演出家の白井晃×ストーリーテラーのフィリップ・リドリー。これまで何度となく評判を呼んできた組み合わせ。人間のグロテスクさをファンタジーで包み込むリドリーのブラックな物語を、白井さんは、静謐で美しいけれどどこか不穏な世界観の中で繊細に描き出す。その世界に魅了されたひとりが細田佳央太さんだ。大人の方も子供の柔軟な視点で楽しんでもらえたら嬉しいです。「吉沢亮さんが出演された『マーキュリー・ファー』という舞台が衝撃でした。タイミング的に、僕にとって久々に観た生の舞台だったことや、ロシアのウクライナ侵攻が始まった時期だったことも影響していると思いますが、舞台上で表現されている以上の大きなものを受け取った気がして。素晴らしいけれどしんどくもある、ある種、観る側の体力や考える力的なものが問われる舞台を作られるってどんな方なんだろう、と。いつかご一緒できたらと思っていたら、まさかこんなすぐに実現するなんてとても嬉しいです」現在、絶賛稽古中。実際に体験した白井演出の魅力とは?「僕のようにずっと映像をやってきた人間からすると、白井さんの演出や説明の仕方がとてもわかりやすいんです。この作品では、基本的に全員が何かしらの役でずっと舞台に出ています。映像なら、カット割りやクローズアップでお客さんが誰に注目すればいいかを見せますが、舞台は編集ができない。だから流れをみんなで作る必要があると説明されて、すごく腑に落ちました。難しいけれど、こんな見せ方をしたらどうだろうかって考えるのも楽しいです」そもそも、それが舞台をやりたいと思っていた理由なのだとも。「生の舞台と映像では見せるものが違うようだけれど、やっていることは同じお芝居です。舞台で自由に動けるようになれば、映像でも自由度が上がるし、カット割りの可能性も広げられるはずで、間違いなく今後に生かせるだろうと思っています」本作はリドリーによる児童小説が原作で、“影のタワー”で生きる3世代の家族を描いた物語。「かわいらしいやり取りがある一方で、どこか生々しい怖さもある。最初は変に重く受け止めて、神妙な顔でやらなきゃと思っていたけれど、リドリーの原作本の挿絵がすごくかわいらしくユーモラスで、そこを表現したいから楽しんでやってほしいと白井さんに言っていただけて、気持ちが楽になりました。大人も楽しめるけれど、子供向けのプロジェクトですし、たぶん本番中に子供から思いもよらないレスポンスがあるだろうなと思うので、とりあえずそのときの心の準備だけはしています」映像の世界でも、アドリブを求められることがあるはずだけど?「基本はカットがかかるまで芝居を止めるなと教わってきたので、アドリブにはがんばってついていけるようにしています。でも、あとで自分はセンスないって思うことも(笑)。ただ、格闘しながらですけれど、苦手ではないかな」大人の読者に向けてもひと言。「子供の柔軟性ってすごくて、目の前のことを現実的にとらえるのではなく想像で楽しんだりできる。大人の方もそんなふうに、子供の視点で受け止めてもらえたら嬉しいです」せたがやこどもプロジェクト2023『メルセデス・アイス』建設中の“影のタワー”に憧れて育ったロージーとティモシーは、やがて結婚し、念願のタワーに暮らし始める。彼らの間に生まれた男の子・メルセデスは甘やかされて育ち、やがてとんでもない事件を引き起こす。8月11日(金)~20日(日)三軒茶屋・世田谷パブリックシアター原作/フィリップ・リドリー翻訳/小宮山智津子演出/白井晃出演/細田佳央太、豊原江理佳、東野絢香、松尾諭ほか一般8000円ほか(18歳以下無料招待あり)世田谷パブリックシアターチケットセンター TEL:03・5432・1515宣伝写真:二石友希ほそだ・かなた2001年12月12日生まれ、東京都出身。4歳から活動を始め、’19年の初主演映画『町田くんの世界』で注目される。大河ドラマ『どうする家康』の松平信康役では強烈なインパクトを残した。シャツ¥39,600カットソー¥46,200パンツ¥49,500シューズ¥66,000(以上OURLEGACY/EDSTROM OFFICE TEL:03・6427・5901)※『anan』2023年8月9日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・岡本健太郎ヘア&メイク・菅野綾香インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年08月08日ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』やミュージカル『刀剣乱舞』など、数々の2.5次元作品に出演してきた有澤樟太郎さん。もとよりパワフルな歌唱に定評があったが、’21年のミュージカル『17 AGAIN』、同年の『GREASE』などで経験を重ね、さらに進化させてきた。そして昨年の『ジャージー・ボーイズ』では、ザ・フォー・シーズンズのメンバーとして見事なハーモニーを披露。進化が止まらない有澤さんから目が離せない。舞台映えする長身に伸びやかな歌声が武器。数々の2.5次元作品で人気を博してきた有澤樟太郎さん。近年は、海外ミュージカルに進出したり、今年出演した舞台『セトウツミ』では、W主演の牧島輝(まきしま・ひかる)さんと共に企画の立ち上げから携わるなど、活動の幅を広げている。「僕、今まで演出家の方にめちゃくちゃ恵まれていたと思うんです。まだデビューしてお芝居のこともよくわからないときに、ミュージカル『刀剣乱舞』で茅野(イサム)さんという方にお会いできた。茅野さんは厳しいけれど、ちゃんと愛がある方で、そのときのその作品のことだけじゃなく、僕らの先々のことまで考えて、恥ずかしくない俳優になるよう指導してくれていたんですよね。『ジャージー・ボーイズ』の藤田(俊太郎)さんは、作品愛がすごく強くて、稽古前に作品について全員で話し合うテーブルワークも熱心にされる方。役の解釈も深くされているけれど、役者に任せようとしてくれるし、やればすごく褒めて自信もくれる。他にもいろんな現場で、たくさんのことを経験して学ばせてもらって今があるなって」この世界に入った当初から、作品やジャンルにこだわらず、いろんな役を経験したいと思っていたという有澤さん。本格的なミュージカルへ目が向いたきっかけは、2020年に上演されるはずだった『ウエスト・サイド・ストーリー』Season3のオーディションの話が舞い込んだこと。「もともと僕は、一回火がついたら止まらないタイプ。ブロードウェイの有名な作品に、僕のような俳優が声をかけてもらえたということが嬉しくて、期待に応えたい一心で歌もダンスもめちゃくちゃ頑張りました。僕のWキャストの相手がs**t kingz(シットキングス)のOguriさんで、一緒に休みの日にスタジオを借りて練習したり、僕のダンスの練習に付き合ってもらったりもして。あんなすごい方でもまだ努力し続けていると知ったのは、大きな刺激になりました」しかしコロナ禍で、幕は一度も開くことなく全公演が中止に。「稽古を重ねてゲネプロ(本番と同じ条件でおこなう本番前リハーサル)をやって、自分としては手応えを感じていましたから、それを世に出せなかったことが悔しくて…。そのモヤモヤは1年くらい引きずっていましたね」翌年出演した『17 AGAIN(セブンティーン アゲイン)』が、実質的な海外ミュージカルデビュー作となった。「顔合わせの前に、歌合わせじゃないけれど、キャスト全員で歌稽古してきた歌を全曲歌うっていう場があったんです。まだ役も固まっていない状態で、周りはミュージカルで活躍されている方ばかり。その前で披露すると思ったらめちゃくちゃ緊張してしまって…。そしたら、『ウエスト・サイド~』でも一緒だったソニンさんが、『樟ちゃん、もっとできるんじゃないの?』と。確かに、恥じらいがあったし、ピッチを外さないことばかり考えていた。それで、下手でもいいやと吹っ切って全力でおバカに演じたら、演出家に『新しい有澤くんを見た』と褒められて、役が見えた気がしました」そして昨年の『ジャージー・ボーイズ』だ。’60年代に世界的に人気を博した実在のボーカルグループが主人公。それゆえ4人の歌のハーモニーが作品の要だが、その中での有澤さんの歌唱力の進化には目を見張るものがあった。「以前からボイストレーニングは通ってましたけれど、『ジャージー・ボーイズ』のオーディションを受けるにあたって本格的に始めて、歌への意識がすごく変わりました。それまで歌について知らないことが多すぎて、歌っていても自信が持てずにいたのが、先生に発声の基礎から徹底的に訓練してもらい、知識もついて、以前より堂々と歌えるようになりました」演じたボブ・ゴーディオは最年少ながら、次々とヒット曲を生み出したグループの要となるメロディメーカー。作曲家ゆえの傲慢さと繊細さの両方を持ち合わせた、有澤さんのリアルなキャラクター造形は作品に厚みを加えた。「4人で稽古していくなかで、自分たちの中でこれだというものが共有できたんです。それまでかなり試行錯誤しましたけど、あるとき、みんなの芝居がカチッとハマる瞬間があって。それが正解だったかはわからないけれど、この形でいこうって4人の方向性が一致したのがよかったのかなと思います。僕的には、これまでわりとイキのいいキャラクターを演じることが多かったんですが、じつはそこまで“陽キャ”じゃないので、ああいう繊細な役が演じられたのが嬉しかったですね」現在27歳。30代が視野に入ってきている今、仕事に対する考え方も少し変化してきている。「20代前半はなんでもやりたい方でしたけれど、そろそろ先々のことを見据えていく時期なのかもしれない。今はとにかくいい作品に出合いたいです。あと、自分たちで企画して実現させた『セトウツミ』がものすごい達成感だったので、これからはもっと自分がやりたいことを言っていってもいいのかなと思っています」ありさわ・しょうたろう1995年9月28日生まれ、兵庫県出身。ミュージカル『刀剣乱舞』和泉守兼定役で人気を博し、ドラマ『テレビ演劇 サクセス荘』シリーズなど映像作品でも活躍。近作に舞台『キングダム』『セトウツミ』。10月にはミュージカル『のだめカンタービレ』が控える。イヤカフ¥18,700ブレスレット¥72,600リング¥19,800(以上マリハ TEL:03・6459・2572)その他はスタイリスト私物※『anan』2023年8月9日号より。写真・苗江スタイリスト・鹿野巧真ヘア&メイク・堤 紗也香構成、取材、文・望月リサ撮影協力・AWABEESEASE(by anan編集部)
2023年08月07日美しく中性的な顔立ちと豊かな歌声で、2.5次元作品でも活躍する立石俊樹さん。’21年の『ロミオ&ジュリエット』で演じたティボルトでは、これまでのノーブルな雰囲気から一転、内に怨讐を抱えた好戦的な役を力強く演じ、新たな一面を開花。近作の『エリザベート』のルドルフ役では、皇太子の葛藤をリアルに見せた。次回作は、小池修一郎さん書き下ろしの『LUPIN』。これが3作目のタッグだけに演出家の期待の大きさがうかがえる。ノーブルさと雄々しさの両輪で突き進む。もともと歌うことが好きだったという立石俊樹さん。上京した当時、目指していたのは歌手。しかし、ミュージカル『テニスの王子様』(以下、テニミュ)との出合いで、目標が大きく変わった。「ダンスや歌、演技を習うスクールに通っていたんですが、ずっと自分に演技は向いていないと苦手意識があり、積極的には取り組めてなかったです。歌だけ歌えればいいと思っていたくらい。でも、テニミュで初めて舞台を経験して、お芝居として歌うことの魅力に気づいて、こんなに素敵な世界があるんだと知って。ちょうどその頃に中川(晃教)さんが出演された『モーツァルト!』の映像を見て、『何故愛せないの?』という曲に感銘を受け、自分もこういう作品にいつか出られたらと思ったのを覚えています」とはいえ、最初の頃は舞台に出ることが怖かったという。「僕が演じていたのが病気を抱えている役で、出番自体が少なかったんです。だから出るときには、そこまでの彼の背景がお客さんに伝わるようなものを持って出なきゃいけない。しかもそれがチームメイトにも影響を与えていくキャラクターでしたので、初舞台の自分にはとても難しかったです。覚えているのは、当時の演出助手の方に、僕が歌い始めるとショーみたいに見えると言われたこと。今までアーティストとして歌と向き合ってきたけれど、ミュージカルは向き合い方が違うんだと気がついて、セリフの延長線上で歌うことを意識するようになりました。ただ、ようやく自分の中で基本ができるようになったかなと思えたのは、テニミュ、『A3!』『黒執事』…いろんな作品を経験させていただいてからですね」その後、自身初の海外ミュージカル作品となった『ロミオ&ジュリエット』で、従妹のジュリエットに想いを寄せ、ロミオに憎悪を募らせるティボルトに抜擢される。「前々からマネージャーに、オーディションがあったら受けたいと伝えていたので、決まったときは本当に嬉しかったです。ティボルトは、これまであまりやったことがない激しくて強い役で、登場した瞬間から圧倒的な存在感を放つので、すごくハードルが高く、学ぶことが多かったです。歌に関しても、僕がちょっと若く見えすぎるのもあって、演出の小池(修一郎)さんから、もう少し大人っぽくというか男っぽく低く…低い音程というよりも低い成分の声が出せないかと指摘されていました。稽古場の映像を見せてもらうとわかるんです、ミュージカル界で活躍されている方々が作品を固めてくれている中で、僕が浮いている感じがあるのが。でも、それって技術以上に、一番はメンタルの問題なんですよね。舞台に立つ表現者として大事なのは、役を通して、自分の内側から元気だったり情熱だったりを引き出して、劇場全体を巻き込んでいくメンタルというか気迫。稽古の最初の頃は、自分の頭の中ではこうできたらいいのにとイメージはあるのに、これまでやったことがない表現をすることに怖さがあり、行ききれずにいました。でもあるとき、殻を脱ぎ捨てて怖さを打ち破れたら、こんなに気持ちいいんだって解放されたような気がしたんですよね」その後の『エリザベート』では、若手ミュージカル俳優の登竜門といわれる皇太子・ルドルフ役に。「出番は約20分ですが、それゆえの難しさがありました。1幕に子供時代のルドルフの場面があり、2幕からの登場なので、その間の彼の背景を僕が埋めて表現しなければいけない。毎回必死でした」しかしその20分で、キャストによってルドルフのキャラクターや心情が大きく変わって見えるのが、この役の面白いところ。立石さんのルドルフは、本気で国を想い皇帝である父と対峙しようとする力強い皇太子像を感じさせた。「脚本を読んだり、いろいろな関連作品に触れる中で、演じるならば、信念を持った皇太子として見せたかったんです。自分が信じたことに生真面目に一生懸命取り組むからこそ、挫折して深く傷つくんだと解釈して、そこを大切に演じようと思っていました」本国オーストリアのみならず世界各地で上演されており、日本でも宝塚歌劇団を含めて何度も上演されているほどの人気作だが、作品の力を実感することも多かった。「楽曲がどれも素晴らしくて、日々発見があるんです。役の性格によって、ここで音が上がるとか下がるとか。ここで音がちょっと上がるのはどういう理由なのかとか、考えだしたらきりがないくらい。それでも、母親であるエリザベート役の方が違えば、同じ場面でも毎回湧き上がる感情の種類が違ったりするのは面白いですね」今後控えるのは、小池修一郎さん書き下ろしとなる新作ミュージカル『LUPIN』。そして目標はやはり『モーツァルト!』だ。「本当にミュージカルが好きだし、そこはずっとブレないと思うんです。だからもっとどっぷり浸かっていきたいし、その進んでいく先で『モーツァルト!』と出合うことができたら嬉しいですよね」たていし・としき1993年12月19日生まれ、秋田県出身。2015年にアーティスト活動をスタート。’17年に初舞台を踏み、以降、数々の舞台で活躍。近作に『エリザベート』『太平洋序曲』など。11月9日開幕のミュージカル・ピカレスク『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』に出演。衣装はすべてスタイリスト私物※『anan』2023年8月9日号より。写真・苗江スタイリスト・ホカリキュウヘア&メイク・中元美佳(ete)構成、取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年08月07日これまで数々の名作、傑作ドラマに出演してきた佐藤隆太さん。その人が、「こんなに心底惚れ込んだ作品に出合えたことが幸せです」と語るのは、2020年に出演した舞台『エブリ・ブリリアント・シング』のこと。この作品は観客参加型で展開され、開演前、佐藤さんから番号入りのカードを渡された観客は、自分の番号が呼ばれたらカードに書かれた言葉を読み上げたり、ときには医者や父親役として佐藤さんと対峙したり。そこで紡がれるのは、ひとりの少年が大人になり、人生の苦みや喜びを知っていく物語だ。観客と共に再び、世の中のあらゆるステキなものを探す旅へ。「毎日違うお客さんの反応があって、咄嗟に対応していかなきゃならないので、きっとアクシデントみたいなこともあるだろうと思って、幕が上がるまでは不安もありました。でも、こちらが何を求めているか、どういう空気にしたいのかを敏感に感じ取って、応えようとしてくださる方が多くて。すごく救われたし支えられたし、自分でも鳥肌が立つような奇跡的な瞬間に何度も出合いました。それは、他の舞台では味わうことのない感動だったんだろうなと」とはいえ、回によっては想定外の反応に困惑したことも。「だから毎回、めちゃくちゃ楽しいけれど、めちゃくちゃ大変でした。他の舞台の初日は手が震えるくらい緊張しても、初日を走り切ればいったんは落ち着ける。でも、この作品は毎日が初日みたいな感じだから、ずっとドキドキしてました。ただ、アメリカでこの作品をやられていた俳優さんと話したときに、『何があってもとにかく信じて前進することだ』とおっしゃっていて。自分が予想できないことが起こっても、そこで怯まずに進める。それでお客さんはノってきてくれるんです」演出は、以前に舞台『いまを生きる』でご一緒した上田一豪(いっこう)さん。「ご本人が柔らかくあたたかい方で、演出されるときも同じで、そうしたことを大事にされている。だから一緒にやっているこちらは安心感があるし、この作品にぴったりな方だと思いました。物語はなかなかヘビーではあるけれど、観終わったときにすごくあたたかい気持ちになるのがこの作品の持つ力です。人の痛みに優しく寄り添ってくださる方なので、一緒にそういう作品に仕上げていきたいです」それは佐藤さん自身にも共通すること。劇場を訪れた人は、佐藤さんの笑顔に迎えられリラックスでき、渡されたカードに一度は戸惑っても、「大丈夫ですよ」の言葉に安心し、作品に身を委ねることができる。「そう言っていただけるのは嬉しいんですけど、最初の方はこちらの緊張がお客さんにも伝わってたなと思います。大事なのは、いかにお客さんと近い距離感でいるかなんですよね。この作品では演者もお客さんも同じ目線であることを感じてもらいたいし、それが面白い体験になると思うんです。