photo:世界遺産イェーイ!ご存じ!東南アジアで最も有名な世界遺産、アンコール・ワット!東南アジアにはバラエティに富んだ世界遺産がたくさんあり、どれもオススメなのですが、やはりアンコール・ワットの存在感は圧倒的です。ちなみに、世界遺産として登録されているのは、アンコール・ワットだけではありません。世界遺産「アンコールの遺跡群」は、9~15世紀にかけてインドシナ半島のほとんどを支配していたクメール人の王国、アンコール朝の遺跡群で、その最高傑作がアンコール・ワット。世界遺産の登録範囲は40000ha、東京ドーム約855個分!という広大な敷地に600を超える石造りの遺跡が残されています。アンコール・ワットの次に有名と言われている、仏教的要素が強いアンコール・トム、巨大な樹木が遺跡にからみついたタ・プローム、東洋のモナリザと言われるデヴァター(女神)像で有名なバンテアイ・スレイなど、アンコール・ワット以外にも見所は満載です。バイヨン寺院の四面仏塔@アンコール・トム photo:世界遺産イェーイ!さて、今回はアンコール・ワットでこれだけは押さえておきたいスポットを時系列にご紹介致します。朝日や夕日を絶対に見たいので、アンコール・ワットは観光する時間帯が重要なのです! アンコール・ワット観光の1日はこんな感じ!1. 5時:アンコール・ワットの朝日2. 8時:第一回廊のレリーフ(浮き彫り)観光3. 10時:シェムリアップの街に戻ってブランチまたは他の遺跡観光4. 14時:アンコール・ワット再び5. 17時:プノン・バケンかプレ・ループから夕日 1. 5時:アンコール・ワットの朝日西参道北側の聖池の前からパシャリ photo:世界遺産イェーイ!アンコール・ワットまでやってきたら、絶対に見たいのが朝日!前日までの移動で疲れているかもしれませんが、暗いうちに起き出して、次第にはっきりと姿を現す暁のアンコール・ワットを目に焼き付けましょう。アンコール・ワットは、12世紀後半アンコール朝のスールヤヴァルマン2世によって約30年かけて造営されたビシュヌ神を祀るヒンドゥー教寺院です。クメール語で「アンコール」は「街」を「ワット」は「寺院」を表します。そんなアンコール・ワットは、ヒンドゥー教の宇宙観を元に建てられており、だいたい以下で構成されています。・お堀・東西南北の門・東西の参道・経蔵・聖池・第1回廊・十字回廊・第2回廊・第3回廊・中央塔を含む5つの尖塔「中央塔」は世界の中心とされる伝説の山、須弥山(しゅみせん:メール山)を象徴し、中央に行くに従って高くなる3重の回廊は「山脈」や「大陸」を表し、お堀は「大海原」を表しています。何とも、神秘的ですね!アンコール・ワットの全体像を見るにはやっぱり空からが一番!「アンコール・バルーン」という気球に20USドルで乗ることができます。気球はロープにつながれたまま200m真上に上昇します。横の移動がないため、比較的安全で怖くありません!人気なので、事前の予約は必須です。ちなみに、アンコール・ワットの観光は原則早朝5時半からとなっています。アンコール・ワットの中に入れなくて朝日が見られないという可能性は低いと思うのですが、念のため日の出の時間と観光開始時間を現地のホテルなどで確認してから行きましょう!観光の拠点となる街はシェムリアップ。シェムリアップの街からアンコール・ワットまでは車で約15分です。早朝の車の手配などは念のため前日までにしておきましょう! 2. 8時:第一回廊のレリーフ(浮き彫り)photo:世界遺産イェーイ!さて、日の出の後は第一回廊のレリーフ(浮き彫り)を見に行きましょう!この時間帯は、朝食を食べにホテルに戻る観光客が多いので、人が少なくて観光しやすいのです!この時間にレリーフを観光した方が良い理由はもう一つありまして、午前中は逆光となるため外観よりはレリーフなど内部の見所がオススメなのです。午後は順光となるので外観は午後に観光することにしましょう。中央塔を四角く囲んでいる第1回廊の壁面には1辺に2個ずつ物語をモチーフにしたレリーフがあり、壁面が浮き彫りでびっしり埋め尽くされてます。普通に歩いてくると西側の回廊から入ることになりますので、以下の順番に反時計回りで回るのが一般的です。1. 西側の南:マハーバーラタ(クルクシェトラの戦い)2. 南側の西:創建者スールヤヴァルマン2世の軍隊3. 南側の東:天国と地獄4. 東側の南:乳海攪拌(にゅうかいかくはん)5. 東側の北:ヴィシュヌ神の悪魔征伐6. 北側の東:クリシュナと魔王7. 北側の西:神々と悪魔の戦い8. 西側の北:ラーマーヤナ(ランカの戦い)マハーバーラタ@西側の南 photo:世界遺産イェーイ!古代インドの叙事詩「マハーバーラタ」。北インドの名門バーラタ族の覇権争いがテーマ。こちらのレリーフはパーンダヴァ軍とカウラヴァ軍が王位を争っている戦闘シーン。乳海攪拌(にゅうかいかくはん)@東側の南 photo:世界遺産イェーイ!ヒンドゥー教の天地創造神話を描いた「乳海攪拌」は、不老不死の妙薬「アムリタ」を手に入れる為に、神たちが色々な努力をするお話です。その中に、神々と魔人が大蛇の胴体を綱として引き合うシーンがあり、こちらの写真はまさに引っ張っているところなのです! 3. 10時:シェムリアップに戻ってブランチ、他の遺跡観光など一旦アンコール・ワットを出て宿があるシェムリアップに戻りブランチなど食べながら休憩しましょう!ブランチの後は最も暑い時間帯になります。早起きした疲れをマッサージで癒したり、プールでのんびりしたり、昼寝して休憩するのも良いでしょう。せっかくシェムリアップまで来たからには、昼寝なんてしてないでもっと遺跡を観光したい!という方にオススメなのはアンコール・トム!アンコール・ワットとアンコール・トムは車で約5分。アンコール・トム自体は3~4時間で全てまわることができます。遺跡の周辺には売店や軽食を食べられるところがありますので、そこでさくっと休憩して、観光を続けるのもアリです。くれぐれも水分補給は忘れずに!! 4. 14時:アンコール・ワット再びさて、アンコール・ワットに戻ってまいりました!夕日は別のところで見るので観光時間は17時までの3時間!効率良く行ってみましょう!・お堀と西参道photo:ひさほ ゆうまずは、お堀を見ながら西参道をテクテク歩いて行きましょう!奥に見えるのがアンコール・ワット最大の門、中央西塔門! ここをくぐって、いよいよアンコール・ワットの境内に入ります!photo:世界遺産イェーイ!西門の裏側には、彫りの深いデヴァター像がたくさんあります! ・聖池photo:世界遺産イェーイ!門から本堂入口の十字型テラスまで参道があります。その両側に経蔵があり、その先に聖池が2つあります。向かって右手の池には水がないのですが、左手の池には水が残されています。この左手の池が写真スポット!水面にアンコール・ワットが映る絶景をぜひとも写真に収めましょう!朝日の写真もここがオススメです! ・十字回廊photo:世界遺産イェーイ!第1回廊と第2回廊をつなぐ十字回廊に出てきました。十字に区切られた空間には4つの沐浴池があります。十字回廊の北側の真ん中のちょっと出っ張ったところにエコーが響く場所があります。壁を背にして胸をたたくと音が反響します!ツアーの皆さまがドーンドーンと胸をたたいていらっしゃるので、きっとわかるはず。一度やってみましょう!そしてこの十字回廊での一番の見所は「森本右近太夫」さんの落書き!1632年に仏像を奉納にやってきた右近太夫さんの落書き、現在は上から墨汁が塗られていて解読が難しいのですが必見です。落書きは十字回廊の南側、東側の沐浴池と西側の沐浴池の間にあります。 ・第2回廊photo:世界遺産イェーイ!第2回廊までやってくると、高さが結構高くなります。回廊の内部は第1回廊とは異なりガランとしており、頭部のない仏像が並んでいたりします。 ・第3回廊&5つの尖塔photo:ひさほ ゆう第2回廊を超えると、第3回廊、そして5つの尖塔の前に抜けることができます!中心にそびえる中央祠堂は4つの塔とそれをつなぐ第3回廊に囲まれた中心に立っています。日によっては第3回廊に登ることができます。急な階段ですので、足元に注意しましょう! 5. 17時:プノン・バケンorプレ・ループから夕日夕日は運なので難しいのですが、ベストシーズン乾季の11月~5月は比較的美しい夕日を見られる可能性が高いです!それでは、夕日スポットオススメ遺跡を2つご紹介致します! ・プノン・バケンアンコール・ワットから車で5分くらいのところにある夕日スポットNo.1と言われている「プノン・バケン」。高さ60mの小高い丘の上に建てられたヒンドゥー教寺院です。photo:世界遺産イェーイ!こんな感じでえっちらおっちら登って行きます。結構大変。そして、現在は入場制限などの規則があるそうなので、早めに行った方が良さそうです。photo:世界遺産イェーイ!頂上の様子です。photo:世界遺産イェーイ!頂上からは、アンコール・ワットが見下ろせます!photo:世界遺産イェーイ!私たちが見た夕日はこんな感じでした!幻想的ですがちょっと曇ってますね。これは10月に行ったときの写真です。うーん、夕日は難しい! ・プレ・ループアンコール・ワットから車で10分弱くらいの「プレ・ループ」。夕日スポットとしても有名なピラミッド寺院です。photo:世界遺産イェーイ!プレ・ループとは「体の変化」という意味で、火葬が行われていたことに由来するそうです。写真中央に見えるのが火葬に使われていた石槽です。photo:世界遺産イェーイ!少々曇っていますが、こちらが夕日!と、こんな感じで、真っ赤に燃える夕日を見るのは難しいですし、朝日と比べるとアンコール・ワットをバックにするわけではないので、ちょっとイメージとは違うのかもしれないのですが、何とか美しい夕日を見たいですね! 以上早朝からのアンコール・ワットを堪能する1日いかがでしたでしょうか。アンコール遺跡はまだまだあります!翌日もたくさんの遺跡を観光するために早寝しましょう! 世界遺産豆知識!■アンコールの遺跡群 (文化遺産)登録:1992年登録基準:「人間がつくった傑作」、「文化交流」、「文明の証拠」、「建築技術」・アンコール・ワットへのアクセス日本からカンボジアまでの直行便はないので、タイのバンコク、またはベトナムのホーチミン経由が一般的。【バンコク経由】日本からバンコクは直行便で約6時間半。バンコクからシェムリアップは約1時間。【ホーチミン経由】日本からホーチミンは直行便で約6時間。ホーチミンからシェムリアップまで飛行機で約1時間。 ※ 記事中の情報は、全て2016年7月現在のものです。(参考文献:『すべてがわかる 世界遺産大事典 <上・下> 世界遺産検定公式テキスト』、『きほんを知る世界遺産44 世界遺産検定4級公式テキスト』、『地球の歩き方』、『るるぶ』】 4年間世界遺産巡りの旅をした夫婦「世界遺産イェーイ!」のコラム
2016年07月31日歌手プリンスさんの遺産を巡り、新たな2人の相続人候補が現れたようだ。相続人を名乗る1人目のノーマン・イエイツ・カーテンズさんは今年4月に亡くなったプリンスさんの養子であると話しており、それを証明した遺書があること記した書類を遺言検認裁判所に提出した。ノーマンさんはプリンスさんが自分のために700万ドル(約7億5,400万円)の遺産を残していると主張しているが、現在その遺書がどこにあるか職員たちに話すことはできないとしている。また、もう1人のレジーナ・ソレンソンさんは、プリンスさんの異母兄弟であると主張しているとTMZが報じている。プリンスさんは遺書を残していなかったことから妹タイカ・ネルソンが相続財産管理人になっており、プリンスさんの残した遺産は推定3億ドル(約320億円)といわれている。タイカは自身の半分血のつながった兄弟たちアルフレッドとオマーと今年4月、ミネソタ州でプリンスさんの遺産についての話し合いを行ったが、タイカが葬儀にアルフレッドを呼ばないという決断を下したことにアルフレッドが腹を立て、2時間の話し合いはけんかで終了してしまったようだ。タイカの兄弟たちは、タイカが遺産を多くを受け取る権利があると思っていると感じたといわれている。ミネソタ州の法律では、6人のプリンスさんの兄弟たちは平等に遺産を受け取る権利が与えられるという。プリンスさんの家族たちは、現在もペイズリー・パークにあるプリンスさんの自宅に保管されていた何百万ドルもの価値があると言われるプリンスさんの未公開の作品を含めた全ての遺産を巡り、争いを繰り広げているところだ。(C)BANG Media International
2016年06月08日ワット・スラ・シー(城壁内) photo:世界遺産イェーイ!仏教遺跡や仏像が好きな方に絶対オススメの世界遺産スコータイ!タイ初の統一国家スコータイ朝が築かれた古都には、多くの寺院が残されています。 タイの仏教遺跡と言えば先日ご紹介したアユタヤが有名ですが、タイの歴史を肌で感じたかったらスコータイが絶対オススメ!!観光客が多いアユタヤよりもスコータイの方が喧騒から離れてゆったりと古都に思いを馳せることができます!スコータイまではタイの首都バンコクから北へ飛行機で約1時間半。5日間くらいの休みがとれてタイに行こう!と思ったら、バンコクともう一都市行きたいところですよね!そんな時、遺跡でも見ながらのんびりすごしたいな~という方はぜひスコータイを選びましょう!それでは、そんなスコータイで外せない寺院10をご紹介致します! 1. ワット・マハータート(城壁内)photo:世界遺産イェーイ!スコータイ最大の寺院「ワット・マハータート」! 城壁の真ん中にある最も重要な寺院であります。増築を繰り返したので作りが複雑なのが特徴。広大な境内には200以上の大小の仏塔が並んでいます。もともとは屋根があったのですが、現在は石の柱と仏像だけが残されています。ここで、ちょっとだけスコータイの地理について説明します。世界遺産「スコータイと周辺の歴史地区」は、メインの「スコータイ」、そして少し郊外にある「シー・サッチャーナライ」と「カンペーン・ペット」この3つの都市遺跡が世界遺産として登録されています。メインの「スコータイ」だけでも約70平方km(東京ドーム約1,500個分!)とびっくりするくらい巨大!その中でも遺跡の中心となるところは、東西約1,800m、南北約1,600mの城壁に囲まれたメインエリア、城壁北エリア、城壁西エリア、城壁南エリア、城壁東エリアの5つのエリアに分かれています。ホテルやレストランが多いスコータイ市内から遺跡までは西に約12kmです。ソンテオ(小型トラックの荷台に屋根と座席をつけた乗り合いバス)で移動しましょう。遺跡をまわるのは自転車かトゥクトゥクがオススメ!ソンテオが到着したところにはレンタルサイクル屋さんやトゥクトゥクの客引きがたくさんいます。photo:クスクスさん(自転車) 世界遺産イェーイ!(トゥクトゥク)のんびり旅情を感じながらまわれる自転車。料金交渉がないのが楽ちん!道が整備されているので運転しやすいです。