全3公演45,000人を動員する初の単独アリーナ公演「少年忍者 Arena Concert 2024 The Shining Star」を華々しく成功させた少年忍者。5月8日(水)、横浜アリーナに集まった15,000人を魅了したフレッシュなステージの模様をお届けします。全員が主役! パッション全開で少年忍者の初の単独アリーナ公演が実現憧れだった夢のステージ。コーラスラインを飛び越え、メインで浴びる眩いスポットライトの光景…。彼らが何度も何度も、思い描いてきたアリーナ単独公演。少年忍者が掲げてきた目標がこの春、遂に叶った。中央ステージの白い紗幕がハラリと落ちると、リフトアップステージの上に横一列に並んだ20人が登場。このズラリ揃った迫力の景色は、大所帯グループである彼らだからこそ見せられる壮大な光景だ。1曲目は、ライブタイトルにもなっている少年忍者の代表曲「The Shining Star」。この曲は、光り輝く憧れの世界で、自分たちの可能性を信じて突き進もうとする少年忍者の決意表明でもある彼らにとって大切な曲。とにかくがむしゃらに前へ前へ進みたい…。アイドルとして誰よりも輝きを放ちたい、高みを目指したいという切なる想いがリアルにぎゅっと凝縮された歌詞に胸が締めつけられる。白い衣裳にゴールドのジャケットを羽織ったメンバーたちは、誰もが溢れんばかりの笑顔。センターもいちばん端も、立ち位置関係なく、“全員が主役”。1人ずつがスクリーンにアップになるたび、この日を待ちわびていたと言わんばかりに何度も歓声が沸き、ペンライトが激しく揺れる会場。夢のステージの実現を願っていたのは、ファンも同じだ。2曲目の「SEVEN COLORS」も仲間とゆるぎない夢へと走り出す曲。織山尚大さんが「ヤッホー、少年忍者です。今日は俺たちと楽しんで行きましょう!」、川﨑皇輝さんが「横浜アリーナ、少年忍者が来たぞ。まだまだそんなもんじゃないよな?」と会場に呼びかける。キラキラと輝く希望に満ち溢れた表情で届けると、曲のラストには彼らの未来を祝福するように美しい虹がかかっていた。まだまだオリジナル曲も少ない彼らは、先輩の曲がセットリストの大半を占める。「絶対、勝つぞ~!」という雄叫びから始まったのは、Hey! Say! JUMPの「AinoArika」。現在活動休止中の内村颯太さんの想いも背負って歌う20人。元木湧さんの力強いラップや織山さんのどこにいても一目で居場所が分かる激しいダンスで忍者らしさをプラス。オリジナル曲「太陽の笑顔」では、檜山光成さんは「横浜アリーナ、俺らと声出す準備できていますか?」でコール&レスポンス。黒田光輝さんは「横アリ、俺たちに会いたかったか?OK! 今から声を聴かせてくれ!」と“忍者コール”を繰り返し盛り上げていく。元木さんは「横アリの皆さん、楽しむ準備はできていますか? 全然、聞こえないよ!」と元気なあおりを繰り返し、おなじみのあいさつ「元木~わくわく!」と会場と一緒に声を揃えてワクワクポーズ。盛り上げ担当の長瀬結星さんも「まだまだお客さん、盛り上がっていけますか?」。MCは皇輝さんがリードしつつ、曲の合間のコール&レスポンスのあおりや曲紹介では、それぞれ違うメンバーが担当してファンとコミュニケーションをとり、全員が活躍していた印象だ。MCは、終始安定感ある仕切りで皇輝さんがリード。「念願だった横浜アリーナ単独ライブが昨日、幕を開けて…。あともう1回やりますけども、今日が最終日です。早いです。 こうやってさ、(会場)いっぱいに忍者のファンの方々が集まって下さって、めちゃくちゃ嬉しいよね。実感はどのタイミングで湧いた?」とメンバーの顔を見る皇輝さん。「僕たち、裏の(モニターで)お客さんが入ってくるところを見られるんで…」と檜山光成さんに皇輝さんは「もうあれを見るとソワソワする。わかるね」と同意しつつ、「緊張もやっぱ、なかなかすごかったですよ。『The Shining Star』のリフトで上にあがっていく瞬間もそうだし」と最初の登場を振り返る。するとライブの織山さんと共に演出を担当した星輝さんは「まだまだ実感湧いてないからね。本当なんか夢みたいすぎて…」と自分たちが思い描いたステージの実現に胸がいっぱいの様子。「明日で終わりか」と名残り惜しそうな元木さんに同意しつつ、「初めての公演は、やっぱり最初で最後ですから、楽しんでいただけたら」(皇輝さん)と語っていた。ライブタイトル『The Shining Star』のロゴデザインを手掛けたのは、青木滉平さん。「書いたんです! ロゴ。みんな、かわいい?」と会場に尋ねて、拍手をされると再び「あのロゴかわいい?」と呼びかけ、「かわいい!」という会場の大合唱に「気持ちいいー!(笑)」と叫ぶ微笑ましい姿も。オリジナルグッズのTシャツとトートバッグとペンライトトップのデザインも注目とアピール。おすすめは、メンバー全員が横一列に繋がった『The Shining Star』状態の横幅45cmくらいのアクスタだという。「これ買ったよって人います? アクスタ」と確認する皇輝さん。そのアクスタを無邪気に振り回す深田竜生さん。「トートバッグはですね。こだわりポイントは白」と青木さんが説明すると「じゃじゃーん」とトートを紹介する長瀬さん。「これね、おやすみ忍者くんって言います。お星さまのクッションに寝ていて、寝言を言ってるんですよ。ぜひね、何を言ってるかちょっと実際の手元で確認してみてください」と青木さんがグッズもアピール。グッズのトートにアクスタを入れるとはみ出すということで、長瀬さんは「雨の日は俺、バッグから出ちゃって濡れちゃう(笑)。カバーでもつけてくれると」と笑わせていた。オリジナルグッズやうちわも初めてということで、自分たちの1人ひとりの顔のうちわが会場にあることを喜ぶメンバーたち。MCの最後には、「ひとつ発表します。夏のコンサート決まりました!今年こそ皆様と素敵な夏休みを過ごすことができます。ということで、タイトル、場所、日程決まっております」(皇輝さん)と嬉しいサプライズ発表が…!「PASSION!! ~忍 in the Summer 2024~」をTOKYO DOME CITY HALLで開催決定に喜びの声が溢れる会場。「僕たち初進出ですね。以前、配信ライブはやったことがある場所ですけども、今回は夏のライブ。夏の終わりごろですかね、8月16日からですので。ぜひ来ていただけたらなと思います。こちらタイトルを昨日、決めまして、僕たちが1番大切にしている情熱で忍者サマー。このタイトルを大切に夏のライブやっていけたらなと思っております」(皇輝さん)。注目は、3ブロックに分かれて披露していたユニット曲。田村海琉さん、稲葉通陽さん、皇輝さん、檜山さん、星輝さんは、Hey! Say! JUMPのラブソング「DEAR MY LOVER」を。Vサインで決めたり、指でハートを描く檜山さん、ウインクする星輝さん。皇輝さんと星輝さんが背中合わせになって歌う場面も。王道アイドルのキラキラを完璧に魅せつけた5人。先日、国立代々木競技場第一体育館で開催された「Rakuten GirlsAward2024SPRING/Summer」ではモデルとして華麗にランウェイを歩いたヴァサイェガ渉さんと深田さんは、ふたりでKinKi Kidsの「愛されるより 愛したい」を熱唱。忍者のビジュアル担当の深田さんとモデル体型のヴァサイェガさんのコンビが素肌に黒いジャケットを着て、スモークが立ち込める中、セクシーに、しなやかにダンス。会場の熱い視線を集めていた。抜きんでた圧倒的なパフォーマンス力で少年忍者の中心メンバーとして活躍してきた織山さんと、現在18歳でまだまだ伸びしろが大きくこれからが楽しみな久保廉さんのコンビは、King & Princeの「Big Bang」を選曲。フードを目深にかぶってラップソングを掛け合う姿は、いつになくワイルド。力強く鋭い眼差しでダンスセンスを魅せつける姿に脱帽。SixTONESの「Imitation Rain」を歌ったのは、安嶋秀生さん、豊田陸人さん、瀧陽次朗さん、青木さん、長瀬さん、山井飛翔さん。青木さんがピアノでメロディーを奏で、瀧さんがギター演奏をする中、透き通る白い布を持って幻想的にコンテンポラリーダンスを披露する安嶋さん。山井さんの美しいボーカルや赤い傘を持って楽曲の世界を盛り上げる豊田さんの姿も。そして、TOKIO「雨傘」では、瀧さんのギター演奏で鈴木悠仁さんがしっとり情感たっぷりに歌い上げる。そのまま青木さんがピアノ演奏を担当し、二宮和也さんの「虹」を北川拓実さんがアカペラで歌うパートもありながら披露。それぞれの特技や持ち味を活かしたパフォーマンスで会場を魅了した。ユニットのラストは、元木さん、黒田さん、小田さんによるSixTONESの「Outrageous」。怖いものなしの大胆不敵な生き様の男っぽい曲を歌う3人。シルバーっぽいパープルの髪にファーの衣裳が目立っていた元木さん、会場を激しくあおる姿が印象的だった小田さん。黒田さんは衣裳の白シャツをはだけさせ、セクシーに熱唱し、かけていたサングラスを絶妙なタイミングで外す姿も。少年忍者の楽曲とはまた違った世界観で無限の可能性を感じさせる選曲だった。ラストスパートは、少年忍者の魅力でもあるパッションが全開に。King & Princeの「RING DING DONG」では深田さんや檜山さんのラップパートが激しく炸裂。Snow Manの「縁-YUÁN-縁-」では、運命の絆で結ばれる少年忍者のメンバーたちを象徴するかのような赤い紐が彼らを結びつける。そして、炎の特効が激しく上がる中、Kis-My-Ft2「PSYCHO」を。すべてのパフォーマンスが大人数だから表現できるフォーメーションとダイナミックさが生まれる、そこが面白いのが少年忍者。どのパフォーマンスからも“自分を見つけて欲しい”という心の叫びが聞こえてくる。大所帯だからこそ生まれる、みんなに埋もれたくない、誰にも負けたくないという熱い野心。そして、個性溢れる1人ひとりでありながら、団結しようとするとてつもないパワー。メンバー全員のエネルギーとパッションがぶつかる瞬間、どのグループにも負けない“らしさ”と一体感が生まれる。ラスト曲「The Shining Star」では、元木さんと深田さんが握手したり、久保さんと織山さんが肩を組んだり。メンバー同士の絆が感じられるやりとりもたくさん。一緒に笑って、一緒に泣いて、一緒に戦ってきた最高の仲間たちとこれから心躍るステージをたくさん作り上げられる可能性に秘めた彼ら。最後に皇輝さんが「これからも少年忍者をよろしくお願いします。まだまだ先に進みますので、ずっとついて来てください」とグループの前進を約束した。少年忍者なら憧れだけで終わらない、夢のその先へきっとたどり着けるはずだ。写真・くさかべまき 取材、文・福田恵子
2024年05月13日およそ6年間、この共演を待ちわびた人たちで客席はいっぱいに埋まった。渋谷duo MUSIC EXCHANGEの20周年を記念した特別編成のライブシリーズ、今夜の組み合わせはROLLYと谷山浩子だ。2012、13年にROLLY率いるTHE卍(The MANJI)と共に、『ROLLY&谷山浩子のからくり人形楽団』『暴虐のからくり人形楽団』の2枚の傑作アルバムを生み、双方のファンに熱烈に支持された、あの素晴しい音楽をもう一度。サポートメンバーを入れないふたりだけのステージは、1曲目「ROLLY&谷山浩子のからくり人形劇団」で賑やかにスタート。谷山浩子はグランドピアノを弾いて明るく歌い、ROLLYはギターシンセサイザーを駆使し、様々な効果音を繰り出しながら妖しく歌う。混ざらなそうな声がなぜか混ざる、不思議な輪唱が魅力の1曲。「今日はドラムもシンセもベースも誰もいない。でもなんとかなるかな」(谷山)「大丈夫です。すべてみなさまの頭の中で再生されますから」(ROLLY)足りない音は想像で、これが本当のファン参加型ライブかも。「KARA-KURI-DOLL~Wendy Dewのありふれた失恋」は、谷山浩子が声優・豊崎愛生に提供した曲で、「ROLLYが絶対気に入るはず」と思いながら作ったというエピソードはファンにはおなじみ。謎のエフェクトや奇妙なセリフを曲中に放り込み、ファンタジックな物語をポップアートに変えるROLLY。曲間のMCも自由奔放、それぞれの作曲スタイルの話、昔の洋楽の話、古いドラマや映画の話と、ころころ転がってどこまで行くやらわからない。それが楽しい。ここからしばらく、ふたりの美学の共通点、ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』にちなんだ世界をたっぷりと。「意味なしアリス」では、ハードロックなROLLYのギターがうなりを上げる。組曲として繋がった「公爵夫人の子守唄」「ウミガメスープ」「ハートのジャックが有罪であることの証拠の歌」は、ROLLYの演劇的歌唱、幻惑的ギターをたっぷりフィーチャーしてシュールな魅力を醸し出す。ここは渋谷の繁華街、でも心は小劇場のアングラ芝居。『不思議の国のアリス』にまつわるトークがひとしきり盛り上がると、あっという間に第一部は残り2曲。ここで主役を張るのはROLLYで、歌うは谷山浩子の初期の代表曲「あたしの恋人」「あやつり人形」だ。過去の共演ライブでもファンの評判が高く、「この2曲はさしあげます」(谷山)というお墨付きをもらっての熱演は、もはや完全にROLLY流に魔改造された見事な出来栄え。老練なシャンソン歌手のように歌い、円熟の役者のように語るROLLYの、自由奔放なリズムの伸び縮みにも、しっかりと呼吸を合わせてピアノを弾く谷山浩子の存在感も素晴らしい。ROLLYと谷山浩子、それはたぶんふたりでひとつのフォース。「duoさんの20周年おめでとうと、最初に言うのを忘れてここまで来てしまいました」(谷山)「20周年おめでとうございます!」(ROLLY)15分の休憩をはさみ、遅ればせながらの祝福メッセージから始まった第二部。第一部は「からくり人形楽団」として演奏経験のある曲が並んだが、ここからの第二部は、初めて演奏する曲も登場する。「甘い誘惑」はTHE卍のファーストアルバム収録曲で、トラッドフォークを思わせる繊細な美しいメロディを、ギターでしっとりと弾き語るROLLYと、音数少なく寄り添うピアノ、ふたりのハーモニーがぴたりとハマった。ように聴こえたが。「リハと違う(笑)。大サビ、下に行くって言ってたじゃないですか。ユニゾンになっちゃった」(谷山)それもいいけどね、と微笑み「私はソロコンサートで好き勝手にやっているとよく言われるけど、どれだけ自分が真面目かわかった(笑)」と、追い打ちをかける浩子さん。「すみませんでした」と、はにかむROLLYさん。まるで自由奔放な弟と、大らかに見守る姉。互いに強固な世界観を持ちつつ、ふわりと溶け合う優しい世界。ROLLYの最新曲「福よせ雛であいましょう」は、名古屋で生まれた「福よせ雛プロジェクト」を応援するために作られたオリジナルソング。雛人形をテーマにした明るくノスタルジックな曲調で、ピアノとギターのシャキシャキした絡みが爽快な曲だが、アフタートークでは「うれしいひなまつり」「赤とんぼ」「赤い靴」など古い童謡・唱歌が持つ不気味さや、アンデルセン童話「パンを踏んだ娘」や小川未明「赤い蝋燭と人魚」など、幼少期のトラウマ級の暗い童話のエピソードが盛り上がって止まらない。ふたりがピンと来るポイント、やはり似ている。ROLLYが所属するすかんちの楽曲「石見銀山ねずみとり」も、幼少期に見たお祭りの記憶を閉じ込めた美しくせつないスローナンバー。谷山浩子も「いい歌ですね」とひとこと。このあとも昔のマンガの話題などに花が咲くのだが、MCだけでもレポートがいっぱいになりそうなので、先を急ごう。名盤『浩子の宅録』収録の「春のさけび」は、「ラモーンズ風のリフ」(ROLLY)を付けた軽快なロックナンバーへ生まれ変わり、ROLLYが歌う谷山浩子楽曲「鏡」は、じっとりと重厚なシアトリカルバラードになった。ひとり芝居のようなROLLYのセリフもばっちりハマる。昭和歌謡から懐かしの映画へ、1曲終わるごとにトークの話題は増え続ける。時間がいくらあっても足りない。「カズオくんと不思議なオルゴール」は、アルバム『ROLLY&谷山浩子のからくり人形楽団』では谷山浩子が歌っていたので、ROLLYのリードボーカルが聴けるのはライブだけ。ROLLYの本名・カズオを主人公にしたダークファンタジーな曲想、もの悲しいワルツのリズム、雷鳴のようなエフェクト、儚げなハーモニー。哀愁あふれる名曲だ。「楽しい時間は一瞬のうちに過ぎ去るものでございます。終わりが近づいてきましたよ。嫌ですね」(ROLLY)本当に嫌そうな駄々っ子ROLLY。その思いを叩きつけるように、「さよならDINO」で恐竜の咆哮のように響くギター、エモーションみなぎる歌を叩きつけるROLLY。さらに名残を惜しんでしゃべり続けるROLLYに、「ROLLYさんって、公園でみんなで遊んでても最後まで残ってる子じゃなかった?」(谷山)と鋭い指摘が飛ぶ(ROLLYの答えは「よくご存じで」)。ずっと遊んでいたいのはこちらも同じだが、もう大人だから我慢しよう。ラスト曲は、ROLLYが子供の頃に姉と一緒に聴いていたという思い出の曲「ねこの森には帰れない」だ。ROLLYの愛するクイーン風のリフを散りばめた、奔放なアレンジが強い高揚感を運ぶ。ふたりの歌とピアノとギター、それだけが生み出す世界は、どこまでも広く豊かなもの。「僕もいろんな方と一緒にやっていますが、谷山さんのお客さんが僕のほうに来てくださって、僕のお客さんが谷山さんのほうにも行って。そんなふうに融合したのは初めてです」(ROLLY)アンコール、双方のファンの温かさと柔軟さを讃えあう、ふたりの言葉が尊い。共感と平和に包まれた空気の中で、ミラーボールがぐるぐる回る。荒木一郎のカバー「今夜は踊ろう」は、全員の手拍子が一体感を生む、絵に描いたような大団円になった。笑顔で手を振る谷山浩子、エスコートして送り出すROLLY。それはこのふたりにしか描けない音空間、歌の力を、心ゆくまで味わえた至福の3時間。デビュー34周年、そして還暦イヤーを経過中のROLLYは、このあともライブや舞台で大忙し。谷山浩子も何本かのライブを経て、毎年9月恒例「猫森集会」の開催がこの日発表された。走り続けていれば、また会う日もきっと来るだろう。次は6年も間をあけず、素敵なデュオがまた見たい。Text:宮本英夫Photo:後藤渉<公演情報>「duo 20th Anniversary Live ROLLY & 谷山浩子」2024年4月25日(木)会場:Shibuya duo MUSIC EXCHANGE出演:ROLLY / 谷山浩子セットリスト01. ROLLY&谷山浩子のからくり人形楽団02. KARA-KURI-DOLL~Wendy Dewのありふれた失恋~03. 意味なしアリス04. 公爵夫人の子守唄05. ウミガメスープ06. ハートのジャックが有罪であることの証拠の歌07. あたしの恋人08. あやつり人形09. 甘い誘惑10. 福よせ雛であいましょう11. 石見銀山ねずみとり12. 春のさけび13. 鏡14. カズオくんと不思議なオルゴール15. さよならDINO16. ねこの森には帰れないEN1. 今夜は踊ろう関連リンク谷山浩子 公式サイト: 公式サイト:
2024年05月01日約19万5千人を動員する過去最多、全国5都市のアリーナツアー「美 少年 Arena Tour 2024 Gates+」に挑戦中の美 少年。6人それぞれの個性を際立たせた演出が目玉となったステージから3月30日(土)昼公演の模様をお届けします。美 少年の華やかな個性を発揮した煌めきのステージで夢の扉・Gatesを開く!今回のツアータイトル「Gates+」を Gateの複数形にしたのは、6人の個性を見せたいという想いから。“+”はファンの人たちを意味しており、6人とファンが作り上げる夢のテーマパークのような空間だ。メンバーカラーに輝く6つの扉から華麗に登場した美 少年。岩﨑大昇さんが「Welcome to our Gates!! 来たぞ、横浜!お前ら、騒げるかい?1つになれるのかい?」と叫ぶと大きな歓声をあげるファン。まるで夢の国から飛び出した王子様のような6人が「Cosmic Melody」から始まり、ハッピー感一色の美 少年の持ち歌をリミックスアレンジで届けていく。目玉となったのは、新曲「魔法の夜」。この曲は、時計の秒針を刻む音から始まり、ジャズの音色で奏でる、まるで舞台のショータイムのようなラブソング。いつもより柔らかで大人の雰囲気を醸し出すボーカルで歌うのは、“君が大好きだ”という止まらない純粋な想いを届ける一夜の物語。扉を開けるしぐさや指切りをするポーズ、「俺についてきて!」と言わんばかりに手を差し出す振り付けもあり、美 少年がどんな魔法の夜にエスコートしてくれるのか、期待が膨らむようなロマンティックでキュートな1曲に仕上がっている。今回のコンサートのテーマとなっている、それぞれの個性を見せるソロ曲については、MCでの曲解説を交えつつレポート。那須雄登さんのソロ曲は藤ヶ谷太輔さんの「Think u x.」。MC中、金指一世さんが“Touch me now”というフレーズを真似して歌う姿に「俺のソロ曲、大好きだよね~、金指」と那須さん。岩﨑さんいわく「今までの那須のソロ曲をずっと金指はやるわけ。ホント好きなんだね」と、歴代の那須さんソロ曲を金指さんが真似してきたそう。金指さんも大好きだという「Think u x.」は、狂おしいほど愛しすぎた想いを歌う曲。黒のロングコートを羽織った那須さんが胸元をはだけさせながらセクシーにダンスし、会場の視線を集めていた。 演出については、「最初は、はだけるつもりがなかったけど、テンション上がっちゃって」と那須さん。「かっこいいんだけどさ、テンション上がって脱ぐのはヤバいよ(笑)」と岩﨑さんに突っ込まれていた。これまでもラップの作詞を手掛けてきた金指さんは、King & Princeの「ichiban」をソロで披露。ラップパート部分の作詞をしてオリジナルのものに。満月に照らされながら、熱くラップを畳みかける姿は、ワイルドで無敵感たっぷり。特技であるキックボクシングの動きをアクティブに披露する場面もあり、自分が追求しているものをとことん詰め込んだソロ曲に。佐藤龍我さんは、ソロ曲「To You」で作詞とピアノ演奏に挑戦。MCで「めっちゃピアノ、ムズい。合唱コンやってくれていたのは、マジめっちゃ感謝だったなと思ってます。手が震える」とピアノ演奏の大変さに気づいたという佐藤さん。ピアノ演奏はもちろん、メンバー一同「龍我が詞を書く日が来るとはねぇ」と、作詞を手掛けたことについてもしみじみと感心。浮所飛貴さんが「作詞ノートもずっと持っていたもんね。『少年たち』の舞台中、龍我の楽屋に行くと“作詞ノート”って書いたノートを持っていて。見せてよって言っても見せてくれなかった(笑)。ずっと前から準備していたね」と暴露すると「ハズい」と照れる佐藤さん。ステージでは、メンバーカラーの赤一色が照らす中、しっとりピアノを弾き語り。「そばにいさせてよ」と歌うラブソングを歌う姿は、惹きこまれるほどまっすぐだ。岩﨑さんもソロ曲で作詞作曲を手掛けており、タイトルは「We’re gonna be a star」。「作曲は楽器でやったり、パソコンでやったり。楽しかった」と岩﨑さん。浮所さんが「みんなで1つに完成させる系だね、大昇の曲は。お客さんたちも含めて」と曲の印象を話すと、「グッとみんなが1つになって、パッと上がれる曲になったらな、なんて思いながら」と曲に込めた想いを語っていた。会場のファンがハミングで歌って一体となるパートの歌声は、壮大。曲中に「みんな歌ってくれて、ひとつになってくれてありがとう」「今日、最高に楽しかったって笑える1日にしたいから、楽しもうぜ!」など熱く語り掛ける姿も印象的だった。浮所さんのソロ曲はSixTONESの「Mad Love」。クッションを抱きしめたり、ベッドに寝転がったり、セクシーなパフォーマンスで会場を釘付けに。岩﨑さんから「超かっこいい。またいつもとは一味違ってね」と褒められると、「今回ギャップじゃないんだけど、ホントそういう系。こんなおしゃべりしていますけど、真反対の浮所を見せたくて」とクールにカッコイイ曲を選曲した理由を明かす。すると「プライベートでは根暗だもんな」と笑う岩﨑さんに「プライベートでもいつも明るいわ。大昇って、いつも俺が暗い人っていう設定をつける。楽屋で1人携帯を真っ暗な中でいじっていたとか…。何ですか、それ(笑)」と浮所さん。「いや、普段明るいけど、じつは暗闇で親指しゃぶってんじゃないかって(笑)」と岩﨑さんにいじられると「心配するでしょ。違う、違う。俺じゃない。どっちかっていったら、那須」。思わぬ飛び火に「俺じゃない!俺、明るいし」と那須さん。ちなみに浮所さんがプロデュースした自分のうちわの写真は、片面がはだけたものになっており、「浮所のうちわは『anan』(笑)」と那須さんから突っ込まれるヒトコマも。MCの終わりで「うさぎさんが来てくれて、それを追っかけてきたんだけど…。なかなか見つからなくて」と藤井直樹さんが会場を見渡すと、藤井さんのソロ曲へ突入。選曲は、二宮和也さんの「秘密」。うさぎを探して会場を練り歩き回りながら歌うというパフォーマンスは、どこかファンタジックでほのぼのとした絵本の世界。うさぎの他、ライオン、ペンギン、パンダと動物の仲間たちも登場。その中身は一体誰なのか?も注目だ。挨拶は最年長の藤井さんから。「今日は2日目ですけれども、もうね、みんなから元気めっちゃもらっちゃいました。本当はね、僕たちが元気を送りたいんですけれども。みんなのパワーがめちゃくちゃ伝わってきて、俺たちは負けないぞって気持ちでね、最高に素敵な時間を過ごせたかなと思います。今回はゲートっていう素敵なセットも作ってもらってね。6つの扉があって、6人の個性が出せればいいなって、ソロもね、やらしてもらいましたけど。やっぱりコンサートって終わった後に楽しかったって帰ってほしいなというのが1番にあるから、ファンと一緒に楽しめるようなことができればいいなと思ってやらせていただいたんですけれども、楽しかったですか? またこの素敵な時間を一緒にみんなで作っていけるように頑張りますので、皆さん僕たちについてきて下さい」。続いては、末っ子の金指さん。「こうやって今、美 少年が横浜アリーナに立たせていただいていること、本当に感謝しています。僕たちが頑張ってやった『Gates+』、楽しんでいただけましたか? 僕たちアリーナツアーは3回目になるんですけど。今回のツアーでは、美 少年 6人の魅力、1人1人の個性をふんだんに発揮しようと思って、『Gates+』っていういろんな扉があるよっていうタイトルにしました。アリーナでソロを6人がやるのは初めて。1人1人の個性がめちゃくちゃ出ていて。誰1人被ってないのがすごいなって思いました。僕たち1人1人個性、そして、6人の魅力をもっとレベルアップして、もっとゲートを開けていけたら。これからも全力で頑張ります」。那須さんは「皆さん楽しかったですか? 美 少年はイケメンでしたか? 僕たちもめちゃくちゃ楽しかったです。新曲『魔法の夜』は、みんなとのスイートな曲。『Sing it』の派生形で新しい曲がほしいねって話をして『魔法の夜』になりました。みんなと僕たちの宝物の1つになったらいいなと思っています。ソロ曲は藤ヶ谷くんの『Think u x.』をやったんですけど、5、6年前ぐらいからずっとやりたくて。ダンス練習して、やっと今できるかなっていうレベルに」と新曲とソロ曲について解説。そして、「僕と浮所が高校生くらいの時は学校があって、舞台に出られない期間があったりしたんですけど、この前、無事大学を卒業できました。皆がSNSとかで僕と浮所におめでとうってたくさんのあったかい言葉を綴ってくれたのは知ってます。まるで自分のことのようにみんなが喜んでくれて、周りの人に恵まれたなって思いましたね。ホントに感動しました。学生という肩書きはなくなったので、バシバシ…ビシバシアイドルして頑張っていきます」と、アイドルとして高みを目指す宣言を。まるで選挙演説のように力強く言葉を放ったのは岩﨑さん。「今回アリーナツアー5都市を回ります。はじめは2都市で前回から3都市、今年から5都市にパッと増えて、みなさんにたくさん会える機会をいただけて、本当に僕は嬉しく思っています。やっぱり何よりもいろんなことに挑戦させていただけるのは、皆様のお力、ご声援、応援のおかげです。本当に感謝しています。様々な挑戦させていただいたんですが、グループでも新しいことをしたり、個々でソロの詞を書いたり、今まで培ってきたことをさらに磨き上げて、皆様にお届けしました。僕たちがこんなに成長したんだよ、もっといけるよっていうところを見ていただけたかなと思います。僕たちがいろんなことに挑戦させていただけるのは、本当に皆様のご声援のおかけ。この1年間、正直、苦しい時期、不安な時期、たくさんあったと思いますが、僕たちを信じてついてきてくれたこと、本当に感謝しています」。ソロでピアノに挑戦した佐藤さんは「僕は新しいことに挑戦することは苦手だったんですけど、今回こういう場を決めて挑戦してみようと思って1歩踏み出してみたら、めっちゃピアノ楽しくて。今後も続けていきたいです。1歩踏み出すことは怖いし、勇気もいるけれど、失敗してもいいんで、1歩を踏み出すことが大事だと思う。皆様も迷ったら 1歩踏み出しましょう」と、ニッコリ。そこから「今年ね、美 少年 8年目。長いですね」と今までを振り返り、「こうして横浜アリーナでも2年連続できるのは、当たり前じゃないし、皆さんがいるからこそ僕たちはこうやって輝けます。ほんとに感謝しかないです」と佐藤さんが会場にお礼の言葉を伝えた。浮所さんは、「初めてアリーナツアーした時かな。こうやって最後に喋るところで言わせてもらったんですけど、最初は小さい会場から始まって。ペンライトにメンバーカラーがない時期から考えると、今こうして8年経って、こんなにも広い会場で、僕たち6人のためだけにこれだけのお客さんが集まってくれる。言葉で表せないくらい嬉しいことなんです。僕自身もコンサートを観に行ったり、お家でDVDをみたりした時に、コンサートを観た後ってすごく幸せな気持ちになるんですね。春休みもうそろそろ終わって学校、明日からまた仕事、4月から社会人になる方、家事育児やっている方もいると思います。いろんなことを乗り越えるほどのパワーがコンサートには僕はあると思うんです。僕たちのパワーを皆さんに分けられている自信もあります。ちゃんと元気になりましたか? 僕たちも皆さんの声援で頑張ろうって思えます」と会場を見渡しながら、胸を張る。「今回のコンサートは、6人それぞれソロに重点的にパワーを置きました。個人でも芸能界、世界に通用するスターになるために、今回は個人のパワーを伸ばすことを目標にした公演となりました。今後も6人それぞれ個性と特技を磨いて、1人1人がスターと呼ばれるような存在になれるように頑張っていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします」(浮所さん)そして、浮所さんが「さぁ、皆さん、続いてがラストの曲になります。僕たちのパワー、想い、勢い、パッションの全てを今から全力でぶつけたいと思いますので、心して見て下さい。それでは、皆さんの毎日に素敵な虹がかかりますように…!」と素敵な曲振りでラストソング「虹の中で」を。冒頭で「横アリ、ラストだぞ!まだ声出せるだろ!最後まで一緒に燃え尽きようぜ」浮所さんのあおる声で歓声を上げるファン。好きな人への想いがギュッと込み上げていくピュアなラブソングを想いを込めて歌う美 少年の姿に会場の一体感は、最高潮に!そんな中、浮所さんが「君のせい…」というフレーズを甘くささやき、投げキスをすると、観客の歓声がひと際沸いた。アンコールでは、1曲目の『Super Boys』が 終わると、那須さんが「バイバイしちゃうの?バイバイ嫌な人!聞こえない。バイバイ嫌な人! (「はーい」というファンが返事)みんなバイバイ嫌だって。みんなかわちぃからなぁ、どうしよう?」とメンバーを見ると金指さんが「じゃあ、行っちゃいます?じゃあ、聴いて下さい。僕たちの大切な曲、『Super Compass』」と前曲のタイトルにかけて“スーパー” を付けて『Compass』を紹介。そんな曲振りに冒頭のフレーズで思わず笑って声が震える那須さん。最後まで仲良しぶりが微笑ましい美 少年の6人。それぞれが自分の新たな表現の扉を解放し、繰り広げた渾身のステージは、6人6様の個性豊かなものに。1人1人の持つ力をパワーアップさせ、さらに大きなグループに進化を遂げようとパフォーマンスに磨きをかける彼らの熱い想いが伝わるコンサート。ここからどんなチャンスを掴み取り、夢の扉“Gates”を開くのか、美 少年の未来が楽しみでならない。写真・小池理恵 取材、文・福田恵子
