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熱せん妄とは?原因や症状など子どもが高熱を出したときに、突然うわごとを言ったり、歌を歌い出す、笑いだす、泣き出す、部屋の中を歩き回るなどの行動を起こす「熱せん妄」。その原因や症状、子どもが熱せん妄を起こしたときに心配になる後遺症についても解説します。熱せん妄は、高熱が出ることにより、脳内のホルモンバランスが崩れることが原因だとされています。脳は睡眠中に夢を見ているような状態なのにも関わらず、筋肉の力は抜けずに身体は目覚めているような状態になり、そのため夢を見ていることを現実と勘違いしたり、またそれに伴い身体が動いてしまったりするのです。また、高熱により、もうろうとしているため夢と現実の区別がつかなくなり、パニック状態につながることもあると言われています。熱せん妄の代表的な症状は以下の通りです。・事故や他害に繋がる異常な行動・幻聴、幻視などが起き、感覚が混乱する・うわごとを言ったり、突然歌を歌い出したりする・支離滅裂な行動や無意味な動きをする・怯えたり、恐怖を感じている様子を見せたり、突然泣き出したりする・なんのきっかけもないのに突然笑い出す・呼びかけに対して無反応、無表情・部屋のなかを歩き回ったり、外を徘徊したりする・食べ物ではないものを含め、なんでも口に入れようとする子どもの熱せん妄のほとんどが一過性のもので、決して珍しい症状ではありません。その大半が良性の病態で、熱せん妄による後遺症や命の危険はほとんどないと言われています。ただし、ごく稀に脳症などの重症疾患の初期症状として、熱せん妄に似た状態になることがあるので、一定の注意は必要になります。もしかして熱せん妄?病院受診の目安、対応方法など一般的に熱せん妄は10分から15分という比較的短時間で改善することがほとんどです。長くても数時間で、後遺症が残ることはほとんどないと考えられています。もしも、数時間経っても意識障害や異常行動が治らない場合や、痙攣などを起こした場合にはかかりつけ医に相談しましょう。夜間に初めて熱せん妄が起きた場合、朝まで待つべきなのか迷うこともあるかもしれません。心配なときは、まずは救急外来に相談し、指示に従ってください。また、症状が治った場合でも、本当に熱せん妄だったのか心配な場合、また同じ症状を起こすのではないかと気になる場合はかかりつけ医に相談できれば安心です。熱せん妄による異常行動で転落などがあり外傷を負った場合には、早めに受診した方が良いでしょう。熱せん妄と混同されがちなものに脳症があります。脳症の中でも代表的なものは、インフルエンザ脳症でしょう。インフルエンザ脳症とは、1歳から5歳くらいまでのインフルエンザに罹患した幼児に、脳全体が腫れる「脳浮腫」、脳内の圧が上昇する「脳圧亢進」などが生じます。痙攣や意識障害、異常行動などの神経症状が見られ、血管が詰まったり、臓器が動かなくなったりすることもある命に関わる疾患です。この脳症の初期症状と熱せん妄の症状はとてもよく似ていて、専門家であっても見分けるのは難しいと言われています。そのなかでも、以下3点のどれか、あるいは複数が見られる場合は、脳症の初期症状の可能性が高くなります。・連続、または断続的に1時間以上症状が続く・声かけに反応が乏しいなど意識状態が明らかに悪い、または悪化していく・異常行動と痙攣が合併している上記の症状がある場合はただちに病院を受診しましょう。子どもが高熱を出し、さらに異常行動などがあれば看病している保護者側も慌ててしまうことがあるかもしれません。前章でお伝えした通り、熱せん妄と脳症の初期症状が似ているということもあるので、慎重に経過を見守ることが大切です。子どもに熱せん妄の症状が出たときに、どんな対応をすれば良いかをお伝えします。・高熱の子どもから目を離さない・飛び降りや徘徊を防止するため、ドアや窓の施錠はしっかりする・処方薬はちゃんと飲ませる・体を冷やす・手を握る、体をさするなど子どもを安心させる熱せん妄の場合は、ほとんどが短時間で快方に向かいます。それを念頭に置いて、看病する保護者がパニックにならないように注意しましょう。熱せん妄になりやすい子どものタイプや起こりやすいシーンなど事前に熱せん妄になりやすい年齢や体質を知っておけば心構えができる……と考える方もいるかもしれません。熱せん妄は、1歳から10歳くらいまでの年齢の子どもで幅広く見られる症状です。しかし、起きやすい体質などは現代の医学では解明されていません。1歳から10歳前後の子どもがいる保護者は、どんな子どもでも熱せん妄を起こす可能性があると考えておきましょう。一般的にコロナやインフルエンザに罹患した際、高熱が出るケースが多いので、それに伴って熱せん妄を起こしやすくなります。特にインフルエンザの場合は脳症を起こす可能性もあるので注意が必要です。子どもが発熱したときには、アセトアミノフェン系の解熱剤(カロナール)が処方されます。作用のおだやかな解熱鎮痛剤で、皮膚の血管を広げて熱を放散させたり、脳の痛みの感受性を低下させたりする効果があります。ただし、発熱の原因そのものを治すことはできません。アセトアミノフェン系以外の解熱剤は15歳以下の子どもには使用不可となっています。アセトアミノフェン系以外の解熱剤をインフルエンザの子どもに使用した場合、脳症を引き起こすリスクが指摘されているためです。アセトアミノフェン系の解熱剤には、こうしたリスクが低いとされており、子どもの発熱時において、最初に投与すべき「第一選択薬」となっているのです。まとめ今回は「熱せん妄」の原因や症状、対処法などをご紹介しました。いざというときに、こういった知識が役立つのではないでしょうか。繰り返しになりますが、インフルエンザ脳症の初期症状に似ているという注意点はありますが、熱せん妄で後遺症が残ることはほとんどありません。発熱後の子どもに朦朧とする様子や異常行動などが見られても落ち着いて対処することが大切です。
2023年08月26日こんにちは、ママで小児科医の保田典子です。生後2カ月くらいになると、睡眠のリズムもついてきて、少し体がラクになる……と思いきや、今度は夜泣きで全然ラクにならない! ということ、よくあると思います。夜泣きすると抱っこやトントンをする方も多いと思いますが、実はコレ、いらないんです。その理由をお話ししたいと思います。 ママからよくある相談「夜泣きがつらい」「新生児期を過ぎて、夜寝るようになったと思っていたら生後3〜4カ月、6〜7カ月、9カ月くらいにまた夜グズグズと泣くようになってきた」、「夜間、頻繁に起きるのでつらい」というご相談が、ちょこちょことあります。 私も特に第1子のときは、夜泣きというか寝かしつけの段階からすごく苦労しました。第3子のときには、「寝かしつけや夜泣きで起こされていては体がもたない!」と、ネントレ(ネンネトレーニング)することを決め、生後6週からネントレを始めました。 そのかいあって、生後8週目のころから、20時~6時までぐっすり寝る子になってくれました。私は第3子の産後の肥立ちが悪く、体がすごくつらかったのですが、子どもが寝てくれたおかげでなんとか仕事と育児を続けられました。 どうして夜泣きするの? 原因は?夜泣きが起きやすい時期は「メンタルリープ」とも言って、赤ちゃんの精神や体がよく発達する時期が多いのです。それ以外の時期でも夜泣きが起きることはあります。 赤ちゃんはそもそも大人よりも睡眠が浅いんです。ただ、睡眠のパターンは大人と似ていて、眠りが浅い「REM(レム)睡眠」と、眠りが深い「non-REM(ノンレム)睡眠」とがあります。 大人はREM睡眠のときも起きずに朝まで寝続けられるのですが、そのときに起きてしまう子がいます。夜泣きはこれが一番多い原因です。 夜泣きをなくすにはどうすればいい?つまり、夜泣きを改善するためには「途中で起きてしまうことをいかになくすか」が大切になります。 なので、夜泣きのときにあやしたり、抱っこしたり、おっぱいや育児用ミルクをあげてしまうと、赤ちゃんをますます覚醒させる方向に持っていってしまうので、逆効果です。ネントレは、「いかに赤ちゃんがひとりで中途覚醒からもう一度寝つくことを覚えるか」が肝となります。 「ネントレ」ってかわいそう?ネントレは基本的に、赤ちゃんが起きてしまったときに抱っこしたりせず、様子を見ます。様子を見る、といっても端から見ると放置してしまっているように見えます。 よく、外来でも「ネントレって赤ちゃんが傷ついたりしませんか?」という質問がありますが、今まで出ている論文では、ネントレが赤ちゃんに愛着障害をもたらしたり、赤ちゃんが精神的に不安定になることはないと言われています。ちなみに、赤ちゃんをただずっと放置するのではなく、本当に赤ちゃんの「様子を見ます」。 まず、やはりおなかが空いていそうで飲まないと寝ないなと判断したら、おっぱいや育児用ミルクをあげます。具合が悪いのかなと判断したら、熱を測ったりなど評価をします。 この「様子を見る」という行為が、言葉をしゃべれない赤ちゃんの思っていること、体調などを判断する力がつくことになったなと感じています。この判断力は、昼間の育児にも活かせましたよ。 ネントレの開始時期ネントレの開始時期は、赤ちゃんが昼と夜の区別がついてくる生後2カ月くらいからがオススメですが、まだ生後2カ月だと夜におなかが減ってしまう子もいるので、本当に「様子をみながら」寝る時間を長くしていくことが大切だと思います。生後半年超えていたら、基本的に一晩中寝て大丈夫ですよ。(起こしてまで授乳しなくてOKです)。 「夜寝られること」の大切さ「ネントレは全員しましょう」とは思っていませんが、夜はゆっくり眠れるようになったほうがいいと考えています。睡眠は、疲労をとる最も効果的な方法です。親も子どももぐっすり眠れることで、昼間の疲れを回復させられます。 私が育児のなかで大切にしていたことの1つは睡眠です。子どもが幼稚園に入るころになったら、一番厳しくしていたことが「早く寝よう」でした。家族の睡眠を快適にして、体力をつけたいものですね。 夜に眠れないというのは、心身ともにとてもつらいもの。夜泣きで悩んでいる方は、小児科医に相談して解決することもありますので、予防接種や健診のときなど、一度相談してみるのもいいと思います。夜泣きの対策をしっかりして、親も子どももぐっすり眠り、楽しい子育てライフになるといいですね。 作画:はたこ監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2023年08月23日無料の参加登録受付中!発達が気になるお子さんやご家族へ届けたい、オンラインセミナーが9/2(土)に開催決定Upload By 発達ナビアライアンス プログラム癇癪が激しい。幼稚園・保育園へ行きたがらない。発語が遅れているのが気になる。どのように関わればいいのだろう……。お困りが増えてきたお子さまへどう向き合ったらいいのか、ご不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。発達ナビではお子さまとそのご家族に、ご自宅で情報を得られる機会をお届けするために、未就学児を育てる保護者の方に向けたセミナーを開催します。・日時:2023年9月2日(土)9:30~11:55(予定)・参加費:無料・形式:Zoomウェビナー配信・参加方法:事前申込必須。下記ボタンよりお申し込みください。・内容:専門家講演、未就学のお子さまを応援する企業によるセミナー※企画調整中のため、今後変更となる場合もございますオンラインセミナーの内容をご紹介Upload By 発達ナビアライアンス プログラムお子さまが自分らしく自信を持ち、社会参加ができるようになるためには、幼少期からその基礎をつくることが大切です。しかし、癇癪やパニックが起こりやすい、こだわりが強い、園へ行き渋る……お子さまにとっても保護者の方にとっても、いま直面しているお困りやお悩みも多くあるのではないでしょうか。本セミナーでは、未就学児に起こりやすいあるあるのお困りとその要因や対応、そして将来に向けて大切なことについて解説します。当日は視聴者のみなさまからの質疑応答タイムもご用意しています。ぜひご参加ください!講師:新美 妙美先生信州大学医学部子どものこころの発達医学教室特任助教2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。 多様な子育てを応援するアプリ「TOIRO」の制作スタッフ。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム児童発達支援スクール「コペルプラス」代表講師、有元真紀が「子どもの『できない!』を減らすカギは、"できること"への注目?発達とかんしゃくの関係性について学ぼう!」をテーマにお話しします。未就学児の癇癪の原因についてを解明し、癇癪のお悩みやその対処法について具体的な事例や体験談を踏まえてご説明します。また、発達障害と癇癪の関係性、癇癪を減らすために大切な感情コントロールのはぐくみ方、子どもの"できる"を認識する重要性などについてもお話しします。お子さまの行動の背景から対処法まで解説するだけでなく、保護者の方のお気持ちも軽くなるような情報を提供します。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムお子さまにあった学習環境の選択肢について、通級指導教室・特別支援学級・特別支援学校などの選択肢と特長を、利用していた方々の声と共にご紹介します。また、・就学相談/就学先決定までの流れ就学先が決まるまでのタイムスケジュールや各自治体が行っている就学相談に向けた準備・教育にまつわる準備進路進級にまつわる教育費用の、現実的な準備についても解説します。たくさんの方のご参加を、心よりお待ちしております。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年08月22日医療法人社団ルクールが運営する、日本初(当院調べ)の犬も泊まれる産院「産婦人科小児科ロビンの空クリニック」が、2023年8月1日に開業します。ロビンの空の特徴*犬も一緒に泊まれる個室を作りました~Dog Friendly Room家族みんなで出産を迎えるファミリーバースという考えが日本にもだいぶ浸透してきましたが、今回はさらに一歩進んだペットのワンちゃんも一緒に泊まれる部屋も用意しました。産前から産後の入院中ずっと家族もワンちゃんも一緒に過ごせます。*泊まることのできる犬の条件など小型犬のみ。2匹まで。客室外には原則連れ出せません。食事はご自身で用意。ワクチンなどの証明書必要。ペットゲージ・ペットトイレ・トイレ用シートは用意します。*犬の苦手な方にも配慮ワンちゃんと泊まれる部屋を端の専用部屋にすることで犬が苦手な方への最大限の配慮も実現。医療スタッフは犬に触れないことを徹底し、動線上も重ならないように配慮しています。■クリニック概要名称: 産婦人科小児科ロビンの空クリニック院長: 矢代 健太郎(小児科医)開業日: 8月1日(火)(出産予定日10月1日以降の方から分娩予約可能)所在地: 〒190-0011東京都立川市高松町1-300-1-100アクセス: 多摩モノレール「立飛駅」から徒歩6分ららぽーと隣診療時間: 9時30分~11時30分/13時30分~15時30分小児科の診療時間はHPにて休診日: 日曜・祭日(画像はプレスリリースより)【参考】※公式サイト
