試行錯誤の末に、ついに4つの商品が完成!発達が気になる子どもやその家族の生活をラクに、楽しくできるグッズをつくりたい!そんな想いで、フェリシモCCP(チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクト)の企画チームと「発達ナビ」は、発達ナビユーザーのみなさんといっしょに、発達が気になるお子さまとの「楽しくおでかけ!」を応援する雑貨を企画しました。アンケートでは発達ナビユーザーのみなさん460名が声を寄せてくださいました。また、座談会や商品モニターに参加してくださったユーザーの方もいらっしゃいました。Upload By 発達ナビ編集部発達ナビのSNSでも製作途中報告をさせていただいていましたが、アンケート・座談会・サンプル試作・モニター…試行錯誤を繰り返して、ついに4つのアイテムが完成!今回はその中から、「メッシュリュックインナー」と「メッシュお財布ポシェット」についてご紹介させていただきます。フェリシモ×発達ナビコラボ商品について | フェリシモCCPポケットの中が見えるから整理整頓が苦手でもOK!メッシュリュックインナーお出かけ時の困りごとアンケートの回答で一番多かったのは、「バッグの中がごちゃごちゃでどこに何を入れたか分からなくなる」という意見。Upload By 発達ナビ編集部「忘れ物が多い」、「すぐに見つからないとパニックになってしまう」、「ぱっと見て何が入っているか分からなくて困る」という声も。座談会での話し合いから、なぜバッグの中のものがすぐに出せないのか…その理由に大きな3つのポイントが浮かんできました。Upload By 発達ナビ編集部その困りごとを解決しよう!と「リュックインナー」を企画。①中身が見えるメッシュポケット。②ポケットの中に何を入れるかが決められる絵カード入れつき。③ポケットの色や形が一つずつ違うので入れる場所が分かりやすい。この3つのポイントで困りごとを解決する商品の開発を進めることになりました。ファーストサンプルがこちらです。Upload By 発達ナビ編集部実際に発達ナビユーザーのみなさんにモニターに参加してもらいました!Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部いただいた意見を元に、本当に役立つ商品になるよう改良を重ね続けました。そして完成したのが、透けるメッシュ素材でポケットの中が一目瞭然なリュックインナー。何が入っているかすぐ見えるから、リュックの中を手探りで探す手間もなくなります。Upload By 発達ナビ編集部区別がしやすいヴィヴィッドカラーのポケット。さらに、付属のアイコンカードをセットすれば、より定位置が分かりやすくなっています。リュックの中身を全部出したいとき、入れ替えたいときにさっと取り出せる、持ち手付きなのも便利。さらに、背面にはプリントなどを入れられるように、A4書類の入るポケットと、鍵などを付けられるDカン付きです。Upload By 発達ナビ編集部モニターをしてくださった発達ナビユーザーからも喜びの声が届いています!Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部ぜひリュックの中をすっきり分かりやすく整理して、お出かけ時の困りごとを解決し、ストレスを軽くしてくださいね。Upload By 発達ナビ編集部■チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクトCheerful Smileポケットの中が見えるメッシュリュックインナーの会月1個¥2,950 +税→うち20円は「CCPチャレンジド応援基金」として運用されます。●素材/ポリエステル、熱可塑性ポリウレタンなど●サイズ/縦約32.5cm、横約25.5cm、まち幅約11cm(持ち手含まず)※縦約35cm、横約26.5cm、まち幅約12cm以上のリュックに対応※毎月1回、3種類の中から、1種類ずつお届けします。(全種類届くと、以降はストップします)※1回だけ、1種類だけの購入も可能です。詳しくは「初めての方へ・お買い物ガイド」をご覧ください。子どもはもちろん大人も使える!視覚優位さん&不器用さんに便利なお財布アンケートや座談会であげられたのは、ママたちが子どもたちのお買い物・お財布に対して持つのは、「なるべくお買い物のとき、スムーズに会計ができるようになってほしい!」という要望。「お金の訓練」でさまざまな工夫をしたいと感じている一方、何をしたらいいのか難しいもの。みなさんが求めているのは「お会計が嫌いになることがないように、『失敗』をなるべく減らせるお財布」でした。Upload By 発達ナビ編集部そこで今回ご提案したのが新しい形のお財布。特に、一番声の多かった『大きなお金で会計をして小銭が増えてさらに支払いが難しくなってしまう悪循環』のお悩みを小銭入れで解決します!ファーストサンプルは、ぐるりとファスナーがある、いわゆるお財布らしいお財布の形でアイディアを実現。ですが、思っていた以上に大きなものになってしまいました。モニターのみなさんからは、「開けにくい」「ショルダーの素材を考え直してほしい」などの声が…。企画チームでも、アイディアはそのままに、もっと持ちたくなるようなおしゃれなものにしたい!と、再度練り直すことに。Upload By 発達ナビ編集部さまざまな意見を取り入れ、メッシュ素材でガバッと開く小銭入れを搭載した、カジュアルでおしゃれに持てるお財布が完成しました!Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部小銭を見分けて、探す手間&つまみとる難しさを改善し、その分考える時間が確保できます。また、ファスナーの引き手の形状は、指をひっかけやすい形なので開閉がさらに楽になっています。Upload By 発達ナビ編集部他にもたくさんの工夫が込められたお財布になっています!また、お買い物を嫌いにならないようにと、困ったときに言葉を発さずとも誰かに助けを求められるようにメッセージを見せられるカードポケットも作りました。困ったときは、店員さんにカードを見せて、協力してもらうこともできます。ポケットに入れるお助けカード付きです。Upload By 発達ナビ編集部このお財布でお買い物を楽しみながら、お出かけをスムーズなものにしてくださいね。■チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクトCheerful Smile見渡しやすさ&つかみ取りやすさ抜群メッシュお財布ポシェットの会月1個¥3,200 +税→うち10円は「CCPチャレンジド応援基金」として運用されます。●素材/ポリエステル100%、ナイロン100%、真ちゅう(真ちゅう古美メッキ)など内生地:ポリエステル100%ショルダー部分:綿100%●サイズ/縦約18cm、横約12cm、厚さ約2cmショルダーの長さ約75~136cm(金具部分含む/調節可)※ショルダーストラップ取り外し可※洗濯不可※お助けカード1枚付き●毎月1回、3種類の中から、1種類ずつお届けします。(全種類届くと、以降はストップします)※1回だけ、1種類だけの購入も可能です。詳しくは「初めての方へ・お買い物ガイド」をご覧ください。便利でかわいいグッズが、毎日の暮らしを「楽しく・ラクに」してくれるフェリシモCCP(チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクト)は、福祉作業所と、クリエイターやメーカー、NPOなどがつながり、誰もがボーダーなく過ごせる未来をつくるプロジェクトです。障害がある人たちの仕事も生み出しながら、生きにくさを感じている人たちの毎日をさりげなくサポートする商品をつくることができる取り組みです。今回の商品も、このプロジェクトの一環「Cheerful Smile」企画として誕生しました。想いや願いが込められた「楽しいお助けグッズ」。切実な想いを受けて生みだされた、ニーズも満たしながらかわいさも重視したアイテムは、いつもの暮らしを「楽しく・ラク」にしてくれるはずです。※ボタンをクリックすると(株)フェリシモのページへ遷移します。お届けパターンについて|フェリシモ イラスト:かなしろにゃんこ。
2019年08月05日運動も勉強も習い事も、はじめるには早いに越したことはない!と思ってしまいがち。けれども、子どもの発達段階を考慮して教育を進めないことには、子どもにとっても親にとっても、かえって負担になってしまいます。ここでは、4歳〜7歳の幼児期から小学校入学までの時期の子どもの発達と学び、そして親が意識しておきたいことについてご紹介します。ただし、年齢についてはあくまでもひとつの目安ですので、興味関心や刺激を与えるヒントとしてご覧いただければと思います。■4歳―親子の会話で語彙力アップ【4歳頃の子ども】自分が成し遂げたことは自慢し、大人にほめてもらおうとする4歳。「ママみて!」「すごいでしょ」といったアピールが増えてくる時期です。語彙数は1500を超え、長い文章を使い、もののありかを説明するときは位置を示す言葉を使ったり、所有関係を表す言葉も使い分けます。【教育のヒント】言葉をどんどん吸収する4歳の子とは、それまで以上に「親子の会話」を楽しむことが何よりの知育になります。大人の語彙力が子どもの言葉の数に大きな影響を与えるといっても過言ではないでしょう。下記のように、ものの名前を単純に教えるような一方的な言葉かけではなく、より丁寧な表現をして会話を楽しむようにしてみましょう。×「鳥さんだよ」→〇「かわいいスズメさんがいるよ。エサを探しているのかな」×「風が強いね」→〇「ゴォーッと強い風が吹いているね、飛ばされちゃいそう!」また、4歳頃になると「子どものためになる習い事をさせなければ!」と考える親御さんも多いようですが、無理強いは禁物。イヤイヤ通ったところで、思ったような成果は出ないものです。4歳くらいの時期なら、子どもがその場所に「行ったら楽しい」と思えているかどうかを基準にするとよいでしょう。先生や周りの子どもたちと楽しい時間が過ごせるのであれば通わせ、浮かない顔をしている子に「何歳までに始めないと……」と親が焦りながら無理強いしても、かえって苦手意識を持たせることになってしまいます。■5歳—遊びから想像力や自制心を学ぶ【5歳頃の子ども】集団生活に慣れ、ルールのある遊びやゲームを楽しめるようになってくる5歳。語彙数が2,000程度にまで増えているため、ジョークを言ったり、物語を語ったりして、大人を楽しませてくれることも。また、この頃になると、物の名前だけでなく、“その言葉の意味” や “文脈の中での使い方” を質問することがあります。これは「言葉には明確な意味と比喩的な意味がある」ということを理解しているからです。【教育のヒント】言葉の持つ意味を理解しはじめる5歳くらいの子。「ごっこあそび」も好きな年頃ですが、これには、ことば(セリフ)やもの(おもちゃ)を巧みに使い、状況や社会的なできごとを他者と演じることで、想像力や自制心を学ぶ重要な役割があります。また、ごっこあそびに伴う子どもの空想ドラマは、貪欲に知識を吸収させるチャンスだと、教育コーチングオフィスSaita Coordination代表で(財)生涯学習開発財団認定コーチの江藤真規さんは言います。たとえば以下のように、親も一緒になって子どもの好奇心を上手に利用して自然に学びを増やすのもよいでしょう。《ごっこあそびで「テーブルマナー」を知る》お姫さまごっこで「お姫さま、きょうはナイフとフォークでお食事をしてみましょう」と誘ってみます。たとえおもちゃのカトラリーでも、扱い方が自然と上達していくのがわかるはずです。《ごっこあそびで「文字の練習」をする》学校ごっこの先生役になったら「さあ、ノートに名前を書いてみよう!」と促し、生徒役になったら「先生!『山』ってどう書くんですか?」と子どもに聞けば、一生懸命調べたり覚えたりしようとします。もちろん、ごっこあそびの最中で「そうじゃないでしょ!」などと叱るようなことがあってはいけません。「こうするともっと素敵なお姫さまね」「◯◯くん、書けるようになったね!」などと褒めながら、あくまでも遊びのなかで、さりげなく教えてあげるのがよいでしょう。■6歳—日常生活の工夫で学習の土台づくり【6歳頃の子ども】児童期の入り口に立つ6歳。この頃には、物語の展開を構成する起承転結がわかるようになったり、時間の概念を獲得したり、また、文字や数などの知的な活動への興味も芽生え始めます。自分や友だちの名前、街の看板などの文字を読んだり、エンピツで文字を書いたりする子どもも出てきます。【教育のヒント】小学校入学前後は特に、先取り学習に励む親子などに影響を受けて焦ってしまったりしがちですが、お手伝いやふだんの生活のなかで学びをつかみ取れることもたくさんあります。たとえば算数なら、小学校入学前に15くらいまで数えられれば数の概念はしっかり頭に入っているので、それ以上は無理に教えなくても大丈夫、と『IQがみるみる伸びる0歳から6歳までの遊び方・育て方』(廣済堂出版)の著者であり祖川幼児教育センター園長の祖川泰治さんは言います。普段の生活のなかでのちょっとした工夫で、楽しく学習の土台づくりをしていきましょう。《おやつで算数を学ぶ》無味乾燥な数字の足し算や引き算よりも、体で実感する算数が大切な時期。お菓子を一列に並べ、「今日は右から5つまで食べよう」と言ってみたり、「ママは3つ、◯◯ちゃんは2つ、全部でいくつかな?」などと聞いてみましょう。クイズのように楽しみながら大好きなおやつを食べるとなれば、子どももごきげんで答えてくれるはずです。《買い物で算数を学ぶ》お菓子やおもちゃをねだる子どもに、たとえば「100円よりも安いものならば買っていいよ」と言えば、必死になって探すはず。なんとなくでも数の概念がわかるようになり、百の位にも親しみが出てきます。そのうち足し算を覚えたら、複数の値段を合算して100円になるように選ぶこともできるようになります。《看板で文字を学ぶ》街中で、看板の文字の当てっこクイズをしたり、「“A” という字を見つけてみよう!」と、知っている文字を探し歩いたり。子どもには先入観がないからこそ、難しい漢字だろうと英字だろうと関係なく、多くの文字を学びとろうとします。《お手伝いでものの名前を学ぶ》子どもは「ごはん」や「コップ」などの身近なものの名詞は知っていても、意外と「お玉」や「しゃもじ」などの名詞は知らず「ごはんをよそうやつ」なんて表したりします。お手伝いをしてもらうときにも、「ママがお玉で味噌汁を注ぐから、お椀を運んでくれる?」というように会話におり込んでみるといいでしょう。知っている言葉が増えることは自信にもつながります。■7歳—決まった時間で生活リズムを身に付ける【7歳頃の子ども】授業や宿題がどういうものかわかるようになり、勉強をすることに少しずつ慣れてくる7歳前後。脳の回路が発達し始め、判断力や記憶力も、急速に高まっていきます。本格的に学習を開始するのに適した時期です。【教育のヒント】この頃に基本的な生活習慣を時間によって決めておくと、体内リズムも作られ、勉強の習慣づけもしやすくなります。朝起きて、朝ごはんを食べ、学校に行き、おやつを食べ、習い事に行き、夜ごはんを食べ、宿題をして、お風呂に入り、寝る、というような基本的な生活を、できるだけ決まった時間に行なうようにするといいと、江藤真規さんは言います。時間が決まっていれば、無理なくその行動に移ることができます。自然と気持ちが動くので、抵抗が少ないのです。当たり前の基本的生活習慣がリズミカルに整っていることは、子どもの体内リズムを作る上でも大変役立ちます。また、基本的な生活のペースがきちんとできていれば、その他の用事を組み込むことも簡単です。自分が自由に使える時間帯がはっきりするからです。しかも、その組み込んだ用事にも比較的抵抗なくとりかかれるので、大きな時間の節約になります。同じ時間に同じことをする、この単純な習慣が、大きな時間を作り出す源となるのです。(引用元:江藤真規(2009) ,『勉強ができる子の育て方』,ディスカヴァー・トゥエンティワン.)目安となる時間を決めておけば、たとえば8時頃お風呂に入ったら、ベッドに入る9時までは自由時間!というように、生活にも楽しみやメリハリがついてきます。おすすめは、親も子どもと一緒の時間帯に行動すること。家庭内の計画も立てやすくなり、子どももよりスムーズに生活習慣を身につけられるようになるはずです。***年齢を目安にまとめてみましたが、大切なのはこどもの個性や適性です。しっかりと向き合いながら、その子に合ったペースで学びの基礎を育んでいけるといいですね。文/酒井絢子(参考)江藤真規(2009) ,『勉強ができる子の育て方』,ディスカヴァー・トゥエンティワン.祖川泰治(2015) ,『小学校前の3年間にできること、してあげたいこと』,すばる舎.内田伸子 (2017) ,『子どもの見ている世界誕生から6歳までの「子育て・親育ち」』,春秋社.デズモンド・モリス(2010) ,『デズモンド・モリス子どもの心と体の図鑑』,柊風舎.公益財団法人母子衛生研究会赤ちゃん&子育てインフォ|Part2 赤ちゃんの発育発達と親子あそび4歳頃の子ども公益財団法人母子衛生研究会赤ちゃん&子育てインフォ|Part2 赤ちゃんの発育発達と親子あそび5歳頃の子ども公益財団法人母子衛生研究会赤ちゃん&子育てインフォ|Part2 赤ちゃんの発育発達と親子あそび6歳頃の子ども
2019年08月01日時に、コミュニケーション障害と言われることもある、発達障害。「空気が読めない」「相手の気持ちがわかりにくい」などの特性は、人づきあいでのトラブルを招きやすく、「愛想が悪い」「気が利かない」など、性格の問題にされてしまうことも少なくありません。また、発達障害は男性に多いとされてきましたが、実は、大人になってから発達障害が表面化する女性は少なくありません。発達障害のこうした特性は、男性よりも女性同士のつきあいに重視されがちだからです。女性のコミュニティは、より「空気を読みあう」ことで成り立っていることが多いため、子どもの頃から女同士の友だちつきあいがうまくいかず、ずっと悩んできたという女性も多いそうです。女性の発達障害特有の生きづらさとは? どうしたら少しでも楽に生きられるのでしょうか?発達障害当事者であり、言語聴覚士として支援者でもある村上由美さんに、発達障害の女性特有のコミュニケーションにおける苦労や悩み、周囲とうまくつきあっていくためのポイントをうかがいました。お話をうかがったのは…村上由美(むらかみ・ゆみ)さん言語聴覚士。上智大学文学部心理学科、国立身体障害者リハビリテーションセンター学院(現・国立障害者リハビリテーションセンター学院)聴能言語専門職員養成課卒業。重症心身障害児施設や自治体などで発達障害児、肢体不自由児の言語聴覚療法や発達相談業務に従事。著書に『アスペルガーの館』(講談社)、『声と話し方のトレーニング』(平凡社新書)、『ことばの発達が気になる子どもの相談室』(明石書店)、『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に暮らすための本』(翔泳社)などがある。■女性の発達障害「就職、結婚、子育て…」人生の転機に生きづらさが表面化――今まで、発達障害は男の子が圧倒的に多いと言われてきました。実際、私が息子の療育センターに通っていた頃も(息子は自閉スペクトラム症)、グループのお友だちは男の子ばかりでしたが…。 村上由美さん(以下、村上さん):発達障害は男の子の方が発生率が高いとされ、療育センターなどに通う子も、男の子の方が圧倒的に多いのは事実です。その理由は、男の子に表れる発達障害の特性の方が見えやすく、問題視されやすい傾向にあるからです。例えば、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の男の子の場合は、「多動性」や「衝動性」が目立ちます。教室で立ち歩いたり、衝動的に暴力をふるったり、周囲に迷惑をかける行動が多いので、早めに気づかれるケースが多いのです。――これが女の子だと、どう表れるのでしょう?村上さん:同じADHDでも、女の子の場合は「不注意」が目立ちます。ミスが多かったり不器用だったり、本人はできないことを悩むのですが、周囲に迷惑をかけるようなことが少ないので、問題が表面化しにくいのです。また、最近になって、そもそも発達障害の診断基準が少し男性寄りにできているのではないか? という議論も出てきています。男性と違って、女性の発達障害の場合は「受動型」の特性が多いので、現在の診断基準となる症状に当てはまりにくいのではないか、と。最近は変わりつつありますが、少し前の教育では、女性は控えめであることが美徳とされていました。「受動型」という女性に多い発達障害の特性と、社会が求める理想の女性像が重なり、さらに見えにくくなってしまった面もあると思います。そのため、発達障害の女性はひとりで悩みを抱えたまま、大人になってしまうケースも多いのです。――幼い頃から感じてきた違和感が、明らかな生きづらさとして表面化するのは、いつ頃なのでしょう?村上さん:就職、結婚、子育てなどの時期です。それまでの学校生活は、ある程度の枠組みが用意されていて、先生に言われた課題をこなしていれば、そこそこうまくやっていけるのですよ。でも、自分の意思を持って主体的に行動しなければならないライフステージにくると、うまくいかないことが増えてきます。また、特に女性は、結婚などのライフステージの変化によって役割が増大します。妻として家事をこなし、夫のサポートをし、義理家族と良好な関係を維持し、仕事をし、母親として子育てをし、園の父母会や学校のPTAの役割をこなし、ママ友やご近所づきあいもそつなくこなす…。さらに、介護まで加わってくるケースも! つまり、女性はものすごいマルチプレーヤーになることを求められるわけです。――確かに、結婚後、男性に比べると、女性は求められる役割の幅が広がる気がします。村上さん:でも、そもそも発達障害の特性として、複数の作業を並行して行うマルチタスクは苦手なのです。また、一般的に女性は「愛想がいい」「気が利く」「何でもそつなくこなす」ということがよしとされている風潮があり、家庭でも職場でも、煩雑で細かい仕事を任されるのは女性の方が多い傾向にあります。しかも、それをにこやかに、周囲へ気を配りながら行うことが評価されます。ですが、発達障害の特性はこれらとも真逆。男性よりも女性の方が、この特性が問題視されてしまうのです。不公平だと思いますが、残念ながら、ジェンダーの差があるのが現実なのです。――社会が求める、いわゆる「女性らしさ」が、発達障害の女性をますます苦しめているのですね。村上さん:さらに、男性より女性に対しては、生活のこと(家事全般)ができて当たり前という期待値が高いのです。それもまた、発達障害の特性とは真逆なのに…。加えて、日本の家事レベルはものすごくハイレベルですよね。子どものお弁当ひとつとっても、栄養のバランスを整えて、彩りもきれいに、さらに子どもが喜ぶように…と。さらに、おやつも園グッズも手作りで、などなど…!最近は、家事代行サービスを利用する方も増えてきましたが、ひと昔前は「そんなの子どもがかわいそう! 手抜きはダメよ!」というような風潮がありました。発達障害の方は基本とてもまじめなので、周囲の言葉通りに「全部やらなければ」と追い込まれてしまいます。でも、うまくできず、燃え尽きてしまうのです。■「できないこと」より「できること」 苦手から逃げる勇気――ちょっとマイナスな面ばかりうかがってしまいましたが、プラスの面はありますか?村上さん:見方を変えれば、その特性が良い方向に向かうこともたくさんあります。例えば、「空気を読まない発言が多い」ということも、「慣習にとらわれず、世の中の動きにあった提案ができる」というふうにとらえることもできます。もし今、生きづらさを感じている方がいたら、できないことではなく、できることに目を向けてください。もし、周囲にあなたを責めたり攻撃したりしてくるような人がいるなら、そういう人とは距離を置くのもひとつの手段です。また、自分を知ることもとても大切です。発達障害の人は、自分への信頼がとても低いという傾向があります。ですから、「自分がどれくらいできるか」という見積もりを、社会が求めている尺度では考えないこと。「がんばればできる」という見積もりは、実はすごく危険です。がんばり続けたら、たいていの人は燃え尽きてしまいますから。特に発達障害の人は、「がんばらなくてもできる」「がんばらなくても続けられる」というところを探っていくという発想が必要になります。――専門家などの相談機関とつながっておくことも大切でしょうか? 村上さん:相談機関とつながりを持つことは心強いと思います。お子さんが小学生なら学校のスクールカウンセラー、就学前なら保健センターなど、身の回りに専門機関はたくさんありますから、上手に人を頼りましょう。最近では、「自己責任論」がよく取り沙汰されるので、福祉などに頼るのは恥ずかしいことと思ってしまう方もいるかもしれません。でも、もともと人間はひとりでは生きられない生き物なのですから。診断を受けて合理的配慮を得るには、自分の障害を開示しなければならないので、抵抗がある方もいるかもしれません。しかし、それを上回るメリットはあると思います。まず、自分が楽に生きられることを探しましょう。診断を受けるのも、合理的配慮を受けるのも、自分が楽に生きるため。最近、楽に生きると言うと「なまけているんじゃないか?」などと非難される風潮もありますが、人生は修行ではないのですから。もちろん、がんばることは悪いことではありませんが、そもそも何のためにがんばっているのか? それは自分にとって大事なことなのか? そこをしっかり考えることも大切なのだと思います。■「生きづらい…」苦手が多いママ、3つのケースと対応法――村上さんが支援現場で、ママからよく聞く悩みはなんですか? また、それぞれ上手な伝え方や対応法を教えてください。村上さん:ママ友、子ども、夫、それぞれに対して、よく聞くお悩みを3つあげてみました。「これならできそうかな?」と思うものから、少しずつ無理ない範囲で試してみてください。ケース1:ママ友との雑談が苦手。何を話したらいいのかわからなく、その場にいるのが苦痛…。村上さんの回答:発達障害当事者にとって、実は一番難しいのが雑談です。話が飛んで主語がなく、時系列も変わる会話を文脈に落とすのは、定型発達の方には想像がつかないくらい、非常にハイレベルな作業なのです。これはもう、自分がどのくらいそこに参加したい状況なのかを見極めることが大切。社交辞令レベルの関係なら、ヘンなことを口走るよりも、黙っていた方が無難な場合も少なくありません。むしろ、人間観察のつもりで参加していても良いかもしれません。そのうちに、中には自分のつきあいやすい人が見つかるかもしれませんよ。ケース2:仕事や家事や学校の雑用が山積みで…。いつも余裕がなく子どもにあたってしまう。村上さんの回答:子育てにかかる手間は、以前よりずっと増えていると感じています。課されていることのすべてを完璧にするのは、まず無理と心得ること。得意と苦手を把握し、苦手なことには目をつむり、赤点ギリギリでいいと割り切りましょう。もし、子どもを相手に感情がエスカレートするようなら、トイレにこもる、近所を一周散歩するなど、クールダウンする方法を決めておきましょう。自分だけが背負い込まず、夫やほかの家族に頼り、周囲に助けてもらうことも大切です。ケース3:夫に対してつい感情的になって、いつも夫婦ゲンカに。自分の感情をうまくコントロールできない。村上さんの回答:感情的になるには、たいていステップ(段階)と一定のパターンがあります。家事がたまっている時、仕事が忙しい時など、自分がどういう状況で感情的になりやすいのかのフローチャートを作ってみると良いでしょう。そして、甘いものを食べるなど、自分がイライラした時に感情をうまく逃せる方法を、日頃からリストアップしておいてはいかがでしょうか。イライラしたときこそ、切り替えることを意識して。また、もともと夫婦は他人なので、気持ちをわかりあうのはとても難しいものだと思った方が気楽です。「自分を知ること」「できることに目を向けること」、これらは発達障害の取材をしていると、必ず言われる言葉です。そして、これは自分自身に対してだけではなく、他人を見る時も同じなのだ、と。「いろいろあるけど、でも、あの人のここはすごい」というふうに、常に人の得意なところ、良いところを見つける姿勢は大切だと感じるインタビューでした。次回は、もし身の回りに発達障害傾向のママがいた場合、どう対応するのが、自分のためにも相手のためにもベストなのか? お互いを尊重して生活していくための対応法についてうかがいます。参考図書: 『発達障害の女性のための人づきあいの「困った!」を解消できる本』 (PHP研究所)発達障害当事者である著者が、発達障害を持つ女性特有のコミュニケーションにおける苦労や悩み、問題の原因を解説し、周囲とうまくつきあっていくためのポイントを場面別に紹介。著者が医療や福祉、発達相談の現場などで相談を受けた中で、特に多かった日常の場面を取り上げ、うまくいかない原因と上手な伝え方や切り抜け方のポイントを掲載し、発達障害を持つ方の支援者や家族に知っておいてほしいことについて解説。※本記事は、発達障害と診断された方を前提とした記事であり、登場する例に当てはまる方がすべて発達障害とするものではありません。取材・文/まちとこ出版社N
