(写真:アフロイメージマート)「1月24日、厚生労働省は’25年度の公的年金の年金支給額を、前年度から1.9%引き上げることを発表しました。一見、約2%アップのようですが、物価の上昇に歯止めがかからない状況を考えれば、実質的には目減り。つまり“減額”されているようなものです」こう話すのは、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんだ。「1.9%引き上げられることで、’25年度は夫婦2人分の老齢基礎年金(国民年金)を含む標準的な厚生年金の金額は、月額23万2千784円。前年比で月4千412円増となります」(柏木さん、以下同)この厚労省の発表は、同日に総務省が’24年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)を公表したのを受けてのもの。政府は年金支給額をどのようにコントロールしているのか。柏木さんが解説する。「年金支給額の決定は、’04年、小泉政権時に導入された『マクロ経済スライド』というシステムに基づいて調整されています。このシステムでは、年金の上昇分は、物価や賃金の上昇よりも低く抑えられます。少子高齢化の進む日本で年金制度を維持するための施策とされています」厚労省が公表した人口動態統計の速報値では、’24年1~11月生まれの子どもの数は66万1千577人にとどまり、通年で69万人程度と初めて70万人割れする可能性が指摘されている。「少子高齢化がここまで進んでしまった状況で、現役世代の負担を少しでも軽減するために、マクロ経済スライドが必要だと国は説明しています」物価が上昇し、賃金も上昇している場合、物価と賃金の上昇率の低いほうを基準として、そこからマクロ経済スライドによるスライド調整率を差し引いたものが、年金の改定率となる。「’24年は物価変動率が2.7%で、名目賃金変動率が2.3%でしたので、低いほうである賃金変動率2.3%から調整率0.4%を引いた1.9%分が、年金額改定率となったのです」この改定率1.9%による月4千412円増を、「年金額がアップした」と手放しに喜んではいられない。そもそも年金調整率が、物価と賃金の上がり幅より「低く」設定されているからである。「総務省が発表した家計調査によれば、65歳以上の無職の夫婦2人世帯の消費支出は、たとえば’24年10月度は26万5千411円となっています。’25年度の年金月額23万2千784円では、3万2千627円ものマイナスとなってしまうんです」また、高騰し続ける物価と照らし合わせて今後の見通しを考えてみると、私たちの損失はもっと深刻なことがわかる。仮に、’25年度に物価上昇率と同じく2.7%分年金が増額するならば、月額では23万4千538円受け取れるはずだ。しかし、マクロ経済スライドの実施で改定率1.9%となるため、前述のとおり月額は23万2千784円にしかならない。不足分は月額にして1千754円。年額に換算すると、じつに2万1千48円もの、実質的な“減収”となってしまうのだ。“まやかし”とも捉えられるこの仕組みはいつまで続くのだろうか。「マクロ経済スライドは、今後30年ほどは採用されるという見通しです。つまり、私たちの年金が“減額される感”はこの先、ずっと続くことになります」となると気になるのは、物価にも深くかかわってくる世界情勢や、世の中の景気、そして日々の生活にかかる支出だ。海外に目を向ければ、トランプ大統領が就任したアメリカの動向は、日本経済に最大の影響を及ぼすのだが……。「トランプ政権はカナダやメキシコからの輸入品に一律25%関税を課すとし、中国からの輸入品にも一律関税を課す可能性を示唆しました。その矛先が日本に向けば、日本の強みである自動車などの輸出産業が大打撃を受けます。すると、昨年の春闘のような賃上げムードは一気に沈滞、リストラや早期退職を募る企業が増える事態になるでしょう」強引に「アメリカ・ファースト」を進めるトランプ大統領とくみしていけるのか不安の声が高まっているのが石破首相だ。1月24日の通常国会での施政方針演説では、のんきにも「楽しい日本を目指す」と述べている。その政府の施策の一環である「年収103万円の壁」の議論では、所得税が発生する基準を政府案の123万円に引き上げることができれば、’25年度の個人消費が「0.1%程度押し上げられる」と首相は説明したが……。「この議論は、あくまで働く人の収入の話。年金の収入だけで生活している人や、これから年金を受給する世代が65歳以上になって無職になった場合には、恩恵が受けられないのです」政府には、現役世代への策を手厚くしていくことで、現役世代の人口を増やし、年金などの支出を抑えるもくろみがあるようだ。「現在の年金は65歳から支給されていますが、もはや65歳まで働くことは“義務化されている”ともいえます。その年齢は今後、引き上げられることが予想され、“70歳まで働く”のが努力目標とされ、いずれは“義務”となるかもしれません。当然、年金は受給開始のタイミングが遅くなり、かつ支給額も減らされる……。将来的に受給する私たちの世代を含めて、政府の“高齢者いじめ”が加速する恐れがあります」老後はのんびり暮らす、という考えはますます通用しない時代になっていきそうだ――。
2025年02月11日声優の三ツ矢雄二が10月15日にXを更新した。【画像】「天使すぎて直視できません」激カワ声優のアフタヌーンティー写真が話題「今日、午前中、年金の受給の手続きに行って来ました。」と年金受給の手続きを終えたことを報告。10月18日に70歳を迎える三ツ矢雄二は「夜は、2回目の誕生会。事務所のまかないおばちゃんが、すき焼きで祝ってくれました。デザートは、僕の大好きなニューヨーク・チーズケーキ!」と事務所で誕生日を祝ってもらったことを明かした。今日、午前中、年金の受給の手続きに行って来ました。そして夜は、2回目の誕生会。事務所のまかないおばちゃんが、すき焼きで祝ってくれました。デザートは、僕の大好きなニューヨーク・チーズケーキ! pic.twitter.com/n21Rj2Bovy — 三ツ矢 雄二 (@yujilovehappy) October 15, 2024 この投稿には多くのファンからいいね!が寄せられている。
2024年10月16日「7月3日、厚生労働省が5年に1度の“年金財政の定期健診”ともいわれる財政検証を公表しました。今回の結果では、前回よりも年金財政が改善されたことがうかがえます。しかし、今後も年金の給付水準はジリジリと引き下げられる傾向であることに変わりなく、けっして年金生活者が楽になるということではありません」こう語るのは、経済評論家の加谷珪一さんだ。年金の未来を占う財政検証は、被保険者の年齢構成や賃金水準、経済成長の予測などさまざまな統計データをもとに算出される。とくに着目すべき数値が、モデル世帯の所得代替率だ。所得代替率とは、現役世代の男性の平均的な賃金に対して、厚生年金を受給している夫婦2人のモデル世帯の年金受給額が何パーセントあるかで示される。2024年財政検証では、平均賃金は月37万円で、モデル世帯の年金額は22万6000円とされ、所得代替率は61.2%となった。この値が50%を下回らないように調整することが定められている。今回の財政検証では現役男子平均手取り収入額37万円に対して、モデル世帯の年金額は22万6000円で所得代替率は61.2%。前回(2019年)の財政検証の61.7%と比べ、0.5ポイント下がった。今後も少子高齢化の影響で、所得代替率は下がっていくという。“年金博士”こと、社会保険労務士の北村庄吾さんが解説する。「2004年に厚労省によって導入されたマクロ経済スライドという制度によって、賃金や物価が上がっても年金受給額は上がりにくくなりました。その効果で、所得代替率は下がっていくのです。今後も、政府は法律で定められた“所得代替率50%”を下回らない範囲で、年金の給付を抑制していく方針です」年金は物価や賃金の変動に応じて、受給額も変動する。しかし、2004年に導入された「マクロ経済スライド」によって、年金受給額の上昇は抑制されることになった。抑制される割合はスライド調整率などと呼ばれ、公的年金全体の被保険者の減少率(直近3年の平均)と、平均余命の伸びを勘案した一定率(-0.3%)に、前年度までの繰り越し分を合わせた値。2024年度は-0.4%だった。■モデル世帯よりも受給額が低い人が多い所得代替率が下がっていくことは間違いないが、今後の経済状況次第で、どれくらい下がるか、どのようなスピードで下がっていくかは異なってくる。今回の財政検証では、経済状況に合わせた4つのシナリオが示された。それに対し、「楽観的なシナリオが多い」と指摘するのは関東学院大学経済学部教授の島澤諭さんだ。「これらのシナリオのうち、政府が全面的に押し出したいのは、2番目に経済状況がよい『成長型経済移行・継続ケース』でしょう。しかし前提となる条件を見ると、かなり甘い。長期的な経済成長率を左右する全要素生産性(TFP)上昇率が今後1.1%で推移していくと想定されていますが、これはバブル期を含んだ過去40年間の平均値から出された値であり、内閣府の推計で見ると直近の2024年1~3月期の値は0.6%にすぎません。このほかにも、2023年には1.20だった合計特殊出生率が1.64まで高まるという、甘い想定も気になるところ。うがった見方をすれば、衆院選を控え、楽観的な経済想定で100年安心という見通しを描いてみせたように感じます。実態はもう1段階経済状況が悪い『過去30年投影ケース』に近いでしょう」前出の加谷さんも同意見だ。「もっとも楽観的な『高成長実現ケース』では、アベノミクス当時に政府が掲げていたような甘く楽観的な数字を前提に試算を行っているので、現実的ではありません。よほど経済が好転すれば2番目の『成長型経済移行・継続ケース』もありえるかもしれませんが、現在の経済状況に即したシナリオは、3番目に悪い『過去30年投影ケース』と言えるでしょう」詳しく見ていこう。同シナリオでは現在61.2%の所得代替率が、5年後の2029年度には60.1%となり、2040年度には56.3%、2057年度には50.4%にまで落ち込み、それ以降は維持されると予測されている。今の50歳が年金を受給し始める2040年度の所得代替率56.3%を、現在の水準にあてはめると、受給額は月20万8310円。つまり、現状の年金よりも月1万7690円、年にして21万2280円も減額されるのだ。「しかもモデル世帯は平均的な賃金の会社員で、40年切れ目なく厚生年金に加入している夫と、専業主婦の妻がいる世帯のことです。ほとんどの人はモデル世帯より、年金受給額も、所得代替率も低くなります」(北村さん)■生活苦のために年金財政が改善した厳しい数字が並ぶが、前回の財政検証では、より早い段階で所得代替率が50%近くまで落ち込むシナリオが多かったので、この5年間で「年金財政が改善した」ということができる。しかし“改善”の裏にあるのは、私たちの生活苦と負担増だ。今回の財政検証によると、2019年よりも労働人口は700万人増加し、15歳以上の就業者の割合は5.5ポイント上がったというが、前出の島澤さんはこう指摘する。「物価高や年金を含む社会保険料の負担などのせいで生活が苦しくなり、主婦や高齢者が外に働きに出ざるをえなくなったことで、年金の支え手が増え持続可能性が高まった。それを喜んでいるとしたら、まるで喜劇みたいな悲劇です」一方、新たな負担増の兆候も今回の財政検証から見てとれる。「国民年金の納付期間を5年延長する案が検討されていましたが、来年の制度改正では見送る方針を厚労省は示しました。しかし、今回の財政検証では、これを前提とした試算も盛り込まれています。5年延長すれば、『過去30年投影』シナリオでも、2055年度の所得代替率は6.9ポイントも改善するとアピールされています。いずれ、実施したいという思惑もあるのでしょう」給付額の抑制に、新たなる負担増……。今後も、厳しい年金財政が続いていくことは間違いがない。