それには芝居が始まる前までの時間が結構大事なので、そこでとても神経を使いますし。観に来てくれた俳優仲間が『自分もやってみたい』と言っていて嬉しかったですが、一方で、これはめちゃくちゃ大変だからねっていう思いもありました(笑)」大学在学中に宮本亜門さんの演出舞台でデビューし、そのすぐ後にドラマ『池袋ウエストゲートパーク』に出演し、注目を集めた。その当時から、誰に対しても朗らかで親しみやすい雰囲気は変わらないままだ。「それはたぶん、僕自身がこの世界に憧れていた当時の感覚のままだからだと思います。いまだに俳優さん…ましてや女優さんと話すときに緊張しますし。こうしていることが不思議な感覚。でも振り返ると、自分のキャパシティを超えるくらい忙しかった時期に、ストレスを表に出してしまったこともあって、今考えると恥ずかしいし、人間力が足りなかった。だから年齢を重ねる中で、自分も少しずつでも成長していかなければと思っています」『エブリ・ブリリアント・シング~ありとあらゆるステキなこと~』7歳のとき、自殺未遂をした母親をなんとか勇気づけようと、思いつく限りの「ありとあらゆるステキなこと」をノートに書き始めた主人公。やがて彼は成長し恋に落ち、結婚するが…。8月11日(金)~27日(日)池袋・東京芸術劇場 シアターイースト翻訳・演出/上田一豪出演/佐藤隆太一般5500円(8月16日までは前半割一般5000円)ほか東京芸術劇場ボックスオフィス TEL:0570・010・296全国ツアーあり。さとう・りゅうた1980年2月27日生まれ、東京都出身。ドラマ『木更津キャッツアイ』『ROOKIES』『スカーレット』などの映像作品のほか、舞台出演も多数。9月よりU‐NEXTで主演ドラマ『MALICE』が配信開始に。シャツ¥29,700パンツ¥45,100サスペンダー¥16,500(以上suzuki takayuki TEL:03・6821・6701)※『anan』2023年8月9日号より。写真・土佐麻理子スタイリスト・勝見宜人(Koa Hole inc.)ヘア&メイク・白石義人インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年08月06日ananフェムケア連載「Femcare File」。今回のテーマは、「“隠れ我慢”してない?」。不調があっても、仕事や家事を行うために“隠れ我慢”をしている人も多いのでは?そんなモヤモヤについて考えます。不調は誰にでも起こりうること、我慢はしなくていいはず。今回のテーマは、“隠れ我慢”。この言葉は、漢方薬メーカーのツムラが取り組む、誰もが心地よく生きられる社会を目指した#OneMoreChoiceプロジェクトのキーワード。活動を進めるツムラの広報グループの山田ちひろさん、宮城英子さん、大山尚美さんと、子育てに仕事にと多忙なわたなべ麻衣さんが一緒に“隠れ我慢”について考えます。山田ちひろ(以下、山田):体が不調でつらくても、我慢をして普段通りに仕事や家事を行う。わたなべさんも、こんな“隠れ我慢”をした経験はありますか?わたなべ麻衣(以下、わたなべ):家庭でも仕事でもめちゃくちゃあります!自分が我慢すれば何とかなるし、むしろ我慢するのが当たり前だと思っていました。大山尚美(以下、大山):そういう女性はとても多いんです。女性1万人を対象にした弊社の調査でも、約8割(※)が隠れ我慢をしていて、周囲に相談できないでいるという結果が…。宮城英子(以下、宮城):そこで、2021年からスタートしたのが#OneMoreChoiceプロジェクト。約20人の社内メンバーが集まり、隠れ我慢しないためにできることを話し合ったり、専門家の方と隠れ我慢の度合いやタイプがわかる“隠れ我慢チェッカー”を開発したり、企業や大学生にオリジナルで開発した研修を行っています。不調は誰にでも起こりうることですし、体調が悪いことは周囲に相談していいし、つらいときは休んだり、我慢以外の方法を考えてみませんかとお伝えしています。わたなべ:不調って言ったところでしょうがないって諦めている人も多いですよね。私は、生理などの体の不調は夫にいつも伝えるようにしていて、言葉にすることで、ラクになることって多いですよね。大山:私もそう思います。また、生理痛などのつらさは女性も人それぞれですし、個人の意識改革とともに、つらいときに休みやすい環境を整えることも、今後の大きな課題です。わたなべ:痛みひとつとってもみんな種類やつらさは違うから、“自分の基準”で考えないことも大事ですよね。そういう一歩一歩が、隠れ我慢をしなくてもいい世界に繋がっていくと素敵だなと思いました。※ 隠れ我慢に関する実態調査(株式会社ツムラ, 2021年, 調査委託先:楽天インサイト)隠れ我慢は「心身の不調を我慢して仕事や家事を行うこと」と、ツムラが定義。株式会社ツムラの登録商標です。わたなべ麻衣さん1989年9月23日生まれ、広島県出身。モデル、タレント。2019年にタレントのJOYさんと結婚、翌年10月に第一子となる女の子を出産。ananフェムケア委員会メンバーとして誌面でも活躍中。ツムラ 広報グループ左から 山田ちひろさん宮城英子さん大山尚美さん※『anan』2023年8月9日号より。写真・瀬津貴裕(biswa.)取材、文・岡井美絹子(by anan編集部)
2023年08月06日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、アニバーサリーを把握している女性、「10年の節目を大事にする女」になりきり。人生の年表を作って自分の歴史を振り返ろう。看護師の友だちが、働き始めて10年というタイミングで仕事を辞めることに。一度立ち止まり、これから先のことをゆっくりと考えるそうです。話を聞いて、履歴書に勤続10年であることを書けるのはもちろん、新たな目標を立てようとしているところがすごいと思いました。新しい病院に行くか、資格を取るか、地元に帰るかなど、いろいろな選択肢がすでにあるようです。また、私は彼女のように節目について考えたことがなく、ただ仕事を続けてきたなと。きちんと意識をしておけば、一つのモチベーションになったかもしれないとも思いました。そうして自分にとってのアニバーサリーのような日を取りこぼしたり、さらりと流してしまうことは、仕事だけでなくプライベートにおいてもありますよね。生誕1万日記念日だって、いつのまにか過ぎていたし、10回目の結婚記念日を「スイート10」と言ったりしますが、このままだと忘れてしまいそう(笑)。だからこそ、記念日にプレゼントを渡し合うなど、きちんと忘れずお祝いをしている人たちはすごいし素敵だなと思います。ちなみに、一番身近なアニバーサリーは誕生日だと思いますが、そうしたタイミングで目標を立てると、「結局、今年も何もせずに終わっていくな…」という思いをすることなく過ごせそうでいいですよね。まずは、自分の人生年表を作って歴史を振り返り、アニバーサリーがいつなのか、どのような記念日があるかということを把握してみることが第一歩に。「大きな仕事を任されたのはこの年か」「仕事を始めて10年目にこういうことをしていたんだ」と想いを馳せてみましょう。日頃から日記をつけたり、何かあった時にはメモをとっておくと、振り返る時に役立ちそうです!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。今年6月に第三子を出産。※『anan』2023年8月9日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2023年08月06日連続テレビ小説『らんまん』で、主人公・万太郎が通う大畑印刷所の娘・佳代として、限られた出番ながら存在感を発揮し、話題になったのが田村芽実さん。かつてアンジュルムのメンバーとして活動しながら、幼い頃から憧れていたミュージカルへの夢を捨てきれずに、アイドルから転身。透明感のある澄んだ美しい歌声に加え、ピュアなヒロインから強烈な個性を放つキャラクターまで演じ分ける演技力で、今、着実に評価を高めている。王道から個性派まで、確かな実力で演じきる。ミュージカル女優への目標を掲げてアンジュルムを卒業して7年。夢を実現させたばかりでなく、ヒロインから個性的なキャラクター、コメディリリーフまで、さまざまな役柄を演じている田村芽実さん。「もともとミュージカルが好きで、子役をやっていました。そのとき、ハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)の方たちと共演したら、みんなかわいくて歌もダンスも上手で優しくて、同じ舞台に立ちたいと思ったんですよね。でも活動するうち、ずっと夢だったミュージカルの道に進みたくなって…」子供の頃から劇団四季や宝塚などのミュージカルが好きで、姉妹でミュージカルスクールに通っていた。「ハロプロに入るまでミュージカルに出たいという夢以外持ったことがなかった」と言う。「子役アンサンブルのひとりとして初めて舞台に出演したとき、嬉しすぎちゃって、イヤイヤ雑巾がけをする場面なのに、ニヤニヤがとまらない。一生懸命下を向いてほっぺたの内側を噛んで笑いを堪えている私を見て、本当にミュージカルが好きなんだと思ったと、いまだに母と祖母に言われます」ハロプロを卒業してからの約1年間は、学ぶ時間に充てた。一度はスポットライトを浴びながら、「アンサンブルから始めようと思っていた」というのだから驚く。「ハロプロにはいましたけれど、世間的には無名の私が簡単に出られる場ではないと思っていました。まだ現役で頑張っている先輩たちもいるなかで、辞めた私がその名前に頼るのも失礼かなというのもありました。そうなったとき、イチからやるしか手段が見つからなかったんです。いつか誰かが見てくれるだろうって。それに、基礎から学び直したい気持ちもあったんですね。自分でスクールを探して、呼吸法からバレエの基礎、お芝居のレッスン、ワークショップ…まさに1年間は修行でしたね」そんな努力が大きく花開いたのが、ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』。言わずと知れたミュージカルの傑作を、シーズンごとにキャストを入れ替えて上演する大きなプロダクションで、ヒロインのマリア役を掴んだ。「初のグランドミュージカルでした。マリア役の6人のうち、私以外の方はみなさん有名な方でしたが、それでもオーディションで選んでくださったことが私の中ではすごく大きくて。本当に見てくれている人がいるんだなと思ったし、人生が開けた感じがしました」しかし、田村さんが面白いのはそこからだ。翌年の『ジェイミー』では、クラスでは地味だとバカにされているムスリムの女の子・プリティを。続く『GREASE』では、不良女子グループを率いるリッゾに。かと思えば、今年頭の『MEAN GIRLS』では、少しエキセントリックな性格のジャニスを振り切った演技で見せるなど、とにかく振り幅が広いのだ。「最初に自分とは似ても似つかない役をいただいたときは、自分に務まるのか怖かったです。それこそリッゾのときは、海外ドラマで不良の女の子が出てくるものを探して、歩き方とかしゃべるときの重心の動かし方を研究しました。セリフでも、今の感情はどこにどうあって、どの瞬間にどう動いていくのか細かく分析したり。自分もそれを真似しながら、役の要素を入れて構築していく…みたいな。でもやっていくと、共通点が見つかることもあるし、役を通して自分を見つめ直すことで、自分の中にその要素がないわけではないんだと気付かされるんですよね」役を演じるのに、この“重心”をかなり重視しているのだそう。「演劇オタクなところがあるので、いろんな方のお芝居を、何度も何度も巻き戻しては見て研究するのが好きなんです。おばあさん役だと、脚の筋肉が弱いからか、わりと外側に重心があって腰下で立っていたりとか。例えば、話を熱心に聞こうとすれば前のめりになるし、本音をしゃべろうとすると自然と深く座る。誰もが無意識にやっていることだと思うのですが、それを意識的に持っていくのが私たちの仕事だと思っています」とくに熱心に見てしまうのは、片桐はいりさんと阿部サダヲさん。「片桐さんの出ているドラマをつけて、どのタイミングで片桐さんがこの芝居に気づいて、どのタイミングで歩き出そうと思って歩き出すのか知りたくて、15秒巻き戻しては見るっていうことを何度も繰り返していたりします。阿部さんはコメディを緻密に作られている印象があるので、二度見するコンマ何秒のタイミングを掴みたくて、やっぱり何度も繰り返し見ながら研究したり(笑)」次に控えるのは『赤と黒』。主人公と恋に落ちる侯爵家の令嬢だ。「瀬奈じゅんさんに『変わった役をいっぱいやっていきたいんです』と話したら『まずは王道ができてこその個性だよ』と言われました。今回は王道に近い役だと思いますので、飛び道具的ではない役のあり方を学びながら、丁寧に表現したいと思っています」たむら・めいみ1998年10月30日生まれ、群馬県出身。2016年にハロー!プロジェクトを卒業。’17年の舞台『minako―太陽になった歌姫―』以降、ミュージカルを中心に数々の作品に出演。10月21日には自身が脚本・演出を務める一人芝居コンサート『私のもとへ還っておいで』が控える。※『anan』2023年8月9日号より。写真・苗江ヘア&メイク・松田 陵(ワイズシー.)構成、取材、文・望月リサ撮影協力・AWABEESEASE(by anan編集部)
2023年08月06日注目の若手ガールを紹介するananの「It GIRL」コーナー。ここでは、2264号(2021年9月1日発売)に初登場した伊東蒼さんに注目します。It Girl初登場時から2年の期間を経て、さまざまな役柄に挑戦した伊東蒼さん。演技への意識も大きく変化したのだとか。「去年までは、監督や共演者の皆さんからの『このシーンについてどう思う?』という質問に答えられず、恥ずかしかったんです。でも今年3月に『明るい夜に出かけて』で初めて舞台を経験し、自分で積極的に頭を働かさないと悪目立ちしちゃうことに気づいて。ちゃんと考え、怖がらずに意見を出すようにしてからは『どう思う?』という質問が嬉しくなりました。一緒に作品を作っている実感が湧きます」『明るい夜に出かけて』の佐古田愛役は「普段の自分と重ねて演じることができ、友達にも『普段の蒼っぽい』と言われた」そう。キャリアを重ねる上で、ステップアップのきっかけとなる作品との出合いも。「大河ドラマ『どうする家康』の阿月役は、今までにないほど反響をいただけてありがたかったです。また主人公のハナを演じた映画『世界の終わりから』は、同じセリフを繰り返すなかでどう表現の差をつけるか試行錯誤した作品。完成後は『私ってこんな顔するんだ』と発見も多かったです」オフの日も映画観賞をすることが多く、お気に入りの作品は『Summer of 85』。では、次に演じたいのはどんな役?すると彼女は「ホラー映画!」と即答。「ホラー映画はずーっとやりたい!大好きなんですよ。脅かす方の役をやりたいです。あとは、学園モノ。今まではお芝居の現場で最年少であることが多かったんです。そのせいかドラマ『ひきこもり先生』で同世代と演じた時『あの子の演技はすごかったな』とつい気をとられてしまうことが多くて。自分を保てる強さが欲しいからこそ、挑戦したいです」初登場は2264号(2021年9月1日発売)。当時は高校1年生。趣味の絵画・読書・ギターは継続中。「ギター部は今年で引退。寂しい!これからも趣味として続けていきたいです」Q. マイブームは?A. 最近は綺麗に割れた「11字腹筋」に憧れている伊東さん。「家で好きな音楽を聴きながら、ひたすら鍛えてます。あとは安くて美味しいランチを探すこと。学校が午前中に終わる日は定期券内を開拓しています」Q. 次欲しいものは?A. 『湯を沸かすほどの熱い愛』で共演した杉咲花さんから貰ったことがきっかけでシロクマのぬいぐるみ集めにどハマり。「最近はクマ全般を集めるように。あと『チャッキー』のリアルな人形が欲しい!」いとう・あおい2005年生まれ。6歳の時にデビュー。今年『明るい夜に出かけて』で初舞台を経験。大河ドラマ『どうする家康』での演技も話題となる。ドレス¥49,500レースビスチェ¥17,600(共にoverlace/さえらinfo@overlace.com)ブレスレット 参考商品(sisinoInstagram@sisino_embroidery)※『anan』2023年8月9日号より。写真・石渡 朋スタイリスト・藤井牧子ヘア&メイク・秋鹿裕子(W)取材、文・高木 望(by anan編集部)
2023年08月06日注目の若手ガールを紹介するananの「It GIRL」コーナー。ここでは、No.2244号(2021年3月31日発売)に初登場した中田青渚さんに注目します。連続テレビ小説『らんまん』に出演中の中田青渚さん。「いつか朝ドラに出たいと思っていたので、決まった時は本当に驚きました。何日間か実感がなかったのですが、後からじわじわと嬉しさも込み上げてきました。演じている聡子は内気で奥ゆかしい女性。ここまで内気な役を演じるのは初めてでしたが、朝ドラが初めてでドキドキしている自分とリンクしていたので、共感しながら演じました。撮影が続いていくなかで空気感が出来上がっていき、聡子が周りに馴染んでいくのと同じように私も現場に慣れていきました。あと、内気だけど自分の意見はちゃんと言うところも似ている気がします」本誌初登場からの2年で数々の作品に出演し、見た目もかなり大人びた印象に。当時は「『ONE PIECE』の登場人物・ビビのような自立した強い女性に憧れています」と話していたが、現在は?「お母さんには、しっかりしなさいってまだ言われます(笑)。日用品をストックしていないので、お風呂に入る時に『シャンプーがない!』って気づいたり。でも、今9歳下の妹と一緒に住んでいて、彼女は受験生なのでサポートしています。栄養バランスを考えながら料理をして、給食がない時は毎朝お弁当作りも」と、23歳なのにまるで親のよう。これからやりたいこともたくさん。「演技では学生役をやりたいです。リアルな学生さんと近い感覚で演じられる年齢のうちに。プライベートでは、引っ越しをしたいな。最近やっと月1回は外出するようになったんですけど、休日はだいたい家に引きこもってアニメを見たり漫画を読んだりしています。あと人に会うことをもう少し増やしたいです。2年前よりは社交的になったかな(笑)」初登場はNo.2244号(2021年3月31日発売)。今泉力哉監督の映画『街の上で』に城定イハ役で出演した時。「初めてのananですっごく緊張していました」と、当時を振り返る。Q. マイブームは?A. 夏野菜にハマっています。半年くらい前に近所に八百屋さんができたので帰り道によく買ってるんです!ナスやトマト、ズッキーニをよく食べていて、焼き浸しや、カレーの上にトッピングしたりしています。Q. 次欲しいものは?A. 次というか未来の話ですが、家!インドア派なので(笑)。妹と広い部屋で一緒にアニメを見たい。都内の落ち着いた場所で、椅子を置けるくらいバルコニーが広いといいなぁ。そこで台本を読みたいです!なかた・せいな2000年生まれ。「第5回Sho-Comiプリンセスオーディション2014」でグランプリを獲得し、俳優デビュー。その後話題作に次々と出演し、現在はNHK連続テレビ小説『らんまん』で田邉聡子を演じている。シャツ¥41,800(Create Clair/THE PR TEL:03・6803・8313)パンツ¥48,200(TEECHIinfo@teechi.jp)ネックレス¥33,000イヤリング¥16,500(共にFolk/N/UTS PR TEL:03・6427・1030)その他はスタイリスト私物※『anan』2023年8月9日号より。写真・猪原 悠スタイリスト・九(Yolken)ヘア&メイク・木内真奈美取材、文・松田唯花(by anan編集部)
