前回、『「私ばっかり…」 - 女性が不満・不公平を感じがちな理由』という記事内で、女性が不満や不公平を感じやすい理由について化粧心理学者の平松隆円さんに解説していただきました。今回は、ではその”不公平”が続いた場合、恋人や夫婦ならどんな結果をもたらしてしまうかについて解説していただきます。人は、不公平だと不満を感じます。それは、努力や行った仕事に対する評価や報酬の関係はもちろんのこと、人間関係にもあてはまります。夫婦や恋人といった関係を考えた場合、男性と同じように仕事をしているのに、そのうえ家事や育児までしなくてはいけない女性たち。女性にはやらなくてはいけないことが多すぎてしまい、男性よりも不満を感じやすくなります。けれども「自分はこんなにしているのに、相手は何にもしてくれない」という過小評価もですが、「自分は何にもしていないのに、相手がこんなにもたくさんのことをしてくれる」という過大評価も、不公平になります。当然、人は不公平を感じるとそれを公平にしようと考えます。その方法は、次の5つがあります。1) 自己の行動や結果を変える。2) 自己の行動や結果を認知的に歪曲する。3) 比較する他者の行動と結果の比を変える。4) 不快な比較を避け、その場を去る。5) 自己の行動と結果の比と等しい他者を比較の相手に選ぶ。1は、行動に対する努力を増減させたり、適切な評価を要請したりして、バランスをとろうとすることを意味します。2は、本来は不公平であるにもかかわらず、「これは正当な評価で公平なんだ」と、自分を無理やりに納得させることです。3は、相手に対して自分のほうが行動していると考えていれば、相手に一層の努力を求め、反対に自分はあまり行動していないと考えていれば、相手に対しても少ない努力を要請します。いってみれば、2は我慢であり、3は話し合いでお互いの関係の公平さを保とうとすることを意味します。問題なのは、4と5です。4の場合、不公平さを改善しようとせず、不公平な関係そのもの自体を解消しようとすること。つまり、別れを意味しています。5も、現在のパートナーから、自分の行動と同じだけ行動してくれる別の相手を選ぶということなので、これも別れを意味します。恋人や夫婦関係は、2人がそれぞれ自覚する行動と結果が釣り合っている公平な状態であれば、その関係は継続します。けれども不公平な場合、その関係を解消したり、関係に関わる投入を増減したりして、公平にしようとするのです。もしも恋人や自分が何か不満を口にしていた場合、また不満ではないけれども自分や相手の行動を重荷に感じていた場合、それは2人の関係が不公平であることを意味します。関係をその後も維持していくためには、何より話し合い公平を保つことが大切です。ケンカしているうちは、まだお互いの関係を公平に使用としている証拠。けれども、それを放っておくと、別れという不幸な結末となってしまいます。少しでも気になることがあれば我慢せず、ちゃんと話し合うようにしてください。平松隆円化粧心理学者 / 大学教員1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。国際日本文化研究センター講師や京都大学中核機関研究員などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。よそおいに関する研究で日本文化を解き明かしている。大学では魅力をテーマに恋愛心理学も担当。NTV『所さんの目がテン! 』、CX『めざましどようび』、NHK『極める 中越典子の京美人学』など番組出演も多数。主著『化粧にみる日本文化』は関西大学入試問題に採用されるなど、研究者以外にも反響を呼んだ。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月06日男は外で働き、女は家を守る……。そんな男女の役割分担は過去のものとなり、男性も女性も外で働き、お互いに協力して家庭を維持する世の中になりました。とはいえ、それはまだまだ不十分で、「イクメン」が妙にありがたがられたりと、男性が育児や家事に参加するというのは少数のようです。仕事をもつ女性が結婚をしても、料理や洗濯、そして子育ても女性がしなくてはいけないのが、まだまだ日本の現実です。「どうして私ばっかり……」――。育児や家事だけではなく、職場など様々なシーンで女性はこの台詞を言ったり思ったりしがち。今回は、化粧心理学者の平松隆円さんに女性が不満や不公平を感じやすい理由について解説していただきます。あたりまえの話ですが、私たちは公平に扱ってほしいと思います。例えば、仕事では自分の努力や成果に見合う報酬を願います。つまり、自分の行ったことと結果にバランスがとれていないと不公平だと感じ、不満となるのです。この公平か不公平かという問題は、実は人間関係にもあてはまります。自分が誰かに何かをしてあげたら、同程度のお返しがほしいと思いますよね。これは、心理学的には「公平理論(equity theory)」と呼ぶ考え方で説明されます。公平理論では、自分の行った(=投入)と得られたもの(=結果)が、相手のそれと等しい場合を公平、等しくない場合を不公平と呼んでいます。そのため、「自分はこんなにしているのに、相手は何もしてくれない」というのは、不公平となるのです。恋人や夫婦というのも、人間関係です。お互いの投入と結果のバランスがとれていないと不公平となり、不満につながります。ですが、どうしても従来の役割分担のままで男女関係を維持しようとすると、女性の方が不公平になってしまいます。男性と同じように仕事をしているのに、そのうえ家事や育児までしなくてはいけない。女性には、やらなくてはいけないことが多すぎてしまい、不満を感じやすくなります。ですが、ここで注意が必要です。公平理論では、お互いにバランスがとれていることが大事です。つまり「自分はこんなにしているのに、相手は何もしてくれない」というのも(=過小)、その反対に「自分は何もしていないのに、相手がこんなにもたくさんのことをしてくれる」というのも(=過大)、実は不公平なんです。そのため、女性は実際に行動を行うことから過小として不公平になりやすいのですが、男性は男性で不満とは感じていなくても、過大として不公平となっています。では、不公平だったら人はどうするのでしょう。当然、公平にしようと思いますよね。仕事だったら、がんばっても評価されないならやるだけ無駄だからやめておこうとなります。じゃあ、恋人や夫婦の場合なら……。それは次回お話しすることにしましょう。平松隆円化粧心理学者 / 大学教員1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。