お酒をこよなく愛するアナウンサー・宇賀なつみさんの「宇賀なつみのほろ酔いおつまみ」。今回は『ドリア&グラタンなつめ』のいろいろシーフードドリアです。宇賀(以下U):ドリアって、実は意外と飲めるお料理なんだよね。具がいろいろあるし、チーズものっていて、ちょっとずつ食べられるから。編集S(以下S):具も迷うし、ドリアかグラタンかも悩ましいです…。U:私はお米が大好きだから、やっぱりドリア派。お肉系も捨てがたいけど、シーフードに決めた!お魚って、意識しないと摂れないから。S:エビとイカがごろごろ入っていて最高!ホタテとサーモンもほくほくで、白ワインとよく合いますね。U:トッピングメニューも豊富なんだよね。基本のドリアorグラタンに好きなトッピングだけ選べば自分オリジナルにカスタマイズできちゃう。S:2人で来ればドリアとグラタンそれぞれ頼んでシェアできるし、いろんな味を食べてみたくなりますね。U:通し営業だから、好きな時間にサクッと入れるのもありがたい~。S:一見すると、お酒を楽しむというよりごはんを食べるレストランなのかなと思ったのですが…。U:私も最初はそう思ったんだけど、店内にいる方々を見てみるとワインのボトルを開けている方がいたり、飲んでる方も多いんだよね。おつまみにいいサイドメニューも豊富だし。S:店員さんによると、やはりお酒を楽しむ方が多いとのこと。U:だよね!飲兵衛としての嗅覚が、飲めるお店だと察知した(笑)。いろいろシーフードドリア¥1,485。ドリアのメニューはすべてグラタンを選ぶことも可能。ハウスワイン(白・グラス)¥495。ドリア&グラタンなつめ東京都渋谷区富ヶ谷1‐53‐2 レオマックビル1FTEL:03・6407・827711:30~23:00(22:00LO)不定休2013年オープン。テイクアウトも可能で、電話注文でも来店時の注文でもOK。宇賀なつみお酒をこよなく愛するアナウンサー。自身初のエッセイ本『じゆうがたび』(幻冬舎)が発売中。編集Sこの連載で、炭水化物×お酒という魅惑のコラボに夢中になりつつあります…。※『anan』2024年3月13日号より。写真・清水奈緒(by anan編集部)
2024年03月07日坂井市【Simply French Tendreタンドル】坂井市【la clarté】大野市【Cipolla】大飯郡【Deli&Cafe Napo】大飯郡【ホテルうみんぴあさぼうる】坂井市【Simply French Tendreタンドル】福井の食材を使ったフレンチを楽しめる一軒家レストラン地魚のおいしさを堪能できる『前菜~越前港甲イカのグリル三国産ピュアホワイトとハーブのサラダセミドライトマトとオリーブのソース』春江駅から徒歩14分。【Simply French Tendreタンドル】は、星付きレストランで修業を積んだシェフが腕を振るうレストラン。農家などから仕入れる種類豊富な野菜、三国港で手に入れる地元の魚介類を使ったメニューの数々を、昼は4種、夜は3種のコースで楽しめます。柔らかで温かな照明が落ち着ける雰囲気の店内お店は20台分の駐車スペースを持つ一軒家。天井が高く開放感ある店内は、エリアごとにモダン・アジアン・ヨーロピアンといった、別の雰囲気が楽しめます。一人でも利用しやすいカウンター席のほか、半個室、個室も完備。家族の食事会や気の置けない友達同士のパーティーなど、いろいろなシチュエーションで使うことができます。Simply French Tendreタンドル【エリア】坂井/あわら/永平寺【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】2600円【ディナー平均予算】6500円【アクセス】春江駅 徒歩14分坂井市【la clarté】薪火のメニューにこだわる里山のレストラン薪火焼きクロワッサンや自家製ソーセージなどを楽しめる『ラ クラルテ』坂井市にある【la clarté】は、緑豊かな自然の中にある里山のレストラン。店内には福井で製造された2台の薪オーブンを設置。無添加の『ソーセージ』や、サクッ・フワッとした食感の『クロワッサン』など、おいしい料理はすべてこの薪火によってつくられています。広々とした店内にはカウンター席も用意されているお店へは、街から車を走らせ、バタフライ型の屋根を目印に。店内は美しい木の梁が目を引く広々とした空間。ピアノや薪ストーブなどが設置され、雰囲気も抜群です。年齢を問わずゆったりと過ごせるスペースになっていて、ワークショップやイベントも随時開催されています。la clarté【エリア】坂井/あわら/永平寺【ジャンル】洋食【ランチ平均予算】2000円【ディナー平均予算】5000円大野市【Cipolla】地元産の野菜をふんだんに使ったイタリアンに舌鼓野菜や魚介類などを使った『前菜盛り合わせ』(写真は1人前)越前大野駅から徒歩15分。【Cipolla】は、地元である大野産の野菜をたっぷりと使ったイタリアンを楽しめるレストラン。化学調味料を使わず、ひと手間加えた素材の味を活かす料理を取りそろえています。テイクアウトメニューが豊富に用意されているのも見逃せません。気軽に普段使いできる雰囲気の明るい店内お店のコンセプトは「主役はお客さんの会話」。その言葉どおり、店内は料理を通して、くつろぎながら会話を楽しめる空間になっています。一人でも気軽に利用できるカウンター席のほか、テーブル席やソファー席なども用意されていて、思い思いに時間を過ごすことができます。Cipolla【エリア】坂井/あわら/永平寺【ジャンル】イタリアン【ランチ平均予算】1200円【ディナー平均予算】5000円【アクセス】越前大野駅 徒歩15分大飯郡【Deli&Cafe Napo】自家製生パスタのほか、種類豊富にそろうメニューを堪能自家製トマトソースと生パスタを合わせた『スパゲッティナポリタン』若狭和田駅から徒歩5分という駅近にある【Deli&Cafe Napo】は、オリジナルの生パスタを使ったメニューが楽しめるお店。オススメの『スパゲッティナポリタン』は、シンプルで飽きのこない、クセになる味わい。ほかにも地元産農産物や若狭湾で揚がる魚介を使った料理がそろっています。店内は白とブラウンをベースにした落ち着ける空間居心地のいい店内には、カウンター席やテーブル席を完備。お店の前には広く取った駐車スペースがあり、入り口の階段脇にはスロープも設置するなど、親子三代での利用がしやすいのもうれしいところ。食事会やデートなど、いろいろなシーンで使えるお店です。Deli&Cafe Napo【エリア】小浜【ジャンル】イタリアン【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】2000円【アクセス】若狭和田駅 徒歩5分大飯郡【ホテルうみんぴあさぼうる】海を眺めながら料理を楽しめるホテルレストランシメのリゾットやパスタもたまらない『オマール海老のブイヤベース(ランチタイム)』若狭本郷駅が最寄駅、「うみんぴあ大飯内」にある【ホテルうみんぴあさぼうる】。旬の若狭の食材をたっぷりと使ったメニューの数々をコース仕立てで楽しむことがでできます。ブイヤベースやポワレなど、新鮮な魚介類を使ったその味は格別。約40種そろうワインと合わせてぜひ!開放的な店内からは若狭の海を眺めることができる店内は洗練されたエレガントな空間。大きく取られた窓からは明るい光が差し込み、若狭の海を眺めながらの食事を楽しむことができます。毎月第2水曜、第4木曜のランチタイムには『カジュアルランチ&デザートバイキング』が開催されるので、そちらもオススメです。ホテルうみんぴあさぼうる【エリア】小浜【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】2000円【ディナー平均予算】11000円【アクセス】若狭本郷駅 徒歩20分※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報や営業時間は店舗にご確認ください。
2024年02月29日【カーラ・アウレリア】がベーカリー・ラボ・レストランの複合施設にリニューアル【Farm to Me】の“F”をかたどった壁面植樹。こちらは日本を代表する建築家・新居千秋氏によるものフーディーの間でパンとお酒を合わせて楽しむ「パン飲み」が流行するなど、ここ数年、パンとドリンクを合わせて楽しむペアリングに注目が集まっています。そんな中、昨年の秋に誕生した【Farm to Me】では、料理×パンのマリアージュを提案。こちらはパン屋大賞に選ばれた大東製糖のベーカリー【カーラ・アウレリア】がリニューアルしたお店で、1階はベーカリー&ショップ、2階は商品開発ラボ、3階はベーカリーレストランになっています。1階のベーカリー&ショップ。パンのテイクアウトに加え、オリーブオイルやさとうきび糖などが購入可能1階で購入したパンは4階にある屋上庭園でも食べられます屋上からは隅田川テラスが一望できます【Farm to Me】のベーカリーを取り仕切るのは、前身の【カーラ・アウレリア】を16年に渡りけん引してきた藤枝敏郎シェフ。「バゲット」、「カンパーニュ」、「ライブレッド」、「ブリオッシュ」、「高加水パン」をお店のキーブレッドに選定し、製法や材料を一から見直しブラッシュアップ。藤枝さん自らが産地を訪問し、国産小麦粉をはじめ、使用する材料は生産者とつながり、安心・安全で信頼できるものを使用しています。3階のベーカリーレストラン。天気のいい日は太陽の光が差し込む、リバービューの開放感あふれる店内3階のベーカリーレストランでは、パン×料理のマリアージュが楽しめます。料理を監修するのは、山形の名イタリアン【アル・ケッチァーノ】の奥田政行シェフ。日本各地の食材を活かし、パンや紅茶によく合う料理をコース仕立てで提供しています。この日はランチタイムに伺い、『フルコースランチ』をオーダーしました。『フルコースランチ』3,500円(税込)この日のメニューはこちら。①Breadキ-ブレッド5種(食べ放題)「バゲット」「カンパーニュ」「ライブレット」「ブリオッシュ」「大麦高加水パン」②Spread&Oil「ファットリアビオさんのリコッタフレスカ」「まるごとゆずのジャム」「イタリア産ツナのブランダード」「九十九里の塩とバター」「アボカドとクリームチーズのディップ」「シチリア産E.V.オリーブオイル」③Salad『農家さんより本日のサラダ』さとうきび酢ドレッシング④Soup『ルタバガとポワローのスープ』⑤Dish(この中から2皿)『銀鮭スモークと冬野菜のきび酢マリネ』『天元豚ソーセージと黒キャベツの煮込み』『北海道産白いんげん豆と唐千寿』⑥Dessert『本日のデザート』⑦ティーブレンダー・内田さんの厳選紅茶、またはコーヒーWeb予約し、来店後は座席でモバイルオーダー。ちなみに、3階レストランはキャッシュレスのみ①Bread キ-ブレッド5種(食べ放題)②Spread&Oil●パンは左から「大麦高加水パン」「ライブレット(粗びき)」「カンパーニュ」「ブリオッシュ」「バゲット」●スプレッドは左から「ファットリアビオさんのリコッタフレスカ」「まるごとゆずのジャム」「イタリア産ツナのブランダード」「九十九里の塩とバター」「アボカドとクリームチーズのディップ」、そして「シチリア産E.V.オリーブオイル」本日の最大のお楽しみ、キーブレッド。こちらはお店を代表するパン5種と、それに合わせるスプレッド5種+オリーブオイルです。どれを合わせればいいのか迷ってしまいますが、パンフレットにパン×スプレッドのオススメの組み合わせが記載されているので、そちらに沿ってパンとスプレッドのマリアージュを楽しみます。パンやスプレッドの説明を読みながらマリアージュを楽しむことで、味の理解度も高まります「ブリオッシュ」×「まるごとゆずのジャム」「バゲット」×「九十九里の塩とバター」このキーブレッドの味わいが素晴らしい。まずはお店を代表するパンのひとつ、「大麦高加水パン」から。一般的なパンの加水率が65%前後のところ、123%の“超加水”で仕上げられており、周りはカリカリ、中は超モチモチの食感。油脂不使用なので味わいはさっぱりとしていて、最後に甘みが残ります。合わせるディップは、濃厚なのに後味さっぱりの「アボカドとクリームチーズのディップ」。まろやかで丸みのある味わいに。次は、北海道産のライ麦粉100%使用の「ライブレット(粗びき)」を。サワーダネだけで発酵させているらしく、しっかりと酸味を感じられます。粗びきと細びきの2タイプあり、レストランでは粗びきをいただきました。密度が高くしっとりとした生地感と、粗びき特有のザクザクとした食感がクセになります。食事に合うパンなので、「イタリア産ツナのブランダード」との相性も抜群でした。「カンパーニュ」も加水率が高めでしっとりとした食感。カンパーニュ特有の強めの酸味ではなく、少し控えめのやさしい酸味が特徴。お店でつくったルバンダネとサワーダネの2種の発酵ダネを使うことでマイルドな酸味になっているそう。こちらも酸味と合う「イタリア産ツナのブランダード」とのマリアージュを楽しみました。フランスのイズニー社の発酵バターを使った「ブリオッシュ」は、「素焚糖(すだきとう)」を使用することで保水性を高めており、しっとりとした食感に仕上がっています。こちらは「まるごとゆずのジャム」と合わせることでケーキのような味わいに。最後は「バケット」。塩味は控えめで、一口食べると適度な塩味と甘い香りが漂います。