「宇宙と芸術展:かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ」が、2016年7月30日から2017年1月9日まで、東京・六本木の森美術館で開催される。本展では、歴史的な天文学資料、現代アーティストによる芸術作品、宇宙開発の最前線に至るまで、古今東西の宇宙に関する多様な出展物約200点を一挙公開。「人は宇宙をどう見てきたか?」「宇宙という時空間」「新しい生命観―宇宙人はいるのか?」「宇宙旅行と人間の未来」という4つのセクションを通して、未来に向かっての新たな宇宙観、人間観を提示することを試みる。「人は宇宙をどう見てきたか?」のセクションでは、歴史的な宇宙観の一端を紹介。南北朝時代、室町時代に描かれた両界曼荼羅や星曼荼羅、方位に宿る神々を描いた十二天像、日本最古のSF小説とも言える「竹取物語」の絵巻、日本初公開となるレオナルド・ダ・ヴィンチの天文学手稿、ケプラー、ニュートンなどの天文学や科学の初版本、北山善夫、北脇昇、前田征紀、向山喜章による現代美術作品が展示される。また、明治時代に富山県に流れ落ちた隕鉄と呼ばれる鉄の隕石から作られた伝説の日本刀「流星刀」も展示し、日本古来の刀から宇宙と地球の関係性を探る。「宇宙という時空間」のセクションでは、ブラックホールや多元宇宙を表現したビョーン・ダーレムの大型インスタレーション《ブラックホール(M-領域)》をはじめ、ヴォルフガング・ティルマンスの写真作品《金星の日面通過》、古来の時間観測法である日時計を表現したコンラッド・ショウクロスの大型のキネティック・インスタレーション《タイムピース》、太陽光の強度を音で表現し、何千本もの太陽活動の記録映像に重ねたセミコンダクターの3チャンネル・ビデオ・インスタレーション《ブリリアント・ノイズ》などが展示される。「新しい生命観―宇宙人はいるのか?」のセクションでは、隕石や化石を起点に、ピエール・ユイグや杉本博司、瀬戸桃子の人類史を超えた世界、江戸時代のUFO伝説とも言われる「うつろ舟の蛮女」、荒俣宏のSF雑誌コレクションが展示されるほか、ローラン・グラッソの作品に見られる宇宙人像、最先端の遺伝子工学やA.I.技術などについて言及したパトリシア・ピッチニーニ、ヴァンサン・フルニエの作品、さらには、セクシーでメカニカルな女性を造形し、エアロスミスのアルバム「Just Push Play」のアルバムジャケットにも使用された空山基の《セクシーロボット》が登場する。「宇宙旅行と人間の未来」のセクションでは、チームラボによる本展のための新作インスタレーション《追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして衝突して咲いていく - Light in Space》や、トム・サックス、野村仁、逢坂卓郎、ジュール・ド・バランクールなどの作品を通して、人間と宇宙の関係とその未来について考える。また、アメリカとロシアの宇宙開発の歴史や、JAXAの「ISS/きぼう 文化・人文社会科学利用パイロットミッション」参加作品、月面住居や火星住居モデル、民間月面無人探査に参加するHAKUTO、MITメディアラボ、ネリ・オリックスマンの宇宙服など、宇宙開発の最前線が一堂に展示される。なお、会期中には、トークセッションやアーティストトーク、シンポジウムなども行われる予定だ。詳細は、森美術館のオフィシャルサイトをチェックしよう。【イベント情報】「宇宙と芸術展:かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ」会場:森美術館住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階会期:2016年7月30日~2017年1月9日時間:10:00~22:00(火曜日は17:00まで)※いずれも入館時間は閉館時間の30分前まで料金:一般1,600円、学生(高校・大学生)1,100円、子供(4歳~中学生)600円休館日:会期中無休
2016年07月10日今夜は七夕。日本人宇宙飛行士の大西卓哉さんが搭乗した宇宙ロケット・ソユーズが、日本時間の7日午前10時36分に無事に打ち上げられたという吉報が入ったばかりですね。大西さんは約4ヶ月、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在し、科学実験などの活動をする予定です。さて、私たちの体はしばしば「宇宙」と称されることがあります。それは、まだまだ解明できていない謎が多いことや、知れば知るほど奥深く神秘的な機能が備わっているから。そんな不思議だらけの体に関して、知られざる12の数字トピックがイギリスのニュースサイト『Wales Online』で発表されました。今回、その驚くべき事実の数々をご紹介しましょう。最後まで読むと、たびたび人体が宇宙と言われることに納得してしまうはずですよ。■1:大人の身体はおよそ7,000,000,000,000,000,000,000,000,000個(7×10の27乗)の原子から構成されている気の遠くなるような原子の数は、ウェールズで頚部ガンになった女性が検査したことで明らかになったそうです。もはや、いくつであるのか読むこともできません。■2:人間の体は30分で1ガロンの水を沸騰させられるだけの熱量を発生している日本でなじみのある単位で示すと、1ガロン=約4.5リットル。これだけ体は燃えているというのに、なぜ付いてしまった余計な脂肪は燃焼せずに、体にとどまっているのかも不思議で仕方ありません。■3:人間の体を構成する細胞のおよそ90%はもともとは「人類」には無かった。我々はその大半が菌類やバクテリアから構成されている空前の除菌ブームで、体に触れるどの商品にも「除菌」の文字はあるというのに、体内は菌だらけというこの矛盾。ちょっと笑ってしまいますね。■4:人間の全ての体の骨の個数の 1/4を脚の骨が占める上半身は、内臓や脳がある分、骨は下半身に集まっているということなのでしょうか。全体を支える脚の骨は、年齢を重ねても十分に大切にしたい部分です。■5:脂肪や筋肉が1ポンド増加するごとに新しい血管が7マイルの長さぶん生成されるこちらも分かりやすく換算すると、脂肪や筋肉が約454g増加すると、約11.2kmの血管が作られるとのこと!そんな突貫工事を文句も何も言わずに日々こなしてくれているとは……。自分の体に感謝しなくてはいけないですね。■6:一人の人間から一生涯で22kgの皮膚が剥がれ落ちるこれは、少しゾッとするような話ですね。フケや垢など、人間は常に皮膚を剥がしながら生きているということ。ちりも積もれば山となる、です。■7:笑ったり咳をしたりすることは歩いたり立ったりするよりも背骨に大きな圧力をかける「ワハハ!」と思いきり笑うことや、咳はぎっくり腰になる要因のひとつでもあります。日常のどこにケガの要因が隠れているか分かりません。■8:くしゃみを激しく行うと肋骨骨折を引き起こす。一方、くしゃみを我慢すると、頭部や頸部の血管に損傷を与えることがあるくしゃみが体に与えるインパクトの恐ろしさたるや、ここまでだったとは!何かが爆発したのかとも思えるような大きいくしゃみをしているおじさんを見かけたら、教えてあげたい情報です。■9:もし人間の眼がデジタルカメラだったらそれは576メガピクセルの画素数に相当するプロカメラマンが使う超高性能カメラでも30メガピクセルほどだそう。人間はまだまだメカには負ける気がしないですね。■10:我々の歯のエナメル質は人体の中で最も硬度の高い材質である身元不明の遺体を調べるときに歯をチェックするのはこういった理由です。しかし、歯磨きをせず、口内環境を乱したままにしていると、虫歯になりいとも簡単に歯が削れていってしまうので恐ろしいです。■11:一生涯で長期記憶を司る脳細胞は1,000兆ビットの情報を保持することができるこれはまた、こちらの想像を超えてくる数字です……。記憶力の良い人と、次から次へと物忘れをしてしまう人では、一生涯で使う脳細胞の数が違うのでしょうね。■12: 誰かを抱擁することでその人の体内でオキシトシンが分泌され、肉体の怪我を治癒する。また、その人はあなたをもっと信頼するようになるスキンシップの大切さは恋人や夫婦関係、親子関係を語る研究記事では必ずといっていいほど登場します。不安や恐怖心を取り除き、癒やしや幸福感を高め「幸せホルモン」と呼ばれるのがオキシトシン。人間関係を良好にする効果は絶大のようです。*自分の体のことなのに、知らないことばかりだったのではないでしょうか。人体のことは、科学で解明されればされるほど不思議で、人間の素晴らしさを改めて感じさせてくれますね。(文/中田蜜柑) 【参考】※12 amazing facts you never knew about the human body-Wales Online
2016年07月07日ディーゼル(DIESEL)のホームコレクションライン「ディーゼル リビング(DIESEL LIVING)」と、イタリアのインテリア&デコレーションブランド「セレッティ」が再びコラボレーション。「ディーゼル リビング ウィズ セレッティ」第2弾「コズミック ダイナー(COSMIC DINER)」が、2016年6月8日(水)より発売される。テーマは宇宙。惑星と太陽、月の幻想的な美しさを表現したテーブルウェアがラインナップする。プレートには、火星や木星など9つの惑星のイメージをプリント。幻想的でファンタジーの世界へ誘われるようなデザインは、食事の時間をより特別なものへと導いてくれる。また、ロケット型のソルト&ペッパーミルは、70年代に活躍した本物のロケットのグラフィック、色、質感からインスピレーション得て作成。そのほかにも、宇宙飛行士型の花瓶「STARMAN VASE」や、宇宙から落下した隕石のようなグラス、月のクレーターから着想を得たコーヒーカップとボウルも店頭に並ぶ。【アイテム詳細】コズミック ダイナー発売日:2016年6月8日(水) ※予定取り扱い店舗:ディーゼル 銀座 / 大阪 / 渋谷 / 青山 / 六本木ヒルズ / 二子玉川 / ラゾーナ川崎 / クレアーレ/ 神戸/ 福岡<アイテム例>・プレート SATURN / CALLISTO / NEPTUNE 各4,800円+税サイズ:16.5cm×H2cm・プレート MARS / URANUS / JUPITER 各6,800円+税サイズ:23.5cm × H3.5cm・STARMAN VASE 12,800円+税【問い合わせ先】ディーゼル ジャパンTEL:0120-55-1978
2016年06月03日コンバース(CONVERSE)から、宇宙飛行士をイメージしたオールスターが2016年7月に発売される。今シーズン、コンバースは「WORKING HERO」をテーマに「働く人々のユニフォーム」をアレンジし、シューズに落とし込んでいる。紹介するのは、宇宙飛行士が1960年代当時に着用していた、シルバー宇宙服をモチーフしたスニーカー。アッパーのシルバー素材と、第一ハトメ、通気ハトメに使用したブルーとレッドのカラーハトメがポイントだ。ハトメはプラグをイメージし、シューズ全体でスペイシーさが表現されている。【商品詳細】オールスター スペースウォーク発売時期:2016年7月価格:7,500円+税アイテム:・オールスター スペースウォーク HI・オールスター スペースウォーク OX【問い合わせ先】コンバースインフォメーションセンターTEL:0120-819-217
