’22年4月に制度の一部が変わる年金。高齢化真っただ中での今回の“年金大改正”は、長生きを前提に、年金をできるだけたくさん増やせるようにするというもの。「人生100年時代を迎えて、夫の定年退職時が“人生の折返し地点”という人たちが多くなります。長い老後を安心して過ごすためにも、受け取れる年金収入がいくらなのかを、まずは『ねんきん定期便』で確認しましょう。長生きすることを想定して、年金をどれだけ増やすことができるのか。夫の定年前に把握することが大切です」そうアドバイスするのは、社会保険労務士でファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さん。今回の年金大改正の目玉は、年金を75歳まで繰り下げると84%も増やせる「年金の繰り下げ」。「外に出ていつまでも健康で過ごすためにも、65歳まで働くのは当たり前、70歳や75歳まで働くことも視野に入ってきます。70歳まで働いて年金を増やしたいという人もいれば、65歳で受け取りたいという人もいますので、職業や資産、健康状態によって、自分に合った受け取り方は異なります。今回の改正では、働き方や年金の受け取り方の選択肢の幅が広がるので、安心できる老後を過ごすための制度設計がしやすくなりました」(井戸さん・以下同)ほかにも、短時間勤務での厚生年金加入が可能になったり、働きながら年金をもらう場合に年金がカットされるボーダーラインが47万円にアップされるなど、大きな改正点は5つ。■パートでも“厚生年金に加入”できる勤め先を見つけようこれまで、「ちゃんと働いているのに国民年金にしか加入できないので、老後の不安が尽きない」という人は意外と多かった。しかし、今回の大改正で、厚生年金加入のハードルが下がり、老齢基礎年金(1階部分)にプラスして老齢厚生年金(2階部分)がもらえるようになる人がグンと増えるのだ。「女性のほうが男性よりも長生きする人が多いことがわかっています。会社員だった夫が亡くなった後、遺族厚生年金があるとはいえ、夫婦2人で生活していたときに比べて収入がガクンと減るので、『おひとりさま』生活を見据えた資金計画はしっかり立てておきましょう。パートやアルバイトで働く主婦の方は多いと思いますが、これまでは労働時間などの条件を満たしていないため社会保険に加入できず、老後に不安を抱えているケースをよく見かけました」具体的にいうと、’22年10月からは、短時間労働者が社会保険に加入できる要件のハードルが以下のように下がる。(1)1週間で20時間以上同じ会社で働いている、(2)月額賃金が8万8,000円以上、(3)2カ月以上雇用の見込みがある、(4)学生ではない、(5)勤め先にフルタイム従業員が常時101人以上いる、の条件を満たしていれば、社会保険に加入できるようになるのだ。これまでは「フルタイム従業員が501人以上」だったのが、今回の大改正で、101人以上とハードルが下がり、さらに’24年10月以降は、フルタイム従業員が常時51人以上に下がる。「将来的にはフルタイム従業員の人数にかかわらず、週20時間以上働いた人は社会保険に加入できる方向で議論は進められています。ここでいう社会保険は厚生年金と健康保険。アルバイトの募集で『社会保険完備』と書いてある場合は、この2つが加入の条件なのかよくチェックしましょう」主婦の場合は、結婚してから60歳までの間、厚生年金または共済年金に加入している夫(第2号被保険者)の扶養の範囲に入り、第3号被保険者に該当しているケースが多い。パートやアルバイトで働いていたとしても夫の扶養から外れないよう、いわゆる“130万円の壁=年収130万円未満”の範囲で働いている。そんな主婦が、扶養から外れて社会保険に加入すると、目先の手取りは減るけれども、将来年金として受け取れる額が増えるのは大きいという。「たとえば年収106万円で厚生年金に加入して10年働いたとすると、納める厚生年金保険料は月8,052円で、受け取る老齢厚生年金は65歳から年額5万7,900円×終身という計算になります。老後のことを考えれば、今回の改正を機に、厚生年金に加入できる仕事を探してみてはいかがでしょう」井戸さんによれば、仕事を探すのであれば地元がベストとのこと。フルタイムの従業員が501人以上の会社はそうそうないかもしれないが、101人以上の会社なら、身近にも意外とあるもの。ご近所ネットワークも活用して、求人票には載っていない“口コミ”の仕事も探してみよう。
2022年01月19日老後の暮らしを支えてくれるものといえば「年金」だが、その年金の仕組みが’22年春から大きく変わる。少しでも多くもらい、取りこぼしを極力なくすためにも、今からキッチリ予習しておこうーー!’22年4月に制度の一部が変わる年金。高齢化真っただ中での今回の“年金大改正”は、長生きを前提に、年金をできるだけたくさん増やせるようにするというもの。「人生100年時代を迎えて、夫の定年退職時が“人生の折返し地点”という人たちが多くなります。長い老後を安心して過ごすためにも、受け取れる年金収入がいくらなのかを、まずは『ねんきん定期便』で確認しましょう。長生きすることを想定して、年金をどれだけ増やすことができるのか。夫の定年前に把握することが大切です」そうアドバイスするのは、社会保険労務士でファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さん。今回の年金大改正の目玉は、年金を75歳まで繰り下げると84%も増やせる「年金の繰り下げ」。本来の受給開始時期である65歳よりも前に年金を受け取り始めることを「繰上げ受給」、65歳より後にもらい始めることを「繰下げ受給」という。繰上げ受給を選択すると、年金が1カ月あたり0.5%(’22年4月からは0.4%)減額され、繰下げ受給にすると、受け取る期間を1カ月延ばすたびに、月0.7%増えるという仕組みだ。「改正前は繰り下げられる上限が70歳で、仮に65歳から上限いっぱいまで繰り下げると、65歳で年間約78万円の年金を受け取れる人は、42%増になるという計算でしたが、今回の大改正では、上限がさらに5年間延びて、受給開始時期を75歳まで引き上げられるようになりました。たとえば、受給開始時期を10年間遅らせて75歳から受給すると、受給額は84%増の約143万円にもなります」(井戸さん・以下同)受け取る時期を遅らせるだけで年金額が月0.7%も増えるのは、なんともありがたいことだ。受け取れる年金の額が少ない人や、住宅ローン、教育ローンなどの支払いが長引き老後資金を貯められなかった人は、65歳以降も働くことを視野に、年金の繰り下げをぜひ活用しよう。■繰下げ受給にともなう落とし穴に要注意!ただし、夫と妻の年金をすべて繰り下げてしまうと、損をする場合もあるという。「『加給年金』を受け取っている人は注意が必要。加給年金というのは、夫の厚生年金の加入期間が20年以上ある人が対象で、大まかにいうと、夫が65歳に達した時点で、扶養する65歳未満の妻や18歳までの子どもがいる場合、夫の老齢厚生年金に加算される年金のことです。金額は妻の場合で年額39万500円。65歳になるまでの間、毎年支給されるものですが、夫の老齢厚生年金の受給時期を繰り下げてしまうと、この加給年金がもらえなくなってしまいます」たとえば、妻のほうが5歳年下という場合、夫が老齢厚生年金の受給を70歳まで繰り下げてしまうと、加給年金を受け取ることができなくなってしまう。さらに加給年金の受け取りが終わっても、妻が1966年4月1日以前に生まれている場合、65歳になって加給年金の受け取りが終わっても、一定の基準を満たせば妻の老齢基礎年金に上乗せされる「振替加算」も用意されている。この振替加算は老齢基礎年金と同時に受給開始となるので、妻の老齢基礎年金を繰り下げてしまうともらえなくなるので注意したい。「振替加算の金額は年齢によって違いますので、実際にいくらもらえるのか確認しましょう。年齢によっては1年間でもらえる振替加算の額が少なく、老齢基礎年金を繰り下げしたほうが総受給額が増えることもあります。ちょっと複雑になりますが、年金の受給を繰り下げるのと、加給年金や振替加算を継続してもらうのと、どちらがお得になるのかを見極めることが大切です」夫は老齢厚生年金を65歳から受け取り、老齢基礎年金を繰り下げる、妻は老齢厚生年金を繰り下げて、老齢基礎年金を65歳から受け取る、などお得なパターンをシミュレーションしてみよう。また、月400円の付加保険料を支払っている場合、老齢基礎年金に付加年金(200円×付加保険料納付月額)がつく。老齢基礎年金を繰り下げる場合は付加年金も一緒に計算されるので覚えておこう。ここまでは、「会社員の夫と専業主婦の妻」のケースを見てきたが、自営業の夫婦や共働きの会社員夫婦、あるいはフリーランスで独身の場合など、働き方によって繰り下げ受給の正解は変わってくる。【自営業夫婦の場合】自営業者は年収にかかわらず、年金は老齢基礎年金のみ。20歳から60歳まで、40年間(480月)保険料を納めて満額もらえたとしても、65歳から受け取れる年金は年額78万900円(月額6万5,000円)。未納の期間があるともっと少ない金額になってしまうので、保険料未加入期間を65歳まで「任意加入」して、できるだけ満額で受け取れるようにしておこう。「夫の老齢基礎年金を70歳まで繰り下げると、42%アップの年額約110万円になります。妻は長生きリスクに備えて、もう少し先の75歳まで繰り下げましょう。すると、84%アップの年額約143万円に年金は増え、夫婦合わせると約255万円にもなります。1カ月の年金収入は21万2,000円になるので、安心できるでしょう。ただし、夫が亡くなった後、子どもがいない妻がもらえる遺族年金はありませんので、夫の死後、生活できるように貯蓄をしておくことが大事です」【共働きの会社員夫婦の場合】共働き夫婦の年金は、夫の年収が平均500万円だとすると、65歳から受け取れる年額は約189万円(月額15万7,500円)。妻の平均年収が300万円だとすると、年額で約144万円(月額12万円)もらえる計算になる。夫婦合計で年額約333万円(月額27万7,500円)もあるが、安心していると落とし穴があるという。「共働きの世帯は収入が多い分、支出も多く、デパ地下のお総菜を買ったり外食したりと、食費が多すぎるご家庭をよく見かけます。定年後は年金の範囲内で支出が収まるのかチェックしましょう。夫婦ともに勤め先の会社で再雇用や再就職ができるのであれば、70歳まで働き、その期間年金を繰り下げると、収入はもっと増えます」夫婦ともに70歳まで年金を繰り下げたとしたら夫は年額約268万円、妻は年額約204万円にもなり、65歳で受け取る金額と比較して、約139万円も増やすことができる。長年勤めてきたので「休みたい」と思う人もいると思うので、体調をみながら検討してみよう。【フリーランスで独身の場合】フリーランスで独身の場合、国民年金の保険料を満額納めていただけでは、65歳から受け取る年金は年額約78万円しかない。「体力的にも無理のないパート労働を60歳から始めて10年間勤めただけでも、将来受け取れる年金額は大きく違ってきます。たとえば、年収200万円で厚生年金に10年加入したとすると、年額約11万円にもなります。老齢基礎年金と老齢厚生年金を70歳まで繰り下げますと、老齢基礎年金は約111万円、老齢厚生年金は約16万円にまで増えます。合わせて年額約127万円(月額10万5,000円)なので、生活費が不足する分は働いて補う、またはその分貯蓄するといった選択肢が見えてきます」そしてもうひとつ、しっかり考えたいのが「いつまで繰り下げるのか」。75歳まで待つよりも、実は70歳までの繰下げ受給を選択するほうがお得だという。「厚生労働省の試算によりますと、65歳を迎える年代の男性の4割、女性の7割近くが90歳まで生きると見込まれています。ですから、『90歳まで生きる』ということを前提に、ライフプランを立てる必要があるでしょう。70歳と75歳まで繰り下げた場合を比べてみると、1年に受け取る年金額は、当然75歳のほうが多くなります。ですが、91歳以上まで生きるとすると、70歳から42%増しでもらったほうが一生涯で受け取る年金が多くなるのです。年金受給の損益分岐点は、もらい始めから11年10カ月前後が目安です。しかし、年金は保険です。高齢になってから年金を多く受け取りたい、医療費や介護費に備えたい場合は、要介護認定者が増える年齢である75歳から受け取るのもいいでしょう」なお、繰下げ受給を希望する人は、66歳の誕生日を過ぎてから、希望の繰り下げ時期にするよう、年金事務所で手続きをする必要がある。不測の事態を避けるためにも、飛び込みではなく、きちんと予約をして手続きをしよう。
2022年01月19日老後の暮らしを支えてくれるものといえば「年金」だが、その年金の仕組みが’22年春から大きく変わる。少しでも多くもらい、取りこぼしを極力なくすためにも、今からキッチリ予習しておこうーー!’22年4月に制度の一部が変わる年金。高齢化真っただ中での今回の“年金大改正”は、長生きを前提に、年金をできるだけたくさん増やせるようにするというもの。「人生100年時代を迎えて、夫の定年退職時が“人生の折返し地点”という人たちが多くなります。長い老後を安心して過ごすためにも、受け取れる年金収入がいくらなのかを、まずは『ねんきん定期便』で確認しましょう。長生きすることを想定して、年金をどれだけ増やすことができるのか。夫の定年前に把握することが大切です」そうアドバイスするのは、社会保険労務士でファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さん。今回の年金大改正で得するための条件として、井戸さんが教えてくれたのが次の3つ。【1】受給開始年齢を遅らせる受給開始を遅らせると最大84%もお得。【2】なるべく長く働き続ける健康なうちはリタイアなんかしない!【3】できるだけ収入を増やす納付金額が増えれば受給額もアップ。「誰でもできるのは『年金の繰り下げ』ですが、その前に必ず、夫婦で年金収入がいくらになるのかを調べておきたいですね。『まだ先のことだからいいや』といって放置している人も多いようですが、遅くとも50代のうちに、年金収入だけで生活が成り立つのか、家計の見直しをしておきましょう。老後のお金がどれくらい足りなくなるのかがわかれば、いつまで働けばいいのか、いつまで年金受給を繰り下げればいいのか、といった方向性も見えてきます」(井戸さん・以下同)「ねんきん定期便」は毎年、誕生日の月に届くが、夫と妻それぞれに届くので夫婦合わせていくらもらえるのか計算しよう。また、その際に覚えておきたいのが、加入実績に応じた年間額(年額)から、社会保険料、所得税、住民税などを支払わなくてはならないということ。実際には1割ぐらい差し引いた金額が手取りの額になるという。そこから、生活費を差し引いてみると、年金の範囲内で生活が成り立つかどうか判断できる。退職金や貯蓄を取り崩す生活を続けると、あっという間に資金が底をつく恐れがあるので、介護や医療費など“もしもの時”にも備えておきたい。「たとえば、夫の退職金が少なかった、住宅ローンの支払いが退職間際までかかってしまった、などの理由により、老後の貯蓄ができなかったという話もよく聞きます。老後の終身の収入は公的年金だけで、それだけでは生活費が足りない場合は『元気なうちはなるべく外に出て働く』という選択が現実的。その間、年金を繰り下げて受給額を増やすこともできます」年金の繰り下げは、今回の大改正で受給開始年齢が70歳から75歳まで広がる。受給額は最大で84%アップし、たとえば65歳で年間約78万円もらえる人は、70歳まで繰り下げると約110万円に増やすことができる。さらに75歳まで繰り下げれば約143万円にも!ただし、むやみに繰り下げると、受給額が目減りするケースもあるので注意しよう。■厚生年金に加入し、長く働けばメリットは大短時間のパートやアルバイトでも、厚生年金加入のチャンスが生まれたのも特筆すべき点だという。社会保険の加入要件のハードルが下がり、週20時間、月8.8万円の収入の人でも加入対象になったのだ。また、65歳以降も厚生年金に加入して働くと、毎年年金額が増える仕組みなのでやりがいもアップ。「改正前は、65歳以上で老齢厚生年金をもらいながら働いていた人の年金受給額は、退職してからか、70歳を迎えるまでは再計算されませんでした。それが、毎年再計算されることになり、厚生年金の保険料を納めた分、すぐに翌年から受給額がアップしていきますので、働く意欲につながるでしょう」いずれにしても「働き続ける」ことが大切なのだ。さらに、個人が任意加入する私的年金を使って年金を増やす、という方法にも変化がある。個人型確定拠出年金のiDeCo(イデコ)は、これまで加入できる年齢が60歳未満だったのが、65歳未満に引き上げられるのだ。「老後資金が足りない」という人は、仕事を続けながら、厚生年金に加入して、かつiDeCoにも加入すれば、もらえる年金の倍増も夢ではない。