2024年07月12日東京都社会保険労務士会(会長 寺田 晃)は、社会貢献事業の一環として、小学生とその保護者の皆さまを対象に、夏休み「親子で学ぶ年金教室」をオンラインで開催します。この年金教室では、年金に関する唯一の国家資格者である社会保険労務士が年金制度の仕組みをわかりやすく解説するとともに、将来の年金制度の担い手となるこどもたちに、年金クイズや夏休みの自由研究にもなる年金レポートの作成をとおし、年金の大切さを楽しみながら学んでもらう機会となるよう企画しました。この機会に是非ご参加ください。夏休み「親子で学ぶ年金教室」(表面)【夏休み「親子で学ぶ年金教室」】対象者:小学生とその保護者の方(親子に限らずご参加可能です)日時 :令和6年8月8日(木)14:00~16:00(受付開始13:30)場所 :オンライン配信配信URL等についてはお申し込み後にお知らせします。参加費:無料主催 :東京都社会保険労務士会 社会貢献委員会申込 :以下のURLよりお申し込みください。 (申込期限は8月5日まで)※但し、定員に達し次第、受付を終了する場合がございます。定員 :50組100名程度(保護者の方もご一緒にご参加をお願いいたします。)※詳細は東京都社会保険労務士会ホームページ( )をご参照ください。夏休み「親子で学ぶ年金教室」(裏面)【東京都社会保険労務士会 概要】社会保険労務士法に基づき東京都に設立された法定団体。社会保険労務士会は各都道府県に設置されている。都内で活動する会員社会保険労務士の資質の向上と業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的としている。所属会員は、開業、法人社員、勤務などの個人会員と社会保険労務士法人の法人会員で構成されており、令和6年5月31日時点の会員数は、個人会員11,879名、法人会員880法人。代表 : 会長 寺田 晃所在地: 東京都千代田区神田駿河台4-6 御茶ノ水ソラシティアカデミア4階URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年07月05日年に1度、公的年金の財政をチェックする「年金財政検証」がいま、行われています。論点の一つが「遺族年金」です。遺族年金は、家計を支える方の死後に配偶者や子どもなどがもらえる年金です。重要なセーフティネットですが、4月ごろ「遺族年金廃止か」とSNSで騒がれました。「廃止」はもちろんデマです。いま実際に議論されているのは、遺族厚生年金の男女差についてです。そもそも遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。遺族基礎年金は、公的年金に加入する方すべてに受給資格があり、配偶者が亡くなったとき18歳未満の子がいれば受け取れます。受給額は子どもの人数によりますが、18歳未満の子が2人の場合は月約10万7千円。子どもが18歳を超えるまでもらえます。いっぽう遺族厚生年金は、厚生年金の加入者などが亡くなった際、受け取れるもの。18歳未満の子どもがいない配偶者も受け取れる点が、遺族基礎年金と違います。それだけ遺族厚生年金は保障が手厚いのですが、遺族が女性か男性かで受給条件が大きく違います。遺族が夫を亡くした妻の場合、妻が30歳以上なら子の有無にかかわらず生涯、遺族厚生年金を受け取れます。妻が30歳未満と若くても5年間は受給できますし、夫が亡くなったとき妻が40歳以上65歳未満なら「中高齢寡婦加算」が上乗せされます。しかし、遺族が18歳未満の子のいない夫の場合、妻の死亡時に55歳以上なら、60歳から遺族厚生年金を受給できます。55歳未満だともらえないのです。■遺族基礎年金は女性並みに男性の支給条件を引き上げた制度設計が古く、夫が外で働き妻は専業主婦の家庭がモデルなのでしょう。稼ぎ手である夫を亡くした妻に手厚い制度ですが、共働きの増えた現代には適切ではありません。そこで、男女差を見直すことが検討されているのです。実は、遺族基礎年金は2014年に男女平等に改正されました。それまでは、18歳未満の子のある妻が遺族となった場合にのみ支給されていましたが、2014年以降は先述のとおり男女に関係なく、妻を亡くした夫にも支払われています。ポイントは、それまで優遇されていた女性の支給条件や支給額に、男性もそろえた点です。今回の遺族厚生年金の男女差是正論議でも、いま優遇されている女性に合わせる形で、男性の支給条件などを見直す改正となればいいのですが、年金財政の悪化は皆さんご存じのとおり。年金財政のスリム化を掲げて、女性の支給要件を厳しくする方向に変わるのではないかと心配しています。とはいえ、議論は始まったばかりです。年金財政検証の結果は今夏に発表される予定です。私たちは、そこで示された指針をしっかりと確認し、その後の国会審議なども注視しましょう。遺族厚生年金がいまより“改悪”に進まないよう、議論の行く末を厳しく見守りたいものです。
2024年06月14日厚生労働省は、iDeCo(個人型確定拠出年金)の積み立て期間を5年延長して70歳までにする方針を固めました。iDeCoとは、自分が払った掛け金を自分で運用し、老後の資産を作る“自分年金”の制度です。掛け金の積み立ては原則60歳未満までですが、2022年5月から働いて年金保険料を払う方は65歳未満までになっています。今後議論を重ね、2025年に法案を提出する予定です。iDeCoには3つのメリットがあります。(1)掛け金が全額所得控除になり、所得税を減らせる。(2)運用で得た利益が非課税になる。(2)60歳以降に受け取る際も税控除の仕組みがある。節税につながるメリットが強調されがちですが、当然デメリットもあります。最大のデメリットは、受け取りが60歳以降に限定されること。60歳まで勤めあげる方には問題ありませんが、勤務先の倒産やリストラなどがないとは限りません。2023年の全国企業の倒産件数は前年より約35%増えて8千690件。31年ぶりの高水準で、2024年も倒産が増えるといわれます(東京商工リサーチ)。特に自営業者は、万が一倒産したら「iCeCoで貯めている資金が使えれば……」と後悔するのではないでしょうか。もう1つ所得控除でも、全額控除を受けられる方が意外と少ないことがデメリットです。というのも、住宅ローン控除や医療費控除などで節税し、iDeCoの所得控除分全額を減らせるほど所得税を払っていない方が多いのです。iDeCoは収入が高く納税額の多い人が得をする制度といえます。■70歳までの就労機会確保が「義務」に進められる今回のiDeCo改定は、働く高齢者の増加が根拠です。65~69歳のうち働く方の割合は、2021年に50%を超え、2023年は525と徐々に増加(総務省)。「働く高齢者は収入があるから、積み立てできるだろう」というのです。背景には2021年4月に改正された「高年齢者雇用安定法」があります。これまでの「希望する社員全員を65歳まで就労させる義務」に加えて「70歳までの就労機会の確保が努力義務」になりました。今後はさらに70歳までの就労機会確保を「義務」に進め、長く働ける社会を作りたいのでしょう。それによって国は、少子高齢化による人手不足を補うことと、公的年金の財源問題も改善したいのです。公的年金の財源ひっ迫はご存じのとおり。国はパートなど短時間労働者の年金加入を拡大して年金の支え手を増やし、年金の支給額自体をマクロ経済スライドの導入で抑制しています。そのうえで、70歳まで誰もが働ける環境を作り、iDeCoなど自分で老後に備える仕組みを拡充して「公的年金の支給開始を、現在の65歳から70歳に引き上げる」ことが国の目論見でしょう。老後破綻、長生きリスクなどにおびえる方が多いなか、国は公的年金の改悪に進むのか。厳しく見守りたいと思います。
2024年04月12日《年金支給額を2.7%引き上げ、バブル期並み高水準…厚生年金はモデル世帯で月23万483円》厚生労働省が発表した2024年度の公的年金支給額を報じた、読売新聞の記事の見出しだ(1月19日付)。まるで大幅に年金が増額された喜ばしい報道に見えてしまうが、「じつは、マクロ経済スライドという制度によって、実質、もらえる年金は目減りしているのです」そう語るのは、YouTubeで「年金博士・北村庄吾の年金チャンネル」を持つ、社会保険労務士の北村庄吾さんだ。「かつては、物価や賃金が上がれば、同じように年金支給額が上がっていました。インフレに強い制度だったんです。ところが2004年にマクロ経済スライドを導入。物価や賃金が上昇しても、その上昇率から“調整率”を引いた分でしか、年金支給額が上がらない制度ができたのです。しかも調整率を反映しきれなかった場合、次年度以降に未調整分を持ち越しできるキャリーオーバーという制度も、あとから追加されています。年金支給額が増えるのでわかりづらいですが、物価上昇に追いついていかないので、年金の価値は下がっているわけです」2024年度の年金額改定に関して、北村さんが続ける。「年金支給額は、過去3年間の賃金変動率(3.1%)や、直近1年の物価の変動率(3.2%)などをもとに改定されます。 67歳以下で新たに年金を受給する人は賃金変動率、68歳以上の年金生活者は賃金変動率と物価変動率の低いほうを使用することになっています」2024年度の改定の際、採用されたのは賃金上昇率の3.1%。つまり、2024年度の年金は、本来なら同じように3.1%上がらなければ、年金の価値が落ちてしまうことになるのだが。「調整率0.4ポイントのマクロ経済スライドが発動されたことで、年金額の上昇率は2.7%に抑制されているのです」(北村さん)夫婦2人のモデル世帯(平均的な賃金の会社員で40年間年金に加入した夫と専業主婦の世帯)の厚生年金に関しては、2023年度が22万4千482円だったため、2024年度は+2.7%で23万483円と、6千1円増額されている。しかし、マクロ経済スライドがなければ+3.1%で23万1千440円となり、月957円ほど支給額が高くなるのだ。年に換算すれば、1万1千484円(概算)も年金を損していることになる。物価上昇と同じように賃金も上がる現役世帯であれば生活水準を保てるが、年金と貯蓄で生活する高齢者にとっては大打撃だ。■年金支給額は上がっても、物価上昇には追いつけず、年間3万4千140円の負担増に!その高齢者に追いうちをかけるのが介護保険だと、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんが語る。「2000年度に始まった介護事業ですが、第1号被保険者(65歳以上)の介護保険料の基準額は、全国平均で月2千911円から、現在は6千14円と倍増しています。先日、毎年改定されている40?64歳の介護保険料が、2024年度には6千276円と過去最高になると推計されました。3年に1度見直される65歳以上の介護保険料改定は、今年です。64歳以下と同額だと仮定すると、月の基準額が262円増額されることになります」一方、日々の買い物では、いまだに物価の上昇を実感するばかり。「一度始まったインフレは、そう簡単に収まらない」(経済評論家)ようだ。ファイナンシャルプランナーの内山貴博さんが、昨年4月の総務省「家計調査」をもとに、年金改定が行われる今年4月以降の支出額を試算する。「65歳以上の夫婦(2人以上)世帯の消費支出は月25万6千185円です。そこから物価上昇の影響を受けにくい住居費を差し引くと24万275円に。前年の消費者物価指数の上昇率3.2%が今後も続くと仮定すると、昨年4月と同じ買い物をした場合、今年4月の支出は7千689円増える計算となります」ここに、マクロ経済スライドによって抑制された年金額957円と、来年度の新たな介護保険料の予想増額約200円をプラスすると、8千846円の負担増に。一方、年金は6千1円増額されるので、その差額は2千845円。