日本には、国民全員が加入している公的医療保険があります。これにより、病気やケガの際の治療費は、1割~3割の負担で受けることができます。さらに、子育て世代には、自治体による医療費助成制度があり、ある一定の年齢まで子どもの医療費負担は、無料~数百円(※)となる場合がほとんどです。このような公的医療保険や自治体の助成があるため、医療費負担が家計に占める割合は多くないといえます。それでは、民間の医療保険は果たして必要なのでしょうか。※市町村により金額および、医療費助成を受けられる要件が異なります。公的医療保険の保障範囲まずは、公的医療保険の保障範囲についてみてみましょう。病気やケガの際に病院へ支払う医療費負担は、年齢により負担割合が異なります。上記負担には1カ月間で上限が定められており、上限を超えた分の医療費は、高額療養費制度により還付される仕組みとなっています。公的医療保険でカバーできない医療費公的医療保険には高額療養費制度があり、医療費を全てカバーできるように思えますが、医療費には、公的医療保険ではカバーできないものもあります。それは、「保険がきかない医療費」や「自己負担が必要な入院費等」です。■保険がきかない医療費「先進医療」といわれている保険対象外の治療方法を選択した際の医療費は、全額自己負担になります。■自己負担が必要な入院費等個室や少人数の部屋に対して、上乗せして支払う費用を「差額ベッド代」といいます。この上乗せ費用は、全額自己負担となります。また、入院時に病院から出る食事の費用は、1日あたり千円強程度ですが、この食事代も全額自己負担となります。その他、病院から借りた入院用の被服費なども自己負担となります。医療費以外にかかる費用病気やケガの際にかかる費用には、病院へ支払う医療費以外にもあります。病院までの交通費や、子どもが小さい場合に子どもの世話を頼む際の費用なども、医療費以外に必要となる費用です。そして、治療に伴う費用として、がん治療の副作用に対応するかつらや、乳がん治療後に行う乳房再建など、療養時にかかる医療費以外の費用もあります。また、病気やケガにより収入が途絶えることも想定できます。このような、公的医療保険でカバーしきれない部分を補うのが、医療保険です。個々のライフスタイルやリスク、考え方等により、医療保険だけでなく、がん保険、就業不能保険等も選択肢に入れ、病気やケガをした際の不安を補えるよう、適切な保険を選択されることをおすすめします。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年08月30日こんにちは、金融コンシェルジュの齋藤惠です。2016年の下半期は資産運用に興味があるママさんへ朗報です!今まで一部のサラリーマンだけのものだった確定拠出年金が、今年から専業主婦でも利用できるようになります!そこで今回は、この制度を賢く活用するためにその仕組みを説明します。●どこが変わったの?確定拠出年金(401Kとも言います)は今まで自営業者や会社員の一部が利用できる運用型の資産運用の方法でした。ところが、2016年5月24日の法案可決によって、公務員や専業主婦も利用できるようになった のです。確定拠出年金は掛金を自分で決めて、普通預金や保険・投資信託などのさまざまな商品を選び運用することができます。また、そのお金は60歳以降に年金または一時金として受け取れるので、老後資産の備えになります 。では、普通の貯金や投資信託ではなく、あえて確定拠出年金を行うことにどんなメリットがあるのでしょうか?●確定拠出年金を行うメリット確定拠出年金は、・(a)毎回の所得税・(b)毎回の運用益・(c)年金や一時金として受け取ったときの所得税などが非課税または少なくなるという点が最大のメリットです。(a)は全額が所得控除の対象になりますので、パートやアルバイトをしていて所得のあるママさんなら対象となります。また、一般の投資信託などの運用商品の場合は、利益が出たらそこから税金が引かれてしまいますが、確定拠出年金を選べば(b)でも書いたように、すべて自分のものになります。(c)においては、税制優遇に限度額などが設けられているものの、特に専業主婦のママさんなどはほとんどが非課税対象となる仕組み になっています。そのため、老後資金としてお金を貯金・運用するのであれば、他の商品よりも確定拠出年金を選んだ方が税金のメリットは多い内容となっています。●確定拠出年金を行うデメリット一方、当然デメリットになり得る点もあります。それは主に3つ、(1)60歳までおろせない(2)管理手数料などがかかる(3)運用商品によっては元本割れのリスクがある確定拠出年金は税制面の優遇がある分、時間的な束縛が長い制度となっています。掛け金はいつでも降ろせるものではありません。そのため毎月の掛け金は生活する上で支障のない金額 にしましょう。また、非課税となるものの毎年または資産を移すたびに手数料が発生することも忘れてはいけません。この手数料は確定拠出年金を管理してくれる金融機関によって幅がありますから、加入前に必ずチェックするようにしてください!さらに、運用商品はローリスク&ローリターンなものからハイリスク&ハイリターンなものまでさまざまあります。自分の資産形成の理想に合った商品を選ぶために、事前の資料集めや商品比較を行うことが大切ですよ!●まとめ法案の改正によって確定拠出年金はますますメジャーな存在になっていくことでしょう。もはや年金を運用するのは一部の富裕層のみではありません。国や銀行にお金を預けても安心できない現代、私たちは確定拠出年金などを通して、より積極的に資産運用と関わっていかなければいけないのです。【参考リンク】・個人型確定拠出年金制度の概要 | 野村証券()・確定拠出年金制度 | 厚生労働省()●ライター/齋藤惠(金融コンシェルジュ)
2016年07月11日はじめに火災保険では、建物と家財を分けて契約しますので、保険の対象を、「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財」の大きく3つに分けることができます。建物のみの契約の場合、家財の損害は補償されませんので、持ち家の場合は、建物と家財の両方の保険を契約することになります。賃貸住宅の場合、建物の補償については賃貸人(家主)が契約しますので、賃借人(入居者)は家財のみの保険を契約することになります。以下、主に持ち家の場合の火災保険の選び方についてみていきます。STEP 1建物の構造級別持ち家、賃貸ともに、建物の構造により火災の危険度が異なるため保険料が変わります。住宅専用の建物は、M構造(マンション構造)、T構造(耐火構造)、H構造(その他の構造)の3つの構造級別に分類されます。構造級別と保険料の関係は以下の表のようになります。自宅の保険料を知るために、最初に建物の構造級別を調べておきましょう。STEP 2補償の範囲を決める火災保険の多くは、ベースとなる補償部分と任意に選択できる補償部分に分かれています。どんな補償がベースとなる補償部分に含まれるかは保険会社によって異なりますが、「火災」「落雷」「破裂・爆発」に対する補償はベースとなる部分に含まれることが多く、「風災」「雹(ひょう)災」「雪災」「漏水等による水濡れ」「自動車の飛込み等による飛来・落下・衝突」「騒じょう等による暴行・破壊」「盗難事故」に対する補償もベースとなる部分に含めている保険会社があります。また、「水災」は、マンション等共同住宅向けプランには、ベースの補償ではなく任意に選択するプランになっていることがあり、「不測かつ突発的な事故による破損・汚損等」に対する補償は、任意に選択できる補償としている保険会社があります。