2022年01月19日「『貯蓄できないのは、収入が少ないからだ』という人がいますが、それはただの言い訳です。貯蓄をするのに、収入の多い、少ないは関係ありません」そう語るのはマネーコンサルタントの頼藤太希さん。人は時間やお金を、あればあるだけ使ってしまう−−これを「パーキンソンの法則」という。収入が多くてもあるだけ使ってしまえば貯蓄できないが、いっぽうで、収入が少なくてもうまくやりくりし、貯蓄を増やす人もいる。貯蓄とは、自分の収入を少し取り分けて、それを積み上げていくこと。そのための適切な方法をとれば、どんな額の収入の人でもお金を貯められるという。「貯蓄のために、まず大切なのは自分の収入に応じた予算決めです。たとえば遊興費。際限なく使っていたらお金は貯まりませんが、ゼロにするのは苦しいでしょう。だから、予算を決めるのです。予算とはその範囲内なら自由に使ってよいもの。ですから予算を守っていれば、買い物のたびに『買ってもいいのか』と悩んだり、買ってから『使いすぎてしまった』と後悔したりすることもありません。節約というプレッシャーからも解放されますよ」(頼藤さん・以下同)支出はともかく、貯蓄も予算化するのだろうか。「もちろんです。貯蓄は収入の2割を目標にしてください」貯蓄は世帯単位で考える家庭が多いが、妻自身の収入からも2割貯蓄を目指すとよいという。「たとえばおもな稼ぎ手が夫で、その収入に余裕があれば、妻の収入は全額貯蓄することもできるでしょう。いっぽう、妻の収入から食費や子どもの教育費など家計を補てんしている場合には、それはちょっと難しい。ですが、それでも貯蓄なんて無理だとあきらめるのではなく、できる範囲で貯蓄の予算を決めることが、お金を貯めるためのはじめの一歩なのです」■「節約」と「運用」で100万円の貯蓄を目指そう貯蓄のために節約は欠かせないが、お金を貯めるには、ほかにどんな手段があるのだろうか。「お金を貯めるというのは、言い換えれば、お金を増やすということ。その手段は、『節約する』『収入を増やす』『運用でお金に働いてもらう』の3つです。収入を増やすのは簡単ではないので、現実的には節約と運用でしょうか。ただ節約も運用も手あたり次第に取り組めばよいというものではなく、収入の多寡によって取り入れるべき“正解”があります。そのことを理解したうえで、まずは100万円を目標にお金を貯めていきましょう」収入によって1年で貯まる人もいれば5年がかりになる人もいるが、100万円というのはけっして手の届かない金額ではない。まずは貯蓄の目標として、100万円という明確な金額を設定し、予算決めをすることが、お金を貯めるためのモチベーションの維持にもつながるのだ。■無駄な出費を抑えるには“主婦の目線”が有効それではここから、お金を貯めるための“正解”を頼藤さんに細かく教えてもらおう。「まずは収入の多寡にかかわらず言えることですが、入ってきたお金を使い『残ったら貯蓄する』では、貯蓄は進みません。冒頭にあったパーキンソンの法則のとおり、人間というのは、お金があったらあっただけ使ってしまうもの。ですから、貯蓄は給料日の直後に別口座に移すなど『先取り貯蓄』が鉄則です。先取りした貯蓄は“なかったもの”として、貯蓄後に残ったお金が使える限度額。逆に言えば、この範囲なら使い切っても大丈夫です」先に貯蓄を済ませているから、もう残さなくてよい。そう考えると、意外と気楽かも。ただ、節約を心掛けているつもりでも、「いつの間にかお金が減っている」ということがある。「その原因は『ラテマネー』かもしれません。これは、カフェ代やコンビニコーヒーのような小さな支出のことで、積み重なると大きな出費になります。金額が小さいので意識から抜け落ちがちですが、使途不明金として家計を圧迫する原因になることも。こうした出費を抑えるのは、日ごろの買い物を担当していることが多い、女性の腕の見せどころかもしれません」また、スーパーなどでは10円、20円の価格差に敏感なのに、デパートや行楽地などでは金銭感覚が狂ってしまうことも。「デパートや旅先などでは、せっかく来たのだから、と余計な買い物をしがちです。いつもの家計とは別の財布から払う感覚になるのでしょうが、実際は同じ財布からの出費です。こうした『せっかく買い』をコントロールするにも、やはり日ごろの家計をあずかる主婦の目線が有効だと思います」年収1,000万円以上でも貯蓄ゼロの世帯が約10%あるという(’20年・金融広報中央委員会)。「貯蓄に収入は関係ない」。頼藤さんのこの言葉をもう一度心に刻み、来年こそ「100万円貯める」ための第一歩を踏み出そう!
2022年01月01日「国民の関心事である年金問題は、自民党総裁選で大きな争点になりましたが、岸田新政権が誕生しても年金不信は解消されません。『最低保障は税金でやる』と主張した河野太郎氏に真っ向から反対したものの、現行制度を見直すだけでは“年金受給額の目減り”を食い止めることはできないのです」こう警鐘を鳴らすのは、経済評論家の平野和之さんだ。将来の生活を支える年金制度への不安が叫ばれるようになって久しいが、岸田文雄首相が主張するのはパートや短時間労働者への厚生年金適用拡大だ。社労士、ファイナンシャル・プランナーであり、「All About」マネーガイドを務める拝野洋子さんが解説する。「第3号被保険者といわれる、会社員の夫を持つパート主婦は、これまで実質0円で基礎年金や健康保険に加入できていました。こうした不公平感をなくすため、また新たな年金の財源とするために、パート主婦が厚生年金に加入する要件が緩和される見込みです」現在は、パート勤務で〈1〉1週間の勤務時間が20時間以上、〈2〉月収8万8,000円(年収106万円)以上、〈3〉勤務先従業員数が501人以上、などが厚生年金に加入する要件だ。「来年の10月には〈3〉の勤務先従業員数が101人以上に、’24年には51人以上と段階的に適用範囲が広げられていきます」厚生年金に加入すれば将来受給する年金額は上積みされるが、現在の生活への影響が大きくなる。「概算ですが、新たに厚生年金に加入するとなると、年収106万円の場合、厚生年金が月に約8,000円、健保が月に約5,000円かかります。同じ手取り水準を維持するためには、年収126万円にまで引き上げる必要がある計算です。時給が1,000円なら、1カ月の労働時間を17時間ほど増やす必要があります」もう一点、具体的に見えてきている制度の変更点は、余力のある厚生年金の財源を、国民年金に振り分けたり、統合する策だ。前出の平野さんが続ける。「厚生年金は平成27年10月に公務員共済年金と統合されましたが、実質的には厚生年金が共済年金を救済する形での統合でした。そして今度は国民年金の救済にまわるということです」国民年金の納付率は7割ほど。財政状況が厳しいのは明白だ。「とはいえ国民年金の受給額を大幅に減らせば、自営業者は老後、生活することができません。国としては、『とれるところからとって維持する』しかないといったところで、抜本的な解決にはなっておらず、単なる問題の先送りです」後手後手の対応で、将来の年金は守られるのか。5年に1度、厚労省が公表する財政検証に基づき、平野さんは次のように指摘する。「’19年の財政検証では、厚生年金に40年間加入した、平均月収35万7,000円の会社員夫と専業主婦の世帯がモデル世帯となっています。将来、モデル世帯の夫婦が平均月収に対し、いくら年金を受給できるのか、その割合が『所得代替率』です」現在のところ、所得代替率は61.7%。つまり月収35万7,000円×61.7%で、夫婦の年金受給額は月額約22万円となっている。「しかし、その高水準を維持するのが難しいことは国も承知していて、現在目標としているのは所得代替率50%です」その場合、現在のモデル世帯で計算すると、年金受給額は月17万8,500円。現状よりも4万円以上低い。「それもあくまで目標数値にすぎません。財政検証では経済状況に合わせて6つのシナリオを想定していますが、最悪のシナリオ6では、’52年度に国民年金の積立が枯渇、財源は保険料と国庫負担のみとなり、所得代替率が36~38%に激減すると予想されています。現在のモデル世帯で計算すると、年金受給額が月12万8,000円ほど。この時点で9万円以上も年金受給額が下がる計算となるのです」今から30年後の予想だからと安心してはいけない。「コロナ禍の現在、コロナ関連の融資総額は60兆円ほどありますが、おそらく半分の30兆円は返済が厳しく、焦げ付くと考えられます。店をたたまざるをえない人も多い。飲食店などを経営する個人事業主にとって、毎月の国民年金保険料の負担は大きいでしょう」■年金から天引きされる介護保険料の値上げもそして企業の業績が下がれば、給与も下がり、納められる年金保険料も減少する。「財政検証はコロナ以前に作られた試算。コロナのような感染症災害、台風や大雨などの自然災害などが想定されていません。本来ならもっと最悪のシナリオ7、シナリオ8まで想定すべきでしょう。財政検証の予想よりも早く、国民年金の財源が枯渇する可能性は否定できない。現在40代、50代の人も無関係ではありません」さらに、65歳以上の多くの人が年金から天引きされる「介護保険料」に注目するのは、前出の拝野さんだ。「年収や住んでいる自治体によって異なりますが、介護保険料は平均すると月6,000~7,000円ほどです」団塊の世代が75歳以上を迎える「2025年問題」は、もう目前まで迫っている。「すでに介護費の総額は10兆円を超える規模。介護保険制度が開始されて約20年で、保険料は倍増していることから、今後も介護保険料の値上げは避けられません」これらの意見を総合すると、年金の手取り額は今より月額10万円下がってもけっしておかしくない。1年間に換算すると、じつに120万円減。追い打ちをかけるように、年金受給開始年齢の引き上げも現実味を増している。「諸外国では、受給開始年齢は67~69歳です。日本の企業も70歳まで雇用するよう努力義務を課していることから、受給開始年齢を現在の65歳から段階的に引き上げるでしょう」(平野さん)受給額の減少、そして受給開始年齢の引き上げなどを前に、われわれの老後生活をどのように守っていくのか。新政権には、その具体策をぜひ提示してほしいものだーー。
2021年10月27日「最低保障は税金でやる」9月18日、自民党総裁選の公開討論会でこう述べたのは河野太郎行政改革担当大臣(58)。総裁選に立候補する河野氏は、年金制度改革の必要性を訴え、消費税を財源とした最低保障年金制度の創設を唱える。これに対して、対立候補となる岸田文雄前政調会長(64)、高市早苗前総務相(60)、野田聖子幹事長代行(61)は否定的な考えを示す。制度の導入が消費税の増税につながるためだ。「もし河野さんが提唱する『最低保障年金』を導入するなら、消費税を現状より6%は上げる必要があります」こう話すのは“年金博士”として知られる社会保険労務士の北村庄吾さん。「現在の年金制度では、国民年金は保険料を払った期間に応じて受給額が決まります。20~60歳になるまでの40年間保険料を支払えば、満額の月6万5千75円を受け取れるのです」しかし、少子高齢化に突き進む日本で、年金の受給額は将来的に大きく減る見通しとなっている。また、低年金・無年金となる高齢者が増えることで、生活保護受給者の増加も懸念されている。「その対策として河野氏が提案するのが最低保障年金です。現行の制度と異なり、保険料を支払った期間にかかわらず全加入者が一定額を受給できるのが、最低保障年金の基本的な考え方。河野氏の場合はこの財源を税金で、と考えているため、保険料を納める必要はなくなります」しかし、その分を消費税で賄わなければならない。現在、国民年金の給付総額は約23兆円で、そのうち約半分が国民年金の保険料収入で賄われている。「消費税を上げると1%で2兆~2.5兆円の税収増となります。保険料収入の分を消費税で賄おうとすると、6%程度の消費税アップが必要です。最低保障年金の場合、現在無年金・低年金の人にも払うことになりますから、増税はそれ以上になる可能性もあります」現在の消費税は10%。そこから6%の増税となれば、消費税は“16%”となる。「当然、増税には大きな反発が起こるでしょう。しかも何十年と真面目に年金保険料を納付し続けている人にしてみれば『いままで積み立ててきた分はどうなるの?』という不満も出てきます」もとよりコロナ不況で国内経済は滞り、消費も鈍っている。「そのうえ増税となれば、さらに買い控えの傾向は進みます。コロナ後の経済回復など到底見込めなくなるでしょう」■ほか3人なら厚生年金も激減の可能性「岸田さんや高市さん、野田さんが総裁になっても、明るい未来は期待できません」そう指摘するのは、経済評論家の平野和之さん。「岸田さん、高市さんは厚生年金の加入者を増やすという案を示していますが、ほかに目新しいアイデアは見当たりません。この3者は現行の年金政策を粛々と継続する見込み。すると将来的に、われわれが受け取る年金額は月額“9万円以上”も下がる可能性があります」平野さんが注目するのが、厚生労働省が5年に1度公表している財政検証だ。この資料内では、現役世代の男子の平均手取り収入に対し、モデル世帯となる夫婦の年金受給額がどれくらいの割合になるのかを示す“所得代替率”の将来予想が行われている。「最新の’19年の財政検証では、夫が賞与を含んで月の平均収入42.8万円で40年間就業し、妻が専業主婦だった夫婦がモデル世帯となっています。’19年度の所得代替率は“61.7%”です。この時点における現役世代の男子の平均手取り収入は、月35.7万円なので、モデル世帯がひと月にもらえる年金額は“約22万円”となっています」厚労省は、経済成長の進み具合などによって、年金受給額の6つのシナリオを想定している。「経済成長が進まない最悪のシナリオでは、約30年後の’52年度に所得代替率は36~38%に激減すると予測しています。その場合、’19年のモデル世帯にあてはめると、ひと月あたりの年金受給額が“約12万8千円”に減ってしまうのです。現状から“9万円以上”の減額になります」しかも平野さんは「これが最悪のケースではない」と、さらに恐ろしい予測を立てる。「国のいう“最悪”の見立ては、コロナ禍より前に試算されたもの。いまのコロナ不況が追い打ちをかける可能性があるのです。実際に、外食、観光中小企業などは相当追い詰められています。年金保険料の未払いが増え、年金財政の悪化は加速するでしょう」さらに、平野さんは年金の財源の一部はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)によって資産運用されているが、リスクを計算していないため、不測の事態が起これば大幅に目減りする可能性もあると考える。「経済の低迷が続けば、最悪のシナリオを下方修正せざるをえません。所得代替率がさらに10%ほど下がっても不思議ではないんです」総裁決定後、新総理の選出は、10月4日に行われる。しかし、誰が総理になっても年金を待ち構える未来は地獄のようだ。
