日の約束』(関西テレビ)では、過干渉などにより子どもを支配する「毒親」が登場して話題になりました。「毒親」に悩む人は実の母からの卒業が難しく、離れがたいという現実があるように思います。今回は、「毒親」ついて考えてみたいと思います。「毒親」ドラマが続々と登場した2017年「毒親」という言葉は、医療機関のコンサルタントのスーザン・フォワードが書いた『毒になる親 一生苦しむ子供』からついたもので、子どもを支配する、子どもに罰を与えるなどして、悪影響を与える親を意味しています。2012年に親との確執を記録したコミックエッセイ『母がしんどい』が多くの共感を集め、「毒親」の問題が多くの人に知られることとなりました。最近では書籍だけでなく、映画や漫画、そしてドラマにも多く登場しています。今年のドラマでは、『お母さん、娘をやめていいですか?』(NHK総合)や『過保護のカホコ』(日本テレビ)に登場する母親が「毒親」として話題になりました。どちらの母親も、娘が可愛いがゆえに自分と同じ苦労をさせたくないというような思いから過干渉になり、「毒親」になってしまっているというものでした。どちらのドラマでも母と子の折り合いがつかない現実が描かれ、母からの卒業を遂げるという結末になっています。子どもにとっては重すぎる毒親、その内容とはドラマ『明日の約束』は、井上真央さん演じるスクールカウンセラーの藍沢日向が、教え子の不可解な死を紐解いていくというストーリー。メインストーリーとして、教え子の男子生徒がなぜ死んでしまったのか、学校や部活でのイジメの疑惑や、不穏な交友関係、そして仲間由紀恵さん演じる母親の過保護すぎる行き過ぎた愛情などが描かれました。注目を集めたのは、物語の中に登場する手塚理美さん演じる主人公・日向の母親の毒親っぷり。その一部をご紹介します。母親が日向の小さい頃に強制していた交換日記のタイトルが「明日の約束」。これが子どもにとってはかなり重い内容です。今日も日向はママの言うことを聞けない悪い子でしたね。明日はちゃんといい子になりましょう。明日の約束。その1、ママがいいと言ったお友達以外とは遊ばない。その2、ママに口ごたえしない。その3、ママをイライラさせない。必ず守るように。ママは日向が大好きです。「日向はこれから、ママの言う通りに生きなさい。日向の読む本も、遊ぶ玩具も、お友達も、全部ママが選んであげる。日向にとって、それが一番正しいんだから。明日の約束。ママの言うことを疑わない。必ず守るように。ママは日向が大好きです」。「日向も今日から12歳。小学校も今年で最後ですね。でも、大きくなってもあなたはママの娘です。これからもずっとママの日向でいてね。明日の約束。日向はママを一生、愛し続ける。必ず守るように。ママは日向が大好きです」。出典: ドラマ『明日の約束』 ドラマでは、漫画やおもちゃを捨てさせたり、自分の気に入らない友達が来たら帰ってもらったりする母親の様子が描かれ、その様子には胸が痛くなるほどでした。日向は母親からの重圧に耐えきれず、12歳になった日を最後に、母親への返事を書くことをやめてしまいます。その後、自分を守るために腕を負傷し障がいが残ってしまった母親への罪悪感から、一緒に暮らすことをやめられなかった日向。社会人になっても毒親からの支配は続きます。「あ~いやらしい。ママに隠れてこそこそ恋人作って」。日向に恋人がいることを知らされていなかったと気づいたとき、大きな声で言い捨てた言葉です。母親は娘とは良好な親子関係を築けていると信じており、日向の心の傷については理解がありません。感情の起伏が激しく、気に入らないことがあると、とげのある口調で日向を攻め立てるのです。やっとできた毒親からの卒業は29歳エンディングで日向は、母親の呪縛から卒業を遂げます。12歳でやめた交換日記の返事を29歳になった主人公がようやくできるのですが、その言葉が印象的です。「私は大きくなってもお母さんの娘です。でも、ずっとお母さんのためだけに生きることはできません。……明日の約束 私は、私のために生きていきます」。出典: ドラマ『明日の約束』 ずっと「ママの日向」でいることはできないと、母親に「NO」をつきつけた形になります。このメッセージを告げて、日向は家を出て一人暮らしを始めることになり、物語は終わります。ありあまる愛情が引き金に…。毒親ドラマはまさに反面教師ドラマの主人公・日向は29歳でようやく母親と決別することができますが、おそらく何歳になっても母親との問題に悩む人はいるのではないかと思います。ありあまる愛情ゆえに、子どもたちの人生を知らない間に支配してしまう母親たち。このドラマはそんな母親に悩む人たちに勇気を与えてくれます。母親に支配されて生きるというのは、別の言い方をすると母親に守られて生きるということ。それはとても苦しい反面、安定もしているため、逃げ出しにくいといえるでしょう。卒業するタイミングがなかなか見いだせず、何歳になっても母親に依存してしまう人は少なくありません。母親との関係性は非常に複雑なものです。日向の母親は、自らが子どもにとって「毒親」にならないための反面教師でもあるように思います。筆者も2児の母ですが、愛情を掛けることは、子どもを支配して全部道を作って決めてあげることではないのだなと改めて気づかされました。「私のために生きる」と宣言した主人公のように、子どもが子ども自身のために進んでいける道を応援する母親でありたいものです。【参考リンク】・『明日の約束』公式サイト ※FOD、カンテレドーガで有料配信中
2017年12月28日障害のある子の「親なきあと」への備えって?出典 : 子どもに発達障害などの障害がある場合、その子の特性をよく理解している保護者が、子どもの生活を全面的に支援しているケースも少なくありません。では、保護者に万が一のことがあり、サポートが難しい状態になった場合、どのようなことが起こるのでしょうか?保護者がサポートできなくなったときに向けて備えておくべきこととして、大きくは次の3つがあげられます。・支援者への備えー障害特性を理解し、サポートできる人はいるのか・生活費への備えーお金の管理はどうするのか・居場所への備えーどこに住むのか、どこで働くのかこの記事では、自立に向けた準備、障害年金などの経済的支援、財産を子どもが適切に受け取るための方法、成年後見制度など、親が元気なうちに準備しておきたいことを紹介していきます。親なきあと、「支援者」への備え出典 : 親が元気なうちは、子どもの障害特性の一番の理解者として生活を全面的にサポートしたり、学校や社会との橋渡し役をすることもできます。しかし、親に万が一のことがあった場合に備えておかなくてはいけません。子どもの特性を踏まえつつ、子どもの自立を見据えた準備をしていく必要があります。少しずつ、自立に向けた力をつけていくことが大切です。ここでは、子どもの自立に向けた取り組みをしているご家庭の体験談をいくつか紹介します。発達障害のある子どもをもつシングルマザーの多原美加さんは、親なきあとに備えてのこしたいものとして、人に相談する力、頼りになる支援者、子どもたち一人ひとりにむけたメッセージ、自分を認めて生き抜く力の4つをあげています。kaoruさんは、ある講演会で聞いた「重度の自閉症児でも、教えればたいていの家事はできるようになる」という言葉をきっかけに、家庭で生活力アップのための取り組みをはじめ、少しずつ「困難を自分で解決する力」を身につけられた体験記を書いています。その子の特性に合わせて、生活力を上げるための実践を日々の生活から意識すること、親子で楽しみながら実践を積み重ねていくことの大切さが学べます。のこされた子どもがスムーズに支援を受けられるよう、次の支援者に向けて子どもの特性理解のために必要な情報を伝える準備をすることも大切です。子どもの特性や健康状態、支援に関する希望などを書きのこしておくことは、子どもだけでなく、親なきあとにサポートをする人にとっても助けになります。その際、助けになる本やツールを紹介します。■『精神障害をもつ人のための親なき後に備える』認定NPO法人地域精神保健福祉機構が制作した、親なきあとに備えたい保護者向けの本です。親なきあと対策の、入門書的な位置づけとなります。実際に、親なきあとにのこされた子どもや、準備を始めている保護者の体験談、今から備えるべきこと、家族での話し合いに役立つ項目リストなどが掲載されています。■「親心の記録」一般社団法人日本相続知財センター制作の「親心の記録」は、支援者に対して、子どもについての情報を過不足なく伝えるために作成されたものです。障害福祉サービス受給者証の番号や利用している医療機関や施設など、支援を受けるために必要な情報から、本人の特性まで記録できます。次の支援者への情報伝達にこのような冊子を活用して書き残しておくことも、ひとつの方法となります。※「親心の記録」は団体向けに寄贈されています。個人で希望する方は、下記HPよりお問い合わせください。参考:「親心の記録」について・お申し込み|日本相続知財センターHP成年後見制度とは2000年4月より開始した制度で、知的障害や発達障害を含む精神障害などにより、判断能力が十分でない人の法律行為を支援する制度のことをいいます。対象となる法律行為とは、銀行の手続きや遺産分割、不動産の売却などです。成年後見制度には、家庭裁判所が成年後見人等を選任し既に判断能力が低下している人に対して支援する法定後見制度と、あらかじめ本人が任意後見人を選び近い将来に備え支援者と支援内容を決めておく任意後見制度があります。後見人には本人の親族や、弁護士や司法書士、社会福祉士などの第三者や、福祉関係の公益法人が選ばれることがあります。成年後見制度については、以下の記事をご覧ください。参考:いざという時に 知って安心成年後見制度 成年後見登記|法務省HP親なきあと、「生活費」への備え出典 : 親なきあとの経済面での準備としてまずは、どのような支援制度があり、利用するためにはどのような準備をしておくとよいのかについて知ることが大切です。まずは、受け取れるお金について整理してみましょう。■障害年金障害年金とは、病気やケガなどの障害により生活や仕事が制限されている方が受け取れる年金のことで、国から委託を受けている日本年金機構により運営されている制度です。通常、障害年金を受ける条件は、その障害の原因となった病気やけがについて初めて医師の診療を受けた日(初診日)に、国民年金あるいは厚生年金に加入していることです。初診日に国民年金に加入していた方は障害基礎年金、厚生年金に加入していた方は障害厚生年金が受け取ることができます。初診日が年金加入前の20歳未満の場合は、障害基礎年金を成人後に受け取ることができます。その場合、障害年金の申請や受給は成人してから可能になります。申請書類に、どの病院でどのような治療を行ったかなどの病状の経過を書いた書類や、幼少期からの成育歴を踏まえた診断書が必要になります。詳しくは以下の記事をご参照ください。■自立支援医療(精神通院医療)自立支援医療(精神通院医療)とは、知的障害、発達障害を含む精神障害がある方で、かつ、通院による継続的な治療が必要な場合、その通院医療にかかわる医療費負担が原則1割になる制度です。詳しくは以下の記事をご覧ください。自立支援医療には、精神通院医療を対象にしたもののほか、身体障害がある人を対象にした自立支援医療(更生医療)、身体障害がある児童を対象にした自立支援医療(育成医療)もあります。参考:自立支援医療|厚生労働省HPなお、障害者手帳を所持していると、税金の控除のほか、公営住宅の優先入居、公共施設利用料の減免などが受けられる場合があります。自治体によっても受けられる支援は異なるので、お住まいの地域にどのような制度があるかを知っておくことは、親なきあとに向けての備えとして大切です。障害者手帳についての詳細は、以下の記事をご覧ください。もらえるお金や、出ていくお金を減らす仕組みの次に考えておきたいのはお金ののこし方です。■お金を渡す仕組み障害のある子を持つ保護者に知っておいて欲しいものの一つに、信託と呼ばれる制度があります。信託とは、自身の財産を人や機関に託し、自分または他人のために管理・運用してもらう制度です。信託の中に、特定贈与信託という制度があります。これは、特別障害者(重度の心身障害者)や特定障害者(中軽度の知的障がい者および障害等級2級、3級の精神障害者など)の親なきあとの生活を支援するための信託制度です。この制度を利用すると、最大6,000万円まで贈与税が非課税となったり、定期的にお金を給付できるため、子どもの生活が安定するというメリットがあります。信託制度についての詳細は、以下の記事をご参照ください。■お金をどう作るか預貯金のほか、生命保険の死亡保障などに加入しておくと、親なきあとへの備えとなるかもしれません。また、発達ナビで実施した保護者向けアンケートからは、預貯金や保険のほか、確定拠出年金を利用したり、投資信託などで資産を殖やしている方もいることが分かりました。親なきあと、「居場所」への備え出典 : まずは、親なきあとの子どもの居場所にはどのような場所があるのか、どのようなサービスが受けられるのかについて紹介します。一人暮らしや親族・きょうだいの家の他にも、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一部として、精神障害者居宅介護等制度(ホームヘルプサービス)、施設入所支援、共同生活援助(グループホーム)、短期入所(ショートステイ)などがあります。その他のサービスや詳しい情報については以下の記事をご参照ください。障害のある人の場合、一般企業で働くことも考えられますが、障害者向けの就労支援のサービスを利用することもできます。ここでは就労支援サービスの代表的なものとして、就労移行支援事業所、就労継続支援、地域障害者職業センター障害者就業・生活支援センターを紹介します。就労移行支援とは、障害がある方の就労をサポートする障害福祉サービスです。就労を希望している障害・難病がある方に対して、働くために必要な知識・能力を身につけるトレーニングや、その人に合った職場探しのサポート、就労後の職場定着までのアフターケアを行います。企業などでの就労または開業を希望する方で、就労が可能であると見込まれる65歳未満の方が対象です。利用期間は原則2年です。■就労継続支援一般企業等への就職ではなく、就労継続支援を利用して事業所で働くという選択肢もあります。就労継続支援には、A型と、B型があります。■地域障害者職業センター各都道府県に設置されています。障害者の就労を支援するために、ハローワークや病院、福祉施設などの関係機関との連携を行いながら、地域に密着した職業リハビリテーションを行う施設です。具体的には、職業能力などの評価や支援計画の作成、就職活動の相談、短期間の作業体験や事業所見学などが行われます。