OL兼漫画家として唯一無二の作風で活躍するカレー沢薫さんの連載コラム登場!徹底した猫至上主義の価値観で考える「猫と男」とは?その辺のダメ男に引っかかっている女性陣。出会いがないと嘆いているあなた。猫の前では男なんて無価値かも?■第6回「猫を飼う責任の重さ、男と付き合うカジュアルさ」突然だが今回が最終回である。短い間だったが「猫と男」というテーマで書いてみてわかったことは、まず猫をテーマにするなら引き合いにするのは、宇宙、とかでないとつり合いが取れない、男はバランスが悪すぎたような気がする。つまり、猫は宇宙であり、むしろ猫の中に宇宙があるという話をしたかったのだが、そういう話だったらおそらく6回すら続かなかっただろう、もちろん私は100回ぐらい続けられる自信があるが、周りや病院、警察関係者に許される気がしない。そして、これだけおキャット様のことを賛美しておいて恐縮だが、私は猫を飼っていない。何故かというと、まず家の中に宇宙を飼うのは無理だ、多分宇宙の方が私の家よりでかい。つまりおキャット様という存在がでかすぎて逆に飼えないのだ、おキャット様を飼うことによって得られる5京円の精神的経済効果より、おキャット様を飼うという責任の重さ、そしておキャット様に何かあったら、私の生活と自我が崩壊することが確実なので逆に飼えないのだ。猫カフェなどに行っても、おキャット様に粗相がないようにするにはどうしたらいいか考えるといつも「指一本触れない」「即刻退場する」という結論になってしまい、全く触れないぐらいなのだ。好きすぎて関わりたくないのだ。それに比べたら、男はまず家に入るサイズだし、何かあったらその時考えようと思えるし、無駄に寿命が長いため、死別もリアルに想像できない、死別までいかなくても、別れる可能性はいくらでもあるのに、なぜかつきあう時はその可能性を考えない場合が多い。このように男はおキャット様や宇宙より小さいため、あんまり先のことを考えないどころか、通常よりも知能指数が下がるので、ハッピーな気分でつきあえるという利点はあるような気がする。よって私は、おキャット様を飼わないという選択をしているのだが、重要なのは、猫を飼う飼わない、男と付き合う付き合わない、結婚するしない、ではなく自分でそれを考え、選べるという状態にあることかもしれない、1人でいるのもまた悪いことではない。私も今は猫は飼わないという結論だが、いつか飼うという選択をするかもしれない。その時とは、宇宙を受け入れる覚悟が出来た、とかではなく、おキャット様よりすでに自分が早く死ぬ段階で、さらに自分の死後おキャット様の面倒を見る人間が確保できた時であろう。前者は割と簡単だ、今からでも出来る、しかし後者はなかなか難易度が高い。このようにおキャット様に対しては自分の死後のことまで考えなければいけない、だが相手が男だったら、あとは勝手にやってくれと思える。カジュアル、という点ではやはりおキャット様より男の方が上かもしれない。プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年05月29日OL兼漫画家として唯一無二の作風で活躍するカレー沢薫さんの連載コラム登場!徹底した猫至上主義の価値観で考える「猫と男」とは?その辺のダメ男に引っかかっている女性陣。出会いがないと嘆いているあなた。猫の前では男なんて無価値かも?■第4回「男にかかるお金 猫にかかるお金」今回のテーマは「男にかかるお金猫にかかるお金」だ。つまりコスパ比較の話である。とにかく効率性を求める世の中においては避けて通れぬ話だ。まず、おキャット様を我が豚小屋にお迎えし、生涯を共にするにはいくらかかるのだろう。「おキャット様と暮らす」という僥倖を享受するには、まず心臓ぐらい捧げないと釣り合いが取れない気がするが、飼い主という名の下僕が心臓ヌキだと、おキャット様の生活に支障を来たす恐れがあるので、そこは金で解決していこう。いつも通りネット情報鵜呑みでいくと、おキャット様本体の値段は抜きにして、まず健康診断、ワクチン、設備投資など初期費用が3~5万程度、さらに食費、消耗品、また定期的な医療費などで、年間16万ぐらいはかかるという。もちろんそれは最低限の話であり、「この玩具を奉納すれば御キャット様の興を買えるのでは」「この衣服は我が御キャット様に着ていただくため存在するとしか思えぬ」という商品を目にするたびに軽率に買ってしまうだろうから、少なくとも年間20万はおキャット様費という名の玉串料が必要になる。おキャット様を飼う事による利益は年間2京円と言われているので、元は0.1秒ぐらいで取れる。むしろ黒字を出しすぎなので、下僕はSNSに主の写真を頻繁にアップする等、社会への還元が求められる。もちろん「愛猫とツーショット」と言いながら自分の方がでかく写っている写真をアップすると、どんな敏腕弁護士がついても無期懲役ぐらいにはなるので注意した方が良い。おキャット様に異物を混入してはいけないのだ。逆に言うと、年間20万を確実におキャット様のために出せる、という人間以外は飼ってはいけない。「なんとかなるだろう」という希望的観測で飼うのは一番のおキャット様に対する不敬罪である。男が、おキャット様より唯一優れている点は、上記のような絶対的自信や展望がなくてもつきあっていいという点だろう。全然好きじゃなくても、つきあっている内に好きになるかも、でつきあっていいし、相手が無職だろうが、メンバー募集中のバンドマンだろうが「だって好きなんだもん」でつきあっていい。おキャット様を飼うのに比べれは、全然深刻ではない。そのことにより自身が深刻な事態になっても、おキャット様に被害がない時点でどうでもいい。ではコスパ面はどうであろうか「ヒモを飼う」などというのは議論にすら値しないので、普通の定職についている男と同居した場合を考えると、生活費をどれだけ折半するかによるが、コスパ向上をはかれる可能性はある。しかしおキャット様が圧倒的癒しを与えてくれるのに対し、男とのつきあいは、ケンカしたり別れたりと、精神的損害を与えられるリスクがかなり高い。やはりおキャット様を飼うほうがコスパがいいと言いたいが、おキャット様も体調を崩されたりする時がある。そうなるとこちらも心配で涙と血尿が止まらなくなるだろうから、精神的な面でもおキャット様を飼うには覚悟が必要である中には高収入な男を捕まえ、大きな黒字を出しているという女もいるかもしれないが、ハイスペックな男を捕まえるには自分もハイスペックな女でないといけないだろうし、捕まえ続けるためには、それを維持していかなければならない。そのコストは金銭面だけではなくかなりの負担ではないだろうか。その点おキャット様は、最初、可愛かった下僕が、どれだけ腕毛スネ毛の生えたババアになろうとも、食事や寝床さえ与えてくれれば、文句を言わないのだ。むしろ最初からババアでも気にしないのである。さすが、おキャット様。年を取るのは当たり前なのにすぐ「劣化」だのと、あげつらう男とは懐の深さ、度量が違う。避妊手術を受けていても、心のキンタマがでかすぎる。何にしても、他人に頼って生きるというのはリスクが高いことだ。「ハイスペックな男に飼ってもらえる女」より「自分の金でおキャット様を飼う女」を目指すのが何よりのリスク回避だろう。プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年03月26日「稲沢朋子トークショー&ヘアショー」開催概要「髪STORY vol.4」及び「STORY」5月号の発売を記念して、2017年4月2日(日)14:30から、阪急西宮ガーデンズ4階ガーデンズホールにおいて、「稲沢朋子トークショー&ヘアショー」が開催される。同イベントには、3月27日に発売される「髪STORY vol.4」または、関西エリアにおいて3月31日に発売される「STORY」5月号を、ブックファースト 阪急西宮ガーデンズ店で購入した、先着100名が招待される。トークショーでは、STORY専属モデルとして活躍する稲沢朋子が、自身のヘアスタイルや、ファッション、美容などについて、熱く語る。さらに、神戸のヘアサロン「shiomi H」代表 潮海達矢によるヘアショーや、ヘアカット&スタイリング体験などのイベントも用意されている。MCは、STORYの読者モデルでもある、人気TVレポーター坂田陽子が務める。稲沢朋子のプロフィール1974年2月27日生まれの稲沢朋子は、現在43歳。血液型はA型。所属事務所はアミューズ。読者モデルとして活躍した後、2016年5月号から人気ファッション誌「STORY」のレギュラーモデルを務めている。趣味は、ドライブ、格闘技観戦、ゴルフ、マラソンなど。特技はマリンスポーツというアクティブ派だ。storyweb.jpで掲載中のブログ「どんなときもBIG SMILE!」も人気を集めている。(画像は稲沢朋子オフィシャルブログより)【参考】※storyweb.jp※稲沢朋子オフィシャルブログ※アミューズオフィシャルサイト稲沢朋子プロフィール
2017年03月12日OL兼漫画家として唯一無二の作風で活躍するカレー沢薫さんの連載コラム登場!徹底した猫至上主義の価値観で考える「猫と男」とは?その辺のダメ男に引っかかっている女性陣。出会いがないと嘆いているあなた。猫の前では男なんて無価値かも?■第3回「男を捨てよ猫を飼おう」今回のテーマは「男を捨てよ猫を飼おう」だ。完全に「書を捨てよ町へ出よう」のパクりであり、それが言いたかっただけで以降のことを全然考えていないのだが。世間では「猫を飼う」と「男と付き合う」という行為は食い合わせが悪く「猫を飼うと婚期を逃す」とさえ言われているようだ。己の行き遅れをおキャット様のせいにする根性からして結婚できるわけがない、と言いたいところだが、これはもちろん飼っている女がそう言っているわけではない。「何としてでも女の行き遅れは悪いものであり、結婚しない女は、餓死、凍死、孤独死、爆散するものであり、その理由は猫なんか飼っているからだ勢」が言っていることだ。では何故「猫を飼うと婚期を逃す」のか、挙げられている理由を述べよう。・「早く帰って猫の世話をせねば」と誘いを断って帰ってしまう・猫と別れるなら死んだ方がマシ、猫と別れるのが条件の結婚なら男と別れる。・正直、心の充足は全て猫が与えてくれるので男などいらない。徹頭徹尾「どこが悪いのかわからない」話だ。何が「要注意!猫を飼うと婚期を逃す!?」だ、お前が要注意だ(夜道、猫飼い女に後頭部をバールのようなもので殴られると言う意味で)という話である。さて、冒頭の「捨てる」と言う行為だが、悲しいことに世の中には猫などペットを捨てる人間がいる、そういう人間は来世、ヘルニアの人の軟骨に生まれ変わるとして、なんにしても「猫(ペット)を捨てる」という行為は許されるものではない、もしSNSで「ペット捨てちゃいました」などと投稿したらフォロワー数がマイナス8兆ぐらいになる。では「男を捨てる」という行為はどうか、これは場合によっては称賛される。「ヒモ男を捨ててやった」全く無関係な人間でさえ胸が梳く言葉だ。戦国の世で言えば「大将首をとった」ぐらいの手柄である。そもそもおキャット様というのも「衣食住の全てを飼い主に依存している」と言う点のみで言えばヒモ野郎と同じだ。しかし、ヒモを捨てれば褒められるが、おキャット様を捨てて褒められることはまずない、人間的に軽蔑されるだけだ。だったら褒められる方を捨てよう、という話である。部屋が片付く、さらに褒められる、一石二鳥というやつだ。現代の女性に必要なのは「結婚しないと不幸」などという呪いよりも、こういった「合理的な考え」である。プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年02月26日OL兼漫画家として唯一無二の作風で活躍するカレー沢薫さんの連載コラム登場!徹底した猫至上主義の価値観で考える「猫と男」とは?その辺のダメ男に引っかかっている女性陣。出会いがないと嘆いているあなた。猫の前では男なんて無価値かも?■第2回「猫を飼っている男性芸能人」さて今回の「猫>>>>>>>(越えられない壁)男」のテーマは「猫を飼っている男性芸能人」である。これは、猫を飼っている男性芸能人をネット情報で見つけ出し、瞬時にファンになろうという企画だ。話は変わるが、皆さんは好きな芸能人は?