2021年09月28日「遺族年金は被保険者が亡くなったとき、残された家族に支給される公的年金です。国民年金や厚生年間に加入していても、本人が亡くなった時点での家族構成、年齢などによって受け取れるかどうか、また、年金額も変わってきますので、制度そのものがわかりにくいのです。そこにきて近年、家族の関係が複雑になったこともあり、トラブルにつながるケースもあります。もらい損ねることにならないためにも、しっかりと制度を理解しておくことが大切です」そうアドバイスするのはこれまで約3万人の年金相談を受けている社会保険労務士の笹沼和子さん。遺族年金には2つあり、自営業者やフリーランスが加入する国民年金から支給される遺族基礎年金と、会社員や公務員などが加入する厚生年金から支給される遺族厚生年金がある。遺族基礎年金を受け取れるのは、子どもがいる配偶者と子ども。ただし、受け取るには「子どもの年齢が18歳になった年度末(3月31日)、子どもが障害等級1、2級のときは20歳まで」といった要件がある。「亡くなった人が会社員や公務員で厚生年金に加入していた場合や、すでに老齢厚生年金を受け取っていた場合は、遺族厚生年金がもらえます。年金額は老齢厚生年金の4分の3。配偶者がいない場合は、ほかの家族が受け取る順位が決まっています」【遺族厚生年金が支給される順位と要件】〈1位〉配偶者・子配偶者:妻の場合、年齢は問われないが、夫の場合、55歳以上。(注)妻が夫の死亡当時30歳未満で、18歳未満の子がいない場合は、5年間の有期給付となる子:18歳に到達した年度の末日までの子(または障害等級1級、2級で20歳未満の子)で、婚姻していない子〈2位〉父母:55歳以上〈3位〉孫:要件は子と同じ〈4位〉祖父母:55歳以上※遺族厚生年金は遺族の中で最も順位の高い人にだけ支給される「トラブルが多いのは遺族厚生年金のほうで、事実婚や離婚した夫婦など、さまざまな家族の形があるので、『受け取れると思っていたのに受け取れなかった』『受け取れるとは知らなかった』といったトラブルに発展しやすいのです」そこで、笹沼さんに主な「注意すべきケース」を教えてもらった。トラブルを回避するためにもしっかりと備えておこう!【ケース1】“離婚した元夫”の遺族年金を受け取れることを知らなかったB子さん(40)は夫(享年45)と2年前に離婚した。原因は夫のモラハラ。中学生の娘(14)がいたので、大学を卒業するまで毎月、養育費を受け取ることになった。「ある日、養育費の振り込みが途絶えたので元夫に連絡をすると、元夫の父が電話に出て、元夫ががんで亡くなったことを聞かされたそうです。B子さんは『自分は元夫の遺族年金は一切もらえない』と思い込んでいましたが、18歳の年度末までのお子さんがいれば、お子さんのほうに遺族厚生年金を受け取る権利があります」(笹沼さん・以下同)年金制度では、両親の離婚後も親子関係はなくならないのだが、その際、ポイントとなるのは、「生計が同一」という記録があることだという。「『生計が同一』という関係を証明するために、生活費や養育費は銀行口座に振り込んでもらうと、通帳が記録となるので安心できます。『死後の手続き』をする元夫の両親とよく相談することをお勧めします」【ケース2】“事実婚の夫”の遺族年金を受け取れることを知らなかったC子さん(60)は長年一緒に住んでいた夫(享年65)が死んだとき、葬式で親戚から「遺族年金をもらえる権利がある」と言われた。「夫には別居中の妻(64)がいて、離婚の協議が一向に進まなかったのですが、ようやく離婚。すぐに入籍しないでそのままにしていたら、夫が急死してしまったのです。年金の夫婦関係は内縁関係でも認められます。ポイントとなるのは、住民票が一緒であること。C子さんの場合、住民票が一緒で、夫のお葬式の喪主も務めました。また、年賀状も連名で出していた、といったことから事実上夫婦と認められ、C子さんに遺族厚生年金が支給されました」妻との離婚が成立していなくても、戸籍上の配偶者に数十年も生活費を渡していないなど、「生計維持関係がない」と認められると、内縁関係の妻に遺族年金が支給されることがあるという。ケースバイケースなので「もらえない」とあきらめる前に専門家に相談してみよう。
2021年08月16日遺族年金は、夫が亡くなったときに妻と子どもが受け取ることができる年金。しかし、条件によっては支給されないこともあるため、遺族の間でトラブルを生むこともあるというーー。「遺族年金は被保険者が亡くなったとき、残された家族に支給される公的年金です。国民年金や厚生年間に加入していても、本人が亡くなった時点での家族構成、年齢などによって受け取れるかどうか、また、年金額も変わってきますので、制度そのものがわかりにくいのです。そこにきて近年、家族の関係が複雑になったこともあり、トラブルにつながるケースもあります。もらい損ねることにならないためにも、しっかりと制度を理解しておくことが大切です」そうアドバイスするのはこれまで約3万人の年金相談を受けている社会保険労務士の笹沼和子さん。遺族年金には2つあり、自営業者やフリーランスが加入する国民年金から支給される遺族基礎年金と、会社員や公務員などが加入する厚生年金から支給される遺族厚生年金がある。遺族基礎年金を受け取れるのは、子どもがいる配偶者と子ども。ただし、受け取るには「子どもの年齢が18歳になった年度末(3月31日)、子どもが障害等級1、2級のときは20歳まで」といった要件がある。「亡くなった人が会社員や公務員で厚生年金に加入していた場合や、すでに老齢厚生年金を受け取っていた場合は、遺族厚生年金がもらえます。年金額は老齢厚生年金の4分の3。配偶者がいない場合は、ほかの家族が受け取る順位が決まっています」【遺族厚生年金が支給される順位と要件】〈1位〉配偶者・子配偶者:妻の場合、年齢は問われないが、夫の場合、55歳以上。(注)妻が夫の死亡当時30歳未満で、18歳未満の子がいない場合は、5年間の有期給付となる子:18歳に到達した年度の末日までの子(または障害等級1級、2級で20歳未満の子)で、婚姻していない子〈2位〉父母:55歳以上〈3位〉孫:要件は子と同じ〈4位〉祖父母:55歳以上※遺族厚生年金は遺族の中で最も順位の高い人にだけ支給される「トラブルが多いのは遺族厚生年金のほうで、事実婚や離婚した夫婦など、さまざまな家族の形があるので、『受け取れると思っていたのに受け取れなかった』『受け取れるとは知らなかった』といったトラブルに発展しやすいのです」そこで、笹沼さんに主な「注意すべきケース」を教えてもらった。トラブルを回避するためにもしっかりと備えておこう!【ケース】“知らない間に父親が再婚”していて、後妻が遺族年金を受け取ったA男さん(45)は他界した父親(享年74)の遺族厚生年金のことで頭を抱えていた。「母は病死して父は長いこと一人暮らしのはずが、同居している女性がいたのです。身の回りの世話をしてくれる女友達だと思っていたのが、後妻だと知ったのは葬儀のとき。近くに住んでいても、行き来はしていなかったので気がつかなかったそうです」(笹沼さん、以下同)A男さんが父の「死後の手続き」を役所で行っていたら、本当に女性と入籍していた。「遺族厚生年金が支給される順位と要件」にもあるように、1位の配偶者が出てきたので親族中で大騒ぎになった。「A男さんは血相を変えて私のところに相談に来ましたが、入籍していた後妻さんには受け取る権利があります。その後、話し合いで後妻さんが遺族厚生年金を受け取る代わりに相続放棄をすることで決着がついたのですが、コミュニケーション不足が招いた結果です」一人で暮らす親のことを、もっと気にかけるようにしよう。
2021年08月16日彼といつかは結婚したいけど……収入面で不安がある。お付き合いしていくと見えてくるのが、「相手の収入問題」ではないでしょうか。ましてや彼の収入が自分より低いと分かれば、この先一緒にいられるかな……と不安にもなりますよね。彼のことは好きだけど……と悩む前に、うまく付き合っていく方法を考えてみませんか?そこで今回は、収入が少ない彼との将来を考えるために必要なことをご紹介します。■ 将来を具体的に考えるふたりの合計収入はいくらなのか。そんなお金に関する話をふたりでしたことはありますか?これから一緒に住もうと考えていたり、結婚に向けて考えていたりするなら、おたがいのお金について、しっかりと話し合っておきましょう。いつ結婚するのか、子どもを授かるのはこれぐらいのタイミングで……なんて先の未来を明確にしておけば、どれぐらいの蓄えが必要なのかが分かりやすいですよね。目標に向けてふたりの絆はさらに深まるはず!「どれぐらいお金がかかるのかを知っておくだけでも、結婚への意識が変わります。実際に式場見学に行けば、より現実味を感じられるのでオススメ!」(27歳女性/歯科衛生士)収入面で不安を感じるのなら、月にどれくらい貯蓄すればいいのかも、具体的に話し合っておきましょう。■ 彼を応援しつつ貯金する彼自身、いまの仕事を続けていたら結婚へのステップは遠のいてしまう……と気づいている場合、転職の意思が見えるようなら、おたがいの未来に向けて貯蓄をしておくといいかも。すぐに転職できるかどうかは、転職活動をはじめてみなければわかりません。そのためにも自分はもちろん、彼にもすこしずつ貯蓄をしてもらいましょう。ふたりでしっかりと蓄えておけば、引っ越しや転職の際の急な出費にも対応できます。またそこで重要なのが、あなたに対する思いやりがあるかどうか。「このままの状態でも、あなたが稼いでくれるからいいだろう」なんて甘えるような彼であれば、のちのち苦労することになるので、話し合いや別れを考えるほうがいいかも。「彼女と本気で結婚したいと考えているなら、自分の収入は気になるし、低ければ転職も考えます。できるだけ楽しく暮らしていきたいですからね。」(29歳男性/会社員)好きという気持ちだけでは、生活は成り立たないもの。これからどうしていくかを、ふたりでしっかり話し合っておきましょう。■ お金以外の魅力を見つめ直すここまで収入面について取り上げてきました。しかし結局のところ、収入で不安があるとしても、彼が自分にとって魅力的な人であれば、多少の困難も乗り越えていけるはず。たしかに、収入はすこしでも多い方がこれから先の人生、楽だと感じるでしょう。しかし、金銭面だけで別れてしまうのは、もったいないですよね。贅沢な暮らしを望まなければ、ふたりで協力していくらでも生活していくことは可能です。今一度、彼のどんなところが好きなのかを見直してみると、ふたりの未来も明るくなるのではないでしょうか?■ 結婚できる方法を二人で探して私より稼ぎが少ないから、結婚するのはむずかしい……。そうあきらめてしまうのではなく、彼の収入が上がるにはどうすればいいのか?と一緒に考えたり、自分にできることがないか探してみたりするのが、本当の愛なのかもしれません。彼を信頼できるか、尊敬できているか。そういった観点からも、ぜひふたりの関係を見直してみてくださいね。(コンテンツハートKIE/ライター)(愛カツ編集部)presented by愛カツ ()
2021年07月24日自分より収入が少ない男性と付き合うことも、少なくないかもしれません。そんなとき、お金周りのルールや彼氏への向き合い方は、どうすればいいのでしょうか。今回は実際に女性の方が収入が多いご夫婦から、話を聞いてきました。皆さん、一緒に見ていきましょう。■ プレゼントは些細なものを「我が家では、プレゼントで宝飾品は欲しがりません。ブランド品も欲しがらないですね。だって、高いお金のものを欲しがって、旦那にムリをされても困る!欲しいもので高額なものは、自分で買います。自分の好みで買いたいですしね。旦那はそんなお金ないはずなのに、結婚記念日には欠かさずケーキとお花を買ってきてくれたりします。些細な幸せが大切です」(32歳女性/金融関係)クリスマスや誕生日には、プレゼントを用意してあげたくなりますよね。しかし稼ぎによっては、購入できる品に差が出る場合もありそうです。それをマイナスとして捉えず、小さな喜びを積み上げること。それが夫婦円満の秘訣なのですね。■ お互いの収入はそのまま家計に入れる「主人が家賃と水道電気光熱費、通信費といった住まい関連のお金を負担。わたしは食費や家族の日用品、服といった消耗品を担当。自動車保険なんかの大きな額の出費は分担しています。余ったお金のなかから決まった額貯金していて、あとはお互いに自由に使えるように。お互いどのくらいの自由なお金があるかハッキリわかっていませんが、その方がお互いに息苦しくないのでいいですよ」(30歳女性/営業職)結婚したら、どんな家計管理をしたらいいのか……と悩む女性も多いことでしょう。夫の収入を全額家計に入れてもらい、そこからお小遣いとしていくらかを夫に渡している家庭は少なくないかも。そこでおすすめなのが「お互いに稼ぎを家計に入れる制」です。関与しない部分のお金を作ることによって、お互いにぎくしゃくしてしまうことを防げるんだとか。■ 2人とも同額を家計に貯金する「私は手取りで28万、旦那は20万。それぞれお互いに家計をまわすお金を負担し合っているので、手元に残る分のなかから2万円ずつは貯金にまわそうと約束しています。残ったお金で、自分の貯金として貯めていっています」(31歳女性/広報職)同棲を開始したり結婚後に家族のために貯金をしたりとなったら、どのくらいの額ずつ貯金ができるでしょうか。お互いの収入を共有して、同じ額だけ貯金ができるようにしたほうがいいという意見がこちら。夫婦で同じ額を貯金するほうが収入の大小の関係がなくなるので、男性のプライドを傷つけないという意見でした。■ 稼ぎに関係なく…どんなに頑張ったからといって、稼ぎが急によくなることはほとんどありません。稼ぎに関係なくお互いが尊重い合えるような、お金の運用の仕方を取り入れましょう!(コンテンツハートKIE/ライター)(愛カツ編集部)【男性の意見】男性は、自分の給料の低さを女性に分かってほしい……?presented by愛カツ ()
2021年06月29日「老後の生活不安を解消するためにも、実際に使えるお金である年金の手取り額を把握しておくことがとても重要です。ところが、自分が受け取るはずの手取り額を知っている人は思いのほか少ないのです」そう話すのは、社会保険労務士で年金制度に詳しい「年金博士」こと北村庄吾さんだ。50歳以上の人に届く「ねんきん定期便」の「見込み額」を見て、自分の年金額をわかったと思い込んでいる人は要注意だという。「60歳まで同額の保険料を払うことを前提にした『見込み額』は、給与明細でいうところの額面です。実際の手取り額は、そこから税金(所得税と住民税)と社会保険料(国民健康保険料と介護保険料)を引いた額になります」実は“額面”に対する手取り額の割合が、この22年間で大きく減っている。ファイナンシャル・プランナーの深田晶恵さんが語る。「年金300万円の額面のケースで、介護保険が導入される前の’99年と’21年を比較したところ、手取り額に37万円の差がありました。’00年から介護保険料がかかるようになり、さらにその後65歳以上の人や税金も増えたため、手取り額が目減りしてしまったのです」そんな社会保険料は、地域ごとに差がある。北村さんが解説する。「年金収入だけの生活に入ると、厚生年金保険料はかからず、国民健康保険料と介護保険料の2つが引かれます。これら社会保険料は、その地域の財政状況や高齢化率などによって大きく異なってきます。住んでいる場所によって年金の手取り額がかなり変わってくるのです」今年4月に介護保険料の新しい基準額が発表。全国平均は月6,000円を初めて超え、過去最高額を更新した。基準額が9,800円と日本一高かったのは東京都青ヶ島村。年金260万円の夫婦の手取り額を試算すると232万1,780円となる。対して、基準額が3,300円と全国でもっとも安い北海道音威子府村は248万6,840円。なんと1年間で16万5,060円の差だ。北村さんはこう解説する。「ますます高齢化が進むことで、今後も社会保険料は上がっていきます。財政状況がよい自治体と悪い自治体の差も広がるでしょう。実際の手取りを知ることで、年金の仕組みもわかれば、老後資金を守る大きな一歩になるはずです」おおよその手取り額を知るためには、年金の“額面”に0.9をかけるといい。だが、正確に知りたい人は、複雑な計算が必要となるが、自分で計算することもできるのだ。北村さんが代表を務めるブレイン社会保険労務士法人の山岡正和さんは次のように語る。「国民健康保険料と介護保険料の計算式や額は、自治体ごとに異なりますが、各自治体がホームページなどで公表していますし、役所の担当部署に問い合わせれば教えてくれます」年金のみで生活している65歳以上夫婦の場合、東京23区や横浜市、大阪市などの大都市圏であれば、妻を扶養している夫の年金が211万円を超えない限り、住民税がかからない。これは、自治体の規模などによって違い、大都市圏以外の県庁所在地などなら201万9,000円、それ以外の市町村なら192万8,000円が境界線となる。やはり税率も自治体によって違うので、正確な税額を知るためには、自分で確認するか、問い合わせる必要がある。同じく、ブレイン社会保険労務士法人の伊藤紀代美さんはこう話す。「本当の手取り額を知らず、ねんきん定期便の見込み額だけで人生設計をしていると、将来的に想定外の事態になってしまうことも。手取り額を知ることで、資産運用を検討したり、退職金の受け取り方を考慮したりするきっかけにもなるのです」いざ年金を受け取ったときに戸惑わないためにも,実際に使えるお金を知っておこう!