2023年08月05日注目の若手ガールを紹介するananの「It GIRL」コーナー。ここでは、No.2212(2020年8月5日発売)に初登場した出口夏希さんに注目します。今年は『舞妓さんちのまかないさん』(Netflix)や日本コカ・コーラ「爽健美茶」のCMに出演するなど、俳優として邁進中の出口夏希さん。「スカウトされて芸能界に入る前は、自分がテレビに出るなんて絶対無理だと思っていました。学校で作文を発表するだけで、緊張でガクガクになっていたんです。お仕事を始める際も、モデルのお仕事を、と話していたのにいつの間にかお芝居の仕事もしていて(笑)。今はまだまだ、お芝居をすることに慣れてきたかな、というところ。人前に出ることに抵抗はなくなりました」目覚ましい活躍ぶりなのに、謙虚で自然体。そんなところも出口さんの魅力につながっているよう。「自然体に見えるのはきっと、物事を深く考えないタイプだから。頭の容量がいっぱいになってあらゆることをすぐ忘れちゃう。だから役を引きずるという経験もまだありません。良く言えば、リセット上手なのかも(笑)」放送中のドラマ『18/40~ふたりなら夢も恋も~』では、福原遥さん演じる主人公の親友を演じている。「陽キャな役で、テンション上げて撮影に挑んでいます。福原遥さんと長澤樹さんと私が、仲良し3人組の役。撮影の合間も楽しくお喋りしています。登場人物それぞれの友情と恋愛模様、夢に向かう姿に注目してもらえたら」夢を尋ねると、「ないんです」という意外な答え。「家族や周りの人が健康でいてくれたら幸せ、と思っていて、子供の頃からそれ以上の夢や目標を考えたことがないんです。モデルも俳優も、どんなお仕事も自分ができることはなんでもやっていきたい。このペースだと30歳になるのもあっという間だと思うけど、きっとその頃も楽しく過ごせているはず!」初登場はNo.2212(2020年8月5日発売)。当時は『Seventeen』の専属モデル。等身大の役が多いと話していた。「『舞妓さん~』は自分と真逆だったし、演技の幅は広がったかも」Q. マイブームは?A. 辛いものは、永遠のマイブーム。1日1食何か食べないと気が済まない。昨日は夜に友達の誕生日会があったんですが、帰宅してから辛いラーメンを食べてしまいました。今日は仕事後に刀削麺を食べるつもり!Q. 次欲しいものは?A. 欲しいものは我慢せず、欲しいと思った瞬間ポチッとしちゃうから今はこれといってないかも。強いて言えば、サウナが欲しい!(笑)辛いものを食べすぎなのか、むくみやすくて。家にあったら最高ですよね。でぐち・なつき2001年生まれ。『non-no』(集英社)専属モデル。『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(TBS系)は毎週火曜22:00~。9月22日放送・配信開始のドラマ『アオハライドSeason1』(WOWOW)では櫻井海音さんとW主演を務める。ワンピース¥358,600(エトロ/エトロ ジャパン TEL:03・3406・2655)その他はスタイリスト私物※『anan』2023年8月9日号より。写真・山根悠太郎(TRON)スタイリスト・Shohei Kashima(W)ヘア&メイク・渡嘉敷愛子取材、文・間宮寧子(by anan編集部)
2023年08月05日注目の若手ガールを紹介するananの「It GIRL」コーナー。ここでは、No.2174(2019年10月30日発売)に初登場した畑芽育さんに注目します。幼少期から子役として活躍してきた畑芽育さん。「It GIRL」で「スクリーンに映る自分にドキドキする」と話していたのは4年前。ますます表現力に磨きをかけ、今春公開された映画『なのに、千輝(ちぎら)くんが甘すぎる。』ではヒロインをコミカルに演じた。「4年前というとまだ自分の演技を客観視できていなかったけれど、今は『もっとこうすべきだった』『ここはいい!』なんて考察しながら、俯瞰できるようになりました。そこは成長したところかも。ちなみに『千輝くん』は9回も観ちゃいました!」現在放映中のドラマ『最高の生徒 ~余命1年のラストダンス~』では、余命を宣告されながらも、残された時間を懸命に生きる“ポジティブモンスター”な主人公・伴ひかりを演じている。「連ドラ主演は初めて。お話をいただいた時は『これまで仕事をしてきてよかった』という気持ちがありつつも、不安も大きかったんです。でもプロットを読んでいくうちに“これは私がやるべき役だ”と強く思うようになり、今ではどんどんひかりに近づいていると感じます。現場は本当に学校みたい。ダンスシーンのためのレッスンが部活並みにハードだったこともあり、キャストの結束力も強いです。私の高校生活はコロナ禍と重なり未練もあって。学園モノは高校生活を疑似体験できて楽しい!」素顔は本人いわく、“陽気な陰キャ”。「心配性だし人見知りだし、どちらかというとネガティブ。でも喋るのが大好きで、一度心開いた人にはずっと話しちゃう(笑)。今はお芝居が中心ですが、例えばラジオとか、トークを通して自分のパーソナリティを伝えられるようなお仕事にも興味があります。素の部分をさらけ出し、親近感を持ってもらえる俳優でいたいんです」初登場はNo.2174(2019年10月30日発売)。近年コメディエンヌぶりを発揮している畑さんも、当時は「陰がある役が多いので明るいキャラを演じてみたい」と話していた。Q. マイブームは?A. ラップが大好き。インスタライブでオリジナルラップを披露したことも(笑)。ラップバトルもよく見ますが、今ハマっているのはAwichさんの曲。聴いてバイブスを上げて“強い女になるぞ”と意気込んでいます。Q. 次欲しいものは?A. スニーカーなど重めの靴を買いがちで、毎年夏になると「サンダルがない~!」と焦るんです。だから今欲しいのはサンダル。人とかぶらず、ラクに履けて、歩きやすいのがいい。近々お買い物に行かなくちゃ。はた・めい2002年生まれ。映画『なのに、千輝くんが甘すぎる。』で話題を集め、現在はドラマ『最高の生徒 ~余命1年のラストダンス~』(日本テレビ、毎週土曜14:30~)、『ノッキンオン・ロックドドア』(テレビ朝日系、毎週土曜23:00~)に出演。写真集『残照』(KADOKAWA)が発売中。ワンピース¥72,000(アツシ ナカシマ/ザ・PR TEL:03・6803・8313)イヤリングはスタイリスト私物※『anan』2023年8月9日号より。写真・玉村敬太スタイリスト・SHOCOヘア&メイク・野口由佳(ROI)取材、文・間宮寧子(by anan編集部)
2023年08月05日体重189kgの着ぐるみ級ボディがなんとも愛らしいボケの大鶴肥満さんと、神戸大卒の頭脳を生かした語彙力が光るツッコミの檜原洋平さん。大喜利ライブで出会いコンビを結成した二人は、キングオブコントやM‐1グランプリで準決勝まで勝ち進むなど、芸人として着実に成長中。看板フレーズである「まーごめ」を引っ提げてお茶の間にジワジワと進出しているママタルトの、規格外にBIGな可能性とその魅力の源に迫ります。総体重、約270kg。太くて重たい漫才コンビ。――お二人はもともと別々のコンビだったそうですね。檜原洋平:僕が前のコンビを解散した時に、芸人のZAZYから「次はめっちゃ太ってるとか、特徴のある人と組んだ方がええで」と言われたんです。その翌日に出た大喜利ライブに、大鶴肥満がいて。“ZAZYの導きや!”と思って、「俺が君を王様にするから一緒に組もう!」と熱弁を奮って誘いました。大鶴肥満:その当時、別の相方とコンビを組んでいたんですが、解散を考えてた時期で。――一緒に王を目指すのではなく、「王様にしてあげる」というスタンスだったんですね。檜原:その頃『ONE PIECE』にハマってたんです。海賊王を目指してたエースっていうキャラクターが「俺は自分よりも王になってほしい人に出会ったんだ」と言って海賊の部下になったシーンに感動してた時期なので、「俺なら大鶴くんの体を生かしたボケをもっと考えられるぞ」と押し切りました。――ネタ作りは檜原さん担当?肥満:僕は基本的に“自分がやりたいお笑いよりも、相方のやりたいお笑いの方が強ければそっちで行こう”というスタンス。ひわちゃんの場合は大喜利力に圧倒されたので信頼してますね。――結成後は順調でしたか?肥満:賞レースの成績だけでいうと前年より落ちたことはないんです。緩やかに上がってる。檜原:ただ、やっぱりバイトをしてた時期は体力的に大変でした。月50本ライブに出てもギャラが2万円ぐらいだったので、朝から晩までバイトするしかなくて。バイトとバイトの合間や休憩中にライブやオーディションを詰め込む生活でしたね。肥満:忙しかったけど、アルバイトの仕事は好きだったんですよ。僕は金券ショップでひわちゃんはピザ屋だったけど、二人とも自分の店を1番にしてやるって気持ちで働いてました。――大変だった時期に心が折れたりはされなかったんですか?檜原:「ママタルトは面白いから大丈夫」って先輩方が褒めてくださっていたから、売れてなくても腐りはしなかったですね。肥満:キングオブコントの準決勝に行ったのが5年目なので、「あり得ないスピードだからな」って先輩方から言われます。――たしかに!昨年から漫才協会に所属していますが、意識の変化はありましたか?檜原:僕、自分のおばあちゃんとすごく仲がいいんですよ。なので、ご年配の方に観てもらう機会が増えてありがたいですね。肥満:協会に入らなかったら絶対に会わなかったであろう芸人さんと会話できるのは、芸人冥利に尽きる感じがします。檜原:72歳の東(あずま)京平師匠は、出番の時に昭和の歌やCMソングのイントロを歌って、お客さんに曲名を当てさせるんですよ。観客を楽しませる演芸って、漫才以外にもいろんなアプローチがあるんだなって感じます。――ママタルトのドキュメンタリー作品『まーごめ180キロ』が劇場公開されたのも、かなり新しいアプローチですよね。肥満:もともとは“まーごめ”をめぐるドキュメンタリー風の映像を撮って、それをひわちゃんたちが会場で見てツッコむ、映像ライブ用だったんです。檜原:ライブ後に“大鶴肥満の知らなかった部分がたくさん見られてよかった”っていう反響をたくさんいただいて、映画館で流すことになりました。――なるほど。次は檜原さんに着目した作品も作れそうですね。檜原:今、撮ってるんですよ。少しフィクション寄りですが。肥満:僕も『大鶴肥満の結婚前夜』っていう2作目を撮影中です。好きな人ができて破れる姿をずっと追っかけられていて…。――人生がコンテンツですね。肥満:そういう人生を歩んでいる先輩がクロちゃんさんしかいないから、何が正解かわからないまま模索しつつやってます。――新時代を切り開くお二人から見て、今後どういった芸人さんが支持されると思いますか?肥満:もう解散してしまったんですが、スタンダップコーギーさんっていうコンビの解散ライブがすごく面白かったんですよ。檜原:途中からネタじゃなくて本音の言い合いになっていく感じの漫才が26分間続くんです。肥満:そういう愚直なくらい人間味のある方が面白いと思う。――人となりがポイント?檜原:今は芸人がYouTubeとかでも自分のラジオ番組を持ってるから、それを聴くだけでどんな人かを知ることができちゃう。なので、そこからさらに引き込むくらい魅力の器も大きくないといけないのかなって。肥満:不思議ですよね。SNSは短い方が流行ってるのに、お笑いはディープな方に行ってる。なので、大勢の目には触れてないけどコアなファンがいるっていう感じになってきてるのかな。――お二人が芸人として目指すのはどんなスタンスですか?肥満:僕は大勢の人に観てほしい気持ちが強いですね。『こち亀』の両さんが理想なので。檜原:「おっ、まーごめ。最近、嫌なことがあったんだよ」みたいに、知らない人から声をかけられる街の人気者。芸人でいうと、オードリーの春日さんみたいな“スター”に憧れますね。――そういった次世代のスターになるためのお二人の強みは?檜原:大鶴肥満の類を見ない大きさ。芸人界で最重量ですから。肥満:189kgだけど膝は痛くないし、50m走も9秒64。この体って、とんでもないんだなって(笑)。ボケの動きは迫力が違うと思います。――檜原さんのツッコミも独特の魅力がある気がします。檜原:僕は大阪の中でも方言がキツいエリアの出身なんですよ。その後神戸の大学に行って、東京で宅配ピザのバイトをしたら、聞いたことのない関西弁になって。それが独特な節だと評してもらえることはありますね。――今後さらに売れたら生活もガラリと変わりそうですが、どんな芸人人生が理想ですか?肥満:M‐1で優勝すると、3か月は眠れないっていうじゃないですか。そういう経験もしてみたいけど、3か月でいいかな。檜原:忙しいと、大鶴肥満の色が悪くなっちゃうんですよ。去年も脚が紫色になった時期があって、僕がずっと揉んでたんです。なので、適度に休みを取りつつ楽しく働けたら幸せですね。もっとママタルトを知りたい人はこちらをチェック。『ママタルト本物チャンネル』“大鶴肥満の頭皮ツアー”や“料理好きひわらのこだわり満載「肉マシマシバーガー」が完成”など、二人のキャラが伝わるほのぼの企画が充実したYouTubeチャンネル。毎日更新。『まーごめ180キロ』昨年のライブで上映され、劇場公開もされた“まーごめ”の全貌に迫るドキュメンタリー。「俺が泣きながらマック食って『うまい』と言っている映像が一部で話題に」(肥満)『ママタルトのラジオ母ちゃん』お笑いラジオアプリ「GERA」で3年以上継続中の冠ラジオ番組。毎週木曜20時より最新エピソードを公開。「プロの芸人も投稿している大喜利コーナーがオススメです」(檜原)『芸人Boom!Boom! ママタルトのラジオまーちゃん』音声プラットフォーム「stand.fm」で毎週火曜23時に配信されるラジオ番組。「ラジオを2本やってるので、話のネタがない時はくだらないケンカで時間を使いがち(笑)」(肥満)ママタルトお笑い芸人。左・檜原洋平(ひわら・ようへい)大阪府出身。右・大鶴肥満(おおつる・ひまん)東京都出身。共に1991年生まれ。2016年コンビ結成。挨拶代わりの万能ギャグ「まーごめ」は、大鶴肥満の芸名の元になった大鶴義丹さんが浮気の謝罪会見で発した「まーちゃんごめんね」を縮めたもの。※『anan』2023年8月9日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)ヘア&メイク・浜田あゆみ取材、文・真島絵麻里(by anan編集部)
2023年08月05日役者、映画監督、ショップ運営などいくつもの顔を持ち、映画とともに旅をして、街に滞在しながら映画を届けるなど、さまざまなスタイルで宣伝活動をしてきた須藤蓮さん。文化そのものに垣根はなく「映画をツールに人々が希望を持つきっかけを作りたい。社会を元気にしたい」と語る。この、業界を意識しないエキセントリックな活動こそ、これからの映画界の、そして日本の未来までを変える可能性を秘めているのかもしれない。若手を“結んで”才能を“開く”映画監督。須藤蓮さんが監督デビューしたのは、主演作でもある自主企画映画『逆光』(’21年)。脚本は、ドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』など数々のヒット作を手掛けた渡辺あやさんだ。公開予定の映画『ABYSS アビス』は渡辺さんとの共同脚本で、監督と主演も務めている須藤さん。役者業だけにとどまらずに活動を続ける背景には、独自の野望がある。「絵も文章も写真も下手で、ギターを始めるもすぐ挫折。独特なファッションセンスがあるわけでもなく、何かを表現することが得意ではなくて。そんな僕の唯一の成功体験が、大学受験でした。“勉強してお金を稼いで認められたらいい”という価値観を持ちながらも、一方でその価値観の脆弱さにも気がついていて。その間で葛藤する苦しい日々でした。ただ、やはりどこかで、自分の中で押し殺していた“表現”への強い憧れがあったんだと思います。役者だったら、もしかしたら体一つで表現に関わることができるかもしれない。そう思って、この世界に飛び込んだんです」そんな時に出合ったのが、オーディションで主演に選ばれた京都発地域ドラマ『ワンダーウォール』。この作品への参加が須藤さんの価値観を一変させた。「ある学生寮の存続をめぐる話なんですが、役者はもちろん、一本のドラマに本気で挑む作り手たちの情熱や仕事ぶりがカッコよくて、現場を心底楽しいと思いました。そのうち、この作品が社会をどう変えていくかに興味が止まらなくなり、自分の仕事を放り出して、一人でこの作品の宣伝を始めたんです(笑)。“このままアーカイブにするのは嫌だ”という僕の想いに賛同してくれたのが、脚本の渡辺さんや音楽の岩崎太整さんで、その後、映画化の実現にこぎつけました。この経験によって僕のエネルギーが解放され、『ABYSS アビス』の脚本を独学で執筆。渡辺さんに見てもらっては『全然ダメ!』と直されたものが送り返され…を約1年繰り返して、やっと書き上げた作品です」渋谷を舞台にした『ABYSS アビス』の撮影はコロナ禍によりストップ。それでも何か一本映画を作りたいと、持続化給付金を持ち寄り、尾道を舞台に撮った作品が『逆光』だった。「芝居だけで満たされることはなく自分を持て余していた僕は、主演と監督にも挑戦。そうしたら、ロケハンして衣装を決めて、カメラワークを考える毎日が楽しくてしょうがなくて。初めて自分が満たされて、全身の細胞が沸き立つ感じがしました。完成後は宣伝活動で地方を回り、ある大学の寮では壁に紙でスクリーンを作って上映し、岐阜県では夏祭りを開催したりも。なぜそこまでするのかというと、映画を観てもらうだけでメッセージを伝えられるのは素晴らしいとは思うけど、僕はそれでいいとは思えなかったから。映画を作ってゴールではなく、完成作を届ける過程までが映画制作だと考えているんです」自ら監督、配役、役者、宣伝までする理由は「若者が明るい希望を持つ転機は必ずあり、映画を通じて探している」から。「社会全体が進むべき道を失いつつある中、映画業界の未来も明るくありません。そして、同世代の若者たちは、衰退が進む社会の中で希望を持てずに、何をやってもダメなのでは…と自信を喪失している。でも僕が映画を撮れたように、何かのきっかけで大きな爆発を起こすようなポテンシャルはみんなの中に眠っているはず。僕がした経験を同世代にも経験してもらいたいし、映画業界だけではなく日本全体を元気にしたいんです」自らの経験をヒントに、最近、未来へのビジョンがやっと見えてきたという。「例えば村上春樹の小説を読んでいる時、フィッシュマンズの音楽を聴いている時、ウォン・カーウァイの映画を観ている時など、抽象的な世界観やムードにトリップさせられる瞬間は誰にでもあると思うんですが、昔から僕にとってそれがすごく気持ちがいいもので。その快感への“没入”にこそ、幸せを感じてきたんです。そして、だったら自分でその感覚を作ってしまいたい、と思うようになった。手段は、いろんなカルチャーと接点のある映画やドラマなどの映像であり、もしくはインスタレーションのようなものかもしれませんが、没入できる空間を作った上で、エネルギーを解放させるまでが大事。つまりこの“没入と解放”こそが、僕のやりたいことだと思いました。そのために、引き続き作品をひっさげて地方を回り、体験やトークなど何かしらの空間を作っていくのはもちろんのこと、面白い仲間たちと各地を回り、可能性に満ち溢れたエネルギーフィールドを作っていきたい。集まった人が可能性を“浴びて”俺たちもやれる、という“元気玉”みたいなものを手にして、一気に自分を解放してほしいから。希望あるじゃん、自由でいいんだ、というある種の“解放運動”ですよね。それができれば、きっとみんなが元気になって、社会も自然と変わっていくんじゃないかな」これからは役者ではなく、監督として歩み続けたいとも話す。「目立ちたがり屋だけど、役者をやらなくても、普段からカッコつけていればその欲は満たされる気がしていて。制作側にいながらも、たまにはイベントで前に立つと思いますけど(笑)」これまでの活動の一部をプレイバック!社会や自身の環境にもがく若者たちを描いたラブストーリー、映画『ABYSS アビス』の撮影風景。「撮了の1年後に自腹で再撮影をし、編集もし直して、完成までに4年以上かかりました」須藤さんが都内で運営する『FOL SHOP』は今年4月オープン。古着などの販売、イベントや上映会も行い、若者交流の場としても機能。「古着は、映画の衣装担当のスタイリストさんが海外で買い付け」映画『逆光』をひっさげて、地方を回り宣伝活動を行った須藤さん。「まさに“没入と解放”の瞬間。映画を作るだけでなく、一つの場所にみんなが集まり、エネルギーを生み出す空間を作るのが楽しい」すどう・れん1996年7月22日生まれ、東京都出身。大学在学中の2017年に俳優活動開始。翌年、京都発地域ドラマ『ワンダーウォール』に出演。映画『逆光』で監督と主演を務め、渋谷シネクイントにて9/15公開の映画『ABYSS アビス』では、監督・脚本(渡辺あやさんと共同)・主演を務める。※『anan』2023年8月9日号より。写真・森川英里スタイリスト・高橋達之真取材、文・若山あや(by anan編集部)
