便の異常とつらい腹痛が続く「潰瘍性大腸炎(UC)」とは?出典 : 潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis:UC)は、大腸の粘膜に炎症が起きて、びらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です。びらんも潰瘍も粘膜が傷ついた状態を指しますが、傷の深さが異なります。びらんは粘膜の表面がただれている程度なので、傷は浅く症状も比較的軽めです。一方で潰瘍は傷が深く、粘膜の深部まで傷が及んでいるので重症な場合が多いです。潰瘍性大腸炎は、病変の広がりや症状の重さなどによって下記のように分類されています。1)病変の拡がりによる分類:全大腸炎、左側大腸炎、直腸炎2)病期の分類:活動期、寛解期3)重症度による分類:軽症、中等症、重症、激症4)臨床経過による分類:再燃寛解型、慢性持続型、急性激症型、初回発作型炎症は一般的に肛門に一番近い直腸から広がっていき、その範囲によって大きく3つに分けられます。・大腸全体に炎症が広がる「全大腸炎」・直腸から大腸の左側部分(左側結腸)まで炎症が及ぶ「左側大腸炎」・直腸のみに炎症が起こる「直腸炎」潰瘍性大腸炎は完治が難しく、治療は、症状が一時的に軽くなる、もしくは消える「寛解」と言う状態を目指します。また、症状がおさまる寛解期(かんかいき)と、治療によって落ち着いていた症状が再燃する活動期を繰り返すのが特徴です。再び悪化する可能性もあるため、定期的な検査や寛解を維持する治療をしていく必要があります。潰瘍性大腸の患者数は増加傾向。男女比率や発症年齢は?出典 : 日本での患者数は毎年増えていて、平成25年度末時点では16万6,060人を超えました。その後も急速に増加し続け、潰瘍性大腸炎の患者数は指定難病の中で最も多くなっています。出典:潰瘍性大腸炎(指定難病97)|難病情報センター発症年齢のピークは男女ともに20代で、性別による差はありません。0歳から高齢者まで、どの年齢でも発症します。参考:特定疾患医療受給者証所持者数|難病情報センター潰瘍性大腸炎の症状は?重症になるとどうなる?出典 : 潰瘍性大腸炎で多く見られる症状は、便の異常(血便、下痢、軟便など)や腹痛です。「軽症」であれば、1日の排便回数も4回以下と少なく、下痢や血便の程度も軽いです。ただし「重症」になると、1日の排便回数が6回以上と多くなり、37.5度以上の発熱や体重減少、強い腹痛、貧血などの症状も現れます。潰瘍性大腸炎は、起きている間だけでなく寝ている間も症状が出るので、質の良い睡眠が取れなくなってしまいます。またトイレに自由に行けない環境に不安を感じる場合も多く、生活の質は著しく下がります。精神的に落ち込む人も少なくありません。ちなみに軽症と重症の中間の症状を「中等症」、重症よりもさらに重篤な状態を「劇症」と呼びます。劇症になると、38.5度以上の持続する発熱や1日に15回以上の排便などの症状が起こり、早急な治療が必要になります。出典 : 潰瘍性大腸炎になると、合併症を発症することもあります。合併症には、腸管(小腸・大腸)に起こる合併症と、腸管外に起こる合併症があります。腸管の合併症では、腸管に穴があいたり(穿孔:せんこう)、狭くなったり(狭窄:きょうさく)、大量出血したりといった症状から、中毒症状を引き起こす中毒性巨大結腸症などが見られます。これらの合併症が出た場合は、緊急手術が必要になる可能性が高いです。腸管外の合併症としては、皮膚症状、関節や眼の痛みがあります。例えば口内炎や関節炎、脊椎炎、結膜炎などがあり、全身に症状が現れます。手術率は、発症時の重症度と炎症範囲によって決まります。重症で炎症範囲が広いほど、手術率は高くなります。潰瘍性大腸炎の死亡率はきわめて低く、潰瘍性大腸炎の患者とそうでない人の平均寿命は大体同じです。ただし、重症の場合の早期手術、大腸がんの早期発見が重要です。潰瘍性大腸炎の原因は?ストレスや食生活の乱れは関係があるの?出典 : 潰瘍性大腸炎のはっきりとした原因は、いまだに分かっていません。しかし、潰瘍性大腸炎の炎症に白血球が関わっていることは確認されています。白血球は本来、体内に入ってきた異物を食べて体を守る働きをします。ところが、免疫機能の異常が起こると、白血球が自分の腸管粘膜を外敵だと判断して攻撃してしまいます。その結果炎症が起き、潰瘍性大腸炎の発症につながってしまうのです。どうしてこのような免疫機能の異常が起こるのかは不明です。最近では、遺伝的要因、食生活の変化、環境要因など、さまざまな要因が絡み合って潰瘍性大腸炎を発症すると考えられています。潰瘍性大腸炎の診断・検査出典 : 潰瘍性大腸炎の診断はたいてい以下の流れで行われます。1.症状の経過と病歴などの問診…便の状態、排便回数、お腹の調子、これまでにかかった病気を聞かれます。いつから調子が悪いのか、血便は出ているか、発熱はあったかなど、答えられるようにしておくことがポイントです。2.血液検査…炎症の程度や栄養状態を調べるために行われます。3.便潜血検査 / 便培養検査…便に血液が混ざっていないか、血便を起こす菌がいないかを調べます。4.大腸内視鏡検査や注腸X腺検査、腹部X腺検査など…どの部位まで炎症が広がっているのか、炎症状態はどの程度か、腸内ガスは溜まっていないかを調べます。これらの検査から総合的に診断されます。潰瘍性大腸炎とクローン病の違いは?出典 : 潰瘍性大腸炎と見分けにくい疾患としてクローン病があります。どちらも原因不明の慢性炎症性疾患であり、難病に指定されている病気です。患者数も増加傾向で、現れる症状(下痢、腹痛、体重減少)も似ています。潰瘍性大腸炎とクローン病の大きな違いは、炎症が起こる部位です。潰瘍性大腸炎は大腸のみですが、クローン病は口から肛門までのすべての消化管の部位に炎症が起こります。特に炎症が起きやすい部位は小腸や大腸ですが、どの消化管にも炎症が起こりうるのがクローン病です。発症年齢や男女比も違います。10歳代~20歳代の若年者に好発します。発症年齢は男性で20~24歳、女性で15~19歳が最も多くみられます。男性と女性の比は、約2:1と男性に多くみられます。また、クローン病は合併症が伴うケースも多く手術率も高い病気です。潰瘍性大腸炎と同様、再燃にも気をつけたい病気で定期的な検査が重要です。潰瘍性大腸炎では薬物療法がメイン。具体的な治療法は?出典 : 潰瘍性大腸炎の治療は、活動期にはまずは大腸の炎症を抑えて寛解させる治療を行います。症状が落ち着く寛解期には、寛解状態を維持して再燃させないための治療に移行します。・薬物療法と食事改善薬物療法では、大腸の炎症を抑える薬を使います。食事は、腸に刺激を与えるような食べ物や飲み物を控えることが重要です。例えば脂っこいものや香辛料は避けて、食物繊維を多く含む食品や発酵食品を摂取するようにします。・血球成分除去療法薬物療法で改善が見られない場合に用いられます。腕から抜いた血を専用の装置に通すことで、炎症を起こす白血球を取り除き、浄化された血を再び体内に戻す治療法です。1回の治療時間は1時間程度で、副作用に吐き気、発熱、頭痛などがありますが、一過性のものです。・手術(大腸の全摘出)最終手段として、切除手術が考えられます。大腸に穴があく(穿孔)、大量出血、重症なのに薬物療法や血球成分除去療法の効果がない、ガンの疑いがある場合などは、切除手術が必要な場合が多いです。術後は、潰瘍性大腸炎でない人とほぼ変わらない生活を送れます。潰瘍性大腸炎は再燃しやすい病気。普段から気をつけておきたいことは?出典 : 潰瘍性大腸炎は一度症状が良くなったと思っても、再び悪化することが多い病気です。ですが、自分に合った治療をきちんと続け、コントロールしていくことで、再燃させずに寛解を保つことができます。実際に、潰瘍性大腸炎にかかっていても、多くの人は仕事や学業を続けていて、妊娠や出産も可能です。再燃させないためには「質の良い睡眠」「規則正しい生活」が基本です。症状が落ち着いている寛解期に、食事の制限は特にありませんが、普段からバランスの良い食事を心がけておくと良いでしょう。腸を刺激しやすいアルコール、香辛料、脂っこい食べ物、冷たい飲み物、乳製品などはとり過ぎないようにして、よく噛んで食べるのも大切です。また発病後7、8年経つと、大腸がんを合併する可能性もあります。たとえ症状がなくても、1~2年に1回は内視鏡検査を受けることをすすめます。潰瘍性大腸炎は「医療費助成制度」を受けられる病気出典 : 潰瘍性大腸炎は国の指定難病に定められています。中等症以上の場合に限られますが、申請手続きをして認定されると「医療受給者証」が交付され、治療費の助成が受けられます。受給者証の有効期間は申請日から1年間で、医療費の自己負担割合が3割負担から2割負担になります。指定難病医に診断書を書いてもらい、お住まいの都道府県に指定難病であることを申請すれば手続きは完了です。所得や治療状況により、1ヶ月あたりの自己負担上限額が決まり、超過分は公費で助成されます。まとめ出典 : 潰瘍性大腸炎は原因不明の指定難病ですが、症状をコントロールできる病気の一つです。血便が出たり、排便回数が異常に増えたり、ひどい腹痛が襲ってきたりと、不安がつきまといますが、自分に合った治療を受けることで、再燃せずに過ごせる場合も少なくありません。治療には薬や手術だけではなく、普段の生活習慣(規則正しい生活リズム、バランスの良い食事)の見直しも有効です。中等症以上の患者さんは医療費助成制度を受けられるので、検討してみるのも良いと思います。