つまり年金支給額が上がっても、物価上昇に追いつけず、月2千845円、年間3万4千140円も負担増となる結果になった。年金生活者の自己防衛策としては「もはや働いて収入を得ることと、節約くらいしかありません」(柏木さん)という。なかでも支出において大きな割合を占める食費がポイントとなると、柏木さんは語る。「第一生命経済研究所のレポートでは、2022年9月から2023年8月までの1年間のエンゲル係数が29%となり、1980年以来の過去最高水準だと報告されています」エンゲル係数とは家計の消費支出に占める、外食なども含めた食料費の割合だ。「過去最高となったのは、食料品の価格が高騰していることが大きな要因でしょう。さらに映画館に行くのをやめてサブスクの動画サービスを利用したり、旅行の回数を減らしたり、趣味のお金を節約したことも要因と考えます。みなさん、食費以外、削れるところは削ってしまっているのではないでしょうか」■健康を害さずに食費を削る節約術8カ条で、実質年金増額を乗り越えようだからこそ、さらなる節約となれば、支出の3割近くを占める食費に手をつけるしかない。健康を害さずに食費を削る節約術を柏木さんと内山さんに解説してもらおう。【1】セール品を冷凍保存「SDGsの観点から、イギリスでは食材の冷凍保存を政府が推奨しています。安売りの肉類、魚、野菜などがあれば多めに買って、冷凍保存しておくといいでしょう」(柏木さん)また、横浜市の調査では1人当たり年間1万8千円の食品ロスがあると報告されている。 「食材を無駄にしないことが、求められます」(柏木さん)【2】ドラッグストアを積極利用「基本的にドラッグストアは薬や生活用品で利益が出せるので、食料品やお菓子、冷凍食品などを非常に安く提供しているケースが多くあります」(柏木さん)【3】米や味噌はふるさと納税自治体に寄付をする代わりに、寄付額から2千円分を引いた税額が控除され、返礼品を楽しめるふるさと納税。「その返礼品は、日持ちする食材を選ぶと食費の節約に。私の場合、東北のブランド米15kg1万5千円、味噌半年~1年分5千円、鹿児島の焼き豚180g×3個1万円などを利用しました」(柏木さん)【4】アプリを駆使「多くの人がスマホを持っているのだから、家計簿アプリやチラシアプリを利用してほしいです。家計簿アプリは入力も簡単で、食費にどのくらいかかったのか、仕分けして計算してくれます。チラシアプリを利用すれば、登録した生活圏のスーパーなどの特売品や、特売チラシの比較機能などで、商品ごとの地域最安値がわかったりします」(柏木さん)【5】急きょ必要な品はコンビニで定価販売の多いコンビニよりも、安売りで品数の多いスーパーを利用したくなるが……。「スーパーは店舗が広く、レジで並ぶ時間でレジ前の割引商品に手を出したりするなど、予定外の買い物をしてしまいがちです。明確に欲しいものがあれば、コンビニのほうが結果的に節約できることも多いのです」(内山さん)【6】割引に目を奪われないスーパーなどでは、1把100円のにらを、2把180円で割引販売しているケースを見かける。「たくさん食べるなら単価の安いほうを選ぶべきですが、余らせるリスクがあるなら、多少割高でも1把を買うべきです」(内山さん)日々の細かい節約で、“実質年金減額”を乗り越えよう。
2024年02月01日皆さんは、お金のことで悩んだ経験はありますか?今回は「年金の支払いを無視し続けた主婦」にまつわる物語とその感想を紹介します。※この物語はフィクションです。(CoordiSnap編集部)イラスト:あしたのLaw〜スカッとする漫画動画〜投資を始める主人公は夫と娘と暮らす主婦です。あるとき投資を始め、まとまった収入を得るようになりました。すると夫の扶養から外れ、国民年金の支払い義務が生じることに…。しかし主人公は、年金を支払うのは無駄だと考え、支払わずにいたのです。その後、何度も催告書や電話での督促がありますが「絶対に払わないんだから!」と無視を続けた主人公。ついには最終催告状と書かれた郵便が届きますが、それも破り捨ててしまい…。電話でも督促が…出典:あしたのLaw〜スカッとする漫画動画〜その後、電話で再度督促が来るも、主人公は支払いを拒否しました。すると後日、職員が家に訪問し、主人公は財産の差し押さえを通告されたのです。職員によって、年金の重要性を説かれた主人公は自分の行いを反省するのでした。読者の感想何度も催告がきているにもかかわらず、無視し続けた主人公に衝撃を受けました。取り返しがつかなくなる前に自分の間違いに気づいてほしかったです…。(20代/女性)支払い義務を無駄と考えて、催告書や督促の電話も無視するなんて呆れてしまいました。家族がこんなことをしていたら、がっかりしてしまうでしょうね…。(30代/女性)
2024年01月29日確定拠出年金制度の専門知識の啓発活動を行っている一般社団法人確定拠出年金診断協会(所在地:東京都千代田区、代表理事:分部 彰吾)は、確定拠出年金の制度が複雑で正しく理解していない加入者が多いことや、加入者をフォローする専門家が少ないことが問題となっていることを受け、確定拠出年金制度の専門家育成セミナーを2024年1月30日(火)に東京都港区にて開催します。セミナーの様子【112万人の年金が運用されず手数料だけ支払い】企業が掛け金を払い、従業員が運用する企業型確定拠出年金で、約112万人分の年金資産総額2,800億円が放置された状態です(注1)。原因は転職や退職の際に企業年金の移換手続きを忘れて放置されていることです。移換手続きを6カ月以内にしないと、現金の状態で管理され、年金資産を増やせず、引き出すこともできなくなります。年金資産は塩漬けにされるだけでなく、移管時に4,348円、以後の管理に毎月52円の手数料がかかるため、放置していると目減りしていきます。企業型確定拠出年金は加入者が増加している一方、加入内容について誰に聞いたらいいかわからない、年金資産をどの運用商品で運用しているか理解していない、専門用語が多くてわからないなど、周りに専門家がいないため自身の年金資産が放置状態になる問題が起きています。(注1) 2023年3月末時点 令和4年度国民年金基金連合会業務報告書より【1年間で2,000名以上の方がセミナーへ参加】一般社団法人確定拠出年金診断協会では、確定拠出年金制度の専門知識や診断プロセスを習得する確定拠出年金診断士の認定・育成を行い、確定拠出年金の加入者に対し、現状の把握と商品知識、資産運用知識をお伝えする専門家を増やしています。当協会は確定拠出年金の制度と活用方法・運用方法を正しく理解し、確定拠出年金から始まる金融サービスを通じて、老後のリスクへの適切な対策をアドバイスする専門家の資格取得を支援するセミナーを実施しています。2022年10月11日からリスク対策セミナーを計50回開催してきました。最も参加人数の多いときで約200名の方に参加いただき、これまでの累計2,000人以上の方にご参加いただいています。約1年間で確定拠出年金診断士の取得者数は400名を超えています。参加者の業種は金融機関・不動産業の方が中心になります。【老後資金2,000万円問題などを解消する一助に】<セミナー参加者の声>保険・金融業50代女性「相談者から資産運用やお金の相談ができる先生と見られるようになりました。そして自信をもって確定拠出年金のアドバイスができるようになりました」保険・金融業40代男性「確定拠出年金のことを詳しくわかっていなかったと気づきました。確定拠出年金を詳しく理解することにより質問を多く受けるようになり、より中立で公平なアドバイスが出来るようになりました」<代表理事の声>「確定拠出年金は厚生労働省が推進している資産運用の方法です。正しい活用法をアドバイスできる確定拠出年金診断士が活躍することで社会問題になっている日本の老後資金2,000万円問題などを解消する一助になると思っています。」代表理事 分部 彰吾【確定拠出年金制度の専門家育成セミナー 概要】日時 :2024年1月30日(火)開催時間:14:00~15:30所在地 :〒108-0074 東京都港区高輪3-23-17品川センタービルディング 1F・B1F(受付1F)AP品川アネックス(港区 品川駅 高輪口)【会社概要】会社名 : 一般社団法人確定拠出年金診断協会代表 : 代表理事 分部 彰吾本社 : 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-5-6 りそな九段ビル5階事業内容: 金融教育業電話番号: 03-6869-9870URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年01月16日「今後、年金だけで悠々自適に暮らせる高齢者は減少します。さらに実質的に年金額も目減りしていきます。そこで高齢者になっても稼いでいくことになるわけですが、住民税が『課税』か『非課税』をふまえて、どこまで稼ぐか、しっかり頭にいれることが重要です」そう語るのは、「お金と福祉の勉強会」代表の太田哲二さん。住民税非課税世帯(以下、非課税世帯)とは、所得に応じて負担する住民税がかからず、各種控除を引くと「0」になる制度があり、その条件を満たした世帯のこと。年金のみで生活している65歳以上の夫婦が非課税世帯になるのは、東京都の場合で年金収入が211万円以下(表1)。これがたとえ1万円でも増えて212万円になると、住民税がかかるうえ、社会保険料(国民健康保険料+介護保険料※75歳以上は、国民健康保険料は後期)の負担が増え、手取り額が211万円より10万円ほど少なくなる逆転現象が生じる。これがいわゆる『211万円の壁』。なお配偶者の年金収入も非課税レベルの収入であることが前提だ。ちなみに、住民税課税所得になる所得の基準は自治体によって違い、東京都区部など大都市部では「211万円」だが、県庁所在地など比較的おおきな年では「209万円」その他の市町村で「193万円」がそれぞれ壁となる。国民基礎調査(2022年)によると、60代で20%弱、70代で35%前後、80代で40%超が非課税世帯だという。非課税世帯では恩恵も少なくない。「“新たな経済対策”で、非課税世帯に7万円の給付を行われますが、コロナ対策でも1世帯10万円の給付金が支給されるなど政府による給付金が手厚いなど優遇措置があります。医療費が高額になったときの高額療養費制度では、70歳以上で月の自己負担上限額が、課税世帯でもっと所得が低い場合では5万7600円ですが、非課税世帯は最大1万5000円です」ほかにも、NHKの受信料を申請すれば免除されたり、自治体によっては各種補助(インフルエンザの予防接種の無料化、電車やバスが乗り放題など)などの対象になったりするという。今後は年金収入だけで暮らすことは難しくなり、高齢者でも働くことが求められている。しかも、シニアが働く環境も徐々にだが整ってきている。「実は働いた場合に稼いだ給与は年金収入との控除額が異なるため、「給与+年金」の年金生活者では住民税非課税限度額が違います。ところが年金収入だけの『211万円の壁』だけしか示されておらず、『年金+給与』での非課税の範囲内がわからない人が多いのです。年金が少ないからと頑張って働いたら、知らないうちに非課税世帯の対象から外れてしまうことも。妻が特別養護老人ホームに入所した知人は、介護費用を捻出しようと一生懸命働いた結果、住民税非課税の条件から外れてしまい、公的介護保健の高額介護サービスの負担上限額が増え、年間100万円の負担増になったと嘆いていました」そこで、太田さんは、高齢者夫婦「年金+給与」(1級地)で試算。その結果が表2の通り。「たとえば、72歳の夫の年金収入が155万円で、同い年の妻の年金が70万円の場合、夫は年121万円(月9万2500円)まで働くことができます」最後に太田さんがこう語る。「年金だけでは老後生活が不安だからと、なんとか年金を増やしたり、定年後も働いて預貯金を増やそうとしたりしますが、非課税世帯かどうかで、家計への負担が大きく違ってきます。収入を増やすために働くことは大切なことですが、それによって「負担が増える」ことがあることだけはしっかり頭にとどめておいてください」【PROFILE】太田哲二(おおたてつじ)昭和23年名古屋市に生まれる。中央大学法学部卒業。同大学院修士課程修了。杉並区議会議員(10期)OB。「お金と福祉の勉強会」代表。個々人の具体的相談活動に従事。近著に『やっとわかった!「年金+給与」の賢いもらい方』(中央経済社)がある。