2023年08月04日2023年の「流行予想ランキング」タレント部門で1位、TikToker部門で3位を獲得した、注目のZ世代・みとゆなさん。彼女のファンである通称“みともだち”の間では、手で丸を作って写真を撮る“みとゆなポーズ”が定番。ティーンから多くの共感と支持を集めるみとゆなさんにとって“インフルエンサー”という仕事の醍醐味は?ドラマ『最高の生徒 ~余命1 年のラストダンス~』撮影中の彼女にインタビューを行った。ファンは“みともだち”!友達感覚インフルエンサー。InstagramやTikTok、YouTubeなどを駆使しながら“インフルエンサー”として活躍しているみとゆなさん。SNSの普及とともに広まったインフルエンサーという肩書のことを、彼女自身はどのように定義するのだろうか。「情報発信の面で影響力があって、大勢に注目されている人。そして、どれだけ有名になっても“ファンに身近な存在”であり続ける人のことを指すのかな、と思っています。私はファンのことを“みともだち”と呼んでいます。ファンのみんなは友達のような存在なんです。いつもそばにいて、応援してくれる。分からないこと、迷うことがあったら、いつでもファンに相談します。普段は画面越しでしか会えないけど、心強いです」みとゆなさん自身がSNSに興味を持ったのは、中学1年生の頃。当時は動画共有サービスのMixChannelが流行していて、“双子ダンス”が一つのトレンドだった。高校入学後にSNSを本格的にスタート、瞬く間に注目されるようになったみとゆなさん。ここまで来られたのは「全国にいる“みともだち”のおかげ」と語る。「そもそもインフルエンサーという肩書って、自分から名乗るものではないと思っていて。活動を続けるうちに、徐々に周りから認めてもらうものなのかな、と捉えています。今でこそテレビ番組などで“インフルエンサーのみとゆな”として取り上げていただく機会も増えました。でも正直、私も最初は自分がインフルエンサーだっていう自覚は持っていなかったんです。周りから呼ばれるようになって、徐々に『ああ、そうなんだ』って。簡単に名乗れるものではないからこそ、呼んでもらえるたびに嬉しくなりますね」“みともだち”という名称も、手で丸を作る“みとゆなポーズ”も、すべて彼女とフォロワーから生まれたもの。みとゆなさんが“みともだち”との仲を深めるために意識しているのは、SNSの投稿を毎日絶やさないこと。特にTikTokとInstagramストーリーの投稿は欠かさない。「なるべく“みともだち”との繋がりを絶やさないようにしたいんです。それに、新しい投稿に誰よりも早くコメントを寄せる“1コメ”を狙ってくれる子もいる。喜んでもらえるのはやっぱり嬉しいですね」ファンに楽しんでもらうべく、仕事の合間を縫ってトレンドのチェックも欠かさない。今回の撮影の合間にも、スタジオでダンスムービーを収録する姿が。「K‐POPアイドルのダンスはバズりやすいからこそ、常に注目していますね。あと、国内では最近だと自分より年下なダンサーさんの動画を出すとバズったりします。ちょっと難しい振り付けが多いんだけど、みんなが『やりたい!』って思えるダンスを発信してくれる方がたくさんいて、アップテンポで音にはまっているダンスを見ると『あ、バズりそうだな』って注目しちゃいます」『anan』2343号(2023年4月5日発売)の「It GIRL」に登場した際は「演技にも挑戦するのが目標」と話していた。わずか数か月のうちに目標を達成し、現在はテレビドラマ『最高の生徒 ~余命1年のラストダンス~』にも出演中。彼女が演じるのはSNS中毒気味の女子高生。「鍋島聖衣良(なべしま・せいら)という役の設定を聞いた時『私に似ている!』と思いました。高校生の頃からSNS上で活動していて、バズるために頑張っている。自分の中でやると決めたことを必ず実行する点も重なるんです。ドラマの撮影現場は、出演者に同世代が多いため、楽しいです。その一方で、結構悔しいこともいっぱいあります。演技経験の足りなさに配慮いただくこともあり、優しさがありがたいのですが『もっとやれるはずなのに』と歯がゆいこともあって。もっとたくさん成長したいです」時に悩みながらも、一歩ずつ着実に成長するみとゆなさん。次に挑戦したいことは?「演技面では、自分と全く異なるタイプの役を演じてみたい。自分が演じられる役の幅を広げていきたいです。同時に、“みともだち”の幅も徐々に広げていきたいなと思っていて。SNSだと上の世代とも接するチャンスがまだまだ少ない。みとゆなのことを知らない人にも覚えてもらえるよう、活動の場を広げていきたいです」インスタやTikTokは毎日投稿が基本。“みともだち”がチェックしやすい時間に更新される、みとゆなさんのSNS。「インスタは統一感が第一。全身写真と顔のアップ、どちらかに偏りすぎないようにしながら、必ず自分の顔がレイアウトの中央にきている写真を投稿するように意識しています。TikTokはトレンドをキャッチしながら、流行りに乗ることが大事です」みとゆな2004年4月7日生まれ、神奈川県出身。恋愛リアリティ番組『今日、好きになりました。』に出演し、一躍人気に。現在はインフルエンサー、モデル、俳優、タレントとしてマルチに活動。7月よりテレビドラマ『最高の生徒 ~余命1年のラストダンス~』(日本テレビ)に鍋島聖衣良役で出演中。ワンピース 参考価格¥58,300(ガニーcustomerservice@ganni.com)ネックレス¥26,800リング¥21,800(共にザ エム ジュエラーズ TEL:03・6812・9266)サンダル¥13,900(チャールズ&キース/チャールズ&キース ジャパン)ソックスはスタイリスト私物※『anan』2023年8月9日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・古川 燿ヘア&メイク・橋本裕介(TRAPEZISTE)取材、文・高木 望(by anan編集部)
2023年08月03日アクロバティックなポーズでもブレることのない体幹。しなやかさの中にも力強さを感じさせるムーブ。ダンス歴約20年の松岡広大さんが語るダンス論。言葉以上に体の雄弁さを実感して、その面白さや深さに感動したんです。松岡広大さんがダンスに目覚めたのは3歳の頃。「今でも記憶がありますが、テレビで歌って踊るアイドルを見て衝撃を受けたんです。そのとき、漠然とですが自分はいずれこの仕事をするんだって思ったのを覚えています。小学校に入ってサッカーとか野球とか、水泳を習い始める子もいたけれど、僕はそっちにはまったく興味がなくて、家で歌ったり踊ったりしていて。それを見た母がダンススクールを調べてくれ、そこに通うようになったのが小2の頃です」今でこそダンスはメジャーな習い事になっているけれど、当時はそこまで世間に浸透していなかった時代。とくに男子の生徒はごく少数。それでも楽しくて仕方がなかったそう。「基本的にあまりしゃべる方ではなかったのもあって、ダンスが言語に代わる、人と繋がるツールみたいな感覚だったんですよね。しかも、やればやるほど上達していくし、踊っている間は、他人の目を気にせずにいられる。本来の自分でいられる感じがして嬉しかったですし、自分を自由に表現できるのが楽しかったです」この“自由さ”こそ松岡さんがダンスに最も惹かれた理由だ。「みんなと同じレールを歩くっていうことが僕は苦手で、優れることより異なっていることの方が素敵だと思うタイプ。ダンスって、踊り方も振り付けも誰かが考案したものではあるし、レッスンの過程で巧い人の動きを真似して自分のものにしていくことはありますが、ひとりひとりが違う体を持っていて、違う個性を持っているから、まったく同じにはならなくて、そこがすごく楽しかったんですよね」あっという間にダンスの魅力に虜になり、今の事務所に入る中学2年生の頃まで、週6で通っていたそう。「最初やり始めたのはヒップホップだったのですが、突き詰めていくうちに、だんだん他のジャンルにも興味が出てくるんです。その頃、YouTubeにいろんなダンサーがコンテストで踊っている動画が頻繁に上がるようになっていて、それを見て、これを習いたいって調べたりもして。お店のショーウィンドーを鏡代わりにして、いわゆるストリートダンスといわれているものも踊っていました」どうやら、始めたらとことんまでやらないと気が済まないタイプらしい。しかし、そのモチベーションになっているのは、あくまでも好奇心だ。「たぶん知的好奇心でしか生きてないんですよね。つまらないって思ったものはすぐやめるし(笑)。ダンスって、運動能力がすべてだと思われているかもしれないけれど、じつはそうでもないんです。運動神経がいいといわれている人っていうのは、ある動きがあったとして、それを表現するためにはどこにどう力を入れたらいいのか、力加減と緩急のつけ方を何度も訓練して理解している人のこと。じつは意外に頭を使うことも多いんです。それに気づいたのは20歳を過ぎた頃で、そこからスポーツ生態学を少し勉強したのですが、どこで力を抜けばいいのか、しなやかに動かすためにはどこにどれくらい力を入れるのか、理論的にわかってくるとまた面白いんですよね」もうひとつ松岡さんを夢中にさせたものがある。それがお芝居だ。「ダンスに伸び悩んだことがあって、それが小学校4年から5年生くらいの頃です。週6でレッスンに通っているのになんでこんなに上達しないんだろうってちょっと絶望的になって、やめることも考えました。そんなときにテレビを見ていたら、俳優さんがお芝居をしていて、こっちも面白そうだなと思って事務所に履歴書を送りました」ダンスとお芝居という表現方法を手に入れ、映像に舞台にと、活躍の場を広げていくのと並行して、知的好奇心に誘われるまま、さまざまな舞台を観に行くようにも。そんな中で、もう一歩深くお芝居の面白さを実感する作品に出合う。それが、日本を代表する演出家のひとりである栗山民也さんが、漫画の神様・手塚治虫さんの代表作を舞台化した『アドルフに告ぐ』だった。アドルフ・ヒトラーと、同じアドルフの名前を持つふたりの青年を軸に、大きな歴史の渦の中で生きた人々の数奇な運命を描いた作品。そこには、成河さんや松下洸平さん、髙橋洋さんといった、演劇界でも実力派で知られる俳優陣がキャストに名を連ねていた。「そのとき成河さんの存在を知ったのですが、舞台でのお芝居の熱量の高さに圧倒されてしまった。『自分も演劇をやろう』って思ったし、そこから演劇を勉強し始めて、今はもう好きを通り越して“必要”になりました」ひと言で“演劇”といっても、スタイルはさまざま。セリフのみで物語を展開していくストレートプレイと呼ばれる会話劇もあれば、そこに歌やダンスを交えたミュージカルもある。また、セリフがなく、キャストの体の表現だけで物語を紡いでゆくノンバーバルパフォーマンスと呼ばれるものも。ただ、いずれにも共通しているのは、そこに俳優が存在していて、観客は目の前の俳優の体から発せられる表現を観る、ということ。俳優として、自身の体を頭で思い描いた通りに自在に操れるということが、お芝居の上でアドバンテージになることもあるに違いない。「表現という意味では一緒なんです。動きの表現に限らず、体の状態と発声とは繋がっていて、体が硬直した状態だとどんな声色が出るのか、その逆だとどうか…ということにも関わってくるので、それはすごく助かっています。でも、ダンスをやっていてよかったと思ったのは、さらにその先のことが大きいかもしれない。ミュージカルよりもさらにダンスに近い肉体表現で、物語だったり心情だったりを描く演劇もあるんですよね。そういう作品を観たときに、言葉以上に体の雄弁さを実感して、素晴らしいなと思ったし、あらためて体で表現することの面白さや深さに感動したんです」そう言った後、「とくにインバル・ピントとの出会いは大きかった」とも。インバルとは、世界的に活躍するイスラエル出身の振付家であり演出家。松岡さんは’20年にインバルが日本で創作した舞台『ねじまき鳥クロニクル』に出演している。タイトルからもわかる通り、題材となったのは村上春樹さんの同名小説。インバルは、セリフ劇とコンテンポラリーダンスの両方を絡み合わせ、日常とファンタジーが入り混じる不思議な物語世界を立ち上げた。「あの現場自体が、大好きだったんです。インバルだけでなく、成河さんをはじめとした共演者の方がたやダンサーの方がたが、あらゆるアイデアを出していく創造的な稽古場でした。ただ参加した当初の僕は、言われたことをやるのにいっぱいいっぱい。それまでは、自分は言われたことはなんでもできると、傲慢にも思っていました。でも、できないことはできないとはっきり言うインバルと仕事をして、できない自分を認めることも大事だなと思えた。同時に、できないことも武器になると気づいて、もっと正直に生きようと思えたのは大きかったです」一昨年のミュージカル『ニュージーズ』では、主人公の相棒で片脚が不自由なクラッチーを演じている。片脚を引きずりながら新聞を売る姿、同じ新聞売りの少年たちと踊る場面…。自分の体を自在に扱える松岡さんだからこそ、何気ない仕草ひとつも、リアリティを持って見せられたように思う。「片脚を動かせないというハンディキャップを、なんとなくで表現したくなくて、役をいただいたときに、なぜ松葉杖をついているか調べました。栄養失調というか、ビタミン欠乏症によって筋力低下や感覚麻痺が起こり、歩行困難になることもあるそう。そうやって状況や背景を知ると、どういう塩梅で見せていったらいいか、やっぱりわかりやすいんですよね。ただ、動けるからって表現できているかといったら難しいところです。役によっては動けすぎちゃうのも違うと思いますし」まつおか・こうだい1997年8月9日生まれ、東京都出身。放送中のドラマ『around1/4 アラウンドクォーター』(ABCテレビ、テレビ朝日系)に出演するほか、9月7日開幕のミュージカル『スリル・ミー』への出演も控える。1枚目:ベスト¥29,700(クルニ/クルニ フラッグシップ ストアTEL:03・6416・1056)2枚目:ニット¥44,000(ルフォン/シアンPR TEL:03・6662・5525)パンツ¥33,000(メアグラーティア/ティーニーランチTEL:03・6812・9341)※『anan』2023年8月2日号より。写真・RYO SATOスタイリスト・ダヨシヘア&メイク・堤 紗也香取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年08月01日「この小説を何かの形で立体的に見せられたら。そう思ったことが、舞台を制作する会社を立ち上げようと思ったきっかけでもあったんですよね」と、小泉今日子さん。そこまで小泉さんを駆り立てたのが、大島真寿美さんの小説『ピエタ』だ。18世紀イタリアの作曲家・ヴィヴァルディが、一時期、ベネチアの孤児を養育するピエタ慈善院で、少女たちに音楽指導をおこなっていたという史実をもとに創作された物語。渾身の舞台化が実現。「原作を読んで本当に泣けてしまった」「ピエタで育ったエミーリアという女性がヴィヴァルディの訃報を受け取ったことをきっかけに、いろんな女性たちが出会っていくんです。いつしかシスターフッド(同じ目的で集まった女性たちの連帯)的な動きをしていきますが、そこが素敵だなと思ったんですよね。今は40代50代になっているけれど、少女時代に見た綺麗なものや美しい記憶が、ここまで彼女たちの支えになってきていて、自分もそうだなと思ったら、本当に泣けてしまって」そこから舞台化に向けて動き出した小泉さんは、交渉からスタッフの手配までプロデューサーとして奔走。貴族の娘のヴェロニカ役に石田ひかりさんを、そして自身はエミーリア役で俳優として出演も担うことに。「石田さんって、なんともいえないお嬢様感を持っている方なんですよね。以前、朗読劇に出ていただいたとき、終演後に『私もお手伝いしようと思って来たんです』ってバッグから軍手を出して…。じつは本物の貴族って、こういう感じじゃないかと思ったんですよね。エミーリアに関しては、当初は私が演じるつもりじゃなかったんです。でも、本来は2020年に上演するはずだったのがコロナで中止になって。再度企画を立ち上げたときに自分がやってみようかなって。私、映像作品もそうですが、ちょっとスケバン感がある役ばっかり来るんです。自分を律してピエタの中で生きてきたエミーリアみたいな役は、自分で与えないとやれない気がして、そういうのもできるぞ、と(笑)。じつはエミーリアは、物語の中心にいるので主人公のようであるけれど、物語を案内していく役割だからやれるかなっていうのが本音なんですが」ほかにも峯村リエさん、広岡由里子さん、伊勢志摩さんといった、小劇場界の個性溢れる面々が揃った。