国際日本文化研究センター講師や京都大学中核機関研究員などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。よそおいに関する研究で日本文化を解き明かしている。大学では魅力をテーマに恋愛心理学も担当。NTV『所さんの目がテン! 』、CX『めざましどようび』、NHK『極める 中越典子の京美人学』など番組出演も多数。主著『化粧にみる日本文化』は関西大学入試問題に採用されるなど、研究者以外にも反響を呼んだ。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月27日テレビ離れがすすんでいるといわれています。ですが、その一方で昼ドラが好評のようで、現在放送中の「幸せの時間」は過激な内容から話題を集めています。今回は、「主婦が昼ドラにハマる理由」を化粧心理学者の平松隆円さんにお話ししていただきます。昼ドラといえば、これまで子どもの成長など家族や主婦を題材にした感動的なもの、不倫など男女のもつれを題材にした愛憎的なものが、放送されてきました。好評な理由は、いろいろあるでしょう。ストーリー自体のおもしろさがくつろぎやリラクゼーションになっていること。また、ストーリーの非日常性が刺激や興奮を得ることにつながり、気分転換になっていること。「みんなが見ているから、私も見ないとついていけない」という人間関係の維持や強化を目的とした話題づくりなどが考えられます。もちろん、午後の活動までのひとときに視聴できるという環境的な要因も考えられますが、決してそれだけではありません。一体なぜ、人は昼ドラにハマってしまうのでしょうか。心理学的な研究で、人は、恋愛、友情、障害や病気で頑張る人がテーマとなっているストーリーに関心を持ちやすいといわれているのですが、まさに昼ドラは、これらがモチーフとして扱われています。そして、恋愛や友情をめぐる出来事は、一度は自分自身が経験したことがあり、場合によってはいま悩んでいる問題でもあるのです。そんなテーマには、人は感情移入がしやすくなります。研究では、女性の場合、男女の恋愛、親子の愛情、仲間同士の友情、障害・病気の人の頑張る姿に共感し、感情移入してしまうことがわかっています。そのため、女性は昼ドラに「うん、うん、わかる」と、ついつい見入ってしまうのです。例えば、2004年に社会的にも話題となった「牡丹と薔薇」。これもよくみると、男女の恋愛はもちろん、家計を助けるために風俗店で働こうとする親子の愛情、真世と香世の仲間同士(兄弟)の友情などがちりばめられており、感情移入しやすい番組だったのです。どうしても昼ドラというと、過激な性描写やセリフの言い回しばかりが注目されてしまいますが、自らの恋愛体験や結婚生活など、女性たちが共感できる内容だからこそ支持されているんです。しかし男性からすると、昼ドラのどこが面白いのかわからないという人もいるでしょう。それは、男性の場合は女性と異なり、仲間同士の友情、人生における達成・成功に感情移入しやすいからです。そのため、昼ドラのテーマとは少しずれてしまうため、どうしても男女でハマり方に差がでてしまいます。ですが、昼ドラにハマる恋人や妻を持つ男性は気をつけてください。彼女たちが共感しているということは、経験したことがあるか、いま悩んでいる可能性があるからです。恋人や妻がドロドロした恋愛に共感しているなら、一度話し合っても良いかもしれませんね。平松隆円化粧心理学者 / 大学教員1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。国際日本文化研究センター講師や京都大学中核機関研究員などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。よそおいに関する研究で日本文化を解き明かしている。大学では魅力をテーマに恋愛心理学も担当。NTV『所さんの目がテン! 』、CX『めざましどようび』、NHK『極める 中越典子の京美人学』など番組出演も多数。主著『化粧にみる日本文化』は関西大学入試問題に採用されるなど、研究者以外にも反響を呼んだ。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月21日好きな人と離ればなれになる。会えなくなることの寂しさ。浮気されないかといった不安……。「遠距離恋愛」ってうまくいくのか、すごく不安になりますよね。ここでは、化粧心理学者の平松隆円さんに遠距離恋愛を心理学的アプローチで解説していただきます。結論からいえば、残念ながら遠距離恋愛はうまくいきません。それは、誰かを好きでい続ける気持ちと、その人と一緒にいることは、心理学的に深く関係しているからです。心理学者のザイアスが、こんな実験をしました。会ったことがない人物の写真を10枚用意し、各2枚ずつ25回、10回、5回、2回、1回と実験協力者にみせます。その時間はわずか2秒です。すべてを見終わった後、その写真の人物に対する好意の程度を調べました。すると、目にした頻度が高ければ高いほど、よりその写真の人物に対する好意が高くなったのです。これは、心理学では「接触理論」と呼ばれており、外見の良し悪しに関係なく、接触する頻度が高い人に対して好意を持つことを意味しています。つまり、通勤や通学の電車の中で、偶然いつも乗り合わせているだけでも、その人に対して好意を持ってしまうのです。逆に言えば、顔を合わせる頻度が下がってしまえば、その人に対する好意を失ってしまいます。遠距離恋愛は、当然ながら一緒にいる時間が少なくなるため、どんなに好きでも、時間の経過とともに、その感情が弱まってしまうのです。よくテレビドラマなどで、どんなに仲の良い夫婦でも、どちらかが単身赴任で離ればなれになってしまうと浮気をしてしまうという話があります。これは、心理学的には必然であり、仕方がないことなのです。では、少しでも遠距離恋愛をうまくいかせる良い方法はないのでしょうか。ザイアスの実験を思い出してみてください。このとき使われたのは、ただの写真でした。つまり、実際に目の前にいなくても、写真で顔を見るだけでも好意を維持することが可能であることを示唆しています。電話しか連絡方法がなかった一昔前と異なり、今ではSkypeなどで相手の顔を見ながら話をすることが可能な時代になりました。一緒にいた頃に比べて、話をする時間もとりづらくなってしまうかも知れませんが、それでもないよりはマシ。電話やメールよりもビデオ通話などをうまく利用すれば、多少は遠距離恋愛もうまくいかせることができるかもしれません。平松隆円化粧心理学者 / 大学教員1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。国際日本文化研究センター講師や京都大学中核機関研究員などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。