2019年06月22日ウーマンエキサイトをご覧の皆さんこんにちわ、М子ママです。もうすぐ1歳半になる娘は1歳を過ぎてもなかなか歩いてくれず、高速ハイハイベビー時代が長く続きました。しかしそんな娘も今では元気に歩いたり走ったりるんるんでお散歩するようになったのですが、今回はそんな娘が歩き出すようになったきっかけになった出来事をお話ししたいと思います。■なぜか外ではハイハイしかしない娘ママ友にけーちゃんのことを話してみたところ、ママ友ベビーと公園で遊ばせてみることになりました。同年代ベビーと公園で遊ばせてみると…けーちゃん、お友達ベビーをひたすら這って追っかけ続けること数十分…お隣に住むママに、「2人目はお姉ちゃんをみて歩きたい欲がすごくてすぐに歩いたんだけど、1人目の時はのんびりさんだったんですよ~」なんて言葉を聞いたんです。そうか~そういうもんなのかぁ~と思ったけど、こういうことだったのか! と納得しました。兄妹がいなくても歩ける同年代のお友達と遊ばせるだけでこんなにも突然の成長を見せてくれるなんて!そんなことがきっかけで今までが嘘のようにどんどん歩いてくれるようになった娘。■娘の歩く意欲を掻き立てるアイテムピコピコと音が鳴るシューズを履かせるとなぜだか歩く速度が2倍くらいになりました。普段絶対手なんて繋いでくれないのに繋いでくれたりする。歩くたびにピコピコ鳴ることで歩く意欲を掻き立てられるのか…それからというものこのピコピコシューズを履かせて定期的にお友達ベビーと遊ばせることで発達を促しています。
2019年06月18日発達が気になる子どもがいる家族の「住まい」の困りごと発達ナビと「LIFULL HOME’S 住まいの窓口」は共同で、「発達が気になる子どもと家族の住まいづくり・住まい選び」連載をスタートします!この連載では発達の気になるお子さんがいるご家庭の「住まいの悩み」にスポットを当てて、ニーズに合った住まいづくりや住まい選びにまつわるさまざまなアイデアを、リフォームやDIYなども交えながらご紹介していきます。連載第一弾は、「発達が気になる子どもと家族の、住まいづくり・住まい選びのポイント」です。発達ナビ会員のみなさまを対象にした、住まいに関わるトラブルや住まい選びについてのアンケートでは、702名の会員の方からご回答をいただきました(2018年3月8日~23日実施)。「お子さんが屋内で危険に遭遇したことがありますか?」という質問には55%の方が「ある」と回答。さらに安全対策を実施している割合については、危険遭遇体験が「ない」と答えた人では68%なのに対し、「ある」では実に92%もの方がすでに実施済みで、「子どものうちはよくあること」などと軽視できないような危険があったことが推測されます。では、具体的にはどのような危険遭遇体験があり、どんな対策をされているのでしょうか?Upload By 発達ナビ編集部「高所からの転落・飛び降り」が多く、またすでに多くの方が対策されていることも分かります。グラフを見ると「飛び降り」に加え「飛び出し」「勝手に出かける」など、家の外に出てしまうことで起こる事故については対策・体験とも高い数字となっています。反面、「お風呂場の事故」「火遊び」「感電」「刃物」といった項目では、実際の発生件数よりも対策が進んでいることも見てとれます。いずれにせよ、発達の気になるお子さんのいるご家庭では、家族が安全面に大変に気配りをしながら暮らしていながらも、対策が万全とはいかない現実があるようです。ご家庭で起こるトラブルは、お子さんの身の危険だけではありません。73%の方が近隣を巻き込んだトラブルを経験しています。Upload By 発達ナビ編集部もっとも多くのご家庭が頭を悩ませているのが「音」です。大きな声、歌、足音、飛んだり跳ねたり…など、とくにマンションにお住まいのご家庭では、音にまつわるトラブルに悩んでいる様子が垣間見られました。「禁止」と「監視」でがんじがらめにしないために、わが子の個性と向き合おう!発達が気になる子どもたちは、感覚過敏などそれぞれの特性ゆえ、幼稚園や学校などの集団生活の中で大きなストレスを感じていることも少なくありません。ですから、子どもたちにとって、家庭はストレスなく過ごせる環境にしてあげたい――。でも保護者は同時に、危険のない環境にしたいと考えますよね。そこで…・子どもの安全のためにと、間仕切りの無い広いリビングにしたら、さまざまなものが目に入って落ち着けないかもしれません。・危ないところはすべて柵をつけてしまったら、自由に動けるスペースが少なくてイライラしてしまうお子さんもいるかもしれません。・何の対策もせずに保護者が「監視」し続ければ、親子ともに疲れてしまいそうです。という壁にぶち当たることもあるのではないでしょうか。では、子どもたちにとって、わが家こそが地球で一番安心できて、自分を素直に表現できるオアシスであってほしいという思いと、危険やトラブルなく安全に暮らしたいという思い。どちらも叶えられる住まいとはどういったものなのでしょう?そこで、二人の専門家に、子ども一人ひとりの特性に合った住まいづくりの「アイデア」と、その「実現方法」を教えていただきました。「よこはま発達クリニック」院長で大正大学心理社会学部教授の内山登紀夫先生に「アイデア」を、「地域住環境研究所」代表としてバリアフリー建築を手がけてきた福井義幸先生に「方法」を伺いました。お子さん一人ひとりの特性や嗜好と向き合えば、家具や調度品の色や配置などで自然と行動を促すなどで、トラブル回避と心地よさを両立できる場合も少なくありません。また、一から建てる注文住宅や中古物件のリフォームなら、安全対策の柔軟さは増し、コストと見合ったメニューの選択肢は広がります――お二人の話には、実践的なヒントがたくさんありました。次の章では、その内容についてご紹介していきます。安全で心地よい住まいづくり・住まい選びのポイントは?家づくりの前提として、まず内山先生が強調されたのは「すべての子にとって、家が『休むだけの場所』であるとは限らない」ということでした。「よくあるケースは、子どもに何もさせないような住まいにしてしまうことですが、家でこそ活動したい子に休息を無理強いすれば、大きなストレスを与えてしまいます」(内山先生)大事なのは、家のそれぞれの場所ごとに目的とルールを決めて、それを「見える化」することだと言う内山先生。また、お母さんから常に子どもが見えるようにと間仕切りをすべて取っ払ってしまうケースもよくありますが、パーソナルスペースがないと安心できないタイプの子どもには、「いつも見られている」ことが大きな不安となることもあるそう。わが子の個性、特性、好みとしっかり向き合って、物々しい対策をなるべく減らすためのアイデアにはどんなものがあるのでしょうか?・防音対策家の中で飛び跳ねたり、大きな声を発したりするなど「音」を発生させる行動を完全に止めるのは難しく、壁や床、窓の防音対策はどうしても必要だと、内山先生は話します。防音対策について福井先生に尋ねると、「そんなに難しくはありません」とあっさりと答えてくれました。Upload By 発達ナビ編集部「窓は二重窓が防音だけでなく遮熱と結露対策になるのでおすすめです。戸建てであれば二重サッシやペアガラスにすればいいですし、分譲マンションなら後付のサッシを内側に付けることもできます」(福井先生)床については、建築関連の法律や規格が改正されたことで、現在の建築物は軽量床衝撃音遮断性能(LL)、重量床衝撃音遮断性能(LH)のいずれもが45以下になることが推奨されていて、日本複合・防音床材工業会による調査結果では出荷量の90%以上がすでに45以下となっているそうです。※遮音性能についてはほかの規格もありますので、新築あるいは物件購入の際にはチェックしてみましょう。マンションの場合は、「スラブ」と呼ばれる構造床の厚さが重要になってきます。かつては180mmが一般的でしたが、現在は200mmとなっていて、防音、防熱どちらの性能も向上しています。つまり、比較的新しい物件ほど性能が高いと言えます。でも、「古い物件だからといって対策ができないわけではない」と福井先生は言います。「スラブは共用部にあたるので世帯ごとに改良工事をすることはできませんが、スラブの上に、床衝撃音遮断性能を満たす置床や仕上げ材にすることで防音性も高まります。壁も同様に構造壁の上にアキレスボード、あるいはグラスウールなどの断熱材を入れたり、発泡ウレタンを吹き付けるなどで、防音性能も高めることができます。近年ではさまざまな遮音材も市販されているので素材によってはDIYが可能なものもあります」(福井先生)リビングや子ども部屋など、お子さんがよく活動する場所とそうでない場所でメリハリをつければ、コストや手間も小さくできそうです。さらに内山先生はこんな「知恵」も教えてくれました。「すぐそばに高速道路や幹線道路があるマンションは騒音対策をしていることが多いので、防音性能が期待できます。さらに1階に住む、角部屋を選ぶ、子ども部屋をなるべく真ん中あたりにする、といったことでも隣近所に漏れる音を小さくできます」(内山先生)物件そのものの「条件」と、無理のない「工夫」、この掛け合わせ次第でコストや手間はだいぶ変わってきそうですね。・飛び降り/飛び出し対策家を建てる場合や部屋を選ぶ場合は、「掃き出し窓」をなるべく少なくすることで、外への飛び出しや庭へ転落のリスクをだいぶ減らすことができます。引き違い窓にしたうえで、位置を少し上げるなどの工夫もよいでしょう。Upload By 発達ナビ編集部「ドアを(安全性向上のために)内側だけでなく外側からもロックできるようにする、カギの位置を高くするなどの工夫をされている家庭は多いですね」(内山先生)福井先生によればこれらの改良は難しいものではなく、それほど高価でもなさそうです。「普通の窓はカギを閉めても少しだけ隙間ができますが、エアタイトサッシやセミエアタイトサッシにすればほぼ完全に密閉されて、防音・防熱性能も高くなります」(福井先生)Upload By 発達ナビ編集部「ドアや窓枠、とっ手などの色を統一すれば、より落ち着く環境になるでしょう」と福井先生。ガラスもすりガラスや薄い色の入ったもの、不透明の飛散防止フィルムを貼るのも、外の様子が気にならず、視覚への刺激を抑えられるのでおすすめだそう。・インテリアで「ルール」や「目的」を明示する「ダメ!」「立入禁止!」のなるべく少ない家にするには、場所ごとの「機能」や「目的」、「主に使う人」を色やレイアウトで示してあげるのが効果的です。このような手法を「構造化」といいます。Upload By 発達ナビ編集部たとえば、カーペットの色を子ども部屋は「グリーン」、みんなが集まるリビングは「クリーム」といった具合です。また、お風呂場や火を使うキッチンには一人で入らないように赤いテープで仕切りをつけるなども分かりやすいでしょう。また、「ゲーム」「宿題」「歯磨き」などお子さんが「やること」をそれを行うエリアの色で縁取りされたカードにして、ウォールポケットに入れておき終わったカードを「完了」ポケットに入れるルールにする、といった工夫と合わせることで自発的な行動を促す工夫にもなります。Upload By 発達ナビ編集部「こだわりの強い子ほど、色やレイアウトによるルール設定をすすんで守ってくれたりもします。ただ、やるべきことを時間割で示されるのが苦手な子もいるので、一人ひとりの特性に合った設定を考えましょう」(内山先生)スペースを色分けする際は、お子さんが通っている学校や施設での色分けと同じにすると(一人で入ってはいけない場所は赤いテープを床に貼って仕切るなど)、混乱せず理解しやすいとも教えてくださいました。・「自分だけの空間」をつくる「親としては間仕切りを取っ払った間取りでつねにお子さんを見守ろうと考えてしまいがちですが、家のなかも一つの『社会』です。家族からの視線が遮られた状態でないと、リラックスできない子どももいます。 家族がリビングに集まることが幸福な家庭であることもあるし、そうではない場合もあるということを知ってください」(内山先生)家族のそばでないと落ち着けないお子さんもいれば、「一人でいる」状態がもっとも安心できるお子さんもいます。とはいえ、完全に目を離すわけにもいかない…そんな場合はそれほど高さのない壁で小さなパーソナルスペースを作ってあげましょう。異変があればすぐに気づくことができますし、少しだけでも視線を遮ってあげれば安心できるお子さんは多いそうです。Upload By 発達ナビ編集部「成長に応じてレイアウトを変える必要もあるでしょうから、間取り自体はなるべくシンプルにするのがいいでしょう」(福井先生)・「上手に隠す」ことが大事電灯の傘(シェード)やスイッチ、ドアノブ…など、子どもの興味を惹くもの、視覚的な刺激になってしまうものを上手に隠してあげると、怪我や破損を防ぎやすくなります。「電灯の傘はボール投げの的になったりするので、あらかじめ天井に埋め込むか、後からでもシーリングタイプにしたほうがいいでしょう。スイッチが目に入ると、スイッチを入れたり切ったりしたくなってしまう場合は、子ども部屋の電灯スイッチを廊下側に付けたり、あるいはリモコン式にして子どもの視界に入らないようにするといった方法があります」(内山先生)Upload By 発達ナビ編集部また、光を眩しく感じやすい子も多いので、電灯のカバーは白で光を柔らかくしたほうがいいそうです。「蛍光灯のチラつきが気になる子もいますし、LED電灯をつらく感じる子もいます。LED電灯でも、光の強さや色味のバリエーションがどんどん増えていたりもします。お子さんに合わせた照明を選びましょう」(福井先生)子どもの興味を惹いてしまう家具や家電もなるべく置かないほうが安全です。例えば、備え付けの造作家具を設置したり、家具家電そのものを隠せたりするような工夫があるといいでしょう。また、ウォークインクローゼットをつくり、収納家具を極力減らすことも有効です。分類にこだわりのある子は大きめの引き出し一段ごとにルール設定をすると、積極的に片付けをやってくれたりもするそうです。福井先生の手がけた家では、小さな和室をウォークインクローゼットに改造して、扉をほかの壁と同じ色に統一したという例もありました。そうすることで視覚的な刺激も抑えられ、収納を一カ所にまとめることで片付けもしやすくなったそうです。発達が気になる子どもに限らず、子どもは成長に従って身体的にも感覚的にも成長し、変化していくものです。高級な家具やインテリアは、子どもの成長で使えなくなるかもしれませんし、壊れたからといって気軽に買い換えるというわけにもいきません。「ソファの上でジャンプするのを禁じるよりも、安価なソファにしてボロボロになったら替える、あるいはおもちゃのトランポリンを買うなどの、割り切りも必要です。フロアマットも高級なものではなく、ホームセンターや百均で売っているような安いもののほうが、汚れたり壊れたりしてもあきらめがつきます。高くて立派な調度品を揃えるとどうしても禁止事項が増えてしまい、子どもの行動を規制することになりがちです」(内山先生)禁止事項をなるべく減らし、かつ安全で、子どもの変化にも対応できるようにする――家具選び一つとっても、少しの工夫や割り切りで、家族みんなのストレスがぐっと減りそうです。間取りも同様に、お子さんの成長に合わせて調整できるよう、可変性の高いものにしておくことがポイントになりそうです。「住まいの窓口」で理想の不動産会社、建築会社探しを発達が気になる子どもとご家族の、さまざまなライフスタイルに合わせた住まいづくりや住まい選びが大切です。今回ご紹介したのは一例であり、ストレスなく、安全に暮らすためには、ご家族ごとにいろいろなパターンがあります。そうした、さまざまなニーズに合わせて細やかにアドバイスをしてくれるのが、「LIFULL HOME’S 住まいの窓口」です。「LIFULL HOME’S 住まいの窓口」は、不動産会社ではありませんので、第三者的な立場でのご相談やアドバイスはもちろん、ご家族に合うさまざまなハウスメーカーや工務店、不動産会社などへの紹介が可能です。ニーズに合った住まいづくりや住まい選びを、ハウジングアドバイザーが無料でサポートしてくれます。※リフォームのみのご相談は関東一都三県(一部エリア外あり)にお住まいの方のみとなります。物件購入にかかる諸費用の見積もりや、見落としがちなポイントの指摘やアドバイス、不動産会社へのお断りの代行もしてくれるなど、すべてのサービスは無料で受けられます。全国どこに住んでいても相談でき、電話だけでなくLINEでも気軽にご相談できるのがポイントです。住まいづくりや住まい選びは、人生の中で何回も経験できることではありません。よく分からないこと、迷うこともたくさんありますよね。そうしたとき、ハウジングアドバイザーの力を借りることができるのは心強いですよね。ご家族それぞれの予算とニーズに合った不動産会社・建築会社と出会えるまで、何度でもサポートしてくれるのが「LIFULL HOME’S 住まいの窓口」です。取材協力/内山 登紀夫先生(よこはま発達クリニック院長)、福井義幸先生(地域住環境研究所代表)取材・文/柳瀬 徹イラスト/かなしろにゃんこ
2019年06月04日給食が苦手だった子ども時代出典 : 私の小学校では、お昼ごはんは給食でした。この記事を読んでいる方の中には給食が好きだった方も多いと思いますが、私はその給食がとても苦手で、お昼の時間はいつもゆううつでした。家では鶏の唐揚げやカレー、麻婆豆腐など、子どもの好きな味の料理が食卓に並ぶことが多かったのですが、給食で出てくる料理は家とは違う味付けや種類のものが多かったのも苦手になった理由です。そのため子どものころの私には味がまったく想像できず、毎日おそるおそる給食を食べていました。カレー味のものやあんかけ料理などは、匂いから味が想像しやすいため食べられたのですが、反対に味の薄い野菜炒めや焼き魚などはそのままでは食べられず、しょうゆをたくさんかけて味をごまかしていました。その中でも特に苦手だったのは魚類でした。父が魚釣りが趣味で、家で食べる魚はとれたての新鮮なものが多かったこともあってか、給食で出てくる魚にはどれも生臭さや変な風味を感じ、美味しいとは思えず…私の小学校では原則的に給食を残すことができなかったので、焼き魚などが給食で出てきたときは昼休みになっても食べきれず、遊んでいるクラスメイトを横目に見ながら嫌々食べていました。味と匂いと食感が苦手だったナス出典 : 苦手なものが出てきても、食べきらなければいけないというのが通っていた小学校のルール。実はそれがきっかけで苦手になった食べ物があります。それはナスです。ある日の給食で、ナスと野菜にゴマだれをかけた料理が出てきました。洋服のタグを切り取らないと服を着られなかったり、ヌルヌルした感覚が苦手で石鹸で身体を洗うのが嫌で夏でも身体を洗わなかったくらい触覚が過敏だったり、香水の匂いや生臭い匂いなどを嗅ぐと具合が悪くなったりしていた私は、食べものに関してはベチャベチャしているものやヌルヌルしているもの、匂いが強いものが苦手です。そのため、見た目から味がまったく想像できず、さらに箸で触ってみても微妙に柔らかい触感のナスに対してはもともと抵抗感が強く、それまで一度も食べたことがありませんでした。勇気を出して口に入れてみたところ、やはり食感は変に柔らかくて気持ち悪く、さらにゴマだれと野菜の組み合わせによる匂いや酸味に耐えきれず、食べたとたんに吐き気がして体調不良に…。このときの強烈な印象が原因となり、それからしばらくは家でも給食でもナスを食べることはありませんでした。家で麻婆ナスを食べてから大好物に!出典 : 小学校高学年になったある日、家の食卓に麻婆ナスが出てきました。中華料理が大好きな私は台所から漂ってくる香りにわくわくしていたのですが、出てきた料理にナスが入っているのを見てものすごくがっかりしました。母が無理して食べなくていいと言ってくれたため、最初はナス以外の具材のみを食べていましたが、薄いナスが大好きな中華の味にひたひたと浸かっているのを目にしたとき、ちょっと食べてみようかなと思いました。「薄いものならそんなにナスの味もしないだろうし、好きな中華の味がしみ込んでいるのだから、試してみる価値があるな」と思ったのです。そして勇気を出して食べてみたところ、給食のときとはまったく違い、ただただ私の好きな味がしました!食事を終えた後に「おいしかったからまた作って!」と母親にお願いしていたほどです。それからは徐々に厚めのナスも食べられるようになり、いまでは素揚げしたナスが大好物。外食でも好んで食べています。子どものころから大好きな納豆と苦手だったとろろ出典 : ネバネバした触感が苦手な方は多いのではないかと思いますが、私はネバネバはそれほど気になりませんでした。ただ同じネバネバの中でも、味や匂いによって食べられるもの・食べられないものがあります。中でも、納豆は昔から大好きでした。食感が独特なものや匂いが強い食べものが苦手な私ですが、大好きなごはんと一緒ならネバネバも匂いも気にならずおいしく食べることができたのです。(ちなみに納豆単品では匂いが強すぎるため、いまでもあまり食べられません…)それなら同じネバネバで独特の匂いがあってごはんにも合うとろろなども食べられそうなものなのですが、こちらは子どものころは好きではありませんでした。とろろは両親が好きでよく食卓に出ていたため、一度私も食べてみたことがあったのですが、ごはんと一緒でも消しきれない独特の匂いが気になり好きにはなれませんでした。そのときの印象が強かったため、長芋も食わず嫌いのままになっていました。とろろを食べられるようになったきっかけは、山かけうどん出典 : 中学生だったある日、弟から「とろろをうどんにかけて食べる『山かけうどん』というものがあるらしい」という情報がわが家に寄せられました。弟いわくとてもおいしかったということだったため、家族で食べてみることになりました。それまでとろろは「ごはんにかけて食べるもの」という認識で、うどんにかけるという発想がなかった上に、もともとの苦手意識もあり試してみるのは渋っていました。しかし横で弟がとてもおいしそうにバクバクと山かけうどんを食べているのを見て、勇気を出して食べてみることに。ほんの少しだけとろろをうどんにかけてみたところ、うどんのつゆがからんでとてもおいしかったのです!うどんのつゆのおかげで苦手だった匂いもなく、ただただおいしく食べることができました。それからは少しずつごはんにかけても食べられるようになりました。加えて、焼いてほくほくの食感になっている長芋は私の好物になっています。食べるまでに時間がかかる食べものは基本的に苦手出典 : 最後はもしかしたら私だけかもしれませんが、実は食べるまでに時間がかかる食べものが昔から苦手です。たとえばジャムなどを塗らなければいけない食パンだったり、みかんやグレープフルーツなどの皮をむかなければならないくだものなどです。食パンは食卓に出てくることもよくあったのですが、わたしは基本的には食べませんでした。ジャムを塗るのが面倒で、そのまま食べるほうがマシだと思っていたからです。どうしても食べなければならないときには、何もつけずに牛乳などで流し込むように食べていました。いまでも家で食パンを食べることはありません。特に苦手な柑橘類たち出典 : 食べるまでに時間がかかるものの中でも特に、皮をむく必要があるくだものは今でも好んでは食べません。子どものころ、父がよくみかんを箱で買ってきていたので私も食べてみたのですが、飲み込むときに薄皮がのどに詰まりそうになり、とても苦しい思いをしました。この出来事がきっかけで柑橘類は基本的に薄皮までむいて食べるようになったのですが、パンにジャムを塗ることすらめんどくさがる私ですので、当然薄皮をむいて食べるまでが面倒すぎるように感じ、いつの間にかまったく食べなくなりました。せっかく買ってきても私がまったく食べないので、あるときから母親があらかじめ薄皮までむいた状態で食卓に出すようになりました。その状態であればのどに詰まらせる心配がないので、私もバクバク食べられました。いまでも皮をむく必要があるくだものを自分で買うことはなく、たまに家に置かれているときには妻を頼り、薄皮までむいてもらっています...。どうも私は、食卓に座り「食べるぞ!」という気持ちになってから実際に食べるまで時間がかかることにとてもストレスを感じるようです。ですので、カニや殻つきのゆで卵もあまり作りません。どれも味そのものは好きなので、すぐに食べられる状態になっていればバクバクと食べるのが自分でも不思議でなりません。苦手な食べ物に関する私の経験をまとめてみると…出典 : ここまで記事を書きながら振り返ってみると、子どものころの私が食べられなかったものにはいくつか特徴があるようです。食感:口に入れたときにベチャベチャしていたりヌルヌルしているもの。見た目:味が想像できないもの。ベチャベチャ・ヌルヌルしていそうなもの。匂い:生臭かったり独特な匂いのもの。これらは私の触覚過敏と、匂いに敏感なことに起因した特徴なのかなと思っています。中でも匂いについては、苦手な匂いに勝る濃い味付けをしたことが、その食材を食べられるようになるきっかけとなった例を紹介しました。もし私と同じように特性による過敏さによって食べられないものがある当事者の方が周りにいる場合、調理方法や味付けを変えてみることで食べられるようになるかもしれません。それでも私が時間のかかる食べものが食べられないように、どうしてもダメなものもあるかもしれません。そんなときは本人に、食べられないもののどこがどうダメなのかを直接聞いてみるのも良いかもしれません。私が子どものころは特に聞かれたことがなかったので自分から話した記憶はありませんが、もし両親に何がどうダメかを聞かれていたら話していたのではないかなと思います。言語化が難しい場合には、お子さんが食べないものの共通点を探したり、特性から考えてみたりすると、そのこだわりについてのヒントが見つかり、食事での困り感やストレスを軽減できるかもしれませんね。そして私の経験談になりますが、食べられないものがあっても身長が180cm近くまで成長することもありますし、子どものころ食べられなかったものが大人になってから突然食べられるようになることもあります。お子さんの食べられないものについて、何とか食べられるようにしてあげたい!と毎日いろいろな工夫を重ね、ふと疲れてしまうこともあるのではないでしょうか。そんなときには一度肩の力を抜き、お子さんやこの記事をご覧になっているあなた自身が好きなものを食べて、まず楽しく食卓を囲んでみてほしいなと思います。