このほか、「失火見舞費用特約(自宅の火災等によって近隣の建物等に損害が発生したために支出した見舞金等の費用が補償される特約)」や、「個人賠償責任特約(偶然な事故により他人にケガを負わせたり、他人の物を壊したりした場合の法律上の損害賠償費用を補償する特約)」などの特約を用意している保険会社もあります。補償範囲を拡げれば、その分保険料が高くなります。保険の対象となる建物の立地(高台か低地か、山や川に近いかなど)や、居住環境(住居がマンションの高層階にある等)によって、任意に選択できる補償をプラスするかどうかを検討しましょう。また、契約の際、損害額に対する自己負担額の設定ができます。自己負担額を高めに設定すると、保険料を安く抑えることができます。STEP 3建物の保険金額および家財の補償金額建物の保険金額の設定方法には、再調達価額(新しく建て直す時の価額)を基準にする方法と、時価額(再調達価額から経年劣化分を差し引いた価額)を基準にする方法の2つがあります。大半の火災保険では、再調達価額をベースに保険料を算出しています。家財の補償金額は、各保険会社で世帯主の年齢と家族構成による補償金額の目安をパンフレット等に提示しています。それを参考に補償金額を検討しましょう。STEP 4保険期間を決める火災保険の保険期間は1年ごとの契約のほか、保険会社によっては最長10年の契約ができます。長期契約の場合は、割引率が設定されていますので、1年ごとの契約に比べ割安になります。近年の台風やゲリラ豪雨、大雪等の災害リスクにより、保険料は上昇傾向にあります。長期契約は、今後の保険料の上昇にも備えられることが期待できます。STEP 5地震等に備える火災保険では、「地震・噴火またはこれらによる津波による損害」は、補償の対象外になります。ただし、地震火災費用保険金が支払われる場合があります。これらの損害に備えるには、別途、地震保険への加入が必要になります。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年07月07日働く主婦の皆さん、「扶養の範囲」が変わるのを知っていますか? パートが社会保険に入る条件 の続きです。平成28年(2016年)10月から、パートが社会保険に入らなければならない条件が引き下げられる。社会保険料は大きな金額なので、パートなのに社会保険料を支払うとなると、一定の年収までは「社会保険料を支払わなくてよいラインギリギリ」よりも手取りが減ってしまう。引き続き、社会保険労務士の守屋三枝先生にお話を伺った。■パートなのに社会保険に入ったら損!? 平成28年(2016年)10月にパートが社会保険に入るラインが引き下げられた後、「では、引き下げられた条件でパートが社会保険に入った場合、いくら稼げば採算がとれるのだろう?」といった議論が巷ではすでに始まっている。結論から言うと、収支の黒字ラインは世帯ごとに違う。目安としては、「年収106万円に引き下げらえた後、収支が黒字になるラインは、125万円~130万円あたり(※1)でも、ここは本当にギリギリのラインで、年収200万円くらいになってやっと社会保険を支払ってでも、その分働いた方が良いといいう気持ちになると言われています」(守屋先生)これは、あくまで目安。この数字は、一番のボリュームゾーンである「夫の年収が500万円」の場合をもとに、妻の社会保険料を適宜設定して試算した数字にすぎない。一般論の数字なのに、この数字を、あたかも絶対に破れない「ガラスの天井」のように捉えるのは、もったいないと私は思う。(※1)夫の年収が500万円で妻が協会けんぽに入った場合で試算 ■目安は、「自分の社会保険料分をクリア」夫の年収が500万円の場合は、妻がパートで社会保険に加入しても黒字になるラインは125万円~130万円。では、「我が家の場合」を考えるにはどうしたら良いのだろうか?その目安として提案したいのが、夫の年収に関わらず、「可能な範囲で勤務時間を調整したとき、自分の社会保険料分を支払っても(クリアしても)、以前の収入と変わらない額を保てるかどうか」という考え方だ。具体的な例として、年収が106万円の場合で考えてみよう。 第1回目 で紹介したとおり、年収106万円の場合、社会保険料の月額は13,460円になる。時給1,000円で、自分の社会保険料分である月額13,460円をクリアする(=社会保険料分を差し引いても、それまでの収入を保つ)ためには、今までより14時間多く働く必要がある。今まで毎日4時間だったところを毎日5時間働けば、1ヶ月で合計22時間となり、社会保険料はクリアできて、世帯の収支は黒字となるママでもある主婦にとって、「働く時間を1日4時間から5時間に伸ばす」というのは現実的ではないのかも。けれども、自分で限界を決めてしまわず、「社会保険に入った先」つまりは、「ガラスの天井の先」を具体的にイメージしてみても損はないと思う。実際に社会保険に入れば、お給料明細を見て、具体的に自分の社会保険料が計算できる。社会保険料=厚生年金保険料+健康保険料+雇用保険料 ■「パート仕事」は、2極化していくどうして、パートが社会保険に入ることを具体的に想像してみたほうがよいかというと、「長い目で見ると、おそらくパート仕事(女性の働き方)は、2極化していくと思われる」(守屋先生)から。守屋先生は、パート仕事が将来こんなふうに分かれていくのでは? と予想している。1.企業は、社会保険料を負担したくないので、「扶養の範囲」で働いて欲しい。2.企業は、有能な働き手の数は限られているので、有能な人は囲い込みたい 前者の層が請け負う仕事は、できるだけコストを抑えたいから賃金は安くなる。後者の層が請け負う仕事は、人を囲い込みたいので、必然的に賃金は高くなる。今までは何となく一括りになっていたパートだが、これから先、2極化していく可能性があるのだ。そんな未来図を前に、ママたちは、どんなことを考えておけばよいのだろうか? 御自身も3世代同居の専業主婦から社会保険労務士になった守屋先生 は、こんなふうにアドバイスをしてくれた。「ひと口に“働く主婦”といっても、置かれている状況はさまざまだと思います。 “扶養の範囲”というガラスの天井で限界を決めてしまわず、自分に許される最大の公約数の働き方を探してみては? 子育ては、いずれ終わります。その時に自分を支えてくれる“夢中になれる何か”は、仕事をする中で見つかるかもしれませんよ」次回は、「ここが知りたい! 扶養の範囲Q&A集」です。
