約400年前の戯曲ながら、今なお世界中で上演されているシェイクスピア作品。なぜこんなに愛され続けているのか。まさに今シェイクスピア劇に向き合う岡本健一さん、浦井健治さんの対談と、数々のシェイクスピア作品から魅力を探る。2009年に新国立劇場で鵜山仁さん演出により一挙上演された『ヘンリー六世』三部作。三部を通すと上演時間全9時間にものぼる超大作に出演していた岡本健一さんと浦井健治さんのふたり。そこを皮切りに、『リチャード三世』『ヘンリー四世』『ヘンリー五世』『リチャード二世』など、鵜山演出のシェイクスピア作品の数々に共に出演してきた。そしてこのたび出演するのは、「シェイクスピア、ダークコメディ交互上演」と称しておこなわれる、『尺には尺を』と『終わりよければすべてよし』という2作の交互上演。岡本健一(以下、岡本):過去に鵜山さんともっと大変な企画をやったから、今回の交互上演くらいでは驚きはなかったな。浦井健治(以下、浦井):確かに(笑)。ただ、これまでのような歴史劇じゃなく、シェイクスピア作品の中でも問題作といわれるダークコメディ。どっちもベッドトリック(相手を騙して違う人にベッドの相手をさせる罠)があったり、似たテイストの物語だから、ちょっと…というか結構混乱しますよね。岡本:これまでは歴史劇で戦争ばかりしていたけれど、今回はそういう争いごとは全然ないし、女性を主体とした物語というのも初めてだし。今の時代に、自分たちがこの話をやることに意味がある気はしてて。浦井:どちらの作品も、女性がすごく戦略家なんですよね。岡本:女優陣と話してると、男性側と女性側で全然作品の捉え方が違っているのが興味深いなと。――『尺には尺を』は、公爵の代理でウィーンの統治を任されたアンジェロが、婚姻前に男女の性交渉を禁じる姦淫罪でクローディオに死刑の判決を下したことから起こる物語。そして『終わりよければすべてよし』は、伯爵夫人の息子・バートラムに想いを寄せるが彼に結婚を拒否された侍女のヘレナが一計を案じる物語。岡本:『尺には尺を』とか、登場人物がみんなひどい人たちだよね。浦井:全員ひどいです。岡本:公爵が人に統治を押し付けるとかありえないでしょ(笑)。ただ、法律っていうものをちゃんと見直さなきゃいけないのかもしれないというのは、この作品で思ったかな。あと、ひとりの女性との出会いで、こんなに人間の思想が変わるんだっていうことの面白さとか。浦井:僕が演じるクローディオ側の目線で言うと、政治とか権力側の意向で人間の生死が決まるっていうのが不条理ですよね。クローディオのセリフに「生きようと願うことが死を招くことであり、死を求めることに生があると覚悟しています」っていうのがあるんですけど…。岡本:えっ今の、もう一回言って。浦井:(笑いながら復唱して)死に立ち向かうことが生きることに繋がるって、他のことにも置き換えられる気がするんです。大変なときこそ成長のチャンスというか。生きる意味を考えさせてくれる話だなと。もう片方もまた、生きることの意味をみんなで見つけていくような作品ですけど、こっちのほうがもっと体当たりな感じはありますよね。岡本:『終わりよければすべてよし』で自分が演じる王は衰弱して死の間際なんだけれど、ひとりの女性との出会いで元気になる。一応、薬が効いたってことなんだけど、人間の生きようとするエネルギーがそうさせたと思ってるんだよね。まさに「終わりよければすべてよし」って思うことで、物事が前に向いていくことってある気がして。そう思ってもらえる作品にできたらいいなと。――演出の鵜山さんをはじめ共演者も、これまでシェイクスピアシリーズを一緒に作ってきた面々ばかり。岡本:10年以上、ほぼ同じカンパニーでやってきてるけど、それがすべて鵜山さんの頭の中から始まってるんだと思うとすごいよね。浦井:今回ご一緒してあらためて感じたのは、それぞれの人に寄り添って、その人が理解しやすい言葉を選んで話してくれているんですよね。岡本:人それぞれに説明の仕方が違って、俺には擬音ばっかり(笑)。浦井:僕は『ヘンリー六世』三部作が初めてのシェイクスピアだったんですよね。それまでセリフ劇的なことをあまりやったことがない中、周りは劇団を背負ってこられたような方ばかりで、そのときは、稽古場で毎日自分の不甲斐なさばかりを実感させられる日々でした。岡本:それ、全然楽しくないじゃん。浦井:でもその心理状態が、そのときに演じた役とリンクできた部分はあったんです。鵜山さんからは、役と一緒に道を歩んでいるようなイメージでセリフを体感しながら言って、と言われていて。実際、役の血が体の中に流れているかのようにセリフを言っている諸先輩方と、何作品もご一緒させていただいて学んだことも大きいですし。岡本:ここでご一緒している年配のみなさん、本当にすごいからね。シェイクスピアうんぬんていう次元じゃなく、セリフが話し言葉としてスッと入ってくる。それを見て自分もあそこに追いつこうってなるし、無言の教えがいっぱいあるからね。最初の頃、この人たちに役者として認められたい、認められるにはどうしたらいいだろうってすごく考えてた。俺としては、シェイクスピアだとか話がどうとかは置いといて、このすごい俳優さんたちが頑張っていて、それだけでも感動するから観に来たほうがいいよって思ってるくらい。高尚な劇じゃないよということは言っておきたい。――数々のシェイクスピア作品を経験してきたおふたりに、あらためてシェイクスピアの面白さを聞いた。岡本:いつも言うんだけど、シェイクスピアの戯曲って劇場で演じるために書かれてるから、本を読んだだけじゃ面白くないんだよね。人の声を通してようやく面白さがわかる。浦井:僕もシェイクスピア劇に対して、セリフが難しいってイメージを持っていたんです。でも、実際にそれぞれのキャラクターを理解して聞くと、そんなこともなくて。岡本:劇場で体感して、ようやくその魅力がわかるんだと思う。なんでこんな400年も前の作品を日本で上演するんだろうって思うけど、やってみると、今の自分たちとか今の日本の社会とかに通じるものが、そこに書かれていて、そこにちゃんとメッセージがあるんだよね。今回の舞台も、観に来たお客さんの中に、きっと似たような物語があるし、共鳴する登場人物があると思うし。浦井:イギリスのストラトフォード=アポン=エイヴォン(シェイクスピアの故郷)に行ったときに、街にシェイクスピア作品の登場人物の銅像が立っていたんです。それを見て“人気キャラ”なんだなと思ったんです。人間の中身とか関係性をわかりやすく分類してキャラクターとして描いているから、誰もが自分や周りの人に置き換えて物語を身近に見られるのかなって。しかもそれが未来への教訓にもなる。岡本:政治家こそ観たほうがいいよね。それこそ国のつくり方とか、国を統治する成功例も失敗例もたくさん描かれているから。浦井:シェイクスピア劇っていうと高尚なイメージがありますけど、人間の普遍的なことを、国だったり恋愛だったりに置き換えて面白おかしく書いたものなのかなっていう気がしています。岡本:それを高尚なものとしてやろうとすると、退屈な芝居になるんだよ(笑)。このカンパニーは、壮大なセリフをどうしたら自分たちの生きた言葉として生々しくしゃべるかってことを考えてる人ばかりだから。新国立劇場だから格式高い印象があるかもしれないけど、高尚な劇じゃないよってことは言っておきたいな。シェイクスピア人間の本質をついたセリフの数々が時代を超えて愛される。16世紀後半から17世紀初頭に活躍したイギリス出身の劇作家で詩人。シェイクスピア作として現存する戯曲は全37作品にのぼる。歴史劇、悲劇、喜劇と、そのジャンルは多岐にわたり、現在に至るまで世界各地で上演されている。その多くは古くから残る説話や歴史文献が題材となっているが、物事の本質をついたセリフなどが時代を超えて評価されている。シェイクスピア、ダークコメディ交互上演『尺には尺を』『終わりよければすべてよし』10月18日(水)~11月19日(日)新国立劇場 中劇場作/ウィリアム・シェイクスピア翻訳/小田島雄志演出/鵜山仁出演/岡本健一、浦井健治、中嶋朋子、ソニン、立川三貴、吉村直、木下浩之、那須佐代子、勝部演之、小長谷勝彦、下総源太朗、清原達之、藤木久美子、川辺邦弘、亀田佳明、永田江里、内藤裕志、須藤瑞己、福士永大S席8800円A席6600円B席3300円2作品通し券(S席のみ)1万5800円当日発売のZ席1650円のほか高齢者割引(65歳以上)、学生割引、ジュニア割引(小中学生)、障がい者割引などあり新国立劇場ボックスオフィス TEL:03・5352・9999岡本健一さん(写真右)1969年5月21日生まれ、東京都出身。俳優として舞台で精力的に活動し、これまでに数々の演劇賞を受賞。また、音楽活動もおこなっており、所属するRockon Social Clubの2ndアルバムのリリースも控える。浦井健治さん(写真左)1981年8月6日生まれ、東京都出身。主にミュージカル、ストレートプレイで活躍。来年3月、ミュージカル『カム フロム アウェイ』が控える。発売中の3rdアルバム『VARIOUS』のタイトルを冠したライブDVDが10月18日発売。※『anan』2023年10月4日号より。写真・小笠原真紀構成、取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年09月30日新作の制作が発表されるたびに、主演が誰なのか、大きな話題を集める朝ドラ。10月2日スタートの『ブギウギ』で、ヒロインを演じるのは趣里さん。「決まった時の反応は、『まさか、そんなはずはない』と、一回携帯を置きました(笑)。だんだんと実感が湧いてくると、嬉しさと同時に身が引き締まる思いでした。『朝ドラのヒロインは大変』と聞いてましたけど、実際その通りです(笑)。でも、各部署のスタッフのみなさんも大変なのに、『やってやろう!』という心意気がすごく伝わってきて。これは、朝ドラの現場が代々受け継いできた伝統だと思うんです。そうしたみんなの熱い想いで作られてきたからこそ、長く愛されてきたのかなって」ヒロイン・花田鈴子のモデルは、日本芸能史に燦然と輝く大スター・笠置(かさぎ)シヅ子さん。スタンドマイクの前に立ち、体を動かさずにバラードを歌うことが当たり前だった時代に、笠置さんは躍動的に踊りながら歌うスタイルで一世を風靡した。その人を演じるということは、芝居に加え、歌や踊りも避けられない。本格的にバレエを習っていた趣里さんに、ダンスの素地はあるけれど、歌は…?「素晴らしい歌手を演じさせていただくので『頑張らないと』というのは、最初から思っていました。ボイトレの先生とは二人三脚で、普段の呼吸法からレッスンしていただき、だんだんと歌うことが楽しくなってきたところです」“ブギの女王”と称され、ステージで太陽のように光り輝いていた笠置さん。しかし、革新的な衣装やメイク、パフォーマンスは、ついこの前まで敵国だったアメリカ的だと批判を浴びてしまう。「ちょうど、その頃のシーンを今撮影しているんですけど、『舞台メイクが派手だ』『外国人みたいだ』って、ものすごく言われるんです。そこで、だいたいの人は負けそうになっちゃいますよね。でも笠置さんは、自分のスタイルを貫き、歌うんです。懸命に届けた歌でお客さんに喜んでもらうことが、ご自身の喜びになっていたのだと思います。私のお芝居も、誰かのためになっていたらいいなって」鈴子はプライベートも、波瀾万丈な人生を送ることに。「本当に大変なことがたくさん起こるんです。それでも、乗り越えて乗り越えて、前を向き、明るく生きていく。そんな笠置さんを描く『ブギウギ』には、朝ドラヒロインらしさが詰まっています」笠置さんが世間からのバッシングや試練を乗り越えられた理由について、趣里さんは鈴子を演じながら感じることがあるそう。「きっと音楽という確かな軸があったから頑張れたんだと、撮影をしながら感じます。笠置さんにとってすべての原点が音楽。音楽を愛し、愛された人なんです」歴代の朝ドラで、趣里さんが惹かれたのは『おしん』だそう。「前のマネージャーさんがすごくハマっていて、私も再放送を見たら、おしんも本当につらいことの連続で…。『つらいねぇ』と言い合いながら見ていたんですが(笑)、おしんを演じた田中裕子さんの声はとても儚いのに、貧しいながらも生きるエネルギーみたいなものが感じられて、引き込まれました」60年以上も続く朝ドラ。新たに始まる『ブギウギ』でヒロインを演じる趣里さんが、愛してやまないタイムレスカルチャーとは?「ビートルズです。私は15歳でイギリスにバレエ留学をしたんですが、その少し前にイギリス人の先生が弾き語りしてくれた『Let It Be』にすごく感動して!イギリスには、iPodにビートルズの曲だけを入れて持っていき、癒されていました。今聴くと、あの頃の情景がぶわっと思い出されます。バンドをやっていた伯父もビートルズ好きで、いろいろ教えてもらったり、日本のアーティストでもバンドに興味を持つきっかけになったり、ビートルズは、私にとって音楽の原点です」朝ドラ昭和、平成、令和と時を超えて愛される日本の朝の定番。「連続テレビ小説(通称:朝ドラ)」の放送がNHKで始まったのは1961年。古くからそのほとんどが女性の一代記を描き、懸命に生きる姿は人々を元気づけ、昭和、平成、令和と時代を超え、“朝の定番”として、日本中から愛されてきた。旬のキャストや話題の脚本家などを積極的に起用し、放送開始から60年以上が経った今も多くの注目を集めている。近年は再放送や「NHKプラス」での見逃し配信など、“朝の時間”以外にも視聴する方法が増えたことで、若い世代を中心に、新たな視聴者層を獲得している。しゅり1990年9月21日生まれ、東京都出身。NHK連続テレビ小説は2016年の『とと姉ちゃん』に出演。’19年、映画『生きてるだけで、愛。』で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。主演ドラマ『東京貧困女子。―貧困なんて他人事だと思ってた―』(WOWOWプライムほか)が11月17日スタート。シャツ¥69,300(3.1 フィリップ リム/3.1 フィリップ リム ジャパンcustomercare@31philliplimjapan.com)イヤリング¥2,468,400(ヴァン クリーフ&アーペル/ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク TEL:0120・10・1906)その他はスタイリスト私物連続テレビ小説『ブギウギ』歌や踊りが大好きだった鈴子(趣里)が、やがて戦後日本を明るく照らすスターとなる。趣里さんが主題歌「ハッピーブギ」を歌うことも話題に。10月2日より毎週月~土曜8:00からNHK総合にて、BSプレミアムとBS4Kは毎週月~金曜7:30から放送。その他、再放送あり。©NHK※『anan』2023年10月4日号より。写真・川原崎宣喜スタイリスト・中井綾子ヘア&メイク・伴まどか取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2023年09月30日漫画家の咲坂伊緒さんの大ヒット青春ラブストーリー『アオハライド』が実写ドラマ化。櫻井海音さんは、出口夏希さんとW主演を務める。陰りを帯びたキャラクターを丁寧に演じ切りました。「僕が中学生の頃にとても流行っていた漫画なので、オファーをいただいた時は、原作ファンの期待を裏切らないような表現が僕にできるか…とプレッシャーを感じました」蒼く切なく美しい、青春のすべてが詰まった原作の世界観を忠実に再現。櫻井さんが演じる洸(こう)は、出口さんが演じる双葉の初恋の人で、中学時代に突然転校し姿を消すが、3年ぶりに双葉の前に再び現れる。しかし、あんなに優しかったはずの洸が、なぜか別人のように冷たい印象に変わっていて…。「洸は辛い経験をしたことで殻に閉じこもってしまった、どこか陰りを帯びたキャラクター。しかし根はとても優しい子で、双葉たちと触れ合っていくことで輝きを取り戻していきます。その微妙な心の動きを表現するために、原作を何度も読み返して、自分の中で洸を作り上げていきました。洸は自分の気持ちをあまり表に出さないけれど、僕は割と素直に気持ちを伝えるタイプなので、洸の態度にじれったいと思うこともあったけど、演じていく中で洸がどんどん好きになりました。原作へのリスペクトを込めて、ワンシーンワンシーン、丁寧に演じ切りました」原作の端々から感じる光、風、蒼さ、揺らぎを最大限に表現した映像美にも思わず引き込まれる。その中で繰り広げられる双葉と洸の甘酸っぱいやり取りや、もどかしく切ない距離感も見どころのひとつ。「“アオハル”を感じられる、少女漫画らしいシーンがたくさんちりばめられているので、僕も撮影中ドキドキしました(笑)。撮休の日に現場の夢を見るほど、撮影が本当に楽しくて、共演者も同世代の方ばかりだったので、撮影自体が青春でした。原作のパワーを存分に感じられるし、現在片想い中の方などの背中を押して、一歩踏み出す勇気を与えられる作品に仕上がっているので、ぜひ見てほしいです」連続ドラマW‐30『アオハライド Season1』WOWOW初の本格青春ラブストーリー。シリーズ累計発行部数1300万部突破の咲坂伊緒さんのヒット漫画の魅力を余すところなく実写化。Season1/Season2の2部作で制作。Season1は、9月22日(金)23:00~放送・配信。WOWOWプライムにて第1話無料放送。さくらい・かいと2001年4月13日生まれ、東京都出身。俳優、アーティスト。’20年、NHK連続テレビ小説『エール』への出演で俳優デビュー。Kaito名義で、バンド「インナージャーニー」のドラマーとしても活躍。ベスト¥62,700(Blanc YM/TEENY RANCH TEL:03・6812・9341)シャツ¥38,500(TAUPE)Tシャツはスタイリスト私物※『anan』2023年9月27日号より。写真・映美スタイリスト・藤井晶子ヘア&メイク・高草木 剛(VANITES)インタビュー、文・鈴木恵美(by anan編集部)