2019年05月27日「好き」で自信を創り、「好き」で社会とつながるこんにちは。「『好き』で自信を創り、『好き』で社会とつながる」をビジョンに、発達障がい児向けのメンターマッチングサービスと教室運営をしているBranchの中里祐次です。Branchは、「発達障がい児の好きなことを見つけたり、好きなことができる環境創りのサポートをするサービス」です。こんなことをやっています↓↓Upload By 中里祐次Upload By 中里祐次 | 発達障がい児の孤独をなくし、可能性を伸ばす習い事って、「役に立つからやる」ことなんだっけ?出典 : この仕事を始めてから、「お子さんが自分の好きなことをできる時間って、今はどれくらいあるのかな?」と、よく考えます。自分の子どもの頃を考えると、おそらく100%に近いくらい、好きなことばっかりやっていたように思うんですよね(勉強していた記憶のない子どもだからかもしれませんが…)。友だちと公園で遊んで、その公園での遊び方を自分で考えたり、当時自分が好きだったドッジボールをみんなでやりたくて勝手にドッジボール部を創ったり…とにかく好きなことばっかりやっていた、のんびりした子ども時代だったなぁ、と。ただ、今のお子さんを見ていると、時代は変わってきているのかな、と感じます。というのは、学校の勉強や習い事に関して、お子さんが好きでやりたいことをベースにやる/やらないの判断をしているわけじゃない場合が多くなってきているように見えるからです。「これを覚えること、習うことがすべての子どもに役立つ」といった、まるで「正解」が決まっているかのような言説をよく見るようになりました。もし本当に、そういったすべての人に正解と言える方法があれば楽だと思う人もたくさんいるでしょう。Branchに相談に来る保護者さんの中にも、「次は子どもに何を習わせれば将来うまく行きますか?」というような質問をされる方がいらっしゃいます。なんとなくそれを聞いていると、スマートフォンのアプリをインストールするように「その習い事に通わせれば、自動でわが子に必要な能力がインストールされる」ような感覚でいらっしゃる方も多いのかなぁ、と感じます。でも、肝心のお子さんの感情はどこ行っちゃったんだろう…。ためしに、自分のお子さんに学校の勉強や習い事について「これは好きかどうか?」を一つずつ聞いてみてください。全部好きっていうなら、とてもその子はラッキー。残念ながら実際は、そうじゃない場合がとても多いと思います。習いごとに行ったあとに僕がお子さんに会うと「実はさっきの習い事、好きじゃないんだよなぁ」なんて言うお子さんも多いです。僕らは、なんでも言ってくれるような関係性が創れて良かったなと思うとともに、悲しい気持ちになります。好きで好きでたまらないことを、大人が全力で応援する出典 : 僕たちBranchは、我慢して我慢して勉強したり習いごとをした先にあるものよりも、「好きで好きでたまらないので誰にも止められない!」ということを大事にすることが、今の時代の学びにとても大切だと思っています。たとえばうちの子は、大好きなレゴをやってる時は大きい声で声をかけても肩を叩いても気づかないような子でした。今はマインクラフトをやったり、YouTubeでマインクラフトの動画を見たりしている時がその時間です。好きなことをやってる時は自発的にものすごい集中力でやっていますが、嫌いなことは絶対やりたくない。思えば自分もほぼ同じタイプの子どもでした。ある時、東京大学の文化祭で東大レゴ部の方が出展されているのを見つけて子どもと出かけました。レゴ好きなので、何か良い影響があるかなー、と期待をしながら。実際うちの子は、目をキラキラさせて東大レゴ部の方にレゴについてたずねたり、帰ってきてからも学校の作文にそのことについて書いたり、大きくなったら東大レゴ部に入りたいから東大に行きたいといったりと、中々良い影響があったようです(東大に行けるかどうかとかは置いておいて…。というか、本人はそれを言ったことをたぶん忘れています笑)。実はその時の経験から生まれたのがBranchなんです。つまり、お子さんの好きなこと(例えばレゴ)を得意な大人(ここで言えば東大レゴ部の方)とマッチングする、というサービスです。その後、サービスが続くうちに代官山に教室を構えたり、お子さんの好きなことを保護者の方と一緒にどう伸ばしていくかを考える計画書を提出するようになったりと、色々と進化を続けて今に至ります。「好きなことで社会とつながる」その最初のきっかけを例えばどんなお子さんがいらっしゃるかというと、こんなお子さんです。Upload By 中里祐次Upload By 中里祐次発達障がいのあるお子さんがメインですが、発達障がいはないけれど不登校状態だというお子さんも多いです。また、たまに「天才を育てるサービス」と勘違いされますが、それは違います。すべてのお子さまが「好きなことができて、それによって自信がつくことと、好きなことで社会とつながるきっかけを創る」ことがBranchが行っていることです。またもう一つ「お子さんの才能を新しく生み出す」ことを期待されることもありますが、基本的に「お子さんが好きなこと」をベースに考えていくので、それがお子さんの好きなことであれば一緒に考えていきますが、お子さんが嫌いなこと、興味のないことであれば僕たちがやることの範疇ではないかな、と思っています。安心して好きなことができる環境を創るのがBranchの役割まだサービスがスタートして3年弱なのですが、最近、Branchのチームで大事にしたいと考えているのはこんなことです。Upload By 中里祐次上述したように、Branchには社会の中で傷ついたお子さんがとても多くいらっしゃいます。好きなことにはすごい集中力を見せるのですが「学校に行けなくなってから、その好きなこともあまりやらなくなっちゃったんです」というようなお悩みも。Branchの場合は上記の図にあるようにまず最初に「安心して好きなことができる環境設計」を大事にしています。人と会うことや、外へ出ることも難しいお子さんもいますので、先に「どんな人」がいるか「どんな場所なのか」を伝えたり、場合によってはこちらから訪問したりもします。他にも、教室事業である「Branch room」のスタッフが共有する「グランドルール」として、こんなことを大事にしています。----------------------------ここはお子さまの「好き」を見つけること、「好き」を育むことを目的としています。・一緒に考える=つまり「教えない」ことです・見守る=つまり「指示しない」ことです・整える=居心地良く、少しの新しい発見がある空間を創ることです上記のようなことを私たちは主に行います。----------------------------まだまだ至らない点もありますが、安心できる場所があると、お子さんにちょっとずつ自信や自己肯定感が生まれるのかな、と思いながら日々活動しています。そして、だんだんと自己肯定ができるようになってくると、自主的に「これやってみよう!」と、自分のやりたいことをやるスイッチを押せるようになると思っています。大人になった時にこの「自主的に自分のやりたいことのスイッチを押せること」がとてもとても大事だと思っていますので、まずはそのための環境創りに取り組んでいるのが、いまのBranchです。もちろん、すでに自己肯定もできていてやりたいこともあるお子さんの場合、それをどう伸ばしていくかの環境創りのサポートが大事になるので、そのあたりも語りたいのですが…長くなってきましたので、今日はこの辺で。ご興味を持ってくださった方は、ぜひBranchに遊びに来ていただければ幸いです。オンラインのメンターマッチングサービス「Branch」は全国どこからでもご利用可能です。東京におられる方は教室事業の「Branch room」も覗いてみてください。それでは。 | 発達障がい児の孤独をなくし、可能性を伸ばす東京・代官山Branch room
2019年05月23日みなさんは、「発達のマイルストーン」という言葉を聞いたことがありますか? 「発達のマイルストーン」は、赤ちゃんの発達がどの段階まで進んでいるかを判断するための目安をいいます。目安はあくまでも目安ですが、どの時期に何ができるか、語呂合わせで覚えるのも楽しいかもしれません。今回は、1歳までの赤ちゃんの発達の目安と覚え方を紹介します。 首すわり赤ちゃんの首のすわりは、出生時の状態や発育環境などの影響を受けやすいといわれています。厚生労働省が平成22年に調査し、平成23年に報告された結果によると、生後4カ月以上生後5カ月未満の赤ちゃんのうち、約90%以上の赤ちゃんで首のすわりが確認できることから、生後4カ月が一般的な目安とされています。 赤ちゃんの首がすわる時期の目安は、生後4カ月。「首がしっかり(4カ月)すわる」で覚えます。 寝返り赤ちゃんが寝返りをし始めるのは、平均的にはだいたい生後5カ月~6カ月のころといわれています。ですが、寝返りの時期は意外に個人差があり、もっと早くする子もいますし、生後8カ月になろうとするころにようやく寝返りし始めたという子もいます。 赤ちゃんが寝返りできるようになる時期の目安は、生後5~6カ月。「ゴロゴロ(5,6カ月)寝返り」で覚えます。 おすわり赤ちゃんのおすわりの時期は、生後7カ月~8カ月ごろといわれています。誰かが支えてあげるとおすわりができるようになるのが生後6~7カ月、生後7~8カ月になるとひとりでおすわりできるようになります。 赤ちゃんのおすわりの時期の目安は生後7カ月ごろ。「なんとか(7カ月)おすわり」で覚えます。 ハイハイ赤ちゃんがハイハイをし始める平均的な時期は、生後7~8カ月のころだといわれています。いきなり膝をついてハイハイをするというよりは、腹ばいになってバタバタもがいていたり、くるくると回転してみたり、または後ずさりしようとしたり、ずりずり進もうとしたりという動作が見られるようになってきます。 赤ちゃんがハイハイをし始める平均的な時期は、生後7~8カ月。「なんて(7カ月)はやい(8カ月)ハイハイ」で覚えます。 つかまり立ち赤ちゃんがつかまり立ちを始める時期は、だいたい生後7カ月から生後11カ月ごろが目安ですが、早い子は生後6カ月くらいから、遅い子では1歳ごろで始める子もいます。 つかまり立ちの目安は生後7カ月から生後11カ月。少し目安の幅がありますが、「きゅっ(9カ月)と掴んでつかまり立ち」で覚えます。 つたい歩きつたい歩きは個人差が大きく、生後7カ月から1歳過ぎに始まるといわれています。早くから歩くことに興味があり、ハイハイをあまりせずにつたい歩きを始める赤ちゃんがいたり、それとは反対にハイハイが好きで、つたい歩きにあまり興味を示さない赤ちゃんもいます。 つたい歩きはの目安は、生後7カ月から1歳過ぎ。こちらも少し目安の幅がありますが、「ひといきに(11カ月)つたい歩き」で覚えます。 たっちそして、生後12カ月前後で、ひとりでたっちができるようになります。たっちができるようになると、いよいよあんよが始まりますね。 ひとりで立てるようになる目安は1歳前後。「いちにんまえ(12カ月)に一人立ち」で覚えます。 今回ご紹介した覚え方は、あくまでも成長・発達の目安です。赤ちゃんの成長・発達には個人差があり、今までできなかったことが急にできるようになることもあります。ほかの赤ちゃんと比較するのではなく、あせらずゆっくり長い目で見守ってあげられるといいですね。※参考:ベビーカレンダー「赤ちゃんの首すわりはいつ?練習は必要?確認の方法と遅い場合の対処法について」「寝返りはいつから?赤ちゃんの寝返りの時期と注意点」「赤ちゃんが寝返りをしなくても大丈夫?練習は必要?寝返りしない原因と対処法について」「赤ちゃんがお座りをする時期はいつ?練習は必要?お座りのコツとは?」「赤ちゃんのハイハイはいつから?練習は必要?ハイハイの種類や注意点について」「赤ちゃんがつかまり立ちを始めるタイミングはいつ?時期の目安や練習について」「つたい歩きはいつから?靴下や靴はどうする?練習は必要なの?」
2019年05月20日発達が気になる子どもにかかわる仕事って?必要な資格や仕事内容、働く人の本音まで知ることができる!発達が気になる子どもにかかわる仕事について「資格要件・仕事内容などの基礎を学べる」「大手法人と、仕事内容やキャリアに関してフランクに話せる」という、魅力たっぷりのイベント「LITALICOキャリアしごとフェスタ」を開催します。出典 : イベントでは、発達支援の事業所を運営する大手法人が個別ブースを出展。気になる法人と仕事内容・働き方・キャリアに関してフランクに話をすることができます。同時に「業界に関する知識や経験がなくて不安」「どのようにキャリアを積んでいくか知りたい」という声にこたえ、児童福祉分野で働くうえでの基礎知識がわかる「気になる福祉のお仕事まるわかりセミナー」や、「福祉業界のキャリアの歩み方」といった、どんな方にもきっと役立つプログラムも実施!会場には児童福祉分野に詳しいキャリアアドバイザーによる無料相談コーナーを設けます。「保育士や幼稚園教諭、学校教員の資格や経験って活かせるの?」「私に合った働き方を知りたい」といった疑問も気軽に相談できるので、疑問を解消することができます。現在児童福祉業界(児童発達支援・放課後等デイサービス)で働いている方、保育や教育・福祉の経験を発達支援に活かしてみたい方、児童福祉業界での働き方を知りたい方はぜひこの機会に、話を聞いたり、相談してみたりしてはいかがでしょうか。参加希望の方は、以下の概要を確認のうえ、申し込みフォームからお申し込みください。「LITALICOキャリア しごとフェスタ」開催概要【日時】4月14日(日)14:00~18:00※途中参加・途中退場可【会場】YCC ヨコハマ創造都市センター横浜市中区本町6-50-1▷アクセス■みなとみらい線 馬車道駅 1b出口(野毛・桜木町口・アイランドタワー連絡口直結)■JR・市営地下鉄線 桜木町駅 徒歩5分■JR・市営地下鉄線 関内駅 徒歩7分【日程】4月20日(土)14:00~18:30※途中参加・途中退場可【会場】生涯学習センター東京都八王子市東町5-6▷アクセス■JR八王子駅北口から徒歩4分北口駅前、桑並木通りクリエイトホール内■京王八王子駅から徒歩4分***********《2会場共通》【参加費】無料【参加特典】①参加者全員にQUOカード1000円プレゼント!②さらに、2名以上でご来場いただくと、追加でQUOカード1000円分プレゼント!「LITALICOキャリア しごとフェスタ」の見どころ紹介発達が気になる子どもの支援事業(児童発達支援・放課後等デイサービス)を運営する大手法人が、支援の特徴や、仕事内容、職場環境等について、説明いたします。アットホームな雰囲気の中、法人の担当者の方とフランクに話すことができます。【横浜会場】参加法人・株式会社フロンティア(e-キッズひろば)・.Connect 株式会社(このこのリーフ)・有限会社エスエヌ企画(ライズ児童デイサービス)・介護福祉サービス株式会社(放課後等デイサービス夢門塾)・社会福祉法人県央福祉会・合同会社らしさ・アイビートーク株式会社(すてっぷわん)・株式会社LITALICO(LITALICOジュニア)ほか【八王子会場】参加法人・特定非営利活動法人ひの・I-BASYO・株式会社LITALICO(LITALICOジュニア)ほかみなさまの知りたいことに合わせた約30分のセミナーを開催いたします。出典 : 【A】気になる福祉のお仕事まるわかりセミナー福祉業界について、知識・経験がない方もご安心ください。・発達が気になる子どもの支援の仕事とは・「児童発達支援」「放課後等デイサービス」とは・どうやったら福祉業界ではたらけるの?資格は必要?(児童指導員・児童発達支援管理責任者など)など、わかりやすく解説します。【B】福祉業界のキャリアの歩み方「いま子どもの支援の仕事をしているけれど、この経験を活かせる他の仕事ってあるのかな?」「今いる事業所とは別の支援の方法も挑戦してみたい」などと思っていらっしゃる方はいらっしゃいませんか?福祉業界のキャリアの歩み方や考え方について、さまざまなキャリア例をもとに、解説いたします。※内容は変更になる可能性がございます。福祉の仕事全般に関する疑問点、転職の不安・悩み等、ぜひ何でもご相談ください。「私でも発達支援の仕事ってできるのかな?」「これまでの経験を活かしてキャリアアップしたいけどどうしたらいいかわからない」そんなあなたの悩み・不安・疑問を児童福祉・障害福祉分野専門のキャリアアドバイザーが一緒に解消します。「LITALICOキャリアしごとフェスタ」は、発達が気になるお子さまへの支援にかかわる仕事について、一日で理解を深められるイベントです。ぜひご来場ください!【本イベントに関する問い合わせ先】LITALICOキャリア事務局info_event@litalico-c.jp
2019年04月11日認知度が上がり、世間の理解が深まりつつある、発達障害。ですが、まだまだネガティブな受け取り方をされることが多く、発達障害の子を持つ親として、ちょっとだけ残念な思いを抱いていました。そんなモヤモヤを解決してくれたのが、信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授である本田秀夫先生の著書 『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 でした。第2回のインタビューでは、本田先生が考える「療育の本当の意味とは?」についておうかがいします。お話をうかがったのは…本田秀夫(ほんだ・ひでお)先生信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事精神科医師。医学博士。1988年、東京大学医学部医学科を卒業。東京大学医学部附属病院、国立精神・神経センター武蔵病院を経て、横浜市総合リハビリテーションセンターで20年にわたり発達障害の臨床と研究に従事。発達障害に関する学術論文多数。英国で発行されている自閉症の学術専門誌『Autism』の編集委員。2011年、山梨県立こころの発達総合支援センターの初代所長に就任。2014年より現職。日本自閉症協会理事、日本自閉症スペクトラム学会常任理事、日本児童青年精神医学会代議員。■発達障害「早期発見・早期療育は子どもではなく親のため?」―― 前回 、親が早期に子どもの特性を知っておくことの重要性を教えてもらいましたが、早期発見は早期療育の効果へとつながるのでしょうか? よく、療育を始めるのは早ければ早いほど良いなどと言われますが…。本田秀夫先生(以下、本田先生):僕は、絶対そういうことは言わないようにしています。――なんと…(驚)。そういったお話も聞いたことがありますが、臨床の現場で約30年、幼児期から成人期まで一貫して診てきた先生がそうおっしゃるのは、また違った重みを感じます。本田先生:そもそも早期に発見される子の方が、大人になった時の障害は重いのですよ。なぜなら、症状が重い子の方が早く発見されるから。症状が軽くて、知的障害がない発達障害の場合は、就学時健診でもわからないことも多いのです。ですから、早く発見された人ほど良くなるというのは正確ではありません。――確かに…。本田先生:でも、僕は早期発見・早期療育を推進しています。理由はただ一つ、親御さんの認識を変え、親御さんが学ぶチャンスが早くなる、ということです。実は僕、子どもを療育しているフリをして、親の認識を変えることこそが療育だと思っていますから。つまり、子どもをどうこう療育するというより、親がコペルニクス的に認識を変えられるかどうかが非常に大事なのです。――深いお話…。本田先生:早期に親御さんがわが子の特性を知れば、対処法を学ぶこともできます。例えば、たびたびパニックを起こすようなお子さんだと、親御さんは疲弊してしまいますよね。でも、これを防ぐのは意外と簡単で、パニックを起こしたくなるような刺激を与えなければいいのです。例えば、子どもが好きなことをやっている最中に止めさせようとするとパニックを起こすということがわかれば、大好きなことはある程度切りのよいところまでやらせて次の活動に切り替えさせればよいわけです。ほかの子が近づくとたたいてしまう場合は、ほかの子が近くにきたら、その間に親御さんがスッと割って入って、その子の手が届かないようにすればいい。知っていれば未然に防げるけれど、知らないと結局、親子ともども嫌な思いを重ねることになってしまいます。■「療育でグレーは白にならない」子どもファーストの環境を――親への効果はよくわかりましたが、子どもにとっては本当に効果がないのでしょうか?本田先生:私たちの療育では、基本的に子どもファーストで考えてプログラムを組みます。例えば、一般の子育てなら、2歳の子どもに箸を使う練習はさせませんよね? 2歳くらいならスプーンを使ったり、大人がフォローしてあげればいいわけです。それが、成長につれて箸を使うようになったり、だんだん変わっていくのですが、そのペースが発達障害の子たちはほかの子と違います。ですから、今何を教えたらその子に身につくのかということを、一人ひとり厳密に考えていきます。そうして子どもに合った環境やプログラムを整えてあげれば、情緒的に安定して、活動に意欲的に取り組め、子どもも伸びると思いますよ。――ということは…? と、親はつい期待してしまいますが。本田先生:ただし、ここで一つ注意が必要です。親御さんは「療育で子どもが良くなった! このままいけば治るのでは…?」と思ってしまいがちですが、子どもが良い状態にあるのは、こちら側が相当に配慮した環境だからであり、環境が変われば元の木阿弥です。前回も言いましたが、「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」ですから。特性そのものは消えません。ですから、そこまで伝えるために、僕たちの療育では親御さんにも時々参加してもらって、どういう状態だったら子どもが落ち着いた良い状態になるのかを学んでもらうようにしています。■発達障害「どのような大人になるかは、親の育て方次第」――いかに子どもを取り巻く環境が大事か、ということなのですね。本田先生:そうです。発達障害というのは、もともともの原因は育て方のせいでなるわけではないのですが、「どのような大人になるのかは、育て方次第」と僕は思っています。例えば、背が低いことで悩んでいる人がいるとして、「別にいいじゃん」と言ってもらえるのと、「このままじゃヤバいよ! 早くなんとかしないと!」と言われるのでは、本人の受け取る印象はずいぶん変わってきますよね。それと同じで、親御さんがなんとか子どもの苦手を克服させたい、平均にそろえたいと思えば思うほど、克服できない部分が残った時に、子どもは親の期待に応えられない自分を責めてしまうのです。否定的な雰囲気の中で育つと、自己肯定感も低くなりますし、さらに責めたてられるような雰囲気の中で育つと、抑うつ的になってしまったり、逆に、自己防衛する意味で攻撃的な性格になってしまう危険性があります。――確かに…。でも、親は、わが子に対して「こう育ってほしい」という理想を持ってしまうものなのかもしれません。良かれと思って、つい…(苦笑)。本田先生:申し訳ないけれど、いかに親の価値観や考え方をリセットできるかが大事なのです。難しいかもしれませんが、先に理念を変えるというより、実践しながらの方が価値観は変わりやすいと思いますよ。どんな時に子どもが情緒的に不安定になって、どんな時に落ち着いているのか、その両方の状況の違いがわかれば、だんだんと親御さんのとらわれが溶けていくと思います。そのプロセスをなるべく幼児期のうちに通過しておくと、学校に入ってからが楽になると思います。――学童期になると、別の難しさが発生するのでしょうか?本田先生:学校に入ると、親御さんだけではなく先生の中にも「学校ではこういう子どもを育てるべき」という考えを持つ人がいるので、子どもは、家でも学校でも問題児というレッテルを貼られてしまう危険性があります。子どもがトラブルを起こして、先生に怒られて、親御さんも学校から「家庭のしつけが悪い」などと責められて心が病んでしまったり…。そうなってからですと、非常に対応が難しくなります。――確かに…。自由な幼児期と違って、学校では勉強が始まるので、クラスの雰囲気を乱すような子に対して、先生だけはなく保護者の目も厳しくなるように感じます。本田先生:実際のところ、文部科学省の発表では、通常学級の生徒の中になんらかの発達障害を持つ子が6.5%いるということですからね。クラスに必ず数名はいるということになります。早いうちに子どもの特性を理解して、周囲にきちんと説明できるような親御さんが増えて、そういう子がいるのがむしろ当たり前、という雰囲気になってきたらよいですよね。そして、学校もそういう子がいるという前提で、活動内容を組み立てるのが、当たり前になってほしいと思います。社会集団には、個性の凸凹がある程度存在します。「よくある個性」と認める範囲が広い集団では、「少数派」の人がそれほど目立たなくなります。発達障害の人も、その他のさまざまな個性がある人も、それぞれが自分のことをよく理解し、それが自分の普通だと思って生きていけるような社会が、本来あるべき社会の姿だと、僕は思っています。今回のお話や本を通して、いろいろな普通があることを、多くの人に理解してもらえればと思います。もし、わが子の発達に不安を感じている方や、すでに子どもが発達障害と診断され悩んでいる方がいたら、ぜひ一度、本田先生の著書を手に取ってほしいと思います。本を読む前と読んだ後では、きっと発達障害への印象がガラリと変わることでしょう。もちろん、そんな気持ちの部分だけではなく、「発達障害とはどんな障害か」ということもわかりやすく解説し、具体的な環境設定や支援方法まで紹介してあり、発達障害への理解と対応力が一段と深まることと思います。「どのような大人になるかは育て方次第」――その言葉に改めて、発達障害児の子育てにおける、親の役割の重要さを感じた取材でした。参考図書: 『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 (SBクリエイティブ)精神科医として30年以上、臨床経験の大半を発達障害の診療に費やし、乳幼児から成人まで、さまざまなライフステージの方たちによりそってきた、本田秀夫医師による著書。発達障害とは、なんらかの機能や能力が劣っているのではなく、「病気」というよりも、「選好性の偏り」と考えるほうが、ずっと当事者の理解に役立つ。そんな視点から発達障害を理解し、発達障害の人の行動や心理、支援の方法までをわかりやすく解説。まちとこ出版社N
2019年04月02日認知度が上がり、世間の理解が深まりつつある、発達障害。ですが、まだまだネガティブな受け取り方をされることが多いように思えます。例えば、園や学校の先生から子どもの発達相談を勧められると、「失礼だ」と怒る保護者がいたり、クラスで浮いた子がいると「あの子、発達障害なんじゃない?」などと保護者が陰口のように使ったり。発達障害の子を持つ親として(著者は2人きょうだいの下の子が自閉症スペクトラム障害)、認知が広まったのは喜ばしいことですが、ちょっとだけ残念な思いを抱いていました。どう伝えたら、こうした考えを変えられるのだろう?と。それを解決してくれたのが、信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授である本田秀夫先生の著書 『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 でした。それによると、「発達障害は何かができない「障害者」というよりも、独特のスタイルをもつ「少数派の種族」であり、その間にあるのは「多数派」か「少数派」という「割合の差」である」とのこと。その解説が非常に腑に落ちて、以来、息子の子育ての指針にしています。もし、同じように子どもの発達に不安を抱えていたり、悩んでいるお母さんがいたら、ぜひこういった考えを知ってほしい――そんな思いで取材を申し込みました。お話をうかがったのは…本田秀夫(ほんだ・ひでお)先生信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事精神科医師。医学博士。1988年、東京大学医学部医学科を卒業。東京大学医学部附属病院、国立精神・神経センター武蔵病院を経て、横浜市総合リハビリテーションセンターで20年にわたり発達障害の臨床と研究に従事。発達障害に関する学術論文多数。英国で発行されている自閉症の学術専門誌『Autism』の編集委員。2011年、山梨県立こころの発達総合支援センターの初代所長に就任。2014年より現職。日本自閉症協会理事、日本自閉症スペクトラム学会常任理事、日本児童青年精神医学会代議員。■「純粋な発達障害」とは? 誤解を生む理由は「二次障害」――発達障害はずいぶん世間に認知されるようになりましたが、まだまだネガティブな受け取り方をされることも多いように思えます。そんな中で、先生の本の「発達障害は障害というより『少数派の種族』」というお話は非常に腑に落ちました。本田秀夫先生(以下、本田先生):発達障害は障害というより、「少数派の種族」と考えると理解しやすいと思います。その両者には優劣の差はなく、その間にあるのは「多数」か「少数」か、という割合の差だけなのです。でも、割合の差があるからこそ、発達の特性は「少数派」の「選好性(※)」となり、「多数派」の人の理解を得ることが難しくなり、それが生きづらさにもつながってしまうのですよね。――単なる「少数派」であり、なんらかの機能や能力が劣っているというわけではないのですね。本田先生:いきなり関係ないような話をしますが、僕は「X-メン」という映画が大好きでして。あのお話では、普通の家族の中に、時々、遺伝子変異を起こしたミュータントが出現するのです。「ハリー・ポッター」もそうですが、映画の世界では、主人公が何か特殊な能力を持ってしまうというお話がたくさんありますよね。そこに共通してあるのは、彼らのような特殊能力をもった人たちは、一般の人間から見ると得体が知れず、脅威に思えるということです。――確かに。わからないものに対して、怖いという感覚はわかるような気がします。本田先生:発達障害も似たところがあって、自分たちが慣れ親しんでいる文化や流儀とは違うものを異端視している人たちから見ると、彼らの存在そのものが脅威なのです。もしくは、その脅威を打ち消すために、強烈な差別意識でかぶせているのです。例えば、「ああいう子にだけはなってほしくない」という思いもそう。そういう価値観を持っている人たちが一部いるのも事実です。また、実は純粋な発達障害の人というのは、あまり表には出てこなくて、僕のような専門家と本人や家族しか知らないのですよ。そこが、発達障害が誤解される一番のポイントかもしれませんね。――どういう意味でしょうか?本田先生:メディアに出演してカミングアウトしている方の多くは、どこかで傷ついた人たちなので、すでに二次障害をともなっているからです。例えば、会社でよく「困った人」と言われる発達障害の人たちは、だいたいみんなと協調できないことが多いのですが、実は、僕が幼児期からずっと診ている発達障害の人たちのほとんどが、まじめで素直な良い人たちなのです。つまり今、会社で「困った人」と言われる発達障害の人たちの多くは、適切な環境で育てられなかったために、すでに二次障害をともなっていて、それをメディアで発達障害と紹介してしまっているわけです。――なるほど…。本田先生:二次障害をともなわない、純粋な発達障害の特性だけが残っている人というのは、比較的順調に生活しているので、メディアに出演して主張するモチベーションもないのです。ですから、一般の人たちはあまり知る機会がないと思いますよ。今、残念ながら発達障害というと、二次障害をともない複雑になってしまった人たちばかりがクローズアップされているので、このような形で啓発するだけでは、あまり溝が埋まらないのでは? という思いはありますね。■発達障害「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」――では、発達障害の特性そのものだけであれば、もう少し順調に生きられると? 本田先生:もちろん、純粋な発達障害の人も、「多数派」向けに作られた社会で生きていこうとしたら多少は苦労しますよ。はじめにお話したように、「多数派」と「少数派」という割合の差があるからこそ、発達の特性である「少数派」の「選好性」は、「多数派」の理解を得ることが難しくなるので。また、知的障害や学習障害などがある場合は、能力の凸凹問題は残りますので、自信がないと感じることもありますし、一般の会社勤めが難しくて、就労支援に通っている方も大勢いらっしゃいます。ですが、そうやって生活しながら、その人なりに楽しく暮らしている方も大勢いるわけです。――自分に合った生き方や環境が選べれば良いのですね。