2023年12月22日「11月21日、厚生労働省の社会保障審議会の年金部会でモデル世帯の見直しについて言及されました。例年、1月に発表される、4月の年金改定額や、“年金の健康診断”とも言われ、厚労省が5年に1度発表している『財政検証』でも、このモデル世帯が基準となっています。ところが、その設定は“平均的な賃金の会社員で40年、1度も欠かさず年金に加入してきた夫と、専業主婦の妻”という、現在では該当者が少ないと思われる世帯。多様な働き方に合わせたモデルを提示するべきというのが、見直しの根拠です」(社会保障担当記者)今後は現状のモデル世帯に加え、共働き世帯や、単身者などのモデル年金も提示していく見込みだ。早ければ、来春の年金の改定のタイミングや、2024年の財政検証で、複数のモデル年金が提示される可能性がある。「さまざまなモデルを示すこと自体は必要なことでしょう。しかし、既存のモデル世帯の見直しは、『所得代替率』の“50%ルール”の見直しにつながるという懸念があります」(前出・社会保障担当記者)■年金の上昇を抑制する非情な仕組み「マクロ経済スライド」年金博士こと社会保険労務士の北村庄吾さんはこう解説する。「厚労省は『所得代替率』を年金支給の指標にしています。これは現役男子の平均手取り月給に対する、モデル世帯の年金額の割合。最新の財政検証(2019年)では、現役男子の平均手取り月給35万7千円に対して、モデル世帯の年金受給額は月22万円だったので、所得代替率は61.7%となりました」本来、年金の受給額は、物価や賃金が上がれば、同じように増えていく仕組みになっていた。このことで、インフレから年金受給者の生活を守ってきたのだ。しかし、少子高齢化による社会保障費の増大を受けて、20 04年に年金額の上昇を抑制する仕組みが作られた。「マクロ経済スライド」だ。「物価や賃金が上昇しても、その上昇率から“スライド調整率”を引いた分しか、年金受給額が上がらないようになりました。しかも、賃金や物価が上がらず、調整率が引かれなかった場合、次年度以降に持ち越しされる“キャリーオーバー”という制度も、後に追加されたのです」(北村さん)たとえば今年4月からの年金受給額は、物価や賃金の上昇をうけて、本来2.8%上昇するはずだったが、マクロ経済スライドの発動を受けて、2.2%の上昇に抑制された(67歳以下の場合)。スライド調整率0.3ポイントと、キャリーオーバー分の0.3ポイントを足した0.6ポイントが差し引かれたのだ。「年金の額自体は増えますが、“価値”が目減りしていくことになります。しかし、これが続けば、年度を重ねるごとに、賃金や物価の上昇率と、年金額の上昇率の差が広がっていき、所得代替率は際限なく下がっていくことに。そこで、所得代替率は50%を下回らないようにすることが定められています」(北村さん)「国民年金法等の一部を改正する法律」では、モデル世帯の定義とともに、《(所得代替率が)百分の五十を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保するものとする》と明文化されている。所得代替率50%の年金額は、2019年の賃金や物価の水準だと、月17万8500円となる。しかし、モデル世帯の見直しは現状の所得代替率“50%ルール”の変更につながる懸念がある。経済評論家の加谷珪一さんは、こう語る。「シングル世帯、共働き世帯、ひとり親世帯などさまざまなケースを想定することは歓迎すべきことです。しかし、こうした議論をする際、新たな要素を加えたがる官僚はいるものです」鹿児島大学教授で社会保障法が専門の伊藤周平さんも危惧する。「年金受給額に関して恵まれている従来のモデル世帯が、もっとも所得代替率が高く出ます。さまざまなケースを想定することになれば、所得代替率が50%を下回る試算結果が出てくることでしょう。そもそも少子高齢化のなか年金制度を維持するには、年金保険料の値上げ、所得代替率の引き下げなど、方法は限られる。前者は反発されやすいですが、所得代替率は理解が進んでいないため、変更しやすいという見方はできます」現状のモデル世帯をもとにした所得代替率は今の社会にそぐわないとして、見直しの俎上に載せられる可能性がある。■所得代替率46%で“実質”年金は年66万円目減り所得代替率50%ルールが撤廃された場合、年金額はいくらまで下げられるのだろうか。ヒントは前回の財政検証にある。「財政検証の最悪のシナリオでは、所得代替率が46.1%と、将来的に50%を割り込んでいる試算結果も明示されています。国は、現実的な数字として捉えていると思います」(北村さん)「同シナリオでは、年金積立金が枯渇した場合は所得代替率38〜36%まで下がるとしていますが、生活が困難になるため、そこまで下げることはないでしょう。所得代替率の下限を変更するとすれば、45%前後となるのではないでしょうか」(加谷さん)財政検証で提示された所得代替率46.1%になるシナリオを、2019年時点の賃金と物価水準で見てみよう。2024年には所得代替率は60%に、2043年には50%となり、受給額も月18万円を割り込む。2052年には月16万4600円と、2019年の月22万円よりも月間で5万5400円、年間で約66万円も減額されることになる。国民年金のみの人は、最終的に月1万6300円、年約20万円の減額となる。モデル世帯の見直しに便乗した年金減額に注意しよう!
2023年12月14日皆さんは、年金の支払いに困ったことはありますか?今回は「年金を滞納し続けた妻の話」と感想を紹介します。※この物語はフィクションです。イラスト:あしたのLaw~スカッと法律漫画~年金を支払いたくない夫と共働きをしながら娘を育てる主人公。ある日、パートとデイトレードで300万円以上稼ぐようになった主人公は夫の扶養から外れました。そして年金の支払い義務が生じてしまったのです。年金の支払いをしたくない主人公は、請求書を破り捨てました。その後、督促状も無視していると、ポストにある通知が届いて…。最終催告状が届いた出典:あしたのLaw~スカッと法律漫画~そんなある日、主人公の家に差し押さえの執行官がやってきました。年金の納付の催告を無視し続けた結果、財産差し押さえが決まったと言われ…。これに夫は「まだ払ってなかったのか!?」と大激怒。そして執行官が言い放った、差押え内容に絶句することになるのでした。読者の感想どんどん高くなる税金に悩む気持ちがわかります。しかし年金を支払わなかった主人公には驚きました…。(20代/女性)差押予告通知書が来ても無視する主人公に驚きでした。年金は払わないとこうなるのか…と改めて勉強になりました。(20代/女性)※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。※実際に募集した感想をもとに記事化しています。(CoordiSnap編集部)
2023年12月03日「10月24日の厚労大臣の諮問機関である社会保障審議会で、現在40年間となっている国民年金の保険料の支払い期間を、『65歳までの45年間に延長すべきだ』という意見が出されました。これには多数の委員が賛成しています。過去、同会での議論はおおむね法制化しているので、『納付期間が45年間になる』流れと思われます」こう話すのは年金制度に詳しい社会保険労務士の石田周平さんだ。自営業の人などが加入する国民年金(老齢基礎年金)制度は、現在、20歳から60歳までの40年間が支払い期間となっている。すべて支払うと満額となり、年79万5000円を65歳から受給できる。現在の保険料は月1万6520円だ。「年間20万円ほどの保険料をさらに5年払わないといけないことになります。単身者なら約100万円、夫婦2人なら、およそ200万円もの負担増になります」(石田さん)現在、社会保障審議会で検討されているのは、2025年度の年金制度の改正だ。法が成立しすぐに施行されたとしても、引き上げが始まるのは2025年度以降となる。さらに、引き上げは段階的に行われるとみられる。たとえば、2026年に60歳を迎える人から納付期間を61歳までに引き上げ、次は2028年に60歳を迎える人から62歳までに引き上げるといった具合だ。納付期間が完全に65歳に引き上げられるのは、早くても2030年以降、現在50代前半よりも下の年齢の人が対象になると考えられる。■納付期間の延長は70歳受給開始の布石か「納付期間の延長は家計にとって大きな負担になりますが、そのぶん受給できる年金が増えるというメリットもあります。しかし、納付期間の延長は、現在65歳が基本とされている年金の受給開始年齢の将来的な引き上げにつながる懸念があります。これは国民年金に限った話ではなく、会社員などを対象にした厚生年金も例外ではありません」(石田さん)以前は年金の受給開始年齢は60歳だったが、法改正により段階的に引き上げられて65歳となった。経済部記者はこう指摘する。「それに伴って、60歳以上の人も、本人が希望すれば再雇用することを企業に義務付ける法律が作られました。現在は、65歳までが“義務”で、70歳までが“努力義務”になっていますが、将来的には70歳までの雇用が義務付けられ、年金の受給開始年齢も70歳に引き上げられる可能性が十分あります」仮に、保険料の納付期間が65歳までに引き上げられ、受給開始年齢も70歳になった場合、私たちの老後はどうなるのか。ファイナンシャルプランナーの中村薫さんに解説してもらった。同年齢の夫婦のケースで、厚生労働省の「令和4年簡易生命表」の2022年の70歳からの平均余命から、妻は90歳、夫は86歳まで生きると仮定した。まずは国民年金の場合、現行制度下で、それぞれ満額の79万5000円を受給する夫婦は、生涯で総額3816万円の年金を受給する計算になる。保険料の納付期間が5年増えると、夫婦2人で200万円ほどの負担増になるのは前述のとおり。「現在の国民年金の満額は79万5000円ですが、5年分保険料を上乗せして納めることで、9万9375円が増額され、年額89万4375円を受給できることになります」(中村さん、以下同)夫婦2人だと約20万円の増額で、年間の受給額は約179万円。「保険料200万円に対して、年間20万円の増額ですから、約10年、年金を受給すれば、延長で払った保険料を受給額が上回ることに」しかし、年金の受給開始年齢が70歳に引き上げられた場合、夫婦2人の生涯の受給総額は約3400万円と、現行制度下よりも約416万円も減ってしまう。さらに、保険料が200万円も増えていることも忘れてはならない。次に、厚生年金で考えてみよう。65歳まで平均年収が500万円で働いた会社員の夫と、専業主婦の妻(第三号被保険者)の場合、現行の制度下だと、夫と妻の国民年金に、厚生年金の報酬比例部分115万円を加えた274万円が65歳から受給できる(金額は概算、以下同)。夫が亡くなってからは、妻は自分の国民年金と遺族厚生年金を合わせた年約166万円が受給できる。夫婦2人の生涯の受給総額は約6千691万円だ。「現状でも、60歳以降も会社員として働く場合、65歳までは厚生年金保険料を支払っています。法改正によって国民年金を65歳まで支払うことになっても、会社員が支払う保険料は変わりません」受給開始年齢が70歳に引き上げられた場合(国民年金の満額も引き上げられたと仮定)、夫婦2人の生涯の受給総額は約5699万円となる。現行制度より992万円もの減少になってしまう。「現在行われている社会保障審議会では受給開始年齢の引き上げの話は出ていない」(中村さん)というから、直ちに引き上げられる心配はなさそうだ。しかし、過去の引き上げの例を見るに、いま50代の人は将来の“年金改悪”に備える必要がある。