と聞かれて即答できるだろうか。私はできない。好きな二次元キャラは、と問われたら10人ぐらい言えるし、今の一押しは刀剣乱舞のへし切長谷部だ。誰にも聞かれてないが、言いたいから答えた。そもそも、そこまで人に興味を持たれることがないので、そんな質問されることすらないのだが、備えあれば憂いなしであるし、猫を飼っている芸能人を応援することには大きな意味がある。おキャット様の飼い主が食いっぱぐれるということは、おキャット様もそうなるということなのである、それは由々しき事態だ。おキャット様を飼っている芸能人には恒久的な人気を誇ってもらわなければならない。よって猫を飼ってる芸能人のファンになるというのは、間接的におキャット様を養っているということなのだ。皆、差はあれ、好きな芸能人の熱愛や結婚にはメロスのように敏感だろう。自分がつぎ込んだ金が、得体の知れない女の顔面に注射されるヒアルロン酸になっていたかと思うと、心中穏やかではいられない。しかし、自分の投資がおキャット様が寛ぐ床暖房の板一枚になっていると聞いたら「より励もう」と思えるだろう。さっそく「猫 男性芸能人」でググってみたのだが、猫を飼っている芸能人より「猫顔男性芸能人」という唾棄すべき情報が先に目についた。何度でも言うが、おキャット様は唯一無二の存在であり、他はそれ以下だし、それ以上は存在しない。人間如きの属性に猫を使用するなど恐れ多い。「あたし猫っぽいってよく言われるんです」という自己アピールは、猫好き男子には逆にマイナスだ。気を取り直して「猫好き男性芸能人」で調べて見たが、これが意外なほど出ない。しかしよく考えてみたら、芸能人という不規則かつ、家を何日もあけることがありそうな職業で一人暮らしだった場合、ペットを飼うと言うのはなかなかハードルが高い気もする。むしろ、1人暮らしと言われている男性芸能人がペットを飼い始めたら要注意かもしれない。熱愛のサインというものは意外なところから出ているものである。色々検索してみて一番情報が出てきたのは「爆笑問題の田中裕二」だった。確かに愛猫との写真も多数見つかったのでこれはガチだろう。しかし彼の場合、今更私が応援しなくてもいいぐらいのポジションだ、逆にこっちが応援してもらいたい。あとタモリが猫を飼っているという情報もあったが、さらに応援がいらない、すでにアガリに近い存在だ。できればもっと若手、まだこちらが買い支えねばと思える人材がいい。そこで見つけたのが「栗原類」だ。かなりいい、佇まいや雰囲気も他人事とは思えない。しかも「猫アレルギーなのに猫を飼っている」というのもポイントが高い、その心意気や良しだ。しかし猫アレルギーの症状がどの程度かは知らないが、結構つらいのではないだろうか、鼻が詰まっているというだけで、人は実力の半分も出せなくなる。しかし逆に言えば「だからどうした」とも言える。おキャット様を養えるのであれば、目鼻どころか、耳から謎の液体を出すことすら厭わない、それが猫好きだ。猫アレルギーは人間の都合であり、おキャット様には関係ない、ならば猫アレルギーでも猫を飼うべきと言える。といわけで2017年、好きな芸能人はと言われたら「栗原類」と即答することにした。しかしこういう、おキャット様のために常人ではやらないことをやっている人間がいるため「猫好きは変わっている」というイメージがつくのかもしれない。プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年01月29日OL兼漫画家として唯一無二の作風で活躍するカレー沢薫さんの連載コラム登場!徹底した猫至上主義の価値観で考える「猫と男」とは?その辺のダメ男に引っかかっている女性陣。出会いがないと嘆いているあなた。猫の前では男なんて無価値かも?■第1回「猫を飼っている男の特徴」このコラムのテーマは「猫と男」だ。おそらくこのコラムを読んでいる3人中5億人が「男いらなくね?」と思っただろう。そもそも唯一神である猫(以下おキャット様)と人間如きを同列に語ろうというのが間違っているので正式なタイトルは「猫>>>>>>>>>>>越えられない壁>>男」であり、略して「猫と男」だ。「と」はどこから来た、という話は置いておいて、ならおキャット様の話だけすればいいと思われるかもしれないが、まずはこのサイトの全貌を見て欲しい。「男、女、結婚、恋愛」以外の話は許さないという雰囲気だ。それでもおキャット様の話をするために、男という蛇足を付けざるを得なかったのだ、どうか許して欲しい(今のはおキャット様への謝罪であり貴様らに謝ったわけではない)。まず第一回目のテーマは「猫を飼っている男の特徴」だ。別に、考え得る限りでもっともつまらないテーマを選んだわけではない、やる気はあるのだ。まず猫を飼っている男の特徴だが、例外なく言えるのは「いい奴」である。これは「猫ちゃん好きに悪い人はいないょ」という虫歯になりそうな思想ではない、おキャット様を飼う、という重責を担う男が悪かったら困るからだ、だから例外なくいい奴でなくてはならない、これは義務だ。しかし、ここで言ういい奴、というのは人間的にという意味ではないし間違っても「女にとっていい男」という意味ではない。女を風呂に沈めた金で、おキャット様にカナガンのキャットフードを献上しているとしたらそれは「いい男」である。よって猫を飼っている男は例外なくイイ奴なので、女性は安心してつきあい、どんどん貢いで、おキャット様が三食シーバプレミオを食えるようにしていただきたい。猫を飼っている男がいい奴だということはわかったが、ではその性格はどういったものだろう。さっそく「猫好き男特徴」とインターネットに聞いてみた。もちろん「○○だから●●」と断言できることなどほぼないため、薄らぼんやりとした情報しか得られなかったが、一番多かったのは「猫好き男は性格も猫系」というものだった。勘違いされては困るが、おキャット様の性格というのはおキャット様にしか許されない、人間がまねをしたら万死に値する。そもそも猫系の性格とはなんだというと「自由でマイペース」ということである。確かにそういう性格の人間は男女問わずにいるが、少なくともペットを飼う以上ペットに対してだけはキッチリした性格でないと困る、日頃からおキャット様に対し細やかなケアを行い万が一体調を崩されていたら速やかに病院へ連れて行かなければならない。逆に言えば、それ以外に対してはマイペースで構わない、手作り弁当を持ってきた女を前にドミノピザに電話をかけるぐらい自由でいい、許す。つまり、猫飼い男と付き合うときは、自分よりおキャット様を優先されても「それが当然」と思えなければいけないのである。プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2016年12月22日声優の沢城みゆきが、この秋、完全新作で蘇る『デスノート Light up the NEW world』に新たに登場する真っ白な姿の死神・アーマの声を務めることが決定した。犯罪のない社会を目指し、デスノートで世界を変えようとしたキラこと夜神月。暴走する彼を阻止しようとした世界的名探偵・L。天才VS天才の対決から10年経ったある日、世界中のネット回線がジャックされ、キラによるメッセージが発信された「デスノートを手に入れろ―」。死神により地上にもたらされた6冊のデスノート。同時多発的に発生する大量の殺人事件。そんななか、三島(東出昌大)が率いるデスノート対策本部に、Lの後継者・竜崎(池松壮亮)が加わり、無差別殺人事件の現場で1冊のデスノートを手に入れる。一方、その現場には、キラの信奉者・紫苑(菅田将暉)の姿が。いま、それぞれの譲れない“正義”を懸けた、3人の壮絶な頭脳戦が始まる──!死神・リュークの声を、歌舞伎役者の中村獅童が続投する本作。今回、本作に新たに登場する死神の“1人”となるのが、死神・アーマだ。原作の“シドウ”をベースにデザインされ、漫画原作の小畑健監修のもと、制作が行われた。VFXアドバイザーを務めた土井淳氏は、前作映画から10年を経ていることもあり、リアリティを追求し存在感のある死神を目指したという。「色気と美しさのある死神」という佐藤信介監督からの要望もあり、その要素をどうデザインに落とし込むか、描いては壊しが繰り返された。そうしてでき上がったアーマは、死神の“友達”を持たず、むしろ人間にシンパシーを感じているようなキャラクターで、マスカットが好物。「まあね」が口癖で、仕草や話しぶりもエレガントな、“女性”の死神だ。そんな愛嬌がある死神・アーマに息を吹き込むのは、 「べるぜバブ」(ベル坊)、「HUNTER×HUNTER」(クラピカ)、「テガミバチ」(ラグ・シーイング)、「GO!プリンセスプリキュア」(紅城トワ:キュアスカーレット)ほか、ナレーション、洋画&海外ドラマ吹き替え、舞台でも活躍中の沢城さん。「週刊少年ジャンプ」作品でお馴染みの沢城さんは、「佐藤監督からお声がけいただきまして、なんとも豪華な俳優陣の中に、恐縮ながら参加させていただくことになりました」と真摯にコメント。「死神ってこういうもの、という何か共通項があるのかなと思っていたら、私たち人間同様、本当に三“神”三様だったのが印象的です」とふり返っている。果たして、沢城さんが声を務めるアーマは、誰にデスノートをもたらすのか!?先日解禁となった本予告には、“金色”の新たな死神も映りこんでおり、リュークに関しては獅童さんのフェイシャルキャプチャーが行われ、よりリアリティを追求したという本作の死神たち。フルCGによって誕生する、“演技派”な死神たちの活躍もまた見逃せない。『デスノート Light up the NEW world』は10月29日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年09月12日体調不良で休養中のフリーアナウンサー・小林麻耶が1日、休養後初めてブログを更新。突然の休業を謝罪するとともに、現在の状況を伝えた。約3カ月ぶりのブログで麻耶は、「こんにちは。お久しぶりになってしまいました。この度は、ご心配をおかけしてしまい、申し訳ありません」と書き出し、「休養せざるをえなくなるまで自分を追い込んでしまったこと、そのせいで番組にご迷惑をおかけしてしまったこと、とても反省しています。また、握手会もできなくなってしまい、楽しみにしてくださったのに本当にごめんなさい」と謝罪した。そして、「たくさんのいいね!メッセージ!毎日のメッセージ!すごく励まされました。ありがとうございます」と応援の声に感謝し、「今はまだ仕事ができる状態ではないのですが、また笑顔で働ける日が来るように、その第一歩としてブログを再開させていただきたいと思います」とブログ再開を宣言。「ここは私にとってとても大事な場所です」と伝え、「不器用な私ですが、どうぞよろしくお願いします!ただいま」とつづった。さらに、「P.S. 妹がブログ始めました」と乳がん闘病中の妹・小林麻央が同日ブログを開設したことも報告。「ぜひ、アクセスしていただけたら嬉しいです」と呼びかけた。
2016年09月01日著者撮影今回は私がいつも冷凍庫に常備しているゼリーアイスを紹介したいと思います。 「Jele SNOW ICE ライチ味」です。タイの主なスーパーやコンビニのジュースコーナーで、常温又は冷蔵の状態で売っています。裏面を見ると食べ方が絵で解説してあります。著者撮影 1. 冷蔵庫で冷やして普通のゼリーとして食べる。2. 冷凍庫で十分に冷やしたら、2分ほどムニムニと手で押して半解凍状態にし、ゼリーアイスとして食べる。 私のおすすめは2番の食べ方です。ひんやりシャリシャリの爽やかなライチ味に、時々ナタデココのコリコリっとした食感が美味しく、すっかりハマっています。そんなJele SNOW ICE ですが、そのお値段はなんと10バーツ(約29円)!びっくりするほど安いですよね。しかも、私がいつも買っているマックスバリュでは、たまにBuy 1 Get 1(1つ買うと1つ無料)のキャンペーンをやるので、その場合は5バーツ(約15円)で購入できちゃうんです。ライチ味以外にもマスカット味などもありますが、私はライチ味が一番美味しいと思います。常温で持ち運びできますので、日本へのお土産にも向いていますよ。南国らしいライチ味の上、とにかく安いのでたくさん買えます。バラマキ土産にいかがでしょうか?