本田先生:発達障害の特性が、致命的な弱点になるのは、その特性を本人やまわりの人が理解できず、無理を重ねて失敗や衝突を繰り返し、本人の自尊心やまわりの人との人間関係などが傷ついてしまった時です。ですから、発達障害の人は、いかに自分の特性を認めてもらえるような生き方や苦労しなくてすむ環境を選べるかが重要なのです。――その生き方や環境を選べるようになるために、必要なことは何でしょう?本田先生:自分の特性を知ることがすごく大事になってきます。苦手なことは克服しようとせず、堂々と逃げた方がいいですよ。苦手なことを努力で克服することを強いられて育つと、「ここまで努力してでもできない自分は人としておかしいのではないか?」という価値観を身につけて、二次障害になりやすいので。いかにラクして人生を送るか、ということだけを考えて生き続けることが結局、一番成功するのですよ。――そうなると、子どもの場合は、早期に親が特性を知っておくことが大事になりますね。本田先生:非常に大事だと思います。ただ、よく「早期に発見して療育を受ければグレーが白になる(発達障害が治る)」と思っている親御さんもいるのですが、グレーというのは絶対に白にはなりません。それを広めるために僕、川柳を作ったのですよ、「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」と。――特性は一生消えないのですね?本田先生:グレーならグレーな大人になればいいのです。白にならないで生きていく方法を探せばよいのです。中には、診断を下されるのを恐れる親御さんもいますが、これも受け取り方次第ではないでしょうか? 例えば、遠くの字が見えない人に「あなたは近視です」と診断したとしても、「まぁそうだよね」って思うだけですよね。要するに、近視の人は、別に医者に診断されなくても、遠くの字が読めないことはわかっているわけです。そこに診断名がついたからといって、その日から何かが変わるわけではありません。■発達障害「〇〇が苦手」ではなく「〇〇より△△を優先」ととらえる意識――私自身も昔、子どもが診断を受けた時は重みを感じました。スッキリしたと同時に「覚悟を決めねば」という思いが交錯して(苦笑)。本田先生:医者の伝え方も大事かもしれませんね。例えば、「自閉スペクトラム症です」と伝えるより、「この子には『空気を読むのが苦手』とか『こだわりやすい』という特徴があって、こういう特徴が大人になっても残ります」というふうに説明すると、納得してくれる親御さんが多いです。僕も、親御さんによって伝え方を工夫しています。…でも、診断名を過剰に恐れるのは、発達障害を何か悪い病気だと誤解しているのかもしれませんね。――その通りですね。私自身、発達障害のことをきちんと知る前は、何かが欠陥した障害のように誤解していました。だからこそ、もし同じように悩んでいるお母さんがいたら、先生のようなお考えを広く伝えていきたいです。本田先生:はじめにお話したように、発達障害は障害というより、「少数派の種族」のようなものですから。発達障害の人は自分の「選好性」をきちんと理解し、身近な人にも理解してもらい、「多数派」向けに組み立てられている生活を「少数派」向けに調整すれば、きっと生きづらさは軽減するはずです。親御さんにはぜひ、この「選好性」という視点から、お子さんの特性をとらえてみていただきたいと思っています。発達障害の特性を「~が苦手」というように、なんらかの機能の欠損としてとらえるのではなく、「~よりも~を優先する」というふうに考えてみてください。例えば、「雑談が苦手」というとらえ方を「雑談よりも内容重視の会話をしたがる」というふうに。その方が、より発達の特性を適切に理解できると思います。「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」――。特性が薄いほど、親は障害に気づかず、とかく「白」に近づけようと努力を強いてしまいがちですが、それは、むしろ逆効果。グレーのまま生きやすい環境調整をすることこそが親の重要な役目なのだと、教えていただきました。 次回 は、本田先生が考える「療育の本当の意味」についておうかがいします。※ここでいう「選好性」とは、好き嫌いの「嗜好性」ではなく、心が特定の方向に向かうという「志向性」のこと。参考図書: 『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 (SBクリエイティブ)精神科医として30年以上、臨床経験の大半を発達障害の診療に費やし、乳幼児から成人まで、さまざまなライフステージの方たちによりそってきた、本田秀夫医師による著書。発達障害とは、なんらかの機能や能力が劣っているのではなく、「病気」というよりも、「選好性の偏り」と考えるほうが、ずっと当事者の理解に役立つ。そんな視点から発達障害を理解し、発達障害の人の行動や心理、支援の方法までをわかりやすく解説。まちとこ出版社N
2019年04月01日子どもたちの間で、定番となりつつある乗り物『ストライダー』。周りの友人家族からは「最近子どもが、外遊びが好きになってきた」など、ストライダーに乗るようになって変わった。という、気になる声を聞いたりして、ますますストライダーが気になり始めてきた……。でもストライダーのスゴイところって何だろう?ということで、ストライダージャパンが独自で調査した「ストライダーの人気の秘密」をご紹介します!以下 ストライダージャパンホームページ 引用2歳の「心とからだの発達」を促します2歳の時期は、走る、両足で跳ねる、つま先で立つなど、足まわりの運動能力が比較的に発達。「からだを動かしたい」という本能的な欲求が出てきます。同時に、心も大きく成長する大切な時期。自我が芽生え始め、「自分でやりたい」と自発性が育ってきます。ストライダーの重さは3kgと、ランニングバイクの中でも最軽量クラス。筋力が発達しきらない2歳の子どもでもスムーズに進め、転んだときにも自分の力で立て直せるようにできています。「成長ループ」を後押ししてくれる乗り始めはトコトコと歩く程度ですが、徐々に蹴って前に進めるようになり、自然に体重移動を覚え、すぐに走れるようになります。まさに赤ちゃんが、たっち→あんよ→歩行を自然に身に付けていくように、本能にしたがって上達してくのです。その過程には「前に進めた」「走れた」などたくさんの「できた!」が詰まっています。その成功体験が、「自分でやりたい→1人でできた→褒められる→もっと上手になりたい」という成長ループをアシストしてくれるのです。「上手な転び方」を習得できる近年、転んでも手が出ず、顔や頭にケガをする子が増えているといわれています。保護者は、子どもを「転ばないようにする」のではなく、上手に転べるようにさせてあげる」ことが重要です。ストライダーは、転ぶことを前提につくられています。転倒時のダメージが最小になるよう、ハンドルはロックせず一回りし、車高も低く、低重心設計です。自転車と比較しても転んだときの衝撃が圧倒的に少なく、安心して転ぶ経験ができます。そのためにも、ヘルメットや肘膝あてなどプロテクターの装着が大切なのです。ストライダー公式サイト公式オンラインショップ(楽天)ベビモフTwitterキャンペーン実施中『ストライダーベイビーバンドルを1名様にプレゼント!』応募方法① ベビモフの公式Twitterアカウント(@baby_mofrau)をフォロー!Follow @baby_mofrau② ストライダー公式Twitterアカウント(@strider_jp)をフォロー!Follow @baby_mofrau③ 指定の記事(ストライダー記事)をどれか1つリツイートしたら応募完了!【記事1】「20年後の君へ」キャンペーンページをリツイート!【記事2】ストライダープレゼントキャンペーンページをリツイート!【記事3】『ストライダーに乗ると『かけっこ』が速くなる!?』ページをリツイート!【記事4】『「ここがすごい!」ストライダーキッズに接して感じることは?』ページをリツイート!【記事5】『ここがスゴイ!どうしてストライダーはバランスが身につくの?』ページをリツイート!【記事6】『ここがスゴイ!どうしてストライダーはバランスが身につくの?』(このページ)をリツイート!応募期間2月16日(土)12:00 ~ 3月31日(日)23:59まで応募に関する注意事項※下記の注意事項をよお読みくださいますようお願い申し上げます。● 本キャンペーンの内容は、予告なく変更・中止することがありますのでご了承ください。● 本キャンペーンには、Twitterアカウントの投稿からのみ応募できます。● 当選者にはベビモフのTwitterアカウント(@baby_mofrau)より、ダイレクトメッセージでご連絡をさせていただきます。ご連絡時にアカウント停止(退会)されている方は対象外となります。● 当選者には、プレゼントをお送りするにあたり、ダイレクトメッセージにて「住所」「氏名」をお伺い致します。● 本キャンペーンで頂いた個人情報は、商品発送など本キャンペーンに関わる目的にのみ使用し、他の目的には使用いたしません。● 当選した賞品の権利の譲渡はできません。また、賞品当選後のキャンセルはできかねます。● Twitterの複数アカウントからのご応募は禁止させていただきます(おひとり様1アカウントのみ対象といたします)。● 賞品の発送は日本国内のみと限らせていただきます。● 本キャンペーン開催期間中、複数の懸賞品に重複して当選することはできませんのでご了承ください。● 当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。● キャンペーンはtwitterの各運営会社とは一切関係ありません。
2019年03月25日3歳児健診での出来事ADHDと軽度の自閉症スペクトラムと診断されたのぼる(7)と、自閉症スペクトラム中度と診断されたひとし(4)を育てています。2018年の春頃からTwitterやnoteなどで、子どもたちの漫画を描いて載せています。前回、発達特性に気づくきっかけになった次男ひとしの3歳児健診の様子をご紹介しました。ひとしに発達の特性があるのではないかと指摘された3歳児健診の帰り道。何が普通で何が障害なのか、考えれば考えるほどわからなくなってしまいました。■前回までのお話改めて子どもたちの様子を振り返るとニコニコ教室と半年後の再検査を勧められ、改めて子どもたちとの様子を振り返ってみると…Upload By ちちゃこUpload By ちちゃこUpload By ちちゃこひとしのお手伝い、優しさだと思っていたけれどひとしの「お手伝いをしてくれる」行動は、当時ひとしの「優しさ」だと思っていました。だからこの優しさを大事にしようとも思いました。でも、発達障害についての知識がついた今、振り返って思うことがあります。この「お手伝い」は、私の毎日繰り返されている家事の見本があったから、ひとしも真似事をしたんだと思います。もちろん優しさもあるかもしれませんが、自閉症スペクトラムの特性にイマジネーションの欠如というのがあります。遊び方などを自分で思いつくのが難しいひとしにとって、私の行動は恰好の見本になったんだと思います。そしてもう一つ、ひとしが自分から動かなかった理由に思い当たることがあります。この頃、兄ののぼるは子ども特有の、「オレの方がすごいだろ!」の自慢がピークでした。のぼるがひとしに無理難題をふっては私が「まだひとしには無理」と、ひとしの前でのぼるにいさめることが度々ありました。私のこの言葉は、思い込みやすいひとしにとっては「ぼくにはまだできない」という呪いの言葉にもなったのではないかと思っています。ニコニコ教室に行くことで何かが変わるならと、藁にも縋る思いで通うことを決めた一方、私のひとしへの関わり方を改めて見直さなければと気づいた3歳児健診でした。成長しない子どもはいない、その言葉を信じてあの頃を振り返って、3歳児健診で発達の遅れに気づいてから早2年目がこようとしています。後にひとしの主治医の先生と出会って、私はお守りにしている言葉があります。「お母さん、どんな子どもでも、成長しない子どもはいません。」その言葉通り、ひとしは毎日成長しています。ひとしは今、私の手伝いをすることはほとんどありません。自分のしたい遊びを熱心に頑張っています。その「自分のしたい遊び」をすることがどれだけ凄いことで、大切なことか、この2年で学びました。成長のスピードは子どもによってさまざまです。でもどんな子どもでも沢山の可能性を秘めてると、私は改めて感じています。これからいろんな問題がまだまだ出てくると思います。諦めずに寄り添いながら、手を貸さなくてもいいところはほっときながら、私たちのペースで歩いていこうと思っています。読んでくださり、ありがとうございました!
2019年03月04日コラボ商品企画スタート。発達ナビユーザー×フェリシモ座談会開催!Upload By 発達ナビ編集部フェリシモでは障害のあるお子さんと家族に向けた「チアフルスマイル」企画が購入者から好評を得て話題に!今回の第2弾の商品制作を発達ナビユーザーと進めています。2019年夏の商品化を目指すのは、発達凸凹親子のおでかけをラクにする「本当に欲しいサポートグッズ」です。2018年12月に発達ナビユーザー450名以上に協力いただいたアンケート結果を参考に、商品化するアイテム候補を絞り、さらにアンケートで同時募集したモニターの皆さんが参加する座談会を実施しました!このコラムでは、座談会の様子や、企画がすすめられている商品について紹介します。<アンケート調査対象について> 「LITALICO発達ナビ」掲載の上記コラムでリンクしたアンケートフォームにて回答いただいた発達障害の当事者455名の回答を集計しました。(調査期間:2018年12月8日~12月25日) ※設問によっては455名全員が回答していないもの、複数回答可のものがあります。 ※調査結果の構成割合は四捨五入をしているため、合計が100%にならない場合があります。2019年1月17日(木)、神戸三宮にあるフェリシモ本社で、フェリシモ×発達ナビのコラボ商品についてのモニター座談会が開催されました。出席したのは、関西・中部地方在住の発達ナビユーザーで、発達が気になるお子さんを育てる8名です。発達ナビユーザーへのアンケート結果を参考に、たくさんの候補の中から次の5つの商品に絞り込んだ上で、モニターの皆さんにサンプルや図案などを見てもらいました。そして、率直な意見やさまざまなアイデアをいただくことができました。■ヘルプマークホルダー■ネームタグのチクチクを解決するタグカバー■リュックの中のごちゃごちゃを解決するリュックインナー■レジの前でもたつかない財布■締めつけが苦手でもOKなシームレス靴下それぞれのアイテムについて、フェリシモの開発担当からのプレゼンや、モニターの皆さんとの意見交換が行われました。Upload By 発達ナビ編集部発達ナビユーザーへのアンケートでは、31%が持っていると回答した「ヘルプマーク」。ですが、持っていても実際に使っている人は約65%にとどまっています。理由はさまざまですが、使いづらい、なくしてしまう、ヘルプマーク自体の認知度が低いといった理由も目立ちました。Upload By 発達ナビ編集部・かばんにつけはずしする際に、つけにくく、はずしづらかった。症状などを記すシールをどこに貼っていいのか、どちらが裏表なのか分からなかった。周囲の認知度も低かったため自宅保管している。・子どもがすぐになくしてしまいそう。何に困ってるのかを結局は分かってもらえないし、説明が難しい。また、障害があることが分かることで、逆に犯罪に巻き込まれたりするのではないか?という危険を感じているという声も。ヘルプマークには、何かあったときに連絡が取れるよう、個人情報を記載できるシールを貼ることができますが、個人情報が外から見えてしまうことへの危惧もあるようです。Upload By 発達ナビ編集部こうした意見を受けて、ヘルプマーク用のホルダーについてサンプル案を作成し、モニターの方たちの意見を聞きました。可愛いキャラクターデザインのもの、スライド式、かばんへのつけ替えがラクなものなど、複数のサンプルを見ながら、活発な意見が交わされました。・子どもが持っても壊れにくく、防水仕様で、当たってもケガしない形状がいい・障害があることをはっきり見せたい人と、必要なとき・場所などでだけ見せたい人がいるから、それぞれのニーズにこたえられるデザインがいい・個人情報は記載しておきたいけれど、ぱっと見では分からないようなデザインの工夫が欲しい。正面からは見えるけれど横からのぞき込んでも見えないようなカバーをつけたらよいのでは?など、具体的なアイデアが出されました。アンケートでも半数以上の人が「非常に気にする」「気にする」と回答した、洋服のタグについても、話し合われました。Upload By 発達ナビ編集部洋服のネームタグを切り取ったり、上から肌触りのいい布で覆うなどの対策をしているご家庭も多く、「きれいに切り取れない」「縫いつけが大変」という声があげられました。また、隠すための布のデザインがおしゃれだといいという声も。Upload By 発達ナビ編集部座談会では、肌ざわりが確認できるよう生地のサンプルや、縫いつけが不要な生地の見本、デザイン案などの資料をもとにディスカッション。・(縫いつけるのは大変なので)アイロンで貼りつけたい。でも、ごわつく生地はダメ・肌着だけでなくアウターのタグ対策もできるように、ニットやナイロンなどの洋服にも対応できるようにしてほしい・名前が書けるといい・制服用に、可愛い色柄のものだけでなく、白・黒も必須といったアイデアも出されていました!可愛くてやわらかな肌触りで、縫いつけ不要のタグシールカバー…ぜひ実現させたいです。Upload By 発達ナビ編集部「バッグの中身がすぐ取り出せなかったり、入っているものが分からず忘れ物をしたりして、困った状況はありますか?」という問いに、460人中356人、約77%の人が「はい」と回答。トートバックより、お子さんが持つことが多いリュックの対策ができたらという声が多くありました。この「困りごと」を解決できるよう考えられたのが、リュックインナーです。座談会では、・ポケットはすべて色や形を変えてほしい。同じような色や形だとどこに何を入れたのか忘れてしまう。ポケットの中に何を入れるのかが分かるような写真カードが入れられる仕様にしてほしいというように、忘れっぽさをフォローしてくれる形状への希望がたくさんあがりました。・ペットボトルを入れる場所をつくり、防水にしてほしいという声も複数。これは、お子さんがキャップをするのを忘れてしまい、バッグの中が水浸しに…という経験から生まれた意見です。将来の自立に向けても、買い物や金銭管理を自分でできるようになってほしい…そんな保護者の皆さんの気持ちが感じられた、財布についてのご意見。Upload By 発達ナビ編集部アンケートでも「レジ前でもたつくのが改善されたらうれしい」という意見が多くあげられました。特に小銭のやり取りに苦戦することから、座談会ではお財布の形状についてのアイデアだけにとどまらず、・お札で払ってしまい小銭がたまりがち。小銭を入れておく場所が自宅にあるといいと、お財布だけでなく、セットでつかうアイテムの話まで発展。生活動線を幅広くとらえた意見も出ました。また、手先の不器用さがあってもあけやすいがま口の金具の形や、ファスナーの形状についても、具体的にヒアリングすることができました。レジ前でもたつかない財布は、子どもだけでなく、お子さん連れで買い物するときにさっと会計したい保護者にとっても便利なグッズになりそうですね。Upload By 発達ナビ編集部また、アンケートの自由回答などでも多くあげられていた「洋服の締めつけが苦手」という声に応えて開発を考えている、シームレス靴下についても意見交換がされました。座談会では、締めつけが苦手なお子さんのママから支持する声がある一方、「ゆるい靴下で、靴の中でもたつくとそこが気になってしまう場合もある」と、ぴったりフィットするほうがいいという意見も出されました。困っている人のためのアイテムを、社会のスタンダードにしたい「いろいろな局面で困りごとにぶつかったり、生きづらさはあるけれど、何かの助けがあることでまわりの環境がちょっと優しくなれたり、トラブルが減って笑顔を増やすことができると思う」(京都府ゆきゆき様)「使いやすいものをという要望を詰め込んだ機能的なものであっても、ダサい、可愛くないものは望みません。フェリシモならではの+可愛さはすべての商品においてあってほしい。ユニバーサルデザインで障害がある人に寄り添ってつくったものが、他の多くの人にとっても便利なものになり購入してもらえるのは、大企業のなせる業で素敵だなと感じました」(兵庫県くるみちょこ様)これは、座談会に参加してくれた発達ナビユーザーから、座談会後に寄せていただいた言葉です。便利で快適を目指す服飾雑貨を広く手掛けるフェリシモとのコラボだからこそ、さまざまな意見を反映したバリエーション豊かな商品づくりができる。そしてその商品は障害や特性がある人だけでなく、どんな人にとっても「ちょっと便利」「使いやすい、着やすい」アイテムとなって、世の中のスタンダードとして広まっていくといいなと改めて感じることができました。発達ナビユーザーの声を、もっともっと聞かせてください!フェリシモとのコラボ企画の進捗は、今後も随時コラムやSNSで紹介していく予定。4月頃には、サンプルモニターの報告などを発達ナビやフェリシモのFacebookやインスタグラムなどでも随時ご紹介していきます。お楽しみに!また、今回のコラムを読んで「こういう工夫があると嬉しい!」という声があったら、ぜひ「みんなのアンケート」で教えてもらえるとうれしいです。発達ナビユーザーの皆さんと一緒に、発達凸凹による困りごとをサポートでき、毎日を楽しく・ストレスなく過ごすことができる商品を開発していきたいと考えています!取材協力・写真提供/株式会社フェリシモ便利で快適な自社企画商品を中心に、独自の視点でセレクトした国内外の商品やサービスをカタログやウェブなどの独自のメディアで販売しています。ファッションから生活雑貨、手づくりキット、美容関連、食品など幅広い商品を展開しています。ホームページフェリシモCCP(チャレンジ・クリエイティブ・プロジェクト)
2019年02月21日「訪れるどんな子どもにも、楽しんでもらえるように」。仕事体験テーマパーク・カンドゥーでのスタッフ研修Upload By 発達ナビ編集部仕事体験テーマパーク「カンドゥー」は、3歳から15歳のお子さんが、モデルや警察官、パイロットをはじめ、約30種類の仕事を体験できる施設。日々、たくさんのお子さんが遊びに来ますが、その中には障害や病気のある子もいます。また特別支援学校や特別支援学級の校外学習の場として利用されることもあります。こうした中、「訪れる子どもたちに楽しんでもらいたい」と考えながらも、障害特性ゆえの困りごとに対して、どんな関わり・サポートをすればよいのかわからずに悩むスタッフも少なくありませんでした。そこで、発達障害をより深く理解し、多様な子どもたちが安心・安全に楽しめるような関わり方を身につけられるよう、スタッフ向けの研修を実施しました。研修には、現場で実際にお子さんたちと接するスタッフを中心に約50名が参加。講義だけでなく、グループワークやロールプレイを通して、「こんなとき、どんな風に関わったらいいのか」を体感していきました。2018年7月に研修が行われてから約半年後となる12月下旬、編集部は再びカンドゥーを訪れ、カンドゥーの安武覚さん(イオンモールキッズドリーム合同会社職務執行者副社長)と研修を受けたスタッフを取材しました。Upload By 発達ナビ編集部「私自身にとって、発達障害はとても身近に存在しています。1年数か月前にカンドゥーに着任したとき、“どんな子どもたちも無理なく楽しめる場にしたい”と強く思い、研修を企画しました」と語る、安武さん。カンドゥーでは、複数の子どもたちがグループとなり、一緒にお仕事を体験します。ですが、発達障害がある子にとって一斉指示を聞いて行動することの難しさや、パニックになってしまった場合に、「もっとソフト面で対応できることがあるのではないか」と考えたのがきっかけでした。Upload By 発達ナビ編集部では、実際に研修を行って、スタッフはどんなふうに受け止め、意識やサービスはどのように変わったのでしょうか?そこで、研修に参加したスタッフに話を伺いました。「研修を受ける前までは、“ハンディ”があるお子さんにどう対応したらいいのか戸惑うこともありました。でも研修で、“ハンディではなく特性”があるんだ、と考えられるようになりました」という添野さん。「暗いところが苦手、初めての場所が苦手など、お子さんによって感じ方や苦手なことは違います。研修をきっかけに、お子さん一人ひとりの状況を見て『なにか苦手なことがありますか?』など、お子さんや保護者の方に確認することが増えました。以前は、マニュアルにないことをやってもいいのかな?と迷う場合もありましたが、そういう迷いがなくなりました。たとえば、ファッションショーのお仕事ではお子さんに衣装を選んでもらいますが、お話するのが得意ではないお子さんの場合、着たい衣装を口では伝えるのが難しかったので、指差しで選択しやすいような環境をつくり、希望を伝えてもらうなどしました」大家さんも、研修を受けて、自信をもって対応ができるようになったと言います。「私は、ラジオ局のスタッフをすることも多いのですが、ラジオ番組の台本は文章量も多く、言葉遣いも丁寧です。文字を読んだり、音読するのが難しいお子さんの場合は、無理に台本通りに読んでもらわず、簡単なセリフにアレンジしたり、(スタッフが台本の)文字を指さしながら、ゆっくり読んでもらったりします。一言でもセリフが言えると、ラジオ番組の様子を録音したCDに声が残るので、記念にもなりますから」また、お話が苦手なお子さんへ、スタッフがどのように声かけするかによって、一緒に参加しているほかのお子さんの受け止め方も変わるとも感じているそう。「みんなが大らかに楽しめるよう、引っ張っていけるスタッフでありたいと思います」安武さんはこのようなスタッフの様子に、驚いたそう。「スタッフは、決められたタイムスケジュールの中で進行し、各企業の理念や魅力も伝えるというミッションがあります。その中で、一人ひとりに寄り添おうと自発的に考えられる柔軟性を持っていることに改めて気づかされました。研修を受ける前から持っていた寄り添う姿勢を、 “自発的に動いていいんだ”“お子さんそれぞれのちがいに寄り添っていいんだ”と、研修を受けたことで背中を押すことができたのではないかと感じました」ただ、スタッフ全員が研修を受けられたわけではないし、個人差もあるという安武さん。研修の内容を他のスタッフにシェアしたり、こんなときはどうすればいいの?とスタッフの間で聞く機会が増えたりという変化が生まれ、少しずつ変わってきているという実感があるそうです。2019年度も、研修などの機会をつくり、ソフト面での配慮をより充実させていきたいと、語ってくださいました。一人ひとり違う個性を、認め合える企業へ。ミュゼプラチナムの社員研修Upload By 発達ナビ編集部2018年度、ミュゼプラチナムにおいて、社員向け研修を複数回実施しました。研修の対象は、ブロック長やマネージャー、店長など、現場をまとめるリーダー的な社員。研修では、発達障害についての知識を深めるだけでなく、障害の有無に関わらず、相手の立場に立って考えることの大切さを感じられるワークなども行いました。そして、さまざまなお客さまへの関わりかたや、スタッフ同士のコミュニケーション、チームワークについて考え、学ぶ機会として研修を活用いただきました。Upload By 発達ナビ編集部ミュゼプラチナムは全国で177店舗の美容脱毛専門サロンを展開、社員数は4,200人以上。障害者雇用にも積極的で、さまざまな障害がある90人以上のスタッフが全国の店舗で働いています。研修を企画した柳沼さんは、「障害の有無に関わらず、人は一人ひとり違うのだということを意識し、『なんでできないの?』と相手に矢印を向けるのではなく、『相手に伝わるためには自分はどういう風に話したり伝えたりすればいいのか』と自分に矢印を向けてほしいと考え、研修を導入した」と言います。Upload By 発達ナビ編集部渋谷店の店長をつとめていたときに研修を受けたという杉村さん(現在は本社勤務)は、「お客さまへのお話の仕方、接し方などを指導するときに、こうしなさいと一方的に伝えるのではなく、『自分がお客さまだったらどう思う?』とスタッフ自身に考えてもらえるようにしました。信頼関係が築けるようになると、私の伝えたいことを理解してもらえるようになり、スタッフが結果を出せるようになってきました。もともとスタッフ自身に吸収力があったので、自信がついてどんどん伸びていけたのだと思います。それを見て、店舗の他のスタッフも『すごいね、どう伝えたの?』と関心を持ってくれたり、意識してくれるようになりました。その相乗効果で、店舗のチームワークがぐっとアップしたと感じました」。チームワークが上がった店舗では、スタッフ同士でも相手をねぎらう言葉が飛び交うようになったのだそう。スタッフはインカムをつけて業務を行っていますが、インカム越しに頻繁に「ありがとう」を言うようになり、店舗のよい雰囲気はお客さまにも自然と伝わっていったそうで、お褒めの言葉をいただくことも増えました。お客さまやスタッフに対しても、「一方的に自分の思いや考えを押しつけるのではなく、相手の立場に立って考える」。これは、ミュゼプラチナムが創業当時から大切にしてきたことです。社員数も増えていく中、その信念に改めて立ち戻ろうと導入した研修は、その狙い通りに参加した社員一人ひとりの中に浸透したようです。どんな人も、「ちがい」を認め合い、相手の立場を考えて行動できるようになったら、社会の中にある障害は、きっとなくなっていく――こうした取り組みがあちこちで行われるようになったら、どんな人も、より暮らしやすい社会につながっていくのではないかと感じられました。Upload By 発達ナビ編集部ミュゼプラチナムは、多くの女性に支えられている企業だからこそ、もっと女性が活躍できる社会にするための活動を行っています。ピンクリボン活動や、女性特有疾病の理解・予防を促すセミナーの開催などを、ミュゼハッピープロジェクト(MUSEE Happy Project)」として実施しています。その一環として行っている「乳がん啓発」では、各地で啓発イベントを行うほか、全国の店舗で乳がん検診体験を実施しています(毎月1回、店舗を巡回して実施)。通いなれた店舗で超音波検診を体験することで検診へのハードルも下がり、早期発見にもつながります。また、子宮頸がん啓発のための冊子も作成し、無料配布しているそうです。2019年よりテスト的にスタートする洋服のリサイクルは、店舗にリサイクルボックスを設置。実施店舗を順次増やしていく予定だそう。障害者雇用においても、働きやすい職場環境づくりなどこれまでの取り組みが評価され、東京都産業労働局が主催する「平成30年度障害者雇用エクセレントカンパニー賞」を受賞したそうです。社会に必要なこと・大切なことを積極的に取り組んでいこうという会社の姿勢があるからこそ、社員研修でのスタッフへの浸透も早く、チームワーク向上にも役立ったのではないかと、改めて感じました。参考:ミュゼプラチナムのCSR | ミュゼプラチナム2019年、障害のない社会を目指しての取り組みを、もっと進化させていきますLITALICOは、「障害は社会にある」と考え、どんな人も暮らしやすい社会となるよう、さまざまな企業の皆さまとともに取り組みを行っています。これからも研修や商品・サービス開発、イベント実施など、より幅広い企業の皆さまとのさまざまな取り組みを通して、一人ひとりのちがいを認め合い、支え合える「障害のない社会」を実現していきたいと考えています。2019年3月26日(火)には、「子育てフェスタ」も開催。専門家による講演やワークショップのほか、発達が気になるお子さんの生活に役立つ商品やサービスに取り組む企業の皆さまのブースなども予定しています。仕事体験テーマパーク「カンドゥー」の体験プログラムも「子育てフェスタ」に出張予定です!発達の気になるお子さんたちにも分かりやすく参加しやすい体験プログラムを特別にご用意いただくことになりました。ぜひご来場ください!撮影/近藤 誠、鈴木江美子
