漫才コンビ矢野・兵動の兵動大樹と落語家の桂吉弥がダブル主演を務めるコメディ『はい!丸尾不動産です!~本日、家をシェアします~』が、6月29日(土)より大阪・ABCホールにて上演される。ラジオやテレビなどでも活躍し、関西を代表する“話芸の達人”として知られる兵動と吉弥が本気で挑むワン・シチュエーション・コメディ。『ハゲタカ』や『任侠ヘルパー』など、数々のヒットドラマを手がけた古家和尚による脚本、舞台『それいゆ』などを手がけた関西テレビの木村淳による演出で、兵動扮する不動産屋と、吉弥扮する元エリート銀行員の顧客が“おしゃべりの応酬”を繰り広げる。本公演は、兵動の「もっと演じる力をつけて、芸に説得力を持たせたい」という思いから企画がスタート。「若い頃はいかに面白いことを考えて喋るかを重視していましたが、年齢を重ねるにつれて、“芸”というものを考えるようになった。“芸で魅せる”には、説得力を持たせないといけない。それには演技力が必要やなと、お芝居とか落語にも興味を持つようになったんです。僕は趣味がなくて、仕事に没頭してしまうタイプなので、いろんな情報をインプットできないんですよね。アウトプットばかりしているから、いつもと違うところに身を置いてインプットしていく。そして自分の本芸にアウトプットできればと思います」。取材当日まで“ほぼ初めまして”のふたりであったが、互いに「喋っていて間が合う」と語る。吉弥は「兵動さんが出演されているテレビを観たりラジオを聴いていて、ずっと近付きたいなって思っていたので、今回がっつりご一緒させていただけるのがすごく楽しみです。なかなかコメディの舞台を漫才師と落語家でやることってないですよね。でももっとやるべきやと思うんですよ。その先駆けとしてやったるぞ!という思いがあります。絶対面白くするので、楽しみに来ていただきたいですね」と力を込め、兵動も「万全の態勢でお待ちしております!きっちゃんとふたりで本気で笑わせにいきますので、ぜひ笑いに来てください!」と意気込みを見せる。関西を代表するおしゃべりの達人が、おしゃべりの応酬で楽しませてくれる舞台『はい!丸尾不動産です。~本日、家をシェアします~』は、6月29日(土)から7月1日(月)、大阪・ABCホールにて上演。チケットの一般発売は3月30日(土)開始。取材・文:黒石悦子
2019年01月31日振り返れば、昭和の終わりとともに『ひょうきん族』が幕を閉じ、ダウンタウンやウッチャンナンチャンらお笑い第三世代が中心に。そして昨年はハナコに霜降り明星と若手が躍進。これからの笑いはどうなる!?『東京ポッド許可局』の3人が、お笑い界を総括します。M-1がきっかけで、お笑いはスポーツへと進化した。プチ鹿島:平成元年が1989年だから、平成の初期は‘90年代ですね。サンキュータツオ:‘90年代は間違いなくダウンタウンでしょう。マキタスポーツ:前にPK(=プチ鹿島)が、ダウンタウンの笑いを格闘技になぞらえてリアル路線って言ってたよね。鹿島:ダウンタウンもそうだし、バラエティ番組も‘90年代はファンタジーからリアルへ向かっていった時代でしたよね。それ以前の芸人って、戦後から続く昭和の演芸文化を通過してきた人たちだったでしょう。タツオ:(明石家)さんまさんも落語家に弟子入りしたところからキャリアがスタートしてますし。マキタ:(ビート)たけしさんもストリップ劇場から出てきた人だしね。鹿島:それまでの笑いは演芸としてショーアップされたものだったのが、ダウンタウンが出てきたことによって、街で一番ケンカが強いやつが勝つストリートファイトになった。マキタ:芸能界の先輩はもちろん、プロ野球選手だろうがお相撲さんだろうがメッタメタに殴るスタイル。タツオ:関西のストリート上がりがダウンタウンだとしたら、関東にはとんねるずがいて。鹿島:もうめちゃくちゃリアルだよ。タツオ:そういったリアル路線の10年を経て、‘01年に『M-1グランプリ』が始まって競技化しました。マキタ:M-1を機に、笑いが採点式のスポーツになった。タツオ:一般の人が笑いを審査する『爆笑オンエアバトル』が盛り上がったり、‘03年には『エンタの神様』、‘04 年には『笑いの金メダル』と、お笑いを競技として楽しむ番組もどんどん出てきて。鹿島:競技化と並行するように、‘02年頃に大衆的な芸風でダンディ坂野さんが人気者になったでしょう。あのときお笑いが民主化されたなって思った。それまでは特別な人にしか許されていなかったのが、一気に開かれた感じ。マキタ:お笑いが会員制からオープン制になったんだ。鹿島:視聴者からの投稿を紹介する『爆笑問題のバク天!』(‘03年~)からアンガールズやレイザーラモンが出てきたりもしましたし。マキタ:その頃に、よしもと以外の事務所の養成所にも人が集まるようになって、お笑いが学校化したよね。鹿島:学校で勉強するって、わかりやすい民主化の表れですよね。マキタ:それまで素人と玄人の境界がはっきりあったのが、ベルリンの壁が崩壊したみたいに、民主化とオープン化が進み、学校を出たチルドレンたちがどんどん登場して、整ったフォーマットに従って誰でも参加できて能力を発揮できるようになった。お笑い史にとって‘00年代最大の変革はそれじゃないかな。鹿島:だからM-1で一夜にしてスターが誕生するのもそうだし、お笑いに夢があったんですよね。マキタ:夢あった。‘07年のサンドウィッチマンとか、ドラマティックだったし、センセーショナルだったよ。タツオ:10年ごとにまとめると、異能のお笑い怪獣たちの‘90年代、競技を勝ち抜いたスター選手たちの‘00年代、そして民主化されたことで誰もがお笑いに参加できるようになった‘10年代っていう感じですかね。鹿島:笑い飯が優勝してM-1が一度幕引きをしたのって何年だっけ?タツオ:‘10年ですね。高度に発達したお笑いマナー、揺り戻しとしての裸芸。鹿島:やっぱりそうか。このあたりから下克上が通用しなくなってる。タツオ:『キングオブコント』や『R-1ぐらんぷり』で優勝しても、まだバイト辞められないですからね。マキタ:芸能界をコンビニでたとえると、優勝したくらいじゃ定番商品として並べてくれない。タツオ:一応は新商品として短期間は陳列してくれるけど、棚のほとんどがロングセラーでいっぱいだから。鹿島:それは夢ないなー。マキタ:側(がわ)じゃなくて質のほうの話をすると、やっぱりダウンタウンは確実に世間のお笑いレベルを引き上げたと思う。レベルというか、解像度っていうのかな。民主化にも繋がることだけど、中学生とか高校生にまでお笑い用語を浸透させた。タツオ:ツッコミとかボケとか、オチとかフリとかね。鹿島:大きく言えば関西のノリ。専門用語や関西弁の言葉はもちろん、笑いの文化を一般的なものにしたね。マキタ:さんまさんの影響もあるとは思うんだけど。ほら、『笑っていいとも!』でタモリさんに「そこは拾わんとアカンやろ~」とかってしつこく言って、タモリさんがうっとうしそうにイヤがるっていうやつ。鹿島:くやしそうに「いまのはひと笑いいけたやろ~」とかってね。マキタ:そういう、よしもとの楽屋でのマナーが全国放送で流れてた。タツオ:その時代を境に、芸人はピコピコハンマーを捨てたんですよね。昔はピコッて叩くだけで成立してたのが、ちゃんと言葉でツッコむようになった。そこからさらに進んで、「ちゃんとボケろや~」みたいに、チームプレーとしてのパスまわしやゴールが設定されているゲームにまでなって。マキタ:そのあたりから、お笑いが高度に発達しすぎたよね。タツオ:ゆえに、揺り戻しもきてますよね。裸芸のアキラ100%が『R-1ぐらんぷり2017』で優勝したし、とにかく明るい安村がブレイクした。鹿島:『R-1ぐらんぷり2016』で(ハリウッド)ザコシさんが優勝したときは、久しぶりに夢あるなって思ったね。しかも地下ライブでやってるのと同じネタで勝負してた。マキタ:『キングオブコント2018』で唯一言葉に頼らないネタをやったのが優勝したハナコだったよね。ほかはみんな言葉を駆使する笑いで、気を抜いたら置いていかれる。タツオ:M-1にしても、言葉による笑いが主流ですからね、いまは。東京ポッド許可局“屁理屈をエンターテインメントに!”をモットーにマキタスポーツ、プチ鹿島、サンキュータツオの文系お笑い芸人3人の局員がひっそり語らう深夜の人気番組。TBSラジオで毎週月曜24時~放送中。※『anan』2019年1月16日号より。写真・田村昌裕(FREAKS)文・おぐらりゅうじ(by anan編集部)
2019年01月13日還暦及び噺家生活40周年を迎えた桂米團治が2019年、記念の独演会を全国で開催、30公演を行う。その皮切りとなるのが1月4日(金)に行われる大阪・サンケイホールブリーゼ公演だ。還暦&噺家生活40周年記念「桂米團治独演会」チケット情報米朝一門のホームグラウンドであるホールで、お正月から独演会ができてうれしいと顔をほころばせる。メインの演目は「高津の富」を選んだ。ある男が、大見得を切って買った1枚の富くじが大当たりをするという噺だ。「お正月に笑いに来てくれはるお客さんには絶対『高津の富』だと。ハッピーエンドだし、おめでたい噺なのでこれやと思いました」。還暦を迎えた心境を改めて尋ねると、「まさかこの年で会社経営に携わることになるとは思ってもみなかった。思えば人生は思ってもみないことの連続でしたね」と振り返った。2015年3月には師匠であり父でもある米朝が亡くなった。「米朝が他界して3年、あとは好きなことをしよう、やっと吹っ切れるぞと思った矢先、米朝事務所の代表になるという重荷がのしかかってきました。多分、天上界で米朝・中川絹子夫妻がニヤニヤ笑いながら、僕にやらしているような気がする。これを天命と受け止めて、この圧力に倒されることなく、バネにして楽しく演じようと思っています!」。米團治の名跡を継いで10年。まだまだ世間一般には認知されていないと話す。「これからの10年は米團治という名前を認知してもらうように一生けん命、頑張ります。ただ、60代ということで元気なだけではない、ある種枯れていく時代にも入ります。7割ぐらいの力で楽しんでいる米團治を見ていただければと思います」。「還暦&噺家生活40周年記念『桂米團治独演会』」ではほかに「稽古屋」を披露。また、2018年に上方落語協会会長に就任した笑福亭仁智がゲスト出演。弟子の桂米輝が開口一番を務めるほか、桂米紫、桂吉の丞による『スライドショー』も行われる。チケットは発売中。取材・文:岩本和子