2016年06月28日今、老後破産や老後貧乏、下流老人などが話題になっていて、老後どうなるのか、不安ですよね。それで、年金の受給額が気になっている女性は多いはず。私たちは、老後に年金をいくらぐらいもらえると考えておけばいいのでしょうか?これについて、平成16年に行われた年金の大改正で、国が試算した将来のシミュレーションがあります。難しそうだと思われるかもしれませんが、今回はこのシミュレーションを参考にもらえる年金の受給額を確認していきましょう。■払った金額より多く年金をもらえる?厚生労働省の「世代ごとの保険料負担額と年金給付額について」というシミュレーションの数字は、将来的な物価上昇を考慮して計算された物。よって、物価上昇を考慮していない()で囲まれた数字を見たほうがわかりやすいかもしれません。現在40歳の人は、このシミュレーション当時には29歳ですから、おおよそ30歳の時点での数字だと思えばいいでしょう。30歳(1975年生)の列を見てみると、厚生年金は6,700万円、国民年金は1,800万円が年金給付額となっています。また、厚生年金では2.7倍から2.4倍。国民年金では1.9倍から1.8倍、払った金額より多くもらえることになります。もちろんこれは、あくまでも、平均余命(その年齢からの平均寿命)生きた場合ですが……。■運用利回りが大きな問題になっている「じゃあ安心なのね?」という解釈は大きな間違い。なぜならこの国のシミュレーションには、大きな問題点がいつか指摘されているからです。すべて挙げるとキリがないのですが、もっとも大きな点を1つ挙げるなら、それは運用利回り(年何%で資産を運用できたかを表す数値)です。平成16年のシミュレーションの前提である年金積立金の平均運用利回りは、3.2%でした。この数字だけでも「本当に大丈夫?」と疑いたくなるのに、直近平成21年に開かれた年金制度を見直す国の会議(※財政検証・・・5年に一度年金財政を検証する会議)では、その運用利回りの前提が4.1%に引き上がっているのです。「さすがにこれは無理があるんじゃ……?」などと疑問が出ても不思議ではありません。年金制度をいまの給付水準のまま維持しようとするなら、この運用利回りがないと成り立たないということなのでしょう。逆にいえば、この運用利回りが出せないようであれば、いまの水準の年金を受取ることはできないということになってしまいます。ちなみにこの12年間の平均運用率を見てみると、平成13年度は-4.01%だった実質的な運用利回りが平成24年度には10.21%になっており、大きく変動していることがわかります。ただし、平成24年度はアベノミクス効果で株高になったため、10.21%という高い利回りになっていますが、平均すると1.54%。到底4.1%の数字には届きません。もちろん、「他の国にくらべて、日本の年金運用の実績は悪すぎる。運用方法を改善するべきだ」という意見もあるようですから、今後の数字がどうなってくるかはわかりません。未来は予測したとおりにはならないのですから。■利回りが変わらなかったら80%の額しかし、もしも現在の利回りがこの先も変わらないとするとどうでしょうか?あるシミュレーションでは、現在40歳で平均年収350万円の人が、65歳時点で受け取れる年金は毎月約105,000円になるともいわれています。逆にいえば、このぐらい年金額を下げないと、年金制度が維持できないということです。また、現時点と同じ金額を受け取るには、現在65歳からもらえる支給開始年齢を70歳まで引き上げないといけないという研究者もいます。現在130,000円もらえている年金が105,000円になるということは、おおよそ現在の80%の額しかもらえない計算になるのです。とはいえ、考え方を変えれば、「そうか、いまの80%程度は年金がもらえるんだ」ということにもなるはず。「年金がもらえない」ということと、「年金はいまの80%ぐらいはもらえる」という考え方は全然違います。悲観論で示されるこの金額をひとつの目印として、老後の生活の準備に入っていくのはいかがでしょうか?(文/ファイナンシャルプランナー・岡崎充輝) 【参考】※(世代ごとの保険料負担額と年金給付額について)年金制度における世代間の給付と負担の関係について-厚生労働省※岡崎充輝(2014)『知らないとヤバイシングルのためのお金の話』彩図社
2016年06月15日2016年、2017年と、主婦の年金に関する法律が改正されることをご存知ですか?たとえば、条件によってはこれまで「130万円の壁」といわれていたものが106万円に引き下げられることになっています。不利であるように思われるかもしれませんが、これは主婦が将来もらえる年金を増やすチャンスでもあるのです。そこで、節約アドバイザーのヨースケ城山さんに、主婦の老後資金づくりについて伺いました。■1:パート勤務でもOKな厚生年金に加入する実は今年、パートで働く人にとって朗報ともいえる法律が制定されました。2016年10月から、一定条件で働くパートタイム労働者でも厚生年金に加入できるようになるというものです。以下の3つの条件にすべて当てはまる人なら大丈夫ですので、チェックしてみましょう。(1)1週間の労働時間が20時間以上(2)月収88,000円(年収1,060,000円)以上(3)1年以上勤務見込みである(平成28年10月から適用の厚生年金保険法第12条による)今回の法律では、従業員が501人以上の企業に勤めている人のみが対象になっていますが、これらを満たしていれば、パート勤務の人でも厚生年金に加入できるようになります。その場合、毎月の給与から厚生年金が天引きされることになりますが、そのまま定年まで働けば、将来は正社員と同じく「厚生年金+国民年金」を受け取ることができます。ただし、第3号被保険者から第2号被保険者への変更となるため、夫の保険料だけだったこれまでとは違い、妻も社会保険料を支払わなければいけません。ですから、目先の手取りを優先するなら、「106万円の壁」を超えないように年収を調整するほうがよいでしょう。しかし、生涯での総支払額と受取額の収支を考えれば、厚生年金に加入しておくほうが有利になる可能性も高いので検討の余地はあります。■2:「繰り下げ受給」を使って年金の受取額アップする本来65歳から支給される年金は、66歳以降に繰り下げて受給することで、1ヶ月につき0.7%増額されます。この制度を上手に使えば、年金は増やすことが可能です。繰り下げができる最大月数は60ヶ月(5年)となっており、0.7%×60ヶ月で最大42%の増額が可能。ただし12ヶ月経過しないと繰り下げの受給権は発生しませんので、66歳以降に受給することが繰り下げの条件になります。この制度では、万が一繰り下げている期間中に年金が必要になった場合、途中で65歳にさかのぼって受給することも可能。その際は繰り下げの金額は適応されませんが、急にまとまったお金が必要になったときや、大病を患ってしまったときなど、申請すれば一時金として受け取ることができるのです。また、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つがある人の場合は個別に繰下げをすることもできるので、自分の経済状況に合わせて検討してみましょう。もし65歳になる時点で迷っている場合は、とりあえず繰り下げ受給を選択するというのもひとつの手といえます。ただし、条件によっては配偶者加給年金などの支給がなくなることもあるので注意してください。■3:「個人型確定拠出年金」で60歳から年金を受給する2017年1月1日からスタートする個人型の確定拠出年金は、これまで加入できなかった主婦や公務員にも対象が広がることになります。この確定拠出年金は、主婦こそ加入すべきです。確定拠出年金とは、公的年金に上乗せする手段となるもの。主婦が確定拠出年金に加入する場合は「個人型」となります。第3号被保険者である主婦の人は、公的年金については世帯主の拠出だけですが、確定拠出年金は自身で掛け金(限度額月額23,000円)を支払う必要があります。あまりうまみがないように感じられるかもしれませんが、おすすめできる理由は、この確定拠出年金は持ち運びができるという点です。いまは働いていない、もしくは扶養内で働いているパートタイムの主婦も、今後は扶養を外れて働く可能性があります。その際、個人型に加入していれば企業型の確定拠出年金に移換できるのです。反対に、企業型の確定拠出年金を行う会社に勤めていた妻が出産や子育てを機に退職した際は個人型に移換することもできます。つまり若いころから年金支給開始日まで継続して積み立てることができるシステムなのです。これは途切れないことが大切です。また、もうひとつの大事な理由は、支給開始年齢が60歳から選べること。何歳になっても働けるまで働こうと思っている方は多いと思いますが、60歳を過ぎると給料はやはり現役とくらべると下がるのが普通です。そんなとき少額でも60歳から年金が入ると、心の余裕が違います。確定拠出年金は5年、10年などの有期年金もありますので5年有期で考えて公的年金の支給開始年齢までつなぐということもできます。*年金については旦那さん任せという人もいるかもしれませんが、実は主婦でも年金を増やす方法はあるんですね。新しい制度を知って、いまのうちにしっかり備えておきましょう。(文/平野鞠) 【取材協力】※ヨースケ城山・・・節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、AFP、住宅ローンアドバイザー、年金アドバイザー。著書は『給料そのままで「月5万円」節約作戦!』(ごま書房新社)。本の内容は、『らくらく貯蓄術。住宅ローン地獄に落ちない為の家計防衛のススメ。』にもまとめられている。ブログ『節約アドバイザーヨースケ城山ブログ』では、節約だけではなく転職活動、著書、社労士、FPのことを配信中。