2023年08月08日今回は子どもの寝汗対策について、3児ママで小児科医・保田典子先生に解説していただきます。子どもにとっての「快適な環境」って? 子どもが汗だくになっていたら着替えは必要?こんにちは。3人の子どもを子育て中の小児科医、保田典子です。赤ちゃんの寝汗ってすごいですよね。特に頭や背中はびしょびしょになったりします。夜中に着替えさせるのも起きたら嫌だし、でも風邪ひくのも怖いし……そんなママのための寝汗対策についてお話したいと思います。 子どもにとっての「快適な環境」って?新生児期を過ぎた赤ちゃんは、基本的に大人より暑がりです。それは、大人よりも代謝が良かったり、体温が高いためだと考えられています。赤ちゃんの寝室の環境は温度26-27℃、湿度50%前後が良いとされています。 これは、エアコンの温度設定ではなく、寝室の実際の温度がこのくらいが良いとされているので、心配なら温度計で実際の家の環境をチェックしてみてください。 子どもが汗だくになっていたら子どもは汗をかきやすいと思われていますが、子どもは汗で体温調節をするのは大人よりも下手だと言われています。なので、子どもが汗だくになっていたら、そもそもそれは「部屋の温度がその子にとって高すぎる」ということです。 大人にとって快適な温度でも、子どもにとっては暑くて調整しきれていないという状態かもしれません。さきほどお伝えした寝室の温度26-27℃でも、汗だくになってしまう子もいるかと思います。その子にとってはその気温では暑すぎるということです。 そんなときは、エアコンをつけてサーキュレーターなどで部屋の空気を循環させる、エアコンの温度を下げるなどをまずは考えた方がいいでしょう。 その上での寝汗対策まずは子どもが汗だくにならない環境づくりが大切です。しかし、それでも寝汗はある程度でてしまうことと思います。特に頭や背中は汗をかきやすいところ。 でも、頭に汗をかくからといって、冷えピタのような貼るタイプの保冷剤を使うのは、個人的には避けたほうがいいと考えます。寝ている間に貼ったところから移動して窒息の原因になることがあるためです。 その子によって多少違うことはありますが、汗をかきやすいお子さんは下着を着るとかえって体感温度が上がることがあるので、下着は取ってしまっていいと思います。または、下着1枚で寝かせても大丈夫です。 着替えをさせることを考えると、前開きタイプが着替えさせやすいですよ。素材は汗の吸いやすさ、湿疹のなりにくさを考えると綿100%、または綿がある程度入った生地が良いです。 朝起きたらシャワーで汗を流しましょう汗をたくさんかいた翌朝は、まずたっぷり水分を摂りましょう。あせもが出やすい子は、朝シャワーで汗を流すことがオススメです。(でも、私は朝忙しくてそんなことはできていませんでした! ) 朝シャワーは、基本的にせっけんは不要です。シャワー後は、簡単でもいいので保湿をしてあげましょう。 「子どもにとって快適な温度」が大事!子どものびっしょり寝汗を見たら、まずは部屋の環境調整をしましょう。その上で下着を取ってしまう、前開きの衣類で着替えをさせやすくして、びしょびしょなら着替えさせてあげましょう。朝になったら汗は流してあげるのがいいですね。わが家は子どもの快適温度に設定すると、私には肌寒くて、足まで掛け物が必要だったりしました。親が肌寒いと感じる温度でも、ぜひお子さんの快適温度にしてあげてください。その方が子どもはぐっすり寝てくれるので、親も子もハッピーですよ。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生
2023年08月08日子育てに正解はないと実感したことは……?今回は、ねこじまいもみ(@neko_jima_imomi)さんの『繊細さん長女が泣きながら学校へ行った日々』のワンシーンをお届けします。改善していたはずの体調が連休で……長女の様子を担任に相談したいもみさん。担任の細やかな配慮のおかげで長女は快方に向かっていたが、長期連休明けに再び……。前日から泣き止まず……病院に行ってみることに……医師の答えは……帰宅してから……この漫画に読者は『子供1人1人で自立のスピードは違うので、お母さんにはあまり焦らないで欲しいと思いました。自分だったらその子と向き合い、安心感を与える対応をすると思います。』『母子分離不安、初めて聞きました。なかなか本人の前では、相談しづらいですよね。ケガや病気じゃないし……。』『不安で下痢が止まらないようであれば、やはり無理に行かせることはないと思います。ただ、そうやって逃げることだけではなく、何が不安なのかをゆっくりと聞き、徐々に行けるようになれば良いと思います。』など、母側の不安に共感する声や、自分なりの対策を教えてくださる声が多く集まりました。母子分離不安と聞いて……医師から聞かされた『母子分離不安』という言葉が気になったいもみさん。この後のお話で「長女の様子に当てはまっているのか」を調べるために携帯で検索しますが、その内容で少しショックを受けることに……。もし我が子が「お母さんと離れたくない」と言い出したら……あなたならどうしますか?(MOREDOOR編集部)(イラスト/@neko_jima_imomi)※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点のものになります。
2023年08月06日医療法人社団ルクール(所在地:東京都町田市、理事長:松下 径広)が運営する、日本初(当院調べ)の犬も泊まれる産院「産婦人科 小児科 ロビンの空クリニック」が、2023年8月1日に開業します。医療法人社団ルクールが運営するクリニックは、ベルンの森クリニック(東京都町田市)、ベリエの丘クリニック(東京都稲城市)に続いて、3件目となります。産婦人科 小児科 ロビンの空クリニック 詳細URL: 外観■ロビンの空の特徴*犬も一緒に泊まれる個室を作りました~Dog Friendly Room家族みんなで出産を迎えるファミリーバースという考えが日本にもだいぶ浸透してきましたが、今回はさらに一歩進んだペットのワンちゃんも一緒に泊まれる部屋も用意しました。産前から産後の入院中ずっと家族もワンちゃんも一緒に過ごせます。専用部屋*泊まることのできる犬の条件など小型犬のみ。2匹まで。客室外には原則連れ出せません。食事はご自身で用意。ワクチンなどの証明書必要。ペットゲージ・ペットトイレ・トイレ用シートは用意します。ゲージ*犬の苦手な方にも配慮ワンちゃんと泊まれる部屋を端の専用部屋にすることで犬が苦手な方への最大限の配慮も実現。医療スタッフは犬に触れないことを徹底し、動線上も重ならないように配慮しています。Dog Friendly Room■クリニック概要名称 : 産婦人科 小児科 ロビンの空クリニック院長 : 矢代 健太郎(小児科医)開業日 : 8月1日(火)(出産予定日10月1日以降の方から分娩予約可能)所在地 : 〒190-0011 東京都立川市高松町1-300-1-100アクセス: 多摩モノレール「立飛駅」から徒歩6分 ららぽーと隣診療時間: 9時30分~11時30分/13時30分~15時30分小児科の診療時間はHPにて休診日 : 日曜・祭日URL : 経営母体:医療法人社団ルクール所在地 :東京都町田市小山が丘4-3-1理事長 :松下 径広設立 :2006年8月23日事業内容:産婦人科(分娩施設あり)、小児科医院の運営【本件に関するお客様からのお問い合わせ先】ロビンの空クリニック 産婦人科TEL : 042-506-1980(代表)問い合わせフォーム: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年08月03日想像力が豊かに。4歳頃の心と体の発達、社会性子どもは4歳から6歳頃にほとんどの運動機能を一通り獲得すると言われています。心の発達とも相まって、周りから何も言われなくても、朝起きて着替えてトイレに行き、ごはんを食べるなど、自立が進んでいきます。友達とは言葉を使って気持ちを表現し、その中で団結したりけんかしたり仲直りしたりを繰り返して社会生活の基礎的な力を育てていきます。こうして小学校就学を迎えます。4歳頃になると、多くの子どもは体を思ったように動かす力がつくのと同時に想像力が豊かになり、自然の中にあるものや身近なもので遊ぶようになります。友達との関係は、同じ目的をもって行動したり、ただ楽しいだけでなく、不安や葛藤など複雑な気持ちも経験します。ただ歩く・走る・手足を動かすというだけでなく、全身のバランスのとり方がうまくなり、片方の足だけで立つ・跳ぶこともできるようになります。手先は、ひもを通す、はさみを扱うなど、より器用な動きができるようになり、絵を描いたり、粘土や空き箱などを組み合わせて、想像しながら作品作りもします。また、遊びながら声をかけるなどのように、並行して同時に2つの行動ができます。手足を使い、見たり触ったりしながら、水遊び、砂遊びをしたり、花を摘み、虫を観察するなど、自然の中にあるものや身近なものに興味が出てきます。大人から見ると、危ないと思う場面もあるかもしれませんが、自由な感性に任せて遊ぶことで、色彩感覚や身体感覚を育んでいくので、心配かもしれませんが安全に気をつけて見守っていきましょう。ますます語彙は増えていき、想像力も豊かになり、現実に起きたことと絵本で見たことなどを重ね合わせたりしながら、遊びの世界を広げていきます。また、おばけやこわい夢、一人になったときの不安感など、「こわい」という感情も芽生えていきます。友達と言葉を介して同じ想像の世界を繰り広げる、ごっこ遊びを行うようになってきます。自分は周りの人にどう見られているのか、という自意識が芽生えます。その中で、周りの人に褒められたり励まされたり、共感したりしながら、人の気持ちを理解するようになっていくでしょう。友達と一緒に遊ぶことが楽しくなるのと同時に、競争する気持ちも芽生えてけんかも多くなります。「悔しい」という感情を経験しながらも、友達が言うことに従ったり、あるいは自分の言うことを受け入れてもらったりします。こうして、ただ楽しいだけでなく、一緒に遊ぶ中で複雑な面白さを覚えていく時期でもあります。自立性が育つ。5歳頃の心と体の発達、社会性5歳頃になると生活に必要な身体能力はほぼ整い、自分の身の回りのことを大人に言われなくても一通りできるようになります。友達との関わり方も複雑になっていき、ただ楽しいだけでなく、競争心が生まれ、その中で切磋琢磨しながら育っていきます。5歳頃になると、大人が行う動きのほとんどができるようになります。鬼ごっこのような一定の制限やルールの中で体を動かすような遊び方ができます。手先の動きでは、ひもを結ぶ、雑巾を絞るといった生活に必要な細かい動作ができるようになり、さらに、包丁やのこぎりなど危険性が伴う道具を大人の助けを受けながら扱うことができるようになります。自主性や自立性が育ちます。身の回りのことができる身体能力がついたことで、食べる、着替える、トイレに行く、運ぶ、片づけるなど、朝起きてから夜寝るまでの行動がほとんど一人でもできるようになります。大人に指示されなくても、だいたいの一日の流れを分かって行動できます。自分のことだけでなく、相手の気持ちになって考えたりする感受性も身につけます。人の役に立ち褒められることが嬉しく、誇りをもってお手伝いをするようになります。友達と過ごす中で、自分の気持ちを伝えたり相手の気持ちを理解したりするために言葉によるコミュニケーションが重要になっていきます。ルールを理解して集団遊びをしたり、活動したりするときにそれぞれが「役割」をもっていることを理解して行動します。そのためにはルールを守る、約束を果たすことが大事だということも学び始めます。また、すぐに大人に頼らないで、子どもたちで解決しようとする様子が見られるようにもなります。こうして、社会生活に必要な基本的な力を身につけて、これまでは個々の成長だったものから、集団の中での成長へと変化していきます。就学前に何ができるようになる?6歳頃の心と体の発達、社会性自分が思ったように体を動かし、友達とのかかわりが生活の大事な部分を占めるようになる6歳。次第に社会的、科学的なことに興味を持つようになり、世界が広がっていきます。大人に甘えながらも、外へ向かって経験を積んでいくのが6歳代です。身体機能が成熟し、さらに体力もついてくることから、活発に動きまわります。ボールを蹴りながら走ったり、跳び箱のようにいくつもの連続した動作を組み合わせるような運動ができるようになります。手の動きはさらに細やかになり、頭でイメージしたものを描いたり、思考しながらダイナミックに表現していく楽しさを覚えていきます。特別に教えなくても、自分から文字を書いたり読んだりするようになります。ニュースなどの社会的な話題や、自然現象などにも興味を持ち始め、自分の好きなジャンルの図鑑を見たりするなど、学ぶことの面白さが芽生えていく頃です。自分と自分以外の人は違う、ということを意識し始め、周りの人の特徴や個性を感じとりながら関わるようになっていきます。子ども同士の集団的な遊び方が活発になります。遊びの中で役割が生まれ、より複雑なルールを自分たちで考えます。こうして、社会生活をしていくときに大事な自主性と強調性を獲得していき、就学へとつながっていきます。参考:保育所保育指針解説書|厚生労働省参考:<参考> 0歳児から2歳児の発達過程|東京都教育委員会参考:東京都こども医療ガイド|東京都福祉保健局4歳、5歳、6歳の発達チェックリストー運動・心と言葉・社会性の目安Upload By 発達障害のキホン参考:保育所保育指針解説書|厚生労働省発達に遅れや凸凹がある?通院の目安や、保護者ができること4~6歳頃になると、自己免疫力も高まり、頻繁に高熱を出すことも減ってくるでしょう。とはいえ、インフルエンザ、ヘルパンギーナ、溶連菌、麻疹、水ぼうそう、おたふく風邪、ウイルス性/細菌性胃腸炎などの感染力が強いウイルスや細菌には注意が必要です。身体機能的には、手洗い・うがい、体を清潔にすることは自分でできる年齢になってくるので、習慣化を心がけましょう。ただし、けいれんを繰り返す、急に意識がなくなる、手足が動かない、慢性の頭痛を繰り返す、一度できたことができなくなるなどの症状がみられる場合には、かかりつけの小児科医や病院を受診してください。参考:年代別・世代別の課題(その1)|厚生労働省(7ページ)参考:保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)|こども家庭庁参考:白河市 保健福祉部こども支援課発達の遅れや、言葉や発語が遅いと感じたときは、小児科医や地域の相談窓口で相談しましょう。また、5歳の前半に5歳児健診を行なっている自治体があります。気になることを相談するチャンスとなります。5歳児健診でチェックすること5歳児健診では、保健師などの専門家による問診をしながら、子どもの体の動かし方やコミュニケーションの様子、言葉の発達の様子などをみていきます。健診では次のような項目があります。・保健師による問診・身体計測・視力検査・医師・保健師・担当保育士による診察・集団遊びや工作などをさせて、様子を観察・個別の歯科衛生士による歯科相談、栄養士による栄養相談このほかにも、保育士、保健師、臨床心理師、教諭などによる個別の相談ができます。3歳児健診では特に問題ないと言われたけれど、5歳児健診で発達障害の可能性を指摘されることがあります。また、数字や文字を読んだり書いたりができるようになってくる年齢でもあるので、教育相談の場も設けられているのが、それまでの乳幼児健診とは違う点です。正式に診断できるのは就学後ですが、学習障害の可能性を指摘されることもあります。もし、子どもの発達で気になることがあったら、また、育てにくいと感じていることがあったら、健診時に保健師さんなどに相談してみるといいでしょう。また、健診が行われていなくても気になることがあれば、まずはかかりつけの小児科や病院で相談してください。また、地域の相談窓口に行ってみると、心理や医療の専門家に相談できるので、困っていることが解決される糸口が見つかるはずです。地域の相談窓口地域の相談窓口がどこにあるかは、5歳児健診の際や自治体の役所に問い合わせましょう。主な相談窓口としては次のような場があります。健診や発達相談などを行うセンターで、健康や保育に関するさまざまな相談窓口です。引っ越したばかりなど、どこに相談していいかわからない場合にも地域医療を紹介してくれる場にもなります。保健センターと同様に公的機関ですが、子どもの発達支援に特化した窓口となります。発達相談をしたのちに、児童発達支援センターでもっと具体的な子育てについての相談などができます。就学時健診とは別に、発達が遅れていると感じられる子どもの場合、就学先をどこにするのかを、地域の教育委員会と相談していくプロセスが就学相談です。子どもの様子や状況に合わせて、通常学級なのか、通級指導教室(地域によっては特別支援教室)や特別支援学級、特別支援学校なのか、地域の選択肢の中でどこに就学するのが良いかを、面談や診察、学校見学などの機会を重ねながら決定していきます。