■障害者就業・生活支援センター就業や、それに伴う日常生活上の支援を必要とする障害者を対象に、相談や職場・家庭訪問などを行い支援する機関です。就労支援の面では就職に向けた準備支援や、求職活動支援、職場定着支援から関係機関との連絡調整などをし、生活支援の面では生活習慣の形成、健康管理、金銭管理などの日常生活の自己管理に関する助言、関係機関との連絡調整などをします。福祉施設利用者や特別支援学校卒業者などのケース別の支援の流れは以下のページをご参照ください。参考:障害者が就職・定着するまでの標準的な支援|厚生労働省HPまた、ジョブコーチ支援実施機関や、その他の就労支援サービスについては以下の記事をご参照ください。いざという時の頼みの綱出典 : 生活保護制度とは、資産や能力など全てを活用しても生活が困難な方を対象としたもので、健康で文化的な最低限度の生活ができるような保護を行い、自立を奨励する制度のことです。障害の程度にもよりますが、精神障害のある方が生活保護を受給した場合、受給費に加算される可能性があります(障害者加算)。加算額は、現在住んでいる場所と障害の程度で決められます。親なきあと、支援の網の目からこぼれ落ちないために出典 : 何から始めたらいいのか分からないという場合、まずは、さまざまな情報が入ってくるように、また何かあった時に助けてもらえるように、人や機関とのつながりをつくることからはじめてみましょう。発達ナビライターの立石美津子さんは以下のコラムで、支援は受け身ではなく自発的に求めないといけないと書いています。どのような支援制度が受けられるのか自発的に調べることや、ママ友や当事者会などの助け合いの場とつながることの大切さについて発信しています。支援制度も法律も変化していくため、一人で最新情報を追っていくのは結構大変なものです。ママ友や当事者会などさまざまな人や機関とつながることで、保護者だけでなく本人の負担を減らしていくことにもなります。まとめ出典 : 親なきあとの備えとして、まずは将来に向けて、どんな制度やサービスがあるのか知ることから始めましょう。そして、少しずつ第三者の支援を受けられる体制をつくり、お子さんが社会と触れ合う機会を増やしていきましょう。子どもが社会から孤立してしまわないように、一歩一歩、親なきあとへの準備を進めることが大切です。参考文献:山根俊恵(2014)/著「障害者の親なき後の課題と支援について」『地域リハビリテーション』第9巻第5号三輪書店/刊参考文献:平野方紹(2014)/著「親なき後の生活の実態をどうとらえるのかー障害者実態調査から見えてくるもの」『地域リハビリテーション』第9巻第5号三輪書店/刊
2017年12月27日「親なきあと」に関する不安とは?発達ナビに寄せられた、保護者500名の声出典 : 年10月30日から11月8日に、LITALICO発達ナビでは「親なきあとの暮らし・お金に関する実態・意識調査」を行いました。ご協力いただいたユーザーの皆様、どうもありがとうございました。この記事では、調査結果の一部を抜粋し、お伝えします。<調査対象について>「LITALICO発達ナビ」会員へのメールから、アンケートフォームにて回答いただいた発達障害の子どもをもつ保護者:529名の回答を集計しました。(調査期間:2017年10月30日~11月8日)※設問によっては529名全員が回答していないもの、複数回答可のものがあります。※調査結果の構成割合は四捨五入をしているため、合計が100にならない場合があります。「親なきあと」の子どもの暮らしについてUpload By 発達障害のキホン「親なきあとの子どもの暮らしについて、不安はありますか?」という質問に対し「はい」と答えた保護者は94.9%、「いいえ」と答えた保護者は5.1%と、親なきあとの子どもの暮らしについて不安に思っている保護者は9割を超えました。では、保護者の皆さんはどのようなことに不安を感じていられるのでしょうか?「就職できるのか、1人で暮らしていけるのか不安を感じる」「お金の管理。人にだまされないか。」「他人とうまくコミュニケーションをとって、上手に過ごせるか 」「1人で自立して生活していけるか?社会に適応できるか?」子どもが将来、経済面・生活面・精神面で自立できるのか、社会に適応して生活できるのかといった不安を持つ人が多くがみられました。また、「就職して生きていくためのお金を稼げるか、弟に負担もかけたくはないが、なるべく兄弟助け合って生きてほしい」「自立生活の維持、兄妹が背負うかもしれない養介護」などの意見にみられるように、誰が子どもの生活や精神面のサポートするのかなど、子どもを日常的にサポートする人やきょうだいについての声も目立ちました。「親なきあと」の住まいについてUpload By 発達障害のキホン「親なきあと、お子さんはどこで暮らすと考えられますか?」という質問に対し、回答が多い順に「一人暮らし(66%)」「グループホーム(29.3%)」「施設(27.6%)」「親族・きょうだい(20.6%)」となり、「一人暮らし」という回答が最も多く なりました。また、「その他」と回答の中には「結婚出来たら良いなあ。出来なくても、支え合えるパートナーと暮らしてほしい。」「私達の家が相続出来れば今の家ですが、固定資産税等払えず管理出来ないと思うので…気の合う方に巡り会えて、新しい家庭を持ち、その方と新居を持てれば…」と、幸せな結婚をし、パートナーとともに新たな家庭を築いてほしいという声もありました。「親なきあと」のお金への備え出典 : 次に、親なきあとのお金について、どのように考えているのか、どんな対策をしているかなどについて、皆さんの回答を紹介していきます。Upload By 発達障害のキホン「子どもの将来に向けて貯蓄・資金準備はしていますか?」という質問に対して「はい」と答えた保護者は64.8%、「いいえ」と答えた保護者は35.2%となり、子どものために貯蓄・資金準備をしている保護者は約6割でした。準備をしている場合、どのようなことをしていますか?という質問に対して多かった回答として、「学資保険(36)」「貯金(31)」「貯蓄(18)」といった意見があげられました。ほとんどの保護者は預貯金か保険で備えているようです。また、行政からの手当金は、今すぐ使わず子どもの将来のために貯蓄に回しているという風に、子どものためにもらえる手当は生活費とは切り分けて、子どもの将来のための備えに回しているという回答も複数ありました。手当=貯蓄に回す、と決めることで貯蓄しやすくなりそうです。Upload By 発達障害のキホン「子どもの将来に向けた貯蓄額は現時点どの程度ですか?」という質問に対して、回答が多い順に、「~49万円(19.7%)」「200~399万円(16.3%)」「100~149万円(15.3%)」という結果になりました。Upload By 発達障害のキホンでは、みなさんはどのような方法で貯蓄・資金準備しているのでしょうか?「資金準備の方法を教えてください」という質問に対して、回答の大半を占めたのが「銀行・郵便局の預貯金(82.9%)」と「保険商品(学資保険含む」(51%)」、その他には「投資信託(NISA含む)(5.8%)」、「外貨建て商品(3.6%)」、「不動産の運用(2%)」などがみられました。多くの方は、金融機関での預貯金や、学資保険・生命保険などの保険商品を用いて貯蓄しているようです。また、生命保険信託を活用している方も、少数ですが見受けられました。また全体の6%弱は、投資信託などでも資産を殖やしていました。Upload By 発達障害のキホン利用している金融機関は、多いものから「銀行・郵便局(63.1%)」、次に「保険会社(37.4%)」、以下順に「利用していない(21%)」、「証券会社(5.5%)」「信託銀行(2.5%)」「その他(0.9%)」という結果になりました。「障害年金」について障害年金は、障害の程度に応じて一定の金額が支給される、障害のある方の生活をサポートするための制度です。この制度について、どのくらい認知されているか伺いました。Upload By 発達障害のキホン障害年金について知っている保護者は41.6%と、4割強の認知がありました。「いいえ」と答えた保護者は10.6%、「聞いたことはあるがよく分からない」と答えた保護者は47.8%となり、障害年金について聞いたことはあることはあるものの、どのような制度なのかまでは分からないという保護者も半数近くいました。障害年金がいくらもらえるかについては、81.1%が知らないという回答でした。障害年金が具体的にいくらもらえるかなど、詳細までは知らない人が多いようです。Upload By 発達障害のキホン障害年金について知りたいこととして、「もらえる条件」「金額の他、受取方法などの仕組み全般が知りたい」「一生涯不十分なく年金受給されるのか」「発達障害では、障害年金もらえないと認識している」などの意見がありました。発達障害・知的障害の度合いが軽く、「障害年金が受給できないのでは?」と危惧している保護者の声も多くあげられました。なお、発達障害でも障害の度合いによっては障害年金を受給が可能です。また、同じように「等級」という言葉を使うため混同しがちですが、障害者手帳の等級と障害年金の等級や判定は別です。どちらの等級も、重いものから1級、2級という風に等級がありますが、制度が異なるので認定基準は異なります。概ねどちらの等級も重なる内容が多いとはいえ、それぞれ状況が異なるので、相談・申請してみないことにはどの等級にあたるのかなどは分かりません。まずは実際に年金事務所や、無料相談を行っている社会保険労務士(社労士)などの事務所に相談してみることをおすすめします。詳しくは以下の記事やリンクを参照ください。「親なきあと」相談室「親なきあと」、どのように子どもへお金を渡すのか出典 : 障害のある子どものために資産をつくったり、障害年金を受給できるように制度を理解したり申請をしたりすることに加えて、どのようにしたら適切に渡していけるのか考え、備えておくことも大切です。ここでは、皆さんの意識や、対策方法などについてみていきます。Upload By 発達障害のキホン「相続について、対策していますか?」という質問に対して、「いいえ」と答えた保護者は94.5%、「はい」と答えた保護者は5.5%でした。相続対策をしていない保護者が9割以上という結果でした。では、相続対策をしている保護者はどのような対策を取っているのでしょうか?「住むところに困らないよう、自宅の土地建物を相続するようにしている」「生命保険信託と、生前贈与の形での個人年金保険」「親の死亡保険」などの意見がみられました。また、「子どもの名義で通帳に預金しているくらいで、対策すべきかどうかわからない」「具体的な行動はしていないものの、行政書士に相談することができることなどを本、ネットで調べている。」など、具体的にどうしたらいいのか知りたいという意見や、相続対策の方法について詳しく知りたいという意見も寄せられました。障害のある子への適切に資産を引き継ぐ方法として活用できる制度に特定贈与信託があります。障害の程度に応じて贈与税が一定額まで非課税となる制度ですが、認知度は3%に留まりました。Upload By 発達障害のキホン特定贈与信託とは、特定障害者(重度の心身障害者、中軽度の知的障がい者および障害等級2級または3級の精神障害者等)の親なきあとの生活を支援するための信託制度です。この制度を利用すると、障害の程度に応じて6,000万円もしくは3,000万円まで贈与税が非課税ととなるとともに、障害のある子どもへ生活費などとして定期的にお金を渡していくことができ、生活を安定させることができます。信託制度については、下記の記事をご参照ください。特定贈与信託も含め、信託制度の紹介をしています。「親なきあと」の生活やお金について寄せられた、保護者からのさまざまな声出典 : その他、「親なきあとの子どもの生活・お金に関して、困っていること、知りたいこと、社会に向けて発信したい・知ってほしいことなど、思うところ」についても、多くの声が寄せられました。「障害者の親向けの税の優遇制度があると聞いてるが、それについてもっと発信してほしい、 施設に入所するにはどの程度の費用が必要なのかを知りたい、グループホームで生活する場合、障害年金だけでやっていけるのか、実際他の人たちはどのようにしているのか知りたい」「お金を管理する方法がわからない。誰に相談したら良いか。親なきあとは、どうやって、誰に相談したら良いか。」「今回の質問項目で知らないことも沢山ありました。それがどのように有効かわかりやすく教えていただければと思います。」障害年金や障害者控除、信託などの財産管理をする方法、グループホーム(共同生活援助)を利用する場合の実情、親なきあとについての相談先などについての疑問が寄せられました。そこで、既存の記事で役立ちそうなものを、いくつかご紹介します。また、寄せられたご意見をもとに、必要とされる記事を今後さらに充実させていきたいと考えています。「手帳の交付や明らかに支援が必要な場合は、何らかの手だてがあり支援や補助の安心があるが、グレーのまま成長し、グレーな大人になった場合はどのように過ごすことができるか、自立していられるのか、親としては不安です。」「40代で知的、発達障害の子を育て始め、残りの時間を考えると、どこまで責任を持って見守りができるか。また、将来、該当児を託したいがため、兄弟にも過度な期待、プレッシャーをかけがちで、反省しつつも、やはり、強い対応をしてしまう。また、兄弟にも希望する人生があるのに、将来の職業、結婚の選択が狭まったと感じ、常に申し訳なく感じている。」「日々の生活でいっぱいで先のことなんて考えられない。」グレーゾーンにあるお子さんが適切な支援を受けられるのかといった不安や、きょうだい児への負担についての葛藤などから、日々の生活での問題の対処で精一杯で先のことを考える余裕までないといった声もありました。「もっと発達障害者を理解し働きやすい企業が増えてほしい。」「障害があるからといって、特別な目で見ないでほしい。」「ちょっとした手助けや、理解してもらうことは必要かもしれないけど、周りの人の関わり方一つで、社会人として、ちゃんとやっていけることを知ってほしい。」障害に対する偏見や障壁がない未来を願う、切実な声が多く見受けられました。障害のある子やその家族が、生き生きと暮らしていける世の中になるよう、これからも発達ナビでは、さまざまな発信をしていきたいと思っています。今回の調査結果から出典 : 今回の調査結果から、「親なきあと」に不安を感じているものの、具体的にどのような対策を取ったらよいか分からないという保護者が多いことが分かりました。発達ナビでは12~1月に「親なきあと」特集を組み、親なきあとの暮らしやお金の問題についてコラム記事を掲載していくので、ぜひ読んでいただきたいと思います。また、ママ友や障害のある子の家族会などの自助グループでの情報共有も非常に役に立ちます。保護者の皆さんが元気なうちに、さまざまつながりをつくっていくことが、親なきあとのお子さんの生活を支えることにつながるかもしれません。もちろん、日常生活だけで手一杯ということもあるかもしれません。あせらず、まずはできそうなことから、少しずつ進めていきましょう。