2023年09月23日1話15分×週4日放送されているNHK総合の「夜ドラ」枠。昨年4月に設置されて以来、意欲作を連発し話題を集めている。現在放送中の『わたしの一番最悪なともだち』は、若者の心情が丁寧に描かれ、話数を重ねるほど引き込まれるストーリー。本作で連続テレビドラマ初主演を務める蒔田彩珠さんも、最初に脚本を読んだ時、共感できる部分がたくさんあると率直に思ったそう。幼なじみの人物像を自分のものとして偽った女の子の話です。「私が演じている笠松ほたるは、クラスでの立ち位置は中心グループの4番手から5番手くらい。秀でた部分が特別あるわけでもなく、地味で目立たないというわけでもない普通の女の子です。そんなほたるには、小中高が一緒で、天敵ともいえる存在の同級生・鍵谷美晴がいます。美晴は、ほたると正反対の性格で、スポットライトを浴び続ける存在。そんな彼女に憧れているとか羨ましいという気持ちを素直に表現できないほたるは、美晴を一方的に意識している。そして本当はああなりたいけれどなれない自分に厭気がさしています。そんな劣等感って、誰しもが一度は抱いたことがある感情だと思うので、その複雑な機微を表現しました。主人公が心の声を語るモノローグがすごく多いので、その時間を考慮しながらセリフを話すのが結構大変でした。でも、声のトーンとか表情など、全シーンに集中しながら演じるように心がけました」就職活動で連戦連敗中のほたるは、美晴の個性を自分のものとして偽ったエントリーシートを提出し、通過。どう受け止めたらよいのかわからないまま、面接に進むことになる。「私自身、就活の経験がないので想像しながらやるしかなかったのですが、面接のシーンはセリフ量が多くて覚えるのが大変でした。でも実際に就活中の方から『私もウケのいいエントリーシートの書き方を調べて提出しました』『僕も全く同じ状況です』と、感想のDMをたくさんいただいて、みなさんこんな辛い経験をしながら社会人になっていくんだなって改めて知ることができました」ほたるは無事に内定を獲得。第5週の放送回から、舞台は3年後へ。大手企業でバリバリと仕事をこなすほたるは、美晴と再会。浅からぬ縁のふたりの関係性にも変化が訪れる。「5週以降は、ほたるの人間らしい部分がさらに見えてきます。そして付かず離れずの関係だった美晴との距離がグッと縮まっていきます。美晴を演じた髙石あかりさんとは、この作品を通してすごく仲良くなりました。大阪で4か月間撮影していたのですが、撮休の日は一緒にごはんを食べたり、東京に戻ってきてからも一緒に遊びに行くことが多く、最高の友達ができました。作品では、友達の仮面をかぶったほたるが、美晴とどんな関係性を築いていくのかも見どころのひとつなので、ぜひそこにもフォーカスしながら最後まで見ていただけるとうれしいです」夜ドラ『わたしの一番最悪なともだち』本当の自分に自信がなく、誰かの理想的な人生を拝借することができたら…。そんな自分を偽り、友人の仮面をかぶった女性の物語。繊細で瑞々しい青春ドラマ劇を個性的な若手俳優たちが繰り広げる。NHK総合で毎週月~木曜22:45~放送中(各話15分)。全32回。まきた・あじゅ2002年8月7日生まれ、神奈川県出身。7歳で子役デビュー。NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』のほか、是枝裕和監督の作品にも数多く出演。主演を務める映画『ハピネス』は2024年公開。※『anan』2023年9月27日号より。写真・魵澤和之(まきうらオフィス)スタイリスト・小蔵昌子ヘア&メイク・山口恵理子インタビュー、文・鈴木恵美(by anan編集部)
2023年09月23日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、出産・産後で出会ったいい女を実演。今回は、共通点を探すのが上手な女性、「運命を匂わせる女」になりきり。こじつけでも、運命を感じると楽しい気持ちに。今回が3度目の出産だったのですが、予定日を過ぎてもなかなか生まれてこず、“陣痛かも?”と思っては病院に行くということを何度も繰り返していました。そして、ついに本当に陣痛が来て、もう生まれそうだとなった時、助産師さんに「今日は主治医の先生がいますよ。当直を担当するのは月に1~2回くらいなので、ということは、赤ちゃんは先生が病院にいるこの日を待っていたんじゃないですか?」と言われました。もちろん、違うとは思うんですけど、“あ、そうかもしれない!”と、なんだか嬉しくなったんです。なかなか生まれてこなかったことへの不安も吹き飛びました。それに、運命めいたものを感じさせてくれることでテンションが上がり、この日に生まれてくることに意味があるんだと思うと、これからの人生も大丈夫!という不思議な安心感も芽生えたんです。ほかにも、友だちにLINEをして、「今、夏子のことを考えてた!これって運命?」のように言われた時も、私はすごく嬉しくなっちゃうタイプ。誕生日が一緒、おばあちゃんの名前が一緒、選んだランチメニューが一緒など、小さいことであっても共通点を見つけて、たとえこじつけであっても運命を感じられると、その瞬間が楽しいものに。“だから私たちは仲がいいんだ!”とポジティブになれるし、すごくいいなと思いました。相手に“運命かもしれない”と感じさせる人になるためには、いろいろなところにアンテナを張っておくことが大事だと思います。昨日は雨だったのに今日は晴れているとか、赤信号に引っかからないなど、“今日が何かの日”だと感じられる人を目指したいもの。運命かもしれないといえる何かを、できれば1日1つ、見つけるようにしましょう!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。今年6月に第三子を出産。※『anan』2023年9月20日号より。写真・中島慶子文・重信 綾(by anan編集部)
2023年09月21日ジャンルレスに活躍する9人が集い、歌×ダンス×芝居を融合させたハイブリッドなパフォーマンスで魅せる円神。リーダーの瀧澤翼さんによれば、「俳優、声優、バラエティ、アパレルまで幅広い活動をしている僕たちですが、いろんな属性のイケメンが揃っているのが強み。だからきっと一人は推しが見つかるし、そのまま沼に浸かっていただけること間違いなしです!」。ジャンルは九人九色、活動の場は無限大。カラフルな魅力を持つ円神の魅力にハマって!5枚目のシングル『Dreamland』はカラフルかつドリーミーで、耳だけでなく目でも楽しい世界観。歌い出しのパートを担当した中林登生さんいわく、「朝イチで聴いたらハッピーな気持ちで一日を始められるような、はじける曲。跳ねるようなリズムが歌詞とリンクして、気持ちが弾む、心が躍るというコンセプトを表現しています」とのこと。聴きどころを教えてくれたのは、太陽のような明るさがこの曲にぴったりな宮里ソルさん。「恋をする主人公の健気な姿が想像できるような歌詞が夏にぴったり。好きな人に会いに行く前に聴いてほしいですね。僕たちを好きになるように願いを込めて歌ったので、この曲を聴いて、僕たちにも会いに来てほしいです」ダンスが得意な山田恭さんが推すのは、サビの振り付け。「動き一つひとつがかわいくてキャッチー。曲の構成にもカノンが入っていたり、パレードを見ているようなダンスも楽しいです。僕たちの公式TikTokでサビの振りを公開しているので、ぜひ真似してみてください!」山田 恭(後列右)2000年9月27日生まれ、石川県出身。円神のムードメーカーで、みんなを笑わせるのが得意。これまでの出演作に、舞台『フゴッペ洞窟の翼をもつ人』、ミュージカル『リフレインする君の声~encore 2023~』など。「料理が得意で、『cookpadLive』で手料理を作る番組を毎月配信しています。円神のライブ演出も担当していて、グループの魅力を伝えるために奮闘中です。服が好きなので、今後はモデルをやってみたい!」瀧澤 翼(後列右から二番目)2003年3月2日生まれ、千葉県出身。円神の最年少リーダー。ドラマ『プロミス・シンデレラ』やミュージカル『SPY×FAMILY』など、俳優としても活躍中。「日本一の歌って踊れる俳優になるのが夢です。円神の振り付けを担当していて、“ダンスマシン・リーダー”でもあります。最近、ダンスの先生を始めました。新しいことに挑戦するのが好きです。今年のうちにもうひとつ、フリースタイルラップにも挑戦したいと思っています」宮里ソル(後列右から三番目)1997年9月13日生まれ、沖縄県出身。抜群の運動神経と鍛え上げた筋肉が自慢。舞台『戦国送球~バトルボールズ~第二次真田合戦』や、舞台『アオアシ』など出演作多数。ドラマ『アオハライド』がWOWOWにて9月22日より放送スタート。「筋トレが趣味で、デッドリフト大会で175kgをリフトして、ポイント1位を獲得しました。今も筋肉バキバキですが、さらに磨きをかけて、いつか『anan』の表紙を飾りたいです!」中谷日向(後列左から三番目)1998年9月15日生まれ、大阪府出身。美容オタクで、個人のYouTubeチャンネルで美容にまつわる情報を発信している。出演作にドラマ『あのコの夢を見たんです。』『江戸モアゼル~令和で恋、いたしんす。~』など。「メイクの研究以外にも、衣装のスタイリングやグッズデザインなど、クリエイティブな分野が得意。円神のツアーTシャツはグッズというより、普段から着ていただけることを意識してデザインしています」中本大賀(後列左から二番目)2001年2月17日生まれ、大阪府出身。スタバとおぱんちゅうさぎが大好き。出演作にミュージカル『ALTAR BOYZ』『Ordinary Days』、舞台『蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く』など幅広く活躍中。「今年は舞台『おそ松さんon STAGE~SIX MEN’S SHOW TIME~2nd SEASON』など予定が目白押しなので、お楽しみに。今後は映像の方にも活躍の場を広げていきたいです」中林登生(後列左)1997年12月27日生まれ、大阪府出身。親しみやすく、ファンとのコミュニケーションもばっちり。YouTube「飲み旅チャンネル」レギュラーなど出演多数。「僕はミスター“普通”です(笑)。でもそれって悪いことじゃなくて、自然体でファンとの距離が近いところが仕事に生きてると思っています。円神ではお兄さんなんですけど、『飲み旅』ではポンコツな部分しか出てないですね。運動好きで、ステージではアクロバットも披露します」熊澤歩哉(前列右)1996年10月22日生まれ、福島県出身。深く響く声を武器に、声優としても活動中。出演作にゲーム『IDOLY PRIDE』や舞台『穏やか貴族の休暇のすすめ。2~とある料理人の野望~』などがある。ニックネームは“くまちゃん”。「二次元全般が好きで、ゲームやアニメ、絵を描くことが大好き。メイクやヘアセットも自分でやっています。いつか声優としても、アイドルとして歌って踊ってみたいです。魔法の世界で戦うのも夢!」草地稜之(前列真ん中)1998年6月17日生まれ、東京都出身。円神のビジュアル担当。ミュージカル『テニスの王子様』やドラマ『僕たちは恋をしない』『その女、ジルバ』など俳優としても幅広いジャンルで活躍中。「11月から舞台『おそ松さんon STAGE~SIX MEN’S SHOW TIME~2nd SEASON』に出演します!アイドルとしての僕も、俳優としての僕も応援していただけたら嬉しいです。ファンを想う気持ちは誰にも負けません!」A.rik(前列左)1993年9月30日生まれ、沖縄県出身。個人アパレルブランド『%psh(ウップシュ)』運営。ドラマ『おっさんが眠るまで』『絶対BLになる世界vs絶対BLになりたくない男シーズン2』など出演作多数。「クレヨンで絵を描くのが好きで、自分のイラストを使ったアパレルグッズを展開するブランドでの活動もしています。いつもふわふわしてると言われがちな僕ですが、収録曲『Spellbound』ではセクシーさを追求しました」5th Single『Dreamland』。【初回盤(CD+DVD)】¥3,700【通常盤(CD)】¥1,400初回盤には今年6月15日に開催された『円神 3周年 Anniversary Live』を収録したDVD付き。(nonagon records)えんじん2020年12月に「ENJIN」でデビュー。同時に舞台『nonagon ~始まりの音~』を上演。以降、歌とダンスと芝居を融合した円神としての活動と並行して、メンバー全員が積極的にソロ活動を行っている。※『anan』2023年9月20日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)取材、文・尹 秀姫(by anan編集部)
2023年09月19日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、出産・産後で出会ったいい女を実演。今回は、必要なものを見極められる女性、「最低限しか持たない女」になりきり。本当に必要なものを選択する習慣をつけよう。先日、ママ友の紹介で、整理収納アドバイザーの資格を持っている先生のお宅にお邪魔することに。収納の仕方を教えてもらって、すごく勉強になりました。私が一番驚いたのは、文房具を入れている引き出しに、ペンが1本しか入っていなかったこと。「これだけですか?」と聞くと、「逆に、なぜ2本いるんですか?」という返事が。「他の場所に置いたりして、ない時に困るので」と言うと、「そこに戻さない人は誰ですか?戻せばいいですよね」と、何も言い訳ができない状態に。結果、ペンは1本でいいんだという結論にたどり着きました。ホッチキスやセロテープも1つだけだとスッキリしていて余白があり、上から見ると何がどこにあるかが一瞬でわかります。本当に最低限のものだけあればいいんだなと納得。家が整理されている人はペンを1本にするところから始まるんだ、すごいなと感じました。また、ハサミは文房具入れではなく、よく使うキッチンに1つだけ。エコバッグはキッチンに置いて忘れてしまわないようにバッグを置く場所に収納するなど、動線や習慣をもとに置き場所を決めることが大事だそう。また、思い入れのあるものが少ない洗面台から片付けを始めるといいとか、人の心理的なところまで考慮した整理整頓の方法など、本当にいろいろなことを教えてもらってとても勉強になりました!先生みたいに整理や片付けが上手にできる人になるには、自分にとって必要なものは何か、実際に使っているものは何かを考えて、残すものを選択することが大事だと思います。たとえば、スマホのアプリで使わないものを消すなど、簡単にできるところから始めて、意識的に整理してスッキリさせる習慣を身につけるのがいいのではないでしょうか!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。今年6月に第三子を出産。※『anan』2023年9月20日号より。写真・中島慶子文・重信 綾(by anan編集部)
2023年09月17日京都を拠点に、ユニークな設定とユルい会話で繰り広げられるコメディで人気を博すヨーロッパ企画が、劇団結成25周年を迎えた。今年6月公開の長編映画『リバー、流れないでよ』を自ら製作したり、劇団員が出演する実験的ドキュメントバラエティ『ヨーロッパ企画の暗い旅』の制作など、劇団ながら演劇の枠組みを超えて活動する彼ら。最新作の『切り裂かないけど攫いはするジャック』を前に、25年続く秘訣を旗揚げメンバーである上田誠さん、諏訪雅さん、永野宗典さんに伺った。――25周年を迎えた劇団の最新作は、19世紀にイギリスで起きた切り裂きジャックの事件がモチーフ。上田誠:25周年ですし、劇団員たちがワクワクする企画をというのが使命感としてあり、今回はミステリーコメディでいこうと。ミステリーというと作家がトリックを構築するのが主流ですが、僕らは集団でものを作る劇団ですから、ジャックものならやれるかなと思ったのが最初で…。諏訪雅:劇の中盤くらいには、ジャックが何者か明らかになりますよね。永野宗典:いま稽古中盤ですけど、僕はこれからまだ見ぬ新しいジャックが出てくるのかなと思ってますけど?上田:ミステリーって最後の謎解きに注目が集まるのが宿命ですけど、それが怖すぎて、本当は最初に「僕がジャックです」ってところから始めようと思ったくらいです(笑)。永野:僕が警部の役なんですが、群像劇でみんなが勝手に推理しだすから、邪魔くさくて仕方ないです。上田:「推理をするな!」っていう決め台詞が生まれたぐらいですから。諏訪:でもみんながまくし立てるように自分の言いたいことを言ってるのって、まさにヨーロッパ企画って感じの群像劇になってると思う。上田:ミステリーってある材料を最初にざっと出して、ロジックでそれを収れんさせていくものだけれど、演劇…というかコメディは、要素がどんどん出てきて場が散らかっていく様子が面白かったりする。それを両立させられないかというのが、今回の狙いでもあります。――タイトルの絶妙なユルさも秀逸。上田:演劇は結構作家主義ですけど、僕らはタイトルも合議制です。でも毎回超コメディらしいタイトルですから、発表するのに勇気がいるんです。演劇界で馬鹿にされないだろうかとか、もうちょっと文芸チックな方がカッコつくかなとか思いながら、ひたすら痩せ我慢してる感じ(笑)。諏訪:僕らはつねに判断基準が面白いか面白くないか、ですからね。永野:ふたりは関西人なんで笑いにむっちゃ厳しいんですよ。上田:もともと僕も諏訪さんもお笑いに関して結構うるさい方なんで、どこかでダサい笑いはやりたくないっていう気持ちがあるんですよ。あと、演劇というと、伝えたいメッセージがあったり、感情のヒダを描くとか、現代社会を切り取るとかの目的が多いと思うんですけれど、僕らの場合、面白いことをやろうと集まっているっていうのが、ヨーロッパ企画の特性なのかなと思います。諏訪:そもそも劇団名に劇団を付けなかったのは、演劇だけじゃなくいろいろなことできそうな気がしたからなんだよね。昔からみんな映像を撮るのが好きだったりもしたし。上田:ただ演劇は好きなんで、せっかくなら“劇団”のイメージをもう少し広げられたら面白いですよね。(写真上)うえだ・まこと1979年11月4日生まれ、京都府出身。脚本を手がけるドラマ『時をかけるな、恋人たち』(カンテレ、フジテレビ系)が10月10日より放送スタート。(写真中)すわ・まさし1976年8月26日生まれ、奈良県出身。俳優のかたわら、脚本・演出なども手がけており、作・演出舞台に『ガチでネバーエンディングなストーリぃ!』。(写真下)ながの・むねのり1978年2月17日生まれ、宮崎県出身。俳優のかたわら、映像監督や脚本なども手がける。出演近作にドラマ『スーパーのカゴの中身が気になる私』。ヨーロッパ企画第42回公演『切り裂かないけど攫いはするジャック』9月20日(水)~10月8日(日)東京・本多劇場作・演出/上田誠出演/石田剛太、酒井善史、角田貴志、諏訪雅、土佐和成、中川晴樹、永野宗典、藤谷理子、金丸慎太郎、早織、藤松祥子、内田倭史、岡嶋秀昭一般7000円U25シート2500円(前売りのみ)平日割一般6500円サンライズプロモーション東京 TEL:0570・00・3337(平日12:00~15:00)滋賀、京都、高知、福岡、広島、大阪、神奈川、愛知、富山でも上演。劇団結成25周年。四半世紀にわたり人気を継続し続けるヨーロッパ企画とは?人気の理由1:ユニークな設定押し入れ1間程度の超々狭小集合住宅に暮らす人々の工夫を凝らした日常を描いた『Windows5000』など、劇構造や設定のユニークさで魅せるのがヨーロッパ企画。「まだ世の中で劇になってないものを見つけて、どうしたら劇にしていけるかを考える」(上田さん)そうで“企画性コメディ”と呼ばれる。見たことのない世界を舞台上に具現化させる、凝った美術セットも興味深く見応えあり。「設定だけ聞くと、演劇として成立するの?と思うけれど、どう劇化するかを聞くと、毎回、それ面白そうって思えるんです」(諏訪さん)『遊星ブンボーグの接近』地球に降り立った身長数cmの宇宙人たちが、デスクの上を旅し、巨大文房具と戯れる。普段見慣れたカッターナイフや消しゴムが、巨大化して劇場に置かれている状況からすでに楽しく、自分も小人になったような気分に。