就学時健診のように自治体からお知らせが届くものではないので、保護者が直接、教育委員会に連絡して申し込むか、保育園・幼稚園を介して申し込む必要があります。参考:軽度発達障害児に対する気づきと支援のマニュアル|平成18年度 厚生労働科学研究「軽度発達障害児の発見と対応システム およびそのマニュアル開発に関する研究」4~6歳の発達の遅れが気になる子どもへの家庭でできる関わりとは発達の遅れが気になる子どもを育てるときに、保護者としては不安があるとともに、日々の生活の中で子どもにどう接していいかわからないといった困りごとがあります。下記は代表的な3つの困ることについて、どうしたらいいかのアドバイス例になります。1. 落ち着きがない家庭で、音や光の刺激が多いようだったら、改善しましょう。大きな音でテレビがつけっぱなしだったり、長時間、場面展開の早い動画を繰り返し見ていたりしているようなら、見たい番組が終わったらスイッチオフにする習慣をつけましょう。また、音量も適切かを確認しましょう。2. 癇癪を頻繁に起こす自己主張する力よりも自己抑制する力のほうがゆっくりと発達する傾向があります。このため、4~5歳頃は、自分がしたいことがあってそれを押さえられないというギャップから強い癇癪を起すことがあります。何回も何回も、「こうすればなんとかうまくいく」という経験を積んで、見通しをもてるようになることが大切です。また、予定が見通せるように、1日のスケジュールを伝えたり、これが終わったら次に何ができるのかということを伝えたりするといいでしょう。3.指示が伝わりにくい言葉の発達に合わせて、子どもが分かる言葉遣いで伝えましょう。また、聞こえてはいても話し言葉で伝わりづらく、絵や数字など視覚から分かるようであれば、カードやメモを使う方法もあります。また、「だめ」と叱られることが、子どもにとっては大人に反応されて「面白い」と感じることになってしまうことがあります。大人が禁止すればするほど、悪いことをしたがるような場合は、叱らずにしばらく無視しておくことも効果的です。見ないようにしたり、取り合わないようにしたりするうちに、子どもは「これでは気を引くことができない」と気づくとやめます。まとめ体が自在に動かせるだけでなく、体力がついていく4~6歳代。自分の身の回りのことは自発的にできて、遊びの幅も複雑さもぐんと成長します。小学校入学も視野に入ってくる分、発達が遅れているかもと気になる面も多くなるかもしれません。その子らしさを見守りながら、周りの人や地域の相談窓口をうまく活用していくことをお勧めします。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年07月27日自閉スペクトラム症とADHDのある子ども発達障害の専門家が出会った発達が気になる子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、自閉スペクトラム症とADHDの診断がある子どものエピソードです。保育園での暴言や集団行動の苦手さ、家庭での反抗的な態度に困っていた保護者の話を聞いて小児科医は…。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談解説:お子さんの年齢や状況に合わせた選択の重要性--小児科医今回は、自閉スペクトラム症とADHDのある子どものエピソードをもとにお届けしました。お子さんの年齢や状況に合わせた選択について解説します。お子さん・保護者に対して当クリニックの初診が5歳だったこともあり、6歳以上から開始できるADHD治療薬は当初使えませんでした。そこでまずは、情緒の安定や自己コントロールを促すために音楽療法から始めました。6歳を過ぎてからADHD治療薬や抗精神病薬などの服薬を開始。保護者の方の関わりも重要であることから、ペアレントトレーニングのプログラムに参加してもらいました。お子さんは服薬を続けていたものの抵抗性が見られたことから、小3からソーシャルスキルトレーニング(SST)を開始しました。学校に対して学校側の神経発達症(発達障害)に対する理解を得るために、医療支援ファイルで連携を試みました。すぐに成果は得られませんでしたが、新しい担任の先生がお子さんに向き合ってくれるようになりました。まとめ今回のように、学校側の理解を得るのが困難な場合が多くあります。学校への働きかけを続けながらも、お子さんの「今」をしっかり見つめ、地道にトレーニングや支援、服薬などを行っていくことが大切です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年07月24日3歳ごろの子どもの心と言葉の発達とは?「おはよう」「ありがとう」などの挨拶を含め、コミュニケーションに必要な言葉をたくさん獲得し、言葉で人と関わる体験を積んでいきます。知的好奇心や観察力が高まって、「なぜ?」「なに?」と、ものごとの仕組みを知りたがります。自分で多くのことができるようになり、着替えや片づけなど生活習慣に関しても、身体機能の発達と共に上手にできるようになることで、「何でも自分でできる」という思いが高まります。このことから、大人が手助けしようとするといやがる場面も見られます。3歳ごろの友だちとのコミュニケーション友だちと一緒に遊ぶようになりますが、ただ隣にいて同じ遊びをして過ごすこと(平行遊び)がまだ多いでしょう。友だちとは遊具を介しての関わり方が多いため、おもちゃの取り合いなどでけんかするといった関わり方が見られます。それも、だんだんに友だちと分け合ったり、順番待ちしたりを覚えていくことになります。また、友だちがふざけていると一緒にふざけるといった様子も見られます。こうした経験を重ねていく中で、だんだんとほかの子どもとの関わりが、子どもの生活や遊びに大切なものとなっていきます。やがて平行遊びから、共通したイメージを持てるようになると、ごっこ遊びを楽しむようになっていきます。3歳ごろの子どもの体の発達や食事、排泄の目安3歳ごろの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:88.8~105.8cm/女児:87.7~104.5cm・体重男児:11.72~18.82kg/女児:11.04~18.27kg歩く、走る、跳ぶ、転がる、ぶらさがる、またぐ、蹴るといった基礎的な動作ができるようになります。手の動きとしては、押す、引っ張る、投げる、そっと動かすなどができるようになることで、生活に必要な基本的な動作が一通りできるようになります。さまざまな体の動かし方をやってみることで、自分の体のコントロール方法を学び、自分の身体感覚を獲得していきます。身体機能と相まって、食事や排泄はほとんど自力でできるようになります。フォークやスプーンを使ってこぼさないように食事をすることができ、箸を使うことに挑戦できるようになる子どももいます。味や食感の好き嫌いには個性がありますが、成長と共に食べられるものが増えていくと考えて、嫌いなものを強要しないようにします。家族と一緒に楽しく食べることを大切に考えたい時期です。排泄は、感覚機能と言葉と身体機能の3つが成長することで、ほぼ自分でできるようになります。ただ、間に合わなくて漏らしてしまうなど失敗や、おしりをうまく拭けないなど、まだ完璧にはできないこともあります。失敗しても決して叱らず、できたときに褒めて、だんだん成長するのを待ちましょう。心、言葉、コミュニケーション、粗大運動、微細運動の成長目安は?3歳児発達チェックリストUpload By 発達障害のキホン通院の目安や、3歳児健診の検査項目、「もしかして発達障害?」と感じたら参考:保育所保育指針解説書|厚生労働省友だちと一緒にいることが多くなることで、発達の遅れが見えやすくなってくるかもしれません。どんなところがポイントとなるのでしょうか。3歳になると、幼稚園に通い始める子どもも多いでしょう。体力や免疫力は赤ちゃん時代よりもあるとはいえ、新しい集団生活が始まると、初めて出遭うウイルスや菌によってさまざまな感染症に次々とかかることがあります。風邪やインフルエンザ、夏風邪と呼ばれるヘルパンギーナ、アデノウイルス、手足口病など、また、おたふく風邪や麻疹、りんご病、水ぼうそうなどもあります。いずれも、発熱する病気では、急激に体温が上がることがあります。感染症以外に、アトピー性皮膚炎、虫刺され、水いぼ、とびひなどの皮膚の病気もあります。ご自宅でのスキンケアでなかなかよくならない場合には、小児科、皮膚科に相談しましょう。また、病気だけでなく、動きが活発になり行動範囲が広がる分、ケガにも注意が必要です。怪我や事故にならないような環境を整えていきましょう。3歳児健診では尿検査を行いますが、腎炎・ネフローゼ、糖尿病などの病気の一部を発見するために重要な検査です。尿検査の尿が出せない場合などは、かかりつけの小児科に相談しましょう。突然意識がなくなったり痙攣が起きたり、動作停止してぼーっとする「てんかん」などにも注意が必要です。(7ページ)参考:年代別・世代別の課題(その1)|厚生労働省参考:保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)|こども家庭庁参考:白河市 保健福祉部こども支援課3歳代では、3歳児健診があります。3歳児健診では、身体の発育状況や病気の有無と共に、精神遅滞や発達障害などを視野に入れて観察します。この健診はテストではなく、その子の状態を知ってその後に生かすために行われます。・身体測定・視力検査・聴覚検査・歯科検診・尿検査・行動観察・診察(身体の発達、心や言葉の発育)・問診・保護者への質問など子ども本人への問診のほかに、保護者への質問があります。子どもの普段の様子から、育児について保護者が疲れすぎていないかといったことも聞かれるでしょう。それと同時に、健診の間の子どもの様子なども観察をしています。検査項目や子どもの様子などに気になる点があったからといって、すぐに発達が心配されるわけではありません。また、その日だけの様子ではなく、家庭での様子が大切になります。こだわりが強くてひどい癇癪を起こす、気に入らないことがあると泣き叫ぶ、友だちと一緒にいても関心を示さない、家族以外の人となかなかなじめず集団行動が難しい、などといった傾向が普段から見られるようであれば、3歳児健診の際に相談をしてみましょう。健診の際に相談できなかったときは、次のような相談先で、相談をしてみるのもよいでしょう。発達が遅れているかも?と思ったときの相談先もし発達の遅れが見られるときには、かかりつけの小児科医でまず相談してみましょう。あるいは、次のような地域の相談窓口を活用しましょう。公的機関であり、健康や保育に関する地域の相談窓口のような場所です。各種の健診、発達相談などを行っています。引っ越したばかりなど、どこに相談していいか分からない場合にも地域医療とつながる最初の窓口となります。保健センターと同様に公的機関ですが、子どもの発達支援に特化した窓口となります。発達相談をしたのちに、児童発達支援センターでもっと具体的な子育てについての相談などができます。参考:児童発達支援センターの位置づけについて|厚生労働省参考:国立障害者リハビリテーションセンター参考:軽度発達障害児の出現頻度:8.2~9.3%5歳児健診で発見された児の半数以上は3歳児健診を通過していた|厚生労働省家庭でできる関わり地域の相談窓口に行くことで解決の糸口を見つけると同時に、日々の生活の中でできることもあります。自己主張をするのは成長したからこそと分かってはいても、言うことをなかなか聞いてくれなかったり、また何度説明しても「なぜ?」「なに?」と聞かれると、大人もイライラして余裕がなくなってしまうかもしれません。つい叱りたくなるかもしれませんが、そんなときは、一時的にその場を離れる(違う部屋やトイレに行く)、深呼吸を数回する、水を飲むなどして、大人の側が気分転換を試みましょう。子どもに声をかけるときには、自分自身の心を落ち着けるためにも、穏やかな口調で、子どもの視線の高さに合わせて、子どもの目を見て話します。静かな声で、危険なことなどやめてほしいことをしたときにはきっぱりと、褒めるときにはやさしく話します。自分の気持ちがうまく説明できない様子の子どもには、「○○したかったんだよね」「○○な気持ちだったのね」と共感しながら話します。保護者としてこうした心がけをしたくても、あまりに動きが激しくて追いかけきれない、すぐに癇癪を起こして手がつけられなくてヘトヘトになるといった場合には、やはり小児科や地域の発達相談で相談しましょう。まとめ体も心もできることの機能がととのい、周りの人と自分の区別がついてコミュニケーションを楽しめるようになってくる3歳代。友だちと一緒にいることが増える時期だからこそ、少し気になることにも気づきやすい年齢です。体力的にも運動能力的にもますます成長するころだからこそ、保護者が振り回されてしまうこともあるかもしれません。頼れるところを見つけて、家族だけでなく、多くの目と手で子どもを育てていきましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年07月23日2歳0ヶ月~2歳6ヶ月のごろの子どもの体・心・言葉の発達とは?見た目にも、さらに子どもらしく成長していく2歳代。個人差はありますが、子どもとして一通りのことができるようになる一方で、すべて自分が思った通りにはいかないこともだんだん分かってくる1年間の成長ぶりを、2歳6ヶ月ごろまでと、それ以降に分けて解説します。Upload By 発達障害のキホン参考:保育所保育指針解説書|厚生労働省2歳0ヶ月~2歳6ヶ月のごろの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:81.1~92.5cm/女児:79.8~91.2cm・体重男児:10.06~14.55㎏/女児:9.30~13.73kg自我が芽生えて、自分が思ったように行動したがります。すると、手をつなぎたがらなかったり、なんでも「いや」と言うことも増えていきます。自分でしたいのにうまくできないことがあると泣いたり怒りしたり、嫌なことがあるとまったく動かなくなったりもします。語彙がぐっと増えて、「かわいい」「楽しい」など、自分が思ったことや状況を言葉にして伝え始めます。まだ文字は読めませんが、お気に入りの絵本の内容をよく覚えていて、まるで読んでいるかのように、内容をひとりでおしゃべりすることもあります。積み木やブロックをいろいろな形に見立てて組み立てたりするようになります。また、友だちのことを認識し始めて、名前で呼ぶようになり、追いかけっこをしたり、一緒に遊ぶようになります。身体機能はますます発達して、走ったりジャンプしたり手すりにつかまらずに階段を上り下りできたりと、体を自在に動かせるようになります。ボールを投げたり蹴ったり、遊具を使った遊びも上手になります。三輪車にまたがって、地面を蹴って進むなど全身のバランスをとった動きもでき、音楽に合わせてダンスや体操もします。手先を自在に動かせるようになると共に身の回りのことができるようになります。手先は細かい動きができるようになり、スプーンを使って食事をしたり、クレヨンでぐるぐる円を描いたりすることができるようになっていきます。2歳6ヶ月~3歳ごろの子どもの体・心・言葉の発達とは?Upload By 発達障害のキホン2歳6ヶ月~3歳ごろの身長・体重は以下が目安となっています。・身長男児:85.2~97.4cm/女児:84.1~96.3cm・体重男児:10.94~16.01㎏/女児:10.18~15.23㎏赤、青、黄色などはっきりした色の区別が分ります。大きい小さい・長い短い・同じなどの概念が分かるようになって、形合わせのパズルなどもできるようになります。大人の言うことになんでも「いや」という態度は、子どもによってはだんだん落ち着いてきますが、まだまだ「いや」と言うことも多いでしょう。友達とは平行遊び(一緒にいて同じ遊びをしていること)ですが、一緒に遊ぶようになり、友達の動きをまねしてふざけたり、ここにいない友達の様子を気にかけたりするようになります。自己主張は一層激しくなり、友達とおもちゃの取り合いなどのけんかもします。少し前の記憶を思い出せるようになり、「○○ちゃん(自分のこと)、パパと公園行ったの」といったことを話すようにもなります。