「グッとくる顔ぶれですよね。今回のリベンジ公演のために、みなさんが再びスケジュールを空けてくださったことに感激でした」本作は音楽も物語の重要な要素に。「音楽の船に運ばれるようにエミーリアが人に出会っていく物語ですから、音楽は必須だと思い生演奏にこだわりました。音楽の持つ力で、現代と18世紀のベネチアが地続きになればと思っています」アーティストや俳優として、ずっと第一線で活躍してきた小泉さんが、自ら車を運転し裏方仕事に従事し、開演前や終演後には、プロデューサーとしてロビーにも立つ。そこまで魅了された演劇の魅力とは?「20代の頃、演出家の久世光彦(てるひこ)さんのドラマによく呼んでいただいていたんですが、その現場が本当に楽しかったんです。なかでも、柄本明さんとか蟹江敬三さんのような小劇場出身の方々が圧倒的に面白くて、きっと演劇という場所にその答えがあると思ってしまったんですね。それで30代になったら舞台をやろうと思っていたら岸谷五朗さん演出の公演に呼ばれて、そこでアンサンブルの人たちと一緒に柔軟体操したり、発声練習したり基礎からやらせてもらったら、まるで部活みたいで楽しくて。でも、その後すぐ参加した岩松了さんの舞台では、話している会話の内容とはまったく違うことを考えているという芝居を要求されたんです。たとえば頭でクラゲのことを考えながら、全然関係ないセリフをしゃべってるとか。何これ!?超面白いんですけど、って衝撃を受けました。しかも演劇に携わっている人たちって、本当に純粋に演劇が好きでやっている人ばかりで、それを見ているのが幸せなんですよ。こういう人たちと一緒にものを作ることによって、自分が知り得ることはきっとあるし、一緒にもう少し光が当たる場所に行けたらと思うんですよね」asatte produce『ピエタ』ピエタ慈善院で育ち、そこで働くエミーリア(小泉)は、かつて共にヴィヴァルディに師事した貴族の娘・ヴェロニカ(石田)から、少女時代に詩を書いた楽譜の行方を捜してほしいと依頼を受けるが…。7月27日(木)~8月6日(日)下北沢・本多劇場原作/大島真寿美『ピエタ』(ポプラ社)脚本・演出/ペヤンヌマキ音楽監督/向島ゆり子プロデューサー/小泉今日子出演/小泉今日子、石田ひかり、峯村リエ、広岡由里子、伊勢志摩、橋本朗子、高野ゆらこ、向島ゆり子、会田桃子、江藤直子一般8500円ほかMitt TEL:03・6265・3201(平日12:00~17:00)愛知、富山、岐阜公演あり。こいずみ・きょうこ1966年2月4日生まれ、神奈川県出身。’82年に歌手としてデビュー。その後、俳優にも活動の幅を広げ、ドラマ、映画、舞台と多岐にわたり出演。2015年に舞台制作の会社を設立し、プロデュース業にも力を入れている。ワンピース¥46,200ベスト¥63,800(共にハイク/ボウルズ TEL:03・3719・1239)※『anan』2023年8月2日号より。写真・中島慶子スタイリスト・木村舞子ヘア&メイク・岩田美香(mod’s hair)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年07月30日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、計画的に行動して休みを楽しむ女性、「2か月先の予約をする女」になりきり。行きたい場所を普段からリストアップしておこう。長期のお休みやイベントの度に思うのは、今動く者は2か月先を制する、ということです。夏休みの旅行でホテルの予約を直前にしようとすると、すでに埋まっていたり、料金がいつもより高くなっていたりしますよね。飛行機のチケットも1~2か月前から予約がスタートしているのに、ギリギリのタイミングで「何する?」みたいなことを言い始めて、検索してもどこも空いていない…ということを何度も繰り返していて、本当に悔しい思いをしています。休みの期間は前から決まっていたのに、なぜ、動かなかったんだろう…と。また、クリスマスケーキやバレンタインデーのチョコレートといったイベントにまつわる商品も同じですよね。1週間前に慌ててケーキを探しても、とっくに予約が締め切られていたりします。だからこそ、インスタグラムなどで人気パティスリーのケーキを食べている人を見かけると、そんなに前からイベントに向けて準備をしていることに驚くし、さすがだなという気持ちに。話題のレストランとかでも、2か月前などに設けられている受付日に予約が埋まり、行けずにいるということもしばしば。きちんと予約が取れる人は休みなど自分のスケジュールをしっかりと把握して、“この休みにはこれをする”と予定を立てているはず。そうして目標を作ることで仕事を頑張るモチベーションにもなりそうでいいですよね。そんなふうに計画的に行動できる人になるためには、2か月先までのスケジュールを把握して前もって予定を立てることが大事。あと、やりたいことや行きたいお店をリストアップし、少し先の日にちでも思い切って予約してみるのも手。きっと誰かは“一緒に行きたい!”と乗ってくれるのではないでしょうか。よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。今年6月に第三子を出産。※『anan』2023年8月2日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2023年07月29日昨年公開された映画『ハケンアニメ!』で、若き天才アニメーターを演じた小野花梨さん。若いながらも、仕事への熱く頑固な情熱を持つ一方、プライベートでは自分に自信を持てずに鬱屈した思いを抱えている。そんな役柄をリアルに、そして魅力的に演じ、限られた出番ながら存在感を発揮し、今年日本アカデミー賞新人俳優賞も受賞した。――新人賞を受賞されて、なにか変化のようなものはありました?小野花梨(以下、小野):正直、体感としては一切なく…、これまでと地続きの日々をコツコツ歩ませていただいています。――賞が自信に結びついたりは?小野:お褒めの言葉をいただけたことはとても嬉しいことでしたが、自信というより、ここまで頑張ってきてよかったなという気持ちの方がしっくりくる気がします。――着実にキャリアを積んで、今回、『初恋、ざらり』で連続ドラマ初主演を果たします。小野:プロデューサーさんは以前ドラマでお世話になった方ですし、共演の風間俊介さんは10年前の映画『鈴木先生』で共演させていただいています。これまでのご縁が積み重なって今に至った感じがして、過去の自分に通知表をもらったような、過去の自分を認めていただいたような気持ちになりました。――本作で演じているのは、軽度の知的障害と自閉症がある主人公・有紗。障害を隠して働き始めた職場でも周りに馴染めず、ミスを連発。そんな中、風間さん演じる職場の先輩・岡村の優しさに触れて恋に落ちるストーリーです。小野:非常にセンシティブな題材ですよね。実際に有紗と同じ症状で不自由な思いをしている当事者の方たちがいて、表現の仕方など繊細さが必要な役で、少なからず恐怖心もあります。でも、原作を読んだとき、不器用な女の子が一生懸命に生きている…そんな愛らしさを感じて。気づけば有紗に感情移入していて、なぜだか自分の不安定な部分まで愛せるようになった気がしました。――考えすぎて動けなくなったり、テンパってミスしたりって、有紗ほどではないにしろ誰にもあることで、共感できる部分も多いです。小野:この作品が秀逸だなと思うのは、そこなんですよね。軽度知的障害の有無にかかわらず、有紗の持つ劣等感に多くの人が共感できる。恋愛的なシーンでの、自分で勝手に不安になって相手を傷つけてしまって、その事実に自分も傷つく。相手を思うがゆえにすれ違ってしまうというところは、私も共感を覚える部分で。多くの人がプライドや理性で呑み込んでしまう言葉を有紗は言ってしまったり、逆に考えすぎるがゆえに言えなかったり。そういう個性はあるけれど、根底の感情に共感できるのが、この作品が多くの人に愛されている理由なのだと思いました。――連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』のきぬちゃんもそうですが、小野さんが演じることで役に人間的魅力が加わり、愛すべきキャラクターに育っていくような印象を受けます。普段、役にアプローチしていくとき、どんな段階を踏まれているんでしょうか。小野:毎回、たくさんの方にアドバイスをいただきながら作っているので、自分だけでどうこうではないと思うのですが、演じる役については自分が一番好きでいなきゃとは毎回思ってやっています。この人のどんなところが良くて、どこがダメで、どこが愛おしいところかを、一番説明できる人間でいたいです。――ときには、キャラクターが自分には理解できない行動をとることもあると思うのですが?小野:理解はできても共感はできない、というパターンはありましたけど、人として全く、理解も共感もできない!ということはなかったと思います。たとえば人を殺しちゃう役も、どんな理由であれ殺す結論に至ったことに共感はできなくてもそこまで追い詰められた感情の流れは理解できる…みたいな。――子役時代から遡って、これまでに難しかった役というと?小野:それでいうと、今回の有紗役は、感情の根底にあるものは理解できても、アウトプットの仕方が自分とは真反対で難しいですね。私は、小さい頃からこの環境にいるからか、先に口が動いて、言葉を発した後から頭がついていって辻褄合わせをする、みたいなところがあります。でも有紗はパッと言葉が出てこない人なので、いったん頭の中で考えて言葉に出すまでのラグをお芝居で作る必要があるんですが、感情だけで有紗をやろうとすると、反射的に口が動いてしまって…。最初の数日は、有紗のテンポに慣れなくて悩みました。小野さんにとって初の連続ドラマ主演作となる『初恋、ざらり』は、毎週金曜24:12~テレビ東京系にて放送中。軽度知的障害がある自閉症の上戸有紗(小野)は、そのことを隠して運送会社で働き始める。しかし、暗黙の了解が理解できず、ミスを連発し落ち込む日々。そんななか、職場の先輩・岡村(風間)の優しさに触れ、恋をするが…。おの・かりん1998年7月6日生まれ、東京都出身。2006年のドラマ『嫌われ松子の一生』で子役デビュー。’21年の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』や主演した映画『プリテンダーズ』、昨年の映画『ハケンアニメ!』などで注目を集める。出演映画『Gメン』は8月25日に公開予定。トップス¥39,600(Y’s/ワイズ プレスルーム TEL:03・5463・1540)ジャケット¥63,800(daichiogata TEL:080・1212・7269)イヤリング、右¥20,900左¥19,800(共にGARNI/ガルニトウキョウ TEL:03・3770・4554)※『anan』2023年8月2日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・髙橋美咲(Sadalsuud)ヘア&メイク・森下奈央子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年07月28日ミュージカル『ファントム』で、オペラ座に棲む“音楽の天使”ファントムに導かれ歌手としての才能を開花させるヒロインのクリスティーヌを演じる真彩希帆さん。宝塚歌劇団在団中にも、トップ娘役として演じた役だが、再びクリスティーヌと向き合いながら「演出の城田(優)さんに確認し、解釈を深めながらですけれど…」と前置きしつつ、あらためて「大事なことは変わらないんだと実感しています」と語る。「クリスティーヌは、演じるたびに原点に返らせてくれる役です」「宝塚の『ファントム』とは演出も、翻訳の脚本も、キャストも違いますから、クリスティーヌとしても新しいアプローチが必要だろうと考えていました。でも、“気持ちの持っていきかたを変えてみよう”と考えてきたことが違和感だらけで。なんだか心が繋がらず歌も歌いにくい。ならば無理に変えるのも違うし、今は同じものが生まれたら生まれたでその気持ちを大事にしようと思って演じています」もともと楽曲に導かれながら、その場その瞬間に舞台の上で湧き上がるものを大事にしてきた人。「クリスティーヌという役は、演じるたびに原点に返らせてくれるんです。誰に見せるわけでもなく、ただただ歌を楽しんで歌っていたときの気持ち、初めて舞台に立ちたいと思ったときの気持ち、練習を重ねる中でこんなふうにも歌えるんだと発見があったときの喜び…。そして、初めて人前で歌ったときの、周りの嬉しそうな反応。ひとつひとつの場面が自分と重なって、リアルな感情として迫ってくる。とても面白い役だなとあらためて思います」そして、そんな“役者自身から生まれてくるもの”を大事にしてくれるのが城田さん流の演出。「しっかりとしたビジョンを持ちながらも、ここは絶対にこうでなきゃとはおっしゃらない。ただ、『僕からはこう見えるけれど、あなたの意図と合ってますか?』と言ってくださるので、答え合わせをしながら作っていっている感じです」曇りのないクリアで美しい歌声と、確かな歌唱力の持ち主。クリスティーヌ同様、真彩さんも音楽の天使に愛された人であることは間違いない。「私自身は自分の声や歌にそんなに自信はなくて…(笑)。もし褒めていただけるとしたら、ここまで演じてきた役の子たちが作ってくれた歌や声ですから、それは役のおかげです。私は、自分じゃない“誰か”から生まれた想いが歌になっていく瞬間が大好きで、舞台に立って歌えることを本当に幸せだなと感じています。これからも“誰か”として歌い演じ続けられるよう、なにも演じていないときはハスキーになる自分の声も大事にしながら(笑)、丁寧に役と向き合っていきたいと思っています」ミュージカル『ファントム』7月22日(土)~8月6日(日)梅田芸術劇場メインホール、8月14日(月)~9月10日(日)東京国際フォーラム ホールC 脚本/アーサー・コピット作詞・作曲/モーリー・イェストン原作/ガストン・ルルー演出/城田優出演/加藤和樹・城田優(Wキャスト)、真彩希帆・sara(Wキャスト)、大野拓朗・城田優(Wキャスト)、石田ニコル・皆本麻帆(Wキャスト)、加治将樹、中村翼、加藤将、西郷豊、岡田浩暉ほかS席1万4000円A席9000円B席5500円キョードー東京 TEL:0570・550・799(11:00~18:00、土・日・祝日10:00~)19世紀後半のパリ。オペラ座では、ファントム(加藤・城田)が出没すると噂されていた。そんななか、憧れのオペラ座で職を得た歌手志望のクリスティーヌ(真彩・sara)は、その美しい声に魅せられたファントムから密かに歌のレッスンを受けるようになり…。※出演を予定していたsaraさんですが、体調不良のため全公演を休演することになりました。まあや・きほ埼玉県出身。2012年に宝塚歌劇団に入団し、たしかな歌唱力と繊細な演技力が注目され、’17年に雪組トップ娘役に就任。’21年の退団後は、『ドン・ジュアン』『ジキル&ハイド』などミュージカルを中心に活躍。11月からは『LUPIN~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』に出演。※『anan』2023年7月26日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年07月24日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、自然体な姿をとらえる女性、「何気ない写真を上手に撮る女」になりきり。風景や雰囲気を記録するような気持ちで撮ろう。もう芸人を辞めてしまった同期の女の子がいるのですが、以前、彼女も含め、みんなで子どもを連れて集まり、ごはんを食べたことがありました。その時に私や子どもの写真を撮ってくれたのですが、そのうちの一枚が子どもの前髪と、手に持っているお椀のカーブがぴったりと合うような素敵なもので感動!他にも、いろいろと撮ってくれたのですが、そのどれもがピースをするようなキメたものではなく、子どもと一緒に遊んでいる様子などをさらっと撮っていて。「撮るよ」みたいな掛け声もありません。まるで目の中にカメラが入っているのかな?と思うくらい自然とシャッターを切っているようでした。私が子どもの写真を撮る時は、つい声変えをしたり、「このポーズをして!」と強要してしまいます。でも、振り返ってみると、彼女は昔から集団コントやネタ合わせをする時の写真をずーっと撮っていて、その時から画角やトリミングの仕方が上手でした。一緒に遊んでいるだけなのに作品のような写真をもらえるし、彼女の写真のおかげで、アルバムもすごく豪華な感じになるので、本当にありがたいです。すごいのは、自分の子どもにごはんを食べさせながら自分もごはんを食べ、さらに写真を撮っているところ。心に余裕がないとできないですよね。彼女のようにナチュラルにシャッターを切って自然体な写真を撮れるようになるためには、まずは撮ることに慣れ、特別なものにしないことが大事。目の中にカメラを入れるような気持ちで、とにかく当たり前に撮影をする。その時、写真立てに飾るようなものを狙ったり、上手く撮ろうとせず、今の現場や状況、風景、雰囲気を押さえておくような記録する気持ちで向き合うと、いいものが撮れるのかなと思いました!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。今年6月に第三子を出産。※『anan』2023年7月26日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2023年07月22日年上の素敵なお姉様を招き、お話を伺う「乙女談義」。今回は、過去の名作シリーズをお届けします。女優の市原悦子さんと、料理家の鈴木登紀子さんです。市原悦子「『家政婦は見た!』のお話は、労働者へのエールなんですよ」作品を選ぶとき、役柄が孤独だったり、重く、暗く、不幸な題材に興味を持ちますね。『家政婦は見た!』もそうですよ。あれは働く女の原点を描いている物語。主人公の石崎秋子さんは、バーゲンを漁ってブラウスを買って、それを着て家政婦の仕事に行くわけだけど、お給料は日当だから風邪をひいたらもらえない。体を大事にして、とにかく一日一日働くんだっていう女性。彼女には、夫も子供もいない、猫しかいない。孤独なんですよ。あれは、体を使って汗をかきながら働いている、しかも定収入のない不安定な人たちへの、“元気に頑張ってね”という、エールがこもった作品。社会的に弱い立場の人たちが、エリートに対して憤る。松本清張作品の根本はそこなんです。でもそれをマジメに理屈っぽくやっても、ちょっとね。よくあの作品はユーモラスだと言われましたが、そんな狙いはなかったんですよ。でも人間って一生懸命になり、そして健気だと、おかしいものなんじゃないですか(笑)。いちはら・えつこ女優。千葉県生まれ。俳優座出身。舞台や映画、テレビ、ラジオと幅広く活躍。アニメ『まんが日本昔ばなし』での声の芝居や、ドラマシリーズ『家政婦は見た!』などで知られる。2019年1月に逝去。’15年2月に連載に登場。初出は1943号。鈴木登紀子「長い人生を豊かにするためには、“好きなこと”を見つけましょう」好きこそものの上手なれ、と言いますが、私は小さい頃から母のお手伝いをしていたことで料理を好きになり、40代でそれが仕事になりました。今でも自宅で料理教室を開き、テレビで料理を作ったり、本にまとめたり。毎日好きなことができて、本当に幸せだと思いながら過ごしています。これを読んでいる皆さんは、今はお仕事を一生懸命になさっていることでしょう。でもそれとは別に、何か好きなことを見つけるといいと思いますよ。誰でも、好きなことをしているときは、幸せでしょう?人生はとても長いもの。夢中になれるものを持っていると、年をとったときでも、豊かな時間が過ごせると思いますよ。好きなことは、いくつあってもいいです。若い頃は旅行も好きで、毎年スイスに主人と二人で出かけてました。それもとっても楽しかった。でも今思うのは、美味しい料理を食べることが一番楽しい。娘に「食べすぎちゃダメ」って言われるけど、セーブできなくて困っております。やめられないわね。すずき・ときこ料理研究家。1924年、青森県生まれ。テレビ『きょうの料理』や『あさイチ』(共にNHK総合)などで活躍。『誰も教えなくなった、料理きほんのき』(小学館)など著書多数。2020年12月に逝去。’14年2月に連載に登場。初出は1894号。※『anan』2023年7月26日号より。写真・中島慶子ヘア&メイク・山本理恵(Team/市原さん)(by anan編集部)