2016年07月02日歌舞伎俳優の市川海老蔵(38)が9日、都内で緊急会見を行い、妻でフリーアナウンサーの小林麻央(33)が乳がんを患っていることを公表。体調を崩して休養している麻央夫人の姉でフリーアナウンサーの小林麻耶(36)にも触れた。海老蔵は、麻央夫人について「乳がん」であると明かし、「かなりスピードの速いもの。深刻」と状況を説明。「とにかく麻央を病気が治るまで全面的に支える」と力強く語った。会見の中で、「麻耶ちゃんも具合が悪くなりましたけど」と過労で休養中している麻耶についても切り出し、「家族一丸となって麻央をバックアップしている中、麻耶さんも(麻央夫人の病気を)隠しながら、一生懸命お仕事をして、ここ1年くらい大活躍している。そういう意味でも大変だったんだろうな」と義姉の心情を思いやった海老蔵。「おのおの家族の中で少しずつ疲れが出てきてしまったんだろうな」と話し、「麻耶さんも真面目ですし、麻央も真面目ですし、素晴らしい姉妹だなと思います」とたたえた。麻耶は先月19日、フジテレビ系情報番組『バイキング』の生放送中に途中退席し、病院へ搬送。以来休養を続けていたが、今月1日に所属事務所が「過労による体調不良が回復しない為、当分の間すべての仕事を休ませて頂く事になりました」と休養の延長を発表した。
2016年06月09日女優の江角マキコさん(49)が芸能活動を休養することを宣言したと、4月28日発売の『フライデー』が報じました。『仕事がなくなったのではありません。自分からテレビに出るのをやめようと決めたんです』と代理人経由で発表したという江角さん。休養の主な理由として『子どもに迷惑をかけたくない』からであるとしています。●落書き騒動でレギュラー続々降板…「ママ友バトルこわい」とネットユーザー3月までにレギュラー出演していた番組が全て降板or終了となり、現在テレビ出演のなくなった江角さん。江角さんといえば、2014年8月に「マネージャーに命じて元プロ野球選手でタレントの長嶋一茂さん(50)宅へ落書きをさせた」とされる騒動で話題になり、出演番組への抗議が殺到。また、真偽は定かになっていませんが、この騒動の背景には「江角さんVS一茂さんの妻(と周囲のママ友グループ)」という構図で激しい確執があったものと見られています。江角さんの休養宣言に対して、ネットでは厳しいコメントが一定数ありました。『引退宣言ですね!ベッキーと同じで仕事が来ないから!一般人として頑張ってください!』『年金問題も有ったなぁ~』『どっちにしてももう需要なんて無い、自分から休養って言った方がプライド保てるしね』『子供を思って自分から出るのを止めるなら、一番バッシングが激しい時に止めてるでしょ』一方で、江角さんだけが一方的にバッシングの対象となっていることに同情する意見も多く見られました。『どっちもどっちじゃない?相手のママ友グループもかなり陰湿だったみたいだし。子供は親が叩かれるのは見たくないだろうから休業が正解だろうね』『江角をここまで追いつめた一茂の奥さんってどんだけ強者なんだろ』『事務所を独立したすぐ後の一連のネガティブ報道だったよね。報道内容の真偽は分からないけど独立って大変なんだなぁと思った』『とにかくママ友バトルが恐ろしいってことだけはよく分かった』----------江角さんのお子さんは現在10歳。今は芸能活動を控え、子どもの多感な時期をママとしてしっかり支えてあげることが大切なのかもしれません。【画像出典元】・江角マキコ オフィシャルブログ Powered by Ameba/(文/パピマミ編集部・楠)
2016年04月28日今回のテーマは「飲み会に誘われた際のうまい断り方について」である。正直飲み会の断り方に上手いも下手もない、あるのは心が強いか、弱いか、それだけだ。○誘いを断る時、我々は宇宙の塵にすぎない何故我々は、行きたくもない飲み会の誘いを断れないのか。女子力アピールだけ達者なバランス感覚のない女が取り分けたドレッシングしか入ってないサラダをすすった上、二次会のカラオケまで断れず、全くマイクが回ってこないのに割カン料だけ払い、冷えて粘土のようになったポテトをひたすら口に運ぶマシーンになってしまうのか。それはもう、己の心が弱いからとしか言いようがない。まず「上手く断りたい」などという人間は驕りすぎている。海とか地球とかをテーマにした壮大系のドキュメンタリーを72時間ぐらい見て、「自分は宇宙の塵にすぎない」というところから勉強し直した方がいい。つまり、「自分がこの誘いを断ることにより相手が気分を害すかも」と思う時点で思い上がっているのだ。まず冷静さを保ったまま半裸になり、両手を両乳首に当て、足はがに股、焦点の合わない瞳で相手を見つめ、自分が誘われた理由を考えてみるといい。そうすれば誘ってきた相手は、あなたの返事を待たずにどこかへ行くだろう。それでもなお誘ってきた相手が去らないようであれば、本当にあなたに来てほしいのだろう。それならば参加してもいいし、参加できないようなら相手が気分を害さないよう、両乳首に当てた手を徐々にスライドさせ、胸の前でバッテンを作り、参加不可の意を伝えるぐらいの配慮は必要だろう。だが、上記の半裸メソッドを実行するまでもなく、こういった誘いのうち、九割は断ったところで何も起こらない。つまり多くの場合、相手はあなたが参加しようがしまいが、どうでも良いと思っているのだ。大方、声をかけた理由は「部署の人間を全員誘ってるから」くらいのものなのである。それをイチイチ「上手く断らないと」などと思うのは思考力の無駄であり、逆に相手に失礼でもある。だからと言って、「〇〇へ行かなければいけないから」など、具体的な行けない理由を言うのはさらに下の下だ、相手にとって、興味のない人間の夜の予定を聞かされるなど、もはやハラスメントと言ってもいい。よって、簡潔に「用がある」と言うのがベストなのである。そう言う事で相手がどう思うかなどを考えるのは弱さであり、自意識過剰でもあるのだ。○気乗りしない誘いを断るために要される「勇気」だが「断ることで輪からはずされてしまうかも」と考える、さらに弱者思考の人もいるだろう。しかし、「参加でも不参加でもどうでもいい奴」というのは、参加したとしても、やはり「いてもいなくてもどうでも良い動き」しかしないものなのだ。おそらく、我先にと女子力アピールを試みる女が持ちあげたサラダボウルの裏を見つめているのが関の山だ。やれたとして、机が狭くなってきた際、店員に皿を下げさせるため、ちょっとだけ残っているカッチカチの冷めた鳥軟骨を処理する係ぐらいのものである。つまり、「輪から外されたくなくて参加した飲み会なのに、参加したところで輪に入れていない」ことがほとんどなのだ。参加したところで何の評価も得られないし、むしろ「こいつ全然動かないな」と評価を下げられる場合の方が多い。ならば逆に、参加しない方が良かったとも言えるのだ。しかし、飲み会を断る時に必要な心の強さというのは、行きたくない会の誘いにはっきりNOと言える強さだけではない。真に必要なのは、その後やってくる孤独に耐える強さだ。「断ったら輪から外されるかも」というのはある意味正解で、断り続けていたら誘いというのはこなくなるものである。そこで「行きたくなかったけど、いざ誘われなくなると寂しい」などと思うような惰弱な精神の持ち主は、もう大人しく飲み会に参加して、粘土と化したポテトを氷の溶けきったジンジャーエールで流し込んでおけばいい。私なども、OLの端くれとして、入社当初はランチに誘われることもあった。しかし相手が私を誘う理由は「職場の女性は全員誘ってるから」以外には何もなく、私も「行かなきゃ悪いかも」以外に行く理由はなかった。そんな動機であるため、ランチの間私は何もしゃべらず、話しかけられもせず、ただ他のOLが談笑するのに合わせ愛想笑いをしながら、399円のカルボナーラを胃に流し込むだけであった。当然そのパスタは腐葉土の味であったし、合わせて飲むコーヒーからはドブの臭いがした。そして、ある時開眼した。「なぜ貴重な昼休みに、腐葉土とドブを食わなければいけないのか」と。そう気づいた私は、前述の通り「用があるから」と言って、同僚からの誘いを全部断ることにした。その結果、見事に誘われなくなった。正直言うと、誘われなくなった時は一抹の寂しさを感じ、「私の選択は間違っていたのかもしれない」と思った。しかし、私の昼休みはそれから一変し、片手でクリーム玄米ブランを食いながら、もう一方の手で乙女ソシャゲをし、その合間にTwitterでエゴサをするという、パーフェクトすぎる時間を過ごしている。そして自信を持って「孤独になったのではない、自由になったのだ」と言えるようになった。しかし、社内で孤立しているのも確かであり、故に困ることもある。それが嫌だと思うならやはり多少我慢をして腐葉土を食っていた方がいいだろう。自由には責任が伴うというが、時として孤独もついてくるのだ。とはいえ、私もまだまだ修行中の身であり、ランチぐらいなら断って自由を謳歌できるが、出席しなければまずそうな飲み会などは、ヘコヘコと参加している次第である。もっと鍛錬を重ね、最終的には正月に必ず行われる夫の実家での親戚の集まりを「用がある」と言ってバッくれるところまで到達したいと思っている。<作者プロフィール>カレー沢薫漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年、文庫版2015年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。「やわらかい。課長起田総司」単行本は1~3巻まで発売中。「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」、次回は2016年4月12日(火)掲載予定です。
2016年04月05日今回のテーマは「ネット上のフレンド」についてである。私のTwitterアカウントをフォローしている人などには「こいつ24時間Twitterやってるな」と思われているかもしれないが、実際は48時間ほどやっている。時間軸が歪むほどTwitterをやる理由は話せば長くなるのだが、簡潔に言うと「イカれた理由を紹介するぜ!売名行為!…以上だ!」である。つまり、Twitterを通じて私の事を知ってもらいたいという気持ちが、理由の5億%を占めているのだ。そして、知ってもらった暁には私の単行本を全部買って、全部燃やして、また全部買ってほしいと思ってやっている。それ以外の理由は特にない。他に理由を探すとすれば、承認欲求を満たすためだろう。前に「漫画を描くのは金と承認欲求のため」と書いたが、Twitterも同じである。むしろ私がそれ以外の理由で動くと激しい下痢嘔吐をしたり、全国的に空からバールのようなものが降ってきたりするので、皆さまのためにも、それ以外の理由では1ミリたりとも行動しないようにしている。○カレー沢薫とインターネットの邂逅このように、現在ネットをコミュニケーションツールとしては使っていないので、実を言うと「ネットフレンド」というのはほぼいない。単行本などの情報は一方的に発信しているし、やりとりするのはリアルの知り合いか仕事の関係者のみである。もちろん、1日48時間Twitterをやっているので、熱心に応援してくれている読者の方などは自ずと覚える。だが、かといって密にやりとりしたり、いつもポケットに直入れしているぼたもちをこっそりあげたり……、などということもほぼない。そもそも「mixi疲れ」とか「Facebook疲れ」とかしてしまうのは、そこで人付き合いをしてしまったせいである。現実世界でも人を一番疲れさせるのは、人付き合いのはずだ。それをネット上でもやってしまったら、「そりゃ疲れるぜ」としか言いようがない。私も今でこそそう思っているが、漫画家としてデビューする以前は、もっぱらネットに出会いを求め、積極的に疲弊していたクチだ。私がネット環境を手に入れたのは、高校生の頃だった。僻地のオタクの惨状は最近書いたばかりだが、当然同志に恵まれているとは言いがたい状況だった。だから、その手の話がわかる数少ない友人にFAXを送りつけてまで自作のイラストや漫画を見せるという、相手が出るところに出れば逮捕されてもおかしくないようなことをしてまで承認欲求を満たしていたのだ(今思い起こせば友人は全く私を承認していなかった)。そのため、ネットで二次創作を載せている個人HPを見つけた時、こんな画期的な方法があったのかと衝撃を受けた。