デコボコ道や段差がある歩きにくい道も転ばずに歩いたり、平均台のような狭い台の上を横歩きしたり、20㎝くらいの高さならジャンプして飛び降りることができます。遊具を使った遊びでは、ジャングルジムによじ登り、鉄棒にぶら下がったり。三輪車などをこいで進むことができます。スプーンやフォークを使い分けて、ほとんどこぼさないで食べるようになります。クレヨンで形を描くだけでなく、「おはな」「ママ」「いぬ」など身近なものをイメージして描くようになります。2歳代の排泄の発達トイレトレーニングを始めるには、排泄をある程度ためてからできるようになること、言葉で体の状態を伝えるようになってできることの両方が必要で、体と言葉両方の発達が関係しています。このため、個人差は大きくありますが、だいたい2歳代ごろには、「おしっこが出そう」ということまで伝えられるようになり、多くの子どもがおむつを徐々に卒業します。ただ、2歳代では、小便はトイレでできても、大便はできないということも多いでしょう。間に合わないなどの失敗することはまだまだありますが、だんだんできるようになっていきます。通院の目安や、発達の遅れや育てにくさを感じた場合の相談の目安0~1歳代に比べて体力的に成長し、自己免疫も獲得していきます。それでも、保育園で流行するとインフルエンザ、RSウイルス、手足口病、アデノウイルス、胃腸炎などの感染症にはかかりやすいでしょう。外遊びが増えてくるにつれて、熱中症やしもやけといった、外気温の影響による症状も多くみられます。こうした病気や症状は、治る病気です。体力がついてきた2歳児にとって、そのときは苦しいかもしれませんが、小児科を受診して安静にすれば、ほとんどは回復します。ますます活発に体を動かすようになり、ころんだりぶつけたりといったケガも増えます。頭を打った、出血が止まらない、やけど、打ったところがひどく腫れる、などがあったら、すぐに受診しましょう。さらに、原因は病気でもケガでも、意識がない、呼吸がおかしい、痙攣を起こしているという場合には、救急医療に連絡してください。また、今までできていたことができなくなったり、したがらなくなったりという場合には、かかりつけの小児科で、まずは相談してください。参考:年代別・世代別の課題(その1)|厚生労働省(7ページ)参考:保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)|こども家庭庁参考:白河市 保健福祉部こども支援課2歳代は、自分の意志がはっきりしてきて、身体能力としてもさまざまなことができるようになります。それでも、自分が思ったようにできないことや、大人に制限されることに対して、怒り泣きするようなことはよくあり、イヤイヤ期と呼ばれる所以です。それでも、特に次のような様子がみられる場合、発達について少し気にかけたほうがいい状況かもしれません。・癇癪同じことにこだわって、何時間もその場を離れられないなど、手がつけられなくなるほどの癇癪を起こす。・チック症、常同行動自分の意志とは違う様子で体の一部が勝手に動いてしまうチックや、同じ場所でくるくる回っているといった常同行動がよくみられる。・多動興味があるものに突進してしまう、突然走り出す。頻繁に迷子になる。・集団行動をしない、苦手極端に人見知りで、児童館など同じところに何度通ってもなじめない。ほかの子どもの様子にまったく関心がない。ひとり遊びが多く、ごっこ遊びや見立て遊びをしない。・夜泣き(夜驚症)眠っているのに突然泣き叫ぶ、抱っこしても、水を飲ませようとしても、わけも分からず泣き続けて、本人も覚えていない。・遊びたがらない手が汚れることを極端に嫌がって、砂や粘土などで遊びたがらない。こうした「様子が気になる」ことや「育てにくい」と感じることが多い場合は、一度発達相談で専門家に話をしてみるといいかもしれません。発達が遅れているかも?と思った時の相談先自治体で行われる乳幼児健診は、1歳6ヶ月の次は3歳児健診となり、2歳代はありません。でも、もし発達の遅れが心配されるときには、かかりつけの小児科医でまず相談してみましょう。あるいは、次のような地域の相談窓口を活用しましょう。公的機関であり、健康や保育に関する地域の相談窓口のような場所です。各種の健診、発達相談などを行っています。引っ越したばかりなど、どこに相談していいか分からない場合にも地域医療とつながる最初の窓口となります。保健センターと同様に公的機関ですが、児童発達支援センターは子どもの発達支援に特化した窓口となります。発達相談をしたのちに、児童発達支援センターでもっと具体的な子育てについての相談などができます。参考:児童発達支援センターの位置づけについて|厚生労働省家庭でできることあまりにいうことを聞かず、イヤイヤばかり言われると大人も疲れてしまうかもしれません。でもそこで感情的にならずに受け流すことも必要です。たとえば、着替えがイヤというときには、「どっちにする?」と選択肢を見せて子どもに選ばせたり、突然何かをさせるのではなく、「そろそろお水飲もうか」などと見通しが持てるような声かけをすることも大事です。大切なのはらないことです。叱っても状況が悪化することはあっても、収まることはほとんどありません。まずは子どもの気持ちに寄り添ってみましょう。寄り添うというのは、そのときのその子どもの気持ちを代弁することです。うまくできなくて怒ったら「おしかったね」、泣いていたら「かなしかったね」という具合です。「もう一回やってみようか」という誘いもよい方法です。ただ、こうしたことは、大人の側の心の余裕がないとできないものです。保護者だけで頑張ろうとしないで、保育園、児童発達支援センターなどで相談することが大切です。参考:国立障害者リハビリテーションセンターまとめ自分のしたいことと自分ができることのギャップから起こる「イヤイヤ期」真っただ中の2歳代。それだけ心身ともに成長している証でもあります。それでも、保護者として疲れ果ててしまうようならば、家族だけで解決しようとしないで、発達相談や地域の相談窓口をうまく活用して、早めに相談してみましょう。
2023年07月22日今回は、人気のマンガをクイズ形式で紹介します!マンガのストーリーがどんな結末になるか考えてみてくださいね。イラスト:文月チコ育児をしない夫主人公の夫は子どもの世話をまったくしません。ある日、主人公は子どもの咳が気になり、夫に一緒に病院に行ってほしいとお願いしました。夫は「え~」といって面倒くさそうな態度を見せます。子どもを連れて病院に…出典:CoordiSnap病院に着いても夫は主人公に文句ばかり言っています。さらにはとんでもないことを言い出しました。問題さあ、ここで問題です。子どもが体調不良時、病院で放った夫の問題発言とは?ヒント夫は子どもの世話は主人公だけがやるものだと思っているようです。みなさんは答えがわかりましたか?正解は…出典:CoordiSnap正解は「もっとしっかり面倒を見ろよ」でした。子どもの体調不良を心配する中、無神経な発言をする夫。どこまでも子どもに無関心な夫の言動に、怒りがこみ上げた主人公だったのでした…。子育てに無関心な夫にモヤっと…子どもの具合が悪いのに心配する様子を見せなかった夫。もう少し父親としての自覚を持ってもらいたいものです。※こちらは実際に募集したエピソードをもとに記事化しています。
2023年07月22日1歳代の成長・発達の経過を3ヶ月区切りで解説。1歳0ヶ月~1歳5ヶ月の発達チェックリストこのコラムでは、1歳代の子どもの成長について、3ヶ月ごとに区切って、成長の様子を解説します。体や言葉などの発達目安について紹介していますが、できるようになる時期には個人差があるので、その子どもなりのペースでできることが少しずつ増えていけば、多少の早い・遅いは気にしなくても問題ありません。Upload By 発達障害のキホン1歳0ヶ月~1歳2ヶ月ごろの子どもの体・心・言葉の発達とは?1歳0ヶ月~1歳2ヶ月ごろの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:70.3~81.7㎝/女児:68.3~79.9㎝・体重男児:7.68~11.51㎏/女児:7.16~10.90㎏0歳代の間に育んできた、特定の大人(主に保護者)との信頼関係を深めていきます。そのため、信頼している大人から少しでも離れると不安になって「あと追い」し、自分がよく知らない人には警戒するという「人見知り」の行動にもつながります。興味を持った物に手を伸ばし、ハイハイや伝い歩きで目標物まで移動して手で取ろうとし、手に持つと触ったりなめたりして確認します。このころになると、大人が注意をひくために何かを指さしたときに、その指ではなく指が指し示している先の物を見るようになります。まだ明確な意味のある言葉は話しませんが、声を出して喃語をしゃべり、信頼できる大人に自分の意思を伝えようとする行動も見られることがあります。こうして話しかけたとき、大人が「なあに?」「面白いね」など、反応を示すととても喜びます。自分の思いを聞いてくれたことに満足して、その大人との信頼関係がますます強くなります。立つことが安定して、初めの一歩が出るようになるころです。ただ、この時期には個人差があり、慎重な性格の子どもは歩き始めが遅かったり、好奇心旺盛な子どもは歩いたりハイハイしたりを組み合わせて、どんどん行動範囲を広げます。歩き始めの早い遅いよりも、つかまり立ち/立つ/1歩を踏み出す/歩くといったプロセスを、そのときどきでじっくりと経験していくことが大事とされています。それまで手のひら全体で物をつかんでいたのが、親指と人差し指を使って、細かい物をつまめるようになります。まだ道具を使って食事をすることはできませんが、手で食べ物をつかみ、つまみ、口元へ持っていき、自分で食べたがります。この「つかみ食べ」は、意欲をもって自立して食べられるようになるための大事なプロセスだといわれています。1歳3ヶ月~1歳5ヶ月ごろの子どもの体・心・言葉の発達とは?1歳3ヶ月~1歳5ヶ月ごろの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児: 73.0~84.8㎝/女児: 71.1~83.2㎝・体重男児:8.19~12.23㎏/女児:7.61~11.55㎏「ママ」「まんま」など、意味をわかって発する言葉が少しずつ出てきます。自分から、周りの大人や物と関わろうとして、自分の名前を呼ばれると返事をしたり、物の名前も覚え始めたり、歌に合わせて踊ったりします。人の真似をするようになり、人形を抱っこしてトントンと寝かせたりなどままごと遊びをします。保護者と触れ合って遊ぶのも好きです。大人が「ちょうだい」といえば持っている物を差し出したり、「どうぞ」と言われれば受け取ったりもします。こうして物を介したコミュニケーションができるようになります。多くの子どもは歩くのが上手になってきます。日に日に長く歩けるようになり、歩くこと自体を楽しみ、歩いて自分が行きたいところに行けることも楽しみます。いすや階段によじ登ったり、滑り台でも遊べるように。衣類の脱ぎ着をしようとすると、ズボンに足を入れようとしたり、自分で脱ごうと腕を動かしたりします。つまむ、つかむ以外にも、めくる動作ができるようなります。絵本などの大判の本のページをひたすらめくる様子もみられます。ボタンを押す、ハンドルを回すなど、少しずつ手首を回すような動きもできるようになっていきます。1歳半健診もある重要な時期!1歳6ヶ月以降の子どもの発達チェックリストUpload By 発達障害のキホン1歳6ヶ月~1歳8ヶ月ごろの子どもの体・心・言葉の発達とは?1歳6ヶ月~1歳8ヶ月ごろの子どもの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:75.6~87.9㎝/女児:73.9~86.3㎝・体重男児:8.70~12.96㎏/女児:8.05~12.21㎏発語がますます盛んになり、大人が言ったことを真似たり、語尾だけ真似したりしながら、言葉を増やしていきます。積み木を車などに見立てて動かしたり、「見立て」遊びをするようになります。安定してより速く歩けるようになり、多少の段差は乗り越えられるようになるので、それほど転ばなくなります。手指の動きも発達してきて、自分の手に合う大きさの容器のふたを開け閉めしようとします。食事では、スプーンをにぎって自分で食べようとしたり、フォークを使って食べ物にさして食べられるようにもなっていきます。クレヨンを持たせると、線を描いたり、大きなぐるぐるを描けるようになります。1歳9ヶ月~1歳11ヶ月ごろの子どもの体・心・言葉の発達とは?1歳9ヶ月~1歳11ヶ月ごろの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:78.1~90.7㎝/女児:76.6~89.4㎝・体重男児:9.19 ~13.69 ㎏/女児:8.49 ~12.90㎏着替えや靴をはくこと、食べること、なんでも自分でやりたい時期に突入します。でもまだできないことも多いので、泣いたり癇癪を起こしたりすることもあります。身の回りの物に名前があることを覚えて語彙が増え、「二語文」(「わんわん、きた」「ママ、いた」など主語と動詞の2つを組み合わせた言葉)を話せるようになっていきます。子ども同士で手をつないだり、真似をし合ったりして楽しむようになります。自分と他者の違いが少しずつわかるようになってきて、友だちの靴や帽子など持ち物をその子に渡そうとしたりもします。自己意識が芽生え始めます。長い距離を安定して歩けるようになります。その場でのジャンプができ、片方の足で体重を支えて、もう一方の足でボールを蹴ります。階段は手すりにつかまりながら、一段ずつ登れるようになります。道具を使って食べるのも上手になり、スプーンやフォークを使って、こぼしながらも口に運べる量が増えます。参考:保育所保育指針解説書|厚生労働省参考:<参考> 0歳児から2歳児の発達過程|東京都教育委員会参考:東京都こども医療ガイド|東京都福祉保健局1歳でかかりやかすい病気とは?気になる兆候など保護者の育児休業が明けるタイミングで保育園に通い始める赤ちゃんも多いでしょう。初めての集団生活では、これまで出合わなかったたくさんの感染症と出合うことになります。風邪をはじめ、RSウイルス、手足口病、アデノウイルス、インフルエンザなど、さまざまなウイルスや細菌によって体調を崩しながら、少しずつ免疫を獲得していきます。また、生後6ヶ月から1歳ごろの間には突発性発疹を発症する子どもも多く見られます。集団生活を開始して、何度も熱を出すと心配になるかもしれませんが、熱のときのホームケアなどをかかりつけ医に相談しながらみていきましょう。何度も熱を出しても、重症化せずに元気になるようであれば、心配しなくても大丈夫です。また、興味をもった物をなめることがあり、誤飲事故にも注意が必要な時期です。赤ちゃんののどの直径(約3㎝)よりも小さい物を手の届くところに置かないなど注意しましょう。なんでも口に入れてしまうことから、胃腸炎を起こすこともあります。赤ちゃんはまだ、痛みや体調の悪さを言葉で説明できません。そのため、具合が悪いときは、いつもよりも機嫌が悪くなりやすいものです。いつもと同じように過ごしているのにやたらとぐずる、夜泣きが激しいというときは、具合が悪いサインかもしれないのでよく観察しましょう。まだ体も小さいため、熱中症になりやすく、また病気にかかると急に高熱が出ることがあります。急激な体温の上昇では、熱性痙攣を起こすことがあります。原因はなんであれ、子どもが具合悪そうなときは、急変しないかよく観察しましょう。急に意識がなくなったり、呼吸が苦しそうな様子が見えたら、なるべく早く医療機関を受診しましょう。また、このころは、日に日に「できること」が増えていく時期です。機嫌が悪くて一時的にやらないということではなく、一度歩けるようになったのに、歩きたがらなくなったりといった、一度できたことをしなくなるのは気がかりです。気になることがあったら、かかりつけの小児科で相談しましょう。参考:年代別・世代別の課題(その1)|厚生労働省(7ページ)参考:保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)|こども家庭庁参考:白河市 保健福祉部こども支援課初めてのお誕生日を迎える1歳は大きな区切りですが、心身の成長の節目は1歳半ごろです。このころには、体型も赤ちゃん体型から、立って歩く筋肉がついてきて幼児体型へと変わっていきます。そのため乳幼児健診も1歳6ヶ月健診があり、身体測定、歯科検診、身体機能、心の発達のチェックをします。たとえば、興味がある物や手に入れたい物を指さすのではなく、大人の手をとって連れていく行動(クレーン行動)が見られたり、おしゃべりをはじめ積極的に人と関わろうとしなかったり、ことばではなく奇声を発することが多かったり、ずっと頭を振っているなど(常同行動)がある場合、発達相談を勧められることもあります。運動発達、言葉の発達などが遅れている場合発達の遅れが見られるときにはどのような相談先があるでしょうか。まず活用してほしいのは1歳6ヶ月健診です。子どもの状況などを踏まえて、さまざまな相談窓口を紹介されることもあります。健診時に相談しなかった、できなかった場合は、かかりつけの小児科医に相談してみるのもよいでしょう。成長の様子を見守っていたらいいのか、早めに療育などを始めたがほうがいいのかなどの判断もしてくれるでしょう。地域の相談窓口としては次のようなところがあります。公的機関であり、健康や保育に関する地域の相談窓口のような場所です。各種の健診、発達相談などを行っています。引っ越したばかりなど、どこに相談していいかわからない場合にも地域医療とつながる最初の窓口となります。保健センターと同様に公的機関ですが、子どもの発達支援に特化した窓口となります。発達相談をしたのちに、児童発達支援センターでもっと具体的な子育てについての相談などができます。参考:児童発達支援センターの位置づけについて|厚生労働省まとめ1歳代のうちでも1歳6ヶ月ごろは、成長の大きな節目です。このころまでに、興味をもった対象に自力で移動して近づき触るようになり、自分がしたいことを態度や声で示すようになってきます。お世話してくれる大人との信頼関係を深め、自己主張を受け入れてもらうとうれしいと感じ、同時に自我が芽生えます。心身ともに赤ちゃん期を脱し、「子ども」へと成長していくのが1歳代です。