2016年06月14日はじめに火災保険は、火災やガス爆発などの破裂・爆発以外に、自然災害による損害にも備えることができます。火災保険で損害を補償される自然災害は、「落雷」、「風災・雹(ひょう)災・雪災」、「水災」などです。なお、「地震・噴火またはこれらによる津波」による損害は、火災保険の補償の対象から外れます。これらによる損害に備えるには、別途「地震保険」への加入が必要になります。以下、建物と家財の両方を補償対象とした火災保険のケースで、それぞれの自然災害に対する補償プランの内容についてみていきます。なお、補償プランのなかには、火災保険の商品によっては特約として別途加入する必要があるものがあります。落雷による損害雷が落ちて屋根に穴があいた場合や、落雷によりパソコンやテレビなどの家電商品が壊れた場合、その損害に対して損害保険金が支払われます。風災・雹(ひょう)災・雪災による損害風災とは、台風・旋風・竜巻・暴風などをいい、洪水や高潮などは除かれています。台風や竜巻などによる強風により、家の屋根瓦が飛んだり、風で飛んできたものにより窓ガラスが割れたり、壁に穴があいたりした場合や、台風などにより窓が割れ、雨が吹き込んで室内の家具に損害が生じた場合に損害保険金が支払われます。雹(ひょう)災は、雹(ひょう)により窓ガラスが割れたり、ベランダの床に穴があいたりした場合、損害保険金が支払われます。また、窓ガラスの割れた部分からの吹き込みによって、室内の家具に損害が生じた場合にも損害保険金が支払われます。雪災は、豪雪による雪の重みや雪の落下などによる事故や、雪崩により建物が倒壊した場合の損害などに対して損害保険金が支払われます。ただし、融雪水による水漏れや凍結、融雪洪水、除雪作業による事故は、補償の対象外になります。水災による損害風災のところで補償の対象外になっていた洪水、高潮などは、水災を補償対象とするプランでは補償されます。洪水、高潮、土砂崩れなどにより家が流された場合や、洪水、高潮などが原因の床上浸水などにより、建物や家財に損害が発生した場合に損害保険金が支払われます。※火災保険における床上浸水の定義は、畳敷きや板張りなど居住の用に供する部分の床を超える浸水であり、土間やたたきなどは除かれています。まとめ以上、火災保険で備えることができる自然災害への補償プランについてみてきました。損害保険会社の多くは、火災、落雷、風災・雹(ひょう)災・雪災による損害の補償を基本とし、水災や盗難などをオプションとしたプランの火災保険を提供しています。近年、異常気象によるゲリラ豪雨や豪雪などによる自然災害の増加から、保険会社の支払う損害保険金が増え、それにより火災保険の保険料も上昇傾向にあります。住んでいる地域(高台・低地)や建物(戸建・マンション)による自然災害リスクを考えた補償を選択し、保険料を抑える工夫が必要です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年05月27日質問:海外旅行中、戦争・内乱・テロに巻き込まれた場合、海外旅行保険では、保険金の支払対象になりますか?戦争や内乱等の事変では、保険金の支払対象になりません。海外旅行保険において、戦争や内乱に巻き込まれた場合、保険金の支払い対象となりません。なお、テロの場合、保険金の支払対象となる商品が増えていますので、保険会社にご確認ください。
2016年05月26日質問:告知日とは何ですか?告知書(申込書)を記入した日のことです。告知日とは、保険に加入するための告知書(申込書)を記入した日のことです。
2016年05月26日質問:民間の保険会社で医療保険に加入しています。海外で病気・ケガをしましたが、保障されますか?保険会社により異なりますが、多くの保険会社で対象となります。一般的に、給付金の対象になるのは、医療法に定める日本国内の病院や入院施設が備わる診療所と同等の医療施設での入院の場合です。ただし、保険会社によっては海外での治療は給付金の対象としない商品もあります。給付金の請求に際して、保険会社所定の請求書類や入院証明書(診断書)の提出が必要となります。給付対象、必要書類、手続方法ついては、各保険会社によって異なりますのでご確認ください。なお、公的医療保険制度として、海外旅行中や海外赴任中に急な病気やケガなどによりやむを得ず現地の医療機関で診療等を受けた場合、申請により一部医療費の払い戻しを受けられる「海外療養費制度」があります。
2016年05月26日質問:妊娠中に医療保険の加入は可能ですか?妊娠中でも申し込み可能な医療保険はありますが、各保険会社により条件が異なります。妊娠中であっても申し込み可能な医療保険はありますが、保険会社によって加入条件が異なり、出産にかかわる疾病や子宮部位にかかわる疾病による不担保の可能性が高くなります。保障されない不担保期間は各保険会社により引き受け(条件)は異なります。
2016年05月26日質問:保険期間が10年とありますが、10年後に契約を更新する場合、保険料はいくらになるのですか?10年後の契約更新時に、保険会社が保険料を計算しなおします。10年後、保険会社が、更新時の契約者の年齢・保険料率により、保険料を計算しなおします。通常、再計算の結果、保険料は更新前よりも高くなります。
2016年05月26日質問:無職ですが遺族年金を受け取っている場合、告知書にはどう書けばよいですか?「年金生活者」に該当するので、「遺族年金受給」とご記入ください。遺族年金受給者は「年金生活者」に該当するので、「遺族年金受給」とご記入ください。例えば、「年金」とだけ記入した場合や、「年金受給者」欄にマルを付けただけの場合、「老齢年金」とみなされることがあるため、必ず「遺族年金」と記入する必要があります。ただし、保険会社によって取り扱いが異なるため、申込時によく確認してください。
2016年05月26日質問:家族コースで申し込みたいのですが、告知は夫だけでよいのですか?被保険者として申し込む全ての方の告知が必要です。告知の対象となるのは、被保険者として申し込む全ての方ですので、夫婦コースであれば夫と妻、家族コースであれば夫婦と子ども、本人+子コースであれば本人と子どもが対象となります。
2016年05月26日質問:名義変更や解約の際に使用する印鑑は、保険契約申込書に使用した印鑑と同じでないと駄目ですか?保険会社によって異なります。名義変更や解約に使用する印鑑についての条件は、保険会社によって異なります。保険契約申込書に使用した印鑑と同一の必要がない保険会社もありますが、その場合、本人確認のために、公的証明書のコピーを添付する必要があるなど、保険会社によって条件が定められている場合があります。詳細は、各保険会社にご確認ください。