よそおいに関する研究で日本文化を解き明かしている。大学では魅力をテーマに恋愛心理学も担当。NTV『所さんの目がテン! 』、CX『めざましどようび』、NHK『極める 中越典子の京美人学』など番組出演も多数。主著『化粧にみる日本文化』は関西大学入試問題に採用されるなど、研究者以外にも反響を呼んだ。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月17日奇才・中島らもが1990年に書き上げ、その後幾度かの再演を重ねてきた『こどもの一生』が、11月4日、東京・PARCO劇場にて開幕する。同劇場では14年前にも上演されており、生瀬勝久、古田新太らが出演。現在まで語り継がれるほど、大きな話題を呼んだ伝説的舞台でもある。「こどもの一生」チケット情報物語は瀬戸内海の孤島に建つ医療クリニックを舞台に展開する。そこではある意外な精神療法が行われていた。さまざまな理由からストレスに悩み、島を訪れた患者たち。携帯電話もインターネットも繋がらない隔離された状況下で、治療は順調に進んでいるかのように見えた。しかし患者たちが遊びのつもりで始めたあるいたずらが、思いがけない恐怖を呼ぶことになる。前半では笑顔だったはずの観客の表情が、後半では一気に恐怖でひきつる。そのギャップの大きさこそ、『こどもの一生』という作品が多くの観客を惹きつけてきた理由のひとつといえるだろう。さらに演出のG2は、作品全体のテンポ感を重視。コミカルな前半から怒涛のラストへ。極力無駄をそぎ落とし、ストーリーのおもしろさを際立たせる。またダンス(振付=小野寺修二)や映像(=上田大樹)を効果的に使用し、作品に疾走感とある種の違和感を与えていた。G2が「みんなキャラクターが豊富で、いい意味で“不良”が集まりました」と語るキャストには、演劇人を中心とした実力派がズラリ。6年ぶりの舞台出演となったのは、柿沼役の谷原章介。「超がつく真面目」とG2が評するように、役への深い洞察力が感じられ、谷原らしい実直でユニークな柿沼像を生み出す。その谷原が「とても自由で、本当に刺激的」と言うのは、柿沼の上司・三友役の吉田鋼太郎。傲慢で嫌味な男という役どころを、まさに体を張った熱演で見せる。ほかに中越典子、笹本玲奈、山内圭哉、戸次重幸、玉置玲央、鈴木砂羽が出演。初演時にG2は、「今という時代を切り取ったような舞台を書いて欲しい」と中島に依頼した。今回の上演に当たっても新たにリメイクされ、現代を意識させる部分はある。だが多くの人がワクワク感を抱くホラーというジャンル、さらにG2が「とにかく“お話し”がおもしろい」と言い切っていることからも、すでにこの作品はある普遍性を帯びているように感じる。それはつまり、“名作”が持つ絶対的なおもしろさ。G2は最後にこうつけ加えた。「これを見逃すと、ほんの少しですが人生の損失になりますよ」と。その言葉に偽りがないことは、必ずや劇場で証明されるだろう。公演は11月25日(日)まで東京・PARCO劇場にて上演。その後、大阪、福岡、愛知ほか各地を巡演する。チケットは一部を除き発売中。取材・文:野上瑠美子
2012年11月05日教師が生徒全員を、まるで出席を取るように惨殺する超問題作『悪の教典』。その凶行前夜を描くBeeTV『悪の教典―序章―』に出演した中越典子が、一人二役で作品に挑戦した大仕事を振り返った上で、“序章”を鑑賞すればサイコパス蓮実聖司の恐怖が増幅すると推した。その他の写真“序章”は三池崇史監督と伊藤英明主演で、貴志祐介の禁断のベストセラー小説を映画化した『悪の教典』の前日譚。“日常に潜む悪意”をテーマに、映画版とは異なるアプローチでサイコパス教師・蓮実の闇に迫る。蓮実の同僚で心理カウンセラーの水落聡子を演じた中越は、「生徒や父兄、学校のこと。爽やかな顔をして、すべてを調べ上げて“準備”をしている。用意周到な殺人鬼です」と蓮実の人物像を分析。また、仕事で苦悩する聡子は優しく手を差し伸べる蓮実に好意を抱くが、「心理カウンセラーなのに蓮実の方が一枚上手で、本性を見抜けない。切ない話です」と巧妙な蓮見の手口に絶句した。中越は水落聡子と、数学教師、釣井正信(吹越満)の妻・景子の一人二役を担当。性格が正反対で、まさしく演じ分けが要る大仕事だったようだ。「聡子はカウンセラーですが、本当は彼女こそ助けが要るほど頼もしくない(笑)。そこが聡子のポイントでした」と説明し、「聡子と釣井先生の奥さんとが、物語に複雑に関わっているので、それが明らかになるにつれてだんだん怖くなります」と回想。「実は釣井先生は“序章”のキーマンで、不気味な存在です。釣井先生の行動には“奥さんに理由がある”わけですが、それだけに演じ分けはやりがいがありました」と語り、凄惨な凶行の“遠因”を作ってしまう聡子と景子を演じ分けたことで、“本当の悪”の恐怖を深く実感してしまったという。「この“序章”は心理的な追い込みが尋常ではないので、上手く映画へ繋がっていってほしいです」とも語る中越。「 “序章”、本編、もう一度“序章”の順番で観ると、初めて気が付くこともあると思います。伊藤さんの本当に何気ないシーンに、背筋が凍りますよ」と鑑賞アドバイスもしていた。「わくわくしちゃいけないけれど、サイコパス蓮実の次の一手がどうしても気になっちゃう(笑)」という『悪の教典』とBeeTVドラマ『悪の教典―序章―』。超問題作を繰り返し観て、“本当の悪”に迫ってみてはどうだろうか。ドラマ『悪の教典―序章―』dマーケット VIDEOストア powered by BeeTVで独占配信中!映画『悪の教典』11月10日全国東宝系ロードショー
2012年10月30日作家・中島らもの代表作のひとつに数えられる舞台『こどもの一生』、その14年ぶりの上演が目前に迫った。演出家として作品の誕生に関わり、2度の再演を手がけたG2が、今この芝居とどのように向き合っているのか。稽古場で話を訊いた。G2演出のもと、関西の演劇ユニット〈売名行為〉が『こどもの一生』を初演したのは、1990年のこと。自らの劇団〈リリパット・アーミー〉では中華時代活劇を得意としていた中島に対し、G2は対極ともいうべき台本を発注する。「今という時代を切り取ったような舞台を書いてほしい。来年には古くなってしまうぐらいの」。確かに、コピーライター、エッセイストとしても腕をふるう中島は、時代の空気への反応が鋭い。結果、“ストレス”をモチーフにしたきわめて同時代性の強い物語で、中島は演出家のオーダーを鮮やかに打ち返した。「読んで驚きました。普段らもさんと飲んでいるときの話まで、絶妙に盛り込まれていたんです」。孤島のクリニックを舞台に、心の健康を回復するため、精神年齢を子供へと戻していく患者たちの様子が、遊びごころたっぷりに描かれる。