2017年12月25日子どもが大きくなるにつれて、言葉の乱れや汚い言葉遣いなどが気になることがあることも。友だちの影響を受けたり、または自分の子どもが周りの子に悪影響を与えてしまうこともある言葉遣い。親たちの悩みを聞いてみましょう。Q.お子さまの言葉遣い、気になるときがありますか?1.ある 94.0%2.ない 6.0%ほとんどの親たちが子どもの言葉遣いが気になるときがあるという結果になりました。小学生くらいから徐々に気になる親が多いようです。■怖い言葉を平気で使っている子どもに不安を感じる最も多かったのが、暴言などの汚い言葉や人を攻撃する怖い言葉に対する意見。発した本人にそのつもりがなくても、相手に深い傷を負わせてしまうこともあり、親たちは心配をしているようです。「『ヤバイ』の使い方。OKなのかNGなのか、私の年代になってくると何事も一言で済ますなとつい憤りを感じます」(神奈川県 50代女性)「怖い言葉を平気で使っている子どもが多い気がします。殺すとか消えろとか…」(神奈川県 40代男性)「小学生になり、うるせぇ! ぶっ殺す! 黙れ! などなど汚い言葉を言っている友だちがいるらしく、うちの子もいつか話すようになるのかと心配しています」(岩手県 30代女性)■親こそ言葉遣いに気をつけなければいけないやはり手本になるためには親が正しい言葉遣い、きれいな言葉遣いをしなければいけないということ。夫や周りの人に言われてやっと気づく人も。「下の娘が私の口調にそっくり。『もっと優しい言い方があるでしょ!』と注意すると、旦那さんに『自分のことは棚上げだね』と言われて、最近反省しました」(三重県 30代女性)「先日、私の友だちに子どものしゃべり方がそっくりって言われました。悪い言葉も良い言葉も、親が使っていたら子どもも真似してしまうので、子どもの前だけは言葉遣いに気をつけています」(神奈川県 40代女性)「私の話し方のクセが似ちゃってます。言葉遣いを気をつけないと…」(千葉県 40代女性)■大人になれば使い分けができる?なかには、大人になれば自然と使い分けができるようになるから、子どものうちは心配しなくてもいいのではという人もいました。そのときに正しく話せるようにするためにも、親としては正しい言葉遣いをして接するに越したことはないですね。「まあ、気にすることないと思いますよ。私たちも若いころは、言葉遣いで注意されたものです。でもある程度の歳になれば使い分けられます。大きくなっても使い分けできなければ、ただのバカですね」(神奈川県 40代女性)「ちゃんと場所や相手で使い分けできたらいいんじゃないかな。仲間内なら悪い言葉遣いで結束を強めたりすることもありかと思います」(滋賀県 30代女性)Q.お子さまの言葉遣い、気になるときがありますか?アンケート回答数:5123件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2017年12月20日『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』の著者の立石美津子です。「どこに出しても恥ずかしくない子でいなさい!」「人に迷惑をかけない子でいなさい!」幼い頃からこんな風に言われ続けて育った人が、やがて母になり、生まれた子に障害があると知ったら…。子どもの障害について、幼稚園の先生やママ友などになかなか言えない人もいます。「障害があることは恥ずかしい」という気持ちがどこかに潜んでいるのかもしれません。Upload By 立石美津子ダウン症候群であったり、障害が重い場合は、理解を得られやすいためか、周りに伝えたり相談したりできる人も多いようですが、自閉症児の場合は見た目でわかりにくいこともあり、わが子の障害を周りに伝えず、知的発達の遅れがあっても療育手帳を取らないで隠し通そうとする人もいます。けれども、これでは親一人で孤軍奮闘して頑張らなくてはならない事態に陥ってしまいます。福祉は自己申告制、役所からの案内を待たずに行動を障害のある子のいる家庭に、役所から「3歳になったら療育手帳を取り、必要な支援を受けてください」といった連絡は来ません。税金の滞納があれば督促状が送られてきます。障害基礎年金は年収が一定額越した時点で段階的に支給停止になります。けれども、税金の戻し(例えば、確定申告時に医療費控除を受け、還付金を受け取ること)などは、自分から申請する必要があります。これと同様に、親が自分から動かないと、障害のある子に必要な支援については、役所からの案内はこないのです。療育手帳や身体障害者手帳などを持っていると…・ヘルパー派遣を受けられる・特別支援学校への入学許可が出やすい・法定雇用率の中で就労できるなど、様々な支援を受けることができます。「診断を受けて療育手帳を取得して、障害者のレッテルを貼られてしまうと伸びるものも伸びなくなる」という考えでいると、かわいそうなのは子どもだと私は思います。療育手帳がないために、支援の網の目からこぼれ落ちてしまう可能性が高まるからです。手帳を持っているだけではダメ、使える支援制度について知ろうけれども、療育手帳を持っているだけでは実は不十分なのです。なぜなら手帳取得者に対して、「お子さんに合った、こんな支援がありますよ。あんな支援がありますよ」と親切に細かく連絡は来ないからです。そうなると、受け身の状態で待っていればよいのではなく、自ら役所に出向くなど、受けられる支援を調べる姿勢が必要になってきます。その一つの例が「自立支援医療制度」です。私の住んでいる自治体では中学3年生までは医療費は無料です。しかし、高等部になると3割負担となります。実は、「精神障害や発達障害などで、それに関わる医療機関に係る場合、自立支援医療受給者証を発行してもらうと薬や診察代は1割負担」になります(所得に応じた、月当たりの負担上限額も設定されています)。でも、これを知らない人がたくさんいます。参考:自立支援医療制度の概要 l 厚生労働省Upload By 立石美津子東京都の場合、交通費は愛の手帳を提示すれば割引になります。また、都営交通(都営バス、都営地下鉄、都電など)は本人は無料になります。しかし、これは区役所に行き「都営交通無料乗車券」を申請し、受け取らなければ無料にはならないのです。Upload By 立石美津子私も上記2点は友達から教えてもらい役所に申請に行きました。これ以外にも自己申告によって受けられる支援がたくさんあります。親だけで頑張りすぎないで、周囲にSOSを出すことも視野に入れてつまり何が言いたいのかと言うと…我が子に障害があるとわかったら、隠したり、「親の力だけで何とかしよう!」と頑張るのではなく、「うちにこんな子が生まれました。皆さん気にかけてください。助けてください」とSOSを出す姿勢が大切だと言うことです。多くの場合、親が子どもより先に死ぬことになります。親亡き後は、様々な支援に頼らなくては生きていけない子ども達です。幸いにわが国は、社会と接点があれば、どこかで救ってもらえる体制が準備されています。でも、そのつながりは親が作っておかなくてはならないのです。だから、子どもを囲い、隠すのではなく、発信してほしいと思います。先日、読んだこの二冊の本には、障害のある人が受けられる支援や、親が元気なうちにしておくべき準備にについて具体的に書いてあります。とても役に立ちましたので是非皆さんお読みくださいね。Upload By 立石美津子
2017年10月24日毎日の子育て、楽しい面もありますが大変なことも多いですよね。子どもは本当に親の思い通りにはなりません。何度言っても同じことの繰り返し、いつになったらできるようになるの! とついカッとなり、子どもをどなったり、つい手が出てしまったというのは、多くのママが経験していることだと思います。ママだって人の子、完璧ではありません。いつも聖母のように優しく子どもと接するのは難しいでしょう。しかし、もしあなたが「なんでこの子は○○できないんだろう、××しないんだろう。なんとかしてやらせなくては!」といった思いが強すぎて、子どもが正反対のことをすると落ち込んでしまったり、必要以上にイライラをつのらせるようなら、一度ここで立ち止まり考えてほしいのです。■仲良しで頼りがいのある親、実はライト毒親だったかも?最近、「毒親」「毒母」という言葉をよく耳にします。親という権威をふりかざして子どもを支配するタイプを、一般的に毒親といいます。子どもの成長や自立を阻むので、虐待やネグレクトを引き起こし、時には社会事件にまで発展することがあります。そう聞くと「うちの親はそんなひどい人達じゃないし、私のことをかわいがってくれたから毒親なんかじゃないわ」と思われる方がほとんどでしょう。しかし、毒親と子どもの関係は、必ずしも悪いわけではありません。愛情という大義名分のもと、自分の思い通りに子どもを育てたいという思いが強いライト毒親も存在します。ライト毒親は、自分が子どものときに果たせなかった夢を自分の子どもを利用してかなえようとしたり、逆に自分が育ったのと同じように子どもを育てることに執着します。例えば、「バイオリンを習わせる」「小学校受験をさせる」など、子どもにとって必ずしも悪い事ばかりではないのが特長です。しかし、そのようにライト毒親からの支配を受けながら育った子どもが、いざ大人になって子育てをしようとしたとき、うまくいかずに悩むということがあります。私が受ける育児のご相談でもこのケースは多いです。相談者は一様に「こんなに子どもの幸せを思って○○したのに、それに応えてくれない。空しいし、子どもに腹が立つ」と口をそろえます。そういった「○○であるべき」「○○であってはならない」という」気持ち、思い込みが強いほど、毒親の影響を受けて、自分も毒親になっている可能性が高いといえるでしょう。 ■親のエゴを叶えるため、がんばってしまう子どもたちライト毒親は往々にして、「自分の理想」を子どもに反映しようとします。それを「あなたのためになるのよ」「あなたのためを思って言ってるのよ」というふうに、自分のエゴを「子どものため」と転嫁し隠してしまいます。子どもは親の期待に応えようと一生懸命になりますよね。そして、その期待に応えられても、応えられなくても、大人になって心の重石として残ることがあります。期待に応えられれば「自分も同じように子どもを育てなければ」と焦りますし、応えられなければ「自分の子どもにリベンジさせよう」と意気込むか「子どもには絶対に同じことはやらせない」という反発心で行動します。そうやって、知らず知らずのうちに毒親の連鎖が続くのです。■自分のエゴに気づく、「本当にそうなの?」という問いかけからもちろん育児には各ご家庭の方針、ポリシーが反映されるものです。しかし、思い通りに子どもが動かず気持ちが落ち込むという時は、以下の質問に対する答えを書き出してみましょう。1.子どものどんなことに対して不満があるのか(例えば、運動をさせているのに走るのが遅い)2.なぜ不満なのか(例えば、速ければリレーの選手に選ばれるのに選ばれないのが悔しい)3.なぜそう感じるのか(例えば、リレー選手は運動会で人気者になれると思うから)4.そうでなければどうなるのか(例えば、子どもが人気者になれなくなってしまうかも)5.それは本当にそうなのか(例えば、よく考えたら自分の親が「リレー選手になれたらかっこいいからがんばれ」と自分に望んでいたからそう思いこんでいるの)6.子どもは楽しんでいるのか(例えば、走ることは楽しんでいる)7.違う形で生かせないか(例えば、タイムは気にせず、体力作りの一環として走ることに取り組ませる)これは、心理カウンセリングをするうえで、実際に質問したり書き出してもらっている項目です。こういった質問に答えるだけではなく、自分が生まれてからこれまでのヒストリーを書き出し、起こったことそれぞれに対する感情を書き出す方法もあります。これは、論理療法という心理療法で、自分の考えは事実か、合理的か、証明できるか、自分が幸せになるかを、自分自身に問い、自分を苦しくさせている思い込みに気づかせる方法です。これをやってみることで、「こうでなければ」と思っていたことがもしかすると「親からの刷り込み」であることに気づき、自分で落ち込みのタネを生み出していただけということに気づくかもしれません。「親からの期待」はなさすぎても寂しいですが、ありすぎても子どもの心を縛ってしまいます。そして良い子ほどがんばりすぎてしまい、自分より他人の価値観を満たすことを優先してしまうようになります。子育てで悩んだら、まず「これは本当に子どものためになっているか?」と自分に問いかけてみてくださいね。