2021年06月24日「老後の生活不安を解消するためにも、実際に使えるお金である年金の手取り額を把握しておくことがとても重要です。ところが、自分が受け取るはずの手取り額を知っている人は思いのほか少ないのです」そう話すのは、社会保険労務士で年金制度に詳しい「年金博士」こと北村庄吾さんだ。50歳以上の人に届く「ねんきん定期便」の「見込み額」を見て、自分の年金額をわかったと思い込んでいる人は要注意だという。「60歳まで同額の保険料を払うことを前提にした『見込み額』は、給与明細でいうところの額面です。実際の手取り額は、そこから税金(所得税と住民税)と社会保険料(国民健康保険料と介護保険料)を引いた額になります」実は“額面”に対する手取り額の割合が、この22年間で大きく減っている。ファイナンシャル・プランナーの深田晶恵さんが語る。「年金300万円の額面のケースで、介護保険が導入される前の’99年と’21年を比較したところ、手取り額に37万円の差がありました。’00年から介護保険料がかかるようになり、さらにその後65歳以上の人や税金も増えたため、手取り額が目減りしてしまったのです」そんな社会保険料は、地域ごとに差がある。北村さんが解説する。「年金収入だけの生活に入ると、厚生年金保険料はかからず、国民健康保険料と介護保険料の2つが引かれます。これら社会保険料は、その地域の財政状況や高齢化率などによって大きく異なってきます。住んでいる場所によって年金の手取り額がかなり変わってくるのです」そこで北村さんが代表を務めるブレイン社会保険労務士法人の山岡正和さん、伊藤紀代美さんに、夫婦で“受給額(額面)”が160万円(夫・80万、妻・80万円)、260万円(夫・180万円、妻・80万円)、420万円(夫・260万円、妻・160万円)という3つのケースで、複数の自治体の年金の手取り額を試算してもらった。■都庁のある東京の中心・東京都新宿区夫婦の額面・〈年額:160万円〉手取り額(概算)・〈年額:145万7,600円〉夫婦の額面・〈月額・13万3,333円〉手取り額(概算):〈月額・12万1,467円〉【手取り率:91.1%】夫婦の額面・〈年額:260万円〉手取り額(概算)・〈年額:243万1,842円〉夫婦の額面・〈月額・21万6,667円〉手取り額(概算):〈月額・20万2,654円〉【手取り率:93.5%】夫婦の額面・〈年額:420万円〉手取り額(概算)・〈年額:376万2,244円〉夫婦の額面・〈月額・35万円〉手取り額(概算):〈月額・31万3,520円〉【手取り率:89.5%】■財政危機にある天下の台所・大阪府大阪市夫婦の額面・〈年額:160万円〉手取り額(概算)・〈年額:142万6,865円〉夫婦の額面・〈月額・13万3,333円〉手取り額(概算):〈月額・11万8,905円〉【手取り率:89.2%】夫婦の額面・〈年額:260万円〉手取り額(概算)・〈年額:239万6,841円〉夫婦の額面・〈月額・21万6,667円〉手取り額(概算):〈月額・19万9,737円〉【手取り率:92.2%】夫婦の額面・〈年額:420万円〉手取り額(概算)・〈年額:370万318円〉夫婦の額面・〈月額・35万円〉手取り額(概算):〈月額・30万8,835円〉【手取り率:88.1%】■人口が日本第1位の自治体・神奈川県横浜市夫婦の額面・〈年額:160万円〉手取り額(概算)・〈年額:147万1,280円〉夫婦の額面・〈月額・13万3,333円〉手取り額(概算):〈月額・12万2,607円〉【手取り率:92.0%】夫婦の額面・〈年額:260万円〉手取り額(概算)・〈年額:244万5,360円〉夫婦の額面・〈月額・21万6,667円〉手取り額(概算):〈月額・20万3,780円〉【手取り率:94.1%】夫婦の額面・〈年額:420万円〉手取り額(概算)・〈年額:376万2,840円〉夫婦の額面・〈月額・35万円〉手取り額(概算):〈月額・31万3,570円〉【手取り率:89.5%】■中部地方の中核都市・愛知県名古屋市夫婦の額面・〈年額:160万円〉手取り額(概算)・〈年額:145万5,752円〉夫婦の額面・〈月額・13万3,333円〉手取り額(概算):〈月額・12万1,313円〉【手取り率:91.0%】夫婦の額面・〈年額:260万円〉手取り額(概算)・〈年額:243万1,448円〉夫婦の額面・〈月額・21万6,667円〉手取り額(概算):〈月額・20万2,621円〉【手取り率:93.5%】夫婦の額面・〈年額:420万円〉手取り額(概算)・〈年額:374万9,590円〉夫婦の額面・〈月額・35万円〉手取り額(概算):〈月額・31万2,466円〉【手取り率:89.2%】「社会保険料の差が大きく反映されました。国民健康保険料と介護保険料の負担が大きい自治体では、特に手取り額が少なくなります。たとえば夫婦2人の年金受給額が260万円のケースでは、負担が多い大阪市と少ない横浜市では概算で4万8519円もの差が出ました」(山岡さん)夫婦そろって90歳を迎えた場合、25年で121万円もの差になる。今後も、自治体ごとの“格差”は広がっていきそうだ。
2021年06月24日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「データ安全保障」です。大事な国民の情報。外資の民間企業に預けて大丈夫?3月、LINEがシステム開発を中国の関連会社に委託しており、現地スタッフが個人情報にアクセスできる状態だったことが判明し、問題になりました。総務省内ではLINEの使用は禁止され、自治体や行政機関は一時サービスを停止する事態に陥りました。個人情報が漏洩したのではなく、スタッフがアクセス可能だったというだけで大騒ぎになったのは、相手が中国だったからです。自由と民主の価値観を共有できる、法のもとに平等な国ではないため、危機感を抱いたのです。しかし、私たちは普段、AmazonやGoogleにも個人情報を差し出しています。相手がアメリカならば安全と言い切れるのでしょうか?いま、公的機関が私たちのデータを、民間のデータセンターのサーバーに預けるということが加速しています。Amazonは公共部門のグローバル展開に力を入れており、日本政府は昨年、政府共通プラットフォームをAmazonのクラウド・コンピューターサービス「Amazon Web Service(AWS)」に移すことに決めました。Amazonの公共部門のパートナープログラムに参加している企業は2020年で前年比45%増。FBIもAWSで情報管理しているとAmazonは安全性をアピールしています。日本では、テレビ局もコスト削減のため、取材映像をGoogleのデータサーバーに保管しています。取材源の秘匿の問題がありますし、そもそも日本の放送資源を外資系企業のサーバーに預けてよいものか?データの安全保障に関して、日本はとても認識が甘いと言わざるを得ません。現在、日米関係は良好ですが、永続的なものとは限りません。有事にはデータが削除されたり、日本国内でアクセスできなくなる、あるいは政治交渉の切り札に使われる可能性もあります。EUはその点、強い危機意識を持っており、データをEU圏外に持ち出すことを法律で規制しています。便利で低コストで管理できることは大きな魅力ですが、国家100年を考えたとき、データ主権を持ち、データ安全保障を考えた上で、自分たちの情報は自国で守ることが必要なのではないかと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。新しい朝の報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~8:00)が放送中。※『anan』2021年5月19日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年05月15日「’22年の4月からは、年金の受給開始年齢が75歳まで繰り下げられるようになります」そう語るのはファイナンシャルプランナーの深田晶恵さん。公的年金の受給開始時期は、現在は65歳を起点に、60歳までの繰り上げと、70歳までの繰り下げができる。「年金繰り下げ受給の魅力はなんといっても年金が増えること。1カ月繰り下げるごとに年金額は0.7%ずつ増額されます。仮に65歳時点で年金を年間200万円もらえる人が70歳まで繰り下げると284万円、75歳まで繰り下げると368万円にまで増加するんです」ただし、繰り下げ受給によって所得が増えると、税金や保険料などもアップするため、年金の増額分に比べ手取りの増加はやや少なくなる。そもそも年金の受給開始時期は、夫と妻、厚生年金と基礎年金でそれぞれを別々に指定することができる。したがって、その時々の金銭や生活の状況によって一部だけを繰り下げることも可能だ。「けれど、実際に繰り下げているのは全受給者の1%程度。早く死ぬかもしれないから、繰り下げ受給をしても元が取れるかわからないと考えている人が多いのです」日本人女性の平均寿命は10年ごとに2歳ずつ延びて、現在87.45歳(’19年、厚生労働省)。仮に70歳まで繰り下げた場合に、受給期間が短くなることで減少する総受給額を、繰り下げによって増加した総受給額が上回るのは82歳前後といわれている。女性の場合、元を取れる確率は高そうだ。「女性は男性よりも長生きする一方で、厚生年金加入期間が短く年金額が少ない人も多いです。夫には定年後も働いてもらい、夫亡き後の生活に備え、自分の年金だけでも繰り下げるのが賢い選択。年金は、生きている限りもらい続けられますから、繰り下げ受給は長生きへの備えになるのです」繰り下げによる年金の増額は魅力的でも、老後資金を大きく取り崩してまで繰り下げるのでは本末転倒。2,000万円の貯蓄があっても、65歳以降、年300万円の支出があると70歳時の貯蓄額は500万円まで減ってしまう。大きな病気や災害など、不測の事態に備えるため、まとまった金額の老後資金は必要だと考えよう。とはいえ年金の繰り下げ受給によって年金額を増やせるのが最善。そのためには、働くことによって繰り下げ期間中の収入源を確保するのが一番。生活費のすべてを収入で賄えなくても、貯金に手を付ける金額を可能な限り減らしつつ、妻の年金だけでも繰り下げられると、老後の安心感が増す。「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載
2021年05月12日「’22年の4月からは、年金の受給開始年齢が75歳まで繰り下げられるようになります」そう語るのはファイナンシャルプランナーの深田晶恵さん。公的年金の受給開始時期は、現在は65歳を起点に、60歳までの繰り上げと、70歳までの繰り下げができる。「年金繰り下げ受給の魅力はなんといっても年金が増えること。1カ月繰り下げるごとに年金額は0.7%ずつ増額されます。仮に65歳時点で年金を年間200万円もらえる人が70歳まで繰り下げると284万円、75歳まで繰り下げると368万円にまで増加するんです」ただし、繰り下げ受給によって所得が増えると、税金や保険料などもアップするため、年金の増額分に比べ手取りの増加はやや少なくなる。そもそも年金の受給開始時期は、夫と妻、厚生年金と基礎年金でそれぞれを別々に指定することができる。したがって、その時々の金銭や生活の状況によって一部だけを繰り下げることも可能だ。「けれど、実際に繰り下げているのは全受給者の1%程度。早く死ぬかもしれないから、繰り下げ受給をしても元が取れるかわからないと考えている人が多いのです」日本人女性の平均寿命は10年ごとに2歳ずつ延びて、現在87.45歳(’19年、厚生労働省)。仮に70歳まで繰り下げた場合に、受給期間が短くなることで減少する総受給額を、繰り下げによって増加した総受給額が上回るのは82歳前後といわれている。女性の場合、元を取れる確率は高そうだ。「女性は男性よりも長生きする一方で、厚生年金加入期間が短く年金額が少ない人も多いです。夫には定年後も働いてもらい、夫亡き後の生活に備え、自分の年金だけでも繰り下げるのが賢い選択。年金は、生きている限りもらい続けられますから、繰り下げ受給は長生きへの備えになるのです」サラリーマンの夫が年上の場合、注意してほしいのが加給年金の制度。家族手当のようなもので、夫が厚生年金に20年以上加入していて、妻が年下かつ厚生年金の加入期間が20年未満など一定の要件を満たせば、妻が65歳になるまで年約39万円がもらえる。妻が5歳年下なら39万円×5年分で約200万円に!しかし、加給年金は夫が厚生年金を受給していないともらえない。その場合、夫の厚生年金だけを65歳から受け取り、基礎年金は繰り下げるのがベスト。これなら繰り下げで多少なりとも年金を増やせるうえ、加給年金も受け取れるのだ。女性のほうが長生きする確率が高いことを考え、妻の年金はすべて繰り下げて長生き対策に。「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載
2021年05月12日「’22年の4月からは、年金の受給開始年齢が75歳まで繰り下げられるようになります」そう語るのはファイナンシャルプランナーの深田晶恵さん。公的年金の受給開始時期は、現在は65歳を起点に、60歳までの繰り上げと、70歳までの繰り下げができる。「年金繰り下げ受給の魅力はなんといっても年金が増えること。1カ月繰り下げるごとに年金額は0.7%ずつ増額されます。仮に65歳時点で年金を年間200万円もらえる人が70歳まで繰り下げると284万円、75歳まで繰り下げると368万円にまで増加するんです」ただし、繰り下げ受給によって所得が増えると、税金や保険料などもアップするため、年金の増額分に比べ手取りの増加はやや少なくなる。そもそも年金の受給開始時期は、夫と妻、厚生年金と基礎年金でそれぞれを別々に指定することができる。したがって、その時々の金銭や生活の状況によって一部だけを繰り下げることも可能だ。「けれど、実際に繰り下げているのは全受給者の1%程度。早く死ぬかもしれないから、繰り下げ受給をしても元が取れるかわからないと考えている人が多いのです」日本人女性の平均寿命は10年ごとに2歳ずつ延びて、現在87.45歳(’19年、厚生労働省)。仮に70歳まで繰り下げた場合に、受給期間が短くなることで減少する総受給額を、繰り下げによって増加した総受給額が上回るのは82歳前後といわれている。女性の場合、元を取れる確率は高そうだ。「女性は男性よりも長生きする一方で、厚生年金加入期間が短く年金額が少ない人も多いです。夫には定年後も働いてもらい、夫亡き後の生活に備え、自分の年金だけでも繰り下げるのが賢い選択。年金は、生きている限りもらい続けられますから、繰り下げ受給は長生きへの備えになるのです」「人生100年時代」の年金は、できるだけ長く働き受給開始を遅らせて、年金額を増やすのが賢明だ。特に、年金額の少なくなりやすい自営業者やフリーランスは、定年がないメリットを生かして可能な限り、労働収入で暮らしたい。満額の基礎年金は月額6.5万円、夫婦で13万円ほどだが、5年繰り下げして70歳から受給を開始すれば額面で月額約9.2万円(夫婦で約18.4万円)、10年繰り下げで月額約12万円(約24万円)に増加する。繰り下げによって受給期間は短くなるが、70歳で受給開始なら82歳、75歳で87歳より長生きすれば、65歳から受け取るよりも得になるといわれている。90歳まで生きる確率は女性で6割強あることも考慮しよう。「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載
2021年05月12日「’22年の4月からは、年金の受給開始年齢が75歳まで繰り下げられるようになります」そう語るのはファイナンシャルプランナーの深田晶恵さん。公的年金の受給開始時期は、現在は65歳を起点に、60歳までの繰り上げと、70歳までの繰り下げができる。「年金繰り下げ受給の魅力はなんといっても年金が増えること。1カ月繰り下げるごとに年金額は0.7%ずつ増額されます。仮に65歳時点で年金を年間200万円もらえる人が70歳まで繰り下げると284万円、75歳まで繰り下げると368万円にまで増加するんです」ただし、繰り下げ受給によって所得が増えると、税金や保険料などもアップするため、年金の増額分に比べ手取りの増加はやや少なくなる。そもそも年金の受給開始時期は、夫と妻、厚生年金と基礎年金でそれぞれを別々に指定することができる。したがって、その時々の金銭や生活の状況によって一部だけを繰り下げることも可能だ。「けれど、実際に繰り下げているのは全受給者の1%程度。早く死ぬかもしれないから、繰り下げ受給をしても元が取れるかわからないと考えている人が多いのです」日本人女性の平均寿命は10年ごとに2歳ずつ延びて、現在87.45歳(’19年、厚生労働省)。仮に70歳まで繰り下げた場合に、受給期間が短くなることで減少する総受給額を、繰り下げによって増加した総受給額が上回るのは82歳前後といわれている。女性の場合、元を取れる確率は高そうだ。「女性は男性よりも長生きする一方で、厚生年金加入期間が短く年金額が少ない人も多いです。夫には定年後も働いてもらい、夫亡き後の生活に備え、自分の年金だけでも繰り下げるのが賢い選択。年金は、生きている限りもらい続けられますから、繰り下げ受給は長生きへの備えになるのです」個人年金や企業年金などの収入があったり、貯蓄がかなりたくさんある場合など、貯蓄を大きく取り崩さずにいられるなら、繰り下げ受給を検討しよう。貯蓄の取り崩しはできるだけ避け、最低でも70歳時点で1,000万円は確保しておきたい。また、もし個人年金などの収入はあるがまとまった貯蓄がない、という場合は「一括受給」の選択肢も。65歳で受け取らなかった年金は「繰り下げ年数に応じて増えた金額で今後受給する」か「65歳からその年齢までにもらうはずだった年金を一括で受給する」かを選ぶことができる。65歳時点の年金額が200万円の場合、70歳で5年分を一括受給すると増額はないが1,000万円がもらえる。「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載