2024年04月05日3月31日にSexy Zoneとしての活動の幕を降ろした佐藤勝利さん、中島健人さん、菊池風磨さん、松島聡さん。ラストステージを飾った涙の配信ライブをレポート。4月1日、配信ライブで新グループ名をtimelesz(タイムレス)と発表した怒涛の2日間を振り返ります。Sexy Zoneのラスト配信ライブは4人の友情と絆が感じられる感動のステージに!2024年3月31日20時――。定刻時間を迎えると、2011年11月16日にリリースしたデビューシングル「Sexy Zone」から始まった配信ライブでのラストステージがスタート。シルバーのラメが輝くジャケットのセットアップの衣裳に身を包み、4人でパフォーマンスをする本当に最後のかけがえのない時間。披露する楽曲は、ファンから事前に募ったアンケートで考案したセットリストだ。彼らの代表曲の1つとなった「RUN」を疾走感たっぷりに歌い上げ、「ぎゅっと」では佐藤勝利さんが「Sexy Zoneです。今日はSexy Zoneとしての最後のパフォーマンスです。感謝を込めて、みんなと一緒に楽しいライブにしたいと思います」とあいさつ。菊池風磨さんが中島健人さんを変顔をして笑わせ、「マジでやめて(笑)」と噴き出してしまうヒトコマもありながら、菊池さんが「配信ライブをご覧の皆さん、それからSexy Zoneの皆さん。最後に我々と皆さんと『ぎゅっと』できますか。じゃ、行きますよ。せーの!」と声をかけ、ぎゅっと寄り添う4人。MCでは、中島さんが「俺のパートでめちゃくちゃ変顔するの、やめてくれる?」と菊池さんの変顔に笑ってしまった話に。「最後まで笑わせ合いっていうのは、きっとファンの方はSexy Zoneっぽいなって思うよ」と佐藤さんが言いつつ、「俺らふざけすぎ!」と笑いが止まらない4人。そんなリラックスした雰囲気だが、この配信前に菊池さんとサウナへ行ったという松島さんは「整いに行っちゃった。ちょっと緊張をほぐしに行きたくて」と最後の配信ライブに緊張していたことを明かしていた。ファンによる事前アンケートで選ばれた楽曲について触れ、「この曲が来るんだとかさ、意外性があったよね」と驚いたという4人。松島さんが「デビュー当時、ライブ作るの大変だったもんね。自分たちの持ち曲がまだなくて」と言うと、「『Sexy Zone』5、6回歌ってなかった?」と中島さん。菊池さんは、「ファーストライブでいろんな『Sexy Zone』を歌って。普通の『Sexy Zone』をオープニングで歌って、途中でバラードバージョンを歌って、最後にまた普通の『Sexy Zone』を歌って」と懐かしそうに振り返る。ここから昔話に花が咲き、ジャケ写を見ると今とデビュー当初の松島さんが全然違う、いちばん変わったと盛り上がる。「まだ物心ついてなかったでしょ」「まだ赤ちゃんみたいだった」とイジられる松島さん。いろんな変化を遂げて13年目を迎え、「いろんな歴史がありました」としみじみする4人。「今回は僕らが個人的にと言いますか、表ではあんまりわからないようなことをまとめてみました」(菊池さん)と映像と共に振り返るパートも。2013年にドバイに行った時の写真が公開され、「ドバイでマグロ丼食ったこととか覚えてない?」と中島さんが言い出すと「えっ、それってハワイじゃない?」と佐藤さんがツッコミ、「いやいや、ドバイにもあんのよ」と中島さん。さらには「あっ、ポケじゃない?」と松島さんがポキ丼を“ポケ”と言い間違える可愛らしい一面を覗かせ、「ポケだとなんか捕まえられそうだから(笑)」とフォローする中島さん。微笑ましいやりとりが延々と続く。ハワイの写真にはマリウス葉さんの姿も一緒のショットがたくさん。マリウスさんの写真が映し出されるたび、「現地のコーディネーターさんが写っちゃってる」「これにもコーディネーターさんが!」と盛り上がる4人。菊池さんが「異国の地で(配信ライブを)見てくれてるというお友達がいまして。聞こえているかな。名前を呼びますか。せーの」で「マリウス!」と叫び、マリウスさんがオンラインで飛び入り参加。「見てたよ。こっちまで緊張した。あと、後ろのディスコグラフィが懐かしい」と、これまでのシングルやアルバムのジャケット写真がコラージュされたセットに触れるマリウスさん。思い出を尋ねられると、「よく覚えてるのは、ハワイとかドバイとか行った時に通訳をしようとして、英語は理解できてたんだけど、それを日本語にできなかった(笑)」と笑う。菊池さんが「マリウスはバレンタインデーにさ、結構クッキーとかチョコをメンバーに作ってくれてたね。俺さ、1番最初にもらった時に“カタい”って文句言ったら、それから俺にはくれなくなった(笑)」とさみしそうな顔を見せると「じゃあ、来年から再開します」とマリウスさん。話の途中で、「あいつ(アルバム『ザ・ハイライト』の)パーカー着てるぞ」とメンバーが気づくと、背中のデザインを見せてお尻を振るマリウスさん。「なんでちょっとお尻振ったの!?(笑)」と笑いが起こる一幕も。5人のSexy Zoneはこんな感じだったなと思い出される懐かしいやりとりにほっこり。たっぷりのMCの後、「puzzle」を。ここからは「With you」「バィバィDuバィ~See you again~」「夏のハイドレンジア」「本音と建前」「Sexy Summerに雪が降る」と人気曲を怒涛のメドレーで畳みかけていく。最後の挨拶は、最年少の松島さんから。「2011年からSexy Zoneという名前でずっと活動してきましたけども、これをご覧になっている皆様、Sexy Zoneを知ってくれている全ての皆様にまず感謝をお伝えしたいと思います。ありがとうございます。『皆さんの存在があって、僕らはこうやってステージに立てている』という言葉は、ライブやいろんな場所でお伝えさせてもらっているんですけども。改めて先ほどもステージに立ってみて、それをすごく強く実感しました。Sexy Zoneという名前は今日で卒業はするんですけども、今後もそれぞれの活動をぜひ応援していただけたらなと思いますし、皆さんに応援してもらえるようなアーティストにもっともっとなっていきたいなって思っているので、本当に皆さん1人1人の存在にこれからも感謝して、引き続き頑張ってまいりたいと思います」。続いて、佐藤さん。「2011年9月29日にSexy Zoneを結成しました。それから約12年経って今日を迎えております。たくさんの愛情と応援をいただきました。ちょっと泣きそうになるので、冷静に話しますけど、色々なことがあったと思います。5人揃っていた時間が、どれぐらいあったのかなって思い返すと…。誰のせいってわけでもないし、タイミングなんだけど、少しね、寂しい思いをさせてしまった期間もあると思います。でも、僕たちは 1番5人が好きだったし、5人が好きなファンのみんなに何か届けてこられたと思うし、その12年に嘘はないと思うので、本当に一緒にSexy Zoneというグループをみんなで作れたような気がして、ファンのみんなに本当に感謝しています。そして、こういう場所を作ってくれて、ここまで連れてきてくれたスタッフの皆様にも感謝申し上げます。僕たちにはたくさんの個性があって、時にはまとまらないような5人だったと思いますが、ここまで一緒に楽しいものを作ってくれて、ここまで一緒に走ってくれて感謝です。今日でSexy Zoneとしてはひとまず最後ですけど、明日からはソロとグループ、それぞれの道に進んで行きますので、僕たちがまず応援し合って、みんなでまた楽しい時間を共有できたらなと思います」。「順番的に私が」と話し始めたのは、菊池さん。「今回こうやってSexy Zoneっていう名前が変わるタイミングで中島さんが抜けてしまうっていうことで。僕らは話し合いを重ねる準備期間があったので、自分の中で整理をつけていくことはできたんですけども。ファンの皆さんからすると本当に怒涛の3か月になってしまったな、と。発表してから2か月しかなくて。この配信ライブっていうのもその時は決まってなくて。すごく寂しい思い、悲しい思い…これからどうなるんだろうっていう不安な思いもさせてしまったなと。本当に申し訳ございませんでした。ただ、これは本当にもう僕らなりの前向きな決断ということで。あと、中島が抜けるってことだけじゃなくて、Sexy Zoneって名前が変わるっていうことにおいて、僕たち4人、それからマリウスが今も見てくれていると思いますけど、5人がSexy Zoneっていうグループからの卒業なんじゃないかなと僕ら5人で口を揃えて言っておりまして。なので、みんなそれぞれが、それぞれの形で次のステージに、次のステップに進んで行くっていう僕たちの決断です。ここから先、僕らなりの誠意として、この決断が正しかったと皆さんに思ってもらえるような活動をしていけたらと思います。本当にいろんな夢を叶えさせてもらいました。いろんなところに行ったり、いろんなところでライブやったり、ドーム公演を5人でできたり。『やっぱりドームだよね』なんて、15、16歳の僕たちが言ってたあの時から、こんなに早くSexy Zoneからの卒業っていうものが来てしまうとは…。あの時の僕らからすると想像もしていなかったことかもしれません。だけど、これからもっと想像以上の僕たち5人でいられるように精進いたしますので、これからもどうか応援のほどよろしくお願いします」。最後は“Sexy Zoneの最年長”と紹介された中島さん。「テンション上がって汗がすごいんですけど。このグループの形として、こうして僕が汗をかけるのも今日で最後です。去年の中期からいろんな話し合いや、お互いに発展的になれるような、そういう時間を過ごすためにはどうしたらいいのかっていうものをたくさん積み重ねて、このような答えをグループとして出しました。なので、このオンラインライブを皆さんに早急に準備していただけたこと、本当に感謝しておりますし、このオンラインライブをですね、見に来てくださっている全てのファンの皆さん、そしてSexy Zoneに興味があると思ってくださる全ての方々に心から感謝を申し上げます。僕たちのラストローズが届くといいなと思っております」。そんな“らしい言葉”を紡いだ後、「僕は今日で最後なので」と、ここからメンバー全員にメッセージを送る中島さん。「まず聡ちゃん。ありがとうね。本当に小さい頃から2人で電車乗ったり、お寿司屋や焼肉にも行ったり。まさか聡ちゃんが個展をやる、芸術家の道に進むとは、意外だったというか、すごい。12年の中で成長を間近で見られるってのいうのは貴重な経験だったと思います。アイドルとして、すごく最強になっている姿を間近で見させていただいて、自分も負けられないなという刺激をいつも実は受けていましたし、尊敬しています。個展、また見に行くね」。「そして、勝利ちゃん」と“ちゃん”付けで親しみを込めて呼び、「いや、もう本当な。『Withyou』の時から色々やってたよな。帝劇もそうだし、2人でまず『Sexy Zone』の元みたいな振り付けの時間があったり。『Sexy Zone』のサビの振り付けが変わる前の振り付けとかもやったりして。あの時間ってやっぱりこの会社に入って成長しないと過ごせない。だから、今、話をしている姿は、なんかお兄ちゃんからしたら本当にお前カッコよくなったな、と。今、舞台ですごく活躍してるし。勝利はSexy Zoneのセンターだったけど、次は世間のセンター取りに行きなよ。自分も負けないようにしたいし、いつまでも応援してる。ありがとう」。「そして、隣にいる菊池くん。最後だな。1番付き合い長いもんね」と言ったところで中島さんが言葉を詰まらせ、「いやいや、ごめんね。…本当この16年の中で、本当に嫌いだった時も好きだった時も全部が青春だったと思うわ。全部が青春だったし、自分を強くしてくれた。メンバーの中でも年も近くて、ほぼ同い年だし。お前がいてくれたから、俺は強くなれたよ、正直。本当にみんなに感謝してる。2人でご飯を食べた時に言っていたバラエティーのゴールデンのMCを頑張って取りにいって。もう明日からメンバーじゃなくて友達に戻るから…。2008年4月に出会って、本当にここまで一緒に走ってこれで良かったです。ありがとう」。涙を流しながら語る中島さんの想いを受け取った菊池さんも今だから言える本音を語る。「中島とは同期で。彼のほうが1週間早かったんですけど。俺は中島と出会ってなかったら多分デビューしてないと思うんですよね。それだけ腐りかけた時もあったし、悔しい思いも一緒にしてきたし、もちろん好きな時も嫌いな時もあったし。でも、どっかでお互い、特にジュニアの頃なんかは、こいつに負けたくないと思って、そんな中でやってきたジュニア時代だったし、グループになってからその思いとはまた違ったライバル関係でずっとここまで来れたっていうのは、中島が僕らの世界で言うと“シンメ”って言うんですけど、対になって一緒にずっとやっていくシンメが中島じゃなかったら、俺はどっかで腐ってたし、デビューもできてなかったかもしれないし、色々今のお仕事させてもらえてなかったと思うので、中島に出会えて良かったなってすごく思うし。なんか思い返すと全部楽しかった。だから、1人で、ソロでやってくっていうのも応援したいと思ったし。それをもしかしたらファンの子たち、スタッフ、メンバーからしたら、『いや、お前が止めないと』っていうのはあったと思うんですけど、俺は止められなかったっすね。だって、曲がかかったらさ、この人のコンディションわかるんだもん、その日の。そんな相手の決断を止められないよね。でも、やるからには誰にも負けずに、中島健人らしく。僕も、僕らも負けずに頑張ります」。ジュニア時代から人気だった菊池さんと中島さんのコンビ“ふまけん”の深い絆と、共に切磋琢磨して成長してきた関係性が分かるあいさつは感動的なものに。中島さんが流した一筋の涙がキラリと光った瞬間、Sexy Zoneの本当にラストの瞬間が訪れた。最後の曲振りをするのが名残り惜しくて、菊池さんと中島さんが大ケンカをする時は必ず佐藤さんの前だった話など、わちゃわちゃトークを続ける4人。「今ステージ上にいるのは4人ですけど、マリウスも含めて5人、今日でSexy Zoneを卒業します」としんみり静かに話す佐藤さん。「僕ら5人のSexy Zoneを宝箱に閉じ込めるような感覚ですかね」と菊池さん。最後に締めようと中島さんが「いや、本当に素晴らしく素敵な時間を過ごさせていただいております。僕たちにとってのラストローズがですね、皆さんに届いてるといいなっていう風に」と話し始めると、「ちょっとラストローズが『バチェラージャパン』っぽいなぁ(笑)」と、すかさずツッコミを入れる菊池さん。「お前、俺のこと、ホント好きだな~!!」と嬉しそうに笑う中島さん。こんなやりとりが見られるのもこれが最後だ。「まあまあ、華やかな人生をみんなでこれから生きていこうよ」と気を取り直した中島さんが「セクシーラバーズ、大丈夫ね? それではですね、皆さんにこの言葉が届きますように。『Congratulations』」。と曲振りでラスト曲へ。赤い薔薇を持って『Congratulations』を歌いながら、Sexy Zoneを4人が卒業。グループの幕を降ろした。新グループ名はtimelesz(タイムレス)と発表! 新メンバー加入オーディションも開催。その感動的な配信ライブの翌日の4月1日、佐藤さん、菊池さん、松島さんが公式YouTubeとインスタグラムを更新し、再びライブ配信を。新グループ名を発表する瞬間がやってきた。昨晩は眠れなかったと話す3人。松島さんが視聴者に見えないように色紙に毛筆で新グループ名を書き始めると、「皆がどんな反応するんだろう」と心配そうな菊池さん。佐藤さんは「(グループ名を)当てられる人はいないよね」と予想。そして、発表の瞬間。松島さんが「ご準備よろしいでしょうか」と大きく息を吸って、3人で「We are timelesz(タイムレス)」と発表。菊池さんが「あ、そういうこと? ってなってるかもしれないですけど、マリウスが卒業のタイミングで5人で作った曲が『timeless』」と5人の想いを乗せたグループ名にしたと説明。「Sexy Zoneの歴史だったり、皆に見せてもらっていた夢だったり、思いを継承したいので、『timless』ではなく、『timelesz』。僕らなりの誰も置いていかない答えです」と語っていた。そして、佐藤さんが「僕らtimeleszとして初めてアリーナツアーが決定しました」と6月の北海道公演を皮切りに全国ツアーを開催することも発表。さらに、菊池さんが「新メンバー加入オーディションを開催します!」と驚きの告知を。Sexy Zoneを応援して下さった方とこれまで以上の景色を見たいと新しい夢を追いかける仲間探しをしたいという。菊池さんは、「誠意をこれからの姿勢でお見せできれば。複雑な想いもあるかと思いますが、いつかその先で笑っていただける活動をしたいと思います」と真剣な表情に。「中島が抜けるって時に3人で話し合った時に現状維持ではなく、階段を駆け上がりたい。飛躍するには大改革が必要だなということでこの決断に至りました」(菊池さん)。松島さんはファンが置いてけぼりになっていないか心配しながら、「少しずつ時間をかけて理解してもらえたら」と話し、菊池さんは「新メンバー加入は僕が言い出しっぺ。受け入れてもらえなくて当然」、佐藤さんは「提案してくれたのは風磨くんだけど。3人で決めたことだから」と、3人の意見は同じだ。ファンネームは「secondz」で「セコンズ」か「セカンズ」か読み方は今後、決めるという話にもなり、最後に「怒涛でした。この情報量、俺なら泡吹いて倒れてる…」と笑う菊池さん。6月からのアリーナツアーと『timeleszオーディション』の開催も発表され、当面は3人で活動を続けて行くという。これからtimeleszがどんな進化を遂げていくのか、まだまだ未知だが、その新たな旅路の行方をあたたかく見守りたい。取材、文・福田恵子
2024年04月03日Omoinotakeが、ストリートライブ『#NoBuskNoLife 2024 Valentine Special』を2月14日(水) に東京・渋谷MODIで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。2月14日、バレンタインデーの渋谷。紙袋を持った人たちが行き交う。そんな街中に、突如、生演奏が鳴り響いた。渋谷のストリートから駆け上がってきたOmoinotakeが、久しぶりに渋谷の路上に立つことがSNSで発表されたのは前日13日のこと。開催日時は14日の18時半、場所は「渋谷某所」。「とりあえずその時間に渋谷にいたらOmoinotakeのライブが見られるかも」と、ファンの期待を掻き立てる。当日、渋谷MODIのスクリーンにOmoinotakeの映像が映し出された。そして18時半、スクリーンの真下にある渋谷MODIの広場からOmoinotakeの音楽が渋谷を染めた。Omoinotakeは、現在放送中のTBS系 火曜ドラマ『Eye Love You』の主題歌を担当しているピアノ・トリオバンド。主題歌の「幾億光年」は、Spotify急上昇チャート1位、Apple Music、LINE MUSIC、Spotifyにおける国内ストリーミングチャートTOP10入り、iTunesダウンロードランキングJ-POPジャンルにて1位を獲得するなど、各ストリーミングチャートにランクインしている。そんな注目を浴びるタイミングで、このサプライズ企画が実施された。「渋谷のみなさん、こんばんは!Omoinotakeです!」という挨拶から、最初に演奏したのは「幸せ」。誰かに想われること、誰かを想うこと――そんな「愛」や、タイトル通り「幸せ」について歌った、人の心の尊さを音楽に変え続けてきたOmoinotakeを象徴する1曲。ライブは渋谷MODIのスクリーンでも放映され、交差点で信号を待つ人たちは揃えて顔を上げている。次に奏でられたのは、愛や恋の甘さと苦さを歌う「Bitter Sweet」。《チョコレート》など、バレンタインにぴったりなワードが街中に放り投げられる。そして、「ハッピーバレンタイン!」と藤井怜央(Vo,Key)が挨拶を挟んで、離れてしまった人を想う「惑星」。今日この街には、甘い香りに包まれている人もいれば、苦い想いを胸の内に隠し過ごしている人もいるだろう。そのどちらも取り残すなく、一人ひとりの今日の物語とOmoinotakeの音楽を交差させていく。そして、「初めてお客さんの前でこの曲を演奏させていただきたいと思います」という言葉から、「幾億光年」をライブ初披露。レオのハイトーンヴォイスと深い愛を綴った言葉が渋谷の街を射抜いていく。「ありがとう!」という言葉で「幾億光年」を締めくくると、この日一番大きい拍手が湧き起こった。最後は、未来への愛を祈る「心音」で終了。愛や人間の多面性を掬い上げるOmoinotakeなりのラブソングを全5曲鳴らし、バレンタインの渋谷を彩った。Omoinotakeにとって渋谷は、2017年頃からストリートライブを重ねてきた場。ライブ中に「またやりたいな、ストリートライブ」と藤井が漏らしていたが、ミュージシャンにとって過酷な場であるはずのストリートがOmoinotakeにとっては愛着のある場にもなっている。なぜなら、ストリートは彼らにとってはたくさんの「愛」をもらった場でもあるから。さらにいえば、ストリートで「人を振り向かすことのできる音楽とは何か」を模索し続けたからこそ、多くの人の心を掴む楽曲を生み出す術を知り、今がある。本企画はYouTubeでもライブ配信されていたが、Omoinotakeはコロナ禍に「無観客オンラインストリートライブツアー」をテーマに『#NoBuskNoLife』と題し、銭湯、海辺、ビルの屋上など様々な場所からライブ配信を実施。画面越しに、直接会えない人たちと音楽でつながってきた。そんなOmoinotakeが、渋谷や配信ライブを通じてリスナーからもらった「愛」を贈り返すようなバレンタインプレゼント――それが、2月14日に行われたサプライズ企画『#NoBuskNoLife 2024 Valentine Special』だった。Text:矢島由佳子Photo:Daikichi Motouchi<リリース情報>Omoinotake ニューシングル『幾億光年』2月28日(水) リリースOmoinotake『幾億光年』ジャケット●初回生産限定盤(CD+Blu-ray):2,530円(税込)※三方背スリーブケース仕様●通常盤(CD):1,100円(税込)【CD収録内容】※初回生産限定盤 / 通常盤1. 幾億光年(TBS系 火曜ドラマ『Eye Love You』主題歌)2. アクトレス3. 幾億光年(Instrumental)4. アクトレス(Instrumental)【Blu-ray収録内容】※初回生産限定盤のみ■Omoinotake ONE MAN TOUR 2023 “Ammolite” 2023.10.6 @Zepp DiverCity (TOKYO)1. Blessing2. Ammonite3. 夏の魔法のせいじゃない4. 渦幕5. トートロジー6. 幸せ7. オーダーメイド配信リンク:予約リンク:<ライブ情報>Omoinotake『春の大三角ツアー 2024』3月2日(土) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO開場17:00 / 開演18:003月3日(日) 大阪・梅田CLUB QUATTRO開場16:00 / 開演17:003月14日(木) 東京・渋谷CLUB QUATTRO開場18:00 / 開演19:00Omoinotake『SPECIAL LIVE 2024 "エアレンデル"』4月28日(日) 大阪・大阪城音楽堂開場16:00 / 開演17:00チケット情報()オフィシャルサイト:
2024年02月19日BUCK-TICKが、ワンマンライブ『バクチク現象-2023-』を2023年12月29日(金) に東京・日本武道館で開催。そのオフィシャルレポートが到着した。さあ、始めよう──2023年12月29日東京・日本武道館公演『バクチク現象-2023-』の開催が、この言葉とともに告知された時、下を向いたままだった顔をようやく上げることができた。10月24日のボーカル・櫻井敦司急逝の知らせから3週間後のことだ。バンド史上最大の悲しみに襲われたBUCK-TICKの今後の動きについて、誰もが静観している頃だった。正直なところ、その発表はあまりにも光が強すぎて、思わず目を背けたくなったりもした。一体どんなステージになるのか、ステージの詳細については発表がなかったので、不安を感じた人も少なくなかっただろう。しかし、そのタイトルにメンバーが並々ならぬ決意を込めたことは想像に容易い。『バクチク現象』は、1987年のメジャーデビュー前後に行ったライブや、半年間の活動休止を経て復活した1989年12月29日東京ドーム公演のタイトルにも使われた、彼らのターニングポイントを象徴する言葉だ。今井寿(Gt)は、34年前の東京ドーム公演と同じ真っ赤な髪色で『バクチク現象-2023-』のステージに現れた。その姿を見た瞬間、涙が湧き出る一方で、不安な気持ちはどこかへ吹き飛んでいった。会場が暗転すると、SEの「THEME OF B-T」にあわせて、力強いクラップが響いた。樋口豊(Ba)、ヤガミ・トール(Ds)、星野英彦(Gt)、今井寿と順にステージに登場し、真っ赤に染まったスクリーンに「バクチク現象」の文字が出た後、壇上のセンター、いつも櫻井が登場する場所に彼のシルエットが映し出された。「さあ、始めようぜ!BUCK-TICKだ!」、今井の叫びから始まったのは「疾風のブレードランナー」。ステージのセンターにはマイクスタンドではなく、いくつかのライトが埋まっていて、光を放っている。あえてマイクを置いていないせいか、櫻井の歌声はまるで天から降り注いでいるように感じられた。絶望の中の一筋の光のような、きらめきのロックチューンは、“今夜 お前に届けよう 宝物だ 約束だ”と歌う。それはまさにこのステージのこと。手のひらに“希望”を握らせてくれたような気がした。泣き顔でもいいから顔を上げてと言わんばかりに、「独壇場Beauty-R.I.P.-」、「Go-Go B-T TRAIN」「GUSTAVE」とアップチューンを連発。今井も星野も今まで以上にアグレッシブなパフォーマンスでステージを扇動していた。「Go-Go B-T TRAIN」で「乗り遅れんな!」、「GUSTAVE」で「ニャオス。今日は楽しんでいってください」と、今井が言葉をかけるたびに、会場のボルテージは上昇していく。今井寿(Gt)櫻井と今井のツインヴォーカルによる「FUTURE SONG -未来が通る-」では、樋口が櫻井の動きを真似てみたり、櫻井の歌に重ねるように星野もヴォーカルをとった。何より驚いたのは、ヤガミのドラムが力強く跳ねる「Boogie Woogie」の頃には、いつの間にか涙も引っ込んで、純粋にステージを楽しんでいる自分がいたことだ。開演した頃は深い悲しみを湛えていたはずのフロアを、ここまで引き上げたバンド力にただただ感服するばかりだった。そんな空気を一変させて、櫻井の不在を悲しいほど鮮やかに映したのは、昨年8月に逝去したISSAY(DER ZIBET)と櫻井がツインヴォーカルをとる「愛しのロック・スター」から始まった中盤戦。「愛しのロック・スター」では、スクリーンに在りし日の二人のライブ映像が映ると、耐えきれずすすり泣く声も大きくなった。続いて今井のオリエンタルなインタールードから始まった「さくら」では、スクリーンと武道館の天井にも浮かんだ桜の花が舞い散る様子が、なんとも美しくて悲しみを倍増させた。さらに、まるで葬送曲かのように「Lullaby-Ⅲ」「ROMANCE」と、櫻井の耽美な世界観を強く打ち出したナンバーを続けて聴かせた。星野英彦(Gt)今回のステージは、全編にわたり櫻井の映像を映したわけではなく、櫻井を感じるのは歌声のみという楽曲も何曲もあったが、特に終盤は彼の歌う姿がありありと目に浮かぶような楽曲がラインナップされていた。ラテン調のダンスナンバー「Django!!! -眩惑のジャンゴ-」、両手を広げて空を自由に駆け抜ける「太陽とイカロス」、「Memento mori」では客席をライトで照らす櫻井の映像の動きとリンクするように、実際に客席がライトで照らされた。ステージの床をスモークが覆った「夢魔 -The Nightmare」では、まるで彼が目の前に君臨しているかのように、ステージに向けて観客が両手を掲げ、「DIABOLO」では4人がサーカス一座のような佇まいで座長の彼を盛り立てる。不在だからこそ、より櫻井敦司というヴォーカリストの輪郭をくっきりと焼き付けられた瞬間だった。メンバー一人ひとりが初めて明かす今の思いヤガミのドラムソロから始まったアンコールでは、一曲目の「STEPPERS -PARADE-」を披露した後、これまで表立ってコメントを出していなかったメンバーが一人ずつ今の思いを語った。ヤガミ・トール(Ds)樋口は涙で言葉を詰まらせながら、「BUCK-TICKはライブバンドなので、ライブをして成長してきました。そしてみなさんと作ってきたと思っています。あっちゃんは天国に行ってしまいましたが、BUCK-TICKはずっと5人です。これからどんな未来になるかわかりませんが、これからも皆さんとBUCK-TICKを作っていきたいと思います」と語り、ヤガミは「不良だった弟がこんなに立派なコメントを言うとは思っていませんでした」と少し空気を和ませて、「前代未聞というか、そういう状況になりました。続けていいのか、やめた方がいいのか、いろいろと考えましたが、こういうふうにファンの皆さんがいるので、これからもBUCK-TICKを継続させていただきたいと思います」と続けた。「今日新しい一歩を踏み出すことができました。不安の中、ここ武道館に足を運んでくださって本当にありがとう。不安だったよね。みんな不安でした。でもパレードはこれからも続きます。もう一度言います、パレードは続きます。この5人で」と星野が語った後、今井が続いた。「やあ。人生は容赦ねーな。面白いぐらいドラマチックで。でも笑えねーよ。何死んでんだよ。なあ。大丈夫だよ、続けるからさ。一緒に行こうぜ」と語りかけると、大きな拍手があがった。「あっちゃんは死んだけど、別にそれは悪いことじゃありません。当たり前のことです。だから悲しんでも泣いても号泣してもいいけど、苦しまないでください。死んだことより、いなくなったことより、生きていたということ、存在していたことを大事にしてください」、そして「来年BUCK-TICKは新曲を作って、アルバムを作ります。最新が最高のBUCK-TICKなんで、期待しててください。でも覚悟しててください。次は3人になります。それでもパレードは続きます。次は2人、次は1人、たぶん最後の1人は俺かな。それでも続けるんで、みんなを連れていきたいと思います」と、力強い言葉を投げかけた。樋口豊(Ba)そして「ユリイカ」で“LOVE”と“PEACE”を高らかに掲げると、「みなさん自分を愛しましょう」という櫻井のMCから「LOVE ME」へ。ここで初めて4人の生演奏と、櫻井の歌と映像がずれてしまうというハプニングが起こった。メンバーはなんとか立て直そうと必死の表情。それは今までに見たことがないような人間くさい表情だった。偶然だと思うが、映像の中の櫻井もちょっと苦笑いしているように見えた。ハラハラしながらも、なんとか力になろうと一生懸命コーラスをする観客の姿もいじらしかった。歌い終わる頃には演奏もピタリと合い、「また会いましょう。また会いましょう。必ず」と手を振ってステージを降りる櫻井を見送った。ラスト2曲は「COSMOS」「名も無きわたし」と、会場を大きく包み込む櫻井からのメッセージのような2曲がセレクトされた。そしてWアンコールは、「行こう!未来へと!」という櫻井のメッセージから始まった「New World」。会場中に広がった無数のミラーボールの光と、力強い光を放つ5人の演奏が、まだ見ぬ未来を明るく照らしていた。終演後、スクリーンに過去のMV映像が流れた後、2024年12月29日(日) 日本武道館公演の開催が告知された。この先、こうした一つ一つの約束が希望となり、未来へと繋がっていくのだろう。前人未到の地へと歩を進めたBUCK-TICK。これからも5人で歩んでいくと決めた彼らのパレードを、まだまだ一緒に楽しみたいと願う。いつだって驚きと感動で心を震わせてくれるのがBUCK-TICKだから。涙は拭えるけれどいつまでたっても寂しさは拭えないからまたBUCK-TICKに会いに行こう悲しみも幸せも分けあえるあの場所にまたBUCK-TICKに会いに行こうText:大窪由香Photo:田中聖太郎<公演情報>BUCK-TICK『バクチク現象-2023-』2023年12月29日(金) 東京・日本武道館セットリストSE. THEME OF B-T1. 疾風のブレードランナー2. 独壇場Beauty-R.I.P.-3. Go-Go B-T TRAIN4. GUSTAVE5. FUTURE SONG - 未来が通る-6. Boogie Woogie7. 愛しのロック・スター8. さくら9. Lullaby-III10. ROMANCE11. Django!!! - 眩惑のジャンゴ-12. 太陽とイカロス13. Memento mori14. 夢魔 -The Nightmare15. DIABOLO<EN1>1. STEPPERS -PARADE-2. ユリイカ3. LOVE ME4. COSMOS5. 名も無きわたし<EN2>1. New World<ライヴ情報>BUCK-TICK 日本武道館公演12月29日(日) 東京・日本武道館OPEN17:00 / START18:00特設サイト:関連リンクオフィシャルサイト: Sounda LABEL SITE::::楽曲配信リンク:
2024年01月05日6人組ダンス&ボーカルグループLienelが12月28日にZepp Hanedaにて自身初となるワンマンライブLienel 1st One man live「Lien etelnel」を開催した。神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで4月29日行われたライブ「EBiDAN THE PARADE」にて結成発表、デビュー曲「LOVE Communication」を披露したLienel。駆け抜けたデビュー年の総決算とも言えるライブの模様をレポートする。Lienelの今の魅力を伝えきる!初のワンマンライブがスタート定刻。BGMが一段と大きくなり、開演の予感から客席からは歓声が上がる。暗転し、オープニング映像ののち、スモークのなか、6人のシルエットが現れる。その姿に一際歓声が大きくなる。「みなさん、僕たちがLienelです!盛り上がっていきましょう!」という武田創世の言葉で始まったのは「Love Communication」。生カメラでメンバーが抜かれるたびに客席からは歓声が上がり、そしてそのたびに会場の熱も上がっていくのが感じられる。曲中はカメラに抜かれた高岡ミロが隣にいた森田璃空の金髪を指差すとそこにLien(Lienelファンの総称)の声が呼応する。一曲目からファンの心をわしづかみにしたところで、続いて「Neo ROMANTIC」へ。息の合った激しいダンスで魅了。サビ部分はLienも一緒になって体を動かし、一体感を高めていく。1人ずつ「未体験」というフレーズを口にする場面では客席からもコールが入る。次の曲のイントロが始まり、「みなさん僕たちの名前、呼んでください!」と森田が呼びかけると、メンバーがスクリーンに映るたびに会場が名前を大合唱。そして始まったのは「純情シンドローム」。初ワンマンだという雰囲気を感じさせないほど、楽しそうな表情を弾けさせる。高岡が客席を煽り、Lienのコールを引き出していく。そのコールは大きくなるばかりだ。最後はジャケットをはだけさせてバシッとキメた。高岡が「僕たちのファーストワンマンライブ『Lien etelnel』始まりましたー!楽しんでるかーい?」というと、Lienが大歓声でお返事。すっかり会場は温かい空気となっている。まずは自己紹介。まずは芳賀柊斗が「みなさん楽しんで行きましょう!」と挨拶、近藤駿太は「ちょっと髪色変わりました」と笑顔。高岡は「今日は観てくれている方全員を幸せにして帰します!」と宣言。そしてガラッと雰囲気が変わった森田は「髪色変えました。似合ってる?似合ってる?」とニコニコ。続く武田も「髪色変えました!」とのっかるが、実は少しキラキラをつけているだけなので、メンバーから「変わってない、変わってない」とツッコミを受けつつ、「今日はきてくれて本当に嬉しいです」とにっこり。最後の高桑真之は「このあとも健康第一で盛り上がっていきましょう」とあいさつを締めた。U-NEXTでも生配信ということで可愛くカメラに向けてアピールしたあとは、「最高の思い出を作りましょう」とミロが呼びかけ、「Beautiful Music」をさわやかに。最後は肩を組んで笑顔を弾けさせると、「可愛いー!」という声が客席から飛んだ。続いて、淡いライティングの中で切なさを感じる「Over Days」。感情たっぷりに歌い上げるそれぞれの表情に大人っぽさを覗かせる。物語性を感じさせてくれるダンスがよりムードを盛り上げていく。「Don’t look back」ではスタンドマイクを使った演出にまた会場のボルテージが上がっていく。スタンドマイクを持ったまま、めまぐるしくフォーメーションも変わり、見応えは抜群だ。序盤だけでもしっかりとさまざまなLienelの側面を見せたところで、最新配信曲の「親指☆Evolution!」を。鮮やかなライティング、くるくると回るミラーボールの光がきらめき、ポップな楽曲で全員が体を弾ませる。体を動かし、声を出していく構成に、今後さらに盛り上げ曲になっていくだろうことを予感させてくれる。そして楽曲自体もどこか懐かしさを感じさせるような振り付けや合いの手に老若男女魅了されてしまいそうだ。Lienへの決め台詞に挑戦!カッコいいも可愛いもすべてが詰まったステージMCでは初披露となった「親指⭐︎Evolution!」の話題に。高岡が「この会場にめちゃめちゃベテランで喋ったら笑いしか取れないっていうほどのリポーターが来ている」と話を振ると芳賀がリポーターに扮して、感想やイケメンポイントをメンバーにインタビューをし始めた。まずはマイクを向けられた高桑は「初披露めちゃめちゃ緊張したんですけど、ミロが言ったようにここイケメンですよ、っていうポイントは『ネズミがちゅー』っていうところです!」。続いては武田。「このかわいい青年に聞きましょう。どこから来たのかな、好きな食べ物ある?」と芳賀がマイクを向けると、「なめたけと、里芋と、納豆と、五穀米と……」と回答し、「渋い渋い!」とツッコミを受けた。笑いをとったところで、「親指⭐︎Evolution!」については「みんな笑顔でやろうってリハーサルでも言っていて、幸福感もあって自然と笑顔になりました」とにっこり。そして森田・近藤には「Don’t look back」について。「マイクスタンドを使ってパフォーマンスするのは初めてだったんですけど僕は(マイクスタンドを)運びながら歌うことが多くて、扱いがむずかしかった」と森田。そして「メンバーみんなと一生懸命練習したし、新鮮さもあってめっちゃ楽しかったです」。近藤はマイクスタンドの角度にみんなでこだわったと言い、「途中、マイクスタンドの下の部分が璃空とひっかかって。ちらっと見たら金髪だったから『はがしゅー〜』と思ったら(芳賀の髪色も明るい)璃空じゃん、と思ってびっくりした」と森田の金髪にまだ慣れていないというエピソードを語った。その後は高岡発案で「せっかくのワンマンライブだからやりたいことがあった。スクリーンを使って決め台詞やりたい」とカメラに向かって告白するという場面が。やることになったのは武田と高桑。武田は可愛く「全部大好きだよ」、高桑はクールに「大好きだよ」と2人とも指ハートで決めたが、言ったあとに恥ずかしがっていた姿が印象的だった。メンバーからも「かわいい!」の声が飛ぶ。さらに、森田発案のペンライトウェーブで一体感を高めたところで「まだまだ盛り上がっていきましょう」と、続いて「kimito」へ。ここまでとは打って変わってシックなムードで、かつキュートさも織り交ぜつつ、届けた。さらに、より大人っぽさを感じさせる「Naby Blue」を披露し、ブリッジ映像へ。ブリッジではファーストライブの「ファースト」にちなんで「初めてのパズルチャレンジ」の模様を。個性も見せつつ、チームワークを発揮し、65分で完成させた。ちなみにVTRの最後には集中力が切れた回数が最後に発表されており、会場の笑いを呼んだ。先輩たちの人気曲をカバー、それぞれが伝える熱いメッセージ後半戦はそれぞれのダンスソロからスタート。先ほどまでの王子様のような装いから一転、ラフな衣装で登場し、気合いの入ったパフォーマンスを見せる。そして次の曲のイントロが流れ出すと一際大きな歓声があがった。ここからは先輩グループの楽曲をカバー。まずはONE N’ONLYの「Category」。