2017年10月24日「パラサイト破産」という言葉をご存知ですか?これは、高齢親が子どもへ経済援助を続けることで貯金を使い果たしてしまい、破産状態に陥ってしまうこと。高齢者の貧困が深刻化している昨今、見逃すことができない社会現象となっています。子どもたちが経済的に自立できない理由はさまざまです。不景気や急なリストラ、病気やケガなどの不可抗力によるものもありますが、中には「それってどうなの?」というようなパラサイトっぷりを発揮している子どもの話もチラホラ……。今回は、そんなパラサイト子どもたちの特徴と、パラサイト破産に陥らないために親ができることをまとめてみました。●パラサイト破産の原因となるのは、こんな子どもたち!?●学生時代の仕送りをそのまま援助してもらおうとする『大学を卒業し、何とか就職も決めた私と友人A子。このご時世ですし、お給料はスズメの涙でした。私はその額で何とかやりくりできるよう、家賃の安い街へ引っ越したり、地道に節約したりと生活スタイルを変えてしのぎました。でも、A子はしれっと「親から仕送りもらえばいい。今までできてたんだから、これからもできるでしょ? 」って言うんです。A子の親も、言われるがままに仕送りし続けています。特に裕福な家庭というわけではないのに、大丈夫なのかな……』(20代女性/製造業)子どもが学生のうちは親が生活資金の援助をするのが一般的です。学生の本分である勉強に身を入れてもらうためにも、それは必要なこと。しかし、卒業して社会人になったらもう一人前。自活の道を模索していかなければなりませんよね。もしもお給料で生活費を賄うのが難しそうなら、生活レベルを下げるのがあるべき姿です。ときには引っ越ししたり、こまごました節約ワザを使ったりする必要もあるでしょう。しかし、中には学生時代と同じだけの援助を親に求め続ける子どもたちもいるんですね。こういった子たちは親からの援助を当たり前だと思っているので、工夫や苦労して生活を変えていこうとはしません。このままいつまでも続けていけば、最終的にはパラサイト破産に繋がる可能性が高いと言えます。●延々と学生でいつづける『大学を出たら大学院へ行き、大学院を出たら何年も留学し、戻ってきたら専門学校に通って難関資格を取った兄。やっと就職するのかと思っていたら、なんと大学に入り直しました。兄の学費と生活費は親が全部出しています。「勉強するんだ」と強く言われると、むげにできないようです』(30代女性/会社員)このように、延々と“学生”でありつづける人たちもいるようです。学び続ける意志と姿勢はあっぱれですが、裏を返せばずっと社会に出ないということ。「専門性を磨きたい」「資格を取りたい」「勉強したい」といったもっともらしい理由があるだけに、たちの悪いパラサイトっぷりなのではないでしょうか。●孫をダシにしてくる『一人娘が遅めの結婚をし、やっと手が離れたと喜んでいたのもつかの間。出産後わが家のすぐそばに住み、あれこれと無心してくるようになったんです。毎月の食費、光熱費などから、孫にかかる幼稚園のお金、さらには家族レジャーの資金まで。最初は頼られるのが嬉しかったのですが、もう限界です。でも、出してやらないと孫がかわいそう で……今は清掃のパートをしながら、何とかお金を捻出しています』(60代女性/パート)そう、パラサイトしてくるのはなにも独身の子どもだけではないのです。結婚して別所帯を持ってからは、孫をダシにしてお金の無心をしてくるんですね。親としても、どうしても孫には甘くなってしまいます。また、孫にまつわる出費は入園や入学、卒業など大きなライフイベントが絡んでくることもあるため、1回ずつが高額になりがちな傾向もあります。高齢親にとっては非常に悩ましい問題でしょう。●パラサイト破産を避けるためにパラサイト破産に陥らないためには、どのようにしたらいいのでしょうか。今回のインタビューを元に考察してみました。●子どもに対して家計の状況を明らかにするパラサイトしてくる子どもに対して、「現状で貯金と収入がいくらあり、支出は毎月いくらかかる」といった家計の状況を説明 しましょう。そして冷静に、現状ではこれ以上の援助はできないことを伝えます。どうしても援助が無理であることを、まずはきちんと分かってもらうべきです。●就労プログラムをつかう、福祉制度をつかう親が援助できないことを分かってもらえたら、次は適切な支援機関の門をたたきましょう。もしも仕事が決まらず定収入がないことがパラサイトの原因なら、ハローワークやNPOが行っている就労プログラムを受けさせてみてはいかがでしょうか。病気や怪我などでどうしても働けない子どもの場合、福祉制度を味方につけるのもありですね。よく知られているのは生活保護制度ですが、それ以外にもセーフティネットは数多くあります。うまく活用して、今の状況を切り抜けていきましょう。----------かわいい子どもや孫には可能な限りの援助をしてあげたいと思うのが人のサガ。しかし、老後が長い今の時代、自らの生活資金もきちんと確保しておかなければいけません。子どもを愛していることと、金銭的な援助は別の問題です。本当に困窮してしまう前に、しかるべきところに相談し援助を求めるのが、パラサイト破産を避けるために重要なのではないでしょうか。●文/パピマミ編集部●モデル/SAYA
2017年08月14日『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』の著者の立石美津子です。「○○さえ出来たら…」親の価値観で子どもに期待を寄せていたあの頃子どもを産んだ瞬間は「元気であればそれでいい」とそんなに高望みはしていなかったのに…。ほかの誰かと比較することなく、我が子の存在そのものに喜びを感じていたのに…。定型発達児であれ発達障害児であれ、親になるとつい周りの子どもと比べてしまいます。「みんなと同じ行動がとれますように…」「お友達のようにお喋りができますように…」「集団行動がとれますように…」無意識のうちに、こんな言葉が頭をよぎることはありませんか?でも、これらは親が持っている独自の価値基準。「ここさえ改善されたら、私もこの子もきっと幸せになるに違いない」と勝手に思っているだけなのです。Upload By 立石美津子もし、親が定型発達で、子どもが発達障害児であればなおのこと、子どもは苦しみます。何故なら親に“共感”してもらえないからです。親が定型発達の場合「みんなと同じことが出来るようになることが幸せだ」「お友達がいることが幸せだ」という考えにとらわれていることも多くあります。私自身もそんなことを感じた出来事がありました。発達障害当事者のママに言われた衝撃の一言私は定型発達で、息子はバリバリの自閉症です。ですから、私も前記のような親の期待と子どもの状態のずれに悩んでいました。これは、14年前、息子が3歳だったときの保育園での写真です。皆と同じように帽子をかぶって合唱することはなく、息子は一人読書をしています。私は保育参観でこの光景を目の当たりにし、もの凄く悲しい気持ちになりました。Upload By 立石美津子当時、息子を病院内の療育施設に通わせていたのですが、そこで知り合ったあるママがアスペルガー症候群の当事者でした。そのママにこの写真を見せたことがあります。そこでの会話私「ねえ、うちの子を見てよ。何度叱ってもみんなと同じ行動がとれないのよ…」当事者のママ「この前列に立っている子ども達、どうしてみんな同じ格好をして歌を歌っているのかしら?後ろで本を読んでいる方が楽しいのにね」意外性のある回答を聞いてびっくりしました。同時に「このママは他人なのに、息子の気持ちがわかるんだ。そんな視点も存在するんだ~」と思ったのです。そして、私が自分の枠組みでしか子どもを見ていなかったことに気付かされました。個性を伸ばしたいといいながら、子ども自身の「世界観」を無視していた出典 : どんな子どもにもそれぞれ個性があります。ところが「個性を伸ばしたい」と口では言いながら、実際にやっていることは人並みを求めたり、平均値を意識する子育ての人が多いように感じます。ダウン症、視覚障害、肢体不自由などの障害は一目見ただけでわかるので、親自身も受け止めざるを得ないですし、いちいち説明して回らなくても周囲の理解を得られやすい場合もあります。でも、見た目が定型発達児と変わらない発達障害の子どもに対しては、まず親自身がなかなか受け入れられないことがあります。中には「このまま私が一生懸命育てれば、いつかきっと普通の子どもになるのではないか」と錯覚してしまう人もいます。また、母親が理解していても、姑から「しつけがなっちゃない!」となじられたり、理解のない夫から「お前の育て方が悪いからこうなったんだ。愛情不足だ」と責められている人もいます。こうなると誰も理解者がいなくなり、母親は更に苦しみます。偉人の母たちの行動から学ぶしかし、自分の育て方が間違っていると、苦しむことはありません。歴史上には学校に匙を投げられても、偉大な人物に成長した人、その人を育てた母の話がいくつも残っています。徹子さんは初めに入学した小学校で問題児扱いされました。教室の机のふたが珍しくて授業中何度もパタパタ開け閉めしたかと思うと、今度は窓際に行き、外を歩くチンドン屋を呼び込んだり…。学校からは迷惑がられて、とうとう退学処分となりました。立派なのはその時のお母さんの姿勢です。徹子さんを変えようとしないで「この子を受け入れてくれる学校を探そう」という視点で転校先を探しました。しかも、本人が傷つくことを恐れて、転校理由(退学について)は本人には絶対に伝えませんでした。この母親の配慮により、徹子さんは“自分の存在を否定された”と感じることなく、その後、転校先で素晴らしい先生に出会うことになりました。転校先で校長先生からかけられた「君は本当はいい子なんだよ」の言葉に元気づけられ、徹子さんの今があると『窓際のトットちゃん』に書かれています。出典 : 粘土を使って“1+1=2”を教える小学校教員。エジソンは「粘土と粘土を合わせたら1」だと言い張りました。これに対して担任は「腐れ脳みそ!」と言い放ったそうです。そのこと知った母親は子どもの発想力をつぶす教師と学校側に抗議し、とっととエジソンを退学させます。母がとった決断の結果、のちにエジソンは人類の生活を変える電球の実用化を果たしました。もちろん、みんながみんな偉人になるわけではありません。でも、こうした偉人のエピソードから親が学べることはあると思うのです。子どもを変えるのではなく、親が変わる。そうすれば、子どもは「この世に生まれてきて良かった。毎日が楽しい、幸せである」と感じます。親が子どもを産んだときに「この子が幸せな人生を歩んでいきますように」と願ったことは、親が子どもの立場に立ち、子ども自身の世界観を大切にすることでこそ、叶うのではないでしょうか。まとめ出典 : 親が定型発達であると、どうしても既成概念で物事を捉えがちです。「友達がいないことは可哀想だ。友達と一緒に遊ぶことが楽しいだろう」と考え、地面の虫や石ころとたわむれる一人遊びをする子どもを「そんなことしていないで皆のところへ行って遊びなさい」と連れ出します。部活を選ぶときも、みんなと協力しなくてはならないサッカーや野球をやらせたくなります。でも、子どものことを考えたら人と関わらないで済む個人プレイの体操、マラソン、テニス、卓球などをやらせた方が楽しめる子もいるはずです。我が子に対しては「こうあってほしい」と願いを託すのは親として自然な感情ですが、子どもを無理に変えようとしたら本人には無用な大きなストレスがかかります。もしかして…変わらなくてはならないのは親なのかもしれませんね。『立石流 子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』
2017年07月28日先週末(2017年5月21日)、NHKスペシャルで発達障害の特集が放送された。( NHKスペシャル「発達障害 ~解明される未知の世界~」 )番組内では、最新の脳科学研究や当事者への聞き取りにより、発達障害の人にはどんな風に世界が見えているのかを映像化したり、発達障害の人がどんな悩みを抱えているか、ひとつひとつの事例を丁寧に紹介。発達障害でない人にとっても、とてもわかりやすい形で解説していた。筆者は発達障害の子を持つ親として放送を楽しみにしていたが、期待を裏切ることのない、とても良い内容だったと思う。当事者の親として私なりの感想をまとめてみた。■やっぱり映像の力はすごい!まず、「おぉ!」と思ったのは、発達障害当事者の視点を再現した映像力だ。発達障害は外見からはわかりにくい障害だ。それゆえ、よく「我慢が足りない」「わがまま」などと言われ、なかなか理解してもらえないことも多い。だが、今回の番組の映像化により、一般の人にとっても発達障害の人が見ている世界がどんなものかわかり、ずいぶんと認識が変わったのではないだろうか。■もしかして、あれが息子の見ている世界なの…?私自身も、大きな発見があった。自閉症スペクトラムでADHDの傾向もありと言われている筆者の4歳の息子は、集団に向けた一斉指示が入りにくい傾向がある。確かに同世代と比べると、言葉の理解度は低いところもある。だが、決して言葉の意味が分からないというわけでもない。その証拠に、療育などで先生が目の前で1対1で説明すれば、指示に従うことができる。番組では、教室でいろいろなものが気になってしまい黒板に集中できない女の子の例や、カフェの雑踏の中で相手の話がうまく聞き取れない女性の例などが紹介されていたが、あれが息子が見ている世界なのかもしれない……と考えさせられた。今、保育園のクラスで集まる時、息子はたいてい後ろではじっこの方に配置されている(おそらく、もう一人の先生がフォローに入りやすいという配慮でこの場所になったのだと思う)。もちろん先生方がいろいろ考えた上での場所であり、それもありがたいのだが、先生が遠くなると先生の声はますます聞きとりにくくなってしまうし、注意も向けにくくなってしまう。番組を見て、例えば、集まりの時は思い切って席を先生のど真ん前に配置したら、注意力が変わってくる可能性もあるのでは? などと、息子をとりまく環境について、改めて見直すきっかけをもらった気がした。「この子には無理」「この子はやる気がない」ではなく、子どもの状態に合わせて環境を変えてあげれば、解決できることがもっとあるかもしれない。そして、息子ももっと今より楽しい生活が送れるようになるかもしれない。■みんなが楽になれる配慮は、障害にかかわらず真似したいまた、番組にはモデルの栗原類さんをはじめ、発達障害と診断された当事者たちが出演していた。みな、なんらかコミュニケーションに苦手を抱えており、スタジオのセットをより心地よい環境に変えたり、ずっと相手の目を見ないで話してもOKというルールを作ったり、ぬいぐるみを抱っこして気持ちを落ち着かせるという工夫もされていた。これ、発達障害にかかわらず、もっと広げてもいいのでは?だって、程度の差こそあれ、健常の人だってコミュニケーションで苦手なことを抱えていると思うのだ。健常の人だって、思った以上にコミュニケーションで必死に気をつかって戦っていると思うのだ。■どこからが個性で、どこからが障害?自閉症スペクトラムのスペクトラムとは、連続体のことだ。よく、虹に例えられる。虹は微妙に色が変わっていくが、その境界線ははっきりせず、基本的には連続している。 「今(番組で)見てきたような特徴は、どんな人でも多かれ少なかれありますよね。問題は、それがどのくらい程度が大きいのかということと、一番重要なのは、それによって自分やまわりの人にどれくらい生活に支障があるかということだと思うのです。逆に言うと、本人に特徴が強くても、まわりが全面的に受け入れてくれるような生活環境ならばあまり苦痛にならない場合もあるんです。(中略)本人と環境との関係というのが大きいですよね」出典: (NHKスペシャル「発達障害 ~解明される未知の世界~」番組出演者・本田秀夫医師のコメントより) このことは、以前取材した放課後デイを経営されている(株)アイム代表の佐藤典雅さんの「発達障害の子育ても健常児の子育ても、本質的には何ら変わりはない」や「普通って何だろう?」という話に通じるところがあった。 参考:【連載】大変だけど、不幸じゃない。発達障害の豊かな世界 出演者たちも、「発達障害というものでひとくくりにしないでほしいこと。一人一人の特徴は違うということ」を繰り返し伝えていたように思う。発達障害に目を向けるということは、一人一人の特性にきちんと目を向けるということ。それはすべての人へとっての、生きやすい環境作りにつながるのではないだろうか?■「社会の役にたつから認めるっていうのは、ちょっと違う気がする」今回の番組では、自分のことをきちんと話せるような高機能な人たちを中心に、発達障害が紹介されたように思う。後半では、発達障害の人の能力に注目した就労支援の話にまで展開した。もちろん、その取り組み自体はとても素晴らしいことだと思う。だが、今回はあまり紹介されなかったが、発達障害の中にはどんなにがんばっても就労が困難な人たちもいるのに…と、ちょっとモヤッとしたところで、有働由美子アナウンサーのこのひと言。「(発達障害の)能力が注目されると、能力があって社会の役にたつから認めるっていうのがあって、それもまた違うのかな…?と思って」ちょっとめでたしめでたしで終わりそうな流れの中、こういう意見をしっかりはさんでくれる有働さんのコメント、個人的にとてもうれしかった。NHKが1年かけて取り組んでいくという「発達障害プロジェクト」、今後はぜひ、自己表現がまだうまくできない子どもや、知的障害を伴う発達障害、コミュニケーションをとることが難しいような重度の自閉症の世界なども、取り上げてほしいと思っている。そして、司会はぜひ有働由美子アナウンサーとイノッチのコンビに続けてほしいと願っている。文:まちとこ出版社N 【発達障害についての連載一覧】大変だけど、不幸じゃない。発達障害の豊かな世界(全4回)「うちの子、発達障害かも!?」と思ったら(全9回)