2018年06月11日ダイエット中の発病で大腸がんの発見が遅れた。急きょ手術したものの人工肛門に。しかしがんと向き合ったら、いらないものがはっきりして生活が身軽に――。 「肛門から数センチのところにがんができてしまったから、手術では肛門の周辺をまるで茶筒を抜くようなイメージで、ざっくり切除。その後、左右のお尻を強引につなぎ合わせたので、お尻の割れ目がなくなっちゃったんですよ」 開口一番にそう語るのは、マンガ家の内田春菊さん(58)。大腸がんが原因で、人工肛門の生活になるまでの経緯をまとめた『がんまんが』(ぶんか社)が注目されている。同作品の表紙に描かれている女性の左脇腹にある、赤いおできのようなものが目を引く。 「穴を開けた脇腹から、体内で切り離した大腸を出しているんです。ここから排せつできるよう、人工肛門の袋を装着しました。慣れれば、意外に楽なんです」(内田さん・以下同) 達観したように見えるほど、時にユーモアを交え、時に淡々と語る内田さん。内田さんは、’15年の年末から抗がん剤治療を開始。’16年4月、がんを切除するため手術に臨む。3時間半の大手術だった。 「人工肛門については、ほぼつけることになりそうだと聞いていましたが、一縷の望みを捨てたくないんですね。そういった意味では、覚悟はできていませんでした。だから入院当日に、人工肛門をつける場所を決めて、おなかにマーキングしたときは“なんで?まだ決まっていないのに”って」 現在、身につけている1枚800円ほどの使いきりの袋や、2日で1回くらい取り替える500円ほどのフィルターなどの器具は、これから一生涯使い続けることになる。 「でも、慣れれば着脱は簡単だし、排せつ物をためる袋は1日1回、取り替えるだけ。袋は中身の見えないタイプもあるんです。お風呂も普通に入れますから、まだ行っていませんが、温泉にだって入れます」 それでも、けがなどで四肢を切断したとき、切断した部分が痛むような“幻肢痛”に悩まされることもある。 「同じようなことを体験しました。おなかが痛くなると、ないはずの直腸あたりが痛むことはあったりします。でも、出る爽快感は味わえなくても、散々悩まされた便秘の苦しみからは解放されました。将来、介護生活になっても、おむつの取り替えの必要はないし下の世話は楽だなんて思ったりして(笑)」 患部も、息子が「梅干しみたい」と表現したそのままの形状だ。 「おなかから取り出した大腸の表面はクニャクニャしていて、お風呂に入ると色が白くなったり、体調を崩すと赤い点々が出てきたり。けっこう“表情”があって、今は愛おしい存在です」 自分の体を受け入れ“無理はしない”ことも心がけるようになった。依存症のように飲んでいたお酒も、やめてから1年ほどたった。 「医者から『がん患者にお酒までやめろとは言えない』と言われていましたが、飲みすぎは何しろ大腸に悪いし、絶対に再発は防ぎたいので。そもそも悩みを忘れるためにお酒を飲んでいましたが、それで解決するわけではないから。結局同じことで翌日はまた落ち込むんですね。だったら、最初から悩みに向き合い、受け流していけばいいんですね」 酒と同時に、これまで絶やさなかった恋愛も卒業。 「私の男性遍歴を知っている親しい友人からは『絶対無理でしょ』って言われますが。親からの虐待があって、そこで男性に愛情を求めていた部分もあったんですけどね。4人の子どもに恵まれたし、閉経して、もう出産することもないから必要ない気がするんですよ。がんになっていろいろ割り切れたから、酒も恋愛も捨てられました。人生で重荷だったことが2つも消えて、身軽になりました」 がんと共存していくなかで、これまでの悩みも小さく思えるようになった。そうすると、がんを前向きに捉えられるようにもなった。 「当初は人工肛門のことを描く自信はなかったし、迷いもありました。でも今では“大ネタもらっちゃったな”という思いです」 そして現在は、続編としてストーマ(人工肛門の総称)生活を描いた「すとまんが」を執筆中だ。 「今、がんになって改めて感じるのは、これまでと変わらず子どもに囲まれて、マンガを描けることが本当に幸せだということ」 自分の体に変化があったからこそ、当たり前と思っていた日常に幸せがあるのだと再確認できたのだった。
2018年04月08日「がんになり入院や治療で子どもと接することができなくなっても、ママらしいことをしてあげたい!」 医師として患者と接するなかで、そんなママのもどかしい気持ちを痛いほど感じてきた金城舞さん(38)。制限があるなかでも子どもに存分に愛情を注いでほしいと、昨年10月、NPO法人「がんのママをささえ隊ETERNAL BRIDGE」(以下・ささえ隊)を立ち上げた。 金城さんは福岡県内の大学病院に勤務する乳腺外科医。大学病院でのポジションは医員という、いちばん下の職制。乳腺外科医としてもこれから修業を積んでいこうという若手医師だ。病院内で患者のための活動を立ち上げるには時間がかかる。既存の組織内で新しいチャレンジは難しい。ならば、別の立場を作ってボランティアでサポートすればいいと切り替えた。それが「ささえ隊」だ。 8月末、福岡市東区の会場で患者のママと子どもが一緒に料理する「親子クッキング」のイベントがあった。午前10時から25人の参加者全員で調理開始。白地にお菓子柄のエプロンをつけた金城さんも、包丁やフライパンを手に奮闘した。できあがった料理を楽しげなおしゃべりとともに完食すると、午後から親子別行動。子どもは託児室で遊び、ママのほうは調理室の隅で輪になり。「かたりBa」を始める。 「かたりBaは、ママ同士で思いを吐き出す場所。私がアドバイスしたり、答えを与えたりするものではありません」(金城さん) がんのママたちが互いに共感することで生まれる力。それが病気と向き合うために大切だと金城さんは言う。 乳腺外科の第一線で、金城さんは、身の引き締まる思いでスキルアップに取り組んでいる。医師としての能力や技術はあって当然のこと。だから日ごろのトレーニングはもちろん、学会や研修、高名な医師の講習会などで勉強する。専門分野にとどまらず、患者とのコミュニケーションスキルを学ぶワークショップにも自発的に参加。 「心優しいだけのヤブ医者になってはいけない、そう自戒しています」(金城さん) 医師としての金城さんを知る人たちは、どんなふうに感じているのか。「舞先生の診察は、待ち時間が長いんです」と笑うのは菜々美さん(仮名・44)。現在、ささえ隊スタッフの彼女は、37歳で子宮がん、42歳で乳がんを患った。 「舞先生は一人一人の患者の話をじっくり聞いてくれるから、必然的に待ち時間が長い。でも、私は不満どころか、それがわかっているから逆にうれしいんです。私も診察中に泣くことが多かったけど、舞先生は時間を気にしたり、話の途中で切り上げるようなことは一度もしませんでした」(菜々美さん) 乳がん手術の日、不安に押しつぶされそうだった菜々美さんは、突然手の甲にぬくもりを感じた。金城さんが、静かにさすってくれていた。 「がんになったことは悲しいけれど、舞先生に出会えたことは一生の宝物です」(菜々美さん) 6歳と2歳の子どもを持つ優美さん(仮名・32)は昨年7月、ステージ3の乳がんと診断された。厳しい現実に心が折れかけたが、金城さんの言葉に助けられた。 「診察室に入ると、必ず子どものことを話題にしてくれます。『そろそろ入学式ですよね。本人はドキドキしていると思うから、ほめてあげてくださいね』とか。そのときの私は自分の体調のことで頭がいっぱい。でも、そういう言葉を聞くと、子どものことが後回しだったと気づかされる。母親としての平常心を取り戻せるんです」(優美さん) 検査結果や今後の見通しについては、医師ならではの冷静な、しかし温かい言葉をくれるという。 「『どんな治療にも絶対はない。再発するときは再発する。でもそれにとらわれず、治療中はお子さんとの時間を楽しんで』、そう背中を押してくれます」(優美さん) 「ママたちの不安を安心に、涙を笑顔に変えたい」と語る金城さんには、乳腺外科医として、目指すものがあるという。 「持てる能力すべて使ってよりよい医療を提供したいです。患者さんの中には、厳しい状況にある人もいます。でも、どんなに小さくても、必ず希望を与えたい。『一緒にがんばりましょう』。その言葉を忘れたくないですね」(金城さん)
2017年09月17日「がん治療に明るい光が見えています。がんと診断されてから5年後に生存する人の割合を示す『5年生存率』が、昨年より0.9%上昇。65.2%になりました(’17年8月・国立がん研究センター発表)。そのいっぽうで、がん患者へのアンケートから『働くがん患者の年収は、平均2割減少した』ことがわかりました。減少の理由は、休職、業務量のセーブ、退職がトップ3です。なかには『収入ゼロになった』人が18%もいて、『半分以下になった』人が47%に上ります(’17年8月・ライフネット生命保険調べ)。小林麻央さんなど、がんで命を落とす方もいて、がんへの恐怖はなかなかぬぐえません。しかし、経済的なことに限定すれば、制度を知って賢く利用することで、不安を軽減することができます」 こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。ただし、それらの制度は自己申告制。知らなかったために生活が困窮することのないよう、荻原さんが“がんの不安を軽減することができる”制度を解説してくれた。 【1】高額療養費制度 「医療費は収入や年齢によって、月々の負担上限が決まっています。たとえば、70歳未満の年収370万〜770万円の方なら、自己負担は月約9万円。それを超えて支払った医療費は、申請すれば返金されます。入院の場合は『限度額適用認定証』を受けておくと、医療機関への支払い自体が限度額になるよう計算してくれ、大金の支払いや返金手続きは不要です。詳しくは、病院窓口にお問い合わせください」 【2】医療費控除 「1の高額療養費制度での返金や民間保険の給付金などを差し引いても、年間の医療費が10万円を超える場合は、確定申告して医療費控除を受けましょう。医療費控除は、5年間さかのぼって申告することができます。体調が落ち着いてからでも間に合いますから、領収証はきちんと保管しておきましょう。先のアンケート調査でも、1の高額療養費制度は病院からの指導もあるようで、利用率が92%ですが、2の医療費控除の利用率は58%。忘れずに申告したいものです」 【3】傷病手当金 「会社員の方なら仕事を休んでも、給料の約3分の2が、最長1年半の間、傷病手当金として支給されます。パートの方なども、社会保険に加入していれば支給対象です。また、1年半を超えても病状が思わしくなく働けない場合は、障害年金が受給できることもあります」 これら公的支援を利用すると、医療費の自己負担はかなり抑えられる。東北大学・濃沼信夫氏の’10年の調査では、がん患者の医療費は平均101万円かかるが、公的支援や民間保険などの給付が平均62万5,000円あった。これを差し引くと、実質負担の平均は約40万円。思ったより負担が少ないと感じる人も多いのでは。 「昨年12月に、改正がん対策基本法が成立し、がん患者が働き続けられるよう配慮することが、事業主の責務として盛り込まれました。がんになったからといって、すぐに辞めないことが大切です。身近にも、がん治療をしながら働いている方が増えてきたように思います。制度などは企業の方針を待たねばなりませんが、私たちはできるだけの応援をしていきたいものです。日本人の2人に1人はがんになるといわれている時代です。お互いさまの精神で、助け合っていきましょう」