2023年11月29日ビートたけし(76)が、11月19日放送の『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)で、自身の年金額を明かした。先日初めて自身の年金額を見たというたけし。「こうやってビッて剥がして見たけど、ひと月6万円だったよ。倒れたもん、めまいがして」と、その金額の少なさに驚愕したという。たけしは、厚生年金などには加入しておらず、国民年金のみに入っているようだ。国民年金は、所得に関わらず一定の保険料を毎月収めることで将来年金を受け取ることができる制度。令和5年度の保険料は、1カ月あたり16,520円だ。20歳から60歳になるまでの40年間で、保険料を払った期間に応じて65歳から基礎年金を受け取ることができる。40年すべて納めた際の、満額の老齢基礎年金の金額は月額66,250円だ(令和5年度、67歳以下の場合)。会社員の場合は、この基礎年金に厚生年金を上乗せしてもらうことができる。「たけしさんは、今も現役で働いておられますし、それなりの貯えもあるでしょうから、生活にはこまらないでしょう。しかし、個人事業主やフリーランス、パート、専業主婦(夫)など、実際に基礎年金しかもらえない人も多いのです。さすがにこの金額だけでは暮らしていけないという方が多いのではないでしょうか」(全国紙記者)たけしの告白で、改めて基礎年金の給付額の少なさに驚いた人が続出。ネット上では、将来を憂う声が相次いだ。《たけし氏のように資産の無い方は即死かな…》《ビートたけしさんですら年金は月6万円なのかマジで若い時から貯金しておかないと老後餓死してまうやん…》《六万円だよ国民年金生きていける最低保証額?まさかだよね〜》また、この基礎年金で受け取れる金額は、この先さらに下がる可能性があるという。「年金は、物価が上がれば給付額も増えます。しかし、少子高齢化で年金財政が厳しくなるなか、’04年から年金の増額分を実際の物価上昇分よりも抑制するマクロ経済スライドという制度が導入されました。日経新聞は、’24年度は2年連続でこの制度が発動することになる見通しだと報じています。年金の給付額自体は増えますが、物価の伸びほどには増えないため実質的には減額することに。現状、この給付抑制は’46年度まで続き、基礎年金の給付水準は将来的に3~4割低下するといわれています」(前出・全国紙記者)自身の年金額の見込みは、「ねんきんネット」で確認できる。年金が少ない場合は、受給開始を遅らせることで月々の年金額を増やす「繰り下げ受給」や、就労期間の延長、貯蓄などで自衛するしかないだろうーー。
2023年11月21日“増税メガネ”と揶揄される岸田文雄首相(66)。そんな首相が目論むのは、私たち主婦の年金の狙い撃ちだ。さらに“悲しい円安”も家計を直撃してーー。「(第3号被保険者について)抜本的に制度を変えないといけない」“増税メガネ”が、暴走宣言か。10月5日、東京都内の視察先でこう述べた岸田文雄首相(66)。年金博士こと社会保険労務士の北村庄吾さんが解説する。「第3号被保険者(以下、第3号)は、専業主婦の“無年金”を解消するため1986年に始まった制度です。厚生年金に加入している会社員や公務員の配偶者は第3号となり、“年収の壁”を越えなければ、保険料を払わなくても、将来、基礎年金を受給できる制度です。男性が働き、女性は家事、育児、介護を担うことを前提として作られた仕組みでした」これが、第3号が「主婦の年金」といわれてきた理由だ。しかし、専業主婦世帯は年々減少し、1990年代半ばには共働き世帯が上回るようになった。厚生労働省によると、現在第3号は763万人いるという。「国は人口減少による人手不足の解消に、専業主婦やパート主婦の労働力を利用したいと考えています。第3号をなくしたいのが本音なのです。しかし、以前は男女であからさまな就業差別はありました。だいぶ改善されたにせよ、今もその傾向は続いています。また、育児や介護で働きたくても外に出られない女性も多くいます。そんな声は無視して、政府は“女性の社会進出”と耳ざわりのいいことを言って、働かない主婦は“悪”という風潮を作ってきました。『専業主婦優遇』『不公平』を旗印に、岸田首相は’25年に行われる年金制度改正で第3号の廃止に突き進んでいます」(北村さん)岸田首相が前のめりになれるのは、今年5月に日本最大の労働組合の全国組織「日本労働組合総連合会(連合)」の芳野友子会長(57)が、第3号制度の廃止要請を検討していると発言したことも大きいという。全国紙記者が語る。「連合の組合員の妻にも、第3号制度の恩恵を受けている専業主婦はたくさんいます。連合は、これまで第3号の廃止を声高に言うようなことはしてきませんでした。しかし、10月6日に2期目の続投が決まった芳野会長は、明らかに第3号を目の敵にしています。芳野会長は自民党との距離が近く、岸田首相と制度の廃止を画策していると思われてしかたありません。政府としては連合の要請を根拠に、労働者の理解は得られたと宣伝するつもりなのでしょう」仮に、第3号が廃止されると、サラリーマンの妻は、国民年金の保険料を月1万6520円、年間で約20万円払う必要が生じる。妻に収入がない場合は、夫が妻の保険料を払うことになる。ただし、保険料は「社会保険料控除」の対象となるので、夫の所得税や住民税の支払額が減るため、実質的な家計での負担額は年間約20万円より少なくなる。しかし、それでも年収400万円世帯で16万8240円、年収600万円の世帯では15万8240円も負担が増えてしまうのだ。「本来は保険料を支払わなくても受け取れたのに、保険料を負担せねばならず、なおかつ将来受け取る年金額も多少増えるぐらい。何より、この先の見えない物価高の時代に、年16万円も手取りが目減りするインパクトは大きいでしょう」(北村さん)■男女の賃金格差や待遇差の改善が先第3号の廃止が抜本的な社会保障対策ならまだわかるが……。「企業側の人手不足に対応するための経済対策にすぎず、その実態は単なる専業主婦いじめです」そう語るのは経済アナリストの森永卓郎さんだ。「そもそも国は第3号は専業主婦優遇ではありません。ところが、『配偶者控除』を縮小するなど“専業主婦いじめ”を繰り返し、無理やり女性を、低賃金で待遇の悪い非正規雇用という労働市場に引っ張り出してきました。そのうえで、国は、正当な賃金を払ってもらえない、適切に処遇されないという女性の声を今まで放置してきたのです」第3号にとどまるための「働き控え」の対策として、政府は“年収の壁”のひとつである106万円を超えたパート主婦の手取り収入が減少しないよう、10月から企業に助成金を支給する制度などを導入しているが……。「夫婦がどのような労働分担をするかは、それぞれの家庭が判断すべきです。専業主婦に過重な負担を課すことで、政府が家庭のライフスタイルに介入すべきではありません」(森永さん)今後は、さらに“主婦いじめ”が加速しそうだと、森永さんが指摘する。「社会保険料の収入を増やしたい岸田首相にとって、763万人いる第3号が月額1万6520円の保険料を払うことになれば、年約1兆5千億円も社会保険料が増える。岸田首相にとって抜本的な改革とは、専業主婦からの増税。吸い上げられるところから吸い上げようというだけです」「女性の社会進出」や「不平等の解消」という建て前の向こうに、“増税メガネ”の本音が透けて見えるようだーー。
2023年10月26日「今回、政府が始める新たな助成金制度は、老後に備えた保障を厚くできる厚生年金に加入するきっかけとなるかもしれません。とくに、これまで“働きたいけど社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料)がかかるから労働時間を抑えてきた”という人にとっては、働く時間や収入を増やして、将来の年金受給額も増やせるチャンスだといえるでしょう」このように語るのは、年金制度に詳しい「よこはまライフプランニング」代表で、特定社会保険労務士の井内義典さんだ。9月27日、政府は「年収の壁・支援強化パッケージ」を発表した。一定の条件で、一定の年収をこえると、社会保険料などの負担が発生し、手取り額が減ってしまういわゆる「年収の壁」の問題。労働者不足が進むなか、年収の壁を理由に就業調整している人がいる現状を解消しようと、政府が対応策を講じたのだ。それでは今回、政府が対応に乗り出した「106万円の壁」と「130万円の壁」のふたつの壁がどういうものか、そして政府の対応策をみていこう。■「年収106万円の壁」を超えると助成金まず、「年収106万円」の壁だが、下記の要件を満たしている人は、社会保険に加入しなくてはならない。(1)従業員101人以上(2024年10月からは51人以上)の企業(2)賃金月額8万8千円(年収約106万円)以上(3)週の所定労働時間が20時間以上(4)雇用期間の見込みが2カ月超(5)学生ではない年収106万円を超えて社会保険に加入すると、保険料が発生するために手取り額が減少し、およそ年収125万円を超えるまでは、手取り額は回復しない。これが“働き控え”の原因のひとつと考えられている。そこで政府は、労働者の収入を増額させることにより、新たに社会保険に加入しても、それまでと手取り額が減らないような対策を講じた事業者に対して、労働者1人あたり最長3年間、最大50万円の助成金を支給することにした。単純に時給を上げたり、「社会保険適用促進手当」を出したり、週の所定労働時間を増やしたり、それらを組み合わせたり、収入の増額のさせ方は複数の選択肢が提示されている。一方、年収が130万円以上の場合、社会保険の扶養から外れ、一定の勤務時間等により、自分で社会保険に加入しなければならない(130万円の壁)。こちらは、一時的な増収であれば、連続2年までは扶養に留まれるという措置で対応するという。ただし、事業主が一時的な増収と証明し、扶養している配偶者が加入している健康保険組合などが認める必要がある。■改めて老後の生き方を検討するチャンス壁を超えると、どのようなメリットがあるのだろうか。厚生年金に加入した場合、将来、基礎年金に加え、加入した期間(働いていた期間)や当時の報酬額で決まる「報酬比例部分」を受給することができるという大きなメリットがある。収入と加入期間によって、どれだけ年金受給額が増えるかを、井内さんの協力のもと、本誌が試算した。たとえば、パート収入が月に11万円の人が厚生年金に5年加入した場合、65歳から受け取る年金額は、基礎年金(国民年金)だけの人と比べると、月に2828円、年間で3万3936円も増額される。仮に90歳まで生きた場合には、84万8400円も差が出る計算だ。助成金がある間は、手取り額が減少することなく、厚生年金に加入することができるが、心配なのは3年程度とみられている時限措置が終了した後だ。「助成金制度が終わったら、再び社会保険の扶養に入れる年収まで戻す人が出るのではないかという懸念があります。政府は早急に、社会保険加入を継続させるための新制度を考える必要もあります」厚生年金は会社が保険料の半分を負担するので、年収220万円くらいまでは、国民年金の保険料(1万6520円、2023年度)よりも自己負担額は少なくなることを念頭に置き、自分にとって最適な働き方を考えてみよう。「10月から始まる助成金制度の導入を機に、将来の年金額がどれぐらい違ってくるのか。自分にとってのメリット、デメリットを考えるきっかけにしてほしいですね」【表解説について】金額は2023年度時点の概算。小数点以下は四捨五入。税・社会保険料については、健康保険は「協会けんぽ東京支部」の被保険者負担分の保険料率(5.0%)、雇用保険は令和5 年4 月~令和6 年3 月までの保険料率(0.6%)で計算。介護保険料は0.91%、厚生年金保険料は9.15%の保険料で計算。税については社会保険料の控除も行われている。住民税の均等割額、復興特別所得税などは省略。