2023年07月21日3児のママで小児科医、高円寺こどもクリニック院長の保田典子先生に、ママたちが気になることを聞ける人気企画。今回は、離乳食を始める前の赤ちゃんに麦茶を飲ませたほうがいいかどうか悩むママたちのお悩みについて、マンガで解説してもらいました。こんにちは。3児のママで小児科医の保田典子です。最近よく外来で乳児のママに「子どもが麦茶を飲まないんです」と相談されることが増えてきました。 暑くなってきて、脱水になりやすいから麦茶を飲ませなきゃ!と思ってしまいますが、実は、麦茶は飲ませなくて大丈夫です。今回は赤ちゃんの麦茶事情について解説します。 赤ちゃんに麦茶は、必要ありません市販の赤ちゃん用麦茶には、よく「生後1カ月から」と書いてあります。なので、1カ月健診が終わったころから麦茶をあげるのは間違いではありません。 ですが、医学的には「いつから」というのは決まっていません。それは、離乳食を始める前の赤ちゃんは、母乳か育児用ミルク以外の水分は基本的に必要ないとされているからです。白湯も同様で、離乳食前の赤ちゃんには必要ありません。 なので、正しくは「生後1カ月から可能だけれど、通常生後5〜6カ月から飲むことを考慮」します。生後5〜6カ月でも、離乳食と母乳や育児用ミルクだけで大丈夫なので、基本的に麦茶を飲ませなくてはいけない時期というのはありません。 夏の水分補給はどうする?夏でも、赤ちゃんは母乳や育児用ミルクだけで大丈夫です。乳児であれば、3〜5時間おきには水分(母乳や育児用ミルク)を摂取しているので、過酷な環境にいるわけでないときにはいつもの母乳や育児用ミルクで大丈夫です。 汗が増えるので、多少おしっこが濃いように感じても、“欲しがるときに母乳や育児用ミルク”が摂取できていれば他の水分はいりません。 私の場合、家にいるときは母乳や育児用ミルクだけにしていて、外に遊びに行くときに麦茶を準備していました。水分を欲しがるたびにおっぱいや育児用ミルクの準備をするのが面倒だったからです(基本めんどくさがりなので)。 もちろん、赤ちゃんは「のどが渇いた」とは言ってくれないので、こまめにあげてみて、「飲まなければいいや」という感じでした。もちろん、外出中でも授乳のほうが適切だなと思うタイミングでは授乳にしていました。 幼児は水か麦茶で水分摂取を!幼児になると母乳や育児用ミルクよりも食事からの栄養摂取がメインになり、母乳や育児用ミルク以外にも水分摂取する必要性が高くなります。水分摂取にはジュースやイオン飲料は使用しないほうがいいので、自然とお水や麦茶、牛乳などを飲むことになります。牛乳も飲み過ぎは注意なので、水や麦茶をメインに水分摂取を考えていただけるといいと思います。 作画/はたこ 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2023年07月21日誕生からの1年間は一生のうちでも最も成長が著しいとき誕生してから1歳になるまでの間、赤ちゃんは人生の間で最も急激に成長します。体重は出生時の3倍近くになり、体を自由に動かせる範囲が格段に広がります。自分だけの心の世界から、周囲との関係性が生まれます。座る、立つ、歩くなど、体を大きく使って動かすことを「粗大運動」と言います。0歳代の赤ちゃんの粗大運動の成長は、体の上のほうから順に進んでいきます。まず首がすわり、手足の動きが活発になり、その後、寝返り、はいはい、おすわり…といった順序で進んでいきます。1歳になるころにほとんどの赤ちゃんは何かにつかまったりしながら自分で立てるようになります。また、手指の細やかな動きである「微細運動」の成長も、はじめは腕や足をバタバタ動かすことから始まり、手のひらでつかみ、やがて指でつまむことができるようになります。一方、視覚、聴覚など感覚器官は、胎内にいる間にほぼ完成していますが、生まれてから感覚機能は成長していきます。それと同時に、見える人の顔や聞こえる声、慣れ親しんだ匂いや感触といったことから、人やものへの愛着、好奇心といった心が成長していきます。生まれてすぐのころには、空腹や暑い・寒いという不快感を感じたときに泣くことが多いですが、次第に抱っこしたりなどかまってもらうと笑う、思い通りにならないと怒る、といったように情緒が育っていきます。それと同時に、周りの人やものに興味を抱くことにより、「あれがほしい」と手を伸ばしたり、「あそこへ行きたい」と今できる動きでなんとか移動しようとしたりします。こうして、好奇心と体の機能の発達がお互いに促され合うことで、心と体の両方が成長していきます。成長とともに変化する0歳代の食と睡眠食の成長は、はじめは反射的に乳首を吸うことから始まり、胃腸の成長に伴って1回に飲める量も増え、生後5~6ヶ月ごろになり口の動き方が発達してくると、咀嚼・嚥下の練習を始めます。こうしておかゆやポタージュのようなドロドロの形状の離乳食から始まり、徐々に大きさも硬さも増してだんだんに食事が栄養源のメインとなっていきます。睡眠は、生後すぐはまだ昼夜問わず頻繁に寝たり起きたりの周期を繰り返しますが、生後2~3ヶ月ごろになると暗くなれば眠り明るくなれば起きるというリズムができ始めます。睡眠時間や夜泣きや寝ぐずりなど睡眠に関しては非常に個人差が大きいものですが、1歳を迎えるころまでには、多くの場合、朝起きて夜眠るというリズムがついてきます。参考:保育所保育指針解説書(35ページ)|厚生労働省月齢ごとの心身の成長新生児から始まって2ヶ月ごとの、0歳代の赤ちゃんの一般的な成長の様子を解説します。0歳0ヶ月(新生児期)の体・心・ことばの発達とは?新生児といっても何もできないわけではありません。胎児のころから感覚器官は機能し始めていて、見る・聞く・匂いをかぐ・味わう・触れたものを感じるという、いわゆる五感は生後すぐから機能しています。その機能はまだ、完成されたものではありませんが、抱っこする人の顔をじっと見つめ、声や音を聞き、匂いを感じて、母乳やミルクを味わい、やさしく触られると安心します。0歳0ヶ月ごろの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:44.0~57.4cm/女児:44.0~56.4cm・体重男児:2.10~5.17kg/女児:2.13~4.84kg視力はまだ、30㎝以内のものがようやく見えるくらいで、抱っこした人の目をじっと見つめます。音は聞こえていて、ママの体や羊水を隔てて胎児の間に聞こえていた音声を覚えているとも言われています。発することができる声としては、ほとんど泣き声や呼吸と共に反射的に出る音だけで、自分で意識して声を上げるのはもう少し後になります。笑ったような顔をすることがありますが、これは「新生児微笑」と言われる原始反射のひとつで、「うれしい・楽しい」といった感情によって表情が変わるわけではありません。0ヶ月の間はほとんど寝たままで、手足をパタパタと動かすことはできますが、自分で体幹を動かすことはできません。「原始反射」と呼ばれる反射があり、この反射が消えていくにつれて自分で体を動かせるようになっていきます。原始反射には、吸啜反射(唇に触れたものに吸いつこうとする)、把握反射(手のひらや足の裏に触れた物を握ろうとする)、モロー反射(突然の物音などに反応して何かに抱きつこうと腕を伸ばす)などがあります。0歳1ヶ月~0歳2ヶ月のころの体・心・ことばの発達とは?0歳1ヶ月~0歳2ヶ月のころの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:50.9~63.2cm/女児: 50.0~61.7cm・体重男児体重 3.53~7.18kg/女児体重 3.39~6.67kg鳴き声以外に「あ~」「う~」「く~」といった声を出すようになります。「新生児微笑」ではなく、心地よいと感じるときなどに、ひとりでニコッとほほえむようになります。少しずつ、誰かと目が合ったときにニッコリするようになっていきます。うつぶせにすると頭をぐっと持ち上げられるようになり、その持続時間は少しずつ長くなり、やがて自分で頭の向きを変えられるようになります。仰向けに寝かせたときに、両手を握り合うようなしぐさが見られます。また、足の動きが活発になるので、掛け布団が外れてしまうこともよくあります。0歳3ヶ月~0歳4ヶ月のころの体・心・ことばの発達とは?0歳3ヶ月~0歳4ヶ月のころの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:57.5~68.5cm/女児:56.0~66.8cm・体重男児:5.12~8.72kg/女児:4.84~8.18kg「あ~」「う~」以外にも「きゃ~」といった声も出せるようになり、いよいよ、周りの人があやすと笑うようになり、だんだん笑い声も大きくなります。このころになると多くの赤ちゃんは首がすわるようになります。うつぶせにすると、自分で首を上げて好きな方を向くようになり、起きているときに縦抱きしても首がぐらつかなくなります。手指を自分の意志で動かせるようになり、ラトルなど軽くて握りやすい取っ手のあるものを持たせると自分で握り、腕全体を使って振ったりするようになります。0歳5ヶ月~0歳6ヶ月のころの体・心・ことばの発達とは0歳5ヶ月~0歳6ヶ月のころの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:61.9~72.1cm/女児:60.1~70.4cm・体重男児:6.10~9.57kg/女児:5.74~9.05kg首が動かせるようになるのに伴い、音がするほうや興味を引くもののほうを向くようになります。表情には、快・不快に対する反応だけでなく喜怒哀楽が表れるようになり、うれしいと笑い、自分が思った通りにいかないと怒り泣きし、ほめられると誇らしげな表情をすることもあります。このころ、必ずしもではありませんが、寝返りするようになります。仰向けからうつ伏せ、またその逆に体を回転させますが、初めのうちは体の下になった腕がうまく抜けなくて泣いたりすることもあります。首と腰がさらにしっかりすわります。欲しいものがあると、その方向に手を伸ばし、届けばつかみます。0歳7ヶ月~0歳8ヶ月のころの赤ちゃんの体・心・ことばの発達とは0歳7ヶ月~0歳8ヶ月のころの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:65.0~75.0cm/女児:63.1~73.2cm・体重男児:6.73~10.14kg/女児:6.32~9.63kg発せられる声のバリエーションが増え、「パ」「マ」「ダ」行の発音をするようになります。いわゆる「喃語」(なんご:意味のないことば)の始まりです。繰り返すことが面白くなるころで、「いないいないばあ」などをすると喜ぶようになります。だんだん周囲の物事を覚えはじめ、知らない人に会ったり知らない場所に行ったりすると、「人見知り」「場所見知り」をし、普段一緒にいる保護者の姿が見えないと泣くこともあります。このころから、ものをなめたり嚙んだりして確認することが増えるので、誤飲には注意が必要です。うつ伏せにすると腕の力ではいはい(ずりばい)をするようになり、自分の意志で目的のものがある場所まで移動しようとし始めます。また、支えがあれば座ることができるようになってきます(腰がすわる)。手のひらでものを握ることができ、手に持ったものを反対の手に持ち替えることができます。0歳9ヶ月~0歳10ヶ月のころの赤ちゃんの体・心・ことばの発達とは?0歳9ヶ月~0歳10ヶ月のころの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:67.4~77.4cm/女児:65.5~75.6cm・体重男児:7.16~10.59kg/女児:6.71~10.06kg発音のバリエーションがさらに増え、言葉のようなまとまりのある発音をするようになります。「あー」「ママ」「まんま」「ぱっぱっ」など、保護者などに向けて呼びかけるようにもなります。周りの人のまねをするようになり、「バイバイ」と言うと手を振ることもあります。両手と両ひざをついてはいはいできるようになり、移動の速度も増します。また、立たせたときに支えになるものがそばにあれば、そのまま立っていられるように(つかまり立ち)なる子どももいます。支えがなくても座っていることができ、座ったまま両手を自由に動かしたりおもちゃを持って遊んだりします。両手に持った積み木などのおもちゃを打ち合わせることができるようになる子どももいます。0歳11ヶ月~1歳のころの体・心・ことばの発達とは?0歳11ヶ月~1歳のころの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:69.4~79.6cm/女児:67.4~77.8cm・体重男児:7.51~11.04kg/女児:7.02~10.48kgことばの意味を理解して単語をひとつ言えるようになる子どもも多いです。欲しいものや自分がしてほしいこと・いやなことなど、自己主張がハッキリしてきます。自分で食べ物をつかんで口に運ぶこともします(つかみ食べ)。座った状態から、近くにつかまれるものがあれば自力で立ち上がることができるようになり、1歳が近づくと何もつかまらなくても立てるようになり、はじめの一歩を踏み出す子どももいます。手のひらでものを握るだけでなく指先の動きもコントロールでき始め、小さいものを人差し指と親指で挟んでつまむことができるようになります。Upload By 発達障害のキホン発達に遅れがある? 通院の目安や、保護者ができること心も体も、発達・成長には個人差が大きくあります。上記のような発達段階の目安通りに進まなくても、その子どものペースでだんだんにできることが増えていけば問題はないと言われています。0歳代では、1ヶ月健診、3~4ヶ月健診、6~7ヶ月健診、9~10ヶ月健診があり、区や市町村の自治体主体で実施されます。このときに、身長・体重の計測、心と体の発達・成長を確認します。著しく発達・成長が遅れている場合や、成長曲線からはみ出して体重や身長が推移している場合などには、相談することができます。