2021年05月12日老後生活の頼みの綱である年金の繰り下げ受給。しかし、なかには繰り下げが向いていない人も……。自分にぴったりの受給の仕方を診断しようーー!「’22年の4月からは、年金の受給開始年齢が75歳まで繰り下げられるようになります」そう語るのはファイナンシャルプランナーの深田晶恵さん。公的年金の受給開始時期は、現在は65歳を起点に、60歳までの繰り上げと、70歳までの繰り下げができる。「年金繰り下げ受給の魅力はなんといっても年金が増えること。1カ月繰り下げるごとに年金額は0.7%ずつ増額されます。仮に65歳時点で年金を年間200万円もらえる人が70歳まで繰り下げると284万円、75歳まで繰り下げると368万円にまで増加するんです」ただし、繰り下げ受給によって所得が増えると、税金や保険料などもアップするため、年金の増額分に比べ手取りの増加はやや少なくなる。そもそも年金の受給開始時期は、夫と妻、厚生年金と基礎年金でそれぞれを別々に指定することができる。したがって、その時々の金銭や生活の状況によって一部だけを繰り下げることも可能だ。「けれど、実際に繰り下げているのは全受給者の1%程度。早く死ぬかもしれないから、繰り下げ受給をしても元が取れるかわからないと考えている人が多いのです」日本人女性の平均寿命は10年ごとに2歳ずつ延びて、現在87.45歳(’19年、厚生労働省)。仮に70歳まで繰り下げた場合に、受給期間が短くなることで減少する総受給額を、繰り下げによって増加した総受給額が上回るのは82歳前後といわれている。女性の場合、元を取れる確率は高そうだ。「女性は男性よりも長生きする一方で、厚生年金加入期間が短く年金額が少ない人も多いです。夫には定年後も働いてもらい、夫亡き後の生活に備え、自分の年金だけでも繰り下げるのが賢い選択。年金は、生きている限りもらい続けられますから、繰り下げ受給は長生きへの備えになるのです」しかし、繰り下げ受給の仕方によっては損をしたり、老後資金の安定性を損なう場合もあるという。■年金繰り下げ診断〈夫は自営業〉→YES→【タイプA】〈夫は自営業〉→NO→〈65歳以降も働く〉→NO→〈個人・企業年金などで貯金を大きく崩さずに暮らせる〉→YES→〈夫は年上〉→NO→【タイプB】〈夫は自営業〉→NO→〈65歳以降も働く〉→NO→〈個人・企業年金などで貯金を大きく崩さずに暮らせる〉→YES→〈夫は年上〉→YES→【タイプC】〈夫は自営業〉→NO→〈65歳以降も働く〉→YES→〈夫は年上〉→NO→〈65歳以降も収入のみで生活が成り立つ〉→NO→【タイプD】〈夫は自営業〉→NO→〈65歳以降も働く〉→YES→〈夫は年上〉→NO→〈65歳以降も収入のみで生活が成り立つ〉→YES→【タイプA】〈夫は自営業〉→NO→〈65歳以降も働く〉→YES→〈夫は年上〉→YES→【タイプC】〈夫は自営業〉→NO→〈65歳以降も働く〉→NO→〈個人・企業年金などで貯金を大きく崩さずに暮らせる〉→NO →【タイプD】【タイプA】働くことで年金に手を付けない「長働きタイプ」夫:繰り下げ、妻:繰り下げ。できる限り働く&繰り下げで年金額アップ!【タイプB】老後収入に困らない「悠々自適タイプ」夫:繰り下げ、妻:繰り下げ。長生きリスクに備えて繰り下げを!【タイプC】単純に繰り下げると損する「年下妻タイプ」夫:基礎年金だけ繰り下げ、妻:繰り下げ。夫の年金を部分繰り下げして加給年金をゲット!【タイプD】老後資金に不安のある「貯蓄守りタイプ」夫:65歳から受給、妻:65歳から受給。貯蓄に手を付ける前に受給開始を!【おひとりさまの場合】夫婦世帯よりも困窮しやすい、単身者の年金暮らし。おひとりさまは、少なくとも70歳まで働いて生活資金を確保しつつ、さらに繰り下げによって年金受給額も増加させるのがベストだ。「65歳以降は仕事をしないで、貯蓄を取り崩して生活するつもりという人は、繰り下げ受給には向いていない場合が多いです。たとえ2,000万円の老後資金を用意していても、65歳以降の年間支出が300万円だと、5年後の老後資金は500万円に。90歳まで生きるとして、老後20年を過ごすには心もとない金額ではないでしょうか。年金受給までの生活費を賄うために貯金を取り崩した結果、70歳の時点で貯蓄が1,000万円を下回るような場合には、繰り下げないほうが賢明だと考えます」また、夫婦の年齢差にも注意がいるという。「会社員の夫が年上の場合、夫は加給年金が受け取れます。しかし、夫が厚生年金を繰り下げて受給してしまうと、受け取れなくなってしまうのです。夫の基礎年金と妻の年金は繰り下げつつも、夫の厚生年金は65歳から受給するのがおすすめです」何歳まで繰り下げればいいのだろうか?「年金はもらいたくなったら、いつでも受給を開始できますから、まずは70歳を目標に繰り下げてみてはどうでしょうか」自分にぴったりの年金受給方法を見つけよう!「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載
2021年05月12日“安心を”買うための保険。でも、その保険料で困窮してしまったら意味がない。正しい保険の入り方を専門家に聞いたーー。「子どもが生まれたとき、万一に備えて保険金額2,000万円の『定期保険(死亡保険)』に加入しましたが、つい最近、子どもが独立し、学費の心配もなくなったので解約しました。保険はライフイベントごとに見直すべきものなのです」こう話すのは、1児の母で、保険に詳しいファイナンシャルプランナーの横川由理さん(59)。長生きリスクや収入減、がんや認知症になったら……あらゆる不安に備えようとして、保険に入りすぎている人が多いという。「保険には『入るべきタイミング』があり、家族構成やライフイベントで必要な保障は変化していく。適切なタイミングで保険に入り、時期がきたら保障内容を減額して保険料を下げたり、解約していく必要があります」保険を減らせば、保険料を貯蓄にまわすこともできる。そこで、横川さんに「入るべき保険と見直しタイミング」を教えてもらった。「本来、保険は貯蓄では対応できないリスクに備えるもの。その一つが、残される家族の生活費や教育費に備える『死亡保険』です。子どもが生まれたタイミングで、死亡時などに高額な一時金が出る『定期保険』と、給与のように毎月保険金が支払われる『収入保障保険』を組み合わせて加入するのがおすすめです」大学費用などの子どもの教育費には定期保険で備える。保険金は子ども1人だと2,000万円、2人目からは、プラス1,000万円が目安だ。収入保障保険の保険金は1カ月にかかる生活費と同じくらいが目安。専業主婦やパート勤務などの人で、夫の収入が家計のメインなら、夫の保険を手厚くしておきたい。気になるのが「医療保険」だが、「一定額以上の医療費が還付される高額療養費制度があるため、収入の3カ月程度の貯蓄があれば必ずしも入る必要はありません」と横川さん。それでも不安な人は「全国共済の入院保障型」がいいと話す。「月2,000円の掛け金で入院した場合は1日1万円の保障が受けられます(ケガは184日まで、病気は124日まで)。約3割の割戻金もあるので実際の保険料はもっと安い。65歳まで手厚い保障を得られます」会社員や公務員が病気やケガで働けなくなった場合、「傷病手当金」がもらえるが、フリーランスの人にはこのような制度はない。「そこで考えてほしいのが『就業不能保険』です。入院時だけではなく、がん治療による倦怠感で入院していないけど働けない場合などにも、医師の証明書があれば、保険金を受け取れる仕組み。私も加入しています」「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月14日メールやSNSの普及にともない、減少している手紙の利用頻度。手紙を出す際に必要な切手を見る機会も減っています。だからなのでしょうか…コンビニで切手と収入印紙を買ったところ、ツッコミどころ満載の袋に入れられてしまったという、お皿(@s0a4r1a9)さん。実際の写真とともにTwitetrに投稿したところ、「笑った」「ちょっと!」とさまざまなコメントが寄せられました。切手と収入印紙を入れる袋は、これじゃないコンビニで切手を買うと、ビニール製の半透明の袋に入れてもらえます。投稿者さんのレジ対応をしたコンビニの店員は、切手を取り扱う機会がそれまでなかったのかもしれません…。なぜなら、切手と収入印紙を入れた袋は「これじゃない!」とツッコミを禁じ得ないものだったのです。朝、切手と収入印紙が欲しくてコンビニ寄った。『袋に入れますか?』『お願いします。』これじゃない感満載。 pic.twitter.com/ugKFIHhjRU — お皿@ワンオペ薬剤師 (@s0a4r1a9) March 12, 2021 確かに、袋であることに変わりはありません。サイズもちょうどよく、入れ物としては支障ないでしょう。しかし、これは明らかにホットスナック用…!予想外の袋で出された投稿者さんは、マスクの下でニヤニヤしっぱなしだったといいます。【ネットの声】・そんなことって、ありますか!?笑いました。・笑いのセンス、さすがです。・こういうゆるい感じのコンビニ店員、好き。店員は、切手や収入印紙用の袋を切らしていたのでしょうか、それとも単純に知らなかっただけでしょうか。ホットスナック用の袋に切手と収入印紙を入れた理由は分かりませんが、わざわざシール部分をはがさなくても、切り取り線から開封できるあたりは便利…かもしれません![文・構成/grape編集部]
2021年03月16日「老後資金をどう作ろうか」とお悩みの人も多いだろう。会社員なら、公的年金と退職金が老後資金の中心になるだろう。そんな退職金は、会社を辞めるとドンと手に入る。人は大金を持つと、気が大きくなって使いたくなるものだが、定年後の人生はおおよそ30年。もらってすぐ派手に使うのはNGだ。「ムダ遣いしないように、小分けして支給して」と考え、年金型での受取りを選ぶ人もいるかもしれない。「退職金の受け取り方は、よく考えて!」と、税理士の板倉京さんは助言する。「退職金には『退職所得控除』という大きな非課税枠がありますから、これを最大限活用するのがお勧めです」退職所得控除は、勤続年数で決まる。勤続20年以下の方の退職所得控除は40万円×勤続年数。勤続20年超なら、40万円×20年+70万円×(勤続年数-20年)。「退職所得国所を最大限活用するなら、退職金は、年金型より一時金で受け取るほうがよいでしょう。そのほうがお得になる方が多いと思います」たとえば22歳で入社、38年勤めあげ、60歳で退職するAさんを例に考えよう。「Aさんは勤続38年ですから、退職所得控除として2,060万円もの非課税枠があります。これを活用するのです」非課税枠が2,060万円ということは、そもそも退職金が2,060万円以下なら、税金は不要だ。たとえ2,060万円を超えていても、退職金から非課税枠である2,060万円を差し引いた額の2分の1に税率をかけて納税額を算出するので、税額はかなり抑えられる。「逆に、年金型で受け取った場合は、退職所得控除は使えません。1年間の退職金の受取額と公的年金を合わせた額から『公的年金等控除』を差し引き、税額を計算することになります。公的年金等控除は、退職所得控除と比べると額が少なめなので、納税額が多くなってしまう傾向があるのです。さらに、年金型で受け取る退職金は、公的年金と合わせて『収入』とみなされ、この収入を元に、社会保険料が計算されます。退職金が上積みされている分、収入が増え、社会保険料も高くなりがち。さらに、収入が高いと、高齢の低所得世帯への優遇措置などを受けられないこともあります」会社に預けておくと、比較的高利回りで運用してくれるという好条件があっても、退職所得控除を最大限活用できる一時金で受け取ったほうが、メリットが大きいのだ。板倉さんは「知らないと大損する!定年前後のお金の正解――会社も役所も教えてくれない手取りを増やす45のコツ」(ダイヤモンド社刊)を上梓。お得ワザを知って、老後資金をがっちり貯めよう。
2020年12月24日2,000万円必要といわれる“老後のお金”問題を解決するために、資産の切り札である「持ち家」を活用する手段を紹介。“老後の理想の暮らし”を思い描きながら、持ち家の活用術について考えてみようーー。「年をとったら家をバリアフリーにリフォームしたい」「将来は高齢者住宅に住み替えたい」などと、セカンドライフの希望はたくさんあるが、ネックとなるのが“お金”。特にコロナ禍の今、収入が減少して老後の資金計画が狂ったという人も少なくない。「定年後、主な収入源は公的年金のみとなってしまいます。手元資金を使ってリフォームや建て替え、住み替えをするとその後の生活に支障をきたしてしまうことがあります。また、保有している資産は主にマイホームだけ、という人は意外と多く、“持ち家”を活用してセカンドライフの希望をかなえる『リバースモーゲージ』という方法に注目が集まっています」そう語るのは、ファイナンシャルプランナーの菱田雅生さん。「リバースモーゲージ」とは、高齢者向けの貸付制度のひとつで、所有する自宅などを担保に金融機関などから融資を受けて、亡くなったときにその自宅を売却して一括返済する仕組み。【リバースモーゲージのしくみ】(1)金融機関・社会福祉協議会などに、利用者が自宅を担保として提供(2)金融機関・社会福祉協議会などから、利用者に融資(3)死亡後、担保を売却などで返済【リバースモーゲージが向いている人】・自宅をリフォームしたいが、資金がたりない・持ち家はあっても年金が少ない・高齢者住宅に引っ越したいが、資金が不足している・子どもがいない。または、家を継ぐ子どもがない【リバースモーゲージのメリット】・住宅や土地を担保にして、借り入れができる(ただし、資金用途は金融機関によって限定されていることが多い)・毎月の支払いは利息のみ。借入人が亡くなったら売却する・自宅を子どもに残す必要がない人は相続税対策になる【リバースモーゲージのデメリット】・相続人の同意が必要・建物、土地の価値が下落すると、融資限度額を見直されることがある・変動金利なので金利上昇リスクがある・長生きすると融資がたりなくなることがある持ち家を活用した、セカンドライフの夢のかなえ方を菱田さんに教えてもらった。【ケース】年金しか主な収入がないA子さん夫妻(60代後半)都内に住むA子さん夫妻(60代後半)は、子どもたちが巣立った後、夫と将来について考えていた。「収入は年金しかなく、貯金は介護が必要になったときのためにとっておきたい。問題なのは家で、子どもは独立したので継ぐ人がいない、バリアフリーにして住み続けるか、高齢者住宅に移り住むのかまだ決めていませんが、いずれにしても先立つもの“お金”が足りないので、どうしたらいいのか悩んでいます」(A子さん)リバースモーゲージはメガバンクなどの金融機関や社会福祉協議会といった公的機関でも融資を行っている。「金融機関のリバースモーゲージは銀行によって条件に差がありますが、年齢は主に55歳以上が融資の対象で、一括でまとまった金額を受け取れる一括融資方式、決められた金額内であればいつでも融資が受けられる随時融資方式などがあります。金利は変動金利で、毎月利息を返済する、融資する金額に利息を組み入れるコースがあります。また、お金の使い道は、趣味や旅行など自由に使えるものから、住み替えや家のバリアフリーの資金にも使えるものまで。一方、公的機関が扱うリバースモーゲージは65歳以上が対象で、毎月定額しか受け取ることができません。融資の対象となる不動産も一軒家に限定されることが多く、資金の使い道も生活費などに限られているので、セカンドライフを決めてから金融機関を比較することをおすすめします」(菱田さん)金融機関によっては、借入金の用途や担保となる不動産が、マンションは不可など、制限されていたり、保証人が必要となったりすることもある。さらに、いつまでも元気で長生きなのは喜ばしいが、借入額が融資限度額を上回ってしまい、追加融資を受けられないため、自宅を売却せざるをえないケースも出てくる。地価が下落して担保割れすると、途中で一括返済を求められるといったリスクもあるので、メリット・デメリットをよく確かめよう。「女性自身」2020年11月17日号 掲載