普段のLienelとは異なるワイルドさを見せた。歓声が続く。BUDiiSの「Magic」。BUDDiiSでもお馴染みの囁きパートではひときわ大きな声が上がった。そしてカバーメドレーを締めくくるのは超特急の「No.1」。しっかりと客席から掛け声がかかるのがさすが。さらに曲中でもキレのあるダンスを見せていく。Lienelの世界観にもハマる選曲で会場の熱をあげた。そして間髪入れずに「Party Now!」、「Summer Boy!Summer Girl!」を披露。「Summer Boy!Summer Girl!」ではタオルを回し、クラップをし、ライブ後半にふさわしくゴキゲンな楽曲で盛り上げた。行き着く間もない怒涛のセットリストで駆け抜けてきたワンマンライブ。早くもラスト1曲だと高岡が告げると会場からは思わず「えーっ!」の大合唱となった。後半戦を振り返ったあと、メンバーそれぞれからメッセージが。まずは高桑から。「僕はEBiDANを長くやっていて、ミロと一緒に研究生でもやってきて、ライブをたくさんたくさん重ねてきましたけど、今日のライブが人生で一番最高のライブになりました」。続く森田は「記念すべき最初のワンマンライブがこんなに大きなZepp Hanedaの会場でパフォーマンスできることが、本当に嬉しかったです。このワンマンライブに向けていろいろ不安だったり、悩んだこともあったけど、今日は6人でステージに立てたことが嬉しいですし、何よりLienの皆さんと会えたこと、笑顔をたくさんみれることができて幸せです。ありがとう」と感謝の思いを伝えた。そして、両親への感謝の気持ちを伝えているところでは涙に言葉を詰まらせる場面も。「地元の大阪から出て東京で過ごしてみるとお母さんとお父さんの大変さを知ることができました。こうしてステージに立てたのも両親が支えてくれたからだと思っているし、両親には感謝しないといけない、と思いました。息子が璃空でよかったと、思ってもらえるような人になりたいです」と涙で声を滲ませながらいうと、会場からは思わず拍手が。Lienにも何度も感謝の気持ちを口にし「これからもLienのみんなにもっと笑顔や幸せを届けたいと思っているし、もっと大きなステージに立って、Lienのみなさんに恩返しできるようにがんばります」。高岡は「今日ここでLienと会えたのはこれまで小さい頃から支えてくれた人や、これまで一緒にステージにたった先輩や同期だったり、お客さんであったり、マジボ(MAGiC BOYZ)のメンバーだったり、ひとりひとりの何気ない選択が今日僕をここまで導いてくれたんだな、ってこのステージに立って確信しました。今この話をしているのはデビューできたから美談になっているけど、本当に当時目指しているときは、ただただデビューを目指して突っ走る一心でした。こうして僕にチャンスをくれた事務所の人だったり、メンバーのみんなだったりファンのみんなだったり、1人1人の小さな力が僕の背中を僕の背中を押してくれたんだな、と思います。このステージに立てて、僕は今とても幸せです!」とここまでを振り返って思いを伝えた。近藤は「北海道から上京してきて、2 年間から3年間はレッスンも週に1回しか受けられるか受けられないかで、初めてステージに立ったのが15歳、デビューするまでに2、3回しかステージに立ったことがなかったんですけど、研究生の間に応援してくれたファンの方とか、東京についてきてくれた両親に、今日恩返しができたんじゃないかなと思います。デビューしてからファンになってくれた人にもこの8ヶ月の頑張った成果が見せられてよかったです。北海道から出てきてよかったな、と思えたステージでした」。そしてグループ最年長となる芳賀。「デビューして8ヶ月経ちましたが、デビューする前も練習期間やいろいろあって、先生に怒られたりとか、課題も見つかって僕自身不安なこともありました。最年長ということもあり、結構なプレッシャーもあったんだけど、こうしてリリイベだったりワンマンライブに来てくださるからこそ、とても嬉しいですし、ここまで人が集まってくれるんだな、というのに驚きですし、とても感謝しています。もっと僕たち前に進んでいきますのでついてきてくださると嬉しいです」と、途中、涙も堪えつつ、伝えた。ラストは武田。ワンマンライブの開催がサプライズで発表されてからしばらく実感が湧かないままだった、と振り返り、「だんだんワンマンに向けて想いが強くなったり、リリイベでLienのみんなと距離を縮められて、僕たちの支えになりました。Lienみんなに感謝しているし、支えてくれるスタッフのみなさんだったり、5人のメンバーに支えてもらってばかり。今、こんな大きな舞台でたくさんLienと幸せな時間を共有できて人生で幸せです」と関わる全ての人への感謝を伝えた。「LienelとLienのみんなでこれからも絆を深めていきたいです」と森田からコールされた最後の楽曲は「Fly High」。紙吹雪が舞う中、Lienelの思いとこれからを感じさせるような楽曲だ。最後まで歌い終えて高岡は「やっぱり僕たちLienelは6人だけじゃない。みんなもいて僕たちLienelなんだな、って実感しました。これからも突き進んでいきます。これからも応援よろしくお願いします」と強い思いを伝えた。初のツアーの発表これからもLienelから目が離せないすぐに始まった大きな「アンコール」の声に答えて再び登場したLienel。近藤の「まだまだ僕たちと盛り上がりましょう!」と言葉と共にアンコール一曲目に披露したのは「Love Me Madly」。赤いライティングの中、情熱的な恋の歌を歌い上げた。そして初のワンマンライブを締めくくるのはLionelの始まりの曲とも言える「Love Communication」。芳賀が「まだ行けるよね?もっと楽しんでいきましょう」と煽る。曲中はメンバー同士がくっついたり、カメラに向かって満面の笑みを向けたり、それぞれがステージの端から端へと移動し客席にむかって全力で手を振り、銀テープを舞い、最後までLienを楽しませた。初めてのワンマンライブ、大成功を収めたLienel。まだここは始まりであり、これから長い長い道が続くはずだ。しかし、その道はきっと楽しく輝くものであることを感じさせてくれた。さらにライブの後には、初のツアー開催を発表され、Lienを喜ばせた。来年のLienelからも目が離せない。取材・文:ふくだりょうこ撮影:笹森健一『Lienel 1st Live Tour 2024 〜My Youth〜』開催決定!【大阪】松下IMPホール2024年5月12日(日) 開場16:00/開演17:00【東京】日本橋三井ホール2024年5月19日(日)≪1部≫開場13:00/開演14:00≪2部≫開場17:00/開演18:00詳細はこちら:
2023年12月29日今年結成50周年を迎えたTHE ALFEEが、ワンマンライブ『THE ALFEE 2023 Winter Genesis of New World Final 風の時代・冬』を12月23日(土)・24日(日) に日本武道館で開催した。ライブは、名曲「星空のディスタンス」や、シングル57作連続オリコンTOP10入りを果たした最新曲「鋼の騎士Q」を含め2日間で合計35曲を披露。初日は日本武道館公演100回目というバンドとしては日本人初の快挙を成し遂げた記念すべき日となり、高見沢俊彦は「日本武道館は83年から毎年やってきて、あれから40年、長く積み重ねてやっている集大成としてこの武道館、今日で100回目です。こうやって100回できたのも皆さんのおかげです。僕らの曲を見つけてくれて、そして僕らのコンサートを選んでくれて、本当に感謝しかありません」と集まったファンに感謝を伝えた。高見沢俊彦桜井賢坂崎幸之助また、2日目のアンコールでは谷村新司との共作曲「天使の伝言~TASUKI~」(作詞:谷村新司作曲:高見沢俊彦)をTHE ALFEEとしてライブ初披露。さらに「LONG WAY TO FREEDOM」では高見沢が宙を舞うサプライズ演出もあり、会場のファンが歓喜に包まれた。日本武道館での公演数は12月24日現在で101本と、バンドとしては首位の記録を引き続き更新。またコンサート総本数も2,888本(12月24日時点)と、こちらもグループ最多公演記録を更新した。撮影:上飯坂一<リリース情報>THE ALFEE『SINGLE CONNECTION & AGR - Metal & Acoustic -』発売中●初回限定盤(2CD+DVD):税込4,950円●通常盤(2CD):税込3,850円【CD収録内容】※全形態共通■Disc1:SINGLE CONNECTION01. この素晴らしき愛のために (2023Mix)02. 今日のつづきが未来になる03. 人間だから悲しいんだ04. The 2nd Life -第二の選択-05. Final Wars !06. あなたに贈る愛の歌07. 太陽と鋼の翼08. 光と影のRegret09. 友よ人生を語る前に10. 振動α11. Joker -眠らない街-12. 英雄の詩13. GLORIOUS■Disc2:Alfee Get Requests - Metal & Acoustic -(新録)01. 悲劇受胎 (50th Anniversary Ver.)02. NOBODY KNOWS ME (Acoustic Ver.)03. 鋼鉄の巨人(50th Anniversary Ver.)04. ひとりぼっちのPretender (Acoustic Ver.)05. 人間だから悲しいんだ (Acoustic Ver.)06. Count Down 1999 (50th Anniversary Ver.)【DVD収録内容】※初回限定盤のみ■THE ALFEE 2023 Spring Genesis of New World 風の時代・Brave Love - Galaxy Express 999 -・Bad Girl・Glorious関連リンクオフィシャルサイト:ユニバーサル ミュージック THE ALFEE オフィシャルサイト:
2023年12月25日“シブヤは炎上するか?”と煽ったのは、1999年10月に渋谷クラブクアトロでのライブを録音したナンバーガールのライブ盤に刻まれたキャッチコピーだった。カネヨリマサルの『太陽に近づくツアー』ファイナルの地となったのはZepp Shinjuku。歌舞伎町の地下に盟友と言えるTETORAを迎えた。“Shinjukuは夢を見るか?”――キャッチコピーをつけるなら、これしかないと思った。3ピースのガールズバンド、大阪出身という相似性以上に、カネヨリマサルとTETORAはお互いのことを深くリスペクトし合いながら高め合ってきた。1曲目「ずるい人」のあとに、上野羽有音(Vo&Gt)が言った。「カネヨリマサルありがとう。カネヨリマサルが選んでくれた、カネヨリマサルが混ぜてくれた、カネヨリマサルが作った日は、もうこの瞬間から始まっているのでよろしくお願いします」フロアから大きな拍手が起こる。それを遮るように続けた。「ごめん、もうちょっといい?いつも思うこと。これだけは言いたかった。こんな気持ちになるのは私にとってカネヨリマサルだけ。カネヨリマサルの曲を聴いたら、私の中の鼓動が恋してるときと同じ速さになります。カネヨリマサルの曲が大好きです」そう言って演奏したのは未音源化の新曲「11月」。ペイヴメントあたりのローファイな空気感をたっぷり含みつつ、歌詞に激情を織り交ぜた曲が彼女たちのセンスの良さと自らの音楽への信念の強さを感じさせた。「大阪の先輩カネヨリマサルと新宿のこんな大きなライブハウスで2マンをやれるなんて夢にも思ってませんでした」中盤から後半にかけては速い曲で一気にフロアの温度を上昇させる。曲間に、「カネヨリマサル!どんなツアーを回ってきたか教えてほしい!」と何度も叫ぶ姿が印象的だった。本当のところはわからない。けれど、これはカネヨリマサルへの愛であり、TETORAの誇りであるのだなと感じた。自分たち以上にカネヨリマサルとの2マンにふさわしいバンドはいないだろう?そういうふうに聞こえたのだ。そして実際、そのとおりに違いないと思わせるだけの気迫に満ちた演奏でTETORAは駆け抜けた。フロアの期待感の高まりが目に見えるようだった。いつものSE(くるり「THANK YOU MY GIRL」)が鳴り、ちとせみな(Vo&Gt)、いしはらめい(Ba)、もりもとさな(Ds)の3人がステージに登場すると、ドラムセットを中心に3人が集まってそれぞれのポジションにつく。今年の2月4日に代官山UNITでのライブを見たときも、あるいはどこのライブハウスでも同じ光景が繰り返されているに違いない。しかし、何もかもが違って見えた。それがバンドの成長なのかもしれない。そして、最高のライブを繰り広げたTETORAへの想いなのかもしれない。「はしる、夜」からこの日のライブが始まった。「カネヨリマサルが今、Zeppのステージに立っています!」(ちとせ)「TETORAのライブを見たらいつも名前のつけられへん感情になるんですけど、今日もなりました」(いしはら)ドラムのつなぎから3曲目「GIRL AND」へ。オーディエンスが身体をぶつけ合って拳を突き上げサビに突入するカタルシスはスタンディングのライブでしか感じられないものだ。「関係のない人」からドラムとベースのインプロに続いて「ひらりとパーキー」という流れがシームレスに曲の世界へと導く。「Zepp Shinjukuのステージに初めて立った。こんなにめっちゃたくさんの人が見にきてくれてうれしいです。セトリどうしようって話もいっぱいして、ツアーならではの曲をいっぱいやりたいと思います」(もりもと)その言葉どおり、6曲目に披露した「NO NAME」は久しぶりにライブで演奏する曲だった。さらに「南十字星」と続く。TETORAと大阪のライブハウスでしのぎを削っていた“あの頃”に思いを馳せるような選曲がこの日の特別感を物語っているような気がした。10月18日にリリースした配信シングル「君にさよなら」を演奏する前にちとせが言った言葉のリアリティに驚かされた。「何曲失恋ソング歌うねん、カッコわるって思う。でも、そう思われても何回でも歌う。一生一緒におれると思ってた、疑いなく。一生私のことを好きでいてくれると自惚れてたかった。そういう人の歌です」TETORAが「11月」を演奏する前に言った上野の言葉とシンクロした。「この曲は、ライブでやるのは今日が最後になると思います。この人となら不幸になってもいいって思っちゃったからこの曲を作りました。まだ音源にもなっていない新曲です」カネヨリマサルがTETORAと初めて対バンをしたのは、4年前。大阪・心斎橋にあるBRONZEというライブハウスだった。ちとせが言う。「全然人を呼べなくて、ガラガラのライブハウスで悔しいライブばっかりやってた。でも、時間が経って環境が変わって、観てくれる人がいっぱい増えて、今日、こんな夢みたいなステージに立っています」。だからこそ思い出すのだ。“あの頃”を。「あの頃よく聴いていた曲をちょっとだけ歌います」と言って、ちとせが歌い出したのはTETORAの「ずるい人」だった。ギターの弾き語りに、まるで示し合わせたかのようにベースとドラムが同時に入る。「私のずるい人を歌にしました」と言って披露したのは「もしも」。おそらく“あの頃”もよく演奏していた初期の楽曲だ。この日の新宿のステージから見えた景色が、また“あの頃”になる日、彼女たちはどんな景色を見ているのだろう――そんな未来に思いを馳せた。「(上野)羽有音ちゃんが昔LINEをくれた。いつかTETORAとカネヨリマサルでZeppツアーやりたいですって。あのときの私たちの未来は今日だ!」そう言って、「ラクダ」を歌い出した。このツアーは『太陽に近づくツアー』というタイトルが付けられている。当初は出演してくれる対バン相手へのリスペクトと憧れを込めたものだった。しかしツアーを回るうちに、こんなふうに思うようになったのだと言う。「私たちはみんなの太陽みたいなバンドになります!」来年2月7日(水)には4thミニアルバム『波打つ心を持ちながら』がリリースされることがこの日のステージで発表された。1月28日(日)にメジャーデビュー1周年記念ライブを恵比寿LIQUIDROOMで行ったあと、2月25日(日)名古屋DIAMOND HALLから始まる初のワンマンツアー『彗星みたいになりたいツアー』が始まる。カネヨリマサルが描く夢の軌跡はまだまだ続いていく。Text:谷岡正浩<リリース情報>カネヨリマサル 4thミニアルバム『波打つ心を持ちながら』2024年2月7日(水) リリース●初回限定盤A(CD+Blu-ray):税込4,840円●初回限定盤B(CD+DVD):税込4,400円●通常盤(CD):税込2,310円●VICTOR ONLINE STORE限定セット初回限定盤A(CD+Blu-ray)+フェイスタオル【波打つ心タオル】+アクリルスタンド【カネヨリスタンド】:税込7,540円初回限定盤B(CD+DVD)+フェイスタオル【波打つ心タオル】+アクリルスタンド【カネヨリスタンド】:税込7,100円【CD収録内容】1. バンドマン2. GIRL AND3. わたし達のジャーニー4. ラブソングがいらない君へ5. 君にさよなら6. 番外編7. 見えないくらいの高速で【DVD / Blu-ray収録内容】「1st Full Album リリースツアー 2023 “いまを生きるツアー”」(2023.6.25 at 心斎橋BIGCAT / 全15曲・約80分 収録予定)予約リンク:<ライブ情報>カネヨリマサル『太陽に近づくツアー』大阪・福岡振替公演2024年1月18日(木) 梅田CLUB QUATTROOPEN 17:30 / START 18:30w/ KALMA2024年2月7日(水) 福岡Drum Be-1OPEN 18:00 / START 18:30w/ キュウソネコカミチケット情報:()カネヨリマサル メジャーデビュー1周年記念ライブ『今日を凛々』2024年1月28日(日) 東京・LIQUIDROOM開場17:00 / 開演18:00チケット料金:前売4,000円(税込)※スタンディング(整理番号付き)。ドリンク代別途必要カネヨリマサル ONEMAN TOUR 2024『彗星みたいになりたいツアー』2024年2月25日(日) 名古屋 DIAMOND HALL開場17:00 / 開演18:002024年3月21日(木) 札幌 PENNY LANE24開場17:30 / 開演18:302024年3月23日(土) 仙台 darwin開場17:00 / 開演18:002024年3月29日(金) 福岡 BEAT STATION開場18:00 / 開演18:302024年3月31日(日) 広島 LIVE VANQUISH開場17:00 / 開演18:002024年4月11日(木) 東京 EX THEATER ROPPONGI開場17:30 / 開演18:302024年4月21日(日) 大阪 なんばHatch開場17:00 / 開演18:00チケット料金:スタンディング(整理番号付き):前売4,000円(税込) / 東京公演のみ4,500円(税込)※ドリンク代別途必要チケット情報:()関連リンクオフィシャルサイト:::
2023年12月21日Hakubiが、ワンマンライブ『賽は投げられた』を11月18日(土) に大阪・なんばHatchで開催。キャリア最大規模となった東阪ワンマンライブを完走した。ライブ終演後には、2024年に全国13都市をまわるワンマンライブツアーを発表。2024年3月15日(金) に開催される千葉・千葉LOOK公演を皮切りに、4月19日(金) に地元である京都・KYOTO MUSEにてツアーファイナルを迎える。チケットはオフィシャル先行を12月3日(日) まで受付中。また、11月4日(土) に行われた東京・Zepp Haneda公演のオフィシャルレポートが到着した。11月4日(土) のZepp HanedaにてHakubiが『賽は投げられた』と題したワンマンライブを敢行。その模様をお届けする。ステージ上には自らが駆る楽器類と背後に吊られたお馴染みのロゴのバックドロップのみ。初のステージとなる会場なだけにややもすると簡素とも言えるシンプルなセットであったが“バンドの自力のみで魅せる”と言う強い意志の表れと筆者は受け取った。ポストロック / アンビエント調のSEに合わせメンバーが登場。すっかりバンドのアイコンともなった片桐(Vo/Gt)の金髪と真紅のギターが今宵も目を惹く。一曲目はライブのタイトルともなった「賽は投げられた」。寂寥感漂うメロディが印象的な楽曲だが、曲終盤の“賽は投げられた”の歌唱と共にアンサンブルが爆発すると言う二部構成的な趣も持つ楽曲であり、片桐はワウがかったノイジーなギターを掻き鳴らしながらオーディエンスに向かって「みんなのために みんなのためだけに歌います」と力強く宣言。それに呼応する様にヤスカワアル(Ba)、マツイユウキ(Ds)も大きく体を揺らしながらプレイする。片桐(Vo/Gt)短めのMCから「ハジマリ」へのタイトルコールが華麗に決まった瞬間、マツイの性急なエイトビートでバンドは勢いよく走り出す。「ちょっと珍しい曲やってもいいですか」との事で「color」へと繋げ、序盤を駆け抜けたバンドはここで目下の最新アルバムからタイトルチューンである「Eye」を披露。広いサウンドスケープを持つ四つ打ちに応える様に客席から軽快なクラップが巻き起こる。オーディエンスまでもがアンサンブルに参加したかの様な祝祭的な雰囲気の中でバンドはキメの多い楽曲を余裕たっぷりに乗りこなしていく。特に言葉数が多いサビを息継ぎなしで歌い切る片桐のボーカルに、ライブバンド、現場主義を貫くHakubiの矜持を感じずにはいられなかった。MCでは片桐が会場入り前にすっぴんでファンの女の子に遭遇してしまった事やマツイが会場の広さを「京都MUSE何個分?」などと自らのホームグラウンドに絡めつつ感謝するなど、ライブ中とは打って変わった緩やかなムードで進行させたと思いきや片桐が再び「これが今の私たちのベスト。気合い入れてやって参りました。最後まで宜しくお願いします」と力強く宣言。確かにリリースを伴うライブではない今回。シンプルなセットと相俟って、ロックバンド、或いはライブバンドHakubiの現段階でのベストを実演にて刻み付けるという意味合いで組まれた公演であろう事を明かしてくれた。ヤスカワアル(Ba)「懐かしい曲を」の一言で演奏された「もう一つの世界」も客席からの高らかなクラップで迎えられ、ヤスカワがベースを唸らせる「最終電車」。マツイの変則的なドラミングと後半のシューゲイザー的な展開で場内の空気を一変させる「薄藍」などリズム隊の妙技を見せつつライブは進行。続く「午前4時、SNS」、「サーチライト」に綴られる、胸を抉る様な言葉の数々。獰猛さを増すリズム隊に乗せて絶唱する片桐に圧倒されてしまう。生々しい息遣いで歌われる「サイレント東京」では打ち込みのリズムをマツイがパッドへとスイッチし生演奏。ヤスカワの浮遊感あるフレージングが心地よい眩暈を提供してくれる。再びのMCでは「ワンマンの時はドラムとベースも喋るんです」と演奏とはまた別のグルーヴ感を見せるコミカルなトークを展開。即興で行われた「会場から1番遠いやつは誰だ選手権」ではなんと北は北海道、南は宮崎県からの来場者の姿が。“今までのベスト”と先のMCで片桐が明言していた通り、客側としても、やはりどうあっても見逃す訳にはいかないライブであるのだろう。マツイユウキ(Ds)「今でもこの曲が沁みます」と自身の処女作であるep『夢の続き』から「intro」~「夢の続き」と繋げ、タイトル未定の新曲をここで初披露。バンドの過去と現在。そしてその表現の根底にある揺るがないものの片鱗を垣間見せてくれた。ここからのブロックではバラード曲が続く。特にもう2度と会う事の出来ない、かけがえのない存在へと歌われる「拝啓」は今宵屈指のハイライトの一つに数えられるのではないだろうか。詞曲に込められた深い悲しみと感謝を全身で表現する片桐に思わず息を呑んでしまう。来場者一人一人もきっと自身の大切な存在を思い浮かべながら聴き入っていた事だろう。そしてアップダウンの激しい音程を感情豊かに歌い上げる「Twilight」の後半、エイトビートで切り込んでくるドラムと共にアンサンブルはまたも爆発。更なる強靭な表現力を纏ったバンドの現在地を客席へと刻み付ける。さあ、ライブもいよいよ終盤。鏡に写る理想通りとは決していかない自身の姿へと宛てた「mirror」の曲中では“ファンの1人から手紙を貰った事、そこにはHakubiが生きる理由としたためられていた事、Hakubiにとっても眼前のあなたたち一人一人が生きる理由である事”が高らかに宣言される。互いが互いの生きる理由である事が明確となったバンドとオーディエンスが作り上げる空間。ライブの形として一つの理想であろう。そんな空間を目の当たりにした片桐は「こんなに笑う片桐見た事あります?」と楽しすぎて少々テンションがおかしくなってしまっている事を自嘲気味に語っていた(笑)。「最後、みんなで歌って欲しいです。いけるよね?」として披露されたのは「君が言うようにこの世界は」。随所に挟まれるコーラスを割れんばかりの声で共に歌うバンドとオーディエンス。ステージと客席との境目がなくなったかの様な一体感をもってして、本編は終了。アンコールでは再びトークでのグルーヴ感も強力なヤスカワとマツイによるグッズの紹介などを挟みつつの「辿る」。そして雄大なリズム、荘厳な調べのピアノにシーケンス、神々しい光を纏った様なメロディがこの上なくラストに相応しい「悲しいほどに毎日は」にて堂々のエンディング。先にも記したが強靭さを更に増したバンドの表現力は楽曲全てをより立体的、有機的に輝かせており、片桐の言う“今の私たちのベスト”を存分に見せ付けてくれた。そしてMCのみならず曲中に至るまで何度も宣言されていたのはオーディエンス一人一人である“あなた”へ向けられた強い肯定の意思。“いつだって頼って欲しい”とまで“あなた”に寄り添う覚悟を決めたバンドの意思表示に、ロックバンド、或いはライブバンドHakubiの揺らがぬ信念を窺い知る事のできる一夜となった。Text:庄村聡泰Photo:翼、<ライブ情報>Hakubi one-man tour 2024『Hakubi one-man tour 2024』告知画像2024年3月15日(金) 千葉LOOK開場18:30 / 開演19:002024年3月17日(日) 札幌KLUB COUNTER ACTION開場18:00 / 開演18:302024年3月20日(水・祝) 柳ヶ瀬ants開場18:00 / 開演18:302024年3月22日(金) 金沢vanvanV4開場18:30 / 開演19:002024年3月27日(水) 福岡LIVE HOUSE OPʼs開場18:30 / 開演19:002024年3月28日(木) 長崎STUDIO DO!開場18:30 / 開演19:002024年3月30日(土) 高松DIME開場18:00 / 開演18:302024年4月4日(木) 仙台MACANA開場18:30 / 開演19:002024年4月5日(金) 水戸LIGHT HOUSE開場18:30 / 開演19:002024年4月13日(土) 松本LIVEHOUSE ALECX開場18:00 / 開演18:302024年4月16日(火) 渋谷CLUB QUATTRO開場18:30 / 開演19:002024年4月18日(木) 名古屋CLUB QUATTRO開場18:30 / 開演19:002024年4月19日(金) 京都KYOTO MUSE開場18:30 / 開演19:00【チケット情報】4,000円(税込 / ドリンク代別)■オフィシャルメンバーシップ先行(チケット+特典グッズ付)受付期間:12月3日(日) 23:59まで■オフィシャル先行(チケットのみ)受付期間:12月3日(日) 23:59まで()関連リンクHakubi Official Site:::::
2023年11月20日もさを。が全国5都市をまわったツアー『Sugar&Spice』が終了した。もさを。は今年1月に初のワンマンライブを、そして5月に東名阪ツアーを開催。今回早くも実現した夏のツアーでは公演数を増やし、より多くのファンの元へ行って直接歌を届けた。この記事では、8月30日に開催されたZepp Shinjuku(TOKYO)公演の模様をレポート。前週に開催予定だった大阪・愛知公演はもさを。の体調不良に伴い9月、10月に振替となったため、復帰一発目のステージだったが、この東京公演では元気な姿を見せてくれた。開演時刻になると、観客の手拍子に迎えられながらステージにやってきたもさを。。「東京、みんな盛り上がってくよ!」というもさを。の言葉を合図にバンドメンバーの杉村謙心(Gt)、森光奏太(Ba)、坂本暁良(Ds)、岡田基(Key)、山本哲也(Manipulator)がイントロを奏で始めると、「ブラウニー」でポップに幕開けだ。途中ジャジーなアプローチがあったりと豊かに表情を変えるバンドサウンドを乗りこなすもさを。の歌声は温かく伸びやかであると同時に頼もしく、歌でバンドやお客さんを引っ張ろうという度量が感じられる。「みんな踊っちゃっていいからね!」と投げかけつつ、ステージ上を練り歩き、観客一人ひとりをしっかり見ながら歌う姿も印象的。この場所に来てくれた人のことは誰一人孤独にさせたくない。みんなで心を通わせながら、一緒に、一つのライブを作りたい。そんな想いが伝わってくる歌とステージングだ。まるですぐそばで歌ってくれているようだと聴く人に感じさせるハートウォーミングな楽曲と歌声がもさを。の魅力だが、このライブ空間でもまた親密かつ穏やかな空気が流れている。ステージ上でミラーボールが回り、光に包まれながら歌った「きらきら」で特別な景色を生み出すと、カントリー系の曲調が楽しい「ラクガキ」では観客とラララと声を合わせた。ここでMCに入ることを察した観客が「もさを。くーん!」「会いたかったよー!」といった声援を飛ばす。その一つひとつに対して「僕も会いたかったよ」「待ってた?ありがとう」「なんてなんて?」「もう1回お願い」と返していくもさを。。ファンとコミュニケーションをとりながらの最初のMCでは「家族のような距離感でいたい」「(ライブは)あなた一人ひとりがいないと成り立たない」「嬉しいことも悲しいことも共有したい」といった想いを改めて伝えた。そして「今年一熱い思い出にしたいんだけど、みんな、楽しむ準備はできてますか?」「甘さと少しの刺激で、シュワシュワッとハジけて、最高の1日にしましょう!」とツアータイトルにちなんだ言葉で、次の曲「サイダー」へと繋げた。この曲でもさを。はハイチェアに腰掛け、アコースティックギターを爪弾きながら歌唱。リラックスしたムードの中、観客は手拍子して楽曲を彩った。続く「恋色」はワウギターの効いた音源とはまた違うアレンジで、バンドの熱量が前面に出た好演。特にアウトロでは各楽器が自由に遊びまくっていて、もさを。も時にバンドメンバーとアイコンタクトをとりながら楽しそうに歌っていた。照明演出によって作られた星空の下で歌ったのは「ギフト」。「この曲は僕の実体験を基にした曲です。みんなの悲しかった思い出はこの会場に置いていっていいからね」と紹介されたのは、〈私だけ好きが溢れていたの〉と歌うバラード「好きが溢れていたの」。いわゆる失恋ソングだが、衝動的に感情をぶつけるのではなく、自分の心の内にある気持ちを手に取りながら、一つひとつ丁寧に歌うのがもさを。流。包容力のある歌唱に、自分だけの悲しみをそっと託した人もいたことだろう。「大きな会場でみんなと一緒に、大空いっぱいに広がる花火を見たい」と今後叶えたい夢について語ったこの日2度目のMCのあとには、「桜恋」、「会いたい」、「キンモクセイ」を披露。「キンモクセイ」では「ジャンプ!」「もっと!」とフロアに投げかけながら、観客と一緒になって自らも飛び跳ねるもさを。。ラストフレーズを歌う際にもさを。がメロディをアレンジすると、観客は「フゥー!」と歓声を上げて反応し、もさを。のファインプレーを称えた。「いやー、疲れちゃったよ(笑)。みんな、まだまだ体力ありそうだね。ジャンプする曲、まだあるから準備しといてね」と期待を煽る発言もありつつ、楽しい時間はあっという間。本編ラストのMCでは、もさを。が「日々の活動の中で、音楽について考えたり悩んだりすることもあります」と切り出し、「“音楽を届けるってどんな意味だろう?”と考えた時に、みんなのことが真っ先に浮かびます。支えてくれるみんながいるから、一人じゃないと思える。だから音楽でそばにいさせてください。これからもみんなと一緒の時間を過ごさせてください」と観客に想いを伝えた。そして「その大きな声でこの会場を響かせてください。僕のあとについて歌ってね!」とラララのシンガロングを起こすと、「1分1秒」へ。〈1人じゃないよ そばにいるから/1分1秒 あなたが大事〉という歌詞がファンへのメッセージとして届けられた。同じくファンへのメッセージソングのように聴こえた「ハレルヤ」を経て、バンドメンバーによるエンターテイナー精神溢れるソロ回しとともに突入した「カラメル」では大盛り上がり。「この夏の思い出は絶対に忘れません。最後に、僕からのプレゼントを用意しました」と本編最後の曲として、もさを。が観客に贈ったのは「冬のプレゼント」。既に発表されている通り、この日のアンコールでは、12月に『Xmas Live 2023』を東名阪で開催することを発表した。次の季節での再会を約束し、本編は幕を閉じたのだった。アンコールでは、もさを。が初めて作ったオリジナルソング「ワスレモノ」を、「大切な人が突然いなくなり自分を見失った時に、忘れないようにと書いた曲です。友達、家族、恋人をもっと大事にしようと思ってくれたら嬉しいです」と紹介してから披露。そして「この会場に響きわたるくらい、今日一の声で歌ってください!」と「ぎゅっと。」を会場全体で歌い、幸福感に満ちた空気の中、エンディングを迎えた。エンドBGMに踊りながらステージを去っていったもさを。は、きっと充実感を覚えていたことだろう。文:蜂須賀ちなみ写真:タカギユウスケ<公演情報>もさを。SUMMER LIVE TOUR『Sugar&Spice』8月30日(水) Zepp Shinjuku(TOKYO)セットリスト01.ブラウニー02.きらきら03.ラクガキ04.サイダー05.恋色06.ギフト07.好きが溢れていたの08.桜恋09.会いたい10.キンモクセイ11.1分1秒12.ハレルヤ13.カラメル14.冬のプレゼント■アンコール01.ワスレモノ02.ぎゅっと。<ライブ情報>もさを。Xmas Live 202312月19日(火)大阪・BIGCAT12月20日(水)愛知・DIAMOND HALL12月25日(月)東京・恵比寿ザ・ガーデンホールチケット情報:()関連リンクX:
2023年11月18日韓国で生まれ育った女性ボーカリスト・ダズビーが、自身初となる日本でのミニライブを11月12日(日) に東京・TIAT SKY HALLで開催した。今回のミニライブは、9月23日(水) にリリースされた1stアルバム『orbit』CD購入者限定の応募特典として行われた完全招待制のイベント。昼夜2公演が行われ、ダズビーの歌声を生で体感できるだけでなく、終演後にダズビー本人のお見送りもあることが事前に発表されたこともあり、多数の応募者が殺到し、その中から抽選で当選した多くのファンが会場に詰めかけた。ライブはダズビーにとっての初が詰まった内容で、日本で初めて素顔を見せ、そして初めて観客の前で生の歌声を披露。様々な初をダズビー自身も観客自身も体感することになった。白い衣装を身に纏い、緊張しながらも笑顔を絶やさない彼女の姿は、大袈裟ではなく、天使がステージに舞い降りてきたようであった。その印象を更に決定付けるような歌声が会場中に響き渡る。彼女の歌声は、聴くものの心に問いかけてくるようにスッと入ってくる。そして心が浄化されていく感覚になっていく。それが今回の生での歌唱を聴くことでより際立って感じられた。今回ダズビーはその天使の歌声、天使のような出で立ちと笑顔で様々な感情を歌いあげる。時には切ない感情や、嫉妬心に満ちた感情も含めて、その歌声だからこそ、マイナスな感情でさえ心の奥にすっと届いてくる。昼夜ともに披露したのは、1stアルバムからリードトラック「オセロ」。軽快なリズムに、ピアノ・ギター・シンセが合わさった特徴的なトラックに、彼女の歌声がシンクロしていく。そしてYouTubeで1,000万再生を記録した彼女の代表曲のひとつ「愛じゃない」。片思いの最中に起きるダークな感情が、ダズビーの歌声によってより切なさを増し、哀愁も感じるラップパートで更に心が揺さぶられる。恋愛のネガティブさを感じるこの2曲を通しても、彼女の歌声が耳だけでなく、直接心に染み込んでくるような感覚になっていく。集まった観客は、これまでネット動画やストリーミング、そして今回のCDでしか聴くことができなかった彼女の生の歌声を堪能しつつ、本当にダズビーに直接会うことができた喜びを噛み締めていた。昼夜公演の中盤で披露された「hikari」では唯一座って歌唱した。この楽曲の収録中に涙が出たと本人は語っていた通り、昂る感情を抑えながら歌う彼女の姿に、会場中が静まりかえり、涙する観客の姿も多数見られた。また昼夜各公演で唯一異なった選曲として、昼公演では「シュガーコート」を、夜公演では「アディオス」を披露している。どちらも1度聴いたら耳から離れない中毒性のあるメロディーと、ダズビーの透明感ある歌声で人気の楽曲だ。また本イベントでは、途中に司会を務めた百花繚乱とのトークも。ダズビー自身、物凄く緊張しているが凄くワクワクしていること、そして観客の皆さんが目の前にたくさん見えることが嬉しいということを、素直に伝えていた。こうして話している間も笑顔を絶やさない。百花繚乱からダズビーに対して、ミステリアスな印象もあるのではないかという問いには、本イベントだけに特別にダズビー本人が撮影したホームスタジオの様子を初めて紹介する映像も流れた。この時も自身の映像を恥ずかしがっている彼女の笑顔に、会場全体がほっこりした空気に包まれた。また韓国のライブで披露した「Bambi」のダンスを再現する際、ダズビーの恥ずかしさと照れが合わさった笑顔に会場中が癒されていた。ミニライブ終盤、彼女は「歌い続けることができて、アルバムを出せたのも皆さんのおかげです。私のことを応援し続けてくれて、ありがとうございます」と思いの詰まった言葉を伝え、両公演とも1番の拍手が送られた。むしろ、歌ってくれたこと、歌い続けてくれたことに観客全員がダズビーに感謝しているような光景だった。そして来年には「日本でワンマンライブも行いたい」との夢も語った。また昼夜公演の最後には、こちらも初のダズビー本人による来場者へのお見送りも開催された。ダズビーは来場者の1人1人に笑顔で「ありがとうございます」と伝え、観客は恥ずかしがりながらも手を振ったり、熱い思いを伝えたり、なかには日本で活動を続けてくれること、歌い続けてくれることに感謝を述べる観客も大勢見受けられた。なお本イベントで販売されたグッズは、オフィシャルファンクラブの会員限定で販売を開始している。■グッズ販売の詳細はこちら:<リリース情報>ダズビー 1stアルバム『orbit』発売中●初回限定盤(CD+MVイラスト画集(初回限定盤Ver. / A4サイズ / 60ページ)):3,850円(税込)※特典応募シリアルアクセスコード封入ダズビー『orbit』初回限定盤ジャケット【CD収録内容】1. オセロ2. 愛じゃない3. アディオス4. Angel’s Fake5. 砂嵐6. シュガーコート7. 口笛で愛は歌えない8. 声の在り処9. hikari10. イビツナコトバ (Unplugged Ver.)11. 【CD ONLY】 忘れじの言の葉 (Live Ver.)●通常盤(CD+16Pブックレット):2,750円(税込)※特典応募シリアルアクセスコード封入ダズビー『orbit』通常盤ジャケット【CD収録内容】1. オセロ2. 愛じゃない3. アディオス4. Angel’s Fake5. 砂嵐6. シュガーコート7. 口笛で愛は歌えない8. 声の在り処9. hikari10. イビツナコトバ (Unplugged Ver.)11. 【CD ONLY】 回る空うさぎ (Acoustic Ver.)●FC限定盤(2CD++MVイラスト画集(FC限定盤Ver. / A4サイズ / 60ページ)):4,620円(税込)※封入特典:ポストカード2種※特典応募シリアルアクセスコード封入ダズビー『orbit』FC限定盤ジャケット【CD収録内容】■Disc11. オセロ2. 愛じゃない3. アディオス4. Angel’s Fake5. 砂嵐6. シュガーコート7. 口笛で愛は歌えない8. 声の在り処9. hikari10. イビツナコトバ (Unplugged Ver.)■Disc21. 【CD ONLY】 愛じゃない (Live Ver.)2. 【CD ONLY】 イビツナコトバ (Live Ver.)3. 【CD ONLY】 シュガーコート (Live Ver.)購入リンク:関連リンク公式HP:公式ファンクラブ:::
2023年11月15日ACIDMANが、ワンマンライブ『This is ACIDMAN 2023』を10月30日(月) に東京・Zepp Hanedaで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。『This is ACIDMAN』とは何か?それは25年以上にわたるバンドの歴史を振り返り、「これがACIDMANだ」と自他ともに認める代表曲で構成される特別なライブだ。「セットリスト事前公開」「ファン投票1位楽曲披露」という仕掛けも、通常のライブとは異なる期待感をさらに煽る。そして2021年の初開催から3年目の今年、10月30日の東京・Zepp Haneda公演は、ACIDMANのメジャーデビュー21年となる記念日。フロアは満員、熱気は十分、祝祭の準備は万端だ。「This is ACIDMANへようこそ。最高の夜にしましょう!」─大木伸夫(Vo,G)わかっていても体が動く、心が躍る。1曲目から「to live」「造花が笑う」「FREE STAR」と、いきなりのキラーチューン3連発。佐藤雅俊(B)、浦山一悟(Ds)のリズム隊は鉄壁の安定感、そして大木伸夫の存在感は圧巻。最後までもつのか?と思うほど激しく叫び、弾き、多彩なエフェクターを操り、スリーピースの枠を超えた豊かな音像を紡ぎだす。しばらくACIDMANのライブは見ていない、という人に教えてあげたい。ライブバンド・ACIDMANのステータスは、未だかつてない高みへ到達している。Photo:西槇太一「自由に楽しんで、最後は一つになって、音楽っていいなと思う、そんな夜をみんなと紡げたら最高だなと思います。楽しんでいってください」続いてのセクションは、「Rebirth」から「スロウレイン」へ、さらに「赤橙」から「リピート」へ。軽やかに踊れる曲から、メロディアスで劇的な曲調を連ねて、オーディエンスを大きく包み込む。「リピート」のアウトロ、3つの楽器が激しくぶつかり溶け合う展開は、まさに音の化学反応と呼ぶにふさわしい。クライマックスは、アコースティックギターの爪弾きが、息を呑む劇的なロックバラードへと展開する「季節の灯」と、一人でゆっくりと歩きだすようなリズムが、力強い行進へと進化する「アルケミスト」だ。まばゆく白い光がステージから溢れ出す。シンプルで強い演出が、壮大な楽曲によく映える。Photo:西槇太一一つの音階、一つのコードから生まれた曲が、どうしてここまで豊かになれるのか。「彩-SAI-(前編)」も「Λ-CDM」も、「一つの響きから曲が生まれる」という大木の曲作りのプロセスを、目の前で辿り直すような興奮を味わえるインストゥルメンタル曲だ。「彩-SAI-(前編)」はゴッホを思わせる激しい色彩のアニメーションが、「Λ-CDM」では「素粒子を可視化したイメージ」という、動く抽象画のような不思議な映像がビジョンに現れる。何回見ても新鮮なのだから、初めて観る人にとっては視覚も聴覚も相当に刺激的なはずだ。ちなみに「彩-SAI-(前編)」は昨年行われたACIDMAN presents『SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI” 2022』のテーマソングであり、ACIDMANのステージを中心に構成された映像作品『SAI 2022 Live & Documentary FILM』のリリースも11月26日に決定した。併せてチェックしてほしい。Photo:西槇太一「広い宇宙の中で、あなたはあなたしかいない。それは奇跡だと思います。苦しい時には、自分は自分しかいないと思ってください。ただ生きてるだけでいい。毎日感謝しながら、この命を大事に生きていってほしいと思います」Photo:西槇太一僕らがいる銀河には3000億個の恒星があって、宇宙には銀河が二兆個あるんです。――またいつもの大木の宇宙話が始まったと、笑いも起きていた客席が、思わず引き込まれて静かになる。それもまたいつもの出来事だが、変わらぬメッセージを伝え続けることがACIDMANの大きな魅力。大木伸夫の創作の源泉である宇宙観と生命観を固体化した結晶のように、時代を超えて揺るぎない輝きを放つ、「ALMA」はそんな曲だ。ビジョンに映る広大な星空が限りなく美しい。続く「ファン投票リクエスト枠」で選ばれたのは、およそ8年振りに演奏するという「EVERLIGHT」。もちろん大好きな曲だが、「今ぐらい盛り上がると思ってた」と、当時はライブであまり手ごたえを感じられなかったと、歌い終えた大木が笑う。演奏される機会が減ってしまった楽曲がファンの手で蘇る、これもまた『This is ACIDMAN』ならではの名場面。Photo:Victor Nomoto - Metacraft後半戦に入る前、大木のMCは感動的だった。楽曲に合わせる映像に歌詞を乗せる、タイポグラフィという技法の専門家だったスタッフへの追悼の言葉。誰にでも必ず死は訪れる。だったら思い切り生きてみよう。――大木の気持ちを乗せた「世界が終わる夜」は、これまで聴いたどの「世界が終わる夜」よりエモーショナルで、ビジョンに現れては消えるタイポグラフィの一つ一つが心に沁みた。大木の声が感極まって震えているように感じた。珍しいことではないが、ここまで感情が入った姿は久々に見た気がする。たとえ同じセットリストでも伝わるものがまったく違う、This is LIVE、This is ACIDMAN。「たった一瞬の命。あなたのために、自分自身のために、もっともっと輝いてください」最後のセクションは、完全にスイッチが入った大木を先頭に、「夜のために」「ある証明」「飛光」の爆速ロックチューン3連発で完全燃焼。普通のライブならここでフィナーレだが、まだ重要な曲が残っている。「廻る、巡る、その核へ」だ。それは壮大な命の輪廻の物語を、短編映画に匹敵するハイクオリティのアニメーション映像と音だけで描き切る、約11分の黙示録的大曲。ACIDMANのライブを見たことがない、という人に教えてあげたい。この曲を体験するだけでもACIDMANのライブに来る意味がある。Photo:西槇太一「楽しい時間はあっという間。それでも人生は続きます。もっともっと上を目指していくので、これからもACIDMANをよろしくお願いします」アンコールは2曲。「式日」と「Your Song」の2曲を全力でやりきって、2時間半を超えるライブは笑顔と拍手の中で幕を下ろした。来年も『This is ACIDMAN』をやる計画があることと、今年は福岡と東京の2公演のみだったが、数を増やすことも考えていると、大木は約束してくれた。昔からライブに通い続けているファンも、しばらくご無沙汰していた人も、今ACIDMANに興味を持った新しいリスナーも、みんなに教えてあげたい。ACIDMANは進化し続けている。彼らのベストライブは常に、まだ見ぬ次のライブだ。Photo:西槇太一関連リンクオフィシャルサイト:モバイルサイト:::::
2023年11月08日質量ともに大満足の、怒涛のリリースラッシュとライブ三昧で駆け抜けたDannie Mayの2023年。10月26日、渋谷WWWでのワンマンライブ『SURPRISE』は、充実の1年を象徴する特別な一夜になった。過去の定番曲と代表曲、現在進行形の新曲たち、そして新たな未来予想図までも詰め込んだ、ベスト・オブ・ベストなライブの模様を振り返ろう。およそ3カ月ぶりの東京ワンマン、チケットは瞬時にソールドアウト。盛り上がる気満々のオーディエンスの意気込みをもみほぐすように、オープニングはスローでメロウな「アサヤケ」でスタート。ハンドマイクで歌うマサを中心に、田中タリラとYunoの三声ハーモニーをうっとりと優しく響かせたあと、一転して「笑わせらぁ」はガツンとハードでアップテンポ。マサはエレクトリックギターをかき鳴らし、七色の照明はきらきらぴかぴか。さらにスピードを上げて「黄ノ歌」へ、サポートドラマー成瀬太智を加えたバンドサウンドは、実にアグレッシヴ。それに全力の手振りで応える、オーディエンスも気合十分だ。「Dannie May『SURPRISE』へようこそ!めちゃくちゃ人がおる。すごいね。先行でソールドアウトということで、本当にありがとうございます」(マサ)今日から初めてイヤーモニターを着用するというマサを「プロっぽいね」とひやかすYuno。和やかなムードの中、8月に出た新曲「Boom Boom Boom」から初期の代表曲「灰々」へ、明るいサマーチューンからノスタルジックなマイナー調のダンスチューンへ、Dannie Mayの得意技を連ねてぐんぐん飛ばす。マイクを掴んだYunoが「行けるかみんな!」と叫び、ステージ前方へ飛び出して「もういいって」「待ツ宵」と、2曲続けてリードを取る。タリラの弾く低音のベースラインが最高にかっこいい。メンバー全員がハイレベルで歌って演奏して曲を作れる、Dannie Mayの強みはライブでこそよくわかる。ミラーボールがぐるぐる回り、オーディエンスも一緒に歌う。会場内の一体感も上々だ。「みなさん、田中タリラ作曲といえば、どんなイメージがあるでしょうか?」(タリラ)ライブ中盤、「たぶん、80年」と「if you イフユー」で主役になるのはタリラだ。前者はゴスペルを思わせる美しいメロディのミドルバラードに、独特の揺らぎを持つスウィートボイスがよく似合う。3人のハーモニーにも愛が溢れてる。対照的に、後者は暗く深く沈み込むメロディとスローな曲調が、ダークファンタジーの世界へと聴き手を誘う。呪文のようなコーラスも、アウトロのカオティックな即興演奏も、非日常のイマジネーションに溢れてる。さらに、得意のマイナーポップチューン「適切でいたい」で踊らせ、一気にギアを上げて「玄ノ歌」へ。サーキットをぶっ飛ばすF1マシンのように、緩急自在のシフトコントロールでオーディエンスをぐいぐいリードする。「盛り上がってますか?僕たち、盛り上げに来ました。みんな、日々生きるのが大変だから、今日ぐらいは叫んで、歌って、酒飲んで帰ろうぜ。なぁ?」(Yuno)今日のYunoのMCは、いつも以上にフレンドリーで自然体だ。心理的にもオーディエンスとの距離をさらに縮めながら、悲しくも美しいフォークソング調の「異郷の地に咲かせる花は」をしっとり聴かせたあと、2週間前に配信リリースされたばかりの最新曲、TVアニメ『ビックリメン』オープニングテーマ主題歌「コレクション」で、夢を追うことの素晴らしさを高らかに歌い上げる。コンセプトもアイデアも超えて、たぶんDannie May史上最もストレートな熱いメッセージが、力強いバンドサウンドに乗ってまっすぐに心の中に飛び込んで来る。ここからのライブ後半は、怒涛のキラーチューンの連打で一気に加速。ディスコビートのダンスロックでクラップとジャンプにまみれた「KAMIKAZE」、本日最速BPMの「OFFSIDE」、マサとオーディエンスがタオルを振り回して騒ぎまくる「ええじゃないか」、そして熱狂のお祭りダンスロック「ぐーぐーぐー」。スロットル全開で最終コーナーを立ち上がると、残すはあと1曲。「今日のライブができたことは、僕にとってすごく特別な日になりました。今日ここに来てくれたみなさんのおかげです。本当にありがとうございます」(マサ)最後の曲を歌う前、マサのMCは、少し前に心の調子を崩して苦しんだ日々のことを語る、とても個人的で率直なものだった。小さなストレスが積もり積もって心を乱す、「そういう人って多いと思うんです」と、同じような思いをした人を思いやる言葉がマサらしい。不器用でもいい、自分の居場所を作ろうと歌うエモーショナルなバラード「朱ノ歌」の、限りない優しさが今こそ身に沁みる。エンディングの直前、マイクを外して「ありがとうございました!」とマサが叫ぶ。Dannie Mayの歌は成長する。メンバーの経験とともに、ファンの共感とともに。そしてアンコール。タリラがリードを取る、彼らしいひねったユーモアをトッピングしたハッピーソング「メロディが浮かばなくても」から、クラップと手振りで明るく盛り上がる「めいびー」へ。MCではYunoが、「朱ノ歌」はマサの気持ちを思って本編最後に置いたという裏話を教えてくれた。3人が3人を助け合っている。メンバー、ファン、スタッフが同じ気持ちで前を向いている。「前はコロナで歌えなかったけど、最後はみんなでこの曲を歌って、“楽しかったね”って心から思いたいと思います。今日は本当にありがとうございました」(マサ)Dannie Mayのライブのラストには欠かせない、「御蘇 -Gosu-」の伸びやかなメロディに合わせてミラーボールが回り、全員のコーラスが会場を包み込む。マサがひとりひとりの顔を覚えておくかのように、客席を隅々まで見渡してる。Dannie Mayのライブにはいつも、ここにしかない親密さと一体感がある。過去も、今日も、そして未来も。12月6日、ニューEP『青写真』リリース。リリースライブは、2024年1月26日に大阪・心斎橋Music Club JANUS、2月1日に東京・渋谷WWW。最後の最後、嬉しいお知らせにあたたかい拍手と歓声が沸き上がった。怒涛のリリース攻勢とライブは、2024年も継続される。夢を語るたび強くなれ。「コレクション」の歌詞のままに、Dannie Mayは進む。青写真の向こうにどんな現実の風景が待っているのか、メンバーとファンとともに見に行きたいと強く思う。文:宮本英夫写真:小澤彩聖Dannie May ONEMAN LIVE「SURPRISE」10月26日(木) 東京・渋谷WWWセットリスト1. アサヤケ2. 笑わせらぁ3. 黄ノ歌4. Boom Boom Boom5. 灰々6. もういいって7. 待ツ宵8. たぶん、80年9. if you イフユー10. 適切でいたい11. 玄ノ歌12. 異郷の地に咲かせる花は13. コレクション14. KAMIKAZE15. OFFSIDE16. ええじゃないか17. ぐーぐーぐー18. 朱ノ歌EC1. メロディが浮かばなくてもEC2. めいびーEC3. 御蘇 -Gosu-<ライブ情報>Dannie May ONEMAN LIVE「青写真」2024年1月26日(金) 大阪・心斎橋Music Club JANUSOPEN18:15 / START19:002024年2月1日(木) 東京・渋谷WWWOPEN18:15 / START19:00Official HPチケット最速先行:11月6日(月)23:59まで受付中<リリース情報>New Digital EP「青写真」2023年12月6日(水) 配信リリース関連リンク公式サイト:公式Twitter:公式Instagram:公式TikTok:
2023年11月02日17時にNHKホールで始まったライブが終わったのは、21時だった。あいだに20分の休憩を挟んだとは言え、長いライブだった。けれど、その長さを集まったオーディエンスの誰もが求めていた。この長さがなければ表現できないライブなのだと誰もが知っていた。なぜならこれは、森山直太朗の表現者としての20年、いや、人生丸ごと40数年の道のりを辿っていく音楽絵巻なのだから。前日の10月22日に、同じNHKホールで、昨年6月より【前篇・中篇・後篇】の3つのターム、形態に分けて行われてきた、自身史上最大の「一〇〇本ツアー」の千秋楽を迎えたばかりだった。翌日のこの日は、追加公演という位置づけで、【前篇・中篇・後篇】をすべて味わえるフルコース的なライブだった。前篇を弾き語りで離島や全国のホールを舞台にたったひとりで、中篇をバンジョーやフィドルなどのブルーグラス・スタイルでブルーノートなどのジャズクラブで、そして後篇をフルバンドで駆け抜けた「素晴らしい世界」ツアー。その足跡を振り返りながら辿っていく今回のライブ、直太朗はギターケースを携えてひとりステージに現れた。ギターケースを置き、そのままステージ前方中央に立つと、アカペラで「しまった生まれてきちまった」を歌った。産声のような無垢な歌がホールの空気を震わせ、循環させる。不思議な気持ちになった。例えて言うなら、結末の知っている物語を最初とは違う環境で、違う角度から見ているような感覚、とでも言おうか。もちろんこれはライブだから、その瞬間瞬間が初めての連続で、既視感などはない。ただ、物語の大枠は知っている。つまり、【前篇・中篇・後篇】という大きな流れがある。その筋に沿って、どのようなライブが展開されるのか、というのは、まったくの初見とはまた一段階違う楽しみであり、より深いところでの表現への理解や慈しみが生み出されていく。さらに、この稀有な感覚ですら、どこかで味わったことがあるということに思い至る。それは、今年1月17日にリリースした、初の弾き語りベストアルバム『原画Ⅰ』『原画II』で感じた、“あの感覚”だ。デモ音源とアレンジされた作品との中間に位置する弾き語りでの表現が収められた2枚のアルバムで感じたのは、森山直太朗という表現者が筆を取って記す一画目、ギターを抱えて爪弾く最初の一音だ。逆から言えば、すでに作品として聴いたことのある曲の成り立ちを紐解いて、その第一歩を示すような野心的な作品でもあった。繰り返しになるが、それがデモではなく、またすでに聴いたことのある作品とは違う立ち位置にあるのが何より貴重だ。我々はすでに慣れ親しんだ楽曲の最初の素描を知ることで、逆再生的に作品との距離を想像し、彼の歩みに自らの歩を重ねることができる。前半の弾き語り4曲に続いて「あなたがそうまで言うのなら」の2番からはスライドギターが入り、さらに「声」「生きとし生ける物へ」と曲が進んでいくうちに、フィドル、チェロ、ピアノ、マンドリン、そして「糧」ではバンジョーも加わりブルーグラス・スタイルへと可変していく。前篇から中篇へ――まるで長い旅路がつながるようだ。直太朗が「素晴らしい世界」ツアーの3つのタームを「季節」と言い表していたのが印象的だった。ひとつひとつは異なるが重なり合った部分は確実にあって、何よりそれらがつながることで全体が浮かび上がる。今回の追加公演で味わえるもっとも特徴的な醍醐味だ。休憩を挟んで後篇のフルバンドでのライブは「花(二〇二一)」から始まった。上下に可動するスクリーンパネルなど、ステージが様変わりするなかで、地続きの感覚とここから新たに始まっていく新鮮な感覚が同居している。それはそのままアルバム『素晴らしい世界』で直太朗が描いた手触りであり、なかでもアルバムに収録されている「papa」やタイトル曲「素晴らしい世界」にそれは顕著に表れていた。「papa」を演奏する前には、実父に対する今の素直な想いを語り、曲の中でも表現された割り切れない感情が、次に披露した「夏の終わり」の二胡の音色に溶けていく。「papa」「夏の終わり」という連続だからこそ味わえる気持ちの機微はライブでしか表せないものだ。「素晴らしい世界」はアルバム音源では基本的にはピアノを主軸とした曲で、サンプラーやシンセ、コーラスなどで奥行きをつくっている。いわば、『原画』に限りなく近い状態で収録されているものだ。このライブでは、まずは直太朗のピアノの弾き語りで始まり、ストリングスやギターといった楽器、グランカッサなどのリズムが入り、さらにプロジェクターで樹々や海、都市の日常の風景などが映し出されていく総合芸術として表現されていた。Photo:井上嘉和先ほど、弾き語りベストアルバム『原画』について触れたくだりで、構築された曲を逆再生的にその原初に立ち戻って体感できる、と言ったが、「素晴らしい世界」ではその逆を(ちょっとややこしいが)、まさにこの場で曲が蕾から一気に開花していく様子を現在進行形で愛でることができた。ちょっとこのライブはすごいな……。あらゆる点が線になって図になる。無駄もあるかもしれないが、それでもそれは無駄ではなく何かにはなるし、わだかまっていたことの角が取れることだってあるだろう。新しいものや斬新なものだけがすごいわけじゃない。どこかで見たり聞いたりしたことも今なら素直にいいなと思える。決して楽しいことばかりではないけれど、何もかもをひとまとめにして「素晴らしい世界」が我々の前にはある。ひとりの観衆として感じたことは、隣の人も、さらにその隣の人も、ここにいる全員が同じことを思っているのではないだろうか。それが一瞬だとしても、その瞬間ほど尊いものはない。よく言われる“ライブの一体感”の中身に初めて触れたような気がした。そう思わせるのは森山直太朗の声に宿る力に拠るところが大きい。本編最後に披露した「どこもかしこも駐車場」を聴きながらそのことを実感した。森山直太朗の声には時間が含まれる。過去、現在、未来。それは、彼の人生という範囲を超えて、ずっと昔の地中に埋まっている記憶だったり、誰もが知り得ない遥か先の光景だったりする。そのあまりにも永すぎる時間を彼は声にして我々に示す。こんなちっぽけなんだよと。今は一瞬なんだよと。だからこうして集まっていることが奇跡なんだよと。例えば孤独を感じたら、「どこもかしこも駐車場」――そんな光景を思い浮かべてみたらいい。確かに寂しそうで味気ない光景ではあるが、現代の我々にとって誰もがすぐに思い浮かべることのできる共通の記憶として機能する。そしてこう思えばよい。みんな同じような空白を抱えている。自分だけじゃないんだと。「生きてることが辛いなら」の後に、本編最後の曲として、この「どこもかしこも駐車場」を選んだ直太朗の切実な想いが滲みた。アンコール2曲目は「さくら」。「僕がたくさんの人たちとのつながりを持てたのもこの曲のおかげだったのかなと思っています。すべては弾き語りから始まりました。駅前とか部屋の片隅で歌ったりして、それこそマイクや照明なんかなくて。だから最後はアカペラでこの曲をやりたいと思います」オフマイクの生声だけで1番を歌唱し、2番はピアノの伴奏とともに歌った。『原画』の際に独占インタビューという形で話を聞いたときに彼が言ったこんな言葉が思い出された。「もちろん人それぞれなんでしょうけど、多かれ少なかれ、人生というのはゼロからゼロへ戻っていく孤を描いているのではないかなと感じますね」一〇〇本ツアーの足跡を辿りながら人生の歩みを振り返った壮大なライブは幕を閉じた。【前篇・中篇・後篇】が季節なのだとしたら、4つ目の季節はこの日発表された両国国技館で来年3月16日(土) に行われる「素晴らしい世界」〈番外篇〉だ。自身初となるセンターステージで何を見せ、聴かせてくれるのか楽しみだ。季節は移ろい、巡る。森山直太朗の歩みは続いていく。Text:谷岡正浩Photo:鳥居洋介<公演情報>森山直太朗 20h アニバーサリーツアー『素晴らしい世界』【前篇・中篇・後篇】2023年10月23日(月) NHKホールセットリスト1. しまった生まれてきちまった2. レスター3. 愛し君へ4. ラクダのラッパ5. アルデバラン6. あなたがそうまで言うのなら7. 声8. 生きとし生ける物へ9. 糧10. 君のスゴさを君は知らない11. (インスト)12. バイバイ13. 僕らは死んでゆくのだけれどー休憩ー14. 花(二〇二一)15. カク云ウボクモ16. 花鳥風月17. papa18. 夏の終わり19. 素晴らしい世界20. 愛してるって言ってみな21. すぐそこにNEW DAYS22. よく虫が死んでいる23. boku24. 金色の空25. 君は五番目の季節26. 生きてることが辛いなら27. どこもかしこも駐車場EN1. フォークは僕に優しく語りかけてくる友達EN2. さくらEN3. 人のことなんて<ライブ情報>森山直太朗 20thアニバーサリーツアー『素晴らしい世界』<番外篇> in 両国国技館2024年3月16日(土) 東京・両国国技館開場17:00/開演18:00【チケット代金】アリーナ席12,000円、升席12,000円、2F指定席12,000円、2F指定席8,800円※アリーナ席、升席は限定お土産付き、2F指定席は限定お土産選択式ツアー特設サイト:関連リンクオフィシャルサイト::スタッフX::
2023年10月31日2000年代生まれのベッドルームアーティスト・とたが、初のワンマンライブ『とた oneman live 2023 bloomin’』を10月24日(火) に東京・WWWで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。2000年代生まれ、ベッドルームポップを奏でるシンガーソングクリエイター、とた。ピアノ、ギター、ベースなどの様々な楽器とDAWを駆使したセルフプロデュースによる楽曲制作に加え、ハッとさせられる物語性ある歌詞によって令和時代のポップミュージックを拡張する新しい才能だ。2023年10月24日、初のワンマンライブ『とた oneman live 2023 bloomin’』を、渋谷WWWにて開催した。創作の秘密基地だった自宅ベッドルームを飛び出してのワンマンライブだ。開演前からオーディエンスも、とたを見守るあたたかな雰囲気でいっぱいである。19時20分。バンドメンバー4人とともにステージにとたがあらわれた。枕元にあるようなベッドサイドランプを“パチっと”付けてキーボードへ。ライブのはじまりの合図だ。これは、SNSでの音楽発信を通じて拡散された彼女の音楽性を示すキーワード、ベッドルームポップをあらわしているのかもしれない。オープニングを飾ったのは「薔薇の花 (bloomin’)」。TikTokLiveで開催された『1st Online Live - Bedroom Session- 」でも1曲目に披露されたナンバーだ。まさにベッドルームから生まれた楽曲を、たくさんのオーディエンスの前でプレイするという感動。しかも本作はライブごとに楽曲とサブタイトルを更新していくスペシャルなナンバーだ。実は、開演前、入り口では今日のための歌詞が書かれた、本人によるスマホで手書きされた淡い紫色の花のイラストカードが配布されていた。続いて、「小説みたいな恋をしよう」という、粋な歌い出しが胸を弾ませてくれる「君ニ詠ム。」。跳ねるビート、きらびやかなサウンドと溶け合うように、透き通っているのに凛とした歌声が響き渡る。一言、「今日は楽しんでいきましょう!」と挨拶しながらクラップでフロアを煽り、軽快なギターポップ「ブルーハワイ」では、バンド編成のライブに見事に馴染むアグレッシブなとたを垣間見た。もちろん、まだライブ経験も少なく慣れていないはずだ。だが、ステージを楽しんでいる様子が伺えたのが微笑ましかった。第一声のMCは「今日は来てくれてありがとうございます。遠くから来てくれた人も。近くから来てくれた人も、初めてのワンマンライブに足を運んでくれた私にとって大切な人です。ありがとうございます。ライブのタイトルのbloomin’というのは、花が咲くという意味のブルーミングからとりました。今日は花に水をやるように音楽が流れて、明日からの生活になにか少しでも繋がるものがあったらいいなと思っています。楽しんでいってください!」と、落ち着きながらトーク。ギターをテレキャスに変えて、アッパーかつパンキッシュな「こうかいのさき」を披露。ギターロックナンバーが続いて「せーかいせかい」では、とたによる軽快なカッティングが印象的であり、裏声を使ったボーカリゼーションがせつなさを刺激する。歌詞にある、「花が咲きそうです」のフレーズは、ライブに通じる言葉であり突き刺さった。空気は一変して、アコースティックな「一弦」では、アコギ片手に、淡いサウンド感が紅葉色の照明とシンクロ。ギターの弦を擬人化しながら、自らの心情と重ね合わせる歌に心を震わされる。続いて、緑のギターへと持ち替え、ピアノのイントロダクションから配信されたばかりの新曲「コワレモノ」へ。泣きのせつなポップの披露だ。ライブで映えるギターポップチューン「あしたてんき」は、寝室=陽の当たらないベッドルームに閉じこもる繊細な心情を歌ったナンバーだ。誰もが知る“明日天気になーれ”というフレーズから展開されていく孤独と葛藤。しかしながら、ネガティブとポジティブの狭間をたゆたうポップセンスの妙。遊び心ある歌詞のギミックがとたの真骨頂を表現していく。ここで、ネット上ではショートバージョンが上がっていたが、未発表曲「押して」を初披露。ハンドマイク片手に「リリースしていない曲をやります。好きに踊ってください!」と語り、軽快なビートが心地よいディスコチューンでフロアを盛り上げる。ミラーボールが眩く、飛び跳ねながら歌うキュートな佇まいが愛らしい。メンバーがはけてロングなMCタイムへ。「今の曲はだらしない恋愛を歌った曲です。作ったのは、活動をはじめた最初の頃で。もしかしたら知っている人もいるんじゃないかなと思うんですけど、ライブで楽しめる曲になったらいいなと思っています。次に歌う曲は、いなくなってしまった人を思いながら、でも、少しだけ前を向こうとしている曲です」。新曲「右手のネイル」をキーボード弾き語りで歌い出す。没入感高い物語性のある切なくも狂おしいナンバーだ。ふたたびバンドメンバーがステージに登場。メンバー紹介へ。初ライブとなった『SUMMER SONIC 2023』から一緒の気心知れたメンバーだ。続く、「カメラロール」では、「楽しかった思い出を見返して、寂しくなっちゃう気持ちを歌った曲です。電車に乗りながら作ったので揺られている感覚を思い出しながら歌います」と、ハンドマイクで座りながら歌う。途中立ちあがり、エモーショナルに歌いあげていく。ライブ終盤。ふと、波の音が聞こえてきた。映像が投影され、本編ラストに奏でられたのは、TikTokやSNSを通じてオーガニックに広まった、とた代表曲である「紡ぐ」。当初はショートバージョンしかなかった本作。SNSでのリスナーの反応を鑑みて、追加の展開が増やされていったというフルバージョン。ギター片手に、今にも泣き出しそうな心情を吐露するせつなき歌。バンドならではのカタルシスを感じるエモーショナルな演奏に胸がいっぱいだ。「とたでした。また会いましょう。ありがとうございました!」深々と礼をして、ベッドサイドランプの電気を“パチっと”消してステージを去っていく。エンディングには、とたが撮影したであろうリリック付き映像とともに「寝言」がSEとして流れた。今晩のライブはとたの夢だったのかな?なんて思わせてくれるまさに、一期一会の夢見心地なベッドルームポップだった。Text:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)Photo:垂水佳菜<公演情報>『とた oneman live 2023 bloomin’』10月24日(火) 東京・WWWセットリスト1. 薔薇の花 (bloomin’)2. 君ニ詠ム。3. ブルーハワイ4. こうかいのさき5. せーかいせかい6. 一弦7. コワレモノ8. あしたてんき9. 押して10. 右手のネイル11. カメラロール12. 紡ぐSE. 寝言<リリース情報>とた「コワレモノ」配信中とた「コワレモノ」ジャケット配信リンク:関連リンクYouTube::::