2019年01月28日広がる発達障害への認知、より求められる個別のサポート出典 : テレビや新聞などで取り上げられる機会もグッと増え、世の中全体の、「発達障害」に対する認知はずいぶんと高まったように思います。社会全体の認知が広がる一方、発達が気になるお子さんのいるご家庭からは、自分たちの具体的な悩みや困りごとに対して、「じゃあどうすれば良いのか?」というお声も数多くいただきます。ここ数年で開設数も激増した放課後等デイサービスや児童発達支援。「支援の質や、自分の子どもに合う合わないはどうやって見極めれば良いの?」学校や地域でともに過ごす人たちとのコミュニケーション。「自分の子どものことを、どのように説明すれば良いの?」学年が上がるにつれて考えざるを得ない、子どもの将来のこと。「進学や就職の選択肢は?子どもの自立に向けた見通しがほしい」みんなでつくる発達障害ポータルサイトとして2016年1月26日にスタートしたLITALICO発達ナビ。3年目となったこの1年間は、そういった保護者の方々の個別具体的なニーズに応え、発達が気になるお子さんやご家族の育ちを支えるための社会全体の環境を整える挑戦でした。子どもの育ちを支える、全国の発達支援施設のネットワークをつくる全国約18,000の児童発達支援・放課後等デイサービスの情報を検索・問い合わせできる「施設情報」コーナーでは、1600以上の施設がLITALICO発達ナビのパートナー施設として、支援のコンセプトやプログラムの内容について、詳しい情報を発信してくださっています。Upload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)新たにスタートした「施設ブログ」コーナーでは、それぞれの施設の「日常」の様子を、より詳しく覗いていただくことができるようになりました。また、編集部による「施設インタビュー」特集では、素晴らしい支援を行っている全国のさまざまな施設を取材しました。放課後等デイサービスと就労移行支援を併設することで、ワンストップで子どもの自立をサポートしている施設。地域や学校との連携に力を入れ、地域に関わる人みんなで子どもを見守り支えるネットワークをつくっている施設。それぞれにさまざな特色やこだわりがあり、同じ児童発達支援や放課後等デイサービスという制度の中でも、さまざまな可能性があるのだということを教えていただきました。※全てのインタビュー記事はこちらのコーナーからご覧になれます。施設インタビュー保護者の方々の施設探しのサポートだけでなく、支援施設を運営する方々や、施設で働く方々を支えるサービスもスタートしました。日々忙しく働いているなか、なかなか人材採用や教材開発に時間をつくることができない…もっと良い人材を集めて、プログラムを充実させて子どもたちにより良い支援を提供したいのに、今の状況ではなかなか難しい…施設を運営する方々からはそんなお声もお聞きしてきました。支援の現場の困りごとに対し、LITALICO発達ナビがサポートすることで、より良い人材が集まり、働く人たちが成長し続けられる環境を一緒につくっていきたい。そんな思いから、施設運営者やスタッフの方々向けに、求人検索サービスと研修・教材サービスも提供しています。・支援施設を運営する方々と、児童福祉現場で働きたいと思っている求職者との出会いをつくる「求人検索サービス」・施設で働くスタッフが日常のプログラムで使用できる教材や、支援に必要な視点やノウハウを得る「研修・教材サービス」プレスリリース: 「LITALICO発達ナビ」の福祉施設向け業務支援サービスに新機能 業界全体の支援力向上へ、「研修・教材サービス」を提供開始全国各地の児童発達支援・放課後等デイサービスへのサポートを通しても、子どもたちの育ちに貢献していきたいと思っています。「子どものために何かをしたい」保護者の声を社会に届けていくために「子どものために、今、自分に何ができるか知りたいんです」発達ナビを利用される保護者の方々からは、子どものために何か自分でアクションを起こしたいというお声も多くいただきました。「ペアレントメンター」として、自分と同じように子育てに悩む保護者の方々をサポートする活動を始められた方、自分の子どもだけでなく、後に続く親子のためにと、学校の先生との対話に臨まれた方、連載ライターさんのコラムの中でもさまざまなエピソードを寄せていただきました。きっと全国にいる発達ナビ会員の皆さんの中にも、それぞれの地域で、学校で、「自分にできることを」とアクションを起こされている方も多くおられるのだと思います。そうした保護者の方々の声や経験を、社会全体へと繋げていくべく、発達ナビではさまざまな企業の方々とのコラボも実施しています。昨年は、発達が気になる子どもと家族のために、企業に何ができるのかを考えるワークショップを定期開催。参加者の中には、自身も発達ナビ会員であり、子どもに発達障害がある、と話される方も少なくありませんでした。お子さんや保護者の声を生かし、発達が気になる子どもをサポートする新しい商品やサービスを開発したり、イベントやツアーを企画したり、さまざまな取り組みが生まれてきています。学習やコミュニケーション、食事や健康、お出かけや旅行など、生活場面全体を見据えて、サポートを広げていければと思います。一人ひとり違う子どもの発達。それぞれのご家庭にピッタリのサービスを目指してUpload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)4年目を迎えるLITALICO発達ナビ。目指すのは、一人ひとりの会員さんにとって、「わたし」にピッタリだと思えるサービス。お子さんの発達の仕方にも一人ひとりの個性があり、それぞれのご家庭、地域環境もさまざまだからこそ、どんな境遇・どんなお悩みに方が発達ナビを訪れても、「今、できること」が見つかるように。また、長く使えば使うほど、そのご家族の歩みが蓄積され、振り返ることができるように。次の一年でも、新たなサービス開発や機能の改善に取り組んでいきたいと思います。近日、発達ナビ会員の方々に向けた、年に一度のユーザーアンケート・ユーザーインタビューも実施予定です。ぜひこの機会にみなさんのお声をお寄せください。3月26日には、春休みのイベント企画「LITALICO発達ナビ子育てフェスタ2019」も開催決定。ぜひお越しくださいね。4年目のLITALICO発達ナビも、どうぞよろしくお願いいたします。
2019年01月25日発達が気になる子どもにかかわる仕事って?必要な資格や仕事内容、働く人の本音まで知ることができる!2019年1月27日(日)に、発達が気になる子どもにかかわる仕事について「資格要件・仕事内容などの基礎を学べる」「保育士から発達支援にキャリアチェンジした人の本音トークが聞ける」「大手法人と、仕事内容やキャリアに関してフランクに話せる」という、魅力たっぷりのイベント「LITALICO発達ナビしごとフェスタ」を開催します。出典 : イベントでは、関東近郊で児童福祉の事業所を運営する大手法人が個別ブースを出展。気になる法人と仕事内容・働き方・キャリアに関してフランクに話をすることができます。同時に「業界に関する知識がなくて不安」「未経験でも大丈夫?」という声にこたえ、児童福祉分野で働くうえでの基礎知識がわかる「児童福祉の仕事まるわかりセミナー」や、「保育の現場から児童発達支援へ転職した方のトークセッション」といった、どんな方にもきっと役立つプログラムも実施!会場には児童福祉分野に詳しいキャリアアドバイザーによる無料相談コーナーを設けるほか、児童福祉業界での働き方に関心がある方と気軽につながることができる交流会も開催します。現在児童福祉業界(児童発達支援・放課後等デイサービス)で働いている方、保育や教育・福祉の経験を発達支援に活かしてみたい方、児童福祉業界での働き方を知りたい方はぜひこの機会に、話を聞いたり、相談してみたりしてはいかがでしょうか。参加希望の方は、以下の概要を確認のうえ、申し込みフォームからお申し込みください。「LITALICO発達ナビしごとフェスタ」開催概要【日程】1月27日(日)13:00~18:00(開場12:45)※途中参加・途中退場可【会場】fabbit Global Gateway “Otemachi”東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル2階(東京駅・大手町駅直結)明るくお洒落なスペースを貸し切っての開催となります!【参加費】無料参加者全員にQUOカード1000円プレゼント!「LITALICO発達ナビしごとフェスタ」の見どころ紹介発達が気になる子どもの支援事業(児童発達支援・放課後等デイサービス)を運営する大手法人が、支援の特徴や、仕事内容、職場環境等について、説明いたします。アットホームな雰囲気の中、法人の担当者の方とフランクに話すことができます。参加法人(一部抜粋)・有限会社エスエヌ企画(ライズ児童デイサービス)・アース・キッズ株式会社(スタジオそら)・株式会社SKY(みなそら園)・ハッピーテラス株式会社・株式会社LITALICO(LITALICOジュニア)ほかみなさまの知りたいことに合わせた約30分のセミナーを開催いたします。【1】福祉の仕事まるわかりセミナー(13:00~13:30)児童福祉業界について、知識・経験がない方もご安心ください。・発達が気になる子の支援の仕事とは・「児童発達支援」「放課後等デイサービス」とは・指導員のなり方など、わかりやすく解説します。【2】保育の経験を活かして発達支援へ(14:00~14:30)元保育士で、児童福祉業界に転職した方をゲストに迎え、転職理由や、転職前後のギャップ、転職してよかったことなどを話していただきます。「保育・教育の資格や経験を発達支援に活かしたいが、実際のイメージがわかない」「発達障害の子どもへの支援ができるか不安」そんな方必見のトークセッションです。※各回定員30名(先着順)となります。※内容は変更になる可能性がございます。福祉の仕事全般に関する疑問点、転職の不安・悩み等、ぜひ何でもご相談ください。「私でも発達支援の仕事ってできるのかな?」「これまでの経験を活かしてキャリアアップしたいけどどうしたらいいかわからない」そんなあなたの悩み・不安・疑問をスタッフが一緒に解消します。軽食をとりながら、参加事業所の職員の方々とざっくばらんに話したり、他の参加者の皆さまと情報交換したりできます!事業所ブースをまわる中で特に気になった事業所の職員の方に、発達支援の仕事のリアルを聞いてみたり、児童福祉分野に興味のある参加者同士で情報交換してみてはいかがでしょうか。【同時開催】障害のある方の「働く」を支援する仕事についても知ることができる!Upload By 支援のひろば本イベントでは、お子さまへの支援だけでなく、”障害のある方の「働く」を支援する仕事”についても知ることができます。関東近郊で就労支援の課題解決に取り組む大手法人から、具体的な取り組みや働き方について詳しく聞けるブースの設置や、大手企業(GREE(グリー)株式会社)の障害者雇用担当者による「就労支援」の現状や期待を本音で語るトークセッションなども、同じ会場で実施予定。障害がある大人を支援する仕事について興味がある方も、ぜひご参加ください。※障害のある方の「働く」を支援する仕事に関して、どんなことがわかるの?という方は以下ページをご覧ください。以下ページからもイベントのお申し込みが可能です。障害のある方の「働く」を支援する仕事について、LITALICOしごとフェスタでわかること「LITALICO発達ナビしごとフェスタ」は、発達が気になるお子さまへの支援にかかわる仕事はもちろん、障害がある方の「働く」を支援する仕事についても知ることができるイベントです。ぜひご来場ください!【本イベントに関する問い合わせ先】LITALICOキャリア事務局(児童福祉・障害福祉分野に特化した就職支援サービス)info_event@litalico-c.jp
2019年01月10日子どもがいるとどうしても気になるのが、習い事の問題。小学校の勉強や部活ではできない体験をさせられますし、就学前にスポーツやアートに親しむことで、子どもの発達によい影響を与えたいと望む親御さんは多いことでしょう。とはいえ、「習い事なら何でもいい」と考えている人は、そういないのでは?最近は「東大生の多くが子どもの頃にやっていた習い事」が注目を浴びるなど、「脳の活性化」という観点で習い事を検討する保護者もいます。それに、「ほかの家庭ではどんな習い事をさせているんだろう?」と気になったり、勉強との兼ね合いも悩みどころです。そこで今回は、ちまたで人気の習い事と、習い事を選ぶ際のポイント、「StudyHacker こどもまなび☆ラボ」編集部オススメの習い事をご紹介します。お子さんの習い事を決める参考になれば幸いです。子どもの習い事人気ランキングベネッセ教育総合研究所は2017年3月、「3~18歳(高校3年生)の子どもを持つ母親」16,170名を対象に「第3回 学校外教育活動に関する調査」を行いました。その結果によると、就学前の子どもの多くがやっている習い事などの活動トップ10は以下のとおり。なお文字をクリックすると、「StudyHacker こどもまなび☆ラボ」の関連記事をお読みいただけます。幼児に人気の習い事などの活動ベスト10第1位 スイミング(23.0%)第2位 体操教室・運動遊び(15.5%)第3位 英会話・英語教室(10.5%)第4位 楽器の練習・レッスン(9.6%)第5位 音遊び/リズム遊び(音楽教室)(8.2%)第6位 リトミック(5.9%)第7位 サッカー/フットサル(4.5%)第8位 ダンス(3.3%)第9位 計算や漢字などのプリント教材教室(2.9%)第10位絵画/造形(2.5%)水泳が習い事として人気なのは有名ですが、小学校に上がる前の子でも5人に1人が習っているというのは驚きですね。スイミングが心身に与えるよい効果に期待を寄せる保護者が多いのかもしれません。英会話やプリントによる勉強をすでに始めている子が一定数いるというのも注目ポイントです。次に、小学生の習い事について見てみましょう。広告代理店の博報堂が2016年3月、「小学生の長子がいる母親」1,428名を対象に実施した「『子どもの習い事・身につけさせたいスキル』レポート」によると、多くの小学生がやっている習い事は以下のとおり。小学生に人気の習い事ベスト10第1位 水泳教室(31.1%)第2位 通信教育、宅配教材(29.3%)第3位 ピアノ、音楽教室(25.6%)第4位 そろばんなどの自習型学習塾(22.8%)第5位 野球やサッカー等の運動クラブ(20.9%)第6位 英語教室(20.4%)第7位 その他(13.7%)第8位 受験対策用の学習塾、教室(10.2%)第9位 水泳、ダンス以外の体育教室(9.5%)第10位ダンスなどのパフォーマンス教室(バレエ含む)(7.7%)水泳は相変わらず、圧倒的な人気です。そして、4人に1人が通信教育で勉強したり、音楽教室に通ったりしています。体や知能が発達したためか、就学前と比べて習い事にチャレンジする子が多いようです。習い事を選ぶポイントどの習い事が人気かは大体わかりましたが、こんなにも選択肢があると迷ってしまいますね。習い事を選ぶ際、どのような点を考慮して決めればよいのでしょう?ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントと読売新聞が2006年、3歳〜中学生の子どもを持つ1,026名を対象に実施した「子どもの習い事に関する調査」によると、保護者たちは以下のような理由で習い事(学習塾含む)をさせているようです。習い事をさせる理由ランキング第1位体力や運動能力の向上(46%)第2位子どもが自分で行きたいと言ったから(45%)第3位音楽や美術、書道など文化的な能力の向上(30%)第4位受験を目的としない学力向上(29%)第5位受験対策(15%)子どもの意欲を重視しつつ、やはり「子どもの能力を伸ばしてあげたい」と考えて習い事をさせる親が多いのですね。ひととおりの運動や文化的活動は幼稚園や学校でもできますが、その時間はごくわずか。体育がずっと苦手だったという人や、音楽の授業をまじめに受けても楽譜が読めるようにならなかったという経験を持つ大人は多いはず。学校以外で何か特別な活動に取り組ませ、得意分野を作ってあげたいと思いますよね。さて、多様な習い事のなかから「これをやらせよう!」と決めたとしても、考慮すべきことはまだあります。世のなか、特に都市部にはあまたのスイミングスクールやピアノ教室が展開しているからです。どの施設・団体で習わせればよいのでしょう?ベネッセ教育総合研究所が2009年3月、「3歳~17歳(高校2年生)の子どもを持つ母親」15,450名を対象に実施した「第1回 学校外教育活動に関する調査」の結果によると、親たちは以下のことを重視しているそうです。習い事選びで重視することランキング第1位子どもが楽しんでいる(94.3%)第2位費用が安い(61.2%)第3位家から近い(57.3%)第4位指導者が信頼できる(53.8%)第5位子どものレベルに合っている(49.2%)やはり、子どもが楽しんで活動できることがいちばんのようですね。また、第2位~第5位の要素は、習い事の続けやすさに関わっています。これらの要素がひとつでも欠けると、習い事を続けるのが物理的に難しくなったり、子どもの意欲が低下したりしかねません。検討している施設・団体が上記の要件を満たしているか確かめるため、いくつか体験授業を受けて比較してみるのがよいのではないでしょうか。習い事を選ぶ際に考慮するポイントは、人によって異なります。「StudyHacker こどもまなび☆ラボ」編集部が重視しているのは「脳の発達」という観点。子どもが小さいうちにさまざまな体験をさせると、脳の神経が刺激され、よりよく発達すると考えられています。脳の発達が大いに期待できる、オススメの習い事を3つ、ご紹介しましょう。おすすめの習い事1:そろばん日本人にとって定番の習い事、そろばん。地域にいくつか教室があるのではないでしょうか?そろばんは、右脳を刺激してくれる習い事として知られています。ふつう、私たちが計算をするときには論理的思考をつかさどる左脳を主に使いますが、NPO法人・国際総合研究機構の副理事長であり脳科学を専門とする河野貴美子氏によると、そろばんの有段者は暗算をする際、右脳を用いているのだとか。彼らの頭のなかではそろばんの珠(たま)が動いているので、イメージをつかさどる右脳が活発になっているそうです。右脳を活発にすると、記憶力や直感が磨かれると考えられています。ほかにも、そろばんには以下のようなメリットがあります。詳しくは「子どもにそろばんを習わせる5つのメリット。リーズナブルだけど脳への効果は抜群!」をご覧ください。●自信が養われる●集中力がつく●費用が安め●資格が取れるおすすめの習い事2:ピアノみんなが憧れる習い事・ピアノ。東大生の多くが習っていることでも知られるようになりましたね。一般社団法人・日本子ども音楽教育協会の理事長である滝澤香織氏によると、ピアノの演奏は右手と左手を同時に使うため、右脳と左脳の両方が活性化されるそう。これによって、右脳と左脳のあいだにある神経の束「脳梁」が太くなり、右脳・左脳間の伝達がスムーズになるそうです。また、精神医学を専門とするジェームズ・ハジアク教授(米バーモント大学)らの研究により、楽器を練習した子どもほど、集中力をつかさどる脳の部位が発達していることが明らかになりました。ピアノをはじめとした楽器を演奏するには、指先を精密に動かし、リズムを正確に刻み、楽譜を素早く読めなければいけません。多くのことを一度にこなさなければならないため、集中力がつきやすいのかもしれませんね。ピアノには以下のように、ほかにも多くのメリットがあります。詳しくは「ピアノは何歳から始めるべき?脳科学から徹底的に考えてみた。」をご覧ください。●音感が養える●外国語が得意になる●自己制御や問題解決能力など「人間指数(HQ)」が養えるおすすめの習い事3:スイミング子どもの習い事として人気ナンバーワンなのがスイミングです。最近は、ピアノと並んで多くの東大生が経験した習い事としても有名ですね。スイミングは体だけでなく、脳も鍛えると考えられています。特に育つとされているのが「空間認識能力」。方向や位置関係を正しく理解し、目の前にないものを頭のなかで再現できる力です。この能力が高いと、自動車を運転しやすくなったり、スポーツで活躍しやすくなったり、設計関連の仕事に就きやすくなったりします。心理学者のデイビッド・ルビンスキー氏によると、空間認識能力は「人間のなかで眠っている潜在能力のうち、最大の部分かもしれない」とのこと。創造力やイノベーションとも関係しているそうなので、スイミングを通して子どもの秘めた能力が開花するかもしれませんね。ほかにも、スイミングには以下のようなメリットがあります。詳しくは「東大生の幼少期の習い事の第1位は『スイミング』!そのメリットとは?」をご覧ください。●集中力がつく●風邪をひきにくくなる●全身の筋肉を鍛えられる●ケガをしにくい「子どもの習い事をやめさせたい」と思ったら子どもがやりたがったし、将来のためになれば……と思って始めた習い事。しかし、さまざまな事情により、「そろそろやめ時かな」と感じることがあるかもしれません。習い事をやめさせたいと思うのには、以下のような場合が該当するでしょう。-子どもの意欲がなくなり、練習しなくなった。-習い事よりも勉強に注力させたい。-月謝を払いつづけるのが厳しい。「子どもの意欲がなくなった(ように見える)」場合最初は楽しそうだったのに、今ではいやいや通っているみたい……。子どもがこんな様子だったら、まずは「最近、習い事はどう?」「今はどんなことをやっているの?」と話を聞いてみましょう。そしてもし、「先生が好きじゃない」「同じクラスに嫌な子がいる」のように環境に不満を持っていることがわかったら、別の教室を検討するか、大きなスクールであれば曜日・時間を変更してクラスを替えてみては。また、「今やっていることが難しすぎて、ついていけない」のであれば、先生と相談してみましょう。環境に不満があるわけではなく、「もう充分にやった」「ほかのことに時間を使いたい」と思っているのかもしれません。今の習い事について「次の目標はある?」「どれくらいまで上達したい?」と聞いてみて、あまりポジティブな答えが返ってこないのであれば、やめてしまってよいでしょう。「やめる」といってもけしてネガティブなことではなく、ひとつのことを終えて、次のことに挑戦するというだけの話です。友だちと遊んだり、別の趣味に熱中したりする時間が生まれて、それもまた素晴らしい経験となるでしょう。一方、楽器のように自宅での練習が求められるにもかかわらず、練習の意欲を失っている場合は、少し難しいです。練習したがらない理由が「その習い事に飽きた」というものであれば、やめてしまってもよいでしょう。しかし、習い事自体は好きなのに、地道な練習を面倒に感じてしまう時期はあるもの。練習しないからといってすぐにやめさせてしまうのは早計かもしれません。子どもを信じてしばらく様子をうかがってみましょう。その際、たとえば楽器の習い事なら「久しぶりに○○ちゃんの演奏聞きたいな」と促して、演奏が終わったら褒めたり、親子でコンサートに行ったりなどのアプローチをとってみてはいかがですか。「もっとうまくなりたい」と願う気持ちがよみがえるかもしれません。習い事より勉強を優先してほしい習い事をやめて、その分の時間を勉強に使ってほしい……。そう考える保護者は少なくないようです。上述したベネッセの「第3回 学校外教育活動に関する調査」によれば、「運動やスポーツをするよりももっと勉強してほしい」と考えている小学生の親は37.5%、「音楽や芸術の活動をするよりももっと勉強してほしい」だと45.2%でした。この割合は調査のたびに増えています。けれど、机での勉強では得られない経験ができるのが習い事ですから、できればやめさせたくないものです。「家でも学校でも全く勉強をせず、通知表の数字がひどい」といった極端な状況でなければ、習い事はぜひ続けるべきだといえます。子どもがなかなか勉強をせずに悩んでいる場合、「子供が勉強しないときの対策。イライラはNG、親子で勉強計画を立てよう!」を参考にしてみてください。子どもが勉強しないときに役立つ6つのアドバイスを掲載しています。金銭的に厳しい……最初の頃はなんとかなったけれど、今は習い事の費用を払うのが家計的に厳しい場合。弟・妹が生まれた、子どもの習い事が増えたなどの背景があるかと思います。子どもが続けたそうにしているのに、お金の都合でやめさせなければいけないのは辛いですよね。まずはできるだけ、習い事を続けられる方法を模索してみましょう。子どもが複数の習い事をしている場合、率直に家計の事情を伝え、最も続けたい習い事を1つに絞ってもらいます。「あれも、これもやりたい」と子どもは思うでしょうが、複数の物事を比較して決定するよい機会です。金銭教育だと思うことにしましょう。子どもの金銭感覚を養う方法については「『お金教育』は幼少期から。お金の大切さを知るための、最初の4ステップ」をご覧ください。習い事が1つでも、まだ厳しいという場合、今よりも安価に習える教室・団体を探してみるという手もあります。上に挙げた「第3回 学校外教育活動に関する調査」によると、小学生のスポーツ系の習い事に関して、「民間経営」の団体で習っている場合の平均費用は月に6,000円台でしたが、「地域ボランティア運営」だと2,000~3,000円台、「自治体・公益法人運営」だと3,000~4,000円台でした。習い事の教室を開いている団体の見つけやすさは地域によって異なりますが、諦めずにできるだけ安い運営母体を探してみましょう。***子どもの習い事について、悩みは尽きないかもしれません。「StudyHacker こどもまなび☆ラボ」は今後とも、習い事に関する知見を発信してまいります。(参考)ベネッセ教育総合研究所|第1回 学校外教育活動に関する調査 2009ベネッセ教育総合研究所|第3回 学校外教育活動に関する調査 2017(データブック)博報堂|【博報堂こそだて家族研究所】「子どもの習い事・身につけさせたいスキル」レポートNTTコム リサーチ|子どもの習い事に関する調査StudyHacker こどもまなび☆ラボ|子どもにそろばんを習わせる5つのメリット。リーズナブルだけど脳への効果は抜群!StudyHacker こどもまなび☆ラボ|ピアノは何歳から始めるべき?脳科学から徹底的に考えてみた。StudyHacker こどもまなび☆ラボ|東大生の幼少期の習い事の第1位は「スイミング」!そのメリットとは?StudyHacker こどもまなび☆ラボ|空間認識能力を鍛える楽しい方法。ゲームとおもちゃが意外と使える!