2020年11月11日老後の生活を考えるうえで軸となる年金の受給額。妻のもらえる年金の額で損をしないためには、いくつかの“落とし穴”にご用心!「ねんきん定期便」には書かれていない注意点を早めに押さえておこうーー。「夫がもうすぐ定年なのですが、受け取れる年金を確認したときに、思いのほか金額が少なかったので、老後の生活をどうしたらいいのか悩んでいます」そう語るのは都内に住むA子さん(55)。すでに子どもたちは独立し、夫(58)と2人暮らしだ。毎年、誕生日に送られてくる「ねんきん定期便」で、年金額を改めて確認してみたところ、その金額に不安を覚える人は少なくない。「ねんきん定期便は夫と妻へそれぞれに届くので、夫婦合わせていくら受け取れるのかを確認することが大切です。ただし、ねんきん定期便に書かれている『加入実績に応じた年間額(年額)』から、社会保険料、所得税、住民税などを支払うため、実際には1割ぐらい差し引いた金額が手取りの額になります。そこから生活費をシミュレーションしましょう」そうアドバイスするのは、社会保険労務士でファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さんだ。A子さん夫婦の場合、夫は老齢厚生年金と老齢基礎年金を合わせて月額約16万5,000円、A子さんは結婚前に働いていたので、老齢基礎年金約6万5,000円に老齢厚生年金2万円がプラスされた額を毎月もらえる。社会保険料の1割分を差し引いた額で見てみると、夫の年金は月約14万8,500円となり、夫婦合わせた年金収入は月額で約23万3,500円となる。「夫の会社は退職金が少ないのと、老後の定期収入は年金だけ。それだけでは足りないので、私も夫も健康なうちは働きながら、その間は年金受給を繰り下げようと話し合っています」(A子さん)’19年の日本人の平均寿命は女性が87.45歳、男性が81.41歳。今後はより“長生きリスク”への備えが必要になってくる。「人生設計も夫に先立たれた後、妻ひとりの生活が成り立つように、いまや80代後半までではなく90代後半、あるいは100歳までのライフプランが必要になってきます」(井戸さん・以下同)年金受給額を増やす方法の一つに、A子さん夫婦が考えているのが「年金の繰り下げ」だ。年金は現在60〜70歳の間で、’22年4月からは60〜75歳の間で受給開始時期を選択できる。受給開始を60〜64歳に繰り上げると、1カ月あたり0.4%(現在は0.5%)差し引かれた額で一生涯受け取る。逆に66歳以降に受給開始を繰り下げると、1カ月あたり年金額は0.7%プラスされる。「年金を繰り下げ受給するときには、注意点があります。夫の厚生年金の加入期間が20年以上ある人は、65歳または定額部分の支給開始年齢に達した時点で、65歳未満の妻や18歳の年度末までの子どもがいる場合『加給年金』がプラスされます。妻が65歳以降になると、それが『振替加算』として老齢基礎年金にプラスされて妻が受け取れるのですが、夫が繰り下げを選択するとその期間は『加給年金』はもらえません。また、妻が老齢基礎年金の受給を繰り下げると、振替加算を受け取ることができなくなります」A子さん夫婦のケースで見てみよう。夫は65歳になったときからA子さんが65歳になるまでの3年間、加給年金が年39万9,900円もらえる。繰り下げを選択すると、3年分の加給年金をもらえなくなる。また、A子さんが65歳になってからは老齢基礎年金に加えて「振替加算」として年1万5,068円を生涯受け取ることができる。繰り下げを選択するとその期間は振替加算をもらえない。このケースでは、「加給年金と振替加算をもらいつつ、年金を繰り下げ受給する」のがベスト。「老齢厚生年金と老齢基礎年金は別々に受給開始時期を選択できるので、夫は老齢厚生年金を65歳から受け取り、老齢基礎年金を繰り下げる。妻は老齢厚生年金を繰り下げて、老齢基礎年金だけを受け取れるようにすれば、加給年金も振替加算も受け取ることができます。いずれも、一度選択すると取り消すことができないので、受け取れる額を比較して慎重に決めたほうがいいでしょう」加給年金・振替加算はねんきん定期便には掲載されない情報で、’66年4月2日以降に生まれた妻は振替加算をもらえないので注意が必要。妻の年齢で振替加算がいくら受け取れるのかは日本年金機構のホームページで確認しよう。「女性自身」2020年10月20日号 掲載
2020年10月08日老後の生活を考えるうえで軸となる年金の受給額。妻のもらえる年金の額で損をしないためには、いくつかの“落とし穴”にご用心!「ねんきん定期便」には書かれていない注意点を早めに押さえておこうーー。「ねんきん定期便」には、保険料を納めた期間に応じて、老齢厚生年金と老齢基礎年金の額が記載されている。そして、ねんきん定期便には書かれていないけれどもらえる年金があり、これは請求しないと受け取ることができないので注意が必要だ。自分がもらえる対象なのかどうかを確認する必要がある。そんな「もらい忘れ」に注意が必要な妻の年金を、社会保険労務士でファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さんが解説してくれた。【ケース1】いまは専業主婦の妻が、独身時代に勤めていた会社に「企業年金」があったまず注意したいのが、「厚生年金基金」のもらい忘れ。年金は1階が国民年金、2階が厚生年金、企業年金を3階と表して、厚生年金基金は企業年金の一つにあたる。’14年3月までの加入期間で、おおむね10年未満で中途退職した場合、企業年金連合会に記録が移っている。「よくあるケースは、妻が寿退社するまで勤めていた会社に厚生年金基金があったのを知らずに放っておいてしまうこと。結婚後に姓や住所が変わると本人の特定が難しくなり、通知が送られてこないというケースがあるのです。企業年金連合会のホームページからコールセンターに問い合わせるか、勤めていた会社に連絡して確認することをおすすめします」(井戸さん・以下同)結婚してから夫の扶養に入ると、手続きは夫任せ、という人も多い。特に夫が会社を退職したときに注意が必要だという。【ケース2】夫の退職時に、妻が第3号被保険者から第1号被保険者に変更になった厚生年金に加入している会社員や公務員(第2号被保険者)に扶養される20歳以上、60歳未満の主婦や主夫は、国民年金の第3号被保険者になる。保険料は自分で納める必要はなく、65歳以降、老齢基礎年金をもらうことができる。「注意が必要なのは、夫の定年退職後です。60歳未満の妻は、60歳まで年金保険料を支払わないと老齢基礎年金を満額で受け取ることができません。夫の退職と同時に妻は3号被保険者から自営業者などが加入する1号被保険者になりますが、この手続きを忘れてしまいがちなのです。市区町村の国民年金課に行き、自分で手続きをしましょう」夫が転職を繰り返している場合も、妻はその都度「3号被保険者」になるので、転職の都度、自分で確認しておきたい。「ねんきん定期便」で、加入期間をチェックして、加入期間が40年に足りていないことがわかったら、60歳以降も国民年金に加入して保険料を納める「追納制度」を利用することで加入期間を40年、480カ月の満額にすることができる(ただし、さかのぼることができるのは10年以内の分まで)。【ケース3】妻の前年の年金+そのほかの所得の合計が77万9,900円以下だった専業主婦だった妻が夫に先立たれた後など、年金収入が少ない人には年金に上乗せして支給される給付金制度が適用されることを知っておきたい。「’19年9月からスタートした『年金生活者支援給付金』は、消費税が10%に上がったタイミングで設けられました。65歳以上で、国民年金の保険料に未納期間がない場合、老齢基礎年金に年6万円が上乗せされた額を受け取ることができます」受け取るためには、前年の年金とそのほかの所得の合計が77万9,900円以下で、同居の家族が住民税非課税といった条件がある。さらに、年金を受け取る前に夫が他界したら、遺された妻が、夫が受け取るはずだった年金の一部をもらえる制度もある。【ケース4】夫が年金を繰り下げ受給しようとしたが、受給開始前に亡くなった年金を支払い続けていた夫が亡くなったときに遺族年金があり、一緒に「未支給年金」の請求を行うが、遺族年金を受け取れない自営業の人などはもらい忘れる可能性がある。未支給年金とは、65歳以降に夫が受け取るはずだった年金を、遺族が代わりに受け取ることができる年金のこと。「すでに老齢基礎年金を受け取っている人が7月20日に亡くなったとすると、その人が最後に受け取れる年金は6月15日に支給される4月分と5月分になります。このとき、6月分と7月分が『未支給年金』となります。市区町村の国民年金課で手続きをしなければもらえない年金で、5年経過すると時効になってしまうので、忘れずに請求しましょう」また、年金を繰り下げている間に亡くなったとき、受け取るはずだった年金を過去5年間さかのぼって受け取ることも可能。たとえば、老齢基礎年金(78万円)、老齢厚生年金(122万円)ともに繰り下げをして70歳で受け取るつもりが、69歳で亡くなった場合、遺族が請求できるのは繰り下げ前の年金額200万円×4年分の800万円となる。これから75歳まで繰り下げられるようになるので、もらい損にならないように制度をきちんと知っておこう。【ケース5】’66年4月1日以前に生まれた女性で、厚生年金に1年以上加入していた公的年金の受け取りは原則65歳からが基準だが、65歳前でももらえる人がいる。「特別支給の老齢厚生年金」は、厚生年金に1年以上加入した場合、60歳から厚生年金の一部を受け取ることができる。金額は生まれた年によって異なってくる。「男性は’61年4月1日までに生まれた人、女性は’66年4月1日以前に生まれた人が対象です。受け取り開始の3カ月前に年金請求書が送られてきますが、『年金は65歳から受け取るものなので、後で請求すればいいや』と勘違いをして、請求し忘れているケースが散見されます」これも、手続きを忘れると5年で時効になってしまう。十分に気をつけよう。「女性自身」2020年10月20日号 掲載
2020年10月08日年金問題と言えば、昨年には「老後資金2,000万円問題」が話題となりましたが、平成19年には約5,000万件の年金記録が誰のものかわからないという「消えた年金問題」で大騒動となりました。現在も誰のものかわからない年金記録は約2,000万件あり、特に年金手帳の表紙がオレンジの人は要注意です。今回の記事では、年金手帳の表紙の色による違いと注意点について解説します。公的年金の種類と基礎年金番号日本年金機構|年金番号・年金手帳について表紙の色は交付年月日で違う表紙の色は、年金手帳の交付年月日などによって下記の4つに大別できます。昭和49年11月に国民年金手帳と厚生年金手帳が統一され、オレンジの年金手帳になりました。1つの手帳にすべての年金記録(番号)が集約されるようになったのです。さらに、平成9年1月には基礎年金番号の導入によって1つの番号ですべての年金記録が管理され、同時に年金手帳の色も青色に変わりました。共済年金加入者には基礎年金番号通知書が送付される共済年金加入者には年金手帳が発行されないため、基礎年金番号通知書の送付によって基礎年金番号が通知されます。日本年金機構|年金番号・年金手帳についてまた、平成9年1月(基礎年金番号導入時)には、国民年金番号や厚生年金番号を持っていた人に対し基礎年金番号通知書が送られました。年金手帳を再発行した人は青色基礎年金番号が導入される前に年金加入した人も、年金手帳を紛失して再発行すれば、年金手帳は青色に変わります。再発行前に記載されていた国民年金番号や厚生年金番号は新しい年金手帳にはなく、基礎年金番号だけが載っています。年金手帳がオレンジの人は要注意いまから年金の受給が始まる人のほとんどは、年金手帳がオレンジの人です。年金手帳がオレンジの人は、青色の人と比較して年金記録に漏れ・誤りが多いので注意が必要です。[adsense_middle]年金手帳がオレンジの人の年齢オレンジの年金手帳の交付は昭和49年11月から平成8年12月の間です。20歳で年金加入する人が多いので、年金手帳がオレンジの人の現在の年齢は44歳から66歳くらいです。一部に人はすでに年金受給が始まっていますが、大半は今後20年くらいの間に受給手続きすることになります。年金記録が漏れている可能性前述のとおり、年金手帳がオレンジの人は、年金加入時は国民年金番号や厚生年金番号が付番されていました。基礎年金番号に記録を統合するとき、誰のものかわからない年金番号が多数あることが判明しましたが、年金手帳がオレンジの人もこの中に含まれます。実際に記録漏れが多いのは次のような人です。転職回数が多い人結婚後に退職して姓が変わった人名前の読み方が複数ある人再婚している人転職回数が多い人何回も転職している人は、複数の年金番号を持っていることがあります。特に転職のたびに新しい年金番号を発行している場合、10件前後の年金番号を持っていることも珍しくありません。こういった事情から、数の多い番号の一部が統合されなかったことで年金記録漏れするケースが多数発生しました。また、転職回数の多い人は短期間で辞めた会社について忘れてしまっている可能性もあり、年金記録の空白期間については慎重に確認する必要があります。結婚後に退職して姓が変わった人結婚して姓が変わった人も年金記録に要注意です。結婚前の姓と結婚後の姓がうまく名寄せされずに、結婚前に加入していた年金記録が別人のものと判断されるケースがあるのです。年金記録を調べるとき、まずは結婚前の年金記録が正しく反映されているかを確認しましょう。名前の読み方が複数ある人など名前の読み方が複数ある人や漢字名をよく間違えられる人も、年金記録が漏れている可能性が高いです。年金加入時に漢字名や読み方が間違って登録されたため、別人の年金記録だと判断されたケースなどです。氏名が間違って登録されるのは、次のような場合です。小山(オヤマ)さんの読み方を「コヤマ」と登録長田(ナガタ)さんの漢字名を「永田」と登録斎藤(サイトウ)さんの漢字名を「斉藤」や「齋藤」と登録氏名以外にも、生年月日が誤って登録されていたケースもあります。再婚している人再婚して何度も姓が変わっている人も、年金記録の漏れが散見されます。婚姻や離婚前後の姓がうまく名寄せされないことが原因です。長期間、厚生年金に加入している人はあまり問題ありませんが、結婚や離婚のたびに国民年金の第1号、第3号被保険者への加入を繰り返しているケースは要注意です。年金記録が間違っている可能性年金記録が漏れているケース以外にも、下記のように記録自体が間違っているケースもあります。加入期間や標準報酬額(保険料や年金額の計算基礎となる報酬)に誤りがある第3号被保険者期間に誤りがある加入期間や標準報酬額に誤りがある厚生年金の加入期間や標準報酬額に誤りがあるケースも散見されます。勤務先の会社が誤って報告するケースもありますが、旧社会保険庁の年金記録の管理が十分でなかったことが原因で発生した誤りも多数見つかりました。また、昔は紙ベースの台帳で年金記録を管理していたため、年金記録をデータベース化する際に加入期間や標準報酬額などが誤って登録されたケースも数多くあります。ずさんな年金記録の管理が社会問題となり、旧社会保険庁解体の一因にもなりました。第3号被保険者の加入期間に誤りがある会社員の配偶者などが加入する国民年金第3号被保険者の記録についても、多くの誤りが発生しています。第3号被保険者の手続きは、配偶者が会社に届け出て会社が日本年金機構へ書類提出しますが、会社への届け出や会社の対応が遅くなったため、年金加入が遅れたり未加入だったりするケースもあります。第3号被保険者は保険料の支払いがなく手続きも自分でしないため、年金に対して関心が薄い人もいます。しかし、将来受け取る年金額が減ってしまうリスクがあるので、記録の確認だけでも自分でしましょう。基礎年金番号が付番されていない可能性平成9年1月以降、国民年金や厚生年金などに加入していない場合、基礎年金番号が付番されていない可能性もあります。基礎年金番号を付番してもらうには、年金事務所での手続きが必要です。基礎年金番号通知書を持っている人や年金定期便が送付されている人は、すでに基礎年金番号が付番されているので上記手続きは不要です。基礎年金番号が複数ある可能性基礎年金番号の最初の2桁が「99」の人は、基礎年金番号が複数ある可能性が高いです。年金加入時に基礎年金番号が確認できなかったときには「仮基礎年金番号」が発行されていました。「99」で始まる基礎年金番号は、あくまで仮の番号なので、年金事務所で正式な基礎年金番号を付番してもらいましょう。また、「99」で始まる基礎年金番号を持つ人に対しては、日本年金機構から確認の案内が送付されていますので必ず対応しましょう。年金記録の確認方法と訂正方法公的年金は老後の生活を支える重要な資金です。年金記録に誤りがあると年金額が少なくなるので、早い時期に年金記録を確認し、誤りがある場合は記録の訂正手続きを取りましょう。[adsense_middle]年金記録の確認方法年金記録は下記により確認できます。年金定期便:毎年ハガキで送付され「年金加入期間」が記載。35歳、45歳、59歳に封書で送付される定期便には加入記録が詳細に記載されている。ねんきんネット:インターネットで「年金加入状況」を確認できる。将来受け取る年金額のシミュレーションも可能。年金事務所:「年金加入状況」の確認のほか、年金相談も可能。年金記録確認のチェックポイント年金記録確認のチェックポイントは下記のとおりです。未加入期間の確認複数の年金に加入していた場合、前の年金の資格喪失日と次の年金の資格取得日が同日か確認しましょう。同日でない場合、その間の期間が未加入期間です。未加入期間の加入状況の確認年金記録上は未加入である期間についても、会社に勤めていたり国民年金保険料を払っていたりしたことがないか確認しましょう。自分の記憶以外にも、古い年金手帳、未加入期間の給与明細、源泉徴収票、保険料の振込用紙などで記録が判明するケースもあります。年金記録の訂正は年金事務所で年金記録の訂正が必要な場合、または可能性がある場合は年金事務所で確認・訂正します。本人確認書類以外に必要書類はありませんが、前述の古い年金手帳や当時の給与明細など記録の確認に役立ちそうな資料は持参しましょう。また、勤務先の会社名や加入時期など、覚えていることはメモしていくことをおすすめします。年金記録を証明する書類がなくても、勤務先の会社名や住所、加入期間が確認できれば、自分の年金記録として認められるケースもあります。よくわからない場合も含めて、まずは年金事務所で相談することをおすすめします。オレンジの年金手帳に関するまとめ年金手帳の表紙の色は交付年月などによって異なります。昭和49年11月からオレンジの年金手帳、平成9年1月から青色の年金手帳が交付されました。オレンジの年金手帳が交付されたときは国民年金番号や厚生年金番号が使われていて、基礎年金番号導入時にうまく統合されなかった年金記録があったため、年金記録に漏れが発生しました。老後生活を支える年金を確実に受け取るために、早めに年金記録を確認し、誤りがあれば年金事務所で訂正しましょう。