そして、パソコンに触るのすらほぼ初めてだったにも関わらず、「俺の描いた最強の“斜め45度を向いたイケメンのバストアップイラスト”を世界に発信してえ」という一念のみで、クソダサHPをこの世に産み落としたのだ。それだけではなく、他の二次創作サイトの掲示板に「ああああなたの描かれる●●(キャラ名)が超絶好みでドプフォ…!(鼻血)」などと書きこんだり、チャットに参加したりと、積極的に交友関係を広げようとした。もともと同じ作品が好きで、二次創作を趣味としている者同士、さらにネット上のみでのやりとりなので、割とすぐ仲良くなれたし、そういう人たちとの交流はとても楽しかった。それがなぜ疲れに繋がるかと言うと、まず作品に対する飽きがある。これはオタクの宿命であり、ずっと同じテンションで同じ作品を愛し続けられる人間は稀だ。「作品のことは好きだが、そのイラストや漫画を描こうというところまでの情熱がなくなる」日がほぼ確実にやってくる。そうなった時、今まで嬉しかったはずの、ネッ友(ネット上のオタク友達)たちによる「拙者!続きを全裸待機!」が一転して重荷になってくるのである。その結果、実際は暇すぎてあなたのキスや夜の足音の代わりに自分の指毛を数えているような状況でも、サイトのトップページに「多忙ゆえ更新を停止します」と掲げて行方をくらませなければならないこととなる。○オタ友をめぐる「責任」と「人間関係」さらに、ネット上のオタ友との関係も、お互いが「そなたのイラストは大変麗しゅうございますで候!ブヒブヒブヒー!」と褒め合っているうちぐらいは良いのだが、仲良くなりすぎて「二人はプリキュアだよね」というような段階にまで行くと危険信号だ。つまり同人用語で言うところの「相方」と呼び合うようになると、二人で悪と戦う代わりに「合同で同人誌を作ろう」とか「何かネット上で企画をしよう」という話になったりする。もちろんやりとげる奴らも多いが、途中で片割れが「あっこれ、めんどくせえ」と気が変わるパターンも少なくはない。私も去年同人誌を出してみてわかったが、好きな時に好きなキャラの絵を描いてネットにアップしている時は楽しかったのに、それが締め切りのある原稿作りになると、途端にクソ面倒くさくなるのだ。一人でも面倒なのに、相方がいるとなると「責任」という重荷が加わり、さらに関係者が複数人になるとその面倒くささは急増し、「やはり俺に仲間など必要なかったのだ…」と中二っぽいことをつぶやいてどこかに消えたくなるのだ。そこで再び「多忙につき」「体調不良により」「家庭の事情で」などと言って、企画自体をなかったことにしようとするパターンも散見される。だが、締め切りのある原稿を描くのは面倒くさくても、前述の通り好きな時に好きなものを描くのは面倒ではないため、「多忙」「体調不良」「家庭の事情」と言っておきながら、ネットにイラストなどをアップしてしまったりする。そんなことをすると、「お前忙しいんじゃなかったのかよ」と、約束を反故にされた相方は怒りの力によってキュア阿修羅へと変身し、相手が複数であれば「キレすぎて逆にスマイルなキュア某」たちに撲殺される。もちろん責任感のない奴が1番悪いのだが、こういうことが起こるのはネット上で密な人間関係を作ってしまったからだ。そういう相手がいなければ、好きな時に描いて、飽きたらやめれば済んだのだ。ネットのみならず、趣味というのは「責任」「強制」「人間関係」が入ると途端に嫌になってしまうものなので、いかにそれを排するかが重要なのかもしれない。そんなこともあり、私は、Twitterで特定の仲の良い人などを作らず、リプライも気が向いた時にしか返さず、できないことは言わないようにしていたのだが、先日ついうっかり「2月か3月にLINEスタンプを作る」と言ってしまった。正直に言うと全く作っていないのだが、もちろんそれは多忙かつ、体調不良、家庭の事情のためなので、件のツイートを読んでしまったみんなは今持っている武器を置いて、スマイルで待っていてほしい。<作者プロフィール>カレー沢薫漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年、文庫版2015年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。「やわらかい。課長起田総司」単行本は1~3巻まで発売中。「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」、次回は2016年4月5日(火)掲載予定です。
2016年03月29日今回のテーマは「親の期待のかわし方」である。誠に残念かつ遺憾、慙愧の念に堪えないのだが、当方、親にこれといって期待をされた記憶がない。この連載では、今まさにゴミ箱に頭を突っ込んでいる最中の人に対し「成功の秘訣は?」と聞くようなテーマがたまに寄せられるのである。○かんぴょうと酢飯からフレンチは生まれるか子どもに大した期待をかけない親のことは後ほど触れるとして、その対極にある「子どもへ過度な期待を寄せる親」というのも、何を考えているのかわからない。もちろん、自分たちが博士や大臣、松坂牛であるというのなら、子どもに同じような将来を望むのもまあわかる。だが、父がかんぴょうで母が酢飯なら、子はかんぴょう巻になることは大体予想できることであり、「シェフの気まぐれフォアグラテリーヌ~季節の野菜を添えて~」になれ、というのは酷なことである。原材料が自分たちであるということを忘れているんじゃないかと思う。もちろん、材料はともかく調理(教育)次第でどうとでもなるという意見もあるだろう。確かに、平凡な両親から偉人が生まれる例もあるが、残念ながらかんぴょうをフォアグラにするより、フォアグラを残飯にする方が簡単なのである。むしろ過度な期待と教育でかんぴょう巻にすらなれなれず、もはや「料理」というより「一般には理解されない系アート」みたいになってしまうこともままある。しかし親バカと言う言葉があるように、可愛さ故に、自分の子どもが実際より優れて見えてしまうのは、ある程度仕方のない事なのかもしれない。その点、私の両親が私に望んだことは一貫して「安定した職につき、豊かでなくていいから食べるに困らない生活をしてほしい」という、実に最低限かつ堅実なものであった。この決して高くないハードルを「売れない漫画家になる」という形で華麗にくぐって見せたものだから、もはやうちの親は私に何も期待していないだろう。おそらく、元々低かったハードルの高さが「逮捕はされるな」もしくは「実刑だけは食らうな」くらいにまで下がっていると思う。親の期待通りに育つことも親孝行かもしれないが、親に期待させすぎないことも立派な孝行であると思う。とはいえ、突然親の期待を裏切ってはいけない。どこに出しても恥ずかしくない自慢の息子がいきなりパンツ泥棒で捕まってニュースに登場するのは、これ以上ない親不孝だ。徐々に、親自身もいつ諦めたかわからないぐらい、自然に諦めさせなければいけない。つまり、何かやってしまった時、親に「まさかうちの子に限って!」などと言わせるようでは親不孝なのだ。無表情で「やはり…」と言わせるのが真の親孝行である。○親孝行はコツコツと、が鉄則正直に言うと、私は中学生の段階では勉強ができた。この「中学生まで」できた、モテた、という実績がいかにその後の人生の足を引っ張る要素であるかはまたの機会に言いたいと思う。とにかく、中学生時点ではまだ親に期待されてもいいぐらいだった。しかし、もうその時点で、親は私に期待というより不安を抱いていたのだ。何故なら、中学に入ってすぐ、担任が抜き打ち家庭訪問に来るという珍事が起こったからだ。それも、「いつも一人でいる」という理由で。一切仕込みナシの訪問だったためもちろん私も家におり、担任が親に「私には友達がいない」と話すのを、隣室からライブで聞いていたのだ。その時、手近なところに金属バッドがなくて本当に良かったと思う。本件、私も痛かったが、親にとっても激痛だっただろう。例え成績が学年1位でも、「こいつはヤバい」と思わせるのに十分な惨事であった。親にとって、自分の子が「勉強ができない」あるいは「運動ができない」と言われるよりも、「友達が作れない」と言われたほうがダメージは大きいのだ。本当に親を期待させたくなかったら、いかに人間的にヤバいか、社会性がないかをアピールすることが肝要なのである。その点、私は齢7歳で、親に「お前は被害妄想が強い」と断じられたエリートである。もちろん7歳であるが故に意味はわからなかったが「おっ! 今何かすごいこと言われた!」という記憶だけはある。他にも、友達がいないことはもちろん、片づけができない、もらった小遣いをすぐ使うなどまともな大人になれない要素満載であり、実際まともにならなかった。成人するころには、「頼むから他人に迷惑をかけないでくれ」くらいにまで親の期待値は下がっていたと思われる。時は流れて現在。私は前科もなく、屋根のあるところに住み、リボ払いやキャッシングはまだしていない(数十年の住宅ローンはある)状態である。つまり今、親は「思ってたよりは良く育った」と思っているはずなのだ。幼少のころからコツコツ親をがっかりさせたおかげで、今では立派な孝行娘というわけである。しかし、世の中には、意識しなくても成績優秀、運動神経抜群、人望も厚く異性にもモテてしまい、親にどうしても期待させてしまうという人もいるだろう。そういう方は、一点だけで良いので、親に不安を抱かせる要素をチラ見せしておけば良いと思う。男性ならお母さんより年上の熟女が登場するDVDを大量に隠し持つとか、女性なら男児用白ブリーフ(未使用)をコレクションしてみるとか、「法には触れてないが、そのうち何かしでかしそう」な雰囲気を出すのだ。つまり、親を安心させきってはいけないということである。いつか悪い意味で新聞に載ってしまう日に備え、平素は孝行者でも「いつ爆発するかわからないニトロを積んでいる」ということだけは、ちょくちょくアピールしておくべきなのだ。<作者プロフィール>カレー沢薫漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年、文庫版2015年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。「やわらかい。課長起田総司」単行本は1~2巻まで発売中。「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」、次回は2016年3月29日(火)掲載予定です。
2016年03月22日今回のテーマは「地方でオタクをやることのメリット・デメリット」である。カレー沢は地方のオタクである。ソシャゲに課金し、ピクシブを一日中巡回して暮らした、と、まさかの二回連続メロス引用による開幕である。しかしこれは私の表現力が低いのではなく、太宰がすごすぎるのだ。○地方はオタクにとって「マッドマックス」私は地方の生まれであり、生まれてこの方地元を出たことがない。おそらくこれからも、離婚や家の全焼、あるいはそれに類するようなよほどのことがない限りは出ないだろう。私の地元は住むには良い所だが、オタクとして活動するにはデメリットしかないようなところである。特にネットが普及する以前はひどく、当時坊主頭に麦わら帽子をかぶった中学生だった私はセーラー服の袖口を鼻水でカピカピにしながら、「コミケってどんなところだっぺなー」と、るろうに剣心あたりのキャラを模写しながら夢想したものである。同年代の女子が渋谷や原宿に憧れていたころ、私は一人ビッグサイトを思い描いていたのだ。人生というものは、割と早い段階から勝負がついているという好例である。都会住みでも、中学生から同人活動をしている人間は少ないだろうと思われるかもしれないが、おらが村に関して言えば本屋すらなかった。同人活動をする以前に、漫画等、萌えの燃料の補給場所すらなく、オタクにしてみればマッドマックス級に荒廃した世界観だったのだ。辛うじて、菓子や文房具を併売しているような個人書店で「週刊少年ジャンプ」ぐらいは読めたが、そこには10年前に刊行されていた漫画の単行本がさも最新のタイトルであるかのように並べてあり、それすらも何故か5巻だけ置いてあるという地獄の様相であった。よって最新の単行本を手にいれようとしたら、田舎の小中学生の大半が着用を義務付けられているヘルメットという名の兜に、蛍光色のチョッキという鎧をまとった上、ジープ(自転車)に跨り、「ヒャッハー!」と狸や鹿、果ては老人などが跋扈する荒野を30分ほど走って、緑の都(隣町のやや大きめの本屋)を目指さなければいけないのである。