2023年09月29日みなさんは節約していることはありますか?今回は「年金の支払いを無視し続けた節約女の末路」を紹介します。イラスト:あしたのLaw〜スカッと法律漫画〜国民の義務を無視パートとして働く主人公はお金の心配が尽きず、投資を始めることにしました。投資で稼げるようになった主人公は夫の扶養から外れ…。国民年金を自分で納めることになりました。しかし「年金を払うのなんて無駄」と考えた主人公は一切払おうとしません。催告状や電話の督促がきても無視を続け、夫の忠告も聞きませんでした。投資が好調出典:あしたのLaw〜スカッと法律漫画〜投資のコツを掴みパートを辞めた主人公でしたが、いまだに年金を払うつもりは一切ありません。しかし、主人公家族が旅行に出ようとしたある日、日本年金機構の職員が、財産を差し押さえにやってきました。「年金は損するだけだから、私は自力でどうにかする!」言う主人公でしたが、再三の催告を無視し続けた主人公の言い訳は通用せず…。全財産を失うことになった主人公は、夫から離婚を言い渡されてしまうのでした…。義務を果たさなかった結果主人公の安易な考えが、取り返しのつかない結果となりましたね。以上「年金の支払いを無視し続けた節約女の末路」を紹介しました。※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。
2023年08月02日皆さんはお金にまつわる悩みはありますか?今回は年金の支払いを無視し続けた女性のエピソードを紹介します!イラスト:あしたのLaw〜スカッと法律漫画〜夫の扶養からはずれる夫の扶養内でパートとして働く主人公。しかし夫と自分のパートの収入だけでは贅沢な生活はできず、投資に挑戦することにしました。主人公の投資はうまくいき、まとまったお金を稼げるようになったので、夫の扶養から外れることに…。年金の支払いを無視出典:あしたのLaw〜スカッと法律漫画〜「年金は損」「払うだけ無駄」と言い、年金の支払いを無視していた主人公。そして夫の注意も聞かず、娘の世話まで疎かにし投資に熱中していました。その後も催告書や電話での督促がありましたが、主人公は支払いに一切応じず強気な態度を貫いていました。するとついに自宅に職員がやってきて、財産の差し押さえを報告。主人公のもとには財産の差し押さえ予告通知が届いていましたが、それさえも無視していたのです。こうして主人公はすべての財産を差し押さえられ、夫からは離婚を言い渡されるのでした。すべて失った年金の支払いを無視し続けた主人公。その結果、財産も家族も失い自業自得な末路を辿ったエピソードでした。※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。
2023年07月11日大人気マンガシリーズ、あしたのLawさんの「年金の支払いを無視し続けた節約女の末路」をご紹介します。夫の収入と自分の収入があっても足りないと感じた主人公の節子は、投資に挑戦することに。コツコツ仕事をして稼ぐよりも楽に稼げることを知り、仕事を辞めて投資で得た収入での生活を楽しむようになります。そんなある日、収入が膨れた節子は夫の扶養から外れることになって…。予想外の事態が発生出典:あしたのLaw年金の力を借りなくても生きていける!出典:あしたのLawところが…。出典:あしたのLaw年金の未払い通知が度々来るが…。出典:あしたのLaw年金を払う気がない節子出典:あしたのLaw催告書や電話も無視し続けて…。出典:あしたのLaw一応調べてみたが、気持ちは変わらず出典:あしたのLawそんなある日…。出典:あしたのLaw仕事を辞める経緯を同僚に話す出典:あしたのLaw堅実的な同僚を見下し、退職した出典:あしたのLawデイトレードでの収入が膨れた節子は夫の扶養から外れることになり、国民年金の支払い義務が生じました。しかし、今の収入に自信を持った節子は年金を払う気はありません。そんなある日、催告を無視し続けた節子のもとに訪れたのは…。(イラスト/あしたのLaw)※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。
2023年06月14日皆さんは、年金について考えたことはありますか?今回は「年金の支払いを無視し続けた節約女」を紹介します。年金の支払いを無視し続けた節約女主人公は、ローンに光熱費に…とお金に追われる生活をしていました。そこで、投資を始めた主人公。投資で順調に稼げるようになり、夫の扶養から外れることに…。すると、国民年金の支払い義務が生じて…!?国民年金の支払い義務が発生…出典:あしたのLawしかし、主人公は「こんなの冗談じゃない!」と無視することにします。その後も年金未払いの通知が来るのですが無視を続ける主人公…。とうとう催告状や電話での督促が来たのですが、それらもすべて拒否。しかしその後、年金の未納により財産のすべてを差し押さえられてしまい言い訳が通用しない事態に陥った主人公なのでした。年金の支払いは国民の義務!年金未納で催促状がきてもブレずに支払わなかった主人公。年金の支払いが経済的に困難な場合は「免除」または「納付猶予」などの申請も可能なので活用したいものですね。※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。
2023年06月11日大人気マンガシリーズ、あしたのLawさんの「年金の支払いを無視し続けた節約女の末路」をご紹介します。みなさんはきちんと年金を払っていますか?今回は、デイトレードを始めて人生イージーモードと錯覚してしまい、大変な目にあった女性のお話です。私は成竹節子出典:あしたのLaw金に必死な人間を見下す節子出典:あしたのLaw得意げにパート仲間に話す出典:あしたのLaw1年前の節子は…出典:あしたのLawパート中に小耳にはさんだデイトレードの話出典:あしたのLaw高所得者のマウント合戦に感化されて出典:あしたのLaw自分も我慢、子どもにも我慢させる日々出典:あしたのLaw一念発起して勉強を始めた出典:あしたのLaw年収300万円稼げるようになった出典:あしたのLaw未だに金の奴隷の同僚を憐れむ出典:あしたのLaw夫の収入と自分の収入があっても足りないと感じた節子は、投資に挑戦することに。コツコツ仕事をして稼ぐよりも楽に稼げることを知り、仕事を辞めて投資で得た収入での生活を楽しむようになります。そんなある日、収入が膨れた節子は夫の扶養から外れることになって…。(イラスト/あしたのLaw)※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。※YouTube動画 法律監修:ベリーベスト法律事務所
2023年06月06日皆さんは、年金について考えたことはありますか?今回は「年金の支払いを無視し続けた節約女」を紹介します。イラスト:あしたのLaw年金の支払いを無視し続けた節約女主人公は、夫と自分の稼ぎに不満を感じ、投資を始めることに。その結果、投資によって収入は増え、夫の扶養から外れることになります。すると、国民年金の支払い義務が生じました。主人公は、年金など必要ないと考えていて…!?年金の力を借りなくても生きていける!出典:あしたのLawなんと主人公は年金の支払いをしませんでした。その後も年金未払いの通知が来るのですが無視します。とうとう催告状や電話での督促が来たのですが、それらもすべて拒否。そして、デイトレードで稼げるようになったため、パートを辞めてデイトレードを専業にするのでした。投資で稼ぎ続けていた主人公でしたが、ある日年金の未納により財産のすべてを差し押さえられてしまいます。言い訳は通用せず、すべてを失った主人公は涙を流したのでした。ブレずに支払わなかった結果年金未納で催促状がきてもブレずに支払わなかった主人公。その結果すべてを失ってしまい、考えさせられる話ですね。※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。
2023年05月21日4月分から年金の支給額が増える。そんな報道を見て、支給日を心待ちにしている人は多いだろう。でも、実は年金の“価値”が減っているのは知っているだろうか。「4月から、年金受給額が67歳以下の人は、前年度から2.2%の引き上げ、68歳以上の人は1.9%の引き上げとなります。たとえば67歳以下の夫婦2人のモデル世帯の厚生年金受給額は22万4482円となり、昨年の21万9593円から4889円増えることになります。“増額”のため、思わず喜びを感じてしまいそうですが、実は年金は目減りしていることを知っておかなければなりません」こう語るのは、YouTubeで『年金博士・北村庄吾の年金チャンネル』を運営している、社会保険労務士の北村庄吾さんだ。なぜ年金が増額されたのに、目減りしているというのだろうか。「公的年金のメリットは、インフレリスクがないことでした。68歳以上の人は『物価変動率』、67歳以下の人は『名目賃金変動率』に合わせて年金の支給額が増減する仕組みになっています。つまり、賃金や物価が上昇すれば、年金受給額も上昇する。そうなれば貰う年金の価値は失われず、同じものが買えるのです。ところが年金は賦課方式といって、現役世代が払う年金保険料で、年金生活者の年金を賄うというもの。平均寿命が延びているため、年金生活者の数は増えています。一方、昨年の出生数が80万人を切ったと報じられているように、労働力人口はますます減少していく。このような少子高齢化社会で年金制度を維持するため、2004年に厚生労働省が導入したのが『マクロ経済スライド』という制度です。これは、年金の支給額を実質的に減額させていくものなのです」マクロ経済スライドとは、具体的にどんな制度なのか。「簡単にいうと、年金額の上昇が、物価や賃金の上昇よりも抑制されます。平均余命の伸びや現役世代の減少数から『スライド調整率』を算出し、それを従来の上昇率から差し引いた分しか、年金額を増やさないという仕組みです」■あの手、この手で年金を減らそうとするしかし、長引く不況で物価や賃金の上昇が伸び悩んだため、政府の思惑に反して、マクロ経済スライドはほとんどの年で発動されなかった。物価や賃金の上昇率が低かったり、マイナスだったりした場合は、マクロ経済スライドが発動されない仕組みになっているためだ。「2018年の時点で、マクロ経済スライドが発動されたのは2015年の一度だけという状態でした。そこで、2018年に厚労省が新たに導入したのが、“使わずにあまった調整率を、キャリーオーバーできる”という、ロト6のような仕組みです。つまり、マクロ経済スライドが発動されなかった年の調整率は翌年以降に持ち越され、次に発動するタイミングで、一気に引かれることになったのです」その後、2019年、2020年にマクロ経済スライドが発動。そして今回、昨今から続く物価上昇や賃金上昇によって、3年ぶり4回目のマクロ経済スライド発動となったのだが、しっかりとキャリーオーバー分も引かれている。「今年度のスライド調整率は0.3%と計算されています。さらにキャリーオーバーが2022年度で0.2%、2021年度で0.1%あるので、スライド調整率は合計0.6%ということになるのです」その結果、67歳以下の人は名目賃金変動率の+2.8%から0.6%を差し引いた+2.2%、68歳以上の人の年金額は、物価変動率+2.5%から0.6%を差し引いた+1.9%で改定されることに。「額面では増えるのでわかりにくいですが、年金受給額の増額は物価上昇よりも低く抑えられているので、じつは年金の価値は下がっています。実生活では気づきにくい形で年金を“値下げ”するという、姑息な制度です。しかし、最近の物価上昇は激しいので、今年はマクロ経済スライドの悪影響を実感する年になりそうです」じつは、年金額改定で用いられる物価の変動率は昨年1月から12月の数値をもとに計算されている。