2020年10月06日「だってこの人たち6年、ここ(日本学術会議)で働いたら、その後、学士院というところにいって、年間250万円年金もらえるんですよ(一同「えーっ」)。死ぬまで(一同再び「えーっ」)。みなさんの税金から。そういうルールになってるんです」10月5日に放送された「バイキングMORE」(フジテレビ系)でそう語ったのは、フジテレビ報道局解説委員室上席解説委員の平井文夫氏(61)だ。菅義偉首相(71)が日本学術会議の会員候補だった学者6人の任命を見送った問題について解説する中で出た発言。これには坂上忍(53)ら番組の出演者も驚愕し、思わず声を挙げた。すでにこの部分だけ抜き出した動画はツイッター上で拡散しているのだが、これは明確な誤りだ、という指摘が相次いでいるのだ。《日本学士院は定員150名、終身会員です。日本学術会議の人が全員日本学士院に入れるはずがないだろ》《この平井文夫氏のコメントは、あまりに出鱈目で、びっくりしました。学士院会員に年金が出るのは確かですが、学術会議とは別組織で、学術会議を辞めたら学士院に、などという「ルール」(平井氏はルールと言いました)はありません》内閣府の特別機関である日本学術会議の会員数は210名。任期は6年で、3年ごとに約半数が入れ替わる。対して、日本学士院は文部科学省の特別機関であり、定員は150名で、会員は終身になっている。したがって、日本学術会議の会員を退任した者がすべて日本学士院の会員となることは、物理的に不可能なことなのだ。そもそも、両組織の目的はまったく異なる。いま注目を集めている日本学術会議は「わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的」(日本学術会議法 第二条)とした組織。科学的な知見に基づいた政府への提言などを主な役割としていて、会員も40~60代の研究者が中心で、70歳が定年となっている。一方、日本学士院は「学術上功績顕著な科学者を優遇するための機関とし、この法律の定めるところにより、学術の発達に寄与するため必要な事業を行うことを目的」としている。会員も、複数のノーベル賞受賞者を含む、国内外のさまざま学術賞を受賞したことのあるような重鎮によって構成されている。年齢層も60代後半から90代が多く、最年少はノーベル生理学・医学賞受賞者でもある山中伸弥所長(58、京都大学iPS細胞研究所)。彼らのような“学術上功績顕著な科学者を優遇”するための組織であるため、年金も支給されることになっているのだ。もちろん、日本学術会議は日本を代表する研究者で構成されているので、会員を退任したあと、日本学士院会員となる例はある。また、今年度から日本学術会議の会長を務める、ノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章所長(61、東京大学宇宙線研究所)のように、両組織の会員を兼ねるという例もないわけではない。だが、会員数や任期の関係もあり、平井氏のいうように「ここ(日本学術会議)で働いたら、その後、学士院というところにいって」ということはあり得ないことなのだ。ツイッター上では平井氏のこの誤った情報によって、日本学術会議に対する憎悪が高まっている。平井氏の発言の映像とともに、こんなツイートが……。《税金にたかっている》《そりゃあ250万円の年金が 今の年金にプラスされるのなら 激怒してデモを起こすわな》目的も、属性もまったく異なる組織を関連付けて、日本学術会議への批判の材料とした平井氏。ほかにも不正確な発言があった。「2017年に日本学術会議が軍事研究の禁止というとんでもない提言を出したんですね」あたかも、近年になって日本学術会議が軍事研究に反対した反対し始めたような発言だったが、日本学術会議は創立翌年の1950年とベトナム戦争の最中だった1967年に“軍事目的の研究は絶対にしない”という内容の声明を出している。2017年の声明は、防衛装備庁が将来の“装備品”に使える基礎研究に研究費を支給する「安全保障技術研究推進制度」を2015年に創設したことを受けて、過去の声明を継承することを確認したものに過ぎない。平井氏は2017年の声明がきっかけで、「(政府の)堪忍袋の緒が切れて、もうちょっと“偏っていない機関”にできないかという声が政府内であがって、今回のこと(任命拒否)になった」と説明したが、日本学術会議の軍事研究に対する態度は70年間ずっと一貫している。むしろ変わってしまったのは日本政府のほうではなかろうか。平井氏は“首相が日本学術会員の人事に介入するのは当然”“日本学術会議はいっそ民営化するべき”といった趣旨の主張をしてきた。だが、誤った情報を基とした主張が説得力を持たないことは論じるまでもない。
2020年10月05日大学を卒業し会社に就職したときや転職したとき、必ずといっていいほど「入社手続きに年金手帳を持ってきて」と言われます。普段使わないだけに、どこにしまったか忘れて大慌てで探す人も多いと思います。今回の記事では、年金手帳がないと困ることを中心に、年金手帳の役割と再発行する方法について解説します。国民年金と年金手帳日本年金機構|年金番号・年金手帳について厚生年金保険被保険者証と国民年金手帳は昭和49年10月以前発行のもので、この年金手帳を持っている人のほとんどは年金受給者です。ブルーの年金手帳は、基礎年金番号がスタートした平成9年1月以降のもので基礎年金番号のみが記載されています。また、オレンジの手帳は平成8年12月以前の発行で、厚生年金番号や国民年金番号が記載され、「基礎年金番号通知書」が添付されています。基礎年金番号通知書基礎年金番号通知書は、基礎年金番号導入時にすでに厚生年金番号や国民年金番号が記載された年金手帳を持っている人に対し、基礎年金番号を知らせるために作成されたものです。年金手帳の再発行はせずに、各自の年金手帳に通知書を添付する形となっています。また、公務員などの共済年金加入者には年金手帳を発行しないので、基礎年金番号通知書によって基礎年金番号を通知します。日本年金機構|年金番号・年金手帳について年金手帳の役割日本年金機構|年金手帳再交付申請書再発行の申請方法年金手帳の再発行申請は、窓口での提出のほかに郵送や電子申請(e-Gov)でも可能です。電子申請(e-Gov)を行うには、事前に電子証明書の取得が必要です。年金手帳がない場合に起こること&再発行手続きに関するまとめ年金手帳は、国民年金に加入している証明であり、基礎年金番号や年金記録を確認するためのものです。公的年金への加入から年金受給するまでの間のさまざまな手続きに必要となります。マイナンバーカードがあれば年金手帳がなくても可能な手続きがあり、必要なときに再発行するという方法もありますが、「入社時に会社への提出が間に合わない」など不測の事態に備えて、紛失が判明したら再発行手続きしましょう。再発行手続きについて、第2、3号被保険者は会社へ年金手帳を紛失したことを届出しましょう。第1号被保険者は市区町村役場でも手続き可能ですが、即日再発行できる年金事務所に行くことをおすすめします。
2020年09月30日日本国民なら20歳になると国民年金に加入しなくてはなりません。すでに会社勤めなどをしている人なら労使折半で保険料を収めているはずですが、収入のない学生はどうしているのでしょうか。保険料が払えないからと未納のままにしている人、もしくはしていた人も多いのではないでしょうか。学生時代に国民年金の保険料を払っていないと、将来の年金額に影響が及びます。今回は、学生時代に年金の保険料を払わなかった場合の対処の仕方などについて解説していきます。国民年金には保険料の免除や猶予の制度がある自営業者や学生、農業の人など国民年金の第1号被保険者のうち、保険料を支払うことが経済的に困難な方のために、保険料を免除したり猶予したりする制度があります。免除や猶予の手続きをすると、何も手続きを行わずに保険料を納付しない、単なる未納とは区別されます。未納のまま放置すると、老齢年金の受給以外にも不利益を被ることがあります。そのため、免除や納付猶予の制度が利用できる場合はきちんと手続きをし、未納を避けるべきです。国民年金保険料未納のデメリットとは?国民年金保険料を免除や猶予の手続きをせずに未納のままにすると、どのようなデメリットがあるでしょうか。年金が受け取れない、または年金受給額が減る未納の場合、保険料を払わないので「年金額が減る」というデメリットがあることは、難なく想像ができると思います。けれども、「全く受け取れなくなる」可能性もあることは想定外の人が多いのではないでしょうか。老齢基礎年金(国民年金の老齢年金)を受け取るには、保険料を納付済みの期間と、免除や猶予の期間の合計が10年以上であることが条件になります(受給資格期間といいます)。未納の期間が長くて受給資格期間を満たせない場合、老齢基礎年金を1円も受け取ることができません。「障害年金」「遺族年金」が受け取れない一般に「年金」というと、上述した「老齢基礎年金」のように老後に受け取る「老齢年金」をイメージする人が多いと思います。しかし公的年金には、亡くなったときに遺族の生活保障の役割を持つ「遺族年金」、そして重度の障害になったときの所得保障である「障害年金」もあります。障害年金、遺族年金を受給するためには以下のいずれか条件が必要です。それまでの加入期間の3分の2以上について、保険料を納付済みまたは免除されていること直近1年間に未納がないこといずれの場合も、未納の期間が長いと受給資格を満たせなくなり、いざというときに障害年金や遺族年金が受給できなくなる可能性があります。例えば、交通事故のケガで後遺症が残って働けなくなった場合などに障害年金が受け取れないのは、経済的なダメージも大きいはずです。保険料免除制度とは?本人・世帯主・配偶者の前年の所得が基準額以下の場合、「保険料の全額、4分の3、半額、4分の1」のいずれかが免除されます。いくら免除されるかは前年所得額によって決定します。免除を受けると年金の受給額は減額になりますが、半分は保証されます。保険料納付猶予制度とは?50歳未満の加入者で、本人と配偶者の前年の所得が基準額以下の場合に、納付を猶予してもらうことができる制度です。納付猶予は免除とは違い、後から保険料を納めることを前提としています。そのため、年金を受け取るために必要な受給資格期間に算入されますが、猶予期間分の年金の受給額には算入されません。学生納付特例制度は保険料の後払いを前提とした制度学生の場合は、納付猶予の特例で「学生納付特例制度」という制度を利用できます。「学生納付特例制度」とは?「学生納付特例制度」とは、学生で保険料を納めるのが難しい場合、本人の所得が118万円までであれば、年金保険料の納付を猶予する制度です。この制度を利用すれば、保険料を納めなくても受給資格期間に算入されます。しかし、「猶予」とは「免除」と違い、保険料の後払いを前提としています。ゆえに、そのまま保険料を納めなければ、将来の年金額は減額されるので注意が必要です。学生納付特例制度を申請し忘れた場合学生納付特例制度は、20歳になって「国民年金加入手続きのご案内」が送られてきたタイミングで申請するのが一般的です。もし、そのタイミングで申請しそびれた場合、2年1か月まで遡って申請を出すことができます。この期間も過ぎてしまった場合は学生納付特例制度は使えず、その期間は未納ということになってしまいます。未納期間分の保険料の後払いはいつまでできる?学生時代に学生納付特例制度を利用してもしなくても、保険料を納めていないなら、将来の年金額が減ることには変わりがありません。20歳から40年間、国民年金の保険料を払い込んだ場合に受け取れる年金額の年額は、2020年(令和2年)度で781,700円です。仮に3年間の未納だとすると、将来の年金額は約60,000円(約8%)も減ります。国民年金は一生涯受け取る年金なので、長生きすればするほど、減額の影響は大きくなります。そこで、納めていない保険料を後から納めて、将来受け取る年金を増やす方法について見ていきます。[adsense_middle]学生納付特例を利用した人の追納の期限とタイミング保険料納付猶予制度や学生納付特例は、保険料の納付を先延ばしにして後で払うことが前提であると述べました。その「後払い」にあたる行為を「追納」といいます。追納は、免除や猶予された期間の保険料を10年まで遡って納めることができる制度です。ただし、3年以上前の保険料を追納する場合には、経過期間に応じた加算額(延滞利子のようなもの)が付きますので注意してください。追納の最適なタイミングとは?3年以上経ってからの年金保険料の追納は加算額が上乗せされるので、2年以内に追納したほうがいいということになります。ただ、ここでもう一つ考えるべきことがあります。それは、追納した保険料は社会保険料控除の対象になり、所得税と住民税が軽減される点です。所得税と住民税の節税効果は収入の高い人ほど大きくなります。もし、追納によって所得税の税率が変わるような場合は、そのタイミングで追納するほうが、加算額を回避するより有利な可能性があります。学生納付特例を利用した人が社会人になったら、追納の保険料をいつ払うのがいいかを考えておきましょう。奨学金の返済と追納の関係日本学生支援機構の貸与型の奨学金を受けた場合、社会人1年目の10月から返済が始まります。ここで、年金保険料の追納と奨学金の返済が重なると、負担が重すぎる場合も考えられます。その場合は、奨学金の返済を優先し、年金保険料の追納は生活が安定してからにしましょう。なぜなら、奨学金を返済しない場合のほうがリスクが高いからです。未納で減った年金額を取り戻すその他の方法学生納付特例も利用せず、保険料が未納だった場合は60歳以降で年金額を増やす方法があります。厚生年金を継続して経過的加算額を増やす会社員の場合、厚生年金は最長70歳になるまで加入できます。国民年金の保険料は60歳以降は納めないため、60歳以降に会社勤めをしている場合は国民年金の年金額は増やせません。しかし、老齢厚生年金の経過的加算額は増えていきます。経過的加算額は厚生年金に3年加入して約60,000円増やすことができますので、3年間の未納で減った年金額をほぼ埋め合わせることができます。国民年金の任意加入国民年金が満額に足りない人は、60歳以降も65歳まで国民年金の任意加入をして国民年金保険料を納めることができます。60歳以降会社勤めをせずに厚生年金に加入しない場合は、この方法を利用すれば老齢基礎年金が増やせます。学生時代の年金の未納と追納に関するまとめ学生納付特例を利用した場合は、10年以内に遡って「追納」をすることができます。追納の保険料は社会保険料控除の対象になります。一方、学生納付特例を利用しなかった場合は、60歳以降に厚生年金の継続、または国民年金の任意加入で老後の年金を増やすことができます。上記のように、学生時代の国民年金の保険料が未納のとき、学生納付特例を利用した場合としない場合で、老後に受け取る年金を増やす方法が異なるため注意しましょう。