2018年12月21日新歌舞伎座開場60周年を記念して桂雀々の独演会が開かれる。講談師の神田松之丞を昼夜のゲストに迎え、昼の部は『天神山』他一席を、夜の部は『愛宕山』他一席を披露する。「桂雀々独演会 in 大阪 新歌舞伎座」チケット情報師匠の生誕80年であり、没後20年となる節目の2019年。枝雀の落語を超えていきたい、その大きな壁、いや山を登りたいと『天神山』と『愛宕山』を選んだ。「僕が30代前半の時でしたかね、師匠に“おまはんは『天神山』とか『代書』とか『宿替え』や『かぜうどん』はやらないのか?”と聞かれたことがあるんです。その当時は、師匠が高座で口演するネタをやるなんて、めっそうもない。ファンは、桂枝雀の得意ネタを観たいから来てるんであって、それを僕がやるなんてそんなそんな…と答えたんです。そしたら“いやいや、あのネタは覚えといたほうがええで”と言ってくださって…。それきっかけに、もう一度、師匠のところに稽古に通ったことがあるんです。その時、最初に稽古してくれたのが『天神山』。非常にわかりやすい教え方でした。“狐も人間も関係ない、生きてるもんは皆おなじや”という情の部分の入れ具合、狐の母と息子の物語、魂の入れ方、力の込め方、最後にほっこりと温もりを感じさせる言い回し、間合い、表情、場面リアリティのある設定、すべてかいつまんで教えてくれました」。『愛宕山』のネタおろしは21歳のとき。「芸歴5年にして初独演会でして。うちの師匠やみんなが父兄参観日みたいに来てくれました。その時、上岡龍太郎さんもいてはって、“舞妓さんの(描写の)かわいいこと。そのかわり愛宕山のまぁ、低いこと”って。自分ではすごく高い山に登ってる気やったんですけど(笑)。ある意味、その言葉が糧になりましたね。10年後に見てもらったら“山、ちょっと高なったなあ”て」。枝雀没後20年が過ぎた。「今こそ、桂枝雀の名を広めないとあかんなと思っています」と力を込める。「“こんなすごい先駆者がいたんですよ”と声を大にして言いたいですね。僕は毎晩、寝る前に師匠の落語を聞くんです。常に師匠の音源を体に通したいと思っています」。枝雀は師弟関係を越えた特別な存在だ。「僕にとっては大きな柱です。16歳でこの人に出会っていなかったら、今の僕もない。本物の父以上の存在ですね。落語に通じる親子やったんやなと思います」。『桂雀々独演会』は2月11日(月・祝)、大阪・上本町の新歌舞伎座で開催。昼の部は、指揮者の佐渡裕と、夜の部は根本要(スターダスト☆レビュー)が特別ゲストとして登場する。トークと歌で、桂枝雀を偲ぶ。チケット発売中。取材・文:岩本和子
2018年12月12日三遊亭円楽がプロデュースをつとめる落語の祭典「さっぽろ落語まつり」が5月24日(金)・25日(土)・26日(日)の3日間、北海道・札幌文化芸術劇場 hitaruほか3会場で開催される事が決定した。【チケット情報はこちら】出演は三遊亭円楽のほか、林家木久扇、桂文枝、三遊亭好楽、三遊亭小遊三、桂文珍、笑福亭鶴瓶、立川志の輔など東西の人気落語家28名。会場は、札幌文化芸術劇場 hitaru、道新ホール、共済ホールの3会場で、合計13公演を予定している。12月5日に行われた制作記者発表にて、プロデューサーを務める三遊亭円楽は「札幌に大きな落語の花火をあげるべく、東西を代表する腕のある噺家が一堂に集結します。3会場同時に様々な公演が開催されるので、お客様のお好きなように会場を巡り、新たな落語の楽しみを発見をして頂きたい。札幌に落語のファンを増やせたら」と意気込みを語った。チケットの一般発売は12月22日(土)午前10時より。なお、一般発売に先駆けて、プリセールを実施。受付は12月12日(水)午前10時より。■三遊亭円楽プロデュース さっぽろ 落語まつり日時:5月24日(金)・25日(土)・26(日)会場:札幌文化芸術劇場hitaru / 道新ホール / 共済ホール
2018年12月11日お笑い芸人の土田晃之が、28日に放送されたラジオ番組『日曜のへそ』(ニッポン放送/毎週日曜12:00~13:40)で、「お笑い界にもドラフト制があったら面白いのでは?」という提言をした。先日開催されたプロ野球のドラフト会議を受けて、「野球だけじゃないですか? こんな騒がれるのは」とその特異性を指摘した土田。「芸人とかあります?『あいつが今年ナベプロに入った』みたいな」と例え、さらには「ドラフトやればいいのにね! 芸人も」と語った。続けて土田は、芸能プロダクションが運営する芸人養成学校は数多くあるものの、そこにいる生徒は「プロ」ではないため、各プロダクション合同でドラフトが出来るのではないかと主張。「そんなのやってくれたらちょっと面白いですけどね。第1巡選択希望選手○○(ツッコミ)みたいな(笑)」と言い、「M‐1やR-1、キングオブコントみたいに、吉本さんあたりがこういうのやってくれたら」と、希望を述べた。また、土田がドラフトを指名する立場だったら誰を取るかという話になると「さんまさん取りたいです」と言い、「でも、さんまさんとかダウンタウンさんとかになっちゃうと、FA扱いというか…FA権も芸能界、欲しいよね!」と新たな提案をしていた。その上で「もしFA権があったら、ウチの事務所(太田プロダクション)なんか有吉とか必死で引き止めにいくでしょうね。『よそ行かないでくれ!』みたいな(笑)」と冗談交じりに話し「そんなのやってくれたら、芸能界もちょっと面白かったりするんじゃないかと思いますよね」と持論を展開した。
2018年11月01日10月23日(木)より大阪・ABCホールにて『Small Town, Big City~大阪でひろった4つの小石~』が上演される。総合演出をPiper・後藤ひろひとが担い、後藤と玉造小劇店・わかぎゑふ、空晴・岡部尚子、THE ROB CARLTON・村角太洋が脚本を担当した4作品を繰り広げるオムニバス舞台だ。ぼんちおさむ、福本愛菜が作品をつなぐ狂言回しの役割を担い、関西の小劇団を中心に活動する俳優陣が出演する。「Small Town,Big City ~大阪でひろった4つの小石~」チケット情報大阪府を東西南北に分け、それぞれの地域の物語が展開する。総合演出の後藤が「信頼があり、何かやってくれるだろうし、それぞればらばらな作品を書いてくるだろう」と確信して、3人の作家に声をかけた。「1つの舞台の現場に複数の作・演出家が集うことはものすごく楽しい」と後藤、声を弾ませる。後藤は西側担当、大正区の物語だ。「沖縄と大阪の雰囲気が良く出ています」と、実在する商店街や場所も盛り込んだ。わかぎは南担当。後藤からの注文が“あまり有名じゃない場所の話”ということで、ローカル線の水間鉄道に入社した青年の物語を書き下ろした。「2000年までは小劇団のコラボ公演などたくさんあったのですが、随分静かになってしまって。でもこうして久しぶりにできて楽しいです」とわかぎ、この4人での取り組みが、舞台はもちろん関西小劇場界にケミストリーを起こしたら面白いと期待を寄せる。東エリアを担当する岡部の作品は門真が舞台だ。劇団で発表したリーディング作品『一番の誕生日!』を20分の芝居に置き換えた。「門真と言っても駅は古川橋という勘違いがよくあって。いつも誤解や勘違いが招くシチュエーション・コメディを書いているので、ちょうどいいかなと思いました」と岡部。3人の男が分娩室の前で出産を待つストーリーだ。最若手の村角は北側担当。「北摂ということで、舞台は阪急の高槻市駅のホームです。終電を待つ間の20分間をリアルタイムで体感する二人芝居です」と村角。普段の脚本は標準語が多く、関西弁で初めて書いた。「俳優もあまり関西弁を使う芝居に出たことないので、それも新しい挑戦です。派手ではないですが、地味に面白いことができるのでは」と意気込んだ。上演順は未定だが、最終的には一つの場所へと着地する。「ダイナミックなことをするわけでなく、副題にもあるように“拾った小石”ぐらいの感覚」と後藤、身近に感じられるようなオムニバス人情コメディを贈る。公演は10月23日(火)から25日(木)まで、大阪・ABCホールにて。チケットは発売中。取材・文:岩本和子