2017年09月01日乳がんを経験し、講演などの活動を行う女優の音無美紀子さん(67)と「がん哲学外来」理事長で、がん患者やその家族と対話し、生きる希望を与えている順天堂大学医学部の樋野興夫教授(63)。2人に1人が罹患する時代に、がんやがん患者とともに生きてきたお2人が、病いにどう向き合えばいいかを語り合った。 音無さんは’88年に乳がんが見つかり、当時標準治療だった全摘手術を受けた。手術後は、うつになり「死にたい」と苦しんだという。 音無「10時間に及ぶ手術、その後のリハビリと奮闘しましたが、抗がん剤の点滴治療のミスをきっかけに心を閉ざしてひきこもり状態に」 樋野「がん告知を受けた人の約3割に音無さんと同じようにうつ的な症状が現れます」 音無「眠れない、食べられない、何もできない。当時、そういうのは、心が弱い人がなる“ノイローゼ”だと思い込んで、恥ずかしくて病院にも行けなかった。告知されてからの闘病の苦しみ、『なぜ私が?』という恨みや未練も重なり、つらかった。いくら医療技術は進歩しても、人間の“心”は同じ気がしますね」 樋野「はい。医師には最先端の治療を確立することと、もう一つ『人間的な責任で手を差し伸べる』という使命がありますが、それが失われようとしています。そこで私は’08年に『がん哲学外来』を立ち上げました。患者さんとご家族に、『病気であっても病人ではない』『がんも単なる個性である』というような言葉の処方箋を出しています」 音無「言葉といえば、ある日、当時小学生だった娘の『ママなんで笑わないの?』の言葉にハッと気づかされたんです。左胸を全摘してから自分の体もそうですが、いっさい鏡を見られなくなったんです。鏡を見てみると口角も上がらないし、どう笑えばいいのかさえ忘れてしまっていて。娘に言われてから意識して鏡で笑顔をつくるようになりました。少しすると口紅もつけてみよう。美容室にも行こうと、徐々に元気になれました」 樋野「家族の『言葉の処方箋』に助けられましたね。私の哲学外来では一人1時間、カルテもなし。お茶を一緒に飲みながら話を聞いて対話するだけです。どんな病気なのか。なぜここに来たのかをじっくり聞くうちに本音を吐露していきます。自殺を考えていた人に『あなたには役割がある。存在には意味がある』と伝えると、自分ができることを探し始めます。その患者さんが自ら『メディカルカフェ』を開き、同じ苦悩する人の悩みに耳を傾ける人もいるんです」 音無「私自身、“心が重い日々”が続きましたが、一歩を踏み出すことで変わりました。うつで、夏休みに娘をどこにも連れていけないとき、『絵日記を書く材料がない』って言われたんです。娘は『ママと、目玉焼きをつくりたい』と言うから『それならできるかも』と、勇気を出してやってみたら『ママすごい』と娘が喜んでくれました。翌日、『じゃあ、おにぎりをつくろうか』と言って三角おにぎりをむすんだ私に『すごい』と娘が言ってくれて。本当に小さな一歩でしたが、これをきっかけに気持ちが回復していきました」 樋野「家族の接し方では、懸命に尽くすつもりが、気持ちの押し付けになる“よけいなおせっかい”が多い。ふだんは話もしないのに病気になると、途端に世話を焼く。それが患者の悩みや負担につながっています。そんな人に私は『偉大なるおせっかいであれ』と伝えます。同じ部屋にいて寄り添うだけでいいんです。夫婦でリビングに無言で1時間一緒にいる。“よけいなおせっかい”だと思われないように、お互いが一緒にいることで安心できる関係をふだんからつくっておきましょう。大事なのは相手に関心を持つこと。『後ろからじっと見守る』イメージです」 音無「私たちも仕事が忙しく、ふだんは対話の時間が多かったわけではないのですが、主人(俳優の村井國夫さん)は私が病気のことを人に言えずに苦しんでいることを見てくれていたようです。『もうさらけだせば』という思いが助けになりました。がんになって13年後、’01年に主人がテレビ番組でポロッと私のことを話したところ大反響で、それをきっかけに私も『徹子の部屋』に出演して闘病について告白でき、ようやくラクになりました」
2017年07月22日チューリップのリーダーでボーカルの財津和夫(69)が2日、公式サイトを通じて大腸がんであることを公表した。45周年メモリアルツアーのうち6月、7月の4公演を中止し、今後は治療に専念する。 公式サイトによると、5月下旬に腸閉塞の治療のために受けた精密検査で、大腸がんが発覚したという。 財津は、「しばらくの間ステージ活動を休ませて頂き、治療に専念させていただくことをお許しください」と謝罪するとともに「チューリップ45周年ツアーもラストスパートに差し掛かっていただけに心残りです。完走できなかった今回のツアーですが、来年にはチューリップの一員として新たなコンサートツアーを開始するつもりです。皆様とお会いできることを楽しみにしています」と復活を誓った。
2017年06月02日俳優のヒュー・ジャックマンが、再び皮膚がんの治療を受けていたことが分かった。2013年に皮膚の基底細胞がんと診断されて以降、過去数回にわたって鼻の皮膚の手術を受けているヒューだが、今回再び鼻に絆創膏を着けている自身の姿をツイッターに投稿し、医師団によって非黒色腫皮膚がんが発見されたことを明かした。ヒューは写真と共に「新たな基底細胞がんが見つかったよ。定期的な検診と素晴らしい医師団に感謝するよ。すべてはうまくいっているよ。この絆創膏を着けていると見た目は悪いけどね!みんな、日焼け止めクリームを塗るようにしてね」とツイートしている。ヒューは以前あるインタビューの中で「『がん』という言葉は聞くだけもショックを受けるものだよね。皮膚がんはオーストラリアで育った自分にとって珍しくないんだ」「がんについては落ち着いて対応するようにしたよ。基底細胞がんとはただ向き合わなくちゃいけないんだよ。これは悪性腫瘍だからね。どんどん症状が進行するんだ。だから僕らはただこれを取り除かなくちゃいけないんだよ」とコメント。また、「僕は3カ月ごとに検診にいっているところさ。まあ僕にとってこれは新しい習慣だけどね。医者はこれからも再発するだろうと言っているし、もし君がこの病気にかかることがないとしたらそれはラッキーだってことだよ」と語っていた。(C)BANG Media International
2017年02月15日2013年11月に鼻のてっぺんに皮膚がんの一種“基底細胞がん”ができ、手術で取り除いたことを公にしていたヒュー・ジャックマン。昨年2月9日(現地時間)に「(4回目の)除去手術を受けた」とSNSでファンに報告してからわずか1年、再び手術を受けたことを月曜日(現地時間)に明かした。過去、肩にも同じがんができて手術を受けたことも告白しているので、実に6回目の手術であった。今回SNSに掲載した、鼻にガーゼとテープを貼った自撮り写真は、昨年の手術時よりもずいぶんと痛々しい。ヒュー本人もその姿を気にしたのか、「ガーゼを貼っている方が貼っていない状態より見た目がひどい!」とコメントを添えている。「頻繁な検診と、素晴らしいお医者さんたちのおかげで、すべて順調だよ。とにかく日焼け止めを塗ってね!」といつものようにファンに日焼け止めの必要性を訴えた。アメリカの皮膚がんに関する慈善団体「スキン・キャンサー・ファンデーション」によると、アメリカにおいて基底細胞がんは、年間300万人が診断を受けているという、珍しくないタイプのがんだそうだ。また、外科的手術で早々と対処すれば、転移することはほとんどないとのこと。(Hiromi Kaku)
2017年02月14日メディカルメイクアップアソシエーションはこのほど、「がん患者と一般生活者のがん治療における見た目の悩みに関する意識調査」の結果を発表した。同調査は2017年1月、がんの化学療法による治療を行っている・または治療を経験した515名と一般生活者520名を対象に、インターネットで実施したもの。がんの化学療法による治療を経験した人に、外見面でどのような変化が生じたか聞くと、58.3%が「頭皮の脱毛」と答えた。「皮膚の変色/色素沈着」「むくみ」「爪の変形」は約3割が経験している。がんの化学療法による治療を経験し、社会復帰をするにあたって困ったことを尋ねたところ、もっとも多かったのは「体力面の変化」(67.9%)だった。また、全体の48.5%が「外見の変化」と答えている。特に女性では59.5%と、約6割が外見の変化に困ったと回答している。がんの化学療法による治療を経験し、外見面に変化が生じたことで日常生活にどのような影響があったか尋ねたところ、「日常生活の活動に対してモチベーションが下がった」(38.3%)、「外出をためらうようになった」(36.8%)が多かった。がんの化学療法による外見の変化について、周りの人にはどのように接してほしいか聞くと、男性の74.9%、女性の70.6%が「これまでと変わりなく接する」と答えた。一般生活者に、身近な人が化学療法によるがんの治療(抗ガン剤治療)中に外見の変化を経験した場合、どのように対応するか尋ねたところ、「外見の変化があったとしても患者に変わらずに接する」が54.2%でもっとも多かった。一方で、「外見に触れないようにする」(36.0%)など、意識してしまう人も見られた。がんの化学療法を行った人を対象に、外見の変化に対して、対策をとっているか尋ねたところ、55.3%が「やっていない」と答えた。「やっている」と答えた人に具体的な対策方法を聞くと、女性は「医療用ウィッグ」、男性は「肌のケア」が最も多い結果になった。皮膚の変色に対しメイクアップをした結果、どのような変化があったか聞くと、47.5%が「精神的に明るくなった」、45.0%が「外出が積極的にできるようになった」と答えた。がんの化学療法による外見の変化に対応する方法について、どのように情報収集したか聞くと、女性では「インターネット検索」(50.0%)が多かった。情報収集の際に感じた課題について尋ねると、「治療についての情報を優先するため聞きづらい」(46.4%)、「どこで探していいか分からなかった」(37.7%)という回答が多くなっている。治療中の人に、がんの化学療法による外見の変化の悩みについて、もっと知りたいものを尋ねたところ、「適切な肌のケア」(46.8%)、「爪のケア」(44.3%)、「医療用ウィッグ」(39.2%)が多かった。