2017年05月26日「○○ちゃんはもう字が書けるのに、うちの子は読むこともできない」「○○くんは上手に縄跳びが飛べるのに、うちの子は全然できない」「えっ、○○ちゃんってトランプで遊べるの!?」そんなふうに、子供を他の子と比較して焦ってしまうこと、ありませんか? 「できる子」は、本当に最初から「できる」のでしょうか?■「いきなりできる」は幻想!?子どもはうまくできるようになると、「見て見て!」とアピールしたがりますよね。はた目にはそこに至るまでの努力や失敗はわからないので、ついそれを見た大人が「この子、いきなりできてる!」と勘違いして焦ってしまうことがあります。何を隠そう、筆者もそのひとりです。ある幼稚園児が、縄跳びを100回連続で跳んだことがありました。それに比べて同じ年のわが子は一度も跳べません。何度もひっかかってしまうわが子の横で、ボクサーのように軽々と縄跳びを飛び続けるお友達…。その光景を見て、「○○ちゃんは運動神経がいいからうまいんだ。うちの子は(私に似て)どんくさいから下手なんだ。教えるだけムダかも…」と思ってしまいました。■子どもだって「ローマは一日にしてならず」ところが、その子のママに聞くと意外な答えが! 最初はまったく跳べず、1年ぐらい前からパパがつきっきりで練習して、最近ようやくうまく跳べるようになったとのこと。その子は、手首をぐるぐる回す動きができなくて、棒状にしたタオルを両手に持たせて、エア縄跳びするところから始めたという話でした。本当に気の長くなる努力の末だったんですね。「親が子どもに何度も教えてあげることによって、習得していた」というケースは案外多いものなのです。わが子の能力を疑う前に、まずは親が根気強さを持つことが重要だったのです。子どもの「できる」は、いかに経験を積ませるかで大きく変わるもの。「わが子の苦手分野だから」「まだ教えるには早すぎる」などと決めつけて、機会を奪ってしまうのはとてももったいないことです。■「繰り返せばきっとうまくできる」と信じる!筆者も、この経験を機に「じっくり子どもにつきあおう!」と決意。「何度も繰り返しやればきっとうまくできる」と信じて、待つことができるようになりました。たとえばトランプ。幼稚園ではやっているからと、子どもも仲間に入りたいと言い出しました。そこで毎日1時間以上も相手をし続けました。数ヶ月たったいまでは、親と対等に勝負できるほどに!最初は神経衰弱やババ抜きなどルールが単純なものから。カードの扱いに慣れさせることから始めました。完全な“接待トランプ”で「うわ~、強いなあ!」などとおだてまくる。その気になってきたら「前より早く出せるようになったね」などと、進歩・上達の快感をおぼえさせる。そしてときには本気でコテンパンにやっつけて「負けるくやしさ」も経験させるようにしました。その3ステップでかなり上達した気がします。子どもは知らないうちにどんどん成長していきますが、親が関わり方を工夫すれば、さらに成長が加速するもの。できないとついイライラしてしまいますが、そこはじっと我慢。うまくやる気を引き出しつつ、経験を積ませてあげられるといいですね。
2017年05月20日自分の子供の行動や思考など、すべてを支配・コントロールしたがり、子供に依存してしまう親のことを毒親(毒になる親)と呼ぶのをご存知ですか?毒親に育てられた子供は、精神的にも悪い影響を受けてしまい、将来的に幸せな恋愛ができなくなる傾向があるようです。「私はただ一生懸命なだけなのに、なぜか幸せで安定した恋愛ができない」と悩んでいるあなた。もしかするとそれは「毒親」のせいかもしれませんよ。今回は、毒親育ちの恋愛事情についてご紹介しましょう。子供の自己肯定感を奪い、人生を支配する毒親とは、肉体的な暴力やひどい暴言や否定の言葉をくり返すことで、子供の心を傷つけながら、子供の心も人生も支配しようとする親だそうです。しかし、トラウマになるような大きな虐待などがなかったとしても、親が子供を否定し続けたり、子供の意見を認めてあげなかったりすると、その心の傷が子供の将来に深く大きな影響を与えてしまうことがあります。例えば「あなたはブスね」「あなたって友達に嫌われるタイプね」「あなたはどんくさいから、周りの人に迷惑がられるでしょうね」などと親からネガティブなことばかり言われると、子供は「私はブスで嫌われもので迷惑な存在なのだ」と無意識のうちに思い込むようになり、自分のことを肯定できない大人に成長してしまいます。つまり親の心無い言動によって、子供の自己肯定感は大きく壊れてしまうのです。また毒親は子供を支配したがるため、友達付き合いや趣味、着る服や就職先にまで口を出し、自分の思い通りにしたがるようです。もちろん、娘の恋愛にも口を出します。「医者でないと認めない」「○○大学以下は認めない」「同居してくれる次男でないと許さない」などと条件をつけることもあり「子供の自主性に任せて、見守る」ということはできないのが毒親です。なぜ毒親育ちの女性の恋愛は上手くいかないのか恋愛においても、幼い頃に毒親によって「自己肯定感」をめちゃくちゃに破壊されてしまった女性は、男性に対しても「自分は愛される価値がない」と思い込んでしまいます。ですから常に相手の気持ちが信頼できず、今相手が何をしているのか、本当に自分のことが好きなのかを常に確かめたがるなどの束縛をしてしまい、男性から重たがられて捨てられたりします。また、彼が本当に自分をどこまで愛してくれているのかを確かめるために、彼にモラハラ発言や暴力をして振り回してしまう女性もいるようです。親から無償の愛を貰えずに育った毒親育ちの女性たちは、男性からの「無償の愛」も信じることができず、いつも裏を探ってしまう傾向にもあります。そのままの自分に自信が持てないので、相手に少しでも好かれるよう、見捨てられないようにと、過剰に尽くしてしまったり、相手好みの顔に整形したりするなど、極端な行動に走ってしまうこともあるようです。このように、毒親育ちで、無償の愛や親に認められ、尊重されるという経験がない女性たちは、穏やかで安定した恋愛がしにくくなってしまうというわけです。娘を束縛して、幸せを邪魔することも!毒親は、子供を束縛し、支配していると同時に、子供に依存しています。つまり子離れできていないのです。娘が交際相手と順調に行っていると「私の面倒は見てくれるの」「あなたが出ていったら、誰が家事を手伝うの」「ここまで育ててやった親を置いて、遠くに嫁ぐことはないでしょうね」などと精神的なプレッシャーをかけ、娘に「幸せになることへの罪悪感」を持たせることもあります。毒親は口では「子供の幸せのため」と言っていても、結局は自分の思い通りにしたい、自分を尊重してほしいというエゴのかたまりなのです。自分を大切にすることが幸せな恋愛への第一歩幼い頃から1番身近にいた親が毒親だった場合、子供の未来にどれだけ多くの悪い影響を及ぼすかお分かりいただけましたでしょうか。しかし、いまさら親に「あなたのせいで私はこうなったのよ!」「もっと私を認めてほしかった!」などとクレームを入れても仕方がないかもしれません。そんなあなたの気持ちすら、毒親は否定するかもしれませんから。あなたの過去のトラウマを癒すのは、あなた自身です。親から言われたことは「親が思っていたこと」であって、真実ではありません。あなた自身には、かけがえのない価値があります。自分をもっと大切にしましょう。「こうしたら他人(親)はどう思うだろうか」と考えるのではなく、あなた自身がどうしたいのか、自分の心に聞いて、従ってあげましょう。これをくり返すことで、少しずつ、あなたは自己肯定感を取り戻すことができるのではないでしょうか。自分を大切にできるようになって初めて、他人を大切にでき、幸せな恋愛を出来るようになることを忘れないでくださいね。
2017年05月17日晴れて2人きょうだい!娘の成長を振り返ると…私には、広汎性発達障害の6歳の娘と、7ヶ月になる息子がいます。娘が5歳の時、息子を妊娠しました。結婚当初、「子どもは2人欲しい」と思っていた私。しかし、娘が2歳半で発育遅れを指摘され…。「しばらくは娘の療育に集中しよう」と決めました。その後、娘が4歳の時に『広汎性発達障害』と診断されました。療育を続けておかげで、娘の問題は少しずつ落ち着いていき…。そんな時、私の妊娠がわかりました。Upload By SAKURAオメデタは嬉しい。だけど…2人目の妊娠を知った時は、家族が増えることが本当に嬉しくて、浮かれていました。しかし、下の子は妊娠期特有のトラブルも結構多かったのです。具体的には、妊娠初期に出血を繰り返して入院したり…妊娠後期に『赤ちゃんが大きい』と言われたりしました。一児を育てる母であっても、子どもにはそれぞれ悩むものです。段々と「この子にも障害があったら…」と不安に思う日が増えてきました。Upload By SAKURA成長した娘の姿は私の心を映す鏡でした不安を感じていた時、娘を見て、私は自分に問いかけました。この子が広汎性発達障害で『ダメ』だった…?答えは『NO』です。私は、娘が我が子で、本当に良かったと思っています。とても可愛くて…優しくて、面白くて。もちろん、大変なこともたくさんありました。しかし、それ以上に娘に教えられたことが多いのです。Upload By SAKURA娘はきっと…私たち夫婦を選んで、ここに来てくれたと私は思っています。だから…きっとお腹の子も、私たちを選んでくれた。何があっても、愛おしい我が子には変わりない。不安はなかなか消えるものじゃないけれど、『生まれた子を愛する』という結論は変わらない。そう思って妊娠中過ごしてきました。Upload By SAKURAゼロではない親の不安…。でもそれ以上に育っている想いもありますそして、無事元気に産まれた息子。今も正直、時々不安を感じることもあります。でもその時は、自分に問いかけます。「もし障害があったら…?どうするの?」と。障害があったとしても、育てる。愛する。そこは変わらないのです。だから不安に思う必要はないと…。この先何があるかは誰にもわかりませんが、私たち夫婦を選んでくれた2人を、大切にしていこうと思っています。2人とも、生まれてきてくれてありがとう。Upload By SAKURA
2017年05月17日新生活が始まり1ヶ月が過ぎましたが、慣れてきたころに連休に入り、日常生活に戻った時に集中力を欠くことも多くなるかもしれません。この時期に関わらず集中して物事に取り組むことは大事なこと。日常生活に取り入れられる集中力アップ法を家庭で取り組んでみましょう!子どもの集中力は思う以上に短い子どもは飽きっぽいと感じる親御さんは多いと思いますが、実際にはどのくらい集中力が続くものでしょうか?幼児期の集中力は年齢プラス1分と言われています。4歳であれば5分ということです。こんなに短いとは驚きですね。これを知らずに「うちの子は集中力がない」と決めつけて、周りの子と比較してはいけません。個人差もありますし、取り組んでいることでも変わってきます。積み木で遊んだり絵本を読んだりするなど、子どもが好きなことをしている時に時間を計って、集中力がどのくらい続くのか確認してみましょう。集中力が長続きする時、なくなる時子どもの集中力はどんな時に長続きし、どんな時になくなるのでしょうか。長続きするのは楽しい時です。さらに同じ遊びをしていても、親と一緒に過ごすことで長い時間続けることができるはずです。親との時間は子どもが「楽しい」と感じ、集中力が続くきっかけとなります。一人で遊んでいても、途中で一緒に本を読むなど、一緒に過ごす時間を増やしてみましょう。逆に集中力がなくなるのは次の3つです。・他のものに興味が移った・外からの刺激で集中力がきれる・心の中で別のものが気になっている急に集中力がなくなったと思ったら、子どもの様子を観察してみましょう。子どもの集中力を高める5つの場面日常のさまざまな場面で子どもの集中力を高めるきっかけはあります。どんな時にどうすればよいのでしょうか。1.身支度をする時子どもの身支度は時間がかかるので、つい親が手を出してしまいがちですが、実は集中して取り組んでいる時間です。常に時間に余裕を持ち、じっと待つようにしましょう。「やって」と言われたら手を貸してもいいですが、全てを手伝うのではなくできるところとできないところを見極めて最低限の手助けに留めましょう。2.「何で?」と聞いた時幼児期には「何で?」「どうして?」という質問攻めに合うことが多いと思います。すぐに答えるのではなく、子どもが内に持っているかもしれない答えをまずは聞いてみましょう。集中してものを考えるという意欲につながります。「どうしてだろうね」と一緒に考えてみる時間も、子どもにとって楽しい時間になります。3.指先を使う時指先を使うことは、器用になるだけではなく集中力も鍛えられます。ビーズ遊びや折り紙など、指先を使う時は親が見本を見せて一緒に取り組みましょう。4.遊ぶ時特に体幹を鍛える遊びをする時は、集中している時です。一本橋や平均台を渡ったりする遊びは、バランスを崩すと失敗してしまうので集中力アップに効果があります。家の中でも布団などで不安定な場所を作り、はいはいで渡らせるなど、工夫してバランスを取る状況を作ることができます。5.遊びを切り上げる時遊びに夢中になっている時に声をかけてしまうと、せっかく続いていた集中力が途切れてしまいます。声をかける際は、集中が途切れた頃を見計らいましょう。一つの目安は、子どもが「ふうっ」と息を吐いた時です。日々のトレーニングで集中力は少しずつアップできます。読み書きや勉強なども子どもが楽しいと思える工夫をしながら、少しづつ取り組ませるようにすると段々集中できるようになります。子どもの集中力の土台を作るのは7歳までと言われています。楽しいことを増やしながら、集中力アップを図りましょう!