撮影:清水俊洋人気の理由2:笑いのセンスヨーロッパ企画のコメディは、大爆笑というより、ユル~い会話の中から生まれる、ちょっとトボけたクスッとした笑いが特徴。じつはこれ、稽古場で上田さんが提示した設定で俳優たちがエチュード(即興劇)を繰り返し、その中で生まれたものが取り入れられている。「自分たちがやった場面だから、すでに笑いとして出来上がっている」(上田さん)ゆえのリアルさも絶妙。「設定はトリッキーだけど、誰もが感じるようなことを取り上げていて、そのへんのリアリティが多くの人に楽しんでもらえている理由かも」(永野さん)『来てけつかるべき新世界』通天閣を擁する大阪・新世界を舞台にしたSF作品。狭い路地をドローンが行き交い、野良犬ならぬ野良のロボットがうろつき、売れないお笑い芸人がAIを相方にするなど、未来も新世界らしさは変わらずなところが面白い。撮影:清水俊洋人気の理由3:個性あふれる劇団員稽古場でのエチュードから生まれた笑いが作品に反映されていることは書いたけれど、その面白さも、リアルな生っぽい空気感がそのまま舞台上に再現されるからこそ。しかもそれを演じる面々は、どこにでもいそうなのに佇まいや風貌に、それぞれの個性が滲み出て、それが作品の面白さにも繋がっている。「僕は劇作の中身と同じくらい、作品を立ち上げる中で起きる実際のドラマを大事にしていますが、それは劇団員やスタッフに対しても同じ」(上田さん)。「その蓄積が、物語に生かされているんだと思います」(永野さん)『ムーミン』世界的に有名なトーベ・ヤンソンの同名童話をモチーフに、谷で寝たり食べたり、ひたすら遊び暮らす男たちを描いた作品。設定はトリッキーながら、シンプルな劇構造だからこそ、出演者それぞれのキャラクターの面白さが生きた作品。※『anan』2023年9月13日号より。写真・土佐麻理子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年09月12日壮大な世界観と、それを舞台上に具現化するド派手な演出、セットや衣装で観客を圧倒する、劇団新感線の舞台。新作となる『天號星(てんごうせい)』は、古田新太さん扮する見た目は厳ついが気弱で温厚な半兵衛と、早乙女太一さん扮する非道な殺し屋の銀次の体が入れ替わってしまう時代活劇。「以前から新感線さんの舞台をいちファンとして拝見していたので、出演のお話をいただいたときはびっくりして立ち上がっちゃいました」そんな言葉で出演の喜びを語ってくれた久保史緒里さん。久保さんが演じるのは、歌と踊りで神を降ろし予言を伝える巫女・みさき。「今回は闇の稼業を描いた物語なんですが、みさきはその世界も理解しながら、人間として純度が高いままいる。すごく大人びた人物だと思います。抱えた想いを言葉ではなく歌で表現する役なので、そこは見どころにできたらなと思っています」所属する乃木坂46の中でも高い歌唱力と透明感のある歌声に定評がある。本作の製作発表では、これまで歌ったことがないような楽曲を歌わせたいという、演出家・いのうえひでのりさんの思惑も語られた。「確かに今まで歌ってきたものとはまったく違うロック調で、当初は歌い方も変えた方がいいのかなと思って挑んだんです。でも、稽古場でみさきとしている時間が長くなってきて、みさきの心を乗せてちょっと繊細に歌うと、逆に意味が生まれたりするのを感じて。今はまだ自分の中で正解を決めずにこうかなと思ったことを全部試している状況です」そう語る声のトーンは穏やかだけれど、簡単なことではないはず。「今回の稽古に入る前に、すべてを預ける気持ちで飛び込もうと思っていましたので。勇気はいるし、怖さもあれば、一回やってみて違うなってことがしょっちゅう。頭では理解できていても、自分に表現する力がなくて違うものに見えてしまうことが結構あって。毎回落ち込むし、すごく丁寧にご指導いただいているのに、応えられない自分に腹が立つし悔しいし、私のために時間を使わせてしまうのが申し訳ないし…。そこが今一番苦戦しているところです」それでも「稽古場にいることが楽しいし、稽古場に向かう道のりも前向きな気持ちでいられている」そう。「それはたぶん新感線のみなさんが作ってくださる空気感のおかげだと思っています。古田さんがお芝居でちょっとクスッとさせてくれたり、高田聖子さんが話しかけてくれたり。稽古でも、心優しい半兵衛だった古田さんが、銀次さんになった途端別人のようになるんですよね。その瞬間を間近に見られて、ありがたい環境だなと思っています」近年、大河ドラマでの活躍など、その演技力にも注目が集まる。「毎回、監督さんや演出家さんの思い描くものを100%理解して応えたいんです。まだできてないことが多いですが、それが表現できたときがとても嬉しいんですよね」2023年劇団新感線 43周年興行・秋公演 いのうえ歌舞伎『天號星(てんごうせい)』口入れ屋の裏で、悪党を始末する“引導屋”を営む半兵衛(古田)は、じつは気弱で温厚な人物。しかしあるとき、金さえ積めば誰彼構わず殺す、殺し屋の銀次(早乙女太一)と体が入れ替わって…。作/中島かずき演出/いのうえひでのり出演/古田新太、早乙女太一、早乙女友貴、久保史緒里、高田聖子、粟根まこと、山本千尋、池田成志ほか東京公演/9月14日(木)~10月21日(土)THEATER MILANO‐ZaS席1万4000円A席1万1000円ヤングチケット(来場時に22歳以下)2200円サンライズプロモーション東京 TEL:0570・00・3337大阪公演/11月1日(水)~20日(月)COOL JAPAN PARKOSAKA WWホール全席指定1万4800円ヤングチケット(来場時に22歳以下)2200円キョードーインフォメーション TEL:0570・200・888くぼ・しおり2001年7月14日生まれ、宮城県出身。乃木坂46の3期生。32ndシングル『人は夢を二度見る』でWセンターを務めた。俳優としても活躍しており、近作に舞台『桜文』、映画『リバー、流れないでよ』など。9/10よりWOWOW 連続ドラマW『落日』が放送開始。ワンピース¥96,800(CO|TE/IZA TEL:0120・135・015)その他はスタイリスト私物※『anan』2023年9月13日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・伊藤舞子ヘア&メイク・宇藤梨沙インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年09月11日大きな節目を迎える『ヒプノシスマイク ‐Division Rap Battle‐』 Rule the Stage ‐Battle of Pride 2023‐。ここでは、シンジュク・ディビジョン“麻天狼”の鮎川太陽さん(as神宮寺寂雷)、新木宏典さん(as伊弉冉一二三)、井出卓也さん(as観音坂独歩)に話を聞きました。左から新木宏典さん、鮎川太陽さん、井出卓也さん。――まずは目前に控える『Battle of Pride 2023』(以下、BoP)横浜公演への想いを伺わせてください。新木:全ディビジョン集合してのライブってことで、祭り感は間違いないと思うんです。キャスト全員が卒業するってことで、観に来られたお客さんは寂しさを感じる部分もあるかもしれない。でも僕らは全員で一斉にゴールテープを切るところに美学を感じているので、そこにネガティブな感情を持ち込みたくない。だからこそ楽しいライブにすることが使命だと思うし、そのために努力したいなと。井出:そうだね。きっとお客さんは、いろんな感情で来られると思うんです。でも、僕らシンジュクとしての指針とかスタンスを決めて、3人で足並みを揃えていきたいですね。『Rep LIVE』(各ディビジョンの単独ライブ)も、毎回3人で話し合って、ライブの方向性とか、この曲はお客さんにどう見せたいかみたいなことを決めてやってたんで。鮎川:新木くんが稽古場で前回公演の動画をよく確認するんですよ。それで楽曲が流れだすと自然とみんな集まって、このときはこうだったよね、ああだったよねって話になって、じゃあ次はこうしたい、こうできたらって話に繋がっていく。新木:井出くんが発声練習しだすと、俺らもやんなきゃって追随するのと同じ。鮎川:そうそう(笑)。なんとなく始めた人にみんながのっかって、一緒にアップしたり反省会したりするんです。新木:誰かが号令かけたりもなく、ね。鮎川:BoPでは、お客さんも各ディビジョンのチームカラーで応援してくれるんで、会場がすごいカラフルになるんですよね。前回のBoPでそれを見たときにものすごく感動したんで、またあの景色が見られるのが今から楽しみで。――他のディビジョンには負けないぞ、みたいな気持ちになるものですか?新木:…と言った方がいいですよね。井出:いやっ、なるって!鮎川:おそらく今回は、僕らだけじゃなくキャストも、そしてファンの方々も、どうしたってこれまでで一番想いの強い公演になるとは思うんです。ただ、公演名に“バトル”って付いてるんで、そこは負けられないぞと(笑)。――みなさんが他にはないシンジュク・ディビジョンの自慢をするとしたら?鮎川:僕たちシンジュクの楽曲って、わりと大人めなシックな曲が多かったけど、この間の『Rep LIVE』で起伏のあるオリジナル楽曲も生まれたんで、魅せられる幅が広がった気がしてて。井出:あと、それなりにキャリアを積んできている3人なんで、勢いだけで突っ走るんじゃなく、きちんとショーとして魅せることができるっていうのも、強みなんじゃないかと思う。歌詞とか、一番聴きやすいチームだと思うし。新木:全ディビジョンが集まる公演ということもあって、演出としてシンジュクが担うべきポジションっていうのがきっとあると思うんです。トータルバランスを考慮した上で、与えられた役割を自分たちらしく的確にやれるのがシンジュクだと思うんですよね。――頻繁に話し合いをしていたり、チームワークの良さが窺えますが、結束力が高まったタイミングはあるんでしょうか。新木:『Rep LIVE』じゃないかな。鮎川:確かに圧倒的に話す機会が増えた公演だった。新木:シンジュクが登場したのはtrack.2からなんですけれど、すでにコロナ禍で稽古場で雑談できる環境ではなかったんですよね。ようやく話し合いをしてもいい環境になったのが『Rep LIVE』のタイミングで、打ち合わせの回数が圧倒的に多かったから。井出:僕は途中からの参加だから厳しい時期の稽古場は知らないけれど、それぞれが自分の考えてきたことを言い合える環境に自然となっていったのが面白いなと。それぞれが同じ目標に向かって歩いていたら自然と歩幅が一緒になっていて、気づいたら並んでた、みたいなのって、すごくいい形だと思うんだよね。公演について話すうちに、「これまでで一番つらい時期っていつだった?」みたいな話をしたり。役だけでなく人間として一緒に歩んできた仲間だなって思ってます。鮎川:他のディビジョンがどうかはわからないけど、僕ら、稽古が終わった後も部屋を借りて、この曲はどうしていこうとか、どこに盛り上がりを持ってこようかとか、一曲一曲精査していく時間を作っていたからね。そこに関しては、他のディビジョンより濃密に作っていった自信がある。あのときは地方公演もあったから、公演終わりにみんなで食事にも行って、お酒を飲みながらプライベートな話ができたのも楽しかったし。――今回の特集に絡めて、それぞれのメンバーを他己紹介していただきたいのですが、まずは鮎川さんからお願いします。井出:こう見えてめちゃくちゃファニー。その言葉が一番しっくりくるくらいかわいいんです。ちょっとヌケてるところがあって、母性本能的なものをくすぐるし。新木:しかも頭がいいし、サービス精神旺盛なので、今あるものに何を足したらファンの方が喜ぶかを冷静に分析して考えられる人。その頭の回転の速さにファニーさがのることによって、重くならない。奇跡的なバランスなんです。井出:お肉でいったら豚肉だね。鮎川:それ面白いね。僕、効率が悪いのが大っ嫌いなんで、こだわりは持ちつつ合わせるタイプだから、そこは近いかも。井出:新木くんは何肉かなぁ?鮎川:鶏肉じゃない?(笑)こうと決めたら揺るがない感じが。一度やると決めたら絶対にちゃんと達成するところは、マジで尊敬する。しかも勉強熱心なのに謙虚だし。井出:はっきりしてるんですよね。だからといって協調性がないわけじゃない。あと、ずっと考えているというか、芝居に関してもだけど、答えを出すことに対してすごく慎重で、ずっと答えを探求し続けている旅人みたいなところがある。新木:確かにそれ、すごい的確かも。学生の頃、先生が夏休みの宿題を「毎日15分やれば終わる量」だと言うから、毎日きっちり15分やったのに終わらなかったってことがありました。鮎川:そうそう。言われたことはきっちりやってから文句言うんですよね(笑)。新木:井出くんはすごく大人。波瀾万丈な人生を送ってきてるからこその落ち着きと決断力がすごいし、人が悩んでいることに気づいてくれて、押し付けがましくない寄り添い方をしてくれる。大人。鮎川:マジで頭の回転が速い。ラップをやってるからか、人の話をよく聞いていて、その言葉を取って返すのが上手いんですよね。しかも深い話をすると、相手の想いを汲み取りながら、自分の視点ですごく的を射た言葉を返してくれる。井出:馬肉くらいにしといて(笑)。鮎川:脂肪がなくて筋が通ってて…。井出:ありがたいっすね。『ヒプノシスマイク ‐Division Rap Battle‐』 Rule the Stage ‐Battle of Pride 2023‐9月7日(木)~10日(日)ぴあアリーナMM原作・EVILLINE RECORDS演出・植木豪脚本・亀田真二郎音楽監督・KEN THE 390 テーマソング・井手コウジ全席指定1万5000円(ラバーバンド3 個セット〈全4 種ランダム配布〉付き)見切れ席1万5000円SOGO TOKYO TEL:03・3405・9999シンジュク・ディビジョン“麻天狼”リーダーは、“The Dirty Dawg”の元メンバーで天才医師の神宮寺寂雷(じんぐうじ・じゃくらい)。シンジュクNo.1ホストながら、じつは極度の女性恐怖症である伊弉冉一二三(いざなみ・ひふみ)と、根は優しいがキレると手が付けられない会社員の観音坂独歩(かんのんざか・どっぽ)がいる。あゆかわ・たいよう1991年1月18日生まれ、東京都出身。10歳より活動をスタートし、舞台、ドラマ、映画、モデルなどで活躍。本作のほか、主な出演作に舞台『魔法使いの約束』シリーズなど。10月にはミュージカル『新テニスの王子様』The Third Stageに出演予定。シャツ¥31,900(ウィザード/ティーニーランチ TEL:03・6812・9341)イヤリング¥12,100(ライオンハート)ウォレットチェーン¥385,000ブレスレット¥198,000(共にシンゴクズノ) 以上Sian PR TEL:03・6662・5525その他はスタイリスト私物あらき・ひろふみ1983年6月14日生まれ、兵庫県出身。2004年より俳優集団D-BOYSのメンバーとして活動し、数々の舞台やドラマ、映画に出演。フォトブック『“新”発見 丹波ガイド』(東京ニュース通信社)が好評発売中。10月より舞台『赤ひげ』に出演予定。シャツ¥59,400(08サーカス/08ブック TEL:03・5329・0801)タンクトップ¥1,980(キャスパージョン/Sian PR)レザーパンツ¥198,000(カズキ ナガヤマ/スタジオ ファブワーク TEL:03・6438・9575)ネックレス¥27,500(バフ TEL:0154・38・2600)ウォレットチェーン¥231,000(シンゴクズノ/Sian PR)その他はスタイリスト私物いで・たくや1991年3月12日生まれ、東京都出身。子役として活動をスタート。数々の舞台やドラマに出演する一方、歌手、ラッパーとしても活動。昨年にはT‐iD名義でEP『New Attitude』をリリース。10・11月にはライブツアーも控える。シャツ¥4,950(キャスパージョン)イヤリング¥11,000(ライオンハート)バングル¥132,000(シンゴクズノ) 以上Sian PRニットタンクトップ¥16,500(アンバーグリーム/ルーストン TEL:03・6805・6603)パンツ¥46,200(08サーカス/08ブック)ネックレス¥24,200(バフ)サングラス¥52,800(ミスタージェントルマン アイウェア/ジョイ エブリ タイム TEL:03・5937・1965)その他はスタイリスト私物※『anan』2023年9月13日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・鹿野巧真ヘア&メイク・瀬戸口清香北崎実莉構成、取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年09月11日武力ではなく人間の精神に干渉する“ヒプノシスマイク”によって争う時代を描いた『ヒプノシスマイク』を舞台化。2019年に初演し、原作に引けを取らない迫力あるラップバトルで好評を博してきた作品が、公演中の『Battle of Pride 2023』で大きな節目を迎える――。イケブクロ・ディビジョン“Buster Bros!!!”の高野洸さん(as山田一郎)、松田昇大さん(as山田二郎)、永島龍之介さん(as山田三郎)に話を聞きました。左から松田昇大さん、高野洸さん、永島龍之介さん。――横浜公演を目前に控える『Battle of Pride 2023』(以下、BoP)は全ディビジョンが一堂に会するライブ公演です。2021年以来2度目ですが、今の想いを伺えますか?高野:2年前のBoPはお客さんの熱狂がすごくてかつてないほど盛り上がったんです。今回、新しいディビジョンが加わって人数も増えましたし、さらに盛り上がるんじゃないかと思っています。松田:今回のBoPで、僕らが卒業を発表しているのもあって、これまで以上に気合が入った公演になるだろうから、会場の熱量はすごいよね。高野:卒業に関しては、確かに寂しさはあるけれど、ステージ上ではそれは一切忘れて演じ切りたいなと思ってて。松田:そうだね。自分としては正直あまり実感がなくて…。実感は、千秋楽の最後の最後に湧くのかもしれないなって。永島:僕は三郎として2代目なので、ふたりとはヒプステで過ごした時間の長さは違うかもしれないけれどやっぱり寂しさはあって。きっとお客さんも同じだろうから、その場にいる全員の想いを大事に演じたいなと思っています。あと、今回はお客さんの声を聞けるのがすごく楽しみで。松田:これまでずっとクラッピングスティック(振って音を鳴らし盛り上げる応援キット)の応援だったからね。――今回、全ディビジョンが集結しますが、他とは違うイケブクロ・ディビジョンの個性や魅力はどこだと思いますか?松田:無理せず仲良いなって思います。しゃべらないで個人個人が好きなことをやっているときもあるけれど、ふとした瞬間にわちゃわちゃしだしたり。みんなでゲームしようって盛り上がったり…。高野:間違いない。永島:本当にそれ。この間のライブでも実感したんですけど、するべきときは自然とみんなで結束するというか。