2017年02月13日質問:がんのごく初期でも何か自分で分かるようなサインはないのでしょうか?父方、母方両方の3親等以内の親族にがんで亡くなった方が複数います。皆さん気付いた時にはすでに手遅れ、というレベルでした。私自身も常に気を付けて検診も受けてはいますが、ごく初期でも何か自分で分かるようなサインはないのでしょうか?例えば、胃がんや大腸がんなどは全く無自覚のまま進行してしまうものなのでしょうか?東京都:そらまめさん(42)回答:「がん」の初期症状についてお答えします。――がんの初期症状として見られる症状親族にがんの患者さんが多いおうちを「がん家系」と呼びますね。確かにがんの中には遺伝性が強いものもありますが、ほとんどは体質(遺伝)と環境の組み合わせによって発症するといわれています。もちろん純粋に「○○がんになりやすい体質」というのもあるでしょうが、それ以外に家族の中で食習慣や運動習慣などを共有することが多いため、同じ部分に負荷がかかりやすい、ということもあるでしょう。がんの初期症状として見られる症状について、簡単にご説明したいと思います。ひと口にがんの初期症状といっても、場所により症状の出方が大きく異なりますので、今回はご質問にあった胃がんと大腸がんについて、お話ししましょう。1.胃がんもともと日本人に多いとされてきたがんですが、近年減少傾向にあります。初期症状としては、食欲不振、吐き気、胸やけ、胃部不快感、黒色便(胃からの出血の可能性があります)、体重減少、貧血などが挙げられます。症状自体、普段でもよくみられることなので、見分けがつきにくいことがありますが、何日か続くようなら胃がん、あるいは胃炎や胃潰瘍の可能性があります。2.大腸がん食生活の欧米化とともに最近増えてきているがんの一つです。本当に早期のがんは、便潜血が陽性であったり、他の病気で内視鏡検査を行って偶然見つかったりすることが多いようです。少し進行すると、便秘がちになる、便に血が混じる、便秘と下痢を繰り返す、下痢便しか出なくなる、貧血といった症状が出てくることがあります。早期の大腸がんでは自覚症状が出にくいので、40歳を過ぎたら定期的に健診を受けることが大切です。<定期検診の重要性>ご相談者さまはいつも検診も受けていらっしゃるとのこと、これは本当に大切なことですのでぜひ継続してください。多くの場合、検診を定期的にきちんと受けていれば、手遅れになるまで見つからないということはあまりありません。がんの初期症状は、自分の身に起こるとなかなかそれとは気付きにくいものです。何か変だなと思ったら、早めに受診してくださいね。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:男女・年齢などでがんになる確率は違うものなのでしょうか?祖父をがんで亡くしており、義父にもがんが見つかりました。医療の進歩により、かつては致命的だった他の病気などで命を落とすことが少なくなった分、がんになる確率はとても高いと思いますが、男女・年齢などで確率は違うものなのでしょうか?がんの治療は昔と比べてだいぶ進歩していると聞きますが、治療で助かる人と助からない人の違いはありますでしょうか?また、治療にお金をかければかけるほど治りやすくなるものでしょうか?東京都:たもさん(32)回答:「がん」についてお答えします。――性別や年齢で「がん」になる確率は変わるのか?ご家族にがんにかかられた方が複数いらっしゃるということで、ご心配でしょうね。やはり、身近でがんの宣告・闘病を目の当たりにすると、いろいろな不安や疑問も湧いてくるかと思います。ご相談のなかに複数のご質問があるようなので、ひとつずつお答えしたいと思います。まず、性別や年齢などでがんになる確率は異なるのかというご質問についてですが、これは大きく異なるというご返答になるかと思います。最近発表された日本の統計によると、がん全体で見ると男女とも50歳前後からがんにかかられる方が増加し、高齢になるほど確率が上がります。また、30代の後半から40代では女性の方がややがんの罹患率が高いのに対し、60代以降になると女性よりも男性の罹患率の方が明らかに高い、という特徴もあるようです。また、がんの種類についても、食道がん、胃がん、肺がんなどは男性に多い傾向があり、女性はがんのなかでも肺がんや大腸がんなどに加え、乳がん、子宮がん、卵巣がんなどに罹患される方が多くおられます。従って、年齢によってがんの罹患率は大きく異なりますし、男女でもがんの確率や部位などはやや差がある、ということはいえるかと思います。<「がん」は早期発見・早期治療が大事>次に、治療で助かる人と助からない人の差についてのご質問ですね。これは、非常に難しいご質問ですが、主に治癒率、生存率の差は、がんの種類とステージ、つまり進行度によって変わってきます。確かにおっしゃるように、医学は日々進歩しており、例えば胃がんの場合では胃の粘膜下層と呼ばれる比較的浅い層までにとどまっているがんであれば、9割以上という高い確率で治癒が望めます。しかし、全身に転移が広がっている症例では1割前後とかなり厳しい生存率になります。従って、がんの早期発見、早期治療が、治療で助かるための一番のポイントということになります。また、お金をかけるほど治りやすくなるのか、ということに関しては、日本では多くのがん治療が保険診療で行われており、お金を多くかければ治療に変化がある、という状況ではありません。ただ、一部保険適用になっていない治療法を自費診療で行っている医療施設もありますし、患者さんによっては日本で行っていない新しい治療法を試みるために海外に渡航される方などもいますので、お金をかけることで、選択肢としては広がるかもしれません。ご参考になれば幸いです。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:がんは遺伝すると聞いたことがあります。生活習慣が異なってもがんは遺伝するのでしょうか?現在、第一子を妊娠中の30歳です。夫の母がぼうこうがんに、私の母が卵巣がんになり、手術は成功したものの、転移の恐怖や、後遺症で苦しんでいます。がんは遺伝するとも聞いたことがあります。実際のところ、生活習慣が異なっても遅かれ早かれがんは遺伝するのでしょうか?愛知県:とちおとめ♪さん(30)回答:「ぼうこうがん」と「卵巣がん」の遺伝性についてお答えします。――「ぼうこうがん」の遺伝性ご妊娠中とのことで、おめでとうございます。また、義理のお母さまがぼうこうがん、実のお母さまが卵巣がんにかかられたということで、大変でしたね。がんの原因に関しては、さまざまな研究が進められていますが、子宮頸がんなどのようにウイルスとの関連がある程度明らかになっているものもありますが、多くは遺伝的なものと生活習慣の組み合わせで生じるものとされています。義理のお母さまがかかられたぼうこうがんに関しては、遺伝性のものは少ないとされており、喫煙との関連性が非常に高いといわれています。それ以外に、特定の染料を使う職業や皮革製品の製造などに携わる人の発症率が高いことも指摘されていて、職業による発がんも見られるとされています。<「卵巣がん」の遺伝性>一方、お母さまがかかられた卵巣がんに関しては、一部遺伝性があることがはっきりしています。およそ5~10%の卵巣がんは、「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」によるものと考えられており、BRCA1遺伝子、BRCA2遺伝子という遺伝子の変異が関与するといわれています。これらは、遺伝子検査で調べることができます。遺伝性乳がん卵巣がん症候群が疑われる場合としては、若くして乳がんを発症していること、両方の乳房に乳がんを発症すること、乳がんと卵巣がんの両方を発症すること、家系内に乳がん・卵巣がん・すい臓がん、または男性の乳がんの患者さんがいるなどといったケースが挙げられます。ご相談者さまの場合は、家系内に卵巣がんの患者さんがお母さまだけであり、ある程度お年を召してからの発症ということならば、遺伝性のものである可能性はそう高くはないでしょう。ご心配であれば念のため検査を受けてもよいかもしれません。また、卵巣がんは原因がはっきりしないものが多くを占めますが、初経(初潮)が早かった人(12歳以下)、閉経が遅かった人(55歳以上)、30歳以降に出産した人、妊娠や出産経験がない人、排卵誘発剤による不妊治療を受けた人などが、相対的にリスクが高いとされています。がんの多くは遺伝性ではありませんし、その後の生活習慣が発症に大きな影響を与えると考えられています。食事のバランスや運動習慣、生活のリズム、禁煙などに気をつけて生活することで多くは予防できると思われます。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:がんは遺伝するものと聞くのですが、わたしにも同じ部位に遺伝でがんができますか?先日祖父が脳梗塞で倒れました。幸い脳梗塞は軽いもので、発見も早かったので大事には至りませんでしたが、詳しく検査してみると胃がんが発見されました。ある程度進行したがんのようで、祖父は胃を全摘出する手術を受けました。がんを摘出したことにより、祖父は元気を取り戻し、今では以前より元気に過ごしております。がんは遺伝するものとよく聞くのですが、わたしにも同じ部位に遺伝でがんができるものなのでしょうか?福島県:クローバーさん(26)回答:「がん」の遺伝性についてお答えします。――「がん」の遺伝性おじいさまが脳梗塞で倒れられて、脳梗塞は軽症であったものの、検査によって進行胃がんが発見され、胃の全摘手術を受けられたということですね。短期間の間に大きな病気に二つもかかられて、ご本人はもちろんのことご家族も大変に心配されたことでしょう。ご質問いただきました、がんの遺伝性についてお答えしたいと思います。がんには数多くの種類がありますが、発生するがんの中で明らかに遺伝によるものと認められるのはわずかに約1%であるともいわれます。ずいぶん少ないように思いますが、実際には同じ家族の中で数人が同じタイプのがんにかかったという話を耳にすることも多いですよね。では、なぜ同一家系内に同じがんが多いような印象があるのでしょうか。これは、食事の好みや運動習慣をはじめとする生活習慣が、家族や親戚内で共通する場合が多いためと考えられています。多くのがんはいわゆる遺伝子による遺伝と、環境・生活習慣の微妙なバランスで発生することがわかっています。家族として生活していると、どうしても食事や運動習慣などの選択基準や好みは似通ってくることが多いものです。<「がん」の予防法について>がんのなかでも、胃がんは、スキルス胃がんと呼ばれる若年女性に多いタイプを除き、遺伝性よりも食生活やピロリ菌感染の有無の方が発病に関連が深いとされています。具体的には、塩分量の多い食事を避け、野菜や果物を多くとり(一日400g以上が望ましいといわれています)、熱い食べ物や飲み物は避け、またピロリ菌が陽性の場合はしっかり除菌を行うことで、ご家族に胃がんの方がいても多くの場合、胃がんを予防することができると考えられています。また、過度のストレスは万病の元になります。忙しい現代においてなかなか難しいこととは思いますが、できればある程度若いうちに、心からリフレッシュできるストレス解消法を見つけておきたいものです。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日日本人が昔から食べてきた「大麦」には、からだの調子をととのえる栄養素がたっぷり。近年ではそのヘルシー効果が注目され、グラノーラやお菓子など、さまざまな食品に活用されています。そんな大麦がパワーアップし、より健康的なからだづくりに役立つ食材として進化したのが「スーパー大麦」です。