発達に遅れがあると感じたら――専門家に相談する目安もし、誕生した時点で先天性の疾患があることが分かっている場合などは、かかりつけ医と相談しながらその子どもの成長ペースを見守りましょう。特に疾患はなくても、早産児(妊娠39週未満で生まれること)の場合には、発達・成長は遅れることがあります。発達障害に関しては、0歳代ではまだ診断はつけられませんが、笑わない、泣き止まないなど、気になることがあれば健診を機会に相談したり、かかりつけの小児科医に相談してみましょう。参考:健診での気づき|国立障害者リハビリテーションセンターかかりやすい病気とは?発達の遅れなどとの関係は?生後4~6ヶ月ごろまでは、胎内にいたあいだに母親からもらった免疫物質(免疫グロブリン:IgG)のおかげで、母親が免疫をもっている伝染病には感染しないと言われています。ただそれは万全ではなく、百日咳や結核など、新生児期からかかる病気もあります。そのために、生後3~4ヶ月のころから、三種混合ワクチンやBCGなどの予防接種がすすめられています。また、感染症以外にも、先天的な疾患がある場合もあります。妊娠中や誕生後すぐに分かる場合もありますが、成長とともに分かってくることも少なくありません。ミルクや母乳の飲み方が少ない、吐き戻しが多いといったことや、抱っこしたときにまったく目が合わないなど、なんとなくおかしいということから気づくケースもあります。その場合には、出産した産院を通して小児科医に相談したり、あるいはかかりつけの小児科医や病院に相談してみましょう。特に生後半年くらいまでの間に心配なのは乳幼児突然死症候群(SIDS)です。原因は解明されていませんが、SIDSを避けるには赤ちゃんの呼吸を妨げない環境の工夫が大切とされています。参考:年代別・世代別の課題(その1)|厚生労働省参考:保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)|厚生労働省参考:白河市 保健福祉部こども支援課家庭でできること、健診での気づき初めて育児をする場合は、子どもの様子が「なんとなくおかしい」と気づけないのではと不安になるかもしれません。そのような場合は、乳幼児健康診断(乳幼児健診)を活用しましょう。乳幼児健診は、できるか・できないかで評価をする場ではありません。赤ちゃんの今の状態を客観的にみることが目的です。もし、成長や発達に遅れが見られた場合、早い段階から専門家に相談することが大切です。専門家とは、保健師、小児科医、言語聴覚士、臨床心理士、臨床発達心理士、あるいは小児神経専門医、児童精神科医などであり、その窓口となる大事な機会が、乳幼児健診です。健診などで相談し、支援が必要な場合、支援につながることが、子どもにとっても育てる保護者にとっても大事なことです。まとめ0歳代の1年間で、赤ちゃんは自分の意志で体を動かせるようになり、周りの人との関係性も学習していきます。表情が豊かになり、褒められるとうれしいという感情が芽生えます。ただ、この記事で紹介した時期別の発達・成長は、あくまでも目安です。周りと比べすぎず、その子の成長のペースを見守りましょう。
2023年07月18日3歳児の発達の目安は?わが子の多動の原因は?ADHDの可能性がある?3歳ごろの子どもは、基本的な運動動作が一通りできるようになり、生活習慣の自立も進みます。ことばによるやり取りもできるようになり、社会性も育ってきて、徐々にお友達と関わりながら遊ぶことも増えてきます。3歳になって、幼稚園に入園するなど初めての集団生活を経験することになり、わが子とほかの子どもの様子を比べて「わが子は多動かもしれない…」「もしかして、ADHDの可能性がある?」と気になる方もいらっしゃるかもしれません。このコラムでは、・3歳児の多動の原因・多動と発達障害の関連性・困ったときの相談先などをご紹介し、多動にまつわる保護者のお悩みや困りごとなど専門家の先生にアドバイスいただきます。【小児科医に聞く】3歳児の「多動」に関する悩みーー落ち着きがない、集団行動が苦手、発達障害との関係は?医師が回答(質問)3歳の子どもがじっとしていられず、外でもすぐ走り出してしまいます。落ち着きがなく、幼稚園に入れるのか不安です。多動は、もう少ししたら落ち着くのでしょうか?(回答)3歳だと、自宅など家族がいる場面では落ち着きがないように見えても、幼稚園や保育園などでは落ち着いて過ごせているお子さんもいます。しかし、家でも外でも落ち着きがない場合には、心配かと思います。多動が落ち着く時期は、お子さんによってもさまざまです。多動の原因は、さまざまな要因が組み合わさっていることがあります。注意欠如・多動症(ADHD)などの脳の発達・機能の異常が関与していることがあります。ADHDに自閉スペクトラム症や知的障害が併存していることによる場合もあります。また、家庭環境の不安定さ、過度のストレスがかかったなどの環境要因が関連することもあります。言葉の遅れがあり、落ち着きがない場合には、言葉の発達に伴って落ち着いてくることもあります。言葉が遅れていないが、落ち着きがない場合には、いろいろな物事に興味が移り変わりやすく、多動が長く続くこともありますが、小学校の中学年以降には多動は落ち着いてくると言われています。幼稚園や保育園での集団生活で、お集まりのときにじっとしていられないなどがある場合には、発達支援センターやかかりつけ医に相談することをおすすめします。Upload By 発達障害のキホン(質問)幼稚園の年少(3歳児)の子どもが、落ち着きがなく、指示も通らず、集団行動ができません。どのくらいの程度の多動の場合、発達障害の可能性が考えられるのでしょうか?医師に診てもらったほうがいいのでしょうか。(回答)まだ3歳ですとADHDなどの発達障害の可能性があるかどうかは、判断がつけられません。じっとしていられない、静かにすべきところで静かにすることができない、気持ちのコントロールがつきにくく癇癪が激しい、物の扱いが乱暴、動きが多く目が離すことができないなどの様子から、ADHDの疑いがあるということで、専門機関に相談されることがあります。入学前でも、家や園でも落ち着きがなく、日常生活や園生活に支障がある場合には、専門機関に相談することをおすすめしています。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもがじっとしていないので、買い物や外食にも行けません。子どもの発達のことを相談できる人もおらず、不安です。(回答)じっとしていないと、買い物も外食にも行きにくいですね。多動が激しい場合、外出先で注意ばかりで疲れてしまうというお声を聞くこともよくあります。外出先でお子さんがじっとして待つのが難しく、負担がかかる場合には、お子さんが園などに行っている時間内に用事を済ませるのも良いでしょう。一緒に行かざるをえない時には、○分買い物をします、など見通しを立ててから出かけ、少しでも待てたら、待てたねと、できていることに注目して声をかけましょう。しかし、まだ3歳ですと、待つのも難しいときも多々あるかと思います。買い物や外食が、親子一緒に必ず行かなければならないものなのか、お子さん・親御さんに負担がかかるものではないかを振り返ってみましょう。声かけなど工夫しても、お子さんが落ち着かず、対応について困る場合には、幼稚園・保育園の先生、保健センター、かかりつけ医、地域の発達支援センターなどに相談すると良いでしょう。Upload By 発達障害のキホン多動にまつわるコラムコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年07月03日5歳の息子は、熱は下がっても咳だけ残るということがしばしば。特に運動後や就寝中などに咳が悪化し、あまりにひどいときは嘔吐してしまうこともありました。喘息の診断を受けていたのですが、薬をのんでも全然よくならなくて――!? セカンドオピニオンで「喘息」の診断を受けたが…この状況に耐えられなかった私は、かかりつけ医の小児科からセカンドオピニオンで呼吸器内科に息子を連れて行きました。 そこでは医師に「この子は喘息だよ」と診断されました。吸入や喘息の薬を処方してもらって息子の咳は、何とか完治。しかし、風邪を引くたびに咳だけが長引く状況は変わりませんでした。 そして冬の寒い時季に、またもや息子は発熱。数日で解熱はしましたが、咳だけはいつもの通り治りません。「吸入や喘息の薬で治るかな」と私は考えていました。しかし、今回はどれだけ喘息の薬を飲んでもまったく咳が良くなる気配がありません。 再びかかりつけ医へ相談咳で苦しむ息子に何もできずに私は涙が出てきました。しかし、一番つらいのは息子です。私はすがるような思いで再びかかりつけ医の小児科へ息子を連れて行き、今までの流れをすべて話しました。 私の話を聞いたかかりつけ医は「喘息じゃないから薬が効いてないんだよ」と。そのひと言がとても腑に落ちました。 かかりつけ医は「この症状だけじゃ喘息と判断できない」と漢方薬を処方。すると、息子の咳は次第に落ち着き、運動も就寝も問題なく過ごせるように! その後、風邪の際は咳止めの漢方薬をはじめから処方してもらうことで、息子の咳は以前のように悪化しなくなりました。咳だからまた喘息か、と思っていましたが、漢方が効いてよかったです。息子がつらい中、あちこちの病院に連れていくことに迷いもありましたが、再度かかりつけ医を受診してよかったと思った出来事でした。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:都うめこ/30代女性・主婦。5歳男児と3歳女児のアクティブ転勤族ママ。趣味は公園巡りで、現在公園レポートを20本以上と育児に関する記事を執筆中。元銀行員でFP資格保有。イラスト:ふくふく ※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2023年06月29日小学校からの呼び出し太郎は4歳のころに自閉スペクトラム症の診断を受けている。太郎は学校への行き渋りをまったくみせない。学校でのストレスについて話をしない。ストレスを分かっていない、だから話せないと表現したほうが近いのかもしれない。なので学校からの呼び出しには毎回驚いた。Upload By まゆん呼び出し場所は、毎回学校の保健室。学校の保健室の場所を保護者の中で私が1番把握しているのではと思うくらいだった。電話があれば仕事も早退し太郎のもとへ駆けつけた。太郎が小学生のころの職場も今の職場も、太郎について理解があり子育て世代も多かったため急な早退も快く許可してくださっていた。それでもやはりチームワークが求められる職業であるため、誰かにしわ寄せがあること対して申し訳ない気持ちが毎回あった。しかし太郎を心配する気持ちの方がはるかに大きく、職場に迷惑をかけているという気持ちをいつも振り切っていた。今回はいったい何があったのだろう、身体的な不調か、それとも精神的な不調か…そんなことを考えながら迎えに行っていた。保健室に着くと、保健室の先生が気づいて太郎に声をかけた。「太郎ちゃん、お母さんだよ」。そして太郎の表情を見て、「あ、お母さんが来たらちょっと表情が良くなったねえ、うれしいね」そんな声かけにうれしさと切なさをおぼえた。Upload By まゆん私は太郎に話しかけた。「太郎どうしたの?今も吐きそう?大丈夫?」。太郎は元気のない声で「分からない」、続けて「暑かった」そう答えた。Upload By まゆん毎回同じ。自分の体調不良の表現が難しいのか「分からない」と答える。あとはひどく苦手な暑さについてだけ答えが返ってくる。小児科を受診暑さと、何らかのストレスが重なったときに太郎は嘔吐をすることが多いと私は気づいた。例えば音楽会の前、運動会の前、とにかく団体行動の行事の前にこの体調不良がおきた。保育園時代から何回もあった。そうはいっても身体的に本当に病が潜んでいる可能性もあるため、それを否定する意味でも小児科を受診した。かかりつけの先生は太郎の特性を理解してくださっていた。私から見た太郎の様子や学校行事のことを説明すると「ふむふむ」とうなずきながら聴診器やペンライトを使用しての触診を始めた。先生は太郎に「うんうん、大丈夫、悪いところはないからね、太郎ちゃんちょっと疲れてるのかな」とあたたかく声をかけてくださっていた。身体的な所見に異常がないと分かると私も安心するし、病院を受診することで太郎もなんとなく気持ちのリセットができているように見えた。それからも、太郎は学校を休もうとはしなかった。もちろん私からは休むことの選択肢もあることを伝えていた。家では食事もおいしそうに食べていて吐き気や嘔吐もないため、太郎の「学校に行く」という意志と体調面を担任の先生に伝え、通学させていた。Upload By まゆんこの症状は保育園の年中から始まり、中学2年生になった今でも続いている。ただ、回数は小学6年生のころから減ってきていて、年に1回ほどになっている。こういう出来事を何回も繰り返し、乗り越えて、また繰り返しの太郎。太郎の真面目さ、前向きさにはいつも感心している。太郎は小学校中学年からかかりつけの先生が変わりました(先生が引退されたため)。かかりつけ医が変更になったときはそれはとても不安でしたし、特性を理解してもらえるように私からポイントを先生に伝えていました。紹介状も持っていってたのでそちらでも伝わっていたとは思います。太郎も主治医が代わったことや病院が変わったこと、環境の変化に敏感になっており「ここどこ?」「なにするの?」などきょろきょろと挙動不審になったり先生の前でも固まったりと緊張をしていましたが、今では笑顔も出るくらいになっています。私の説明や太郎の特性を受け入れて、「ふむふむ」と話を聞いてくださった先生にはありがたい気持ちでいっぱいです。保護者がわが子の特性や傾向を理解すること、それを周りに伝えられることが、先生にとっても私たちにとっても重要になってくると今までの経験から感じています。チームをつくるという感じでしょうか…。執筆/まゆん(監修:鈴木先生より)嘔吐の症状が続いている場合、自閉スペクトラム症だけが原因とはまず考えられないため、私のクリニックでは一度検査をされることをおすすめしています。一般的には、発熱せずに周期的に嘔吐する場合は周期性嘔吐症、いわゆる自家中毒と考えられています。ほかの病気を否定するために、脳波・CT・採血などさまざまな検査を行うこともあります。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月28日皆さんは、病院でのトラブル経験はありますか? 今回は入院中に遭遇したトンデモ母親のエピソードを紹介します!イラスト:エトラちゃんは見た!息子が検査入院息子が体調不良のため、小児科へ連れていった主人公。大きな問題はなさそうでしたが、念のため検査入院をすることに。息子はまだ幼いため、看護師からは主人公も付き添いで病院に泊まるようにすすめられます。そして、息子と主人公が泊まる病室へ案内されたのですが…。同室には…出典:エトラちゃんは見た!息子が入院する大部屋へ入ると、部屋では看護師に向かって大きな声を張り上げる女性の姿が。その女性も息子が入院するようですが、部屋が個室でないことに文句を言っているようです。厄介そうな人と同じ部屋になってしまったことに不安を覚える主人公。そしてその夜、主人公の不安は的中するのです。その女性はなんと、主人公が使うために用意した寝袋と座布団を奪って勝手に使っていたのです。さらに女性は、主人公が返してほしいと伝えても「これは家から持ってきた」と主張してきて…。結局主人公が名前を書いていたことで寝袋は返ってきたものの、女性の身勝手な態度に呆れる主人公なのでした。厄介な母親ただでさえ不安が多い入院中に、トラブルに巻き込まれてしまった主人公。女性の身勝手すぎる態度に呆れてしまったエピソードでした。※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。