2016年05月28日フジテレビは、6月3日から10日まで、さまざまな番組で"宇宙"を取り上げるキャンペーン「宇宙ウィーク」を展開する。このキャンペーンは、日本人宇宙飛行士の大西卓哉さんが、6月24日に国際宇宙ステーション(ISS)へ飛び立つことなどを受け、視聴者に宇宙への興味関心を醸成することを目的に実施するもの。期間中は、『SMAP×SMAP』(毎週月曜22:00~22:54)のコーナー「ビストロSMAP」で、ゲストの西島秀俊と竹内結子が"宇宙メニュー"を堪能するほか、『人生のパイセンTV』(毎週日曜24:30~25:00)では宇宙航空研究開発機構(JAXA)を訪問するなど、各レギュラー番組で、宇宙に関連した企画を実施していく。また、6~9日(24:25~24:35)には、特別番組『池上彰が今 宇宙で働くひと に聞きたいこと』を放送。ジャーナリストの池上彰が、宇宙飛行士・山崎直子氏や、JAXAの現役スタッフと対談し、「宇宙空間に生物を放り出すとどうなるのか?」などの素朴な疑問を解き明かしていく。さらに、10日(21:00~22:52)には、アカデミー賞7冠の映画『ゼロ・グラビティ』(13年)を地上波初放送。番組冒頭では、俳優・斎藤工と映画通として知られる同局の笠井信輔アナウンサーによるトークを放送するほか、データ放送・スマートフォンの連動企画も用意されている。企画を担当した同局編成部の狩野雄太氏は、各番組での趣向をこらした企画について「本当にこの1週間だけしか見ることができない特別なもの」とアピール。特に、池上の特番については「シンプルだけどあまり聞いたことがなかった質問に思わず"へぇ~"と言ってしまう回答が盛りだくさん」と自信を見せている。○「宇宙ウィーク」連動番組●6月3日『全力!脱力タイムズ』(23:00~23:30)『Love music』(23:30~23:58)『ミッドナイトアートシアター 映画「ソラリス」』(深夜2:45~4:50)●6月4日『もしもツアーズ』(18:30~19:00)●6月5日『ワンピース』(9:30~10:00)『KinKi Kidsのブンブブーン』(13:30~14:00)『ちびまる子ちゃん』(18:00~18:30)『サザエさん』(18:30~19:00)『日曜ファミリア「やっちまったTV」(19:00~20:54)『人生のパイセンTV』(24:30~25:00)『魁!ミュージック』(深夜1:00~1:30)●6月6日『ネプリーグ』(19:00~19:57)『SMAP×SMAP』(22:00~22:54)『キスマイBUSAIKU!?』(23:00~23:30)●6月8日『おじゃMAP!!』(19:00~19:57)『世界の何だコレ!?ミステリー』(19:57~20:54)『TOKIOカケル』(23:00~23:30)『いただきハイジャンプ』(深夜1:35~2:05)●6月9日『VS嵐』(19:00~19:57)『奇跡体験!アンビリーバボー』(19:57~20:54)『MATSUぼっち』(24:25~24:55)●6月10日『幸せ追求バラエティ 金曜日の聞きたい女たち』(19:00~19:57)※6月6~9日(24:25~24:35)『池上彰が今 宇宙で働くひと に聞きたいこと』
2016年05月27日俳優のトム・クルーズが、宇宙飛行のためにNASAで極秘にトレーニングを受けていたことが明らかになった。宇宙好きで知られるトムは2002年、スペースシャトルで宇宙へ旅立つことを条件に国際宇宙ステーションを描いた短編ドキュメンタリー『スペース・ステーション』のナレーターを務めることに同意したというが、翌2003年にコロンビア号が大気圏に突入する際、テキサス州とルイジアナ州の上空で空中分解し、7名の全乗組員が犠牲になる事故が起きたことで宇宙行きの話が立ち消えていたのだという。同作の監督を務めたトニー・マイヤーズはザ・サン紙に「トムは宇宙飛行士になりたかったの。彼はガルフストリーム IV機も所有しているし、パイロットの資格も持っているわ」「『スペース・ステーション』にもすごく乗り気になってくれたんだけど、スペースシャトルに乗ることも条件に入っていたの」「実現される可能性は十分にあったんだけど、事故が起こってしまって話がなくなってしまったのよ」と説明した。そんな宇宙飛行の夢が消えてしまったトムだが、以前には地球外生命体の存在を信じると語っていたことがあった。「可能性を否定することなんてできないと思うんだ」「この広い宇宙の中で僕ら人間だけだなんて考え方は傲慢すぎると思うしね。ただまだ出会っていないだけさ!」コロンビア号の事故は発泡断熱材の一部が剥落し、左主翼前縁を直撃したことが原因で起こっていた。(C)BANG Media International
2016年05月27日米国の宇宙開発企業スペースXは4月9日5時43分(日本時間)、国際宇宙ステーション(ISS)へ物資を補給する「ドラゴン」補給船を搭載した「ファルコン9」ロケットを打ち上げる。ドラゴンの中には、ISSへ向けた食料品や生活必需品、実験装置などが搭載されているが、その中で今回最も注目されているのは「BEAM」という、小さな宇宙ステーションのモジュールである。BEAMは風船のように膨らんで、人が暮らす空間を作り出すという、変わった仕組みを採用している。BEAMは、宇宙ホテルの建造を目指す米国の企業「ビゲロウ・エアロスペース」が開発した。ISSに結合して運用し、さまざまなデータを取ることで、宇宙ホテルの実現に向けた知見を得ることを目的としている。BEAMのような風船型の宇宙ステーションがなぜ必要なのか、はたして風船のような弱々しく思える構造は、宇宙の環境に耐えられるのだろうか。そして私たちがこのホテルに宿泊できる時代は来るのだろうか。○広くて狭い宇宙「無限に広がる大宇宙」とはよく言ったもので、猫の額ほどの土地しかない東京とは比べものにならないほど、宇宙は広大である。しかし、空気のない宇宙で人が生活するためには、東京のアパートよりも狭い部屋で暮らさなければならない。たとえば国際宇宙ステーション(ISS)に結合されている日本のモジュール「きぼう」は、直径約4m、長さ約11mの円筒形ほどの大きさしかなく、さらにその中には実験装置や物置がつめ込まれているため、非常に狭い。JAXA筑波宇宙センターに展示されている実物大模型の中に入ると、その窮屈さがよくわかる[*1]。ISSや、ソヴィエト連邦が建造した宇宙ステーション「ミール」では、この小さなモジュールをいくつもつなぎ合わせることで大きな宇宙ステーションを実現しているが、部屋数は多くなるものの、各々の部屋自体が大きくなるわけではない。さらに、宇宙飛行士が一人になれる個室はもっと狭く、電話ボックスほどの広さしかない。その中で睡眠をとったり、音楽を聞いたりといった、個人的な時間を過ごすことになる。なぜ、宇宙ステーションはこれほどにまで狭いのだろうか。そこにはまず、宇宙ではわずかな隙間からでも空気が漏れてしまうことから、宇宙で壁を継ぎ接ぎすることが難しく、あらかじめ部屋として完成した状態、つまり壁や床の面積や間取りが決まった状態で打ち上げなければならないという大前提がある。また、そうして造られた部屋を宇宙へ打ち上げるためのロケットは、最大でも直径5mほどの太さのものしか積むことができない。こうした理由から現在は、ロケットで打ち上げられる大きさの限界が、そのままステーションの部屋の広さの限界になっているのである。○膨張式居住棟宇宙に行きたい人はごまんといるだろうが、何人もの人と狭い空間に閉じ込められ、一日の大半をいっしょに過ごし、プライベートは空間はごくわずかで、その中で何週間、何カ月、あるいは何年も過ごさなければならないとなると、躊躇してしまう人も多いだろう。実はISSの建造が始まるよりもはるか昔、1960年代にはすでに、米国航空宇宙局(NASA)はこの問題を十分に認識していた。なんとかして現実的な方法で広い空間をもつモジュールを打ち上げることはできないか。そう考えたNASAは、ある画期的な解決策を思いつく。それが膨張式、つまり空気で膨らませるというものだった。これはちょうど風船やゴムボートと同じようなもので、ロケットで打ち上げる際には空気を抜いて萎ませておき、宇宙で空気を入れて膨らませることで、ロケットの大きさ限界に依らない、広い空間をもつモジュールが実現できる。NASAは1990年代、実際にこの仕組みを使ったISSのモジュール「トランスハブ」の開発に着手する。その直径は8.2mと「きぼう」の2倍近くもあり、体積は「きぼう」の約54m3から約400m3と、相当に広い。その内部には、キッチンや体力維持のためのフィットネス・ルームなどが設置される予定だった。風船のように膨らむということは、壁は当然、金属を使う従来型のモジュールとは違い、布のように柔らかい素材が使われている。となると、不安になるのは「宇宙ゴミ(スペース・デブリ)や小さな隕石(マイクロメテオロイド)が衝突したときに破れないか」ということである。他にも強力な放射線や、大きな熱の変化などにも耐えなければならない。そこでトランスハブの外壁は、航空機や防弾チョッキなどにも使われる強靭な繊維であるケブラーを、何層にも重ねて構成されることになっていた。また内壁には、消防士の防火服などにも使われる、強靭かつ耐火性に優れたノーメックスが使われている。○ビゲロウ・エアロスペーストランスハブはその後、予算などの関係でISS計画が見直されたことで開発中止となるが、この技術はビゲロウ・エアロスペースという会社に受け継がれることになった。ビゲロウ・エアロスペースは1999年に、ホテル王として知られるロバート・ビゲロウ氏によって設立された会社で、宇宙ホテルを建造することを目指している。ホテルである以上、快適であることが第一であり、そのためには広い内部を実現できる膨張式のモジュールはうってつけだった。同社はまず、「ジェネシス」という小型の無人試験機を2機開発し、2006年と2007年にロシアのロケットで打ち上げた。ジェネシスはトランスハブの技術を活かしつつ、外壁にはケブラーよりもさらに強靭な、NASAの火星探査車の着陸用エアバッグなどにも使われるベクトランという素材が使われている。そして軌道上で実際に膨らませ、耐久性などの試験が行われた。ビゲロウ・エアロスペースによると、必要な耐久性を達成したどころか、「通常の金属製ISSモジュールよりも強い」と主張している。実際、ジェネシスの外壁は一度も破れることはなかった。こうした経緯を経て、ビゲロウ・エアロスペースは、ジェネシスで得られた技術を活かし、「BEAM」(Bigelow Expandable Activity Module)と名付けられた新しいモジュールを開発。2013年にはNASAと契約し、ISSに設置し、耐久性や居住性が試験されることになった。BEAMは直径3.2m、全長4mで、居住区の体積は16m3ほどある。あくまで試験機であるため、内部に特別な内装などは施されておらず、また電源や生命維持装置はもっておらず、他のモジュールから供給される。またハッチは基本的に閉じたままの状態にするとされ、宇宙飛行士がいつも入り浸れるわけではないという。