ただ日影が少ないスコータイでは常に直射日光にさらされることになるので、帽子と水分と日焼け止めは忘れずに!涼しい早朝から観光して、一番暑い時間帯は休憩しましょう!トゥクトゥクを利用する場合は、行きたい寺院をリストアップしてLet’s料金交渉!予めホテルなどで相場を聞いておくと交渉しやすいです。屋根のあるトゥクトゥクに乗っている間は、日の当たらないところに座っていられるので、体力のない方にはオススメです。雨季などでスコールが来ても安心! 2. ワット・シーサワーイ(城壁内)photo:世界遺産イェーイ!3基並んだトウモロコシのような仏塔(クメール式)が残されている寺院。細かい彫刻も必見! 3. ワット・トラパン・ングン(城壁内)photo:世界遺産イェーイ!「銀の池」という意味を持つ寺院。池の中に浮かぶ小島と池をはさんだ西側の遺構から成ります。こちらの写真はスコータイ美術で特徴的な遊行(ゆぎょう)仏。仏陀の歩く姿を描いてます。ほっそりとして流れるような体の線が美しいスコータイ様式の仏像は歴代で最も美しい形とされています。 4. ワット・スラシー(城壁内)photo:世界遺産イェーイ!池に浮かぶ小島にある寺院。こちらの写真の奥に見える仏塔はスリランカ様式の釣鐘型です。 お次は城壁の外に出てみましょう!城壁の外でもいくつかの寺院は自転車で行くことができます。 5. ワット・シーチュム(城壁北)photo:世界遺産イェーイ!屋根のない本堂に、高さ約15mの巨大な座仏像(アチャナ仏)がいらっしゃいます。 6.ワット・プラパーイルアン(城壁北)photo:世界遺産イェーイ!スコータイで最も古いと言われている寺院。トウモロコシのようなクメール様式の仏塔が特徴です。これら2つの寺院は城壁の北側から約500m~1.5kmのところにあるので、自転車でも行くことができます。 7. ワット・トラパントーンラン(城壁東)photo:世界遺産イェーイ!今はこんな四角い建物だけが残っている遺跡なのですが、かつては美しいブッダのレリーフがあったのです!ブッダの説法の様子などのレリーフが彫られていました! 8. ワット・チャーンローム(城壁東)photo:世界遺産イェーイ!釣鐘型の仏塔を32頭の象さん達が支えています!この2つの寺院は城壁の東側から約1kmのところにあります。こちらも自転車で行くことができます。 9. ワット・チェートゥポン(城壁南)photo:世界遺産イェーイ!城壁の南側から約1.5kmのところにあり、本堂の四方には、座像、立像、臥像、遊行像の4体の仏像がありました。この写真は立像。かすかにお姿が見えます。 10. ワット・サパーンヒン(城壁西)photo:世界遺産イェーイ!城壁の西側にあるワット・サパーン・ヒン。ここは少々遠いので覚悟して行きましょう。トゥクトゥクで行っても途中で丘を自力で登らなければなりません。また観光客が少なく少々治安が悪いのでグループで訪れるなどしましょう。こちらでは赤いレンガで支えられている高さ12.5mの「アッターロ」と呼ばれる右手を挙げた仏像が有名!スコータイの中では一番行くのが大変な寺院ですが、上まで登ると畑や木々の緑あふれる風景を眺めることができます。 スコータイで外せない寺院に続いて、スコータイからは少し離れてしまうのですが、世界遺産に登録されているスコータイ郊外の遺跡をちょっとだけご紹介します。 シー・サッチャーナライphoto:ひさほゆうスコータイから北へバスで約1時間20分のところにあるシー・サッチャーナライ。スコータイ朝時代には、スコータイに次いで第二の都市として発展したところでもあり、現在も14の寺院が残っています。こちらの写真は「ワット・プラ・シー・ラタナー・マハータート」。クメール式のトウモロコシのような塔が特徴です。 カムペーン・ペットスコータイから南西へバスで約1時間のところにあるカムペーン・ペット。カンペーン・ペットとは「金剛の城壁」という意味を持つのですが、その名の通り高さ約5m、総距離約5.8kmの城壁にぐるりと囲まれた軍事都市でした。城壁の中の王室寺院「ワット・プラケオ」にある巨大な涅槃像は必見です! スコータイは街ものんびり楽しい話は戻ってスコータイ市内のお話です。観光客がそこまで多くないスコータイ。おしゃれなカフェも多いのでのんびり読書したり、夕方からにぎわう市場の屋台でつまみ食いをするのも楽しいです。photo:世界遺産イェーイ!私がスコータイで夜な夜な食べていたのが、こちらのおつまみセットです。北部のソーセージとピーナッツと生唐辛子としょうが、なのですが、どれも美味しくてポリポリ食べてしまいました。タイ北部のソーセージは酸っぱくて辛くて歯ごたえがあって、ビールのつまみにぴったりなんですよ!スコータイでは早朝からせっせと汗をかきながら遺跡を観光!暑くなって来たらおしゃれなカフェで休憩。夕方からは美味しいつまみをかじりながらビールをガブガブ飲んじゃいましょう! 世界遺産豆知識!■スコータイと周辺の歴史地区 (文化遺産)登録:1991年登録基準:「人間がつくった傑作」、「文明の証拠」スコータイ朝は、カンボジアのアンコール朝の支配から独立し、タイ人初の独立国家となりました。スコータイとは「幸福の夜明け」という意味です。このスコータイ朝は、後にアユタヤ朝に併合され幕を閉じることになります。スコータイ朝は、ラームカムヘーン王の時に最盛期を迎え、仏教が伝わると多くの寺院が建立され仏教国として繁栄しました。そのため現在でも多くの寺院が残されています。スコータイの遺跡はアユタヤの遺跡よりも古いのですが、アユタヤよりも保存状態が良いものが多いです。スコータイの遺跡はれんが造りのものが多いので、木造が多いアユタヤよりも完全な状態で残っているのです! ・スコータイへのアクセス日本からバンコクまで直行便で約6時間。バンコクからスコータイまで飛行機で約1時間半。 ※記事中の情報は、全て2016年5月現在のものです。(参考文献:『すべてがわかる 世界遺産大事典 世界遺産検定公式テキスト』、『きほんを知る世界遺産44 世界遺産検定4級公式テキスト』、『地球の歩き方』、『るるぶ』】 4年間世界遺産巡りの旅をした夫婦「世界遺産イェーイ!」のコラム
2016年06月02日photo:世界遺産イェーイ!街の世界遺産ホイアン!ぷらっと街を歩けば、それは世界遺産散歩!ホイアンは小腹が減っておやつを買いに行くだけで世界遺産が堪能できてしまう素敵な街なんです。ベトナム中部にあるホイアンは国際貿易港として繁栄した街で、様々な国の文化の影響を受けたノスタルジックな街並みが魅力です!成田から直行便があり人気急上昇中の都市ダナンからホイアンまで車で1時間とアクセスの良さも素敵です。それでは、ホイアンでマストな観光スポット6個をまわるモデルルートをご紹介致します! 1. 来遠橋photo:ひさほゆうホイアンで最もメジャーな観光スポット「来遠橋(らいおんばし)」からホイアン散歩を始めましょう!ベトナムの2万ドン札にも印刷されている来遠橋は、日本の職人が作ったと言われています。朱印船貿易の中継地点として多くの日本人がホイアンに移住し、最盛期には1,000人もの人々が暮らしていたそうです。 2. フーンフンの家(馮興家)photo:ひさほゆう来遠橋から歩いて1分のところにあるフーンフンの家!ホイアンでは古くからある木造のお家を見学することができます!こちらのフーンフンの家は約200年前に貿易商人の住居として建てられた家。建物の中は中国っぽいレトロな雰囲気で素敵なので、ぜひ部屋の中も見学して下さい。2階からは来遠橋を見ることができますよ! 3. クアンタンの家(均勝號)フーンフンの家からチャンフー通りを東に歩くと数分でクアンタンの家に到着です!このチャンフー通りには古い町並みが残っているので、のんびり歩いて世界遺産散歩を楽しみましょう。photo:ひさほゆうクアンタンの家は平屋でホイアンの典型的な住宅と言われています。こちらの写真は中庭。このようにホイアンには中庭のある造りの住宅が多いんです!繊細な美しい彫刻も見逃せません。 4. 海のシルクロード博物館photo:ひさほゆうクアンタンの家の斜め向かいにある海のシルクロード博物館は2階建ての民家がそのまま博物館になっており、内部には沈没船から引き上げた遺物などが展示されています。朱印船貿易で日本との関わりが深かったホイアン。朱印船の絵巻の写真なども残されています。 5. 福建会館photo:世界遺産イェーイ!クアンタンの家からチャンフー通りをぷらぷらと数分歩くと、中国南東部にある福建省出身者達が建てた集会所、福建会館に到着!中国っぽい華やかな色使いが鮮やかです。 6. タンキーの家(進記家)photo:世界遺産イェーイ!福建会館を出たらチャンフー通りの1本南を走るグエンタイホック通りを西に戻りましょう。グエンタイホック通りもチャンフー通りと同様ノスタルジックな風景が広がっていますので、カメラ小僧も大満足!パシャパシャしながらグエンタイホック通りを10分くらい歩くとタンキーの家(進記家)に到着です。こちらは200年前に建てられた中国広東省出身の漁師の家。 ホイアン三大名物は外せません!タンキーの家の周辺には、お洒落なカフェやレストランがたくさんあるのでここまで来たら一休みしましょう!すぐ近くのアンホイ橋を渡った対岸にも、トゥボン川に面した眺めの良いカフェがあるのでそちらもオススメ!実はホイアンは食も有名なんです!ホイアン三大名物の「カオ・ラウ」、「ホワイト・ローズ」、「揚げワンタン」はどれも絶品!他の街ではなかなか味わえないホイアン名物をぜひ味わってみて下さい。左上:カオ・ラウ右上:ホワイト・ローズ左下:揚げワンタンどれもビールとの相性が抜群です! photo:世界遺産イェーイ! ホイアンは夜もい~んです!photo:ひさほゆう街の世界遺産ホイアンは、早朝、昼、夜、全ての時間でそれぞれに違った趣のある姿を見せてくれるのですが、私のオススメは夜のホイアン!ホイアン名物のランタンに彩られたロマンチックな風景は日程に余裕がなくとも一度は見ておきたいところです!photo:ひさほゆう先ほどご紹介した来遠橋も夜はライトアップされて、幻想的になります! ホイアン観光どこに泊まって楽しむ?昼間のお散歩も夜のそぞろ歩きも楽しいホイアン!どこに泊まってホイアンを楽しめば良いのか悩むところです。ホイアンを観光するには、ホイアンもしくはダナンを拠点とすることになるのですが、私のオススメはダナンのリゾートホテル!ホテルからホイアン1日ツアー、もしくは夜のホイアン散策&ディナー付きのナイトツアーなどもあるので、リゾートライフも満喫しつつ、効率よくホイアンを楽しむことができます。世界遺産大好き!写真撮りまくりたい!!という方はホイアンを拠点とした方が早朝、昼、夜と色々なホイアンの姿を見ることができて楽しいです。ホイアンの街中には小さいホテルが多いですが、雰囲気のあるブティックホテルなどもありますよ!またダナンからは「ミーソン」という遺跡の世界遺産にも車に乗って2時間程度で行くことができます (ホイアンからミーソンは車で約1時間半) 。ダナン、ホイアンから半日ツアーがあるので、ホイアンとは全く趣の異なる、緑に囲まれた神秘的な遺跡を見てみましょう!ミーソン聖域 photo:世界遺産イェーイ!午前中はミーソンで汗をかきながら遺跡観光、ホテルのプールで一休みして夕方からはホイアンでノスタルジックな雰囲気を味わうなんて過ごし方も素敵ですね。 世界遺産豆知識!■古都ホイアン (文化遺産)・登録:1999年・登録基準:「文化交流」、「伝統的集落」全盛期はヨーロッパ、インド、中国、日本などの船がたくさん寄港し、国際貿易港として栄えた街ホイアン。前回の記事でご紹介したアユタヤも同じく国際貿易港として栄華を極めました。どちらも朱印船貿易で日本との関わりも深く、その面影を現在も残しています。世界遺産を500件以上まわってきた私も大好きな街の世界遺産ホイアン。あまり気負わずにのんびり散策するのが楽しいですね。東南アジアでは金ピカの寺院が美しいラオスのルアン・パバンなども同じく街の世界遺産です。どちらも街をぷらぷら歩いたりするのが好きな方におすすめです。・ホイアンへのアクセス日本からダナンまで直行便で約6時間。ダナンからホイアンまで車で約1時間。 ※記事中の情報は、全て2016年4月現在のものです。(参考文献:『すべてがわかる 世界遺産大事典 世界遺産検定公式テキスト』、『きほんを知る世界遺産44 世界遺産検定4級公式テキスト』、『地球の歩き方』、『るるぶ』】 4年間世界遺産巡りの旅をした夫婦「世界遺産イェーイ!」のコラム
2016年04月30日まだ気温の寒暖差はあるものの、徐々に春らしくなってきました。すでにお花見の予定を入れている方も多いかと思います。日本の世界遺産には、美しい桜が咲き誇る場所がいろいろとあるのですが、今回は桜にちなんだ"女神様"を祀った神社をご紹介します。2013年に「富士山」が文化遺産として登録されたことはまだ記憶に新しいところですが、実は25カ所もの資産から構成されています。そのひとつに富士宮市にある「富士山本宮浅間大社」があります。富士山の噴火を鎮めるために創建されたことを起源とする、全国に1,300社ある浅間神社の総本宮です。ここには「木花之佐久夜毘売命(このはなさくやひめのみこと)」という女性の神様が祀られています。木花(このはな)という御神名から桜が御神木とされており、境内には500本の桜が植えられています。神界で最も美しいとされる女神で、恋愛運や、特に玉の輿運にご利益があるそうです!しっかりお参りして富士山と桜を愛でた帰りには、富士宮焼きそばもお忘れなく。○世界遺産データ富士山本宮浅間大社(文化遺産・「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」に含まれる)。2013年。静岡県富士宮市○筆者プロフィール: 本田 陽子(ほんだ ようこ)「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。○世界遺産検定とは?世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。主催:世界遺産アカデミー開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)開催地:全国主要都市受検料:4級2,670円、3級3,900円、2級5,040円、1級9,250円、マイスター1万8,510円、3・4級併願6,060円、2・3級併願8,220円解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込みその他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて
2016年03月21日●受難か救済か、復活をかけ取り下げに踏み切った“教会群”ここ数年、登録の可否が大きな関心事となっている世界遺産。「明治日本の産業革命遺産」の場合、10年あまりの歳月を費やし、もめにもめた末、昨年登録された。「軍艦島」などがある長崎市は観光客の増加に沸いている一方、同県にはもうひとつ、世界遺産を目指す「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」があるが、2月に推薦取り下げとなった。2つ目の世界遺産登録に向け再スタートを切った長崎の行く先は……。○3月末に控える国内推薦の公募締め切り「時間がないですし、プレッシャーはありますが、攻めの取り下げです」2月中旬、電話越しにそう答えたのは、世界遺産候補「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の長崎県の担当者。今年の登録を目指し準備を進めてきたが、ゴールまであともう少しのところでの仕切り直しとなり、再来年の登録に照準をあわせ、国の推薦獲得に向けた公募締め切りである3月末に推薦書の素案を間に合わせるべく奔走していた。連日のニュースで悲観的な見出しが躍る中、予想外に電話の声に悲壮感はなかった。○「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」長崎やその周辺の地域といえば、大陸から近いため、古来より海外との交流の窓口となってきた。キリスト教は戦国時代にフランシスコ・ザビエルによって日本にもたらされ、この地にイエズス会の本部が置かれ布教の重要拠点とされた。天草・島原一揆後は禁教とされながらも、信徒は隠れて教えを継承した歴史がある。そのため、長崎周辺には全国的にみても特出して多い、約130もの教会が存在する。こういった、日本独自のキリスト教の歴史を特に顕著にあらわすものとして14の資産が選ばれ、世界文化遺産に登録しようとしている。○推薦引き下げのわけ「『急がば回れ』という趣旨です」。2月9日「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の推薦取り下げが閣議了解されたことを受けて、馳文科相は会見で記者の質問に答えた。取り下げの理由について、馳文科相はユネスコの諮問機関イコモスから出された中間報告で“教会群”は世界遺産になるにふさわしい唯一無二の価値があるとされる「顕著な普遍的価値」が潜在的にあるとお墨付きを得た一方で、現状での推薦内容には問題があり、見直すべきだと示されたと説明した。公開の場で文化庁や関係自治体が、推薦内容について説明をしたものの、意見が覆ることはなかったため、先送りを決めたという。なぜ取り下げとなったのか。再考を迫られた推薦内容そのものと、「世界遺産」全体が置かれている状況を知る必要がある。●ストーリーが大事な推薦書○“ストーリー”と“推薦内容”と“名前”推薦内容の“良し悪し”とはどういうことだろうか。教会など個々の資産そのものの歴史的価値が高く、きちんとした姿で残っていることが大事なのではないかと、思う方もいるだろう。資産そのものの価値ももちろん大切だが、さらに個々の資産をつなげるストーリーに世界遺産にふさわしい価値があるかということも、大きなポイントになってきている。そのため、登録をめざす自治体などは、専門家の助言を受けながら、世界遺産の資産になりそうな遺跡や建造物の調査や、類似する別の世界遺産などとはどう違った価値があるのか、比較検討し、いかに唯一無二の「普遍的価値」があるものか証明するストーリーをつくることに力を入れている。そしてそれにもっともふさわしい遺産の名前をつけている。○イコモスの存在世界遺産の登録までには、国からユネスコに推薦書が出された後、イコモスによる審査がある。この審査の勧告内容を踏まえて、世界遺産委員会で正式に可否が決定する流れになっている。記載されるには、このイコモスによる勧告が重要で、登録にふさわしいとされる「記載」から「情報照会」、「記載延期」、登録にふさわしくないとされる「不記載」までの4段階の勧告がある。「情報照会」や「記載延期」から「記載」に転じたケースは近年増加しているが、今まで「記載」の勧告が出たもので、登録されなかったものは1件しかなく、逆に「不記載」で、登録された例もほとんどない。イコモスを納得させる推薦内容に仕上がっているかどうかが登録に向けた天王山なのだ。○事例1 富士山今まで登録された世界遺産ではどうだったのか。たとえば、2013年に登録された「富士山」は最初、自然遺産での登録を模索する動きがあったが、自然遺産にふさわしい価値をもってないことがわかり、文化遺産での登録に舵を切った。信仰の山として人々に崇められてきた歴史、その美しい姿から国内外の芸術に与えた影響の大きさ。富士山のそういった側面が世界遺産にふさわしいと、遺産の名称には、「信仰の対象と芸術の源泉」という言葉が追加された。そして富士山の信仰にかかわる場所や、芸術に影響を与えた富士山の姿が見られる場所など25資産が選定された。しかし「三保松原」について、イコモスは富士山から物理的に遠いという理由からこの資産を除外しての「記載」勧告を出した。だが、最終的には、ユネスコの世界遺産委員会にかけられ、21の委員国の決議によって決まる。富士山の時、三保松原は、この場所から見る美しい富士の姿が芸術に与えた影響や富士山と精神的なつながりがあることを世界遺産委員会で認められ、全資産を含めた「記載」決議に転じた。○事例2 平泉イコモスから条件が付けられる例は、ほかにもあった。2011年、震災後の被災地に久しぶりの明るいニュースをもたらした平泉の登録。一度「登録延期」となってからの再チャレンジだった。推薦内容をブラッシュアップさせ、「浄土思想」とのつながりがより明確な6つの資産に絞った。しかしイコモスは、1つの資産について、「浄土思想」との直接的な関連性が薄いとその資産を除外して「記載」勧告を出した。結局、5資産で世界遺産に登録された平泉は、除外された遺跡の拡張登録に向け準備を進めている。●世界遺産候補「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の推薦内容○指摘をうけた推薦内容長崎の件に戻ろう。14の資産は「1:伝播した教えが普及していった『伝来と繁栄』時代」、「2:禁教となって弾圧されながらも信仰が継承された『弾圧と潜伏』時代」、「3:禁教が解かれ教会が建てられるようになった『潜伏・復活』時代」、3つの時代に分類される。1にあたる遺産としては、「島原・天草一揆」の際に、2万人以上の民衆が立て籠もった長崎県南島原市の「原城跡」など、2は隠れキリシタンが潜伏していた集落の景観を残す「平戸の聖地と集落」などがある。3については禁教が解けた後に建築された国宝の「大浦天主堂」など8つの教会があり、西洋の伝統的な教会建築の様式を引きつぎながら、石のほかに木や土などで造られていて、特異な文化的な伝統を証明しているとされている。そしてこれらの遺産群全体について「450年に及ぶ西洋の価値観の交流の中で生じた日本における『キリスト教の伝播と浸透のプロセス』に世界遺産としての価値がある」(長崎県のホームページより)と、説明されている。一体何が問題とされたのか。○“禁教期が日本のキリスト教史の特徴”とイコモスここでポイントになってくるのは、3期間に分けられる独自の歴史の「流れ」や「東西文化の交流」を表していることなどに価値があるとされているところだ。イコモスは先日出した中間報告で「日本のキリスト教の特徴は、禁教とされた時代があったことであり、禁教期に歴史的文脈をあてた形で推薦書を見直すこと」とある。つまり、「禁教期」に焦点をあてたストーリーに変えるべきということだ。なぜストーリーづくりが大事なのか。「世界遺産」をめぐる状況については、後編で述べたい。
2016年03月10日姑とは仲良くしたい。せめて嫌われたくはない。それが「嫁」としての本音ではないでしょうか。しかし、なかなかうまくいかないのが嫁姑関係のむずかしいところ。結婚前の「彼ママ」時代は仲が良かったのに、「姑」になった途端にぎくしゃくしてしまうケースも見られます。そこで、「いい嫁とイヤな嫁のちがい」について、現役姑たちに話を聞きました。■キッチンは私の城!Aさん(50代・専業主婦)は、長男一家と同居中です。嫁が家事を手伝ってくれるのはうれしいけれど、「私の仕事がなくなってしまうと存在価値を見いだせなくなってしまうので複雑。専業主婦だからそう感じるのかもしれません」といいます。とくに自分が元気なうちは、キッチンに入られることに抵抗があるのだとか。「私の旅行中に調味料の位置がかわっていたことがあって…。自分が使いやすいように配置しているのに、『このキッチンは使いにくい』と嫁からいわれたような気分になりました」「キッチンは女の城」ともいいます。とくに料理上手な姑の場合は、掃除や洗濯など、料理以外の家事をフォローするようにしたほうがいいかもしれませんね。■近くの嫁より遠くの嫁!?2人の息子夫婦とは別居しているBさん(60代・退職後無職)。長男夫婦は近くに住んでいるけれど、「遠くに住む次男の嫁のほうがかわいい」といいます。それは「距離感」の問題なのだとか。「長男の嫁は自分が遊びに行きたいときだけ孫の世話をおしつけにきます。私たちが遊びに行くといやがるのに、こんなときだけ利用するなんてずうずうしい!一方、遠くに住む次男の嫁は、孫の成長やちょっとしたことでもメールで報告してくれるんです。次男がまったく連絡をよこさないから助かるし、遊びに来ないかと誘ってくれたりと、いい距離感で付きあっています」近くに住んでいても甘えすぎず、離れて暮らしているときにはこまめな連絡を忘れない。これが姑との程よい距離感を保つコツといえそうです。■「息子の彼女」時代はよかったけれど…Cさん(40代・会社員)は、長男がこの夏に結婚を予定しているプレ姑。嫁は彼女時代から家に遊びに来ることが多く、一緒に買い物をしたりと自分の娘のようにかわいがっていました。いままで仲良くしてきたけれど、いざ「嫁」になると思うと、細かい言動が気になるようになったそう。「まだ20代とはいえ、結婚したら、若者言葉やミニスカートなどの派手な格好は控えてほしいです。我が家の一員になるわけですから」まったくの他人である「息子の彼女」と、家族になった「うちの嫁」。立場が変わると付きあい方も変わる可能性があることは忘れないようにしたいですね。今回紹介したケースにあてはまらない姑もいることでしょう。そんなときは、姑の性格を見極めると同時に、相手が「してほしい」ことと「してほしくない」ことを意識する。そうすれば、少なくとも「イヤな嫁」とはいわれなくて済むのかもしれませんね。(藤井蒼 OFFICE-SANGA)
2016年03月04日photo:世界遺産イェーイ!ベトナム屈指の世界遺産ハロン湾!海に浮かぶ奇岩の幻想的な風景はベトナムまで来たら絶対に外せません。そんなハロン湾はベトナムの首都ハノイからのツアーで楽しむのが便利です。今回の記事では、ハノイからの日帰りツアーについての詳細をご紹介致します。ハノイとハロン湾は車で片道4時間弱と少々遠いのですが、日帰りだと日程に余裕がなくても大丈夫ですし、ハノイでナイトライフを楽しめるのも魅力です!ツアーは現地で手配ベトナムでは現地でツアーの手配をするのがお値打ちで旅情も味わえるのでオススメです!ホテル街や市内に旅行代理店がたくさんあるので、簡単に予約することができます。気になる言語も片言の英語や身振り手振りで大丈夫。ただし、値段とツアーに何が含まれるのかはしっかり確認して下さいね。私は英語で話すのが苦手なので、値段やツアーに含まれるものやランチの有無などをメモ帳に英語で書き出して代理店のスタッフに確認していました。ただし現地で結構時間を取られてしまいますので、時間に余裕がない場合は日本で手配していきましょう!ツアーの概要とスケジュール私たちが予約したツアーに含まれていたのは、ハノイからハロン湾のバス往復と、船上でのランチ、ハロン湾遊覧、ティエンクン洞窟観光、そして英語ガイドでした。スケジュールはこんな感じ!08:00ホテル出発バスでハロン湾へ12:00ハロン湾到着船に乗って出発!13:00船上でランチ14:00ティエンクン洞窟到着下船して鍾乳洞観光15:00再び乗船16:00ハロン湾到着バスでホテルへ20:00ホテル到着ハノイからハロン湾までは車で約4時間なので、実は日帰りだと少し忙しいです。時間に余裕のある方はハロン湾の船上で1泊するツアーなどもオススメです。いよいよハロン湾ツアーへ出発です!photo:世界遺産イェーイ!朝8時に泊まっているホテルにバスがお迎えに来てくれます。私たちの時はこんなマイクロバスで行きました。photo:世界遺産イェーイ!ハ・ロン湾に到着すると船が待っていました。私たちが乗った船はこじんまりとした船でしたが、豪華客船もあります。船の種類は予算に合わせて選ぶことができます!photo:世界遺産イェーイ!船に乗り込み、いよいよ奇岩に向けて出発です!photo:世界遺産イェーイ!しばらく進むと、にょきにょきした奇岩が見えてきます!あっちもこっちも奇岩だらけの中を、クルーズで抜けていきます!約11万5,000年前の氷河期に石灰岩台地が沈み、海上に残った部分が風化してこのような景観が生まれました。お待ちかねのランチタイム!photo:世界遺産イェーイ!船の中でランチを頂きます。ゴージャスなツアーでは、エビやカニなどのシーフードが楽しめるようです。photo:世界遺産イェーイ!ご飯を食べてお腹いっぱいになったら、再び出発です。奇岩がたくさんあるのですが、その中には、変わった名前をつけられているものもあります。こちらはゴリラ岩。他にも魔法使い、幽霊?などと名前がつけられているものがあります!photo:世界遺産イェーイ!しばらく進むとティエンクン洞窟に到着です。ここでは下船して洞窟の中を歩いて見学することができます。実は中は蒸し暑くて、汗だくになりました。ティエンクン洞窟を見学した後、再び乗船し、船着き場へ戻り、バスに乗ってハノイのホテルまで行きます。早起きなので、帰りのバスはツアーメンバーのほとんどが爆睡していました。以上、ハロン湾ツアーの詳細でした!私たちは比較的お値打ちなツアーを選んだのですが、他に船やランチがゴージャスなものや、カヤックで奇岩の中を進むオプションツアーなどもあるので、時間と予算に合わせて楽しいツアーを選んで下さいね!ハ・ロン湾(自然遺産)・登録:1994年・登録基準:「自然の景観美」、「地球の歴史」・アクセス羽田からハノイまで直行便で約5時間半。ハノイからの日帰りもしくは1泊2日のクルーズツアーに参加するのが一般的。日帰りの場合は、8時頃に出て20時頃に戻ってくるツアーが多い。ハノイからハロン湾の船乗り場まではバスで4時間弱。※記事中の情報は、全て2016年2月現在のものです。(参考文献:『すべてがわかる 世界遺産大事典 <上・下> 世界遺産検定公式テキスト』、『きほんを知る世界遺産44 世界遺産検定4級公式テキスト』、『地球の歩き方』、『るるぶ』】4年間世界遺産巡りの旅をした夫婦「世界遺産イェーイ!」のコラムその他の記事はこちら>こちらも合わせてCheck!ベトナム北部の世界遺産!奇岩、洞窟、遺跡を楽しもう!