そして「チャリで来た」と宣言しながら店内に入り目当ての漫画を探すも、田舎の本屋には変わりないので、目当ての物はないことの方が多い。その場合は当然また30分かけて撤収だ。そしてその漫画を手に入れるには、静まりかえった店内で欲しい漫画の名を店員に告げて、待つこと数週間。荒野を1時間かけてもう一往復し、目的のブツを強奪しに行かなければならないのだ。○「キンプリはいい」かどうか確かめられない理由このように、ただ漫画を買うのにもエクストリームな行いが必要だった時代に比べると、通販で大体の物が手に入るようになった今、オタクにとっての地方格差はずいぶん解消されたと言える。しかし、イベント事、またはその場でしか手に入らないグッズなどの入手に関しては未だに歴然とした差がある。中学生の頃憧れたコミケは未だに憧れのままであり、21世紀になった今でもビッグサイトの方がこちらに来たということは一度もない。それに、やれ好きな漫画が舞台化するだの、声優がコンサートを開くだの言われても、我が村の公民館でやることはまずなく、大体都心での開催である。また、アニメ映画などもちょっとコアなものになるとこちらでは上映されない。今話題のアニメ映画『KING OF PRISM by PrettyRhythm』(キンプリ)も当然こちらでは未上映だ。しかも「キンプリってどんなの?」と鑑賞済みの他人に聞くと決まって「見ればわかるから、見ろ」と新興宗教に目覚めたブルース・リーみたいな顔で言われるのだ。だがこちとら見たくても見られない。世の中にはスターウォーズとワンピースしか上映せず、ミニシアターでやってるようなマニアックな映画を見て周りに差をつけたいサブカル野郎が憤死するしかない不毛の地があるのだ。悔しいので「キンプリってキングプリムゾンの略か」と100億人ぐらいが考えつきそうなことを言ったら、「キンプリを馬鹿にするな、不思議なプリズムで消すぞ」と怒られた。本当に地方のオタクに良いことはない。そして、オタクはどこ住みでも怖い。○1キロ先のにぎりめしと、ガンジス川のまんじゅうそれでも無理やり、地方でオタクをやることの利点を挙げるとすれば「諦めがつきやすい」という点だと思う。いくら都心住みでも、行きたいイベントに全て行き、買いたいものを根こそぎ買えるわけではないだろう。やはり時間的、経済的理由で断念せざる得ない場合もあると思う。その場合、行ける距離であればあるほど諦めがつかないものである。例えば、1キロ先の路上に握り飯が落ちていると聞けば、ほとんどの人が拾いに行って食うと思う。しかしインドのガンジス川にまんじゅうが浮いていると聞いたら、ちょっとは考えるが「さすがに無理だ」と思うだろう。地方のオタクにとって、都会のイベント事は「ガンジス川のまんじゅう」のようなものであり、最初から食うことを諦める姿勢をとる。たまに一念発起して拾いに行くぐらいのものだ。逆に、都会のオタクにとって、あらゆる都会のイベント事は「拾える距離にある握り飯」といえるだろうが、落ちている量があまりにも多すぎて、全部拾いには行けず、どの握り飯を諦めるかを考えなければいけない。だったら、最初から絶対拾いにいけない場所にあった方が良かったと思うだろう。かといって、「地方のオタクは誘惑が少なく経済的」かと言うとそうでもない。たまに「ガンジス川のまんじゅう」を拾いに行くためにおびただしい額の金を使うからだ。私にとって未だコミケはグランドラインぐらい遠い存在だが、同人デビューは去年果たした。巷では「同人は儲かる」などと言われているらしいが、活動にあたって必要な支出に「同人誌の印刷費」だけでなく、「飛行機代」、「宿泊代」が加算される時点で「お察しください」と言うしかない状態である。結局、都会だろうが地方だろうが「オタクは金がかかる」という点だけは共通している。やはりニコ動で無料アニメを見て、完全無課金プレイヤーなのにソシャゲのメンテ遅延に激怒し、邪智暴虐の運営を除こうとしているぐらいがちょうどいいのかもしれない。<作者プロフィール>カレー沢薫漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年、文庫版2015年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。「やわらかい。課長起田総司」単行本は1~2巻まで発売中。「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」、次回は2016年3月22日(火)掲載予定です。
2016年03月15日既存のイメージを壊す役と出会いたい──俳優なら誰もが抱いている願望だろう。古川雄輝と間宮祥太朗は『ライチ☆光クラブ』でそれを叶えているが、「ファンの方を含め、好意を持って観てくれる方たちが、この人憎いな、嫌なヤツだなって思ってもらえること、ショックを受けてもらうのが狙いです」と古川さんが言うように、9人の少年たちの裏切りと愛憎、罪と罰、絶望と理想を描いたダークファンタジーの世界にただただ驚く。原作は古屋兎丸による同名ロングセラーコミック。伝説の舞台に衝撃を受けた古屋兎丸は、20年の歳月を経て漫画として「ライチ☆光クラブ」を刊行。舞台から漫画へ、その漫画を元にした舞台へ、そして遂に映画化となる。古川さんが演じるのは、大人のいない世界を理想とする「光クラブ」を支配するゼラ。舞台ファンも漫画ファンも多い作品であるからこそ、キャラクターのイメージを大切にした。「原作と脚本を読み込むほどに、どうしてこの漫画が人気なのかが分かってきました。BL(ボーイズラブ)要素があるので腐女子人気が高いのも理由のひとつだと思いますが、それ以上に内容が詰まっている。読み込んでいくとすごく深い。でも、最初に台本を読んだときは、冒頭のドイツ語のセリフとか後半の“バラが必要だ…”とかワケの分からないセリフも多くて、俺の役、どんだけ喋るんだよ…って軽くパニックでしたね(苦笑)」。深いからこそ、時間のゆるす限り台本を読み込みたい、自分のなかに染み込ませたいという欲望にかられ、ほかの共演者は撮影が終わると毎日のように飲んで親睦を深めていたそうだが、古川さんは敢えてそこに参加せず、ひとりホテルの部屋に戻って台本と向かい合った。そんな古川さんが作り出すゼラの圧倒的存在感は間宮さんを刺激した。彼が演じるのはゼラを崇拝し、ねじれた感情を抱く美少年ジャイボ。「ジャイボにとってはゼラが絶対であるように、古川くんの演技が素晴らしくて絶対だったので、現場に入って古川くんと対峙すると自然とジャイボになれました。ただ、ジャイボの美しさを体現するのは悩みましたね。僕自身はわりと体格がいい。ジャイボを表現する“少女のような細い体”ではないので、ごつすぎるのではないか?と不安もありましたが、本当に少女のようだと後半に登場するヒゲが生えてきたとか成長の悲しさを出す説得力が出ない…とにかく生々しさを意識しました」。ゼラやジャイボ、14歳の少年たちが暮らすのは黒い煙と油にまみれた町・螢光町。その町の廃工場に作られた秘密基地で、彼らは「光クラブ」を結成。醜い大人を排除するための兵器(ロボット)“ライチ”を開発していた。古川さんと間宮さんが「素晴らしい!」と絶賛する光クラブの基地は、実際の巨大な廃工場のなかにセットが作られた。手掛けたのは『るろうに剣心』シリーズのビジュアルスタッフたち。古川さんは語る。「あのセットに初めて足を踏み入れたときに、ライチの世界観そのものを感じました。ひとりひとりに任された役作りももちろんありますが、セットとか衣装とかメイクとか、ビジュアル面で助けられた部分はとても大きい。それぞれのキャラクターごとに学生服のデザインも違って──ゼラは学生服のボタンを上までしっかりとめていたり、他の人よりも星のスタッズが多かったりしますが、光クラブの創設者でリーダーのタミヤ(野村周平)は敢えて第一ボタンを締めずにいる。それはゼラに刃向かう役を見た目で表現しているんです」。美少年ジャイボに関しては、髪はブルー系の色にする、カラーコンタクトを入れるなどの工夫によって美しく艶っぽい姿がスクリーンに映し出されるわけだが「間宮くんは普段から色気がある」と古川さん。「女性から見た色気と男性から見た色気は違うものかもしれないけれど、間宮くんは男性から見ても格好いい。だからジャイボ役がぴったりなんです。光クラブのメンバーを演じるキャストのなかで断然色気があるし、そこに居るだけでジャイボの雰囲気が出ていました」。その言葉に照れながら間宮さんは「それはもうヘアメイクさんやスタイリストさんのおかげですね。毎日『ジャイボ、今日もきれいだよ!すごくきれいだよ!』って、ものすごくおだててもらって、そうやってカメラの前に送り出してもらっていました。そのおかげです(笑)」。ジャイボの美しさにゼラも惹かれ、2人が絡むシーンは多くの女性をドキッとさせるだろう。これまでの出演作で何かとキスシーンが多い古川さんだが、男性とのキスは初。間宮さんに至っては映像作品でのキスシーン初挑戦となった。「間宮くんの演技としてのファーストキスを奪ってしまいましたが、あのキスシーンはもっと激しくてもよかったかなぁと、ちょっと反省しているんです。美しくしすぎたかなと。舌を入れるとかもっとグロくてもよかったなって(笑)」。また、間宮さんいわく「緊張はぜんぜんしなくて案外サラッと撮影を終えました。僕らより周りのスタッフが緊張していたみたいです(笑)。注目して見てほしいのは、耳元でささやく古川くんの声。ゼラのあの声は格別な色気がありました。難しかったのは唇へのキスから下腹部に下がっていくシーンですね。動きによってR-18になっちゃうので苦労しました」。そんな2人のラブシーンも古川さんの言う「ショックを受ける」シーンのひとつではあるが、それ以上に打撃を与えてくるのは「気づきの大切さ」だと間宮さん。「ゼラという絶対的な指導者がいて、絶対的な存在ゆえに光クラブのメンバーたちはゼラの意見が自分たちの意見になって、あらがうことすら忘れてしまっている。そのなかでタミヤひとりが何かがおかしいと気づく。気づかない恐さと気づきの大切さを描いています。判断することを失ってしまった光クラブのメンバーたちの話は、痛烈なメッセージだと感じました」。当たり前のように正しいと思っていたこと、正義だと思っていたこと、優しさだと思っていたことは本当にそうなのか?と、大きな気づきを突きつけてくる『ライチ☆光クラブ』。古川さんが「読み込むほどに深い」と言うように、観るほどに深くもある。何度も観たくなる、何度観ても新しい発見がある映画だ。(text:Rie Shintani/photo:Nahoko Suzuki)
2016年02月19日古屋兎丸による同名人気コミックを映画化した『ライチ☆光クラブ』。成長を拒む14歳の美しき少年たちが結成し、醜い大人を排除した世界を理想とする“光クラブ”を舞台に、少年たちの愛憎劇と、彼らによって美の象徴として祭り上げられた少女とロボットの恋が描かれる。主演を務めるのは、目下ブレイク街道まっしぐらの若手実力派・野村周平。そして、モデルとしても活躍する19歳の注目女優・中条あやみが囚われのヒロインを演じている。その他の画像野村が演じる主人公・タミヤは、光クラブの創設者でありリーダーだったが、圧倒的なカリスマ性をもつ“廃墟の帝王”ゼラの出現によって、今は統率権を失っているという役どころ。メガホンをとる内藤瑛亮監督とは、14年公開の『パズル』以来2度目のタッグで「僕の性格をよくわかっているので、何も言わず見守ってくれました。指示されたり怒られるのが苦手な性格なので(笑)」と振り返る。一方、中条はヒロインのカノンを演じる上で、「テーマは母性だった」と明かす。内藤監督からは「カノンは光クラブにおける女神であり、お母さん」だと説明があったといい、「誰にもできる役じゃないので、ぜひ挑戦したいと思った」のだとか。光クラブのある野望を果たすために製造され、ライチと名付けられたロボットとの禁断愛も描かれ、「演技というフィルターを通せば、どんなことも可能なんだと思えたことが、大きな自信になりました」と誇らしげだ。原作が放つ昭和的なダークファンタジーの世界観を再現すべく、富士市内の廃工場に巨大な秘密基地のセットが作られ、キャスト陣は缶詰め状態で撮影に臨んだ。野村は「セットの作りこみがハンパなくて、異質な役柄にもすんなり入り込むことができました。ただ、年末の寒さもあって、監獄にいる気分(笑)。いざ空き時間になっても、行く場所がなくて」とその過酷さにギブアップ寸前?氷点下1度のなか、冷水に沈められる“薔薇の処刑”シーンに挑んだ中条は、「少しでも水温を上げると、湯気が出てしまうので…。あまりの冷たさに『絶対ワンテイクで撮り終えなきゃ』って覚悟を決めました」と現場での緊張を語った。古川雄輝、間宮祥太朗、池田純矢、松田凌ら次世代を担う若手俳優が集結しており、「イキのいい同世代のキャストがこれだけ揃った作品に出られたのが何よりうれしいです」と“共闘”に胸を張る野村。10代最後の年を迎えた中条は、「ガムシャラにいろんなことを吸収し、納得いく形で20代のスタートラインに立ちたい」と抱負を語った。『ライチ☆光クラブ』公開中取材・文・写真:内田涼