2018年10月15日今年で結成30年を迎えた社会風刺コント集団、ザ・ニュースペーパー。30周年記念公演ツアーを前に、「安倍シンゾウ」こと福本ヒデに話を聞いた。【チケット情報はこちら】先の総裁選を戦った石破茂氏も持ちネタとする福本は「石破さんが選ばれていれば今日は石破さんで来ました」とすまして語る。与野党を問わず多くの政治家と実際に会う事も多く、石破氏本人からは自身のモノマネを「嬉しく…なくはない」と言われたとか。「器の大きい方ほど面白がってくれる気がします。風刺って悪口じゃないので。例えば集会とかで人のことを悪く言って拍手をもらうのとは違うんです。日々のニュースをどう面白く伝えるか。そこはこだわってますし、ご本人にもわかっていただけているのかな」舞台では、9人のメンバーがひとりあたり3役~4役を入れ替わり演じながら、10分~15分のコントをオムニバス形式でつなぐ。政治家に限らず、今回も個性的なキャラクターが続々登場する予定。「基本は“ニュース”ですから、その時に話題になっている人が登場するので内容は未定です。安倍さんとトランプさんは確実に出ると思いますけど(笑)。ネタの急な差し替えもしょっちゅうですよ。例えば誰かが失言したとか、辞任したとか、ミサイルが飛んだとか。ニュースによっては舞台の当日でもネタは変わります。でもまあ政府と一緒で、そんなに慌てません(笑)」平成30年に結成30年という節目の年を迎える彼ら。「平成も来年で終わりですからね。30年の総まとめ、みたいなネタはやろうと思っています。あの二子山部屋を軸に30年を語る、とか。僕、貴乃花もやってましたので(笑)。政治以外のニュースももちろん取り上げます。地元ネタ、福岡ソフトバンクホークスにも触れたいですね」世界遺産検定1級の保持者でもある福本。個人的な趣味だというが、舞台に生かされたことも。「富士山が世界遺産に登録された時、メンバーが富士山、三保の松原 、鎌倉の大仏に扮したコントをやりました(笑)。僕たちは人だけでなく、モノを擬人化して演じることもあります。来年は消費税が10%になるから、今の8%に比べてぐっと登場機会が減ることになる“1円玉の嘆き”なんてやろうかな(笑)」とアイデアは尽きない。「2019年の初めの舞台ということで、2018年の総決算みたいなことはやるつもりです。難しいことはわかりやすく、元々わかりやすいものでも面白くひねって皆さんにお届けします。若い人にも来ていただきたいし、普段ニュースは見ているけれど、お笑いや舞台は見ないなんていう中高年の方にもぜひ来ていただきたいですね」『ザ・ニュースペーパー JR博多シティライブ vol.8』は、2019年1月20日(日)JR九州ホールにて。チケットの一般発売は10月19日(金)午前10時より。その他、全国各地で公演あり。
2018年10月15日落語家・笑福亭鶴瓶の古典落語愛がとまらない。正確に記すと、2年前&3年前の『山名屋浦里』は江戸時代を舞台にしているとはいえタモリ氏原案の新作落語(創作落語)だったし、『青木先生』など、自身の経験を落語化した噺も得意な人ではある。けれど、昨年の『妾馬(めかうま)』に続き、『徂徠豆腐(そらいどうふ)』という古典を今回の落語会のメインに据える笑福亭鶴瓶に、その魅力から話を聞いた。【チケット情報はこちら】「僕が好きだなぁと思う古典落語は、やっぱり情のある噺なんです。『徂徠豆腐』で言えば“ごはんを食べられないよりも辛いのは、自分が心に決めたことを成せずに死んでいくこと”というテーマに情を込められたらなぁと。しかも、説教くさくならずにね。その点で心強いのが大阪弁です。大阪弁って、目線が低いというか、説教くさくなりようがないでしょ。『ほら、あの、それであれやな』みたいなね(笑)。なにを言うてるかわからへんけど、だからこその情も出ると思うんです」稽古でこだわるのは、「観客の頭の中で映像化される落語になっているか否か」。最近では、大河ドラマ『西郷どん』の岩倉具視役が話題となるなど、当代きっての個性派俳優でもあるのだから、そのこだわりにも説得力がある。「大河という縄跳びの輪っかに入れるかどうかというのは、すっごく心配でした。最初の頃は鈴木亮平にもボロっかす言われてましたけど、まぁ、なんとか輪っかには入れてもらえて。仲がよかったり、お世話になってる人から役者の仕事の声をかけられると“やりたい!”って思ってしまうんです。でも、レギュラーの仕事もあって『家族に乾杯』なんて月に2、3回は地方に旅行に出かけるわけで。正直に言うと“さすがに時間ないなぁ”と思う時があることはあるんです。でも、なにかひとつでも中途半端になるのって悔しいでしょ?だから、ある人からは“実は鶴瓶さんって2、3人いるんじゃないかと思っていました”なんてことを真顔で言われながらも、この状況を楽しんどこうと思っています。あ、でもいちおう言うとくと笑福亭鶴瓶はひとりしかいません。未来の人やないんやから、時空は越えられません(笑)」2018年は、師匠(六代目笑福亭松鶴)の生誕100年というメモリアルイヤーでもある。全国各地をまわる今回の落語会では、『徂徠豆腐』をメインに据えつつ、久しぶりの噺も演目に加えられる予定。師匠の十八番である『らくだ』も堪能できるかもしれない。笑福亭鶴瓶落語会は10月25日(木)、大阪・森ノ宮ピロティホールより全国を巡演。取材・文:唐澤和也
2018年09月21日ピンクのドレスを身にまとい、漫才、コント、コーラスといったネタで楽しませる阿佐ヶ谷姉妹。今年は『キングオブコント2018』準決勝に進出。7月には初のエッセイ本『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』も出版し、ふたりの“別居”も話題になった。10月、大阪・味園ユニバースと神戸・クラブ月世界で単独ライブ3『ドアーを開けて』を開く。「阿佐ヶ谷姉妹 単独ライブ3」チケット情報大阪、神戸とも昭和のナイトクラブの趣を残す会場だ。「どちらもとても雰囲気のある会場を借りることができました。あの中で、お客様と一緒に新たな扉を開く覚悟でライブをできたら」と“姉”の渡辺江里子(以下、えりこ)。今回はドリンク片手にステージを楽しめる。また、ファンは同世代が多く、年齢層も高めなことから、「お手洗い休憩はちゃんと設けますので、安心して来ていただけると思います」(えりこ)といざなう。ライブは漫才・コントのネタと歌のコーナーを予定している。今年は特にコントに力を注ぐ。「今年は『キングオブコント』の準決勝にギリギリ滑りこむことができました。切磋琢磨して、もう1段階、2段階パワーアップしたコントをお見せしたい」とえりこ。また、“妹”の木村美穂(以下、みほ)も「等身大のおばさんのコントがひとつ、できました。それもブラッシュアップして皆様にもお披露目できたら」と意気込む。歌は生演奏だ。「前回の大阪公演は3ピースバンドでしたが、今回はおそらくそれ以上になると思います。会場の雰囲気に合う形で演奏も豪華にできたらなと思っています」とえりこ。衣装も考え中で、「七変化をお楽しみください」と本人たちも嬉しそうだ。「おばさんのおばさんによるおばさんのためのライブを開きたい」とえりこ。そして「まだまだおばさんも奥深いので、おばさんの多様性も掘り下げてネタを作れたら。ふたりの関係性も、同居からお隣同士になって変わってきているところもあると思うので、漫才にも生かせたらと思います」とみほ。続けて「新しく“みほコーナー”ができるかもしれません!」と新提案も。この時初耳だったえりこも「“みほコーナー”、いいわね!」と意欲を見せた。公演は、10月3日(水)・4日(木)東京キネマ倶楽部、9日(火)愛知・ボトムライン、11日(木)・12日(金)大阪・味園 ユニバース、14日(日)兵庫・Live Hall クラブ月世界にて。チケットは発売中。取材・文:岩本和子
2018年08月29日全10話からなる三遊亭白鳥作の「任侠流れの豚次伝」を柳家三三が五か月連続で披露する。大阪は8月9日(木)から大阪・ナレッジシアターでスタート。埼玉県秩父の養豚場で生まれた子ブタの豚次が、出会いや別れ、戦い、そして友情に支えられ、おのれの運命を切り開きながら任侠の道を生きていく。流れ着くのは香川・金毘羅。秩父から金毘羅までを縞の合羽に三度笠で旅をする、任侠・豚次の壮大な成長物語だ。またたびさんざ 柳家三三 四都市 五ヶ月連続独演会 三遊亭白鳥作「任侠流れの豚次伝」チケット情報昨年、大阪、名古屋、福岡で初の6か月間連続独演会を行った三三は、一話完結ではない、続き物の落語の楽しみ方を提供することができたという。「今年は続き物でも違うパターンを。三遊亭白鳥師匠の新作落語で、一言でいえば豚が男を磨く物語です」。毎月1回、二話ずつ口演。一話だけでも、途中からでも楽しめる内容になっているが、毎回、あらすじや相関図を記した自作のパンフレットも用意し、噺の世界へといざなう。「登場するのは動物だけですが、キャラクターが多彩なので、各回とも飽きずに見ていただけると思います。任侠ものなので闘うシーンもあるのですが、ブタ対サルとか、ブタ対ネコとか。ブー!とかキー!とか呻いているだけの時間もあって、どんな感じか想像していただけるとさらに面白いと思います」。作者の三遊亭白鳥は創作落語の名手でもある。その魅力を問うと、「設定はハチャメチャですが、物語が実に緻密にできていて、セリフも無駄なものがないんです。出てきた要素を全部、回収していきます。演じていても“ああ、なるほど”と。笑いの要素も多いです」と三三。一方の白鳥は「三三が演じると物語の形が整う」と話しているようで、白鳥が生んだ物語を三三が成長させると、その様はまるでカッコウの托卵だと笑う。「白鳥師匠の落語は味付けが濃いですし、朝昼晩と濃厚なラーメンを食べるような感じですが、そこも楽しんでいただけたら。落語会の醍醐味はお客様が笑ったり、手を叩いたりして生まれる空間があることです。お客様のリアクションによって次にどう表現しようか変わってくる。この連続独演会も毎回違ったライブになることを楽しみにしています」と三三。「任侠流れの豚次伝」は12月まで続く。取材・文:岩本和子