2016年03月01日2月4日、2016年の世界遺産登録を目指していた「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎県、熊本県)の推薦を政府が取り下げる方向で検討しているとの報道が流れた。筆者は世界遺産アカデミーの研究員としてこの遺産については各所で「まず大丈夫」と太鼓判を押してきたため、驚きをもってこのニュースを見ていた。実際、なぜ「推薦取り下げ」が検討されているのか、世界遺産登録への道筋も含めて説明したい。○用意していた「ストーリー」への指摘この遺産は、日本においてキリスト教がどのように伝わり、広まり、根づいていったかというプロセスを14の構成資産で示している。まず、フランシスコ・ザビエルが1549年鹿児島に上陸し、やがて平戸を拠点に日本国内での布教活動を展開。その後450年にわたり、キリシタン大名下での繁栄、秀吉に始まる取り締まり以降の激しい迫害と弾圧、各地キリシタンの潜伏と復活、という世界宗教史上まれにみる激動の歴史を重ねて来た。そのストーリーを大浦天主堂や五島列島などにある教会群、島原の乱の舞台となった原城跡などの資産で示している。一般的に世界遺産に登録されるには、「いつの時代の誰が見ても文句なしに素晴らしい」という「顕著な普遍的価値」をもつことが求められる。最近登録される遺産の多くは、単体の建造物で「顕著な普遍的価値」を示すのではなく、文化や歴史的背景などが共通する複数の資産をひとつの遺産として、「顕著な普遍的価値」を有するとみなし登録する手法が増えている。専門用語で「シリアル・ノミネーション(連続性のある遺産)」と呼んでいるが、2015年に推薦された『明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業』はこの手法で登録された。「長崎の教会群」も同様の手法である。「シリアル・ノミネーション」で登録する場合には、「顕著な普遍的価値」をもつストーリーをしっかりと組み立て、時代や性質の異なる遺産を一連のものとして過不足なく含めることが求められる。そうした意味で筆者の個人的見解ではあるが、「長崎の教会群」が語るストーリーや、日本と西洋の価値観の交流、弾圧からキリスト教解禁を経て静かに受け継がれた信仰の思いは、十分に「顕著な普遍的価値」を有していると思っていた。しかし、文化遺産の調査を行う諮問機関であるイコモスの見解は、「長い禁教の歴史の中で信仰を守ってきたことが日本の特色で、そこに焦点を絞る形」にする方が良い、というものだった。すなわち、弾圧や禁教の歴史に特化した内容への修正を促してきたというものであり、長崎が用意していたストーリーの中で「伝来」と「復活」のプロセスには「顕著な普遍的価値」がない、という判断だったのではないかと考えられる。○世界遺産に求められる代表性・独自性歴史上のプロセスについては、価値のありなしの判断というのは非常に難しいものがあり、立場によっても変わってくる。文化財の専門家から見て、キリスト教の「伝来」や「復活」のプロセスは世界の他の土地でも起こったことであり、日本独自のものではないと捉えたのであろう。世界遺産の申請・登録をする際には、すでに登録されている似たような遺産との比較を必ず行い、代表性のあるものを登録することで、独自性や唯一性を持たない遺産はなるべく排除する、という側面がある。キリスト教関連というジャンルは、これまでに全世界で非常に多くの物件が登録されているが、それぞれが建築技術上もしくは歴史上において類をみない独自の価値をもつものとして登録されている。とは言え、西洋的価値観が重視され、教会の登録が多すぎるのではという意見もある。「長崎の教会群」の推薦においても、当然関係者は十分に他の教会との比較検証を行っており、専門家から「このストーリーなら大丈夫」というお墨付きももらっていたはずだ。2013年に『富士山-信仰の対象と芸術の源泉』を推薦した際に、イコモスから「三保松原を構成資産から外すように」との勧告を受けたことがあった(結果、三保松原も含めての登録となっている)。しかし今回は、特定の構成資産を外すかどうかということではなく、「ストーリーや構成資産を見直しなさい」というもののため、非常に重い指摘と言えるだろう。○地元の想いとの乖離に疑問ところで、「推薦の取り下げ」とはどういうことなのか。世界遺産登録の可否が審議される世界遺産委員会は2016年、7月にトルコのイスタンブールで開催される。世界遺産の申請には時期や手順が細かく決まっており、「長崎の教会群」は7月の審議に向けてこれまできちんと手順を踏んできたのだが、「推薦の取り下げ」ということは「世界遺産委員会で審議されることを取りやめる」ということだ。これから内容を練り直して再推薦となると、早くて2018年の委員会に推薦することになる。審議は21カ国からなる委員国が行うのだが、諮問機関の指摘はこの審議に大きく影響する。諮問機関が「この遺産は世界遺産に登録されるには不備がある」という勧告を行いながらも、会議の場でひっくり返されて登録、ということもあるにはあるのだが、そのための推薦国のロビー活動や諮問機関と委員国の見解の食い違いは、近年大きく問題視されている。「長崎の教会群」に関しては、イコモスの指摘通りに修正するとしても7月までには調整が間に合わないし、登録勧告されない状況での推薦といった危ない橋を渡るのはやめよう、という政府の判断があるのかと思われる。筆者が危惧しているのは、イコモスの指摘通りに修正することが本当に望むことなのかどうかということだ。今回推薦しようとしていた14の構成資産は、いずれも国や自治体、地元の人々が世界遺産として守るべきものであると真剣に切実に考えていたはずである。もしイコモスが言うように「弾圧や禁教の歴史に特化した内容への修正」を行った上で再推薦するならば、かなりの構成資産を入れ替え、かつ、キリシタンが殉教したり拷問を受けたりした場所等を加える必要も出てくるだろう。それらは、世界遺産として守るべきものというよりは、ストーリーを優先して後付けで選んだ、という懸念を生む。筆者はこれまで、構成資産をもつ自治体で講演をし、現地の歴史や魅力をたくさんの人たちに伝えていきたいと願う関係者や地元ガイドの方々と交流をしてきた。その人々が今、どれだけの衝撃を受け、不安を感じているのかと思うと言葉を失う。2月8日の週に行われる閣議で最終決定した後に公式発表があるかと思われるため、まずはそれを待ちたい。○筆者プロフィール: 本田 陽子(ほんだ ようこ)「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。
2016年02月05日ワット・ヤイ・チャイモンコン@アユタヤphoto:世界遺産イェーイ!タイには5件の世界遺産があります。前回は、タイ北部にある世界遺産2件を紹介しました。今回は、首都バンコクからのアクセスも良くタイで一番メジャーな世界遺産アユタヤの遺跡と、手長猿や象など貴重な動物に会える自然遺産2件をご紹介致します!アユタヤと周辺の歴史地区(文化遺産)登録基準:「文明の証拠」ワット・プラ・シー・サンペット3基の大仏塔が有名 photo:世界遺産イェーイ!アユタヤは「平和の都」という意味で、約400年間栄えたアユタヤ朝の都です。3つの河川の合流地点にあるアユタヤはかつて「水の都」とも呼ばれ、商業と文化の中心地として栄えていました。アンコール朝を滅ぼし、スコータイ朝を併合したりして17世紀には国際貿易都市に発展するも、1767年のビルマ軍侵攻によって都は徹底的な略奪と破壊にあってしまいました。この際に仏像の頭部が切り落とされたりしたわけです。ワット・プラ・マハータート菩提樹の木に覆われた仏頭 photo:世界遺産イェーイ!仏教を信仰した歴代のアユタヤ朝の王たちが築いた美しい仏像や寺院を楽しむことができるアユタヤ。首都バンコクから北へ約80km、バスや電車に乗って約1時間半で行けることから多くの観光客を集めているアクセス良好な世界遺産でもあります。私たちはレンタサイクルでまわりました! photo:世界遺産イェーイ!前回の記事でご紹介したスコータイも巨大な遺跡でしたが、こちらのアユタヤも広い!!世界遺産に登録されている寺院はたくさんあり、点在しているのでレンタサイクルやトゥクトゥクでまわりましょう!暑いので水分補給はしっかりと!バンコクから日帰りでも十分観光できますが、アユタヤにもホテルがたくさんあるので何泊かしてのんびり寺院巡りをするのもオススメです。ワット・ラー・ジャブーラナ@アユタヤ砲弾系の塔は必見です! photo:世界遺産イェーイ!・アクセス日本から首都バンコクまで飛行機で約6時間。バンコクからアユタヤまでバスか電車で約1時間半~2時間。ドン・パヤーイェン-カオ・ヤイの森林群 (自然遺産)登録基準:「絶滅危惧種」カオヤイ国立公園で出会ったトカゲの一種 photo:世界遺産イェーイ!世界遺産、「ドン・パヤーイェン‐カオ・ヤイ森林群」は、カオヤイ国立公園など4つの国立公園と、ドンヤイ野生生物保護区で構成される広大な山岳地帯です。運が良ければ象やトラが見られる野生動物の宝庫で、トレッキング、バードウォッチング、自然観察、キャンプなどを楽しむことができます!バンコクから日帰りツアーで行くこともできますが、私たちはせっかくなのでバンコクから電車で約4時間のところにあるパクチョンという街に泊まって観光しました。パクチョンにある宿で開催している1日トレッキングツアーでカオヤイ国立公園を満喫しました!ヒルが多いのでこんなのを履いて出発! photo:世界遺産イェーイ!トレッキングをしていると様々な動物に会うことができます。こちらは、ガイドさんが望遠鏡越しに写真を撮ってくれた手長猿!photo:世界遺産イェーイ!トレッキングの最後ではこんな滝で水遊びをすることもできます!photo:世界遺産イェーイ!山歩きを楽しみながら、珍しい動物に会ったり、滝つぼで水遊びをしたりと自然を満喫できる世界遺産カオヤイ!バンコクから少し足を延ばしてみてはいかがでしょうか。・アクセスバンコクからパクチョンまで電車で約4時間。パクチョンのホテルでツアーを申し込む。バンコクからのツアーもある。トゥンヤイ-ファイ・カ・ケン野生生物保護区 (自然遺産)登録基準: 「自然の景観美」、「固有の生態系」、「絶滅危惧種」「トゥンヤイ-ファイ・カ・ケン野生生物保護区」は、タイ北部、ミャンマーとの国境沿いに位置し、東南アジア最大級の動物保護区でもあります。インドゾウなどの珍しい植物を見ることができます。現在野生動物保護区は人の立ち入りが禁止されているため、なかなか見学するのが難しいですが、周辺の国立公園で自然を少し楽しむことはできます。バンコクや、バンコク近郊のカンチャナブリーから、ツアーで観光することができます!・アクセスバンコクやバンコクからバスで約2時間のところにあるカンチャナブリーからツアー。※記事中の情報は、全て2015年12月現在のものです。(参考文献:『すべてがわかる 世界遺産大事典 <上・下> 世界遺産検定公式テキスト』、『きほんを知る世界遺産44 世界遺産検定4級公式テキスト』、『地球の歩き方』、『るるぶ』】4年間世界遺産巡りの旅をした夫婦「世界遺産イェーイ!」のコラムその他の記事はこちら>
2016年01月05日○世界遺産データ「中尊寺(『平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群-』)」(文化遺産)。岩手県。2011年登録。いよいよ大晦日が近づいてきました。皆さんさまざまな形で年末年始をお過ごしになることと思いますが、今回は「世界遺産で聞く除夜の鐘」をテーマに、筆者のオススメのお寺をご紹介したいと思います。1105年、藤原清衡(きよひら)によって再興された「中尊寺」。金ぴかのお堂と言えば、ピンとくることと思います。そう、総緊迫貼りの「金色堂」があるお寺です。清衡がどのような趣旨で中尊寺を建立したのかを示す史料に、このような文言があります。「中尊寺の鐘の音が、世界の果てまで響きわたり、生きとし生けるもの皆の苦しみを払い、安楽をとどけてくれますように……」。度重なる戦をくぐり抜けて東北を平定した清衡のことばだからそこ、重みがあります。現在使用されている梵鐘は1975年に作られたものですが、創建当時と同じ思いで響く鐘の音は、きっと心を安らかにしてくれるものと思います。なお、中尊寺では元旦0時30分より、有料で一般参拝者も鐘を撞くことができるそうです。他にも、京都や奈良など、世界遺産に登録されている寺院を含めたさまざまな寺院で除夜の鐘を撞くことができます。奈良の東大寺では、先着順(要整理券)に8人ずつ程の組になって綱をひきます。興味のある人はお近くの寺院を調べてみてくださいね。それではまた来年も、引き続きよろしくお願いします。○筆者プロフィール: 本田 陽子(ほんだ ようこ)「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。○世界遺産検定とは?世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。主催:世界遺産アカデミー開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)開催地:全国主要都市受検料:4級2,670円、3級3,900円、2級5,040円、1級9,250円、マイスター1万8,510円、3・4級併願6,060円、2・3級併願8,220円解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込みその他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて
2015年12月28日©Tourism Authority of Thailand世界遺産登録をきっかけに始まった「アユタヤ世界遺産祭り」。アユタヤ歴史公園で開催される祭典では、幻想的にライトアップされた遺跡群を背景に繰り広げられる光と音のショーを始め、ダンスショーや古代マーケットを再現した市など、様々なイベントが催される。2015年は12月18日~27日に開催。歴史に思いを馳せる10日間©Tourism Authority of Thailandバンコクから北へ約80キロに位置する古代都市「Ayutthaya(アユタヤ)」。1351年から400年以上タイの中心都市として栄えた都市には、現在も貴重な遺跡群が残されている。1991年、このアユタヤの遺跡群がユネスコ世界遺産に登録されたのを機に始まった「The Glorious of Ayutthaya Fair(アユタヤ世界遺産祭り)」は、年に一度のタイを代表する華やかな祭典。幻想的にライトアップされた遺跡群を背景に、光と音を駆使した歴史劇やダンス、花火など、様々なイベントが予定される。会場となるのは、遺跡を数多く有するAyutthaya Historical Park(アユタヤ歴史公園)。ライトアップされた遺産が舞台!幻想的な光と音のショー©Tourism Authority of Thailand華やかな祭典に先駆けて2015年12月9日には、アユタヤを創設したKing U-Thong(ウートン王)の像にて仏陀への敬意を表する宗教的式典が執り行われる。続いて18日に行われるオープニングセレモニーにて、10日間に及ぶ祭典が開幕。アユタヤ世界遺産祭りのメインイベントの一つ、歴史公園内Wat Mahathat(ワット・マハタート)にて行われる光と音のショーは、アユタヤ王朝の歴史が壮大なスケールで表現される観光客にも人気のパフォーマンス。Chao Sam Phraya National Museum(チャオ・サム・パラヤ国立博物館)での古代の金の展示や、中央ステージでの伝統的な仮面のダンスショーやフォークパフォーマンスなども見どころ。©Tourism Authority of ThailandWat Langka Khaoでは、夕方16時~21時の間、古代のマーケットを再現。当時のお金を使い、100を越える店がタイ料理やOne-Tambon-One-Product (OTOP/一村一品運動)の品などのお買い物を楽しめる。ステージでは、毎日17時~19時、伝統的な仮面のダンスやその他民族パフォーマンスも開催。期間中は、Ayutthaya Tourism Center(アユタヤ・ツーリズム・センター)にて、地元の大学「Rajabhat Ayutthaya University」の生徒たちによるガイド付きの無料アユタヤトラムツアーも実施される。荘厳な世界遺産に身を委ね、アユタヤ王朝の歴史に思いを馳せてみては?