スーパー大麦はいったいどんなところが「スーパー」で、からだにどんなプラスをもたらしてくれるのか、農学博士で大麦研究の第一人者でもある青江誠一郎先生に教えていただきました。お話をうかがったのは…青江誠一郎(あおえ・せいいちろう)先生農学博士。大妻女子大学家政学部教授、家政学部長。「腸の奥からの健康を考える研究会」委員。穀類をはじめとする食品研究の第一人者。機能性食品の検証などの研究もおこなう。■オーストラリアが健康のためにつくりあげた「スーパー大麦」―最近、女性を中心に大麦を使った食品が人気のようです。そもそも、大麦にはどんな健康効果があるのですか?(青江先生)大麦には、腸内にすむ細菌のエサになったり、余計な油の吸収を抑えたりする「水溶性食物繊維」が豊富に含まれています。私たちが主食としているお米や小麦にもわずかに含まれていますが、主に粒の外層にあるため、精米や精麦するときに削られて減少してしまうのです。同じ穀物でも、大麦は粒の中央部分にまで「β‐グルカン」と呼ばれる水溶性食物繊維がぎっしりとつまっているのが大きな特長です。食べるところにまんべんなく水溶性食物繊維がたっぷり含まれた穀物は、他にはありません。β‐グルカンには糖や脂肪の吸収を抑えて血糖値を上がりにくくしたり、内臓脂肪を減らす働きがあります。さらに、大腸までいくと腸内にすむ細菌のエサになります。また、大腸でも血糖値の急上昇を抑えたり、食べすぎを抑えたりするホルモンを増やす働きをします。―従来の大麦でも、からだにさまざまなメリットをもたらしてくれるのですね。その上を行くという「スーパー大麦」は、従来の大麦とどう違うのですか?(青江先生)スーパー大麦には、大麦の大きな特長であるβ‐グルカンに加え、「フルクタン」、「レジスタントスターチ」と呼ばれる2種の食物繊維が豊富に含まれています。フルクタンはごぼうやチコリなどにも含まれるさらっとした水溶性食物繊維の一種です。レジスタントスターチは「第3の食物繊維」とも呼ばれ、水に溶けにくくゆっくり発酵するため、大腸の奥のほうまで届いて腸内細菌のエサになる成分です。ご飯を冷やすことでもできる成分ですが、ほとんどの人がご飯は炊き立てのほうがおいしく感じるでしょうし、冷えたご飯を食べても多くは摂取できませんから、普段の食事でレジスタントスターチを意識して摂ることは、なかなか難しいのです。そんなレジスタントスターチに早くから着目し、研究を進めているのがオーストラリアです。オーストラリアでは、大腸がんの罹患率(りかんりつ)の増加が社会問題となっていました。この問題を解消するには食物繊維が豊富な食材を見つけることが大切と考え、もともと水溶性食物繊維が豊富な大麦の改良を重ね、10年以上もの年月をかけてレジスタントスターチが従来の大麦の4倍、フルクタンやβ‐グルカンといった水溶性食物繊維を2倍含むスーパー大麦を開発しました。 ■大腸の奥までケアする、3つの食物繊維の「3段ロケット」―国民の健康のために、国がおすすめしている食材と聞くと、説得力があります。では、スーパー大麦を食べると、大腸のなかではどんなことが起こるのですか?(青江先生)図を見ていただくと、わかりやすいと思います。食物繊維は種類によって、腸内細菌に食べられる速度が違います。まずフルクタンは、大腸の入り口付近にすむ細菌のエサになります。すると、エサを食べた細菌は専門的な言葉ですが「短鎖脂肪酸」(たんさしぼうさん)という酸を産生します。この酸は、大腸の細胞自体を強くしたり、からだによい働きをする菌(善玉菌)がすみやすい環境をととのえたりすることが、近年の研究で分かっています。大腸の中間まで届いたβ‐グルカンが腸内細菌のエサになり、ここでもフルクタンと同じように短鎖脂肪酸が産生されます。また、先にお伝えしたように、ここでも食べすぎや血糖値の急上昇を抑えるホルモンの分泌を促します。そして、水に溶けにくく発酵が遅いため大腸の遠位部まで届き、そこに多くすむ腸内細菌のエサになるのが、レジスタントスターチです。大腸の入り口、中間、奥とすみずみまで、3段ロケットのようにケアできるのが、スーパー大麦ならではの特長です。これまでは、3段階目にあたる「大腸の奥までエサを届かせる」ことが難しかったため、大腸の奥はからだにとってよくない菌(悪玉菌)が優位なケースがありました。そこに善玉菌のエサとなるレジスタントスターチが届き、短鎖脂肪酸が産生されると、善玉菌は過ごしやすく、悪玉菌は居心地が悪くなります。その結果、腸内細菌の勢力図が変化し、からだにとって好ましいバランスにととのうのです。■肌トラブルは悪玉菌がつくりだす腸内毒素が原因?―なるほど、3種の食物繊維が3段ロケットとなって大腸をケアしてくれるのですね。ちなみに、悪玉菌が優位な状態が続くと、からだにはどんなことが起こるのでしょう。(青江先生)悪玉菌は腸内毒素をつくります。その毒素が肌荒れや各器官に炎症を引き起こしたり、近年ではメタボリックシンドロームの原因にもなることがわかっています。便秘の方は、排出されるべき毒素が大腸にとどまっているわけですから、毒素がどんどんたまり、肌トラブルも起こりやすくなってしまうのです。また、腸内細菌がエサを食べると産生する短鎖脂肪酸のひとつ「酪酸」には、大腸自体を丈夫にする役割もあります。酪酸がつくられていないと大腸の壁がゆるんで隙間があき、そこから毒素が漏れてからだのあちこちに回ったり、外からよくないものが入ってきやすくなったりします。つまり、腸内毒素の発生自体を減らす意味でも、大腸を丈夫にしてからだに回るのを抑える意味でも、大腸でよい働きをする腸内細菌にきちんとエサを届かせて、短鎖脂肪酸をつくってもらうことがとても大切なのです。レジスタントスターチが大腸の奥に届き、悪玉菌がおとなしくなると、便秘はもちろん肌トラブルやさまざまな大腸疾患の予防、メタボ対策にもつながることが期待されます。 ■ダイエット効果も期待! 糖、脂質の吸収をセーブするサインとは?―大腸の壁がゆるくなる、というのは大変衝撃的です…。ところで、女性としては大麦に含まれるβ‐グルカンの作用でお話くださった、糖や脂質へのアプローチについても気になっています。(青江先生)β‐グルカンはネバネバとした水溶性食物繊維で、余計な糖や脂質をつつんで吸収しにくくする特性があります。これは、大麦やスーパー大麦を食べて、小腸に達しているときの働きです。さらに、食べてしばらく経ち、大腸に達すると腸内細菌のエサになることもお話しました。このとき産生される短鎖脂肪酸が、「次の食事も食べすぎないようにしよう」、「糖や脂質の吸収を抑えよう」といったからだのサインにもなるホルモンの分泌に影響を与えています。たとえば、朝スーパー大麦を食べれば、その直後には小腸で糖や脂質の吸収を抑え、さらに大腸では菌のエサになり、その後も昼食を食べる量や、糖、脂質の吸収をセーブすることが可能で、ほぼ1日中効果が持続します。腸のケアと同時に、自然と体重や脂肪も落ちやすくなるわけです。年齢が若い人の多くはすぐに体重の減少がみられますし、高齢の方でも2~3ヶ月スーパー大麦を摂取することで変化があらわれましたよ。―大腸をととのえれば、からだの内側の健やかさはもちろん、体型の変化など目に見えるビューティまで叶えられそうですね。貴重なお話を、ありがとうございました!■スーパー大麦を実際に試してみて大麦が本来持つβ‐グルカンに加え、フルクタンや日常の食事では摂りづらかったレジスタントスターチが豊富に含まれていて、大腸の奥まできちんとエサとして届くことが、スーパー大麦が「スーパー」たるゆえんです。そして、大腸がととのえばおなかやお肌のコンディションの向上はもちろん、病気の予防や、自然と脂肪がつきにくいからだにととのったりと、うれしいことがたくさんです。わたくしごとではありますが、長年便秘に悩まされていた筆者も、スーパー大麦を試している期間はうそのようにすっきり! を実感できたひとりです。次はあなたのからだで、スーパー大麦の実力をリアルに体感してみてください。 [PR]腸の奥からの健康を考える研究会
2016年10月18日乳がん闘病中のフリーアナウンサー・小林麻央が13日、自身のブログを更新し、「がんこな人はがんになりやすい」と言われていることについて、「私も、たぶん、がんこです笑」と明かした。麻央は「今日、乳がんの方と会って、お話しをしたのです!私にとっては、初めてのことです」と報告。「同じ病でも病状によって、全く違いますし、同じ治療をしていても、副作用の出方によって、全く違います」とした上で、「でも、今日は、そういうところを超えた、心のお話しができて、とても癒されました」と伝えた。そして、「がんこな人はがんになりやすいと、よく聞くけれど、私も、たぶん、がんこです笑」と打ち明け、「主人には不動明王ならぬ、不動麻央(まおう)と呼ばれます」と夫で歌舞伎俳優の市川海老蔵とのやりとりを告白。「もっと心を柔軟に解放してあげたいです」と記した。さらに、「いつも思っていたことがあるのです。主人は、縛られるものが多いのに、いつも自由です。私は、自由なのに、いつも何かに縛られています」と夫と比較。「『結婚しても、あなたの人生だから、あなたの好きに生きてください』と、言われたのを思い出します」と振り返り、「自分の本当の『好き』を見つけるつもりです」とつづった。
2016年10月14日がんは今や誰にとっても他人事とはいえない病気。国立がん研究センターが発表した「2016年がん統計予測」によると、2016年のがん罹患数予測は101万200例(男性57万6,100例、女性43万4,100例)で、昨年よりも約28,000例増加しているといいます。今回ご紹介する『がんは治療困難な特別な病気ではありません!』(真柄俊一著、イースト・プレス)の著者は「がんと食」「自然治癒力」を軸に置いたがん専門クリニックで多くの患者さんのがんを治すのに成功しています。そこで本書の中から、あまり知られていないがんに関するデータをご紹介します。■日本と欧米の「がん死亡率」には大きな差があるイギリス、フランス、アメリカ、日本の「がん死亡率」の推移を比較すると、1950年の時点では、日本人のがんでの死亡率は最も少なく、トップのイギリスの40%程度でした。その後各国ともに死亡率が上昇しますが、1990年頃を境に日本以外の3カ国はがん死亡率が軒並み下がり始めます。しかし日本だけはぐんぐん死亡率が上昇し、90年代半ばでアメリカを抜き、2000年代に入るとフランスを抜き、主要先進国の中でがん死亡率が1、2を争う国になってしまいました。もし他の3つの国のように日本も死亡率が下がっていたとしたら、10万人以上が亡くならずにすんだという計算になります。■アメリカではがん死亡率が20%も減少しているアメリカでは1970年代から国をあげてがんの対策を行ってきました。そのため、1990年を境にがん死亡率が年々減少しています。アメリカがん協会は2013年版の発表で、ピークとなった1991年から20%減少したと述べています。