2023年10月27日10月14日、有楽町朝日ホールにて超特急のカイ(小笠原海)とリョウガ(船津稜雅)によるトークライブ「稜海しました!」が行われた。9月17日に行われた大阪での公演合わせて4回だけの貴重なトークライブ。本記事では東京第2部の模様をレポートする。ジャージ姿の稜海がシンプルにトークをお届け定刻になると、オープニング映像が流れ始める。ビシッとキマったフォーマルなスタイル、革手袋もカッコいい……が、会場からはクスクスと笑い声が。登場したカイとリョウガはジャージにサングラス姿。しばらく会場を見回したあと「映像で笑うな」とカイがボソリ。リョウガの「逆になんでジャージなの?」と尋ねるとカイは「予算不足です」とキリリ。「できるだけスーツに寄せたい」と言ったらジャージになり、革の手袋に寄せたいと言ったら黒の軍手に。サングラスも一番安いものを通販で買ったものだそう。「逆にサングラスを通販で買うことないよ」と言いつつ早々にサングラスと軍手は外してスタッフに渡し、オープニングトークへ。最近、「なかなかちゃんと確認していないスマホのキャリアメールに羽生くんからメールが来る」とカイ。苦笑いのリョウガに向かって「プロに転向していろいろ悩みがあるのでもしよかったら相談のってもらえませんか、って」と続ける。ほかにも著名人から相談メールがきてるそうで「がんばって仕事してるし、いまの俺ならメールも来るのかな、って。返すのを迷っている」と相談(?)するとカイに、リョウガは頷きつつ、「少なくとも俺がみなさんに言えるのは真似しないでください、返信しないでください。カイのところに来ているものだけが本物だから」と客席に注意を促した。客席とのコミュニケーションも軽快だ。遠くから来た自信がある人は?と問いかけると、なんと中国やタイから観客もおり、驚きの表情を見せた。ふたりだからこそ思い付く回答を連発「稜海の勝手にBest3」20分が経ったところで「始めていきましょうか」というカイの呼びかけでようやく本編がスタート。トークイベントはふたつのコーナーで構成。最初のコーナーは「稜海の勝手にBest3」。さまざまなベスト3を決めていこうというコーナー。とは言え、テーマも一般的なものではない。最初のテーマだった「コンサート中に体の一部が動物になってしまいます。どの動物のどこの部分がいい?」からして普通ではない。「テーマがアホ!」と言いつつ、真剣に考える2人。「『a kind of love』のサビで『ラ』のときにキリンの首みたいに伸びる」(リョウガ)、「フラミンゴのピンク色が唇にほしい。メイク入らず!」「感動的なMCのときに海亀の瞳」(カイ)など常人では思いつかなさそうな回答を繰り出していく。「火星人が地球に来ました。お・も・て・な・しBest3」では火星人はタコ型なイメージがあるカイが「大阪には連れていけない」とキッパリ(たこ焼きが名物ゆえに)。そこから急に2人でミニコントを始めたかと思えば、「せっかくだからいいとこ連れて行ってあげたいよね」とカイが言い、リョウガは「俺たちと価値観も違うかもしれないからね」と真面目に考える表情も。「歩いていて転びそうになったときの誤魔化し方Best3」では実演付きで盛り上がり、「個人的に無人島に持っていくものBest3」ではBest3をBeat3とスクリーンに表示されている誤字をいじりつつ、客席にもアイディアを求めながら、トークが白熱。リョウガが虫から身を守るために「ハチ用の防護服」を挙げれば、カイは「シャンプー持っていきたい。ベタつくやん。あとボディソープも」と無人島への持ちものとしては少々似つかわしくないものも。また、無人島に連れて行きたい人も多く挙げられ、その中でSUPER★DRAGONの志村玲於の名前が。「(志村が)料理とかいろいろやってくれそう」(カイ)、「で、その横でシャンプーしてるんでしょ。なんかしろよ!」(リョウガ)。結果、3位はキャンプセット、2位はシャンプーリンスとボディソープ(スクラブもつけてほしい、とカイ)などのお風呂セット、そして1位は志村玲於という結果に。無人島に持っていくものに挙げられがちな火やナイフなども出ていたが、ベスト3がここに落ち着くのがおもしろい。ファンとの交流も!和気あいあいとした質問コーナーそして、会場に来ているお客さんからの質問に答える「稜海! 質問コーナー」。質問箱から質問を引いていき、サクサクとふたりが答えるというオーソドックスなもの。「今現在の気持ちを教えてください」というある意味1問目にぴったりな質問からスタートし「ほんのちょっとだけ、暑いなぁ~」(リョウガ)「冷静になったらこういうくだらない会話を親が見てるのやだな」(カイ)とテンポよく回答していく。質問コーナーではカイとリョウガの息が合ったトークがより冴える。「超特急のみんなでカラオケ。最初と最後は何を歌う?一発目は誰が歌う?」という質問に、一発目に歌うメンバーを「ユーキだ!」とふたり声をそろえて回答。ちなみに最後も「ユーキがなんか歌ってくれるよ」とのこと。「今日の夕ご飯は何を食べますか」という質問には直前にニックネームが「海鮮丼」だったお客さんがいたこともあり、「海鮮丼」(カイ)、「ネギトロ丼」(リョウガ)と回答。さらにリョウガが「ネギトロのネギはあの葱じゃなくて『身をねぎ取る』の意味」という豆知識を披露した。「今月から神奈川県民になりました。みんなが知らない神奈川のおすすめスポットを教えてください」や「一番好きな秋のものはなんですか」など多種多様な質問に答え、ラストは「家でカルピスソーダを飲むのですが好きです。ソーダストリームを買うか、500ml×24本を買うかで悩んでいます」というカイ曰く「シリアスな質問」がラストとなった。これにカイは「ソーダストリームを持ってる側からするとめっちゃいいよ。コスパいいからおすすめ」と言い、リョウガは「俺は500ml。(ソーダストリームは)なんだかんだめんどくさくなると思うよ」とアドバイス。リョウガは「カルピスソーダが好きならそのものを買えばいいんじゃ?」と聞くと「炭酸が強いのがいい」とお客さん。結果、「カルピスソーダをソータストリームすればいいんじゃない?」で落ち着いた。たっぷりとトークを繰り広げ、約100分のライブも締めくくりへ。客席に向かってカイは改めてお礼を言ったあと、「みなさん、すごい倍率を勝ち抜いて会場にいらっしゃったはずなので。倍率だけで言うとTWICEさんと一緒です」。そんなカイにツッコミも入れつつ、リョウガは「稜海しました!が万能じゃないですか。LINEスタンプとかにもできますから。そのためにも第二回もやっていきたいですし、いろんなところを回っていきたいですね」。さらに「続くかどうかわかりませんが、こんなゆるゆるタイムを過ごすことに対して事務所が目をつぶってくれるかわかりませんが、続けていきたいな、と思っていますので」と今後に期待が高まる言葉も。最後は、会場から拍手を受けながら、2人で質問ボックスの乗った机を運びつつ退場。終了後に「緊急告知!」という文字がスクリーンに踊り、客席をざわめかせたが、「打ち上げいってきます」の言葉と共に稜海がジャージ姿でドアから飛び出そうとしている写真が映し出され、最後まで会場を沸かせた。ゆるりとしたふたりならではの空気感を届けた「稜海しました!」。質問コーナーでの「次回開催はいつですか」という質問にカイが「来年あるでしょ」と答えていたが、早くも第2回開催の告知が待たれる。取材・文/ふくだりょうこ
2023年10月15日~「風男塾LIVE2023~SINGLES~」ライブレポート~風男塾男装ユニット・風男塾が、2023年9月24日(日) 渋谷WWW Xにてワンマンライブ「風男塾LIVE2023~SINGLES~」を開催。1部2部にわたりシングル33曲をライブで披露して、16周年目の活動をスタートさせた。このレポートでは、17時30分から行われた第2部の模様をお届けする。2008年に風男塾(旧・腐男塾)がデビューした記念日である9月24日に行われたこのライブは、デビューシングルから現在までにリリースされたシングルA面33曲をすべて披露しようというもの。第1部では、デビューシングル「男坂」から「友達と呼べる君へ」までの16曲が披露された。また、1部2部に分けてニコニコ動画生配信も行われた。オープニングSEが流れる中、メンバーの名がアナウンスされるとそれに応える風王(ファン・風男塾ファンの総称)のコールから、柚希関汰、英城凛空、葉崎アラン、胡桃沢鼓太郎、赤星良宗、天堂太陽、凰紫丈源の7人がTシャツ姿でステージに上がり「こんばん波!俺たち、風男塾です!」と挨拶した。昼に第1部のライブを終えたばかりの7人だが、「楽屋でもみんな超元気でずっと喋ってた(笑)」と、ノンストップライブでもまったく疲れを知らない様子。自己紹介を終えると円陣を組んで、凛空による「SINGLES第2部、まだまだ盛り上がって行くぞ!」の掛け声から「おー!!」と気合いを入れて、いよいよ第2部のライブがスタートした。美しいピアノの旋律から、激しいリズムへと誘う「NOIR〜ノワール」から「証-soul mate」へと続き、各メンバーの歌割りごとにフロアからコールがかかって盛り立てる。ひときわ激しい振りで太陽と鼓太郎のラップが炸裂する「新たなる幕開けのための幕開けによる狂詩曲~キミがいればオレたちも笑顔∞~」、力強くも切ない「ツバメ」等、次々にノンストップで歌い踊るメンバーたち。パンキッシュな「Dash&Daaash!!」では、飛び跳ねるオーディエンスでフロアが揺れるほどの盛り上がりに。四つ打ちのリズムが強調された「sunny」、賑やかなサウンドとキメフレーズが楽しい「ミュージック」、〈手あげてジャンプジャンプジャンプ!!〉と笑顔で煽りながらのパフォーマンスで、会場が多幸感溢れる空間となった「笑う門に明日は来る」と、さすがシングルA面の曲たちだけに、キャッチーなメロディと歌で1曲ごとに風王の心を掴んだ。ガラリとムードが変わったのが、バラード曲「会いたい、会いたい」。バラードでも一時たりとも動きが止まらず表現する姿に、フロアからは大きな拍手が沸き起こった。アランが「よっしゃいくぞー!」と煽って始まった、弾むようにエネルギッシュな「LIKE A RAINBOW」、疾走感溢れるロックなメッセージソング「生きることは尊いに決まってんだろ」、ド迫力のビートに乗せた「BLESS」と興奮を煽る楽曲が続く。「ここから俺たち7人がスタートしました!SINGLES 2部ラストスパート、盛り上がっていきましょう!」と凛空が煽ってから披露されたのは、「Hello Hello」。30枚目のシングルにして、現在の7人になってから初めて発表されたシングル曲だ。そんな思い入れある楽曲ということもあるのだろう、全身で躍動感たっぷりに表現して楽しませた。さらに、スタイリッシュなダンスチューン「Baby U」では、軽快なリズムに乗った7人の細かいマイクリレー、コーラスがグルーヴを生んでいた。そしてついに32枚目のシングル「君日和」へ。俳句・川柳をテーマにした五・七・五で作られた歌詞と和風の旋律は、セットリストの中でもかなり異色で目立つ1曲となっていた。歌い終わると大歓声がステージに送られた。1部2部合わせて33曲をノンストップで歌い終えた7人は、口々に「やったー!」と歓喜の声を上げた。関汰が「みなさん、楽しかったですか!?」と呼び掛けると、「イエーイ!!」とハイテンションで応える風王たちも大満足の様子だ。ここでメンバーが1人1人、感想を述べた。「みなさんが目の前にいて声を掛けてくださる中でやる33曲は、全然苦じゃなかったです!みなさんと一緒ならどんなことも乗り越えて行けると確信しました!」(鼓太郎)「こんな貴重な日にこうしてシングル33曲できたことを光栄に思います。これからも風男塾の歴史を繋げて行きたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!」(太陽)「みなさんのご声援のおかげで1曲1曲全力で出来ました!来年もまたこういうイベントができたら良いなと思います!」(アラン)「どうですか!?一年前より俺たち成長してますか?(大喝采)うれしい!コールしてくれたり声出しして盛り上げてくれて、みんなで作ったライブだと思います!」(良宗)「一年前は覚えるのにめちゃくちゃ時間がかかった曲が、リハーサルで前回より上手くなっているのが嬉しかったですし、この一年で成長出来ていたのかなってちょっと自信がつきました。16周年目をスタートするというのは本当にすごいことで責任もプレッシャーもありますけど、みなさんがこうしてついてきてくださるので、明日からも笑顔で全力で元気に頑張れるなって思いました!これからも風男塾の応援をよろしくお願いします!」(関汰)「33曲みなさんと一緒にやってみて、この熱さがこんなにも続くのって風男塾の良さだと思いますし、みなさんが温かく応援してくれたおかげだなと思いました。1年でこれだけ成長できているので、これから2年3年とレベルアップしてみなさんと一緒にいろんな景色を見て行きたいなと改めて思いました!」(丈源)「(※足を怪我をしているためステージ上手で歌唱)今日は自分なりに今できる全力をさせていただいたんですけど、やっぱり俺もみんなと一緒にめちゃくちゃ汗をかきたかったなあって思ったので、またやってください(笑)。33曲やってみて風男塾の歴史も感じられましたし、今日は「sunny」(の歌詞)がすげえ刺さって。本当に風男塾の曲って良い曲だなって思ったので、これからも歌い続けたいと思いました。本日は本当にありがとうございました!」(凛空)日本女子ソフトボールリーグ「Japan Diamond Softball League」ここで、2023年10月11日(水)に発売するアルバム『ONE FU ALL, ALL FU ONE』の発売記念TikTokキャンペーンが行われることが告知された。さらに、スポーツリーグとの取り組みとして、日本女子ソフトボールリーグ「Japan Diamond Softball League」(通称JD.LEAGUE)の日本一決定戦が行われる11月12日(日) 等々力球場(神奈川県川崎市)、11月19日(日) 朝霞中央公園野球場(埼玉県朝霞市)の試合を盛り上げるために風男塾が応援に行くことが決定。詳細はオフィシャル・ウェブサイト、SNSで発表されるとのこと。一度ステージを降りた7人は、すぐさまアンコールの声に応えて再登場。「君日和」のカップリング曲「ガンバーレ!」をステージ、フロア全員で合唱して会場が一体となる大盛り上がりに。「これからも応援よろしくお願いします!本日は本当にありがとうございました!以上、風男塾でした!ふっばーい!!」と、33曲全力疾走のノンストップライブを締めくくって、元気いっぱいに16年目の活動へ向けてスタートを切った。取材・文:岡本貴之風男塾「風男塾LIVE2023~SINGLES~」2023年9月24日(日)渋谷WWW X〈第2部 セットリスト〉1. NOIR~ノワール~2. 証-soul mate-3. 新たなる幕開けのための幕開けによる狂詩曲~キミがいればオレたちも笑顔∞~4. 君色々移り5. ツバメ6. Dash&Daaash!!7. sunny8. ミュージック9. 笑う門に明日は来る10. 会いたい、会いたい11. LIKE A RAINBOW12. 生きることは尊いに決まってんだろ13. BLESS14. Hello Hello15. Baby U16. 君日和アンコールEN1. ガンバーレ!リリース情報・2023年10月11日(水)アルバム発売「ONE FU ALL, ALL FU ONE」<収録情報>1.君とならば、僕らならば2.君日和3.ガムシャラダッシュ!4.ガンバーレ! (active member ver.)5. My Radio Star6.マンボウ7. Baby U8.失恋ジェラテリア9.The SKY10. Jellyfish11.勝つんだ!(punk ver.)12.ボイスドラマ ※初回盤 A と B に収録初回限定盤A初回限定盤ATECI-1809/価格¥4,000(税抜 ¥3,636)/アルバムCD+DVDジャケット撮影時のメイキング映像付き初回限定盤B初回限定盤BTECI-1810/定価¥4,000(税抜 ¥3,636)/アルバムCD+特典24ページフォトブック封入通常盤通常盤TECI-1811/定価¥3,300(税抜 ¥3,000)/アルバムCD・2024年1月発売予定Blu-ray発売「風男塾LIVE 15th ANNIVERSARY FINAL~歌鳥風月~」【タイアップ情報】●アルバム収録曲『ガムシャラダッシュ!』KTV「フットマップ」エンディングテーマに決定毎週土曜日18:30-19:00 解禁:10/1(日)以降、初回OA:10/7(土)【イベント情報】<風ベントサーキット>10月10日(火) 19:00~@東京・ヴィレッジヴァンガード 渋谷本店 B2F イベントスペース10月11日(水) 19:00~@東京・池袋Spaceemo10月12日(木) 19:00~@東京・タワーレコード新宿店 9F イベントスペース10月13日(金) 18:30~@東京・錦糸町マルイ10月14日(土) [1回目] 開演13:00 [2回目]開演16:00 @汐留シオサイト 地下通路特設スペース※詳細内容等は追って告知致します。※WEB施策や生電話、トークポート等随時追加更新致します。※都合によりスケジュールの変更の可能性もございます。予めご了承下さい。※施設、店舗への直接の御連絡はご遠慮下さい。【風男塾TikTokキャンペーン】[期間]9月24日~10月31日 まで[参加方法]動画を作成し「ガンバーレ!」音源を紐付け、「#風男塾」をタグ付けし 、TikTok内に投稿。どんな動画内容でもOKです。[企画詳細] ライブ情報<風男塾ハロウィンパーティー2023 ~風男子学園の文化祭~>■2023年10月15日(日)東京/ 神田明神ホール【1部】開場 12:00/ 開演 12:30【2部】開場 16:30/ 開演 17:00<15th Anniversary 風男塾 LIVE『十二乃風』>■2023年11月25日(土)沖縄/ 沖縄Cyber-Box (凰紫丈源プロデュース公演)【1部】開場 11:30/ 開演 12:00【2部】開場 15:30/ 開演 16:00<風男塾『黒白歌合戦2023』>■2023年12月30日(土)東京/ 神田明神ホール※詳細は後日発表Twitter投稿 : 【Official Live Video】ガンバーレ!風男塾(Fudanjuku)/「君日和」Music Video風男塾 / IMPERIAL RECORDS : 男装ユニット 風男塾(ふだんじゅく)オフィシャルサイト : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年10月10日9月27日(水) 、Mega Shinnosukeのワンマンライブ『「一生このまま✷」in the MEGA CLUB』が大阪・梅田Shangri-laで行われた。本来ならば8月3日に行われるはずだった本公演だが、Mega Shinnosukeの体調不良により延期になっていたため、振替公演としての開催となった。完全復活を遂げたMegaとバンドメンバー、会場に集まったオーディエンスが三位一体となり、ロックであたたかな空間が広がった、エモーショナルなライブの模様をレポートする。赤い壁に赤い緞帳、天井にキラキラ輝くシャンデリア。梅田Shangri-laは、醸し出す独自の雰囲気から、多くのミュージシャンに愛されているハコだ。そしてMega Shinnosukeにとっては、4年前に自身初のワンマンライブを行なった思い出の場所でもある。会場に入るとMega本人がセレクトしたBGMが流れ、開演を待つオーディエンスが銀杏BOYZやゆらゆら帝国、マイ・ケミカル・ロマンスといったロックサウンドに身体を揺らしていた。18歳以下は当日チケット代が1000円キャッシュバックされるということもあって、若い客層が多く来場していた。この日のバンドメンバーは、竹内サティフォ(Gt.)、Kohei Shimizu(Gt.)、Nagai Takayasu(Ba.)、GOTO(Ds.)、DJマスク(DJ)を迎えた6人編成。定刻を少し過ぎると、SEなしでまずは覆面マスクを被ったDJマスクが登場。そして次々にバンドメンバーが現れ、Megaもビートボックスをしながらステージへ。ギターを手にしたMegaが「調子どう?」と呼びかけると、フロアからは割れんばかりの大歓声が上がり、「調子良さそう」と嬉しそうに口元を緩ませる。「会いたかったぜ。レディース&ジェントルマン、俺がMega Shinnosuke、よろしく」と言って「Are you ready?大阪! ぶち上がっていけるか?」と煽り『明日もこの世は回るから』からライブスタート。すると、一気に客席からものすごい熱気が放たれた。待ってました感を超えて、食らいつくような勢いで手が上がる。Megaもバンドメンバーも驚いたように笑顔を見せ、客席に呼応するように演奏が熱を帯びる。「ロックンロール!」と叫び「Thinking Boyz!!!」でまたひとつ火をつけ、ダイナミックなGOTOのビートが炸裂した『Sports』で一層加速! 序盤からものすごい盛り上がりだ。会場中に満ち溢れるエネルギーはステージと客席の距離をどんどん近づける。Megaは「いけんのか?」と煽るがその表情は柔らかい。筆者はありがたいことに昨年から度々大阪のイベントでMegaのライブを見てきたが、対バンであるためかどちらかというと煽って挑むようなステージも多かった印象だ。そんな彼がワンマンではこんなに安心した笑顔を見せるのかと、思わず顔がほころんだ。友達と接するように目線を近くしてファンと一緒に歌い、「最高だな」と呟く。この空間がとても大切な場所なんだということが早々に伝わってきた。続く『運命的』では、「まだまだ自分の殻に閉じこもって楽しめてない人も、次の曲で皆で飛んでくれませんか。皆で一緒にジャンプしようぜ。グルーヴ感じたら周りの奴と肩組んだりしてさ、会場ひとつにしたいからさ」と述べる。その言葉に全力で応えたフロアは己の気持ちをぶつけるように大きくジャンプして床を揺らす。演奏が終わると汗だくのオーディエンスは「暑い、死ぬ」と楽しそうにガヤガヤ。MCではMegaが「死ぬって聞こえたわ(笑)。どっちかって生きてる感じやろ」と気持ち良さそうに笑う。「これ友達から借りパクしたギターです。リッケンバッカー似合うでしょ」と黒いリッケンバッカーを見せ、「結構有名なギターだから、俺って人と被るの嫌じゃん。でも、もういい加減持ってもいいかなみたいな。今日初だよね」と、初めてライブでお披露目することを告白。そして「ワンマンだからMCとか決めて来ようかなと思ったけど意味ねーからやめたのと、できるだけカッコつけにいってないライブの方がいいかなと思って、何も持ってきてませんけど、ばっちしウィーアー(客)とのチューニングは合ってきているんで、今日はどこまででもいけちゃうかなって感じですけど、調子どうですか」との言葉に、テンション高く咆哮するフロア。「チューニングが合う」という表現はまさにピッタリだ。それほどにこの日のライブは一体感が大きなハイライトだった。そして初ワンマンでの思い出を振り返る。「4年前にMega Shinnosukeとして人生初ワンマンを行ったのが、ここShangri-la。その時は曲も全然なくて、1曲目に『はじめてのチュウ』のカバーを歌ったんです。また梅田Shangri-laでやれてめっちゃ嬉しいです」と感謝を述べ、「自分の精神を解放して、いけるとこまでいこうぜ。皆めっちゃ良い顔してるから」と客席と気持ちを重ねてゆく。ここからはしばし初期の楽曲を奏でるゾーン。17歳の時に作った『憂鬱なラブソング』に次いで、「さっき『はじめてのチュウ』を歌ったと言いましたけど、その時のテンションで。この会場の名前がShangri-laというので、電気グルーヴじゃない方のシャングリラを」とチャットモンチーの『シャングリラ』をスペシャルカバー。イントロが聴こえるとフロアは大歓喜。少し高めのボーカルが新鮮だ。そして「コロナ禍前に作ったけど、コロナが来ちゃって歌えなかったから、今日こそ教会の中で合唱するような気持ちで合唱できたらいいな」と添えた『Wonder』では、ポケットからハーモニカを取り出してノスタルジックなアクセントを効かせる。後半はクラップに合わせ全員でシンガロング。柔らかいオレンジの照明も相まって、素晴らしいサウンドスケープを描き出した。見守るバンドメンバーも優しい眼差し。チームの状態の良さが伝わってきた。さらに「最新の俺の解釈でアコースティックも入れながらやりたいと思います」と『狭い宇宙、広いこの星』を披露。レベルアップした最新のMegaのアレンジと美しいバンドアンサンブルで、ドリーミーな雰囲気を作り上げる。デビュー当時を懐古するようなセットリストで、会場をメロウな空気で包み込んだ。そんな余韻を一度リセットするように軽めのセッションを挟み、『甲州街道をとばして alternative ver.』を演奏。先ほどとはまた違った浮遊感とエフェクティブな歌声が気持ち良い。控えめな照明とスモークによる演出もドラマティックだった。続いてはギターのShimizuがキーボードを兼任してメドレーへ。まずは『10000回のL.O.V.E.
2023年10月06日2022年1月に新木場STUDIO COASTが閉館をしたことを受けて、今年から新宿に舞台を移して完全復活した「UKFC on the Road 2023」後編レポート※ライブレポート前編は こちら()Zepp Shinjuku 17:20 the dadadadysthe dadadadys Photo:河本悠貴SEの「怪獣のバラード」が響く中、ステージに現れた小池貞利が、「海が見たい、人を愛したい、そんなUKFCにお越しのみなさま、ルールを守って楽しく楽しく遊びましょう。ただ、お行儀よくちゃつまんねえ!」と叫び、「光るまち」で、the dadadadysのライブがスタート。そのエンディングでは、小池、ギターを弾きながら、早くもフロアに背面ダイブする。「最低と最高、両方更新します!」と叫んでから突入した「ROSSOMAN」は、歌と演奏がどんどん速く激しくなっていく。続く「(許)」では、さらに歌も演奏もどしゃめしゃになり、フロアではクラウドサーフが続出する。続いて、tetoの頃からライブの軸になってきた「忘れた」が、小池のアコースティック・ギターで始まる。この曲ばかりはオーディエンス、じっと耳を傾けたり、口ずさんだりしているように見えた。「忘れたくないと一度でも思えた今日に歌います!」という言葉からの「拝啓」で、フロアはまたクラウドサーフの渦に。小池、オーディエンスたちの頭の上に立ち、そのひとりにマイクを持たせて歌う。その次の曲までの間が、ちょっとだけ空くと、「小池ー!」と、怒号が飛びまくった。そう、男の声も女の声も、「声援」とかではなく、「怒号」と形容したくなる、荒くれた呼び方である。「まじめでふまじめ、そんなのも楽しいけど、たまにはまじめな方もやります」という言葉から歌に入ったのは「らぶりありてぃ」。天井の止まったままのミラーボールが光り、メンバーみんなのユニゾンで歌われるサビが響き、オーディエンスはヒップホップのように腕を振ってそれに応える。ラストは「まあ、9月なんでね」という言葉からの「9月になること」。小池が何度もフロアに突入するから、だけではなく、オーディエンスがクラウドサーフしまくるから、だけでもなく、何か、果てしなく危険で、果てしなく美しいものを観た気がした。そして今、そういうものを観れるチャンスは、極めて限られている気もした。新宿BLAZE 18:00 Age FactoryAge Factory Photo:小杉歩ノイズのようなギターが響き、ベースとドラムが重なり、しばし爆音が続いたと思ったらフッと音が止まり、清水英介が「Age Factory」と言うと、西口直人のベースが「Party night in summer dream」のイントロを奏で始める。──という始まり方が、もうどえらくかっこよくて、その瞬間に心をつかまれてしまった(フロアからも悲鳴のような歓声が上がっていた)、そんなAge FactoryがBLAZEの四番手。「夏を終わらせに来ました。『UKFC』、楽しみましょう」という言葉からの2曲目は「See you in my dream」。ラウドで激しいのにお祭り騒ぎのムードは皆無で、音源より若干テンポを下げてまっすぐ突き進む、Age Factoryの音に呑まれたように、オーディエンスみんな、ステージを凝視している。盛り上がっていない、というのとは違う。フロアはみっちり埋まっているし、前方には踊っている人もいるが、それ以上に、身じろぎもせずに目と耳をステージに集中させている人が多い感じ、というか。「俺ら楽しいです。UK、すごい好きなレーベルで、呼んでもらえてうれしいです。こうやって参加できるバンドになれたのもうれしいし。来てくれてありがとうございます。最後まで聴いて帰ってください」という、簡潔に感謝を伝えるMCをはさんで、「夏の曲です。もうこの夏も終わっちゃうけど、まだ歌わしてよな」と、最新曲「向日葵」へ。そうは言うが、「あの夏の終りに 咲いた花のこと」という歌詞が二度出てくる曲なので、むしろジャストなのでは、という気もする。「OVER」「Feel like shit today」と、『Pure Blue』(2021年リリースの、現時点での最新アルバム)からの2曲を経ての「TONBO」では、「歌」や「叫び」を超えた、まるで「吠え」のような清水英介の歌が、耳にグサグサ突き刺さる。Age Factoryがラストに持ってきたのは、この日演奏した中で、もっともBPMが遅く、もっとも重く、そしてもっともせつない「nothing anymore」。「TONBO」もそうだが、清水英介の書く歌詞の無常観、たまらないものがある。ギターのアルペジオで演奏を終え、清水英介が「ありがとうございました」と言った時、歓声や嬌声は一切飛ばなかった。ただ、大きな拍手がBLAZEを満たした。新宿MARZ 18:00 LAYRUS LOOPLAYRUS LOOP Photo:エド ソウタpeanut buttersが急遽キャンセルとなり、2020年に設立された新レーベルhighlightからはこの日唯一の出演となった関西を中心に活動する3ピース、LAYRUS LOOP。JETの「Are You Gonna Be My Girl」にのって、勢いよく飛び出してきたドラムのモトザワソラを皮切りに、ギター/コーラスのムラカミマホ、ベース/ボーカルのオオトシユリヤの順にステージに登場すると、ライブは「スーパーヒーロー」からスタート。軽快なアンサンブルとポップなメロディは、彼女たちがSHISHAMO以降のポピュラリティとインディ感を併せ持ったバンドであることを伝えている。パンキッシュなショートチューンの「なりたいスター」ではより骨太なロックバンドとしての側面を見せ、SGとマーシャルの組み合わせで男前にギターをかき鳴らすムラカミマホの姿が印象的。「新宿MARZ、まだまだ楽しむ準備できてますか?」と呼びかけての「ハイヒール」は非常にフレッシュで、このステージを心から楽しんでいることが伝わってくるのがいい。「今日のUKFC、18時に新宿MARZを選んでくれてほんまにありがとうございます」とMCで感謝を伝えると、「なりたいスター」同様に最新EP『ジェットコースター』の収録曲である「きみの抜け殻」では、バンドのムードメーカー的な存在であるモトザワもムラカミとともにコーラスに参加してハモりを聴かせる。日本で話題になる前に台湾のバイラルチャートにランクインして盛り上がったというエピソードがいかにも新世代らしい「ダンスフロア」を披露。〈ミラーボールが照らし出した 私だけのダンスフロア〉という歌詞通りにミラーボールが輝く中で披露された、このシティポップ的なムードを持つディスコナンバーは、デビュー時からの真部脩一とのコラボレーションの現時点の最良の成果である。大切な人のことを思い浮かべながら聴いてください」と披露された三連バラード「そばに」では、オオトシがエモーショナルな歌声でオーディエンスをグッと引き込む。2019年に結成されたLAYRUS LOOPはコロナ禍の影響もあり、まだライブの本数自体はそんなに多くはないはず。しかし、オオトシの歌にはすでに十分な説得力があり、それがサブスクでのヒットにもつながったであろうことが、彼女の声を実際に生で聴いて確認できた。ラストは歌詞の着眼点のユニークさが光る「二百円玉」を届けて、UKFCでの初ライブが終了。まずは同世代、さらにはより幅広い世代からの支持も集めるだけの資質を持っているバンドだと思う。Zepp Shinjuku 18:40 Helsinki Lambda ClubHelsinki Lambda Club Photo:河本悠貴リハーサルに橋本薫を連れ込んで「シンセミア」をカバーしたthe dadadadysへのお返しと言わんばかりに、リハーサルに小池貞利を連れ込んで「高層ビルと人工衛星」を披露して、早くも大盛り上がりのZepp Shinjuku。2021年に新木場STUDIO COASTでの単独公演を成功させ、2022年にはフジロックへの出演を果たし、今年結成10周年を迎えたHelsinki Lambda Club。「UKFC on the Road 2023」は、メインステージにトリ前での出演だ。改めてメンバーがステージに姿を現し、橋本が「さっきもめっちゃ汗かいたけど、ここから本番よろしくお願いします」と声をかけて、「スピード」から勢いよくライブがスタート。熊谷太起の癖のあるギターフレーズが何とも「らしい」ナンバーから、パンキッシュな「ミツビシ・マキアート」を畳み掛けると、the dadadadysとの相乗効果もあってかフロアはかなりの盛り上がりに。そこから一転、イントロのカッティングの時点でクラップの起こったヴルフペック譲りのミニマルファンク「PIZZASHAKE」は、最新アルバム『ヘルシンキラムダクラブへようこそ』でも提示したバンドの音楽的な多様性を改めて感じさせるとともに、稲葉航大が「みなさん自由に踊ってますか?俺の踊りを見てくれ!」と奇妙なダンスを披露して大歓声が起こる場面も。このユーモアも実にヘルシンキらしい。MCでは橋本がthe dadadadysにリハに引っ張り出されたことに触れ、「UKFCが祭りだったことを思い出させてくれて感謝してます。何かいいこと言わなきゃとか思ってたけど、そんなことないですね。ただただ楽しんでください」と言いつつ、「UK.PROJECTも世の中も、この10年で変わったもの・変わらないものそれぞれあると思いますけど、大事にしたいものを大事にしていきたい、選んでいきたいなと思う10年目です」と誠実に想いを伝えて、「午時葵」を演奏。Zeppクラスの会場がよく似合うアンセミックなこの曲を聴きながら、UK.PROJECTのオーディションでグランプリを獲得し、初めて出演した2014年のUKFCを思い出して、感慨深い気持ちになったりもした。意味のある結成10年目のUKFCを締め括ったのは、まだパンデミックの最中にあった2021年に発表された「収穫のシーズン」。橋本が以前「人間の業や欲を肯定も否定もしない温度感の曲」であり「作り終えた後も自分の理解が追いついていない曲」とも綴っているこの曲ではダブワイズな音響空間を作り出し、間奏のヘヴィなユニゾンからサイケデリックなセッションに突入すると、ラストはノイズに包まれてライブが終了。トリ前に相応しい、実に堂々たるステージだった。新宿BLAZE 19:20 ART-SCHOOLART-SCHOOL Photo:小杉歩ART-SCHOOLがUKFCに帰ってきた。彼らの出演は2016年以来、実に7年ぶり。その間には木下理樹の療養があり、もちろんパンデミックもあった。誰もが苦境に陥っていた。そんな中でも弾き語りやオンラインライブで続けられてきたUKFCが、今年新木場から新宿に場所を移しながらも完全復活を遂げるにあたって、この日の出演者の中ではPOLYSICSと並んでUK.PROJECTの歴史を誰よりも知るART-SCHOOLの存在は必要不可欠。昨年8月からライブ活動を再開させ、今年は東名阪のツアーも成功させた新生ART-SCHOOLは、充実のステージを見せてくれた。お馴染みの「Girl/Boy Song」 が流れ出し、メンバー5人がステージに登場すると、6月にリリースされたニューアルバム『luminous』でもオープニングを飾っていた「Moonrise Kingdom」からライブがスタート。戸高のファズギターがうなりをあげつつ、まずは5人の呼吸とテンションを合わせるかのようにじっくり曲を届けると、中尾憲太郎があの特徴的な動きでベースを刻み出し、「BOY MEETS GIRL」から一気に演奏が熱を帯びていく。木下は冷静と情熱の間でメロディを紡ぎ、ときおり絞り出すように歌い上げるその声は確かな生命力を感じさせるものだ。ひさびさの戸高によるボーカルナンバー「Teardrops」は新鮮さも感じつつ、ART-SCHOOLの曲として何ら違和感がない仕上がりで、藤田勇のタイトかつアグレッシブなプレイが抜群に気持ちのいい一曲でもある。そしてもう一人、新生ART-SCHOOLを象徴するのがギタリストのやぎひろみだ。彼女の所属するNITRODAYがデビュー時にNUMBER GIRLと比較されたことを思えば、中尾憲太郎の隣でジャズマスターを弾いてることだけでも何だか不思議な縁を感じるが、立ち姿のかっこよさに加え、「プール」におけるアーム使いやコーラスなど、音楽的な貢献度も非常に高い。近年は90年代風のオルタナティブなサウンドを鳴らす若手も増えつつあり、やぎの存在を通じて下の世代からART-SCHOOLが再発見される未来も期待される。MCでは木下が「UKFCにひさしぶりに出れてうれしい限りです。各会場も盛り上がってるようで、楽しんで帰ってください。あと何かあるっけ…」とポツポツとしゃべる隣で、戸高が「これが普通です」と加え、木下が「僕はホントに楽しみにしてきたので、みなさんも楽しんで、最後まで…」と話すと、戸高が間髪入れずに「ありがとうございました」と締める、この阿吽の呼吸にはニヤニヤしてしまう。ここからライブは後半戦に突入し、ART-SCHOOL復活を宣言した「Just Kids」から、さらには「スカーレット」を畳み掛ける。木下と戸高が向かい合ってギターを弾く姿はやはりたまらないし、力強いシャウトを聴かせ、フライングVを高く掲げる木下は実に頼もしい。名曲「FADE TO BLACK」は2019年にASIAN KUNG-FU GENERATION・ELLEGARDEN・ストレイテナーという下北時代からの盟友たちによる「NANA-IRO ELECTRIC TOUR」の全公演でカバーされたことも語り草となっているが、言うまでもなく木下の歌で、ART-SCHOOLの演奏で聴くことが最良だ。