2015年12月11日スコータイ歴史公園ワット・スラ・シー photo:世界遺産イェーイ!微笑みの国タイには5件の世界遺産があります。首都バンコクからのアクセスも良く人気の世界遺産アユタヤの遺跡やタイ初の独立国家スコータイの遺跡などの文化遺産3件と、手長猿や象など貴重な動物に会える自然遺産が2件でございます!今回は、タイの北部にあるスコータイなどの文化遺産2件をご紹介致します!そして次回は、タイ中部にある文化遺産1件と自然遺産2件を取り上げますよ!スコータイと周辺の歴史地区 (文化遺産)登録基準:「人間がつくった傑作」、「文明の証拠」スコータイ歴史公園ワット・シー・チュムにある高さ14.7mのアチャナ仏! photo:世界遺産イェーイ!タイの世界遺産一発目は首都バンコクから飛行機で北へ約1時間のところにあるスコータイでございます。スコータイ朝は、カンボジアのアンコール朝の支配から独立し、タイ人初の独立国家となりました。スコータイとは「幸福の夜明け」という意味です。このスコータイ朝は、後にアユタヤ朝に併合され幕を閉じることになります。実はスコータイは巨大な世界遺産なんです!この世界遺産は「スコータイと周辺の歴史地区」と、名称に"周辺の"とある通り、スコータイにある「スコータイ歴史公園」だけでなく、スコータイの北約50kmの所にある「シー・サッチャナーライ歴史公園」と、スコータイから南西約85kmの所にある「カンペーン・ペット歴史公園」を含めた3つの歴史公園で成り立ってます。スコータイ歴史公園城壁内にあるスコータイ最大の寺院ワット・マハータート photo:世界遺産イェーイ!メインの「スコータイ歴史公園」だけでも約70平方kmと結構広くて見どころ満載! 城壁に囲まれたメインエリア、城壁北エリア、城壁西エリア、城壁南エリア、城壁東エリアの5つのエリアに分かれており、各エリアに「ワット」と呼ばれる仏教寺院の遺跡がたくさんあります。photo:世界遺産イェーイ!そんな広大な「スコータイ歴史公園」を巡るのには、トゥクトゥク(三輪自動車)をチャーターするのがオススメ!暑い時期が多いスコータイ、遺跡のほとんどが日影なしで直射日光を浴びるところが多いので、とにかく暑い!屋根のあるトゥクトゥクに乗っている時がかなり幸せなのです。レンタサイクルやレンタルバイクを借りて自分のペースで回るのも楽しいですが、体力を温存したい方はトゥクトゥクで涼しく観光しちゃいましょう!・スコータイ歴史公園へのアクセス日本から首都バンコクまで直行便で約6時間。バンコクからスコータイまで飛行機で約1時間半。バンチェンの考古遺跡(文化遺産)登録基準:「文明の証拠」バンチェンの土器は、このグルグル~となってる渦巻き模様が特徴的! photo:世界遺産イェーイ!「バンチェンの考古遺跡」は、ハーバード大学の学生が転んだときに地表に出ていた土器を偶然に発見したというミラクルな遺跡です!その後発掘を進めると、「青銅器」や「彩文土器」が発見され、当初はこの遺跡が世界最古の青銅器文明ではないかと世界から注目を浴びたのです。しかしその後の調査の結果、世界最古というわけではなくなってしまったのですが、それでも東南アジアの古代文明を伝える貴重な遺跡と位置づけられてます。タイ東北部の街ウドーン・ターニーからバスやらソンテウなどを乗り継いで行く、ちょっぴり辺鄙な場所にある世界遺産です。バンチェン国立博物館 photo:世界遺産イェーイ!土器や人骨などの出土品は博物館に展示されています。博物館からトゥクトゥクで3分くらいのところにある「ワット・ポー・シー・ナイ」というお寺の境内の中に発掘現場があります。こちらもぜひ行ってみましょう!photo:世界遺産イェーイ!土産物屋でこんな可愛らしい土器のキーホルダーなどが売られていたので、私たちはつい買ってしまいました!本物そっくりの土器も売られているので、土産物屋めぐりも楽しいですよ!・アクセスバンコクからウドーン・ターニーまで飛行機で約1時間。ウドーン・ターニーからバスで約1時間のところにあるバス停からトゥクトゥクで約10分。※記事中の情報は、全て2015年11月現在のものです。(参考文献:『すべてがわかる 世界遺産大事典 <上・下> 世界遺産検定公式テキスト』、『きほんを知る世界遺産44 世界遺産検定4級公式テキスト』、『地球の歩き方』、『るるぶ』】4年間世界遺産巡りの旅をした夫婦「世界遺産イェーイ!」のコラムその他の記事はこちら>
2015年12月02日イッツ・コミュニケーションズは12月26日~2016年1月5日まで、世界遺産チャリティーアートエキシビジョン「PIECE OF PEACE-「レゴ ブロック」で作った世界遺産展PART-3」を「iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ」(東京都世田谷区)で開催する。同展は2012年に「世界遺産条約が採択されて40周年」という節目の年を迎えたことを記念し、『PIECE OF PEACE-「レゴ ブロック」で作った世界遺産展』第3回展として立ち上げたもの。日本各地のみならず香港・台湾といった海外でも開催してきた。今回、年末年始にかけて二子玉川で開催する。展示の中心となる「レゴ ブロックで作った世界遺産」モデルは、「モン‐サン‐ミシェルとその湾」「古都京都の文化財」「サグラダファミリア」「シドニー・オペラハウス」など世界27カ国から40の世界遺産を再現したもの。2013年に新たに世界文化遺産に加わった「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」モデルも登場する。さらに、「未来に残したいたからもの」をテーマにさまざまな分野のアーティストや文化人から寄せられたメッセージやアートの展示も行う。今回はPART-1から PART-3までの多数の作品から選んだものを展示する。ほかにもサブ展示として、実物の世界遺産の美しさを体感するミニシアターや、ユネスコ世界遺産活動紹介コーナーなども設置する。入場料は当日券大人(高校生以上)800円、こども(小・中学生)400円。11月28日からは当日券より100円割安になる前売り券を販売する。時間は10:00~21:00(12月25日は17:00~ プレオープン)。2016年1月1日は休館。※価格は税込
2015年11月27日プエルト・プリンセサ地下河川国立公園 photo:世界遺産ハンター7,000以上もの島々から構成される群島国家フィリピンには多種多様な6件の世界遺産があります。前回の記事ではフィリピンの歴史を感じる文化遺産3件についてご紹介しましたが、実はフィリピンは自然遺産もお勧めなんです!今回の記事では、半端ない自然を楽しめるフィリピンの自然遺産3件についてご紹介したいと思います。プエルト・プリンセサ地下河川国立公園(自然遺産)登録基準: 「自然の景観美」、「絶滅危惧種」フィリピンの南西部に位置するパラワン島は、豊かな自然が残るフィリピン最後の秘境と言われている島です。この島に流れているのが世界最長8.2キロのプエルト・プリンセサ地下河川です!地下河川とは洞窟の下を流れる川です。こちらのプエルト・プリンセサ地下河川は、幅約120メートル、高さ約60メートルの巨大な洞窟からダイナミックに海に流れ出ているのです!なぜこのような地下河川ができたのでしょうか?パラワン島は石灰岩でできた島で、「雨の島」と呼ばれるほど雨量が多いです。その大量の雨が石灰岩を削って海に流れ込み、地底に洞窟と川ができたのです。ちなみに以前にご紹介したベトナムの「ハ・ロン湾」も石灰岩の大地でできています。ハ・ロン湾でもプエルト・プリンセサと似たような大きな洞窟を見ることができます。そんな地下河川は手漕ぎボートのツアーで観光することができます。パラワン島の中心都市プエルト・プリンセサから北へ車に揺られること2時間半、サバンという村からボートに乗れます。プエルト・プリンセサから日帰りもできますが、サバンに宿を取った方がゆっくりと地下河川を探検できますよ。photo:世界遺産ハンターツアーは所要時間約45分とそれほど長くないですが、神秘的で忘れられない体験ができます!まずはボートに乗って海からそのまま洞窟へGO!真っ暗な中を懐中電灯の光を頼りに進んで行くのはドキドキです!しばらく狭い洞窟を進んでいくと、広い空間があり様々な形の鍾乳石などを見ることができます。パラワン島北部には、こじんまりとしたプライベート感たっぷりなリゾートホテルが多く立ち並んでいるので、リゾートライフも満喫できます。海が美しく魚影が濃いと評判なので、シュノーケリングやダイビングも人気があるんですよ!・アクセス日本から首都マニラまで直行便で約4時間。マニラからプエルト・プリンセサまで飛行機で約1時間。プエルト・プリンセサから地底河川クルーズの拠点となるサバンまで車で約2時間半。トゥバッタハ岩礁自然公園(自然遺産)登録基準:「自然の景観美」、「固有の生態系」、「絶滅危惧種」プエルト・プリンセサから約200キロ南東のスールー海のど真ん中に、東南アジア最大の珊瑚礁が広がるエリアがあります。こちらがフィリピンで初めて自然遺産として登録されたトゥバタハ岩礁海洋公園です!世界中のダイバーが憧れるトゥバタハ岩礁は、大小3つの環礁(珊瑚礁がリング状に連なったもの)が世界遺産として登録されています。環礁の外側は「ドロップオフ」と呼ばれる珊瑚の断崖になっていて、マンタなど約380の魚介類、海鳥、ウミガメなどが生息しており海洋生物の宝庫となっています。tubbataha- shark airport 2 marble ray and divers,copyright and photo credit: q phia on flickr. Attribution 2.0 Generic. そんなトゥバタハ岩礁海洋公園は、プエルト・プリンセサ発の数日間のダイブクルーズで行くことができます。プエルト・プリンセサからボートに乗って、何と約12時間!!でトゥバタハ岩礁に到着。さすがの秘境ですね~。そしてボートに寝泊まりしながらダイビング三昧の日々を送るのです!ひらひらと舞うマンタを見たり、ギンガメアジの群れに囲まれたり、バラクーダに遭遇したり、沈没船を探索したりと水中世界を存分に楽しむことができます。トゥバタハ岩礁がすごいのは水中だけではありません。珊瑚が砕けてできた砂洲にはカツオドリなどの海鳥がたくさんとまっていたりと、ここは鳥の楽園でもあるのです。海が穏やかな3月から6月くらいしか行くことができないという見事な秘境っぷりなので、訪れるのはなかなか難しいかもしれませんが、日本発1週間程度のツアーもあるようなので行くのも夢ではありませんよ!・アクセスマニラからプエルト・プリンセサまで飛行機で約1時間。プエルト・プリンセサからのツアーが一般的。ハミギタン山地野生生物保護区 (自然遺産)登録基準:「絶滅危惧種」ハミギタン山地野生生物保護区はフィリピン南部、ミンダナオ島の南東部のプハダ半島にあります。固有種が多いことで知られており、ここでしか見ることができないウツボカズラなどが有名です。ウツボカズラは、とても美しい食虫植物でボルネオ島にある世界遺産「キナバル自然公園」などでも見ることができますよ!食虫植物ウツボカズラ キナバル自然公園にて photo:Miho Shimizu2014年に世界遺産に登録されたばかりなのでまた訪れたことがある人は少ないですが、フィリピン第3の都市ダバオからのアクセスが良いので、今後人気が出てくること間違いなしです!・アクセスマニラからダバオまで飛行機で約1時間半。ダバオからバスで数時間。※記事中の情報は、全て2015年10月現在のものです。(参考文献:『すべてがわかる 世界遺産大事典 <上・下> 世界遺産検定公式テキスト』、『きほんを知る世界遺産44 世界遺産検定4級公式テキスト』、『地球の歩き方』、『るるぶ』)4年間世界遺産巡りの旅をした夫婦「世界遺産イェーイ!」のコラムその他の記事はこちら>
2015年11月12日○世界遺産データ『ウィーンの歴史地区』(文化遺産)。オーストリア。2001年登録。季節はすっかり秋ですね。みなさんいろんな形で秋を満喫していらっしゃるかと思います。筆者は「芸術」の秋かなぁ。今秋も面白そうな企画が目白押しなので、週末ごとに美術館めぐりをしています。芸術の都といえば、やはりウィーンですよね! ということで今回は世界遺産『ウィーンの歴史地区』内にある「美術史美術館」に関してお話します。ウィーンは13世紀から20世紀にかけて、ハプスブルク家の本拠地として大きく繁栄しました。ハプスブルク家の手厚い庇護のもとで、芸術や音楽が発展していったのです。美術史美術館は、歴代王たちが数百年以上かけて集めたコレクションを基礎としているだけあって、収蔵品はすばらしいものばかりです。特にブリューゲルの作品数は世界最大です。彼の作品は宗教性がベースにありつつも、人間らしいおかしみや皮肉さにあふれていて、日本人にもなじみやすいと思います。この美術館は当時の皇帝の命により、1871年から1891年にかけて建設されました。優雅で壮麗な、うっとりするような建物です。美術館内のカフェは「世界で最も美しいカフェ」とも言われるとか。かつての王族の気分を味わいながらお茶を楽しむことができるので、ウィーンを訪問した際にはぜひ足を運んでみてくださいね。なお現在、東京・渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムでは「ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生」を開催中です。都内でウィーンの息吹を感じてみてください。○筆者プロフィール: 本田 陽子(ほんだ ようこ)「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。○世界遺産検定とは?世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。主催:世界遺産アカデミー開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)開催地:全国主要都市受検料:4級2,670円、3級3,900円、2級5,040円、1級9,250円、マイスター1万8,510円、3・4級併願6,060円、2・3級併願8,220円解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込みその他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて
2015年10月12日○世界遺産データ『ポトシの市街』(文化遺産)。ボリビア。1987年登録。2014年、2015年と日本から誕生した世界遺産はいずれも産業遺産でした。世界を見てみると、多くの産業遺産が登録されています。例えば南米のボリビアにあるポトシには、かつて世界の銀産出量の半分を産出したという銀山があります。銀の産出が減少すると同時に街も衰退していきました。筆者もこの地を訪れたことがありますが、かつての栄華はどこへやら、土ぼこりで茶色くすすけた街並みが続いていました。街の奥にあるのは、赤茶けた禿山のポトシ銀山です。この銀山を訪問するツアーがあるのですが、かなりハードとのうわさ。筆者は閉所が大の苦手なので断念しました。訪問した旅人によると、鉱山で働く作業員へのお土産にコカの葉などを調達していき、狭い坑道を延々歩いたせいで少々気持ち悪くなったとか。ポトシからバスで3時間ほどのところにも、世界遺産である『スクレの歴史都市』があります。こちらはポトシより標高が低く過ごしやすいことから、支配者のスペイン人はポトシではなくスクレで生活しました。ポトシとはだいぶ趣の異なるヨーロッパ風の街並みが広がっています。○筆者プロフィール: 本田 陽子(ほんだ ようこ)「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。○世界遺産検定とは?世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。主催:世界遺産アカデミー開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)開催地:全国主要都市受検料:4級2,670円、3級3,900円、2級5,040円、1級9,250円、マイスター1万8,510円、3・4級併願6,060円、2・3級併願8,220円解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込みその他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて
2015年09月28日富士フイルムは9月3日、カラーネガフィルム「フジカラー F-II400」が国立科学博物館の「重要科学技術資料(未来技術遺産)」に登録されたと発表した。未来技術遺産の登録制度は、科学技術の発展を示す技術的な資料や、国民生活や社会、文化に大きな影響を与えた科学技術資料の保存と次世代への継承を目的に、2008年から実施されているもの。昨年度までに184件が登録されている。このたび登録された「フジカラー F-II400」は、富士フイルムが1976年10月に発売したカラーネガフィルム。それまでのカラーネガフィルムに比べて、感度を約4倍に引き上げ、世界初の高感度(ASA400)を実現した製品だ。フジカラー F-II400によって、ストロボがなければ撮影できなかった室内でも明るく撮れるようになったり、シャッタースピードを4倍速くできたことで手ブレの解消につながったり、とカラー写真の撮影領域拡大に貢献した。