2023年06月23日わが家には3人の子どもがいます。長女は小さいころとても健康で、発熱もほとんどなかったので、私自身も子どもの病気に対しての心構えができていませんでした。しかし長女が幼稚園に通いだし、次女が生まれると状況は一変。今回は生後8カ月で初めて発熱し、熱性けいれんに悩まされた次女についての体験をお話しします。 絶対おかしい! 救急病院へいつもとは違う次女の様子が心配になり、夫に長女をまかせて救急病院に連れて行きました。偶然にもそのときの担当に小児科の先生がいて、安心したのを覚えています。 連れて行ったときには次女は落ち着いていましたが、症状を話すとけいれんを予防する坐薬を処方してくれ、熱性けいれんについての説明と対処法を教えてくれました。病院へ行って先生から言われたことは、まずは落ち着いて子どもの様子を観察すること。寝ているときは横向きにし、窒息しないよう周りに物があればよけること。そして時間を計測し、病院に連絡すること。これらをメモにして渡してくれたので、家の目立つところに貼りました。 徐々にけいれんの頻度が減少救急病院に行った12時間後、再び熱性けいれんが起きたので再度病院に行くと、また発症するリスクが高いので、発熱時に予防のための坐薬を使うよう指示されました。発熱のたびに坐薬を使うので少し面倒ですが、子どもの健康には代えられません。 それでも時々熱性けいれんを起こすことはありましたが、私も心構えができていたので、慌てずに対処することができました。そして、2歳になったころに症状が出なくなり、坐薬からも卒業できました。 初めて熱性けいれんが起きたとき、私が慌ててしまい、何もできませんでした。しかし親が慌てても、何も解決しません。このときは知識もなくどうしようとあたふたしていましたが、まずは私が落ち着いて判断しなければいけないと思いました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:山福あい/30代女性・主婦。5歳、2歳、1歳の子を持つ母。はり師、きゅう師免許取得。現在は鍼灸師として働きながら、子育ての体験談を中心に執筆している。作画:まっふ ※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2023年06月22日こんにちは。3児の母小児科医の保田典子です。今回は、小児科医から見た「親のNG行動」についてマンガでお話ししたいと思います。そのうちの1つが、予防接種などお子さんが痛かったり、嫌がることの多い処置をするときの親御さんの対応です。お子さんの予防接種をするときの親御さんのNG対応について、紹介したいと思います。 NG行動1:子どもに伝えない予防接種は元気なときに病院に行っておこなうものなので、「あらかじめわかっている受診」ですよね。 そんな受診のときに「なぜ病院に行くか」をお子さんに伝えずに病院に連れて来る親御さんがいらっしゃいますが、これはなるべく避けてほしいなと思います。「〇〇に行くよ」など病院ではない所へ行くと騙して連れ出すのも避けたほうがいいです。もちろん、その子の特性などに合わせて対応するのは大切ですが、不意打ちで痛いことをされるのは誰でもびっくりしますし、傷つきます。 国立成育医療研究センターでは、目安として2~3歳には数時間前、4~6歳は前日、小学生以上には1週間前に伝えると良いでしょう、とアドバイスしてくれていますので、参考にしてみてください。 NG行動2:「痛くないよ」と言う注射は、多かれ少なかれ痛いものです(インフルエンザワクチン、私も痛いので嫌ですが毎年打っています)。接種の前に「痛くないよ」など、ほぼウソになってしまうことは言わないようにしましょう。これは病院だけでなく、どこでも同じです。 「ちょっと痛いんだけど、病気にならないようにするために大切なんだよ」と伝えることが大切です。 ちなみに、接種後泣くお子さんに対して「泣かないの!」と言う親御さんもいますが、小児科医としては全然泣いてOKです。だって痛いんですから。 大事なのは痛いことを共感してあげることが大切です。その上で「痛いから泣いちゃうよね」と理解してあげるほうが良いと思っています。もし、泣かなかったときは「痛いのに泣かなかったね」と褒めてあげましょう。 事前の準備で「見通し」を!子どももれっきとした1つの人格なので、何か子どもが嫌なこと、慣れていないことをするときは、注射に限らず事前説明をするようにするといいでしょう。きちんと説明し、納得まではいかずとも、しっかり予防接種をする意図を伝えてから接種に臨めるといいですね。 伝える方法としては、子どもは目で見たほうが理解できることが多いので、ひらがなが読める子には、このメモのような「目で伝えるツール」なども使えますよ。 ▲保田先生が実際に使っているメモ 病院では、「プレパレーション(準備)」と言って、これからおこなう手術や治療の手順を、画像や人形などを使ってごっこ遊びのように説明をすると、子どもの心の準備ができるので、泣くことが減ったりすることもあります。▲保田先生が実際に使っているメモ 予防接種なら、病院の受付のところから手順を遊びつつ説明できるといいですね。例えば予防接種なら、「受付→待合室で待つ→診察室に入る→問診する→診察する→消毒する→注射する→絆創膏を貼る」という感じです。 やったあとには「褒める、認める」を!今回の小児科NGは予防接種についてでした。病院はお子さんにとって嫌なことをすることが多い場所ですが、とても大切なことをする場所でもあるので、少しでも安心して受診できるといいですね。 どんなことでも、「見通し」がたつと人は安心します。もちろん、痛いことなので見通しを立てれば必ずうまくいく訳でもないのですが、親が病院での見通しを教えてくれると思うと、他の新しい場所へ行くときでも、見通しを教えてあげることでグズグズが減ることがあるかもしれません。そして、お子さんが嫌なことを頑張ったあとは、しっかり褒めてあげてください。「痛いのにがまんしたね」「あまり動かず頑張れたね」など、お子さんの頑張りをしっかり認めて、声をかけてあげてくださいね。 作画/はたこ監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生
2023年06月20日さまざまな水遊び用おもちゃUpload By まる最近暑い日も多くなってきたので、ちょっと早い気もするが水遊びグッズを出してみた。わが家にあるのはプール、ウォーターテーブル、蛇口につなげて使う噴水おもちゃ、リュック型の水鉄砲、繰り返し使える水風船などだ。さまざまなものを息子が生まれてからの5年間で購入してきた。というのも、息子は水遊び自体は嫌いではなさそうだが、長時間遊べないのだ。水遊びというかなんでも長時間集中することが苦手な様子。せっかくなのでたくさんびしょびしょになって遊んでほしくて、いろんな水遊びおもちゃを買ってきたがすぐに飽きて家の中に入ってしまう。お庭で水をためるだけのプールは5分ももたない。熱めの温泉に浸かってるのかな?といった感じで少しだけ水に浸かると「オシマーイ!」と言って出てきてしまう。おもちゃをいろいろプールの中に入れて、私も一緒に水鉄砲で遊んだりするのだがそれでもすぐに撤退してしまう。プールで楽しく遊べるのはいつになるのかUpload By まる息子はまだオムツが外れていないため、家以外のプールで遊ぶこともまだ存分に楽しめていない。オムツが取れてない子ども用のプールなどに連れて行ったりもしたが、やはりすぐに飽きてしまう。一応一緒に行動するお友達がいればそれなりに時間を過ごせるのだが、夢中になって水遊びをしているほかの子どもを見ると「同じように楽しめばいいのになぁ」と思ってしまう。きっと息子なりに遊び方が分からなかったり、服が濡れるのが嫌だったり、ちゃんと理由があるのかもしれない。これまで医師や療育の先生などに感覚過敏と言われたことはなく、どちらかと言えば感覚鈍麻と言われることもあった息子だが、暑くなってきたせいなのか、最近、やけに勝手に服を脱いだりお腹を出したりすることが増えてきた。母親の目から見ていると、多分服が汗で濡れる感覚があまり好きじゃないのかも?と感じている。水遊びから見えた友達関係Upload By まるつい先日の暑い日、わが家にお友達が遊びに来た。小学校低学年の女の子2人と息子と同い年の男の子が1人。せっかくだからと家のウォーターテーブルや水鉄砲など用意して子どもたちを遊ばせた。息子以外はみんな発達に遅れのない子どもたちで、みんな服をびしょびしょにして楽しそうに遊んでいる。息子はそんなときでもマイペースなので家の中でひとり電車で遊んでいた。せっかくだからと息子を水遊びに参加させることにし外に連れ出した。みんなで水鉄砲や水風船で水をかけ合って大笑いして遊んでいる輪に入っていくと「リュウくんもびしょびしょにしてやるー!」とみんなから水をかけられた息子はものすごい嫌な顔をしてそのままなにも言わずに一目散に家に入ってしまった。息子と同い年の男の子は水をかけられても「やったなー!」とやり返したりして仲良く遊べている。多分ひとりでのんびりと遊びたいのに水をかけられた、服が濡れて気持ち悪い、ですぐに嫌になってしまったんだと思う。これからの心配事Upload By まるそれを見てちゃんと「嫌だったから逃げる」ことができたのはよかったが、これからの人間関係のやりとりの部分について不安にもなった。大人が見てるところで遊んでるだけの今は安心だが、今後もし大人の目が届かなかった場面で嫌な思いをしたとき息子は対応できるのか。お友達と一緒に遊ぶということができるようになるのか。お友達と一緒に遊ぶことができるようになれば、集中して遊ぶ時間も増えるかもしれないと思っている。実際私と2人で公園へ遊びに行っても滑り台を2回くらい滑ったらすぐに「帰る」と言うが、お友達と一緒に行くと滞在時間が伸びるのだ。相手に合わせることや相手に自分の気持ちを伝えることなどはまだまだこれから、できる限りサポートしていきたい。執筆/まる(監修:藤井先生より)まるさんがリュウくんが少しでも水遊びを長くできるように工夫された様子はとても素敵だなと、思いながら読みました。ありがとうございます。のんびり遊ぶのが好きな子ども、友達と一緒に遊ぶのが好きな子ども、友達が遊ぶのを見ているのが好きな子どもなど、遊び方はお子さんそれぞれに違います。友達と遊ぶのが苦手でも、一人の空間で遊ぶ→複数人の人がいる中で一人で遊ぶ→友達の遊ぶ中で遊ぶ→友達の遊びを見る→短い時間一緒に遊ぶ、というスモールステップでできるようになっていくこともあります。園の先生などの協力も仰ぎながら、リュウくんの遊びの幅が広がると良いですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月19日子どもが小学生になるタイミングは、親子の心身に大きな変化が現れる時期でもあると言われています。もし子どもから登校前に不調を伝えられたら、あなたならどうしますか……?今回は人気クリエイターのねこじまいもみ(@neko_jima_imomi)さんの体験談をもとに描かれた漫画『繊細さん長女が泣きながら学校へ行った日々』から、話の展開を予想していただく漫画クイズをお届けします!長女が登校直前に……いもみさんの長女わっちさんは、小学校に入学した2週間後から登校前に腹痛を訴え、泣き出すようになってしまいます。長女の涙の理由が『お母さんと離れたくない』からだと知ったいもみさんは、長女と一緒に登校する日々を過ごしていました。しかしゴールデンウィーク明けの前日、長女に“異変”が起きて……?ここでクイズです!この後いもみさんは、担当医から“ある診断”を告げられます。それは、一体どんなものだったでしょうか?子どもが母親から離れられない、という状況が関係しているようです……。先生は……?正解は「分離不安」その後帰宅し、長女の症状が『母子分離不安』に当てはまると知ったいもみさん。その後彼女はこの母子分離不安について調べていくうちに、原因が自分にあるかもしれないと感じてショックを受けるのでした……。こんなときどうする?わが子が聞き慣れない症状に当てはまっていると知ったら、不安な気持ちになりますよね……。その後のお話でいもみさんは『母子分離不安』について調べていくうちに、その原因が自分にあるのではないかと考え苦悩します。あなただったら、こんなときどう対処しますか?(MOREDOOR編集部)(イラスト/@neko_jima_imomi)※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点のものになります。
2023年06月17日皆さんは付き添い入院をした経験はありますか? 今回は「息子が入院した話」を紹介します。イラスト:エトラちゃんは見た!『息子が入院した話』体調が良くない息子を連れて小児科を受診した主人公。検査をした結果、問題ないとは思うと医師から伝えられますが…。念のため入院を出典:エトラちゃんは見た!念のため入院して詳しく検査することになり、主人公も付き添い入院するように勧められます。そこで、主人公は入院に必要なものと寝袋を持ってくるよう夫にお願いしました。入院する病室に移動してしばらく過ごしていると、同室に入院する親子が登場。同室の親は看護師から説明を受けはじめるや否や、個室でないことや簡易ベットのレンタル料が高いことなどに、次々と難癖をつけ始めたのです。癖のある親と看護師とのやりとりに主人公は驚き、同室なことに不安をおぼえるのでした。大部屋での付き添い入院子どもの付き添い入院は、親も子も我慢することが多く大変ですよね。付き添い入院で同室の親子に困惑してしまったエピソードでした。※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。
2023年06月14日こんにちは。3児の母小児科医の保田典子です。今回は、小児科医から見た「親のNG行動」についてお話ししたいと思います。そのうちの1つが、予防接種などお子さんが痛かったり、嫌がることの多い処置をするときの親御さんの対応です。お子さんの予防接種をするときの親御さんのNG対応について、紹介したいと思います。 NG行動1:子どもに伝えない予防接種は元気なときに病院に行っておこなうものなので、「あらかじめわかっている受診」ですよね。 そんな受診のときに「なぜ病院に行くか」をお子さんに伝えずに病院に連れて来る親御さんがいらっしゃいますが、これはなるべく避けてほしいなと思います。「〇〇に行くよ」など病院ではない所へ行くと騙して連れ出すのも避けたほうがいいです。もちろん、その子の特性などに合わせて対応するのは大切ですが、不意打ちで痛いことをされるのは誰でもびっくりしますし、傷つきます。 国立成育医療研究センターでは、目安として2~3歳には数時間前、4~6歳は前日、小学生以上には1週間前に伝えると良いでしょう、とアドバイスしてくれていますので、参考にしてみてください。 NG行動2:「痛くないよ」と言う注射は、多かれ少なかれ痛いものです(インフルエンザワクチン、私も痛いので嫌ですが毎年打っています)。接種の前に「痛くないよ」など、ほぼウソになってしまうことは言わないようにしましょう。これは病院だけでなく、どこでも同じです。 「ちょっと痛いんだけど、病気にならないようにするために大切なんだよ」と伝えることが大切です。 ちなみに、接種後泣くお子さんに対して「泣かないの!」と言う親御さんもいますが、小児科医としては全然泣いてOKです。だって痛いんですから。 大事なのは痛いことを共感してあげることが大切です。その上で「痛いから泣いちゃうよね」と理解してあげるほうが良いと思っています。もし、泣かなかったときは「痛いのに泣かなかったね」と褒めてあげましょう。 事前の準備で「見通し」を!子どももれっきとした1つの人格なので、何か子どもが嫌なこと、慣れていないことをするときは、注射に限らず事前説明をするようにするといいでしょう。きちんと説明し、納得まではいかずとも、しっかり予防接種をする意図を伝えてから接種に臨めるといいですね。 伝える方法としては、子どもは目で見たほうが理解できることが多いので、ひらがなが読める子には、このメモのような「目で伝えるツール」なども使えますよ。 ▲保田先生が実際に使っているメモ 病院では、「プレパレーション(準備)」と言って、これからおこなう手術や治療の手順を、画像や人形などを使ってごっこ遊びのように説明をすると、子どもの心の準備ができるので、泣くことが減ったりすることもあります。▲保田先生が実際に使っているメモ 予防接種なら、病院の受付のところから手順を遊びつつ説明できるといいですね。例えば予防接種なら、「受付→待合室で待つ→診察室に入る→問診する→診察する→消毒する→注射する→絆創膏を貼る」という感じです。 やったあとには「褒める、認める」を!今回の小児科NGは予防接種についてでした。病院はお子さんにとって嫌なことをすることが多い場所ですが、とても大切なことをする場所でもあるので、少しでも安心して受診できるといいですね。 どんなことでも、「見通し」がたつと人は安心します。もちろん、痛いことなので見通しを立てれば必ずうまくいく訳でもないのですが、親が病院での見通しを教えてくれると思うと、他の新しい場所へ行くときでも、見通しを教えてあげることでグズグズが減ることがあるかもしれません。そして、お子さんが嫌なことを頑張ったあとは、しっかり褒めてあげてください。「痛いのにがまんしたね」「あまり動かず頑張れたね」など、お子さんの頑張りをしっかり認めて、声をかけてあげてくださいね。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生