2018年08月08日飯塚悟志、角田晃広、豊本明長によるお笑いトリオ・東京03の単独公演『不自然体』がついに開幕。7月4日から8日まで上演された東京公演を皮切りに、福岡、長崎、長野、愛知、静岡、大阪、北海道、岡山、広島、新潟、宮城と、全国12都市を巡る。また10月12日(金)から14日(日)まで東京・ガーデンホールでの追加公演も決定。そこで気になる公演の内容を、ちょっとだけご紹介する。【チケット情報はこちら】中年男性たちの日常を舞台に、絶妙な切り口と抜群の演技力で、独自のコントの世界を切り開いてきた東京03の3人。今回はタイトルにもあるように、“不自然”な状況や人物が続々と登場。豊本ののほほんとしたマイペースな雰囲気と、角田の少々暴走気味のボケ、そこに飯塚の的確でキレのいいツッコミが炸裂し、少しの不自然がラストに向かって爆発的な笑いを生んでいく。今回も7本の新ネタを用意。サラリーマンに喫茶店のマスターと客、高校の同窓会にワールドカップのテレビ観戦など、どれもこれも身近な設定ばかり。だがそこに潜む微妙な不自然を見つけるのが、彼らは本当にうまい。そしてやはり目を引くのが、角田の振り切ったハイテンションぶりとクドさ。それにはネタの共同作成者である飯塚でさえも、笑いをこらえるため、つい顔をそむけてしまうほど。また豊美(=女性役の豊本)の登場も、ファンには嬉しいところだ。東京03の単独公演でもうひとつ欠かせないのが、ネタとネタの間に流れる映像。こういった映像は時に単なる場繋ぎのようにも思われがちだが、これが十分1本のネタと言えるほどクオリティの高い仕上がり。前ネタをより膨らませ、新たな笑いを生み出すのはもちろん、短編ドラマのような趣もあり、PVのような楽しさもあり、なんと宣伝までも兼ねていたりする。その手のかけよう、こだわりには驚くばかりだ。またサウンドトラックCDを販売するほど、楽曲にも力を入れている。事前のインタビューでは「今回かなりいいと思いますよ」と自信をのぞかせていた3人。それが間違いでなかったことは、観客の反応のよさを見れば明らかだ。チケットの購入はもちろん早めがおすすめだが、10月13日(土)には各地でライブビューイングも。実はこのライブビューイング、角田が必ずミスをするという、東京03にとっては鬼門の公演でもあるらしい。飯塚はこう笑う。「角ちゃんが噛まずに最後までやれたら、全劇場でスタンディングオーベーションしてあげてください!」取材・文:野上瑠美子《追加公演チケット販売スケジュール》詳細は下記チケットリンクをご確認ください・いち早プレリザーブ:7月17日(火)12:00~7月22日(日)23:59・プレリザーブ:7月20日(金)12:00~7月25日(水)23:59・一般販売:8月4日(土)10:00~
2018年07月24日いま最も勢いのある漫才師・千鳥が贈る、年に1度のスペシャルステージ『千鳥の大漫才』。年々人気に拍車がかかり、今では開催の度に満員御礼と、大好評を博している本公演。今年はこれまでの開催地である東京、大阪に加え、広島、福岡もめぐる4都市での開催が決定した。「千鳥の大漫才2018」チケット情報バラエティ、CM等で今や飛ぶ鳥を落とす勢いの彼らが、漫才番長としての実力をたっぷりと見せつける新作漫才、そして昨年の単独ライブで話題を呼んだスペシャル企画など、今回も“クセがすごい”と唸らずにはいられないラインナップでお届けする。公演は、10月11日(木)東京・中野サンプラザ、11月8日(木)広島・JMSアステールプラザ大ホール、11月15日(木)大阪・梅田芸術劇場メインホール、11月29日(木)福岡・博多座にて開催。チケットは8月11日(土・祝)10:00より一般発売開始。一般発売に先駆け、チケットぴあでは7月28日(土)10:00よりプレリザーブの受付を開始。『千鳥の大漫才2018』【東京公演】日時:10月11日(木) 18:15開場 19:00開演会場:中野サンプラザ料金:5800円(全席指定)※5歳以上有料、4歳以下ひざ上無料(座席が必要な場合は有料)。【広島公演】日時:11月8日(木) 18:15開場 19:00開演会場:JMSアステールプラザ大ホール料金:5800円(全席指定)※5歳以上有料、4歳以下ひざ上無料(座席が必要な場合は有料)。【大阪公演】日時:11月15日(木) 18:15開場 19:00開演会場:梅田芸術劇場メインホール料金:5800円(全席指定)※5歳以上有料、4歳以下ひざ上無料(座席が必要な場合は有料)。【福岡公演】日時:11月29日(木) 18:00開場 19:00開演会場:博多座料金:5800円(全席指定)※4歳以上入場可(有料/ひざ上不可)。
2018年07月16日1993年に柳家小三治に入門、2006年の真打昇進後も芸術選奨新人賞を受賞するなど、古典落語への真摯な取り組みが高い評価を得ている柳家三三。昨年は、幕末から明治期の大作『嶋鵆沖白浪(しまちどりおきつしらなみ)』を毎月2話ずつ、6か月連続上演。三三自らが古い資料にあたって復活させた口演は、落語の味わい深さを表わして大きな話題となった。「来年もぜひ“続きもの”を」との声に押され、三三が今年選んだのは、創作落語で人気の三遊亭白鳥作『任侠流れの豚次伝(にんきょうながれのぶたじでん)』。昨年とは一転して、ブタを主人公にしたコミカルな“続きもの”に挑戦する三三に話を聞いた。【チケット情報はこちら】秩父の養豚場で生まれた子ブタの豚次は、上野や大阪、名古屋、果ては鳴門海峡にも旅するなか、任侠に生きる“流れの豚次”として成長していく。牛やチャボ、猿などさまざまな動物たちと出会い、戦い、友情を誓い合う豚次の運命はいかに……!日大芸術学部出身でユニークな芸風の白鳥と、ストイックなイメージの三三との組み合わせは意外なようだが、実は二人会も催すほど親しい仲。昨年、横浜にぎわい座で三三が本作を高座にかけた際は、「ひづめの形でボクシングしたり、“ウキー”と“ブー”でケンカのシーンが続いたり」(三三)という熱演で、客席をおおいに湧かせている。今回は8月から12月の5か月間、名古屋、大阪、広島、福岡の4都市にて上演。毎月2話ずつ観ていけば、最後の12月で全10話が完結する仕掛けだ。もちろん、1回(2話分)だけ観ても充分に楽しめるのは、『雨のベルサイユ』(第四話)、『男旅牛太郎』(第六話)など、ひとクセあるタイトルを見ても明らか。「羞恥心を乗り越えるという意味で、ハードルが高い演目」と憎まれ口を叩く三三だが、それでも「この無駄な(登場人物たちの)やりとりはなんだろうと思っていても、あとからそのシーンが生きてきたりと、意外に緻密な構成になってるんですよ」と本作の魅力を語る。「本作の下敷きになっている『清水次郎長』もそうですけど、講談や浪曲などは色んな人が口演することで普遍的な演目になっていきますよね。この“豚次”も、そうなるんじゃないかなと思っています」と、本作について話す三三。「僕らにしても、名作だからやらなければいけないという気はなくて、やっぱりその噺を好きだから、やりたいから、やるんですよね。お客さんと一緒にハラハラドキドキして楽しむという意味では、古典落語も新作落語も関係ないと思うんです」と三三は言う。「自分はこういうことも出来るんだな、という“自分の武器”がまたひとつ把握できた」という本作で、三三の魅力をたっぷりと味わいたい。公演は8月8日(水)愛知・愛知県芸術劇場小ホール、8月9日(木)大阪・グランフロント大阪北館4Fナレッジシアターにて始まり、4都市で5か月にわたって開催。チケットは発売中。取材・文/佐藤さくら
2018年07月13日お笑い芸人・東京03の第20回単独公演『不自然体』が、7月4日(水)、東京・新国立劇場 中劇場で開幕。そこで記念すべき20回目の公演を間近に控えた、東京03の飯塚悟志、角田晃広、豊本明長に話を聞いた。【チケット情報はコチラ】約4か月をかけ、全国12都市で27公演を行う東京03の3人。中には同じネタを何度もやることに“飽き”を感じる芸人もいるが、どうやら彼らは違うらしい。「ネタをやるのは単純に楽しいですし、特に単独の場合、今自分たちが1番面白い!と思っているものを新ネタとして披露出来るわけですからね。そこはより多くの人に観てもらいたいって気持ちの方が強いです」(飯塚)。「僕はどっちかっていうと役者気質なので(笑)、飽きるってことはまずありません。地方によっても、回によっても反応が違いますし。それも含めて楽しめちゃいますね」(角田)。「ちょっと飽きて、また面白くなってみたいな周期が、ネタ毎にそれぞれあるんですよ。今回であれば7本ネタがあって、常にそのうちのなにかは面白い。つまり公演中飽きることはないんです」(豊本)。ネタづくりの段階では相当難航したようだが、公演初日を直前に控えた今、3人はその仕上がり具合について「かなりいい」と自信をのぞかせる。「今回は『不自然体』ってタイトルとの絡みもうまくいったと思います。不自然な状況も多いですし、不自然な人も多く出てきますし」(飯塚)。「いい感じに不自然だと思いますね。まぁコントって、どれも不自然っちゃ不自然なんですけど(笑)」(角田)。「確かにね。自然だとコントとして成立しないかも(笑)」(豊本)。「つまりは万能でいいタイトルだと思いますよ」(飯塚)。すでに7月の東京公演は完売しているが、新たに東京・ガーデンホールでの追加公演6回が決定。10月13日(土)には各地でライブビューイングも行われる。「角ちゃんは過去、ライブビューイングで全敗していますからね(笑)」(飯塚)。「そう、絶対間違えるんですよ。せりふが飛んだり、噛んだり。大画面で大勢の人が見ていると思うと、ドキドキしちゃうんです。俺、プレッシャーに弱いんで!」(角田)。「ハハハハ、だせえな!」(飯塚)。「先に間違えてくれるので、こっちとしてはありがたいですけどね」(豊本)。「まぁ20回目の単独ですし、今回も派手に決めますよ!」(角田)。「すげぇ困るんだよな~、それ宣言されちゃうと」(飯塚)。「テロですよ、テロ(笑)」(豊本)。取材・文:野上瑠美子《追加公演チケット販売スケジュール》詳細は下記チケットリンクをご確認ください・いち早プレリザーブ:7月17日(火)12:00~7月22日(日)23:59・プレリザーブ:7月20日(金)12:00~7月25日(水)23:59・一般販売:8月4日(土)10:00~《東京03オフィシャルアプリ" TOKYO03 Company"》第20回単独公演「不自然体」開催期間中は、入会キャンペーンを実施中!詳細は公式HPをご確認ください。