2019年01月04日あけましておめでとうございます!Upload By 発達ナビ編集部LITALICO発達ナビユーザーの皆さまあけましておめでとうございます!発達ナビは、2019年も発達障害に関するさまざまな記事をお届けしていきます。どうぞよろしくお願いいたします。また、ユーザーの皆さまにもっと手軽に、最新の情報を受け取っていただけるよう、SNSアカウントでの情報発信も行っています。そこで、各SNSとその特徴をご紹介します。2019年は、ぜひSNSもご活用いただけたらと願っています!Facebook・Twitter新着コラムのお知らせや、今まで公開させていただいてきたコラムからピックアップしたものを、毎日配信しています。最新の子育てエッセイや、発達障害にまつわる障害や支援にまつわるイベント情報などをいち早くお知らせするほか、発達障害にまつわる専門的な内容をわかりやすくお伝えする「発達障害のキホン」シリーズのコラムなどをご紹介しています。りたりこ)発達ナビFacebookりたりこ)発達ナビTwitterInstagram2018年11月から本格スタートしたInstagram。新着コラム情報に加え、コラム記事制作の裏側や取材の様子など、ここでしか見られない情報もお届けしていく予定です。発達ナビInstagramLINE@友達追加をしていただけると、新着コラム情報をお届けするほか、位置情報や市町村名から、発達が気になるお子さまが利用できる発達支援施設などを検索することも可能です。発達ナビLINE@Pinterest子育てでの困りごとへの対応方法を、わかりやすいイラストで解説する「親子のヒント」や、子育てにまつわるコラム・エッセイまで掲載しています。発達ナビPinterest
2019年01月01日発達障害と個性はどう違う?私はこれまで、発達障害の当事者やそのご家族の方たちから、こんな質問をよく受けてきました。「発達障害と個性」「自閉スペクトラム症とオタク」「注意欠如・多動症とうっかり屋」…これらはどう違うの?と。私はその違いについて、詳しくは『発達障害生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』という本にまとめました。まずは、簡単に発達障害の特性について説明しましょう。発達障害には、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症、学習障害などの種類があります。自閉スペクトラム症には「対人関係が苦手」で「こだわりが強い」という特徴があります。そういう特徴を講演会などで説明すると、話を聞いた方のなかには、「私のまわりにそういう人がいます。こだわりがとても強い人ですが、その人のこだわりは障害というより、個性だと思います。発達障害と個性はどう違うんでしょうか?」と質問をくださったりします。ときにはもっと具体的に「自閉スペクトラム症の人は、個性的な人、たとえばオタクとは、どう違うんですか?」と聞かれることがあります。また、注意欠如・多動症には「不注意」と「多動性・衝動性」の特性があります。「不注意」は「気が散りやすい」に、「不注意」は「うっかり屋」に言い換えができそうです。発達障害は、個性とどう違うのでしょうか?次から、その違いについてご説明していきましょう。Upload By 本田秀夫発達障害と「オタク」の違いって?出典 : ここでは、ゴルフ好きな男性を例に解説しましょう。彼は休日になると、同僚や取引先の人たちとゴルフの練習やコースに出かけて、楽しんでいます。テレビのゴルフ中継やゴルフ雑誌、ゴルフ関係のインターネットを見るのも好きです。ゴルフ好きな友人と食事やお酒を共にして、熱い「ゴルフ」談義をすることも増えてきました。最近では周囲に「ゴルフ好き」として知られ、「接待ゴルフ」にも呼ばれるようになりました。熟練の腕前で、相手に合わせてレベルを調節することも、お手のものです。この方は「ゴルフオタク」と呼んでもけっして間違いではないでしょう。しかし、自閉スペクトラム症の特徴が見られるかというと、それは見られなさそうです。確かにゴルフにある種の「こだわり」を持っているようですが、この方はゴルフ仲間と良好な関係を築いています。「対人関係が苦手」な様子は見られません。じつはこの方のように、ある種のこだわりをもっていても、それを対人関係のなかで柔軟に調整できる場合には、むしろ「対人関係が良好」だったりします。この「対人関係」に着目すると、自閉スペクトラム症の人と「個性的な人」(いわゆる「オタク」)との微妙な違いが浮きぼりになっていきます。自閉スペクトラム症の人は、こだわりと対人関係を天秤にかけたとき、こだわりを優先する傾向があります。対人関係のために、大好きなことの優先順位を下げることには抵抗があるのです。そのため、「対人関係が苦手」で「こだわりが強い」という様子が見られるわけです。しかし、先ほど「微妙な違い」と表現したように、とても微妙な話です。発達障害の特性と個性の間に、境界線はない対人関係やこだわりの調整は「できる」「できない」の2つにはっきりと分けられるものではなく、あいまいなものです。調整できることが多ければ「個性的な人」や「オタク」に近く、調整の難しいことが多ければ自閉スペクトラム症の特徴に近いというふうに考えるのが自然かもしれません。発達障害と個性、自閉スペクトラム症とオタクには、明確な違いはないといってもよさそうです。私は、「個性」や「オタク」、発達障害は地続きのもので、そこには境界線はないと考えています。発達障害の特性がある人の交流スタイル出典 : 私はNPO法人などで、幼児から成人まで、発達障害の方たちの余暇活動を支援しています。そこに集う方たちの活動には、一般的な交流とは違った様子がみられることがあります。たとえば、アニメが好きな人たちの集いでは、みんなで集まってアニメをみたりアニメの話をしたりして、時間になったらそれぞれに帰っていきます。趣味についてはよくしゃべりますが、趣味以外の話や交流は別にしなくてもよいというつき合い方をしているのです。同じアニメを好きな人どうしが、アニメ映画をいっしょに見にいくということはあります。でも、そういう人たちが「今度いっしょにお茶でもしようよ」と誘いあう姿は、あまり見たことがありません。発達障害(とくに自閉スペクトラム症)の特性がある人たちの社交の仕方は、そういうスタイル――微妙な対人関係よりも自分の関心、やり方、ペースの維持を最優先させたいスタイルだとしかいいようがありません。あるとき、自閉スペクトラム症の人から「親友がいる」と言われたことがあります。親友どうしはいっしょに映画を見にいくのですが、映画館までの道すがらは無言だそうです。別におしゃべりをしていなくても仲間なのだから、それでいいのだそうです。一般の人は、映画を誰かといっしょに見にいったとき、相手がまったくしゃべらなかったら、親近感がないように受けとり、相手とよい関係が築けていないと不安になるかもしれません。でも、自閉スペクトラム症の特性がある人は、そのような不安をもたずに仲間と交流しています。そしてこれは,どちらがよいか悪いかという話ではなく、それぞれにスタイルがあるということなのです。もうひとつ、余暇活動のなかで「黒ひげ危機一発」で遊んだときのエピソードを紹介しましょう。「黒ひげ危機一発」というと、一般には「誰が刺したときに、黒ひげが飛び出すだろうか?」というスリルを共有して楽しむゲームです。この「黒ひげ危機一発」を使って、自閉スペクトラム症の子どもたちが、ユニークな遊び方をしていたことがあります。ひとりずつ順番に剣を刺すのではなく、ひとりが剣を刺し続け、人形が飛び出したら次の子に渡すという遊び方です。その子たちが興味をもったのはゲームのしくみであり、ほかの子とスリルを共有することは、二の次だったのでしょう。一般の人からすると、ひとりだけが剣を刺し、まわりではそれぞれ好きなことをしている光景は、楽しそうにみえないかもしれません。でも、子どもたちは「みんなで『黒ひげ危機一発』ゲームをして楽しかった!」と語り合っていました。では、「黒ひげ危機一発」の独特な遊び方をしているときに、ひとりだけ、「ふつうのやり方で遊ぼうよ!」と提案する子がいたとしたら、どうでしょう?そのひとりは、居心地が悪かったかもしれません。通常とは違う遊び方で「黒ひげ危機一発」ゲームを楽しんだからといって、別に「通常のやり方を楽しむ能力の欠損」とはいえません。ましては、能力が劣っているわけでもありません。もしも、楽しみ方に優劣があると考える人がいるとすれば、それは多数派のおごりでしょう。自閉スペクトラム症の人たちの楽しみ方は、ただ少数派というだけです。発達障害の特性を「選好性」としてとらえる少し専門的な話になりますが、私は発達障害の特性を「〜が苦手」という機能の欠損として考えるよりも、「〜よりも〜を優先する」という「選好性の偏り」として考えたほうが、自然なのではないかと思っています。ここでいう「選好性」とは、Aというものではなく、Bというものを選ぼうとする生来の志向性のようなもの。好き嫌いの「嗜好性」ではなく、心が特定の方向に向かうという「志向性」です。たとえば「雑談が苦手」という特性を「雑談よりも内容重視の会話をしたがる」という選好性としてとらえることができます。ほかにも、「対人関係が苦手」という特性を「対人関係よりもこだわりを優先する」、また、注意欠如・多動症の特性を「じっとしていることが苦手だが、それは思い立ったらすぐに行動に移せるという長所でもある」といったとらえ方ができます。発達障害は、少数派の「種族」私は、発達障害の人が向き合う困難は、マイノリティ問題と共通していると考えています。人種や民族、性的志向などの少数派(マイノリティ)といわれる人たちは、偏見や差別の目にさらされることがあります。では、なぜ偏見や差別が生じるのかというと、マイノリティの人たちがマジョリティ(多数派)を知るほどには、マジョリティはマイノリティのことを知らないという現実があるからです。発達障害は、病気というよりも、少数派の「種族」のようなものと考えるべきです。多数派が少数派のことを理解して、お互いに助け合っていくことによって、偏見や差別が少しでも減らせるのではないかと思います。そうすれば、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症の特性があっても「障害」とは言わなくてよい人たちが、今よりも増えていくのではないでしょうか。このコラムによって、少しでも多くの方たちが、発達障害に関心を持ち、理解を示すことにつながれば幸いです。
2018年12月26日障害がある子どもと家族のもっと便利な暮らしのために!フェリシモの「Cheerful Smile」の取り組み通販会社フェリシモは、2003年から全国の福祉事業所と障害のある人たちの個性と能力を生かすものづくり「CCP(チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクト)」を続けています。2017年からは「Cheerful Smile(チアフルスマイル)」を立ちあげ、障害のある子どもの保護者の声を生かして「お出かけ便利グッズ」のシリーズの開発が始まりました。お出かけの困りごとを解決して「ポジティブに外に出よう!」というコンセプトの、生活応援グッズです。障害のある子どもの保護者アンケートや座談会で寄せられた「お出かけ時の困った」声をもとに、2018年4月には、手帳を保護して提示もスマートな「障がい者手帳ケース」、改札や玄関でもたつかない「パス&キーケース」、これひとつで急な通院もOK!「2WAY ホスピタルバッグ」の3アイテムを開発、発売しました。フェリシモ×LITALICO発達ナビ ユーザーの声を生かしたコラボ企画を始動そしてこのたび、フェリシモ「Cheerful Smile(チアフルスマイル)」は第2弾の取り組みとして、LITALICO発達ナビとコラボして商品開発を行うことに!2019年夏に向けて、発達ナビとともに、ユーザーのみなさんの声を生かしたグッズをつくります。発達ナビユーザーの”お出かけの困りごと”を踏まえて、発達が気になるお子さまとそのご家族の「困った」を解決するグッズを企画・開発していきます。【アンケートにご協力ください】お出かけで困っていることは?そこで今回、アンケートを実施します。発達が気になるお子さまとご家族の毎日を、もっと過ごしやすくラクにしてくれるグッズをつくるために、ぜひ多くの声を寄せていただきたいと願っています。《アンケート内容》は次の4つ(所要時間:約10~15分)※ご自身に関係のある箇所だけお答えいただいても結構です。◇ヘルプマークを使いやすくするアイテムについて◇感覚過敏の困りごと、洋服のチクチクを解決するアイテムについて◇ADHDの困りごと、バッグの中のごちゃごちゃを解決するアイテムについて◇お金の管理が苦手!レジ前のモタモタを解決するアイテムについて【座談会メンバー募集】どんな商品が欲しい?リアルな場で意見を出し合いますさらに、リアルな場で声を寄せてくれるユーザーも募集します!座談会は、兵庫県にあるフェリシモ神戸本社(三宮)で行います。座談会に参加ご希望の方は、フェリシモの会員登録および「モノコトづくりラボ」メンバーに登録のうえ、参加申し込みをしていただきます。座談会では、プランナーやスタッフ、参加者の皆さんで「こんなものがほしかった!」「こんな困りごとがある」などの意見交換をおこないます。座談会や商品企画の様子は、発達ナビのコラムやフェリシモのSNSなどでお伝えしていく予定です!Upload By 発達ナビ編集部開催内容◇座談会開催日:2019年1月17日(木)◇開催時間:11:00~13:00◇場所:フェリシモ本社オフィス(兵庫県神戸市三宮/兵庫県神戸市中央区浪花町59番地)◇交通費:お一人さま往復3,000円までお支払(3,000円以下の方は実費額となります)◇謝礼:参加いただいたお礼に、フェリシモの商品を差し上げる予定です(商品はこちらで選定いたします)募集要項◇応募条件:上記座談会にご応募いただけるのは、次の1~4にすべてあてはまる方です1. 発達が気になるお子さまの保護者2. 今回実施するアンケートにお答えいただいた方3. 発達が気になるお子さまとご家族の「困った」を解決するグッズを一緒につくりたい方4. 「モノコトづくりラボメンバー」に登録されている方(未登録の方はアンケート回答前にご登録ください)◇募集人数:約10名※友人・知人と一緒にご参加を希望される方はそれぞれお申し込みください。申し込み時にその旨をお伝えいただくと、参加選考の際に配慮いたします。◇申し込み締切:2018年12月25日(月)※クリックすると株式会社フェリシモのページへ遷移します参考:フェリシモモノコトづくりラボ
2018年12月17日「ピアジェの心理学を知れば、子どもの発達がよく分かる!?有名な『4つの発達段階』をまとめてみた」でもお伝えしたように、人間にはいくつかの「発達段階」があると考えられています。心理学者ジャン・ピアジェ (1896~1980)の場合、「感覚運動期」「前操作期」「具体的操作期」「形式的操作期」という4つでした。発達段階の区分や名称は、学者によって異なります。心理学者エリク・H・エリクソン(1902~1994)は、「乳児期」「青年期」「成人期」など8つの発達段階を提唱しました。こちらのほうがなじみ深く、イメージしやすいかもしれませんね。エリクソンによる発達段階論は、教員志望者だけでなく、保育士を目指す人たちにも学ばれています。保育士試験で頻出のためです。保育士志望者はなぜ、エリクソンの理論を学ぶことを求められているのでしょう?それは、子どもならではの特性を理解し、発達段階を意識して接する必要があるから。もちろん、子どもを持つ皆さんにとっても有用な知識です。我が子だけでなく、自分の発達段階も意識することで、人生観が新たになるかもしれません。今回はエリクソンの発達段階論を、できるだけ分かりやすくご説明しましょう。心理学者エリクソンの人物像エリク・H・エリクソンは1902年、デンマーク系ユダヤ人の母親からドイツで生まれました。父親は不明。エリクソンが3歳になると母親は小児科医と結婚し、彼が実の父親だと伝えましたが、エリクソンは信じられなかったそうです。また、エリクソンは実の父親に似たのか金髪に青い目で、母親夫婦とは異なる見た目だったそう。そのためユダヤ教会では「異邦人」、地元の学校では「ユダヤ人」と呼ばれ、アイデンティティーに苦しんでいたようです。この頃の経験が、心理学者としての研究に影響しているのかもしれません。学校を卒業後、エリクソンは画家を目指しましたが、やがて挫折。失意のうちに過ごしていたとき、ウィーンに学校を設立しようとしていた親友に呼び寄せられます。そこでエリクソンは教師として活躍し、周囲の人から才能を認められ、児童分析家となりました。1933年にドイツでヒトラー内閣が成立すると、反ユダヤ主義を恐れてエリクソンは米国に渡ります。そこで彼は次々と成果を挙げ、精神分析家・児童分析家として名声が高まりました。イェール大学の人間関係研究所では文化人類学者たちと交友を深め、精神分析に文化人類学を取り入れることを思いつきます。その成果が、1950年に出版された『Childhood and Society』(『幼年期と社會』全3巻、日本教文社、1954~1956年/『幼児期と社会』全2巻、みすず書房、1977~1980年)に反映されているといえるでしょう。この本は発達心理学の古典的名著として知られています。また、現代で「アイデンティティー」「モラトリアム」という心理学用語が一般的に使われるようになったのも、エリクソンの影響といえるでしょう。エリクソンの「心理社会的発達理論」とはエリクソンが提唱した論は、「心理社会的発達理論(psychosocial development)」と呼ばれています。人間の心理は、周囲の人々との相互作用を通して成長していくという考えです。その特徴は以下のとおり。-人間の発達段階を8つに分けている。-各発達段階に「心理社会的危機(psychosocial crisis)」がある。-人間は心理社会的危機を乗り越えることで、「力(virtue)」を獲得する。「発達課題(development task)」と呼ばれることもある心理社会的危機は、「〇〇対△△」というかたちで表されます。たとえば、18~40歳にあたる「初期成人期(young adult)」の心理社会的危機は「親密対孤立(intimacy vs. isolation)」。この時期、多くの人は、家族以外の他者との長期的で親密な関係を形成しようとします。うまくいけば、「力」として「愛情(love)」を獲得できるでしょう。愛は人生を豊かにします。結婚生活にもかかせないものです。しかし、他者との関りを避けたりコミュニーションを適切にとれなかったりすれば、この発達段階における心理社会的危機を乗り越えられず、孤独に陥る、ということになります。では、心理社会的発達理論における8つの段階を順に見ていきましょう。エリクソンの発達段階1:乳児期「乳児期(infancy)」という発達段階は、およそ0歳~1歳半にあたります。この時期に直面する心理社会的危機は「信頼感対不信感(trust vs. mistrust)」。人間の赤ちゃんは無力で、一人では生きていくことができません。そこで、泣くことで助けを求め、母親をはじめとする周囲の人から世話されることで育ちます。このとき、周囲の人から適切なケアを受けられれば、赤ちゃんのなかで世界に対する信頼感が構築されます。「みんなは自分を助けてくれる」という気持ちです。うまくいけば、「期待(hope)」という力を得ることができます。しかし、泣いても誰かが来てくれるわけでもなく、世話してもらえないとしたら?赤ちゃんは世界に対する不信感を抱き、「誰も自分を助けてくれない」と思うようになります。そのため、赤ちゃんに対し適切なケアが行われないと、その子の人生観に大きな悪影響を与えてしまうと考えられています。エリクソンの発達段階2:幼児前期「幼児前期(early childhood)」は、およそ1歳半~3歳にあたります。直面する心理社会的危機は「自主性対羞恥心(autonomy vs. shame)」。この時期の子どもは、歩いたりしゃべったりするようになります。とても活発な子もいて、親の手を振りほどいて走り出したり、何に対しても「イヤ」と言ったり……などは、よく聞かれる話ですね。子どもは積極的な挑戦や親のしつけを通し、排せつや着替えなど、赤ちゃんの頃は周りの人にやってもらっていたことを、一人でできるようになっていきます。親が子どもに、自分でやってみる機会を与え、適切なタイミングで手伝ってあげれば、子どもは自信をつけて、さらにいろいろやってみようという気持ちになれるでしょう。その結果、「意欲(will)」という力を獲得します。しかし、親が子どもに先回りして何でもしてあげたり、挑戦して失敗した子どもを過度に叱ったりすればどうでしょう?子どもの自主性は育たず、むしろ羞恥心を覚えてしまい、新しい物事に挑戦しようという意欲は生まれづらくなります。エリクソンの発達段階3:遊戯期3~5歳頃は「遊戯期(play age)」。「自発性対罪悪感(initiative vs. guilt)」が心理社会的危機です。保育園や幼稚園で、友だちと活発に遊ぶ時期ですね。世界に対して強い興味を持ち、「どうして○○なの?」という質問を連発したり、ごっこ遊びをしたりします。とにかくエネルギーがあり余っている状態といえるでしょう。このような子どもらしい様子に対し、親がうっとうしがる態度を見せたり、過度に厳しいしつけを施したりすると、子どもは罪悪感を覚えてしまいます。もちろん、公共の場所での適切なふるまいを教えるなど、適度なしつけは大切です。自発性と罪悪感のバランスがうまくとれれば、子どもは心理社会的危機を克服し、「目的意識(purpose)」という力を獲得できます。エリクソンの発達段階4:学童期およそ5~12歳は「学童期(school age)」です。克服するべき心理社会的危機は「勤勉さ対劣等感(industry vs. inferiority)」。小学校に通いはじめ、勉強の楽しさを知る時期です。学期中や夏休みにこなすべき宿題が次々に出されるので、「計画的に課題を仕上げ、提出する」ということを覚えます。それを繰り返すことで自信がつき、自分には「能力(competency)」があるということを理解するのです。しかし、勉強が最初から得意な子どもばかりではありません。数の概念が理解できなかったり、計画的な勉強のやり方がわからなかったりして困っている子もいます。そのような状況に対し、周囲の大人が適切にサポートせず、ただ叱っているだけでは、問題は解決できません。子どもは「自分にはできない」と劣等感を抱き、その影響はのちの人生に暗い影を落とすことでしょう。子どもが劣等感を抱かず、かつ傲慢にもならないよう、適度に褒めたりアドバイスをしたりする必要があります。エリクソンの発達段階5:青年期12~18歳頃は「青年期(adolescence)」です。立ち向かうべき心理社会的危機は「アイデンティティー対アイデンティティーの混乱(identity vs. identity confusion)」。思春期にあたるこの時期は、「自分って何だろう」「将来、どうやって生きていこう」など、自身について特に思い悩むときです。皆さんも「自分は何がやりたいんだろう?」「『自分らしさ』って何?」など、さまざまなことを考えた経験があるのではないでしょうか。「自分はこういう人間だ」とある程度確信できるようになれば、アイデンティティーが確立されたといえ、「忠誠(fidelity)」という力が得られます。自分で選んだ価値観を信じ、それに対して貢献しようとすることです。たとえば、「○○の国民として義務を果たそう」「地球に住む生き物として、自然環境を守らなければ」などと強く思い、行動することが該当します。一方で、アイデンティティーが確立できないと、「自分は何なのだろう」「何のために生きているのだろう」と悩みつづけることになります。共同体のなかに自分の居場所を見つけることが、アイデンティティーの確立につながるでしょう。エリクソンの発達段階6:初期成人期18~40歳頃は「初期成人期(young adult)」と呼ばれています。乗り越えるべき心理社会的危機は「親密対孤立(intimacy vs. isolation)」です。生まれた家庭や学校を離れ、多くの人との関係を築く時期です。恋愛を経て結婚に至る人も多いでしょう。新たな家族や友人との長期的・安定的な関係を通し、「愛情(love)」という力を獲得します。幸福な人生を送ることにつながるでしょう。しかし、他者に積極的に関わることをためらったり、長期的な人間関係を築くことを怠ったりすると、人間は孤独になります。家庭を持つことが難しくなってしまうでしょう。エリクソンの発達段階7:壮年期40~65歳頃は「壮年期(adulthood)」です。克服するべき心理社会的危機は「ジェネラティビティー対停滞(generativity vs. stagnation)」。ジェネラティビティーとはエリクソンによる造語で、「次世代育成能力」などと訳されます。子どもを育てたり、職場の後進を育成したりなど、自身が属する共同体において後の世代に貢献することです。自分の時間やエネルギーを子どもや若者に使うことで生きがいを感じるという人も多いのではないでしょうか。これにより、私たちは「世話(care)」という力を獲得します。一方、共同体に関与せず常に自分のことだけ考えて生きている……このような状況は「停滞」と呼ばれます。この年齢になると、「世界に自分の足跡を残せただろうか」と考える人もいるのではないでしょうか。次の世代に何も残せず「停滞」していると感じると、このあとの「老年期」で辛くなるかもしれません。エリクソンの発達段階8:老年期最後は、およそ65歳以上を指す「老年期(mature age)」です。乗り越えるべき心理社会的危機は「自己統合対絶望(ego integrity vs. despair)」。多くの人が仕事を定年退職し、老後の生き方を模索していることと思います。寿命を前にして、これまでの人生を振り返ることもあるでしょう。それぞれの発達段階において、心理社会的危機を乗り越え、「力」を獲得できたでしょうか。満足のいく人生だったでしょうか。自分の死後に残るものはあるでしょうか?これらの質問に納得がいったならば、最後に「賢さ(wisdom)」を得られるでしょう。しかし、自分の人生に満足がいかず、多くの後悔を抱えていたらどうでしょうか?子どもの頃や青春時代、大人になってから……それぞれの発達段階に対し「こんなはずじゃなかった」という気持ちが強いと、人生をやり直したくなるかもしれません。しかし、時間を巻き戻せるわけはなく、寿命が迫っています。絶望的な気分となり、穏やかに余生を送る、というのは難しそうです。***エリクソンの発達段階論を知ると、子どもへの接し方だけでなく、親である自分の人生にも思いを巡らすことになるのではないでしょうか。読者の皆さんの多くは、6段階目の「初期成人期」にいることと思います。それまでの6つの段階における心理社会的危機をクリアできていたか振り返りつつ、お子さんの心理社会的危機についても考えてみてください。(参考)StudyHackerこどもまなび☆ラボ|ピアジェの心理学を知れば、子どもの発達がよく分かる!?有名な「4つの発達段階」をまとめてみた東京工芸大学学術リポジトリ|教育心理学的視点からエリクソンのライフサイクル論及びアイデンティティ概念を検討するJ-STAGE|E. H.エリクソンの心理社会的発達理論における「世代のサイクル」の視点慶應義塾大学学術情報リポジトリ|エリクソンの発達論に関する一考察 : その基本的視座について京都大学学術情報レポジトリ|E. H. Erikson のアイデンティティ理論と社会理論についての考察東京国際大学|アイデンティティ概念の理論的背景と問題点について―精神分析的観点による再検討のために―Simply Psychology|Erik Erikson’s Stages of Psychosocial DevelopmentPoole, Sarah and John Snarey (2011), “Erikson’s Stages of the Life Cycle”, Encyclopedia of Child Behavior and Development, Vol. 2, pp.599-603.