といって、のんびり観てなどいられない。子供らしい無邪気さが客席に笑いを巻き起こす一方、子供ならではの残酷さが観客を恐怖に突き落とすのだ。「初演の大阪公演は仮設の客席だったんですけど、お客さんが“ビクッ”とするのが振動で伝わってきて。らもさんも僕もその様子にニヤリとしてました」。「中島らも作品の魅力をもう一度伝える責任があると思ったから」決めたという今回の再演。「あらためてわかったのは、この作品の骨格がいかに強じんであるかということ。リメイクを施しても元の魅力が揺るがない。何より、理屈じゃないところがいいですね。“偉そうな奴の鼻をへし折ってやりたい”という率直な思いで書かれた作品だからかもしれない」。演じるのは、谷原章介、中越典子、笹本玲奈、山内圭哉、戸次重幸、玉置玲央、鈴木砂羽、吉田鋼太郎の8人。「“具体的な舞台装置がないなら、その分まで演じてしまえ”という、80年代演劇に近いエネルギーが求められる作品なので、得も言われぬパワーを持ち込んでくれそうな人ばかりで頼もしいです」と期待を寄せる。振付に小野寺修二、映像に上田大樹を迎えた万全の布陣。誰よりもこの作品と縁の深いG2が仕上げる決定版に注目したい。11月4日(日)から25日(日)まで東京・PARCO劇場で上演された後、大阪、福岡、岡山、広島、愛知、福井にて上演。なお東京公演では、11月15日(木)14:00、22日(木)19:00に追加公演が決定。チケット発売中。
2012年10月25日故・中島らもが1990年に脚本を執筆した『こどもの一生』。同年に初演後、1998年には演出とキャストを一新し、東京・パルコ劇場に進出。大阪、広島、福岡、大分、名古屋の各都市公演とも大入り満員となった伝説の作品が、今年14年ぶりに甦る。11月から東京を皮切りに大阪、福岡ほか全国で上演される。出演者のひとり中越典子が、10月3日に福岡市内で記者会見を行い、舞台への意気込みを語ってくれた。「こどもの一生」 チケット情報「この舞台はDVDで拝見したのですが、まずは出演者の皆様のキャラクターの強さに驚きましたね。あとは、中島らもさん特有のはちゃめちゃ感。笑いから、いつのまにか恐怖に変わるというのも面白くて、とにかく印象的な作品でした」と、本作の魅力を語る中越。14年前に上演された際のキャストは生瀬勝久、古田新太、升毅ら、一筋縄ではいかない面々。しかし、「今回のキャストも決して負けてない」と続ける。主演に谷原章介を迎え、笹本玲奈、山内圭哉、戸次重幸、吉田鋼太郎ら多彩な顔ぶれが揃う。「まだ顔合わせがあったばかりなのですが、とにかく皆さん個性的で(笑)。谷原さんはクールで爽やかジェントルマンみたいなイメージだったんですけど、“毒”みたいなところがとても感じられたり、吉田さんのたくさんの経験から裏打ちされた凄みも感動的で。私はちょっと押され気味ですが(笑)、負けないように頑張らないといけないですね。せっかくなので、今回はちょっとハジけてみたいです」。舞台は、瀬戸内海に浮かぶとある小さな島。隔離状態でストレス障害の患者の治療が行われていた。「こども返り」という方法で治療うける患者たち。だが、次第に恐怖の世界へと展開していく。初演当時の時代のキーワードとなっていた「テクノストレス」や「バーチャルリアリティー」といったテーマから、現代の上演にあわせた脚本の改訂を行い、演出も変えていくという今回の再演版だが、主役・柿沼を谷原が演じるということ以外の役柄はまだ未発表。どんな展開が待っているのかは、舞台で確かめるしかない。「しばらく演出に映像を使うことを封印されていたG2さんですが、今回は映像も使われるみたいで。あとは少しコンテンポラリーダンスも出てくる予定です。ダンスは、あまり得意ではないですが、とにかく必死でついていきたい。未だに舞台はとても不安ですが、反応が直に感じられて面白いのも事実。ライブの楽しさをお客様と一緒に感じたいですね」と締めくくった。公演は11月4日(日)から25日(日)まで東京・パルコ劇場にて上演。その後大阪、福岡、岡山、広島、名古屋、福井を巡演する。チケットは東京、大阪、広島公演は発売中。福岡、名古屋は10月6日(土)、岡山は10月9日(火)、福井は10月21日(日)にそれぞれ一般発売開始。
2012年10月05日中島らも作、G2演出による舞台『こどもの一生』が14年ぶりに帰ってくる。かつてこの作品に大きな衝撃を受けた演劇ファンにとっても、話で聞くしかなかった未見の若い世代にとっても、念願の再演だろう。今回のキャストを務めることなった谷原章介は、後者のひとりだ。久々の舞台出演に向けて、現在の心境を訊いた。「前から作品をよく拝見していて、ぜひご一緒したかった」と、演出家G2とのタッグ実現がうれしい様子。一方、作者の中島らもについては、「そのご活躍をリアルタイムで知る世代ではないんです」と言いながらも、「エッセイは読んだことがあって、“面白い考え方をする人だな”と。全体が均質化して行儀良くなってしまった現代には珍しい、破天荒な生き方ですよね」とその印象を語る。歳を重ねるほど生きづらくなるのは、純真無垢な子供の心を忘れてしまったから。ならば、“ストレス障害”を治療するには、患者の精神年齢を巻き戻せばいい。劇中に登場する臨床心理治療所・MMMクリニックランドの方針は、かくも明快だ。物語は、いい大人たちが薬の力を借りて幼児返りしていく様をコミカルに描き、観客の爆笑を絶やさない。「僕が演じる柿沼も、普段は自分を律しながら生きている社長秘書の役です。常識や社会性にとらわれているせいで、社長からひどい扱いを受けても、決して態度に出すことをしない。でもその分、タガが外れたときの反動が大きいんです」。そう、患者たちの子供ごっこは、楽しいままでは終わらなかった。悪ふざけの歯止めが利かないというのも、子供ならではの特徴のひとつ。人里離れたクリニックランドで、世にも残酷な事態が勃発する。まさに急転直下、観客の爆笑が悲鳴に変わる瞬間だ。「バーチャル・リアリティが現実を超えてしまう。そのことに警鐘を鳴らした作品だと思いますけど、今の時代こそ、まさに切実な問題だと思います。友だちが5人ぐらい集まっていても、ずっとスマートフォンをいじっていて、心はワールドワイドウェブに飛んでしまっている。現実が希薄になっていることの怖さを思い知らされる作品だと思います」。初演は1990年。1998年の再演時と同じく今回も、脚本と演出が現在の視点から見直される。脚色は桝野幸宏。谷原章介、中越典子、笹本玲奈、山内圭哉、戸次重幸、玉置玲央、鈴木砂羽、吉田鋼太郎の出演で、東京・PARCO劇場にて11月4日(日)から上演。大阪、他、各地公演あり。なお、チケットぴあでは東京公演のインターネット先行・いち早プレリザーブを8月20日(月)11時から28日(火)11時まで、インターネット先行・プレリザーブを8月21日(火)11時から29日(水)11時まで受付ける。