こちらには、ほどよくにがりを感じられる「九十九里の塩とバター」や、「シチリア産E.V.オリーブオイル」を合わせてスタンダードに楽しみました。おかわりパンのある「パンステーション」リベイクしてくれるのがうれしいおかわりではキーブレッド以外の種類もありましたまた、パンはおかわり自由なので、レストランの中央にある「パンステーション」に行き、おかわりしたいパンを選びます。さらにリベイクしてくれるので、まるで焼き立てのような味わいを楽しめます。※時間帯によっては品切れのパンも出てくるので要注意③Salad④Soup『農家さんより本日のサラダ』さとうきび酢ドレッシング『ルタバガとポワローのスープ』こちらはコースの最初に出てきたサラダとスープ。サラダは野菜の濃厚な味わいとフレッシュさに感動。自家製のさとうきび酢を使用したオリジナルドレッシングがかかっており、柑橘系のさっぱりとした味わいでした。スープには、じゃがいもとかぶを掛け合わせたような食感と濃厚な甘みが特徴のスウェーデン原産のかぶ「ルタバガ」を使用。野菜の旨みが溶け出した透明感のあるスープで、疲れた体に染みわたりました。⑤Dish(3種の中から2種を選択)『銀鮭スモークと冬野菜のきび酢マリネ』『天元豚ソーセージと黒キャベツの煮込み』『北海道産白いんげん豆と唐千寿』メイン料理は、3種類の中から一人2種類が選べます。この日は2名で伺ったので、3種類をシェアしました。お料理はどれも本格的で、素材そのものの味わいやおいしさを最大限に引き出されたものでした。この日いただいたのは、冷燻した三陸産の銀鮭と山形県産の雪菜やプチヴェールなどを自家製のさとうきび酢でマリネした『銀鮭スモークと冬野菜のきび酢マリネ』。旨みが凝縮したスモークサーモンと、マリネされた野菜の酸味との相性抜群。脂の甘い山形のブランド豚「天元豚」のソーセージと、旬の黒キャベツをソーセージのだしとコンソメで煮込んだ『天元豚ソーセージと黒キャベツの煮込み』。プリッとした歯ごたえのソーセージの旨みと、黒キャベツのいい苦みがアクセント。そして、やわらかく炊いた白いんげんに、からすみに似た石川県の「唐千寿」を合わせた温菜『北海道産白いんげん豆と唐千寿』。ホクホクとした食感の白いんげんの優しい味わいに、唐千寿の程よい塩味が加わり、箸が止まりませんでした。⑥Dessert『本日のデザート』は、バニラアイスと旬のフルーツパンと料理の組み合わせはいままでもあったけれど、「パン×料理のマリアージュ」に特化したコース料理というのは、とても興味深い体験でした。パン好きは見逃せない、ベーカリーレストラン【Farm to Me】。ぜひ、足を運んでみてください。コースメニュー▽Lunch・フルコース 3,500円(税込)食べ放題のパン、スプレッド6種類、サラダ、スープ、料理2皿、デザート、厳選紅茶orコーヒー・ハーフコース 2,200円(税込)フルコースのデザートと飲み物がつかないコース▽Dinner食べ放題のパン、スプレッド6種類、サラダ、スープ、前菜2皿、メイン、デザート、食後の飲み物・メイン2皿:7,150円(税込)・メイン1皿:5,280円(税込)アラカルトもありFarm to Me Restaurant【エリア】清澄白河【ジャンル】軽食・その他グルメ【ランチ平均予算】2,000円 ~ 2,999円【ディナー平均予算】6,000円 ~ 7,999円※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報や営業時間は店舗にご確認ください。
2024年02月26日皆さんは、無断キャンセルをした経験はありますか? 今回は「迷惑行為を繰り返す男」にまつわる物語とその感想を紹介します。 ※この物語はフィクションです。イラスト:あしたのLaw〜スカッとする漫画動画〜複数のレストランを予約して…彼女とのデートのために、あらゆるジャンルのレストランを複数予約していた主人公。彼女が「今日はイタリアンが食べたい!」と言ったため、主人公は他の店を無断キャンセルして…。他の店から電話が…出典:あしたのLaw〜スカッとする漫画動画〜予約確認の電話が鳴り響き「他の店も着拒しとくか」と、主人公は着信拒否しました。そんなある日、レストランでトラブルを起こした主人公は、その店を逆恨みします。そして店に嫌がらせをするため、予約と無断キャンセルを繰り返し…。オーナーから「法的処置をとる」と言われても、反省せずに無断キャンセルをしたのです。すると後日、自宅に警察がやってきて、主人公は「警察…?なんで!?」と青ざめるのでした。読者の感想複数の店を予約して無断キャンセルを繰り返すなんて、主人公の言動は非常識ですね。店側からするとかなり迷惑なので、警察が来て当然だと感じました。(30代/女性)彼女のために店を予約するのはいいですが、複数の店を無断キャンセルするとは悪質ですね。反省せず迷惑行為を繰り返す主人公を同じ男性として情けないと思いました。(20代/男性)※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点のものになります。※実際に募集した感想をもとに記事化しています。(lamire編集部)
2024年02月18日お酒をこよなく愛するアナウンサー・宇賀なつみさんの「宇賀なつみのほろ酔いおつまみ」。今回は『UCCIARE!!!』(ウッチャーレ)のマルゲリータスペシャルです。編集S(以下S):住宅街の中に、こんなおしゃれなお店があるとは!宇賀なつみ(以下U):もともと鮫洲に2店舗あって、実はそのうち1店舗は取材で伺ったことがあるの。マルゲリータは誰もが一度は頼むものだからこそ、お店の特徴が出るかなと。S:店舗を構える前はキッチンカーで移動販売をしていて、今でもイベントなどで出店されているそうです。ちなみに、鮫洲のお店とはピザ生地を差別化して特色を出すために、こちらは国産小麦100%なんだとか。U:窯から出てきた時にいい香りが広がったよね!すごく軽いのにちゃんともちもちしていて、1枚ぺろっといけちゃうなぁ。S:特注のピザ窯で焼かれている本格っぷりに、気分も上がりますね!U:Sサイズがあるのもいいよね。2人で来ても飲みながら2種類を頼んで楽しめる!ピザのほかにも前菜の盛り合わせとかポテトフライとか、お酒と楽しめるものがたくさん。今後は、併設の工房でクラフトビールの醸造もやっていくんだって。S:ピザに合う飲み物といえばコーラだ、ということで、コーラをベースにピザに合うビールを目指して、試行錯誤されているとのこと。ビールにもこだわりを感じますね。U:醸造は、3月からの稼働が目標なんだって。S:今後の楽しみですね!マルゲリータスペシャル(S)¥1,410、日によってラインナップが変わるというクラフトビールは¥770~。UCCIARE!!!東京都大田区東矢口2‐5‐15TEL:03・4283・438117:00~21:00LO(土・日曜は11:30~14:00でランチ営業あり)月~水曜休鮫洲に2店舗ある姉妹店に続く3店舗目として2023年4月にオープン。※『anan』2024年2月14日号より。写真・清水奈緒(by anan編集部)
2024年02月08日フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『鶏焼き肉 囲(かこい)』の鶏焼肉です。焼肉の要領で鶏を焼く。鶏焼肉という食文化が軽やかでヘルシーで大好きなのだが何しろ東京には専門店が少ない……。とかねがね思っていたところ、ここへきて鶏焼肉専門店のニューオープンの話題をちらほら聞くようになった。嬉しい、ありがたい、どんどん鶏肉を焼きたい。六本木に昨年10月にオープンした『鶏焼き肉 囲』もそのひとつだ。清潔感のある掘りごたつの店内は大きな窓の向こうに桜の木があって、春にはお花見にももってこいだと嬉しくなるが、それはさておき鶏である。『鶏焼き肉 囲』は鶏肉にこだわるあまり鶏から育てているとのことで、エサや飼育環境から携わる「きさ輝地鶏」が登場する。この地鶏、肉の旨味が強く脂がしっかりのって素晴らしい味わい。それにしても良い食材を仕入れるのではなく、食材自体を生み出すところから始めるとは並々ならぬ熱量だが、それもそのはず、この店の監修は焼き鳥店でミシュラン一つ星を獲得する大阪『鳥匠いし井』の石井吉智氏が務めている。ネギ塩を纏った胸肉のさっぱり感も、辛味噌で赤く輝く脂ののったふりそでも、それぞれの部位ならではのおいしさを堪能できる鶏焼肉。サイドメニューも、飲めるほどトロトロの親子丼に鶏白湯煮込みなど鶏専門店ならではの充実っぷり。飲んで食べても牛焼肉に比べてハッとするほどリーズナブル。鶏焼肉、これ2024年、流行ると思います!ネギ塩タレ胸肉(1400円)に、辛味噌タレのふりそで(850円)をじっくり焼いて。那須の高級「極」卵を惜しげもなく使った地鶏の親子丼(1650円)もマストオーダー。桃色が美しいガリサワー(650円)に、お茶っ葉を使用したクラフトビール「見冨右衛門ビール」(1500円)などドリンクも楽しい。鶏焼き肉 囲東京都港区六本木7‐5‐11カサグランデミワ2FTEL:03・6721・192717:30~22:30(フード50分前、ドリンク30分前LO)月・火曜休ひらの・さきこ1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)など。※『anan』2024年2月7日号より。写真・清水奈緒取材、文・平野紗季子(by anan編集部)
2024年02月01日歴史的な文化財が多く残る日光。徳川幕府から明治維新、西洋化や近代化の歴史が、そのまま保存されていたり、時代に合わせて変化したり。時代の機微を感じてみては?日光で味わいたいクラシック建築巡り日光金谷ホテル現存する日本最古のリゾートホテルで、スペシャルな時間を過ごして。1873(明治6)年創業。日光東照宮の楽師・金谷善一郎が自宅の一部を、外国人向けの宿として開業したのが始まり。日本の建築美に西洋の家具や備品がとけ込み、古き良き明治時代の趣を残す、現存する日本最古のリゾートホテル。エントランスの回転扉の上にある立派な彫刻は一見の価値あり。ほかにも日光東照宮にある霊獣や彫刻を模して作られたものが館内のあちこちにあしらわれ、館内を巡っているだけで歴史の音が聞こえてくる。そんなクラシカルなホテルのメインダイニングルームでランチタイムを過ごすのも贅沢。レストランはビジターも予約せずに利用可能。大正時代から歴代の料理長に代々受け継がれてきた一皿「大正コロッケット」をはじめ、長く愛されてきた金谷ホテル伝統の西洋料理が味わえる。伝統を守りながらも、時代に合わせて変化してきた料理は、一流料理人の息遣いとお客様を迎えるおもてなしの気持ちを感じられる。「プリフィックスランチ」¥6,000。メインは「大正コロッケット」(+¥1,200)をはじめ、6種類から選べる。建物は登録有形文化財に指定されている。メインダイニングルームで、おなじみの三猿の彫刻を発見!日光市上鉢石町1300TEL:0288・54・0007ランチ営業は11:30~14:30LO日光田母沢(たもざわ)御用邸記念公園江戸後期から明治、大正と、時代の変化を感じられる文化財。江戸、明治、大正の3つの時代の建築様式を見ることができる貴重な建造物。もともとこの地にあった日光出身の銀行家・小林年保の別邸に、赤坂離宮などに使われていた1840(天保11)年建造の旧紀州徳川家江戸中屋敷の一部を移築し、1899(明治32)年に大正天皇(当時は皇太子)の静養地として造営。さらに大正天皇即位後、大規模な増改築が行われ、1921(大正10)年に現在の姿に。日本古来の伝統的な和風建築の形態でありながら、シャンデリアやじゅうたんなど、一部に西洋の生活様式を取り入れられた和洋折衷の造りが見事。部屋数はなんと106部屋!尾州檜の中でも最高の木材を用い、最高の技術で造られた大正天皇が滞在中に使用した謁見所をはじめ、天皇陛下の書斎として使用された御学問所、ビリヤード台が置かれた御玉突所など、どこも贅を極めた造りで、皇室文化に気軽に触れられる。1月末まで庭園を一望できる御展望室が特別公開中。明治初期以降、ビリヤードを通して諸外国の賓客と交流を深めるために設けられ御玉突所。御学問所の丸窓からは、樹齢400年を誇る立派なシダレザクラを眺められる。美しい模様が入ったガラスは3階の御展望室に。日光市本町8‐27TEL:0288・53・67679:00~16:30(11月~3月)火曜休入園料\600(大人)西洋料理 明治の館創業以来変わらない味を、クラシックな建築とともに楽しめる。日光東照宮のすぐそばにある、日本の蓄音機の父と呼ばれたアメリカ人、F・W・ホーンの元別荘を利用した西洋料理レストラン。石造りの建物は、稲荷川の日光石を壁面に積み上げた「乱れ石積み」と、18世紀に流行したジョージアン様式を用い、長い年月をかけて匠の粋を尽くして明治末期に建てられたもの。その貴重な明治の近代遺産の面影をそのまま残し、1977(昭和52)年に西洋料理レストランとしてオープン。デミグラスソース、チキンライス、ふんわり卵の三重奏が楽しめる「オムレツライス」、2週間かけて作る「ビーフシチューの壺焼き」は創業当時から提供している人気メニュー。総料理長・山元実さんら熟練のシェフたちが手間ひまかけて仕込み、プロの技で仕上げる洋食メニューはどれも味わい深い。食後は、本場デンマーク産の最高級クリームチーズを使用し、濃厚な味わいに仕上げたベイクドタイプの「チーズケーキ(ニルバーナ)」を。1番人気の「オムレツライス」¥1,870。サクサクのパイから大きなお肉や野菜が顔を出す「ビーフシチューの壺焼き」¥2,640。「チーズケーキ(ニルバーナ)」(¥550)は、隣接のショップなどでもテイクアウトできる。日光市山内2339‐1TEL:0288・53・375111:00~19:30LO無休※『anan』2024年1月24日号より。写真・中村香奈子(by anan編集部)