試験期間は約2年が予定されており、試験終了後はISSにから分離され、大気圏に落として処分される予定となっている。この試みが成功すれば、ビゲロウ・エアロスペースにとって宇宙ホテルを実現するために大きな実績を得ることになる。○宇宙ホテル、惑星間飛行の居住区、惑星上の居住区にもビゲロウ・エアロスペースではまた、BEAMより大型の膨張式モジュールや、本格的な宇宙ホテルの開発も進めている。2017年以降に打ち上げが予定されているのが「BA 330」、もしくは「ノーチラス」と呼ばれているもので、生命維持装置や太陽電池、エンジンなどをもち、独立した宇宙船として運用することができる。内部の体積は330m3もあり、最大6人が快適に滞在することができるという。宇宙ホテルのほか、月や火星へ飛行する際の居住区としても使用できるとしている。そして本格的な宇宙ホテルを目指して開発されているのが、「BA 2100」、あるいは「オリンパス」と呼ばれているものである。体積は2250m3と、文字通り桁違いの広さをもち、最大16人もの収容能力をもつという。もちろんここまで大きくなると、空気を入れていない状態でも相当に巨大となるため、打ち上げにはNASAが開発中の超大型ロケット「スペース・ローンチ・システム」を使う予定だという。ビゲロウ・エアロスペースはこの他にも、月や火星の地表に建てる居住区や研究所などの建物にも、この膨張式モジュールの技術が使えるとしている。○実現には安価な宇宙船との二人三脚が必要ただ、こうした宇宙ホテルの実現には、そこへ行くためのロケットと宇宙船の開発も重要になる。現在、宇宙に行くためには、厳しい試験と訓練を経て宇宙飛行士に選ばれるか、あるいは数十億円の運賃を支払えるほどの大富豪になるかしかない。最近、低コストなロケットの開発に挑んでいることで話題の「スペースX」は、「ドラゴン2」という宇宙船を開発しているが、そのコストは1人あたり2000万ドル(現在のレートで約22億円)と見積もっている。ドラゴン宇宙船は再使用ができるため、運用が続けられるなかでコストが下がる可能性はあるが、それでも数千万円ほどまでにしか下がらないだろう。今よりも安全・安価で、誰でも気軽に乗ることができる宇宙船がなければ、私たちが実際に宿泊に行くことは難しい。『2001年宇宙の旅』のワンシーンのように、海外旅行に行くような感覚で宇宙に行ける時代は、まだ当分先のことになるだろう。唯一の希望は、そうした未来が実現することを目指して活動している企業が、現にいくつか存在するということである。【脚注】*1: もっとも実際に滞在した宇宙飛行士によると、宇宙では上下の感覚がなくなるため、地上で感じるほどの窮屈さはないという。【参考】・NASA - Bigelow Expandable Activity Module・・HSF -- TransHab・Bigelow Aerospace - BEAM・Bigelow Aerospace - B330
2016年04月07日ロシア国営宇宙会社Roskosmosは3月19日、国際宇宙ステーション(ISS)に向かう3人の宇宙飛行士を乗せた「サユースTMA-20M」宇宙船の打ち上げに成功した。サユースTMA-Mの飛行は今回で最後となり、今後は新型の「サユースMS」が使用される。サユースTMA-20Mを載せた「サユースFG」ロケットは、日本時間3月19日6時26分(現地時間3月19日3時26分)、カザフスタン共和国にあるバイカヌール宇宙基地の第1発射台「ガガーリン発射台」から離昇した。ロケットは順調に飛行し、約9分後に宇宙船を軌道に投入した。宇宙船は太陽電池パドルやアンテナの展開にも成功。徐々に高度を上げつつISSに近付き、打ち上げから約6時間後の12時9分58秒にISSの「ポーイスク」モジュールへドッキングした。その後、ハッチの気密確認や、宇宙船とISSとの間の気圧の調整などが行われ、13時55分にハッチが開かれ、宇宙飛行士らはISSへ入室した。○サユースTMA-20MサユースTMA-20Mにはロシアのアリクセーイ・アフチーニン宇宙飛行士と、アリェーク・スクリーパチュカ宇宙飛行士、米国のジェフリー・ウィリアムズ宇宙飛行士の3人が搭乗していた。アフチーニン飛行士は1971年生まれの44歳で、今回が初の宇宙飛行ながら、宇宙船のコマンダーを務めた。スクリーパチュカ飛行士は1969年生まれの46歳で、2010年にサユースTMA-01M宇宙船でISSに長期滞在した経験を持つ。今回が2回目の飛行となる。ウィリアムズ飛行士は1958年生まれの58歳で、これまでに、スペースシャトル「アトランティス」のSTS-101ミッション(2000年)、サユースTMA-8(2006年)、サユースTMA-16(2009年)で宇宙飛行した経験を持ち、今回が4回目の宇宙飛行となる。この3人は第47/48次長期滞在員として、ISSに約6か月間滞在する。ISSには昨年12月から、ロシアのユーリィ・マレーンチェンカ飛行士、欧州のティモシー・ピーク飛行士、ティモシー・コプラ飛行士が滞在しており、3人が合流することで、ISSは6人体制での運用となる。今回打ち上げられた3人は、今年9月6日ごろに地球に帰還する予定となっている。帰還時にも、今回と同じサユースTMA-20Mに搭乗する。○最後のサユースTMA-M、今後はMS型にサユースTMA-M宇宙船は、ロシアの傑作宇宙船サユースの最新型で、2010年に1号機が打ち上げられた。TMA-Mは従来型と比べ、搭載コンピューターなどの機器が一新され、性能向上の他、軽量化と消費電力の低減が行われた。また、コクピットのコンソールも新しくなり、船体構造も見直されている。さらに軌道修正の精度が上がったことで、それまで約2日も掛かっていた打ち上げからISS到着までの時間が、わずか6時間に短縮された。サユースの船内は狭く、2日もの間、3人がその中で過ごすのは決して快適ではなく、宇宙飛行士からは大きく喜ばれた。ただ、6時間で到着するためには、打ち上げ日時など、いくつか条件があり、打ち上げ前、あるいは軌道投入後に、何らかの事情で予定が変わった場合は、2日かかる飛行プロファイルに変更せざるを得ない。新型コンピューターなどの改良点の多くは、有人のサユースへの採用に先立ち、2008年から運用が始まった無人の補給船「プラグリェースM-M」に適用され、試験が行われた。しかし、1号機「サユースTMA-M」(*1)では、打ち上げ時に船内で酸素漏れが発生し、またコンソールに一部のデータが表示されないなど、いくつかのトラブルが発生。その後も、TMA-12Mではスラスターの噴射がうまくいかなかったり、TMA-14Mでは太陽電池パドルが開かなかったりなど、細かなトラブルがたびたび発生した。ただ、人命にかかわるほどの大きな事故は起こしていない。サユースTMA-Mは、今回の20号機で最後となり、今後はさらに大幅な改良が加えられた「サユースMS」が使われる。1号機の打ち上げは今年6月21日ごろに予定されており、ロシアのアナトーリィ・イヴァニーシン飛行士、米国のキャスリーン・ルービンズ飛行士、そしてJAXAの大西卓哉飛行士が搭乗する。サユースMSは、サユース宇宙船シリーズの最新型にして、そして最後となる予定で、現在まったく新しい後継機の「フィディラーツィヤ」の開発も進められている。ロシアの宇宙開発では近年、ロケットの打ち上げ失敗や衛星の故障などの問題が続いており、信頼性の低下が叫ばれている。しかし有人宇宙開発に関しては、無人機よりも慎重に進められていることもあり、前述のような細かなトラブルを除けば、大きな事故は起きていない。今後、サユースMSの運用、そしてフィディラーツィヤの開発で、その技術を維持することができるかどうかが注目される。【脚注】*1: ロシアの宇宙機の多くは、1号機に「1」という数字は付かず、機体名をそのまま呼ぶ。なお、2号機以降は数字が振られ、たとえばサユースTMA-Mの2号機は「サユースTMA-02M」である。【参考】・・・Launch, Docking Returns International Space Station Crew to Full Stren | NASA・New Crew Launches and Heads to Space Station | Space Station・New Expedition 47 Crew Arrives at Station | Space Station
2016年03月25日ロールス・ロイスは現地時間の3月23日、同社の最新エンジン「トレント1000-TEN」の初飛行を実施したことを発表。テスト飛行は米国アリゾナ州にて、同社所有の747-200にて行われた。トレント1000TENの「TEN」は「Thrust, Efficiency and New Technology」の略で、同エンジンは「パーフェクトテン」の愛称で親しまれている。トレント1000はANAがローンチカスタマーとなった787-8に搭載されており、2011年より運用。2014年にニュージーランド航空がローンチカスタマーとなった787-9にも搭載されている。トレント1000TENはそのトレント1000の燃費・推力を向上させたモデルになっている。
2016年03月24日東京大学(東大)、リコー、ブルーイノベーションは3月16日、GPSの受信が不安定な環境下でも無人航空機(ドローン)の安定した自動飛行を実現する技術を開発したと発表した。同成果は東京大学 大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻 鈴木・土屋研究室の鈴木真二 教授および土屋武司 教授らの研究グループと、リコーおよびブルーイノベーションの共同研究によるもの。3月24日~26日まで幕張メッセで開催される「ジャパンドローン2016」でデモ飛行を披露する予定。ドローンは構造物点検、警備・監視、測量などさまざまなサービスで活用され始めているが、橋の下やトンネルの点検、施設・倉庫内の警備などGPSの受信が不安定、または受信ができない環境下では突然バランスを崩したり、自動飛行ができなくなり墜落するなどのリスクがある。同研究で開発したシステムは、ブルーイノベーションと東大が開発した、安定した姿勢制御が可能な小型ドローンにリコーが開発した超広角ステレオカメラを搭載したもの。3次元空間での移動を計測するIMUセンサと超広角ステレオカメラの出力を融合させることでGPSに頼らない室内での安定した自動飛行を実現した。同研究グループは、今後、さらなる性能・信頼性向上のため現場での実証実験が必要だとしている。