2018年07月04日久本雅美が生誕60年を記念した舞台『マチャミの婚前披露宴還暦すぎてもヨロちくび~!』を全国5都市で上演する。大阪市内で開かれた会見で久本は「60歳なんてあっという間。想像よりは元気やな」と、7月に還暦を迎える心境を吐露。「『60歳でもこんなことやるんかい』と楽しんでいただけるよう、今回も暴れます!」と気合い十分に語った。「マチャミの婚前披露宴 還暦すぎてもヨロちくび~!」チケット情報そもそも過去に3人の占い師から、60代で「結婚」「ラブ運上昇」「モテ期到来!」と3連チャンで太鼓判を押されたことが、今回の企画への後押しになったと明かす。「いくら胡散臭くても別々の場所で3人の占い師から『60歳から恋愛運が良い』って言われたら、当たるでしょ」。期待に胸膨らませながらも今作は「予行演習」であることを宣言。当日は新郎不在の壮大な“妄想披露宴”をド派手に執り行う。会場ごとに松尾貴史、青木隆治、柴田理恵ら多彩な顔ぶれが司会、主賓、友人として出席。観客も列席者という設定だ。「松崎しげるさんに『愛のメモリー』を歌っていただき、劇団の梅垣義明はナジャ・グランディーバさんというドラァグクイーンとタッグを組んで見せてくれます。他にも豪華メンバーによるあらゆる祝辞、あらゆるパフォーマンスをご覧いただくのがコンセプト。私自身も思いを込めてパフォーマンスさせていただきます」。公演チラシは、海辺をバックに純白のウエディングドレス姿の久本が微笑むデザイン。これまで「唯一縁がなかった雑誌」という結婚情報誌の表紙をイメージした。「憧れの『ゼクシィ』風です。メイク中は金髪のカール姿が『あれ、戸川昌子さんかな?私シャンソン歌手になってない!?』と心配でしたが、キレイに仕上げていただき満足しております(笑)」。実は50歳の時も、大阪では同様の記念舞台を上演している。「その時は、お客さんにも『60歳でほんまに結婚して赤いウエディングドレス姿で報告するから、みんなも披露宴に来てや~』と宣言してたのに、まさかのパート2。再び皆さんに祝っていただき、これからの人生の糧にしたい」と久本。それゆえ、観客巻き込み型のステージを楽しんでほしいとも。「50歳のときに母親が亡くなって、その時は何年か後に歌手のBOROさんに舞台で『大阪で生まれた女』を歌っていただき、天国の母に捧げたんですけど…。披露宴ですから、両親への感謝の気持ちも込めて、今回も何かできればいいなと。笑かしながらもグッと来て、ハッピーオーラ全開です!まずは地元大阪から一生に一度の披露宴を3公演もかましていくので、独身、カップル、ご家族連れの方まで元気になっていただければ。観に来た友人、親族も泣きながら楽しんでくれると思います(笑)」。公演は、9月22日(土)・23日(日)大阪・森ノ宮ピロティホール、9月29日(土)東京国際フォーラムホールC、11月3日(土・祝)・4日(日)京都劇場にて上演。地方公演あり。チケットは全国一斉6月30日(土)10:00より発売。一般発売に先駆け、6月29日(金)18:00まで大阪・京都公演の先行先着プリセール実施中。取材・文:石橋法子
2018年06月29日昨年のインタビューの「フリートークの本質とは?」との問いに「自由は不自由」と答えた笑福亭鶴瓶。25周年を迎える鶴瓶噺の舞台を控えた男に「では、鶴瓶噺の本質とは?」から話を聞いた。【チケット情報はこちら】「“自由は不自由”にもつながるかもしれませんが、“無意識が運命を決める”と感じています。もともとは『家族に乾杯』で決め事をするとおもしろくならないなぁと感じたからうまれた言葉なんですけど、鶴瓶噺も本当にそうで。たとえば、ある公演がウケたとすると、やっぱり鶴瓶噺はアトランダムがいいんだなぁと思う。自由に本当にあったことをしゃべろうと。でも、次の公演ではアトランダムにいこうと意識すること自体が、もうあかんのでしょう。ウケが弱くなる。禅問答のようでキリがないんですけど、それが鶴瓶噺だと思います」鶴瓶噺で紡がれるのは、本当にあったおもしろいこと。その「本当」には出会うことも再現することも作為があってはならないということなのか。まるで剣豪のような境地であり、簡単そうで難しいと想像するが、演者の内面はどうか。この25年間で喜怒哀楽が占める比率も変わってきたのだろうか?「最近は、どうなんやろうなぁ。でも“怒”はもう、あんまりないです。この間もね、僕は肩紐付きの小さなバッグを使っているんですけど、車椅子の方のタイヤにその紐が引っかかってしまって。その方には申し訳ないことしたなぁと思って、めっちゃ謝りましたけど、“どうすれば引っかかるの?”ってそのバッグには腹が立って(笑)。あとは、タクシーのナビ。高速に乗って、ある所で降ろしてもらおうとすると、いっつも反対側の出口に降ろしよるんです。“ここどこ?”っていっつもなる。ナビって衛星を打ち上げて宇宙のすごいところからがんばってるんでしょ?なのに、いっつも(笑)。あれは頭にくるんですけど、おかしいですね。いま振り返ったら、僕の最近の喜怒哀楽は怒ばっかりでした(笑)」2時間ノンストップ×公演数×25年。鶴瓶噺を四半世紀も積み重ねてきた男には、いわゆる表現者の孤独が「一切ない」と言う。でも、「朝、歯を磨いている時にうしろから“お前、ええ加減にせえよ!”と知らないおっさんに怒られたらめっちゃ怖い」と真顔で続けた。この独特な会話の変換感覚。怒を(笑)に変換するように、笑福亭鶴瓶は自分が感じる「おもろいってなんだ?」に純粋であり続けている。作為なく、無意識のうちに。「太田胃散 PRESENTS TSURUBEBANASHI2018」は4月11日(水)から15日(日)まで、東京・世田谷パブリックシアター、4月18日(水) から22日(日)まで、大阪・森ノ宮ピロティホールで上演。チケットの一般発売は3月10日(土)午前10時より。取材・文:唐澤和也
2018年02月27日桂吉弥、桂春蝶、桂かい枝による落語会『くしかつの会』が3月5日(月)、大阪・ABCホールで開催される。2度目の開催となる今回の公演に向けて、3人が意気込みを語った。「吉弥・春蝶・かい枝 くしかつの会」チケット情報桂吉朝に入門し、桂米朝のもとで内弟子期間を過ごした吉弥、三代目桂春團治に入門した春蝶、五代目桂文枝に入門したかい枝。3人は1994年に入門した同期であり、良きライバルで「今後の上方落語を引っ張っていく存在になれるように」と、本公演が昨年初開催された。昨年は、吉弥が『百年目』、春蝶が『芝浜』、かい枝が『三十石夢の通い路』と、東西を代表する大ネタを披露した。今回も「大ネタを堪能してもらおう」と、吉弥が『地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)』、春蝶が『たちぎれ』、かい枝が『子はかすがい』を口演する。『地獄八景亡者戯』は、時事ネタを織り交ぜて展開する“あの世”の話。「大ネタではありますが、他愛もない、今どきのお話。3人とも“四天王”といわれる人のもとで弟子を経験し、そのエッセンスを伝えるのは僕ら世代じゃないかなと。僕らが素敵やなと思うところを、初めて聴く方にもいかに分かってもらえるか、そういうことを考えながらやっていかなあかんなと思っています」と意気込む吉弥。若旦那と芸妓の悲恋を描いた『たちぎれ』について春蝶は「いつでも繋がれる今の時代、会えない哀しさを表現できるのは、実は古典なんじゃないかなと思う。『君の名は。』で心動かされた方は、ぜひ『たちぎれ』を聴きにきていただきたいですね(笑)」。また親子の情愛を描いた『子はかすがい』を披露するかい枝は「今回は人情噺。親子にまつわる事件が多い中、いつの時代でも通じるものがあると思います」とコメント。前回公演では「初めて落語を聴きに来られた方も多かったけど、喜んでいただけた」と、3人は手応えを感じた様子。刺激し合える3人だからこそ、成功に繋がった。「いつも意識するのはお客さんだけ。でもこの同期の会はふたりに負けたくない気持ちも生まれるので、疲れました(笑)」とかい枝。また春蝶は「世阿弥の『初心忘るべからず』という言葉は、“初心(=未熟な頃)に戻ってはいけないけど、たまには戻ることも大切”という意味。このメンバーとやるとものすごく緊張するし、地に足がついていない状態になる。そういう状況を年に一度でも提供してくれるこのふたりと、僕は老後まで続けていきたいなと思うんです」としみじみ語った。チケットは発売中。