2024年01月21日佐賀で限定オープンしたプレミアムレストラン。「食材」と「器」と「料理人」を掛け合わせた最高の美食体験と、このイベントを陰で支える県内の生産者を訪ねる旅の様子をお伝えします。最高の器で最高の食を味わい尽くす体験!美術館(MUSEUM)に飾るような人間国宝などの器を使い(USE)、佐賀の食材を才能豊かな料理人たちの技で仕上げた料理が楽しめる、期間限定のプレミアムレストラン「USEUM SAGA」(ユージアムサガ)。2021年からスタートして、2023年12月に5回目が佐賀市を舞台に開催されました。独創的な空間で開催された「USEUM SAGA」。佐賀は温暖な気候で自然にも恵まれていることから、食材が豊富です。これに加えて焼き物の産地でもあるため、唐津焼や有田焼などが歴史と共に受け継がれてきた場所でもあります。豊富な食材と伝統ある器。両者をつなぐには、腕利きの料理人が必要です。県内の料理人と県外の料理人がタッグを組んで1つのコースを仕立てることも、このユージアムサガの特徴。料理人一人の力だけではなし得ない、今までにないプレミアムな食体験へと押し上げられるのです。今回シェフの一人は、佐賀市にある『カレーのアキンボ』のオーナーで、独創的なスパイス料理でカレーフリークや美食家たちを魅了している川岸真人シェフ。そしてもう一人は、沖縄・宮古島の風土や食文化を100年後につなげる料理をテーマに、琉球ガストロノミーを提唱する渡真利泰洋シェフ。二人は偶然にも同い年。佐賀と沖縄のカルチャーにスパイスの要素も加わる、二人の化学反応から生まれた独創的な料理が繰り広げられました。川岸真人シェフ(写真左)と渡真利泰洋シェフ。互いを知って生まれた至極のメニューこのイベントが開催される数か月前、渡真利シェフと川岸シェフは互いが暮らす場所を行き来してそれぞれの風土や文化について学び、メニューをどう組み立てていくかをシェフ二人で会話を重ねながら決めていったそう。それぞれのシェフが交互に料理を提供するスタイルはよく見られますが、今回は完成度の高さを求めて全てのメニューを合作にすることに。アルコール、ノンアルコールのドリンクと食事のペアリングも楽しんだ。食べ終えると思わず器をうっとりと眺めてしまう。今回の夢のようなメニューを1品ずつ紹介します。1品目は「水イカのパフェ」。ねっとりとした食感の水イカ、カリッと香ばしい菊芋、甘みのあるパパイヤ。それぞれが小さめにカットされているので口の中で混ざり合って、味わいが深まっていきます。水イカのパフェ今右衛門窯2品目は「カキトカブ」。カキの下に酒粕入りのアイスクリームを敷き、さいの目切りにしたカブを添えた一品。器に使われている「ハマ」は、磁器を窯に入れて焼成する際に磁器がくっつかないよう焼台として下に敷くもの。基本的に一度使ったら廃棄されていますが、今回は器として活用されました。カキトカブハマ3品目は「ポーポー」。宮廷料理にも出される一品。インドのスパイスとオイルで和えたなまり節を生のよもぎと一緒に皮で巻きました。ポーポーを載せる敷き紙とポーポーを包む紙は、『名尾手すき和紙』で作られたもの。ポーポー名尾手すき和紙4品目は「カニと豆腐ようのスープ」。カニと豆腐ようのやわらかな味わいとスパイスの余韻に包まれます。器に使われたのは『文祥窯』のワイン用のカップ。独特の白さがスープの色を引き立てます。カニと豆腐ようのスープ文祥窯5品目は「がめ煮 ドゥルワカシー」。ドゥルワカシーとは沖縄名産の田いもを使った料理のこと。田いもを煮ている様子が泥を煮ているように見えたため、「泥沸かし」から「ドゥルワカシー」と言われるようになったそう。沖縄諸島に多く分布している長命草を添えて。シャキシャキとした食感の田いもの甘みとスパイスを感じる一品。がめ煮 ドゥルワカシー弓野窯14代今泉今右衛門6品目は「ジューシー」。乳酸発酵させたきゅうりの薄切りと佐賀の海苔をのせたおじやで、カッパ巻きが好きという渡真利シェフが生み出しました。きゅうりのシャキッと感、発酵させた奥深い味わい、そして海を感じる海苔のハーモニーが楽しい。ジューシー柿右衛門窯7品目は「イラブチャー」。イラブチャーとは、沖縄を代表するアオブダイのこと。タイカレーペーストで和えたイラブチャーとぎんなんを沖縄で昔から親しまれる月桃(げっとう)で包んで蒸しました。沖縄でも珍しい魚を蒸すアイデアは、川岸シェフから。イラブチャー井上萬二窯8品目は「祝いの山羊 ケバブ」。クミンなどのスパイスを混ぜ込んだ山羊のひき肉をケバブに。山羊の独特な臭みはなく、脂も軽め。口に含むと、あとからスパイスの奥深さを感じます。祝いの山羊 ケバブ柿右衛門窯9品目は「祝いの山羊 山羊そば」。沖縄では祝いの席で食べられる山羊汁に、麺をプラス。島とうがらしを泡盛に漬け込んだコーレーグースを垂らすとさっぱりとした味わいになり、麺がスルスルと胃の中に収まっていきます。祝いの山羊 山羊そば中里太郎右衛門陶房10品目は「祝いの山羊 山羊カレー」。燻したシナモンや泡盛の酒粕から作られたソースが、タマリンドのような酸味をプラスします。祝いの山羊 山羊カレー李荘窯業所11品目は「アイス」。『ナカシマファーム』でホエイを煮詰めて作ったブラウンチーズ、豆腐よう、醤油のしぼり粕を、山羊のミルクから作ったアイスクリームに混ぜ合わせました。複雑な味わいや濃厚さが、お酒にも合います。アイス井上萬二窯12品目はオリオンビールに合わせて作られたデザートとおつまみ。沖縄の名産である海ぶどうに、佐賀の唐辛子を使ったサクサクとした食材を合わせました。オリオンビール徳幸窯自身の故郷を再発見できた大盛況のうちにこのイベントを終えた直後、シェフ二人に今回の取り組みについて振り返ってもらいました。すると、いろいろな発見があったそう。渡真利シェフは、「器にすごく衝撃を受けました。私自身が沖縄出身ということもあり、器に対する知識や経験を佐賀の人ほど持ち合わせていません。普段はもっとわかりやすいエンターテインメント的な器の使い方をしてしまうので、今回は九州陶磁文化館に行って器について深く知って、さらにこのイベントを通じて勉強になりました」と佐賀の器の文化について絶賛していました。また、川岸シェフは、「渡真利シェフから沖縄には台風などの影響もあって青々とした葉物や柑橘はないと言われて、佐賀の食材の豊富さを改めて実感しました。何でもあるから名物を出しづらい側面もあるかと思うのですが、そこは無理にオリジナリティを見つけずに、何でもあることを佐賀のアイデンティティとするのが良いのかもしれない。何でもあるからこそリミックスできる、今回は沖縄に対して回答ができる懐の深さが佐賀にあったと感じました」とコメント。これまでに『Joel Robuchon』(ジョエル・ロブション)をはじめとしたパリの名店で研鑽を積み、故郷の宮古島に戻ってからガストロノミーレストラン『Restaurant Etat d’esprit』(エタデスプリ)の総料理長を務めてきた渡真利シェフ。評判だった『カレーのアキンボ』を東京・錦糸町で営むも、オープンから5年後に佐賀にUターンして佐賀の食材を生かすスパイスコースのみの営業にリニューアルした川岸シェフ。二人ともそれぞれの地元があったからこそオリジナリティを確立できたことを、改めて確認する夜となりました。独特の白さが美しい『文祥窯』の器この夢のような饗宴に無くてはならなかった食材と器。これらが生み出される場所を訪れて、生産者や作家から話を聞くことで、この食の体験がますます豊かになります。4品目の「カニと豆腐ようのスープ」に使われたカップを作った『文祥窯』、3品目の「ポーポー」に使われた『名尾手すき和紙』、9品目の「アイス」に使われたブラウンチーズを生み出した『ナカシマファーム』を訪ねました。伊万里港を臨む高台に窯を構える『文祥窯』。三代目の馬場光二郎さんが手がける器は、温かみのある白さを帯びています。カニと豆腐ようのスープが供されたカップも、繊細な飲み口やフォルムでありながら柔らかさをまとっていました。そんな落ち着きのある感覚は、馬場さんの人柄と彼がこだわる手法に由来するものだとお会いして確信しました。作陶の世界では、白磁や絵付けのために材料となる石を精製して不純物を取り除く工程があります。その不純物らが廃棄物になってしまっていたことから、馬場さんは自然に負荷をかけるような無駄なことはしたくないという思いになったそうです。そして、本来分業制で成り立っていた有田焼の世界で、石の採掘から粘土にする工程も自分で手がけるように。「不純物を含む土で器を作ることによって自然な色合いになりつつも、割れたり欠けたりすることもありますし、その部分を継いで完成品にすることもあるんですよ」と馬場さん。『文祥窯』3代目の馬場光二郎さん。自身のポリシーや作陶の様子について、気さくに話してくれました。馬場さんの席から見える伊万里港。有田焼や伊万里焼がこの港から国内や海外に運ばれていきました。焼成前(写真左下)と焼成後(写真右下)では、大きさがかなり違います。写真上にあるのは、模様をつけるための型。馬場さんの工房に並んでいた作品。温かみのある白が美しい。ブラウンチーズを生み出した『ナカシマファーム』ユージアムサガのデザートに登場した、濃厚だけれど後味はさっぱりしているアイス。このアイスに使われていたブラウンチーズを作っているのが『ナカシマファーム』です。チーズづくりで発生する副産物のホエイの量は、何と原料である生乳の8~9割。これも活用したいと生まれたのがブラウンチーズです。胴釜で新鮮な生乳とホエイを直火でかき混ぜること6時間、キャラメルのようなねっとり感があり、ピーナッツバターや黒糖を彷彿とさせるチーズが完成します。日本や世界のチーズコンテストでも高い評価を受けたこのチーズを手がける『ナカシマファーム』。見渡す限りの田んぼの中にチーズを製造・販売するショップがあり、その裏には約100頭の牛が飼われていました。ショップの目の前の田んぼで米と大麦を二毛作で栽培して、自家製の肥料を与えているそう。代表の中島大貴さんの案内で牛舎へ。すると草の発酵臭が少しあるくらいで、鼻を突くような臭いはありません。その答えは、糞尿が微生物によって分解される仕組みを導入しているからでした。宿場町の面影が残る嬉野市塩田津に新しいショップ『MILKBREW COFFEE』もオープン。米蔵をリノベーションしてできたスタイリッシュな空間で、アイスクリームやドリンクを楽しめます。ここで働く美しいユニフォーム姿のスタッフも、ローテーションで牛の世話をしているそうです。「自然の循環を大切にする人を採用しているので、スタッフ18人全員が世話をできます。ショップのお客様にも自然とそういう話を伝えるようになっていますね」と中島さん。人も動物も環境も自然のセオリーに従っていて、そこから生み出されるものに心地よさを感じました。嬉野市塩田津の宿場町の面影が残る通りにある『MILKBREW COFFEE』。『ナカシマファーム』代表の中島大貴さん。牛舎に導入した飼料を餌場に寄せるための機械を見せてくれました。牛舎内は草の発酵臭が香るくらいできつい臭いはありません。牛も気持ち良さそうに過ごしています。牛舎近くにあるショップにて、チーズを試食。県外からも買いに来る人が多いそうです。和紙の可能性を広げる『名尾手すき和紙』最後に訪れたのは、佐賀市にある『名尾手すき和紙』。300年以上の歴史を有する手すきの和紙工房で、神社・仏閣の修復用や提灯、番傘、合羽、障子の紙などに、その和紙が使われてきました。ユージアムサガでは、コースの3品目に登場したポーポーを載せる敷き紙とポーポーを包む紙に使われました。包み紙はポーポーの生地のように柔らかくて、川岸シェフが思わず「ポーポーと間違えて食べてしまわないよう注意してください」とアナウンスしたほど。それとは対照的に、敷き紙は和紙とは思えないほどしっかりとした硬さがありました。工房近くに生えていた和紙の原料となる梶の木と、和紙をすく様子を7代目の谷口弦さんに見せてもらいました。和紙といえば楮(こうぞ)や三椏(みつまた)の木が代表的ですが、梶の木は楮の原種に当たるそう。約300年前に谷口さんの先祖によって植えられた梶の木がまだ生き続けていることに感動。1月に刈り取ってすぐに蒸して、皮を剥いで干したものを倉庫で保管。そこから紙をすく度に原料を水に戻して、大釜で煮て、晒して……とさまざまな工程を経て、ようやくおなじみの紙をすく工程へ。水の中で木枠を揺らす感覚だけでなく、その音も聞きながらすき具合を確かめているとの言葉に、紙すきの奥深さを感じました。そして、工房から少し離れた場所にあるショップも訪問。築200年の元自宅を改装した空間には、普段づかいできそうな紙から、紙を使ったアート作品までもが並んでいました。「紙を踏むというなかなかできない体験もしてもらえたらと思い、紙を床にも貼りました。新たな和紙の使い方を見いだしながら、後世にもつなげていけたら」と語る谷口さん。20代の女性2人が谷口さんの元に弟子入りして、和紙づくりを学んでいるそうで、明るい未来への兆しがそこにはありました。『名尾手すき和紙』7代目の谷口弦さんが工房近くに生えている梶の木を見せてくれました。手の感覚だけではなく、水の音にも耳をすませながら紙をすきます。築200年の家屋をリノベーションしてできたショップ。ショップではさまざまな紙を販売。紙を見ているだけで創作欲が増してきます。食材×器×料理人の饗宴と、生産者を訪ねる旅。佐賀で過ごした時間はとても濃密で、これからの食人生をさらに深めていくためのヒントをたくさんもらったように思いました。まだまだ知られていない佐賀の魅力を発見する旅に出てみませんか。ユージアムサガの最新情報はインスタグラムより@sagamariage