そしてこの日ラストに披露されたのは最新アルバムからの「Bug」。〈いつかこんな声が いつかこんな唄が 闇を裂いてく様に そんな事を夢見ていたんだ〉。シューゲイズサウンドに包まれて、闇の隙間から光を見つめる。まさにART-SCHOOLの真骨頂のような一曲で、メモリアルなステージが締め括られた。鳴り止まない拍手に応えてのアンコールでは「あと10秒で」を演奏。なお、10月15日にZepp DiverCityで開催される「KINOSHITA NIGHT 2023 〜木下理樹生誕祭・SHIGONOSEKAI〜」にはPOLYSICSとともに、こちらもUK.PROJECTの歴史には欠かすことのできない、syrup16gの出演が決定している。新宿MARZ 19:20 ペルシカリア(2回目)ペルシカリア Photo:エド ソウタMARZのトリは、本日二度目の出演のペルシカリア。一度目の時は、peanut buttersの代打で出てくれと1時間前に急に言われた、とんでもない事務所に入ってしまった、というボーカル&ギター矢口結生のMCから始まったが、今回は「はじめましてペルシカリアです、どうぞよろしくお願いします」とだけ挨拶し、「新・外苑西通り」でスタートする。心なしか、一回目の時よりも丁寧で精緻な印象。ギター2本が複雑な絡みに耳が奪われる……と思っていたら、そのままなだれこんだ「離愁」で、熱々でどしゃめしゃでラウドな音に戻る。「本日二回目です。一回目観てくれた人も二回目来てくれた人もありがとうございます」から始まったMCをはさんでの「歓声の先」では、音のラウド化&ハードコア化が、さらに加速。一回目も二回目も合わせて、この日唯一のバラード的な曲である「いびき」をじっくり聴かせ、MARZが一瞬センチメンタルな空気になる。が、その曲終わりのMCタイムでは、「マネージャーが、好きなことやっていいよ、って言ったんで」「OKもらったんで」「どんなにお客さんが言ったとてね、もうUKの社内の人がいいって言ったら、それはいいってことなのであって」などと言い合うメンバーたち。そして、超速ビート&矢口結生叫びまくりの「死ぬほどどうでもいい」を経て、出た、本日四回目の「どうしたって」。そして、本日初めての「ビビって」。あ、ちなみに、一回目も二回目もやったのは、この曲と、「死ぬほどどうでもいい」と「離愁」と「どうしたって」の4曲でした。つまりそれ以外=一回目の6曲と二回目の6曲は、どちらかだけの演奏。インストを経ての「タイムオーバー」は……というか、どの曲も、オリジナル音源よりも速く激しくなっているが、1コーラスと2コーラスの間で矢口結生、オーディエンスに「悪くないっしょ?」と問いかける。ラストは、UKプロジェクト以前にリリースした音源から、彼らの最初の名刺になった曲「さよならロングヘアー」。この曲のグッズTシャツを着た男子が、最前列で熱狂している(そういえば彼は一回目もまったく同じ位置にいた)。それ以外のオーディエンスも熱狂している。アウトロで矢口結生、「大トリが待ってるぜ!」と叫んでから曲を締めた。Zepp Shinjuku 20:00 [Alexandros][Alexandros] Photo:河本悠貴さあ大トリ、[Alexandros]。サウンドチェックで「ワタリドリ」をやって、オーディエンスを喜ばせてから本番。SEが響く中、川上洋平が「Make some noise! 静かにしないでください、もっと騒いで!」とアジテートし、1曲目に入るがテクニカルなトラブルによりストップ。で、即座に復旧は無理、と判断した川上洋平、「ちょっと曲、変更しますわ。今年うちら夏フェス出まくって、機材ぶっ壊れてるんですよ。いろいろ今日はトラブルあるかもしれませんけど、それさえも楽しませますんで!」。そして「Dracula La」でスタートしたライブは、まさにその言葉とおりの、トラブルや咄嗟の変更さえ武器にする圧倒的なものだった。オーディエンス、川上洋平の意のままに、熱狂させられっぱなし。この「Dracula La」でも、続く「Waitress,Waitress!」でも、「Kick&Spin」でも、シンガロングやジャンプやハンドクラップやクラウドサーフが、止まらない。Photo:河本悠貴考えてみれば、今年も各地のフェスで、自分たちのファンとは限らない2万人や3万人を相手に、毎週末これをやり続けてきた人たちである。だから、Zepp Shinjukuくらいのキャパで、ホーム中のホームである『UKFC』であれば、余裕なんだろう。とは思うが。にしてもすごい、フロアの温度の高さ。4曲目では「新曲やっていいですか、俺達の仲間を紹介していいですか?」と、WurtSを呼び込んで、フィーチャリングで彼が参加した「VANILLA SKY (feat. WurtS)」を披露。これも今年、各地の夏フェスで行われてきたコラボである。Photo:河本悠貴歌い終えた川上洋平、WurtSに「ほんとにこの夏はありがとう。各地のフェスに出演してくれたんだよね」とお礼を言う。「すべてはここにつながったんじゃないか、と思うくらい、最高の盛り上がりでした」。それから「Girl A」「we are still kids & stray cats」で、さらにフロアを熱狂の坩堝に叩き込む。メンバーがはけ、川上洋平ひとりで歌った「Adventure」では、彼のアコースティック・ギターに合わせて、オーディエンスがリードボーカルを取る瞬間も。何度目の当たりにしてもグッとくる、この光景は。曲の後半で戻ってきて、演奏に加わったメンバー3人と川上洋平で、ラストは「city」。無論この曲でも大きなシンガロングが。Photo:河本悠貴アンコールでは、曲に入る前に、川上洋平、ちょっと長めにMC。「今日は、実はトップバッターのthe telephonesからずっと観てるんですけど。最高でした」と、出番まで各アクトを観ていたことを明かす。「13年も一緒につるんでいると、家族みたいな気持ちが芽生えてくる。それをこれから後輩たちにも感じるんだろうなと思う、本当に最高のバンドたちが集まったいい事務所だと思うので、これからもよろしくお願いします」──と挨拶し、「最高の事務所ですよ。そんな事務所に入って最初の曲をやりたいと思います」と「For Freedom」を4人でプレイ。Aメロでのオーディエンスのハンドクラップ、歌と演奏を追い越しそうな勢いである。「この4人で『UKFC』に出るの、初めてですよね? だから我々、新人の気持ちで今日はやってました」「メジャーには行きましたけど、マネージメントはインディーズなんで。下北沢に心はあります」という言葉からのラスト・チューンは「閃光」だった。この日最後の大シンガロングで、2023年の、初めて新宿歌舞伎町の3つのライブハウスで行った『UKFC on the Road』は、終了した。移動しやすいし、観やすいし、繁華街だから便利。いいじゃん! と個人的には思ったが、残念ながらBLAZEは2024年7月いっぱいでクローズになることが発表されているので、次回もこの形で行うことは不可能。来年の『UKFC on the Road』がどうなるのか、楽しみに待ちたい。Text:金子厚武(LAYRUS LOOP、Helsinki Lambda Club、ART-SCHOOL)、兵庫慎司(the dadadadys、Age Factory、ペルシカリア(2回目)、[Alexandros])<公演情報>UKFC on the Road 20239月10日(日) 「Zepp Shinjuku」「Shinjuku BLAZE」「Shinjuku MARZ」3会場開催『UKFC on the Road 2023』タイムテーブル出演者:[Alexandros] / Age Factory / Are Square / ART-SCHOOL / Helsinki Lambda ClubLAYRUS LOOP / odol / peanut butters / POLYSICS / the dadadadys / the shes gone / the telephones / WurtS / ペルシカリア※peanut butters出演キャンセル
2023年09月14日北海道・苫小牧を拠点とするオルタナティブロック・バンド、NOT WONK(ノット・ウォンク)が7月21日東京・新代田FEVERで2年ぶりとなるワンマンライブ「NOT WONK ONEMAN LIVE“ASSHOLE”」を開催した。チケットがソールドアウトした会場は、爆音のアンサンブルと興奮を抑えきれない観客との熱気に満ち、その熱に気圧されるように予定していた曲数を超えた全25曲を披露。今回のライブではU-23チケットもあり、バンドと共にこの10年を歩んできたファンに加えて若いリスナーも混じり合った。様々な制限があったコロナ禍でのライブを経て、かき鳴らされる爆音と、この一体となった空間で心のリミッターをも解除していくようなワンマンとなった。久しぶりのワンマンライブということで、1stアルバム『Laughing Nerds And A Wallflower』(2015年)から4thアルバム『dimen』(2021年)の4作のアルバムから満遍なくピックアップした曲が並び、各曲をアップデートすると共に壮大なうねりのあるストーリーとして響かせるロマンティックな流れを持った今回のライブ。はじまりに、「お待たせ。NOT WONK、よろしく」と加藤修平(Vo/Gt)が軽い挨拶をすると、彼方から呼びかけるようなギターやベースのエコーが美しい「Love Me Not Only in Weekends」をスタートさせた。たっぷりとギターの咆哮を聞かせ空気を揺らしていく音響と、ジリジリと熱を上げていくアンサンブルの緊張感に観客は息をのみ頭から集中モードだ。サウンドのグラデーションに呼応して照明もペールトーンから暖色へと色を帯びていくと、フロアからは歓声が湧き「Not All」そして「Unsad」とビートの輪郭を濃くしていった。ドラム、ベース、ギター&ボーカルという3ピースのシンプルな構成のNOT WONKだが、バンドアンサンブルが放つ厚みや奥行きはその数以上に多彩だ。変速的なビートが音の渦を織りなす「Shatterd」の恍惚感、アクセルを踏み込んでスピードを上げる「Count」など前半から重厚なサウンドで、フロアを揺さぶった。中盤はよりNOT WONKの持つ歌心に焦点を当てた曲たちが並ぶ。管楽器的なビブラートを含んだ加藤の特徴的なハイトーンと、そこに重なる藤井航平(Ba)、高橋尭睦(Ds)とで織りなすアンサンブルが幻想的な「slow burning」や、UKロックの繊細なメロディが冴える「Don’t Get Me Wrong」。またパンク、ハードコアから古今東西のロックを甘美なフィルターに通した「spirit in the sun」での調べや、アルバム『dimen』の中でもギターアルペジオが60‘sライクでブライトなポップス「in our time」等々、じっくりと奏でていくサウンドに観客はゆらりと体を揺らし、またコブシや歓声をあげる。また、ガラリと空気を変えるようにアンサンブルの馬力をあげたのは、「The Ordinary」からのパンキッシュでアグレッシブなブロックだ。ドラムのカウントとともにかき鳴らしたノイジーなギターに叫びのような歓声が上がり、床から突き上げるようなスピード感のあるビートと低音のベースが観客を前のめりにさせる。会場を震わせる迸る轟音が爽快だ。「Everything Flows」から「get off the car」と、ぐいぐいと加速していくアンサンブルと、歓声が混じり合ってボルテージをあげていく3人の白熱したプレイに、会場はさらなる歓喜が巻き起こっていった。今回は若い新たなファンも来てくれているのはもちろんだが、2年ぶりのワンマンで(コロナ禍の時間を考えるとそれ以上に久々に会場に足を運んだ人も多かっただろう)、バンドもファンもそれなりに歳を重ねてここで久しぶりに合間見えた感覚もあっただろう。演奏後、あまりのエネルギッシュさにバンドも観客も肩で息をするような感じではあったが、そんな瞬間すらも楽しい。思わず饒舌になった加藤は、バンドをはじめた頃はこうして長く続けるとは思っていなかったと語る。青春期から大人へと何かしらの折り合いをつけて進んでいくように、好きなことだけを追求していくのは難しい。でも音楽やバンド以上に最高だというものはないし、それだけの力や何かを変えるエネルギーが音楽やアートといったものにはあると、活動の中で実感もした。そんな話をした。熱っぽく語るその姿に、観客は声をあげ笑顔を見せるが、「これは、本気だからね」と言う。バンドはずっと続くから、どんなタイミングでもいいからまた会えれば。そう、力強く告げた。そして終盤は、ロックな旅を続けていくかのように再び軽やかに地を駆っていく。地平線の向こうへと思いを馳せるがごときおおらかなメロディが響く「Landfall」、そしてじっくりと確かに時を刻んでいく「dimensions」からラストは「the place where nothing’s ever born」で、聴き手に問いかけるように、あるいは自らの深淵に向かって問い続けるように音を紡ぎあげていった。儚さの中にも、きらめきがある。そんなギターのリフレインに、大きな拍手と歓声が巻き起こった。予定ではここで終了だったが、湧き上がってくる思いが止まらなかったのだろう。さらに「Laughing Nerds And A Wallflower」、「I Wont’t Cry」、青さが迸る「Give Me Blow」でフロアをかき回していったNOT WONK。2年ぶりのワンマンライブで最高潮を更新して締めくくった。Text:吉羽さおりPhoto:桑島智輝<公演情報>NOT WONK ONEMAN LIVE “ASSHOLE”7月21日(金) 新代田 LIVE HOUSE FEVERセットリスト01. Love Me Not Only in Weekends02. Not All03. Unsad04. Shattered05. Subtle Flicker06. Of Reality07. Count08. Elation09. slow burning10. Don’t Get Me Wrong11. spirit in the sun12. in our time13. Come Right Back14. This Ordinary15. Everything Flows16. get off the car17. The Bare Surface, I’ve Long for You18. your name19. Down the Valley20. Landfall21. dimensions22. the place where nothing’s ever bornEN1. Laughing Nerds And A WallflowerEN2. I Won’t CryEN3. Give Me Blow<イベント情報>『RESURRECTION』10月5日(木) 東京・WWWOPEN18:15 / START19:00出演:KOTORI / NOT WONK【チケット情報】(前売)一般:3,520円(税込)U-19:2,919円(税込)※ドリンク代別途必要■先着先行受付:9月10日(日) 23:59まで()公式X:
2023年09月02日「部屋とYシャツと私」などのヒットで知られる平松愛理が、2年半ぶりとなるライブを行った。2021年には自身のコロナ感染で開催が延期されて、ようやく実現したステージ。キャリアを重ねてきた分の奥行きとともに、変わらない清々しさを見せて、長年ともに歩んできたファンたちに温かい想いを届けた。ピアノのSEから、白い衣装にハンドマイクでステージに現れた平松愛理。2年半ぶりのライブの1曲目は“今日やっと逢える”と再会を描いた「素敵なルネッサンス」。観客の手拍子に体を軽く揺らしながら、リズミカルに歌っていく。33年前にリリースされた学生時代の名残が漂う曲に、大人のゆとりが加わって心地良い。続く「転ばぬ先の闇」も、跳ねるようなサンバのリズムによく通る歌声が乗って、会場一体のクラップが起こった。こちらは94年リリースのアルバム曲で、“留守電の点滅ランプ”といったフレーズもあって懐かしいが、平松は歌に包容力を潜めながら、さわやかな佇まいは健在だ。MCでは「今日来てくれた皆さんを恋人だと思って、選曲させていただきました」と語り、「いろいろなことがありました」という2年半での途切れない応援への感謝を告げた。「月を見ながら、自分のことを考える時間があって。挫けちゃう日も心にウソさえつかなければ、人生いつでもやり直せると思えます。私はダメだな。だから、いいんだ。相反する二つの気持ちを肯定していいと、この1年くらいで思い始めています」そんな話のあとに披露したのが、コロナ禍の2021年に発表した「BLUE MOON」に、未発表の「北風と太陽~エピローグ」の2曲。「BLUE MOON」は3拍子のワルツで、夜更けの月に馳せた未来への想いをしっとりと歌い上げる。ミディアムバラードの「北風と太陽」は童話をモチーフにした導入から、“矛盾だらけでいいんだと 胸張って生きてたい”などと素朴な言葉が紡がれていて、近年の楽曲には年齢を重ねたからこそ届くものがあり、人生での共感を呼ぶようだった。アコーディオンをフィーチャーした「追伸」は、イスに座ってリラックスモード。フィンガースナップを入れながら、ゆったりと歌う。昔自分を振った相手に向けた、平松独特の毒気と温かみが織り交ざる歌詞。聴く側も肩の力を抜いて楽しめた。キーボードの前に座ると、久しぶりの生放送の歌番組『THE MUSIC DAY』に出演した際の裏話に。出番前の移動中にサンダルの底が取れていて、緊張で気づかぬまま裸足で歩いていたとのエピソードで笑いを誘い、後半戦へ。緩やかな弾き語りが始まり、「待ってもいいよ」では夜の都会の雑踏に心象風景を映し出し、「戻れない道」は昔の恋の回想を挟んだ映画の1シーンのよう。ベテランシンガーに今さらではあるが、平松の口跡のはっきりした歌い方はすごく聴き取りやすく、たぶん初めて耳にする曲だったとしても、歌の情景がビビッドに浮かび上がるだろう。もともとの歌詞の巧みさや、やさしい歌声にビブラートを挟んだりする豊かな表現力もあってのことだが。そして、代名詞である「部屋とYシャツと私」も率直な歌いっぷりで聴き入らせる。大ヒットしたのはもう31年前。世間的には“毒入りスープ”の印象が強いにせよ、改めて聴くと結婚前の想いをエスプリを効かせて描く構成が本当に見事だ。さらに、詞でいえば相手が“ロマンスグレーになって”という年代に実際に入り、今の平松の歌にはより深みが宿って、胸に染み入る。歌い終わると、ひときわ大きな拍手が会場を包んだ。暗転の間に立ち上がって、後ろ向きで背伸び。「ここから頑張らせていただきます」とマイクを持って歌ったのは、シャレたフュージョンテイストの「Miss Very well」。マイクをスタンドに差すと、両手で振りを付けてアップチューンの「Single is Best!?」で加速していく。クールなボーカルでノリノリに、自ら頭上でクラップをして盛り上げた。手拍子が続いたまま、キャリアウーマンの恋を歌う「もう笑うしかない」に繋げる。サビ前では「行きまーす!」と人差し指を立てて手を振りながら“世界一”のフレーズを繰り返す。合唱と振りで会場がひとつになると、平松は「素晴らしい!」と声を上げた。さらに、フラメンコ調の手拍子からのラテンナンバー「マイ セレナーデ」で、もうひとしきり温度が上がる。“オーレッセ(Oh,Let’s say)”のリフレインが耳に付いて。92~93年の楽曲が中心となった後半、高まりながらも安らげる大人の音楽空間が出来上がっていた。ラストは「きっと届け」。2019年発表の曲だが“明日は変わってみせる”などと青春ソングのようでもあり、平松のボーカルも力強く若々しい。聴いているだけでも、勇気が湧いてくるようだった。すかさず起こったアンコールを受けて、再びステージに登場。「この2年、ご心配を掛けてしまって。こんなに皆さんの温かさが身に染みたのは初めてかもしれません。直接お礼が言えて、とても嬉しいです」キーボードの前でそう話した平松が、「歌心、めいっぱいにお届けします」と流麗なイントロを弾き出す。最後に披露したのは「Crescent Moonshine」だった。多く作ってきた月にまつわる曲のひとつで、美しい旋律のバラード。“あなたのいない夜”に見上げる月に寄せて、情感が込められていく。歌いながら想いが高ぶったようで、鍵盤を叩く響きも強くなっていった。“ひとつの気持ちずっと 感じていようね”と歌い上げ、拍手の中で立ち上がって「ありがとうございました」と言う平松は感極まって、涙で目を潤ませていた。バンドメンバーの紹介も涙声。観客をバックに記念撮影をして、深々とお辞儀をすると「今度お会いできる日まで、お元気でいてください」と、両手を振ってステージを後にした。長い年月をともに歩んできたファンとの、かけがえのない1日の余韻を残して……。Text:斉藤貴志Photo:石原敦志<公演情報>平松愛理 SLOW ROOM~Door to Next Road8月7日(月) Spotify O-Crestセットリスト01. 素敵なルネッサンス02. 転ばぬ先の闇03. BLUE MOON04. 北風と太陽〜エピローグ05. 追伸06. 待ってもいいよ07. 戻れない道08. 部屋とYシャツと私09. Miss Very well10. Single is Best!?11. もう笑うしかない12. マイ セレナーデ13. きっと届け14. Crescent Moonshine公式サイト:
2023年08月31日ぴあとAIR FLAG Incが共同で立ち上げたライブイベント『PIA & AIR FLAG Inc Presents "MUSIC FLAGS"』の第3弾が8月10日(木)、渋谷WWW Xで開催された。出演アーティストはサバシスター、yutori、Laura day romance。いずれも現在ものすごい勢いでシーンを更新するホープたちだ。それぞれの個性を発揮しながら全力でパフォーマンスを届けたライブの模様をレポートする。まずトップバッターとして登場したのはサバシスター。SEが鳴り響いた瞬間の力強い手拍子とメンバーが登場した瞬間の歓声に今の彼女たちへの期待のほどが伺える。いきなり初披露の新曲「キラキラユー」で軽快なロックンロールを響かせると、一転してどっしりとしたリフで聴かせる「生活」へ。サポートメンバーのサトウコウヘイ(B)以外全員色違いのラグランTシャツに身を包んだポップな佇まい、なち(Vo/G)のリアルな実感が込められた歌詞、そしてそれをじっくり気持ちを込めて歌い上げる姿。音楽性の振れ幅も含めてさまざまな魅力をもったバンドだが、その魅力がわずか2曲ではっきり伝わってくる。「1分押してしまいました」となちが言うのでなんと律儀なんだと思ったら、その理由が「ベルトがなくてズボンがずり落ちてくるのでスタッフにスマホの充電ケーブルを取ってきてもらってそれでズボンを止めていた」というもの。なんというか、今すぐにでも曲にできそうなエピソードである。そう、それこそ続けて披露された「スケボー泥棒」のように。この曲がそうであるように、人生のどんな場面にも真理が潜んでいるものである。なちがお立ち台に上ってギターをかき鳴らし始まった「ナイスなガール」ではごうけ(Ds)のパワフルなビートやアウトロでのるみなす(G)のギターソロもあいまってフロアから拳が突き上げられる。「今日は『MUSIC FLAGS』ということで、音楽の旗をパタパタ〜としたいと思います」と宣言したり、ごうけが小さい頃から大事にしてきて、今はサバシスターのステージには必ず置かれているぬいぐるみのしげちゃんを紹介したりしつつ、そのぬいぐるみのことを歌った「しげちゃん」を届ける。終盤ではメルカリで横取りされた緑のジャージのことを歌った「ジャージ」で一気にフロアを盛り上げると、「もっと声出せるんじゃないですか?」とさらに煽りつつなちの人生観が色濃く滲む名曲「タイムセール逃してくれ」へ。るみなすの華麗なソロも決まると、最後は「サバシスター’s THEME」。なち、るみなす、サトウの3人で動きを合わせたりしながら最後まで盛り上げきった。続いて、じんわりと響く心地のいいアンサンブルでライブを始めた2組目Laura day romance。1曲目「happyend」から、タンバリンを叩きつつ歌うトリプルギターの奏でる色彩豊かなサウンドの上で井上花月(Vo)の歌声が伸びやかに広がる。続いて礒本雄太(Ds)の叩くフレーズから「well well | ええと、うん」。メランコリーをたたえたサウンドの世界の中で、井上の歌うメロディが時折キラリと光を放つ。繊細に押し引きを繰り返すアレンジも、聴けば聴くほど引き込まれるようだ。一転、軽やかな8ビートが鳴り響き、オーディエンスの手拍子を誘う。「lookback&kicks」だ。井上とサポートメンバーによるツインボーカルが躍動し、それを磯本のドラムとサポートベースドラ内山のグルーヴが支える。瑞々しく伸び上がっていくようなメロディはこのバンドの真骨頂だ。彼らにとってこのWWW Xはワンマンライブをやった思い出深い場所。それにちなみ、ここで行われたワンマンのタイトルともなった「sweet vertigo」を披露。見ればフロアにいるお客さんはそのリズムに気持ちよさそうに身を預けていて、いつの間にかこの会場全体がLaura day romanceの醸し出すムードに染まっている。井上のパンドの未来に期待を抱かせる言葉を挟み、ライブは「wake up call | 待つ夜、巡る朝」に入っていく。印象的なギターのサウンド、そして井上のファルセットがWWW Xの空気を澄み渡らせていくようだ。続けてベースとドラムを中心に音を重ねながら「waltz | ワルツ」へ。切なさのなかで鈴木迅(G)のかき鳴らすコードがやたら心をざわつかせる。「みなさん最後まで楽しんでいってください」という井上の言葉から「夜のジェットコースター」を届けると、天井のミラーボールが回り美しくフロアを照らし出す。そしてラストは「sad number」。手拍子が巻き起こるなかストレートなロックチューンがぐんぐん高みへと上っていった。そして3組目、この日のトリを務めたのがyutoriだ。「よろしくお願いします」と一言、「センチメンタル」で爆発的なスタートダッシュを決める。内田郁也(G)のテクニカルなフレーズ、ゴリゴリと曲を押し進めるような豊田太一(B)、浦山蓮(Ds)のリズム隊、そして佐藤古都子(Vo)の歌がそんな音の迫力を突き破って届いてくる。言葉をオーディエンスに突き刺すような「音信不通」を経てフロア中で手が上がる「モラトリアム」へ。それにしても、どんな曲でもぐっと自分の側に引き寄せ「yutoriの歌」にしてしまう古都子の歌の力がものすごい。ブレスにもビブラートにも意思が宿っているようだ。豊田がお客さんを煽ってアッパーな4つ打ちビートが炸裂する「煩イ」を披露すると「スイミー」へ。サビでぐっと力感を増すバンドサウンドが、一気に楽曲の世界を押し広げていく。そして古都子が爪弾くギターからじっくりと「キミニアワナイ」へ。4つの楽器がリズムを合わせ叫ぶようなサビはもちろん、そこに至るドラマティックな展開も聴きどころ。古都子の歌はそのドラマを繊細さと豪快さを行ったり来たりしながら鮮やかに描き出してみせる。“ポップ”という言葉では簡単に片付けられない吸引力みたいなものがこのバンドにはあるが、ここまでのパフォーマンスでもそれは遺憾なく発揮されている。速いBPMでギターをかき鳴らす焦燥そのもののような「ワンルーム」を全力で鳴り渡らせると、9月6日リリースの『夜間逃避行』からの新曲「会いたくなって、飛んだバイト」を披露。アッパーなリズムとは裏腹に古都子の歌声には身を切るような痛みが伴っている。そして、その古都子の声から曲が始まった瞬間に手を挙げる観客が続出した「君と癖」。アウトロでは内田と豊田が前に出て力強く盛り上げてみせた。「ひとりひとり好きなものも違うかもしれないし、嫌いなものも違うかもしれないけどさ、あなたは音楽が好きで、ライブハウスが好きでそこにいるんでしょ?」。古都子のそんな言葉から突入した「煙より」で本編を終わらせると、アンコールでは「ショートカット」で再びぶち上げ。最後までオーディエンスの心を掴み切って、yutoriの4人はステージを降りていった。Text:小川智宏Photo:飼沼竜二<公演情報>PIA & AIR FLAG Inc Presents "MUSIC FLAGS"8月10日(木) WWW Xセットリスト■サバシスター01. キラキラユー02. 生活03. スケボー泥棒!04. ナイスなガール05. しげちゃん06. ジャージ07. タイムセール逃してくれ08. サバシスター’s THEME■Laura day romance01. happyend02. well well | ええと、うん03. lookback&kick04. sweet vertigo05. wake up call | 待つ夜、巡る朝06. waltz | ワルツ07. 夜のジェットコースター08. sad number■yutori01. センチメンタル02. 音信不通03. モラトリアム04. 煩イ05. スイミー06. キミニアワナイ07. ワンルーム08. 会いたくなって、飛んだバイト09. 君と癖10. 煙よりEn1. ショートカット関連リンクサバシスター公式サイト: day romance公式サイト:公式サイト:
2023年08月24日Hakubiが主催するライブイベント『京都藝劇 2023』が、8月11日に京都・KBSホールで開催された。今年は初の2ステージ制で実施された同イベントは、出演キャンセルとなったHump Back、あるゆえを除いた、Hakubi、KALMA、G-FREAK FACTORY、TETORA、ROTTENGRAFFTYの5組が「右近ステージ」に、Hyuga、Brown Basket、RAINCOVERの3組が「左近ステージ」に登場。当日に向けて片桐(Vo / G)が、「『京都藝劇 2023』は、Hakubiの3人の大切なタイミングに刺激を与えてくれたバンドが集まってくれました。夢の続きであり、夢の途中であるこの日、目撃してください」と意気込んだ、年に一度の盛大な宴が過去最大のスケールで実現した。『京都藝劇』は毎年ラインアップがガラリと変わるのも見どころの一つだが、TETORAは唯一の3年連続の出演。それだけで、彼女たちとHakubiとの盟友関係が分かる。昨年はトリ前でHakubiに強烈な刺激とプレッシャーを与えたが、今年は「『京都藝劇』はTETORAから始めます!」と(上野羽有音・Vo / G、以下同)と、「Loser for the future」で熱量たっぷりにイベントの幕開けを告げる。冒頭から「もう立派な大人」「言葉のレントゲン」「バカ」「嘘ばっかり」「素直」と容赦なく畳み掛け、これぞライブバンドの疾走感と焦燥感をガソリンに、弾丸のごとき一体感でどこまでも突っ走る。TETORA翌日に北海道での大事なフェス出演を控えながらも駆けつけ、「ガラガラのライブハウスで、一緒に対バンしてた同い年のHakubi。全バンドが見られるタイムテーブルで、フェスと言うより対バンやと思ってます。最後のHakubiまで全バンド体感してみてください!」と、誰よりもHakubiの思いを理解し代弁するMCにもグッとくる。クライマックスも「わざわざ」「イーストヒルズ」と一心不乱に爆音をかき鳴らし、「Hakubiが本気やから、それを知ってるから。仲良しごっこじゃなくて、ショーでもなくて、戦友やからただ本気でやる!」と、全身全霊で右近ステージをブチ上げたTETORAだった。「フロム京都、ローカルプライド、俺たちがRAINCOVERだ!ここをKBSホールじゃなくライブハウスに変えようぜ!」(辻出凌吾・Vo / G、以下同)初出演の気負いや緊張などまるでない堂々のたたずまいで、1曲目の「コントレイル」からぶちかましたのは左近ステージのトッパー、RAINCOVERだ。「曲なんか、俺らのことなんか知らんでええねん。ちょっとでも心が揺さぶられたら体を動かそうぜ!」とほえれば、最後尾まで手が挙がるパンパンの左近ステージ。「他人のイベントじゃなかったら自販機の上にも人を乗せてたと思います(笑)」と笑うのも納得だ。1stミニアルバム『Vanilla』の収録曲「ナイトライダー」「ボーイズソング」やライブの定番曲「秘密基地」、「Hakubiのマツイ(ユウキ・Ds)にやってくれと言われたんで」と「木屋町」「青い歌」ではモッシュも起きるなど、もらったチャンスに見事に応えた完全燃焼の25分間だった。RAINCOVER畑山悠月(Vo / G)の第一声から右近ステージをブチ抜く「Millennium Hero」で圧倒したのは、北海道出身のスリーピースロックバンド、KALMAだ。その後も、高速ドライブするベースラインに昇天必至の「隣」、「Hakubiの片桐さんが僕らを『京都藝劇』に誘ってくれたのは2022年12月31日。あの大みそかから今日までずっと妄想してました!」(畑山、以下同)となだれ込んだ瞬殺パンクの「モーソー」と、個性しかない楽曲群で翻弄していく。KALMA「Hakubiと出会った3年前より、今の俺たちはカッコ良くなってるかな、ちゃんと進化できてるかなと考える。これと言ったヒット曲を生み出してもないし、ツアーをやっても即完するバンドでもない。でも、愛してくれるお客さん、バンド、ライブハウスがあるから、俺たちは何とかやれてる。そう思えるだけで一つの進化なんじゃないかって、今思っちゃった。それを今日この35分間で、ロックバンドなんだから、生のライブで証明する!」有言実行の「ねぇミスター」「1分間の君が好き」と、生き急ぐようにエナジーを爆発させる北のアンファンテリブルは一転、「2017年、高校2年生のときに書いた歌」と始まったメロウでノスタルジックな「年上の、お前」で、ソングライターとしての確かな手腕も提示。重いドラムとサビのリフレインが心地良いミドルチューン「アローン」も素晴らしい限りだ。危なっかしいピュアネスを背負った「逃げるなよ、少年!」も3人のシンガロングが爽快感抜群で、「夏の奇跡」で終わると思いきや「あと50秒あったから最後にもう一回!」とおかわり「モーソー」をぶっ込むなど、最後の一秒まで魅了したKALMAだった。そして、ここからの右近ステージはレジェンド級のライブアクトが続く。青い光に包まれたKBSホールにG-FREAK FACTORYが現れるや、自ずと沸き立つ満場のクラップ。言葉を交わさずとも会場一体となって作り上げられていく「Too oLD To KNoW」から、茂木洋晃(Vo)が雄たけびを上げれば、見渡す限りの拳が目の前を埋め尽くす。理屈抜きに魂でつながる大合唱の中、「Fire」でも厳かなギターの音色とリリックが心臓を突き上げる。かと思えば「REAL SIGN」の躍動するビートとリフにたぎる高揚感と、体の奥底に侵食し命を沸騰させる唯一無二のパフォーマンスには、ただただひれ伏すのみ。G-FREAK FACTORYMCでは「ROTTENGRAFFTYとオーバーエイジ枠でこの場所をようやく勝ち取ってます(笑)」(茂木、以下同)とユーモアを交えて言ってのけ、「らしくあれと」を切々と届けていく。続いて、「人間は忘れます。忘れるから生きていける。でも、忘れられないくらい強烈な思い出を作ることができないかなと、今日も俺はステージに立ってます。音楽という平和な武器を使って、皆さんと一緒に1ミリでもいいから何かを分かち合って……トラウマになるぐらい最高な思い出、KBSホールで作って帰ってください!」と、8月15日=終戦の日を前に決して当たり前ではない平和を思い、「ダディ・ダーリン」を歌い上げる。楽曲でもMCでもとにかく心にブッ刺さるメッセージの連続で、「20代ではかなく散るのがバンドだと思ってた。ところが俺はもうすぐ50歳。まだやれてる。まだ行こうとしてる。どんなにみっともなくても、必ずまた会いに来ます。ありがとうHakubi!」と、「GOOD OLD SHINY DAYS」でも絶えず絶景を生み出し続けたG-FREAK FACTORY。Hakubiに「10-FEET、ROTTENGRAFFTYをとっとと超えろ!」と熱いエールを送った、いまだ前進する群馬の雄の誇り高き伝説は、まだまだ終わりそうにない。一方、左近ステージでは、滋賀発のソロアーティストHyugaが、「この景色を日本中のフェスで当たり前にしていくので」と宣言し、「舞台は晴れ」「慕詩手帳」と切なる思いを刻み付けたフロウを放射。いかんともしがたい感情に打ちひしがれながらも、このままでは終われないと未来に手を伸ばすように、そのうそ偽りのないエモーションが問答無用に訴えかけてくる。