あと、掛け合いにしても、お客さんがすぐに覚えて自然にみんなでノれる曲が多いのも強みなんじゃないかと思う。――ちなみに3人は役柄上では兄弟ですが普段の関係性はどんな感じですか?松田:どうなんだろう…。高野:同級生以上、兄弟未満~松田:今の音符つけといてください。永島:僕は途中から入ったから、ふたりともめちゃくちゃ気にかけてくれてて、さすがって感じでした。高野:僕らふたりの共通の趣味がゲームだったんで、一緒にできたらなって思って龍之介にも「ゲームするの?」って聞いたんですよ。そのときはまあまあやります、くらいの返事だったのに、対戦してみたら強かった(笑)。松田:結構やってたっていう(笑)。永島:いや、すごいやり込んでいる方がいたら、そんな自分が「結構やってます」なんて言うのはおこがましいなと。――ここで3人のチームワークが増したなと感じた瞬間はありますか?高野:(ちょっと考えて)大阪かな?松田・永島:僕も同じこと思ってた。高野:2回あった大阪公演で、2回とも同じちりとり鍋の店に3人で行ったんですよ。永島:2回目に行ったのは、1年くらい空いてからでしたよね?高野:大阪に着いたときから3人でごはんに行けたらいいなって思ってて。松田:「前に行ったあそこ、また行っちゃう?」って(笑)。高野:「ちりとっちゃう?」ってね。松田:そしたら約1年ぶりなのに店員さんが僕らのことを覚えてくれていて…。永島:うわぁってなりましたよね。高野:あれはマジでエモい瞬間だった。――今回の心理テストの特集に絡めて、それぞれがどんな人か紹介をしていただきたいと思います。まず高野さんはおふたりから見てどんな人ですか?松田:変わってます(笑)。あんまり会ったことのない人種。永島:(頷きながら爆笑)松田:顔面とか体格とかスキルとか、すべてが整ってるじゃないですか。なのに、そんなボケるんだって、意外というか…ギャップをいまだにすごい感じてます。高野:なんかボケたくなっちゃうんだよね。たぶん遺伝だと思うんだけど。松田:いやいや遺伝って…(笑)。永島:すごいわかります。でもクサい言い方しますけど、俳優としてはすごい熱いものを持ってる人ですよね。松田:あんまクサくなかったよ。永島:(笑)。俳優論みたいなものが自分の中に確立しているんですよね。僕がまだいまいち定まりきれてないときにそういう話を洸くんがしてくれて、自分の中で価値観が形成されていったんです。高野:お芝居って人それぞれに好みがあって、100人が100人好きって言ってくれる芝居はないからって話とかをしたんだっけ。やっぱり途中参加ってことでアウェイに感じてほしくないなって。永島:本当にありがたかったです。高野:昇大は明るいよね。陰ぽい空気が見えつつの陽、って感じが面白い。永島:陰にも合わせられる陽って感じ。高野:それだね。永島:それはもう陽でいいんじゃない?って思うんだけど。松田:本当はずっと黙ってたいんだけど。永島:のびのびやれるように、ちょっと離れたところから見守ってくれる優しさがある人だと思う。松田:確かに真ん中で引っ張ってくより、隣でサポートするタイプかも。高野:龍之介は、年のわりに…っていうのもだけど、楽屋でも落ち着いてる。松田:ちゃんとしてるよね。高野:あと真面目。時間も守るし。永島:ヒプステの現場だと、自分が一番学ぶことが多い人間なんで、誰よりも早く行かなきゃって思ってます。松田:そのマインドがすごいよ。以前、1回だけ俺の方がたまたま早く稽古場に入ったら、謝られたからね。それでも集合時間の30分前とかなのに。高野:だから最初こそ心配してたけど、龍之介なら大丈夫か~って思えたよね。――あらためてヒプステの魅力を。永島:やっぱり生ってことだと思います。生だからこその音圧を感じられますし、その場で動いているキャラクターが見られるっていうのは舞台の強みだと思います。そこで歌って踊ってラップして、躍動感みたいなものが伝わるから。松田:演出がすごい派手で、パッと見ただけでも豪華な感じが伝わると思うんです。ダンサーで出演しているD.D.Bの方々は世界レベルのプロだし。世界観が追求されているところがすごいなと。高野:最新の技術と最高峰のパフォーマンスで魅せるヒプステは、舞台とショーのいいとこどり。あと、ストーリーを展開させながら、キャラクターたちが感情をラップで語っていくこと自体が画期的だと思うんで、まだ観たことのない方にもぜひおすすめしたいです。『ヒプノシスマイク ‐Division Rap Battle‐』 Rule the Stage ‐Battle of Pride 2023‐9月7日(木)~10日(日)ぴあアリーナMM原作・EVILLINE RECORDS演出・植木豪脚本・亀田真二郎音楽監督・KEN THE 390 テーマソング・井手コウジ全席指定1万5000円(ラバーバンド3 個セット〈全4 種ランダム配布〉付き)見切れ席1万5000円SOGO TOKYO TEL:03・3405・9999イケブクロ・ディビジョン“Buster Bros!!!”伝説のチーム“The Dirty Dawg”のメンバーだった山田一郎をリーダーとし、弟である次男の二郎と三男の三郎からなる。一郎は情に厚い正義漢で弟想い。二郎は行動力があり人望が厚く、三郎は頭脳派で理屈っぽいが天才肌。たかの・あきら1997年7月22日生まれ、福岡県出身。2009年にDream5としてデビュー。その後、俳優としてミュージカル『刀剣乱舞』シリーズなどに出演。今年、帝国劇場で上演された舞台『キングダム』では主役の信を演じた。10・11月にはライブツアーを控える。ライダースジャケット¥165,000(ガラアーベント/サーディヴィジョンピーアール TEL:03・6427・9087)イヤーカフ¥2,750(エルエイチエムイー/Sian PR TEL:03・6662・5525)ブレスレット¥44,000(トゥエンティーエイティー/HEMT PR TEL:03・6721・0882)その他はスタイリスト私物まつだ・しょうた1996年1月5日生まれ、三重県出身。ダンス&ボーカルグループAMAZO NIGHTとして活躍後、俳優に転身。本作のほか舞台『HELI-X』シリーズなどに出演。昨年より音楽活動を本格的に再開し、ミニアルバムを2枚リリースしている。シャツ¥27,500(ルームサーティーン)イヤーカフ¥2,750(エルエイチエムイー) 共にSian PRブレスレット¥29,700(トゥエンティーエイティー/HEMT PR)その他はスタイリスト私物ながしま・りゅうのすけ2001年11月20日生まれ、福岡県出身。ダンス&ボーカルグループZero PLANETとして活動後、俳優として活動をスタート。本作のほか、今年5月公開の映画『タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝。』に出演。シャツ¥29,700(シャリーフ)イヤーカフ¥2,970(エルエイチエムイー)ブレスレット¥27,500(ライオンハート) 以上Sian PRその他はスタイリスト私物※『anan』2023年9月13日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・鹿野巧真ヘア&メイク・瀬戸口清香北崎実莉構成、取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年09月11日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、出産・産後で出会ったいい女を実演。今回は、自分が納得のいく恋愛をする女性、「物語を一人で完結させる女」になりきり。自分なりの目標を立てて努力することが大事!恋愛リアリティ番組「オオカミには騙されない」シリーズでは、切ない片思いをする子が結構、登場します。そんな中、片思いをしているのに、見ていて心が温まる17歳の女の子が現れたんです。恋の相手は残念ながら他の女の子とラブラブで、正直、勝ち目はなさそうでした。彼女にとってはほとんど初めてのような恋愛で、相手に対しても不器用。でも、エピソードが進むうちに少しずつ話せるようになっていったりと、変わっていく姿がとても美しかったです。きっと、自分なりの目標を立ててクリアしていくことで成長していったんだなと。しかも、好きな相手の恋を邪魔することはせず、自分の気持ちをきちんと伝えた上で応援するなど、謙虚な姿勢も健気でした。自分ができることはやったという感じがあり、こんなふうに恋の物語を一人できれいに終わらせることができるんだ、と気づかされました。三角関係のような恋愛模様が繰り広げられた時、いつもなら“上手くいきそうな二人を邪魔しないでほしい”というような気持ちが芽生えていたのに、今回は純粋に彼女を応援していました。この経験は今後の恋に生きるでしょうし、初めての恋愛でこんなふうに振る舞えるのはカッコいいですよね。私は婚活パーティで上手くいかなかった人は未来への踏み台だと考えていたんですけど(笑)、彼女を見ていてあらためて無駄な出会いなんて一つもないんだと感じました。彼女のようになるには、恋愛に限らず、勉強や仕事においても小さな目標を立てて挑戦し、全力でやり切ることが大事だと思います。たとえ結果が上手くいかなかったとしても成長につながるし、納得もできるというもの。さらに、その過程を楽しむことができれば、いい思い出も残るはずです!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。今年6月に第三子を出産。※『anan』2023年9月13日号より。写真・中島慶子文・重信 綾(by anan編集部)
2023年09月10日『勧進帳』といえば、兄・源頼朝に追われた義経一行が山伏に変装し逃亡する道中、安宅の関で関守の富樫左衛門と対峙する物語。歌舞伎十八番に数えられるこの演目を、原典から洗い直し演出を加えることで現代に繋がる新たな作品へと昇華させた木ノ下歌舞伎『勧進帳』は、初演以来、何度も再演を重ねる人気作。「歌舞伎は、梨園の方が代替わりしながら長く受け継がれていますよね。この現代版『勧進帳』も、100年後に古典と呼ばれるようになるまで続けるべき作品だと思っています」そう話すのは、2016年から富樫を演じてきた坂口涼太郎さん。「木ノ下歌舞伎は稽古序盤にキャスト全員で歌舞伎を完コピして、その後に現代語訳の稽古に入っていくんですが、稽古を重ねれば重ねるほど、これが現代に通じる話なんだと実感するんです。敵同士が関所というボーダーラインを挟み、暴力ではなく知性で応戦する話ですが、いつしかそれが国境だったり人種だったりジェンダーだったり、いろんな事柄に置き換えて見えてくるんです」義経の家来の弁慶を米国人のリー5世さんが、義経をトランスジェンダーの高山のえみさんが演じている。「今、世界で大きな戦争が起こっていますが、この作品では両者は言葉で戦い、殺し合いません。暴力に代わる一番の人間の武器は、理性や知性だと思っています。実際にはすごく難しいことだけれど、理想が描かれているからこそ、いつの時代にも誰の心にも響く。その理想の世界を叶えるには知性が必要で、その学校では教えてくれない部分を教えてくれるのが劇場だと思うから、僕は生きている限りやり続けたいなと」この作品に出合う前と後で、俳優としての意識が大きく変わったとも。「自分のやりたいこと、表現したいものが明確になりました。役を通すことで、自分とは違う環境や境遇で生きている人たちの気持ちが身に染みることがあって。僕は、毎日を必死に生きる市井の人が、日々慰められたり元気になれるような作品がやりたいんだと自覚できた。そんな作品に出合えたうえに、たくさんの方たちに喜んでもらえているなんて、嬉しいし幸せですよね」映画『ちはやふる』や連続テレビ小説『らんまん』などの個性的な役柄で存在感を発揮している坂口さん。「誰しも、こんな自分でいいのか、こんな感情になっていいのかと悩んだ経験があると思います。それを肯定してくれるのが、エンターテインメントの役割なんじゃないのかな」木ノ下歌舞伎『勧進帳』兄・源頼朝から追われる源義経とその一行は、奥州に落ち延びる途中、安宅の関に差し掛かる。関守・富樫の追及を逃れるため、家来の弁慶は一計を案じ、富樫に焼失した東大寺再建のための勧進だと伝えるが…。9月1日(金)~24日(日)池袋・東京芸術劇場 シアターイースト監修・補綴/木ノ下裕一演出・美術/杉原邦生[KUNIO]出演/リー5世、坂口涼太郎、高山のえみ、岡野康弘、亀島一徳、重岡漠、大柿友哉一般5500円ほか(各種割引あり)東京芸術劇場ボックスオフィス TEL:0570・010・296沖縄、長野、岡山、山口、茨城、京都公演あり。さかぐち・りょうたろう1990年8月15日生まれ、兵庫県出身。映画『ちはやふる』のヒョロ役などで注目される。現在、ドラマ『らんまん』(NHK)、『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(TBS系)に出演中。シャツワンピース¥49,500(SHAREEF)パンツ¥18,000(room.13)サンダル¥29,700(AIVER)ネックレス¥440,000(SHINGO KUZUNO) 以上Sian PR TEL:03・6662・5525その他はスタイリスト私物※『anan』2023年9月6日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・東 正晃(Masaaki Azuma)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年09月05日NYに暮らす一家が、違法移民の親戚を受け入れたことから起こる悲劇を描いた『橋からの眺め』。社会や家族の難解さや、人間の幸福や生きる意味を問うアメリカ人作家、アーサー・ミラー作の本作で初舞台を踏む福地桃子さん。「普段から、初めての挑戦に対して苦手意識を持つのはやめようと思っていた」と言う。毎日違った感情が生まれるし、学びもとても多い稽古場です。「稽古は毎日が驚きの連続です。共演のみなさんも、こんな稽古の仕方は初めてだとおっしゃるので、初舞台だからというわけでもないようですが、楽しんでやれています」演出は英国内外で活躍するジョー・ヒル=ギビンズさん。ジョーさんにとってもこれが日本での初演出。「ジョーさんはまず、台本の中で感情が変化するごとにセクション分けをするんです。そのうえでみんなで台本を読み解いてタイトルをつけるんですが、まるで国語の授業みたいです。稽古も毎回発見があり、段取りを重視する日もあれば、セリフを言う立ち位置を決める日もあれば、ほぼ何も決めずに自由にやる日もあって。その中で、全員が無理なく役としていられるものが採用されていく。毎日違った感情になるし、学びもとても多くて、ジョーさんをはじめ全員で少しずつ作り上げていっている感じが楽しいです」演じるのは、伊藤英明さん扮する主人公・エディに溺愛される姪のキャサリン。彼女が、違法移民のロドルフォ(松島庄汰さん)と恋に落ちたことから物語が動いていく。「作品について調べていくと、エディのキャサリンへの歪んだ愛情が起こした悲劇だと捉えられることが多いんですけれど、今、役としてはエディからまっすぐな愛情を感じるんです。親は子供のことが心配で仕方ないけれど、子供は新しい世界への興味や好奇心の方に目が向いていて、そこですれ違ってしまうって経験ありますよね。ジョーさんからは、エディ自身もいろんな気持ちが混ざり合って混乱していて、キャサリンとしてそれを受け止めていかなきゃいけないと言われました。たぶんいろんな解釈や表現の仕方があると思いますが、私はその瞬間瞬間を役としてピュアに生きようと決めました」柔らかな空気感を持つ人だけれど、ゆっくり考えながら紡ぎ出される言葉からは芯の強さを感じる。「どんな作品でも共通して気になるのは、演じる人がどんな服装をしているか。流行に敏感か、そうじゃないかとか。今回の衣装からも受け取れるものがあると思うので、大切にしています」PARCO PRODUCE 2023『橋からの眺め』NYで妻(坂井)と姪・キャサリン(福地)と3人で暮らすエディ(伊藤)。ある日、彼らの元に妻の従兄弟が転がり込み、そのひとり・ロドルフォ(松島)とキャサリンが恋に落ちて…。9月2日(土)~24日(日)池袋・東京芸術劇場 プレイハウス作/アーサー・ミラー翻訳/広田敦郎演出/ジョー・ヒル=ギビンズ出演/伊藤英明、坂井真紀、福地桃子、松島庄汰、和田正人、高橋克実S席1万1000円A席9000円ほかパルコステージ TEL:03・3477・5858北九州、広島、京都公演あり。ふくち・ももこ1997年10月26日生まれ、東京都出身。2016年に俳優デビュー。’19年にNHK連続テレビ小説『なつぞら』出演で話題に。近作にドラマ『舞妓さんちのまかないさん』など。ドレス 参考価格¥73,700(GANNIcustomerservice@ganni.com)ピアス¥14,300(Jouete TEL:0120・10・6616)その他はスタイリスト私物※『anan』2023年9月6日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・ゴトウカナエヘア&メイク・曳田萌恵インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年09月04日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、出産・産後で出会ったいい女を実演。今回は、上手な二択問題から正解を導き出す女性、「フローチャートで会話する女」になりきり。どんな答えが返ってきても怯まない気持ちが大事!最近、マイホームをどうしようかと考えていて、ショールームに行くことが多いのですが、洗面台を見に行った時に担当してくれた方が素晴らしかったんです。「収納は引き出しと両開きどっちがいいですか?」「ボウルはオシャレとお掃除のしやすさ、どちらを重視しますか?」「蛇口にこだわりはありますか?」など、二択の質問をいくつか投げかけられ、フローチャートのように答えていくことに。その結果、「横澤さんにおすすめの洗面台はこちらです」と見せられたのが、まさに理想どおりのものだったんです…!その方の質問には全て意味があり、しかも、深く考えずに答えられる質問選びも素晴らしい。分厚いカタログの内容が頭の中に全て入っていることもかっこいいし、1時間という決められた時間のなかで、天板や引き出しの色などを決める時間もしっかりと残すという、時間配分の仕方も見事でした。“この人についていけば、全てにおいて理想的な家が作れるんじゃないか”と思ったほど、一切の不安感がなく、むしろ信頼関係が芽生えているのを感じました。おそらくこの方は、家以外のことに関しても二択問題を用意して、正解を導くことが上手だろうなと思います。たとえば恋人が欲しい人に、「土日休みと平日休み、どっちがうれしい?」「角刈りと長めの髪なら?」と問いかけ、理想の相手を見つけることもできそうですよね!彼女のように上手く質問をして、本音や答えを導き出すためには、まず、自分の想像と違う答えが返ってきてもびっくりしないことが大事。なかには、二択で質問をしても「どっちでもいい」という人もいるはずです。どんな答えをも受け入れる広い心でどんと構え、いろいろな選択肢を準備しておくようにしましょう。よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。今年6月に第三子を出産。※『anan』2023年9月6日号より。写真・中島慶子文・重信 綾(by anan編集部)