たとえば、67歳以下の改定に用いられた名目賃金変動率(+2.8%)は、昨年1~12月の消費者物価指数(+2.5%)と、2~4年度前の実質賃金変動率(+0.3%)から導き出されたもの。今年1月の消費者物価指数の+4.3%は反映されていない。つまり、マクロ経済スライドによる年金額の抑制と、今年に入ってからのさらなる物価の上昇が年金生活者を襲うことになる。67歳以下の人の年金額は2.2%上がったものの、足元の物価の上昇率との差は2.1%まで広がっている。金額にすると、モデル世帯の厚生年金は月4553円、年間にして約5万4000円ぶんも価値が目減りしていることになる。■減額は続く…年金は将来2割減る「受給額が“減る”一方で、2024年には、国民年金の被保険者期間が20歳から65歳まで、厚生年金の被保険者期間が70歳までから75歳までと、保険料の支払いの負担が増える可能性があります」マクロ経済スライドによる年金の減額はいつまで続くのか。「厚労省は、現役の男性の平均手取り月給に対する、モデル世帯の年金額の割合、『所得代替率』を指標にしています。2019年の時点で、平均月給35万7000円に対して所得代替率は61・7%。これが将来的に50%になるとされています。現在の貨幣価値で計算すると、年金受給額は17万8500円。現行よりも2割も年金額が減ってしまう計算です」厚生年金のモデル世帯は、平均的な収入の夫が40年間年金に加入し、妻が40年間専業主婦という比較的恵まれた世帯。多くの人の年金はもっと少ないものになる。「自分で老後の備えを行う必要があります。減税効果のあるiDeCoに加入し、投資信託でインフレリスクにも対応する運用を行うなどの検討をするべきでしょう」国があてにならない以上、自己防衛しか道はないのだ。
2023年03月24日’23年4月から年金の「特例的な繰下げみなし増額制度」(以下、みなし繰下げ)が始まります。そもそも年金受給は原則65歳からですが、’22年4月に繰下げ期間が10年に延長されたため、受給開始は60~75歳から選べることになりました。65歳より遅く受け取る繰り下げでは、ひと月ごとに0.7%増額され、最長10年間の繰り下げでは0.7%×120カ月=84%もの増額が一生続きます。年金の繰り下げには特に申し込みなどは不要で、自分で請求しなければ、繰下げ待機が始まります。そして年金を請求する際、繰り下げるかどうかを最終決定するのです。65歳での年金額が年100万円のAさんが71歳で年金を請求するとき、現在の選択肢は次の2つです。【1】繰り下げる場合65歳から6年間の繰り下げで、71歳から受給が始まります。6年分なので0.7%×72カ月=50.4%の増額となり、年金額は年150万4000円です。【2】さかのぼって一括受給する場合65歳にさかのぼって、本来の年金額を一括で受け取ることもできます。しかし「年金は5年で時効」の法律があるため、5年分は受け取れますが、65歳から66歳になるまでの1年分はもらえません。結果、71歳の請求時には本来の年金額100万円の5年(66~71歳)分の500万円を一括で受け取り、71歳以降は本来の受給額(年100万円)を受け取ります。65歳から66歳になるまでの100万円分は損する仕組みになっているのです。そこで’23年4月に導入されるのがみなし繰下げです。みなし繰下げは70歳以降で年金を請求し、さかのぼって一括受給を選択する場合「請求の5年前に繰り下げていた」とみなされるものです。先のAさんの例で、4月の改正後どうなるかを見ていきましょう。【3】繰り下げる場合改正前と変わりません。71歳から、6年間繰り下げて50.4%増額された年150万4000円を受け取ります。【4】さかのぼって一括受給する場合みなし繰下げが適用されます。71歳で年金請求するAさんは、5年前(66歳)に繰り下げていたとみなされます。繰下げ期間は65歳から66歳になるまでの1年間。年金額は0.7%×12カ月=8.4%増額され、年108万4000円に。請求したときに、それまで受け取っていなかった108万4000円×5年=542万円を一括で受け取り、71歳以降は年108万4000円を受け取ることになります。Aさんが【3】繰り下げる場合と【4】さかのぼって一括受給する場合を比べると、84歳より長生きすると【3】繰り下げのほうが受給総額は多くなります。ですが、元気なうちにまとまった年金額をもらったほうがいいと思う人もいるでしょう。■加給年金の有無がポイント。注意しようたとえば、自営業のBさん(73)は長く働き国民年金を最大限繰り下げようと考えていましたが、入院することに。そこで、【4】のさかのぼって一括受給する方法で年金を請求。5年分を一括で受け取れたので、医療保険がなくても安心して治療できました。また、自営業のCさん(72)は事業を後継者にゆずったタイミングで年金を請求。【4】のさかのぼって一括受給する方法を選択し、まとまった金額を自分の退職金代わりにしました。ただし、みなし繰下げは’23年3月末で71歳未満の方が対象です。ご注意ください。いっぽう、年金の繰り下げで注意が必要なのは年下の妻がいる会社員の方です。厚生年金の加入期間が20年以上ある夫が65歳になったとき、65歳未満の妻がいれば、夫の厚生年金に「加給年金」がつくからです。加給年金の額は年齢によりますが年約40万円。妻が65歳になるまで支給されます。また、妻が65歳になると加給年金がなくなる代わりに、妻の国民年金に「振替加算」がつきます。振替加算は年1万5000円ほどで、妻が死ぬまで加算されます。繰り下げたために加給年金や振替加算を棒に振るのはもったいない。実は、年金は厚生年金と国民年金に分割して繰り下げられます。加給年金は厚生年金とセットですから、年金を分け、厚生年金は繰り下げず、国民年金だけを繰り下げて、加給年金を受け取る手も。本来繰り下げは手続き不要ですが、年金を分けて繰り下げる場合のみ、届け出が必要です。詳しくはねんきんダイヤル(0570-05-1165)でご確認ください。自分に合った受給で、安心の老後を過ごしましょう。
2023年03月10日給料や給付金、税金など、お金にまつわる制度は毎年変更が加えられています。自分に関係するものだけでも知っておきたいけれど、なかなか網羅するのは難しい…。そんな人に向けて、ファイナンシャルプランナーのこう(money_quest_fp)さんが「2023年に変わるお金の制度」を紹介しています。後から損をしないように、ぜひチェックしてみてください。出産・子育て世帯に渡るお金の増額2023年から出産・子育てクーポン(出産準備金)の配布が開始されました。妊娠の届け出をした際に「出産応援ギフト」、出生の届け出をした際に「子育て応援ギフト」がそれぞれ5万円配布されます。また、2023年4月から、出産育児一時金が増額されます。これまで42万円だった支給額が、50万円に増額となります。ただし、出産費用は全国平均で約47.3万円かかるとのこと。今後も継続的な少子化対策に期待したいところです。暮らしに関するお金の制度が変わる2023年4月から、時間外労働の賃金が引き上げになります。これまで中小企業では割増賃金率が25%でしたが、4月からは50%に増加します。年金に関しては、2023年4月から5年前みなし繰下げが開始されます。「5年前みなし繰下げ」とは、例えば70歳を過ぎて年金請求をしたとしても、5年前に請求をしたと見なし、年金額を増額する仕組みです。これにより年金の受け取り額が変わることもあるので、しっかり確認しておきましょう。絶対に理解すべき「インボイス制度」2023年10月から、インボイス制度が開始されます。フリーランス・個人事業主の方は、①請求書の様式、②消費税の申告、③フリーランスの仕事の仕方、の3つに変化が生じる可能性があります。また、会社員で副業されている方も関係しますので、しっかりチェックしましょう。インボイス制度は10月から始まりますが、開始直後から対応する場合は2023年3月末までに登録が必要です。抜け漏れのないよう、あらかじめ準備しておきましょう。[文・構成/grape編集部]
2023年03月05日年金を何歳から受け取ればお得かを考える人は多いけれど、年金をどの銀行で受け取るかについて考える人は少なそう。しかし、銀行選びでも“お得度”がかなり変わってくるのだ!「年金の受け取りによって特典が受けられる銀行が増えています。以前はどこも横並びでしたが、いまは各行独自のサービスでしのぎを削っているんです」そう話すのは元国税庁国税専門官でファイナンシャルプランナーの森本陽子さん。具体的にどんな特典があるのだろうか。「年金の受取口座として指定することで、ATMの利用手数料が無料になったり、普通預金の金利がアップしたり、ポイントが貯まったりします。自分に合ったサービスのある銀行を選べれば、かなりのお得感を得られますよ」(森本さん・以下同)そこで、どの銀行で年金を受け取るのが本誌読者にとって“得”になるのか、ランク付けをしてもらった。「1位のイオン銀行は、イオン銀行ATMがいつでも手数料無料で使えるのが特徴です。イオン系列の商業施設にはATMがあるので、イオンをよく使う方には便利。また、イオンユーザーには電子マネーWAONを月1万円以上使う方も多いでしょう。年金受け取りの指定と合わせると、他行のATM利用手数料が月2回まで無料になり、他行あての振込手数料は月1回無料になります。さらに、普通預金金利が0.03%にアップ。これはメガバンクの普通預金金利0.001%の30倍です」普通預金の金利アップでいうと、7位の東京スター銀行は0.1%に。メガバンクのなんと100倍だ。「東京スター銀行が近くにある方は店舗で口座を開設できますが、近くにない方はネットバンキングで口座を開くことに。スマホの操作に不慣れな方には難しいかもしれません」ネットが苦手な現金派には、メガバンクがおすすめだ。「店舗や窓口のある銀行が安心でしょう。そのなかから、ATMの使い勝手で選ぶといいと思います。条件はATMが身近にあることと、手数料が無料で使える回数が十分なこと。70歳以上なら自社ATMの時間外手数料が無料になる4位の三菱UFJ銀行は、高齢者にはよい選択肢だと思います」ゆうちょ銀行の場合、郵便局内やゆうちょ銀行内に設置されているATMは365日利用手数料が無料。年金受け取り指定による特典は少ないが、現金を引き出す機会の多い人にはよさそうだ。「そのうえでクレジットカードの口座振替などを1つの口座にまとめると、入出金などの管理も簡単です。各行が独自で行うポイント制度のランクも上がるので、特典が増えお得度もアップします」ネット銀行にもメリットがある。「ネット銀行はコンビニATMと提携しており、利用できるATMの台数や各種手数料が無料になる回数も比較的多いのが特徴です。3位の住信SBIネット銀行は銀行アプリとスマホの本人確認情報をひもづけるだけで、ATM利用手数料も他行あて振込手数料も月5回まで無料に。ネットが得意な方にはかなり好条件です」すでに年金を受給している人も銀行を変えられるのだろうか。「年金事務所などに『年金受給権者 受取機関変更届』を提出すれば変更できます。銀行でも相談に乗ってくれると思います」物価高が続く昨今、どんなに小さなお得も見逃せない。ランキングを参考に、お得に年金を受け取れる銀行に切り替えよう。の台数や各種手数料が無料になる回数も比較的多いのが特徴です。3位の住信SBIネット銀行は銀行アプリとスマホの本人確認情報をひもづけるだけで、ATM利用手数料も他行あて振込手数料も月5回まで無料に。ネットが得意な方にはかなり好条件です」すでに年金を受給している人も銀行を変えられるのだろうか。「年金事務所などに『年金受給権者 受取機関変更届』を提出すれば変更できます。銀行でも相談に乗ってくれると思います」物価高が続く昨今、どんなに小さなお得も見逃せない。ランキングを参考に、お得に年金を受け取れる銀行に切り替えよう。