2016年03月16日国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在したシルゲーイ・ヴォールカフ宇宙飛行士、ミハイール・カルニエーンカ宇宙飛行士、スコット・ケリー宇宙飛行士が3月2日(日本時間)、地球への帰還に成功した。このうちカルニエーンカ、ケリー飛行士は、1年にもわたってISSに滞在し、将来のより長期の有人宇宙飛行に向けた貴重な知見を得ることになった。ヴォールカフ、カルニエーンカ、ケリー飛行士は「サユースTMA-18M」宇宙船に乗り、3月2日10時02分(日本時間、以下同)にISSを離れた。宇宙船は単独で飛行し、12時32分に軌道を離脱するための噴射を実施して大気圏に再突入した。そしてパラシュートを開きつつ降下し、13時26分にカザフスタン共和国ジェスカズガンの南東にある草原地帯にへ着陸した。今回のミッションで、ヴォールカフ飛行士の宇宙滞在期間は182日、コカルニエーンカ、ケリー飛行士は340日となった。飛行士たちの健康状態に問題はないという。このあと飛行士はリハビリを行いつつ、宇宙滞在が体に与えた影響のデータ取得などが予定されている。カルニエーンカ、ケリー飛行士は昨年3月28日に「サユースTMA-16M」宇宙船に乗って打ち上げられ、ISSに到着。340日にわたる長期滞在を開始した。一方のヴォールカフ飛行士は昨年9月4日にサユースTMA-18MでISSに到着し、182日にわたって滞在した。○ISS最長、1年間の宇宙滞在ミハイール・カルニエーンカ飛行士とスコット・ケリー飛行士は今回、ISSに約1年間にわたって滞在し続ける「One-Year Mission」に挑んだ。1回のミッションで1年も滞在するのは、ISSの運用が始まって以来最長となった。このミッションは、長期間の宇宙滞在が人間の体にどのような影響を与えるのかを調べることを目的としたもの。将来、人類が火星や小惑星、さらに先の星々に向けて旅立つとき、年単位の宇宙滞在は避けては通れない。たとえば有人火星探査であれば、500日は宇宙船に乗って宇宙を航行する必要があると想定されている。これまでの研究で、人間が長期間宇宙に滞在すると、視力が落ちたり、筋肉が萎縮したり、また骨量が減少したりすることがわかっている。また、それには個人差があることもわかっている。しかし、そうした衰えがどの程度まで進行するのか、またそれは防いだり、進行を遅らせたりすることができるのか、といったことについては結論が出ておらず、人間の体が長期の宇宙飛行に耐えられるかどうかはまだわかっていない。今回のミッションでは、宇宙滞在中のカルニエーンカ、ケリー飛行士の睡眠パターンの調査や、頭蓋骨の内部の圧力の変化の調査、代謝の変化を通じたストレスや免疫機能の調査、運動活動を通じた身体機能の調査、体にいる微生物の調査などが実施された。また地球への帰還後も、さらに調査が続けられる。また、ケリー宇宙飛行士にはマーク・ケリー氏という一卵性双生児の兄弟がおり、2人のDNAを比べることで、宇宙と地球上での変化の違いなども調べられるという。マーク・ケリー氏は元宇宙飛行士で、スペースシャトルで4回飛行した経験を持っている。今回のミッションで、両飛行士は340日間宇宙に滞在し、カルニエーンカ飛行士の累積宇宙滞在日数は516日間となった。またケリー飛行士は米国人による1回の飛行で最長の宇宙滞在日数を記録し、さらに累積では520日となり、米国人として最長の累積宇宙滞在日数を更新した。参考・・NASA Astronaut Scott Kelly Safely Back on Earth after One-Year Mission | NASA・国際宇宙ステーションへのクルー交代/ソユーズ宇宙船交換ミッション(44S) - 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター - JAXA・Expedition 46 Undocking and Landing Timeline | Space Station・Expedition 46 Trio Leaves Station for Ride to Earth | Space Station
2016年03月07日アポロの月面着陸、火星探査機の活躍、国際宇宙ステーション――。数々の華々しい成功に彩られている宇宙開発だが、その栄光の影には、失敗の歴史が連なっている。多くの人から望まれるもさまざまな事情により実現しなかったもの。あるいはごく少数からしか望まれず、消えるべくして消えたもの…。この連載では、そんな宇宙開発の"影"の歴史を振り返っていく。国際宇宙ステーション(ISS)に約141日間滞在した油井亀美也宇宙飛行士が、2015年12月11日に地球に帰還した。油井さんの滞在中、ISSは宇宙飛行士の滞在開始から15周年、また最初の打ち上げから17周年を迎えた。地球上では何かと対立している米国とロシアだが、ISSの運用には影響なく、平和の象徴として今日も地球のまわりを回っている。だが、米国とソヴィエトが対立していた1960年代。宇宙ステーションが平和の象徴としてではなく、宇宙の軍事利用の象徴として使われる可能性が存在した。本連載の第1回では、米国が1960年代に計画していた、軍事目的の有人宇宙ステーション「MOL」(モウル)を取り上げる。○宇宙から敵を見下ろす冷戦の中で、米ソの間には常に緊張の糸が張りつめていた。お互いに相手に負けじと、新しい飛行機や核兵器、そして大陸間弾道ミサイルの開発を推し進めた。米国もソ連もそれぞれ相手の状況を知りたがったが、飛行場もミサイル基地も、相手が支配する空の下にしかない。そこを飛行機で飛行し、写真を撮影して帰ってくるのは至難の業だった。実際、1960年には、米空軍のU-2偵察機がソ連領内を偵察中、対空ミサイルで迎撃されるという事件が起きている。そんな中、1957年10月4日にソ連は、世界初の人工衛星「スプートニク」の打ち上げに成功。続いて1958年1月31日には、米国も初の人工衛星「エクスプローラー1」の打ち上げに成功する。これをきっかけに両国は、次々と新しい人工衛星や月・惑星探査機、有人宇宙船を打ち上げ、人間を月に送り込むことを目指した競争を繰り広げることになるわけだが、それと同時に、人工衛星という新しい道具には、軍や諜報機関も大きな興味を抱いた。人工衛星は飛行機が飛べる限界よりもはるかに高いところを飛び続けることができる。そこから地球の表面を見れば、戦闘機や対空ミサイルに邪魔されることなく、相手を自由に観察することができるということになる。それに気付いた米ソは、宇宙から地表を監視する衛星、今でいう偵察衛星の開発を始めた。だが、当時はまだ技術が浅く、見たいところにカメラを向け、撮影して地上に送るという、今なら1kgぐらいの超小型衛星でもできることが難しかった。そこで米国では、「無人の衛星では難しいならば、人間を宇宙に滞在させれば良いではないか」という考えが生まれた。人間の脳と目、手は、ある意味では最強のコンピューターであり、カメラであり、ロボット・アームである。人間ならその目で直接地上を監視することができるし、手でカメラを自由自在に動かすこともできる。何か緊急事態が起きれば、すぐに地上の軍隊に指令を出す判断もできる。そして1962年、米空軍と米国家偵察局(NRO)は「MOL」(Manned Orbiting Laboratory、モウル)と名付けられた、「宇宙の司令所」を造る計画を立ち上げた。○宇宙の司令所実はMOL計画が立ち上がる前から、米空軍は宇宙を軍事利用することに興味を抱いていた。宇宙は空の向こうにある。ならばそこを支配するのは空軍の役目である、というのがその理屈だった。米空軍の動きは早く、1957年にはすでに、小型のスペースシャトル「X-20 ダイナソア」の開発計画を立ち上げている。1957年というと、米航空宇宙局(NASA)が最初の宇宙船「マーキュリー」を開発するよりも早く、さらに米国が初の人工衛星を打ち上げるよりも前のことだった。X-20は1963年に開発中止となるが、そのころNASAでは、すでに有人月着を目指したアポロ計画がスタートしており、その中で必要となる、宇宙船同士のランデヴーやドッキング、長期間滞在、船外活動などの技術や経験を得ることを目的とした新しい宇宙船「ジェミニ」を開発していた。米空軍はジェミニにも早い段階から秋波を送っており、まだNASAで初飛行すらしていない1962年に、すでに軍用ジェミニとも言うべき、「ブルー・ジェミニ」という計画が立ち上げている。人が乗って宇宙に行って帰ってこられるだけの単なるカプセルだったマーキュリーとは違い、ジェミニは軌道上で長期間滞在でき、また軌道を変えたり、機体を自由自在に動かしたりできる、本格的な宇宙船として最低限の能力をもっていた。NASAにとってジェミニはアポロへの通過点に過ぎなかったかもしれないが、米空軍にとっては宇宙の軍事利用の嚆矢として、まさにうってつけな宇宙船だったのである。しかし、ブルー・ジェミニもまたX-20同様に1963年に中止され、X-20とブルー・ジェミニの仕切りなおしとして始まったのが、MOLだったのである。MOLの計画は完全に秘匿されていたわけではなく、1963年12月10日にはロバート・マクナマラ国防長官によって開発の開始が発表され、計画の存在は公のものとなっている。ただ、このときは「米空軍による宇宙の軍事利用の有効性を試験する」というあいまいな名目のみが掲げられ、NROによる地表の偵察という目的は明らかにされなかった。ちなみにNROでは「KH-10 ドリアン」というコードネームで呼ばれていた。○恐るべき船底の穴MOLは、宇宙飛行士が打ち上げと帰還の際に搭乗する「ジェミニB」と、宇宙飛行士の滞在場所となり、また地上を監視するための大きな望遠鏡を装備する宇宙ステーション部分とで構成される。宇宙ステーション部分は円筒形をしたシンプルなもので、ミサイルや宇宙ロケットとして活躍していた「タイタンII」というロケットの第2段を流用して造られている。内部は宇宙飛行士が生活するための区画や、実験などの活動を行うための区画などに仕切られている。ジェミニBはジェミニを改造した宇宙船で、外見や大きさにはあまり大きな変化はない。ただその内部は大きく改修されており、NASAのジェミニとは異なっている。この宇宙ステーションとジェミニBとの間をどう行き来するかはひとつの課題となった。ジェミニには側面にしかハッチ(扉)がなく、いったん宇宙空間に出て、外側を伝ってMOLに乗り移らなければならなかった。かといって、アポロ宇宙船やロシアのサユース宇宙船のように、上面にハッチを造ろうにも、ジェミニの上部には機器が入っているため難しく、また上部にMOLを装着して打ち上げることはできないため、宇宙空間で反転させてドッキングするといった面倒な手間がかかる。そこで編み出された結論が、「宇宙船の下部にハッチを設ける」ということだった。ただ、宇宙船の下部には、大気圏再突入時に熱を受け止める耐熱シールドがある。そこにハッチを設けるということは、たとえばハッチが壊れ閉められないと帰還できなくなるし、また耐熱シールドに穴を設けるということは構造的に弱点ができるということを意味しており、これは非常に挑戦的なことだった。宇宙ステーション部分とジェミニBは結合された状態で打ち上げられ、帰還時には宇宙ステーションからジェミニBのみ切り離され、地球に帰還する。宇宙ステーションは基本的に使い捨てで、ISSのように何度も訪れることはできず、次のミッションではまた新しい宇宙ステーションとジェミニBが打ち上げられることになっていた。ただ将来構想として、ドッキング・ポートを設け、ジェミニBに乗った宇宙飛行士が何度も訪れることができる、長期的な宇宙ステーションにする案もあったようだ。【参考】・江藤巌. 宇宙の傑作機 No. 2.5 ジェミニ宇宙船. 風虎通信, 2008, 56p.・The DORIAN FILES REVEALED: A COMPENDIUM OF THE NRO’S MANNED ORBITING LABORATORY DOCUMENTS・NRO - Declassified Records: GAMBIT and HEXAGON Histories・On The Shoulders of Titans - Ch6-2・NASA - Spacesuits Open Doors to MOL History