2012年08月13日俳優・谷原章介が11月に東京・パルコ劇場で上演される『こどもの一生』に初主演することが6月28日発表された。今作は故・中島らもが1990年に脚本を執筆した舞台。当時人気小説家であった中島に、演出家のG2が「今という作品を切り取った舞台脚本を書いて欲しい」と依頼したのが始まり。そのころ時代のキーワードとなっていたテクノストレス、精神カウンセリング、バーチャルリアリティーといったテーマが盛り込まれた脚本は、“超一級のB級ホラー作品”に仕上がった。1990年7月に東京と大阪で初演され、観客から熱狂的な支持を得て伝説的な作品となった。その後幾度かの再演を重ね、1998年に演出とキャストを一新し、東京・パルコ劇場に進出。大阪、広島、福岡、大分、名古屋の各都市公演とも大入り満員の大盛況となった。今回の再演では、リメイク版として、現代の上演にあわせた脚本の改訂を行い、演出は初演と同じG2が担当する。物語は瀬戸内海に浮かぶとある小さな島が舞台。ここでは隔離状態にしたストレス障害の患者の治療が行われている。そこへ島の開発目的で患者になりすました開発会社社長・三友とその秘書・柿沼が潜入する。治療のため「こども返り」する患者たち。ある時、患者がはじめた“山田のおじさんごっこ”という遊びから次第に恐怖の世界へと展開していく。主役の柿沼を演じる谷原は「高圧的な上司の部下というとても圧迫された環境にあるのですが、そういった社会的な立場など、そのたがが外れた時、人間はどうなるのか。その表と裏を表現したいです」と意欲を見せる。また、演出のG2は谷原を起用した理由として「舞台は声よりもいかに心を響かせるかというメディア。谷原さんはとても心が響く方だと思います。もちろん声もいい。作者・中島らもの世界に谷原さんが入って来たときの化学変化が楽しみです」と期待を寄せる。谷原は「久しぶりのパルコ劇場で、しかもストレートプレイに初主演、本当に嬉しいです。この作品は集団における人間関係が肝なので、みんなで作りあげられたらなと思っています。最高に笑えて凍りつく、極上のエンタテインメントをぜひ劇場で味わってください」とコメントした。共演は中越典子、笹本玲奈、山内圭哉、戸次重幸、玉置玲央、鈴木砂羽、吉田鋼太郎。公演は11月4日(日)から25日(日)まで同劇場で上演される。
2012年06月28日店先に並ぶ色とりどりの商品を眺めているだけで飽きない、さらにその中から自分のお気に入りに巡り合えたときの至福感。ファッションや美容、グルメと並んで女性の一大関心ジャンルとして外せない“雑貨”めぐり。アジアや欧米、世界各国から選りすぐられた雑貨に心ときめかせ、日常と違う世界に想像を膨らませる人も少なくないのでは?そんな女性たちに向けて、“たったひとつの雑貨”の楽しみ方を伝授するとっておきの番組「恋する雑貨」がこの春、NHK BSプレミアムにて放送スタートする。雑貨めぐりの醍醐味とは、自分の足で探し出し運命的に出会った大好きな雑貨を自分の空間で生かすこと。同番組では、30~40代女性が憧れる、雑貨大好きトレンドセッターが毎週世界へ飛び出し、「可愛い!」「安い!」「癒される!」と女子垂涎の雑貨を掘り出しながら、その国の人や生活に出会い、その国の歴史やドラマに触れていく。4月からのレギュラー放送に先立ち、3月26日(月)の放送では、「世界の掘り出し雑貨一挙紹介」と題して、女優の田丸麻紀、マイコ、中越典子、モデル・生方ななえの4人をナビゲーターに迎え、雑貨探しの旅を紹介。「『カフェオレ・ボウル』ひとつで、気分はパリジェンヌ!」編では、田丸さんがフランス・パリに赴き、日本のお洒落カフェでも使われ始めたカフェオレ・ボウルを探す。フランスでは日常生活でおなじみの食器雑貨である、カフェオレ・ボウル。伝統模様からモダンデザイン、エスニック柄まで、色や柄のバリエーションも豊富で、鉢のようなボウルは濃い目のコーヒーをたっぷりのミルクで割って、硬くなったパンを浸して食べるのに最適。さらに、お茶碗や煮物入れにも早変わりする優れものの雑貨である。「究極のエコバック、『ベトナム・プラカゴ』」編では、マイコさんが日本でも一躍ブームとなったエコバッグを探すべく、ベトナムの旅へ。着るものに合わせて種類を選ぶのも楽しみ方の一つだが、ベトナムで発掘したのは「プラカゴ」。カラフルなPPバンドを縦横に編んだもので、バンドは蛍光色からツヤなしのシックな色まで様々、格子模様のパターンも千差万別だ。中越さんは、イタリアの本場ヴェネチアン・ビーズによるオリジナル・アクセサリーを求める旅へ。値段やブランドではなく、世界に一つだけのハンドメイドは女性にとっての憧れ。イタリア産で12世紀から宝石の代用品としてヨーロッパで愛され、ガラス工芸技術の発達を支えてきた歴史的工芸品であるヴェネチアン・ビーズによる魅惑的な伝統アクセサリーの魅力に迫ると共に、オリーブオイル入れやパスタ周りの調理雑貨など、イタリアならではのお料理雑貨もご紹介。お料理雑貨と言えば、こちらも見逃せない。生方さんは温野菜の香りを逃さず美味しく食べるのにぴったりと日本でも人気のタジン鍋を求めに、イスラムの国、モロッコへ旅に出る。モロッコでは、一家に複数台を持つ基礎調理用品であるタジン鍋。バザールを歩けば、色んなカラーや柄、形のものが発見でき、その種類は豊富。実は、モロッコの本場タジン鍋のレシピは、乾燥地帯で水なしで調理するために作られたのはご存知?このほかにもお洒落皮スリッパ・バブーシュなど、オリエンタル雑貨の魅力を伝えます。その国の風土や習慣ならではの実用性と、独特の可愛さを兼ね備えた色とりどりの雑貨たちに目移りしてしまいそう。あなたも、雑貨を通して魅惑的な世界を旅してみない?「恋する雑貨」はNHK BSプレミアムにて3月26日(月)23:00~放送。「恋する雑貨」NHK BSプレミアムにて、3月26日(月)23:00~0:30放送番組サイト:
2012年03月23日女性がいくつになっても“恋して”やまないもの。そのひとつは「雑貨」ではないだろうか。NHK BSプレミアムの新番組「恋する雑貨」では、雑貨が大好きな田丸真紀、マイコ、中越典子、生方ななえらが毎週、世界中を飛び回っていろいろな雑貨を見つけ出していく。この番組は、ただ単に世界の雑貨を紹介するだけにとどまらない。その雑貨がどういったシーンで使われ、どのような暮らしに役立っているのかといったところから、雑貨の持つドラマや歴史、文化に至るまで深く掘り下げていく。日本の女性たちの雑貨に対する関心は、今や国内だけにとどまらない。アジアやヨーロッパの雑貨にも目を向けるようになり、それらの国々に出掛けては雑貨を探し回る女性も急増しているという。そんな中で、それぞれの雑貨に秘められたバックボーンを知りたい、雑貨についてもっと深く知りたいと考える女性も数多い。「恋する雑貨」はきっと、そんな“雑貨女子”の心を満たす番組になるだろう。自分だけのお気に入り雑貨を求めて、ひっそりとした裏通りや若者があまり寄り付かないような市場を訪ね歩く、日本の女性たち。自分の足で探して見つけた、かわいい雑貨に囲まれて暮らす幸せは、高級ブランド品では得られないものかもしれない。センスが良くてかわいくて、それでいて値段はお手頃な世界の雑貨を巡る新番組「恋する雑貨」。番組を通じて日本の女性たちに、お気に入りの雑貨を見つけ、それとともに暮らしていくような喜びと癒やしをもたらしてくれそうだ。【パイロット版放映日】3月26日(月) 午後11時~午前0時30分 / NHK BSプレミアム<4月から>月曜日/午後11時15分~11時45分:NHK BSプレミアム翌週月曜日/午後0時30分~午前1時 (再放送) :NHK BSプレミアム NHK BSプレミアム公式サイト
2012年03月21日映画『わが母の記』の完成披露試写会が3月19日(月)に都内で開催され、主演の役所広司を始め、樹木希林、宮崎あおい、ミムラ、菊池亜希子、原田眞人監督が舞台挨拶に登壇した。井上靖の自伝的小説を実写化し、第35回モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリに輝いた本作。母に捨てられたという思いを抱きながら生きてきた小説家の伊上は、父が亡くなったことで残された母を引き取ることになる。妻や3人の娘に支えられながら母と向き合うことで50年の時を経て、母と息子の思いがつながっていく――。役所さんは「刺激的でかわいい母と出来のいい娘たちに囲まれて幸せな時間を過ごすことが出来ました」とニンマリ。とはいえ、家族で唯一の男性ということで「ポツンとしてました(笑)。娘たちの部屋に行くとどうも落ち着かなくて…」と年頃の娘を持つ世のお父さんたちと同じ気持ちを味わったよう?役所さんからの「かわいい母」という言葉に樹木さんは「どれくらい憎らしいか見てください」とおどける。司会者から樹木さんは若い頃から祖母役をこなしてきたことを指摘されると「同じ世代の女優がやりたがらないから回って来ちゃう」と苦笑いを浮かべつつ「(先日公開された)『サッチャー』に負けないように!」と意気込み。途中、樹木さんがしゃべっている最中にマイクの不具合のアクシデントもあったが「これ以上しゃべるなということかしら?」とユーモアたっぷりに語り、笑いを誘った。昨年末の俳優・高岡蒼佑との離婚以来、初めての公の場となった宮崎さんはチェックのワンピース姿で登場し、ファンからの「あおいちゃん!」という声援に微笑み元気な姿を見せた。樹木さんとの初共演については「(役の)年齢によって樹木さんのサイズが日々変わるんです。すごいことだなと思い、近くで見させていただけたのはいい経験でした」と述懐。役所さんとは『EUREKA』で共演経験があるが「(共演した)11、12年前は子供だったので分からなかったところがいっぱいあって、すごく色気を感じることが多かったです」と語り、これには隣りの役所さんも照れくさそうに笑みを浮かべていた。三姉妹の長女を演じたミムラさんは「ずっと3人でキャッキャと楽しく過ごしてました」と和気あいあいとした現場の様子を明かす。次女役の菊池さんは昨年、祖母を亡くしたそうで「自分の人生の中でもすごく大事に思いたい作品になりました」と強い思い入れを語った。10年ほど前から本作の製作を考えていたという原田監督は、映画の完成に感慨深げ。特にクランクインが去年の3月10日で東日本大震災の前日だったこともあり、「家族の絆について考えながら仕上げや編集の作業をしてました」と真摯に語るとともに、撮影場所として自宅や別荘を提供した井上靖さんの家族への感謝の思いを改めて口にした。『わが母の記』は4月28日(土)より全国にて公開。■関連作品:わが母の記 2012年4月28日より全国にて公開© 2012「わが母の記」製作委員会■関連記事:シネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第24回)理想の“尽くす男”俳優は?豪華キャストで描く家族愛『わが母の記』完成披露試写会に50組100名様をご招待日本の家族の絆に、海外も涙『わが母の記』独占試写会に35組70名様をご招待『わが母の記』でミムラ、菊池亜希子が宮崎あおいと3姉妹に三國連太郎は役所の父役中越典子、役所広司との“年の差”ロマンスはあり?「そりゃ思いますよ」
2012年03月19日2011年秋に渋谷の中心地109隣のザ・プライムビル6階に新しく誕生した劇場「CBGK シブゲキ!!」。この劇場発の新しい企画としてリーディングドラマ『Re:』(アールイー)が3月に上演される。男優と女優がメールを読み上げるスタイルで、日本の劇作家によるオリジナルの新作書き下ろしとなる。リーディングドラマ『Re:』(アールイー)チケット情報この企画の第1弾となるキャストが発表された。藤木直人×ベッキー、竹中直人×中越典子、古田新太×宮沢りえ、生瀬勝久×仲間由紀恵という、日本の芸能界の第一線で活躍するトップ俳優たちが集結した。作・演出を担当するのは京都を拠点に活動している劇団MONO主宰の土田英生。劇団以外の外部公演の作・演出のほか、テレビドラマ『おかしなふたり』や『東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~』など、テレビや映画の脚本も手掛けている実力派だ。物語は1通の間違いメールから始まる。会社員、堂山参太郎はある日、心当たりのない女性から身に覚えのない強い抗議のメールを受け取る。それは取引先の女性社員、片山夏希からで、その後仕事を通じて知り合うふたりは、この最初の間違いメールをきっかけに交流を深めていく。長い期間を通して行き来したメールは、それぞれの人生の転機を語り、紆余曲折の物語が綴られていく大人の男女のドラマだ。公演は同劇場にて3月20日(火・祝)から25日(日)まで開催される。チケットは3月3日(土)10:00より発売開始。客席数242席のコンパクトなサイズの劇場で、各組1日だけの出演なので貴重なステージになりそうだ。『Re:』(アールイー)3月20日(火・祝)藤木直人×ベッキー3月22日(木)竹中直人×中越典子3月24日(土)古田新太×宮沢りえ3月25日(日)生瀬勝久×仲間由紀恵