2016年05月26日質問:離婚により親権を無くした子どもを、死亡保険の受取人に指定することができますか?実子であれば、親権を無くしても可能です。死亡保険の受取人に指定できるのは「被保険者の配偶者および2親等以内の血族」です。したがって、実子であれば離婚により親権がなくなったり、籍が違ったりしても、受取人に指定することは可能です。ただし、契約者や被保険者が未成年の場合は、その子の親権者の署名・捺印が必要です。
2016年05月26日質問:現在病気で薬を飲んでいますが、医療保険に加入できますか?医療保険の申込時に、現在の健康状態を告知し、保険会社が加入の諾否を決定します。一般的な生命保険会社の医療保険は、原則、無診査・無告知の商品を除いて、通常5年以内の健康状況を告知していただき、傷病の内容や服用中の薬の種類などを保険会社が総合的に判断して契約引き受けの諾否を決定します。
2016年05月26日質問:精神疾患で入院した場合、医療保険の保障対象となりますか?医師の診断書に基づいて保険会社が審査し、保障対象の可否を判断します。医療保険の入院給付金の支払対象となる「入院」とは、「医師による治療が必要であり、かつ自宅等での治療が困難なため、病院または診療所に入り、常に医師の管理下において治療に専念すること」をいいます。入院給付金のお支払いの要件は、「責任開始日以後に発病した病気の、治療を目的とした入院」です。給付金請求時にご提出いただく医師の診断書によって上記の要件を満たしているか否かを保険会社が審査し、要件を充足している場合は精神疾患での入院も入院給付金の保障の対象となります。
2016年05月26日質問:証券はいつごろ届きますか?保険会社によって異なりますが、一般的には契約成立後、一回目の保険料を支払ってから10日~2週間後 となります。お手続き方法(保険料支払方法)によって異なりますが、一般的に証券が発行されるのは、保険の契約が成立(保険会社が引き受け)してからとなります。例えば、保険料について、初回から金融機関の口座引き落としによる方法にて申し込まれた場合、保険会社によって異なりますが、一般的には初回引き落とし日の10日~2週間後に証券が契約者の手元に届くこととなります。
2016年05月26日質問:保険料をクレジットカードで支払うことは可能ですか?保険会社や商品によっては可能です。保険会社や商品によっては、保険料をクレジットカードで支払うことが可能です。ただし、保険料の支払い方法は保険会社ごとに異なるため、クレジットカードでの支払いができない保険会社、商品もあります。
2016年05月26日質問:外国籍でも保険に加入することができますか?外国籍の方でも、保険に加入することは可能です。外国籍の方でも、保険に加入することができますが、保険会社によって加入できる条件が異なります。満たす必要のある一定条件として、日本に居住していること外国人登録があること「在留カード」や「特別永住者証明書」等を所有していること日本語の読み書きができる(契約書類、重要事項説明書、告知書、約款などの理解ができる)こと日本国内の銀行口座を所有していることなどがあります。保険会社によって、その他の要件や提出書類が必要な場合がありますので、詳しくは、保険会社にご確認ください。
2016年05月26日ご自宅への備えとしての火災保険は大切ですが、賃貸住宅のオーナーの方には、所有する賃貸物件に対する火災保険も大切な備えとなります。建物一棟を所有されているオーナーの方は、建物全体に対して火災保険をかける必要があります。また、分譲マンションの一室を所有されているオーナーの方は、専有部分のみの建物に火災保険をかける必要があります。一般的に、専有部分以外の共用部分に関しては、マンションの管理組合が火災保険をかけることになります。マンション管理組合が共用部分の火災保険をかけない場合は、自身の専有部分とともに共用部分の持分割合についても保険をかける必要があります。建物一棟を所有されているオーナーの方、分譲マンションの一室を所有されているオーナーの方、いずれも建物のみに火災保険をかける必要があり、家財に対しては、入居者自身が火災保険をかけることになります。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年05月25日はじめに新築住宅の購入や、新しく賃貸住宅を契約される際、火災保険に入ることを検討されることと思います。実際どのくらいの補償が必要か、そのための火災保険料はいくらかかるのか、火災保険料の相場は気になるものです。しかし、火災保険料は「建物構造」や「建物所在地」などの条件によって異なり、相場について一概に言及することはできません。そこで、火災保険料の相場を知るための第一歩として、火災保険の保険料がどのような仕組みになっているのかをみていきましょう。火災保険料の仕組み火災保険の保険料は、「純保険料」と「付加保険料」から成り立っています。純保険料は「純保険料率」から、付加保険料は「付加保険料率」から算出されます。純保険料率は、事故が発生したときに保険会社が支払う保険金にあてられる部分です。付加保険料率は、保険会社が事業を営むための経費などにあてられる部分です。付加保険料率は、各保険会社によって異なりますが、純保険料率は、一般的に「損害保険料率算出機構」が算出する「参考純率」を参考に、各保険会社が算出します(保険会社が独自に純保険料率を算出することもできます)。純保険料率と付加保険料率を合わせたものが「保険料率」で、保険金額に対する保険料の割合を表します。もう少し詳しく、参考純率の仕組みについてみていきましょう。参考純率とは参考純率の基になるデータは、損害保険料率算出機構の会員である損害保険会社から報告される、個々の保険契約に関する契約条件などの契約データ、支払保険金や事故データなどの支払データです。同機構ではそれらのデータと、自然災害に関するシミュレーションなどを使用し、法令の改正なども考慮して参考純率を算出しています。住宅に関する火災保険の参考純率は、建物構造(M、T、H構造)と建物所在地(都道府県)により決まります。建物構造とは建物の損壊などの危険度は、建物の構造や材質などにより異なります。参考純率の算出にあたっては、以下の表(※)にある建物構造の区分を反映させています。例えば、所在地:東京都、保険金額:建物2,000万円、家財1,000万円とした場合、最も参考純率の高いH構造と、最も低いM構造では、約3.61倍の差があります。※契約者の最も多い東京都を例にしています。建物所在地気候や地理的条件などによる自然災害の危険度や、建物密集度による火災の危険度は、建物の所在地によって異なります。参考純率は建物の所在地を都道府県に区分することで、そうした違いを反映して算出されます。例えば、H構造で保険金額:建物2,000万円、家財1,000万円とした場合、建物所在地により、参考純率で約2.60倍の違いがあります。※契約者の最も多いH構造を例にしています。火災保険料の相場を知るために参考純率が高いほど保険料も高くなりますので、火災保険料の相場を知るために、「建物構造」と「建物所在地」を、まず確認しておきましょう。次に、各保険会社が提供している補償プランの内容をできる限り同一にして、各社の保険料を比較することも必要です。