2023年07月22日多彩な声色を使い分け、今やディズニー作品を語るのに欠かせない声優となった山寺宏一さん。約40年近くのキャリアの中で思い出に残る作品を貴重な裏話とともに振り返ってもらった。共に歩んできた思い出深い作品。――タレント、声優・山寺宏一さん「初めてディズニー作品に参加したのは、1992年日本公開の『美女と野獣』。その1年ほど前に野獣役のオーディションがあったんです。当時、僕はまだ若手でしたし、ベテランの声優さんたちが数多くエントリーしていたから、ダメ元で受けてみたんですよ。野獣は低くて野太い声ですし、迫力も必要。何度も練習しましたね。合格の連絡をいただいた時は『まさか自分が!』と。野獣の声はほぼ加工なしで自分の声をそのまま使ってもらっているんです。映画を観た先輩から『山ちゃん、野獣の声とってもよかったよ』と感想をいただけたのも嬉しかった。この時、声優として自信がついた気がしました。そしたら、次にドナルドダックのオーディションがあると聞いて。それまで日本ではいろんな声優さんがドナルド役を演じていましたが、僕、友達にやり方を習ったことがあって、ダックボイスができたんですよ。それをオーディションで披露したら『すごい!じゃあダックボイスでセリフをしゃべってみて』と。いやいや、無理だろうと思ったけど(笑)、『あなたができなかったら日本でする人いないから』って言われて。本国から発声マニュアルをいただいて、3か月くらい徹底的に練習しました。その甲斐あって、ウォルト・ディズニー・カンパニー本社からお墨付きをいただいて、30年近くやらせてもらっています。長くやっていてもドナルド役は毎回苦労する難役ですね。ディズニー作品には人間以外の個性的なキャラクターが数多くいますから、発声方法もアプローチも変わってきます。例えば『リロ&スティッチ』に出てくるエイリアンのスティッチ。彼の場合も独特の発声をマスターするのに苦労しました。スティッチは特に日本での人気が高く、沖縄を舞台にした『スティッチ!』というテレビシリーズも作られたんです。チャレンジという意味では『ロジャー・ラビット』のロジャー・ラビット役も。声もテンションも高いので冒頭のシーンだけで声がかれそうに(笑)。また、ミュージカル映画『メリー・ポピンズ』は、歌のハードルが高かった作品。僕が演じたバートの歌『チム・チム・チェリー』は、キャラクターソングとは違って正統派で歌い上げないといけない名曲で必死に練習しました。“スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス”の早口は、今では歌えないかも(笑)。こうしてさまざまな役を演じさせていただいたおかげで自分の役幅が広がったと思っています」そして、山寺さんとディズニー作品を語る上で忘れてはならないのが、『アラジン』に登場するランプの魔人ジーニー。「ユーモアに富んだ口調でジョーク好き。さらに、子どもから老人、女性などさまざまな声色を駆使するエンターテイナーなジーニーは、本当に魅力的な役。僕、声優になる前はものまねタレントになりたいと思っていましたから、この役こそ自分の力を120%発揮できると思ってオーディションに臨んだんです。ジーニーは天才コメディアンで俳優のロビン・ウィリアムズに当て書きして作られた役ということもあってファンが多い。吹き替え版でその魅力が半減しないよう、ロビン・ウィリアムズに負けないぞという気持ちでやってます。ディズニー作品は本国の声優陣がアカデミー賞俳優ということも少なくなく、吹き替えの声優にも高い表現力や演技力を求められます。『ムーラン』の守護神ムーシューは、エディ・マーフィが声を担当していますから豪華ですよね。実写版『アラジン』はウィル・スミスがジーニーを演じたことで話題になりました。この作品の日本公開をきっかけにウィル・スミスとイベントで共演したのもいい思い出です。そうそう、僕はコンサートなどでジーニーの十八番『フレンド・ライク・ミー』を歌わせていただくことが多いのですが、『アラジン/ジャファーの逆襲』『アラジン完結編/盗賊王の伝説』など、スピンオフ作品にも隠れた名曲が多いのでぜひ聴いてみてほしいです。ディズニー作品に携わっていると、ジーニーのように長い付き合いになるキャラクターも少なくない。過去の自分に負けないよう、表現力を磨き続けようと思えるのもディズニー作品のおかげですね」こうして役と向き合いながら、力をもらっているという山寺さん。「『シュガー・ラッシュ』はゲームの中の悪役にスポットライトを当てた珍しいストーリー。不器用だけど心優しいラルフが仲間はずれの少女ヴァネロペと出会い、友情を築き上げる。演じていてすごく心が温まります。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は、はみ出し者たちがそれぞれの弱さを補い合いながら、銀河を守るために戦う姿に勇気をもらえる。失敗ばかりの僕も誰かの役に立てるかもしれない。ディズニーやマーベル・シネマティック・ユニバースなどのキャラクターを演じているとそういうふうに前向きな気持ちになるんです」【Disney】『アラジン』(1992)陽気な魔人ジーニーを魅力たっぷりに演じた当たり役。砂漠の国アグラバーに暮らす貧しい青年アラジンは洞窟の奥に眠るランプの魔人ジーニーと出会う。ランプの力を使い、悪名高い魔法使いジャファーと戦いながら、ジャスミン王女の心を射止めようとする。2019年には実写版も公開。© 2023 Disney【Disney】『美女と野獣』(1991)ハンサムな王子のイケボと、野獣の唸り声が聞きどころ。魔女の魔法で恐ろしい野獣の姿にされてしまった美しい王子。人を愛し、愛されなければ永遠に獣のまま。心を閉ざし、絶望の日々を送っていた野獣に光を与えたのは、聡明で美しい女性ベル。二人の出会いが互いの運命を変えていく。© 2023 Disney【Disney】『ダックテイルズ』(2017~2020)ドナルドダックのかわいい甥っ子たちが大活躍!ドナルドダッグの伯父スクルージ・マクダックと3つ子の甥っ子ヒューイ、デューイ、ルーイが主人公のテレビアニメシリーズのリブート版。オリジナルは1987年に放送開始。山寺さんは30年にわたってドナルドダックを担当。© 2023 Disney【Disney】『リロ&スティッチ』(2002)不思議なスティッチ語がクセになるハートフルな作品。ハワイ・カウアイ島に暮らすリロは両親を亡くした孤独な少女。ある日宇宙からの逃亡者であるエイリアンのスティッチと出会い、一緒に暮らし始める。破壊することしか知らなかった暴れん坊のスティッチはリロとの交流で人を思う心を知る。© 2023 Disney【MARVEL】『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)チャーミングな悪役ヒーロー、ピーター・クイルの魅力が炸裂。Marvel’s Guardians Of The Galaxy..Peter Quill/Star-Lord (Chris Pratt)..Ph: Jay Maidment..©Marvel 2014幼い頃に地球から誘拐され、宇宙のトレジャーハンターとなったピーター・クイル。刑務所に収容されたピーターは4人の凶悪犯たちと銀河の危機を救うため立ち上がる。はみ出し者たちがヒーローになる冒険活劇。© 2023 MARVEL【Disney】『シュガー・ラッシュ』(2012)厄介者扱いされてしまう悪役の知られざる一面を描いた傑作。悪役に嫌気がさし、自分のゲームを飛び出したラルフ。ヒーローとして活躍できるゲームを探して、お菓子の国のレースゲーム「シュガー・ラッシュ」へ忍び込む。そこで仲間はずれにされていた少女ヴァネロペと出会い、友情を深めていく。© 2023 Disney【Disney】『ロジャー・ラビット』(1988)笑わせることが生きがいの映画スターが名探偵と駆け回る!舞台はアニメーションと実写が交錯する街トゥーンタウン。殺人の容疑者になったロジャー・ラビットは、追っ手から逃れた先にいた探偵エディと共に、真犯人を捜すことに。実写とアニメーションをCGで合成した画期的な作品。© 2023 Disney【Disney】『メリー・ポピンズ』(1964)名曲揃いで楽しい気持ちにさせてくれるミュージカル映画。ジョージ&ウィニフレッド夫妻のやんちゃな子どもたちの元にやってきた不思議な力を持つ家庭教師メリー・ポピンズ。山寺さんが吹き替えを担当したバートはメリーの昔からの友達。彼が歌う「チム・チム・チェリー」はアカデミー賞歌曲賞を受賞。© 2023 Disney【Disney】『ムーラン』(1998)ムーランを陰で支える守護神、ムーシューの活躍から目が離せない。ファ家の一人娘ムーランは父の身代わりとなり、男性と偽って国の命運を左右する戦いに身を投じていく。山寺さんが声を吹き込んだムーシューは茶目っ気いっぱいの赤竜でムーランの守護神。アメリカではエディ・マーフィが声を担当。© 2023 Disney掲載作品は、すべてディズニープラスで配信中視聴には、月額990円、年額9900円の2プランがあり。詳しくはKoichi Yamadera1961年、宮城県生まれ。幅広い声色を使い分け、「七色の声を持つ男」といわれる。’85年のデビュー後、アニメの吹き替えのほか、エディ・マーフィなど多数のスターに声を当ててきた。ディズニーの名曲で構成された『フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート』にも出演。※『anan』2023年7月26日号より。取材、文・浦本真梨子構成・野尻和代(by anan編集部)
2023年07月22日デビューはなんと1歳のとき。大河ドラマ『天地人』や映画『忍たま乱太郎』、CMで扮した「こども店長」など代表作は数知れず。2010年のananでは表紙に登場、「Seishiro Love」と題し8ページにわたる特集が組まれたことも。21歳になった加藤清史郎さんが、今、そして当時を語ります。――つい先日、11月に帝国劇場で上演のミュージカル『LUPIN~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』への出演が発表されました。’13年のミュージカル『レ・ミゼラブル』(通称・レミゼ)以来、10年ぶりに帝国劇場(通称・帝劇)に立てるのが何より嬉しいです。僕は高校入学のタイミングでイギリス留学したんですが、向こうにいる間も将来的に日本のミュージカルの世界に戻りたいと思っていて、そのイメージの中にあったのが帝劇でした。初めてミュージカルを観たのも初めて立った舞台も帝劇で、自分にとっては特別な思い入れがある場所なので。――幼い頃からドラマ、映画、CMにと活躍されていましたが、そこまでミュージカルに強い思い入れを持ったのはなぜですか?きっかけは、当時の事務所の先輩子役さんがガブローシュという役を演じているからと観に行ったレミゼです。そのとき、この大人たちに交ざって、大人顔負けの熱量で歌って、お芝居して、走り回っている男の子、なんなんだ、すっげえかっこいい…ってなったんです。レミゼという作品も大好きになって、次にオーディションがあったら絶対に受けさせてほしいと事務所にお願いしました。もしあのときに、先輩がガブローシュをやっていなかったら、僕はレミゼもミュージカルも知らないままだったかもしれないし、留学もしてなかったかもしれない。俳優人生のターニングポイントをくれた帝劇に10年ぶりに帰ってこられるということで、ちょっと気合入っちゃってます(笑)。――初めてガブローシュ役で出演されたのが’11年。大人気子役として引っ張りだこだった中、ご自分からオーディションを受けられたとは思いませんでした。当時のことをよく「すごく活躍されていた」と言っていただきますが、僕としては当時も今もその感覚があまりないんです。たしかに『天地人』やこども店長で名前が出て、道端で声をかけられることは増えましたが、学校だったり家族や親戚、友だちだったりが、何も変わらなかった。レミゼのオーディションに関しても、小さいときから散々受けてきて落ちるのが当たり前だと思うようにプログラミングされているので(笑)、抵抗はなかったです。100%出し切って落ちたら、それはご縁とタイミングが合わなかっただけのこと。それでも、あんなに緊張したオーディションってなかったんじゃないかっていうくらいでした。もともと緊張しいではあるけれど、本当に吐くんじゃないかってくらい、過去最高レベルでしたね。――ご自身は人気子役の自覚はなかったんですね。ありがたく感じていましたけれど、ただ自分が楽しいことをやってるだけなのに、いいのかなぁみたいな感覚だった気がします。楽しいからやっているっていう根本は今も同じですけれど、あの頃に比べたら、少しはお芝居をお仕事として見られるようになったかな。――’15年に市川海老蔵(現・團十郎)さん主演の六本木歌舞伎に出演されたとき、俳優を辞めるか迷って海老蔵さんに相談したと話されていました。“楽しい”お仕事を辞めようと思っていたのは?あのときは、楽しいことが他にもあったんですね。――というのは?野球です。小さい頃から阪神タイガースが好きで、ずっと大ファンだった赤星(憲広)選手とお話しする機会があって、「俺は中学の途中から野球を始めたから遅くないよ」と言われたんです。そのとき、今からでも自分も野球選手になれるかもしれないと本気で思っちゃったんです。野球選手がお芝居やってるイメージはあまりないけど、CMやバラエティ番組に出られたりもするし、両立できなくないのかなと考えたりもして。――その頃は、本気でプロ野球選手を目指そうと思われた?…というと語弊があるかもしれませんが、気持ちとしてです。なれるかはわからないけれど、もしまだ野球選手になる可能性があるならば…と思うくらい野球が好きだったんでしょうね。――あの…大変に失礼ですけれど、意外と単純、というか…。そうなんです(笑)。今もそういうところがありますが、楽しいからやっていて、楽しくなければやれない。俳優業も、子供の頃から親に「いつ辞めてもいいんだよ」って言われてきたおかげで、将来的に家計がどんなに苦しくなっても、楽しくなくなったら辞めるんだろうと思います。逆にどんなに苦しくても、演じる楽しさを超えない限り続けるんでしょうし。――ということは、ここまでずっと、楽しいが勝っていた?今のところ、楽しくないと思ったことはないです。まだまだ僕の経験なんて、たかが知れてますけど。演じている最中も楽しいですけれど、カットがかかった瞬間、舞台だったらカーテンコールでお辞儀して顔を上げた瞬間、楽しいなーって思います。――それは達成感?それもあると思いますが、たぶんその瞬間って、感覚がもっとも研ぎ澄まされているんです。喧嘩のシーンとかだとより実感しやすいですけれど、相手が発するあらゆるものを敏感に感じ取って投げ返して、それを向こうが受けて…って、卓球とかテニスのラリーみたいな感覚です。しかもそのラリーには勝ち負けがなくて、どっちも勝ち。そりゃ楽しいですよね。ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒にされた』は、毎週土曜22時~日テレ系にて放送中。卒業式の日に生徒に殺される未来を体験した女教師・九条里奈(松岡茉優)。自身の死を覆すため、生徒にすべてをかけて向き合う覚悟を決める。加藤さんは、すべてにおいて自分の“楽しい”を優先させる独善的な生徒・相楽琉偉を演じる。かとう・せいしろう2001年8月4日生まれ、神奈川県出身。1歳でデビュー、7歳のときに大河ドラマ『天地人』で演じた幼少期の直江兼続で注目を集め、映画『忍たま乱太郎』など数多くの映画やドラマに出演。中学卒業後はイギリスに3年間留学。帰国後に出演したドラマ『ドラゴン桜』第2シリーズやミュージカル『ニュージーズ』なども話題に。カーディガン¥13,200(ヌワールファブリック/ジーンズ ファクトリー 卸団地本店 TEL:088・861・5100)その他はスタイリスト私物※『anan』2023年7月26日号より。写真・玉村敬太スタイリスト・ダヨシヘア&メイク・MYOKENインタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年07月21日無類の映画好きとしても知られる前田敦子さん。ヒーローものにはマーベルで開眼。前田さんならではの楽しみ方を聞きました。ヒーロー映画のトップランナーとして、ファン層を拡大し、魅了し続けているマーベル・シネマティック・ユニバース作品。「私がマーベルに興味を持ったのは、『アベンジャーズ』が公開されて、しばらく経った頃だと思います。周りがみんな面白いって言っていて、マーベルの最初の盛り上がりがきている時だったんです。それで私もシリーズ1作目の『アイアンマン』を観てみました」前田敦子さんとマーベルの出合いは、今から10年ほど前。前田さんが21歳くらいの頃のこと。「観たら、すっごい楽しかったんです。それまでヒーローものというと非現実的なイメージがありましたが、『アイアンマン』は全く違って、むしろ実在するようなリアリティ。大人もハマれる作品で『これ作った人すごい!』って尊敬しちゃいました(笑)」ヒーローといえど、主人公のトニー・スタークはそもそも人間。テロリストから地球の平和を守るため、自ら開発したアーマーを装着して「アイアンマン」になる。「それって現実的ですよね。でも、同時に夢もある。