2024年01月17日漫画家の宮川サトシ(@miyagawa_sato)さんが、ファミリーレストランの『ガスト』で撮影した写真をX(Twitter)に投稿しました。宮川さんは以前、同店で食事をした際、1台の猫型配膳ロボット『BellaBot(ベラボット)』に注目。チーズインハンバーグ太郎と命名され、店員からかわいがられていたのです。お休み中の配膳ロボット名札に「お前…そんな名前だったのか…」そんなチーズインハンバーグ太郎との出会いから約5か月後。再び会った時、驚きの変化があって…!なんということでしょう…。チーズインハンバーグ太郎の頭上に、小さなベラボットが乗っているではありませんか!まるで子供を連れているかのような光景に、宮川さんも驚きを隠せません。「チーズインハンバーグ太郎、久しく見ないうちにお前…子供ができていたんだな…」宮川さんの投稿はネット上でまたたく間に拡散され、このようなコメントが寄せられています。・夜中に爆笑した。マジでかわいい。・店員に愛されている配膳ロボット、いいですね。・産休を取って復帰したのかな?ガストによると、2023年12月7日から、ベラボットを模した『ネコロボフィギュア』のオリジナルカプセルトイが登場したとのこと。それを機に店員の誰かが、全6種類のうちの1つである、ガストの『ネコロボフィギュア』をチーズインハンバーグ太郎に乗せたのでしょう。/ネコロボ好き必見!!!\すかいらーくのカプセルトイに #ネコロボフィギュア と #ネコロボスタンプ 12/7(木)から登場します!!小学生以下が対象の「ラッキーセット」のご注文、もしくは2⃣0⃣0⃣円でみなさんがゲットできますみなさんはどれを狙いますか? pic.twitter.com/zOd43tynjH — ガスト【公式】 (@gusto_official) December 5, 2023 親子で仲よく店内を周るチーズインハンバーグ太郎。同店を訪れた誰しもが、親子を愛でずにはいられないでしょう![文・構成/grape編集部]
2023年12月30日フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『コングスト』の魚介のパエリアです。「パエリアは基本的にお米を食べるものだと思ってます。どれだけごはんに出汁を吸わせておいしいお米に仕上げるかが要で」。’23年10月にオープンしたスペイン料理店『コングスト』のオーナーシェフ・坂田慎吾さんは言う。コース料理の〆に登場する魚介のパエリアは具材が一切見当たらない。潔いまでのお米へのフォーカスだ。「この料理の名前は厳密にはアロスアバンダ。“お米は別に”という意味で、魚の煮込みを食べた後に残った出汁でお米を炊いたのが始まり。うちでは他の料理で使った魚の、骨や頭などで出汁を取ります」。魚介の旨味にパプリカパウダーの奥行きある香りをたっぷり纏い絶妙にお焦げの風味が広がるパエリアは、コースが終盤であることも忘れさせる魅惑の仕上がり。坂田さんの郷土料理愛が伝わる逸品だ。とはいえクラシカルなお皿だけでなく、オリジナルなツイストが効いたお料理も続々現れるのが『コングスト』のコースだ。ピキージョピーマンの詰め物はタラの塩漬けを用いる印象が真っ先に浮かぶが、この日は馬肉を詰め、馬肉のコンソメに浮かべた凛とした姿が印象的。鎌倉『アンチョア』、銀座『スリオラ』、神楽坂『エルプルポ』など、郷土料理からハイエンドなレストラン、人気のバルまで、スペイン料理を一本貫きながらも多種多様な食の風景に出会った集積が、坂田さんの今の料理を輝かせている。コース(8800円)より、右・ピキージョピーマンの詰め物(単品900円※中身によって変更あり)、左・魚介のパエリア(2人前3000円~)はパスタを使ったパエリア「フィデウア」を選択することもできる。遅めの時間は、アラカルトでの注文も可能。ドリンクはチャコリ(900円)。コングスト東京都中央区日本橋小網町16‐19大都ビル1FTEL:070・1247・246818:00~23:00月曜休、不定休予約は電話またはインスタ(@congusto_nihombashi)で。ひらの・さきこ1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)など。※『anan』2023年1月3日‐10日合併号より。写真・清水奈緒取材、文・平野紗季子(by anan編集部)
2023年12月29日お酒をこよなく愛するアナウンサー・宇賀なつみさんの「宇賀なつみのほろ酔いおつまみ」。今回は『クオーレアズーロ』の詰め物をした玉葱の岩塩ローストです。宇賀(以下U):いよいよ12月に入って、忘年会シーズンということで今回はちょっとパーティ感があるものにしたいなって。編集S(以下S):玉葱がまるごと!見た目もかわいらしくて、蓋を開ける時のワクワク感も楽しいですね。U:前菜ってお肉か野菜かでいつも迷っちゃうんだけど、これは玉葱の中にホワイトソースと混ぜた鶏レバー、豚肉が詰まっていて、両方同時に楽しめるのが最高。S:シェフが以前働いていたお店があるイタリア・ピエモンテ州の郷土料理で、お店によって中身が違うとか。U:そういう背景があるのも素敵!S:玉葱をまるごと岩塩に埋めて、1時間半ほどかけてゆっくりとローストして甘みを出しているそうです。U:なるほど。私は1皿目ってすごく重要だと思っていて、こういう家では作れないようなものを前菜でいただくと、ちゃんとお食事に来たなという気持ちがぐっと上がるよね。S:ワインをベースに料理を楽しむというコンセプトのお店で、ソムリエの方もいらっしゃるんですよね。U:料理に合うものを聞いたりお任せしたりできるのも楽しいよね。S:今回も、料理と合わせてピエモンテのワインを選んでくださって。U:地域合わせのペアリング!素敵なワインを楽しみながら、友達とちょっぴり大人な忘年会したいな~。詰め物をした玉葱の岩塩ロースト¥770。温菜として、パスタやメインの料理の前に1人1つずつの注文がおすすめ。ワインはバルベーラ・ダスティ・ラ・モーラ(グラス)¥1,100。クオーレアズーロ東京都目黒区上目黒2‐42‐12 渋谷ビル1FTEL:03・5708・510118:00~23:00(22:00LO)火曜休(不定休あり)2012年オープン。予約は、電話またはHPにて。宇賀なつみお酒をこよなく愛するアナウンサー。自身初のエッセイ本『じゆうがたび』(幻冬舎)が発売中。編集S気づけば師走…。時の流れの早さに焦った時は、おいしいお酒を飲むに限ります。※『anan』2023年12月13日号より。写真・清水奈緒(by anan編集部)
2023年12月08日フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『Aoyama Gourmet Mart』の本日の特製パスタです。コインランドリーの奥のカフェとか、魚屋の奥の定食屋とか。の奥に店がある、という構造になぜだかときめく。9月に青山に誕生した『Aoyama Gourmet Mart』は、魅力的な食料品にワインがずらりと並ぶ、一見グルメなセレクトショップに見えつつも、その奥にひっそりカウンターのパスタ専門店が。シェフが豊洲で買い付けるフレッシュな食材を贅沢に使った日替わりパスタが楽しめる、パスタ好きにとっては夢のカウンターだ。この日は「豊洲の貝づくしペスカトーレ」。若きシェフ久保雄之介さんのペスカトーレへのこだわりは、貝だけで攻めること。蛤、ムール貝、あさり、沖しじみ、しじみ……多様な貝の旨味をギュンと吸い込んだ太めの乾麺がたまらない。ペスカトーレに小さなしじみとは珍しいが「しじみが入ることで旨味が締まる。あるとないのじゃ全然違うんです」と久保さん。定番的なパスタであっても、必ずそこにシェフ自身のおいしさの道理が介在する姿勢に魅せられる。パスタの他には前菜やデザートも揃い、ワインは店頭セラーから値段そのままでボトル持ち込みも可能で、通常のレストランに比べ驚くほどリーズナブルに楽しめてしまう。サクッと、だけどとびきりおいしいごはんにしたい日の重宝具合が半端じゃない。ついでに気の利いた手土産も買えちゃうし。この店のこと知っててよかった!ってなる予感しかありません。本日の特製パスタから、豊洲の貝づくしペスカトーレ ビアンコ(3000円)。ロッソも選べます。前菜には、明石産真ダコとじゃがいもの温菜(1500円/ハーフ750円)。グラスワイン(1500円~)。青山グルメマート東京都港区南青山2‐10‐11A 青山ビル1F レストラン11:30~15:00(14:30LO)、16:00~22:00(21:30LO)ショップ11:00~22:00月曜休ひらの・さきこ1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)など。※『anan』2023年12月6日号より。写真・清水奈緒取材、文・平野紗季子(by anan編集部)
2023年11月30日セールの告知やイチ押しの品物をアピールするために活用される、店内POP。いろいろな品物が並ぶ中でも目立つよう、派手なデザインをしていたり、店員が手書きで用意をしたりと、さまざまな工夫が施されています。店側からの強いアピールを受け取ると、その熱意が強いほど、自然と購買意欲が増しますよね。店長が『暴走』した結果、雑貨のPOPが…!?東京都荒川区にある、トルコとウズベキスタン料理のレストラン『ザクロ』は、X(Twitter)のアカウント(@zakuro_tokyo)に店内の写真を投稿しました。同店は飲食サービスのほか、輸入雑貨の販売も行っており、ランプや布地、アクセサリーなどを取り扱っています。そんな『ザクロ』には、一風変わった名物があるのだとか。どうやら、その名物は店長が『暴走』した時に見ることができるのだそうです。店側も認める、ちょっぴり変わった名物…それは、心の声がダダ洩れな値下げ時のPOPでした。一度暴走すると、アリ得ないほどの値引きセールをしてしまうという、店長のアリさん。きっと、そんな店長の行動を受け、店員はすがすがしさを覚えると同時に、「そんなに安くしてしまってもいいのだろうか」と心配してしまうのでしょう。店内に貼られたPOPには、値下げの告知だけでなく、店員の「いいたいことは、いろいろある」「なんなの…」といった、諦め混じりの心の声がつづられています…!店員の葛藤が伝わってくるとともに、本当にお得な価格で販売されているということが分かる、名物POPの数々。投稿は拡散され、多くの人から反響が上がっています。・店員さんを応援したくなるPOPに吹いた。めっちゃ好き。・『ザクロ』さんは、店長さんもはっちゃけているし、店員さんも負けないくらいはっちゃけていて好き。・「こんなに安くして大丈夫なのか」という店員さんの気持ち、お察しします…!実際に『ザクロ』を訪れた人からは、「POPが楽しみで立ち寄っている」「POPに釣られて、つい買いすぎてしまう」といった声も。今後も、店長が暴走をするたびに、店員は頭を抱えながらPOPを作るのでしょう。そして、安い品物とPOPを見て、客はウキウキしながら買い物をするのです…![文・構成/grape編集部]
2023年11月22日全12席の映画館とレストランが融合した新しいエンタメを提案する「モンキーシネマレストラン」が、今年4月、大阪・大国町にオープンした。いつでもどこでも映画を観られる時代だからこそ、独自にセレクトしたここでしか出会えない映画をスクリーンで鑑賞してもらいたい、そして、厳選された松阪牛を中心にした無国籍料理やお酒を、映画の余韻に包まれながらゆっくり楽しんでもらいたい、というコンセプトでスタートしたお店だ。店内には海外の映画スターや映画監督の肖像画が飾られ、隠し扉を開けると映画館へとつながる通路が現れる仕掛けになっている。レストランのメニューは、タコスやフライドチキンライスをはじめ、この店の一番人気メニューであるA5松阪牛を使ったモンキーステーキなど、アメリカンダイナーを思わせるメニューが並ぶ。このお店のシェフが、『ニワトリ★スター』などを手掛けた映画監督でもある、かなた狼だ。ここ5年ぐらいの間の映画館を取り巻く状況の変化やミニシアターの苦境を間近に見たことで、映画作りの一環として、新しい映画の在り方を模索する中で、ここでしか観られない作品を上映するとともに、上映機会の少ないインディーズ作品のサポートなどをする、映画館を併設したレストランを思いついたそう。レストランには、映画を観ることは、その映画について語り合う時間も含まれているという、かなたの思いが込められ、「映画を観た後には、安くて美味しいものを食べて飲んで語り合ってほしい」と語った。それも、『ニワトリ☆フェニックス』を撮影した三重県での地元の方との交流が縁で、松阪牛を直接安く仕入れることができたと言うから驚きだ。かなたも元料理人という経歴から、レストランで腕を振るう機会もあり、その際には映画を観たお客さんと映画について話すことを楽しみにしているそう。また、レストランの上階が民泊になっていることから外国人のお客さんも多く、英語字幕版の上映が喜ばれているそうだ。今後は、『ニワトリ☆フェニックス』撮影時の裏側を映した新作ドキュメンタリー『GLIMPSE(グリンプス)』や日本で上映されていない短編作品などの上映も手掛けていきたいとのこと。現在、映画は週末に『神在月のこども』と『ニワトリ☆フェニックス(MCR Ver.)』を上映。平日も、要相談で上映可能とのこと。予約は公式サイトから。「モンキーシネマレストラン」大阪府大阪市浪速区大国3-1-15 Wolf Pack Apartment1階取材・文・撮影:華崎陽子