2015年09月04日パイオニアは9月2日、レーザーディスク(LD)プレーヤーの3機種が、国立科学博物館の「重要科学技術資料(未来技術遺産)」に登録されたと発表した。未来技術遺産は、科学技術の発展を示す技術的な資料や、国民生活や社会、文化に大きな影響を与えた科学技術資料の保存と次世代への継承を目的に、2008年に制定された制度。昨年度までに184件が登録されている。今回、未来技術遺産として登録されたのは、世界初の業務用LDプレーヤー「PR-7820」、家庭用のLDプレーヤー「LD-7000」、そして世界初のコンパチプレーヤー(LDのほかにCDの再生も可能)「CLD-9000」だ。レーザーディスクは、パイオニアが開発した光学式ディスクの規格。アナログで記録されている映像と音声を、レーザーピックアップで読み取る方式を採用している。1979年に業務用プレーヤーの「PR-7820」を発売した後、1981年に民生用の国内向けモデル第1号として「LD-1000」を発売。映像を再生できるディスク媒体として一時代を築いた。その後、DVDやBDなどの普及に伴い、2009年にプレーヤーの製造から撤退しているが、レーザーディスクプレーヤーの開発によって培われたピックアップ技術やサーボ技術などは、現在でもさまざまな製品に生かされている。
2015年09月02日コモドドラゴン(コモドオオトカゲ) ©ASEAN-Japan Centre8つの世界遺産を要するインドネシア!“前回の記事”では有名な仏教寺院ボロブドゥールやバリ島など文化遺産4件を紹介しましたが、今回は多種多様な自然遺産4つをご紹介します!日本でも有名な「コモドドラゴン(コモドオオトカゲ)」やオランウータンなど珍しい動物に会えたり、カヌーに乗ってマングローブを観察したり大自然を満喫できるのです!この4つの自然遺産は、コモド島、ジャワ島、スマトラ島、ニューギニア島と全て別の島にあるため、一度の旅行で4つまとめていくのは難しいのですが、バリ島の世界遺産だったり、マレーシアの世界遺産と合わせて旅程を組むと行きやすかったりします!一緒に行くならココ!という世界遺産をそれぞれ紹介しているので、要チェックですよ!コモド国立公園(自然遺産)登録基準:「自然の景観美」、「絶滅危惧種」インドネシアの自然遺産1発目は世界最大にして最強のトカゲ「コモドドラゴン」(写真一番上)が生息するコモド国立公園でございます!!人気番組「世界の果てまでイッテQ!」で、珍獣ハンターイモトアヤコさんと競争したことでも有名な「コモドドラゴン」は、体長2~3m、体重は100kgと巨体で、その姿はさながら恐竜のよう!乱獲によって生産数が激減し現在は絶滅の危機にさらされています。コモド島で食物連鎖の頂点に立つのはコモドドラゴン!彼らは野生のシカ、水牛などを毒などでじわじわと殺めて餌とします。コモド島周辺は海流が激しく天敵が入ってこなかったため、コモド島はコモドドラゴンの楽園となったのです。そんなコモド島へはバリ島から飛行機を使ったツアーが便利。バリ島のデンパサールから、まずは東へ飛行機で約1時間半のところにあるフローレス島へ飛び、フローレス島から船でコモド島とリンチャ島(リンチャ島でもコモドドラゴンが観察できます)をまわる日帰り、または1泊2日のツアーなら短期旅行でもコモドドラゴンを見ることができます。コモド島もリンチャ島もガイドの同行が義務付けられているのでツアーの参加は必須です!フローレス島からコモド島までは船で片道約3時間半、リンチャ島までは片道約2時間なので、時間に余裕があれば、どちらかの島に1泊するか船に泊まるツアーもゆっくりできて良いです。バリ島から東へ約50kmのところにあるロンボク島からコモド島、リンチャ島に寄ってフローレス島まで2泊3日のダイビングツアーなどもあるので、ダイバーの方にはこちらも人気!コモド島周辺はマンタやジンベエザメなど大物が多いんです!・アクセス成田からバリ島のデンパサールまで直行便で約7時間。デンパサールからフローレス島まで飛行機で約1時間半。フローレス島からコモド島までは船で約3時間半。・一緒に行くならこの世界遺産バリの文化的景観:バリ・ヒンドゥー哲学トリ・ヒタ・カラナを表す水利システム「スバック」ウジュン・クロン国立公園(自然遺産)登録基準: 「自然の景観美」「絶滅危惧種」photo:ひさほ ゆう「ウジュン・クロン国立公園」は、ジャワ島の西の端のウジュン・クロン半島とその西にあるスンダ海峡の島々からなる自然遺産です。1883年にジャワ島とスマトラ島の間にあるクラカタウ火山が噴火しウジュン・クロン半島と島々は火山灰に埋もれてしまいましたが、現在は熱帯雨林が復活しています。川をカヌーで行くツアーがお勧め!photo:ひさほ ゆうこちらを楽しむには、インドネシアの首都ジャカルタや、ジャカルタからバスで約4時間のところにあるカリタやラブアンなどでツアーを手配するのが一般的。カヌーに乗って熱帯雨林のジャングルを体感しましょう。運が良いと絶滅危機にさらされているジャワサイや水牛など貴重な動植物に会えるかも?!・アクセス成田からジャカルタまで直行便で約7時間。ジャカルタからカリタやラブアンまでバスで約4時間。カリタやラブアンからのツアー。・一緒に行くならこの世界遺産同じくジャワ島にある世界遺産「ボロブドゥールの仏教寺院群」と「プランバナンの寺院群」ジャカルタから、ボロブドゥール、プランバナンの拠点となるジョグジャカルタまで 飛行機で約1時間。スマトラの熱帯雨林遺産(自然遺産)登録基準: 「自然の景観美」、「固有の生態系」、「絶滅危惧種」インドネシアの西の端にあるスマトラ島は、日本の国土の約1.5倍という巨大な島です。「スマトラの熱帯雨林遺産」は、3つの国立公園にまたがる広大な自然遺産です。スマトラオランウータン写真提供:市川市動植物園森の人オランウータンは、ここスマトラ島とボルネオ島だけに生息しています。絶滅危惧種「スマトラオランウータン」は、出っ張ったエラが特徴です(雄のみ)。3つの公園の1つ「グヌン・レウセル国立公園」では、スマトラオランウータンに会えるかもしれません。こちらの拠点となるのは、インドネシア第3の都市メダンから100kmほど北西にあるブキッ・ラワン。すぐ近くにオランウータン・ビューイングセンターがあり餌付けを見学するミニツアーなどに参加することができます。ラフティング付きの1泊2日のツアーや、ジャングルを移動する5日のジャングルトレッキングツアーなどもあるので、幅広く楽しむことができます。スマトラトラやスマトラゾウなど貴重な動物に会えるかもしれません!・アクセスジャカルタからメダンまで、飛行機で約3時間。メダンからブキッ・ラワンまでバスで約3時間。シンガポール、マレーシアのクアラルンプール、ペナンなどからも1時間前後なのでそちらを経由するのも良し。・一緒に行くならこの世界遺産「シンガポール植物園」メダンからシンガポールまで飛行機で約1時間半。ジェットスターも飛んでいます!2015年、今年登録されたばかりの、シンガポール初の世界遺産を一緒に観光しちゃいましょう!「メラカとジョージ・タウン:マラッカ海峡の歴史都市」ジョージタウンがあるペナンとメダンは飛行機で約1時間!! LCCも各社飛んでいるので低コストで旅ができます。ペナンでマレーシアの歴史に触れつつ、屋台での食い倒れもいいですね。ロレンツ国立公園(自然遺産)登録基準: 「地球の歴史」、「固有の生態系」、「絶滅危惧種」世界で2番目に大きな島ニューギニア島の西部、スディルマン山脈のジャヤ山一帯を含む「ロレンツ国立公園」は東南アジア最大の面積をもつ自然公園です。ニューギニア島はインドネシアとパプアニューギニア2か国の領土で、西半分がインドネシア、東半分はパプアニューギニアとなっています!ちなみに世界で1番大きな島は北極海にあるグリーンランド、そして3番目に大きな島はボルネオ島(インドネシア、マレーシア、ブルネイの領土)です!インドネシアには世界で2番目と3番目に大きな島があるんですよ!美しい万年雪photo:インドネシア政府観光局ここには手つかずの自然が残されており、キノボリカンガルーやハリモグラなど100種類以上の哺乳類や、たくさんの鳥類などが確認されており、先住民族の部族も居住しています。「ロレンツ国立公園」には、ワメナなどからのツアーがお勧め。トレッキングをしたり、先住民族を訪問したり、伝統舞踊を楽しんだり、忘れられない体験ができることでしょう。・アクセスジャカルタからパプア州の州都ジャヤプラまで飛行機で約6時間。ジャヤプラからワメナまで飛行機で約30分。ワメナからツアー。・一緒に行くならこの世界遺産「ウジュン・クロン国立公園」先ほど紹介したインドネシアの自然遺産。ジャカルタを経由するので一緒に行っちゃいましょう。(text : 世界遺産イェーイ!鈴木かの子)(参考文献:『すべてがわかる 世界遺産大事典 <上・下> 世界遺産検定公式テキスト』、『きほんを知る世界遺産44 世界遺産検定4級公式テキスト』、『地球の歩き方』、『るるぶ』、『インドネシア共和国観光省』)4年間世界遺産巡りの旅をした夫婦「世界遺産イェーイ!」のコラムその他の記事はこちら>
2015年09月02日国立科学博物館は9月1日、「国立科学博物館重要科学技術仕様(愛称:未来技術遺産)」に、ソニーの「AIBO」など25件を選定した。「未来技術遺産」は日本の科学技術の歴史を示す事物で、科学技術の発達史上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つもの、ならびに国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えたものを、国立科学博物館が選定し登録するというもの。2008年から毎年発表されており、昨年は日本初の噴流式洗濯機「電機洗濯機 SW-53」や富士フイルムの「フジカラー 写ルンです」などが選出された。今年は「AIBO」のほか、世界初の産業レーザディスクプレーヤであるパイオニアの「PR-7820」、海軍航空本部が製作した「海軍航空機用塗料識別標準(色見本帳)」などが登録された。2015年度登録の「未来技術遺産」は以下の通り:
2015年09月01日ボロブドゥールの仏教寺院群 photo:世界遺産イェーイ!多くの島々で構成されているインドネシアには8つの世界遺産があります。世界遺産は「ジャワ島」に4つ、「スマトラ島」に1つ、「コモド島」に1つ、「ニューギニア島」に1つ、そして「バリ島」に1つと、5つの島に分布しています。8つの世界遺産のうち4つが自然遺産という豊かな自然を堪能できるインドネシアの世界遺産。自然の宝庫だけあってちょっぴりアクセスが難しい秘境な世界遺産が多いのも特徴です。今回の記事では、比較的アクセスが良好な文化遺産4つをご紹介!ジャワ島のジョグジャカルタ近郊を拠点として行ける世界遺産3つと、世界的に有名なリゾート地バリ島にある世界遺産1つを取り上げます。ボロブドゥールの仏教寺院群(文化遺産)登録基準: 「人間がつくった傑作」「文化交流」、「出来事や宗教、芸術」まずはインドネシア観光のハイライト!ジャワ島にある有名な仏教寺院、ボロブドゥールをご紹介!ボロブドゥール寺院は、カンボジアの「アンコール・ワット」、ミャンマーの「バガン」と合わせ「世界三大仏教遺跡」の1つなのです。現在インドネシアは人口の約87%がイスラム教徒なのですが、イスラム教が伝わるまでは、仏教文化とヒンドゥー教文化が栄えていたのです。ボロブドゥール寺院は、770年頃から820年頃にかけて仏教を信仰するシャイレンドラ朝という王朝によって築かれました。そして何と1871年にイギリスのラッフルズに発見されるまで約1,000年間も密林の中に眠り、歴史上から姿を消していたんです!大乗仏教の宇宙感を表す構造photo:ひさほ ゆうボロブドゥール寺院は遠くから見ると1つのピラミッドみたいなものに見えますが、実は大きく分けると2つの部分から成り立ってます。(丸と四角)上部の「3層の円壇」と下部の「5層の方形壇」です。そして「3層の円壇」の頂上にはストゥーパ(釣鐘状の塔)があります。これらの構造は大乗仏教の宇宙感を表しています。イチオシはレリーフ!photo:世界遺産イェーイ!こちらは仏教の開祖である「釈迦」の生母、摩耶夫人(まやぶにん)のレリーフです!下部の「5層の方形壇」の各層は回廊上になっており、その壁面は仏教をテーマにしたレリーフ(浮き彫り)で埋め尽くされてます。ボロブドゥール寺院は整備された遺跡公園の中にあるのですが、その公園内にある「オーディオ・ビジュアル館」では、遺跡の歴史を解説したビデオが上映されています。レリーフの解説など、図を使ってわかりやすく説明されているので、観光する前にぜひ見てみましょう。ビデオは何と日本語もありますよ!ボロブドゥール観光は、遺跡公園内にある「マノハラ・ホテル」に泊まるのがお薦め!レストランからもボロブドゥールが見えちゃう世界遺産好きにはたまらない宿なんです。ボロブドゥール寺院の向こうから朝日が昇る光景を見ることができる、サンライズツアーも外せません!またボロブドゥール寺院から車で約5分のところにムンドゥー寺院、パウォン寺院があり、こちらも世界遺産として登録されているので必見です。・アクセス成田から首都ジャカルタ、またはバリ島のデンパサールまで直行便で約7時間。ジャカルタ、またはデンパサールからジョグジャカルタまで約1時間。ジョグジャカルタからバスで約1時間半。・必要日数ジョグジャカルタから日帰りで1日あれば十分観光できますが、マノハラ・ホテルに1泊してサンライズツアーに参加するのがオススメです!プランバナンの寺院群(文化遺産)登録基準: 「人間がつくった傑作」、「建築技術」photo:ひさほ ゆうこちらもジャワ島に位置する9世紀に作られた「プランバナン寺院」はヒンドゥー教寺院です。ボロブドゥールは仏教寺院ですが、こちらはヒンドゥー教の寺院なのです!ヒンドゥー教の3大神、「シヴァ神」、「ヴィシュヌ神」、「ブラフマー神」を祀る建物が3つそびえており、さらにそれぞれの神の祠堂の前には、その神の乗り物が祀られた小堂があります。「ラーマヤナ」のレリーフphoto:ひさほ ゆうシヴァ神をまつったシヴァ堂の回廊に、古代インドの叙事詩「ラーマヤナ」のレリーフがあります。ボロブドゥール同様、見事なレリーフを楽しみましょう。世界遺産として登録されている寺院は、プランバナン寺院以外に、仏教寺院のセウ寺院、ヒンドゥー教寺院のカラサン寺院、サンビサリ寺院などがあります。異なる宗教の建造物が混在し、破壊されることなく残されていることから、この地域での宗教の寛容性が垣間見えてきます。・アクセスプランバナン寺院は、ジョグジャカルタから車で約45分。プランバナン寺院以外のセウ寺院などをまわる場合は、タクシーチャーターが便利。・必要日数ジョグジャカルタから日帰りで観光可能。人類化石出土のサンギラン遺跡(文化遺産)登録基準: 「文明の証拠」、「出来事や宗教、芸術」photo:ひさほ ゆうジャワ島にある、サンギラン遺跡は一言でいうと「ジャワ原人の頭蓋骨」が発見された人類の歴史をたどる上で大変貴重な遺跡です!こちらがジャワ原人(ピテカントロプス)photo:ひさほ ゆうこのサンギラン遺跡で発見されたジャワ原人の化石なくしてアジアの人類進化は語れません!こちらでは今までに50件ほど人類の化石が発見されており、世界で発見された人類化石のおよそ半分を占めるほどの「人類の化石祭り」なんです!そんな化石の一部やジャワ原人のジオラマがサンギラン博物館に収められています。博物館へのアクセスは、古都ソロに滞在すると便利です。ソロはそれなりに都会ですが、The観光地という感じでもなく居心地の良い街でした。・アクセスジョグジャカルタからソロまで、バスで約2時間。ソロからタクシーチャーターで約30分。・必要日数ソロを拠点とすれば半日。ジョグジャカルタ拠点だと丸1日必要。バリの文化的景観:バリ・ヒンドゥー哲学トリ・ヒタ・カラナを表す水利システム「スバック」(文化遺産)登録基準: 「文化交流」、「文明の証拠」、「伝統的集落」、「出来事や宗教、芸術」神々が住む島、バリ島。リゾートアイランドとしても知られるこの島に、2012年世界遺産が登録されました。バリ・ヒンドゥー教の哲学の一つである、「トリ・ヒタ・カラナ(神と人、自然の調和がコンセプト)」に基づく棚田の景観や、灌漑施設、9世紀から続いている水利システム「スバック」を司る寺院など5カ所が世界遺産として登録されています。熱帯雨林に広がる棚田の景観photo:Miho Shimizu「スバック」とは寺院に集められた水を分け合う水利システムで、1,000年以上続いています。川や泉から水を引いて、水田に均等に分けています。パワースポットとしても有名な「ウルン・ダヌ・バトゥール寺院」photo:©ASEAN-Japan Centreすべての川や泉を生み出した女神が住んでいると言われている「バトゥール湖」、バトゥール湖の女神を祀る「ウルン・ダヌ・バトゥール寺院」、また「タマン・アユン寺院」も世界遺産として登録されています。バリ人が神と人間と自然の調和を取りながら、水を分け合い、米を収穫して生活してきた様子を知ることができる世界遺産なのです。バリならではのマリンスポーツやスパを楽しみつつ、世界遺産を観光してバリ人の1,000年を超える生活の営みを感じるのも素敵ですね。・アクセス成田からまたはバリ島のデンパサールまで直行便で約7時間。デンパサール空港からウブドまで車で約1時間。世界遺産は点在しているので、ウブドからツアーかタクシーチャーターが便利。・必要日数棚田だけを見るのであれば半日でOK。5つ全部見るのであれば、2日くらいある方が良い。最後にセカイェだったらこんな風にインドネシアの文化遺産をまわりたい!という日程表をお届けします!セカイェツアー日程表 6泊7日 インドネシア4つの文化遺産を巡る旅1日目:日本→バリ バリ島→ジョグジャカルタ(飛行機) ジョグジャカルタ泊2日目:ジョグジャカルタ→ソロ サンギラン観光 ソロ泊3日目:ソロ→ボロブドゥール ボロブドゥール観光 ボロブドゥール泊4日目:ボロブドゥール→ジョグジャカルタ プランバナン観光 ジョグジャカルタ泊5日目:ジョグジャカルタ→バリ島(飛行機) ウブド泊6日目:バリ島観光 ウブド泊7日目:バリ島→日本世界遺産4つを見ようとすると、ちょっぴり忙しい旅になってしまいますね。泣く泣くジャワ原人のサンギランを諦めバリ島を1日延ばすのも良いかもしれません。(text : 世界遺産イェーイ!鈴木かの子)※記事中の情報は、全て2015年7月現在のものです。(参考文献:『すべてがわかる 世界遺産大事典 <上・下> 世界遺産検定公式テキスト』、『きほんを知る世界遺産44 世界遺産検定4級公式テキスト』、『地球の歩き方』、『るるぶ』、『インドネシア共和国観光省』)4年間世界遺産巡りの旅をした夫婦「世界遺産イェーイ!」のコラムその他の記事はこちら>