2023年02月13日’23年度の公的年金は、3年ぶりに増額が決まりました。年金支給額は68歳以上で1.9%、67歳以下は2.2%増えます(23年1月20日・厚生労働省)。厚生年金の夫婦2人モデル世帯で、月4889円増えて22万4482円。国民年金は40年間保険料を納めた満額支給の方で、月1434円増えて6万6250円です(どちらも67歳以下)。4~5月分を受け取る6月から受給額が変わります。年金が増えて喜んでいる方もいるでしょうが、実は物価を考え合わせると、年金は実質目減りの状態にあるのです。本来、年金は物価の上昇と共に受給額が上がる仕組みでした。しかし、年金の支え手である現役世代が減り、財源不足が問題です。それらを解消し「100年安心」な年金にしようと’04年に年金改革法が成立。「マクロ経済スライド」を導入して、年金額の抑制を図りました。これは、物価などの変動率から、現役世代の人口減少と平均余命の延びから算出される「調整率」を差し引いた割合しか年金を上昇させない仕組みです。その結果、物価が上昇しても以前のように年金は増えなくなりました。■年金だけでは物価高に対抗できないしかし、マクロ経済スライドは物価などの下落時には発動されないのがルールです。デフレ下でずっと発動されずに10年余りが過ぎ、初めて実施されたのは’15年度でした。マクロ経済スライドの実施が少ないままでは、年金額の抑制は進みません。そこで’18年度からは、マクロ経済スライドが実施できなかった年分の調整率を、翌年以降に持ち越す「キャリーオーバー制度」が導入されました。今年、物価の上昇を受けて3年ぶりにマクロ経済スライドが発動されました。そのため、物価の上昇に対して、年金の増額が低く抑えられています。 ここで’23年度の改定率を見てみると、68歳以上の方の年金額は’22年の物価変動率2.5%が基準です。ただし2.5%の増額から、’23年度の調整率0.3%と’21年度・’22年度のキャリーオーバー分0.3%が引かれ、1.9%の増額に抑制されたというわけです。年金額の抑制は、若者世代の負担を減らすために必要な措置でしょう。とはいえ、’22年12月の消費者物価指数は前年同月比で4%の上昇。いまは41年ぶりの物価高です。値上げが相次ぎ、年金生活者の家計は火の車だと思います。国にはこうした状況に配慮して、たとえば「今回のみキャリーオーバー分は据え置く」などの措置をとってほしいものです。でも、岸田内閣は検討すらしていないでしょう。わが家の家計は、自分で守るしかありません。’23年度の年金額は、物価高に対応できていないと肝に銘じ、お金を使わない生活にシフトしましょう。徹底的にムダを排除し、家計のダウンサイジングに努めてください。
2023年02月03日舞台「年金未納者ミャーキ」製作委員会主催、舞台「年金未納者ミャーキ」(原作:須田信太郎、脚本・演出:田中大祐)が2023年4月19日(水)~4月23日(日)にあうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)(東京都豊島区東池袋4-5-2 ライズアリーナビル2F)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて2月18日(土)10:00より抽選先行開始です。カンフェティにて2月18日(土)10:00より抽選先行開始 ★先行特典:複製サイン入りブロマイド(出演者別)公式ホームページ 公式ツイッター(@kibarashiboyz) すぐそこにあるブラックな未来!2023年4月19日(水)~4月23日(日)に、池袋あうるすぽっとにて、舞台「年金未納者ミャーキ」の上演が決定しました。今作品は、90年代にマンガ&音楽ファンに衝撃を与えた「江戸川ハートブレイカーズ」や「ウルティモ・スーパースター」など、伝説の名作を残した須田信太郎による原作で、2007年に「コミックビーム」(KADOKAWA/エンターブレイン)で連載された社会派ディストピアコメディです。脚本・演出を担当するのは、舞台「魁‼︎男塾」や「サルまん」を手がけた田中大祐。主演はミュージカル「刀剣乱舞」などで活躍する武本悠佑と個性派俳優コウガシノブ、ヒロインは元ラストアイドルの長月翠がつとめます。年金制度の崩壊危機が叫ばれ、国民の1/4以上が65歳以上の高齢者となり、ブラック企業が違法な労働環境で若者を搾取する社会状況を予見していたかのような今作品。若者たちが熱くPUNKする姿を笑いとともにお届けします!【ストーリー】202X年、国民年金を払わない者には容赦ない仕打ちが待ち受ける近未来のディストピア。富裕層の老人たちは医療科学の力で若返り、失われた青春を謳歌する。一方、金もなく年金を払えない若者たちは、そんな老人たちを支えるための労働力としてブラック企業以上の重労働を課せられる。極限まで追い込まれた若者たちの怒りの導火線に火がついた瞬間、溜めこんだフラストレーションがPUNKする!【原作者】須田信太郎(すだ しんたろう)1969年1月30日生まれ、静岡県出身。大学4年時に「トレンドバスターズ」で 講談社第25回ちばてつや賞大賞受賞。別冊ヤングマガジンで「江戸川ハートブレイカーズ」を連載。「ウルティモスーパースター」「地下鉄のランナー」「やさしい女は何処にいる」などを発表。公演概要舞台「年金未納者ミャーキ」公演期間:2023年4月19日(水)~4月23日(日)会場:あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)(東京都豊島区東池袋4-5-2 ライズアリーナビル2F)【原作】須田信太郎【脚本・演出】田中大祐【企画】気晴らしBOYZ【主催】舞台「年金未納者ミャーキ」製作委員会■出演者武本悠佑・コウガシノブ/長月翠/黒木文貴・縣豪紀・佐川大樹・竹本洋平・杏さゆり・農塚誓志・両國宏・半井小絵・兵藤美帆・杉田友里・三原有人・樋口裕司・賀谷亮祐・青地洋・アレス■公演スケジュール4月19日(水)19:004月20日(木)14:00/19:004月21日(金)14:00/19:004月22日(土)14:00/19:004月23日(日)14:00※ロビー開場は開演の45分前/客席開場は開演の30分前※出演者変更によるチケット代金等の返金、キャンセル等はいたしません。※未就学児童入場不可■チケット料金S席:8,500円(1列~7列)A席:6,500円(全席指定・税込)★先行発売(抽選)※特典付き・カンフェティ: 申込期間:2月18日(土)10:00~2/26(日)23:59当落発表:3月2日(木)特典:複製サイン入りブロマイド(出演者別)★一般発売(先着)・カンフェティ: 発売日:3月11日(土)10:00~公式HP: 公式ツイッター: お問い合わせ: myaaki.info@gmail.com 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年02月03日著書の『71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活』(大和書房)の発行部数が8万部を突破した人気ブロガー・紫苑さん。毎月の服飾費がほぼ0円でも楽しめるおしゃれのコツを伝授してもらいました!颯爽としたたたずまいで、71歳にはまったく見えない若々しさの紫苑さん。「子どもが独立して一人生活になったときにブランドものなどを捨ててすっきりしてから、節約生活を始めました。お金がないので、本当に必要なものしか買わなくなりましたし、好きな青系でコーディネートしているせいか初めて『おしゃれですね』と言われるようになりました」【テク1】自分の色を決めれば、ムダなくすばやく服を買える!「服を買うとき、『その色以外は買わない』と決めておくと諦めがつきます。私は青が好きなので、気がついたら青系ばかりに」(紫苑さん・以下同)【テク2】ボーダーはマイナス5歳の簡単アイテム「白地だから顔が明るく見えるし、横のラインが視線をそらしてくれるので若々しい印象に。特に春夏のトップスはボーダーが多いですね」【テク3】どんな場所でも優雅に見える1枚の着物がワードローブを格上げ「着物を着ていれば、どんな場所でも引け目を感じずに優雅でいられます。1枚買えば長く着られるので、結果的には安上がりですよね」【テク4】顔に近い襟元のひと工夫で服がよみがえる「平凡なシャツやブラウスは襟元を自分に似合うようにチェンジ。娘の就活用のシャツに、着物の布を縫い付けて一点ものに再生。ユニクロのコートの襟には端切れ布を縫い付けました」【テク5】手持ちの服も“ハギレ”を使えば今っぽくなる「ブルーのストライプのロングシャツの裾を切って、100均で購入したブルーのチェックの布を2種類縫い合わせただけで、新しく生まれ変わりました。お気に入りの1枚です」【テク6】姿勢のよさが雰囲気美人への近道「体を動かし、日ごろの姿勢をよくしていれば、若見え効果大。どんなに頑張っても若い人の肌の輝きにはかないませんから、優しい声やしぐさで雰囲気美人を目指して」節約のコツは細かいことは気にしないこと。この教えがあれば年金暮らしも楽しめそう。
2023年01月23日営業などの方が加入する国民年金の保険料は、23年2月から一部のスマホ決済(au PAY、d払い、PayPay)が利用できるようになります。現金納付書にあるバーコードをスマホ決済アプリで読み込めば、自宅からでも簡単に支払えるので便利です。スマホ決済は、若い方の納付率を上げるため導入されました。というのも、21年度の納付率は約74%ですが、年代別に見ると55~59歳が約80%と最高で、25~29歳は約62%と最低だったからです(22年6月・厚生労働省)。支払い方法の選択肢が増えるのはいいことだと思います。ですが、家計の厳しい昨今、気になるのはお得な払い方ではないでしょうか。国民年金保険料は、口座振替や納付書でのコンビニ払いのほか、クレジットカードも利用できます。クレジットカード払いは払い忘れがないうえ、カードのポイントが付きます。ポイント還元率はカードによりますが、一般的には1%。国民年金保険料は月16590円(22年度)ですから、165ポイント付くケースが多いでしょう。■支払期間が5年延びれば100万円多く払うことにまた、国民年金保険料には「前納」とよばれるまとめ払いができ、割引があります。前納には6カ月と1年、2年がありますが、最大の2年前納(口座振替)だと毎月払いより総額で約1500円、保険料の約1カ月分が安くなります。とはいえ、2年前納(口座振替)の支払額は、22年度の保険料月16590円、23年度の月16520円を基に計算すると、38万1530円になります。かなり高額ですが、初回だけ貯蓄から支出してはいかがでしょう。そのうえで、保険料を毎月ためていくと、2年後はたまった中から払えて、割引分の約15000円が手元に残ります。ただ40万円近くも一度に支出するのがつらい方は、1年前納だと支払額は約20万円で割引は約4千円。6カ月前納だと支払額は約10万円で割引は約1000円です。検討してみてください。さらに前納はクレジットカード払いでも可能です。ただ割引が14540円と、口座振替より1000円ほど少なくなるのですが、クレジットカードのポイントと合わせるとお得になるケースもあるでしょう。お持ちのカードのポイント還元率で計算してください。前納には申し込みが必要です。口座振替もクレジットカード払いも、締切りは毎年2月末です。この時期を逃すと手続きが1年後になるので、申込みはお早めに。昨年10月には、国民年金保険料の支払期間を65歳まで延長する検討が始まりました。それが決まると、国民年金の加入者は、保険料を今より5年間、約100万円多く支払わねばなりません。会社員の方でも、雇用延長せずに60歳で退職したら、退職後は国民年金に加入することになります。老後資金に直結する政府の年金論議にも厳しい目を向けたいと思います。
2023年01月20日