2018年02月22日友近の全国ライブツアー「友近ワイド劇場」が4月から5月にかけて開催されることが発表された。ツアー初開催となる高知を含め全国6か所(7公演)を駆け巡る。友近ワイド劇場 チケット情報今回もロバート秋山や渡辺直美、ゆりやんレトリィバァなど超豪華メンバーが集結。江戸川乱歩の世界を、友近と個性豊かな面々が笑いを通して表現する。新ネタやユニットコントも披露される模様。独特な世界観が繰り広げられる友近ワールドをこの機会にお楽しみあれ。チケットぴあではプレイガイド最速先行を2月6日(火)11:00~2月12日(月・祝)23:59まで受付中。■友近全国ライブツアー「友近ワイド劇場」4月8日(日)東京・有楽町よみうりホール開場/16:00開演/16:30バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、ハリセンボン近藤春菜、渡辺直美4月25日(水)大阪・なんばグランド花月開場/19:00開演/19:30バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、シソンヌじろう、渡辺直美4月29日(日)高知・高知市文化プラザかるぽーと大ホール開場/15:30開演/16:00バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、シソンヌじろう、渡辺直美5月6日(日)名古屋・日本特殊陶業市民会館フォレストホール開場/15:30開演/16:00バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、ハリセンボン近藤春菜、ゆりやんレトリィバァ5月20日(日) 東京・有楽町よみうりホール開場/15:30開演/16:00バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、シソンヌじろう、ゆりやんレトリィバァ5月23日(水)福岡・福岡国際会議場メインホール開場/18:00開演/18:30バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、シソンヌじろう、渡辺直美5月27日(日)仙台・仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール開場/15:30開演/16:00バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、ハリセンボン近藤春菜、ゆりやんレトリィバァ※出演者は変更になる可能性あり
2018年02月07日現在放送中のテレビドラマ『陸王』(TBS系)で融資を渋る狡猾な銀行支店長・家長亨役が好評の落語家、桂雀々。1977年に故桂枝雀に入門し、師匠譲りのオーバーアクションの高座で魅了してきた。2011年からは拠点を東京に移し、アウェイながらも熱情たっぷりの上方落語で奮闘。今では“飛び出す落語”と称されるほどだ。2017年には入門40周年を迎え、その芸歴を記念した独演会が2018年1月28日(日)、大阪・新歌舞伎座で開催される。しかも急遽、昼公演完売となった為、同日夜の追加公演『雀々の落語天国~夜も必死のパッチ~』が決定した。「桂雀々独演会」チケット情報追加公演での目玉は『らくだ』。上方落語屈指の大ネタだ。「米朝師匠の形をベースに、自分なりに覚えました。諸先輩方が50歳を機に『らくだ』をやられていたので、僕も55歳の2015年にネタ下ろしをしました。ものの見方とか実力、技術、価値観などが変わってくるのもこの時期だと思うので、ちょうどいいだろうと」(雀々)。長屋連中が手を焼いていた、「らくだ」というあだ名のならず者が死んだ。らくだと兄弟分だという似た者同士の熊五郎が彼を弔おうと考えるが金がない。そこでうっかりらくだの家の前を通りかかった紙屑屋をつかまえて無理難題を吹っかける。気の弱い紙屑屋は翻弄され、困り果てる。だが、夜も更け、弔いの盃を傾けるうちに酔った紙屑屋の人格が豹変し…。「紙屑屋がどういうふうに酔っぱらって、熊五郎と対峙するか、そこが見せ場。お客さんも聞いているうちに紙屑屋の味方になって、“よしよし、もっと言え言えー!”と拍車がかかってくる、ライブ感のあるネタなので、その日のお客さんと一緒になって一期一会の『らくだ』を口演できたら」(雀々)。『陸王』での演技経験も落語に還元しているという。「落語はひとりで何役も演じる芸ですが、ドラマには相手がいて、相手の話を聞く体勢を演じなければいけない。それだけに特に間合いは勉強になりました」(雀々)。雀々本人はあふれんばかりの人情派。ドラマで演じるキャラクターとは180度異なる。「僕のことを知らない人がドラマを見て“誰これ、腹立つわ~。嫌やわ~この人!”って思ってくれたら大正解!高座とのギャップに驚いてほしいです」(雀々)。追加公演ではゲストに立川志らくが出演するほか、サプライズゲストも登場。今年6月に行われた東京での独演会では、まさかの大物がシークレットゲストだっただけに、様々な憶測が飛び交っているとか。果たして誰がやってくるのか、こちらもぜひ楽しみにしてほしい。公演チケットは発売中。取材・文:岩本和子
2017年12月08日俳優でありコメディアンであり、「日本スタンダップコメディ協会」の会長でもある清水宏。その活動が海外にも広がっていることを知っている人も少なくないだろう。イギリスを皮切りに、アメリカ、カナダ、台湾、韓国などでエネルギッシュなスタンダップコメディを披露してきた。そして今年、いよいよ乗り込んだのがロシアである。果たしてかの地は清水をどう受け止めたのか!?『清水宏の世界を笑わせろロシア編~ロシアからホワィをこめて!~』と題し、12月15日(金)・16日(土)に東京・CBGKシブゲキ!!にて、その報告会が開催される。【チケット情報はこちら】「自分は世界に通用するのか」。表現者であれば胸によぎらせずにはいられないそんな思いを抱えていた清水が、初めて海外に出たのが2011年。イギリス・エジンバラフェスティバルフリンジに5年連続で参加し、評価を得てきた。以来、世界に飛び出して孤軍奮闘するその姿を、「ドキュメンタリーコメディトークライブ」として、映像を取り入れながらハイテンショントークで綴ってきた清水。「自分では『ひとり情熱大陸』と呼んでますが(笑)、僕が全部語るんです。海外での情景、そのときの自分の心情、相手の気持ち。“急に来たってできるわけないんだよ。なんでわからねーんだ”みたいなことを、やっぱり向こうは思うわけですね。僕が強引に行ってるから。そういう窮地に陥ったときにどうするか。僕と一緒に傷つきながら(笑)、喜怒哀楽をリアルに感じてもらいながら観ていただける、“同時体感ドキュメントコメディ”です」。なかでも、9月中旬から8日間、サンクトペテルブルクとモスクワで13回のステージに立った今回のロシアの旅は、日々起こることにハンパない緊張感があったらしい。そもそもフェイスブックで「ロシアに知り合いのいる人いませんか」と呼びかけるところから始めたというのだから、現地での壁の大きさも推して知るべし。「小さくて寒くて暗くて客も無愛想な小屋で、僕のロシア語がまったく通じず白けてて、っていうところから始まりました。あの環境でよくあきらめなかったと自分を褒めたいです」。そう。結論を言ってしまえば、それでも光に辿り着くのだ。「だから、前半はもう手に汗握る苦難の連続をどんどん笑いにして、後半はロシアという底知れないエネルギーを持つ国を好きになる入口になるようなものをお届けできるんじゃないかと思ってるんです。ひいては、自分の日々の生活や人生にもつながるよねと、観てくださる方に思っていただけるようなものになれば」。胸を撃ち抜く清水の熱いコメディ、ぜひとも体験したい。チケットは発売中。取材・文:大内弓子
2017年12月06日落語家・立川談春が2015年より毎年開催している年末恒例の独演会が12月28日(木)、大阪・フェスティバルホールで行われる。今年の演目は『芝浜』と『文七元結』の2本。2017年を締め括る本公演に向けて、意気込みを語った。「立川談春 独演会」チケット情報『芝浜』は2015年から毎年披露している演目。酒好きで失敗を繰り返す行商人の勝と、ただひたすら主人を支える女房の思いが垣間見える人情噺だ。「同じ『芝浜』でも、去年と今年では全然違う。自分でやっていても感じます。それは、自分の置かれた状況が変わるから。例えば去年の『芝浜』は女将さんがとてもカラッとしていたし、強気だったし、勝を追い込むようなことを言っていた。でも一昨年は、勝が一生懸命女将さんをいたわっていた。やるたびに変わるのは、個人芸だからしょうがないんだと思います。人は更正できるとか、縁の中で生かされているというのはいつの時代も一緒なんだなということが描かれている。揺らぎは見せつつも、その軸は変わりませんね」15歳の頃、立川談志の『芝浜』を聞いて落語家を目指し、談志に弟子入りした談春。終わった後、立てないくらいに衝撃を受けたと語る。「本で読んだときは、何がいいのかさっぱり分からなかった。その中途半端な知識で談志の『芝浜』と対面したときに、ぶっ飛びましたね。落語でこんなに感情移入をしたり、感情表現できるのかと。それに、周りの大人たちもうつむいていました。ひとりひとりがこの噺を聞いて自分と向き合ってるんだなって、子ども心に感じました。そして僕も談志のように聞き終わった後の感想を持ってもらえる芸人になりたいと思って、弟子になろうと思ったんです」。一方『文七元結』で登場するのは、無類の博打好きで仕事もろくにしない左官の長兵衛。負けて丸裸になった挙句、長屋に帰ると女房が愛娘・お久が戻ってこないと泣きじゃくる…。『芝浜』と同様、年の瀬の江戸を舞台に繰り広げられる人情噺の大ネタだ。「落語好きの人にとっては、ステーキ食べ放題に行った後、すき焼き食べ放題に連れて行かれるようなものです。きっと胃もたれするでしょうし、もたれさせたいんです。ただそれはフェスティバルホールという素晴らしい会場だからこそ挑戦できるんです。それに、落語を知っている人には胃もたれする2本かもしれませんが、初めて落語を観る方たちにとってはそうでもないはず。“これが落語なんだ!”って思ってもらえる効果はあると思っています」。公演は12月28日(木)大阪・フェスティバルホールにて。チケットは11月11日(土)10:00より一般発売開始。11月9日(木)23:59まで先行先着プリセールを受付中。