2023年09月03日夜が更けてきたら、良質な睡眠のためにSNSもメールも明日までさよなら!寝る前の和みのひとときは、疲れた脳と心を癒してくれる、本とラジオを楽しむ時間です。ラジオ好きの山崎怜奈さんのお気に入りのラジオ、ポッドキャスト番組とは?「朝起きてすぐにつけるのはラジオ、夜帰宅してから聴いているのもラジオ。ラジオは生活のBGMだと思っているので、自宅にいる時は何かをしながら、ラジオやポッドキャストを流していることが多いですね」そう語るのは、ラジオ好きとして知られる山崎怜奈さん。子供の頃からラジオに親しみ、小学生の時には、両親から譲り受けたラジオつきのウォークマンで、「YUI LOCKS!」を聴くのを楽しみにしていたそう。乃木坂46の活動を一時休止して学業に専念していた時には、Radikoで名古屋など地方の番組もチェック。地元で愛されているパーソナリティの飾らないトークに、不思議と癒されたそう。そして、パーソナリティの声や発する言葉に惹かれて、ますますラジオ番組をチューニングするおもしろさを知ったという。「もともと声フェチなのですが、ただいい声なのかどうかではなく、気になるのは自分にとって心地いいかどうか。声のトーンや間、話すタイミング、相槌の打ち方だったりで、その方の人柄が滲み出ますよね。表情やメイク、衣装など情報量が多いテレビとは違い、ラジオはシンプルに声勝負な分、嘘がつけない気がします。隣で会話を聞いているような近しい距離感もラジオの魅力だと思います」3年前から自身がメインパーソナリティとして出演している、TOKYO FMで生放送中の月~木曜の昼の帯番組でも、声と話す話題についてはこだわりが。「番組で大切にしているのは“耳なじみ”。おしゃべりする時は、かかっているBGMと自分の声のテンションやテンポはあまりかけ離れないように心がけています。内容は、普段の日常で感じていることを、割とあけすけにお話ししていますが、ラジオだからしっくりくる気が。アイドルを卒業して、もう少し素の自分を感じてもらいたいですしね(笑)」そんな山崎さんの、眠る前のひとときを彩るお気に入り番組が今回紹介する6つ。なかなか寝つけない時におすすめという、声と内容が耳心地よい番組を選んでくれた。「声に癒されるイチオシは『深夜の音楽食堂』。松重豊さんの低音ボイスがとにかく心地いい音楽番組で、選曲もおしゃれです。また、有名ですが『ラジオ深夜便』もベテランアンカーたちの穏やかな声と、よく聞くとためになる、でも刺激的ではない話題がほどよく眠りを誘ってくれます。『となりの雑談』は、感性も思考も違うけれど仲のいいジェーン・スーさんと桜林直子さんの、ボソボソとしたおしゃべりに癒されます。内容では『荻上チキ・Session』。専門家をお迎えして、チキさんがうまく解釈しながら先の理解まで引っ張っていってくれるニュース番組で、寝る前に何か学びを得ると充実した気持ちに。『夜ふかしの読み明かし』は、本好きたちが本について語り明かしている番組で、興味深いけれど気づけば寝落ちしています。『THE TRAD』は昼間の音楽番組ですが、タイムフリーで夜に聴くとしっくりきて。テーマによっては就寝前向きでない時もありますが、『JET STREAM』はまだハードルが高い20代にはほどよい気がします」安眠の友SELECTIONRadio『深夜の音楽食堂』出演:松重豊音楽を愛する俳優の松重豊がマスターを務める“音楽食堂”に、ミュージシャンや俳優、映画監督などさまざまなゲストを迎えて熱い音楽談議に花を咲かせる。FMヨコハマ火曜24:30~25:00Radio『ラジオ深夜便』生放送を365日、30年続ける大人のための番組。各界の著名人のトーク、季節の話題、落語、懐メロなど多彩な内容で、近年は若い世代のリスナーも。NHKラジオ第1毎日23:05~29:00、NHK FM毎日25:05~29:00Podcast『となりの雑談』出演:ジェーン・スー、桜林直子雑談の人・桜林直子とコラムニスト、ジェーン・スーの雑談番組。特にテーマのない二人の雑談は、まさに喫茶店で隣の席のお客さんの会話に耳を傾けるような感覚で楽しめる。TBS Podcast火曜20:00配信Radio『荻上チキ・Session』出演:荻上チキ「今、何が起きているのか?」「なぜ、起きているのか?」をクリアに解説。その上で、一歩先の未来、アップデートされた新しい価値観を提示するニュースプログラム。TBSラジオ月~金曜15:30~17:50Radio『夜ふかしの読み明かし』出演:西川あやの、永井玲衣、大島育宙アナウンサー、哲学者、芸人と異なるフィールドで活躍する同世代の3人が、特定の本について語り合う読書会や哲学対話を繰り広げるトークコンテンツ。文化放送 PodcastQR水曜日配信Radio『THE TRAD』出演:稲垣吾郎(月・火曜)、ハマ・オカモト(水・木曜)ほか“上質な音楽を、じっくり味わう。”がコンセプトの仮想のレコードショップを舞台に、上質な音楽と文学、グルメ、アート、映画などのカルチャー情報を生放送でお届け。TOKYO FM月~木曜15:00~16:50山崎怜奈さん2022年に乃木坂46を卒業。『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』(TOKYO FM)でラジオパーソナリティを務めるほか、テレビにも多数出演。フォトエッセイ『山崎怜奈の言葉のおすそわけ』(マガジンハウス)も発売中。※『anan』2023年9月6日号より。イラスト・SANDER STUDIO構成、文・野尻和代(by anan編集部)
2023年09月03日シリーズ累計発行部数55万部の人気恋愛小説『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』を実写化。誰もが恋する気持ちを思い出す、甘酸っぱくも純度の高いラブストーリーでW主演を務めるのはJO1の白岩瑠姫さんと久間田琳加さん。お二人に、作品にかける想いや現場でのエピソードを伺いました。――久間田琳加さん演じる丹羽茜は学校ではマスクが手放せない優等生、白岩瑠姫さん演じる深川青磁は絵を愛する自由奔放な役柄。演じる上で気をつけたところは?久間田琳加(以下、久間田):映画のお話をいただいた時は正直、私に演じきれるだろうかという不安がありました。マスクをしている分、表情が見えるのが目元しかないので、目だけで演じることが心配ではあったんですけど、私も普段から本音が言えなかったり、遠回しに伝えようとするタイプなので、茜の気持ちはわかるなって共感できましたね。白岩瑠姫(以下、白岩):僕は青磁には最初から親近感を抱いていたんですよ。一番似ているなと思ったのは、あまり学校に行かないところ(笑)。それ以外にも175cmの痩せ型で髪色も同じだったし、まっすぐで自分に嘘をつけないのも共感できました。なので、青磁を演じることに関しての違和感はなかったですね。――お互いに、役にぴったりだなと思うところはありましたか?久間田:今、ご自分でもおっしゃってましたけど、白岩さんは本当に青磁そのままでした(笑)。白岩:そうです(笑)。久間田:映画主演は初めてなんて、まったく感じさせない飄々とした感じがあって。「なんとかなるっしょ」というマインドも青磁そのもので、まさに原作から飛び出してきた感じ。現場でもみんなから、すごく慕われていました。白岩:撮影が進むにつれてクラスメイト役の子たちと、自然と仲良くなりました。面白いメンツが揃っていて、話をしているだけで気がラクになったし、あまり緊張せずにできたのはみんなのおかげです。(久間田さんが)茜に似ているところは、芯の強さ。年齢は下だけどしっかりしていて、リードしてもらうことも多かったです。――酒井監督とのやりとりの中で印象に残っていることは?久間田:撮影に入る前は今までにない不安を感じていたので、酒井監督に気持ちを全部素直に伝えたんです。そうしたら「伝えようとしなくていい、感じたまま表現してくれればいい」と言ってくださって、肩の力が抜けました。力まず、目の前にいる青磁を見て、思ったようにやろうって。その言葉は撮影中、何度も思い出しました。白岩:僕は人見知りで、自分から話しかけることができなかったんですけど、酒井監督に「現場を作るのは君だから」と言われて、そこから意識が変わりました。みんなでひとつの作品を作り上げているんだ、僕たちだけじゃなく、監督やスタッフの方、本当にたくさんの方が関わってくださっているんだというのを肌で感じて、責任感もどんどん大きくなりました。そういうのを一から教えてくれて、一緒に歩んでくださった酒井監督は大きい存在ですね。――お互いの初対面の際は、どんな印象を持ちましたか?白岩:久間田さんの第一印象は、おとなしくて、ふわふわしていて、真面目な子。でも思っていたより明るいし、話しやすかったです。後半には僕のことをいじってくるようになりました(笑)。久間田:白岩さんはずっと下を向いていて、全然話してくれる印象がなくて…(笑)。私も人見知りなので“これはヤバいぞ”と思ってたんですけど、撮影に入ったらそれが急になくなりましたね。白岩:酒井監督からも「もっと自分を開放していこう」と言われて、そこからは自分も気がラクになったんですよ。それまではどう接したらいいのか僕もわからない部分があったので、コミュニケーションがとれるようになってからはやりやすくなりました。久間田:意外な一面で言うと、すごく偏食なんですよ。常にコンビニの袋にパンパンにお菓子と炭酸の飲み物が入っていて、「お弁当食べないんですか?」って聞いても、「お菓子でいい」みたいな。白岩:それに関しては現場でもすごくいじられました(笑)。でも時間もあまりないから、お菓子でサッと済ませて。あの頃の青磁はほぼお菓子でできてるんですよ。久間田:それでお肌のコンディションを保てるのがすごいですよね。――印象に残っているシーンは?白岩:ペンキを使って二人で絵を描くシーンはCGを一切使っていないんですよ。僕たちも映画が完成するまであのシーンはちゃんと見られていなかったんですけど、出来上がりがすごくきれいでした。久間田:酒井監督は色や小道具へのこだわりも強くて、どの場面も、それが全部映像として、美しく映し出されているんです。私も演じながら酒井監督ワールドに入ったような感じがして、楽しかったですね。ぜひみなさんにも、その世界観を映画館で感じてほしいです。『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』“正反対”な二人が惹かれ合う色鮮やかなラブストーリー。学校ではマスクが手放せず、優等生を演じながら本心を隠して生きる茜と、自由奔放で絵を描くことを愛する、誰からも一目置かれる銀髪の青磁。正反対な二人は青磁の描いた絵をきっかけに急接近。しかし以前、茜は青磁から「お前が嫌いだ」とハッキリと告げられており――。酒井麻衣監督が瑞々しい映像美で描き出す青春ラブストーリー。9月1日公開。©2023『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会しろいわ・るき1997年11月19日生まれ、東京都出身。2020年、JO1のメンバーとしてデビュー。9月20日には3rdアルバム『EQUINOX』がリリース。本作の主題歌「Gradation」も収録される。ネクタイ¥6,600(LAD MUSICIAN/LAD MUSICIAN HARAJUKU TEL:03・3470・6760)パンツ¥47,300(blankblank.info193@gmail.com)左耳上のイヤカフ¥13,200左耳下のイヤカフ¥31,900ネックレス¥50,600(共にe.m./e.m. 表参道店 TEL:03・6712・6797)その他はスタイリスト私物くまだ・りんか2001年2月23日生まれ、東京都出身。’12年よりモデルとして活動を始める。’15年にドラマデビュー。ドラマ『こっち向いてよ向井くん』で演じた年下沼らせ女子・アンも話題に。ネクタイつきブラウス¥33,000(Diagram/Diagram 表参道ヒルズ店 TEL:03・6804・3121)ワンピース¥19,800(LIBJOIE/LIBJOIEカスタマーサポートcontact@libjoie.com)右耳上のイヤカフ¥11,000(DUE DONNE)右耳下のイヤカフ¥21,120(NOMG)その他はスタイリスト私物※『anan』2023年8月30日号より。写真・田形千紘スタイリスト・増田翔子(白岩さん)Toriyama悦代(One8tokyo/久間田さん)ヘア&メイク・佐々木美香(白岩さん)Mien(Lila/久間田さん)取材、文・尹 秀姫(by anan編集部)
2023年08月28日昨年にドラマ『きれいのくに』で市川森一脚本賞を、今年、舞台『ドードーが落下する』で岸田國士戯曲賞と、『もはやしずか』『ザ・ウェルキン』で読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞するなど注目を集める加藤拓也さん。夏帆さんにとっては、今回の新作舞台『いつぞやは』が2018年の短編映画『あおいろなおし』以来の加藤作品への出演となる。「前回は撮影が1日だけだったんです。しかもその作品はわりとハッピーな話だったんですが、のちのち舞台を拝見させていただくようになったら、普段書かれるものは全然違う。今回、縁あってまたご一緒させていただけるのが嬉しいです」夏帆さんが演じるのは、窪田正孝さん扮する一戸のかつての劇団仲間で、結婚を目前に控えた小久保。仲間が久々に集う中、一戸がステージ4の癌を患っていることを告白するところから始まる物語だ。「加藤さんの舞台って、観るたびに言葉にできない気持ちが渦巻くんですよね。自分の経験とリンクするような瞬間があったり、考えさせられることがあったり、持ち帰るものはたくさんあるのに、それをうまく言語化しづらいんです。こういうお話でこう感じましたと簡単には言えない。でもそれが加藤さんの作品の魅力だと思いますし、今回の舞台もまさにそう。すごく共感するけれど、簡単に言葉にしちゃいけないような…そんな気がするんです」まさにその、明確な言葉では説明できないような複雑で繊細な感情を描いていくのが、加藤作品の魅力。「そこに書かれているセリフと、思っていることとが裏腹な場面がたくさんあって、そのまま素直にセリフを言ってもダメだったりするんですよね。セリフ自体が砕けたものだけに、サラッと口にしてしまうと、大事なことまで流れていってしまう。言葉の裏にある気持ちが複雑に絡み合って進んでいく話なので、セリフの複雑なニュアンスを汲み取って表現していくことが求められるというか。まだ今の私は、他の方のお芝居を見ながらそこを、こういうことなのかなって探っている段階ですね」夏帆さんといえば、話題を呼んだドラマ『ブラッシュアップライフ』での、安藤サクラさん、木南晴夏さんとのリアルな“あるある”満載の生っぽいお芝居が記憶に残る。「頭で考えてそこに辿り着くというより、現場で相手の俳優さんとやり取りしながら徐々に役ができていくことが多いんですよね。人って、他人との会話や関係性の中で、キャラクターというものが出来上がってくるものだと思いますし。やっていくうちに、役が馴染んできたなって思う瞬間があるんです。映像の現場だと、そうも言ってられないことも多いんですけれど」昨年、向田邦子原作の『阿修羅のごとく』で6年ぶりに舞台に立ったが、「いまだに、立つと新人の気持ちになる」と話す。「どうしてもまだ苦手意識はあって、慎重になってしまうんですけど…。ただ今は毎日、役者としても人間としても学ぶことが多いです」シス・カンパニー公演『いつぞやは』ステージ4の癌であることがわかり、実家の青森に帰ることにした一戸(窪田)。帰郷を前に、かつての劇団仲間たちと集まるが、それぞれがそれぞれの事情を抱えていて…。8月26日(土)~10月1日(日)三軒茶屋・シアタートラム作・演出/加藤拓也出演/窪田正孝、橋本淳、夏帆、今井隆文、豊田エリー、鈴木杏全席指定9000円トラムシート7000円シス・カンパニー TEL:03・5423・5906(平日11:00~19:00)10月4日(水)~9日(月)に大阪公演あり。かほ1991年6月30日生まれ、東京都出身。近作に、ドラマ『silent』『ブラッシュアップライフ』など。Amazon Prime Video配信中の『モダンラブ・東京』で、荻上直子監督作の第4話「冬眠中のボクの妻」に出演。トップス¥31,900シューズ¥36,300(共にRhodolirion/NEPENTHES WOMAN TOKYO TEL:03・5962・7721)スカート¥41,800(Lautashi/BRAND NEWS TEL:03・3797・3673)ピアス¥10,120(graey)その他はスタイリスト私物※『anan』2023年8月30日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・李 靖華ヘア&メイク・秋鹿裕子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年08月27日できれば生きているうちに、日々の行いを省みたいけれど、もし、死んでからでも人生を反省することができるとしたら…?死後の世界で我が身を成仏させるために自分の人生と向き合う、新ドラマ『オレは死んじまったゼ!』で、人生を見つめ直す幽霊を演じる、柳楽優弥さんと川栄李奈さんのお二人にお話を聞きました。――本作は、死後の世界で幽霊たちがどう生きていくのかを、笑いを交えつつ描いたドラマです。幽霊役と聞いてどう思いましたか。柳楽優弥(以下、柳楽):幽霊役なんて初めてだったから、ピンとこなくて。役や物語というよりも、長久允監督の作品が好きだったので、まずは長久組に入れることにワクワクしました。川栄李奈(以下、川栄):私は最初に「柳楽さんが主演の幽霊の話で、コメディです」って聞いて、これは絶対に面白いと(笑)。柳楽さんとは、過去2回、共演経験があったので。クランクインした時は、お久しぶりです!って感じでした。柳楽:監督が書いた脚本を最初に読んだ時に、生前の自分自身を受け止めて赦すという“成長”を感じることができて。死後の世界を描いているけれど、サスペンスではないんですよね。――長久監督は、広告代理店でCMプランナーとして活躍される、注目株の映画監督ですね。柳楽:視点も独特で、映像の可愛い色合いの中にモノクロ画像を取り入れたり。おしゃれでカッコいいセンスを感じました。――登場する主な幽霊を演じたのは、元ホストの桜田和彦を演じた柳楽さん、元看護師の佐々木咲を演じた川栄さんほか、賀屋壮也さん(かが屋)、長澤樹さん、三遊亭好楽さん。全7話のドラマで、毎話、それぞれの生前の人生がしっかりと描かれていますが、この作品の魅力をどんなところに感じていますか?