2017年05月11日両親(特にお母さん)と仲良しな女子って、けっこう多い気がします。特に最近では親子でペアルックをするような「友達親子」なんて言葉もあるほど。でも「親と仲良し」を公言している女子って、彼の目にはどう映っているのでしょうか。20代男性にリサーチしてみました。■1.ほほえましいな~「親と仲良しって聞くと、単純に『ほほえましいな~』って思う。」(21歳/大学生)「元カノがいつも親のグチばかり言っている子だった。内心『もう少し親のこと大切にしたら?』って思っていたから、仲良し親子はアリだと思う。」(24歳/物流)親と仲が悪いよりも、良好な関係を築けているほうが安心できていいとの声が。たしかに「うちの親マジでウザい!」なんて悪口を聞かされているよりもよっぽど良いですよね。「この子と結婚したら、きっと同じように温かい家庭を築けるのかも」と彼に思わせることもできそうです。■2.色々と口出しされて面倒くさそう・・・「元カノとその両親はすごく仲が良くて、俺にもとても優しくしてくれていた。でもそれがどんどんエスカレートしていって、ふたりのケンカにも口出ししてくるように・・・。結局彼女の両親が俺の負担になってしまい、別れることにしました。」(23歳/アパレル)たしかに芸能人でも、「この両親がついてくるなら結婚はためらっちゃうかも・・・」なんて思う親子っていますもんね。彼女の両親が言うことには、彼だってなかなか反論できないもの。そのせいでいつの間にか恋が終わってしまうこともあるかもしれません。両親と仲が良いことに問題はありませんが、きちんと「彼とのことには口を出さないでほしい」と釘をさしておくことも必要かも。■3.恋愛事情を漏らされてそうで不安・・・「家に行くといつも笑顔で出迎えてくれる彼女とそのお母さん。ふたりの仲が良すぎて、俺と彼女がどこまで進んだか・・・などの話が流れていないかちょっと不安です。」(20歳/大学生)親に彼氏との恋愛事情をせきららに話す女性もいるみたい。でも彼女の両親にキスやエッチをした・・・なんて話が広がっていたら、彼は恥ずかしくなってしまうはず。最悪「親にそんなこと話すやつとは付き合えない」と彼から振られてしまうことも・・・。彼氏の立場もふまえた上で、両親との恋愛トークはほどほどにしておいたほうが良さそうです。■4.ひとりじゃ何もできないの?「会うたびに『今日はママに洋服選んでもらって~』『これもママに買ってもらったんだ~』と言ってくる子がいた。仲が良いのは結構だけれど、自分じゃ何もできないのかな?って心配になった。」(27歳/営業)両親って一番身近な存在ですし、とりあえず親の言う通りにしておけば間違いないってことも多いんですけどね。でもさすがに毎回「お母さんが・・・」と言っていると、自立できていない印象を与えてしまうかも。両親に依存しすぎず、自分の意思も彼にアピールしていきましょう。■おわりにやはりいきすぎた仲良し親子は、彼からも面倒くさがられてしまうみたい。「親と仲良し」を公言しすぎず、陰で親孝行するくらいがちょうど良いのかもしれませんね。(和/ライター)(ハウコレ編集部)
2017年03月08日彼が「いまの彼女を親に紹介するのはなぁ〜・・・」とためらえば、なかなか結婚の話はすすまないでしょう。彼もあなたのことが大好きなのは変わりなくても、「親に紹介」というハードルを越えられなければ結婚は見込めません。では男子が親に紹介したくない女子とはどんな女子なのでしょうか?■1.言葉遣いが悪い「普段のしゃべり方が、その辺の高校生みたいに何でも『ちょー』付けたり、『〇〇でさー』と語尾を伸ばしてしゃべる子は親に紹介しにくい」(28歳/営業)「『メシ』とか『クソつまんない』とか汚い言葉を頻繁に使う子も、きっと親に紹介するときには普通の言葉を使ってくれるんだろうけど、ふとしたときに出るんだろうなと思うと親に会わせるのはちょっとなぁ」(27歳/IT)言葉遣いでその人の品格がわかるもの。普段の言葉遣いが悪いと、性格が良くても親に紹介となるとちょっとためらってしまうかも・・・。普段から意識していないと、思わぬときに悪い言葉遣いが出てしまいますから、意識して改善しましょうね。■2.一般常識を知らない「彼女が全く一般常識を知らない子で、よく一緒にいるときにビックリさせられる。親に紹介は別にいいけど、やっぱり親に後からなんて突っ込まれるか不安で・・・」(29歳/建築)学生ならまだいいかもしれませんが、社会人にもなって全く一般常識を知らないとなると、ちょっとイタイです。彼の親としても、「こんな子で家庭を支えられるのかしら・・・?」と疑問に思うことでしょう。紹介したこっちが恥をかくとなれば、彼も親に紹介することを少し考えてしまいますよ。■3.見た目がチャラい「カラコンにつけまつげ、明るい髪色の恋人を親に見られたくない・・・」(30歳/証券)「両親的にはギャルっぽい感じの子よりも清楚な感じの子を期待しているので結婚の場合はある程度見た目で紹介できるかどうか決めてしまうかも・・・」(32歳/通信)普段は見た目がチャラくても良いと思いますが、親に会うときだけはできればチャラさを捨てて欲しいというのが男子の本音。でも、街中で偶然彼の親とバッタリ会ったときにチャラかったら意味がありませんから、普段から意識して清楚系ファッションをしておくのが安全かも。■4.親と性格が合わなさそう「彼女の性格は俺とは合うんだけど、多分母親とは合わないんだろうな〜と思うと紹介するのに二の足を踏む」(30歳/貿易)結婚してからは、彼の家族とも良いお付き合いをしていかないといけないもの。男子が「きっと彼女と親の相性は良くないんだろうな〜」と感じるとこれからの生活が不安で紹介するのもためらわれます・・・。相性の話となるとどうしようもないので、あなたのほうから積極的に「ご両親に会いたいな~」と希望を出しておくことが大切かもしれませんね。■5.家事が一切できない「家事が全くできないとなると、帰省したときになにもできない嫁だと思われそうで嫌」(31歳/商社)将来のことを考えると一切家事ができないというのは不安要素。結婚して、実家に帰省したら家事を手伝うこともあるでしょうが、それが下手で何もできないのでは、彼の親戚から冷ややかな目で見られてしまいます。具体的な結婚後の生活を想像してくれているからこそ、男子にとっては家事のできる子が好ましいのかも。■おわりに彼と本当に結婚したいのなら、いつでも親に紹介できるように、家庭において必要なスキルを得ておきましょう。彼が自信を持って「外に紹介しても恥ずかしくない!」と思えるような女子になれれば、結婚まではそう遠くないですよ。(美佳/ライター)(ハウコレ編集部)
2016年11月16日最初は仲間と繋がりたくて参加した親の会出典 : 発達障害児の育児は、毎日が戦いです。1つ悩みが解決したと思うと、また新しい悩みが、思ってもみない方向から出現します。この戦いは、一体いつまで続くのか、成長と共になくなるのか、その先は全く見えません。そんな育児の中で、「毎日の辛さを、ちょっとでも愚痴れる仲間がいたら…」と考えるのは、ごく自然な流れだと思います。発達障害児の親が、自分たちだけで悩みや辛さを、抱え込んでしまわないようにと、地域にはたくさんの親の会が存在します。県全体を含む大きな組織もあれば、小学校の特別支援級の親同士が作る、緩い繋がりもあります。私も育児の愚痴を吐きたい、1人で考え込むのが辛い、そういった理由で親の会にアクセスしたことが、あります。ところが、当初の期待もむなしく、わずか半年足らずで退会してしまうことに。今回は、その経緯と大規模な「親の会」の持つ特質について書きたいと思います。大きな親の会ならではのメリット出典 : 私が入会したのは、県に住む発達障害児の親すべてを対象にした、親の会でした。親の会といっても、きちんとしたNPO団体です。ここを選んだ理由は、大きな組織の方が、いろいろな特性のお子さんを持つ、親御さんと話ができるだろう、という理由でした。確かに「お話し会」のようなものは、頻繁に開催されていて、県のあちこちから集まってきた会員の皆さんから、有意義な話をたくさん聞かせて頂くことができました。また専門家の講演会や、発達障害関連の映画上映会なども、月に1,2回のペースで開催していました。こうした大きなイベントは、どれも参考になるもので、滅多にお話しを伺うことのできないような、専門家の方のお話も、たくさん聞くことができました。イベントだけにとどまらない、大規模さは運営にも出典 : この大規模な会では、会員それぞれが役割を担って運営しています。広報、会計、ゲストの送迎、弁当の注文、場所の確保など、イベントを開催するとなると、ここには書ききれないほど沢山の、運営業務が発生します。何をするにも決めごとや議論となると、運営からメールが膨大に届きます。気付くと、私のメールボックスは運営からのメールで、びっしり埋めつくされていました。大きな組織は、それだけ運営にも人やエネルギーが必要だ、ということを私は後になって、知ったのです。どれだけメリットがあろうと、その場所が自分には合わない場合も出典 : メールを開くたび、本部からのメールがズラッと数10通も並ぶ日々。私は次第に、メールボックスを開くのが億劫になってきました。さらに、月1回行われる定例会のレジュメ作りや、勉強会の資料作り、年度終わりになると今度は総会の運営と、ちょっとした会社に勤めているかのような、仕事量が降りかかってきます。結局、会の運営業務が完全に、自分のキャパシティを超えてしまい、私は退会しました。今は、同じ発達障害児を持つ、仲良しのママさんたちと、少人数で緩く食事会を開催したりしています。私にはそのような形態のほうが合っていたようです。上手に使いわけたい親の会出典 : 大変だったことばかり書きましたが、大きな親の会では、仲間内のおしゃべりでは決して得られないような、専門的な情報を、得ることができます。これは、親の会の最大の強みだと思います。また、大きな組織では、加入者の年齢も様々です。小学校のママ友では、同年齢の子どもを持つ親たちが中心に、集まりますが、大きな組織では思春期の子どもや、成人した発達障害当事者の話を聞くことができます。航海図のない育児だからこそ、これはとても貴重なことだと思います。入会する前に親の会の特質をよく調査し、・自分が親の会に何を求めているのか?・組織運営のための活動は何があるのか・自分は運営活動にどこまで時間を割けるかを、まずはよく考えてみると良いかもしれません。
2016年09月03日夏休みが明けると、突然「学校に行きたくない」と言いだす子どもが増えているそうです。「ただのわがまま」と聞きながしてしまっていいものなのか、判断が難しいところですよね。エキサイトお悩み相談室の 山口愛乃(やまぐちあいの)先生 によると、子どもが「学校に行きたくない!」と言った場合、親が気をつけなければならない3つのことがあるのだとか。夏休みが明けて、「子どもの様子がおかしい」と思ったら、チェックしてみてくださいね。■「学校に行きたくない」と言いだす子どもの兆候友だちとうまくいっていない。いじめを受けている、孤立しがちで疎外感を感じている。授業(体育も含む)についていけていない。先天的な要素(容姿・話し方・考え方など)や、外的環境(家庭の貧富・兄弟・親の職業など)が原因でからかわれている。■子どもへの接し方のポイント3つ1.「子ども」としてではなく、「一人の人間」として接する 子どもは親が考えているよりもずっと、いろんなことを考えています。親に気をつかい、親をよく見ています。「こんなことを言ったら失望される(嫌われる)んじゃないか」「理由を話したら、ママ(パパ)や兄弟を傷つけてしまうのではないか」「疲れているのに、心配かけたくない」など、言いだせない理由はさまざまです。体は小さくとも、自分なりの頭で考え悩んでいる、意思をもった立派な人間です。まずはお子さんが勇気をふり絞って口にした「行きたくない」という言葉を受けとめてあげてください。その後で、お子さんなりの考えを冷静に聞いてあげてほしいのです。2.感情的な態度を取らない知恵や人生経験、経済力といった「武器」を持ち、「自分で選んだ職場」に就職した大人であっても、その環境に慣れ、やりがいを見つけ、自分の居場所だと感じられるようになるまでいろんな思いをするでしょう。一方、子どもはそういった武器を何ひとつ持ちあわせていません。多くの子どもは「居住エリアの学区内指定校」もしくは「親に決められた学校」に通っています。年齢的に、学力・運動能力・体の成長度にも大きな個人差があります。そのような状況下や与えられたコミュニティのなかで協調してやっていける子ばかりではありません。心からお子さんの悩みを一緒に解決したいと望むのなら、大親友の悩みに耳を傾けるように、話を聞いてあげましょう。話が終わるまで遮らず、否定せず、感情的な態度を取らずにじっくり、真っすぐに向きあってみてください。3.子どもが相談しやすい関係性をつくるお子さんが話し終わったら、まずは「痛み」に共感してあげましょう。「そんなことがあって、そんなふうに感じたのね。つらかったね、苦しかったね、よくがんばったね」というように。その過程があるかないかで、お子さんの心の開き方は大きく変わってきます。しかし、「味方であること」と「過保護なこと」は、まったくちがいます。「これからどう(解決)したいか」をたずね、お子さんの考える力を育て、尊重しつつ、話し合いましょう。正しい主張は認めて、褒めてあげましょう。まちがった主張(わがまま)は、「何がおかしいのか」をきちんと伝え、もう一度考える機会を与えます。この場で全部を一気に解決しようとせず、悩み(問題)に優先順位をつけて、一つひとつ一緒に解決していこうという気持ちで、お子さんの心が落ちつくまで付きあってあげてください。話しあった結果、当面の対処法が決まったら、これからのことです。「これからもいろいろあるだろうけれど、ひとりで抱えこまないで、またこうやって一緒に考えようね」「いつだって味方はここにいるんだからね」という言葉を添えてみてください。子どもと向きあい、理解しあえることがとても大切です。「学校に行きたくない」なんて、ママからすればとても衝撃的な言葉だけれど、よりよい親子関係を築ける機会でもあります。それでも不安が募るようなら、悩みの根が深くなってしまう前にプロに相談をしてくださいね。・取材協力:エキサイトお悩み相談室 山口愛乃(やまぐちあいの)先生