2012年02月09日第35回モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリを受賞した『わが母の記』。役所広司、樹木希林、宮崎あおい共演で話題を呼んでいる本作の未発表キャスト陣が発表され、三國連太郎、南果歩、ミムラ、三浦貴大らが出演していることが明らかになった。さらに、宮崎さんにミムラさん、菊池亜希子を加えた3姉妹のビジュアルもこのほど解禁された。「天平の甍(てんぴょうのいらか)」、「敦煌(とんこう)」など映像化もされた数々の歴史大作で知られる作家・井上靖が45年前に発表した「わが母の記〜花の下・月の光・雪の面〜」(講談社文藝文庫所蔵)を原作とする本作。井上さんの実体験を基に、少しずつ記憶を失っていく母と長男であるものの彼女に育てられなかったために距離を取って暮らしていた息子の小説家。2人が家族の“愛”を確かめようとする10年におよぶ物語が綴られる。役所さんが主人公で作家の伊上洪作、その母・八重を樹木さん、宮崎さんは洪作の三女を演じることが発表されていたが、このたび彼らの脇を固める俳優陣が明らかに。洪作の父、つまり八重の夫である隼人を三國さんが、洪作の妹で次女の桑子を南さんが、同じく洪作の妹で長女の志賀子をキムラ緑子が演じる。また、ミムラさんは洪作の長女の郁子を、次女の紀子を昨年、『森崎書店の日々』で映画初主演を果たした菊池亜希子が演じており、宮崎さんと共に伊上家の3姉妹を演じる。伊上家以外の人間では三浦貴大が編集者で、のちに洪作の運転手兼秘書になる瀬川を、「ハロー!プロジェクト」の一員である20歳の真野恵里菜が八重の面倒を見る女中の貞世を演じる。物語は東京オリンピック開催年の昭和39年から始まるが、今回、公開された伊上家の3姉妹も当然ながら昭和の装い。彼女たちももちろん、平成生まれの真野さんのメイドならぬ昭和の女中姿も気になるところだ。『クライマーズ・ハイ』の原田眞人監督が紡ぎ出す、忘れてしまったとしても消えることのない愛の物語。今年2月から東日本大震災直前の3月10日まで撮影された本作がいま一度、日本の家族の姿を問いかける。『わが母の記』は2012年GW、全国にて公開。■関連作品:わが母の記 2012年、全国にて公開© 2012「わが母」製作委員会■関連記事:中越典子、役所広司との“年の差”ロマンスはあり?「そりゃ思いますよ」役所広司&原田監督がモントリオール映画祭受賞の喜び語る復興へ家族の絆を強調ヴェネチア、モントリオールにトロント…世界の映画祭での邦画の奮闘に期待!
2011年11月15日本年度モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリを受賞した映画『わが母の記』の連動企画として製作されたスペシャルドラマ『初秋』が、明日8日(土)15時からTBS系列で全国放映される。その他の写真『初秋』は、井上靖の小説『凍れる樹』を基に、ひとり娘が嫁いだ後、孤独の中で葛藤するひとりの男の姿をじっくりと描いた人間ドラマ。『わが母の記』にも出演する役所広司が主演を務めるほか、中越典子、でんでん、岩松了、キムラ緑子、藤村志保らが出演する。同じく井上靖の原作を映画化した『わが母の記』が原田眞人監督、役所広司主演で製作されたことから、連動企画として同原作者、監督、主演による映像作品の製作が決定。『わが母…』では“母と息子”の物語が描かれているのと対照的に『初秋』では、役所演じる父と、中越演じる娘の物語が、長野のブドウ畑や、京都市の寺や能楽堂を背景に静謐なタッチで綴られるという。原田監督は、父娘を題材にしたドラマ『初秋』について「惹かれたのは(小津安二郎監督の)『晩春』や『秋刀魚の味』とすごく似ているところで、そのイメージから脚本を書きました。すばらしい小津映画を少しでも継承できたらと…そんな気持ちをドラマにこめています」とコメント。骨太な演出とダイナミックな描写に定評のある原田監督が、小津映画の描いてきた繊細なドラマをいかに現代に継承するのか、映画ファンも気になるドラマになっているのではないだろうか。スペシャルドラマ『初秋』10月8日(土) 15時から16時54分までTBS系全国28局ネットで放映(C)CBC・松竹
2011年10月07日CBC開局60周年記念スペシャルドラマ「初秋」の製作発表会見が9月20日(火)、都内ホテルで行われた。原作は井上靖の「凍れる樹」(講談社刊)。京都を舞台に、男手一つで育てた娘を嫁がせた男と、謎めいた若い女性の秘めた恋模様を描く。会見には役所広司と中越典子、そして脚本と演出を務めた原田眞人監督が出席。中越さんは「役所さんと?そりゃ(恋もあると)思いますよ」と劇中の“年の差”ロマンスをうっとり肯定し、役所さんも「現実ではありえないですけど、ドラマで経験させていただき嬉しかった。撮影中は加齢臭に気をつけた」と笑いを交え、中越さんとの共演にご満悦だった。早くに妻を亡くして以来、男手一つで娘を育て上げた父親・辰平(役所さん)は旧友の誘いで思い出の地・京都を旅することに。そこで大学院に通うかたわら京都の伝統工芸職人の手伝いをし、夜は高級クラブでバイトする27歳のベーコ(中越さん)と出会い…。原田監督と役所さんのタッグで井上靖の原作を映像化、といえば先日、第35回モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリを受賞した映画『わが母の記』が記憶に新しいが、同ドラマはその連動企画。原田監督自ら独自のアレンジを加えた脚本を執筆し、『わが母の記』同様、小津安二郎映画へのオマージュが散りばめられた。役所さんは『わが母の記』を撮影中に、ドラマが製作されると知り「その後あれよあれよという間に実現した。映画とはまた違った雰囲気や緊張感だった」。井上文学の世界を再び演じ「セリフや映像以外からあふれ出るものが多く、ものすごく奥が深い。演じる者としてはハードルが高いです」と改めて難しさを実感した様子。それでも「原田監督は映画作りの面白さを教えてくれた人。厳しい中にも、自由でいられる現場でいつも刺激を受けている」と、いまや名コンビといっても過言ではない役所×原田監督タッグに満足げな様子だ。一方の中越さんは原田監督とは初タッグで「ずばずば厳しく指導いただき、よく怒られたんですけど(笑)、でも自由にさせてくださるので、役者としては喜び。演技への考え方が変わる現場で、人生を変えてしまうかもしれない1週間でした」とこれまで以上に女優道に“開眼”したのだとか。原田監督も「すっぴんでナチュラル。それでいて美人。そんな中越君は本当に魅力的だった」と太鼓判を押していた。CBC開局60周年記念スペシャルドラマ「初秋」は10月8日(土)15:00からTBS系全国28局で放送される。■関連作品:わが母の記 2012年、全国にて公開© 2012「わが母」製作委員会■関連記事:役所広司&原田監督がモントリオール映画祭受賞の喜び語る復興へ家族の絆を強調ヴェネチア、モントリオールにトロント…世界の映画祭での邦画の奮闘に期待!