親友のために書いたというウエディングソング「愛来る」にすら、彼の生きざまがにじみ出る。Hyuga「どんな思いでここまでたどり着いてくれたか計り知れないけど、出会ったことには必ず意味があると思うんです。どんなに時間がかかったとしても、それに気付くためにこれからも歌っていこうと思います」と誓った「26」や「蒼く燃える」しかり、彼にとってのMCはもはや詞であり願いである。シームレスなトラックに紡いだHyugaの人生劇場、ラストはその名も「セカンドステージ」。一人の表現者の紛れもない再生の地点がそこにはあった。全くの助走なしでこの日のピークに瞬時に到達したさすがのROTTENGRAFFTYは、「秋桜」「D.A.N.C.E.」の2連発からエグいぐらいの盛り上がり!右近ステージを熱狂の渦に巻き込み、トップスピードで天井知らずの熱気を引き上げていく。分かっちゃいたが、Hakubiはとんでもないラウドモンスターを自らの出番の前に据えてしまった……そんな敗北感に襲われそうな「ハレルヤ」の破壊力たるや壮絶極まりない。「ハッキリ言ってHakubiのイベント、もっともっとテンションが高いと思ってました。京都のロットンが来てんねんぞ。お前らのホンマの顔を見せてくれ!」(NOBUYA・Vo)とオーディエンスのアドレナリンを一滴残らず絞り出し、「THIS WORLD」に突入。KBSホールがぶっ壊れそうな音圧でモノの違いを見せつける、ROTTENGRAFFTY最狂にして最強!ROTTENGRAFFTY「Hakubiは『ポルノ超特急』もとい『響都超特急』、ツアーにも出てくれて、やっと恩を返せました。『京都藝劇』、死ぬまでやり続けてください。でもな、京都は難攻不落。テッペン獲るにはまだまだまだまだ……!」(N∀OKI)見る者に安息など与えない間髪入れずの爆裂「零戦SOUNDSYSTEM」のめくるめく重低音にぶちのめされ、和テイストの轟音頭「響く都」に踊らされ……。脳天直撃のハイボルテージアンセム「金色グラフティー」ではダイバーが大量発生!「京都のバンドには、俺らは絶対に負けません。いつまで経ってもライブハウス最強バンドはROTTENGRAFFTYやと言わせるぐらい、これからもやっていくんで」(NOBUYA・Vo)と言い切った京都の途方もなく高くて厚い壁が、鋼の背中を見せてくれたすさまじいライブだった。TETORAと共に『京都藝劇』に再度出演を果たした稀有な存在であるBrown Basketが、左近ステージのトリを任された理由。初っぱなの「BY MY SIDE」から灼熱と化したフロアが、その期待と気合いを十分に表していた。Hakubiと地元京都で切磋琢磨してきた彼らが、「俺らと一緒に心も体もぶっ飛べるヤツがどれだけおんねん?踊ろうぜ!」(岸本和憲・Vo / G、以下同)と「ROLLING」を放り込む!Brown Basket2年ぶりとなる『京都藝劇』で、その時間分の経験を音にしたポップソング「こころのこり」は、オーバーグラウンドへのポテンシャルをひしひしと感じさせる一曲。「Hakubiのマツイが好きだと言ってくれた、こんな日の歌」という「TVCM」を起爆剤に、「今の俺らの方が2年前より間違いなくカッコいいんで。左近ステージじゃ物足りねぇよな?向こうのステージに行くぞ!その夢が一つあるだけで、俺らとあなたがまた会う理由がある」と、トドメは「もうひと頑張り」~「切に願う」!汗だくでHakubiにバトンを渡したBrown Basketの渾身の全6曲だった。約6時間にわたり音楽という絆がつないだ『京都藝劇 2023』を締めくくるべく、真打ちのHakubiがゆっくりと右近ステージへと現れる。ひずんだギターを奏で、「『京都藝劇』、本当に最高です。生半可な気持ちじゃ呼べないメンツで今日は開催しました。京都Hakubi、よろしくお願いします!」と片桐が叫べば、それと響き合う咆哮が方々から発される。静かで力強い「光芒」から、時間をかけて『京都藝劇』という空間を、信念を積み上げてきたHakubiの迫真の演奏に魅せられる。閃光を背にした「ハジマリ」ではエッジィなギターが空を切り裂き、スリリングな同期の旋律と人力のリズムが見事に溶け合う「Eye」では、Hakubi流のダンスナンバーにKBSホールが揺れる!Hakubi「今日はメンバー全員で右近ステージと左近ステージをずっと回ってたので、声を出し過ぎて息が切れてしまって……(笑)。心のこもった、血の通った一日にしたいなと思ってたんですけど、本当に素晴らしい一日になりました。音楽をやってて良かったなと思います。いろんなことがつながって今日になって、今日もまたいつかにつながるかもしれない。全員の光になれますように、いつか私たちの輝きがあなたを照らしますように」(片桐、以下同)熱演続きの『京都藝劇 2023』のつかの間の清涼剤となるような「栞」には、観客も思わずじっと耳を傾ける。8月9日に配信リリースされたばかりの「拝啓」は、片桐が今は亡き祖母へとつづった新曲。ドラマチックなサウンドスケープに乗せた独白が胸を打つ。ここで、「絶対にまたHump Backを『京都藝劇』に呼びます。だからそのときにまた皆さんと会いたいです」と披露されたのは、ライブ活動の一時休止のため出演辞退となったHump Backの「星丘公園」のカバー。「Hakubiは最初、Hump Backのコピバンでした」というルーツからも、並々ならぬ覚悟で呼んだであろうバンドに捧げた一曲は、出演がかなわなかったからこそ聴けたワンシーンかもしれない。後半戦は「過去最大の一日、最高のメンツ、夢のような日だ。でも、もっと先へ!」と絶叫し、「夢の続き」を皮切りにライブでは鉄板の「mirror」へ。曲間では「いつか先輩たちを越えてみせると思って作った『京都藝劇』。ずっとずっとライブハウスでやってきた仲間がいるから。京都のバンドとしてここで歌ってる。また今年も『京都藝劇』、最高の日になったよ!」と矢継ぎ早に心情を吐露する片桐。「私たちは絶対に忘れないし、あなたたちも忘れない日になっていてほしいなと心から思います。どれだけ音楽にすがったっていいと思います。またこの先で音楽を通して会えますように。来年も『京都藝劇』を、必ず開催するので。コロナ禍にいつか歌えるように作った曲、去年は一緒に歌えなかった曲を……あなたがそこにいるって教えてくれ!」そんな希望が声となりKBSホールに降り注いだ「悲しいほどに毎日は」は、ようやくたどり着いた『京都藝劇』の真の姿を見るようで……得も言われぬ感動がエンドロールを彩っていく。アンコールでは、「私たちはまだ大ヒット曲を出せてないけど、いつか『京都藝劇』が大きくなったとき、一緒に歌ってほしい曲があるので」と、KBSホールの巨大なステンドグラスをバックに、TVドラマ『青春シンデレラ』主題歌「君が言うようにこの世界は」を贈る。続く「辿る」では片桐がモッシュピットにダイブ!「Hakubiはこういうことを全然したことがないから(笑)」と、見よう見まねでクラウドサーフするレアな一幕も。こうして『京都藝劇 2023』は、またも最高を更新し終了した。なお、今後のHakubiは、各地のフェスやLONGMAN、moon drop、Dizzy Sunfistらのツアーに参加後、11月4日(土) に東京・Zepp Haneda(TOKYO)、18日(土) に大阪・なんばHatchでワンマンライブ『賽は投げられた』を開催する。取材・文=奥“ボウイ”昌史撮影:翼、『京都藝劇2023』でHakubiが披露した「拝啓」のパフォーマンス映像が、HakubiのオフィシャルYouTubeチャンネルで1コーラス公開。また、11月開催の東阪ワンマンライブのチケット最終オフィシャル先行が8月17日(木) まで受付中。「拝啓」『京都藝劇2023』パフォーマンス映像<リリース情報>配信シングル「拝啓」配信中配信リンク:「拝啓」MV<ライブ情報>『賽は投げられた』11月4日(土) 東京・Zepp Haneda17:00 開場 / 18:00 開演11月18日(土) 大阪・なんばHatch17:00 開場 / 18:00 開演【チケット料金】価格:4,800円(税込)■最終オフィシャル先行受付期間:8月17日(木) 23:59までオフィシャルメンバーシップはこちら:<イベント情報>『MONSTER baSH 2023』8月19日(土) 香川・国営讃岐まんのう公園『Sky Jamboree 2023』8月20日(日) 長崎・長崎市稲佐山公園野外ステージ『WILD BUNCH FEST. 2023』9月18日(月) 山口・山口きらら博記念公園関連リンクHakubi Official Site::::チャンネル:
2023年08月15日約2年振りとなるニューアルバム『W』をリリースしたばかりのGacharic Spinが、アルバムの発売を記念して渋谷ストリームホールにてスペシャルライブを開催した。ライブでは、アルバム『W』に収められている全10曲を収録順にプレイ。加えて、この日の為にファンから募ったリクエスト曲をプラスしたセットリストで、7月に終えた全国ツアーの内容とは異なる特別なライブとなった。アルバムのオープニングを飾るナンバー「レプリカ」のMusic Videoで着用した衣装に身を包んだメンバーが登場すると、ガチャマン(男性ファンの呼称)&ガチャピン子(女性ファンの呼称)で埋め尽くされた満員の会場は大歓声に包まれる。ライブのスタートは、高速スラップにツインギターメロをたたみかける生演奏でのインストを初披露し、アルバムの曲順通り「レプリカ」で幕開け。シリアスなテーマを、緊張感と爆発的な演奏力で表現し早くも会場を起爆する。続く「The Come Up Chapter 」で、ツインギターの疾走感とギターソロで観客をけん引したところで、アンジェリーナ1/3(以降 アンジー)がご挨拶。「ついにアルバム全曲演奏する日がきましたよ。ムズいんだわ、アルバムが……」。リーダーでBassのF チョッパー KOGA(以降 KOGA)も続き、「ガチャリックスピンってジャンル分けしづらいバンドだと思うんですよ。いろんなジャンルのものをやるし、ガチャリックスピンというのが1コのジャンルだと思っていて、そういう意味では、このアルバムを聴いていても、いくつものバンドがいるようなアルバムになったんじゃないかなと思って、それをさらに超えたライブに今日したいと思います」KOGAの意気込みから、3曲目「カチカチ山」を披露。アルバムのリードナンバーでもあるこの曲は、語りかける様なアンジーのスポークンボーカルが忠実に再現され、観客を昔ばなしと現代の社会風刺の不思議な感覚に連れて行く。続く「rabbithole」ではアンジーとはな(G&Vo)のツインボーカルで聴かせ、アンジー熱唱のロックバラード「ロンリーマート」、はなとオレオレオナ(Key)のツインボーカル、更にアンジーのラップが絶妙に絡み合う「KIRAKIRAI」、そしてアンジーの心情が爆発する亡き父を歌った「Voice」を初披露。ギタリスト・大村孝佳提供、プレイヤー泣かせの激ムズなハードチューン「Live Every Moment~ヒトヨバナ~」が続き、客席をヒートアップさせる。また、こちらも初演奏となる「ナンマイダ」では、はなとTOMO-ZO(G)の光線銃を使ったパフォーマンスなど楽しい演出が盛りだくさん。そして、観客を暴れさせるために作った曲といわれ、強烈なグルーブを放つアルバムのクロージングナンバー「リバースサイコロジー」まで圧巻のパフォーマンスで一気にたたみかけ、アルバム『W』の世界観を集まったファンたちと共有した。そして後半の+αでは、SNSで募ったファンからのリクエストを元に選曲したGacharic Spinの人気曲、スタンダードナンバーを披露。リクエストで「みんなシリアスな曲が、聴きたいんだー」からの意表をついた「Ben-Jan-Dan」をドロップ。この曲は、アンジーが加入してから過去に1度しかライブでプレイされていないレア曲で、今回はアンジーがゴムパッチンの餌食になった。そして、各メンバーのソロパートが追加されるニューアレンジで久しぶりに披露された「More Power」に続き、リクエストが最も多く、2019年の中野サンプラザ公演以来となる「TAMASHII」を全力プレイ。TOMO-ZOの独壇場となる「ファイナルなファンタジー」を挟み、「Dear_____」を立て続けに披露した。テクニック全開のハードチューン「MindSet」、メジャーデビュー曲「赤裸ライアー」で再び場内を盛り上げ、最後は「ダンガンビート」で空間全員がタオルをぶん回し、本編が終了。アンジーは「新しい曲を作るというのは、ある種、子供を産むみたいな(笑)。6人の想いだったり気持ちだったりをこの1曲に込めて、このアルバムに込めて、『この曲たちが、たくさんの人たちに届いて、みんなと成長させていくんだな』という、子供の成長を見るような気持ちで……。このアルバムを出したとき、『みんなに受け入れてもらえるかな?』という不安もある中、本当に今日は1曲目から大爆発してくれたみんなを見れて幸せです!ありがとうございます!」と語った。アンコールの1曲目、シンガロングナンバー「365日」を観客と一緒に歌い上げた後、本編の演奏で初披露にも関わらず、マイクトラブルに見舞われた「ナンマイダ」を納得いかないアンジーの提案により急遽再演奏。ガチャピンのライブならではのハプニングとサプライズで観客を楽しませた。ラストは、全員参加のライブの大定番曲「WINNER」でボルテージをMAXに上げ切り、スペシャルなライブは幕を閉じた。新旧の曲を融合させた全20曲をプレイし、ファンをあらためて魅了したGacharic Spin。今年の10月8日(日) には、デビュー14周年を祝う配信ライブの開催も発表され、この日を境にいよいよ15周年のアニバーサリーイヤーに突入する。様々な事柄を乗り越え、紆余曲折を経て、バンドの最終形態を宣言している彼女たちの今後の活躍に注目だ。<公演情報>『Special LIVE 2023 NEW ALBUM「W」Release Party!!~ALL PLAY+α!!!! Special Time~』7月23日(日) 東京・渋谷ストリームホール【セットリスト】00. SE_NEW01. レプリカ02. The Come Up Chapter03. カチカチ山04. rabbithole05. ロンリーマート06. KIRAKIRAI07. Voice08. Live Every Moment~ヒトヨバナ~09. ナンマイダ10. リバースサイコロジー11. Ben-Jan-Dan12. More Power13. TAMASHII14. ファイナルなファンタジー15. Dear_____16. MindSet17. 赤裸ライアー18. ダンガンビート■Encore19. 365日20. ナンマイダ21. WINNERプレイリスト:<リリース情報>New Album『W』発売中●初回限定盤【CD+Blu-ray】5,500円(税込)●通常盤【CD only】3,300円(税込)『W』初回限定盤ジャケット『W』通常盤ジャケット【CD収録】※初回限定盤・通常盤共通01. レプリカ02. The Come Up Chapter03. カチカチ山04. rabbithole05. ロンリーマート06. KIRAKIRAI07. Voice08. Live Every Moment ~ヒトヨバナ~09. ナンマイダ10. リバースサイコロジー【Blu-ray収録】※ 初回限定盤のみ■Gacharic Spin LIVE 2023『New Revolution~最終章の始まり~』2023.2.23 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)00. last start01. BROKEN LOVER02. MindSet03. A LALA04. 今を生きてる05. Dear_____06. Forever 9teen07. Where you belong08. 夢言実行09. マジックアンブレラガール10. シャキシャキして!!11. 赤裸ライアー12. I wish I13. The Come Up Chapter14. Live Every Moment~ヒトヨバナ~15. リバースサイコロジー16. デジタルフィクション17. ミライ論争18. 超えてゆけ19. 365日20. WINNER21. ロンリーマート22. ダンガンビート配信リンク:<イベント・ライブ情報>『LIVE 2023「Limit Breaker~結成15周年に向けて~」』11月18日(土) 東京・日比谷野外大音楽堂チケットはこちら:『47都道府県TOUR「ROCKET SPIRITS」Restart!!』10月14日(土) 兵庫・MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎 ※念願の24/4710月15日(日) 京都・KYOTO MUSE ※念願の25/4710月28日(土) 福島・郡山 HIPSHOT JAPAN ※念願の26/4710月29日(日) 茨城・mito LIGHT HOUSE ※念願の27/47『TOMO-ZO BIRTHDAY LIVE~トモトモ山の仲間たち~』9月17日(日) 東京・SHIBUYA Spotify O-WEST<番組情報>『アンジェリーナ1/3のA世代!ラジオ』毎週火曜日 21:30~22:00 文化放送『アンジェリーナ1/3 夢は口に出せば叶う!!早番』毎週日曜日 7:30~8:00 TBSラジオ SITE:「ガチャっとTV」:
2023年07月28日レースや花飾りで顔を隠して活動していたシンガーシングライターのAnonymouz(アノニムーズ)が、7月17日東京・shibuya wwwで行われたワンマンライブ『Anonymouz Live 2023「Awake」~11:11~』で初めて素顔を明かし、終演後には新たなアーティスト写真を公開。深夜0時には、かつて「別の人の彼女になったよ」の英語歌詞カバーもした橋口洋平(wacci)が提供した新曲「レッスン」のデジタルシングル配信がスタートした。2019年3月からYouTubeでJ-POPの英語カバーの投稿を始めた彼女は、デビュー前からソニーXperia 5 Ⅱの全世界CMソングやTVアニメ「ヴィンランド・サガ」SEASON 2のオープニング主題歌に抜擢され、今年2月にデビューアルバム『11:11』をリリース。その時は、「見た目や顔で音楽を判断されたくない」「偏見なく、私の声だけを聴いてほしい」と語っていたが、「顔やイメージとは関係なく、私の声を愛してくれる人が増えたら、いつかは見せたいなと思ってます」と含みを持たせていた。しばらくはこのスタイルでの活動を続けていくのかと思っていたのだが、ワンマンライブの10日前になる7月7日にオフシャルYouTubeチャンネルで突如、「素顔の私の新たな一歩 "Awake"」という一文とともに、素顔の公開を予感させる<New Concept Teaser>がアップされた。この時点では、映像のみで、まだ顔の半分は新しいロゴに隠れていたが、コメント欄には驚きともに新たな一歩を応援する声が書き込まれていた。そして、当日のライブへ。開演時間になると、目覚ましのアラーム音が鳴り始め、ステージ上の紗幕には<New Concept Teaser>の映像が流れた。やがて、Anonymouzのシルエットが浮かび上がり、オーディエンスの拍手とともに、紗幕が落ち、TVアニメ「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATION」のEDテーマとして書き下ろし、大切な人を守りたいという思いを込めた「Ladder」からライブはスタートした。ブロックごとに声の性格が変わっていくような楽曲で、眩いバックライトに照らされたAnonymouzは、最初は客席に背中を見せて歌い始めのだが、最後のサビでくるりと回転。正面を向き、オーディエンスに初めて生のライブで素顔を見せた。インタビューでは「逆に言えば、顔以外はすべて音楽でさらけ出してます」と笑っていた彼女がついに顔出しを解禁した貴重な瞬間だった。しかし、彼女は「そんなことは大したことではないわ。今はライブを楽しみましょう」とでも言うかのように、シームレスで楽曲を繋げていった。そして、クラップで一体感がもたらされる「Hide and Seek」とどうしようも無い悲しみや痛みを感じる「Wonders Of Art」の2曲で、Anonymouzらしさのひとつである光と影、明と暗という二面性を表現。「こんばんは。Anonymouzです!今日はよろしくお願いします!!」と挨拶し、その後は10曲をほぼMCなしで立て続けにパフォーマンスした。アルバムのタイトル曲で、<チャレンジする価値があるものなら失敗する価値もある>というテーマで書かれたローファイヒップホップ「11:11」。水の中にいるような音の空間を追求した「4D」。澤野弘之プロデュース楽曲で、孤独な海の上でひとり、溢れる愛を高らかに歌う「silhouette」。アカペラで始め、歌声で次第にスケール感を広げていった「No Name」。フレアー扇子を持って舞い踊るダンサーANKANとともに葛藤で真っ赤に燃え盛る海を体現した「River」。そして、ANKANを従えてスムーズでキュートなラップを繰り出した「Lips」。ANKANを見送ったあと、「みんな楽しい?私は超楽しい!ありがとう」とオーディエンスに語りかけ、「If I Was」ではメロウなグルーブでオーディエンスの心と体を心地よく揺らし、indigo la End「夏夜のマジック」の英語歌詞カバーでは椅子に座り、ピアノの伴奏のみで歌唱。島田昌典プロデュースのポップなラブソング「恋をして」では、音源に収録されていた電話のトーク(shibuya www ver.)を生で披露。この中盤は、Anonymouzの多彩で豊かな音楽性に触れる時間であるとともに、英語歌詞をメインとした洋楽的なアプローチから日本語のみのJ-POPへという流れにもなっていた。「ありがとうございます。改めまして、Anonymouzです」と一息ついた彼女は、「大好きな大好きなwacciの橋口洋平さんに作詞作曲していただいた、とっても大切な1曲になってます。傷ついた心を持っているときにどうしても見失いがちな“相手にもらった優しさ”に目を向けて一生懸命それを大切にしようとする、とっても不器用で真っ直ぐなラブソングになっています」と語り、「レッスン」を初披露。別れた相手への感謝を綴った失恋ソングには22歳のシンガーソングライターである彼女の等身大の息吹に満ちており、同世代の共感を呼びそうな楽曲となっていた。さらに、続く「JAM」も新曲。最新のトレンドであるジャージークラブのビートに柔らかくてドリーミーなオルガンが響くダンスポップとなっており、トラップやブレイクビーツまで配慮したワールドスタンダートなサウンドとなっていた。この振り幅も間違いなく彼女の大きな魅力のひとつだろう。失ってしまった大切なかけらを探し求めるようにEDMとダンスロックを行き来する「Homesick」でフロアの熱気が上がり、スナップの効いたR&B「Snake love」ではオーディエンスが手をあげて左右に振って盛り上がり、場内には一体感が生まれた。そして、最後の曲の前に、「今回、新しい姿で踏み出していくということで、たくさん考え、たくさん悩みました。伝えたいことや歌う意味は今までと変わらないので、ほんとに見ていてくれることを知って、もっと自然体で、目を見て、愛を伝えたいなと思って、この決断に至りました」と素顔を明かした理由を話すと、場内からは温かく大きな拍手が湧き上がった。そして、「今日は受け入れてくれてありがとう。ここから新たな一歩を踏み出していきます。ぜひ、私と一緒に歩んでいってくれたら嬉しいです」と決意を語り、デビューアルバムのラストナンバーで、内澤崇仁(androp)提供のバラード「はじめのはじまり」を確かなエモーションを込めて歌唱。観客に向けて、<今日はさよなら/また会えたらいいね>というメッセージ投げかける。その歌声は優しく、出会いの喜びにも満ちているが、何度も繰り返される<ここからはじめるんだよ>というフレーズには、まさに、ここから新しい一歩を踏み出すんだという決心と覚悟が込められており、フロアに大きな感動をもたらしていた。アンコールでは“新しい姿”で新しい一歩を踏み出したことを振り返り、「ずっと自然体だったけど、さびしい世界だと思うし、もっともっと近づいて、心を通わして、音楽を楽しんでいこうと思います」と改めて意気込み、「みんなの世界が優しさで溢れますように」と語りかけ、現時点での代表曲とも言える「Eyes」の歌声を通してフロアを眩い光で満たすと、最後はボカロの要素をフィーチャーした四つ打ちのハウスナンバー「夜行性」でオーディエンスの手を挙げ、踊らせて、熱狂のうちに締めくくられた。「Eyes」と「レッスン」、「JAM」と「夜行性」のように、洋楽とJ-POP、ネットミュージックと最新のダンスポップを独自の言語センスと歌声で結ぶ彼女の次の一歩が楽しみになるライブだった。Text:永堀アツオPhoto:Viola Kam (V’z Twinkle)<公演情報>『Anonymouz Live 2023「Awake」~11:11~』7月17日(月・祝) 東京・shibuya www<リリース情報>Anonymouz デジタルシングル「レッスン」配信中Anonymouz「レッスン」MV配信リンク:<ライブ情報>Anonymouzワンマンライブ11月19日(日) SHIBUYA PLEASURE PLEASURE開場17:15 / 開演18:00料金:前売:4,500円(税込)※ドリンク代別途必要、未就学児入場不可公式サイト:
2023年07月24日セルフプロデュースにより様々な形でアイドル活動を展開している戦慄かなの。ソロでは2回目となるワンマンライブをZepp Shinjukuで行った。彼女のイメージは、名前だけ知っている人、グループ時代に見ていた人、現在のコアなファンなど層によって大きく違う。ライブではどんな姿を見せているのか。ニュートラルなところからレポートをお届けしたい。戦慄かなのは、実妹の頓知気さきなとのユニット・femme fataleとしても活動するほか、自身のコスメブランドをプロデュースするなどの一面も持っている。ソロでは今年1月に初のアルバム『Solitary』をリリース。水曜日のカンパネラのケンモチヒデフミらのサウンドプロュースで、独自のポップセンスをより尖ったアプローチで昇華させた作品となった。そして、今回のソロワンマンは1月に続き2回目。Zepp Shinjukuに集まったファンの9割は女性だ。それでも「今日はめちゃくちゃ男の人がいる」と、途中のMCで戦慄が話していた。暗転した会場にピアノのSE。雨音やラジオのノイズ、鼓動が重なる。ステージの幕にライトが当たり、戦慄のスレンダーなシルエットが浮かび上がった。そのまま「broken」をアンニュイに歌い出す。幕が落ちると、サバイバル風な衣装の本人がお目見え。ショートバージョンで歌い終わるや、「ice blink」の扇動的なビートとサンプリングボイスに乗って、10人の女性ダンサー=戦慄ビッチーズが入ってくる。そのセンターでクールに踊り、刺すように歌う戦慄。ステージにはスモークが噴き上がり、レーザーも飛び交った。重低音が響くジャージークラブの「drop」では、戦慄とビッチーズが腰を落としてヒップを振りまくるトゥワークを披露。戦慄は「お尻祭り」と呼んでいるそうで、11人でキレッキレな動きを揃えるのは刺激的だ。スタッカートを効かせる戦慄は、フロアに膝を立てて座ったり立ち上がったりと、カッコいいセクシーさを見せた。煌びやかなショウを思わせた序盤。アイドルであれ、アーティストであれ通常の音楽ライブで味わうのとは少し違う、アミューズメントにワクワクするような高揚を覚えた。ピンクのタイトなコルセット風の衣装に着替えると、新曲のチルアウト系ヒップホップ「Ride my wave」は、キャップを被った男性ダンサーふたりと共にパフォーマンス。ミディアムテンポに揺れながら、背中を向けて体をあてがうような絡みも見せた。<あなたを迎えに遠くの星から来ました>で始まる人気曲「baby ufo」では、ビッチーズから4人がメイド衣装で入ってフォーメーションを組み、ファンタジー感を醸し出す。続けて、前日に自ら監督を務めたMVを公開したばかりの「karma with you」を浮遊感のあるラップで歌っていくと、トラックのループも相まって、夢うつつでまどろむような心地良さが感じられた。「今日、変な夢を見たんです。シェフがニンジンを切っていて、半分は料理に入れて、半分はウサギにあげていて。夢占いで調べたら、動物に食べ物を与えるのは幸せになってほしい人がいるとか、みんなに対する愛が溢れているという深層心理らしくて。素晴らしい夢を見たと思って、みんなに言いたかったの」気取りのないMCを挟み、イスに座って、ゲストのサクライケンタのエレアコ1本でのカバーコーナーに。Original Loveの「接吻」を素朴に歌い上げ、間奏でおもむろにブーツを脱いで裸足になっていた。「暑くて脱いじゃった」と言うと、次は盟友かてぃとのユニット・悪魔のキッスのナンバー「unhappy birthday」。冒頭からエレクトロサウンドにダンスをフィーチャーして、見せるステージを繰り広げてきたが、ここでは戦慄の柔らかい生身の声が全面に。歌心があるというのだろうか。飾り気はない中で胸に響いて聴き入らせた。二度目の衣装替えで、キャミソールに蝶をあしらったデニムパンツのいでたちになると、ラストスパートへ突入。クールなテクノチューン「moist」はひとりで踊る。ステージの左右いっぱいに広がる2枚の布がユラユラと上下する間に立ち、ターンを繰り返し、フロアダンスも織り交ぜて。しなやかに緩急を付けたムーブが美しい。「撮影OKです」と告げると、ハンドマイクで「soda」を歌いながら、フロアへ降り立った。一斉にスマホカメラを向けられながら、もみくちゃの中で柵も越えて後方まで歩いていく。「動けないんだけど!」などと笑って叫んだり、戦慄も楽しそうだ。ステージに戻ると間髪入れず、「unstable」を繰り出した。ハイテンポで言葉を乗せていきながらユルさが漂うのは、戦慄の歌声マジックか。ビッチーズと共に背中を向けて「ヘイ!ヘイ!」からの「distacne」では、トラップ風のサウンドにラップも織り交ぜ、流麗なダンスを見せていく。アタック感も強くガールクラッシュを思わせるが、戦慄が掲げ続ける“ファビュラス”の体現でもあるだろう。「次は最後の曲。私、予定調和が大嫌いで、本当に最後の曲なんです。アンコールとかないんです、私のライブ」ステージの床に座って、そう話し出した戦慄は、10分以上に渡り、自分の心情を語った。少し長くなるが引用する。「戦慄かなのを実像として応援してくれる人の気持ちが、正直わからない。私の夢がみんなの夢ではなくて、『みんなを〇〇に連れていく』という気持ちで活動しているわけではないんですよね。それでも応援してくれると、その愛に報いたいと思うんですけど、どうやったらみんなを喜ばせられるのか、全然わからなくて」「私は少年院にいるときから、こういうふうになる未来が見えていたんです。18歳で少年院を出てからずっと、今の私になるための努力を1日も怠ったことなく、生きてきました。でも、外面だけが良くなって、昔の自分が取り残されてる。私が私を演じているみたいで、本当の自分がどこにいるのか、自分が誰なのかわからなくなるときがあって」「女の子っていろいろ損していると思うことも多くて。でも、男の人を羨ましがって、女であることを憎むのは惨めじゃないですか。女の子であることを誇れるようになりたいと思って、今の私が表現していることになったんです」「悔しいこと、理不尽なことが多すぎて、どう抗議してやろうかと思うけど、最近は諦めモード。だから、決めたことがあって。詳細は言えないんですけど、それまでは私であることを頑張ろうと思っています」後半は涙まじりになっていた。泣いていた観客も少なからずいたようで、戦慄は「みんな何泣いてんの?」とも言っていた。こうした話をダイレクトにファンにしたのは初めてかもしれないが、楽曲や様々な活動から元より想いは伝わっていたのだろう。戦慄が女性に圧倒的な支持と共感を受ける一因が、そこにある気がする。「みんなに何をしてあげられるか、私はまだわからないから、『みんなが幸せになりますように』と毎日祈ってます。それくらいしか、できることがないので。その気持ちを込めて、今日のワンマンはパーティーみたいにしたかったんです。ピッタリな新曲を用意してきたので、聴いてほしいなと思います」そう言ってラストに歌ったのは「Pinky gang」というナンバー。おごそかなピアノのイントロで始まりながら、軽快で爽快。ステージにシャボン玉が飛んで、戦慄の透明感のあるボーカルがリズミカルに響く。<好きなことだけで生きていいんじゃない?関係ないもん>とのフレーズが耳についた。曲の途中で「このライブに携わってくれた素晴らしい皆さん」と呼び込み、戦慄ビッチーズやメンズダンサー、「何故かここにいる」相棒のかてぃから、裏方のヘアメイク、制作スタッフ、振付師、マネージャーに至るまで、一人ひとりを紹介していった。特効で蝶の形の銀テープが会場中に放射され、戦慄は笑顔で「来てくださって、ありがとう」と言いながら手を振り、投げキッスをしてステージを後にした。エンタテイメント性に溢れたライブだったが、他のどこでも観たことがないものを観たように思った。会場が宇宙でひとつの別空間と化して、そこに戦慄かなのと共にいることが至福に感じられて。この感覚を一度味わうと、病みつきになりそうだ。終演後のスクリーンでは、9月の生誕イベントと今冬のソロで初の全国ツアーも発表された。Text:斉藤貴志Photo:稲垣健一<公演情報>Kanano Senritsu One man live「karma with you」6月28日(水) Zepp Shinjukuセットリスト01. broken02. ice blink03. drop04. wake me up05. Ride my wave06. baby ufo07. karma with you08. 接吻09. unhappy birthday10. fire paan11. moist12. soda13. unstable14. distance15. Pinky gang<戦慄かなの ライブ情報>戦慄かなの生誕祭2023「戦慄かなの超たまんないでしょ?♡」9月8日(金) EX THEATER ROPPONGIOPEN18:00 / START19:00チケット:前売6,500円※入場時ドリンク代が必要一般発売日:7月22日(土) 10:00~戦慄かなのワンマンライブ全国ツアー202311月中旬〜12月 開催予定※詳細は後日発表戦慄かなのチェキ撮影会9月9日(土) 時間未定会場:都内某所※詳細は後日発表<悪魔のキッス ツアー情報>悪魔のキッス『全国ツアー2023「お前にシリコン入れてやろうか(仮)」』7月25日(火) 大阪・Zepp Namba(OSAKA)OPEN17:30 / START18:307月26日(水) 愛知・Zepp NagoyaOPEN17:30 / START18:308月2日(水) 福岡・Zepp FukuokaOPEN17:30 / START18:308月16日(水) 北海道・PENNY LANE24OPEN17:30 / START18:30出演:悪魔のキッス(戦慄かなの×かてぃ)【チケット情報】VIPチケット(終演後囲みチェキ付き):15,000円1階スタンディングチケット:5,500円2階指定席チケット(2階席がある会場のみ):6,500円※入場時ドリンク代が必要チケット発売中:関連リンク戦慄かなの Twitter:戦慄かなの Instagram:戦慄かなの YouTube:
2023年07月10日筋肉少女帯、メジャーデビュー35周年記念ライブが、彼らのデビュー日に行われた。会場は、シブコー、現LINE CUBE SHIBUYAだ。チケットがソールドアウトした記念すべきライブの模様をレポートする。今から35年前の1988年6月21日、ひとつのバンドがメジャーデビューした。名前を筋肉少女帯といった。世は、まさにバンドブーム華やかなりし頃の話。まさかそんなへんてこりんな名前のバンドが、平成を超え令和になってもなおサバイブしているとは、当時の誰も――当人たちですら――思ってもみなかっただろう。しかし、デビュー記念日に行われたこの日のライブを見て感じたのは、途中で活動休止はあったにせよ、筋少が、いや筋少だからこそ長く活動できたのだという確信だった。SEが鳴り響くなかメンバーがステージに登場すると、LINE CUBE SHIBUYAを満杯にしたオーディエンスは手にしたペンライトで華やかに迎える。1曲目にはいきなり大名曲「サンフランシスコ」が炸裂。シンセポップとハードロック、それにバロック音楽の要素が融合した高速楽曲だ。そのうえで歌われるのは、サーカス小屋の思い出を回想しながら恋人との別れを決意するという物語なのだ。大槻ケンヂ(Vo)、内田雄一郎(Ba)、本城聡章(Gt)、橘高文彦(Gt)、そして今はサポートで入っているが初期メンバーである三柴理(Pf&Key)、メンバーそれぞれが放つ強烈な個性を中和させてひとつにまとめるのではなく、まったく違うままギリギリのバランスで成り立っているのが筋少の魅力だ。大槻ケンヂ(Vo)1曲目が終わったばかりだというのに、すかさずMCが入る。しかもそこそこ長めの。こんな芸当も35年のキャリアと大槻ケンヂの話術を持ってしかできないだろう。「35年前って1988年、昭和ですよ。いやー、しみじみしちゃうなー。ライブでしみじみすんなよって話だけど(笑)。あのね、皆さんの想像を遥かに超えて、筋肉少女帯は酷かったですからね〜」と会場の笑いを誘う。「いろいろあったよね。いいことも悪いことも。事務所が2回潰れたり、ライブ当日に衣装だけ置いてマネージャーがいなくなったり(笑)。名古屋のライブでは正露丸を撒き散らして後で怒られたなー。よくあんなバンドをメジャーレーベルに入れてくれたと思うよ。入れちゃダメだから!感謝の気持ちしかありません」コール&レスポンスで始まった「日本印度化計画」、冒頭にオーケンの絶叫が響いた「元祖高木ブー伝説」(ロビーにブーさんご本人から祝い花が届いていてほっこりした)と有名曲が続く。前者をカレー風味のハードロックだとしたら、後者は完全なるアングラパンク。当時の感じ方では、どちらもその歌詞の内容の面白さばかりを受け取っていたが、こうして長い時間が経ち、音楽性とともに味わうと、より楽曲の深さが身に染みる。本城聡章(Gt)「どっちの曲も何十年とやっているけど、全然歌詞を覚えてない。個人的にはライブというのはプロンプター(歌詞が表示されるモニター)との対話だと思っている(笑)。振り返ってみるとさ、そうだなー、『猫のテブクロ』ツアーの頃(1989年)が一番楽しかった(アルバム『猫のテブクロ』で本城と橘高が加入し、現ラインナップの原型となる)。だが……だが……、なんにも憶えてないんだよ!」と、ここで、オーケンが35年やってきてわかったことがあると言う。それがこれだ。「ロックって体に悪い」人より体力のないオーケンは、内田が楽屋で立ったまま靴下を履いている姿を目撃して衝撃を受けたそうだ。内田雄一郎(Ba)さらにこんな提言、というか宣言も。「激しい曲ばかりが続くと体力を消耗して保たないから、ちょいちょい『おサル音頭』を挟んでいけば大丈夫」4曲目はその「おサル音頭~BORN TO BE WILD~」。緩やかな音頭のリズムが会場を流れる。そしてヘヴィ楽曲「踊るダメ人間」へなだれ込む。確かにこの緩急はくせになる。「踊る赤ちゃん人間」では、よだれ掛け&ガラガラのアイテムで大人赤ちゃんに変身したオーケンの赤ちゃん語が響く。35年間の一番の思い出は?そんなテーマでトークが展開されていく。「活動休止した後に再始動したんだけど、その時に、お遊びじゃなくてやれる限りやっていこうって本気で再始動をしたからこそ今日の35周年につながっているのかなって思う」(橘高)「和田アキ子さんの歌番組に出た時(『歌のトップテン』1990年1月15日OA福井文化会館より生中継)にステージから落っこちたこと」(本城)「35年間のほとんどを忘れちゃって、デビュー当時のことしか憶えてない」(内田)中盤で披露したのは「月とテブクロ」。もはやジャンルはなく、ありとあらゆる音楽要素が溶け込んだ筋肉少女帯ならではのミクスチャーミュージックだ。ゆったりとしたグルーヴから一転ヘヴィなギターが鳴り響く展開はまさに組曲といった趣。これが初期楽曲なのだから、驚かされる。やはり普通のロックバンドではない。橘高文彦(Gt)休憩を挟んで、「これからの筋少どうなるか問題」をメンバー4人で話し合った後に披露したのは、「新人バンドのテーマ」。再始動後の復活第一弾アルバムに収録された楽曲をアコースティックセットでメンバー4人のみで演奏した。休憩明けからMC〜アコースティックな楽曲とオーディエンスが着席して楽しんでいたところ、いきなりオーケンから「立て」の指令。そこで、35年やって来てわかったこと、その2。「ロックのMCはパワハラ気味である」後半はハードな楽曲を惜しげもなく投入。「イワンのばか」では、見事なまでにヘドバンの華が咲き乱れた。メロディアス・ヘヴィ・ロックの「機械」「週替わりの奇跡の神話」、そして名曲「香菜、頭をよくしてあげよう」に続く。「筋肉少女帯、メジャーデビュー35周年。なかには志半ばで、音楽の道を諦めなければいけない人もいたわけで、そういうことを考えたら、この35年というのを大切に思わなければいけないなと。そして何より皆さんへ感謝しなければいけないと筋肉少女帯一同思っています」(大槻)本編最後の曲は、1988年6月21日にリリースした1stアルバム『仏陀L』の1曲目に収録されている「モーレツア太郎」。すでに長い時間をかけて出来上がっているオーディエンスとのノリではあるが、サビの部分の振りなんかはペンライトがあることを想定していたような“今感”がある。改めて、すごいバンドだなと思った。レジェンドではあるが、きちんと今という舞台に立っている。アンコールは、「釈迦」、そして6月14日にリリースされた35周年記念ベストアルバム『一瞬』に収録されている最新楽曲「50を過ぎたらバンドはアイドル」で大団円。35年のロング&ワインディングロードを経て、たどり着いた境地が素敵すぎる。オーケンの背中に大書きされた「筋肉少女帯」というバンド名が輝いて見えた。Text:谷岡正浩Photo:コザイリサ<公演情報>筋肉少女帯メジャーデビュー35周年記念ライブ「#筋少の日」2023年6月21日 LINE CUBE SHIBUYAセットリスト1. サンフランシスコ2. 日本印度化計画3. 元祖高木ブー伝説4. おサル音頭~BORN TO BE WILD~5. 踊るダメ人間6. 踊る赤ちゃん人間7. 月とテブクロ8. 新人バンドのテーマ9. サイコキラーズ・ラブ10. イワンのばか11. 機械12. 週替わりの奇跡の神話13. 香菜、頭をよくしてあげよう14. モーレツア太郎En1. 釈迦En2. 50を過ぎたらバンドはアイドル<リリース情報>筋肉少女帯 アルバム『一瞬!』発売中CD(2枚組):4,290円(税込)【収録曲】■DISC11. サンフランシスコ(2023ver.) ※新録音2. 釈迦(2013ver.)3. 日本印度化計画4. 踊る赤ちゃん人間5. 香菜、頭をよくしてあげよう(2013ver.)6. サボテンとバントライン7. 小さな恋のメロディ8. オカルト9. 再殺部隊10. サイコキラーズ・ラブ11. バトル野郎~100万人の兄貴~12. 航海の日13. ゾンビリバー ~Row your boat14. 元祖 高木ブー伝説15. 月とテブクロ16. ディオネア・フューチャー■DISC21. 50を過ぎたらバンドはアイドル ※新曲2. 高円寺心中(2023ver.) ※新録音3. 混ぜるな危険4. 踊るダメ人間5. イワンのばか ’076. 機械7. 衝撃のアウトサイダー・アート8. ドンマイ酒場9. くるくる少女(2013ver.)10. 暴いておやりよドルバッキー11. マタンゴ12. カーネーション・リインカネーション13. Guru 最終形14. エニグマ15. 週替わりの奇跡の神話16. 楽しいことしかない筋肉少女帯 公式サイトぴあアプリ/WEBにて 大槻ケンヂ連載「今のことしか書かないで」() 隔週水曜更新中
2023年06月27日ももいろクローバーZ・高城れにのソロライブ『30祭』が、6月25日(日) に神奈川県・ぴあアリーナMMにて開催された。ももいろクローバーZでは先んじて5月16日・17日の15周年記念ライブ『代々木無限大記念日 ももいろクローバーZ 15th Anniversary』にて声出しが解禁となったが、高城のソロコンサートでの声出し解禁はコロナ禍以降今回が初の実施となった。高城れには2015年からソロコンサートを実施しており、今年はももいろクローバーZ結成15周年イヤーを迎え、そして6月21日に30歳になったことを祝した『30祭』。代表曲「まるごとれにちゃん」をはじめ、今年3月に配信された横浜魅力発信タイアップソング「レニー来航!!」などこれまでにリリースされたソロ曲から、本日配信スタートしたばかりの最新曲「M&S~ママパパへ~」まで全25曲と、高城れにのソロコンサート史上最も曲数が多いセットリストとなった。なお本公演の模様は「ABEMA PPV ONLINE LIVE」で独占生配信され、会場に集まった“タカノフ”(高城れにのファンの総称)だけでなく、全国のタカノフが高城れにの『30祭』を祝った。開演時刻になるとオープニングVTRが始まり、高城の幼少期時代の写真とともにアイドルとして走り続けてきた過去を振り返る。紫色のペンライトが会場を埋め尽くす中、フルバンドがセッティングされたステージ上にチアガール衣装に身を包んだ高城れにが登場。HoneyWorksの「誇り高きアイドル」で幕開けを飾ったあと、「30祭へようこそ!」という呼びかけを皮切りに、自身初のソロアルバム『れにちゃんWORLD』に収録されている「SKY HIGH」「じれったいな」を披露して一気にぴあアリーナMMを“れにちゃんワールド”へと一変させた。続けてHoneyWorksの「金曜日のおはよう-another story-」、TikTokを中心に爆発的な広がりを見せるFRUITS ZIPPERの「わたしの一番かわいいところ」をキッズダンサーと一緒に愛らしさ全開でパフォーマンスすると、温かいハッピーなムードが会場に充満した。最初のMCでは、「どうする?待ちに待った30祭が始まっちゃったよー!」とソロコンサート初のアリーナ公演となる会場に呼びかけ、大きな歓声と拍手を浴びる。「ソロコンサートで史上最強に緊張したし、みんなの声聞いたらやばかったね」と久しぶりの声出し解禁に喜びを噛み締めた。恒例の自己紹介を終えたあと、「30祭をお祝いしに来てくれたスペシャルゲストがいらっしゃってます!」と呼び込むと、大きな拍手が鳴り響く中、5人組バンドwacciの橋口洋平(ボーカル・ギター)がステージに登場。元々高城がwacciのファンで、ソロ曲の制作を依頼したことから始まり、昨年の年末に開催された「ももいろ歌合戦」へwacciが出演、そして今回初のライブ共演へと至った。「大事なタイミングでれにちゃんのことを大好きな人たちとれにちゃんのお祝いの場所に僕も“おめでとう“を言いに来れてすごい嬉しいです」と橋口が話した。wacciが作詞作曲編曲を手掛けた高城のソロ曲「じゃないほう」を2人で歌唱し、ドラマ『やんごとなき一族』挿入歌で話題となりロングヒットしているwacciの楽曲「恋だろ」を2人で歌い上げ、この日限りのコラボパフォーマンスを果たした。歌い終えるとエモーショナルな余韻が残る中、「また曲作ってくださいー!」と橋口を見送った。ここのMCで、本編の衣装は幼い頃に着ていた服をモチーフにしており「30歳の私があの頃の服を着る」という衣装のテーマも明かした。再び一人のステージに戻った高城はトロッコに乗り込み、観客のもとへ移動しながら、ファンへの想いを歌ったバラードナンバー「何度でもセレナーデ」を歌唱。シティポップチューンの「Voyage!」ではポジティブな空気で会場を包みこみ、前半戦を締めくくった。初のソロ写真集発表でアザーカットも公開次のブロックでは、「新時代はこの未来だ~」と高らかに歌い上げる高城の歌声だけが会場に鳴り響き、ゼブラ柄をポイントにしたパンツスタイルでセンターステージに登場。Adoが歌唱キャストを務める、ウタ from ONE PIECE FILM REDの「新時代」を圧巻の歌唱力で歌い上げた。続いて世界的ヒットを遂げたYOASOBIの「アイドル」、ももいろクローバーZ最新アルバム『祝典』のリードトラック「MYSTERION」をダンサーとともに高度な振付のパフォーマンスで繰り広げた。さらに「レディ・メイ」では30歳になりたての色気を醸し出したパフォーマンスでタカノフのハートを鷲掴みにしたあと、Little Glee Monsterの「君のようになりたい」ではタップダンスを披露。クールなダンスパフォーマンスからタップダンスまで、まだまだ進化し続けるアイドル高城れにの新たな一面を魅せた。くまのイラストがあしらわれたワンピースに衣装チェンジを経て、ももいろクローバーZの楽曲「D’の純情」、SPEEDのトリビュートアルバムにも収録された「Go! Go! Heaven」をパワフルな歌声とダンスで披露し、「spart!」をエネルギッシュに歌い切りMCへ。ここで、「重大発表がございます!」と、今年8月29日(火) に初のソロ写真集を発売することを発表した。「みなさんが思い描いているような写真集なのかな?ちょっとここでアザーカットをお見せしたいと思います」というと、初の水着やランジェリーに挑戦した写真が映し出され、会場ではファンの歓喜の悲鳴が響き渡った。「私自身、女優さんやアイドルさん、モデルさんの写真集を見て憧れを持っていて、いつか出せたらいいな、そして私がこう思っているように、モノノフさんたちにも男女関係なく憧れられたら嬉しいなとずっと思っていて。20代やり残したことを聞かれる機会が多くなったときに、一皮剥けた、成長した私を届けられたらいいなと思い、今回挑戦させていただきました。この写真集を通じて、ももクロに少しでも興味を持ってもらえたらと思います。そして新たな高城れにを発掘してください!」というと、会場いっぱいにあたたかい拍手が鳴り響いた。ロケ地は本人の思い入れのある国、タイのバンコクと初めて訪れたクート島で撮影されたとのこと。先行カットを披露する場面もありファンの期待感が高められた。20代のうちに実現したかったというソロ写真集はキュートな笑顔から、29歳の色気まで、今まで見たことのない「高城れに」を詰め込んだ特別な一冊になる予定だ。高城れに写真集より(C)塚田亮平/集英社そして「Dancing れにちゃん」では後ろのスクリーンにファンから寄せられたこの曲のダンス動画が次々と映し出され、各地のタカノフとのコラボレーションが実現した。ソロコンサート鉄板曲の「一緒に」では総勢約60名のキッズダンサーが登場し大団円へ。バンドメンバー、ダンサーを紹介し、出演者全員で「everyday れにちゃん」をパフォーマンス。会場の隅々まで笑顔を届けて本編が幕を閉じた。会場からは「れーにちゃん!れーにちゃん!」と大きなアンコールの声援が鳴り響くと、その声に応えるように横浜魅力発信タイアップソング「レニー来航!!」、「Tail wind」とライブで盛り上がる自身の楽曲2曲を続けて披露し、一気に会場のボルテージを上昇させた。MCでは今回がソロコンサートとして最長時間、セットリストの曲数も最大であることを話し、アンコールのラストスパートへ。スクリーンにはファンから寄せられた「れにちゃんとの思い出写真」が映し出される中、バラードナンバー「しょこららいおん」を優しい歌声でしっとりと歌唱したあと、2017年にリリースした「まるごとれにちゃん」を歌いながらトロッコに乗り込んで会場のファンのもとへ駆け寄った。最後のMCでは「いつもそうですが、今回も本当にたくさんの愛情を感じた日だなと改めて思います。そして何よりも、誕生日を迎える度に思いますが、ママとパパの子でよかったなと思っています。今日配信された『M&S〜ママパパへ〜』。早くママとパパに聞かせたいってうずうずしていたんです。ここまでこのステージに立てるまで成長できたのは、ママとパパに感謝だなって思うので、その気持ちを歌にしてみました。タイトルの意味は、ママとパパのイニシャルです。ママとパパの名前もさりげなく入っています」と楽曲に込めた想いを話した。アンコール最後の曲は本日配信リリースされた新曲「M&S~ママパパへ~」。30歳を迎えた高城からママとパパに向けられたバラードナンバー。これまで育ててくれたことへの感謝を込めて歌い上げ、高城れにのソロライブ『30祭』はフィナーレを迎えた。<公演情報>高城れにソロライブ『30祭』6月25日(日) 神奈川・ぴあアリーナMM【セットリスト】M01. 誇り高きアイドル(HoneyWorks)M02. SKY HIGHM03. じれったいなM04. 金曜日のおはよう-another story-(HoneyWorks)M05. わたしの一番かわいいところ(FRUITS ZIPPER)M06. じゃないほうM07. 恋だろ(wacci)M08. 何度でもセレナーデM09. Voyage!M10. 新時代(Ado)M11. アイドル(YOASOBI)M12. MYSTERIONM13. レディ・メイM14. 君のようになりたい(Little Glee Monster)M15. D’の純情M16. GO! GO! HeavenM17. spart!M18. Dancing れにちゃんM19. 一緒にM20. everyday れにちゃん■ENCOREENCORE overtureM21. レニー来航!!M22. Tail windM23. しょこららいおんM24. まるごとれにちゃんM25. M&S~ママパパへ~セットリストプレイリスト:■ABEMA PPV ONLINE LIVE(アベマ ペイパービュー オンライン ライブ)販売期間:6月13日(火) 18:00〜30日(金) 23:59配信期間:6月25日(日) 18:00〜30日(金) 23:59視聴チケットはこちら:<配信情報>「M&S~ママパパへ~」作詞:AKIRA作曲・編曲:AKIRA、前田佑配信リンク:特設サイト:<写真集情報>高城れに写真集『タイトル未定』8月29日(火) 発売A4判/ソフトカバー/144ページ撮影:塚田亮平価格:3300円(税込)関連リンク公式サイト:::Twitter(Label):
2023年06月26日6月17日、日比谷野外音楽堂にて10人組ダンス&ボーカルグループBUDDiiSがワンマンライブ「BUDDiiS vol.05-MAGiiCAL-」を行った。グループ結成以来、初の野外となる本公演。初夏にぴったりの熱いライブの模様をレポートする。BUDDiiSが届ける、完全解放したライブ梅雨の真っ只中だというのに、晴れ渡った空。6月にしては少し暑すぎるようにも感じるが、青空と初夏の空気がBUDDiiSにはよく似合う。そしてこの空間がよりライブへの期待を高めてくれる。定刻17時。うっすらとスモークが立ち込め、照明が消える。スクリーンには森の中を10色の光が走るファンタジックな映像が流れ出す。メンバーの姿が映し出されるたびに、ペンライトが大きく揺れ、歓声が上がる。この日、腰椎椎間板ヘルニアおよび坐骨神経痛のため出演を見合わせているKEVINが映し出された際にはより大きな声援が沸き起こった。照明が会場をあおるように点滅し、体を揺らすようなサウンドが響き渡る。白を基調とした衣装を身に纏ったメンバーが登場すると、割れんばかりの拍手と歓声が響き渡る。「最高の1日にしていきましょう!」とFUMINORI。そんな最高の1日のオープニングを飾るのは、夏らしいムードを盛り上げる『Under The Sea』。FUMINORIの「暴れるぞ!」という声に会場が応える。ゆったりとした楽曲だが、1曲目の高揚感と、メンバーの気合いで波は激しめ、バディ(BUDDiiSファンの総称)たちを一気にその波で飲み込んでいく。初っ端から飛ばしていくセットリスト。続いては『To The Top』。ボーカルのKEVINの声は音源によるものだが、その歌声に9人の息の合ったダンスが重なるとグッとくるものがある。そこにMORRIEとSHOOTのハーモニーがバチッとハマり爽快感さえ感じられる。さらに2曲目にして銀テープが飛び、会場のテンションがもう一段階上がったのがわかる。 『Dream Love』ではFUMIYAがどこかあどけない表情を見せながらも、ドスの効いたラップを響かせれば、FUMINORIはキュートなウィンクを投げ、観客を魅了した。3曲を終えて「みなさんお待たせしました! そして晴れました!」とFUMINORIが言い、会場全体で晴天を喜んだあと、改めて一言ずつ自己紹介へ。トップバッターのMORRIEは「今日のためにツルツル坊主を作って……」と言って早速FUMINORIに「てるてる坊主ね」とツッコまれる。せっかくなので個性豊かな自己紹介を全員分残しておきたい。HARUKIはいつものスマイルで「天気も快晴でみんなの元気もモリモリで最高です!」と和ませ、SHOWは「ライブが楽しみすぎて髪が白くなっちゃった!」、続くFUMIYAもSHOWにならい「ライブ楽しみすぎて、雨男発揮しなくてすみました!」。SHOOTは「半パン小僧でーす。すみません、足出しちゃって。こんな暑かったら足出したくなりますよ」と言い、FUMINORIがその言葉を引き継ぎ「この顔してすね毛バリ濃いから短パン履けません!FUMINORIです!」とキュートなキメ顔で言うと、メンバーと会場からはカワイイの声。「マジでなんでも買ってあげる」と付け加え、会場を沸かせた。YUMAは「開始3曲で気合い入りすぎて結構もうヘトヘト。最後まで全力でがんばります」と癒しスマイルで気合いを見せた。「熱中症対策ということでコーラいっぱい飲んできました!」というTAKUYAにはメンバーからしっかりと「それはどうなの?」「あんまり意味ないかもな」「おいしいけどね」とツッコミが入る。ラストはSEIYA。「前の方から後ろの方まで一緒に楽しみましょう!」と会場を盛り上げた。自己紹介だけでニコニコしてしまうところだが、まだライブは始まったばかり。「最高の魔法にかかっていきますよ」というFUMINORIの言葉と共に次の曲へ。SHOOTのウィンクと大人っぽい表情で冒頭からバディの心を鷲掴みにした『ENCHANT』。FUMINORIの「たくさん踊って声出していきましょう!」と呼びかけたのは『Beautiful』。バディもメンバーと一緒にクラップで一体感を高めていく。さらに会場を熱くするのが『JEALOUS』。ここでは会場をふたつに分けてクラップの練習をしたあとに楽曲へ。曲の中盤では全員でタオルを回し、テンションもアップ。FUMIYAのダンスソロでは、手にしていたタオルもアイテムのように使いこなし、一瞬ながらも魅せていく様はさすがの一言だ。MCでは野外で気温も高いということでFUMINORIが念入りに水分補給を呼び掛けていく。もちろんメンバーも一緒に水分補給していくが、FUMIYAが水分補給をしている姿に会場からはカワイイという声が上がり、「誰だ、水飲んでかわいいって言われてるの!」とFUMINORIが張り合う場面も。ちなみに、この公演では設置されたスクリーンに常にメンバーの表情が映し出されており、意外なワンシーンを見られることも多々あったのではないだろうか。ここのMCでは改めてKEVINについても。「今回、メンバーのKEVINが出演できないことになってしまったんですけど、気持ちはステージに持ってきたので、最後まで10人のパフォーマンスを楽しんでもらえたらな、と思います」とFUMINORIが挨拶をした。ワンマンライブは半年ぶりとなる本公演。そして、ワンマンでの声出しは初めてとなる。そこで「みんなどれぐらい声が出せるか知りたいです」とFUMIYA。ここまでも声はステージに届いていたが、「もうちょいいける気がして」ということでコール&レスポンス。SHOOTも乗っかり「この10倍ぐらいいけます?」と観客をあおる。声掛けでFUMIYAが噛んだり、客席前方に虫が乱入するハプニングがありつつも、バディもしっかりと声を出したあとは『YO HO』から始まるメドレーへ。全員で手を上げ、声を出して、迫力あるダンスパフォーマンスを見せ「弱気な心Good bye」と歌いゴキゲンになっていく。そして『RISE IN LOVE』、『BEAST2』と続くメドレー。BUDDiiSの持っているさまざまなカラーの一部を映し出すような選曲でバディを酔わせていく。特に『BEAST2』では普段とは異なるワイルドな表情でドキリとさせる。そんな『BEAST2』の熱を帯びたまま、キレッキレのダンスパフォーマンスパートへ。FUMNORIのソロから始まり、TAKUYA、SHOOT、YUMAで魅せ、SHOWのソロにHARUKI、SEIYAが加わりダイナミックなパフォーマンスを見せ、FUMIYAのダンス、最後は全員で、と個性を生かしながらステージ上で躍動した。その存在感は日比谷野外音楽堂のステージを狭く感じさせるほどだ。「夏に汗かいて、こういうライブもいいんじゃないですか?」ダンスで圧倒したあとはFUMINORI、SEIYA、SHOW、FUMIYAで『Mr.FRAKE OUT』。ちょっとアングラな雰囲気も漂う楽曲で低いラップを響かせていく。いつもと少し異なる空気の中、バディも一緒になってその音に体を揺らす。FUMINORI曰く「かなり攻撃的なゾーン」を終えて、『Magic』の衣装に着替えたMORRIE、YUMA、HARUKI、SHOOTにバトンタッチしMCタイムへ。「ネクタイにすごく戸惑いました」と少し遅れてTAKUYAも加わる。暑さによる汗のせいで、早着替えにも手間取ってしまうのだという。ここまでを振り返ってHARUKIが「声出しがあって、どんどん盛り上がっていくので。盛り上がっていく準備はできていますか!」と会場に呼びかける。「野外は初ですので。みなさんにとっても思い出のライブになれば嬉しいな、と思いますし、まだ終わってないですけど、またね、こういう夏に汗かいてみんなでライブっていいんじゃないですか?」とSHOOT。湧く会場に「今日みんな絶対お風呂入るんだ?」という不思議な問いかけに、思わずTAKUYAが「どういうこと?」とツッコむ。「だいたいみんな同じぐらいの時間に入るんじゃない? ここに来た人たちが一番たくさんお風呂に入る時間帯当てましょうよ」とSHOOTの不思議な問いかけが続く。そして「俺から聞いたけど、知らん!」と苦笑い。これには、「暑さでおかしくなってきた?」とTAKUYAが言えば、「元からおかしいんだけど」と返すSHOOT。そこに「SHOOTは元からおかしいよね」とYUMA。「気付いちゃったんだよね。SHOOTと最近ずっと一緒にいるんですけど、SHOOTっておかしいんだな」ってまさかの証言が飛び出した。そこに着替えを終えたSEIYAが登場。が、襟元が乱れているのをTAKUYAとYUMAが直してあげるというほっこりする場面も。ちなみに、「SEIYAさんとネックレスお揃いなんです!付き合ってます」とMORRIEが報告し、並んでネックレスを披露。バディをここまでで一番沸かせた。続々と着替えを済ませたメンバーが戻ってくる中で、手こずっていたのはFUMIYA。最後にステージに姿を現したFUMIYAは「会場ってここで合ってます?」と言って会場を和ませた。わちゃわちゃと楽しくトークを繰り広げたところで、ライブは後半戦。しっとりと『her+art』からスタート。KEVINの優しい歌声が広がり、キレのある9人のダンスがステージを彩る。それぞれのボーカルがより際立つこの楽曲。MORRIEの高音、SHOOTの甘い声。重なった声が会場に広がっていき、愛で包み込む。さらに生カメラがそれぞれの瞬間を切り取っていく。ここからまた空気が変わり、『HOT CHEESE』へ。会場全体が一体になる「HOT CHHESE」のフリは自然と楽しさに口角が上がる。ダンスでも、もちろん歌声でも魅了。SHOWからTAKUYAへと優しい歌声を繋いでいくのも印象的だった。「一緒にジャンプしていきますよ」というFUMINORIの言葉と共に始まったのは『ALRIGHT』。サビでは、FUMINORIの言葉通り、全員が思いっきりジャンプ!をし、会場を揺らす。飛び跳ねて、ペンライトを回す。少しずつ太陽が傾き、気温も下がりつつあるというのに、会場の熱は上がっていくばかりだ。そしてここからは未リリース楽曲を立て続けに。HARUKI、TAKUYAのダンスからスタートした『P.A.R.T.Y』。伸びやかなダンスに歓声が上がる。SEIYAのラップ、低音の使い分けが効いてくる。「みなさんが僕たちの光です」というFUMINORIのメッセージとともに始まった『SUNSHINE』。SHOWの低い柔らかな声、そしてSHOOTの声で太陽が昇っていき、それぞれがその光を繋いでいくように歌声を繋いでいく。全員の歌声が聴ける楽曲だ。それでいて、ダンスはめまぐるしく変化していき、1秒たりともステージから目が離せない。「みなさんのかわいい笑顔を見せてください」とFUMINORIが言い『SM:)LE』へ。バディの笑顔を確認していくように、メンバー揃ってステージの端から端まで歩く。そんなメンバーの表情も笑顔だ。ライブ本編を締めくくるのは最新楽曲『Magic』。それぞれが思いを込めて歌声を届けた。KEVINも一緒に…最高潮の盛り上がりへすぐに会場からは大きなアンコールが。その声に応えるようにして、Tシャツ姿のメンバーが再びステージへと登場した。TシャツのデザインはSEIYAだそうで、「SEIYAさん、いつもデザインありがとうございます!」とFUMINORI。SEIYAも「みんなも着ていただいてありがとうございます」と客席にいるバディに向かって笑顔を見せた。早速アンコール1曲めへ。最高にカワイイ『The One』。FUMINORIがタイトルをコールしただけで大歓声が上がり、「最後の最後まで幸せを持って帰ってください!」ピンクを基調とした照明が楽曲のキュートさを盛り上げる。途中、MORRIEがKEVINとハートマークを作るパートがあるのだが、今日はKEVINが不在。代わりにFUMINORIが駆け寄り「いるよ~」とMORRIEとハートを作り、会場をほっこりさせた。さらに、この日の“電話”パートを担ったのは『もしもーし。KEVINでーす』。KEVINの声が響いた途端に大きな歓声が沸き起こった。『本当に行きたかった~!でもね、一番いいところ、僕とっちゃうからね。ほんとに好き』さらに二度目の銀テープが舞い、アンコールだというのにテンションをさらに上げてくれる。最後のMCではメンバーそれぞれから一言メッセージが。MORRIEは飛んだばかりの銀テープを手に取り、「すごいですね、これ銀テープ……金テープ?」と言い、「それかーい」としっかりFUMINORIからツッコミを受けたところで「今日9人で今やってますけど……気持ちは10人でやってますけど、ひとり減るとこんなに大変かと。ボーカル、きついですね。マジで倒れそうになる。KEVINがいつもいるから2人で歌ってるところはお互い補い合ってるのよ。『CLICK ME』の「勇気を出して~」の前のとかは、俺が歌ったりしてバランスとってるんだけど、いないとちょっときついですね」そんなMORRIEに会場からは「がんばれー!」という声が飛んだが、「それ以上にKEVINをもっと応援してあげたら。喜ぶ」と優しい表情を見せた。SEIYAは「あっという間の時間ですごく楽しかった。久しぶりのワンマンライブでこんなにたくさんの人が足を運んでくれて幸せです。KEVINくんの気持ちを持って10人でやったつもりで」。言葉がまとまらない、としつつも、「いつもみんなの応援でこうやって活動できてます。本当にありがとうございます」と感謝を伝えた。HARUKIは「10人の思いを乗せてここまでライブしてきましたけど、半年ぶりのライブということで、この日比谷野外音楽堂という場所でみんなの思いを溜めて溜めて溜めた熱い思いをバーン!とここで出せたと思います。次のライブにもこの思いを引き継いで、みんなで一緒に盛り上がっていきましょう」。SEIYAに「語彙力のあるTAKUYA」と言われ、TAKUYAは「そこであげてくるのやめようようよ」とはにかんだあと、「初めての野外ライブでこんなにみんなの声が響いて聞こえるって初めてのことだったのですごい嬉しかったです。やっぱりこの景色、今までのワンマンライブの中でみんなの顔が1番見れる中でパフォーマンスできるっていうのがすごく嬉しかったし、次こそ10人でこういうふうに立って、みんなの声も聞きながらパフォーマンスできたらな、と思っています」。この日、ボーカルでも存在感を示していたSHOW。「『To The Top』でKEVINくんと同じBメロ歌ってるので、KEVINくんがよくやってるアレンジにチャレンジしようとやったらめっちゃ声ひっくり返って。KEVINさん、偉大だ!と思って。『her+art』の落ちサビとかもKEVINくんを感じながらライブをしたな、という感じがありました」と振り返った。そして声出しについても、「ワンマンライブでみんなの声を聞けると本当に力をもらえるし、ここからもっと盛り上げるぞ、と、僕たちががんばりたいところでみんなが力をくれたな、という感じがすごくしました」と伝えた。FUMIYAは「やっぱりワンマンライブとしては初めての声出しで、初めての野外で、ということで結成してデビューしたころはこんな景色を見られると思ってなくて、本当に感慨深いんですけど……やっとパーフェクトな、完全解放したライブができてめちゃくちゃ楽しいし、みんなの声が聴けて、顔が見れてっていうのが、当たり前じゃないな、と知っているからこそ今日噛み締めながらライブができました」とここまでの道のりも交えながら語り、「これからもっともっとBUDDiiSは高みに行きたいし、いろんな景色を見ていきたいしバディのみんなに見せていきたいので、これからも一生よろしくお願いします」と笑顔を見せた。YUMAは「たくさん声も聞けて、顔も1番後ろまで、あなたもあなたもあなたもあなたも……見えました。カワイイな、と思いました」とにっこり。FUMINORIに「ナンパすな、急に!」とツッコまれながらも「大好きでーす」と伝え、大歓声を浴びた。そんなYUMAに「いいなあ」と言いながらもSHOOTは「結成してからちゃんと声出ししてっていうライブが初めてですから。感慨深いところもありますし、最初から応援してくださる方も、新しく応援してくださる方も、たくさん増えたと思うんですけど、なんか、お疲れ様です、って感じです。ほんと、ここまでですけどね、みんながんばって応援してくれたし、俺らもがんばってよかったな、って思うし。でもここで終わりじゃないし、まだまだ僕たちには見ないといけない景色も待ってると思うのでそこまでついてきてくれたら、僕らもちゃんと連れていくっていうのを約束するので。みなさん引き続き応援してくれたらもっと楽しいことを一緒にしたいな、と思うのでこれからもよろしくお願いします」。ラストはFUMINORI。「本当に伝えたいことはいつもひとつなんですけど、ありがとうございます。それに尽きます。ありがとう以上の言葉があるなら僕はそれをみなさんに伝えたい。こうしてステージに立つには、いろんな大人の方々の力があって、メンバーがいてくれて、何よりバディの皆さんがいてくれるから僕たちはこうして活動できているな、と日々感謝の気持ちでいっぱいです。ちょっとは甘えた言葉になりますけど、みなさんがいないと僕たちは強くなれないので。そして、みなさんがいると僕たちは強くなれます。だからこそ、これからも僕たちについてきてほしいな、と思いますので、これからも応援よろしくお願いします」。さらに、「BUDDiiSがお知らせなしにライブをやるわけがないんですよ! ということでお知らせ持ってきました!」と発表されたのは、10月14日、15日に幕張メッセイベントホールでのライブ開催だ。このビッグなお知らせに会場は最高潮の盛り上がりを見せる。「幕張ついに来たな!」とFUMINORI。客席からも「やばい!やばい!」という感激の声があちこちで漏れる。「もちろん大きいだけが全てじゃないですけど、大きい会場でできることは僕たちはすごく嬉しいことなので。本当に楽しみにしていただけたら嬉しいな、と思います」とFUMINORIが言い、メンバーも嬉しそうに、そして感慨深げに頷き合う。そんな熱狂冷めやらぬなか、本当に最後の楽曲『OZ』へ。ラストのサビ、KEVINのパートはバディも一緒に大合唱。楽しい時間を全員で締めくくった。「これからもたくさん楽しみを作っていけるように僕たちも一生懸命頑張りますし、少し疲れちゃったな、とか、元気がないときは今日のことを思い出して少しでも笑顔になってくれたら嬉しいな、というふうに思います。今日という一日が本当にこれからの人生の財産になりました。最高の思い出をありがとうございました」とFUMINORIが言い、メンバー全員で「ありがとう」を伝えた。『Magic』で「君を連れていくよ」と歌うBUDDiiS。これから、彼らがどんな場所に連れて行ってくれて、どんな景色を見せてくれるのか、期待は膨らむばかりだ。取材・文:ふくだりょうこ撮影:笹森健一、小坂茂雄
2023年06月25日