2020年09月27日日本国民であれば、20歳になったら国民年金に加入しなくてはなりません。それは、まだ働いていなくて収入のない学生も同様です。2021年(令和3年)3月までの国民年金保険料は16,540円(月額)ですが、もし保険料を支払うことができない場合はどうすればいいのでしょうか。国民年金には単なる未納とは異なる、免除や猶予という制度があります。学生には、学生納付特例猶予があります。今回は、これらの制度の基礎知識についてお伝えします。大学生が利用できる国民年金の猶予制度「学生納付特例」とは?「免除」と「猶予」は、経済的な理由で国民年金保険料を納めることができないときでも未納にならないための制度です。免除や猶予の手続きを行っておけば、その期間は受給資格期間に含まれます。これらの制度を利用したのちに年金額を増やすためには、保険料の追納や、60歳以降も国民年金に任意加入するなどが必要です。国民年金の免除制度とは?免除制度は失業などの理由で国民年金保険料を納められない人が審査を受けて、その所得に応じた免除割合が決められます。そして、免除の割合によって将来受け取る国民年金が減額されます。国民年金の納付猶予制度とは?これに対し、納付猶予は学生やそれ以外の若年者(20歳以上50歳未満)といった、将来的に納付が可能な人に納付を猶予する制度です。免除制度では年金額への反映がされますが、猶予制度では猶予期間中の年金額は未納と同様に計算されません。「学生納付特例制度」とは?20歳以上で所得が一定以下の学生は、申請により国民年金保険料の納付猶予を受けることができます。所得は本人の所得のみが対象です。所得基準2020年(令和2年)度の所得基準は以下のとおりです。118万円+(扶養親族等の数×38万円)+社会保険料控除等「学生納付特例制度」のメリット「学生納付特例制度」は国民年金保険料の支払いが猶予される、税金でいうところの「延納」のようなものです。よって、保険料を払わなければ年金額は減ってしまいます。では、「学生納付特例制度」を利用した場合のメリットには、どんなものがあるのでしょうか。手続きをしていれば受給資格期間に算入される公的年金を受給するためには、年金保険料を支払った期間や保険料の免除期間の合計が一定以上必要です。その期間を「受給資格期間」といいます。現在、老齢基礎年金(国民年金の老齢年金)の受給資格期間は10年です。国民年金に限らず、厚生年金の保険料を支払った期間や免除期間も合算して10年以上であれば、老齢基礎年金を受給することができます。受給資格期間受給資格期間は以下の計算式で求めます。「国民年金の保険料の納付月数」+「若年者納付猶予制度の対象月数」+「国民年金の保険料の免除月数」+「学生納付特例の対象月数」「学生納付特例の対象月数」は受給資格期間に含まれるため、単なる未納の場合に比べて有利になります。「障害基礎年金」や「遺族基礎年金」を受け取る権利ができる公的年金は老後に受け取る老齢年金だけではありません。亡くなったときに遺族の生活保障の役割を持つ「遺族年金」、そして重度の障害になったときの所得保障である「障害年金」があります。「学生納付特例制度」の手続きをし、国民年金に加入した人は「老齢基礎年金」「障害基礎年金」「遺族基礎年金」を将来受ける権利が生じます(ただし、障害を負った、または亡くなった時点で、障害基礎年金や遺族基礎年金それぞれの受給要件を満たしている必要があります)。特に、万が一のときに障害基礎年金を受け取れないと経済的なダメージが大きいので注意が必要です。仮に、交通事故などでケガをして身体障害者になってしまった場合、本来なら障害基礎年金の障害等級の1級や2級にあてはまる場合でも、未納では受け取ることができません。公的年金は老後の年金だけではないことをきちんと理解して、学生納付特例の手続きを忘れずにしておきましょう。追納によって減った年金額を満額にできる「学生納付特例制度」を利用した場合、保険料を全額納付した場合と比べて年金額が減額になります。しかし、「学生納付特例制度」の承認を受けた期間の保険料については、後から納付(追納)することにより、老齢基礎年金の年金額を増やして最終的に満額にすることができます。また、社会保険料控除により、所得税・住民税が軽減されます。「学生納付特例制度」を利用した期間が年金額に反映されないのは、「学生納付特例制度」が保険料の猶予であり、後払いを前提としているからだと考えられます。追納するなら2年以内を目標にする追納ができるのは、追納が承認された月の前10年以内の免除等期間に限られています。「学生納付特例制度」を受けた期間の翌年度から数えて、3年目以降に保険料を追納する場合には、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額(延滞金のようなもの)が上乗せされます。追納するなら2年以内を目標にしましょう。追納によって受給額はどれくらい増えるか追納することで受給額はどの程度増えるのでしょうか。例えば、1カ月分の保険料を追納したら、「781,700円(令和2年度の満額)/480カ月≒1,629円」の年金を増額できます。1年分の追納の場合は、約19,542円の年金を増額できます。増額した年金は終身で受け取れます。「学生納付特例制度」のデメリット追納をしなければ年金額が減額になる上記の追納の説明でも述べましたが、「学生納付特例制度」を利用した場合、追納をしなければ年金額が減額になります。例えば、学生納付特例制度を2年間利用したとします。減額される年金額は以下のとおりです。(781,700円×38年)÷40年=742,615円満額との差額は以下のとおりです。781,700円-742,615円=39,085円実に40,000円近い年金額のカットが、65歳以降一生涯続きます。学生時代にはありがたかった学生納付特例制度が、忘れたころに老後生活にネガティブな影響を及ぼすのです。「学生納付特例制度」を申請する方法[adsense_middle]20歳になったら必要な国民年金の手続き20歳の誕生日を迎えてから2週間以内に、日本年金機構から「国民年金加入のお知らせ」という書類一式が、保険料の納付書とともに送られてきます。通常は、毎月保険料を納めることになります。しかし、収入のない学生で保険料の支払いが難しい場合などは、これまで解説してきたとおり「学生納付特例」を利用することになります。学生納付特例制度の申請書は「国民年金加入のお知らせ」の書類一式の中に入っています。学生納付特例制度の申請場所学生納付特例制度の申請は次の場所で受付けています。住民票のある市区町村の役所の国民年金担当窓口最寄りの年金事務所なお、学生納付特例の申請は郵送でも受付けています。手続きに必要なもの窓口の申請の際には以下のものが必要です。国民年金保険料学生納付特例申請書年金手帳(※)学生証または在学証明書※まだ年金手帳を持っていない人は身分証明書(運転免許証・パスポート・個人番号カード)を持参します。学生の年金&猶予と免除の違いに関するまとめ収入のない学生は、申請によって保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」を利用できます。「学生納付特例制度」は保険料の支払いを猶予する「後払い」を前提とした制度であるため、期間中の年金額には反映されません。10年以内に追納をすることにより、年金額を満額に近づけることができるようになっています。また、「学生納付特例制度」の期間は老齢基礎年金の受給資格期間に含まれます。このように、単なる未納と手続きを踏んで猶予してもらうことには大きな違いがあるので、「国民年金加入のお知らせ」が届いたらくれぐれも放置をしないようにしましょう。
2020年09月05日少子高齢化が進み、公的年金だけでは老後の生活が成り立たないと、ほとんどの人が不安を感じています。特に、国民年金だけで厚生年金のような上乗せがない自営業者は、より一層不安が大きいことでしょう。今回は、自営業者の人の老後の支えになる公的年金の基礎知識と、老後のための自助努力について解説します。自営業の公的年金制度についての基礎知識厚生労働省ホームページ国民年金の年金額はどのくらい?公的年金でもらえる金額は?では、国民年金の年金額は厚生年金に比べてどのくらい少ないのでしょうか。厚生労働省が公開している「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、会社員などの第1号厚生年金被保険者に対する厚生年金の平均支給額は、月に143,761円です。これに対し、国民年金の平均支給額は月に55,809円です。夫婦ともに国民年金の世帯では、月当たりの年金額が10万円強ということになります。これでは、住宅ローンなどもなく質素な暮らしをしたとしても、生活していくことは難しいでしょう。もちろん、健康であれば働けるだけ働くことも可能ですし、それが自営業のメリットでもあります。ただ、将来にわたって健康である保証はなく、若いうちから年金増額対策をコツコツ積み重ねることは必須といえます。自営業者が加入できる年金の上乗せ制度とは?それでは、具体的に自営業者が年金上乗せの自助努力として利用できる制度について見ていきましょう。自営業者が利用できる年金対策の制度は主に以下のようなものがあります。iDeCo(個人型確定拠出年金)小規模企業共済国民年金基金[adsense_middle]iDeCo(個人型確定拠出年金)iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、個人である加入者が掛け金を積み立て、自分で選んだ商品で運用を行い、60歳以降に年金または一時金として受け取ることができる私的年金制度です。運用の成果によって、将来受け取る年金額は変化します。iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入条件iDeCoは原則として日本在住で20歳以上60歳未満、国民年金や厚生年金などの公的年金に加入している人であれば加入できます。iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛け金iDeCo(個人型確定拠出年金)は月々5,000円以上1,000円単位の掛け金から始めることができます。掛け金には上限額があり、自営業者の場合は月額68,000円が上限となっています。iDeCo(個人型確定拠出年金)のメリット掛金が全額所得控除iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛け金は全額、所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となります。この節税メリットはiDeCo(個人型確定拠出年金)の最大の魅力といっても過言でありません。個人の税引き後の資金で運用するのに比べ、断然有利になります。運用益に対して非課税個人の資金を投資信託などで運用した場合、運用益に対して所得税が課税されますが、iDeCoでの運用益には課税されません。受取時にも税制優遇60歳以降にiDeCoの積立金を受け取る場合、分割して受け取る年金方式と一括で受け取る一時金方式、または両者の併用から選ぶことができます。年金の場合は公的年金等控除、一時金の場合は退職所得控除の対象になります。インフレ対策が可能iDeCoでは株式や不動産(リート)などに分散投資が可能となっており、老後までに徐々にインフレが起ったとしても対策することができます。iDeCo(個人型確定拠出年金)のデメリット60歳まで引き出しできないiDeCo(個人型確定拠出年金)の積立金は原則として60歳になるまで引き出しはできません。iDeCo(個人型確定拠出年金)は老後資金を自助努力で準備する制度であるため、税制が優遇されています。それゆえ、目的外の資金の利用は制限されるのです。また、一度加入すると、掛金の減額はできますが脱退はできません。元本保証ではないiDeCo(個人型確定拠出年金)の運用は加入者が自ら行います。運用商品の中には元本保証でない投資信託も含まれます。運用がうまくいけば高い収益を得ることができる半面、場合によっては元本割れを起こす可能性もあります。ただ、iDeCoの毎月定額での運用商品の買い付けは長期で続けるほど平均購入単価が下がり、リスクを抑えることにつながります。小規模企業共済小規模企業共済とは、個人事業主や会社役員などが事業を廃止・会社を退職する際に、それまで積み立てた掛金に応じて給付金を受け取る退職金制度のことです。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営しており、全国で約132万人の加入者がいます。小規模企業共済の加入資格常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主および会社の役員小規模企業者たる個人事業主に属する共同経営者(個人事業主1人につき2人)一定規模以下の企業組合・協業組合及び農業組合法人の役員常時使用する従業員が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員なお、加入年齢の制限はありません。小規模企業共済の掛金毎月1,000円以上で500円単位で自由に設定可能で、上限は月額70,000円です。増額、減額も可能です。小規模企業共済のメリット積み立てた以上の金額が受け取れる事業の廃業や退職時に、それまで積み立てた金額を「共済金」として受け取ることができます。20年(240ヶ月)以上積み立てていれば、掛金の支払額以上の給付が見込めます。掛金が全額所得控除小規模企業共済の掛け金は全額、所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となります。受取時にも税制優遇小規模企業共済の共済金を受け取る場合、分割して受け取る年金方式と一括で受け取る一時金方式、または両者の併用から選ぶことができます。年金の場合は公的年金等控除、一時金の場合は退職所得控除の対象になります。契約者貸付制度あり払い込んだ掛金の範囲内で、無担保・無保証人にて事業資金の貸付けが受けられます。小規模企業共済のデメリット掛け捨てと元本割れのリスクあり納付月数が12ヶ月(1年)未満で解約となった場合は掛け捨てになります。また、加入期間が20年未満の場合は、元本割れしてしまいます。国民年金基金国民年金基金とは、国民年金の第1号被保険者が任意に掛金を拠出することによって将来の年金受給額を増やす制度です。各都道府県ごとに設立された「地域型国民年金基金」と、同じ職種ごとに全国規模で設立された「職能型国民年金基金」があります。国民年金基金の加入資格20歳から60歳になるまでの間の人で、国民年金の保険料を納めている第1号被保険者日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の国民年金任意加入被保険者国民年金基金の掛金掛金月額は加入時に選択した給付の型、口数、年齢、性別に応じて変わりますが、将来も一定です。国民年金基金のメリット掛金が全額所得控除国民年金基金の掛け金は全額、所得控除(社会保険料控除)の対象となります。将来、受け取る年金額が確定している国民年金基金では加入時の予定利率が将来にわたって変わらないため、将来受け取る年金は運用状況などによって変動することはありません。終身年金を選択できる国民年金基金に加入する場合、少なくとも最初の1口目は、終身年金を選択することが必要です。終身年金は一生涯、年金を受け取ることができます。そのため、長生きのリスクに対応することが期待できます。国民年金基金のデメリット一度加入すると解約できない国民年金基金への加入後は原則として解約できません。掛金の支払いが困難な場合は、減額や支払い猶予を利用できます。インフレ対応ができない国民年金基金の予定利率は加入時から将来にわたって変わらないと述べました。これは、将来の年金額が確定しているということであり、インフレによる物価上昇には対応できません。国民年金基金は遠い将来のための制度ですが、将来のインフレリスクに対応できないことは大きなデメリットといえます。自営業者の年金に関するまとめ自営業者の老後の公的年金は国民年金しかないため、それだけで生活していくことはほぼ不可能です。対策としては働けるうちは働き、働いている間に国民年金だけでは足りない部分を自助努力で準備することが考えられます。自助努力のために活用できる主な制度は、iDeCo(個人型確定拠出年金)、小規模企業共済、国民年金基金があり、それぞれにメリット、デメリットがあります。加入を検討する際は、自分が重視する点は何かなどをよく考えましょう。
2020年09月02日