2015年08月04日6月28日から7月8日まで、ドイツのボンで開催されている世界遺産委員会。日本から推薦していた『明治日本の産業革命遺産』は日韓問題で揺れに揺れたが無事登録された。国際問題にまで発展し、連日ニュースをにぎわせたため、審議の行方を固唾(かたず)をのんで見守っていた人も多かっただろう。しかし、肝心の遺産価値そのものにはあまりスポットライトがあたっていないように思われる。そこであらためて、世界遺産に詳しい世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局の研究員・本田陽子さんにうかがってみることにした。明治の重工業にまつわる産業遺産ということは分かるのですが、もう少し詳しく遺産価値を教えてください。幕末に何が起こったか、ということからひもとくと分かりやすいかもしれません。1840年に隣の清(中国)でアヘン戦争が起こりました。あの大国である清がヨーロッパの島国(英国)に負けた、というのは日本にとってものすごい衝撃だったのです。さらに、黒舟来航など国際的な脅威が高まる中で海防が大事だということになり、造船や大砲の製造に取り組み始めました。「造船」は遺産名にも入っていますね。そうなんです。最終的に正式な遺産名は『明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業』となりました。それまでは船といえば風力という不安定な要素に頼っていたのですが、蒸気を導入すれば自在に操作できるわけです。幕末に開港した長崎では、蒸気船を造るための造船所や故障した際に修理留守ためのドックなどが築かれました。それらは構成資産に含まれています。ということは、遺産名にある「鉄」や「石炭」もつながってきますよね。その通り! 船の素材して鉄が必要だったわけです。また、外国船が日本に攻めてきた場合には攻撃しないといけませんから、大砲を各地に作る必要がありました。そこで、製鉄所や反射炉(鉄を溶かす溶解炉)が構成資産に含まれているのです。そして、それらを製造したり船を動かしたりするための動力が石炭だったということなんです。九州の各地の炭鉱跡も含まれています。8県23資産にまたがる、というと全体像がつかみにくいのですが、こうして関連性が見えてくると割とすんなり理解できるのではないでしょうか。つまり、「鉄(素材産業)」「船(総合産業)」「石炭(エネルギー源)」が三位一体となって、明治期の日本は急速に発展したということを今回の遺産は示しているのです。構成資産の中には旧グラバー住宅や松下村塾など、日本の近代化に大きく貢献した人物にゆかりのある建造物も含まれますね。スコットランド出身の商人グラバーは、西洋の採炭技術を導入して日本最初の蒸気機関による竪坑を開発しました。旧グラバー住宅は日本に西洋技術を伝えた拠点だったと言えます。一方、海防の重要性を感じていた吉田松陰は、自力で産業近代化の実現を図ろうと松下村塾で説きました。ほかにも、福岡出身の実業家で三池炭鉱の採炭技術の近代化を進めた團琢磨(だんたくま)などの数々のすばらしい人材や、さらには数え切れないほどの多くの工員たちがこれらの産業遺産を支えてきたのです。炭鉱と言えば軍艦島が有名ですよね。海中で石炭を掘っていたと聞きましたが。九州の三池や筑豊では良質な石炭が採れるんですが、その石炭は海底にもつながっていました。地中や海中を数百m、場所によっては1,000m近く掘り進んで、しかも網の目のように路線が張り巡らされていたんですよ。アリの巣みたいですね。軍艦島は今回の登録を受けて、観光クルーズが予約でいっぱいになっているようです。今夏に上映される『進撃の巨人』のロケ地にもなっていますし、23の構成資産の中でも最も注目度が高いのではないでしょうか。ただ、「軍艦島」の通称の由来ともなっているマンション群の廃墟跡が生み出す景観というのは、実は世界遺産として評価されているポイントではないのです。海底奥深くから石炭を掘り出すために使われていた鉱業所の施設や坑道跡などが、最盛期の石炭産業の状況をよく示しているということが評価されました。そちらは危険なので見学できません。もちろん、廃墟跡も石炭産業を支えた人々がどのような生活を送っていたか、ということを垣間見ることができる貴重な遺産だと思います。ただ、あまりに風化が進んでいるので、今後どのように維持していくかというのは大きな課題となっています。それでは、本田さんが特にオススメする訪問先はどこでしょう?ちょうど軍艦島の話が出たので石炭に関わる産業遺産で言いますと、熊本県荒尾市にある「万田坑」は施設全体がそっくりそのまま残っていて見学できますので、非常に見ごたえがありますよ。実は私は実家が熊本県でして、地元から世界遺産が誕生したのは非常にうれしく思っています。それから、石炭採掘の歴史をじっくりと知りたいのなら、隣の福岡県大牟田市にある石炭産業科学館がオススメです。ここには世界遺産となった宮原坑で戦中に働いた朝鮮人労働者の「壁書き」が展示されています。輝かしい歴史ばかりではなく、そうした点もしっかりと伝えているのが好感がもてました。朝鮮人のお話が出たところで、どうしても避けて通れない話題かと思いますが、今回の日韓の動向についてはどのように感じましたか?今回の一連の報道を見ると、「勝った」「負けた」「折れた」という言葉が非常に目に付きました。本来、世界遺産の制度は勝ち負けを争うゲームではもちろんありませんが、そこにばかり焦点があたってしまった異例なケースでした。そこの議論はかなり出尽くしている感もあるのでほかのメディアに譲りますが、他の委員国に対する印象は決していいものではありませんでした。世界遺産委員会では多岐にわたる審議が行われるので、この問題にばかり時間をとられるわけにはいかないわけです。多くの委員国が日韓両国のロビー活動というかプレゼンテーションに巻き込まれる形になったので、「もっとほかにも大事な問題があるんだけど」というのが正直な気持ちだったのではないでしょうか。審議も延期になり、どうなることかと思いました。そうですね。今回は多くの自治体でパブリックビューイングを予定していたので、主催者や会場の市民のみなさんも「まだ決まらないの!? 」とヒヤヒヤしたと思います。審議については、日韓両国がうまくまとまるようにドイツのベーマー議長も直前までいろいろと調整してくれたようです。また、各省庁の関係者の方なども寝る間もないほど大変だったと思います。ともかくお疲れさまでした、とねぎらいたいですね。○筆者プロフィール: 本田 陽子(ほんだ ようこ)「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。
2015年07月07日グーグルは5日、「明治日本の産業革命遺産」がユネスコの世界遺産に登録されたことを受け、松下村塾など28施設をGoogleマップのストリートビューで公開した。「明治日本の産業革命遺産」は、19世紀末から20世紀初頭に、日本の近代化を牽引した製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業に関連する遺産で、現在も稼働する工場を含む23の構成資産からなっている。今回のプロジェクトは、「明治日本の産業革命遺産」(23構成資産)のうち17構成資産から、新たに23施設を撮影した。既に公開済みだった5施設とあわせ、計28施設をストリートビューで閲覧できる。新たに公開した「松下村塾」では、通常は立ち入りが禁じられている室内も許可を得て撮影。吉田松陰が授業を行っていた部屋や寝泊まりしていたといわれる屋根裏部屋の写真を公開した。○公開された「明治日本の産業革命遺産」(全28施設)※は以前から公開済みの施設1.端島炭坑※2.松下村塾3.松下村塾(吉田松陰幽因ノ旧宅)4.三池炭鉱専用鉄道敷跡5.三池港6.三池炭鉱 宮原坑7.三池炭鉱 万田坑 ※8.小菅修船場跡9.旧グラバー住宅 ※10.高島炭坑11.三重津海軍所跡12.三角西(旧)港 ※13.旧集成館(反射炉跡)14.旧集成館(機械工場)15.旧集成館(旧鹿児島紡績所技師館)16.寺山炭窯跡17.関吉の疎水溝18.萩反射炉19.恵美須ヶ鼻造船所跡20.萩城下町(木戸孝允旧宅)21.萩城下町(北の総門)22.萩城下町(萩城外堀)23.萩城下町(口羽家住宅)24.萩城下町(指月山)25.大板山たたら製鉄遺跡26.橋野鉄鉱山・高炉跡27.橋野高炉跡 ※28.韮山反射炉
2015年07月06日グーグルは5日、同日に世界遺産登録された「明治日本の産業革命遺産」のストリートビューを公開した。山口県荻市の「松下村塾」など既存の5施設と合わせて、28の施設を閲覧できる。「明治日本の産業革命遺産」は、19世紀末から20世紀初頭に、日本の近代化を牽引した製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業に関連する遺産。現在でも稼働している工場を含む23の構成資産からなり、8県11市にまたがっている。グーグルでは、世界遺産の登録にあわせ「明治日本の産業革命遺産」にあたる17の構成資産において、23施設を新たに撮影した。これにより長崎県長崎市の「端島炭坑(軍艦島)」など、既存の5施設と合わせて28の施設を見ることができる。また、「松下村塾」では、通常の立ち入りが禁止されている室内も許可を得て撮影。吉田松陰が授業をしていた部屋や、寝泊まりをしていたとされる屋根裏部屋が公開されている。ストリートビューに公開されている「明治日本の産業革命遺産」1.端島炭坑2.松下村塾3.松下村塾4.三池炭鉱専用鉄道敷跡5.三池港6.三池炭鉱 宮原坑7.三池炭鉱 万田坑8.小菅修船場跡9.旧グラバー住宅10.高島炭坑11.三重津海軍所跡12.三角西(旧)港13.旧集成館(反射炉跡)14.旧集成館(機械工場)15.旧集成館(旧鹿児島紡績所技師館)16.寺山炭窯跡17.関吉の疎水溝18.萩反射炉19.恵美須ヶ鼻造船所跡20.萩城下町(木戸孝允旧宅)21.萩城下町(北の総門)22.萩城下町(萩城外堀)23.萩城下町(口羽家住宅)24.萩城下町(指月山)25.大板山たたら製鉄遺跡26.橋野鉄鉱山・高炉跡27.橋野高炉跡28.韮山反射炉
2015年07月06日7月5日、「明治日本の産業革命遺産」のひとつとして世界文化遺産に登録された八幡製鐵所。その八幡製鐵所から生まれたとあるお菓子が、北九州で長い歴史を持つ伝統銘菓として名を馳せていることをご存じだろうか?そのお菓子とは、「くろがね堅パン」と「くろがね羊羹(ようかん)」。商品名の「くろがね」は「鉄」の古称で、いずれも大正時代に官営八幡製鐵所(現在の新日鐵住金八幡製鐵所)で誕生した。そして現在はスピナが製造・販売している。○製鐵マンたちの栄養補給目的で誕生それにしても、なぜ製鐵所が本業と無関係の堅パンや羊羹を開発することになったのだろう? その答えはずばり、数万人もいた従業員のカロリー補給のため。工場内の過酷な労働環境下で、長時間働き続けるためには十分な栄養摂取が必須。そこで、当時の栄養事情をかんがみた会社が従業員に栄養補助を行ってもらうべく、購買会で販売するようになったのだ。長く保存できるよう、極力少ない水分で作られている堅パンは、鉄のような堅さであることが大きな特徴。堅い食べ物はアゴの強化のためにもいいと言われるが、実際、地元には、乳幼児期のアゴの発育や歯固めを目的に給食に取り入れている幼稚園もあるとのこと。口にしてみると、確かに咀嚼(そしゃく)にかなりの労力を要すため、小顔になりたい女性にもオススメできる。定期的に食べることでアゴが鍛えられるばかりか、シャープな顔立ちになれるといううれしい副次効果も得られそうだ。しかも、よく噛(か)んで食べることで満腹中枢が刺激されるので、適量でおなかが満足するゆえに健康維持にも一役買ってくれそうだ。1袋5枚入りから展開している。○万が一の時のために備えておきたいもちろん、保存食としても大いに役立つこと間違いなし。阪神・東北の震災発生時にも現地に送って喜ばれたというが、いざ何か起きた時に慌てず済むよう、各家庭で備えておくのもいいだろう。保存用としてうってつけは、スチール缶タイプ(堅パン5枚入り×34袋入り)。蓋をすれば椅子にもなることから、災害時の移動中にも役立つこちらのタイプは、3月に幕張メッセで開催されたアジア最大級の食のイベント「FOODEX JAPAN2015」において、「ご当地缶詰グランプリ」の銀賞とビジュアル審査賞をW受賞している。一方の羊羹は、重さ160g・長さ13cmというコンパクトサイズ。従業員のポケットにすっぽり入る形状だったことから、作業の合間にかじってスタミナを補給した製鐵マンもいたんだとか。また、昼夜を問わず稼働し続ける工場を支える労働者の疲れを癒やして体力を回復させる狙いで、敢えて甘みの強い上白糖を使っていることもポイント。もちろん、肉体だけでなく、オーバーワーク気味な現代人の脳の疲れを取るためにもうってつけ。渋めの緑茶なんかと合わせて食べると、頭が瞬時にシャキっとしそう!堅パン・羊羹ともに、商品が誕生した当時の堅さ・甘さにこだわっていることから、「北九州の味」として市民に定着しているため、進学や就職のために故郷を離れた人にとっては「懐かしの味」ともいえるだろう。福岡出身者もそうでない人も、世界遺産登録のおめでたいこのタイミングで、ぜひ一度味わってみてほしい。※記事中の情報・価格は2015年6月取材時のもの
2015年07月06日©TRIPPING!ドイツで開催されたユネスコの世界遺産委員会は、シンガポールの「シンガポール植物園(Singapore Botanical Gardens)」を世界遺産に登録することを発表!シンガポールに初めての世界遺産が誕生した。シンガポール植物園とは?©TRIPPING!シンガポールの中心地に位置するシンガポール植物園は、74haもの広大な敷地に、熱帯ならではの美しい花々が咲き、市民の憩いの場として愛されて来た。設立は1859年。農業開発の場として利用されていたシンガポール植物園で初期に盛んに実験栽培されたのが「ゴム」。これが後の自動車産業の発展期に重要な役割を果たした。そのような歴史的背景も今回の世界遺産登録の要因となっている。1928年からは、「蘭」の品種改良に力を入れるようになり、その技術力は世界を牽引。蘭を集めた庭園「ナショナル・オーキッド・ガーデン」は旅行者からも人気の観光スポットとなっている。ナショナル・オーキッド・ガーデン©TRIPPING!また、シンガポール植物園は、国の政策の一つである「シンガポール緑化計画(Singapore’s Garden City programme)」を実現させる上で、園芸技術の研究、開発の重要な拠点でもある。目的地をあらかじめ決めてからでかけようオーチャードエリアからタクシーで5分程度とアクセスもしやすいので、一度は訪れたい観光スポット。但し、広大な園内の移動は想像以上にハード。目的地をあらかじめ決めてから出かけることをおすすめする。園内にはカフェやレストランも。「Casa Verde(カーサ・ヴェルデ)」©TRIPPING!園内のカフェCasa Verde(カーサ・ヴェルデ)の記事はこちら>12歳以下の子供と保護者のみ入園できるキッズガーデン©TRIPPING!