2023年11月12日お酒をこよなく愛するアナウンサー・宇賀なつみさんの「宇賀なつみのほろ酔いおつまみ」。今回は『シモン』のタッカルクッスです。宇賀(以下U):今回は、局アナ時代によく通っていた名店のタッカルクッスと生マッコリを。韓国料理となると、やっぱりマッコリを合わせたくなっちゃうんだよね~。編集S(以下S):タッカルクッス、恥ずかしながら初めて知りました。U:韓国料理で鍋っていうとサムゲタンとか、あとは辛いチゲとかをイメージすると思うんだけど、タッカルクッスは牛骨からとったベーススープに鶏肉、じゃがいも、ねぎ、うどん麺が入っている優しい味のお鍋。S:酢醤油をかけると味変になって、これまた美味…!店主さんが「これを頼まないと、うちに来た意味がないです(笑)」とおっしゃるくらい、ほとんどの方が注文するとのこと。U:そうだよね~。ポッサムやチヂミも美味しいんだけど、やっぱりこの味はここでしか食べられないもん!体がぽかぽかになるし、これからの寒い時期にもピッタリ。S:あと、うどん麺もすっごく美味しいです。うどんといっても盛岡冷麺を少し太く硬くした感じの麺で、煮込んでも伸びないんですって。U:満足感があるよね。ほろほろのじゃがいもも柔らかい鶏肉も美味しいけど、私はなんといってもこのスープがいちばん!塩ベースの優しい味なのにコショウのパンチもあって…もはやスープをチェイサーにマッコリが進んじゃうくらいです(笑)タッカルクッス(2人前)¥2,970。食後には、ぞうすい(1人前¥770)を追加するのもおすすめ。生マッコリ(グラス)¥550。シモン東京都港区麻布十番1‐5‐5湯建十番ビルTEL:03・3470・588917:30~23:00不定休寒い時期は特に店内が賑わっている可能性が高いので、事前の電話予約が安心。宇賀なつみお酒をこよなく愛するアナウンサー。自身初のエッセイ本『じゆうがたび』(幻冬舎)が発売中。編集Sあまりの美味しさに感動!思わず取材後すぐに予約を取ってしまいました。※『anan』2023年11月15日号より。写真・清水奈緒(by anan編集部)
2023年11月09日株式会社パシフィックレーシングチームは、東京・表参道の『cafe terrace & bistro Queency(カフェ テラス&ビストロ クインシー)』にて、2023年11月7日(火)よりテラス席限定 グランピング風ブイヤベース・シチューが楽しめる「秋の夜空のあったか鍋コース」を提供いたします。寒い中食べるのが美味い!テラス席限定コース■当店自慢のテラス席でグランピング気分を楽しむ!『Queency』の屋上には、心地よいテラス席を完備。青山セントグレース大聖堂や新宿のドコモタワーをも臨める景観、最大50名様まで収容できる広々とした空間は、まるで海外のリゾートホテルを彷彿させる開放感です。昼間の爽やかさとは一転、夜景を臨むディナータイムの雰囲気も抜群!今回新しくスタートするのが、夜のテラス席で鍋を楽しむコース。秋の夜空の下でアツアツの鍋をワインと共に…グランピング気分で楽しめるコースとなっています。■選べるメインは体の芯から温まる2つの鍋テラス席限定の「秋の夜空のあったか鍋コース」は、メインに2つの鍋をご用意。「魚介とキノコたっぷりのブイヤベース エスプーマチーズを添えて」は、最後の一滴までおいしい魚介とキノコを贅沢に使ったブイヤベース。「丸ごと鶏のシチュー」は、香ばしくグリルした鶏が丸ごと入った豪快なクリームベースの鍋となっています。どちらも体の芯まで浸み入るアツアツ絶品鍋。スパークリングワインや赤白ワイン、カクテルの飲み放題付きで、大人の女子会にもピッタリなプランとなっています。【1日3組限定】テラスで夜空を眺めながら..2.5h飲み放題付「秋の夜空のあったか鍋コース」5,000円(税込)[1]バケット3種生ハム キノコ トマト&バジル[2]焼き野菜とキノコのバーニャカウダ~エスプーマ仕立て[3]アンチョビクリームのフレンチフライ[4]キノコを使ったチーズグラタン[5]選べる鍋料理・魚介ときのこたっぷりのブイヤベースエスプーマチーズを添えて・丸ごと鶏のシチュー※お一つお選びください。[6]ご飯もの・季節のパスタ・本日のリゾット※お一つお選びください。[7]本日のデザートコーヒーor紅茶付き[飲み放題付]スパークリングワイン 1種/赤ワイン 3種/白ワイン 3種/カクテル 14種/ソフトドリンク 6種(出典元の情報/画像より一部抜粋)(最新情報や詳細は公式サイトをご確認ください)※出典:プレスリリース
2023年11月09日フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『XIANG PEN PEN(シャンペンペン)』のアラカルト中華です。「コースもあるけどアラカルトで楽しめる。価格帯も行きやすく。僕はお酒も好きなんで、ワイン、クラフトビール、紹興酒、台湾ウイスキーも揃えて」。自分が本当に行きたい店を妻と共に作りたい……シェフの九鬼修一さんが独立するにあたって描いた夢が、8月にオープンした木場の中華料理店『XIANGPEN PEN』で形になった。ホテル中華や『筑紫樓』といった王道から、中国のローカルな食文化を探求する代々木上原『Matsushima』等まで、多様な経験を積んだ九鬼シェフのお料理は、素材感の生きた確かな骨格の広東料理に、シェフならではのツイストが利いたスタイル(そんなのときめくに決まっている!)。例えば香港クリスピーチキン・脆皮鶏(チョイペイカイ)は赤鶏さつまを使用し、中はジューシー、皮はパリッパリの丁寧な仕事と技術力の高さに満ちた逸品。そこへ雲南省などで見られるミントとパクチーと発酵唐辛子のソースを合わせる新鮮さがたまらない。店名は中国語で「いい香りがぷんぷんする」。大きい店では難しかった熱々の料理も、ここでならできる。カウンターキッチンから登場する料理は何もかもが良い香りの湯気をたっぷりと纏っている。どーんと料理が供され、香りが立ち上り、そこへ人が顔をほころばせて寄せ合う。そんな理想の風景が、夜ごとこの店では繰り返されている。アラカルトメニューより、右・赤鶏さつまの脆皮鶏(1600円)、左・澄んだ清湯スープにムギュムギュの海老雲呑が浮かぶ香港 海老雲呑麺(1200円)、中央・香港鮮魚の蒸し物(1名1500円~※予約推奨)、オレンジワイン(1200円~)、紹興酒(1200円~)。香噴噴(XIANG PEN PEN)東京都江東区東陽3‐16‐918:00~23:00(22:00LO)、土・日・祝日17:00~22:00(21:00LO)月曜休+不定休ひらの・さきこ1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)など。※『anan』2023年11月8日号より。写真・清水奈緒取材、文・平野紗季子(by anan編集部)
2023年11月02日レトロを楽しむ旅にぴったりな、熱海。それに加え、新しい視点でこの街の魅力を実感できる、そんなお店も増加中。古き良き&今を楽しめる、熱海に出かけよう。“熱海のレトロ”が楽しめる、5つのスポット。古き良き薫りを残すレストランに純喫茶、お土産におすすめな洋菓子店、そしてゲームセンターをご紹介。レストラン スコット昭和の文豪が愛した洋食屋。自慢のソースを召し上がれ。昭和の時代、数々の文豪たちが執筆のために熱海に滞在したそうですが、そんな時代に谷崎潤一郎や志賀直哉に愛されたことで知られるこのお店。戦前に都内や神奈川県の名だたるレストランやホテルで修業をした初代が、戦後間もない昭和21年に創業。とても美味しく居心地がいいお店だったようで、志賀にいたっては、散歩の途中にフラッと寄り、店主が留守でも勝手気ままにくつろいでいたのだとか。お店の自慢は、なんといっても70年以上守り続けている濃厚なデミグラスソースの味。レトロクラシックなインテリアの中で、こだわりの老舗の味にうっとり。極上の時間です。1週間かけて作るデミグラスソースで、牛バラ肉をじっくり煮込んだビーフシチュー¥3,630。「熱海もいろんなお店が増えましたが、うちは“いつ来ても同じ美味しさが味わえる店”であることを大事にしています」とは3代目のシェフ。熱海市渚町10‐13TEL:0557・81・949312:00~13:30(最終入店)、17:00~19:00(最終入店)木曜休喫茶 サンバードノスタルジックな純喫茶。大きな窓から見えるのは、海。国道135号線に面した、ビルの2階にあるこちらの喫茶店。大きなガラスの向こうに広がるのは、サンビーチ。遮るもののない開放感がとても気持ちよく、海を見下ろしながらも意外と近い距離、というムードがとても素敵。ガラスブロックに彩られたカウンターや、空を思わせるブルーグリーンの壁の色など、’60~’70年代を感じるインテリアはほぼ1968年に創業したときのまま。そんな店内でクリームソーダなど純喫茶メニューを見ていると、まるでタイムスリップしたような気分が味わえます。熱海散策の休憩にもってこい。昭和を気取って、頬杖をついて海を眺めてみて。このロケーションで楽しみたいのは、懐かしの純喫茶メニュー。もちろんお皿には、お店の名前&マーク入り。クリームソーダ¥800ミックスサンド¥850熱海市東海岸町2‐15TEL:0557・81・36679:00~16:00(15:00LO)水・木曜休三木製菓 本店お菓子のお土産を買うならここ。生ケーキも見逃せない。創業は昭和24年。先代は銀座の不二家で修業をし、その後熱海に戻ってこちらを開業。以来地元から深く長く愛されている洋菓子店。ショーケースには、昔ながらのちょっとサイズが大きい生ケーキがズラリ。どれも見た目が美しく、美味しそうと思うと同時に「かわいい!」と思わず口にしてしまうほど。また観光客からの支持が厚いのが、愛らしいイラストが施されたパッケージに入ったクッキー類。バターたっぷりで香りが高く、お土産にもってこいな逸品です。ちなみに駅ビルにも店舗があるので、海に近いこちらの店舗まで足を運べない、というときはぜひそちらへ!取材中、若い男子2人のお客さんがやってきてシュークリームを購入。すぐさまお店の外で嬉しそうにかぶりついていました。熱海市渚町3‐4TEL:0557・81・44619:30~18:00木曜、第1日曜・第3水曜休和田たばこ店レトロゲームと駄菓子で思い切りタイムトラベル。熱海の賑わいから少し離れたその名も昭和町に佇む、ゲームと駄菓子、そしてタバコを扱うこのお店。店内に所狭しと並ぶのは、30代後半以上であれば思わず「懐かしい!」と声を上げたくなる、それより若い世代だと初めて見るかもしれない、そんなレトロゲームたち。お店を立ち上げた先代がホテルなどにゲームを貸し出す会社をやっていたそうで、1998年頃からこのようなスタイルに。ゲームはすべてプレイ可能。また駄菓子コーナーのお菓子は、一瞬で子供時代に引き戻される、そんなラインナップ。店内は撮影禁止。スマホはしまって、童心に返って無邪気に遊びましょ!初めて見るゲームばかり。好奇心がくすぐられます…。熱海市昭和町4‐27TEL:0557・83・600010:00~17:00不定休レストラン フルヤ流行り廃りに流されない。日本人の心に響く洋食のお店。熱海駅の改札を出て、ロータリーの先に目を向けると、オレンジ色のかわいいファサードが3つ。表に置かれたショーケースに並ぶ、今や珍しくなった食品サンプルを眺め、いざ店内に入ると、螺旋階段が印象的な昭和レトロな世界が!こちらの創業は1954年。老舗旅館に生まれた先代が、その系列の洋食店として開業し、現在は2代目と3代目の店主が並んで腕をふるいます。メニューに並ぶのは懐かしの洋食で、2代目曰く「昔ながらの味だから安心して食べられると言ってもらうと、とても嬉しい」とのこと。到着後ここですぐに舌鼓も良し、帰る前に思い出に浸るも良し!ワインを使ったソースで味わうポークジンジャー定食。アツアツの鉄板でサーブされるのが嬉しい。¥1,600熱海市田原本町8‐9TEL:0557・82・404812:00~17:00LO不定休※『anan』2023年10月25日号より。写真・津留崎徹花(by anan編集部)