2016年02月16日古屋兎丸の同名原作コミックを、野村周平、古川雄輝、間宮祥太朗ら次世代を担う俳優たちを迎えて贈る『ライチ☆光クラブ』。この度、公開間近となった本作から、ヒロイン演じる中条あやみが、氷点下のクライマックスシーンで女優魂を見せつけていた事が明らかとなった。物語の舞台は、黒い煙と油に塗れた蛍光町と廃工場の秘密基地“光クラブ”。14歳を目前に大人のいない世界をつくろうとした9人の美しい少年たちによる裏切りと愛憎の物語と、彼らが作り上げた思考する能力を持つ機械(ロボット)“ライチ”と、少女・カノンの恋を、圧倒的に美しくダークな世界観で描く。大人になる前の脆く、残酷で多感な少年の思春期を描き、その独創的な世界観と圧倒的なカリスマ性で支持される鬼才漫画家・古屋氏のロングセラーコミックを映画化した本作。出演者には、光クラブの創設者でありリーダーのタミヤ役の野村さんをはじめ、ゼラ役の古川さん、ジャイボ役の間宮さん、ニコ役の池田純矢、雷蔵役の松田凌、デンタク役の戸塚純貴、そしてヒロイン、カノン役に中条さんが好演している。そのほか、柾木玲弥、藤原季節、岡山天音ら、いま旬の若手俳優が集結している。撮影が行われたのは2014年11~12月。初主演に抜擢された『劇場版 零~ゼロ~』に続き2作目となる映画出演の中条さんは、極寒の中、連日の廃工場での撮影が行われ、クライマックスに差し掛かる「薔薇の処刑」の撮影に挑んでいた。「薔薇の処刑」とは、薔薇を浮かべた水の中にカノンが沈められるシーンのこと。撮影現場である富士市の最低気温は氷点下1度。鉄とコンクリートに囲まれた工場内の体感気温はさらに低く感じられたという。外気温があまりにも低く、処刑台となる棺桶に張られた水温を少しでも温めると水面から湯気が上がってしまうため、極めて真水に近い水温で撮影を敢行することを余儀なくされた本シーン。すでに連日撮影が10日間を過ぎ、体力的にもかなり疲労している状況の中、中条さんは、長時間息継ぎなしで、水中での演技をワンテイクでやってのけたという。中条さんが見せつけたその女優魂が垣間見えるシーンや、野村さんら次世代を担う若手俳優たちが現場でしのぎを削り合った演技合戦をぜひ劇場で目撃してみて。『ライチ☆光クラブ』は2月13日(土)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年02月10日俳優の古川雄輝らが1日、映画『ライチ☆光クラブ』(2月13日公開)のプレミア上映イベントに出席し、"廃墟の帝王"こと光クラブのカリスマ的存在・ゼラを演じた古川が存在感を示した。本作は、廃工場の秘密基地「光クラブ」を舞台に、9人の少年たちによる裏切りと愛憎の物語。大人になる前のもろく、残酷で多感な思春期が描かれる。この日は主要キャストが一堂に会し、古川をはじめ、野村周平、中条あやみ、間宮祥太朗、池田純矢、松田凌、戸塚純貴、柾木玲弥、藤原季節、岡山天音、内藤瑛亮監督が集結した。中でも最も黄色い歓声を浴びたのが、ゼラ役の古川。役になりきり、低めのトーンで「おはよう……」とあいさつすると、客席からは一斉に「キャー!」と声が上がり、「廃虚の恋人たち……」と続けてファンはメロメロ。一転して爽やかなトーンで、「みたいな感じでゼラ役を演じています!」と切り替え、その場を器用に温めた。イベントでは司会者の質問に「◯」「×」札で回答するコーナーが設けられた。撮影は廃校を使って主に深夜帯に行われたことから、"こんな撮影は二度としたくない!"のお題が出されたが、古川は迷わず「×」を選択。古川にとってのゼラは、「僕が今までで本当に演じたいと思っていた役の1つ」。過酷な撮影だったことは認めながらも、「きつかったんですけど、撮影自体は非常に楽しくやらせていただきました」と充実感をうかがわせた。役柄としっかり向き合っていた様子の古川。"自分が演じたキャラクターと友達になれそう?"の質問には「◯」。ファンにとっては「えー!?」と意外な答えだったようだが、「丸ですね。個人的に一対一でしっかり話せばいいやつなんじゃないかな」と一番の理解者であることをアピール。会場が笑いで包まれる中、「仲良くなれます。一緒にチェスとかしてみたい」と真面目に締めて、今度は観客を納得させる。間宮演じるジャイボとゼラの妖艶なシーンも話題の本作。"いい意味でヤバイ?"という不可解な質問に、古川は「×」の札を掲げ、「やってる本人としてはそんなにヤバくないというか。シーン的にはほかのシーンと変わらない感覚」と俳優然とした感想を語った。コメントに物足りなさを感じたファンからの「えー!?」に後押しされるように、野村が「あんなことやこんなことしてたのに!? いろんなところ、舐めたりしてたのに!?」と追及。それでも古川は「まぁ、あの……撮影ですから」「ラブシーンいろいろやってきたので、ただそれが男性になったという(だけ)」と乱されることはなかったが、"初体験"だったと嘆く間宮には「申し訳ない」と笑いながら謝っていた。(C)2016「ライチ☆光クラブ」製作委員会
2016年02月01日内藤瑛亮監督がメガホンを取る、漫画家・古屋兎丸氏原作の映画『ライチ☆光クラブ』(2月13日公開)の予告映像が15日、公開された。原作は、少年たちの思春期における自我の芽生えをテーマに漫画誌『マンガ・エロティクス・エフ』(太田出版)で連載された同名漫画、およびその前日譚となる『ぼくらの☆ひかりクラブ』。物語の舞台は、煙と油にまみれた蛍光町の廃工場を改造した秘密基地"光クラブ"。大人のいない世界を理想とするカリスマ・ゼラ(古川雄輝)や謎めいた美少年のジャイボ(間宮祥太朗)、ゼラの思想に反発を覚えるタミヤ(野村周平)など、14歳を前にした少年たちの裏切りと愛憎劇が展開される。その一方で、美少女"カノン"(中条あやみ)と思考能力を持つロボット・ライチの淡い関係を並行して描く。予告映像でのナレーションは、アニメ『涼宮ハルヒ』シリーズのキョン役や『銀魂』シリーズの坂田銀時役などで知られる人気声優・杉田智和が担当。本作劇中でも、ライチの声を演じている。そのナレーションに沿って、映像は冒頭から、銃口を突き付けられるダフ(柾木玲弥)やジャイボの目に果実を当てるゼラなど、"光クラブ"という少年たちだけの閉鎖社会での歪んだ人間関係を見せつける。光クラブの在り方やカノンとライチの処遇を巡ってメンバーたちは、それぞれ疑心暗鬼に。その後も、おのおのの思いが交錯し、「その娘に触れるじゃねえよ!」と激高しながらゼラに反発するタミヤの姿や血まみれの手で恍惚(こうこつ)の表情を浮かべるジャイボなど、意味深な描写が続く。終盤で、「永遠に少年のまま、永遠に美しいまま、僕らの世界が終わる」との言葉が躍ると、大人になることを拒否した少年たちだけの耽美(たんび)的ながらも残酷な世界が、はかなく破滅へと向かう様がうかがえる。(C)2016『ライチ☆光クラブ』製作委員会
2016年01月15日野村周平、古川雄輝、間宮祥太朗、中条あやみら最旬の若手俳優たちが華麗に変身し、独創的で耽美的な人気コミックを映画化する『ライチ☆光クラブ』。この度、それぞれがキャラクターに扮し熱演する姿が満載の本作予告編が遂に解禁!ナレーションを、ライチ役を務める人気声優・杉田智和が担当していることが分かった。原作は、古屋兎丸による熱狂的人気を誇るロングセラーコミック。物語の舞台となるのは、黒い煙と油に塗れた蛍光町と廃工場の秘密基地“光クラブ”。14歳を目前に大人のいない世界をつくろうとした9人の美しい少年たちの脆く、残酷で多感な思春期が描かれる。キャストには、「フラジャイル」出演中の野村さんや、『脳内ポイズンベリー』の古川さん、『高台家の人々』公開が控える間宮さん、雑誌「Seventeen」専属モデルでありつつ女優としても活躍する中条さん、ほか池田純矢、松田凌、戸塚純貴、柾木玲弥、藤原季節、岡山天音ら最旬俳優が集結。少年たちの裏切りと愛憎…そして彼らが作り上げた思考する能力を持つ機械(ロボット)“ライチ”と、少女カノンの恋を、圧倒的に美しくダークな世界観で実写化する。今回解禁された予告編では、個性的なキャラクタービジュアルを見事に再現したキャスト陣の熱演が初解禁!大人になることを受け入れはじめ、ゼラに反発するタミヤ(野村さん)と醜い大人になることを完全否定するカリスマ・ゼラ(古川さん)の対立構造や、ゼラに偏執的な愛を注ぐジャイボ(間宮さん)の妖艶漂う姿、そしてカノン(中条さん)とライチ(杉田さん)の関係性やキャラクターの個性が伝わるカットは必見だ。ナレーションを務めるのは、9人の少年が創り上げたロボット・ライチに命を吹き込んだ人気声優の杉田さん。「銀魂」坂田銀時役や「暗殺教室」烏間惟臣役など多数の人気キャラクターを演じ、『エベレスト 3D』ではサム・ワーシントンの吹き替えを務める実力派の杉田さんが、独特の世界観をナレーションで表現している。「永遠に少年のまま、永遠に美しいまま、僕らの世界が終わる」という言葉が示唆する通り、絶望の中で夢見た少年たちだけの理想の世界が破滅へと向かっていく様が伝わる映像に、本編への期待も高まる。『ライチ☆光クラブ』は2016年2月13日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年01月15日“禁断の少年世界”を描いた古屋兎丸の傑作コミックを野村周平、古川雄輝、間宮祥太朗らで実写化する『ライチ☆光クラブ』の予告編映像が公開になった。本映像では、劇中に登場するロボット“ライチ”の声を演じる杉田智和がナレーションを務め、穢れた大人のいない自分たちだけの世界で、最強のロボットと永遠の美を手に入れる夢を抱いた少年たちの物語が独特の世界観で表現されている。『ライチ☆光クラブ』予告編映像『ライチ☆光クラブ』は、劇団・東京グランギニョルの舞台『ライチ光クラブ』を原作にしたコミックで、2012年にはテレビアニメ化や舞台化もされてきた人気作品。物語は、黒い煙と油に塗れた蛍光町と廃工場の秘密基地“光クラブ”を舞台に、大人のいない美しい世界をつくろうとした9人の少年たちの、幼いが故の純粋で暴力的な欲望と狂気が描かれる。予告編映像には、光クラブの創設者でありリーダーのタミヤ役を演じる野村周平、光クラブを絶対的なカリスマ性で独裁的に支配するゼラ役の古川雄輝、残酷で狂気じみた行動をとる謎めいた美少年・ジャイボ役の間宮祥太朗らの姿と、少年たちが大人に抗うために作り上げた思考するロボット・ライチと、美しさの象徴として光クラブに囚われる少女カノン役の中条あやみも登場する。本作は『先生を流産させる会』『パズル』などを手がけた内藤瑛亮が監督を務め、『るろうに剣心』の美術を担当した橋本創や、衣装デザイン・キャラクターデザインを手がけた澤田石和寛、『寄生獣』『進撃の巨人』の百武朋がライチのキャラクターデザイン及び特殊メイクを手がけるなど豪華スタッフが参加している。『ライチ☆光クラブ』2月13日(土) 新宿バルト9ほか全国ロードショー