2017年11月07日笑福亭鶴瓶が毎年行っている「笑福亭鶴瓶落語会」。昨年、一昨年と好評を博した「山名屋浦里」。タモリ氏原案の同作は、中村勘九郎の手により歌舞伎化されるなど話題になった。さて、今年の独演会は?まずは表現者と代表作の関係について話を聞いた。【チケット情報はこちら】「少し前に松山千春が飛行機で歌って話題になったでしょ?出発が遅れてイラだつ乗客の空気を和ませたらしいですが、一番イライラしてたのは間違いなく松山千春です(笑)。本人にも電話しましたけど、さすがだなぁと。代表曲がある人でも、実際にあの行動ができる人はあまりいてないと思いますから。代表作という意味では、『山名屋浦里』が僕のそれになってくれたらうれしいし、実際に今年もあの噺をやってほしいとの声も関係者からはあったんです。でも、今年メインになるのは別のネタです。新しい挑戦をしたかったから」演目は『妾馬(めかうま)』。東京では『八五郎出世』の名で知られる人情噺。笑福亭鶴瓶は昭和の天才喜劇人・藤山寛美の大ファンなのだが、そのエッセンスを落語に盛り込めないかと試行錯誤を繰り返してきた。その挑戦は難しく成立には至らなかったが、今回、純粋におもしろそうと始めた『妾馬』を自分流にアレンジするうちに、その魅力が松竹新喜劇に通じていることに気づく。「お殿様にさえ歯に衣が着せられない、アホやけど魅力的な町人が主人公なんですけど、ある場面の八五郎がね、寛美先生なんです。自分としてはベタな笑いというものをいままで避けてきたんですけど、この噺でのその手のやりとりがラストの盛り上がりにちゃんとつながるんやなぁと気づけたのが発見でした。この間なんて、江戸時代の噺なのに小学生が笑ってくれて。『山名屋浦里』を作るまでにいろいろともがいた経験が活きている気がするし、落語には終わりがないなぁとも感じています。ただ、僕としてはそのおもしろさが松竹新喜劇の魅力に通じてると思うけど、『全然違う』とか『そもそも落語じゃない』という否定的な意見があってもうれしいです。岡本太郎さんの奥様が言うてたんですけど、賛否両論あってこその表現だと僕も思っていますから」鶴瓶流松竹新喜劇的落語の出来栄えとは?『青木先生』などの私落語、『山名屋浦里』に続く代表作がうまれるのか?ある意味で観客のハードルを上げる賛否両論OKの心意気に、落語家笑福亭鶴瓶が『山名屋浦里』でつかんだ手応えと、次のステージに向かっていることを予感せずにはいられない。笑福亭鶴瓶落語会は10月26日(木)大阪・森ノ宮ピロティホールを皮切りに全国で開催。取材・文:唐澤和也
2017年09月19日今年で4回目を迎える『吉本新喜劇 小籔座長東京公演』。座長・小籔千豊がコンビ解散後、芸人としての再起の場となった吉本新喜劇へ恩返ししたいという熱い思いから実現した公演だ。吉本新喜劇 小籔座長東京公演 チケット情報「何年も前から東京で、しかも吉本の常設劇場ではない劇場で吉本新喜劇の公演をやらせて欲しいとギャンギャン話してたんです。でも、会社はノー!ノー!ノー!……まぁ、そりゃそうですよね。大阪の番組にしか出てへん僕に言われてもそうなるのは今ならわかるんですけど、当時は断られてプリプリ怒ってました。そこから東京のテレビ番組のレギュラーをいただけるようになって、大阪吉本から東京吉本の所属になったタイミングでようやく実現できたんです」公演は1年目から注目を集め、チケットは全日即完。開催後には、先輩から嬉しい言葉もかけられた。「1年目の時、打ち上げで桑原(和男)師匠から『小籔のおかげで、一生出られんと思ってた格式高い俳優座劇場に出られた。舞台に立ててよかった』っていただきました。ほんまにやってよかったです。最近は東京で(新喜劇を)流していただいていることもあって、熱狂的なお客さんが増えてきた。毎年、新喜劇のあとにゲストを迎えてトークコーナーをやっているのは、みんなの人柄を知ってもらいたいから。今年も変な話を聞いていただいて、“面白いから応援しよう”と思ってもらえたらいいですね」近年、すっちー、松浦真也、吉田裕など、吉本新喜劇メンバーの活躍が著しい。今回は、史上初の女座長就任で注目を集める酒井藍の出演も決定している。「藍ちゃんは最高です!ほんまに面白い。ただ、痩せる気がないのが……。座長になることが発表された時、『おめでとう。感謝の気持ちを忘れずに。座長が膝痛いって休演でけへんから痩せなあかんで。寿司行こうぜ』ってメッセージを送ったんです。『はい。本当に感謝していきたいです。寿司もありがとうございます』って返信が来たんですけど、痩せることには一切触れてなかったんで、あいつナメとんなと。1回、ガッチーンとキレたらなあかんなと思ってるところです(笑)」入団当初、「ここで65歳まで飯を食う」と決意した小籔。50年以上受け継がれるテッパン技と劇団員の新しい個性を織り交ぜながら、さらなる発展を目指す吉本新喜劇に生涯、籍を置くつもりだ。「私利私欲で辞めることはない。もし辞めたらクビになったか、はらわた煮えくり返ることがあったんやと思っていただければ。はらわた煮えくり返って辞めた場合は、暴露本を出します。全10巻でどぎつい文句から感謝の気持ちを書きながら、最終巻にどーんって爆弾を落とす。著者は“座長の嫁”で(笑)」小籔が確固たる責任感と並々ならぬ使命感をもって挑む『吉本新喜劇小籔座長東京公演2017』は、8月9日(水)から13日(日)まで銀座ブロッサム中央会館にて開催。大阪でしか観られないベテランから注目の若手までが一堂に集まる本公演をお見逃しなく!先行抽選販売(プレリザーブ)は6月16日(金)より受付。取材・文:高本亜紀
2017年06月16日落語の伝統を守る一方で、独演会ではさまざまな挑戦を続けている柳家三三。昨年は文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞するなど、その活躍がいっそう注目されるなか、六ヶ月連続独演会〈たびちどり〉で挑む演目が、大作『嶋鵆沖白浪(しまちどりおきつしらなみ)』だ。幕末から明治期に活躍した柳派の談洲楼燕枝(だんしゅうろう・えんし)が創作した長編人情噺を、毎回2話ずつ高座に上げ、全12話を通すという試み。長らく演じ手が途絶えていたという本作への想いを、三三に聞いた。たびちどり 柳家三三 六ヶ月連続独演会チケット情報大商人の跡取りでありながら侠客となった“佐原の喜三郎”。物語は彼と、やはり裕福な家の娘ながら芸者から遊女へ身をやつすお虎の運命を軸に、巾着切りの庄吉や、なまぐさ坊主の玄若、三宅島に流された罪人の長・勝五郎、旗本の優男・梅津長門ら多彩な人物を巻き込んで展開する。「人情噺というと泣ける話をイメージするかもしれませんが、元々は広い意味で人情の機微を描いた話のことなんですよ」と三三は言う。「燕枝は九代目市川団十郎と親交が深かったこともあり、この作品も“白浪物”(盗賊を主人公とする物語)や“三尺物”(博徒や侠客が主人公)、“世話物”(町人の人情を活写した芝居)と、色々な要素がたっぷり詰まっているんです」と、その口調にも自然と熱がこもる。今回はこの大作を12話に分け、三三自ら再構成。「怪僧玄若坊」「闇の島脱け」「お虎の美人局」など、内容に合わせて付けられたタイトルは、どれもワクワクするものばかりだ。「本当にね、なぜこの演目が長い間忘れ去られていたのか不思議なくらい」と三三は話しつつ、「ただ、長編だけにダイナミックな場面と地味な場面とがありますから、そこは1話ずつ観ても楽しめるように調整しました。あとは、初見でも、途中の回を観ていなくても内容が分かるように、前回までのあらすじは読み物で配る予定です」と“続き物”ならではの工夫を明かす。そんな苦労もいとわないのは、落語のもつ豊かな世界をもっと知ってもらいたいから。「燕枝が活躍した当時は町内に1軒ずつくらい寄席があって、人々は晩ご飯を終えた後、ちょうどテレビを観てくつろぐ感覚で寄席に足を運んだそうですよ」と三三は語る。「だから『あの寄席で面白い“続き物”をやってるぞ』と評判になると、その寄席によその町からわーっとお客さんが集まったりしてね。艶のある場面にドキドキしたり、切った張ったの立ち回りにハラハラしたり。そういった楽しさを、現代のお客さんにどうやったら届けられるか。それだけを考えて演りたいですね」という三三。その言葉からは、名作を伝える演じ手としての覚悟が伝わってきた。公演は愛知・大須演芸場と大阪・グランフロント大阪にて、5月から10月まで毎月1回ずつ開催。チケット発売中。取材・文佐藤さくら