2023年10月23日明治時代から続く銀座の老舗洋食屋や新宿にある創業1967年のバーを紹介。東京レトロ散歩を楽しんで。煉瓦亭創業128年!明治時代から続く銀座の老舗洋食屋。今ではすっかりおなじみのトンカツ、オムライス、ハヤシライスなどの洋食メニューは、このお店で生まれたといわれるものが多数。素敵なレストランではありますが、フレンドリーで温かい雰囲気が満ちており、そのせいか、昭和を知らない世代でも懐かしさを感じてしまう、不思議な魅力にあふれる空間です。メニューには、レトロな魅力たっぷりの王道洋食がズラリ。しかし味付けは時代に合わせてアップデートしている料理も多数。そのどれもが美しく、ルックスと香りに食欲がそそられまくり!湯気がほわほわと立ち上る、できたての熱々を召し上がれ!和食の茶巾寿司が発想のもとになったという明治誕生オムライス¥2,700レジは60年選手!ガチャンッという音に昭和を感じます。2階にはかわいらしい飾り棚が。インテリアも見どころ。ソースはトマトピュレを使用。トマトの甘みと酸味のバランスが絶妙なスパゲテーナポリタン¥2,100煉瓦亭東京都中央区銀座3‐5‐16TEL:03・3561・388211:15~15:00(14:00LO)、17:30~21:00(20:00LO)日曜休(夏期と年末年始休あり)サントリーラウンジ イーグルガラスの自動ドアが開くとそこには階段。ちょっぴり乗り出して眼下を見下ろすと、大きなシャンデリアがぶら下がり、飴色の木目が美しい長いカウンター、そして石の壁がそびえ立つバーが登場!重厚感のある空間は、ここが新宿の真ん中であることを一瞬にして忘れさせてくれます。創業は1967年、お店の方によるとインテリアはヨーロッパの古城をイメージしており、創業当時からほとんど変わっていないとか。こんな豪奢な空間に似合うのは、クラシックな脚つきのグラス。オーセンティックなカクテルはもちろん、ノンアルのモクテルのレシピも多数。運良くカウンターに座れたら、ぜひ気軽にバーテンダーに相談を。重厚な石の壁が、落ち着きを演出。昭和のおつまみといえばレーズンバター。コースターがかわいい~!!ギムレットはクラシックカクテルの定番。この時期は、フレッシュなぶどうを使ったセプドールもおすすめ。サントリーラウンジ イーグル東京都新宿区新宿3‐24‐11 セキネビルB1~B2TEL:03・3354・770017:00~23:30月曜休※『anan』2023年10月4日号より。写真・中垣美沙(by anan編集部)
2023年10月03日飲食店で働く人にとって、客が満足する姿は、仕事をする上での励みになります。客が料理をきれいに完食している様子を見ると、「もっとサービスをよくしよう!」とやる気がみなぎる人もいるでしょう。中華料理店で完食を繰り返したら…北海道札幌市にある中華料理店の『ラーメン こく一番みどりや』は、地元住民によく知られた有名店。味がいいのはもちろんのこと、とにかくボリューム満点で、なんとチャーハンを頼むと、ラーメンが1杯付いてくるのだといいます!咲来さん(@sakkurusan)さんは、そんな同店によく通っている客の1人です。毎回、チャーハンとラーメンを完食しているうちに、だんだんと提供される料理の量に変化が…。X(Twitter)に投稿された、4枚の写真をご覧ください。「マスターに存在をマークされると、明らかに量が増えてくるので気を付けよう」1枚目の写真でも、十分すぎるほど多い量なのに、4枚目にいたっては、もはやチャーハン界のエベレストともいえる山盛り状態に!並みの胃袋では、この山を登頂できなさそうです…。いつも料理を平らげる投稿者さんを見て、マスターのサービス精神に火が付いたのでしょうか。しかし、投稿に寄せられたコメントには「初めて行った時にはもうすでに3枚目の写真くらいの量だった」との声も。どうやら店を訪れる回数に関わらず、近年はチャーハンの量やスープに入ったチャーシューの量などが増えてきている傾向にあるようです。投稿者さんは「マスターの愛が増している…」とつぶやいていました。【ネットの声】・行ってみたい…。ラーメンとチャーハンが食べたくなってきた。・お客を負かしたいマスター…。「これでもか!」ってぐらい山盛りで笑いました。・きれいに食べてくれるのが嬉しいんだろうな。作り手側なので、マスターの気持ちが分かります。・完食からの増量、そしてまた完食…幸せの無限ループ!素敵です。ちなみに、同店では、別売りで容器をもらうことができ、食べきれず残してしまっても折詰にして持ち帰ることが可能です。こうした良心的なサービスが反響を呼んでおり、開店前に行列ができるほど人気な『ラーメン こく一番』。調理はマスターが1人で行っているため、提供まで時間がかかることもあるそうです。胃袋に自信がある人は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか![文・構成/grape編集部]
2023年09月15日フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『CENSU TOKYO』の海南チキンパエリアです。「CENSU行った?」「ああいう店を求めてた!」。近頃のフーディーとの会話でその名が挙がるのを何度聞いただろう。外苑前に7月にオープンした『CENSU TOKYO』は、香港発のフレンチベースなガストロノミー居酒屋……と言うと難解だが、あえてシンプルな言葉に託すなら「ちょっと面白い居酒屋です」と、オーナーシェフの金須郁幸さん(実力派って往々にして軽やかですよね)。CENSUの始まりは2021年。現地オーナーの佐藤峻さんが香港店をオープンさせて以降、瞬く間に美食家やシェフから支持される一軒に。“IZAKAYA”というある意味自由なフォーマットに、和食・フレンチ・中華の技法を取り入れた情報密度の高いガストロノミックな料理を縦横無尽に展開する。〆の「海南チキンパエリア」は象徴的な一皿。帆立ベースの出汁にパンダンリーフやレモングラスを合わせて炊いたパエリアを、ドライエイジングした美桜鶏のローストが支配する。米の旨味にアジアンハーブの香り、チキンのパリパリジューシーな仕上がりには中華の技法もよぎる。あらゆる食文化を越境させながら、それでもカオスを避けてバシッと美味しさに着地させる手腕は見事。そして何より楽しい。固定観念が追いつけない感性と技術のクロスオーバーで、居酒屋というスタイルを更新するCENSU。今、彼らの登場と挑戦に、東京のフードシーンが勇気づけられている。奥から時計回りに、蛤を紹興酒や梅酒に漬けた「ドランケンクラム」(¥1,480)は香港らしい一皿。「ハマチ」のお造り(¥1,380)は、トマトとハラペーニョを合わせた自家製ポン酢で。〆の「海南チキンパエリア」(¥4,880)は、4人ほどでシェアできるサイズ感。ドリンクは日本酒(1合¥1,280~)もナチュラルワイン(グラス¥1,280~)も勢揃い。今日はとことん飲みましょー。CENSU TOKYO東京都渋谷区神宮前2‐12‐9TEL:03・6434・588318:00~23:00日曜・不定休詳細はインスタグラム(@censu_tokyo)で。ひらの・さきこ1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)など。※『anan』2023年9月13日号より。写真・清水奈緒取材、文・平野紗季子(by anan編集部)
2023年09月06日フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は、『Ukiyo』の季節のコースです。トンネルのようなアーチ型の天井に、絨毯敷きの空間。足を踏み入れるとほんのり現実から遠ざかっていくような空気感を放つレストラン。『Ukiyo』の魅力をこのささやかな枠内で語り切れるのか……と書いている時点で文字数を浪費してしまっているのだが、そう恐れてしまうほどに定型に収まらない魅力を放っている。7月に代々木上原に誕生した一軒で、目黒『Kabi』と姉妹店の兜町『caveman』から独立したチームが作り出す食体験。となると『Kabi』らしいニューノルディックのエッセンスと和食らしさが混在する料理を継承したスタイルを想起するが、『Ukiyo』の実像は異なる。世界各国で経験を積んだシェフ・新井俊宣さんが作り出す料理はスパイスをふんだんに用いた炭火の調理が味わいの要を成しているが、そのスパイスがいわゆるスパイス料理と聞いて想起するようなクミンやカルダモンではないところが興味深い。ペンジャペッパーやウダポットなど二度聞き必須の未知なるスパイス(ちなみにこれらはどちらもアフリカ産)が主軸として用いられる。言うならば、オルタナティブスパイスガストロノミー。そこから生まれる味わいは刺激的だが決して素材を覆い隠すものではなく、素材に寄り添う形で新たな味わいを創出していく。その世界はカラフルで、好奇心に満ちたおいしさに溢れている。10品ほどからなる季節の食材を使ったコース¥16,500(サービス料別)。すべての料理に通底してスパイスが用いられ、鮮やかなイメージを付与する。夏の料理には鹿、蛸、太刀魚などが登場(中央から時計回り)。アルコールペアリング¥9,900(サービス料別)。Ukiyo東京都渋谷区上原1‐32‐3CABO1F19:00~24:00(22:00~24:00はワインバーとして営業)火曜、不定休詳細はインスタグラム(@ukiyo_tky)で。ひらの・さきこ1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)など。※『anan』2023年8月9日号より。写真・清水奈緒取材、文・平野紗季子(by anan編集部)
2023年08月02日フレンチ【松柏園ホテルヴィラルーチェ】鉄板焼&フレンチ【Asagi】フレンチ【サムウェアレストラン&バー】イタリアン【サンミケーレ】中国料理【中国料理大観苑/ホテルニューオータニ博多】フレンチ【松柏園ホテルヴィラルーチェ】リゾート気分に包まれながら、老舗ホテルの愛され続ける味を堪能プール&テラスを眺めながら料理を楽しめる、リゾート感のあるシチュエーションJR小倉駅から車で約5分に位置する、創業70年以上の老舗ホテル。北九州で「料理がおいしいホテル」として評判の【松柏園ホテルヴィラルーチェ】で、エスコフィエの称号を最年少で授与されたグランシェフ・戸川健氏による、絶品フレンチがいただけます。プールとテラスを望む空間で、リゾート感あふれるひと時を。ディナータイムにはプール内の「かがり火」が揺らめき、幻想的な雰囲気に包まれます。和牛をじっくり3日間かけて煮込んだ『特製和牛のビーフシチューセット』は人気No.1カレーやビーフシチューは、ホテル創業時から愛され続ける伝統の味。幅広い年齢層から支持される、まさに「間違いない」メニューです。オープンキッチンで、ダイナミックな調理風景が楽しめるのも魅力の一つ。一番おいしいしいタイミングでテーブルに運ばれ、出来立て熱々がいただけます。ホテルグレードのサービスはそのままで、リーズナブルに味わえるランチメニューもオススメです。松柏園ホテルヴィラルーチェ【エリア】小倉【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】1500円【ディナー平均予算】6000円【アクセス】小倉駅 徒歩30分鉄板焼&フレンチ【Asagi】天神の夜景を一望するゴージャスな眺めもご馳走の味付けにきらめく無数の星空と天神の夜景を眺めながら食事が楽しめる空間地下鉄天神駅から徒歩3分、ソラリア西鉄ホテル福岡の最上階にある鉄板焼レストラン。カウンター越しには、福岡・天神のきらめく街並みが見渡せ、極上の料理とお酒に彩りを添えてくれます。木目調で温かみのある個室にも、個室専用の鉄板焼カウンターを設置。自分たちのためだけに、目の前で豪華食材を焼いてもらえるので、特別感がより一層増すはずです。コース仕立てでいただく、オシャレな鉄板焼メニューも伊萬里牛をはじめ、九州各地より厳選した和牛を用意。さらに、シェフ自ら目利きした鮮度抜群の魚介類も豊富で、最高級ランクの食材を絶妙のタイミングで焼き上げた珠玉の味が楽しめます。九州トップクラスのワインセラーも完備されており、ソムリエがお料理に合うワインをご提案。お好みの食材をメインとするコース料理を、自慢のワインとともにお召し上がりください。Asagi【エリア】天神【ジャンル】鉄板焼き【ランチ平均予算】5000円【ディナー平均予算】15000円【アクセス】天神駅 徒歩3分フレンチ【サムウェアレストラン&バー】新進気鋭のシェフが織りなす、五感を刺激するイノベーティブな料理天井まで届くガラス張りの空間、夜空を眺められるテラス席も【サムウェアレストラン&バー】は、都ホテル博多13Fに位置する新感覚レストラン。九州各地の食材を斬新な視点で昇華させたイノベーティブなアラカルトや、前菜からデザートまで楽しめる複数のコースメニューが用意されています。夜間は建物全体がライトアップされ、店内も幻想的な雰囲気に。博多駅直結というアクセスの良さも、うれしいポイントです。斬新な視点で昇華させたイノベーティブな料理の数々東京・西麻布のミシュラン一つ星レストラン【Crony】の春田理宏氏が監修し、東京の三つ星レストランでも経験を積んだ辻信太郎氏が仕上げる、イノベーティブなメニューの数々。地元九州の食材をふんだんに使い、メニュー名からは想像もつかないサプライズと遊び心あふれる世界観が、お皿の上で表現されています。大人のデートはもちろん、女子会にも最適な一軒です。