2018年12月10日「発達障害とは何か」 を考えるスペシャル番組ここ数年、発達障害について取り上げるテレビや書籍、ネットニュースなどが増えました。LITALICO発達ナビのユーザーの中にも、認知度が上がってきたと感じている人もいるでしょう。ですが、当事者が身近にいない人にとっては、発達障害という言葉を聞いたことがあっても「発達障害とは実際のところどういうものか?」よくわからないのかもしれません。NHKでは11月から「発達障害って何だろう」をテーマにしたキャンペーンを行っています。今まで関心のなかった人にも届くよう、さまざまな角度で発達障害について取り上げています。約20の発達障害に関連する番組が集中的に放送される中で、24日(土)には「発達障害って何だろうスペシャル」が放送されます。出演者は各界で活躍する発達障害の当事者Upload By 発達ナビニュース出演者は各界で活躍する発達障害の当事者の皆さん。エッセイストの小島慶子さんは、今年、軽度のADHD(注意欠如・多動症)があると診断されました。落語家の柳家花緑さんは、子どもの頃から読み書きに苦手があり、40歳を過ぎてからLD(学習障害)の特性を指摘されました。11月からスタートした2分アニメシリーズ「ふつうってなんだろう?」でも自身の経験を紹介してくれています。『透明なゆりかご』などの作品で知られる漫画家の沖田×華(ばっか)さんは、小学生のころにLDとADHD、中学生のころにアスペルガー症候群(現・自閉スペクトラム症)の診断を受けました。日常生活での経験を漫画で描いています。それぞれのプライベートに密着し、自身の「苦手」とどう向き合い、どう折り合いをつけているのか、たっぷり語っていただきます。また、LITALICO発達ナビでもコラムを執筆している吉川徹先生も出演されます!「周囲の人は何ができるのか」工夫を紹介する発達障害は外見からは見えにくく、周りから理解されづらいと言われています。発達障害の特性から、周囲の人と軋轢を感じ、困りごとを抱えてしまうこともあります。発達障害のある人自身、自分の特性を理解してソーシャルスキルトレーニングをしたり、トラブルにならないよう困りごとを減らす対処法を行ったりしている人もいます。また、本人の努力だけでは解決しない時、環境調整をしたり、周りの人のサポートを受けることで、うまくいく場合があると言われています。ですが、実際に何ができるのか、どうしたらサポートできるのか、周囲の人にとってはよくわからず、戸惑うこともあるでしょう。番組では発達障害のある人を多く雇用している企業の工夫もご紹介します。「周囲の人は何ができるのか」を考えるためのヒントがあるかもしれません。一緒に考えることで、サポートの輪が広がるUpload By 発達ナビニューステレビ番組は広く多くの人に届けることのできるメディアです。発達障害は自分とは遠い、関わりのないことだと感じている人にも、見てもらいやすいと言えるでしょう。また、映像で、当事者の方のリアルなケースを紹介することで、イメージしやすく理解を助けてくれるはずです。発達障害のある人がどんな風に暮らし、どんなことに悩んでいるのかを知る良い機会として、多くの方が、「発達障害って何だろうスペシャル」を見たならば。学校のママ友、電車でたまたま乗り合わせた乗客同士、よく行く商店街のお店の人…。地域で暮らしている多くの人たちが、発達障害について知っていたら、当事者にとっても心強いのではないでしょうか?発達障害のある人や、周りで暮らす人がどうしたら生きやすくなるのか、できることは何か。ぜひ、周りの人と番組を見て、一緒に考え、対話するきっかけにしませんか。・「発達障害って何だろうスペシャル」(NHK総合)2018年11月24日(土)21:00~21:49・出演者【司会】千原ジュニア、南沢奈央、塚原愛アナウンサー【ゲスト】小島慶子、柳家花緑、沖田×華【専門家】吉川徹発達障害って何だろうスペシャル【キャンペーン】発達障害って何だろう
2018年11月22日「発達障害って何だろう」。テーマは、発達障害を多くの人に知ってもらうことUpload By 発達ナビニュースーーNHKでは、昨年から継続的に、発達障害について取り上げています。今回のキャンペーンでは、11月中旬を中心に、さらにたくさんの番組が放送されると伺いましたが、どんな番組がありますか?NHK 齋藤真貴さん(以下齋藤さん):「今回は、11月の中旬から、約20の番組を集中して放送します。NHKラジオ第一の「すっぴん!」や、「所さん!大変ですよ」「今夜も生でさだまさし」など、バラエティ豊かな番組で、発達障害を取り上げていきます。」ーー特集番組や「あさイチ」や「ハートネットTV」などで今までも発達障害について取り上げてきたNHK。今回のキャンペーンであえて「発達障害って何だろう」をテーマとして選んだ理由は?齋藤さん:「改めて原点からスタートしようと考えました。まず、多くの人に、『発達障害とはどんなものなのか』を知識として知っていただきたいということ。そして、知ったうえで、『発達障害って何だろう』ということを考えるきっかけになれば…という思いです。」ーーLITALICO発達ナビのユーザーさんは当事者や、家族、支援者が多いのですが、発達障害を取り上げる番組があると、たくさんの方が視聴し、感想をタイムラインにあげている実感があります。齋藤さん:「これまで発達障害に関する番組を放送すると、当事者の方々やご家族から大きな反響をいただくこともあり、大変ありがたいと思っています。しかし、当事者の方の「生きづらさ」を軽減するためには、「あまり発達障害を知らない」という周囲の人に、いかに理解をしてもらうかが大切です。そこで、今回は、普段、発達障害に関心がないという人にも、幅広く知っていただくことに挑戦したいと考えました。そうした人に、いろいろなタッチポイントを作って、何らかの形で「発達障害」に触れていただき、考えるきっかけになれば…。キャンペーンのテーマでもある「発達障害って何だろう」と考える過程に、意味があると思っています。そのために、あえて今回は一般の当事者だけでなく、エッセイストの小島慶子さんや、落語家の柳家花緑さんなど、多くの著名人に番組に参加していただいています。そういった方々の力も借りて、より多くの人たちに、繰り返しでも地道に発達障害について伝えることが重要だと考えています。」テレビ番組は、まだよく知らない、関心がない周りの人の認知度をあげて、一緒に暮らしていくために何が必要かを考えるための接点となりやすいと言えます。確かに発達障害のある方の困りごとは、本人の努力では解決しないことも多い。周りの人が知らないことで、軋轢が起きているケースもあるのではないでしょうか?困っている人を街中や職場、学校で見かけたとき「テレビで見たあの特性で困っているのかもしれない」と思い当たることができれば、どうしたらよいか、その糸口になるかもしれません。そしてそんな人が社会に増えることは、発達障害のある人にとって支えとなる場合もありますね。キャンペーンの見どころは?Upload By 発達ナビニュース番組は、キャンペーンに参加する各番組の制作チームが企画しているとのこと。キャンペーン事務局でも企画の相談を受けたり、情報を紹介したりしますが、それぞれの番組らしい切り取り方も楽しみの一つです。テレビ番組を集中的に編成することで、幅広い視聴者に出会っていただける可能性が高くなります。ひとつの番組だけでなく、様々な角度から「発達障害について」知るチャンスは貴重です。齋藤さん:「このキャンペーンは、一時的なものではなく、息の長い取り組みを目指しています。11月に集中的に番組を放送するのは、言ってみればキャンペーンのスタートをお知らせする「号令」のようなものです。その後も、例えば、2分アニメシリーズ「ふつうってなんだろう?」などは、スポット的に放送されるので、いろいろな曜日、時間帯で目にするかもしれませんね。インターネットやイベントなどでも、NHKの番組や取り組みに触れていただき、それをきっかけに、みなさん一人ひとりが、発達障害について考えていく、というようなキャンペーンにできたらいいなと。これからも多面的にキャンペーンを展開していきたいと思っています。」発達障害は外見からはわかりにくいと言われています。特に、関心や接点のない人の理解を得ることは簡単ではありません。そんな時、テレビ番組で多様な角度から発達障害について映像で伝えてくれたなら…「発達障害とは何だろう」その言葉は、きっと多くの人の考えるきっかけとなってくれるのではないでしょうか。キャンペーンの概要Upload By 発達ナビニュース24日の特番「発達障害って何だろうスペシャル」を始め、さまざまなラインナップで番組が放映されます。番組放送日時はリンクからご覧ください。Upload By 発達ナビニュース放送予定・ハッシュタグで感想をつぶやこうツイッターのハッシュタグ「#発達障害って何だろう」も展開しています。Twitterをご利用の方は、ハッシュタグ「#発達障害って何だろう」でぜひ感想をご投稿ください。・発達障害の情報を集めた特設ページも開設発達障害の情報を集めたウェブサイトも展開しています。発達障害の基礎的な情報や、当事者から集めた困りごとの対処法「困りごとのトリセツ」を紹介。その他関連番組の放送予定や番組内容の詳細についても情報を掲載しています。【キャンペーン】発達障害ってなんだろう(1)「発達障害って何?」Upload By 発達ナビニュース「困りごとのトリセツ」キャンペーンや関連番組の詳細は今後も随時決定していくとのこと。最新情報は上記ウェブサイトに更新されます!どうぞお楽しみに!画像提供:NHK
2018年11月20日発達障害という言葉がずいぶん浸透してきたと感じますが、私は複雑な心境です。当事者として、思いを発信してきました。発達障害当事者も、そうでない人も、お互いに理解し合える世界を望んでいました。今の状況は、果たしてそういった世界なのでしょうか……。文・七海日常生活で ”発達障害” の使われ方が変わったネット上でもそうなのですが、私のもっと身近なところ、日常生活でも変化を感じるようになりました。ひと昔前まで、発達障害者は ”腫れ物扱い” されている印象がありました。さらにいえば、発達障害だということをカミングアウトしても、その単語自体を知らないという人もいました。今では発達障害という言葉を聞いたことがない人のほうが稀なのではないでしょうか。コミュニケーションが上手でない人を、”アスペ” と揶揄することすらありました。当人が当事者であるかどうかは別にして、差別用語として使用されていた認識です。今では、「もしかしたら私も発達障害かも……」「あの人は発達障害だから仕方ないよね」といった発言が見受けられます。以前まででも全くなかったわけではないのですが、こんなに多くなったように感じるのです。さらにいえば、ニュアンスも異なるように思います。差別用語としてではなく、ある意味 ”個性” として受け入れられている面はあるのかもしれません。錯綜する情報、発達障害の ”せい” にする人たち発達障害という単語が浸透したうえで感じるのは、情報が混乱しているというもの。主にADHDとアスペルガー症候群が取り上げられているように感じます。その2つを取っても、情報がごちゃ混ぜになっていると感じる場面が多々あるのです。例えばADHDの特徴として、長時間ひとつのことに集中できないといったものが挙げられます。いっぽう、アスペルガー症候群の特徴の中には、言葉を額面通りに受け取るといったものがあります。もちろんこれは一例で、症状はさまざま。その症状の出方も人それぞれです。上に挙げた例を見ると、どちらも社会生活を送るうえで不便をきたす可能性があります。しかしながら、ADHDとアスペルガー症候群は別物です。併発している方も確かにいますが、「集中力がないし空気を読めないから発達障害である」と決めつけるのは少々安直な考えに感じます。私はアスペルガー症候群当事者ですが、集中力がないときはないですし、不注意からミスをすることだってあります。だけど、ADHDの診断は降りていません。また、発達障害は、ADHDとアスペルガー症候群だけではありません。読み書きや計算などの能力のうち、習得や使用などに著しい困難を示す ”学習障害” も、発達障害のひとつです。よく聞くアスペルガー症候群は ”自閉症スペクトラム障害” のひとつであり、そのほかには知的障害や運動能力の遅れを伴うものなどもあります。発達障害は本来さまざまであるものの、情報が錯綜しているが故に「ADHDとアスペルガー症候群の症状の一部があるから発達障害だろう」と憶測する人も少なくないように思うのです。発達障害という言葉が浸透しているぶん、「自分は発達障害だ」「あの人は発達障害だ」と決めつけると楽になる気持ちもよくわかります。生きづらかった原因は障害の ”せい” だったのだ、と安堵した経験は私自身にもあるからです。偏見は確かに少なくなったかもしれない。だけど…前述した通り、ひと昔前はもっと偏見にあふれていたように感じます。アスペルガー症候群でいうと、”コミュニケーションができない人” というレッテルを貼られるような感覚です。しかし、私には接客経験があります。接客でいうと、クレーム処理が得意なほうでした。他の人のクレーム処理も任されていたので、そういった認識です。アスペルガー症候群と聞くと、クレーム処理が苦手なイメージがありませんか? 実際、私は真逆なのです。発達障害といっても、本当にさまざまなのです。「○○だから発達障害」というストレートな考え方は、今の状況だと少し危険だなと思います。発達障害の情報が錯綜しているぶん、「私(あの人)は発達障害だからこれもできないだろう」と、勝手な諦めも出てしまうかもしれないからです。憶測だけで自分や他人の可能性を潰すのは、非常に残念に思います。ひと昔前に比べて偏見は少なくなったと思います。偏見や差別意識をなくせれば、そういった思いもありました。その点で言えば、私の願った世界に近づいたのかもしれません。だけど、強い違和感を覚えるのはなぜなんだろう。何度も自問自答しました。今の結論では、発達障害自体が拠り所になっているだけの人が多くいるように感じるからです。発達障害は ”個性” という捉え方で良いのだと、私は思います。程度の差はあれど、みんなで手を取り合って生きていければ良いのでは、と。そういったポジティブな世界を望んでいたのだと思います。今は発達障害の ”せい” にする風潮が強すぎるのかな、と感じます。多少の安堵感は良いと思うんです。しかし、発達障害の ”せい” にして、可能性を摘んでいるような状況が、ネガティブな浸透の仕方のように感じています。当事者も、当事者であろう人も、そうでない人も。みんなが生きやすい世界が私の理想です。せっかく浸透するのであれば、わかり合い、助け合い、プラスを生み出せるような世界になるよう願っているのが、私の真意です。©PaulaConnelly/Gettyimages©fizkes/Gettyimages©praetorianphoto/Gettyimages
2018年11月05日フリースクールに通う子どもたち、合宿を計画!?理由は「楽しいIFラボを、もっと知ってほしいから!」2018年4月から発達に個性のある子たちのフリースクール「IFラボ」を開いています。前回までのコラムで、息子が不登校になって素敵な居場所を見つけ、フリースクールをたちあげようという気持ちにいたるまでや、実際にフリースクールを運営するようになってからの子どもたちとの日々を紹介しました。今回は、フリースクール「IFラボ」に通う子どもたちが計画した合宿でのエピソードを紹介します。この合宿は、「楽しく過ごせるIFラボを宣伝したい」という子どもたちの思いからスタートしました。参加者募集開始!でも、申し込みが来ない合宿は2泊3日。子どもたちたっての希望で、1日目はフリースクール泊。屋内でできるワークショップを開いたり、夜ごはんをつくったりして過ごします。2日目からは軽井沢に場所を移して、テントを広げてアウトドアキャンプの予定です!しかし!肝心の参加者が集まりません(汗)不登校の子どもたちのなかには、外出に不安を抱えている子や、母子分離不安のある子など、外泊が難しい子がいることも関係しているかもしれません。合宿に興味はあるけれどやはり外泊はできないと、興味を持ってくれたものの参加を断念する子もいました。それでもIFラボの子どもたちは、どうしても合宿を実行したいと、以前体験に来てくれた子や、他の学外プログラムで出会った友だちを誘うなど、積極的に勧誘。IFラボに通う子のきょうだいや、私の息子のチー坊なども含め、最終的には子ども9人という大人数でキャンプを行うことに決定♪合宿当日の朝、みんな来ないそして迎えた夏の暑~い朝、IFラボ合宿が始まりました!ワクワク!がっ!合宿当日の朝!子どもたちが来ない…時間通りに来た子どもは1人だけ(笑)「オレは行けるぜ」と余裕を見せていたのに、当日朝に「やっぱり行かない。疲れている」と家ですったもんだして、3時間以上遅刻してくる子。「遅刻したから部屋に入りづらいんじゃないか」とお母さんと一緒に心配しながらやってくる子、などなど…。みんなにとって、初めて会う友だちとの合宿。知らないことに飛び込むのには少し時間がかかるようです。計画してくれたYくんとSくんも、家では「俺は準スタッフだから」と準備を頑張っていたようなのですが…やっぱり来ません(笑)実は、YくんとSくんは学校でケンカをしてしまい、IFラボで仲直りの場をつくって解決はしたものの、やはり気持ちの切り替えができないでいるのも原因のようでした。Yくんは「もう一生仲直りはできないから、あいつが来るなら合宿には行きたくない」と、朝どうしても家を出られず、結局夕方から参加することに。Sくんも「俺が行くとYくんがいやがるかも」と不安を抱えていながら、1時間半ほど遅刻してやってきました。本当は仲良くしたいのに「うまく仲直りできなかったら」という心配で、一歩前に踏み出せない2人。実は合宿前の活動日も「あいつが来るならIFラボには行かない」とお互いが来る日にはIFラボをお休みしていたのです。でも仕方なく顔を合わせてみたら、2人の心配はどこへやら!?いつの間にか一緒にいるではありませんか。そっと見守っていると、なんの問題もなく笑い合いながら楽しく遊んでいました。Yくんは「僕は絶交という言葉はもう使わない」とお母さんに話したそうです。ワークショップやみんなで入るお風呂に大興奮だった初日Upload By 赤沼美里初日は、ワークショップにカレーづくりにみんなでお風呂と盛りだくさん。午後には「スペシャルな人に会おう!」ワークショップを行いました。IFラボはシェアオフィスの一角を間借りしていて、オフィスではいろんな業種の方が仕事をしています。今回はデザイナーの方にお願いして美術のワークショップをしてもらうことにしました。ひとつのものも、視点やアイディアを変えればいろんなものになることを学んだあとは、お絵かきタイム。初めて目にする本格的な色鉛筆やペンにみんな興味津々です。いつもの色鉛筆よりずっと塗りやすく、思い思いの絵を描きました。ワークショップ中、Wくんはそばにお母さんがいることに気づきました。するとWくん「なんでお母さんがいるの。早く帰って!」…お母さん、びっくり(笑)1年前のWくんは、お母さんがそばにいないと不安で、お母さんのそばを片時も離れたことがなかったそうです。「キャンプに参加したい」と自分から希望してきてくれたWくん。友だちとの遊びに夢中になって、お母さんが帰っていくのを見送りもせず、お母さんを嬉しくも寂しがらせたのでした。Upload By 赤沼美里とにかくみんな、楽しくて仕方がないみたい!お風呂の順番決めのじゃんけんも大絶叫と大笑いの嵐。最初は新しいことに飛び込む勇気が必要だったけど、今、すごく楽しいんだろうなぁと、こちらまで笑顔になりました。カレーづくりや、お風呂、寝袋での就寝もスムーズ!こんなに計画通りに進むとはスタッフは思っていませんでした。みんな楽しみにしてくれていて、しおりも熟読してくれたのかしらと嬉しい気持ちで合宿1日目が終わりました。しかし興奮しすぎて、眠れない様子。音が気になってしまう子もいるため、寝つきは悪かったよう。これは次回の課題になりそうです…。合宿2日目、みんな朝からハイテンションUpload By 赤沼美里夜寝られずに苦労した子もいたはずなのに、みんな時間通りに目覚めて朝から走り回っています。なんて元気なの…しかも、こちらから伝える前にすでに、2日目の目的地・軽井沢のキャンプ場へ出発するための荷造りが完了している子もいました!駅までの道のり、重い荷物を背負いながら歩きます。小学2年生で、体も一番小さな私の息子・チー坊は、寄り道しながら進むこともあって集団からおくれがち。すると6年生の男の子が、遅れるたびにチー坊のところまで戻って「大丈夫?荷物もってあげようか」と声をかけて一緒に歩いてくれました。チー坊の通うフリースクール(※)の先生は、「異年齢・異質な集団」が教育の大切な要素だと常々おっしゃいます。その良さって、きっとこんなところなんだろうなと胸が温かくなりました。チー坊も優しくされた分、大きくなってこんなふうに誰かに手を差し伸べられるといいな。(※)チー坊は通常、「IFラボ」とは別のフリースクールに通っています。子どもたちは信じられないくらいに元気です。道中の新幹線では、1両目から最後尾まで車内観察に出かけ、しばらく帰ってこない子もいました。キャンプ場に到着しても、その元気は続きます。キャンプ場では、インターハイ出場の学生スタッフDがオニとなりどろじゅん(どろけい・けいどろ)が開始されました。私は、もちろん見学です(笑)。東京よりも涼しくて、段違いにおいしい空気を吸いながらが延々と続くどろじゅん。みんな本当に元気でした!さて、めでたくスタッフDに全員捕まった後は、テント設営です。設営にも個性が光ります。・まず説明書を熟読し、幕をピンと張って見た目もキレイなAチーム・とりあえず広げてみて、試行錯誤を繰り返すBチーム・他のチームの完成を横目で見ながら、効率よく張っていくCチーム・最後みんな面倒くさくなって、幕がゆるくなっているDチーム(私のチームです)無事テントまで完成しました~!「マイペースがいいね」と言ってくれる大人に見守られてUpload By 赤沼美里テントが完成したら、いよいよ今日のビッグイベント「薪のお風呂に入ろう」です。みんな薪のお風呂は初めて!興味津々で薪をくべます。そして男の子全員でザブン!気持ち良さそう~!お風呂というより、芋洗いプールのように1時間近く遊んで、彼らが遊びに遊んだあとのお湯は濁っていました(笑)屋内の活動と違って外では子どもたちの遊びが広がり、時間になってもバーベキューが始まりません…。でもお世話をしてくれた方も、「みんなそれぞれにマイペースなところが良いねぇ。バーベキューの時間だけど放っておいていいんでしょ?」と微笑んでしました。「マイペースが良い」って素敵な表現です。きっと学校ではその「マイペース」でうまく周りに合わせられなかった経験があるはず。チー坊も学校でみんなに合わせられずに怒られてばかりでしたから。でもこうやって、その子の「マイペース」が素敵だと認めてくれる人もたくさんいるのです。いろいろな機会を通じて、たくさんの大人に出会い、成長を見守られる環境を大切にしていきたいなと思っています。友だちがいたから挑戦できたアドベンチャーUpload By 赤沼美里最終日の午前中は、アドベンチャーに挑戦!初めての人も、そうでない人も3人組になって2時間以上のコースをまわります。Sくんは、キャンプ3日前に左手首を骨折。キャンプも来られるか分からない状況でした。ところが、今日のアドベンチャーには左手首を負傷したまま挑戦!友だちに手伝ってもらいながら、無事コース完了しました!いつも少し偉そうにしゃべるYくんが、今朝はちょっと違います。腰が引けて、動きもかなり緩慢(笑)。でもすべてのコースに一生懸命、挑戦するYくんがかわいらしかった。実は3月に家族旅行で別のアドベンチャーに挑戦していたYくん。今回よりも難易度がずっと低く行程も短かったにもかかわらず、怖くて途中でリタイヤしたそうです。今回は前にも後ろにも一緒に挑戦する友だちがいました。後ろから愛あるヤジ「何やってんだよ、早く行けよー!」が飛んできたことで頑張れたそう。Yくんに聞くと「来年はアドバンストコースにチャレンジする」と宣言!来年が楽しみです。子どもたちの個性、「見方」を変えてみるとUpload By 赤沼美里最終日、「あぁ、帰りたくない」と何度も口にする子どもたち。本当だね、すっごく楽しい合宿だったね。みんなの笑顔がキラキラ輝いていたよ。私はみんなを眺めているだけで、なんだか涙が出そうになったよ。帰りの電車に向かう途中、エスカレーターでSくんと話していたら、急に黙るTくん。しばらくすると「ねぇ!今のアナウンス聞いた?〇〇線は7を【しち】って言ってたでしょ。〇×線は【なな】って言ってたんだよ!」と大興奮で教えてくれました。ワタクシ生まれてウン十年、まったく気づきませんでしたよ。Tくんはいつもいろんなことに興味がうつり、実際に行動に移しては新しい発見をしていて楽しそうにしています。残念ながらTくんの好奇心は、学校では座っていられないという問題行動としてとらえられていました。でもIFラボの活動では、ずっと座っていないから問題になることはありません。それに、見方を変えれば、Tくんはほかの人が気づけないことに気づける力があるってこと。合宿中にも、困っている人にすぐ気づいて、さりげなく助け船を出すのは、いつもTくんでした。Tくんに限らず、私たちスタッフは素敵な個性を見逃さず「素敵だよ」って声をかけていきたいなと再確認するきっかけとなりました。来年も合宿したいね!Upload By 赤沼美里子どもたちが声をそろえて「楽しかった!来年も行きたい!」と答えてくれた2泊3日の合宿。1泊をIFラボ、1泊をキャンプ場で過ごした子どもたちに「やっぱりIFラボに泊まっちゃうとテント泊が短かったね。来年は2泊テントが良いんじゃない」と聞くと「IFラボに泊まるのも超楽しかったから、来年はIFラボ1泊、テント2泊にしたらいいんじゃない!?でも3泊4日でも少ないから、5泊6日にしよう」「いいね!いいね!」という答えがかえってきました。来年はどうなっちゃうんでしょうか?大人の体力が持つかしら(笑)今回の合宿で子どもたちはどんな風に成長したんだろうって、ずっと考えていました。とりたてて大きな事件も出来事もなく、みんな笑顔で元気に終えられたキャンプだったから。何か成長はあったかな、といろいろ考えるうち「子どもたちが合宿に参加できたってこと、それ自体が大きな成長だったのではないだろうか」ということに気づきました。IFラボを宣伝したいといって計画を立ててくれたSくん。お母さんから「すぐに興味がうつってやり始めるけど、最後まで頑張れない」と聞いていました。だけど、骨折をおして参加してくれました。怪我をしているから、リュックの紐を結べず友だちに頼むのは恥ずかしいと行きしぶってもいたSくん。最終日には、躊躇せず友だちに頼むことができていました。修学旅行を楽しみにしていたのに、うまく眠れないためにドクターストップがかかって行けなかったTくん。キャンプに参加できるのがうれしくて楽しくて、2日間ともみんなと一緒に寝られました。アドベンチャーで思いっきり体を動かして帰宅した夜も、ぐっすり眠れたそうです。エネルギー不足でほんの1年前にはキャンプなんて考えられなかったWくん。話の合うお兄ちゃんと一緒にいつも笑顔で過ごしていました。本当に元気がなかったのかな、と思えるほど元気いっぱいに走りまわり3日間を過ごしてくれました。IFラボキャンプには、子どもたちのいろんな状況と思いがつまっていました。参加の一歩を踏み出せたこと、笑顔で3日間を過ごせたこと、楽しい気持ちを子どもたちで共有できたこと、気の合う仲間がいるんだって思えたこと、帰りたくないって思えたこと…そんな小さな一つひとつが、IFラボキャンプに参加したみんなの成長だったのではないかなと思っています。