著者は、日本とアメリカではがん医療の違いがはっきりあるといいます。日本では臓器転移のあるがんの場合、治癒は困難で「がん放置療法こそが最善である」という風潮があります。しかし、アメリカの医療現場でそんな指導をする医師がいれば、医師免許が剥奪されてもおかしくありません。■肉の発がん性はタバコ並みに高いことが明らかに2015年10月、IARC(国際がん研究機関)が「肉にはアスベストやタバコ並みの発がん性がある」と発表しましたが、うやむやのうちにこの話題は消えてしまいました。しかし、WHO(世界保健機関)の傘下であるIRACが肉や肉加工品の発がん性をはっきり認めたということは極めて重要です。動物性食品の危険性に関する研究は進んでおり、イギリスの研究論文では「赤身肉の大量消費は体内のDNAにダメージを与え、がんの発生を引き起こす」と発表しているのです。■じつは移民労働者は高齢者ほど元気に生きているイギリス王立会議の医師トロウエル博士は、「先進国民は動物タンパク狂」だと指摘しています。肉食中心の食生活が現代病の原因だということです。同じように食生活と病気の発生について指摘している医師は大勢いるといいます。1972年にアメリカ人医師がハワイに赴任した際、ハワイの農園で働く日系人は高齢者ほど元気だということに気づきました。アメリカ本土では同じ年代の老人たちは心臓疾患やがん、リウマチなどの何かしらの病気を抱えているのが普通でした。しかし、ハワイの農園で働くアジア系の高齢者たちは病気とは無縁。90歳になっても元気に働いている人もいました。ところが、そんな移民の人たちも第2世代になるとやや不健康、第3世代以降では本土のアメリカ人と同様、肥満や糖尿病、心臓病などを抱えていました。さらに彼らの食生活について調査すると、上の世代では出身地で食べていた米と野菜を多く食べていたものの、子どもたちの世代になると食生活が欧米化していました。やがて食事を植物性食品から動物性食品に変えるととたんに病気になるとわかりました。実際、彼のもとを訪れた乳がん患者が動物性食品と油脂分をやめ、穀物は全粒粉、果物や野菜を多くとる食事に変えたところ、がんを克服し、トライアスロン選手になって30年経った今も活躍しているそうです。*本書では病院で治らないといわれたがんが「自然療法」によって完治した事例も掲載されています。がんには特効薬がなく、未だ解明されていないことも多いです。しかし、いつ誰がかかってもおかしくない病気だからこそ、最新の情報やデータをチェックしておきたいものです。(文/平野鞠) 【参考】※真柄俊一(2016)『がんは治療困難な特別な病気ではありません!』イースト・プレス※2016年のがん統計予測-国立研究開発法人国立がん研究センター
2016年10月11日俳優のベン・スティラー(50)が、2年前に前立腺がんと診断されていたことを明かした。医者に前立腺がんと診断された際、ベンはその予期せぬ診断にあっけに取られたという。4日にラジオ局シリウスXMの『ザ・ハワード・スターン・ショー』に出演したベンは「予期していなかったよ。そんなこと考えたこともなかったんだ」「まずはじめに一体何が起きるのかわからなかった。だからすごく怖かったね。全てが止まってしまったよ。だって将来何があるのかわからないから、映画に出演する計画も立てることができないからね」と当時の胸中を語った。ベンが前立腺がんの闘病生活について明かすことを決めた理由は、前立腺がん抗原検査を受けることへの意識を高めるためだという。妻クリスティン・テイラーとの間に娘エラ(14)、息子クイン(11)を持つベンは「前立腺がん抗原検査について話したかったんだ。このテストによって僕の人生は救われたと思うからね」「死亡する原因となるがんの中でこれは2番目なんだけど、完治することのできる可能性が高いがんの1つでもあるんだよ」と続ける。そんなベンは、『スクール・オブ・ロック』のマイク・ホワイトが脚本を手掛け、ブラッド・ピットの製作会社プランBがプロデュースを務める新作コメディ映画『ブラッズ・ステイタス』に出演することが決まっている。同作品の中でベンは、幸せな家庭を築き、素晴らしいキャリアを持ちながらも昔の同級生の生活に嫉妬心を抱く主役のブラッドを演じる。その一方でベンは、ダスティン・ホフマンとアダム・サンドラーと共演した『ザ・マイロウィッツ・ストーリーズ』の撮影が終了したばかりだ。(C)BANG Media International
2016年10月06日こんにちは。心理食育インストラクターのSAYURIです。昔から旬の食材はおいしいだけでなく、その季節の人間の体調に合った栄養素がたくさん含まれていて、とても体に良いと言われています。ママが買い物に行ったときに、旬の果物は比較的手に取りやすいもの。しかし、魚はどうでしょう?残念なことに、“魚食クライシス ”という言葉があるほど、日本人の魚離れは進んでいます。「調理が面倒」「ニオイが嫌」「骨があるから食べにくい」その理由はさまざまですが、もし魚を食べる習慣が大腸がんの予防に繋がるとしたらどうでしょう?今回はイギリスの医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』の消化器病学専門誌『Gut』に発表された研究報告をもとに、魚を食べるメリットをご紹介したいと思います。●日本人女性の死亡原因トップは大腸がん報道では女性タレントや有名人の乳がんのニュースが多いため、つい乳がんばかりに意識が向きがちですが、実は女性の死亡原因のトップは大腸がん 。患者数こそ1位の乳がん(73,997人)に次いで2位(57,210人)となっていますが、それだけ死亡率が高いとも言えます。●大腸がんの死亡リスクが41%も低い!アメリカ人17万人以上のデータをもとに、大腸がんの発症について研究したところ、鮭やまぐろなどの魚に含まれるオメガ3脂肪酸を1日0.3g以上摂ると、1日の摂取量が0.1g未満の人と比べて死亡リスクが41%も低くなる ことが分かったと言うのです。この研究はアメリカで行われたため、さんまについては明記がありませんでした。調べてみると、大腸がんの発症を抑えると言われるオメガ3脂肪酸の含有量は、鮭では100gあたり0.92g、まぐろ赤身で0.17g、まぐろ脂身で5.81g、さんまで3.78g。さんまはまぐろの脂身に次いで非常に多い含有量を誇っています。まぐろの大トロはお財布にちょっと厳しいかもしれませんが、旬のさんまはお財布にも優しい上に、栄養価も高いため積極的に摂って欲しいと思います。もし、小骨が気になるなら圧力鍋で煮魚にすれば骨ごと食べられるので、カルシウムまでしっかり摂ることができます。値段が高いと言っても、1匹200円ほど。コンビニスイーツのことを思えばそんなに高くはないのではないでしょうか。オメガ3脂肪酸には大腸がんの予防だけでなく、女性に嬉しい脂肪燃焼促進効果 もあると言われているので、ぜひ積極的に食べてくださいね。【参考リンク】・がんの部位別統計 | 日本対がん協会()●ライター/SAYURI(心理食育インストラクター)
2016年09月22日今月5日に大腸ポリープの切除手術を受けた歌手の和田アキ子(66)が18日、TBS系バラエティ番組『アッコにおまかせ!』(毎週日曜11:45~12:54)に生出演。「きょう13日ぶりに飲む」と宣言した。和田は、「私事ですけど、やっと大腸ポリープが良性という結果が出た」と報告。「きょう13日ぶりに、この放送が終わったら、早飲みであびると飲むんです」とこの日出演のタレント・あびる優と飲みに行くことをうれしそうに明かし、「六本木周辺、気を付けてください!」と満面の笑顔で呼びかけた。共演者からは拍手が起こり、あびるの名前とかけて「浴びるようにね」という声も上がった。和田は、17日に放送されたニッポン放送のラジオ番組『ゴッドアフタヌーン アッコのいいかげんに1000回』でも、「5日に大腸ポリープの手術をして、この間結果が出た。おかげさまで良性の腺腫で、悪性ではなくて心配はない」と報告。医者から2週間飲酒禁止と言われていたが、1日早いきょう18日から飲んでいいと了解を得たことも明かしていた。
2016年09月18日「日本人の2人に1人ががんになる時代」といわれますが、このフレーズは、国立がん研究センターの「がん統計」がもとになっているのではないかと推測できます。■2人に1人は「がんになる」は間違いない実際の統計データ「がんに罹患する確率~累積罹患リスク(2011年データに基づく)」を見てみても、生涯でがんに罹患する確率は“男性62%(2人に1人)、女性46%(2人に1人)”。そのため、2人に1人の確率でがんになるというのは間違いではないことがわかります。また、胃がんは男性が11%(9人に1人)、乳がんが9%(12人に1人)と書かれているので、男性は胃がんが、女性は乳がんが多いことも同時にわかります。もうここまでくれば、りっぱな国民病といってもいいのでしょう。こんな統計を見させられると、やっぱり「がんへの備えをしておかないと!」と考えてしまいますよね。それはきっと、「がんを患うとお金がかかる」というイメージがあるからではないでしょうか?だとすると、「やはり、がん保険に入ったほうがいいのか?」と考えることになるでしょう。■30~50歳で「がんになる確率」は低いしかし、どうなのでしょうか?別の統計データ「現在年齢別がん死亡リスク」を見ると、0歳の男性が、50年後の50歳までにがんになる確率は、なんと2%しかありません。一生涯では、女性にくらべて男性の方ががんになる確率が高いのですが、60歳までをくらべると、女性ががんになる確率が高いこともわかります。つまり、がんを患う確率は50歳以降一気にあがるのです。いいかえれば、おもに子育てをしている30歳から50歳の間にがんを患うケースは、確率的にはとてもまれなのです。「日本人の2人に1人ががんになる時代です。がん保険に入っては?」と勧誘されるのと、「お子さんが成人するまでにがんになる確率は2%程度です。それ以降のためにがん保険に入っては?」と勧誘されるのでは、ずいぶん印象が変わりませんか?数字は使う側に都合のいい部分だけが切り出されています。振り回されないで判断しましょう。(文/ファイナンシャルプランナー・岡崎充輝) 【参考】※最新がん統計-国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター
2016年04月14日質問:家族で「がん」になった人はいないので「がん保険」に加入しなくても良いのでは?「がん」発症の要因の約70%は生活習慣に起因するものといわれています。ご家族で「がん」になった方がいらっしゃらなくても、一定の割合でリスクがあると考えるべきですので、がん保険への加入をおすすめします。遺伝的要素は50%程度さまざまな研究が進むなかで、がんを誘発する遺伝子の存在が明らかにされてきました。これがいわゆる「がん家系」という言葉を生み出した一因ではないかと思います。実際、「大腸がん」や「乳がん」の発症例のなかに、遺伝的要素が認められるものがあるようです。国立がん研究センターがん情報サービスのサイトに掲載されている「人のがんにかかわる要因」によると、ハーバード大学のがん予防センターの推計で、喫煙、食事、運動、飲酒という代表的な生活習慣要因が68%を占めるようです。また、全部のがんのうち「遺伝するがん」は5%以下といわれ、「大腸がん」「乳がん」「前立腺がん」など遺伝素因の強いこれらのがんでも、たとえ遺伝子が100%一致している人がいたとしても、同じがんになる確率は10%~20%にすぎないとまとめています(出典:国立がん研究センターがん情報サービス)。したがって、ご家族のなかに複数のがん経験者がいらっしゃる場合、ご本人もがん発症への注意が必要といえますが、ご家族のなかに発症者がいらっしゃらない場合でも、安心できるとはいえないでしょう。「喫煙」の有無や食生活など、生活習慣の要因が上位を占める「喫煙」と「がん」との因果関係が深いということが指摘されてからずいぶんたちました。若くして喫煙を始めた場合や喫煙年数が長く、喫煙本数が多いほど「がん」のリスクを高めるといわれています。日本においては「喫煙」に続く因子として「肝炎ウイルス(B型、C型)」や「ピロリ菌」、「ヒト・パピローマ・ウイルス」などの「感染性因子」、そして「飲酒」が続きます。他にも「塩分摂取」や「過体重・肥満(BMI25以上)」などが指摘されています(出典:国立がん研究センターによる「科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」ホームページ )。まだ十分な研究結果が揃っていないとはいえ、今現在「喫煙」や「飲酒」や「食生活」など、身近な生活習慣が遺伝的要素より高い確率で「がん」につながるため、日々の生活習慣を見直すことで「がん予防」が可能であるといえるでしょう。日本人の3人に1人が「がん」で死亡、2人に1人が「がん」を経験する時代。突然の告知に対応できますか?厚生労働省の資料によると、日本人の2人に1人は「がん」を経験するといわれています。早期発見や医療技術の進歩で「治せるがん」が増えているといわれますが、治すためには適切な治療が必要です。がんが発見されたら初期段階のうちに治療を開始することで、治癒の確率をあげるといわれていますが、がんの治療には多大な費用がかかる場合があります。そんなときに役立つのが「がん保険」ではないでしょうか。ご自身の生活習慣を振り返るとともに、がん保険などの保障内容が十分か、見直してみてはいかがでしょうか。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年04月05日大阪大学(阪大)、日本医療研究開発機構(AMED)、科学技術振興機構(JST)は3月31日、腸管上皮細胞に発現するタンパク質が、腸内細菌の大腸組織侵入を防いで腸管炎症を抑えるメカニズムを解明したと解明した。同成果は、大阪大学大学院医学系研究科 感染症・免疫学講座(免疫制御学)/免疫学フロンティア研究センター 奥村龍特任研究員、竹田潔教授らの研究グループによるもので、3月30日付の英国科学誌「Nature」オンライン版に掲載された。潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の原因のひとつとして、主に腸管上皮によって形成される腸管粘膜バリアの破綻が知られており、実際に腸管粘膜のバリア機能が低下しているマウスにおいては粘膜への腸内細菌への侵入が観察され、腸管炎症が起こるまたは起こりやすくなっていることがわかっている。大量の腸内細菌が存在する大腸は、粘膜バリアのひとつである粘液層に厚く覆われており、腸内細菌は容易に大腸組織に侵入できないことがわかっているが、どのように細菌の侵入が抑えられているのかはこれまで明らかになっていなかった。今回、同研究グループは、大腸上皮細胞に特異的に高く発現するタンパク質「Lypd8」に着目。Lypd8は、ヒトおよびマウスにおいて大腸上皮に発現し、大腸管腔内に恒常的に分泌されているが、潰瘍性大腸炎の患者では発現の著しい低下が観察された。そこでLypd8欠損マウスを作製したところ、同マウスの大腸では、正常であれば無菌に保たれているはずの内粘液層に腸内細菌が侵入しており、特に大腸菌やプロテウス菌などの有鞭毛細菌が侵入していたことがわかった。またLypd8欠損マウスに腸炎を引き起こすと、野生型マウスと比較して有意に腸炎が重症化した。有鞭毛細菌の多くは悪玉菌として知られ、腸管炎症との関連を指摘されている。同研究グループは、有鞭毛細菌のひとつであるプロテウス菌を使って、Lypd8分子の細菌への作用を調べた。この結果、電子顕微鏡を用いた観察では、Lypd8はプロテウス菌の鞭毛に結合することがわかり、さらに寒天培地を用いた実験で、Lypd8はプロテウス菌の運動性を抑制することが明らかになった。以上により、大腸上皮に高く発現するLypd8は、大腸管腔内に分泌され、特に有鞭毛細菌の鞭毛に結合し、運動性を抑制することで細菌の粘膜への侵入を防止し、腸管炎症を抑制していることが今回明らかになったといえる。同研究グループは、今後、Lypd8タンパク質の補充療法などの粘膜バリア増強による潰瘍性大腸炎への新たな治療法の開発が期待されるとしている。
2016年03月31日慶應義塾大学、日本医療研究開発機構(AMED)、科学技術振興機構(JST)は3月22日、乳がん、卵巣がん、肝がん、肺がん、膵臓がんなどの難治性がんを含む多くの悪性腫瘍で高発現している膜結合性ヘムタンパク質「PGRMC1」の構造を解明したと発表した。これにより、がん細胞が増殖を活性化する仕組みと、抗がん剤に対する耐性を獲得するメカニズムが明らかになった。同成果は、慶應義塾大学 医学部 医化学教室 加部泰明講師、末松誠教授(研究当時、現:AMED理事長)らの研究グループによるもので、3月18日付けの英科学誌「Nature Communications」オンライン版に掲載された。今回の研究では、X線結晶構造解析を行うことにより、PGRMC1がタンパク質中のチロシン残基を介した珍しい様式でヘムと配位することがわかった。この配位したヘムはタンパク質表面上に突出した構造を取っており、PGRMC1は分子中のアミノ酸残基をほとんど介さずに突出したヘム同士が重なり合った特異なヘム重合体構造を形成している。PGRMC1はヘムのない状態ではアポ体としてモノマー構造で存在するが、今回の生化学的な解析から、ヘムと結合することにより二量体化することが明らかになった。このようなタンパク質中のヘムを介した重合化が見い出されたのは、真核生物では初めてだという。また、生体内ガス分子である一酸化炭素(CO)は、がん細胞が抗がん剤や放射線治療、低酸素などにさらされると増加することが知られているが、同研究グループは今回、このCOがPGRMC1上のヘムに結合すると、ヘム同士の重合が解離してPGRMC1の機能が消失することを見出した。さらに解析を進めた結果、PGRMC1はヘムにより重合化し、がん増殖に関わる上皮成長因子の受容体(EGFR)と会合して、これによるがん増殖シグナルを増強することが明らかになった。重合化したPGRMC1は薬物代謝酵素であるシトクロムP450とも会合し、抗がん剤の分解活性を増強して、がん細胞の薬剤耐性を促進することもわかった。以上の結果からPGRMC1は、がん細胞内のヘム濃度に応答し重合化することによって活性化し、がん細胞の増殖促進や抗がん剤耐性獲得に関与するという、ダイナミックな構造変換によって機能していることが明らかになったといえる。同研究グループは、PGRMC1に結合してその機能を阻害する化合物が見つかれば、新たな抗がん剤の開発につながる可能性があると説明している。
2016年03月22日北海道大学病院(北大病院)は3月2日、「がん遺伝子診断部」を開設したと発表した。同部署は、がん患者のがん遺伝子情報を解析し、患者個々人に最も適した抗がん剤の情報を提供する専門部署で、同部署にて「がん遺伝子診断外来」が開始される。開始時期は4月1日を予定。同外来では、自由診療で、研究ではなく医療サービスとして網羅的ながん遺伝子検査を行う。同院によると、独自の院内がん遺伝子解析システムを利用することで、高い検査精度を担保しつつ、検査結果が得られるまでの期間が2週間にまで短縮されるところが特徴であるとしている。最終的な治療については、遺伝子解析担当医、主治医、腫瘍内科医などからなる専門チームがカンファレンスにて決定し、患者が納得したうえで行うという。
2016年03月03日九州大学は2月19日、大腸がんが多様な遺伝子変異を持つ、不均一な細胞集団から構成されることを明らかにしたと発表した。同成果は九州大学病院別府病院の三森功士 教授と、HPCI 戦略プログラム 分野1「予測する生命科学・医療および創薬基盤」プロジェクトの東京大学医科学研究所の新井田厚司 助教、宮野悟 教授、および大阪大学大学院医学系研究科の森正樹 教授らの研究グループによるもの。2月18日(現地時間)に米国学術誌「PLOS Genetics」に掲載された。大腸がんは1つの正常な大腸粘膜細胞が遺伝子変異を蓄積しながら進化し、異常増殖することで発生すると考えられている。この遺伝子変異の組み合わせは患者ごとに異なり、さらに同じ患者のがんの中でも異なる遺伝子変異の組み合わせを持つ細胞が1つのがんを構成していることが知られ、腫瘍内不均一性と呼ばれている。ある抗がん剤が効く細胞が腫瘍の大部分を占めているときは抗がん剤が有効となるが、その抗がん剤への耐性を引き起こす遺伝子変異を持つ細胞が存在すると、耐性細胞が増えることでがんは再発してしまう。これまで、多くの大腸がんに関わる遺伝子変異が同定されてきたが、実際にどのように遺伝子変異が蓄積されながらがんが進化するか、また大腸がんにどのような腫瘍内不均一性が存在するかは明らかとなっていなかった。がんの進化や不均一性を調べる方法として、1つのがんから複数の部位を採取し解析する方法がある。今回の研究では、9症例の大腸がんから5~21カ所、合計75カ所の検体採取を行い、解析した。その結果、大腸がんには一塩基変異、コピー数異常、DNAメチル化などさまざまなタイプの遺伝子変異について高い腫瘍不均一性が存在することがわかった。さらに、進化の前半にみられる遺伝子変異で、加齢と関連する異常が特徴的にみられたことから、がん化につながる遺伝子変異が正常細胞に徐々に刻まれていると考えられるという。また、スーパーコンピューター「京」によるシミュレーションと、遺伝子変異解析の結果を合わせて考えると、腫瘍内不均一性はがん細胞に有利になるようん遺伝子変異が選択され蓄積するのではなく、がん細胞の生存とは関係のない遺伝子変異の蓄積による「中立進化」によって生み出されていると推測された。今回の研究により、スーパーコンピューターを用いてがんの不均一性が生まれるメカニズムを理解することが可能となったため、がんの多様化を阻害する治療方法や不均一性を持つ細胞集団に効果的な治療戦略を考える重要な基板となることが期待される。