サムウェアレストラン&バー【エリア】博多駅周辺【ジャンル】ダイニングバー【ランチ平均予算】3500円【ディナー平均予算】10000円【アクセス】博多駅 徒歩1分イタリアン【サンミケーレ】イタリアン激戦区でひときわ気になる、温かみを感じるレストランヨーロッパのブラッスリーを思わせる、かわいく洒落た空間西鉄福岡天神駅から徒歩7分にある、ホテルモントレグループが新たに展開するレストラン【サンミケーレ】。ホテル3Fの大きな窓からは渡辺通りが見下ろせ、開放的で伸びやかな雰囲気が心地よさを運んでくれます。センスあふれるインテリア、ベビーカーでの移動もラクなバリアフリー、12名までの個室など、優しい気遣いが感じられる空間が広がります。華やかな盛り付けが目を引く、本格イタリアンメニューが並ぶ九州・福岡の食材や器を使用した、多種多様なイタリアンメニューがずらり。コース料理はもちろん、アラカルトでピッツァやパスタなど、お一人様でも大歓迎の料理が用意されています。店内には本格的なピザ窯もあり、焼き立てをみんなでシェアしながらいただくのもオススメ。17:30~18:00の入店で、グラスワインやグラススパークリングが1杯500円になる特典も要チェックです。サンミケーレ【エリア】渡辺通り【ジャンル】イタリアン【ランチ平均予算】1800円【ディナー平均予算】5500円【アクセス】天神駅 徒歩10分中国料理【中国料理大観苑/ホテルニューオータニ博多】イタリアをモチーフとした空間で、彩り豊かな美しい中国料理をさまざまなシーンに似合う、洗練された落ち着いた空間地下鉄渡辺通駅からすぐ、ホテルニューオータニ博多地下1Fにある、イタリアンチャイニーズをコンセプトとした中国料理店【中国料理大観苑/ホテルニューオータニ博多】。イタリアンを基調としたデザイン性の高い店内で出会えるのは、中国料理の定番から創作メニューまで、多種多彩な一皿の数々。洗練された空間で、心もお腹も満たしてくれる料理と、大切な人との会話を心ゆくまでお楽しみください。点心は、本場中国から来日した上級点心師が皮から手づくり上海料理を中心に腕を磨いた料理長が腕を振るう絢爛豪華な中国料理、本場中国から来日した上級点心師が手掛ける飲茶など、魅力あふれるメニューが揃っています。名物料理の一つ『黒酢豚』は、ジューシーな豚肉と彩り野菜のコンビネーション、まろやかさとコクのバランスが絶妙。コース料理は季節で内容が変わるので、次はどんな味に出会えるかも楽しみです。中国料理大観苑/ホテルニューオータニ博多【エリア】渡辺通り【ジャンル】中華料理【ランチ平均予算】3000円【ディナー平均予算】10000円【アクセス】渡辺通駅※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報や営業時間は店舗にご確認ください。
2023年07月10日フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『Arrow(アロウ)』のイタリア料理です。『Arrow』をSNSで見かけたら、誰しもがスクロールの手を止めてしまうのではないか。ホワイトでウッディ。マリン&カントリーなセンスと意志に満ちた世界観。私が店内の写真をポストしたら早速友達からコメントが飛んできた。「やばい!この椅子かわいい!!」「アメリカの教会で使われてたヴィンテージらしいよ」「うわ~最高」そう、『Arrow』の空間は最高なのである。オーナーの山田一歩さんが店作りをする際に決めたのは、普通の店は作らないこと。キッチンには巨大な縦型冷蔵庫も天井から吊り下がるラックもない。どちらも当たり前に飲食店に設置されるものだが、機能性だけでジャッジをしないことが、この店を特別へと変える確信があったのだろう。しかし、空間に振り切ったお店は得てして料理に同等の愛が注がれないこともある……なんて定説をまるっとひっくり返すのが『Arrow』でもある。煮込み、パスタ、肉!シンプルで肝の据わったイタリア料理が、厨房からドカンドカンと放たれるのだ。シェフの川村洋太さんはイタリア愛溢れる人。ピエモンテやシチリア料理など横断的な経験を積んだ彼の渾身の皿は、デセールのチョコラータに至るまで油断ならないおいしさだ。「お腹をすかせて来てほしい」と彼らは言う。非日常な空間でめいっぱい料理を頬張る没入的な食体験は、突き抜けるような幸せを約束してくれるだろう。手前から時計回りに、川村シェフが現地で衝撃を受けたフィレンツェ屋台の味 ランプレドット(¥1,700)、北海道産鴨フィレ肉のロースト(¥3,400)、魚介とオレンジのシチリア風煮込み リゾット(¥1,900)、チョコラータ バニラジェラート添え(¥1,000)。グラスワイン(¥1,000~)。Arrow東京都世田谷区三宿1‐7‐1TEL:070・1250・062617:00(土・日・祝日15:00 )~24:00(22:30LO)水・木曜休詳細はインスタグラム(@arrow_mishuku)で。ひらの・さきこ1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)など。※『anan』2023年5月17日号より。写真・清水奈緒取材、文・平野紗季子(by anan編集部)
2023年05月10日フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『conne』(コンネ)のステークフリットとガレットです。街に愛されて7年になる定食と甘いものの店、都立大学『Little chef』のオーナーシェフ・田中雪絵さんは、店のあり方について真摯に葛藤し続けてきた人なのだと思う。彼女の作る丁寧で心まで染み込むような食事やデザートは、予約なしでは確実でないほどの人気を誇るが、彼女が夜の部として2月からスタートした『conne』は、今は予約を取らない方針だ。「いつでもあの店に行けば、なんか美味しいものが食べられる、ちょっといい思いができる。そんな店でありたいんです」と雪絵さん。仕事終わりでヘトヘトの夜、何が食べたいかも思い浮かばないほど疲れていても、あの店なら……。パワフルなステークフリットがある。自家製のアイスクリームとワインがある。しっかり食事をしてもいいし、デザートだけいただいてもいい。フレンチの経験もある雪絵さんのシンプルで直球なビストロ料理は、心にそっと火を灯すみたいに輝いて、帰る頃にはまた明日も頑張ろうと思える。彼女はそんな景色が好きなのだと思う。彼女自身がそういう飲食の場に、救われてきたのだと思う。街に店が開く。その店の数だけ、無数の思惑と願いがある。『conne』がもたらしてくれるのは、大袈裟に言えば、生活の肯定だ。楽しいばかりではない人生を、それでもやっぱり今日はいい日だったと思えるように。そんな時間を分かちあうために。きっと、店は在る。ビフテックにフレンチフライの付け合わせ(¥2,900~)、本日のガレット(¥1,200~)とグラスワイン(¥1,000~)。本日のガレットは砂糖とバター。ビフテックの付け合わせはフレンチフライかサラダから選べる。「ガレットは本当に大好きで。お菓子と食事の間のような存在がたまらないんです」と雪絵さん。conne東京都目黒区平町1‐23‐18 マヌワール都立大103TEL:03・6421・217918:30~22:00(21:00LO)火・水・木曜休詳細はインスタグラム(@conne.lc34)で。ひらの・さきこ1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)など。※『anan』2023年4月12日号より。写真・清水奈緒取材、文・平野紗季子(by anan編集部)
2023年04月05日小さい子供を連れての外食は、想像以上に大変。だからこそ、周りのやさしさに触れることもあります。これはInstagramに育児漫画を投稿する、hanemi(hanma_ma)さんが、反抗期の息子とイヤイヤ期の娘を連れて、インドカレー屋さんで食事をしていた時のこと。子供たちがカレーを食べ散らかす、テーブルに上がるなど、悲惨な状態になってしまい、早く店を出ようとしたのですが…。お会計をすると200円足りない事態が発生。ただでさえ、周りに迷惑をかけてしまった焦りと悲しみでいっぱいでしたが、さらに窮地に追い込まれます。確実に怒られると思いながら、半泣き状態で「お金を取りに帰ります」と伝えると、外国人の店員さんが粋なはからいを…!さりげなくお会計を打ち直し、「ガンバッテネ」とねぎらいの言葉をかけてくれたのでした。hanemiさんはやさしい配慮に完全ノックアウト、人目をはばからずボロボロと泣いてしまったのだそう。心温まる投稿のコメント欄には、共感の声が寄せられていました「人のやさしさがしみる〜!」「外食は1人でも連れて行くの大変なのに、2人でその状態は泣きます」「泣けるね…」以来、hanemiさんはこのインドカレー屋さんをよく利用しているそう。こんな風にやさしくされたら、お返しをするためにも通わずにはいられませんよね。[文・構成/grape編集部]
2023年03月28日人間国宝などの器で美食を食べる――。佐賀県でおこなわれた、期間限定のプレミアムレストランの様子をお伝えします。人間国宝の器で食べる!?佐賀県と言えば、焼物の里です。「伊万里焼」「有田焼」「唐津焼」などはみなさんもご存知かもしれません。いずれも豊臣秀吉の時代から佐賀県で作られてきた陶磁器です。「すばらしい器なんだろうなぁ、でも自分との接点はないだろうな」なんて思っていたところ、驚きのイベントを知ります。その名も、「美術館(MUSEUM)に飾るような人間国宝などの器を使って(USE)、佐賀の美食を楽しむ、期間限定のプレミアムレストラン“USEUM SAGA(ユージアム サガ)”」。こんな機会はめったにない!とよろこび勇んで参加することにしました。入り口からすでにワクワクの体験が始まっています。食材もメンバーもプレミアム過ぎ!プレミアムなのは器だけはありません。料理は日本のトップシェフによるコラボレーションで提供されます。今回の料理は、ミシュランも獲得した地元佐賀のレストラン「Kaji synergy restaurant」の梶原大輔シェフと、岩手県遠野市で予約のとれない人気店「とおの屋 要」を営む佐々木要太郎シェフが担当します。互いへのリスペクトから、今回のコラボレーションが実現。左が梶原シェフ、右が佐々木シェフふだんから地域らしさをお皿の上に表現しているという点では近い、そして九州と東北という距離としては遠い2人が、いったいどのような料理を生み出すのか、興味しんしんです。おいしい!けれどこれはなに?いよいよ料理が並び始めます。最初の一皿目は、「ニシユタカ/武雄イノシシのジャーキーとコンソメ」。真っ白な皿の上に、乾燥させた肉とボール状のものとコンソメスープ。1皿目ニシユタカ/武雄イノシシのジャーキーとコンソメ李荘窯業所ボール状のものは、口に含んでビックリのとても複雑で芳醇な味わい。これはニシユタカという品種のジャガイモに大根・人参・ごぼうの味噌漬けで風味付けをした一品で、発酵を得意とする佐々木シェフがふだんは「芋サラ」という名前で提供しているシグネチャーだそう。それに添えられるジャーキーは、梶原シェフが地元で獲れたイノシシを燻したもの。隅々までイノシシを使い尽くすべく、その骨を使ってコンソメスープを引いてあります。野性味と滋味が、奥からどんどん湧いてきます。今回の趣向のカケラが見えてきました。皿の上にまるで謎掛けのように料理が並び、わたしたちはそれを、耳から得たヒントを頼りに、目と、舌と、頭を使って縦横無尽に探索するというもののようです。これは楽しい!五感を使った大冒険全11皿の中から、特に印象に残ったお皿をピックアップしてご紹介します。ちなみに今回は東京からやってきたソムリエの大越基裕さんが、すべての料理にアルコールとノンアルコールをペアリングさせていて、料理とのマリアージュも楽しめます。口が忙しい!けどうれしい!3皿目唐津産真鯵/多久野生高菜文祥窯フレッシュな鯵のタルタルに、野生の高菜を焦げる寸前まで焼いて合わせた一皿。苦味と旨味が合わさって、大人な風味。そこに合わせるアルコールは、米全部を使い切りたいと、佐々木シェフが醸造している米ぬかの酒。米ぬかまで一緒に発酵させることで、日本酒にはない酸味が加わり、さらに料理に奥行きを与えています。8皿目武雄イノシシ/蕪の葉/仏手柑弓野窯この青い皿は、まさに今回のイベントを知るきっかけともなった、人間国宝である弓野窯・中島宏さんの作品。「中島ブルー」として多くの人を魅了する青磁に、イノシシの茶色が映えて、コントラストが美しい一皿です。同じテーブルの器に詳しい方から、「中島さんのお皿で食事ができるなんて、ありえませんよ!」と教えてもらい、その一生に一度かもしれないよろこびを堪能。もちろん緊張もしましたが、お皿そのものからは柔和な優しさを感じました。シェフが丹精込めた料理を盛られて、お皿もなんだかうれしそう。イノシシの上には、仏手柑という柑橘を刻んだものが添えられています。岩手からやってきた佐々木シェフが、佐賀の柑橘類の豊富さに驚き、これを酸味として使いたい!という思いから生まれたアイデアだそう。まるでハーブのようで、オリエンタルな風味を加えています。辺境はいま最前線かもしれないこうして、美食と旨い酒と端正な器と戯れた3時間あまり。一皿ごとに味わい、考え、尋ねてをくりかえして、おなかも頭もいっぱい!そして、このイベントの中に、いろいろなアイデアの種が隠れているような気がしてきました。例えば、土地の特性に気づくこと。岩手からやってきた佐々木シェフは、「佐賀にやってきて、冬なのに食材が溢れていることに驚いた」と話し、見つけたものの一つである柑橘を、酸味として自分の料理に取り込みました。一方で梶原シェフは「ふだん新鮮な食材に恵まれているからこそ、佐々木シェフが本来保存のためだった発酵を、自身の料理の最大の特徴にしているところがすごい」と、その力を借りていました。距離があるからこそ、互いの土地のいいところが見つかったのかもしれません。また、足元の歴史を見直すこと。おいしい食材は他の地域でも見つかるかもしれませんが、豊かな陶磁器の文化はここ佐賀にしかない代えがたいものです。そこに敬意を払うことで「自分たちらしさ」を形作っているのだと感じました。お客さんの顔から、どれだけエキサイティングな試みだったかが伝わります。同時に、世界のトレンドにも敏感であること。2人のシェフは、食材に対してこれまでの単なる「贅沢」とは異なるスタンスをとっていました。生産者にこだわって作ってもらったものと一緒に庭で偶然見つけたものを使ったり、廃棄されるはずの骨やアラからぎゅぎゅっと旨味を引き出したり。軽やかさと同時に哲学を感じて、その場に参加していることがうれしくなるようなイベントでした。こんなにおもしろいことが、いま佐賀では起きています。そして「USEUM SAGA」はまだまだ続きます。ぜひ次のチャンスには、五感をしっかり鍛えて、みなさんも参加してみてください。USEUM SAGA