柳楽:生きていて、そんなに思い通りにいかないなと思うことは誰にでもあると思うんです。わかっていても生前はそれに向き合わずにいて、死後になってようやく自分の生前の人生に向き合い始めるというのが、この物語のテーマ。一つ屋根の下で暮らす幽霊たちはもともと、ホスト、看護師、芸人、女子高生、千利休…とキャラクター設定も面白くて、いろんな人に共感してもらえそう。川栄:幽霊たちの個性が強くて、バックグラウンドも全然違いますが、1話見終えるたびにすごく心温かくなりました。それから、例えばホストクラブのシーンでは、ワインボトルのコルク部分に小さいカメラをつけたり、器の中から撮ってみたりと、斬新なカメラワークも楽しめると思います。柳楽:そうそう。監督の手法が独特で面白いですよね。あと、死後の世界なのに人間らしい部分がちゃんとあって、何かに向き合うことって生前も死後もあまり変わらないと思うのもいいな、って。キレイごとだけではなくて、自分の事実に向き合っていく物語をファンタジーな世界観で描いているので、見やすいと思います。――撮影中、印象に残っているエピソードを教えてください。柳楽:前室(待合室)がみんな一緒で、しかも狭かったんです。川栄:私、人見知りなので現場でうまく話せないことが多いし、共演者と友達になることも少なくて。やっと少し話せるようになった頃には撮影が終わっちゃう…ってことが多かったんです。だから今回、前室がかなりこぢんまりしていたからどうしようって思ってて。柳楽:しかも、そこにみんなでいる時間が長いんですよね。それぞれが、何を話そうかな…って思っていたと思う(笑)。――人見知りにとってはハードルが高い状況ですね。それで、どうされたんですか?川栄:賀屋さんがうまくて。柳楽:いいムードを作ってくれたので、さすが芸人さんだなって思いました。まだ10代の樹さんとかにもいじられながら。川栄:私もめちゃくちゃいじってました(笑)。柳楽:でも、その返しもうまくてさすがで。あと、好楽さんのセリフのあとに、僕のセリフが続くシーンで、妙な間があったんです。“あれ?好楽さんセリフ忘れてるな…”って思ったんですが、監督がなかなかカットをかけないから、しょうがなく僕がセリフを口にした瞬間に、好楽さんがセリフを喋り出して。川栄:あははは(笑)。柳楽:「ごめん、ごめん!」って。『笑点』で拝見している通りの、素敵な方でした。――楽しい現場でしたね。柳楽:はい。現場で自然体でいられる関係性は、僕が普段から意識して望んでいることでもあります。川栄:私はいつもご縁を大事にしているので、また柳楽さんとご一緒できたことが嬉しかったし、新しく出会った賀屋さんや樹ちゃんと仲良くなれたり、落語家さんとの共演という貴重な経験ができて思い入れの深い作品になりました。柳楽:僕、いつもはグループLINEとか作らないんだけど、今回は初めて作ったんです。川栄:柳楽さんが賀屋さんに「LINEやってますか?」って聞いたら「やってますよ」って返ってきたのに、柳楽さんは「へぇ~」で終わらせてて。「ちゃんとアカウント聞いてくださいよ」ってツッコまれてましたね(笑)。柳楽:それで賀屋さんがグループを作ってくれたんですけど、アイコンは自分のイケメン写真ですし、グループ名は“カムカムエヴリバディ”という…(笑)。“オレは死んじまったゼ!”ってつけたくなかったのかな。川栄:グループ名面白すぎでした。柳楽:思い出すと、いろいろ楽しい現場だったね。『オレは死んじまったゼ!』ポップだけどどこか切ない。生前の自分と向き合う意味。未来に希望を持たずに、人生を無為にやり過ごしていた場末のホスト・桜田和彦が、突然“死んじまった”ことから始まる物語。成仏できない幽霊たちと一つ屋根の下で暮らしながら、桜田は自分の人生を見つめ直し、後悔と向き合っていく。9月1日(金)23:30~WOWOWの連続ドラマW‐30にて放送・配信開始。全7話。提供:WOWOWやぎら・ゆうや1990年3月26日生まれ、東京都出身。主演映画『誰も知らない』で、第57回カンヌ国際映画祭の男優賞受賞。映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』が10月13日公開。ジャケット¥75,900(CIRCOLO 1901/TOYOTA TRADING PRESS ROOM TEL:03・5350・5567)パンツ¥46,200(HEUGN/IDEAS TEL:03・6869・4279)かわえい・りな1995年2月12日生まれ、神奈川県出身。連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』では、最終章で主演を務めるなど、俳優として多くの映画やドラマなどで活躍中。ブーツ¥171,000(JIMMY CHOO TEL:0120・013・700)その他はスタイリスト私物※『anan』2023年8月30日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・長瀬哲朗(柳楽さん)有本祐輔(川栄さん)ヘア&メイク・望月志穂美(柳楽さん)KUMI(川栄さん)取材、文・若山あや撮影協力・BACKGROUNDS FACTORY(by anan編集部)
2023年08月27日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、出産・産後に出会ったいい女を実演。今回は、全身の様子がわかる写真を撮る女性、「立ち姿を写真に収める女」になりきり。服装や風景、季節などがわかる一枚を撮ろう。妊娠中に友だちとごはんに行ったのですが、いつものように料理やケーキと一緒に写真を撮ろうとしたところ、「夏子、せっかくだから妊婦姿がわかるようにしようよ」と言われ、立ち姿で撮影することになったんです。これまで意外と、友だちとの写真に全身で写ることがなかったので、新鮮に感じました。最初は、体重も増えているタイミングなこともあって恥ずかしく、“本当に全身で?”と思ったのですが、撮った写真を見てみると、すごくいい仕上がりに。みんなの全身コーディネートがしっかりと見えるし、それぞれの身長のバランスもわかる。なんだか不思議な躍動感みたいなものを感じることができました。以前、とあるカメラマンの方に、「子どもと写真を撮る時は、親が横に並ぶと、子どもの成長がわかりやすくていい」と教えてもらったのですが、友だちと撮る時も同じだなと。立った状態で横に並ぶことにより、いろいろな情報が伝わってくるんだと気がつきました。それに、妊婦である限られた瞬間を写真で残そうという考え方も素敵ですよね。また、お店の中だけでなくお店の前でも撮影をしましたが、まるで記念写真のような一枚になり、それもすごくよかったです。全身が写る写真を撮る機会をもっと増やそうと思いました。友だちのように立ち姿の写真を撮る人になるためには、“料理を撮ろう”など、何か一つのものだけを見るのではなく、空間を全体的に見ることが大事。そして、服装や風景、雰囲気、季節なども全部込みで撮影して残しておこうという意識を持つといいのではないでしょうか。有吉弘行さんがよく撮っている「オバショット」が好きですが、それも全身で写っていることが多く、行った場所や季節感もよくわかって素敵です!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。今年6月に第三子を出産。※『anan』2023年8月30日号より。写真・中島慶子文・重信 綾(by anan編集部)
2023年08月26日今年1月にスタートして以来、あっという間にお茶の間に浸透した生放送バラエティ『ぽかぽか』。毎日見たくなる、楽しさの秘密を探ります。毎週月~金曜日のお昼に放送されているバラエティ番組『ぽかぽか』が、いま面白いと話題に!MCをつとめるのは、お笑いコンビ・ハライチとフリーアナウンサーの神田愛花さん。楽しくも、時に鋭い切れ味や奇想天外な展開を見せるトークや、シンプルながら攻めている他では見られないコーナー企画。そして、生放送ならではのハプニングなど、見る者を楽しませるエッセンスが、約2時間の中にギュギュッと詰め込まれている。“お昼だから『ぽかぽか』を見よう”と多くの人がテレビをつけるこの番組の魅力を、潜入ルポやディレクターのインタビューを交えながら紹介します!気になる現場をルポ。『ぽかぽか』の生放送に潜入!生放送中の『ぽかぽか』の会場に突撃取材を敢行。最初から最後まで笑いがあふれる現場の様子をお届け!潜入したのは金曜日の放送回。フジテレビ7階の「ぽかぽかパーク」には多くの観覧者が集まり、放送が始まる前からスタッフの方がみなさんを盛り上げ、温かいムードを作っている。そして11時50分、チャラン・ポ・ランタンが歌うオープニングテーマが流れると、MCであるハライチの岩井勇気さんと澤部佑さん、神田愛花さんが登場!会場は賑やかな雰囲気に。さらに金曜日のレギュラーメンバーであるアンジャッシュの児嶋一哉さん、犬飼貴丈さんも出てきて、軽妙なトークが繰り広げられた。まずは、「ぽいぽいトーク」からスタート。この日のゲストは船越英一郎さんで、「ドラマの現場で怖い経験したことあるっぽい」「日本一崖を知ってるっぽい」など、サスペンスドラマの帝王らしいイメージが続出。完成度の高い船越さんのトークに対して、岩井さんが「こすりたおした話っぽい」とフリップを出し爆笑をさらう場面も。そして、「パパvsパパ麻雀牌手積みサドンデス」では想定外の事件が発生…!パパ同士が欲しいものを懸けて麻雀牌を手積みするこのゲーム。どちらのパパも譲らない息をのむ攻防戦が繰り広げられ、会場が妙な緊張感と高揚感に包まれることに。戦いが長引いた結果、その後の進行が駆け足になるものの、これも生放送ならではの楽しい展開の一つ。最後のコーナーは、文化服装学院の学生が“神田さんに着てほしい服”をテーマに衣装を作る「神田さん、来週着てください!」。リボンのついた「真実の口」のようなセットに入り、ハイレベルな作品に迷いながらジャッジをくだす神田さんはなんともキュートだった。そして約2時間の放送が、あっという間に終了。印象に残ったのは、ハライチのお二人と神田さんが、テレビに映っていない瞬間も会場内外の観覧者に声をかけたり、手を振ったりと盛り上げていたところ。また、出演者のサインを懸けたじゃんけん大会が行われるなど、観覧者を巻き込みながら一緒にいい番組を作ろうとする姿にも胸が熱くなる。『ぽかぽか』が人気なのは、面白いことはもちろん、会場のいいムードがテレビ越しに伝わっていることも大きな要因だと感じられた。ユニークで楽しい!コーナーの一部を紹介「ぽいぽいトーク」ゲストのイメージの真偽やいかに。日替わりゲストが登場してMCとのトークを繰り広げる全曜日共通企画。ゲストに「っぽい」という勝手なイメージを投げかけ、正誤を教えてもらいながら人柄を掘り下げる。岩井さんと神田さんのフリップ芸も見どころの一つ。「目指せ300g牛肉ぴったんこチャレンジ」景気がよくて楽しい肉塊カット。約2kgのお肉の塊に包丁を入れ、300gに切り分けることを目指す。ぴったりなら2kg全部、誤差±10g以内であればカットしたお肉を持ち帰ることができる。成功したら大盛り上がり、失敗しても笑いが生まれる斬新で平和なコーナー。『ぽかぽか』ディレクター・鈴木善貴さんを直撃!――お昼の生放送、しかも帯番組のディレクションを担当することは大変そうですがいかがですか?他の番組もですが“やってみないとわからない”というところがありまして。僕自身が楽観主義なこともあり、悲観的な気持ちも危機感もなく、会社員だしやるしかないな、と(笑)。僕が提案したことを実現するスタッフが大変です。――トークから始まる一連の構成は、どのように決めたのですか?最初は3時間放送で。12~13時、13~14時、14~15時の3つに分けて企画を考えていました。各時間帯の視聴者層は、それぞれ少しずつ違う気がしたんです。最初の1時間はランチを食べながらしっかり見る方が多そうだから、後ろにいくにつれて、より深く考えずに見られるものにしよう、とか。最初と後ろの1時間の企画を何となく僕が考え、間の1時間の企画を各曜日のディレクターに考えてもらいました。最初にゲストを迎えるトークコーナーを設けたのは、逃げじゃないですけど、1週間、毎日やって飽きられない企画は、これしかないと思ったからです。ゲストが変わると新鮮味が生まれるし、MCの3人がうまくやってくださるので、僕はあまり汗をかいてません(笑)。――『ぽかぽか』といえばユニークなコーナーが大きな魅力です。企画を考える時に大事にしていることや軸はあるのでしょうか。まずは、お昼の番組をかじりついて見る人は少ないので、他のことをしながらの流し見でも理解できるように、複雑な内容にしないながらも、普通の企画一辺倒にはならないよう、スパイシーさを入れることは大事にしています。あと、シンプルな構造の中で自由に遊ぶという、ハライチの漫才構造というか、岩井くんのお笑い理論にちょっとだけ寄せている部分はあるかもしれません。岩井くんがノって笑うと会場に一体感が生まれますしね。そのために、どこかにカタルシス、ベタな言葉でいうと作り手の熱を入れてほしいと伝えています。想いを持ってやっている企画は視聴者にも届いている気がするので。――生放送の様子を見ましたが、MCの3人には一切の隙がなく、感動しました。神田さんは、人とは違う、いい意味で偏った視点から見るスキルが素晴らしいです。ハライチの二人は本当にテレビ慣れをしていて。編集しなくても編集したかのような会話のラリーが本当に見事です。澤部くんはテレビが大好きで、ダウンタウンさんやとんねるずさん、明石家さんまさんなどを見てきて、“こう振る舞えばいい”ということが頭に入っているんでしょうね。そこに岩井くんの毒が入り、心地のいい関東風の番組になっているのかなと思っています。――一般の方が登場する企画も多いです。それも、必ずやりましょうとスタッフと話していたことの一つです。『(笑って)いいとも!』イズムであったり、僕は『アウト×デラックス』を担当していましたが、面白い一般の方が好きだということも影響しているんですけど。生放送特有の“何が起こるかわからない”部分を生み出すには、一般の方に出ていただくのが早い方法ということが大きいです。『あっぱれさんま大先生』が僕の根底にあるのですが、想像を超える子どもの発言のような、台本に書けない笑いが大好きで。それは、『ぽかぽか』を作る時にも大事にしています。生放送に関していうと、失敗やハプニングはすべて面白い、おいしいことになると考えています。たとえシーンとなったとしても、後で「あれは何だったんですか?」と言って笑いになったりもしますから。神田さんも言っていますが、ドキュメントとして見てもらえたらいいなと思います。ディレクター・すずきよしたか1980年生まれ。総合演出を担当。『笑っていいとも!』『ホンマでっか!?TV』『さんまのお笑い向上委員会』『アウト×デラックス』などに携わる。『ぽかぽか』毎週月~金曜11:50~13:50、フジテレビ系で放送。1週間分の放送回をTVerで見逃し配信。※『anan』2023年8月30日号より。写真・内山めぐみ取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2023年08月26日是枝裕和監督の最新映画『怪物』に出演し、第76回カンヌ国際映画祭に参加。ガラスのように繊細な少年を熱演し世界の注目を集めた黒川想矢さん。国際的にも評価の高い是枝組の撮影から若き俳優が感じたこととは…?演技に悩み、考え、作っていく。新鮮な経験の連続でした。少年と青年の間を行き交うように、夏の太陽の下で一瞬ごとに違う表情を見せてくれた黒川想矢さん。是枝裕和監督の最新作『怪物』で主人公・麦野湊を演じ、世界から脚光を浴びる13歳。そのきっかけは2年前の夏のこと。「それまでも子役をしていたんですが、一度お仕事に区切りをつけようと思ったタイミングにこのオーディションの話が来て『湊の役をやってみたい』と思ったんです。オーディションは全部で4回あって、結果が出るまでものすごく長くて…(笑)。その間、お正月に『是枝組に受かりますように』ってお参りした記憶があります」是枝組には“是枝イズム”ともいわれる独自の手法があるという。幼い俳優には台本を渡さず口頭でセリフを伝えるのもその一つ。「でも今回は監督から『台本はあったほうがいい?』と聞いてもらったので、僕と(同級生役の)柊木陽太くん…僕は役名で依里くんて呼ぶんですけど、二人で『あったほうがいいです!』ってお願いして。まずは自分で台本を読んで、どこで自分の心が動くかを感じてみたいと思ったんです」一方でクランクイン直後は演技で壁にぶつかったことも。そこで手を差し伸べてくれたのは担任教師役の永山瑛太さんだった。「ある日瑛太先生がジンギスカンに誘ってくれたんです。そこで『俳優は監督の脳みそにあるものを表現するんだよ』って言われて、すごく腑に落ちました。それからは考えすぎず、迷ったら監督に質問して。そういうとき監督は『こうしたらいいんじゃない?』ってヒントをくれました。印象的だったのは『感情を体の感覚に変えて演技してみたらどうですか』という言葉。例えばうれしいときは寒い日でもお腹の中がぽかぽかする、とか。それからは全身の感覚も使って演技ができてきたのかな」そして湊と依里。少年二人の無垢な絆は、迷宮のような物語の中で希望を感じさせてくれる。「依里くんとは、役作りと親交を深めるために、ロケ地近くの古い民家で生活を共にすることから始めました。オムライスを作ったり、一緒にお風呂に入ったり、喧嘩したり。依里くんは可愛いんですよ。LINEでスタンプを連続で送ってきたり悪ふざけをして、弟みたいに甘えてくる(笑)。ずっと一緒に過ごすうち、何でも言い合える親友になれました」少しずつ関係性を紡いで、感じたことを全身でカメラの前に表して。そうして生まれた映画はカンヌ映画祭の正式招待作品に。「飛行機も海外も初めて。タキシードを着て会場に行く車の中から見たカンヌの海の景色は、一生の思い出です。レッドカーペットの上ではみんなで喜び合って、一つの家族になれた気がしました。でも何よりうれしかったのは、完成披露舞台挨拶で母親役の安藤サクラさんが抱きしめてくれたこと。この作品に出られてよかったと心から思いました。実はサクラさんとは撮影中何か噛み合わなくて…(笑)。でも当時は“噛み合わない親子”の空気を作ってくれていたんだって、そのときちょっとわかりました。僕の中で作品が完結した瞬間だったかもしれません」『怪物』出演と時を同じくして変化したことがもう一つ。ドラマで共演した舘ひろしさんに憧れ「舘プロ」の一員になったのだ。「誰にもやさしく接する舘さんみたいな人になりたいです。舘さんとは二人きりでお寿司を食べたり…。約60歳差?そっか。でも一緒にいるだけで楽しいんです。いまは『あぶない刑事』を観た影響で、刑事役をやってみたいです。バイクから銃を撃つ場面、かっこよかった!ずいぶん撃つな~ってびっくりもしたけど(笑)」シャイな笑顔で13歳の素顔をのぞかせる。そしていつかは人を喜ばせる俳優になるのが夢。「僕のばあばが『怪物』を観て『私の楽しみはあなたたちよ』と言ったんです。誰かが喜んでくれるってなんかいい。その先にまた世界が待っていたらうれしいです」『怪物』稀代のクリエイターが集いカンヌを沸かせた話題作。それはよくある子供同士の喧嘩に見えた。しかし、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込んでいく。母と息子、小学校の教師や友人の歯車を狂わせる“怪物”とは…。メガホンをとるのは是枝裕和監督。家族や学校の狭いコミュニティでの人間関係の歪さを巧みに描く。第76回カンヌ国際映画祭では脚本を担当した坂元裕二さんが脚本賞を、そしてLGBTやクィアを扱う映画に与えられるクィア・パルム賞も受賞。また坂本龍一さん最後の映画音楽作品になった。©2023「怪物」製作委員会くろかわ・そうや2009年12月5日生まれ、埼玉県出身。5歳から芸能活動を開始し、NHK BS時代劇での舘ひろしさんとの共演を機に舘プロに加入。趣味は一眼レフカメラ。「カンヌでは是枝監督に被写体になってもらいました!」シャツ¥20,900(マスターキー/ティーニー ランチ TEL:03・6812・9341)※『anan』2023年8月30日号より。写真・高橋マナミスタイリスト・鹿野巧真ヘア&メイク・岩淵賀世取材、文・大澤千穂(by anan編集部)