2016年03月01日ライアン・レイノルズが、SFスリラー『Life』への主演を交渉しているようだ。火星を訪れた宇宙飛行士たちが、予想していたよりも知能の高い生き物が存在するかもしれないと知る物語。その他の情報共演は、昨年の『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』で大ブレイクを果たしたレベッカ・ファーガソン。監督は、レイノルズが『デンジャラス・ラン』でも組んだダニエル・エスピノーサ。脚本は、レイノルズ主演で、現在北米で大ヒットしている『デッドプール』のポール・ワーニックとレット・リース。『グリーン・ランタン』『ゴースト・エージェント/R.I.P.D.』など失敗作が続き、ここ5年ほどキャリアが低迷していたレイノルズだが、『デッドプール』の記録的なヒットで再び注目が集まっている。次回公開作は、ゲイリー・オールドマン、ケビン・コスナー、トミー・リー・ジョーンズと共演する犯罪ドラマ『Criminal』。文:猿渡由紀
2016年02月18日欧州の航空宇宙大手エアバスは2月9日(現地時間)、開発中の旅客機「A321neo」の初飛行に成功した。A321neoは、世界的なベスト・セラーとなっている従来型のA321からエンジンを改良し、燃費の大幅な向上を図った機体で、今年末から顧客への量産機の引き渡しが始まる予定となっている。A321neoの試作機(国籍記号D-AVXB)は、2月9日にドイツのハンブルク空港を離陸し、上空を5時間29分にわたり飛行した。飛行中にはエンジン・スピードを変える試験や、システムの挙動、フライト・エンヴェロープ(飛行包絡線)の評価などが実施された。今後も、NEOシリーズの飛行試験機隊に加わり、操縦特性や性能、システムの検証を行うための飛行試験が実施されることになっている。A321neoは、エアバスのA320neoファミリーの中で最も大きな機体で、新しいエンジンと、「シャークレット」と呼ばれる翼端の小さな翼(ウィングレット)、客室の改良などで、2020年までに現行のA320と比べ、燃費を20%向上させることを目指している。またA321neoには燃料の搭載量を増やし、航続距離を延ばしたA321neoLR (Long Range)という派生型も開発されることになっており、これにより大西洋横断など長距離を飛ぶ路線への投入も可能となる。A320neoファミリーのエンジンは、米仏CFMインターナショナル製の「LEAP-1A」と、米プラット&ホイットニー製の「PW1100G-JM」の2種類から選択できるようになっており、今回初飛行したA321neoの試作機にはLEAP-1Aが搭載されていた。PW1100G-JM搭載機も3月ごろに初飛行を行うことになっている。エアバスによると、今年1月現在、A321neoは米国のアメリカン航空やハンガリーのウィズエアーなどから、合計1101機の発注を受けている。また日本のANAも26機を発注している。A321neoの顧客への引き渡しは、今年末から始まる予定となっている。○A320neoファミリーエアバスのA320は、中・短距離路線向けの旅客機として開発された機体で、1987年に初飛行し、1988年から運用が始まった。現在までに約6900機が生産され、世界的なベスト・セラー機となっている。A320が開発された後、さまざまな市場の要求に応えるため、胴体を伸ばして座席数を増やした派生型のA321(最大約240席)が開発された。またその後、胴体を縮めて座席数を減らしたA319や、さらに減らしたA318も開発されている。そして2010年12月に、エアバスはエンジンを新しいものに換装するなどし、燃費・航続距離を向上させる「A320neo」(New Engine Option)の開発を発表。さらにA319、A321に同様の改良を施したA319neo、A321neoの開発も発表された。A320neoシリーズの登場により、現行型のA320はceo (Current Engine Option)と呼ばれるようになった。A320neoは2015年9月25日に初飛行し、現在までに飛行回数は640回を超え、飛行時間は1900時間に達している。すでに量産1号機は今年1月20日に、ルフトハンザ・ドイツ航空へ引き渡されている。またライバルの米国ボーイングも、A320シリーズに似た性能の737型機を改良した「737 MAX」を開発し、今年1月29日に初飛行に成功している。ボーイングによると、737 MAXの燃費はA320neoより、約8%向上しているという。参考・A321neo takes to the sky for the first time | Airbus Press release・Spotlight on... | Airbus, a leading aircraft manufacturer
2016年02月17日「零戦里帰りプロジェクト」をてがけるゼロエンタープライズ・ジャパン(ゼロエンター)は2月12日、零式艦上戦闘機(零戦)の一般公開飛行を目指して、本格的なスポンサー企業の募集を2月中旬から開始すると発表した。同プロジェクトは2012年にスタートしたプロジェクトで、同社取締役の石塚正秀氏が保有するレストア済みの零戦を米国から日本に移し、飛行可能な状態のまま保存することを目指している。2016年1月27日には、海上自衛隊鹿屋航空基地で試験飛行を実施した。しかし、同機が米国連邦航空局に登録されている機体であることから、国土交通省航空局への申請と許可取得が飛行の都度必要となるほか、整備や飛行には米国から航空機整備士や操縦士を招致しなければならない。また、機体の維持管理や保険にかかる費用など、資金面の課題を抱えている。同社が企業スポンサーの募集を開始したのは、飛行にかかる費用をプロジェクト単体で負担することは厳しいと判断したため。また、企業スポンサーが付かず、有料イベントにした場合の入場チケット価格について航空機ファン層へのアンケート調査を同プロジェクトのホームページ上で2月15日から開始する予定だ。ゼロエンターは、一般公開飛行の収益次第で6月以降に同機を一旦米国へ戻し、整備の実施と日本人操縦士の養成を目指すとしている。
2016年02月12日米航空宇宙局(NASA)は2月6日(現地時間)、エドガー・ミッチェル元宇宙飛行士が4日、米フロリダ州の医療施設で亡くなったと発表した。85歳だった。ミッチェル氏は1971年、「アポロ14」ミッションで月への着陸に成功。月面を歩いた12人の宇宙飛行士の1人として知られる。同氏は1930年9月17日にテキサス州で生まれ、1953年に米海軍に入隊。空母艦載機のパイロットを務めた。その後、NASAが実施した宇宙飛行士の募集に応募し、合格。1966年から宇宙飛行士としての訓練を務め、1969年には「アポロ10」の月着陸船パイロットのバックアップ・クルーに任命された。「アポロ13」の事故では、救出プランの立案にも尽力した。そして1971年1月31日、「アポロ14」ミッションの月着陸船のパイロットとして、船長のアラン・シェパード飛行士、アポロ司令船パイロットのスチュアート・ルーサ飛行士とともに、地球を飛び立った。5日後の2月5日、ミッチェル飛行士の操縦する月着陸船「アンタリーズ」は月のフラ・マウロ高地に着陸。シェパード飛行士とミッチェル飛行士は月面に降り、探査を行った。月面での滞在時間は約33時間で、そのうち約9時間を着陸船の外で過ごし、実験装置の設置や月の石の採取などを実施した。7日には月を離れ、9日に地球に無事帰還した。その後、1972年には「アポロ16」のバックアップ・クルーとなるも、1973年にNASAと海軍を引退。アポロ14が最初で最後の宇宙飛行となった。その後は、超能力や超常現象、地球外知的生命体などについて研究する機関を設立し、研究支援も行った。ミッチェル氏はもともとその方面への関心が高く、あくまで個人的な試みとして「月面でテレパシーの実験を行った」と明らかにしている。晩年は「宇宙人は地球に来ている」、「米国政府やNASAはそれを隠している」などと発言するなどし、メディアを賑わせた。ミッチェル氏が亡くなったのは、アポロ14の打ち上げ45周年記念の最中のことで、月面着陸から45周年となる日(2月5日)の前日のことであった。なお、アポロ14の船長を務めたシェパード氏は1998年に、司令船のパイロットを務めたルーサ氏も1994年にすでに亡くなっており、アポロ14の乗組員の中でミッチェル氏が最後の存命者だった。○NASA長官「彼は宇宙における地球の見方を変えてくれた」ミッチェル氏の死去を受けて、NASAのチャールズ・ボウルデン長官は次のような声明を発表した。「エドガー・ミッチェルさんのご訃報に接し、NASAを代表して心より哀悼の意を表します。ミッチェルさんはアポロ14の乗組員の1人として、月を歩いたわずか12人の中の1人となり、そして私たちが住むこの地球が、宇宙の中でどのような存在であるのかという、見方を変えてくれるきっかけとなりました。彼は月から見た地球を、詩的な表現で次のように語ってくれました。『それは突然に、月の縁の後ろから、長い時間をかけてゆっくりと、きらめく青と白の宝石が出てくる。明るく優美な空色の球体が、白く渦巻く覆いを身にまとっている。そして、まるで深い謎に包まれた海の中の小さな真珠のように、徐々に昇っていく。これが地球、我が家であることを完全に理解できるまで、少しばかり時間がかかるのだ』。彼は探検を信じ、ケネディ大統領による月に人間を送りこむという宣言によって、NASAに惹き付けられました。彼は宇宙探検の先駆者たちの一人であり、私たちは彼らの肩の上に乗っているのです」。NASAが1997年に行った歴史編纂事業の中で、ミッチェル氏は次のように語っている。「ケネディ大統領が有人月着陸計画を発表した後、私はこれこそ待ち望んでいたものだと思いました。それは熊が何が見えるかを見るため、知るために山を越えるのと同じです[*1]。私は幼いころから、探検や勉強、発見をすることに没頭し続けていました。そしてそれこそが、私を動かした原動力でした」。【脚注】*1: 米国の有名な童謡『The Bear Went Over The Mountain』にひっかけたもの。
2016年02月12日三菱航空機は2月10日、次世代リージョナルジェット機MRJ(Mitsubishi RegionalJet)の飛行試験機初号機による飛行試験を再開した。2015年11月11日に初フライトとなった飛行試験機初号機はその後、フィードバック改修作業と機能試験を実施。この改修作業では業主翼と胴体の結合部に局部的に薄板が追加され、2月10日の飛行試験では改修後の確認を中心に、太平洋側の空域で約1時間半かけて試験飛行を行った。(c)2016 MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD. All Rights Reserved.