2011年09月20日堤真一が4月26日(月)、東京・千代田区のよみうりホールで行われた、主演映画『孤高のメス』(成島出監督)の完成披露会見に、共演の夏川結衣らと出席した。現役医師の大鐘稔彦氏の同名小説を原作に、1989年当時、日本の法律で認められていなかった禁断のオペ、脳死肝移植に挑んだ天才外科医・当麻の姿を描く医療ドラマ。オペシーンに関わるキャスト陣は撮影前、役作りのため生体肝移植、肝臓がんの摘出などの手術を見学。孤高の天才外科医と似ている部分を聞かれ、堤さんは「全く見当たりません。僕がやっていいのか?と思った」と取材陣を笑わせつつ、「主治医の先生は孤独を感じられながらも、現場に行くとチームワークで手術をする。その点は俳優に似ている」と職業柄には共鳴した様子。劇中のオペシーンでは「アンコ椿は恋の花」など演歌歌手、都はるみの楽曲が流れる。堤さんは「(当麻の)モデルの先生が、(オペ中に)石川さゆりさんを聴いていらっしゃるのですが、そのままだとパクリになるので、都はるみさんになった」と説明し「家で、糸結びなど練習するときもはるみさんの歌を聴きながらやりました。こぶしがパワフルで力をもらった」とこだわりの“特訓”法を告白。看護師役の夏川さんから「石川さゆりさんがいいって言っていたじゃないですか?」と突っ込まれて、「言ってた」と苦笑いだった。夏川さんは「手術を見学させてもらったときに、先生たちが聴きながら鼻歌まじりになさっているのを見てビックリしました。でもリラックスしてやることが手術にいいのだそうです」と話した。ほかに吉沢悠、中越典子、平田満らが出席した。『孤高のメス』は6月5日(土)より全国にて公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:孤高のメス 2010年6月5日より全国にて公開© 2010「孤高のメス」製作委員会■関連記事:目の前の命を救うため、禁断のオペに挑む『孤高のメス』試写会に15組30名様をご招待小栗旬初監督作引っさげ北海道に!ゆうばり国際映画祭ラインナップに注目来年の東映は『ゼブラーマン2』セクシー衣裳から『桜田門外ノ変』まで注目作ズラリ!堤真一、大組織の悪しき体制と闘う熱血医師に「ヒーローではない、医師を演じたい」
2010年04月26日シリーズ90万部の売上げを誇る大ベストセラー小説「孤高のメス」。現役医師・大鐘稔彦が自らの実体験を基に、1989年当時タブーとされていた臓器移植を題材にして、医療現場で巻き起こる人間ドラマを描いた本作が同名映画化され、来夏に公開される。7月29日(水)、本作の撮影が行われる東映撮影所にて報告会見が行われ、成島出監督に主演の堤真一、夏川結衣、吉沢悠、中越典子、平田満、生瀬勝久が出席した。大組織の悪しき体制に立ち向かう医師・当麻に扮する堤さんは、「優れたスタッフ、キャストと充実した日々を送っています」と挨拶。「最初は当麻という医者を“ヒーロー”として意識していたが、作中で触れ合う親子や人の想いなどを受けて、ヒーローとしてではない、相手の話をじっくり聞く医者を演じていこうと思ってます」と決意を語った。看護師・浪子役の夏川さんは、「監督や共演者の方々からの指示に、喜びと緊張を持って毎日臨んでいます。今回、物語が浪子の日記のように展開していくので、ナレーションが多いのが特徴です。浪子の目線、母親の目線など様々な表現の中で、監督からの指導に安堵しています」と充実した様子を見せた。中越さんが演じるのは、肝硬変になった父親にドナーとして自ら名乗りをあげる女性、翔子。「両親から命を授かった娘として、父を命懸けで助けたいと思う気持ちを頑張って演じたいと思います」と意気込みを見せた。医者役はこれが初めてという吉沢さんは、「現場ではとても緊張していますが、自分と向き合って演じることで、日常の中で『これでいいのか』と思い悩んでいる人たちに、(吉沢さん扮する)青木という役を見てもらい、勇気づけられたらと思っています」と元気よくアピール。一方、島田役の平田さんは「私の役は内科医なので、外科医としての手術シーンがなくてホッとしています(笑)」と語り、現場を和ませた。「私は“悪役”を演じております!」と勢いよく宣言したのは、傲慢な外科医・野本に扮する生瀬さん。「ただ、何が“悪”で何が“善”なのでしょうか?私の役は、責任を回避しているだけで、違法ではない。そういう点を考えてもらいたい。また、この作品の台詞が戯曲のように美しく、素敵です。そこにも注目してください」と作品をアピールした。本作は、地域医療や脳死、生体肝移植の問題を通して、現代の医療体制に警鐘を鳴らす。最後に、成島監督より「現代医療においても答えの出ないことだが、それが逆に面白いと思う。この作品は脳死を肯定するわけでも否定するわけでもない。物語の中で描かれる『本当の医療』を見てほしいと思います」と力強いメッセージが贈られた。『孤高のメス』は2010年初夏、全国にて公開。■関連作品:孤高のメス 2010年初夏、全国にて公開
2009年07月31日