2023年08月26日今年5月に配信がスタートしたNetflixオリジナルドラマ『サンクチュアリ -聖域-』は、世界的に注目を集め、グローバルランキングにもランクインする快挙を達成。本作はいかにして生まれたのか?主人公・猿桜(えんおう)を演じて話題を集める一ノ瀬ワタルさんに聞きました。体を張って演じてきたので、絶対に流行ってほしかった。「ananさんにソロで撮影してもらえるなんて光栄っすなぁ」そう言って撮影中、茶目っ気たっぷりに笑った一ノ瀬ワタルさん。キックボクシングで鍛えた体躯、強さと優しさが同居する瞳の奥の輝き。存在すべてが『サンクチュアリ -聖域-』で彼が演じた力士・猿桜を思い起こさせる。大相撲を題材に、Netflixオリジナルドラマとして制作された本作。問題児力士・猿桜と仲間、宿命のライバルの肉体と生き方が土俵という“聖域”でぶつかり合う。その圧倒的な迫力はたちまち世界を熱狂の渦に巻き込んだ。反響は耳に届いているのだろうか。「う~ん、そうですね。エゴサは自分の軸がブレちゃう気がしてやらないんですけど(笑)、会った人から感想を聞くとうれしいっすね。精神的にも肉体的にも限界までやりきった自信はありますから」一ノ瀬さんと作品との出合いは2019年までさかのぼる。同じ格闘家で、同じ九州生まれで、一見コワモテだけど純粋で。自分と重なる猿桜に、特別な縁を感じた。「オーディション後、自分の気持ちを伝えたくて、江口カン監督を呼び止めたんです。『いま俺、“猿桜”にビシビシ感じてるものがあります!』って。普段はそんなこと言わないけどあのときばかりは言わずにはいられなくて。でも選ばれてからは、しんどいことだらけ(笑)。撮影に入る前から相撲の稽古を積んで、役作りもめちゃくちゃしたっすね。監督と毎日連絡を取って、歩き方、目を開ける幅など細かな部分を調整していくなかで、猿桜という存在が俺の中に芽生えてきました」作中で人々の度肝を抜いたのが力士、部屋、土俵…相撲にまつわる描写のリアルさ。一ノ瀬さんも本物と同じく神事を行い土俵開きをした部屋で、時間をかけて稽古を重ねて力士の体を作っていった。「撮影に入るずっと前から、そして撮影が始まってからも猿将部屋で稽古を続けていました。そのうち俺は一ノ瀬ワタルなのか、猿桜なのか?自分と役の垣根がなくなってきて…そういう感覚は初めてでした。そうなれたのは猿将部屋の人たちのおかげ。特に看板力士・猿谷役の澤田(賢澄)さんは元力士で、ケガに泣いて引退した人という…境遇まで猿谷とそっくりで。他の人も元お笑い芸人から会社社長まで背景はいろいろ、だけどみんないい人たち…!その人たちと稽古した2年半はまさに部活動のような時間。苦楽を共にしたことで絆が生まれました」肉体がぶつかる音、現場を目撃しているような臨場感あるカメラワーク。スタッフチームの熱量も、作品を盛り上げた。「あのときカメラは俺の目で、音声さんは俺の耳で…監督は俺の心でした。でも監督には近寄りがたかったっす(笑)。俺にとっての監督は、猿桜にとっての四股みたいなもの。監督の宿題は四股の練習並みにクソきつい。時に『こんなこと、せんだって勝てるわ!』って言いたくもなったけど、それを通らずして成功の道はない。いまは愛と感謝の気持ちでいっぱいですけど」時間も予算も惜しまず、妥協のない環境で作品に没頭する。その体験はこれからの役者・一ノ瀬ワタルのあり方をも変えつつある。「いままでは元キックボクサーとか外見とか自分自身の特徴で演じる役が多かったけど、最近は役を前にして、一ノ瀬ワタルの消し方がわかってきたんです」精悍な表情で語る一ノ瀬さんだが、プライベートはウサギをこよなく愛する心優しい人。「以前ドラマで共演したウサギの“たっちん”を飼い始めたら、もう可愛くてメロメロに…!いまはお嫁さんと子ウサギも増えて8羽のウサギと暮らしてます」次はどんな作品で世界を沸かせてくれるかも気になるところ。「純愛モノとかやってみたいすなぁ。これまでは犯罪じみた恋愛が多かったんで(笑)。…でも一番演じたいのは猿桜。いまこの瞬間も、俺の中の猿桜が叫んでるんっすよ。『おい俺まだ生きとるぞ!早く続きをやらせろ!』って」『サンクチュアリ -聖域-』未だかつてないスケールで、相撲界の泥くささを描き切る。北九州から来た不良少年が力士・猿桜として角界を席巻していく姿を描いたNetflixオリジナルドラマ。時間をかけて本物さながらの肉体を作り上げた力士役の俳優たちや、映画作品を思わせる壮大なセットの数々。相撲部屋の親方を演じるピエール瀧さんをはじめ一癖も二癖もある個性派キャスト、そして大相撲という前人未到の“聖域”的テーマに切り込む江口カン監督の手腕に評価が集まり、グローバルトップ10の非英語部門にランクイン。Netflixシリーズ「サンクチュアリ -聖域-」独占配信中いちのせ・わたる1985年7月30日生まれ、佐賀県出身。キックボクサーから転身、2009年に俳優デビュー。9月9日から上演するPARCO劇場開場50周年記念シリーズ『ひげよ、さらば』に出演。※『anan』2023年8月30日号より。写真・高橋マナミスタイリスト・鹿野巧真ヘア&メイク・星野加奈子取材、文・大澤千穂(by anan編集部)
2023年08月26日ドラマ『大奥』三代将軍家光・万里小路有功編、『風間公親 教場0』『CODE‐願いの代償‐』など、今年はすでに6本のドラマに出演。時代劇からサスペンスまで、印象に残る役に次々と挑んでいる堀田真由さん。主演映画『バカ塗りの娘』では、津軽地方に伝わる漆塗り“津軽塗”の職人の家に生まれた娘・美也子を演じている。――台本を読んだ時の感想を聞かせてください。堀田真由(以下、堀田):読みながら思い出していたのが、地元のお祭りでした。私は滋賀県出身なんですが、地元には伝統的なお祭りがあって、子供の頃からずっと見てきました。ものづくりとは違いますが、昔から受け継がれてきた文化を、次の世代に継承し続けている意味みたいなものが、そのお祭りと津軽塗で通じるものがあって、勝手に身近に感じていたんです。そして台本を読み込むたびに、日本人として大切にしていきたい文化を、丁寧に描いた物語なんだと理解していって。主演として出演させていただき、みなさんに届けさせていただくことが本当に嬉しいです。――美也子のお父さんを演じた小林薫さんと共に、津軽塗の技術だけではなく、方言の中でも難しいといわれる津軽弁を習得するのは大変だったかと思います。役作りで苦労した点はありますか。堀田:今回の役は、準備することが多かったです。セリフを覚えてお芝居するだけではなく、セリフとともに方言を自分の中に落とし込んで、さらに津軽塗をしながらお芝居をしなければいけませんから。津軽弁は、年配者になるほど聞き取れないぐらい難しい発音をされる方が多いようで、薫さんはすごく苦労されていました。娘役の私は、今どきの言葉が交ざりながらの方言で、それはそれで難しくて。滞在中のホテルでは、実際の職人さんの作業を録画したものを繰り返し見ては、持ち帰ったハケや道具で練習し、方言もひたすら覚える日々でした。――津軽弁で印象的な言葉は?堀田:驚いた時に咄嗟に出る「わいは」。劇中でも、吉田のばっちゃ役の木野花さんが使われています。撮影中、エキストラの方に「青森らしい言葉を教えてください」と聞いたら、やはり「わいは」とおっしゃっていたぐらい、親しみのある言葉みたいです。――ちなみに故郷の滋賀では?堀田:普通に「わっ!」とか(笑)。でも私が上京したばかりの時に、体調が悪いことを指す「しんどいわ」を滋賀の方言で「今日えらくて」と言ったら、伝わらなかったことはあります。――そうなんですね。23歳の美也子はやりたいことも見つからず、スーパーで漠然と働きながら家業を手伝う毎日です。恋人も友人もいなければ、分裂してしまった家族のことなども含め、さまざまな問題に悩んでいて。年齢の近い堀田さんは、共感できる部分は多かったのではないでしょうか。堀田:多かったですね。印象的だったのは、津軽塗の道に進むべきか悩んでいた美也子が、母親から「仕事してないの?」と聞かれるシーン。もともと美也子は発言が少なく、自己肯定感も低い内向的な女の子なんですが、美也子を通して私も心が痛かったし、頑張れ、って思っていました。――“バカ塗り”とは、バカに塗って、バカに手間暇かけて、バカに丈夫だと言われるほど、塗っては研ぐを繰り返す津軽塗のことだそうですが、これまでたくさんの作品や役に向き合ってきた堀田さんのひたむきな姿は、勝手に“バカ塗り”に重なる気がしています。堀田:ありがとうございます。作中にある、坂本長利さん演じる祖父の「何かを始めると、それがどんどん面白くなっていく。やり続けること、やり続けること…」と繰り返すセリフがまさにそうで、自分の役者人生について言われているようでグッときました。私の芸能生活はまだ9年目だとはいえ、数年前には感じられなかったことや、続けてきたからこそ見えてきた景色もあるんですよね。楽しいことばかりではないけれど、続けないより続けるという勇気を持って歩んでいると、想像していなかった自分に出会えたりもして。何度も塗って研いでを繰り返すバカ塗りのように、人生はいろんな失敗と成功を繰り返していく。撮影期間中は、バカ塗りは人生そのものだな、と思っていました。幼い頃から、人とコミュニケーションをとるのが苦手で、恋人や友人もいない美也子。津軽塗の名匠だった祖父から津軽塗を継いだ父、家族よりも仕事を優先した父に愛想を尽かして出ていった母、家業を継がずに美容師となった兄…バラバラになった家族の中で、美也子が挑戦したこととは。映画『バカ塗りの娘』は9月1日より全国公開。ほった・まゆ1998年4月2日生まれ、滋賀県出身。『non‐no』専属モデル。2015年に俳優デビュー、数々の作品に出演する一方、’20年から3年間『ゼクシィ』(リクルート)のCMガールを務め注目を集める。近年の出演作にNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、ドラマ『CODE‐願いの代償‐』(日本テレビ系)など。映画『禁じられた遊び』が9月8日公開。ワンピース¥85,800カットソー¥10,450(共にオーラリー TEL:03・6427・7141)チョーカーはスタイリスト私物※『anan』2023年8月30日号より。写真・伊藤香織(Y’s C)スタイリスト・小林 新(UM)ヘア&メイク・河嶋 希(io)インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2023年08月25日今年で、俳優デビュー14年。名だたる映画賞を総なめにし、数々のヒット作を生み出してきた菅田将暉さん。名実ともに日本のトップ俳優となった今も、真摯に作品と向き合い、自らのペースを崩さずに歩みを続ける彼の本音と、これからのお話をじっくり伺いました。菅田将暉日本のエンタメ界を牽引する唯一無二の俳優。『仮面ライダー』シリーズで役者デビュー後、映画『共喰い』での高い演技力が注目を集める。その後は映画、ドラマで様々なジャンルの作品に精力的に出演し、役者としてはもちろん、彼の発する言葉やファッションは同世代に大きな影響を与える。人気ドラマを映画化した最新作、映画『ミステリと言う勿れ』は9月15日に公開。――原作はもちろん、ドラマも大好評。『ミステリと言う勿れ』の映画化はまさに待望でした。菅田将暉さん演じる久能整(くのう・ととのう)は、ご自身にとってはどんな存在ですか。すごく愛情深いです。ドラマが終わっても整くんは僕の中にいて、映画の撮影に入った時には、それこそもう“整って”いて。ドラマ制作時に作った引き出しが、いつでも開けられる状態でした。――完成作を観た感想は?この作品は、被害者側だけではなく加害者側にもちゃんとスポットが当たるところが他の事件ものとはちょっと違うところ。そんな特色がしっかり描かれつつ、密室での会話劇や、よう喋るな、という整くんの個性は際立っていたと思います。とはいえ撮影中は大変でした。伏線も多いし、言葉のチョイスも独特なので、集中してセリフをひとつひとつ残していく感覚で。頭を使うので、演じている時はいっぱいいっぱいでしたね。だからこそ、完成作を観て安心したし、大変だったことも面白かったな、って思えました。――この作品の魅力は何でしょう。やっぱり、雑談というコミュニケーション。人と喋る機会が減ってしまった時期を経て、面倒くさいぐらい喋ってくれる整くんを見るとなんとなく安心します。議論のシーンでも、正解を押し付けるわけでも、感情論で語るわけでもなく、淡々と喋り続けるスタイルも好きなところです。――原作の2~4巻に掲載された通称“広島編”を描いた今作ですが、どんな思い入れがありますか。まず、ドラマを撮影していた時はコロナ禍で大規模な地方ロケができなかったんです。だから広島ロケでようやく“キレイな画”がたくさん撮れて満足しています。原作の順番でいくと、ドラマの1話で放送した取調室での会話劇があって、そのあとにこの広島編になるので、僕としては広島編をやらないと次に進めない感じがしていたんですよね。ここで整くんの人物がしっかり描かれるので、ドラマを見ていなかった人でも入りやすいと思います。僕としても、整くんの面倒くさいところやポンコツぶり、可愛いところ含め、一人行動が好きだったり、一人でボソボソ喋ったり悩んだりする姿をやっと演じられたという気分です。――特にこだわったシーンは?監督と議論を重ねて、セリフを原作者の田村(由美)先生に調整していただいた部分もあります。例えば、原作では「女の幸せ」というセリフや“女”とつく諺がバーッと並ぶんですが、漫画で読むぶんには一つの例えに捉えられても、映像でセリフになるとすごく強く感じてしまう。特に、いつでも中立的な意見を持つ整くんの口から発せられると、違和感があって。整くんは、男でも女でもない、子供目線で喋ることを徹底していましたから。ジェンダーや政治、教育などの社会問題について、意見ではなくアイデアとして提案するのが整くんなので、そういうシーンは特に繊細に進めたのですが、それは映画に限らず、ドラマ制作時からそうでした。――以前ラジオで“菅田将暉愛”を語ったことが話題になった、松下洸平さんも出演されていますね。そういった話をしてもらったというのは、聞いていました(笑)。本格的な共演は初でしたが、松下さんのクランクイン時、ご自身の音楽活動の方のツアー中だったようで、最初のセリフを聞いた時に、「あ、歌う人の発声だ」と思ったのを覚えていて。めっちゃいい声でした。それと、僕はライブをする時はお芝居の仕事を入れられないので、「よく両方できますね」なんて話もして。明るくて話も面白いから、松下さんが現場に来られると、現場の温度が1~2°C上がったように感じるんですよね。――後輩の萩原利久さんも、出演されています。以前、ananのインタビューで萩原さんは、菅田さんに憧れて同じ事務所に移籍したとおっしゃっていました。萩原さんを10代から見てきて、今作で進化や成長を感じましたか?利久は、僕の大事な場面によくいるんです。2014年に『ロミオとジュリエット』という舞台を蜷川(幸雄)組でやった時からそう。まだ高校生で、出演者でもないのに「後輩の特権だ」と舞台稽古から毎日観に来ていて。その熱量も興味深かったし、『帝一の國』や『あゝ、荒野』『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』など、特に僕がギアを上げて臨んでいた現場では大体、利久も一緒で。僕が暴れ回った跡や取りこぼしたものを、回収してくれるような安心感がありました。でも、もうすっかり大人です。今回の撮影で驚いたのは、現場の待ち時間で共演者とのトークを利久が回していたこと。それまであまり話の輪の中心にいるのを見たことがなかったのに、“MC利久”として現場を温めてくれました(笑)。――素晴らしいですね(笑)。お芝居については、もう昔から達者なんで、別に後輩とも思っていなくて。この現場の最初の頃、直前まで撮影していた主演ドラマの役の癖とか残り香みたいなものを感じたんです。その時に、自分を変えてまでも挑まなければならない現場だったんだろうな、頑張ってるな、と感動しました。何気ない日常の中でふと役者を感じる。――今年30歳になり、役者デビューして14年に。今どんな“段階”にいると思いますか?年齢的には30歳は一つの区切りになるかもしれませんが、個人的には数年前に一区切りついた感じ。『コントが始まる』や『鎌倉殿の13人』を経て、『百花』を終えたぐらいかな。もともとデビューして10年経ったあたりを、一区切りにしようと思っていたんです。――その理由は?20代は修業じゃないけど、とにかくがむしゃらにやろうって思っていて、それが終わったら…って感じかな。例えばゲームって、四天王を攻略するまではとにかくやり続けるじゃないですか。レベル上げしてないで寝ろよって思うんだけど、やっちゃう(笑)。で、四天王を倒したらまだ次はあるんだけど、一回寝て、リセットしようみたいな。それに似ています。実際はコロナ禍になったことで、少し計画が狂って。そんな時に『ミステリと言う勿れ』のドラマに出合って、よし、もう一回頑張ってみるか、って気合を入れ直しました。だから転機になった作品でもあるんです。――一区切りしたところで得たものはありますか?難しいけど…役者が“職業”にはなりました。(「au三太郎シリーズ」で)鬼ちゃんをやり始めたり、『民王』『溺れるナイフ』に出演した22歳あたりからお芝居を面白いと思うようになりましたが、10代の頃からそれまでは、役者で食べていくとかそういう意識はなかったから。もちろん、仕事があることほど幸せなことはないとは思ってはきましたけど。――役者さんって、就職活動みたいな区切りがないですもんね。そうなんですよ。でも“菅田将暉”という芸名で生きていくんだと、腹を決めた感じはします。――ドラマ、映画、CMと出演し続けている様子を見て、勝手なイメージですが、もらった役や作品を淡々と演じ切る印象があって。そうそう、合ってますよ。基本的に役者は素材なので、求められてなんぼだったりもするから。その中にも、この監督や脚本家とやりたいっていうのもありますけど。――ご自身で、役者としての成長を感じることはありますか?細かいことですが、『百花』の時に、ワンカットで泣いたあとに吐くシーンがあって。吐瀉物を口に含んだ状態で泣いてから吐くんですが、人間の生理現象として何か1個我慢をすると他も止まるのか、涙も止まってしまうんです。20回以上やってやっとできましたけど、神経の伝達で感情を分けることを知ったりもしました。――役者としての概念とかではなく、すごく技術的なことですね。笑えるか泣けるかも大事ですけど、まず、カメラに映れるかどうか。そういう単純な運動神経なんかも、すごく必要なんです。――日常生活で、自分は役者だなと思うことはありますか?実は今、やっと少しゆっくりしているんですが、昼間スーパーに行くとお母さんたちばかりで。その中にいる僕は「何をやってるかわからないおじさん」だと思われているのかもしれない(笑)。お母さんたちがトマトに手を伸ばす中に、僕の毛の生えた腕があったりして。でも役者だからそうやって昼間も休めたりするから、そういう何気ない時にふと、役者を感じているかもしれません。『ミステリと言う勿れ』©田村由美/小学館©2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社すだ・まさき1993年2月21日生まれ、大阪府出身。公開中の劇場アニメ『君たちはどう生きるか』に、声優として出演。また、出演映画『笑いのカイブツ』は2024年1月5日公開予定。フリルブラウス¥82,500(BOURRIENNE PARIS×GODARD HABERDASHERY/GODARD HABERDASHERY)※『anan』2023年8月30日号より。写真・野田若葉スタイリスト・猪塚慶太ヘア&メイク・AZUMA取材、文・若山あや(by anan編集部)