2018年10月16日専門家・プロ:中曽根陽子4つの子育てスタイルと子どもの傾向たとえば、子どもが駄々をこねて言うことを聞かなかったとき、みなさんはどうしますか?子どものしたいようにさせる。怒りを爆発させて、どなる?子どもが自分の気持ちを表現できるように励ます?ほうっておく?世界中で長年行なわれてきた数々の研究の結果、親の子育てスタイルと子どもの社会行動には相関関係があることがわかっています。そして、アメリカの発達心理学者ダイアナ・バウムリンドが中心となって、親の子育てスタイルを4つに分類し、それぞれの特徴と子どもの傾向を分析しました。1 消極・受け身型 温かいが厳しくない。子ぼんのうで親子の会話が多いが、制限を与えず甘やかす。子どもは、自己評価は高いが衝動的。学校でトラブルに巻き込まれやすい。 2 独裁・支配型 厳しくて、温かみがない。厳格なルールを持ち、説明なしに命令に従わせようとする。子どもは、行儀はよいが、自制心が育ちにくい。 3 民主型 厳しくて温かい。ルールを作るときは子どもと話し合い、罰するのではなく教えることでしつけをする。子どもは、自立心が強く、不安が少なく、落ち込みにくい。 4 無関心型 厳しくも温かくもない。子どもに最低限の物を与えるが、それ以外は無関心。子どもは非行に走りやすい。4つの子育てスタイルのなかで、「民主型」が、最も子どもが健やかに育つ子育てスタイルとされています。あくまでも研究者の分類ですから、実際の子育てにそのままぴったりと当てはまらないと思いますが、自分はどんな子育てをするかを考えるうえで参考になると思います。民主型子育てスタイルは、自己コントロール力を育てるでは、民主型の子育てをするには、具体的にどんな対応をすればいいのでしょうか。たとえば公園で遊んでいて、そろそろ帰らないといけない時間なのに、子どもは「まだ遊びたい!」と言うことを聞かない。そんな状況のとき、あなたならどうしますか?子どもの遊びたい気持ちを尊重して、帰宅時間が遅くなっても付き合いますか?それとも、ここは生活のルールを優先して遊びを打ち切って、無理やりにでも家に帰りますか?あるいは、子どもに状況を説明して妥協点を探る?子どもの気質や年齢、状況によっても対応は変わるでしょうが、民主型子育てスタイルなら、「まだ遊んでいたいのね。でも明日は学校だからそろそろ帰らないといけない」と子どもの気持ちに共感してから説明をする。もし子どもが納得しなかったら、「あと5分で帰るよ」とか、「あと1回すべり台をすべったら、帰ろう」とルールを決める。こんな対応になるでしょうか。それでも言うことを聞かずに遊んでいたら、子どもの年齢にもよりますが、抱っこしてその場を離れるかもしれません。「子どもの気持ちに共感したうえで、子どもにルールを提案する。ルールを守れないときには、きぜんとした態度で接する」といった対応です。罰を与えるのではなく、教えることでしつけをするのです。こういう働きかけをくり返されることで、子どもは安心し、自分をコントロールする力が育ちます。子育てスタイルの目標にしようもちろん、子どもの気質と親の気質、そして相性によっても子育てスタイルは変わります。また、そのときの親自身の心理状態や環境の影響なども受けます。だれだって、忙しくて余裕がないとか、疲れて体調が悪いときに、イライラして子どもにきつくあたってしまった……なんてことはありますよね。ですから、常に民主型の対応をするというのは難しいかもしれません。それでも、長年の研究で「民主的な親に育てられた子どもは、ストレスに強く、社会にも適応して、健全に育つ傾向が強い」ということがわかっているのですから、一つの目標として、民主型子育てスタイルをめざしてみてはどうでしょうか?参考:ダイアナ・リムバウンドの研究論文(英文)『最高の子育てベスト55』トレーシー・カチロー著(ダイヤモンド社)民主型子育てスタイルで健全な子どもが育つ中曽根陽子教育ジャーナリスト教育雑誌から経済誌、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。子育て中のママたちの絶大な人気を誇るロングセラー『あそび場シリーズ』の仕掛人でもある。 “お母さんと子ども達の笑顔のために”をコンセプトに数多くの本をプロデュース。近著に『1歩先行く中学受験成功したいなら「失敗力」を育てなさい』『後悔しない中学受験』(共に晶文社)『子どもがバケる学校を探せ』(ダイヤモンド社)などがある。教育現場への豊富な取材や海外の教育視察を元に、講演活動やワークショップもおこなっており、母親自身が新しい時代をデザ インする力を育てる学びの場「Mother Quest 」も主宰している。公式サイト
2018年10月01日どんな子も受け入れられる施設を。保護者のニーズにこたえ、2015年にオープン障害がある子どもの中でも医療的ケアが必要だったり、知的・身体の重複障害がある場合、通える施設が少なく、生活の場が家と園や学校に限られがちです。子どもたちがさまざまな経験をする機会を得られにくいことに加え、保護者も常に子どものケアのために働くことができなかったり、家事や買い物などの日常生活にも困難を感じていることが少なくありません。施設代表の松田さんは、そうした重度障害のある子どもの家族の状況を知り、2015年に重症心身障害児を受け入れるチャイルドケアハース、2016年に知的障害がある子どもを主に受け入れるラーニング、2017年10月にチャイルドケアハース2号店となるアカデミーをオープンさせました。(チャイルドケアハース、アカデミーは医療的ケア児対応施設です)医療的ケア児にマンツーマンの支援を――「チャイルドケアハースアカデミー」での1日Upload By 発達ナビ施設インタビューチャイルドケアハースアカデミーの建物に一歩足を踏み入れると、パステルカラーの壁や建具、壁面に描かれた空の絵が目に飛び込んできました。福祉施設だけれど、おしゃれなかわいいカフェのよう。子どもたちが過ごす空間が、より豊かなものとなるように――支援へのこだわりが、随所にちりばめられています。ここでは、医療的ケアが必要な子ども、重度重複障害がある子どもたちが、指導員とマンツーマンでゆったりと過ごしていました。気管切開をしている子には看護師がつき、体勢を変えたり、吸引をしたりと細やかにケア。定員は5名ですが、登録は35名。天白区にはほかに重症心身障害児や医療的ケア児を受け入れる施設があまりないことから、近隣の区からの利用者もいて、常に定員いっぱいだそうです。Upload By 発達ナビ施設インタビュー訪れた日は夏の終わりの蒸し暑い日。1人ずつ水着になり、自宅ではなかなか難しいプール遊びも。指導員と1対1で、水の感触をゆっくりと楽しみます。それぞれの子どものペースに合わせて過ごせるよう、無理のないプログラムが組まれています。休日はお昼ごはんをみんなで食べます。子どもに合わせて、ペーストにしたり、哺乳瓶を使ったりと、オーダーメイドの対応。また、入浴施設もあるので、通所中にお風呂にも入れます。体力的な負担も大きい入浴介助を施設で行えることで、家族も子どもも生活の質を上げることができます。当事者家族の「こうだったらいいな」に寄り添う姿勢が、そこここで感じられます。重度障害のある子どもたちが過ごす「チャイルドケアハース」、元気いっぱいの子どもたちのもうひとつの家「ラーニング」Upload By 発達ナビ施設インタビュー重度心身障害がある子どもたちを多く受け入れているのが「チャイルドケアハース」です。この日は、大きなテーブルを囲み、小学生から高校生までがトランプに興じていました。高校生のお姉さんは、やさしく小学生をフォロー。児童発達支援と放課後等デイサービスが一緒になった多機能型だからこその、年齢を超えたやりとりが生まれます。フロアで横になり、スタッフからケアを受ける女の子も。ほかの子どもたちのにぎやかな声を聴きながら、リラックスして過ごしています。車いすを利用している男の子2人は、Wiiで対戦。仲良く車いすを並べ、ゲームに夢中です!1日利用の日は、1時間以内と決めてゲームを楽しむこともできるのだそう。「どんなゲームなの?」と声をかけると、ゲームの種類やどんな対戦をしているかなど嬉しそうに話してくれました。Upload By 発達ナビ施設インタビュー同じビルの2Fには、主に身体障害がない子どもたちが過ごす「ラーニング」が。こちらも、幼児から高校生までがアットホームな部屋で一緒に過ごしています。この日は、「お部屋で虫とり大会」が催されていました!段ボール製のかわいい虫を、虫とり網でつかまえて、点数を競います。とれた虫の数をスコアボードに記入するときは、「5匹と6匹だね、合わせて何匹?」とさりげなく計算を促す指導員。高校生の男の子が、ゆっくりしっかり計算します。「11匹だね!」「ぼくが先にやりたい!」と主張する小学生の男の子に、高校生がやさしく諭す場面も。年下の子と関わることで、年長の子どもたちの自己肯定感も自然と育まれるよう。「それがうちの施設の大きな特徴です」と代表の松田さん。代表の松田さんに聞く、設立の背景と、これからの展望Upload By 発達ナビ施設インタビュー施設の代表を務める松田さんは「うちの会社は、必要とされること、つくってほしい・やってほしい・困っている、と言われることだけをやっていきたい」と言います。松田さんは、7年前から、高齢者向けのデイサービスを運営しています。その利用者の家族の「子どもにも重度障害があり、おばあちゃんと子どものW介護で働くこともできない。子ども向けの施設もつくってほしい」という願いが、チャイルドケアハース設立のきっかけ。そのころ、重度心身障害のある子どもが通える施設は、この地区にはなかったからです。現在は、待機が多い「ラーニング」の2店舗目を準備中だそう。重度知的障害や多動性が強い子どもたちもストレスなく過ごせる、広々した施設を年度内にオープンさせる予定です。はたらく人にも寄り添うから、ニーズに合わせた増設も可能にUpload By 発達ナビ施設インタビュー施設の「人を思う気持ち」は、従業員にも向けられています。子どものいるスタッフも無理なく働けるように、「アカデミー」のある建物には、企業主導型保育サービスも併設されています。10人の子どもたちが、9時から17時まで過ごしています。保育士や看護師、児童指導員、PT・OT・STなどの専門性を持っている優秀なスタッフも、子育てとの両立がしやすいから無理なく働ける。だから、質の高いスタッフがそろいやすく、ニーズに合わせた施設の増設もできるのです。「ここだけの常識の中で働いてほしくない」。外資系アパレル出身で、異業種から転身してきた松田さんは「社外研修には積極的に参加してほしい。そのあと押しはできる限りしたい」と、社員のスキルアップにも貪欲。スキルの高い、知見のあるスタッフが子どもたちの支援を担うことで、子どもたちにも保護者にもより満足してもらいたいと願うからです。広い視野を持ち、常に「困っている人」の想いや願いに寄り添い、必要とされる支援をすぐに形にしていく。社会の中でも取り残され、孤独に頑張らざるを得なかった重度障害のある子どもと家族の、強い味方。「チャイルドケアハース」を訪れて、これからの福祉に新しい風を吹き込む、強くて優しいまなざしを感じることができました。撮影/角野 杏早比(FINDFLaG)
2018年10月01日子どもがダダをこねるのは、自我が発達してきた証拠…とはいえ、なかなか言うことをきいてくれない子どもを相手に、親が冷静さを保つのはとても難しいことです。例えば子どもとのやりとりの中で、つい声が大きくなったり、危ないことやいけないことをやめさせようと、叩いてしまったりすることもあるのではないでしょうか。そんな時は親としても「失敗した!」と後悔しますが、大切なのは、その後きちんと子どもの心をケアすること。今回は、心理カウンセラーの筆者が、「つい子どもを叩いてしまった!」という時の対処法を、セルフチェック形式で紹介します。1.「ごめんね」と伝えた?子どもには常日頃、「お友達を叩いてはいけない」など、暴力は好ましくない手段であることを伝えているママがほとんどでしょう。それなのに、ママが子どもを叩いてしまったら、それは「いけないこと」ですね。ですからまずは、子どもに対して素直に、「叩いてごめんね」と伝えましょう。ママが「ごめんね」と謝ることで、子どもには、「叩いたのがママの本心じゃないんだ。叩かれたけど、ママが自分のことをキライだから叩いたんじゃないんだ」ということが理解できます。まだ言葉があまり通じない年齢の子どもでも、ママが自分にちゃんと謝っている、ということは理解できますから、しっかりと謝りましょう。2.どうして怒っているのか説明をした?子どもは小さければ小さいほど、感情的に怒られただけでは、「なぜ怒られているのか?」ということを理解できません。ですから感情的に怒ると、残るのは恐怖感だけ。何がいけないのかがわかっていないので、また次に同じことを繰り返してしまいがちです。また、もしママが叩いてしまったことを謝ったとしても、結局どうして叩かれたのかがわからなければ、ママに対して不信感が残ってしまうこともあります。これを防ぐには、叩いてしまったことを謝った後、「どうしてママが怒り、叩くことになってしまったのか」を丁寧に、わかりやすく説明してあげることです。例えば、床にいたずら書きをしちゃった!というときは、「なんで、床にいたずら書きしてるの!」と怒るのは当然のことなのですが、その一歩先の、なぜ床にいたずら書きをしてはいけないのか?ということを、ゆっくりと説明してあげる必要があります。もちろんいたずら書き以外のことも同じです。3.ぎゅっと抱きしめて仲直りした?子どもにとって、「抱っこ」は特別な行為です。ぎゅっと抱きしめてもらうことで、子どもは愛されていることを実感できます。何よりも、ママの「大好き」という気持ちが伝わる、一番の方法です。きつく叱ることで子どもに「ママは、自分のことがキライなんだ!」と思わせてしまうと、子どもは自己肯定感を損ないますし、反発する気持ちを持ちます。大人でも、きつく叱られると、自分が悪いことはわかっていても、相手から嫌われているのだろうか…と思うことがないでしょうか。でも、叱られた後に相手から優しい言葉をかけられたら、「この人は、自分のためを思って怒ってくれたんだな」と感じ、素直に忠告や助言を聞こうと思うことができます。子どもでも、それは同じ。ママはあなたの味方なんだよ、と伝えると、叱った効果が高まります。子どもの自己肯定感を損なうこともありません。きつく叱ってしまったとしても、ぎゅっと抱きしめて、最後に必ず「仲直りね」と子どもと約束しましょう。3つのセルフチェックでしっかりとリカバリーもちろん、子どもを叱るときは、怒鳴ったり叩いたりは一切しないのが理想です。でも、子育ては理想だけでは語れないのが現実。子どもが危険なことに手を出そうとしたら、きつく叱らなければならないこともありますし、カッとして手が出ることも…。大人も人間ですし、いろいろな事情があるものです。だからこそ、やってしまった!と思ったときは、しっかりとリカバリーをすることが大事。3つのセルフチェックを欠かさず、子どもとの信頼関係を築いていきましょう。もちろん、やりすぎたり、カッとして我を忘れてしまったのなら、次に自分がそうならないように工夫をすることも、忘れないようにしてくださいね。<文・写真:フリーランス記者あん茉莉安>
2018年09月26日企業のチカラで、発達障害のある子どもと家族、当事者のためにできることを考える場・ミートアップUpload By 発達ナビ編集部「LITALICO発達ナビ」では、発達障害に関するコラムの発信や、施設情報の提供などを通して、発達障害のあるお子さんや、保護者の方々の生活を取り巻く困難の解消に取り組んできました。現在は、月間300万人以上の方がサイトを訪れています。多くのユーザーの方にとって、必要な情報と出合ったり、同じような悩みを持つ仲間との交流ができる場となっています。一方で、発達ナビの力だけでは解消できない困難が多いことも事実です。そこで、発達障害にまつわるより多くの困りごとを解消していくため、さまざまな分野の企業とのコラボ企画・協業を進めています。「LITALICO発達ナビ ミートアップ」では、ゲストスピーカーをお招きし、講演や参加者の皆さんとLITALICOスタッフでのディスカッションを行っています。5回目のミートアップでは、株式会社ミュゼプラチナムでCSRを推進する柳沼政樹さんに登壇いただきました。ミュゼプラチナムでは、昨年度より社員向け研修を実施。さまざまな特性がある人にとって、働きやすい環境を推進するため、発達ナビの編集長・鈴木による研修を、全国8カ所で行い、すでに約300名の社員が参加しました。ミートアップの様子をレポート!Upload By 発達ナビ編集部今回のミートアップでは、発達障害にまつわる状況などを編集長の鈴木から紹介した後、ミュゼプラチナムの社長室広報PR課 課長とCSR推進室長をつとめる柳沼政樹さんから、発達ナビとコラボレーションして行っている社員向け研修について事例の紹介をいただきました。ミュゼプラチナムは、全国に175店舗を出店する脱毛サロンで、業界ナンバーワンシェアを誇ります。エステ業界には、ノルマのための強引な勧誘などのイメージがありますが、それを排除し、店舗というチームで評価する体制をとっています。チームで目標を達成していくためには、管理職は部下の個性を知り、個性を伸ばし、店舗の成績につなげるためにスタッフをどう導くかを柔軟に考えられる力が求められます。ですが、多忙かつ1店舗あたり多いところでは40名以上となるスタッフをまとめあげることは簡単ではありません。そこで、管理職向けの研修を全国で実施することになりました。発達ナビとコラボレーションした社内の管理職向け研修では、まず「人との違い」を意識させます。自分と他人では考え方も感じ方も違います。それを、講義だけでなくワークを通して体感してもらいます。研修のテーマは、「発達障害を知ることで、個人の凸凹を理解する」。相手に矢印を向けるのではなく、自分に矢印を向ける。何かあったときは人のせいにしない。部下のミスは自分の伝え方が悪いのではと自分を振り返る機会に――みんなが活躍できる、寛容な職場環境を作れるよう導きます。耳栓と小さなメガネのワークでは、「耳が聞こえにくいと相手の口元を見ないと何を話しているか分からない」「視野が狭いと誰が話しているか分からない」ということに気づきます。そうすることで、今まで思っていた「自分にとっての当たり前」が常識ではなく、相手がどういう思いで物を伝えようとしていたかに気づけるようになります。そして「自分だったらどうするか」という気持ちで動けるようになります。研修後には、社員からさまざまな感想が寄せられているそう。「求めているレベルの伝え方をちゃんと考えなくてはいけないと気づいた。今までは、伝わらなければ、その人はこの仕事に不向きだと判断してしまっていた」「部下に”なんでできないの”と、できない人だとレッテルをはってしまっていた。でも、自分の伝え方が悪いのか、と気づけた」柳沼さんは、「今まで多数派中心の考え方だったのが、さまざまなとらえ方をする人がいることに気づき、相手のために自分はどう伝える・行動すべきなのかと考えるきっかけを与えられる研修となった」と言います。発達ナビ編集長・鈴木からは、「一人ひとりが違うことを普段意識していない人にどう意識してもらうか」ということを体感してもらうことを目的に、ミュゼプラチナムと二人三脚で作り上げたプログラムだと説明がありました。ケーススタディを同じテーブルの参加者同士でディスカッションUpload By 発達ナビ編集部ゲストによる講演の後は、参加者が3つのグループに分かれ、次のようなケーススタディを行いました。・自閉症スペクトラムの高校生の進路選びについての悩み・帰省のため空港利用時にレストランでかんしゃくをおこしてしまった子どもへの対応についての悩み・アスペルガー症候群・ADHDのある男性の職場での悩みUpload By 発達ナビ編集部各グループで、それぞれ1つずつのケースを掘り下げ、原因や対応策、所属する会社や団体などの力で解決できることはないかをディスカッションし、発表を行いました。サービス開発だけでなく、企業のニーズに合わせたさまざまな研修を実施ミュゼプラチナム以外の企業でも、それぞれの課題・サービス内容に合わせた研修をオリジナルで作り、提供しています。例えば、店舗に発達障害のある子どもたちが訪れる機会がある企業では、実際にお客さまに対応する施設スタッフ向けに「具体的にどのように関わったらいいのか」を分かりやすく伝える研修も行っています。商品の開発や発信だけでなく、発達ナビでは、企業・団体向け研修などを通じ、より「障害のない社会へ」近づいていきたいと考えています。興味のある企業・団体のご担当の方は、ぜひ気軽にご連絡ください。◆研修に関するお問い合わせ先発達ナビ運営事務局:info@h-navi.jp◆メール送付の際は件名に下記をご入力ください。企業アライアンス宛
2018年09月15日