2017年05月08日若手から大御所までが漫才、落語、コント、吉本新喜劇を繰り広げるよしもとの看板寄席の東京版「東京グランド花月」が、ゴールデンウィークに6度目の開催を迎える。開催発表会には、同公演に初出演する吉本新喜劇の内場勝則座長、ガレッジセール、千鳥が登場し、囲み会見をおこなった。「東京グランド花月」チケット情報6回目にして初登場するベテラン内場座長は、「いままで、すっちーくんとか川畑(泰史)くんがやってますけど、彼らより上品な感じになると思います(笑)」と挨拶。「メッセージは一切ございませんので、何かを得て帰れることは何もないですけど、大いに笑って、すべてのことを忘れて、アホになって帰っていただきたいと思います」と意気込みを語った。ガレッジセールのゴリは、「18年前にエンジョイプレイというネタを作ってから、ほぼネタを作ったことがなかったんですが、2年前の20周年単独ライブでようやくエンジョイプレイ以外のネタができまして。いまもよしもとの舞台に立ってネタをやっているんですが……、どうやら評価を得ていると聞いております」と明かし、現場を笑わせた。一方、最近痛風になったことを告白した相方の川田広樹は、「本番までには治したいと思います」とほんわか回答。そんな川田にゴリは、「スタイリストがくると勘違いして地味な恰好をしている」と暴露。千鳥のノブは、「パチンコ屋に行った帰りですもんね」とツッコミを入れた。そんなノブは、「東京グランド花月に呼んでもらえるということは、吉本の漫才師の中でも、上位に君臨できているという証ですよね。“一番おもしろい演芸は劇場にある”というふうに、(博多)大吉さんとか(中川)礼二さんがよく言ってますので、みなさん来てほしいです」とPR。それを聞いていた相方の大悟は、「まず、ノブが人の意見でしゃべったことを、すいませんでした」と謝罪。見どころについては、「大阪からもいろんな芸人がくるので、日頃見られない(西川)よしお師匠の髪型とかを見てもらいたい。横をどれだけ刈り上げているのか、とか」と大悟。「のりお師匠の暴走とかを言えよ」とノブがフォローした。また、改めて内場が新喜劇について話し始めると、「気軽に来て、笑っていただいて。まぁこっちもね、3時間ぐらいの稽古でやってますんでね」とポロリ。「それ言っちゃダメですよ!」と総ツッコミが入り、「プロだから短時間で仕上がるんですよ(笑)」と言い直した。当日は、桂文枝、オール阪神・巨人、陣内智則、トレンディエンジェル、尼神インター、横澤夏子らが出演する。「東京グランド花月」は、5月2日(火)・3日(水・祝)にTBS赤坂ACTシアターで開催。チケット発売中。取材・文:門 宏
2017年03月24日1994年に入門した同期、桂吉弥、桂春蝶、桂かい枝が『吉弥・春蝶・かい枝 くしかつの会』を3月29日(水)、大阪・ABCホールで開催する。『くしかつの会』とは、“94年から活動を始めた”ことにちなんで命名した。「吉弥・春蝶・かい枝 くしかつの会」チケット情報吉弥は桂吉朝に入門し、桂米朝の下で内弟子期間を過ごした。春蝶は三代目桂春團治の下へ、かい枝は先代の五代目桂文枝の下へ入門。3人とも上方落語四天王と呼ばれる噺家に育てられた。「師匠から教わったこととか、何となく共通する部分のある3人です。何か一緒にやりたいと話していた数年後、一門や所属事務所の垣根を越えてこういう会をやらせてもらえて。我々3人が今後の上方落語を引っ張っていく存在になれるよう、そこを目指す会だと思っています」とかい枝。現在、東京に拠点を移し、アウェイで上方落語の発展に心血を注いでいる春蝶。東京では今、若手から中堅を中心にした落語ブームが再び起こっている。「東京でやっていて思うのは、上方の落語家は向こうに全然負けていなくて、倍ぐらいの力がある人が多い。でも、残念ながら東京の宣伝力が関西の10倍はあるんです。ということは、力が倍あっても、東京の宣伝力は10倍なので、結果的には5倍負けているんですよね。なので、何とかして大阪でも様々なブームを作っていきたい」と、『くしかつの会』がその先駆けになればと意気込む。ネタは吉弥が「百年目」、春蝶が「芝浜」、かい枝が「三十石夢の通い路」といずれも東西を代表する大ネタだ。春蝶が口演する「芝浜」は東京の噺。それを春蝶は上方から江戸に引っ越してきた魚屋夫婦という設定に置き換えた。「自分の持っている古典の大ネタとして、一番聞いてほしかったもの。上方の噺家が東京の代表的なネタをやったら、こんなふうになるんやでという、大阪のイズムみたいなものも聞いてほしい」と春蝶。一方、「三十石夢の通い路」を演じるかい枝は「ふたりは重厚感のある噺なので、その間をスルスルと行くような、“楽しかったな、面白かったな”と思ってもらえたらと思って」選んだ。ネタ順は当日、舞台上で決定する。ネタの順番によっても聞き応えが異なるだけに、当日が楽しみだ。これからの上方落語界の担い手と嘱望される、名実ともに磐石の3人が集った。新たな時代の潮流をその目でぜひ確かめてほしい。チケットは発売中。
2017年03月09日2017年4月29日(土・祝)昭和の日に渋谷・CBGKシブゲキ!!にて、『実験落語neo~シブヤ炎上まつり~』の上演が決定した。かつて、渋谷ジァンジァンで毎月開催されていた、三遊亭円丈主催の新作落語の会『実験落語』が、2016年6月に同じ渋谷の地、CBGKシブゲキ!!で復活を果たし、今回第5弾を迎える。復活後のタイトルは『実験落語neo』サブタイトルは必ず「シブヤ炎上」と入っており、その名通り、これまでの4回も見事な炎上ぶりだった。今回のサブタイトルは、シブヤ炎上まつり。円丈に加え、柳家さん喬、桂雀々、林家彦いち、浪曲師・玉川太福の出演が決定。これまではそれぞれが新作を持ち寄っていたが、新作落語の神様・円丈の作品を5人が高座にかける、オール円丈噺の特別編。どんな化学反応が起こるのか。公演は4月29日(土・祝)渋谷・CBGKシブゲキ!!にて。チケットは3月18日(土)午前10時より発売。なお、チケットぴあでは3月に先行受付を実施予定。
2017年02月21日古くは平安時代まで遡るという長い歴史を持つ日本のマジック、手妻(てづま)。奇術にストーリーや踊りを盛り込んだ手妻はヨーロッパや中国のマジックと一線を画しており、日本独自の進化を遂げている。そんな手妻を引き継ぐ第一人者、藤山新太郎の公演が大阪の文楽劇場で開催される。「手妻 水芸の世界」チケット情報自由自在に水を操る水芸に和紙で作られた蝶々をまるで生き物のように見せつつ、人間の一生を表している「蝶のたはむれ」、富山の薬売りの口上を復元し、奇術と併せて魅せる「越中反魂丹」などを披露する。「実は、水芸は大阪が発祥の地なんです。元は“水からくり”と呼ばれ、単発の水を出すだけでしたが、笑いや踊りなど何でも取り入れた非常に大阪らしい芸能になりました。そんな発祥の地である大阪でぜひ、水芸の興行をやりたかったんです」と語る新太郎。今回の舞台では、明治時代ごろの大阪・道頓堀の中座や角座で上演されていた水芸を再現したいと企画した。「文楽劇場はあの頃の芝居小屋と同じくらいのサイズなんです。今回は、鼓や笛、三味線、琴など生演奏に合わせて水芸や手妻をやります」。また、富山の薬売りの長台詞を復元し、口上を聞かせながら奇術でも楽しませる「越中反魂丹」では、その場で瓜が種から実になる「植瓜術(しょっかじゅつ)」や、砂を5色に染め分ける「五色の砂」という奇術を織り交ぜて見せる。「植瓜術」はインドを発祥とする2000年の歴史を持つ奇術で、日本でも『今昔物語』に登場する。古い歴史を持ちながら、滅多にお目にかかれない珍しい奇術を堪能できるのも本公演の魅力だ。他に、能と手妻の関係性を紐解く能の観世流シテ方 人間国宝の梅若玄祥との対談や、新太郎の弟子たちのショーも上演する。「大阪のお客様は水芸が大阪で生まれたことを知らない方が多く、また観たくても観られる場所がありません。それではもったいない。これは大阪が誇るべき文化です。ぜひ観てください」と誘う。『澤田隆治プロデュース 藤山新太郎 手妻興行「手妻水芸の世界」』は2月15日(水)大阪・国立文楽劇場 大ホールで上演。チケット発売中。
2017年01月04日2017年2月6日(月)東京・渋谷のCBGKシブゲキ!!にて、『実験落語neo~シブヤ炎上するかも~』の上演が決定した。かつて、渋谷ジァンジァンで毎月開催されていた、三遊亭円丈主催の新作落語の会『実験落語』が、2016年6月に同じ渋谷の地、CBGKシブゲキ!!で復活を果たし、今回第4弾を迎える。復活後のタイトルは『実験落語neo』サブタイトルは必ず「シブヤ炎上」と入っており、その名通り、これまでの3回も見事な炎上ぶりだった。6月開催の第一回には、林家しん平、ダンカン、清水宏、神田松之丞。8月開催の第二回には、柳家小ゑん、柳家喬太郎、立川吉笑、桂三度。10月開催の第三回には、川柳川柳、夢月亭清麿、立川談笑、石田明(NON STYLE)、と、異種格闘技戦のようなメンバーが円丈の元に集い、会場を沸かせた。年を明けての第4回も豪華だ。円丈に加え、かつて実験落語メンバーであった立川左談次、先日の襲名披露公演も大盛況で、古典落語の名手であり新作落語はほとんどやらない橘家文蔵、独特の空気で客席を笑いの渦に巻き込む新作落語の担い手・春風亭百栄、そして、俳優・ナレーター・折り紙作家など多彩な顔を持つ松尾貴史の出演が決定。実験的な顔合わせ、今回も炎上まったなしだ!公演は2017年2月6日(月)東京・渋谷のCBGKシブゲキ!!にて。チケットは2017年1月7日(土)午前10時より発売。
2016年12月06日