『アイアンマン』を観てからは、その当時出ていた『アベンジャーズ』までの6作品を一気に観て、あとはずっとリアルタイムで追いかけています」現在44作品あるMCUのなかでも大きな区切りとなるのが、ヒーローたちが大集合する『アベンジャーズ』シリーズ。これまで4作品が公開されている。「私はアイアンマンやキャプテン・アメリカ、ブラック・ウィドウといった初代アベンジャーズが大好きで、うちの猫にもメンバーたちの名前をつけるほど。アベンジャーズは、それぞれ個性的なところが魅力なんですよね。例えば、トニーは単体の映画で観ていると個人主義だけど、アベンジャーズになるとリーダーシップを発揮するんだな、とか。あと、ノリが軽い(笑)。一方、キャプテン・アメリカはマジメで紳士的。悲しい過去を背負っていて、だからこそ応援したくなる!そんな違うタイプのヒーローが集まって、わちゃわちゃするのが楽しいんです」1作目の『アベンジャーズ』ではそういう姿がよく見られるが、いったんの終幕に向かう『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』と『アベンジャーズ/エンドゲーム』は、かなりシリアス。「世界を救うための集中モードに入っていくので、仕方ないんですよね。でも、私はやっぱり最初の頃の楽しい雰囲気が好きだし、何よりシビアな結末が辛かった。あのヒーローがいなくなってしまうなんて…。現実的といえばそうなんですけど、リアルタイムで追っていたぶん、感情移入も大きくて。『エンドゲーム』を観たあとは、ただただ泣いていました」シリーズを順番に観るなら「この衝撃を一度は体感してほしい」と言いつつ、前田さん自身はもう少し軽やかな楽しみ方が好み。「『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『スパイダーマン:ホームカミング』『キャプテン・マーベル』は肩の力を抜いて観られるし、期待通りに面白い。例えば『キャプテン・マーベル』は、主人公のキャロル・ダンヴァースがアベンジャーズの誰より強いんじゃないかというほどスーパー強くて、彼女が自分の星にいてくれたら一生安心(笑)。マーベルにはこういう作品もあって、全てが悲惨にならないところがいいんです」それこそが、前田さんがマーベルに惹かれるところ。「誰かが犠牲になっても、ほかのヒーローが現れて、最悪の状況は食い止められる。そのギリギリの感じが、たまらないなと思います。マーベルには、そういう展開がいくつもあって、ひとたび世界に飛び込むと夢中になれる。だから私は、日常のモヤモヤからパッと離れたい時に観たくなるんです」これほど没入感ある映画体験ができるのは、物語の良さもさることながら、俳優陣の魅力や演技力によるところも大きいよう。「私は、この世界の中にいる俳優さんが全員好き。ヴィラン(敵)も含めて嫌いな人は一人もいないです。100%その役になっている。みんなピッタリって思えるなんて、本当にすごいですよね」『エンドゲーム』後はヒーローの世代交代など、それ以前のマーベルとはまた違った雰囲気になっているが、初代アベンジャーズファンの前田さんは、その変化をどのように受け止めているのだろう。「やっぱりちょっと寂しい気持ちもありますが…。でも、ディズニープラスのドラマシリーズから新ヒーローが続々と加わって、なかには気になるキャラクターも。例えば『ホークアイ』に登場した、ホークアイの跡を継ぐケイト。子どもの頃からホークアイに憧れていた彼女が、弓矢の腕を磨いて後継者になるなんて、夢がありますよね。あと新登場といえば『ムーンナイト』は、ヒーローの心の闇が描かれていて、これまでのマーベルにはなかったようなダークな世界観。今後、ほかの作品にどう影響するのか、楽しみです。ほかにもまだまだ新しい仲間が増えそうなので、これからも変わらず追っていきたいと思います」前田さんのMY BEST「マーベル」『アベンジャーズ』(2012)ヒーローたちのわちゃわちゃ賑やかな感じが好きなんです。アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ブラック・ウィドウ、ソー、ハルク、ホークアイという、それまで個々に活動してきたヒーローたちが、初めて力を合わせて敵と戦う。「ヒーロー同士の関係性がいい。なかでも私は、芯が強くてブレないブラック・ウィドウが、一番好き」『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)アライグマに木のヒーロー…!見た目から引き込まれます。MCUの中でも独立した魅力を持つ作品。はみだし者のピーター・クイルが、ワケありの仲間とチームを組んで、銀河を救う旅に出る。「アライグマのロケットに、木のグルートと、見た目からしてみんな個性的で面白い。ガーディアンズは音楽も良くて、サントラを聴いていました」『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)ヒーローと同じ目線で楽しめて、どっぷりハマりました!普段は高校生。街にトラブルが起こるとスパイダーマンとして活動するピーター・パーカーが主人公。「これを観た時は、私もまだ20代だったので、ピーターのキラキラした姿を同じ目線で楽しんでいました。どっぷりハマっていた時期で、思い入れも深い作品です」『キャプテン・マーベル』(2019)彼女がいれば絶対に大丈夫と思える存在って本当に心強い。アベンジャーズ誕生前の世界線。過去の記憶を失ったキャロルは、その代償として強大な力を得るが…。「とにかく可愛くて、かっこよくて、めちゃくちゃ強い!ヒーローが負けてしまうのはある意味、現実的ですが、一方で彼女のように最強の人がいると安心して観られます」©2023 MARVEL掲載作品は、すべてディズニープラスで配信中(『スパイダーマン:ホームカミング』はソニー・ピクチャーズ配給)視聴には、月額990円、年額9900円の2プランがあり。まえだ・あつこ1991年7月10日生まれ、千葉県出身。俳優、歌手。7月20日から放送のドラマ『彼女たちの犯罪』(読売テレビ・日本テレビ系/毎週木曜23時59分~)に出演。映画『Love Will Tear Us Apart』が8月19日公開。シャツ¥36,300(PAS MARQUE/パ マーク)シンプルフープ¥12,000おっぱいリング¥30,000KOIAI STUDIOS×クレーターリング¥42,000ハグリング¥24,000エヌリング¥24,000ころころバングル¥38,000チェーンブレスレット¥50,000(以上korocoro@koro__coro)ランニング、スカートはスタイリスト私物※『anan』2023年7月26日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・清水恵子ヘア&メイク・高橋里帆取材、文・保手濱奈美(by anan編集部)
2023年07月20日子供の頃から多くのディズニー作品に触れ、家にはキャラクターグッズがわんさか!生粋のディズニー好き、吉川愛さんが魅力を語り尽くす。幼少期からディズニー・アニメーションをこよなく愛する吉川愛さん。ハマったきっかけは、現在、実写映画も公開中の人魚姫の物語。「最初に好きになったディズニープリンセスは『リトル・マーメイド』のアリエル。人間に興味を持ち、自分も歩いてみたいと憧れるアリエルがかわいくて。アリエルになれる衣装キットを買ってもらい、人魚の格好でポーズも真似していました。それが5歳の頃で、同時期、『ピーター・パン』にも夢中になり、ティンカー・ベルの妖精の粉が欲しくて、サンタさんにお願いしたほど。届いたプレゼントは、残念ながら、ティンカー・ベルとは関係ないブレスレットでしたが(笑)。親泣かせな子供ですよね。でも、どうしても欲しくて、4年ぐらい連続でお願いした覚えがあります。他にも、小さい頃はディズニー・チャンネルでいろんな作品を観て過ごし、家に帰ったら即、ディズニー・チャンネルをつけるのが習慣でした(笑)」登場キャラクターへの憧憬に加え、誰もが口ずさみたくなる劇中の名曲も吉川さんを魅了した要因。「ディズニー作品はどれも曲が素晴らしくて!『ピーター・パン』の『きみもとべるよ!』が好きで、東京ディズニーランドの『ミッキーのフィルハーマジック』でこの曲が流れてくるとウキウキします。『リトル・マーメイド』のアリエルの心情を歌ったナンバー『パート・オブ・ユア・ワールド』も大好きで、就寝時、ディズニーのヒーリングミュージックを聴いているのですが、『パート・オブ・ユア・ワールド』が流れる瞬間は毎回、『はぁ』って、胸がギュッとなります」ディズニープリンセスに憧れ、楽曲に心を奪われ、夢中になった幼少期から、作品に求めるものは癒しへと変わってきているよう。「『白雪姫』や『シンデレラ』『塔の上のラプンツェル』など、プリンセス作品は大好きで憧れ。でも、いま心に刺さる作品を挙げるなら、『ベイマックス』など、愛らしい癒し系キャラクターが登場するものが多いかも。家にもベイマックスの大きなぬいぐるみがいますが、ベイマックスが実在したら、疲れたときにギュッと抱きしめて、頭をポンポンしてほしい(笑)」さらに、年齢を重ねるにつれ、「ストーリーの奥深さに気づいた」と、作品の受け取り方にも変化が。「例えば、昔は『美女と野獣』を観ても、ベルがかわいいとか、野獣が怖いとか、内容を深く理解せず、表面的な描写に目がいっていたけれど、いま観ると、こんなにも愛に溢れた作品なんだと感動します。自分がまるでベルになったかのように野獣のいいところを見つけて、感情移入してしまう。小さい頃は、キーアイテムである1輪のバラの意味もよくわからなくて(笑)。ストーリーに注目して、二人の深い愛の物語なんだと知ると、より好きになりました」一昨年公開の『ラーヤと龍の王国』日本語吹き替え版ではプリンセスのラーヤの声に挑戦した。ディズニー愛が深すぎるゆえのプレッシャーも感じたと、当時を振り返る。「オーディションに受かったときはこの上ない喜びとともに、『本当に私がラーヤでいいのか』と正直、不安にもなりました。でも、やるからには全力で、強く、たくましいラーヤを表現したいと思い、普段から声を低めに、男勝りな口調を意識してみたり。強いプリンセスが登場する作品を観て、研究し、吹き替えに臨みました」ラーヤを演じたことで、新たな気づきや学びもあったという。「ラーヤは心を許した友達に裏切られ、人を信頼できなくなってしまったけれど、シスーに出会い、信じることの大切さを知る。それこそ私も仕事柄、人に言えないことも多いですし、信用することが難しかったり、周囲に対して壁を作ってしまうこともあったかもしれません。でも、信じることで見える世界は変わるし、心のモヤモヤが晴れたりする。疑いから入るのではなく、信じてみて、自分をさらけ出すことも大事なのだと、ラーヤから教わった気がします」吉川さんのMY BEST「ディズニー・アニメーション」『ピーター・パン』(1953)ネバーランドに妖精の粉…。夢と憧れを与えてくれる人気作。公開は70年前。夢と冒険の楽しさが詰まった、色褪せることのない不朽の名作。「キャラクターたちが空を飛んでいる姿が気持ちよさそうで、私も飛んでみたいとワクワク。寝ている間にピーター・パンやティンカー・ベルがやって来るんじゃないかと空想するのも楽しかった」『リトル・マーメイド』(1989)アリエルに憧れて、ディズニー・アニメーションの虜に。原作はアンデルセン童話の『人魚姫』。人間のエリック王子に恋した人魚のアリエルは、美しい声と引き換えに人間となり、エリック王子に会いに行くのだが…。「繰り返し観た、思い入れの強い作品。大好きなアリエルに会いたくて、東京ディズニーシーにも何度も足を運びました」『ベイマックス』(2014)キュートな見た目に癒される!ディズニー作品の中で一番泣いた傑作。兄を失い、心を閉ざした少年とケア・ロボットの心の交流を描いた感動作。「ベイマックスは優しい大型犬みたいで本当にかわいい。クライマックスは涙なしでは観られず、こんなに泣いたのは初めてというぐらい号泣。でも、コメディ要素もあり、まさに笑って泣ける物語です」『ラーヤと龍の王国』(2021)強く気高いプリンセスの声に挑戦。私にとっては一生の宝物。龍の王国を舞台に、国に平和を取り戻すため奮闘する少女の戦いと成長を描いた物語。主人公・ラーヤの日本語吹き替えを吉川さんが務めた。「ディズニー作品に携わることができるなんて夢のような経験で。ただ、戦闘シーンの“うっ”といううめき声には苦戦しました(笑)」©2023 Disney掲載作品は、すべてディズニープラスで配信中視聴には、月額990円、年額9900円の2プランがあり。よしかわ・あい1999年10月28日生まれ、東京都出身。3歳で芸能界入りし、数々のドラマや映画で活躍。現在、ドラマ『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)に出演中。10月より上演される舞台『レイディマクベス』にも出演。トップス¥41,800ワンピース¥181,000(共にカナコ サカイinfo@kanakosakai.com)※『anan』2023年7月26日号より。写真・柴田フミコスタイリスト・木村真紀ヘア&メイク・窪田健吾取材、文・関川直子撮影協力・バックグラウンズ ファクトリー(by anan編集部)
2023年07月19日18歳で妊娠した大学生の有栖(ありす)と、もうすぐ40歳で恋は後回しなアートスペシャリストの瞳子(とうこ)。偶然出会った二人のシスターフッドを描く『18/40~ふたりなら夢も恋も~』で、深田恭子さんと共にW主演している福原遥さん。現代を生きる女性の悩みと成長を丁寧に描いた、人の温もりを感じられるドラマです。「18歳は、成人ではあるけれど、まだ大人になり切れない部分があると思うんです。私自身もその頃は怖いもの知らずというか、何でもできるという強気な面がありました。そんながむしゃらな18歳らしさを大事に演じています」有栖の、キュレーターという夢を諦めず、未婚で妊娠した今後の人生の選択を後押ししてくれたのが、深田さん演じる瞳子の存在。「今の時代を生きる女性は、選択肢がたくさんあるからこそ、何を選び、どう進んでいくのか迷いや葛藤があるのかなって。有栖は、瞳子さんの『諦めないで』という言葉で前向きに、強くなっていきます。一人では何もできないけれど、互いが存在するから強くなれる。そんな二人の関係がとても素敵です」深田さんとは今回が初共演。劇中での関係性さながら、お姉さんのように接してくれるそう。「ずっとテレビで拝見してきた方なので、緊張していたんですが、『ちゃんと寝られた?』と気遣っていただいたり、気楽にお話しできる雰囲気を作ってくださいます。食べることが好きな私に合わせてくださっているのか、深田さんをはじめ共演者の方々とはずっとごはんの話をしていて、撮休に教えていただいたお店に行くのが楽しみになっています」共に柔らかな雰囲気を持った二人の会話は、想像しただけで何とも微笑ましい。さらに、そこに有栖の新たな恋の相手で、プロダンサーを目指す祐馬役・鈴鹿央士さんが加わると…。「『そうだよね』『ねえ』『だよねえ』みたいなやりとりが(笑)。鈴鹿さんのダンスシーンはすごいです!初めは全然動けなかったそうですが、本番ではすごくカッコよくて感動しました。普段はほわほわしてるのに、こんなにも機敏に動けるんだって驚きもありましたね(笑)」福原さんといえば、連続テレビ小説『舞いあがれ!』でヒロインを演じたことが記憶に新しい。そこでは、シスターフッドを感じられる人との出会いもあった。「山口紗弥加さんは、たわいもない話でキャッキャッと言い合い、真剣な相談もできる、近い距離にいてくれる大先輩で、ドラマが終わってからも沖縄旅行をするくらい仲良くさせてもらっています。大先輩方とお芝居をさせていただき、引き出しを増やせた朝ドラでの経験をちゃんと活かせたら」夢と現実の狭間や、仕事と私生活とのバランスで揺れ動く二人の女性の物語は、anan読者にも大きな共感を生みそう。今、迷い悩む人にメッセージをもらった。「これは有栖もそうですし、私自身もそうですが、一人で抱え込んでいていいことって、何もないんですよね。打ち明けるのは勇気がいることだけど、周りに甘えることも大事なのかなって思います。有栖がリアルな厳しい現実を、瞳子さんやお父さんなど、周りの人の温もりを感じながらどう乗り越え成長していくのか、私自身が楽しみです」火曜ドラマ『18/40~ふたりなら夢も恋も~』TBS系、毎週火曜22:00~放送中。海外でキュレーターとしての活躍を夢見る有栖。大学に受かり、前進した矢先、予期せぬ妊娠が発覚。一方、アートスペシャリストの瞳子は、私生活を充実させようと動き始めるが…。ふくはら・はるか1998年8月28日生まれ、埼玉県出身。『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』(NHK Eテレ)で主人公を演じ、人気を博す。W主演映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』が12月8日全国公開。ジャケット¥32,000(ヴィヴィアン タム/マツオインターナショナル カスタマーサービス TEL:0120・29・1951)その他はスタイリスト私物※『anan』2023年7月19日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)スタイリスト・津野真吾(impiger)ヘア&メイク・丹澤由梨子インタビュー、文・小泉咲子(by anan編集部)