2023年06月14日娘が2歳半を過ぎたころ、39度を超える熱が出たため小児科へ。そこで手足口病の診断が出ました。医師から「あまりに熱が高いときは解熱剤を入れてください」と指示があったので、帰宅後に坐薬を入れることになったのですが……。 坐薬の投与をしようとしたら娘が豹変! これまで坐薬を入れたことは何度かあるものの、嫌がったことはない娘。今回も坐薬のみを処方してもらいました。しかし、2歳半を過ぎた娘は想像以上に成長しており、これまでの経験をしっかりと覚えていたようです。高熱でいつもより元気がない娘に、私は坐薬のことは口にせず「ごろんしておむつ替えようか」と娘をあお向けに寝かせ、おむつを脱がせました。娘はお気に入りのぬいぐるみを抱っこしたままボーッと寝転んだものの、突然「嫌!」と起きあがろうとしました。「なんでごろん?」と聞いてきたので「お薬するからよ」と伝えます。そして、娘の両足を持ち上げおしりにベビーワセリンを塗り、坐薬を出した途端に娘が豹変。 ※坐薬挿入の際は、坐薬の先端にベビーオイルやワセリンを付けたり、坐薬の先端を指で温めて挿入するとスムーズにできます。 「お薬いやー!」と泣き始めた娘は、おしりを両手でおさえて隠し、全力で足をバタバタさせています。私は、あまりに拒絶する娘に圧倒されていました。「すぐ終わるから大丈夫!」とごまかしながら両足を固定。坐薬を挿入しましたが、娘はやめてと泣いています。無事に坐薬を入れ終わったあと、呆然とする娘が「お薬イヤなの……」とぽつり。2歳児とは思えないほど絶望した姿に、私は少し申し訳なさを感じました。 ついこの間までは坐薬を抵抗しはなかったので、意思をもって嫌がる姿に成長を感じ、驚きました。おしりにワセリンを塗っていましたが、それでも滑りが悪くて痛かったのかもしれません。そのため次回は、粉の解熱剤を処方してもらおうと思います。嫌なことをうまく表現することができない点をちゃんと理解できていなかったことに反省した出来事でした。 監修/助産師 松田玲子作画/mosu著者:渡辺莉子
2023年06月14日結婚して2年、なかなか子宝に恵まれず2年間不妊治療に通い続け、2度の化学流産を経験。不安と喜びの妊娠期間を過ごし、やっと会えた息子。 次の日、小児科の先生から告げられた言葉は、出産したばかりの私にはあまりにも衝撃的でした。 念願の妊娠、出産! だけど…結婚後、なかなか子宝に恵まれず、不妊治療に通い始め、タイミング法をおこなっていましたが、2度のつらい化学流産を経験しました。「神様があきらなさい」と言っている、と本気で思っていました。 半分あきらめながらも治療を続け、超音波検査で赤ちゃんの入った袋が見えたときの感動は、今でも忘れられません。2回化学流産したこともあり、妊娠中はちゃんと育ってくれるか不安でしたが、特に問題なく順調に経過し、あっという間に出産を迎えました。 初めてのことでもうろうとしながらも、無事に出産。夫も立ち会ってくれ、私たちにとって忘れられないものとなりました。病室に戻り2人で喜んでいたのですが、息子の呼吸が安定しないため、保育器で様子を見ることに。私も夫も不安でしたが、それ以上に生まれてきてくれてやっと会えた喜びのほうが大きく、次の日からの母子同室を楽しみにしていました。 ところが、次の日の朝、医師から「午前中いっぱい様子を見て、大学病院に転院するか決めます」と言われ、祈るような気持ちで午前中を過ごしました。息子に何が起こっているのか? どういう状況なのかわからず不安でいっぱいでした。お昼前、小児科の先生から告げられた言葉は、私たち夫婦にとって衝撃的なものでした。 大学病院で検査?「呼吸が安定しません。専門の所で見たほうが安心なので、今から転院しましょう。 それと、染色体異常の可能性があります。検査をしたほうがいいでしょう」。 言葉が出ませんでした。昨日まで、生まれてきてくれたこと、不安だけど楽しみな育児、「早く抱っこしたい」と夫と2人で話していたことが、なんだか夢のようでした。 それから、1時間もしないうちに救急車が来て息子は大学病院へ。夫も手続きのため、追いかけるようにして大学病院に行ってしまい、産婦人科の病室で部屋にひとり。あまりの展開に状況が飲み込めず、泣くことしかできませんでした。 しばらくして戻ってきた夫とは、何を話していいかもわからず、2人ともお互いに心配かけまいと「大丈夫、きっと大丈夫」と声を掛け合うことしかできませんでした。 それから退院まで、できる限り搾乳して昼から夕方まで息子のいる大学病院に会いに行き、産婦人科に戻って休むを繰り返していました。 おっぱいは張って痛いのに息子はそばにおらず、他の人の赤ちゃんの声で眠れない……。入院中、先生やスタッフのみなさんにとても良くしていただいたのですが、ひとりで産婦人科に入院していることがとてもつらかったです。 検査結果は…息子よりひと足先に私が産婦人科を退院し、3日後に大学病院を息子が退院することに。 息子の退院の時点では検査結果は出ておらず、後日結果を聞きに行くことになりました。 初めての育児、丸1日を息子と初めて過ごすことに不安もありましたが、何より息子を抱きしめることができて、うれしかったです。 慣れない育児に悪戦苦闘しながら、毎日はあっという間に過ぎていき、息子が生まれて1カ月後、大学病院に検査結果を聞きに行く日が来ました。 夫婦2人とも眠れぬ夜を過ごしたかと思います。 結果は「21トリソミー(ダウン症候群)」でした。 先生がいろいろ説明してくれたことがほとんど耳に入らず、帰りの車の中では、ただぼんやり外を眺めていました。 本当に自分の息子がそうなのだろうか? 何かの間違いでは? そんなことを延々と考えていたような気がします。 息子はもう生後3カ月を迎えました。 正直、今でも結果を完全に受け入れることができているかは自分にはわかりません。ですが、800〜1,000人に1人の確率でしか生まれない「ダウン症候群」。そんな息子に選ばれた私は、息子が教えてくれること、息子からしか学べないことがきっとあり、私しかできないことがきっとあると思い、毎日の子育てに奮闘しています。 涙が出ることもあるけれど、「私が今悩んでも不安が息子に伝わるだけ。息子が思い悩んだときに一緒に悩んで考えよう」と思い、前向きに育児に取り組んでいます。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師 松田玲子イラストレーター/みいの 著者:塩田 沙織現在、3カ月の息子の育児に奮闘中。育休前は、介護福祉士として病院勤務。
2023年06月13日自閉スペクトラム症(ASD)とADHD(注意欠如・多動症)がある中学3年生発達障害の専門家が出会った発達が気になる子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、自閉スペクトラム症とADHDの診断がある中学3年生のエピソードです。県立高校への進学を希望しているものの、定期テストではケアレスミスが多く正解率が20%程度。わが子を心配して涙する母親に小児科医は…。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談解説:定期診療の時間を、安心して相談できる機会にーー小児科医今回は、自閉スペクトラム症とADHDのある中学3年生のエピソードをもとにお届けしました。ひとり親家庭で保護者の方は仕事に追われ、パンパンの状態であることが診療時に伺えました。お子さまは、反抗はするものの根が優しく親思いであることが伝わってきましたので、親子の目標である「県立高校に合格する」ということを意識し、定期診療でさまざまなアドバイスを行いました。診療のポイントは大きく2つです。薬物治療ADHDの主な症状である多動性・衝動性、不注意に対して薬物治療を開始していましたが、薬を飲まないことが続いていました。そこで、服薬の負担を軽減するために1日2回から1日1回の治療薬に変更して様子をみました。学校や塾の先生への協力依頼先生で注意されてばかりだったり試験結果が思わしくなかったりすると、お子さまの自己肯定感が下がっていきます。「(小児科医と相談し、服薬もしながら勉強を頑張るので)応援団になってほしい」と伝えることで、少しでも環境を変えることを大切にしました。高校受験では、通塾されるお子さまも多いことと思います。学習内容や先生の指導がわが子にあっていないと感じたら、今回のケースのようにほかの塾に移ることで勉強しやすくなることもあるでしょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月06日3児のママ小児科医で、高円寺こどもクリニック院長の保田典子先生に、「子どもの注射」についてお話をお聞きしました。こんにちは。小児科医の保田典子です。先日、「注射を脅しに使う」件で世間的に話題になりました。私のクリニックでも、「いい子にしてないと注射するよ!」と子どもに言う親御さんがたまにいらっしゃいます。 でも、お子さんには注射に恐怖心を持ってほしくありません。今回は、私が思うことをお伝えしたいと思います。 子どもの脅しに「注射」は使わないでください私は、「良い子にしていないと注射する」には2つの意味があると思います。① 良い子にしていないと「痛い注射」という罰則がある② 良い子にしていないと「いい子にしてもらう注射」で良くなってもらいたいという気持ちおそらく、親御さんとしては②の要素も強いのかもしれませんが、子どもは100%近く①の意味でその言葉を捉えるでしょう。そうすると、注射に恐怖心を感じやすくなったり、怖がるようになる可能性があります。 ワクチンの注射は病気を予防してくれて、点滴の注射は病気を治してくれる、いずれもお子さんにとって「良いもの」です。少し痛みはありますが、医師が考えてメリットがあるものを提供してくれているので、痛みよりも「良いこと」があると考えられるのです。 それを恐怖の対象にしてしまうのはもったいないですよね。なるべく多くのお子さんに「これをすると良いことがあるから頑張ろう」という気持ちになってもらいたいと思います。 注射の前には「プレパレーション」をしてみよう!プリパレーションは、準備、予習、心構えを意味する言葉です。小児医療のなかでは、「子どもの不安や恐怖を最小限にし、子どもの対処能力を引き出すために、その子どもに適した方法で心の準備やケアを行い、環境を整えること」と定義されます。 たとえば、これから入院するお子さんに対して、なぜ入院するのか、入院中にどんなことをするのか事前にしっかり伝えます。このプリパレーションを通して、子どもたちはこれから起こる出来事を正しく理解することで、不安や恐怖心を和らげることができるのです。具体的には、「病院に行くとこんな手続きをして(受付をして診察室に入る、診察をされる)、それから注射をこのあたり(場所をだいたい教える)にします。この注射には病気になりにくくするお薬が入っていて、あなたが病気にならなくなったり、病気がすごく軽くなったりします」と説明します。 保育園・幼稚園生より前のお子さんの場合は、病院ごっこの遊びを通して「注射したら元気になったねー」という遊びを取りいれるのも良いでしょう。 注射の前に心がけたいことお子さんの性格によるので一概には言えませんが、注射を打つ予定があることは一般的に、小学生では1週間前くらい、保育園・幼稚園生では2~3日前くらい、それ未満の子では当日の病院に行く前に予告をすると良いと言われています。 できれば、ワクチン接種の意義を説明してあげると良いでしょう。例えば、インフルエンザはワクチン接種しないで罹患すると本当につらい症状が出るうえ、子どもは重症化しやすいと言われています。重症化するとインフルエンザ脳症になったり、後遺症が残るおそれもある病気です。 予防接種は少し痛いですが、十分接種するメリットがあると考えられます。未就学児のお子さんでも理解できる子はいますので、お子さんの成長や理解度に合わせて、注射を打つ意味をやさしい言葉で伝えてあげてください。今は小児がんなどの重い病気であっても、お子さんにもしっかりする時代です。子ども自身にはつらいことも、なるべく本人にしっかり説明して、できる限り同意を得られるといいと思います。監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生
2023年05月31日3児のママで小児科医、高円寺こどもクリニック院長の保田典子先生に、「子どもの五月病」について解説してもらいます。こんにちは。小児科医の保田典子です。今日は「子どもの五月病」についてです。5月から6月は大人も子どもも体調不良が出やすい時期です。そのような兆候があれば参考にしていただけると幸いです。 子どもの五月病って?五月病とは病名ではなく、4月に新年度が始まってしばらくたってから現れる心身の不調の総称です。特別な診断基準があるわけではありません。また、子どもの五月病といっても大人と変わりがあるわけではありません。大人があるように、子どもにも体調不良が出やすい時期ですよ、ということです。 五月病に限らずですが、夕方だけ微熱がでる、木曜日や金曜日になると熱がでる、食欲が減ってくるなどは疲れがたまってきている兆候です。 特に、4月から保育園や幼稚園に新しく入園した子は、最初緊張しながら頑張って体調を維持していたのが、5月ごろには疲れがたまってしまい、体調不良が出ることがあります。4月は風邪症状のみで熱を出すことはなかったのが、熱を頻繁に出したり、悪化すると肺炎になったりもします。 大人は集中力の低下など精神症状が前面に出ることが多いようですが、子どもは身体症状に出ることが多いです。朝に腹痛が出たり、頭痛などを訴えたりする子もいます。症状が出た場合は、受診しましょう。 五月病の予防と対処法五月病は心身の疲れなので、特別な治療法があるわけではありません。その代わり、当たり前の生活習慣を整えることが最大の予防であり対処法です。 ① 早寝(早起き)特別早寝をする必要はありません。いつもの時間より早寝をするのは睡眠学上難しいともいわれています。いつもの時間に、いつものように寝る習慣を心がけましょう。 ② 入浴:湯船に入る熱のない子は湯船に入りましょう。湯船に入ると自律神経も整いやすく、体の循環にも良いです。入浴後1時間から1時間半後に寝ると睡眠が深くなり良質な睡眠が得られると言われています。鼻水がある子は入浴によりすっきりしやすいというメリットもあります。咳がひどい子は長湯をしないほうが良いでしょう。 ③ 食事の栄養バランスに気をつける食事の栄養バランスも大切ですが、疲れているときは胃腸も弱っているので、脂っこいものを避けたほうが体にも良いでしょう。食欲がないときのおやつは、スナック菓子など脂っぽいお菓子を食べさせないほうがベター。補食はおにぎりなどが理想的です(が、食べられるものを食べましょう)。 理想の生活はありますが、無理せずに!5月は大人も子どもも疲れがでやすい時期。「無理なく、大人も子どももラクな生活」を目指しましょう。理想の生活を目指して子どもにつらく当たってしまっては本末転倒です。 4月に環境が大きく変わった家庭は、週末は遠出ではなく、お家の近くで遊ぶなど週末に体調を整えるのも良いですよ。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生
2023年05月30日