2016年01月15日今回のテーマは「暴力からの卒業」である。まるでヤンキーの更生話のようだが、「カレー沢暴力」を名乗ってすでに2カ月、そろそろ面白くもなんともなくなってきているから戻しては、という提案であろう。正直言って、全然卒業したくない。暴力に留年しまくりたいと思っている。○実は多い「二つ名」の作家たち「カレー沢暴力」、やはり惚れ惚れするほどカッコいいペンネームだ。さすが他人が考えたものをパクってきただけのことはある。「カレー沢」というペンネームの唯一の利点は、エゴサーチがしやすいというところだ。確かな情報筋によると、ペンネームにカレー沢という苗字を持つ作家は日本に私一人らしい。自分の名前に「カレー」を入れると言うセンスの奴が2人も3人もいたら、いよいよ日本終わった感が漂うので、ひとまず安堵である。下の名が「薫」でも「暴力」でも、カレー沢である以上、エゴサのしやすさは変わらない。ならばカッコいい方を選ぶのが道理と言える。しかし、前も言ったが、ただでさえ無きに等しい知名度を、「薫」と「暴力」で分散させてしまうリスクを考えると、今のうちに「薫」に戻した方が利口ではあるだろう。だが、ペンネームを複数もっている作家というのは、実はそんなに珍しくない。成年向けやボーイズラブ漫画を描く時は別名義にする、という作家も多くいるのだ。よって、私も上記のような仕事が来た際には「暴力」と名乗れば解決である。しかし、ここで新たな問題が浮上する、私に仕事をよこす成年向けやBL誌がこの世に存在しないのだ。仮にいたとしても、私に仕事をふってくるようなところであれば、すぐにこの世から消滅するであろう。どうやら出版社には、皆既月食の如く数年に1度、編集や編集長の判断力が最も鈍る瞬間があるらしく、そういう時に私にお呼びがかかるのだ。とはいえ、どれだけ編集部全体が集団インフルエンザ状態でも、絵の上手さが特に重視されるだろう成年向けやBL方面からのオファーが来るとは思えない。ハレーすい星ぐらいの周期でならそういう瞬間がやってくるかもしれないが、だとしたら次は2061年ということになり、当方約80歳である。多分寝たきりか恍惚の人状態だろうが、耳元で「カレー沢先生!リブレ出版から依頼です」とでかい声で言ってもらえれば、おもむろにパラマウントベッドから立ち上がり、虚空を見つめていた目に光が宿るであろうから、逆に今から2061年に依頼をしてくれる成年向け、BL出版社を募集したいと思う。○「左のワキ出身のワキ毛」の矜恃しかし、私はよく「私はオタクだがBL好きのいわゆる腐女子ではない」という主張をしている。これは例えるなら、ワキ毛が「私は左のワキ生まれのワキ毛で、断じて右のワキから生えたのではない」と言っているような至極どうでもいい内容だが、「腐女子ではない」と明言している以上、BLの仕事がくるはずないだろうと思われるかもしれない。だが、デビュー前から乙女ゲーの二次創作をし、これだけ乙女ゲーが好きだと言っていても、今まで乙女ゲームの仕事が来たことは1回もない。だったら逆に、思ってもみない依頼が舞い込んできても良いはずだ。それにオタク女界も、BLが好きな女と嫌いな女しかいないわけではない。BLは好きではないが嫌悪感もない者、嫌いじゃないが自分の好きなキャラのBLは受け付けない者など、端から見れば全部ワキ毛であるが、かなり細分化される。メタルやデスメタル、ゴシックメタルを「全部同じ鼻毛じゃないか」と言ったら怒り出す人がいるように、ワキ毛にはワキ毛なりの棲み分けがあるものなのだ。私などは積極的にBLを見ることはないが、何か落ち込むことがあった時などに「ここは一発エグイBLでも読んでみるっぺか!」と景気づけBLを飲る(やる)ワキ毛である。話を戻すと、作家がどれだけ「この雑誌でこういう漫画が描きたい」と思っていても、なかなか実現するものではない。それができるならとっくにジャンプで描いている。結局、需要がないから話が来ないだけなのであるが、これではいつまでたっても「カレー沢暴力」が正式に名乗れない。2061年には名乗れるとしても、すでに鬼籍に入っている恐れもある。暴力を名乗れずに死ぬなんて、地縛霊になること必至だ。そこで、別名義を名乗る定義を持って広くしようと思う。今までいろんな雑誌で漫画を描かせてもらったが、ほぼすべて青年誌だ。なので、もういっそのこと、青年誌以外の依頼があったら「暴力」でいくことにする。というわけで少女漫画誌からなどの依頼を待ちたいと思うが、前に「少女漫画誌で描きたい」とつぶやいた後に連絡をくれたのは漫画ゴラクだったので、はっきり言って望み薄である。それに、よく考えてみたら、本名と違う名前を名乗れるのはペンネームやハンドルネームだけではない。例えば、大好きだと言い続けている乙女ゲーがまさにそれだ。灯台下暗しとはこのこと、青い鳥は割と近くにいたのである。よって、これから乙女ゲーをプレイする時は、ヒロインの名前を一律「カレー沢暴力」とする。2次元のイケメンに「好きだカレー沢…」「愛してる、暴力…」と囁かれながら、青年誌以外のオファーを待ちたいと思うので、何卒お願い申し上げる。―カレー沢暴力拝―<作者プロフィール>カレー沢薫漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。連載作品「やわらかい。課長起田総司」単行本は1~2巻まで発売中。10月15日にエッセイ「負ける技術」文庫版を発売した。「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」、次回は2016年1月5日(火)掲載予定です。
2015年12月29日野村周平や古川雄輝、間宮祥太朗ら“最旬男子”9人と中条あやみが、鬼才漫画家・古屋兎丸の同名ロングセラーコミックの満を持しての実写映画化に挑む『ライチ☆光クラブ』。このほど、彼らの愛憎の関係性が見え隠れする本作の場面写真が、一挙に解禁となった。物語の舞台は、黒い煙と油に塗れた蛍光町と廃工場の秘密基地“光クラブ”。14歳を目前に大人のいない世界をつくろうとした9人の少年たちと、彼らが作り上げた思考する能力を持つ機械(ロボット)“ライチ”と少女カノンの恋が、圧倒的な美しくダークな世界観で貫かれ描かれる本作。キャストには、野村さん、古川さん、中条さん、間宮さんほか、池田純矢、松田凌、戸塚純貴、柾木玲弥、藤原季節、岡山天音といった才能に満ちあふれた、まさにネクスト世代の俳優たちが名を連ね、個性的なキャラクターをリアルに体現し、華麗なる競演で魅せる。今回解禁となった場面カットは8点。“光クラブ”を絶対的なカリスマ性で独裁的に支配する「帝王」ゼラ(古川雄輝)に何か言葉を浴びせられ、伏し目がちに怯えるようなタミヤ(野村周平)の姿が!また、玉座に座るカノン(中条あやみ)の前にひざまずくゼラ。タミヤ、ダフ(柾木玲弥)、カネダ(藤原季節)の“光クラブ”創設メンバーの初々しさが残るスリーショットもある。さらに、ライチを手にしたゼラとジャイボ(間宮祥太朗)の意味深ななまめかしい姿は、間宮さんの長いまつげが印象的。雷蔵(松田凌)、デンタク(戸塚純貴)、ヤコブ(岡山天音)とライチ、ライチにすがるようにしがみつくカノンの姿、そして、タミヤが幼なじみのダフとただならぬ様子で対峙する姿など、原作の独創的で圧倒的な“光クラブ”を創り上げていることが見受けられるカットばかり。彼らの美しき狂気と刺激にあふれたその世界を、こちらから確かめてみて。『ライチ☆光クラブ』は2016年2月13日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年12月28日漫画家・古屋兎丸氏原作の映画『ライチ☆光クラブ』(2016年2月13日公開)のポスタービジュアルが17日、公開された。原作は、少年たちの思春期における自我の芽生えをテーマに漫画誌『マンガ・エロティクス・エフ』(太田出版)で連載された同名漫画、およびその前日譚となる『ぼくらの☆ひかりクラブ』。物語の舞台は、煙と油にまみれた蛍光町の廃工場を改造した秘密基地"光クラブ"。大人のいない世界を理想とするカリスマ・ゼラ(古川雄輝)や謎めいた美少年のジャイボ(間宮祥太朗)、ゼラの思想に反発を覚えるタミヤ(野村周平)など、14歳を前にした少年たちの裏切りと愛憎劇が展開される。その一方で、美少女"カノン"(中条あやみ)と思考能力を持つロボット・ライチの淡い関係を並行して描く。ポスタービジュアルの背景は、成長を否定した少年たちの無垢(むく)な危うさを表現したという白と、物語を象徴するアイテムの1つ・チェス盤を思わせる格子調の模様。中央には、とらわれの身となったカノンが配置され、それを光クラブのメンバー9人が取り囲む。中でも、光クラブ創設者でリーダーのタミヤとゼラはお互いに背中合わせになっていることから、対立関係を思わせる。理想の世界を夢見る脆(もろ)い美少年9人の行く末を案じさせるデザインに仕上がっている。さらに主題歌を、3人組ハードロックバンド・PENICILLINのボーカル担当のHAKUEIが主催する音楽ユニット・ライチ☆光クラブが担当することも決定。2011年に結成され、繊細でいて残酷な原作漫画の世界観を音楽に昇華させてきた。HAKUEIは古屋氏と旧知の間柄で、本作のアソシエイトプロデューサーと平沼紀久氏と3人で漫画兄弟というユニットで活動もしている。本作では、新曲「メルヘン☆ジャック」を書き下ろし、ハードな曲調で映画の世界を盛り上げる。19日より、前売り券の発売もスタート。特典として、秘密基地の玉座前に集う光クラブのメンバー9人に加え、カノンとライチの記念写真風の限定写真がセットになった「秘密基地のメモリアルフォトカード」が、購入者に先着で配布される。(C)2016『ライチ☆光クラブ』製作委員会
2015年12月17日野村周平や間宮祥太朗らが出演することで話題の、古屋兎丸による熱狂的ロングセラーコミックを映画化した『ライチ☆光クラブ』。「第20回釜山国際映画祭」でも上映された本作のポスタービジュアルが、このたび遂に完成。あわせて主題歌を「PENICILLIN」のHAKUEIが主催する音楽ユニット「ライチ☆光クラブ」が担当することが明らかとなった。原作は、独創的な世界観と圧倒的な画力で支持される鬼才漫画家・古屋兎丸の同名ロングセラーコミック。物語の舞台は、黒い煙と油に塗れた蛍光町と廃工場の秘密基地“光クラブ”。大人のいない世界をつくろうとした9人の少年たちによる裏切りと愛憎の物語と、彼らが作り上げた思考する能力を持つ機械(ロボット)“ライチ”と、少女カノンの恋が、圧倒的に美しくダークな世界観で描かれる。ドラマ「恋仲」で一躍注目を浴びた野村さんが光クラブの創設者であり、リーダーのタミヤを、『脳内ポイズンベリー』の古川雄輝が絶対的なカリスマ性で独裁的に支配し“帝王”を名乗るゼラ、『高台家の人々』の公開も控える間宮さんが原作コミックファンの一番人気キャラクター・ジャイボを演じる。またニコ役を池田純矢、雷蔵役を松田凌、デンタク役を戸塚純貴が好演。そのほか、柾木玲弥、藤原季節、岡山天音、中条あやみら、才能に満ち溢れる最旬の若手俳優らを迎え、個性的なキャラクターを心身ともにリアルに体現し、華麗なる競演を披露している。今回完成したポスターは「この醜い世界でぼくらは同じ夢をみた」というキャッチコピーと共に、物語の象徴的なアイテムのひとつであるチェス盤を想起させる格子調の模様、そして成長を否定した少年たちの無垢な危うさを表現する白を背景に、玉座に囚われの身となったカノン(中条さん)を取り巻き、9人の少年たちが配置されている。光クラブのタミヤとゼラが背中を合わせていることから、対立関係にあることが伺え、光のない絶望の中で、理想の世界を夢見る9人の美少年たちの行く末を案じさせるビジュアルに仕上がっている。そしてさらに今回決定した本作の主題歌は、「PENICILLIN」のボーカル・HAKUEIが主宰する音楽ユニット「ライチ☆光クラブ」の「メルヘン☆ジャック」。2011年に結成された「ライチ☆光クラブ」は、甘美で繊細、そして残酷な本作の世界を音楽に昇華させ、多種多様なアーティストと共にライフワークとしてコンスタントに展開。今回のために書き下ろされた主題歌は、一層映画の世界観を盛り上げてくれること間違いなしだ。また、本作の全国共通前売鑑賞券が12月19日(土)より発売開始。特典として、秘密基地の玉座前に集う光クラブのメンバー全員と、カノンとライチの記念写真風の限定写真がセットになった「秘密基地のメモリアルフォトカード」が、購入者に先着で配布される。『ライチ☆光クラブ』は2016年2月13日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2015年12月17日12月18日(金)に開幕する残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』。原作は、古屋兎丸の同名コミック。1985、86年に上演された東京グランギニョルの演劇『ライチ光クラブ』を、その約20年後の2006年に古屋が漫画化したものだ。2012年には、コミックを原作として江本純子の演出で舞台化。チケットは即日完売、追加公演、追々加公演まで行われ、翌2013年にも再演を果たすほどの熱狂を生んだ。