2023年07月17日個性豊かなキャリアアドバイザーたちが、さまざまな事情を抱えた求職者と対峙する姿や人間模様を描くドラマ『転職の魔王様』。主人公は、転職エージェント会社「シェパードキャリア」に勤務するキャリアアドバイザーの来栖嵐。杖を突き、オーダーメイドスーツを身に纏う威圧感ある人物で、辛辣な言葉遣いゆえに“転職の魔王様”と恐れられるも、必ず転職を成功させる手腕を持っている。演じる成田凌さんは今作について、「シーン数は少なく、言葉数が多いところが、作品の見応えになっている」と話す。厳しい言葉は、愛情が注げる相手にだからこそ言えるもの。「毎話、来栖は悩める求職者たちを強い言葉で攻め、彼らの本性や本音、本人もわかっていなかったやりたいこと、本当の幸せみたいなものをあぶり出していきます。でも、“ああしろこうしろ”と言うのではなく、“今のあなたはこうです”と突きつけて本人に気づいてもらうというのが彼のスタンス。人は誰かに一言言われたり、優しい言葉をかけられたくらいではなかなか変わらないもの。それをわかっているからこそ、来栖は厳しい言葉で畳み掛けていきますが、そのやり方はすごく勉強になります。『あなたの人生このままでいいですか』という台詞があるけれど、言われた方としては結構響きますよね。作中には他にも、求職者はもちろんですが、人生に満足している人であっても心に刺さるような台詞がたくさん出てきます。僕としては、自分の状況や自分というものについては人に言われる前に気づけるようになりたいと思いますね。たとえば最近、若い頃に比べて徐々に周りの方が気を遣ってくれることが多くなってきていて。ありがたいことではありますが、冗談のつもりで言ったことが相手には冗談に聞こえなかったりするようなことは避けたいじゃないですか(笑)」来栖が放つ厳しい言葉は、求職者への深い想いがあるがゆえのもの。その苦労は理解できるという。「友人がお店を開く時に意見を聞かせてほしいと頼まれて、厳しいことを正直に言ったこともあるんですけど。言う方も言われる方も疲れるし、本当は言いたくないじゃないですか。労力を使ってでもいいと思える、愛情が注げる相手じゃないとできないことです」転職とは、今作でも描かれている通り自分を見つめるタイミング。成田さんは20歳の時に経験している。「美容専門学校に通って免許を取り、美容師になるのか?誰かの下で働くのか?と悩み、今の仕事を選びました。恥ずかしいという気持ちもあったし、親に伝えることにかなり体力を使いましたね。僕は就職前の転職みたいなものでしたけど、それでも周りに相談したいと思ったし、結構大変だったので、来栖や、小芝風花さん演じる未谷千晴のように、転職を考えている人に対して本気で向き合ってくれる人がいてくれたらなって。今は、あの時に勇気を振り絞って転職をしてよかったなと思っています」『転職の魔王様』毒舌ながら敏腕なキャリアアドバイザーが悩める求職者に働く自信と希望を取り戻させる、爽快感あふれる一話完結型の転職エンターテインメント。7月17日より毎週月曜22:00~、カンテレ・フジテレビ系にて放送。なりた・りょう1993年11月22日生まれ、埼玉県出身。主演を務めた『逃亡医F』をはじめとするドラマや舞台『宝飾時計』などに出演して話題に。映画『こいびとのみつけかた』が、10月27日より全国ロードショー。※『anan』2023年7月19日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・伊藤省吾(sitor)ヘア&メイク・高草木 剛(VANITES)インタビュー、文・重信 綾(by anan編集部)
2023年07月17日今年4月から放送され一気に人気に火がついたTVアニメ『【推しの子】』。そのヒットの裏には思わず感情移入してしまうリアルな心の揺れが。見る者の心を掴むその作品世界に迫ります!精緻で魅惑的なビジュアル、愛とミステリーが溶け合うめくるめく物語、胸打つ音楽。圧倒的な作品力で日本のみならず世界を虜にしているアニメ『【推しの子】』。物語は、天才的なアイドル・アイと彼女の双子の隠し子、アクアとルビーを軸に進んでいく。芸能界、そして“アイドル”という存在を通じて紡がれるストーリーの中で、特に支持されているのは、登場人物の複雑な胸の内をリアルに描き出している点。全11話の放送が終わって間もないいま、改めて本作の魅力について“自己肯定感”という視点から掘り下げていきます。『【推しの子】』を象徴する自意識を読み解く。『【推しの子】』の魅力は強い光を放つキャラクターとストーリーにあり。そこで、第1期で展開した物語の概要と主要キャラクターたちをざっくりご紹介。アクア&ルビーの声優から見た、キャラクター分析もぜひチェック!STORY:白熱の全11話をプレイバック!第一話:アイ推しのふたりが、推しの子として転生!産婦人科医・ゴローのもとに最推しのアイドル・アイが妊婦として訪れた。主治医として彼女を見守るゴローだったが、何者かに殺され、気づけばアイの息子・アクアに転生。双子の妹もゴローの患者・さりなの生まれ変わり。だがある日、アイはふたりの前で殺されてしまう。芸能界編 第二話~第四話:成長し芸能界の扉を開いた双子の運命が回りだす。芸能プロ“苺プロ”を営む斉藤ミヤコに育てられた双子。ルビーはアイドル志望で、アクアと共に芸能科のある高校に進学する。アクアはアイを殺した人物を特定すべく暗躍。昔のツテで元天才子役・有馬かなを通じ彼女が出演中のドラマのプロデューサー・鏑木勝也に近づこうとする。恋愛リアリティショー編 第五話~第八話:同世代の才能との出会いと恋愛リアリティショーの裏側。鏑木からアイの情報を得るため、アクアは彼の関わる恋愛リアリティショーへの出演を決める。そこで出会ったのは同世代の俳優・黒川あかね。真面目で番組映えしない彼女は、焦りから共演の女子に軽傷を負わせてしまう。ふたりはすぐ仲直りしたが、SNSは大炎上に発展していく。ファーストステージ編 第九話~第十一話:新生「B小町」デビュー!初代センターは誰!?新生「B小町」としてアイドルデビューを決めたルビー。メンバーは有馬かな、アクアがリアリティショーで出会った人気配信者・MEM(メム)ちょ。でもかなは過去のトラウマからアイドル活動に自信が持てなかった。そこに上がった「センターを誰にするか」問題。3人の結論は…?CHARACTERアイ:嘘と秘密に包まれた伝説の天才アイドル。アイドルグループ「B小町」のセンターで、アクアとルビーの母。自信あふれるパフォーマンスと笑顔、そして“嘘”の愛でスターダムを駆け上がるが、不幸な生い立ちゆえ本物の愛を知らずに育ってきた。彼女はなぜ16歳で母になったのか、なぜ殺されなければいけなかったのか。その謎がいまも人を惹きつける。アクア:最愛の人の復讐を誓う頭脳明晰な美少年。アイの息子。前世ではアイ推しの産婦人科医で担当医のゴローだったが、何者かに命を奪われ、“推しの子”として転生。見た目はアイ似の美少年だが、中身は冷静な成人男性(推定アラサー)。復讐を使命として生き、そのためなら手段を問わない。仲間のためにひと暴れするような一面も。本名、愛久愛海(あくあまりん)。asアクア:大塚剛央さん一見冷静な彼の行動原理にはアイの存在がある。頭脳明晰でアイ譲りの外見を持つアクア。無敵にも思える彼だけど、「自己肯定感では0点かも」と分析するのは成長後のアクアを演じる大塚剛央さん。「そもそも自己肯定感を測れるところにいるのかも疑問です。同じ双子でも妹のルビーは自分の人生を大切に、憧れを実現しようとしている。その自意識の差に、“自己肯定感”において、ふたりの違いが表れている気がします。アクアは、自分にできることとできないことを客観視した上で、それを実行するだけというふうに僕は感じています。演じるにあたって、彼の判断や行動の理由を考えますが、アクアの原動力のほぼ全ては、アイなのではないかと思っています」おおつか・たけお10月19日生まれ、東京都出身。2020年、第14回声優アワードで新人男優賞を受賞。代表作に、TVアニメ『風が強く吹いている』の蔵原走など。7月から放送のTVアニメ『AIの遺電子』(須堂光)、『SYNDUALITY Noir』(カナタ)に出演中。ルビー:母・アイの背中を追ってアイドルの道を走る!アイの娘で、アクアの双子の妹。前世ではアイに憧れ、同じ病院の医師であるゴロー(アクアの前世)に懐いていた難病の少女だった。現世ではアイ譲りのルックスを武器に、前世では実現できなかったアイドルの夢を叶える。自信満々で前向きな性格だが、ときに前世のつらい記憶が影を落とすことも…。本名は瑠美衣(るびい)。asルビー:伊駒ゆりえさん自分を信じて全力で進む。それがルビーの輝きの秘密。ルビーの自己肯定感を点数で表すと「90点」と答えてくれた伊駒ゆりえさん。「作中でも初仕事で『嘘は、いやだ』と述べるなど、自分の考えを言い切る場面が多くあります。一方『ルビーかわいい』でエゴサしたり(笑)。自分の考えを肯定し、またアイ譲りの容姿にも自信があるんだと思います。満点にしなかったのは、前世の記憶や環境が今後彼女をどう左右するか未知数だから。でもいまルビーは自分を信じて前向きに進んでいる。それが彼女の輝きの源でしょう」伊駒さん自身も、ひたむきなルビーに力づけられることも多いそう。「やりたいことを大切に、全力で取り組む。私もそんな人でいたいです!」いごま・ゆりえ2月24日生まれ、東京都出身。今作が初のレギュラー作品で、メインキャラクター。文化放送『A&G NEXT STEP HOOOOPE!』水曜パーソナリティ。夢はディズニープリンセス、目標とする声優は山寺宏一さん。愛称ごまちゃん。まだまだいる!個性豊かなキャラクターたち有馬かな“十秒で泣ける”元天才子役。演技力がピカイチの自信家。アクアやルビーの1学年上の先輩で、芸能界の厳しさを教えたり面倒を見てくれる。再起を図るべく、新生「B小町」に加入する。MEM(メム)ちょアクアやあかねと共にリアリティショーに参加していた人気配信者。明るく陽気に振る舞うみんなのまとめ役。元々はアイドル志望。アクアの誘いで新生「B小町」に加入することになる。黒川あかね劇団所属の俳優。リアリティショーでのとある過ちがSNSで大炎上し、絶望の淵に立たされるがメンバーと共に乗り越える。その後アクアと交際。アイを完璧にトレースできる演技力。TVアニメ『【推しの子】』原作は、赤坂アカと横槍メンゴによる同名漫画(2020年より『週刊ヤングジャンプ』にて連載中)。伝説的な人気を誇る夭逝のアイドル・アイと彼女の子で双子のアクアとルビーを中心に、華やかだがシビアで残酷な芸能界やアイドルの世界をリアルに描いた作品。各配信サイトで配信中。©赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会※『anan』2023年7月19日号より。取材、文・大澤千穂(by anan編集部)
2023年07月17日俳優で、モデル。ふたつの道で活躍する20歳。自らを「マイペース」と表現する水沢林太郎さん。ふたつの衣装を纏った彼のさまざまな表情を、注目の写真家・野田若葉さんが切り取ります。装いの空気を一瞬で感じ、カメラの前で表現した水沢林太郎さん。俳優として、『MEN’S NON-NO』の専属モデルとして活躍の幅を広げているが「人は人、僕は僕」と淡々と語る。「人と比べることはしないほう。お仕事のオーディションも芝居力を磨く場であり自分を知ってもらう場と考えているので、不合格でも自分を追い込むことはないかな。思えば昔は勉強しなさいと言われても『いま気分じゃないんだよな~』なんて言う子でした(笑)」クールなルックスと、飾らない性格。そんな彼の周りには同世代の才能が集まる。「いやいや僕たぶん変なんですよ、距離の詰め方が(笑)。相手に興味を持つと止まらなくなる。例えばなにわ男子の道枝駿佑くんのこと、僕はミチコと呼んでいるんですけど、初対面の時『はじめまして。僕といまから3回じゃんけんしませんか?』って声をかけて。勝ったー、負けたー!って男子ノリで友達になりました(笑)。そこに(板垣)李光人や(青木)柚も加わっていって。現場でどんどん仲良くなっていくのがうれしかったです」明るくて、積極的な水沢さんだけれど、役者としては悩んだ時期もあったという。「5年くらい前、“役の中の自分”を受け入れられない時期がありました。現場でも挨拶すらぎこちなくなって…。でも2019年に出たドラマ『俺の話は長い』では演技を根本から鍛えられ、翌年の『17.3 about a sex』では10代の性という難しい題材に覚悟を持って挑むことができ、転機になった作品です」この春はドラマ『だが、情熱はある』で髙橋海人さん演じるオードリー・若林正恭さんを支える友人・鈴木足秋を演じた。「髙橋さんとは楽屋ではゲームや漫画の話ばかりしていました(笑)。現場でも役どころでも、作品を裏から支えることができるような人になりたいですね」自分で悩んで拓いた道。だからこそ役者仲間の悩みも一歩引いて見守る主義という。「悩んでる人がいたら『頑張ってる自分を、まず褒めてあげなよ』と声かけるようにしてます。自分を認めるって自分にしかできないから。それに誰の人生にも一人で乗り越えないと前に進めない瞬間って、あると思うので」モデルの仕事は、洋服好きな“素”の自分をさらけ出せる時。この日も真剣な表情からのWピースでスタジオを沸かせてくれた。「笑ってもらうと、自分も力が抜けてもっと楽しめる。笑顔ってやっぱり大事ですよね!10年後もこの世界で、人を笑顔にさせる人であり続けられたらいいな。何十年かかってもいつか研音(所属事務所)の看板俳優になるのが目標です…って自分でハードルあげちゃったな(笑)」冗談めかして明るく笑う。だけどその内面には強くて熱い芯が、一本通っていた。撮影を終えて一言出演・水沢林太郎「僕の好きな系統の洋服での撮影だったので、リラックスした気持ちで臨めました。ガムやキャンディを使っての撮影も楽しかったな。『小道具の使い方が上手』ってカメラマンさんにも褒めてもらえて…マネージャーさ~ん、いまのちゃんと聞いてましたか!?(笑)」みずさわ・りんたろう2003年2月5日生まれ、埼玉県出身。’17年デビュー。主演作『海の見える街で』が「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2023」の特別製作作品としてYouTube配信中。(1枚目写真)ジャケット¥74,800パンツ¥53,900(共にEYCK/EYCK SHOPinfo@eyck-tokyo.jp)シャツ¥24,200(KICS DOCUMENT.)リング¥12,100(20/80) 共にHEMT PR TEL:03・6721・0882シューズ¥46,200(Maison MIHARA YASUHIRO/Maison MIHARA YASUHIRO TOKYO TEL:03・5770・3291)ネクタイ¥15,400(DAIRIKUinfo@dairikucinema.com)ベレー帽¥6,050(CA4LA/CA4LA プレスルーム TEL:03・5773・3161)サスペンダー¥2,090(原宿シカゴ 神宮前店 TEL:03・5414・5107)その他はスタイリスト私物(2枚目写真)ジャケット¥72,600(J.PRESS ORIGINALS/untlim TEL:03・5466・1662)シャツ¥42,900(UJOH/M TEL:03・6721・0406)カットソー¥11,550(LENO/GOOD STANDING TEL:03・6447・2478)パンツ¥39,600(DAIRIKU)シューズ¥37,400(SESA Footwear/KNOW showroomhello@ontheparkstreet.com)ネックレス¥62,700(PLUIE/PLUIE Tokyo TEL:03・6450・5777)リング¥7,700(20/80/HEMT PR)その他はスタイリスト私物撮影・野田若葉「第一印象は純粋無垢で透明感のある人だなと思いましたが、実際に撮影を始めると心がオープンな感じで、初めて会った感じがしない不思議な包容力のある人でした。自然にシャッターを切らされるような感覚で、とても楽しかったです。また、ご一緒できたら!」のだ・わかば1984年生まれ、福岡県出身。スウェーデン・ヨーテボリ大学で写真を学ぶ。帰国後はアシスタントを経て2018年に独立。確かな技術とみずみずしい感性で、数多くの媒体、広告で活躍している。※『anan』2023年7月19日号より。写真・野田若葉(TRON)スタイリスト・能城 匠ヘア&メイク・菅井彩佳取材、文・大澤千穂撮影協力・バックグラウンズ ファクトリーEASE(by anan編集部)
2023年07月17日映画『MOTHER マザー』の少年役をはじめ、数々の映画で存在感を示す奥平大兼さん。全身全霊で役に飛び込むような演技で作品ごとにイメージを更新する…。そんな天才俳優の素顔を写真家の表萌々花さんが捉えました。下町の路地裏を、サンダル履きでぶらぶら。日常感あふれる“撮影散歩”をリラックスモードで楽しんでくれた奥平大兼さん。「カッコつけるのは苦手だから、こういう自然な感じはすごく心地いいです」デビュー4年目にして数々の賞を受ける映画界期待の新星。そんな高評価をよそに、役作りは自問自答の繰り返しだ。「映画の撮影は1年くらいかかるので、その間ずっと『これでいいのかな』の連続。そういうときは一人で抱えず、不安や迷いも含めて一緒に作っている方々の意見をしっかり聞きます。撮影時間には限りがあるけれど、そこで妥協したら観る人に絶対伝わるから」真摯な役作りの原点は、2020年、世界的な評価を受けた映画『MOTHER マザー』。「この作品ですごく注目をしていただいて、ありがたいことに褒められることが多くなって。半面、指摘してくれる人が減ってしまった。撮影でもOKは出てもちょっと違うなと感じることもあったので、以来クランクインの際に『違うと思ったらすぐ言ってください』と、周りの方にお願いするようになりました。率直に言い合うことで、お互いにより力強い気持ちで作品にのぞめると思うから」撮影中はストイックそのもので、オフの時間も役の設定にある趣味に取り組む。「自分の趣味は、役が終わってからです。特に大好きな服作りに没頭しているときは、自分ってこういう人間だったなと思い出せる、すごく大事なリセットの時間です」服は作るのも着るのも大好き。なかでも憧れのデザイナーの一人、ジョン・ガリアーノの服作りには共感と尊敬を持っている。「無条件に彼の作る服が好き。一方で有名ブランドのディレクターとして活躍して、ブランドと自分のやりたいことを調和させることもできる。一緒に作る人の思いと自分の感覚を両方生かすことの難しさは僕も感じているから、ジャンルは違っても、それができる人は素晴らしいなと思います」そのひたむきな姿勢で難役に挑戦し続けてきた奥平さん。公開中の映画『君は放課後インソムニア』ではいつになく(?)等身大の男子高校生役で、リアルな青春を生きている。「撮影前、監督に『学生時代を思い出して若返って』って言われたんです。やってみたら昔の気持ちに戻るって難しいんですよ!でも現場で同世代キャストとキャピキャピ過ごすことで無事、青春に戻れました(笑)」いまは複数の作品を並行して撮るほど忙しい毎日。そのモチベーションはどこに?「これまでの監督や役者さんと、別の作品で再会するのが目標です。そう思えるのもいままで出会った人たちが本当にいい人たちばっかりだから!そう思うと、僕はつくづく人に恵まれて俳優をやれているんだなあ」撮影を終えて一言出演・奥平大兼「下町の路地裏を、カメラ片手に散歩気分での撮影。すごくのんびりした気持ちになりました。服装も街の空気もこのくらいのラフさが僕にとっては居心地がいい。潮風を含んだ初夏の空気に、下町のおばあちゃんちで過ごした子供の頃の夏休みを思い出して…、ふと今年は隅田川の花火が見たくなりました」おくだいら・だいけん2003年9月20日生まれ、東京都出身。好物はワイン好きのお母さんが作るアヒージョ。「お酒は飲めないけど白米に合うんです(笑)」ロングTシャツ¥27,500(ジェームス パース/ジェームス パース青山店 TEL:03・6418・0928)その他はスタイリスト私物撮影・表 萌々花「前日まで雨予報だったのが、当日は晴れ間が差す瞬間も。撮影は、奥平さんと同じ目線で撮ることを心がけました。なので、お互いに撮る人/撮られる人という意識はしていなかったと思います。等身大の19歳で気張った感じもなく、ずっと自然体で撮影に応じてくれ、自然にシャッターを切ることができました」おもて・ももか1998年生まれ、岐阜県出身。山や自然、旅先など、自分が身を置く場所やそこでの出会いで感じた心の機微を写真で切り取っている。※『anan』2023年7月19日号より。写真・表 萌々花スタイリスト・伊藤省吾ヘア&メイク・速水昭仁取材、文・大澤千穂(by anan編集部)
2023年07月16日