出典 : 損害保険料率算出機構「火災保険参考純率説明資料(平成26年7月現在)」「参考純率のあらまし」「火災保険・地震保険の概況」※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年05月25日はじめに2015年7月に火災保険の「参考純率」が改定(引き上げ)されました。それに伴い、2015年10月以降、各損害保険会社の火災保険料も見直され、その多くが値上がりしました。以下、参考純率改定による火災保険料の値上げについてみていきます。※参考純率:「損害保険料率算出機構」が算出する「純保険料率」のことです。保険金額に対する保険料の割合を「保険料率」といい、純保険料率と付加保険料率で構成されています。純保険料率とは、事故が発生した場合に保険会社が支払う保険金にあてられる保険料率、付加保険料率とは、保険会社が事業を行うための経費にあてられる保険料率のことです。各損害保険会社は、参考純率を参考に自社の純保険料率を算出します。なお、参考純率を用いずに、保険会社が独自に純保険料率を算出することもできます。参考純率改定(引き上げ)の背景損害保険料率算出機構の「『火災保険』参考純率改定のご案内」によりますと、改定の背景として、台風災害による支払保険金が前回(2004年)の改定以降、多く発生。それに伴う支払保険金の増加や、風災、雹(ひょう)災、雪災等の自然災害の影響による支払保険金の増加。また、自然災害以外では、水道管等の設備の老朽化等による水濡れ損害による支払保険金の増加。地球温暖化による自然災害の将来予測に対する不確実性の増大。以上の2点を挙げています。参考純率の引き上げについて火災保険の参考純率は、今回の改定により平均で3.5%(※)の引き上げになりました。(※)この値は、現存するすべての契約の改定率を平均した値です。したがって、契約条件(保険金額や建物の構造など)によって改定率(引上率・引下率)は異なります。また、建物の所在地や建物構造ごとにリスクが異なるため、所在地や建物構造により値下げになった地域もあります。以下の3つの表を参照してください。このように、参考純率の改定率は地域や建物構造によりバラつきがあります。値上げになる保険料を抑えるには今回の参考純率の引き上げにより、値上げになる保険料への対処法としては、風災・雹(ひょう)災・雪災および水災による損害に対する自己負担額を増やすことで保険料を抑える。水災の補償については、住んでいる地域(高台・低地)、住んでいる建物(戸建・マンション)、住んでいる階(高層階・低層階)等の条件を考慮して、補償を外すことができる場合はその部分の保険料をカットする。長期の契約(10年)をして、今後の値上がりリスクに備える。等が対処法として考えられます。以上、火災保険の値上げの背景、地域や建物構造による参考純率のバラつき、保険料値上げへの対処法についてみてきました。出典 : 損害保険料率算出機構「『火災保険』参考純率改定のご案内」・「参考純率のあらまし」・「火災保険・地震保険の概況」※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年05月25日はじめに住宅金融支援機構(以下、「機構」といいます)の「フラット35」や、各金融機関などの住宅ローンを利用する場合、火災保険への加入を促されます。フラット35の場合、火災保険への加入は必須です。また、金融機関も火災保険への加入を必要とするのが一般的です。以下、住宅ローンと火災保険についてみていきます。なぜ、火災保険への加入が必要か住宅ローンを組んで家を購入した場合、金融機関や機構は、ローン完済までの担保として、建物や土地に抵当権を設定します。もし、火災で建物が焼失した場合、建物の価値はゼロになってしまいます。そのため、金融機関は、債権の保全を図るために、住宅ローン申込者に対して火災保険の契約を求めます。一方、住宅ローン申込者にとっても、火災で建物が焼失しても住宅ローンの債務は残るため、そのリスクに備えられる火災保険への加入は必要といえます。住宅ローン向け火災保険フラット35など機構の住宅ローンを利用する場合は、火災保険(任意の火災保険または法律の規定による火災共済)に加入しなければなりません。以前は、機構の融資を利用する方のみが加入できる「特約火災保険」がありましたが、2016年3月31日をもって新規受付を終了しています。フラット35を申し込むにあたって必要とされる火災保険の補償対象は「建物」のみですが、建物に火災保険を掛けただけでは「家財」の損害は補償されませんので、家財の補償を得るためには、別途家財を補償対象とする火災保険にも加入しておく必要があります。金融機関の場合は、個々の金融機関で住宅ローン利用者専用の火災保険を用意しています。住宅ローン利用者専用の火災保険では、多くの場合、「家財」についてもセットで補償を付けることができます。保険料については、団体割引が適用されるため、一般の火災保険に比べてお手頃に設定されています。また、住宅ローンを利用するからといって、必ずしもその金融機関が用意した火災保険に加入しなければならないということはなく、一般の火災保険への加入も選択できます。火災保険の加入期間は火災保険への加入が必須の住宅ローンの場合、住宅ローン返済中に火災保険が満期になったときは、継続の手続きをするか、新しい火災保険に加入する必要があります。以前は、35年ローンを組んだ場合でも、1回の保険加入でローン完済までの期間をカバーすることも可能でしたが、2015年10月以降、長期契約の見直しが行われ、火災保険の契約期間(保険期間)が最長10年までになりました。そのため、住宅ローン完済までに火災保険が満期になったときには、継続の手続きをするか、新しい火災保険に加入する必要があります。機構のフラット35を利用した場合は、住宅ローン完済まで火災保険の契約を継続しないと、金銭消費貸借契約に違反することとなり、ローン残高(融資金残高)を一括して支払わなければならなくなりますので、注意が必要です。他の金融機関の住宅ローンを利用する場合も、上記のような契約条項がないか確認しておきましょう。なお、住宅ローン完済後も、火災などのリスクに備えるために火災保険への加入は必要です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年05月24日はじめに火災保険は、建物の用途により火災の危険度が異なることから、建物を「住宅のみ」に使用している(住宅物件)と、「住居と店舗を併用している住宅」(併用物件)や、「事務所」「病院」「旅館」などに使用している建物(一般物件)に分け、それぞれに対応する保険商品が用意されています。以下、住宅物件を対象とした火災保険についてみていきます。住宅火災保険住宅物件対象の火災保険は、保険の対象を「建物のみ」、「家財のみ」、「建物と家財」の3つのパターンから選択して契約することができます。ただし、「建物のみ」の契約ですと、家電製品や家具の損害は補償されません。持ち家の場合は「建物と家財」、賃貸住宅の場合は「家財のみ」を選択するのが一般的です。また、住宅物件対象の火災保険は、住宅に関するさまざまなリスクに幅広く備える「住宅総合保険」と、基本的な補償にしぼった「住宅火災保険」に大別されますが、現在は各損害保険会社からさまざまなタイプの火災保険が販売されていますので、加入の際は商品名だけで判断せず、補償の内容をよく確認するようにしましょう。住宅総合保険の補償内容住宅総合保険の主な補償内容は、以下の7つになります。住宅火災保険の多くは、このうち1と2を補償する保険になりますので、その分保険料を抑えることができます。