2016年08月25日「よその子をどう扱うべきか?」と、迷っているママは多いはず。これをこじらせてしまうと、子と子、親と親、はたまた親と子に至るまで、あらゆる関係がガタついてしまうので要注意です。そうした事態を避けるためにも、実際の失敗談を交えながら、ベストな方法を探っていきます。よその子を叱ってみたら…目の前で子どもが悪いことをしたとき、わが子なら叱るのは当然のこと。でもそれが、よりにもよって他人の子どもだったら…。見てみぬフリすべきか否か、迷ってしまうママたちは多いはず。わが子だろうとよその子だろうと、悪いことをしたらしっかり叱ってあげるのが大人の愛情。でも現実は、なかなか難しそうです。ママたちの経験談を紹介します。「あまり深く考えずにいつもどおり注意したら、泣きながらママのもとへ。何となく私が悪者となってしまい、『ごめんね』と謝るハメに」(30代後半)「すごい形相でにらまれた。二度と叱るまいと心に決めた」(20代後半)「わが子がよそのママに叱られたとき、正直、あまりいい気がしなかった。だから私も、見て見ぬフリ。ママ同士の関係がこじれると厄介だから」(30代前半)「一度注意したらそれ以降、私のところに近づいてこなくなった。そのせいか、子ども同士も遊ばなくなったような」(30代前半)「我が子とよその子、2人とも叱らなきゃならないとき、何となく気が引けてしまい、わが子だけを見せしめのように強く怒ってしまった。息子は『どうして僕だけなの?』と、納得のいかない様子だった」(30代後半)上手な叱り方とは?とは言えやはり、ダメなことはダメ! わが子同様、よその子にだってきちんと正しいことを教えてあげましょう。その際に気をつけるべきことは何か? よその子との上手な関わり方を先輩ママに聞いてみました。・長々と説教しない。わかりやすい言葉でズバッと言うこと。・やってしまった瞬間に注意する。時間をおいても伝わらない。・声を荒げて、不安や恐怖を与えないこと。・叱ったあとはガラリと表情を変え、にこやかに対応。・目をジッと見つめない。威嚇にならないよう視線は微妙にそらす。叱る際、どうしても相手のママの存在が気になってしまうもの。でも、そこを意識してしまっては、すべてが中途半端になってしまうので、子どもにのみ気持ちを集中させること。その後、相手のママと微妙な空気になっても気づかぬふり。何事もなかったかのように愛想よく振る舞っていれば、わだかまりは残らないそうです。まずは信頼される大人になろう!親ならまだしもよその大人に叱られると、バツの悪さと恥ずかしさと恐ろしさと。さまざまな感情がないまぜになって、混乱してしまう子どもたち。でも、そうした経験が反省や自制を促し、幼い心を大きく成長させるのです。ただ、子どもは何でもお見とおしがち。説得力に欠ける信用ならない大人から注意を受けても、それが心に響くことはありません。子どもと真剣に向き合いたいならまず、大人が変わること。まっすぐ一本、筋のとおったブレない姿勢こそが、子どもたちを動かします。
2016年08月25日こんにちは、海外在住プロママライターのさとうあきこです。老人医療に優れている長寿国の日本だけあって、ありがたいことに、親世代が元気に長生きして、子や孫世代を助けてさえくれる世の中です。でも、確実に自分よりも年上である親。今は元気でもいつかは介護を必要とするようになるかもしれません。親に日々の生活があるように、子にも孫にもそれぞれの大切な生活があります。「いざ、同居を!」となったとき、「よし来た!」と直ちに同居介護ができるとは限りません。そこで、親世代に介護が必要になったときの現実的な対処法、親や周囲からのプレッシャー、自分自身が後悔しないために持っておくべき心構えについて考えてみましょう。●「絶対必要な介護/あったらいいなの介護」「できること/できないこと」の区別介護が必要な側には「こうしてほしい」があり、介護する側にも「こうしてあげたい」があります。ただ、介護する側にはできないこともあるのが現実です。介護する側は、介護される側を弱者と考えるために思いを口に出しにくく、介護される側はそれに気づくことができません。こうして、互いの関係がギクシャクしてしまうのもまた現実なのです。だからといって、ウヤムヤな気持ちのままでスタートを切ると、後になって「こんなはずじゃなかった」と苦しむことになるかもしれません。親子であっても、そこに無理があれば関係は破綻してしまうのです。介護というこれまでとは違った形で親に向き合う必要ができたそのときには、2つのことを熟慮する必要があります。それが、「絶対必要な介護/あったらいいなの介護」「できること/できないこと」の区別 です。●“ベスト”ではなく“ベター”の介護で、親も自分も周囲も納得もちろんベストを尽くせるのが理想でしょう。でも、親の生活を守るために自分の生活を犠牲にすれば、どこかにひずみが現れてくるものです。そんなとき、できる限りの“ベター”な行動をとろうとすることが、双方のストレスを減少させてくれます。「なんでもやってあげるよ」ではなく「これならできるよ」という介護姿勢 です。そして、それをはっきりと口に出してから行動しましょう。親としては自分の希望の一部がかなえられ、子である自分もできる範囲でベターな介護ができます。それを見守っている周囲も介護され介護する様子に安心感を抱きます●“ベター”な介護をどうやって導き出すかベターな介護は、「絶対必要な介護/あったらいいなの介護」「できること/できないこと」を整理することで見えてきます。ただ、これを考えるとき、親と自分の自己都合だけではなく、医師やケアマネージャーなどの専門家、得られると思われる公的な補助内容、ほかの家族の協力などから総合的に判断する必要があります。介護する側は、まず公的機関に問い合わせたり、ネットなどで調査したりすることで、十分な情報を集めましょう。ただ、重要なのは、当事者と関係者らが集まってそれについて話し合い、自分たちにとっての“ベター”な介護の形をみんなで作ること です。また、このベターな介護は刻々と変化していきます。定期的に見直す必要があることも、その場の全員で確認しておきましょう。●まとめなんでもしてあげたい気持ちがあったとしても、逆に何もしたくないと思っていたとしても、そのときに“自分にできることの範囲” をきっちりさせておくことがとても大切です。ただ、分かってはいても、それを口にすることで、悲しませたり批判を受けたりするのではないかと腰が引けてしまうこともあります。でも、それを飲みこんで介護を続ければ、「もっともっと」と求められて追い詰められ、自分の生活を少なからず犠牲にして頑張っても認めてもらえないことに苦しむことになりかねません。介護は人間の欲と似ています。今求めていることがかなっても、必ず「もっと」が現れます。だからこそ、ずっと先にあるベストやパーフェクトを目指すよりも自分のベターを心がける方が、近くの満足をみんなが感じられる介護を実現しやすいのです。【参考リンク】・超高齢社会における介護問題 | リサーチ | 大和総研グループ()●ライター/さとうあきこ(海外在住プロママライター)
2016年07月03日親なら誰でも、自分の子どもには「賢い子」に育ってほしいと思うもの。他のママたちと話していると、「うちの子も早く習い事をさせなきゃ」などと焦ったりすることもあるかもしれません。『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える 「賢い子」に育てる究極のコツ』(瀧靖之著、文響社)では、脳医学者の著者が最先端の脳研究から「賢い子」を育てるためのコツが紹介されています。著者自身も子育て中ということで、より実践的な内容になっているのが特徴。今回は本書のなかから、子どもの好奇心を育てる3つの道具をご紹介します。■1:5歳までに「図鑑」を読む習慣をつける著者が学生のころ行った調査によると、「小学生のころから勉強ができて、そのまま成績が伸び続けた子」は、幼少時から図鑑をよく読んでいたという共通点があることがわかったそうです。3、4歳までに図鑑を与えると、子どもの好奇心をぐんぐん伸ばすことができるというのです。「字が読めるか読めないかという時期では早すぎるのでは?」と思う人もいるかもしれません。でも、この時期をすぎると子ども自身で「好き・嫌い」を判断するようになり、せっかく図鑑を与えても「嫌い」と判断されてしまうかもしれないのです。幼いころから図鑑に親しんでいると、学校に通い始めても勉強へのハードルが低くなります。たとえば早くから魚の図鑑を見ていれば、理科の授業で「魚はエラ呼吸で……」といきなり説明されても、「エラは図鑑で見たことがあるぞ」と理解できるでしょう。このような経験を通じて子どもは「自分は勉強が得意」「学校が好き」という気持ちを育んでいくのです。しかも、図鑑は脳への刺激にも効果的。文字を読む時には「言語野」と呼ばれる部分が活性化しますが、図鑑には必ず写真やイラストがあるので、図形認識や空間認知など複数の脳の領域を活性化できるというのです。子どもが図鑑に親しむためには、「親も図鑑が好きだ」という姿勢を見せること。そうしているうちに子どもも真似して図鑑を読むようになります。毎日10分でも20分でも図鑑を読むことを習慣にしてみてください。■2:「虫取り網」でリアルな体験をする図鑑で興味を持ったものを、実物で見たり体験したりする。道端で咲いている花を見て、図鑑で同じものを見てみる。そうやって「バーチャルの知識」と「リアルな体験」が結びつくと、子どもは「知ること」が楽しくなり、脳も成長していくそうです。子どもが昆虫に興味を持ったら、虫取り網で捕まえる。魚が好きなら釣竿を与えて釣りに出かける。星が好きなら望遠鏡を与える。そんなふうに図鑑と現実をつなぐ道具を探してみましょう。また、親がわからないことなら「どうしてこうなっているんだろうね」と子どもに聞いてみるだけでも子どもの好奇心が刺激され、後になって「この間のアレ、図鑑で見たよ!」と話してくるかもしれません。「子どもに知識をつけさせよう」というより、「家族みんなで楽しもう」という姿勢を大切にしましょう。■3:3歳頃に「楽器」を習うと言葉の発達に効果的子どもにどんな習い事をさせようかと迷っている人もいるかもしれませんが、3歳ごろからの習い事としては、ピアノなどの楽器がおすすめだとか。2015年に大手電機メーカーが行った調査によると、「東大をはじめとする国内難関大学生の約半数は、ピアノを習ったことがある」という結果が出たそうです。もちろんピアノを習えば東大に入れるというわけではありませんが、ピアノを演奏することで脳の発達が進む可能性が期待できます。それに、脳内の音を司る領域と言語を司る領域はほぼ重なっているため、言葉の発達の時期である3、4歳の頃に楽器を演奏することでよい刺激になり、将来的には外国語の習得にも有利に働く可能性もあるのです。赤ちゃんの頃から楽器に触れさせ、そこから音に興味を持たせるのが理想ですが、もし親がピアノなどを演奏できるなら、子どもの前で弾いてみてください。楽器に興味のなかった子どもも真似をするようになるでしょう。音楽は一生を通して楽しめ、人生を豊かにしてくれるもの。家族みんなで楽しむことができれば、親子ともに脳にいい効果が望めます。*ただ子どもに一方的に知識を押しつけようとするのではなく、親も一緒に楽しみ、サポートしていく姿勢が大切なんですね。そのなかから、親子の会話やコミュニケーションも増えていくのではないでしょうか。子育て中の方はぜひ生活の中に3つの道具を取り入れてみてください。(文/平野鞠) 【参考】※瀧靖之(2016)『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える 「賢い子」に育てる究極のコツ』文響社