2016年02月19日国立がん研究センター(国がん)は2月15日、がん患者の免疫状態(ADCC活性)を測定する新手法を開発したと発表した。同成果は、同先端医療開発センター臨床薬理トランスレーショナルリサーチ分野の濱田哲暢 分野長の研究グループと、同中央病院先端医療科の北野滋久 医員の研究グループの共同研究によるもの。英科学誌「Scientific Reports」に1月27日付けで掲載された。抗体薬には、がん細胞の表面に発現する標的分子に結合し抗腫瘍効果を示す直接的な作用のほか、患者自身の免疫細胞を介して抗腫瘍効果を発揮する作用がある。そのため、標的分子の発現量だけでなく、患者自身の免疫状態、特に抗体薬ががん周囲に呼び寄せた免疫細胞を活性化するADCC活性をどの程度誘導できるかが治療効果に大きく影響すると考えられている。現在、抗体薬の投与においては標的抗原の発現量や遺伝子変異を確認することで治療効果の予測が行われているが、従来のADCC活性測定法は測定結果が不安定のため患者の免疫状態を把握することは困難だった。同研究グループが開発した測定方法では、あらかじめ標的がん細胞に緑色色素を取り込ませて、標的がん細胞(緑色色素を取り込ませたもの)と免疫細胞(緑色色素取り込みなし)を区別できるようにする。さらに、生きている細胞と死滅した細胞を区別できる色素で標識し、フローサイトメーターという装置を用いて測定することで、がん細胞と免疫細胞をそれぞれ別々に、生きている細胞と死んだ細胞に細胞一個単位で区別することができるようになった。同手法は、従来の測定法と比べて1/100以下の低濃度の抗体でADCC活性が測定可能だという。また、従来の測定法では血液検体をいったん凍結保存してしまうと測定結果のバラツキが大きくなり、不安定で再現性が乏しくなってしまっていたが、新しい測定法では凍結検体を用いても1カ月以上にわたり再現性をもってADCC活性が測定することができた。新しい測定法は、従来の測定法よりも高感度にADCC活性を検出できることから、個々の患者の免疫状態をより詳細に把握することで、抗体薬の治療効果予測に役立つことが期待されるほか、凍結保存した検体でもADCC活性を安定して測定できるため、他施設で採取した血液検体をいったん凍結した後、国立がん研究センターに輸送し、後日、測定することが可能となる。また、新規薬剤開発の面からも多施設共同臨床試験が可能となるため、効果の期待できる患者の選別や開発を進めるか中止するかの判断などに役立ち、抗体薬の効率的な開発につながることが期待される。
2016年02月16日2013年11月に鼻に皮膚がんの一種“基底細胞がん”ができ、手術で取り除いたことを公にしていたヒュー・ジャックマン。それから鼻3回、肩1回のがん除去術を受けたことを「People」誌に明かしていたが、今月9日(現地時間)、鼻にがんが再発し、5度目の手術を受けたことをSNSでファンに報告した。大きな絆創膏を鼻に貼った画像をインスタグラムとツイッターに投稿し、「日焼け止めを塗らないとこうなっちゃうっていう見本だよ。お願いだから日焼け止めを使ってね!」とファンに日焼け止めの使用を呼びかけている。また、ヒューは呼びかけるだけでなく、小さい子どもでも積極的に日焼け止めを塗るよう、容器に『スパイダーマン』や『アナと雪の女王』がペイントされた日焼け止め「Pure Sun Defence」の販売にも携わっており、日常での紫外線ケアの重要性を訴えている。日本形成外科学会のHPによると、基底細胞がんは皮膚がんの中で最も頻度が高いものの、悪性度は低く転移は稀とのこと。誘発因子として紫外線が挙げられるという。始めは撮影中にできたちょっとした傷だと思っていた鼻のできものが、まさかのがんでとてもショックを受けたというヒュー。彼が勧める予防策は、日焼け止めを塗るという決して難しくないことなので、私たちでもすぐに始められそうだ。(Hiromi Kaku)
2016年02月09日国立がん研究センター(国立がん研)は2月4日、朝食摂取回数が少ないと脳出血のリスクが高くなることが明らかになったと発表した。同成果は、国立がん研究センター がん予防・検診研究センターと大阪大学の研究チームによるもので、米科学誌「Stroke」2016年47巻に掲載された。これまでに、朝食を欠食すると肥満、高血圧、脂質異常症、および糖尿病のリスクが上がることが多くの研究で示されてきたが、脳卒中および虚血性心疾患のリスクを上げるのかという点に関してはほとんど研究されていなかった。そこで同研究チームは、朝食欠食と脳卒中および虚血性心疾患との関係を検討するため、1995年に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、1998年に、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所管内に在住していた45~74歳の男女のうち、循環器疾患およびがんの既往がなく、アンケートの朝食に関する項目に回答した8万2772人(男性:3万8676人、女性:4万4096人)に対して調査を行った。同調査では、週に0~2回、週に3~4回、週に5~6回および毎日という4つの群に分けて、その後の脳卒中および虚血性心疾患発症との関連を分析。2010年まで追跡した結果、3772人の脳卒中発症と870人の虚血性心疾患発症が確認された。朝食を毎日摂取する群と比較して、朝食を週に0~2回摂取する群の発症リスクは、脳卒中と虚血性心疾患を合わせた循環器疾患で14%、脳卒中全体で18%、脳出血で36%高くなっていたという。同研究チームは、脳出血の最も重要なリスク因子は高血圧だが、朝食を欠食することで朝の血圧が上昇し、毎日朝食を摂取する人に比べて脳出血のリスクが高くなっていた可能性が考えられるとしている。
2016年02月05日国立がん研究センター(国がん)は1月20日、食道がんの前がん病変だと考えられているバレット食道での幹細胞の存在を明らかにしたと発表した。これまでがんの前がん病変において組織を維持する働きを持つ幹細胞の存在は明らかになっていなかった。同成果は国がん研究所分子細胞治療研究分野の山本雄介 主任研究員によるもので、1月19日に米科学誌「Nature Communications」に掲載された。バレット食道とは、食道と胃上部の接合部に発生する粘膜組織の変化で、主に逆流性食道炎などによる炎症が原因で発生する。これまで統計的な解析や病理学的な知見により、バレット食道が食道がんへ進行していくことは知られていたが、実際の細胞がどのように遺伝子異常を蓄積し、悪性度の高い細胞へ進展していくかはわかっていなかった。今回の研究では、さまざまな進行状態の12症例のバレット食道から内視鏡で生検組織を採取し、新しく開発した培養手法を用いて、幹細胞を単離・培養することに成功。培養したバレット食道由来の幹細胞と正常食道由来の幹細胞にがん遺伝子を導入し、強制的にがん化させたところ、バレット食道由来の幹細胞は食道腺がん様の腫瘍を形成したのに対し、正常食道由来の幹細胞は食道扁平上皮がんに類似した腫瘍を形成した。これにより、バレット食道は食道腺がんの前がん病変であることが確認され、前がん病変においても幹細胞が存在し、病変を維持している可能性が示された。また、ゲノム変異解析を行った結果、より進行したバレット食道においてより多くの変異が認められた一方で、25%の症例においてゲノム変異が認められなかったことから、バレット食道の発症に遺伝子変異は必須ではなく、その後進展していく過程でゲノム変異が蓄積し、より悪性度の高い腫瘍へとなっていくと考えられるという。今回の成果をベースに、さらに前がん病変の性状明らかにすることで、前がん病変の早期検出による早期診断や、前がん病変の幹細胞の除去など新たな治療の開発につながることが期待される。
2016年01月20日国立がん研究センターは1月20日、「全国がん(成人病)センター協議会」(全がん協)の協力を得て、加盟施設での診断治療症例に関する部位別10年相対生存率を集計したと発表。その結果を全がん協のホームページ上にて公開したと明らかにした。同センターによると、国内においてこれほどの規模でがんの10年相対生存率が公表されるのは初めて。がんの生存率は治療による効果を表す指標で、がん診療評価などにおいて重要な要素となる。一方で、信頼できる生存率を算出するには、精度の高い予後調査の実施などの課題があった。同センターの研究開発費に基づく研究班は、1999年診断症例より部位別施設別5年生存率を公開。さらに2012年からは、グラフを描画する生存率解析システム「KapWeb」を公開するなどしていた。今回、部位別施設別5年相対生存率については、2004年から2007年に診断治療を行った14万7,354症例を集計。10年相対生存率については、1999年から2002年に診断治療を行った3万5,287症例を集計した。個々の数値をみていくと、全部位全臨床病期の5年相対生存率は68.8%で、1997年の62.0%から徐々に改善している傾向にあるという。同センターは「化学療法、放射線治療や早期発見技術の進歩が貢献していると考えられます」としている。生存率が高いのは「前立腺(100%)」「乳(92.9%)」「甲状腺(91.6%)」など。一方、「胆のう胆道(28.9%)」「膵(9.1%)」は3割以下にとどまっている。今回が初集計となる全部位全臨床病期の10年相対生存率は、58.2%だった。同じデータベースの5年相対生存率は63.1%となっており、5年間で4.9%の減少がみられる。10年生存率において高い生存率をみせた部位は、「甲状腺(90.9%)」「前立腺(84.4%)」「子宮体(83.1%)」など。逆に「食道(29.7%)」「胆のう胆道(19.7%)」「肝(15.3%)」「膵(4.9%)」などは低い数値となっていた。国内において死亡者数が多い部位に関しては、「胃(69.0%)」「大腸(69.8%)」「気管・肺(33.2%)」「乳(80.4%)」という結果が出ている。なお、研究班は今回の結果をKapWebに反映させて公開。「がんの種類」「病期」「治療法」などの条件設定で検索でき、5年もしくは10年までの生存率年次推移をグラフで見られるようにしている。
2016年01月20日