火災、落雷、ガス爆発などの破裂・爆発風災・雹(ひょう)災・雪災漏水などによる水濡れ盗難台風や集中豪雨などによる水災建物外部からの物体(自動車など)の飛来・落下・衝突騒じょうなどによる暴行・破壊また、保険会社のプランによっては、1のみを基本補償として、2以降の補償を選択できるようにしているものもあります。戸建やマンションなど建物の構造や、建物の所在地(高台や低地、川の近くにあるなど)の違いなどによって備えるべきリスクが異なります。必要に応じて2以降の補償の選択を検討してみましょう。「家財のみ」の場合の補償内容「家財のみ」を対象とした火災保険の場合も、上記と同様の補償内容になります。基本補償にしぼるか、3以降の補償も必要なのかを検討して加入するプランを決めましょう。また、賃貸住宅に住んでいる方向けに「賃貸住居者専用の火災保険」を用意している保険会社もあります。この商品の特徴は、家財の損害に対する補償にプラスして、「借家人賠償責任補償保険(補償特約)」がセットされている点です。一般的に賃貸物件の場合、建物を対象とした保険は家主が加入していますが、借家人が失火などにより建物に損害を与えた場合、家主に対する法律上の損害賠償責任が発生します。それに備える補償が借家人賠償責任補償保険(補償特約)です。まとめ以上、住宅物件を対象とした火災保険についてみてきました。近年は台風以外の風災・雹(ひょう)災・雪災による支払保険金の増加などの理由により、火災保険の保険料は上昇傾向にあります。前述のように、建物の所在地や、建物の構造などを考慮して、必要な補償を選択することで保険料の節約を考えましょう。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年05月24日はじめに賃貸住宅の場合、建物については所有者である家主が火災保険を掛けますが、借家人が所有する家財に対しては借家人が火災保険を掛けることになります。家財に対する保険は、持ち家の場合と同じように、世帯主の年齢や家族構成などを参考に補償額を決めていきます。持ち家と賃貸住宅の火災保険の違いは、主に、失火に対する損害賠償責任に備えるかどうかになります。以下、失火による損害賠償責任の概略と賃貸住宅用火災保険の内容についてみていきます。失火に対する責任民法第709条(不法行為による損害賠償)に、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と定められています。したがって、火災を起こして他人に損害を与えた場合、本来であれば不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになります。しかし、「失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法)」には、「民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス」と定められています。この法律により、失火によって他人の家が延焼した場合でも、失火者に「重大な過失」がなければ、損害賠償責任を負わせないことになっています。この「失火責任法」だけをみると、借家人が失火を起こした場合に、建物の損害に対する家主への賠償責任を免れられるようにみえます。しかし、民法第415条に「債務不履行による損害賠償」の規定があります。一般的に賃貸住宅の賃貸借契約書には、「賃借物件を原状回復して返還する義務(債務)」が定められています。これらにより借家人には、家主に対して借りている戸室(建物部分)の損害を賠償する責任が発生します。借家人賠償責任保険(補償特約)「借家人賠償責任保険(補償特約)」は、失火などの偶然な事故により借りている戸室が損壊し、家主に対して民法第415条による損害賠償責任が発生した場合に備える保険(特約)です。賃貸住宅用火災保険を契約すると自動的にセットされます。一方、損害賠償に関する示談交渉サービスは、保険会社により付いている場合と付いていない場合があります。示談交渉サービスが付いている方が、安心といえるでしょう。また、偶然な事故により損害を受け、応急修理(部屋を住める状態に復旧)するために掛かった修理費用を補償する特約を用意している保険会社もあります。個人賠償責任保険(補償特約)失火責任法は、失火によって他人の家が延焼した場合でも、失火者に重大な過失がなければ損害賠償責任を負わせない法律ですが、ガス爆発などにより他人の家を損壊させた場合の賠償責任については免除する規定にはなっていません。このような場合に備える保険として、「個人賠償責任保険(補償特約)」があります。個人賠償責任保険(補償特約)は、ガス爆発などのような事故以外に、水漏れによって階下の住人の家財などに損害を与えた場合など、日常生活におけるさまざまな賠償事故に備える保険(特約)です。ただし、借りている部屋に対する損害賠償責任は補償の対象外になりますので、やはり借家人賠償責任保険(補償特約)によって備える必要があります。賃貸住宅に住む場合には、借家人賠償責任保険(補償特約)と個人賠償責任保険(補償特約)の2つがあるのが安心といえます。まとめ賃貸住宅用の火災保険の大きな特徴は、家財のみを対象とした保険に借家人賠償責任保険(補償特約)が自動セットされている点になります。個人賠償責任保険(補償特約)については、自動車保険など他の保険で既に契約している場合もあります。他の保険の契約内容を確認し、重複して契約することのないようにしましょう。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年05月18日いざというとき頼りになる保険。もっともポピュラーなのが、生命保険でしょう。平成25年度の生命保険文化センターの調査によれば、じつに8割以上の人が生命保険に加入しているそうです。その一方で、あまり知られていないのが個人賠償責任保険。これは、日常生活のなかで誤って他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりしたときなどに負担する損害賠償金を補償してくれるもの。とはいえ、個人で倍賞しなければいけないような出来事にはそうそう遭遇しない――。そんなふうにたかをくくってはいませんか?そこで、節約アドバイザーのヨースケ城山さんに、個人賠償責任保険に加入しておいたほうがよい人の特徴をお聞きしました。■1:通学や通勤などで自転車に乗る家族がいる小学校5年生だった少年が乗った自転車と歩行者との衝突事故で、神戸地裁は少年の母親に約9,500万円の高額損害賠償を命じる判決を出しました。2013年のことですが、この判決がきっかけとなり、自転車事故の加害責任が広く認識されるようになりました。公益財団法人交通事故総合分析センターが発表した「交通事故分析レポート」によれば、人口10万人当たりの自転車運転中の加害者数は、とくに中高生が多く、13~15歳は18人、16~18歳は29人という結果です。自転車は免許がなくても乗れる便利な乗り物ですが、それだけに事故は起こりやすいもの。実際、2016年4月に警視庁が発表した2015年中の交通事故、約53万7,000件のうち、自転車事故は9万8,700件もあり、約18.4%を占めます。若い世代は自転車は軽車両だという認識が薄いので、万が一のために個人損害賠償責任保険に加入しておくと安心ですね。■2:認知症(予備軍含む)の家族を介護している2007年に、認知症の男性(当時91歳)が徘徊中に電車にはねられ死亡し、JR東海が振り替え輸送費など約720万円の損害賠償を男性の妻と長男に求めた訴訟がありました。