2015年07月06日6月28日からドイツのボンで開催されている世界遺産委員会で7月5日、審査延期を経て『明治日本の産業革命遺産』が国内19番目となる世界遺産に決定した。8県にまたがる23資産からなる同遺産は、複数の連続性のある遺産「シリアル・ノミネーション」として国内初の事例となる。そこで今回、この23資産はどんなものなのか紹介しよう。23資産は8県11市(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県、山口県、静岡県、岩手県)に分散して立地しており、それぞれは主に造船・製鉄・石炭産業といった重工業分野において、西洋から非西洋への産業化に貢献した産業遺跡(一部、稼働中の工場あり)となっている。○現役の工場も - 八幡製鐵所(福岡県)まずは福岡県の資産から。国の威信をかけた官営製鐵所として明治34年(1901)に創業された八幡製鐵所からは、「八幡製鐵所 旧本事務所」「八幡製鐵所 修繕工場」「八幡製鐵所 旧鍛冶工場」(福岡県北九州市)、そして「八幡製鐵所 遠賀川水源地ポンプ室」(福岡県中間市)の4資産が世界遺産に登録された。特に八幡製鐵所 修繕工場は創業から現在までの110年以上の間、現役の工場として稼働しているため、一般の見学は制限されている。○近代化を支えた炭鉱遺構 - 三池(福岡県・熊本県)また、日本の近代化を支えた炭鉱遺構の三池炭鉱関連では、「三池炭鉱宮原坑」「三池港」(福岡県大牟田市)、「三池炭鉱万田坑」「三池炭鉱専用鉄道敷跡」(福岡県大牟田市・熊本県荒尾市)、「三角西(旧)港」(熊本県宇城市)の5資産が世界遺産に登録された。中でも、国内最大規模の堅坑の三池炭鉱万田坑は、映画『るろうに剣心』のロケ地としても有名である。○近代造船の礎 - 三重津海軍所跡(佐賀)日本の近代造船の礎を築いた佐賀県佐賀市の「三重津海軍所跡」も、今回の構成遺産のひとつだ。海軍の人材育成や西洋の船舶技術の拠点として安政5年(1858)に設立された。○造船や炭鉱、西洋住宅と多種多様(長崎県)今回の構成遺産の中で最大となる8つの資産を抱えているのが長崎県だ。全て長崎市内にあり、長崎造船所関連として「長崎造船所 小菅修船場跡」「長崎造船所 第三船渠」「長崎造船所 ジャイアント・カンチレバークレーン」「長崎造船所 旧木型場」「長崎造船所 占勝閣」、炭鉱関連として「高島炭鉱」「端島炭鉱」、日本に西洋美術を伝えたグラバーの拠点として「旧グラバー住宅」が世界遺産に登録された。特に端島は通称"軍艦島"と呼ばれるところで、映画『進撃の巨人』のロケ地になったこともあり、このところ観光客でにぎわっているという。また、2016年には同じ長崎県の「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を世界遺産に推薦しており、その構成遺産である大浦天主堂を今回の旧グラバー住宅とともに合わせてめぐってみるのもいいだろう。○資産は桜島と共に(鹿児島県)鹿児島県内の資産もまた多種にわたる。全て鹿児島市にあり、巨大プラントの「旧集成館」や日本最古の洋式工場「旧集成館機械工場」、堅牢な石積で築造された「寺山炭窯跡」、機械の動力を支えた「関吉の疎水溝」、英国技師たちが暮らしコロニアルスタイルの宿舎「旧鹿児島紡績所技師館」がある。旧集成館は桜島の目の前にあるので、あわせて風景を楽しんでみるのもいいだろう。○幕末の志士の魅力にも迫る - 萩(山口)今度は本州の地から。鉄製大砲や西洋式軍艦の製造を目指し、社会全体の近代を夢見た吉田松陰ゆかりの地として、山口県萩市からは「萩反射炉」「恵美須ヶ鼻造船所跡」「大板山たたら製鉄遺跡」「萩城下町」「松下村塾」が世界遺産に登録されている。萩城下町には高杉晋作旧宅や木戸孝允(桂小五郎)旧宅など、幕末の志士たちの関連史跡が多くあり、その城下町から少し離れたところに吉田松陰の主宰した松下村塾がある。○日本の近代製鉄発祥の地より - 橋野高炉跡(岩手県)今回の世界遺産は東北にもわたる。それが、日本の近代製鉄発祥の地である岩手県釜石市の「橋野高炉跡及び関連遺跡」だ。西洋の技術書からの情報を参考にして洋式高炉を建築し、日本で初めて連続出銑に成功した。その流れを受けて、後に八幡製鐵所で近代製鉄が確立されていったという。○唯一現存する幕末の反射炉 - 韮山反射炉(静岡県)最後は、静岡県伊豆の国市にある耐火レンガで覆われた「韮山反射炉」。この反射炉は、実際に稼働した幕末の反射炉として国内で唯一現存するものとなっている。建設にあたっては、西洋の書物をもとにしながらも日本の伝統技術が用いれたとされている。これら23資産が今回、新しく"日本の宝"と世界遺産に認定された。現在も稼働している工場などは一般の来場が制限されるが、場所によってガイドツアーを設けているところもあるので、事前に各エリアについて調べてから訪れることをおススメしたい。協力: 世界遺産アカデミー研究員本田陽子
2015年07月05日古都ホイアン photo:ひさほ ゆうベトナムには、8つの世界遺産があります。前回の記事では、ベトナム北部のハノイから観光できる世界遺産4つを紹介しましたが、今回の記事ではベトナム中部にある4つの世界遺産を取り上げます!・古都ホイアン(文化遺産)・ミーソン聖域(文化遺産)・フエの歴史的建造物群 (文化遺産)・フォンニャ‐ケバン国立公園 (自然遺産)この4つの世界遺産はベトナム中部の大都市ダナン近郊を拠点として観光することができます。何と今年の7月から9月までベトナム航空の成田~ダナン線の直行便が週7日毎日運行されるんです。成田からダナンは飛行機で約5時間半!ベトナム旅行と言えば、ハノイやホーチミンが一般的ですが、思い切ってダナン近郊に絞って楽しむのもいいですね。ちなみにベトナム南部のホーチミン周辺には世界遺産はないのです。意外ですね!ダナン近郊の世界遺産は、街歩きに、遺跡に、王宮に、洞窟にと多種多様なので、毎日違ったものを楽しめるのも特徴です。そんなわけでこの夏セカイェがイチオシの世界遺産4つをご紹介します!記事の最後にセカイェが行くならこんな日程とルートで行きますってのもご紹介しちゃいまーす!イェーイ!古都ホイアン(文化遺産)登録基準: 「文化交流」、「伝統的集落」セカイェが大・大・大好きな"街の世界遺産"、古都ホイアン!ラオスのルアン・パバンと同じく、宿を一歩出たらそこは世界遺産!朝食やおやつを探しに行くだけで世界遺産が堪能できる、そんな素敵な街なのです!ホイアンでは、是非、街の中心部に泊まって、早朝、昼、夕方、夜と色々な顔のホイアンを楽しんで下さい!photo:ひさほ ゆうホイアンはベトナム中部にある港町で、ホイアン保存地区の大きさは東西500m、南北150mくらいと歩いて楽に回れます。そしてホイアンは日本人にもゆかりのある街なんです!古くは海のシルクロードの拠点として栄え、17世紀には日本町、中国町などが形成され国際貿易港として繁栄しました。最盛期には1000人以上の日本人が居住していたそうですが、江戸幕府の鎖国政策で帰国してしまいます。そのため日本人町は衰退し、現在の町並みはその後移り住んできた中国人の影響が強く残っています。■ 来遠橋(日本橋)photo:ひさほ ゆうこちらは、街の西にある日本の職人が建築したと言われている来遠橋です。ホイアンのシンボル的存在で、多くの観光客で賑わっています。こんな感じで夜のホイアンもノスタルジックで素敵なんです!■ 陳祠堂チャン家の祠堂photo:ひさほ ゆうホイアンは、家の中を見るのも楽しいんです!こちらの陳祠堂は、19世紀に中国系の方が建てた、祖先礼拝をする場所兼住居です。ホイアンでは、チケットを買うと、陳祠堂のようなベトナム、日本、中国の建築様式が混在した伝統的家屋をいくつか見学することができます。・アクセス成田からダナンまで直行便で約5時間半。ホーチミン、ハノイからダナンは飛行機で約1時間。ダナンからホイアンはバスで1時間弱。・必要日数日帰りで1日あれば十分まわれますが、ぜひ1泊して夕方、早朝のホイアンを堪能して欲しいです!ミーソン聖域文化遺産登録基準: 「文化交流」、「文明の証拠」ミーソン聖域は2~19世紀までと長~い間栄えたチャム人の国「チャンパー王国」の聖地で、ヒンドゥーの神々を祀るために造営された宗教建築遺跡です。四方を山に囲まれた森の中にレンガ造りの建造物が眠っています。ホイアンの南西約40kmとホイアンからバスで1時間ほどで行ける距離です。私達は、ホイアン発の半日ツアーを現地で申し込んで行きました。朝8時にホイアンを出発してバスでミーソンへGO!現地で2時間くらい観光し、再びバスでホイアンに13時半頃に戻ってきます。ミーソン観光はホイアンやダナンからツアーで行くのがお薦めです!photo:世界遺産イェーイ!ミーソンの建造物はレンガを少しずつずらして積み上げて屋根を支える独自の構造で、接着剤を使わずに建てられているのが特徴です。photo:世界遺産イェーイ!緑に囲まれた感じが素敵なんです!こんな神秘的な遺跡の中でたたずんでいたいところなのですが、実はミーソンはめっちゃ暑かった!!ちょうどお昼時に行ったからか、日陰もなく炎天下をヒーヒー言いながら観光しました。帽子は必須ですよ!・アクセスホイアンからバスで約1時間。ダナンからは2時間弱。・必要日数ホイアンかダナンからの日帰りツアーがおすすめ。半日のツアーが多いです。ダナンからバスで約3時間のところにある古都フエ。お次はフエに宿を取って観光できる2つの世界遺産をご紹介します。フエの歴史的建造物群(文化遺産)登録基準: 「文明の証拠」、「建築技術」「フエの歴史的建造物群」は、1802年から1945年まで続いたベトナム最後の王朝、グエン(阮)朝の都だったフエに残る建造物群です。建造物群というだけあっていくつかの見所で構成されており、大きく分けると、「グエン朝王宮」、「グエン朝各皇帝の陵墓」、「ティエンムー寺」の3つに分けることができます。そのうち「グエン朝王宮」は新市街から川を渡ってすぐ近くにありますが、その他は郊外に点在しており、効率よく回るにはやはりツアーの利用が便利!私達は朝8時から16時30分までの1日ツアーで観光しました。■ グエン朝王宮の大和殿photo:ひさほ ゆうフエ観光のメインとなる王宮は、北京の紫禁城(故宮)の4分の3の縮尺でつくられたと言われています。門の奥に見えるのが、皇帝が政務を行った大和殿。左右には池があります。■ カイディン帝陵photo:世界遺産イェーイ!グエン朝第12代皇帝カイディンのお墓、「カイディン帝陵」。こちらはヨーロッパ風のお墓でカッコいいんです!また建物の中の装飾も素敵で、天井と壁が陶磁器の破片のモザイクで埋め尽くされているのも必見です!その他、中国風な造りの「ミンマン帝陵」や、大きなハスの池が美しい「トゥドッグ帝陵」などもあります。・アクセスダナンからフエまでバスで約3時間。フエから1日のツアーが便利。・必要日数フエに丸1日滞在が必要。フォンニャ‐ケバン国立公園(自然遺産)登録基準: 「地球の歴史」フォンニャ-ケバン国立公園はアジアで最も古いカルスト地帯で、鍾乳洞と地下湖が見所です!国立公園内の数ある洞窟の中では「フォンニャ洞窟」が一番有名であり、船に乗って洞窟内を見て回れるんです。まるで地底湖の探検をしているかのような気分が味わえますよ!■ フォンニャ洞窟入口photo:ひさほ ゆうフォンニャ洞窟は、フエから北西へ約200kmのところにあります。これまたフエなどからのツアーが便利。フエからだと少々遠いので早朝から夜までのツアーになります。フォンニャ洞窟の近くにドンホイという街もあり、ドンホイからもツアーがあります。9月から11月は雨期で川が増水して洞窟に入れなくなることもあるので時期に注意!ベストシーズンは3月~8月です。photo:ひさほ ゆう・アクセスフエからフォンニャ洞窟まで車で約4時間。フエ発6:00~20:00の丸1日のツアーに参加。ドンホイからフォンニャ洞窟までは車で約1時間。ドンホイからもツアーがあるのでそちらを利用しても良い。・必要日数フエ、ドンホイどちらを拠点としても、移動と観光合わせて丸一日かかるので、1泊2日必要。最後にセカイェだったらこんな風にベトナム中部の世界遺産をまわりたい!という日程表です!セカイェツアー日程表 6泊7日 ベトナム中部4つの世界遺産を巡る旅1日目:成田→ダナン ダナン泊2日目:ダナン→フエ バスで移動 フエ王宮など市内を観光 フエ泊3日目:フエ1日ツアー フエ泊4日目:フォンニャ洞窟1日ツアー フエ泊5日目:フエ→ホイアン バスで移動 ホイアン観光 ホイアン泊6日目:ミーソン遺跡半日ツアー ホイアン観光 ホイアン泊7日目:ホイアン→ダナン バスで移動 ダナン→成田(text : 世界遺産イェーイ!鈴木かの子)※記事中の情報は、全て2015年6月現在のものです。(参考文献:『すべてがわかる 世界遺産大事典 <上・下> 世界遺産検定公式テキスト』、『きほんを知る世界遺産44 世界遺産検定4級公式テキスト』、『地球の歩き方』、『るるぶ』】4年間世界遺産巡りの旅をした夫婦「世界遺産イェーイ!」のコラム>バックナンバーはこちら
2015年07月02日○世界遺産データ『マチュ・ピチュ』(複合遺産)。ペルー。1983年登録。一生に一度は行ってみたい世界遺産のトップ3には間違いなく入るマチュ・ピチュ。インカ帝国が築いた天空都市、というのは言わずもがな。実は複合遺産なんですよ!マチュ・ピチュに至るには、麓の温泉街から急峻な坂道をバスで上っていくのですが、その道中はジャングルとなっています。今でこそ遺跡の周辺は切り開かれて見通しもいいのですが、1911年にアメリカ人探検家のハイラム・ビンガムが発見するまでは、ジャングルの中に埋もれていたのです。遺跡の周辺では、アンデスイワドリなどの絶滅危惧種が生息し、手つかずの自然が残されていることから自然遺産としての価値も評価されました。国外からマチュ・ピチュを訪れる際には、やはり世界遺産であるクスコという都市が起点となりますが、この間を結ぶ列車の名は「ハイラム・ビンガム号」となっています。○筆者プロフィール: 本田 陽子(ほんだ ようこ)「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。○世界遺産検定とは?世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。主催:世界遺産アカデミー開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)開催地:全国主要都市受検料:4級2,670円、3級3,900円、2級5,040円、1級9,250円、マイスター1万8,510円、3・4級併願6,060円、2・3級併願8,220円解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込みその他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて
2015年06月29日