2016年02月10日米ボーイングは1月29日(現地時間)、開発中の最新鋭旅客機「737 MAX」の初飛行に成功した。737 MAXは現在世界中で運航中の737 NGを大幅に改良した機体で、燃費が20%も向上。今後も開発と試験を重ね、2017年の第3四半期から航空会社への引き渡しを始めたいとしている。今回の初飛行では、737 MAXは日本時間1月30日2時46分(太平洋標準時1月29日9時46分)に、機体の製造工場がある米シアトルのレントン工場に隣接するレントン空港を離陸。2時間47分にわたってシアトル上空を飛行した後、同7時33分(同12時33分)にボーイング・フィールド(キング郡国際空港)に着陸した。最大到達高度は7620m、速度は250ノット(時速463km)を記録した。初飛行を務めたパイロットのエド・ウィルソン氏は「飛行は成功でした。この初飛行で、737 MAXが顧客の期待に応えられるという、十分な確信を感じました」と語った。737 MAXは、1968年に登場し、世界各地の短距離路線などで活躍する737シリーズの最新型機で、エンジンにはCFMインターナショナルが開発した新型の「LEAP-1B」を採用。主翼の端には、新たに開発された2枚の羽をもつ「アドヴァンスト・テクノロジー・ウィングレット」を装備している。また一部にフライ・バイ・ワイアー技術を用いるなど機体全体の軽量化も図られており、現行の737 NG(Next Generation)型機と比べ、最大20%も燃費が向上している。また737 NGでは航続距離が伸び、短距離路線だけでなく中長距離路線への投入も可能となったが、737 MAXではさらに延長。離着陸時の騒音も737 NGより40%ほど抑えられている。機内の内装は787に準じた「ボーイング・スカイ・インテリア」を標準採用する。スカイ・インテリアは荷物をしまい易い大きな天井収納棚やLED照明などを特長としており、すでに一部の737 NGでは導入されている。737 MAXは今回初飛行した標準型の737 MAX 8の他、やや小ぶりな737 MAX 7と、より大きな737 MAX 9の、大きく3種類が用意されている。737 MAX 8は現在、今回初飛行した機体以外にも、飛行試験用の3機が最終組み立ての段階にあり、今後これらを使った試験を進め、2017年の第3四半期にも、量産1号機をサウスウエスト航空に納入する計画となっている。これまでにサウスウェスト航空やインドネシアのライオン・エアなどをはじめ、62の顧客から3072機の発注を受けている。○運用コストはエアバスA320neoより8%安価に737 MAXと競合するのは、欧州のエアバスが開発したA320neoとなる。A320neoも、737 MAXに採用されたLEAPエンジンのシリーズである「LEAP-1A」を選択可能で、また「シャークレット」と呼ばれる大型のウイングチップを装備するなどし、従来機と比べ最大15%ほどの燃費向上を達成している。これまでに4471機の発注を受けており、すでにA320neoの量産1号機は今年1月20日に、ルフトハンザ・ドイツ航空へ引き渡されている。ボーイングはA320neoを脅威と捉え、2011年に737にLEAPエンジンを搭載するなどし、A320neoと同等かそれ以上の性能に引き上げた改良型の737を開発することを決定。これが現在の737 MAXとなった。ボーイングによると、737 MAXはA320neoと比べ、約8%の燃費向上を達成しているという。【参考】・Boeing Completes Successful 737 MAX First Flight - Jan 29, 2016・Boeing: Be Part of First Flight
2016年02月08日マット・デイモンが火星にひとりぼっちで取り残された宇宙飛行士を演じ、スーパーポジティブな精神と想像力で何度もトライ&エラーを繰り返しながら、地球への奇跡の帰還を目指す『オデッセイ』。このほど、2億2530万キロ離れた地球から、彼の帰りを願う人々の特別映像が解禁となった。火星での有人探査の最中に嵐に巻き込まれた宇宙飛行士のマーク・ワトニーは、死亡したと推測され、ルイス船長をリーダーとする乗組員たちは火星を去ってしまう。しかし、生き延びていたワトニーは、わずかな供給品しかない状態で、知恵と精神力、創意工夫の才能を発揮して、生き抜くことを誓う。そのころ、2億2530万キロ離れた地球では、ワトニーの必死のメッセージを受信したNASAと各国から集められた科学者たちが、“火星の人”を生還させるためにたゆみない努力を続けていた。その一方、ワトニーの仲間の乗組員たちは、不可能とは言えないまでも大胆すぎる彼の救出計画を立てる。この驚くべき勇敢な行為のニュースが次々に伝えられると、ワトニーの帰還を応援しようと世界中の人々がアクションを起こし…。リドリー・スコット監督とマット・デイモンがタッグを組み、本年度アカデミー賞で「作品賞」など部門にノミネートされている本作。今回到着したのは、火星にたったひとり取り残された主人公の帰還を願う人々にフォーカスした、心揺さぶられる特別映像だ。世界中が注目する“火星の人”、ワトニー。だが、地球70億人の思いとは別に、ワトニーを救う決断を下すのは、わずか数人の科学者と宇宙飛行士。ワトニーが陥った危機は、世界でも屈指の“優秀な人々”をも試す試練となった。本作の原作者アンディ・ウィアーは、「読者にはワトニーを好いてもらいたいと思った。そして心配してもらいたいと思った。だからこそ彼を救いたいと思い、感動が生まれるように作り上げた」と明かす。また、プロデューサーのアディティア・スードも「ワトニーはありとあらゆる困難にもめげず先へ進み続ける。そのせいで、単なるエキサイティングなアドベンチャー映画に終わらない大きな希望が満ちている」と、世界的ヒットにつながった本作の魅力を分析した。ワトニーをはじめとする登場人物たちの苦難、絶望、そして希望に縁どられた“長い旅路”=オデッセイの先に待っているものとは…!?その奇跡の結末はスクリーンで確かめてみて。『オデッセイ』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年02月05日エアバスは現地時間の2月3日、シンガポール航空のA350 XWB初号機が初飛行を実施したことを発表した。同機は数週間以内に開始される商用運航のため、地上チェックとテストフライトを含む最終段階に入る。同社は合計で67機のA350-900を発注している。A350 XWBは現在までに、41の世界の航空会社より777機の確定注文を受けている。
2016年02月03日アカデミー賞作品賞の有力候補と言われる『オデッセイ』の試写会が2月2日(火)に米国大使公邸で開催され、上映後には元宇宙飛行士の山崎直子、JAXA宇宙飛行士の野口聡一、NASA宇宙飛行士のクリス・キャシディ、マイケル・E・フォッサムによる質疑応答が行われた。第73回ゴールデン・グローブ賞で作品賞、主演男優賞(マット・デイモン)に輝き、オスカーでも7部門ノミネートの本作。事故で火星にたったひとり取り残された宇宙飛行士のサバイバル、地球への帰還に向けた孤独な戦いを描く。この特別試写会は学生を招待しており、映画を観終わったばかりの学生たちの質問に山崎さんらが答えた。最初に米国大使館を代表して挨拶に立ったキャロライン・ケネディ駐日米国大使は、偉大な宇宙飛行士の挑戦を称え、父のケネディ大統領の時代に月面着陸が達成されたことに触れ「父が月に人類を送ろうとしたのは、それが簡単だからではなく困難だからです」と語り、映画で描かれる火星での有人のミッションについて「危険かつ偉大な冒険ですが、ここにいる何人かが、いつか実現することを信じています」と語った。招待された学生の多くは高校生とあって、宇宙飛行士たちの学生時代について尋ねると、山崎さんは「子どものころは『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』、『スター・ウォーズ』を見て宇宙に感化されました(笑)」と明かし「中学でチャレンジャー号の事故を見て、いつか自分も宇宙飛行士にと思ったのですが、どうしたらなれるのかもわからず、高校時代はテニスに打ち込んでいました。その後、、エンジニアになり、1回目の(宇宙飛行士の)試験は書類審査で門前払いだったのですが、2回目で合格しました」と振り返った。ちなみに、山崎さんが落ちた試験で合格したのが、野口さん。「ごめん(笑)」と山崎さんを拝みつつ、野口さんは「僕は高校のときは、まさにみなさんと同じような感じでした。映画も学校も好きで『スター・ウォーズ』を見ましたね」と懐かしそうに語る。野口さんは、質疑応答を通じてたびたび「仲間」そして「チームワーク」の重要性を熱く語る。「宇宙飛行士の試験で何を見ているかというと、やる気とモチベーション。そして仲間とコミュニケーションを取って解決できるか?一緒に仕事をしてポジティブでいられるかということ。これは壁にぶち当たった時に大事なことと同じです。やる気の強さが壁を乗り越える力になるし、そのためには仲間とのコミュニケーション、ポジティブに楽しんでやれるかということ。宇宙はチームスポーツです!」と語った。映画ではひとり残されたワトソンが、ろくな音楽を聴くことができずに嘆くシーンがあるが、宇宙で恋しくなったものについては、野口さんは「ラーメン!」と即答。山崎さんは「シャワーとお風呂です。映画の中でも出てきますが、体を拭くことしかできず、シャンプーもできないので…(苦笑)」と明かした。映画に関しては山崎さんは「リアリティがあってハラハラしました」と称賛。火星での主人公のサバイバル生活が実際に宇宙ステーションで行われている実験に則していることに加え「チームワークで成り立っていることも描かれており、元気をもらいました」と語る。さらに「心理描写に関しての共感を覚えました」とも。主人公が生活を映像で日記のように記録する点について「私もそうなったら同じことするかなと思いました。ユーモアを取り入れてる点もそうです」と語った。映画の中で、嵐に巻き込まれて行方不明になった主人公を残したまま発つか否かの決断を迫られるシーンがあるが、野口さんは「難しい決断です。思い出したのは僕が初めて宇宙に行く直前にコロンビア号の事故が起きたこと。事故後、最初のフライトになったんですが、船長の女性飛行士が、自分たちが宇宙に行く上での目標について『行きと同じ人数で帰ってくることだけ』と語っていて、それはすごく心に残っています」と自身の経験と重ねて語った。改めて、学生たちとの触れ合いについて山崎さんは「自分が高校生だったころに比べてしっかりしてると思います。いろんな観点で考えていて、嬉しかったです」と積極的に質問を投げかけてきた高校生たちを称えていた。『オデッセイ』は2月5日(金)より公開。(text:cinemacafe.net)