そして今年、演出に河原雅彦、劇作・脚本に「劇団鹿殺し」の丸尾丸一郎、パフォーマンス演出には「東京ゲゲゲイ」の牧宗孝を迎え、再び『ライチ☆光クラブ』が誕生する。残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』チケット情報同作は、工場からの黒い煙に覆われた町、螢光町の廃墟に、学生服に身を包んだ少年たちが集う秘密基地「光クラブ」での出来事を描いた物語。彼らはある「崇高なる目的」のために“甘美なる機械(マシン)”である「ライチ」を創りあげる。醜い大人になることを拒み、永遠に美しくあることを選んだ少年たちの幼いが故の純粋で暴力的な欲望と狂気―。帝王として君臨するゼラと8人の少年たちによるグランギニョル=残酷劇を描く。稽古場を訪れたのは、開幕を11日後に控えた12月7日。まず聞こえてきたのは、ゼラを演じる中村倫也の歌声。劇中歌のレコーディングが行われていた。今作は“残酷歌劇”。前作とは異なり、歌やダンスが取り入れられた舞台だ。中村が歌う隣では、「光クラブ」のタミヤ役・玉置玲央が芝居の確認を重ねている。レコーディングが終わると、圧倒的なパフォーマンスが話題のダンスチーム「東京ゲゲゲイ」のメンバーが先導を切り、全員で洋楽にのせてストレッチを始めた。この濃厚なメンバーで作られる新たな『ライチ☆光クラブ』に期待が高まる。稽古が始まりいきなり圧倒されたのは、一幕の冒頭からみせられるダンス。ゼラへの服従を感じさせる光クラブの一糸乱れぬダンスだ。「東京ゲゲゲイ」のBOWが、女性ながらに「光クラブ」のデンタク役としてキャストを引っ張り、首や手の角度まで細かに調整していく。1回踊るごとに完成度がメキメキと上がっていく様子は見ていて気持ちがいいほどだが、最初はダンス経験があまりないキャストもいる中で9人の動きを合わせるだけでも大変だったという。パフォーマンス演出の牧は「(ダンス中の)ちょっとした表情がいい」と声をかけていた。ゼラを妄信し、彼らの正義を貫き踊る少年たちの表情は見どころだ。冒頭シーンの終わりに河原が「ここまでで(チケット代のうち)4千円分!」と言ってキャストを笑わせていた。現場からはそれを超える気合いが十分に感じられる。中村や玉置をはじめ、吉川純広や尾上寛之、池岡亮介ら注目の若手俳優が揃う本作。彼らの新たな一面が見られるはずだ。公演は12月18日(金)から27日(日)まで東京・AiiA 2.5 Theater Tokyoにて。取材・文::中川實穗
2015年12月16日今回読者から寄せられたテーマは、「なぜ女は金と時間をかけてまで美人になりたいのか…ブサイクはいやなのか… 哲学的な内容ですが、カレー沢先生に尋ねてみたいです」である。○美しくなりたい=男にモテたいではない深いテーマだ。私も今でこそ体全体で「諦め」という文字を表現してしまっているが、20代の頃は美しくなりたかった。今でも美しくなる努力はしたくないが、神に「美しくしてやろう」と言われれば「まあお前がそう言うなら」と甘んじて受け入れ、美しくなるつもりである。だが、美しくなりたい=男にモテたい、という結論は短絡的だ。男だって、ギターを始めた、などの行為を全部「女とやりたいからだろう」で片づけられたら、手にしたギターを弾くより先に、そいつをぶん殴ることに使うはずである。とはいえ、この手の決めつけには、女のほうがより激しく怒る傾向がある。もしダイエット をしている女に「モテようとして」などと言ったら、「このガール様が男にちやほやされるために痩せようとしていると思っているのかァーーーッ!!」と、ジョジョの岸部露伴並みにキレること請け合いである。そう、美しくなろうとするガール様の志は「男にモテたい」などという些末なものではなく、もっと高く広いものなのだ。つまり、「美しくなれば全部うまくいく」と思って美しくなろうとしているのである。当然、その中には「男にモテる」も含まれている。こう言うと、「美人だからと言って全てが上手くいくわけではない。むしろ美人ゆえの苦労もある」と言われるかもしれないが、こちとら美人になったことがないからわからないのである。石油王に「いや、石油があるのも大変だよ」と言われてもこちらは「石油がある苦労」というが全く想像できないのと同じだ。それに、努力し美を手に入れ、「美しくはなったけど、何も変わらなかった」とわかるならまだいいが、大体の女が途中で挫折し、「美しくなれさえすれば人生変わったのに」と一生言い続けながら死ななければいけないのである。しかし、当然ながらすべての女が美を求めているわけではない。シケモクのごとく燻っている現状を打破する神の一手として美を選んだにすぎず、キャリアアップのために勉強をはじめたり、インドに行ってみたり、とりあえずインテリアを北欧風にしてみたりと、方向性は様々だ。○「ありのまま」が引き寄せる不幸それでは一体何が欲しいのだと問われると、それは「自信」な気がする。もっと端的に言えば「自分を好きになりたい」のだと思う。一生自分として生きていかなければならないのに、自分が嫌いというのは不幸とも言える。とはいえ、超高校級のブスあるいはバカ、ブスバカ界ぶっちぎりのドラフト一位で、全監督が獲得のために生放送の中でも殴り合いを始めるような逸材としてこの世に生を受けたとしても、不幸になるとは限らない。毎朝鏡にうつった自分に「やあ、今日も神がかってブスだね…」と言い、呼吸を止めてうっとり3分ぐらい自分と見つめ合い、最後にキッスしてから出勤するというならブスでも人生明るいと思う。一方、美人でも自分の顔が嫌いで鏡もまともに見られないというなら不幸だろう。つまり、美しくなる=自分を好きになれる=自信がつく=人生が良くなる、という方程式から、女は美を求めるのではと推察される (先述の通り求めるものは必ずしも美ではなく、インド放浪やキャリアアップなどでもいい)。この反動がいわゆる「ありのままの自分を愛せ」という風潮につながるのだと思うが、「美人になれば幸せになれる」という考えが浅はかなら、「ブスでも馬鹿でも自分が自分を好きならオールオーケーハッピー」という考えも疑ってかかるべきだろう。「美人ゆえの不幸」が存在するというなら、「自分が好き故の不幸」もあるはずだ。まず、自分が好きな人間は他人が自分に寄せる好意も疑わないであろうから、だまされやすいとも言える、その点、自分に自信がない人間は慎重である。うまい話は全部罠だと思っているし、話しかけてくる男は全部、キャッチか宗教だと思っている。もしイケメンに名前を尋ねられることでもあれば、まず「私にお金はありません」と中学生英語の直訳みたいな返答をしてしまうのである。また、突発的な不幸に対し、常人なら「なぜ自分がこんな目に…」と自らの不運を嘆いてしまいがちだが、自己評価の低い人間だと「まあ俺ごときの人生!こういうことも起こりますわいな!」と、突然の不幸を「必然」として処理できてしまう。そういう人生が楽しいかと言われれば「否」かもしれないが、そう生きることが一番楽と感じる人間もいるのだ。「美人になって幸せになった」「インドに行って人生変わった」という人がいるのも確かだろうが、「すべてを諦めることにより、人生楽になりました」という人がいるのも事実であり「〇〇して人生良くなった」の〇〇は自分で見つけ出すしかないのである。しかしこの「完全に諦める」という行為こそが一番難しい。私も見た目的には完全に「終わっている人」だが、実はまだ人生逆転できる一打を求めており、今はどの壺を買うのがベストか、模索しているところである。<作者プロフィール>カレー沢暴力漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。連載作品「やわらかい。課長起田総司」単行本は1~2巻まで発売中。10月15日にエッセイ「負ける技術」文庫版を発売した。「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」、次回は12月15日(火)昼掲載予定です。
2015年12月08日漫画家・古屋兎丸氏原作の映画『ライチ☆光クラブ』(2016年2月13日公開)のキャラクタービジュアルが18日、発表された。本作は、少年たちの思春期における自我の芽生えをテーマとして漫画誌『マンガ・エロティクス・エフ』(太田出版)で連載されていた同名漫画、およびその前日譚となる『ぼくらの☆ひかりクラブ』が原作。物語の舞台は、煙と油にまみれた蛍光町と廃工場の秘密基地"光クラブ"。大人のいない世界を理想とするカリスマ・ゼラ(古川雄輝)や謎めいた美少年のジャイボ(間宮祥太朗)、ゼラの思想に反発を覚えるタミヤ(野村周平)など、14歳を前にした少年たちの裏切りと愛憎が展開される。その一方で、美少女"カノン"(中条あやみ)とライチの淡いラブストーリーを並行して描く。このたび公開されたキャラクタービジュアルの衣装およびキャラデザインを担当したのは、『るろうに剣心』シリーズや三池崇史監督作品などを手掛けてきた澤田石和寛氏。光クラブメンバーの個性を引き出すため、細部の異なる学生服と学帽を用意した。制服は、映像の暗さに埋もれてしまわないよう、こだわられた色彩に。ダフ(柾木玲弥)の眼帯はホワイトレザー用いたハンドメイドであるなど、各キャラクターを象徴する小道具まで徹底された。仕上がったビジュアルは中学生の心の闇を匂わせ、妄想的ながらも耽美的なダークファンタジーを彩る。劇中、元祖メンバーでリーダーのタミヤを演じる野村は、光クラブを支配するゼラに服従しながらも、集団心理から目覚めていくという葛藤を表現。正義感のあるキャラを熱演する。ゼラ役の古川は、好青年のイメージを封印。自身もやってみたかったという非道なキャラを演じる。このほか、カノン役の中条、ジャイボ役の間宮、ニコ役の池田純矢、雷蔵役の松田凌、デンタク役の戸塚純貴、カネダ役の藤原季節、ヤコブ役の岡山天音らは外見のみならず、おのおののキャラの内面まで体現する。(C)2016『ライチ☆光クラブ』製作委員会
2015年11月18日野村周平、古川雄輝、間宮祥太朗、さらに中条あやみら、いま最旬の若手俳優たちが華麗に変身し、独創的で耽美的な人気コミックを映画化する『ライチ☆光クラブ』。このほど、待望のキャラクター集合ビジュアルが解禁となった。鬼才漫画家・古屋兎丸のロングセラーコミックを映画化した本作。物語の舞台は、黒い煙と油に塗れた蛍光町と廃工場の秘密基地“光クラブ”。大人のいない世界をつくろうとした思春期の9人の美しい少年たちによる裏切りと愛憎の物語と、彼らが作り上げた思考する能力を持つロボット“ライチ”と、少女カノンの恋が、圧倒的に美しくダークな世界観で描かれる。元祖メンバーでリーダーであるタミヤを演じる野村さんは、実質的に光クラブを支配するゼラ(古川さん)に服従しながらも、集団心理から目を覚していくという心の葛藤を表現し、正義感溢れるキャラクターを熱演。その物語を牽引するゼラこと古川さんは、これまでの好青年イメージを封印し、自身も一度挑戦してみたかったという徹底した非道キャラを怪演する。さらに、ロボット・ライチとのビジュアルが解禁されているカノン役の中条さん、そして妖艶な美少年ジャイボ役の間宮さんが、圧倒的な美しさを放ち、華を添える。このほか、ニコ役の池田純矢、雷蔵役の松田凌、デンタク役の戸塚純貴、ダフ役の柾木玲弥、カネダ役の藤原季節、ヤコブ役の岡山天音と、個性にあふれたそれぞれ芸達者な若手俳優たちが、外見のみならず、キャラクターの内面までを体現する。本作で衣裳デザイン・キャラクターデザインを手掛けるのは、『るろうに剣心』シリーズや三池崇史監督作品などを手掛けてきた澤田石和寛。“光クラブ”メンバーのキャラクターの個性を引き出すため、9人それぞれディテールの異なる学生服と学帽を用意した。特に制服は、映像の「闇」に埋もれてしまわないように色彩にこだわり抜かれており、ゼラの星印のある白手袋や雷蔵(松田さん)の真っ赤なマニキュアはもちろん、ダフ(柾木さん)の眼帯はホワイトレザーでハンドメイドで仕上げられているなど、各キャラクターを象徴するビジュアルを小道具に至るまで徹底させている。中2病男子の妄想耽美系ダークファンタジーとして、リアルを超越した役どころに挑む若き実力派俳優たちの競演が、ますます楽しみになってきた。『ライチ☆光クラブ』は2016年2月13日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年11月18日