2023年08月25日主人公は、容姿端麗で武勇に優れ、頭が切れるが敵対すれば容赦ないイタリアンマフィアの相談役を務める弁護士。Netflixで人気の韓国ドラマ『ヴィンチェンツォ』が世界初のミュージカル化。そのタイトルロールを演じるのが、舞台『刀剣乱舞』などで活躍する和田雅成さん。原作ドラマをリスペクトしつつも、自分の中でのリアリティを重視したい。「ギャップが面白いというのが第一印象でした。マフィアの非情なシーンもありつつ、物語の中心となるクムガプラザの場面はコメディタッチ。かと思えば終盤は、そこまでやる?っていう壮絶な展開もありますし」ドラマ主演のソン・ジュンギさんのイメージが強いヴィンチェンツォ役だけれど…?そう水を向けると砕けた表情に変わり、「それがめっちゃ難しいんです」と笑わせた。「2.5次元作品でもそうですが、モノマネにはなりたくないんです。原作をリスペクトしつつ、舞台化するのに僕が選ばれた意味が絶対にあると、自分の中でのリアリティのほうを重視してきました。先日、韓国を訪れて、ドラマの制作側の方のお話を伺いまして、そこで『作品の世界観は大事だけれど、ミュージカルはあなたたちのものだからこっちを意識しなくていい』と言っていただき、すごく気が楽になりました」完璧なダークヒーローではなく、ヌケていたり周りに翻弄されたりするチャーミングなキャラクターは、関西弁の軽妙なトークで、さまざまな現場で潤滑油となっている和田さんにぴったりの役柄かもしれない。「じつは結構人見知りです(笑)。ただ、できるだけ作品の中で嘘をつきたくないと思うと、共演者との距離は早く縮めておきたい。本当は苦手だからこそあえて、みたいなタイプです。今回はとくに現場の雰囲気が舞台にのってくる気がしますし」渡韓して、現地の景色や空気を実際に肌で感じたことも、作品を立ち上げる中で大きな参考になる、とも。「ヴィンチェンツォが立っていた橋から見える景色とか、その高さとか、台本では想像できなかったことがリアルになったんですよね。あと、スタジオドラゴンの方から劇中で実際に使用したジッポーライターをいただいたことも大きいです。毎日持ち歩いていますが、ジッポーをいじる彼の癖を自分の癖にしていければ、それだけリアルに見せられる気がして。まあ自分が役にノッていくための完全なる自己満足なんですけど」ミュージカル『ヴィンチェンツォ』韓国系イタリア人のヴィンチェンツォ(和田)は、ソウルのうらびれた雑居ビルの地下に隠された大量の金塊を入手するため渡韓する。しかしビルは大企業の手に渡っていて…。兵庫公演/AiiA 2.5 Theater Kobe8月11日(金)~13日(日)東京公演/日本青年館ホール8月18日(金)~21日(月)大阪公演/サンケイホールブリーゼ8月25日(金)~27日(日)原作/ヴィンチェンツォ(製作/スタジオドラゴン脚本/パク・ジェボム)脚本・作詞/三浦香演出/吉谷晃太朗出演/和田雅成、富田鈴花(日向坂46)、佐藤仁美ほか一般1万1000円ミュージカル「ヴィンチェンツォ」公演事務局 TEL:03・6280・4670(平日11時~18時)© 2021 Studio Dragon Corporation/MUSICAL VINCENZO 2023わだ・まさなり1991年9月5日生まれ、大阪府出身。主な出演作に舞台『刀剣乱舞』、ドラマ『悪魔はそこに居る』(Paravi)など。放送中のドラマ『その結婚、正気ですか?』(TOKYO MX)に出演。コート¥88,000(DIET BUTCHER TEL:03・5728・4765)シャツ¥33,000(ANARCHIST TAILOR/HanxSTORE TEL:03・6677・7741)※『anan』2023年8月16日‐23日合併号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・石橋修一ヘア&メイク・西田聡子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年08月16日『桜の園』は、多額の負債を抱えながらも現実を受け止められずにいる領主一家を中心に、過去の栄光にすがり時代の変化から取り残された人々と、時代に即し生き方を順応させていく人々との悲喜こもごもを描いた、ロシアの作家・チェーホフの名作。八嶋智人さんが今作で演じるのは、かつて“桜の園”に仕えた農民の息子で、自らの才覚で実業家として成功したロパーヒン。言葉は通じるけれど話が通じない会話はまさにコントです(笑)。「ディスコミュニケーションの話だと思うんですよ。言葉は通じるけれど話が通じない人たちの会話が、ずっと続く(笑)。登場人物の中でちゃんとしている人って僕だけですからね。僕は正論しか言ってないのに、みんな否定ばかりで、全然聞いてくれずに孤独です。しかも、ラネーフスカヤ役の原田美枝子さんを筆頭に、聞かない側の説得力が高いもんだから、さらにイライラが募る。その原田さんがチャーミングだから、余計に手に負えない。何も物事を知らない、ワガママでとんでもない女主人なのに、僕を含めみんなが彼女に夢中ですからね(笑)」演出は、昨年の『セールスマンの死』で高い評価を受けたショーン・ホームズさん。八嶋さんはその舞台を観劇して感銘を受けていたそう。「素晴らしいキャパシティを持った方で、僕らを新たな発見に導きながら遊ばせてくれる感じがあります。毎回、このシーンで何をやるのか、それぞれの役の思惑、俳優自身の思惑まで事前に明確にするんですね。それを全員共有した状態で稽古して、生まれた発見を持って最初のシーンに戻ると、自然と芝居が肉付けされているのがわかる。視覚的な面でも、抽象的なセットの意味を全員が共有した上で稽古するんですね。だから、ラネーフスカヤが自らの意思で舞台の台の上から降りただけで、その意味を察して感動できたり。しかも稽古が中盤に差し掛かったタイミングで『もしかしたらここにも男女の関係があったんじゃない?』なんて急に新しい種を蒔いてくるもんだから…毎日稽古が楽しくって仕方ないです」物語は悲劇的な方向へ舵を切っていくが、作家本人から“喜劇”と銘打たれている作品。「ひとつの話題で場の熱量がグッと高まってきたと思ったところで、サッとかわしたり、潰しにかかったりする。うまく進んでいたことが急にコケたりするって、まさにコントの手法と同じですからね。しかも、関西人なら『なんでやねん』とか『ちゃうちゃう』って、観ながらずっとツッコめる展開で。いろんな笑いがちりばめられていると思います」PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『桜の園』桜の園へ戻ってきたラネーフスカヤ(原田)ら一行。しかし管理を任された兄のガーエフ(松尾)は才覚がなく、一家は多額の負債を抱え、桜の園は競売の危機に瀕していた。上演中~8月29日(火)渋谷・PARCO劇場作/アントン・チェーホフ英語版/サイモン・スティーヴンス翻訳/広田敦郎演出/ショーン・ホームズ出演/原田美枝子、八嶋智人、成河、安藤玉恵、川島海荷、前原滉、川上友里、竪山隼太、天野はな、永島敬三、中上サツキ、市川しんぺー、松尾貴史、村井國夫マチネ1万1000円ソワレ1万円ほかパルコステージ TEL:03・3477・5858宮城、広島、愛知、大阪、高知、福岡公演あり。やしま・のりと1970年9月27日生まれ、奈良県出身。劇団カムカムミニキーナ所属。舞台のほか、映画、ドラマで活躍。8月25日スタートの時代劇『雲霧仁左衛門6』(NHKBSプレミアム)、情報番組『チョイス@病気になったとき』(NHK Eテレ)出演中。※『anan』2023年8月16日‐23日合併号より。写真・中島慶子スタイリスト・久 修一郎ヘア&メイク・藤原羊二インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年08月16日カリスマ・インフルエンサー、ミトヤマネを主人公に、ネット社会の魅力や、そして怖さまでもクールに描いた映画『#ミトヤマネ』。「脚本を読んだ時、普段私がやっていることとあまり変わらないと思った」と話すのは、ミトヤマネを演じている玉城ティナさん。自分の分身が勝手に暴走していくのは奇妙で面白かった。「インフルエンサーって華やかな職業に見えるかもしれません。でも、たぶんミトは、特に資格もいらずにスマホひとつでできるからってだけでインフルエンサーを始めたような気がしているんです。常に『Yes』しか言わないような受け身で、冷静に、淡々と役割をこなしている人であり、自分のことを他人事と捉えるところもあります。何か商品を紹介する時、広告塔としてその商品のイメージを背負うという意味では、私の仕事と共通する部分もあり、演じていて難しいことはそれほどなかったです。一方で、街頭インタビューのシーンで『なぜミトのことが好きなの?』という若者たちへの質問に対して『理由なんてない』とか『理由いります?』という答えがあるのですが、それって今どきの価値観のような気もしています。ミトの性格や好み、暮らしなどのバックグラウンドを知らなくても、ミトがミトだから好き、で許されるというか…。そういう誰にも説明できない危うさがミト自身の危うさともリンクして、この作品の世界観をより深めているのではないでしょうか」心がけたのは、観る人がどのようにも意味づけや解釈ができる表情で演じること。例えば特徴的なのは、ミトの顔を世界中に拡散する“ディープ・フェイク”アプリを使うかどうかの決断を迫られるシーン。「『いいんじゃない?』というミトの返答は、『なんでもいいんじゃない?』の意味に近いもので、本当にいいとは思っていない。観る人によっては破滅の道を選んだと思う人もいれば、面白そうとか新しいと思う人もいるかもしれませんが、私はどっちに捉えられてもいいと思っています。また、妹のミホ(湯川ひな)も本当は姉妹ではなくただの同居人かもしれないし、なんならミトがミホかもしれない。関係性を明言しないとか、あえてミトの本心や感情をどっちつかずに見せている表情やシーンはたくさんあるので、一回観て理解するのは難しいかもしれません。ただどれだけ理解していただいても、理解できないと拒絶されても、いいと思っていて。現代に生きる、ある普遍的な女性の物語にすぎず、いろいろな話をしながら観て、宮崎大祐監督の今までにない映像表現に、驚いてもらえたら嬉しいです」ディープ・フェイクによりミトの顔が大量に拡散されるシーンは、異様とも圧巻とも捉えられるが、玉城さんはどう感じたのか?「自分の分身が勝手に暴走していくのは奇妙でありつつ面白かった(笑)。自分はこういう映像表現も割と平気なんだと、新しい発見でした。もし本当に私の顔のフィルターができたら、みんなに使ってほしいですね」『#ミトヤマネ』人気絶頂のインフルエンサー・ミトヤマネは、ある日“ディープ・フェイク”アプリとのコラボ案件の話に乗る。世界中にその顔が拡散され、更なる人気者になったミト。しかし、悪用される事態に発展し…。8月25日公開。©2023「#ミトヤマネ」製作委員会たましろ・てぃな1997年10月8日生まれ、沖縄県出身。モデル、俳優。WOWOW『アクターズ・ショート・フィルム2』(2022年)で、監督デビューを果たす。今年1月に公開された映画『恋のいばら』では主演を務めた。ブラウス¥42,900スカート¥42,900(共にRIV NOBUHIKO/Harumi Showroom TEL:03・6433・5395)※『anan』2023年8月16日‐23日合併号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)スタイリスト・松居瑠里ヘア&メイク・今井貴子インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2023年08月15日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、出産・産後に出会ったいい女を実演。今回は、人の妊娠時の情報を把握している女性、「未来を共有する女」になりきり。体調の変化を把握するマネージャーさんに感謝。妊娠をしてから出産まで、「ninaru」というアプリを使って体調の変化を管理していました。ある日、マネージャーさんとアプリを見ながら、「この仕事はできるかな」とスケジュールを確認していたところ、「そのアプリは何ですか?」と聞かれて。自分の赤ちゃんの成長具合や、妊婦の体の状況の把握ができると伝えたところ、「私も入れます」と言って、翌日にはダウンロードしていました。このアプリは夫婦で一緒に使ってる人が多く、夫に対して「ママはこういう状況だから優しくしよう」「脚がつりやすいからさすってあげて」など、語りかけるフレーズも出てくるのですが、マネージャーさんと使うのは初めてでした。でも、すごく嬉しかったです。つわりのピークや臨月が来る時期の目安がわかるし、生ものを控えなきゃいけないとか辛い姿勢なども教えてくれる。そうした情報を共有することで、まるで一緒に子どもを育ててくれているような感じがして、とても心強くてありがたかったです。妊娠に限らず、自分の状況を理解してくれるのは嬉しいことですよね。それに、友だちなど身近な人の仕事で忙しい時期や、旅行のスケジュールなどを把握しておくと、自分との予定をたてる時に便利なことも多い。ハワイに行ったばかりの人をパンケーキのお店に誘うことも避けられるし、友だちがダイエットをしていると知っていたら、お店選びのヒントにもなるはずです!私のマネージャーさんのような頼れる人になるためには、まず、相手の立場になって考えてみたり、目線を同じにする習慣を作って、人のことを自分ごととして捉えることが大事だと思うんです。ちょっと近況を聞いてみるだけでも、相手への理解はぐっと深まるのではないでしょうか。よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。今年6月に第三子を出産。※『anan』2023年8月16日‐23日合併号より。写真・中島慶子文・重信 綾(by anan編集部)
2023年08月13日人生100年時代。その4分の1=25歳前後の男女5人による群像ドラマ『around1/4(アラウンドクォーター)』。美山加恋さん演じる早苗はセックスに消極的で、8年間付き合っていた彼氏に「つまらない」と振られてしまう。「早苗は、セックスに対して苦手意識があって、なかなか心を開けないところがあります。でも、何とか自分を変えようと、ボロボロになりながらも全力で生きている女の子。私は今26歳なんですが、25歳って頑張ってきたはずなのに、思い描いていた理想の大人にはなれてなくて、焦るし悩む年齢な気がします。私自身も大人になりきれてないと思うので、早苗にすごく共感しますね。羨ましいのは、イヤなことがあってもタガを外して、人生を楽しめるところ。現場に入るまで想定してなかったんですけど、テキーラを勢いよく飲むシーンは、サパークラブのお祭り騒ぎに押されて、本番ではドヤ顔で『うっしゃ~!!』って叫んでました。私もお酒は好きですけど、ビールが好きなので、早苗ほど酔ってテンションは上がらないです(笑)」彼氏がいなくなった早苗に急接近するのが、元バイト仲間の康祐。万年セックスお化けと呼ばれながらも、実は内面では惑いを抱えており…。「物語が進むにつれて二人は悩みを共有し、互いに成長していきます。それまでは個々のシーンが多いので、それぞれのコンプレックスが何なのか、悩みをどのくらい匂わせて演じるのか、明確にしておきたくて、本読みの段階で、康祐役の佐藤大樹さんと監督と丁寧に擦り合わせました。このドラマには、恋愛の悩みのパターンがだいたい一通り出てくるので、いま行き詰まっている人は抜け出すヒントが見つかるかもしれませんし、恋愛が億劫になっている人にとってはいい刺激になるのでは」タイトなスケジュールの撮影だったが、座長の佐藤さんが盛り上げ上手で、終始笑いが絶えなかったそう。「佐藤さんが目標をはっきりと口にしてくれて、『ついていこう!』と思いました。目標の内容ですか?言っていいのかな…『目指せ、TVerのお気に入り登録10万!』とかです(笑)。正直なところ、一つのシーンで起こる気持ちの変化を逆から撮らざるを得ないことが多く、変化の結果を私は想像するしかできないので、とても大変でした。でも、どのシーンも全部、現場で監督と何を話し、どう演じたか思い出せるくらい濃密で、青春のような素敵な時間を過ごせた作品です」『around1/4(アラウンドクォーター)』恋や人生の分岐点に直面する25歳前後=アラウンドクォーターの男女5人が、悩み傷つき、時に失敗しながらも乗り越えていくリアルな恋愛群像劇。ABCテレビでは毎週日曜23:55~、テレビ朝日では毎週土曜26:30~放送中。みやま・かれん1996年12月12日生まれ、東京都出身。2002年、俳優デビュー。映画『かがみの孤城』に声優で出演。今年7月まで舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』で嘆きのマートルとデルフィーを好演した。※『anan』2023年8月9日号より。写真・中島慶子スタイリスト・椎名倉平ヘア&メイク・関東沙織インタビュー、文・小泉咲子(by anan編集部)
2023年08月08日