2016年05月21日「夢はオリンピック選手!」とはいわないまでも、かけっこや逆上がり、でんぐり返しなどなど、親としてはせめて小学校で習うことがスムーズにできるようにサポートしてあげたいですよね。子ども1人ひとりの運動能力をアップさせるためには、小さなころからさまざまな刺激を与えてあげることがよいとされています。特に運動神経に関係が深いとされているのは脳の神経系統なのだとか。その成長は12歳ごろまでに100%に達してしまうため、それ以降の向上は難しいとされているようです。では、「運動のできる子」にしたいとき、親はどんなサポートができるのでしょうか?■赤ちゃん時代から刺激のある毎日を抱っこが多い赤ちゃんの時期は「気持ちいいなぁ」「楽しいなぁ」と赤ちゃんが感じそうなことを積極的におこないましょう。季節に応じた草花とふれあったり、一緒にベビー体操を楽しんだり、絵本を読んだり、手先を使うおもちゃを与えてみたり…。そうすることで興味の対象がどんどん広がっていくようです。■幼児期は自分の体を使い、いろんな動きを歩けるようになれば、できる動作も増えることでしょう。走ったり、ジャンプしたり、踊ったり…。遊びながらそれぞれ異なる体の動きをすることで「どう体を動かせば楽しめるのか」が分かるようになり、動きに対するコントロールもできるようになります。ここでも子ども本人が「楽しそう」であることに注目し、過剰な制限を設けることなく自由に遊ばせてあげましょう。■ルールや道具を使った遊びと基礎的な動き友だちとルールにそった遊びができるようになってくる時期は、好きなスポーツができる子もいるかもしれません。それでもひとつのスポーツに集中することなく、ボールやフリスビー、自転車やスケートボードなど道具も交えていろんなスポーツを楽しみましょう。この時期は体の動きに加えて、協力して遊べる力も身に付きます。■12歳まではいろんなスポーツに挑戦させて小学校に入学して勉強に遊びにと忙しくなってくると、本人の意思を尊重して「好きなスポーツだけ」に特化させてしまいがちですが、12歳になるまでは、なるべくいろいろなスポーツを挑戦、経験をさせましょう。習い事をしている場合は、それとは別に休日に家族でプールに行ったり、アスレチックのある公園や施設に出かけたりするのもおすすめです。ひとつのスポーツだけの動きではなく、さまざまな動きの基礎を12歳までに体験させることで、他のスポーツへの応用も比較的楽にできるようになるでしょう。大事なことは、子どもみずから「やりたい!」と思ってもらうことです。そのためには親が楽しそうにやってみせるのもいいですね。また「そんなこともできないの?」とできないことに目を向けるのではなく「ここをこうすれば次は必ずできるよ!」とポジティブな声がけを心がけましょう。「早めに得意そうなスポーツを…」と気持ちが急いてしまいますが、12歳までは基礎の準備段階。こうした動きをきちんと経験させておけば、きっとほかのスポーツでも役立つときがくるはずです。
2016年05月08日親は子に、「自立した大人になって、社会に貢献してほしい」と願うもの。でも、毎日子どもと接するなかで、知らず知らずのうちに子どもの芽を摘み取ってしまっているとしたら?子どもたちに向けて、生きる力をはぐくむキャリア教育を提供している「NPO法人キーパーソン21」代表理事、朝山あつこさんに話を聞きました。キャリア教育とは、わくわくできる生き方を応援すること3人の男の子を育てた朝山さんにキーパーソン21を立ちあげた経緯を聞きました。「長男が通う中学校で学級崩壊が起こりました。子どもたちが無気力だったり暴れたりする様子を見て、子どもたちがわくわくと主体的に生きていくには、どうしたらいいだろう?と考えました。日本中の子どもたちと社会のために、学校教育とは違う方法で子どもたちにアプローチしようと決意し、2000年にキーパーソン21を立ちあげました。キーパーソン21では、自分の好きなもの・大切なものが世の中の仕事とつながっていることに気づかせ、子どもたちの主体性を引き出す<夢!自分!発見プログラム!>を開発。学校や教育施設で、35000人近くの子どもたちに向き合い、好きなことを職業意識に結びつけ、自信を持たせる活動をしてきました。キーパーソン21が掲げるキャリア教育の理念は、大切なのは、なりたい職業を探すことだけではないということ。キャリア教育というと、大人はすぐに、将来よい職業につくための教育という発想になりますが、それだけではなく、子どもが何が好きなのか、どう生きたいのか、何なら一生懸命がんばれるのかを見つける応援をすることです。自分は、どんなことにわくわくできるのかという本質がわかれば、特定の職業につくことだけに縛られず、より広い意味での自分の夢や生き方を発見できます」「○○が好き」の裏に潜む子どもの本質を見極めよう朝山さんは親があることを心がけるだけで、日常生活のなかで、子どもの”好き”の本質を見極めることができると言います。そのあることとは、子どもが何かに夢中になっているときに、なぜ”○○が好き”なのかをひも解くこと。「たとえば、子どもが野球が好きという場合、大人が安易に言いがちなのが『野球選手になればいいね!』という一言。でも、野球選手になれる人はほんのわずかです。子どもたちは、野球選手にはなれないと知った時点で、挫折感を味わうだけ。ここで、なぜ野球が好きなのか?に着眼することができれば、可能性がぐっと広がります。実は”好き”の理由はさまざま。”好き”のキーワードは、<野球>という名詞かもしれませんし、<チームで>という形容動詞かもしれないし、<上達を感じる>という動詞かもしれません。つまり同じ野球でも、A君は<作戦や戦略を立てることが好き>、B君は<チームのために役立つことが好き>、C君は<素振りなどで日々の上達を感じることが好き>ということかもしれません。親がそれを感じることができれば、たとえばA君には家族旅行の計画を考える機会をあげる、B君にはお手伝いをしてもらう、C君には毎日の上達がわかるグラフを作ってあげるなど、わくわくする機会を与えて、自信をつけてあげればいいのです。自分はチームプレーが好きだと気づき自信がついた子は、将来職業を選択する際に、チームでプロジェクトを作っていくような職業を幅広く視野に入れることができます。親が、子どもの”○○が好き”に潜む理由をキャッチする力を備えているか、広い可能性を感じてあげられるか、それが子どもを伸ばせるかを左右するのです」多様な仕事や生き方があることを伝えよう「さらに親ができることとして、子どもが小さいうちから、多様な価値観や生き方、仕事があることを伝えることです。たとえば上の例では、3人に共通するキーワードとして野球があります。野球が好きな子には、選手になる以外にも野球に関わる仕事はたくさんあるという可能性を示してあげることで、子どもたち一人ひとりが自分なりの夢を持つことができます。キーパーソン21でも、<夢!自分!発見プログラム!>の一貫として、さまざまな仕事で活躍する大人が、自分の人生や仕事について語る、<おもしろい仕事人がやってくる!>というプログラムを提供しています。子どもたちからは『今をがんばることで、未来につながっていくことがわかった』『大人になるのもおもしろいかなと思った』などの感想が寄せられています」子どもは親とは別の人間。親も自立する準備を最後に、朝山さんからママ達にメッセージをいただきました。「子どもはいつか親から自立し、言う通りにはならなくなるものです。親は小さいうちからそのことを覚悟し、子どもは自分とは違う人間なのだと意識しておくことが必要です。子どもが自立する時期は、親が第二の人生を考える時期とも重なりますが、くれぐれも子どもを追いかけることがないように(笑)。子どもの自立が怖いのであれば、その気持ちを認め、どうして怖いのか考えてみること。すると、子どもを自分とは違う一人の人間として見ていなかったということに気づくと思います。子どもの自立はさみしい面もありますが、一人の人間として成長した子どもが、どんな考えを持ち、どんな仕事をする大人になるのか、幼い頃とは違う楽しみがあります。今はお子さんを信じて、幸せな時間を存分に楽しんでほしいと思います。どんな子にも、わくわくする未来があるのですから」朝山さんの話を聞いていて、じんわり心に響くものがありました。子どもの職業選択に関して、親は勝手な夢を描きがちですが、子どもがわくわくする人生を選ぶ姿を、わくわくと見守れる親になりたいですね。取材協力:認定NPO法人キーパーソン21<文:フリーランス記者鯰美紀>
2016年03月31日私は、子育てのカウンセリングをして、30年になります。その中で、もっとも多いと感じるのが、「私は、自分の子どもがかわいいと思えません。だめな親なんでしょうか」という相談です。子どもを愛せないことに罪悪感を持つ母親は多いとりわけ、「下の子が生まれてから、上の子をかわいいと思えなくなりました。どうしても上の子をきつく叱ってしまうんです」とか、「息子のことはかわいいのですが、娘のことがかわいいと思えません。つい厳しくしてしまいます。愛情不足の子に育ってしまわないか心配です」といった相談が少なくありません。いずれの場合も、どちらも自分の子なのに、一方の子は愛せるのに、もう一方の子は愛せないことに罪の意識を抱いているのです。では、一人っ子の親はどうでしょう。きょうだいを持つ母親と同様に「私は自分の子どもがかわいいと思えません。親失格なのでしょうか」と訴えます。そして、自分を責め、涙を流すのです。完全な親なんてどこにもいない私は、こうした相談を聞いた後、こう伝えることが多いです。「そうですか。自分の子どもだから、愛したいし、愛さなくてははらないと思っている。自分の子どもだったらかわいくて仕方ないのが当たり前なのに、そう思えない。そんな自分はおかしいのではないか。だめな親なのではないか。そう思っているんですね。そして自分を責めて苦しんでおられるんですね。でも、そんなことないですよ。自分の子どもをかわいいと思えない人は、たくさんいます。そして、それは自然な感情です。完全な親なんて、どこにもいません。かわいいと思えなくても、いいのです。無理して、かわいいと思わなくては、と、自分を追い詰めると、どんどん苦しくなってきます。ストレスも溜まります。そして、自分の中に、溜め込んだ気持ちが爆発するとキレてしまい、子どもに、『あんたはどうしてそうなの!』と八つ当たりしてしまう方が多いのです」いいも悪いも、自然に湧いてくる感情を受け入れるしかない「かわいいと思えない子どものことを、無理にかわいいと思おうとする必要はありません。かわいくないものは、かわいくない。仕方ないのです。そして、下の子に比べて、上の子はかわいいと思えない場合も、かわいいと思えないなら思えないなりに、親としてできるだけ大切に育てていこう。そんなつもりで、無理せずやっていかれてはどうでしょうか」そう言います。実際、子どもに手をあげてしまっている親御さんには、真面目すぎるがゆえに、「自分の子をかわいいと思えない自分を責めてイライラし、気づいたら子どもをぶってしまっていた。もしかすると私のしていることは、虐待の一歩手前ではないか」と、ハッとしてカウンセリングに相談にきた、という方が少なくありません。あえてハッキリ言いますが、子どもをかわいいと思える親もいれば、かわいいとは思えない親もいます。きょうだいのどちらかしか、かわいいと思えない親もたくさんいます。そして、それでいいのです。いいも悪いも、それが自然に湧いてくる感情なのであれば、それを受け入れるしかないのです。そして、子どものことをあまりかわいいと思えないならば、その気持ちはそのままにしながら、親としてするべきことは、きちんと分け隔てなくしていけばいいのです。「自分の子どもならば、かわいいと思えるはず」というのは、ただの迷信です。事実では、ありません。かわいいと思えないなら、かわいいと思えないからこそ、差別やえこひいきにならないように、自分の子どもへの言動に注意すればよいのです。「かわいいと思えないなら思えないまま、それでも、親としての務めはきちんと果たしていく」そんな、無理のないスタンスで、わが子に関わっていくのがおすすめです。(諸富祥彦)
2015年12月20日