2023年03月09日フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『Oscar(オスカー)』のヴィーガンアメリカンチャイニーズです。アメリカに留学していた頃、モールに行ったらピザか中華、お腹がすけばピザか中華のデリバリー、という感じでとにかくピザと中華を食べまくっていた。アメリカンチャイニーズは本場の中国料理とは違う独自の進化を遂げていて、何を食べてもギラギラと味が濃く油っぽく、いつも何かに飢えているユースの胃袋に突き刺さる美味しさだった。昨年末、下北沢に登場した『Oscar』は、アメリカンチャイニーズの深き理解者である『PIZZA SLICE』のオーナー・猿丸浩基さんが代表を務めるダイナーだ。猿丸さんがピザ修業でアメリカに住んでいた時めちゃくちゃお世話になったのがアメリカンチャイニーズで、いつか日本でもやりたいと何年も構想を温めてきたという。店内のデザインから、チャオメン(焼きそば)のいい意味でもっさりした食感まで、自身の思い入れと愛情が店の細部に宿っているのを感じる。しかし元来のアメリカンチャイニーズとの決定的な違いがある。それは、オールヴィーガンであること。甘辛塩(じょ)っぱいの大定番・ジェネラル・ツォーズ“チキン”も、永遠のアイドル・“ビーフ”&ブロッコリーもメイドインヴィーガン。まさかと思うほどの肉々しさは、代替肉などの技術力の高さはもちろん、レシピ開発の試行錯誤の賜物だ。ヴィーガンといえばヘルシー。そんなイメージを打ち破る、ヴィーガンなのにジャンクでハイテンションな新しいダイナーの形がここにある。ランチプラッター(¥1,200)は、サイド1種またはハーフ&ハーフ、メイン2種、ソフトドリンク1杯を選ぶ。写真はサイドがハーフ&ハーフで、手前から左回りに、チャオメン、“ビーフ”&ブロッコリー、フライドライス、ジェネラル・ツォーズ“チキン”。実はカクテルも充実な『Oscar』。ピンクレモネードマルゲリータ(¥700)でカラフルに乾杯。現在、17:00~19:00にアルコール全品¥500となるハッピーアワーを実施中(終了未定)。Oscar American Chinese東京都世田谷区代田2‐36‐15BONUS TRACK内TEL:03・6823・749612:00~23:00(22:00LO)不定休詳細はインスタグラム(@oscaramericanchinese)で。ひらの・さきこ1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)など。※『anan』2023年3月15日号より。写真・清水奈緒取材、文・平野紗季子(by anan編集部)
2023年03月08日「一緒に食事をしないか?」同僚が仕事終わりに、奇妙な提案をしてきた。この辺境の職場には変わり者が多いが、この同僚は格別だ。「それはどういう意味か?私の栄養摂取のタイミング、構成、摂取量も、あなたとは大きく違うはずだが」「地球人の食事、特に“レストラン”での食事という文化を再現、体験してみようと考えた。二人一緒だと、より多くの発見に富んだ体験ができると推測する」私たち調査団は、恒星標準時間で数万年前のいっとき、この辺境惑星を支配した生物を“地球人”と呼んでいる。“地球”は彼らの言語でこの惑星の名前で、絶滅生命体の社会・文化研究を専門とするこの同僚が最初に使い始めた。地球人が彼らの文明について多くの情報を残そうとした痕跡はあるが、ほとんどは失われ、彼ら自身の遺伝情報すら、すべては解明されていない。しかし先ごろ食事にまつわる多くの情報の断片が見つかり、復元された。地球人は家族のほかに“友人”、“恋人”といった独特の関係性を築く上で、栄養摂取の時間を利用したらしい。時には自宅ではなく“レストラン”――栄養を様々な形にして供し、その対価として通貨を得る、商業の一形態と推測――を利用したようで、同僚はこの発見に多大な関心を寄せている。「“レストラン”での食事は同空間での摂取と認識する。健康への影響は大丈夫なのか」「食事の前後に精密検査を行う。栄養の内容も一部復元情報から生成した素材を使用するが、私たちの体への影響を事前に検査してある。二人ずつで問題が生じなければ、ゆくゆくは複数人での実験も視野に入れている」私たちの星系では未知の病原菌が頻繁に蔓延するため、栄養摂取、激しい運動、排泄といった体液が多く飛散する行為を同空間で行うことは忌避されている。免疫遺伝子を近しくする者とも、一定の介助が必要な幼少期以降は滅多にそのような行為を共にしない。躊躇いはあったが、私は同僚の提案に応じることにした。実験への警戒心より、科学者としての好奇心が優った。復元された“レストラン”には予め同僚から教示された通り、地球の食事道具が並んでいた。空間いっぱいに不思議な“音楽”なるものが響き、同じ装飾をつけて “給仕”となった整備マシンによって、私たちの前に最初の“グラス”と“皿”が運ばれてきた。「ワインでございます」「海の幸のカルパッチョでございます」“ワイン”は一口舐めると私たちが使用する薬品と似たような味がした。しかし口の奥で嗅いだことのない、だが決して不快ではない香りが膨らみ、舌を包む感覚がある。「地球人は数種の果物や花の香りが混ざったものと形容していたようだ」「原料自体は単種の果物と認識しているが」「そうだ。たった一種類の果物を、他の生物の手を借りながら、驚くべき手間と時間をかけてこの液体に変容させていた」もう一つの皿の中身は非加熱の肉をとりどりの植物と一緒に無秩序に並べた上に、液体状の何かをかけたもののようだった。半信半疑で口に入れると冷たく奇妙な食感と香り、続いて形容し難い味の層が口中に広がった。「植物由来の調味料を、複数使っているのか」「切る以上の調理をしていない水生動物と、手間をかけて抽出した濃度の高い陸生植物由来の調味料を組み合わせている。面白いと思わないか」「なぜこんな余計な手間をかける?食材の無駄も多すぎるのでは?」私は感心するより呆れた。地球とはそんな無駄が許されるほど食べ物が溢れかえる星だったのだろうか。私たちの星では同盟星の全生命体の健康を保つべく、栄養分の生産から摂取までの工程すべてに無駄がないよう管理している。同僚はまるで本物の地球人のように、“レストラン”を楽しんでいるように見えた。地球の奇妙な道具の扱いも堂に入っている。次に“給仕”が運んできたのは「かぼちゃのポタージュ」と「牛フィレステーキの赤ワインソース」だった。同僚によれば、“牛”なる陸生動物の復元は叶わなかったので、私たちが普段摂取するXXXという動物の遺伝操作をして作り上げた肉を使ったらしい。立ち上る香りもXXXに似ているが、焼き方のせいか、ソースのせいか、いつもより強く食欲が刺激される。「地球の味がどこまで再現できているのかは不明だが、私たちの好みに近くないか?」「XXXより柔らかいのは調理法にもよるのか……このソースは最初に飲んだ“ワイン”とはまったく味が違うようだが」「肉の柔らかさは特定の部位だけを切り出しているから。ソースのワインは、素材は同じ果物でも形種と製法が違う。こちらは果物を丸ごと使うが、最初に飲んだものは皮や種を取り除く。さらにこのソースは香りの強い植物と、“牛”の骨のエキスや乳から生成した調味料を使っている」ほんのりと甘みのあるスープにも“牛”の乳は活用されているのだという。素材の無駄が多いと思ったが、必ずしもそうではないらしい。最後には「チョコレートムースとシトラスソルベ」という色鮮やかで小さな一皿と、熱い「コーヒー」が供された。遺伝操作をして復元した数種の植物の種、豆、実が、甘み、酸味、苦味となって私の中で混ざり合う。栄養の温度や味の違いは素材と製法の違いによりたまたま生じたものと考えていたが、この最後の皿で、すべて計算されたものなのだと気付いた。「一つ一つの皿の見た目、味、香り、温度や食感、咀嚼音の違いまでも楽しむ……彼らは“レストラン”の手間隙かけた食事で体の内外の感覚器官を動員させ、それを同席した者同士で共有することを目指した、というのが私の仮説だ」「感覚を共有することで関係性を築くのは、私たちの祖先と同じだな」「地球人は私たちのような同調能力を持っていなかったが故に、意思疎通の手段が原始的な言語や所作に限られていた。性別や生育環境から生じる個体差もあった。そこに相手を知りたい、近付きたいという強烈な欲求が生じ、同空間での食事によって各種感覚を共有できたとき、喜びを感じた――とは想像できないだろうか」「あなたは本当に想像力が豊かだ」「この“レストラン”実験で、あなたにも地球人の面白さが伝わるといいのだが」かつてこの星の“レストラン”で、手間隙かけて加工された栄養を通じて、より互いへ近付こうとした生物がいた。彼らにとってその行為は、多少の健康上のリスクを冒してでも行う価値があった。本当に関係性を築けたのかは不明だが、そのようにして、彼らは確かに食べ、共に生きていた。はるか遠い過去に滅んでしまった生命のひたむきさを、私はこの奇妙な同僚を前にして突如、痛切に感じた。「私はあなたに少し同調しかけているようだ。これも“レストラン”のせいか」著者プロフィール白尾悠しらお・はるか2017年「アクロス・ザ・ユニバース」で第16回「女による女のためのR-18文学賞」大賞・読者賞をダブル受賞。同作を収録した『いまは、空しか見えない』でデビュー。他の著書にNHK-Eテレ『理想的本箱』で紹介され話題を呼んだ『サード・キッチン』、実在の高齢者劇団をモチーフにした『ゴールドサンセット』がある。白尾さんオススメのお店CAFE&MORE MIYANO-YU【エリア】日暮里【ジャンル】カフェ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】-【アクセス】根津駅
2023年02月21日お酒をこよなく愛するアナウンサー・宇賀なつみさんの「宇賀なつみのほろ酔いおつまみ」。今回は『シターラ 青山店』のバターチキンカレーとチーズナンです。宇賀(以下U):年末年始にインドに旅行してきまして。完全にカレーに取り憑かれてしまったので、今回はカレーです(笑)。私、南よりも北インド系のドロッとしたカレーが好きなので、王道のバターチキンカレーとチーズナンを選びました!編集K(以下K):カレーとは思えないお上品なビジュアル!U:そうなの。私は、品のいい店内の感じもお気に入りで。ちょっとした会食にもいいし、そういう場でカレーっていいじゃない?和むっていうか。シェアもできますし。バターチキンカレーも甘~いのじゃなくて、程よくピリッと辛い。あと、チーズナンは大事そうに白い布に包まれてて…(笑)。ほぼチーズなんじゃないかってぐらいに入ってるし、最高。どれも美味しいです。K:インドではどういう旅を?U:カレー食べて、お酒飲んで、遺跡巡って…。物価が安すぎてびっくりしました。いいレストランで、たらふく食べても「3000円!?」みたいな。なかでも、マトンカレーが忘れられないんですけど、今回はみんな大好きバターチキンで(笑)。あ、あとインドのワインも美味しかったんですよね。ぜひ日本でも流通してほしい!今回はインドビールを合わせましたが、麦が強くて美味しい。やっぱり現地のビールと一緒に楽しまないとね!バター・チキン¥1,750。チーズナン¥780。キングフィッシャー(瓶ビール)¥850。シターラ 青山店東京都港区南青山5‐7‐17小原流会館B1TEL:03・5766・1702ランチ11:30~15:00(14:30LO)、ディナー18:00 ~ 22:00(21:00LO)毎月最終日曜休宇賀なつみお酒をこよなく愛するアナウンサー。自身初のエッセイ本『じゆうがたび』(幻冬舎)が2月22日に発売予定。編集K入社4年目。最近、ペペロンチーノで乳化させることに初めて成功しました。※『anan』2023年2月22日号より。写真・清水奈緒(by anan編集部)
2023年02月15日