2016年02月02日アカデミー賞7部門ノミネートの『オデッセイ』の特別試写会が2月2日(火)、米国大使公邸で開催。元宇宙飛行士の山崎直子、JAXA宇宙飛行士の野口聡一、NASA宇宙飛行士のクリス・キャシディ、マイケル・E・フォッサムが参加しての質疑応答も行われた。その他の写真リドリー・スコットがマット・デイモンを主演に迎え、無名作家がウェブサイトで発表し、大ベストセラーとなった小説を映画化。火星にひとりで取り残された宇宙飛行士の孤独なサバイバルを迫真の映像と緻密な人間描写で描いていく。米国大使館を代表して挨拶に立ったキャロライン・ケネディ駐日米国大使は、NASAとJAXAのパートナーシップと宇宙飛行士たちの勇気称えつつ、自身の父であるケネディ大統領がアポロ計画を推進した点に言及。「父が月面着陸を進めたのは、その計画が簡単だったからではなく困難だったから。火星にひとを送るというのは危険かつ偉大な冒険。ここにいる誰かがいずれそれを実現してくださるのを期待しています」と語った。学生たちからは、映画の内容にちなんだ宇宙飛行士としての活動や宇宙での生活について、また宇宙や地球の起源の謎についてまで様々な質問が飛ぶ。受験を控えた高校生から「困難やトラブルにぶち当たった時に大切なことは?」という問いに野口氏は、「大事なことは2つ。まず自分の能力を信じて冷静さを保つこと。焦ったり気持ちをダウンにして、できるはずのことができないのを避ける。2つ目は仲間と頑張ること。この映画は、主人公が秀でているように見えて、実はチームワークを描いてます。僕らの宇宙飛行もそうで、多くの仲間が支えてくれて乗り越えられるんです」と語った。この質問に限らず、野口氏も山崎氏も仲間の大切さ、チームワークの重要性をたびたび説く。山崎さんは自身のモチベーションを「メンバーの笑顔です。いい仕事をすれば笑顔で迎えてくれて、それが力になります」と語った。また宇宙から帰って大きく変化したことについて山崎氏は「風の匂い、緑や木々の匂いに心が動きました。自然があることを当然と思っていたけど、それは当たり前ではなく、いろんなバランスで成り立っていると感じ、感謝が大きくなりました」と明かした。また、宇宙飛行士だけでなく一般の人が宇宙に行けるようになる可能性についてキャシディ飛行士は「私たちが活動している時代は無理かもしれませんが、将来的にはそうなると思います。ライト兄弟も人類が国際宇宙ステーションで17年も過ごすとは思ってもいなかったでしょう」と語った。最後に野口さんは若き学生たちに「みなさんの未来が宇宙と共にあることを期待してます!」」とエールを送り、トークセッションは幕を閉じた。『オデッセイ』2月5日(金) TOHOシネマズスカラ座ほか全国ロードショー
2016年02月02日ボーイングは現地時間の1月29日、737 MAX 8の初飛行を実施。レントンフィールドを9時46分に離陸し、2時間47分の飛行を経て12時33分にシアトルのボーイングフィールドに着陸した。今回の初フライトに対してボーイング民間航空機部門CEOにレイ・コナー氏は、「737 MAX 8の初飛行は、技術革新における新時代を私たちにもたらしてくれた。我々は単一通路型市場で前例のない燃料効率を実現する飛行機のテストを開始できたことに誇りを感じている」とコメントしている。機長は737 MAXチーフパイロットのエド・ウィルソン氏、副機長はボーイング・チーフ・テストパイロットのクレイグ・ボンベン氏が担当。最大高度は2万5,000フィート(7,620m)、速度は250ノットと時速463kmで運航しながら、飛行機のシステムや構造、搭載機器のリアルタイムデータ送信等をテストした。ウィルソン機長は、「飛行は成功した。737 MAXがお客様の期待に応えてくれることを確信した」とコメントしている。737 MAX 8は現在、試験飛行機3機が最終組立の段階にあり、この4機で型式証明の取得に向けた試験を行う。ローンチカスタマーであるサウスウエスト航空には、2017年第3四半期にデリバリーされる見通しとなっている。
2016年01月30日米航空宇宙局(NASA)は1月27日(現地時間)、米国の宇宙開発企業「スペースX」が開発している有人宇宙船「ドラゴン2」に装備される、パラシュートの展開試験が成功したと発表した。同宇宙船は2017年から国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士を運ぶことが計画されており、実現に向けて開発は着実に進んでいる。この試験はアリゾナ州クーリッジ近郊で実施された。試験の実施日は明らかにされていない。試験では、ドラゴン2宇宙船と同じ質量の重りに4基の大きなパラシュートを装着し、輸送機から投下。そしてパラシュートは問題なく開き、試験は成功した。このパラシュートは、ドラゴン2の帰還時に大気中で減速させ、安全に海上に着水させるために用いられる。ただ、ドラゴン2は最終的に、側面に装備した「スーパードレイコー」と呼ばれるスラスター(小型のロケット・エンジン)を使って、SFに出てくる宇宙船のように地上に軟着陸することが計画されている。そのため、パラシュートが使用されるのは、宇宙船の運用初期や、また宇宙からの帰還前にスーパードレイコーに問題があり、着陸ができないことがわかったときのバックアップといった場合に限られることになっている。スーパードレイコーの開発も順調に進んでおり、昨年11月にはその噴射だけで宇宙船を空中で静止させる試験に成功している。(スーパードレイコーの空中静止試験について詳しくはこちら)なお、今回の試験は減速用のメイン・パラシュートのみが対象で、実際の帰還時に使用される、姿勢制御とメイン・パラシュートを引き出すための、より小型のドローグ・シュートに関しては搭載されていなかった。スペースXはNASAからの資金提供を受けてドラゴン2の開発を行っており、今回の試験はその開発の最終段階のひとつであり、またNASAに対する開発状況の証明という意味もあった。スペースXとNASAでは、今後も開発や試験を続けていくとしている。○着実に進むNASAによる宇宙開発の民間委託NASAでは2005年から、国際宇宙ステーション(ISS)への補給物資や宇宙飛行士の輸送を民間企業に任せる計画を進めており、すでに物資の輸送に関しては実現しており、スペースXと同じく米国の宇宙企業であるオービタルATKが補給を実施している。そして現在、スペースXと、米国の航空宇宙大手ボーイングの2社が、NASAからの資金提供を受け、有人宇宙船の開発を進めている。スペースXが開発しているのはドラゴン2という宇宙船で、ISSへの物資補給に使われている「ドラゴン」補給船を大きく改良したもの。最大7人の宇宙飛行士を乗せることができ、耐熱シールドなどを除く機体の大部分を再使用することが可能となっている。またISSとの往復だけでなく、いずれは火星への飛行や、さらには火星の地表への着陸も可能になるという。一方、ボーイングは「CST-100スターライナー」という宇宙船の開発を進めており、こちらも最大7人の宇宙飛行士を乗せることができ、機体の大部分を再使用することが可能となっている。スターライナーの開発や試験も順調に進んでいる両社ともすでに、NASAから宇宙飛行士の輸送を受注しており、今後開発が順調に進めば、スターライナーは2017年中に無人飛行と有人飛行を、一方のドラゴン2は、今年12月にも無人飛行を、2017年に有人飛行を実施する予定となっている。【参考】・SpaceX Tests Crew Dragon Parachutes | Commercial Crew Program・SpaceX Tests Crew Dragon Parachutes - YouTube・Boeing: Crew Space Transportation (CST) System
2016年01月29日6月から国際宇宙ステーション(ISS)で長期滞在を予定している大西卓哉宇宙飛行士が28日、東京・文京区の宇宙ミュージアム「TeNQ」(テンキュー)で行われたマット・デイモン主演『オデッセイ』(2月5日公開)のジャパンプレミアに、本作の宣伝大使を務める女子レスリング日本代表の吉田沙保里選手と共に登場した。大西氏は、宇宙飛行士の訓練について「冬のロシアで行うサバイバル訓練」が印象に残っていると話し、「宇宙船が不時着してことを想定し、2日間くらい寒い雪の中で宇宙船の中にあるものだけを使って生き延びなければならないという訓練」と説明。「高いG(重力)に耐えるという、グルグル回される訓練もありました」と振り返った。そして、火星に独りぼっちで取り残された宇宙飛行士のサバイバルを描いた本作について、「リアリティの高さがNASAの人たちの間でも評判になっていました」とコメント。「実際に火星で滞在する上で、こういうことをちゃんとやらないと火星で生きていけないというところを理論に裏打ちされたような装置をデザインし、宇宙船等もデザインされていた」と語った。もし火星に取り残されたら「映画を参考にし、ジャガイモを栽培して生き延びたい」と言い、火星に行きたいか聞かれると「行ってみたい」と即答。「人間という生き物は、行ったことのないところに行くということを通して文明のレベルを上げてきた生き物。これから先もそういった挑戦は続けていくべき」との考えを示し、「宇宙探査のミッションに関われたらうれしい」と意欲を見せた。さらに、宇宙の魅力について「まだまだ未開の領域。チャレンジングな世界」と伝えた。国際宇宙ステーションに滞在した経験のある宇宙飛行士の油井亀美井氏からのVTRも到着。「去年、私が設置した実験装置を使用して大西さんが実験を行って、私を超えるような成果を出していただければ」とエールを送られると、「非常にすばらしい活躍をされてこられたので、私も油井さんに負けないように頑張りたい」と意気込んだ。(c) 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved
2016年01月28日女子レスリング日本代表の吉田沙保里選手が28日、東京・文京区の宇宙ミュージアム「TeNQ」(テンキュー)で行われたマット・デイモン主演『オデッセイ』(2月5日公開)のジャパンプレミアに、宇宙服姿で登場した。本作の宣伝大使を務める吉田選手は「火星という過酷な場所にひとりぼっちで生き抜いた姿に感動しました」と本作の感想をコメント。もし自分が主人公のワトニーのように火星に取り残されたら「小さいときからたくさん周りに人がいて、ひとりぼっちということがなかったので、絶対に生きていけない。すぐ死んじゃいそう」とさみしがりやな一面を明かした。そして、ワイヤーにぶら下がった重力が不安定な状態で、岩石(模型)とサンドバッグを制限時間内に移動させるというミッションをクリアし、「やってやりましたよ!」とドヤ顔。6月から国際宇宙ステーション(ISS)で長期滞在を予定している大西卓哉宇宙飛行士も登場し、「身体能力は私よりはるかに勝ってらっしゃる。いつでも宇宙に行けるのでは」と言うと、吉田選手は「宇宙に行ってみたい」と興味を示した。さらに、国際宇宙ステーションに滞在した経験のある宇宙飛行士の油井亀美井氏からの大西氏への応援メッセージVTRの中で、油井氏も「吉田さんであれば今すぐにも宇宙に行ける」と太鼓判を押すと、吉田選手は「宇宙飛行士を目指したい。世界から宇宙へ、大きく夢を持たないと」とノリノリ。また、4連覇の期待がかかる8月のリオ五輪について、大西氏が「宇宙から応援しています」とエールを送ると、「ありがとうございます!」と喜んだ。イベント後の囲み取材では、さみしがりやで甘えたいという発言について記者から「乙女キャラ?」と聞かれると、「キャラじゃないです、本当に乙女です! 男性には甘えたい」と照れ笑い。「男らしくしっかり、優柔不断じゃない人がいいです」と好みのタイプを明かした。リオ五輪についても「リオでどれだけ成績を残せるかが、2020年の東京オリンピックを応援してくださるかにつながる」と語り、「しっかり体調を整えて、調整をうまくやっていきたい」と気を引き締めた。リドリー・スコット監督とマット・デイモンが初めてタッグを組んだ『オデッセイ』は、火星に独りぼっちで取り残された宇宙飛行士の運命を描いたサバイバル・アドベンチャー。第73回ゴールデン・グローブ賞で、作品賞と主演男優賞(共にミュージカル&コメディ部門)の2冠を獲得し、第88回アカデミー賞では、作品賞、主演男優賞をはじめ7部門でノミネートされている。(c) 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved
2016年01月28日「零戦里帰りプロジェクト」により復元された零式艦上戦闘機二二型(零戦)が1月27日にテスト飛行を実施した。同機は同日14時12分に海上自衛隊鹿屋航空基地を離陸、約7分間の初飛行に無事成功した。着陸後、プロジェクトを実施したゼロエンタープライズ・ジャパン取締役の石塚正秀氏は、パイロットのスキップ・ホルム氏を出迎え、握手を交わした。試験飛行は本日中にあと2回行われる予定。(編注:その後、試験飛行は2回目で終了した。)「零戦里帰りプロジェクト」は2012年にスタートしたプロジェクトで、レストア済みの零戦を米国から日本に移し、飛行可能な状態のまま保存することを目指している。テスト飛行を実施した機体は2014年11月に日本へ入国し、2015年7月にはエンジン始動テストを開始するなど初飛行に向けた準備が進められていた。なお、今回のテスト飛行については詳しいレポートを後日掲載するので、そちらも楽しみにしてほしい。
2016年01月27日「零戦里帰りプロジェクト」を推進するゼロエンタープライズ・ジャパンは1月27日、同プロジェクトの零式艦上戦闘機(以下、零戦)22型「AI-112」のテスト飛行を計画している。同飛行は自衛隊殿の基地内のため一般の立ち入りができないが、当日はニコニコ動画で生中継される予定となっている。今回のテスト飛行は零戦の免許を取得した日本人操縦士が存在しないため、米国の操縦士による飛行となる。ニコニコ生放送では地上カメラのほか、同プロジェクトの協力のもとパイロットのヘルメットにカメラを設置したパイロットカメラと、2つの視点から零戦の勇姿を追う。ニコニコ動画では13時開演を予定している。テスト飛行の予備日は1月28・29日となっており、飛行日時は天候や整備状況等によるため、中継も時間の変更や開始の遅れ、また、途中からの放送となる場合もある。中継のため出演者からのコメントへの返答はなく、現地のインターネット回線状況により放送を一時中断もしくは中止する場合も想定されている。同プロジェクトは石塚政秀氏が発起し、2008年に米国で零戦を購入・所有。日本人所有では唯一となる零戦を日本に里帰りさせ国内での飛行実現を目指し、2012年9月に正式にプロジェクトを発足した。2013年9月にはプロジェクトを推進する母体としてゼロエンターを設立し、零戦は戦後70年を振り返ることを目的に2014年11月5日に入国させ、海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)内で分割管理されていた。2015年には、FAA公認整備士資格のA&PおよびIA(Inspection Authorization)を有するデイビッド・アレン氏を米国から招へいし、アレン氏の指揮監督下のもと約8日間で零戦の組み立てを行い、2015年7月7日にはエンジン始動テストを実施した。
2016年01月26日漫画家の松本零士氏が25日、都内で行われた、美少年『零(ゼロ)』の発売記念発表会に出席した。酒造メーカーの美少年は、『銀河鉄道999』や『宇宙海賊キャプテンハーロック』などで知られる松本氏とコラボレーションした純米吟醸酒『零』を発売。松本氏は、ハーロックがデザインされた商品を手に、「とても楽しくてうれしい」と笑顔を見せ、「酒は悩みや辛いことを忘れさせてくれる力強いエネルギー源」とアピールした。また、「アルコールは平気なので、日本酒は飲んでも飲んでも効かない。気持ち良さそうにしている人を見るとうらやましい」と明かした松本氏。「小学生の頃から飲ませられて、『美味しいや!』って思っていました。出されたものを全部飲むと、褒めてくれてうれしかったですね。"酒飲み教育"を受けてきたんです」とその酒豪っぷりをうかがわせた。そんな松本氏は、この日、78歳の誕生日を迎え、「石ノ森章太郎と生年月日が全く一緒。一緒に飲みたかったな」と漫画家の故・石ノ森氏を懐かしむ場面も。日本酒好きタレントとして登場した磯山さやか、おのののかから、『銀河鉄道999』の列車などをあしらったバースデーケーキで祝福されると、「夢のような出来事でとてもうれしい。まだまだ描き続けるし、この列車もまだ走り続けると思います」と力強く宣言していた。
2016年01月26日米国の宇宙開発企業「スペースX」は1月21日(現地時間)、「ドラゴン2」宇宙船を自身のスラスター(小型のロケット・エンジン)だけで空中に静止させる試験の動画を公開した。ドラゴン2はスラスターを使って地上に着陸することが可能で、その性能を証明するために実施された。同宇宙船は2017年から国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士を運ぶことが計画されている。同社によると、この試験は昨年11月24日に、テキサス州マクレガーにある同社の試験施設で行われたものだという。ドラゴン2はワイヤーで空中に吊るされた状態で、そこから宇宙船の側面に装備された8基の「スーパードレイコー」スラスターを噴射し、約5秒間空中に静止した。米国の「アポロ」やロシアの「サユース」など多くの宇宙船は、地球の帰還時にパラシュートを使って減速し、陸上や海上に着地するが、ドラゴン2はスーパードレイコーを噴射しながら軟着陸する方式をとっている。これにより、宇宙飛行士の乗り心地が良くなるほか、地上の狙った位置に正確に着陸することができるようになるため、回収に掛かるコストが安くなるという利点もある。なお、スーパードレイコーに問題が起きた場合に備え、パラシュートも装備している。またスーパードレイコーは、打ち上げ時にロケットに何らかの問題が発生した際、宇宙船をロケットから脱出させる「脱出ロケット」としての役目ももっており、着陸と脱出をひとつのシステムで兼ねることで、宇宙船全体の軽量化やコスト・ダウンも図られている。昨年5月6日には、スーパードレイコーを使って発射台から脱出する試験も行われている。すでに運用中のドラゴン補給船には姿勢制御用のより小さな「ドレイコー」スラスターが装備されており、ロケットから分離後の飛行や、姿勢制御、軌道離脱時の噴射で使われている。ドレイコーはまた、ドラゴン2でも姿勢制御や軌道制御に使われる。スーパードレイコーはドレイコーをもとに2012年から開発が始まり、当初は鋳造で造られていたが、その後3Dプリンタでの製造に変わった。スーパードレイコーはドラゴン2の側面に8基が装備されている。8基をすべて最大出力で噴射した際の推力は534kNで、ドラゴンを2秒で100m、5秒で500mもの距離へ飛ばすことが可能だ。推力は20%から100%の間で可変させることができる。また、最低4基だけでも脱出は可能な余裕がある。○ドラゴン2ドラゴン2はスペースXが開発中の有人宇宙船で、最大7人の宇宙飛行士を乗せることができ、ISSとの往復だけでなく、いずれは火星への飛行や、さらには火星の地表への着陸も可能になるという。スペースXはすでに、同じドラゴンという名前をもつ無人補給船を開発しており、これまでに8回、水や食料、実験機器などの補給物資をISSに送り届けている。米航空宇宙局(NASA)ではISSへの物資の輸送を民間に任せる計画を続けており、ドラゴン補給船はその中で開発、運用されている。NASAではまた、物資だけではなく、宇宙飛行士の輸送も民間企業に担わせる取り組みも進めており、これまでに数社に開発資金を援助して、提案や設計、開発などを競わせ、その中から米航空宇宙大手のボーイングの宇宙船「CST-100スターライナー」と、スペースXのドラゴン2が選ばれた。両社はNASAからの資金提供を受け、現在も開発に取り組んでいる。開発が順調に進めば、スターライナーは2017年中に無人飛行と有人飛行を、一方のドラゴン2は、2016年12月に無人飛行を、2017年に有人飛行を実施する予定となっている。【参考】・SpaceX Tests SuperDraco Descent Landing Capability | Commercial Crew Program・Dragon 2 Propulsive Hover Test - YouTube・"Hover test of our Dragon 2 spacecraft that can carry cargo and crew "
2016年01月25日