メディアにも大きく取り上げられたので、記憶に新しい方も多いと思います。2016年の最高裁の判決で、遺族に賠償責任はないと判断されましたが、もし遺族側に過失があると判断されて敗訴していたら、高額の損害賠償を遺族は支払うことになり、大きな負担を背負うことになったでしょう。厚生労働省の平成26年版高齢社会白書によれば、65歳以上の高齢者人口は、約25.1%と過去最高に。今後も高齢化率は上昇を続け、2035年には33.4%、3人に1人が65歳以上となると推測しています。家族の誰かが認知症を発症し、介護が必要な状態になることは決して他人事ではないのです。■3:小学生~大学生までの子どもがいるバイクに乗った80代の男性が、学校外に飛び出たサッカーボールをよけようとして転倒し、足を骨折。そののち認知症状が出て、約1年半年後に肺炎で死亡しました。2審では当時小学生だった男性の過失を認め、「子どもを指導する義務があった」として両親に計約1,100万円の賠償を命じました。両親が上告し、最高裁では、親は賠償責任を負わないと逆転勝訴となりましたが、親には監督責任が発生すると考えられています。ほかにも平成23年に、中学2年生の男子生徒(当時13歳)が自殺したのはいじめが原因だったとして、生徒の遺族が市や元同級生らに7,720万円の損害賠償を求めて提訴。遺族と市の和解は成立し、市が遺族に対し和解金1,300万円を支払い、自殺を防げなかったことを謝罪しました。一方、元同級生に対する訴訟は分離し、審理は今も継続中です。個人賠償責任保険の被保険者は、「生計を共にする同居の親族」となっているので、世帯主が契約すれば、子どもが起こした事故も補償されます。親が仕送りを受けている未婚の学生についても補償の対象になるようです。■4:自宅でペット(とくに犬)を飼っている有名俳優夫妻の愛犬が隣人をかんだ事件では、東京高裁が1,725万円の支払いを命じました。ニュースでも話題になりましたね。2011年5月、有名俳優夫婦が入居していたマンションの通路で、夫妻の娘(当時6歳)が連れていたドーベルマンが住人の女性の脚にかみつきました。東京高裁の判決では、「管理会社が定めていた、小動物以外の飼育を禁じた規定を有名俳優が破り、住人の安全を守る注意義務に違反した」という指摘がされ、損害賠償額の大幅増につながったようです。■5:タワーマンションの上層階に住んでいる最近では、神奈川県川崎市・武蔵小杉にあるタワーマンションでの生卵やお皿の落下事件が大きく報道で取り上げられていましたね。ベランダから植木鉢などが落ちただけでも被害者が死亡する危険をはらんでいます。故意と過失では損害賠償額は大きく違ってきますが、被害者がいれば損害賠償の必要が出てきます。前述の落下事件の加害者はまだ見つかっていませんが、たとえ過失だとしても高額の損害賠償になることは想像に難くありません。タワーマンションの上層階であるほどリスクも高くなることを自覚しておくとよいでしょう。*賠償事故は、身近な場所で起こり、加害者となった本人だけでなく、家族にも大きくのしかかります。子どもや親が起こしたトラブルは、家族の問題でもあるからです。事故による心の傷は時間をかけてケアするしかありませんが、金銭的なことは対策する手立てがあります。それが、個人賠償責任保険です。いろんな保険会社で入ることもできますし、自動車保険などのオプションとしてつけることも可能。クレジットカードの付帯オプションとして格安でつけることもできます。ぜひ一度、検討してみませんか?(文/山本裕美) 【取材協力】※ヨースケ城山・・・節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、AFP、住宅ローンアドバイザー、年金アドバイザー。著書は『給料そのままで「月5万円」節約作戦!』(ごま書房新社)。本の内容は、『らくらく貯蓄術。住宅ローン地獄に落ちない為の家計防衛のススメ。』にもまとめられている。ブログ『節約アドバイザーヨースケ城山ブログ』では、節約だけではなく転職活動、著書、社労士、FPのことを配信中。
2016年05月16日はじめに火災保険とは、火災や風水災などの自然災害および盗難などによる「建物」や「家財」に対する損害を補償する保険です。火災保険の種類は、住宅を対象としたベーシックな補償内容の「住宅火災保険」、より補償を充実させた「住宅総合保険」、事業者向けの「普通火災保険」「店舗総合保険」などに大別されます。以下、住宅総合保険を参考に、それぞれの補償についてみていきます。なお、保険会社によって商品名やプランはさまざまであり、「ベーシック」という名称でも、通常、住宅火災保険では、補償の対象ではない水災や盗難も補償の対象になっていることがあります。火災保険に加入する際には、補償される内容についてよく確認するようにしましょう。火災について火災には、自宅からの失火や隣家からの「もらい火」などがあります。隣家からのもらい火で自宅が焼失した場合、隣家の失火の原因が「重大な過失」でないと損害賠償請求はできません。そのためにも、火災保険で備えておく必要があります。賃貸住宅での火災の場合、借家人(賃貸住宅の入居者)には、家主への損害賠償責任が発生します。それに備えるためには、「借家人賠償責任補償」のある火災保険へ加入するか、「借家人賠償責任補償特約」を付帯した火災保険への加入が必要になります。また、ガス漏れなどによる破裂・爆発などの損害に対しても火災保険で備えることができます。自然災害について火災保険では、落雷、風災、雹(ひょう)災、雪災や、台風や集中豪雨による水災などの自然災害による損害に対しても備えることができます。風災、雹(ひょう)災、雪災では、損害額が一定額(20万円など)を超えないと補償されないプランや、自己負担額を差し引いた金額が補償されるプランもあります。自己負担額については保険会社によって異なります。また、水災では、保険金が支払われるには、「居住部分が床上浸水した場合」などといった条件があります。災害以外の事故や盗難災害以外の事故で火災保険の補償の対象となるものには、建物外部からの物体の衝突・落下・飛来などの事故による損害(自動車が自宅に飛び込むなど)、漏水など水漏れ事故による損害、騒擾(そうじょう)や集団行動などに伴う暴力・破壊行為による損害などがあります。その他、机を動かそうとしてテレビを壊してしまった、などの不測かつ突発的な事故による損害なども補償の対象になります。また、空き巣に家財を盗まれた場合や、侵入するために窓ガラスを割られた場合の損傷などについても補償されます。一般的に建物内の家財が補償の対象ですが、保険会社によっては、旅行や買い物などで一時的に持ち出した家財についても補償の対象にしているところもあります。火災保険でカバーされない損害火災保険でカバーされない損害の主なものとしては、契約者・被保険者などの故意もしくは重大な過失、法令違反で生じた損害。戦争、内乱、武装反乱その他これらに類似した暴動などで生じた損害。地震・噴火またはこれらによる津波による損害。などがあります。3.については地震保険を火災保険とセットで契約することで、一定の補償が受けられます。まとめ以上、住宅総合保険を参考に、主な補償内容についてみてきました。上述した補償以外にも、保険会社各社ではさまざまな特約を用意しています。ご自身のライフスタイルに応じて、必要な備えを検討してみましょう。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年05月13日■公的年金を補完する制度=確定拠出年金制度皆さんは、国の年金制度に加入されていますよね?現在の日本の公的年金制度は、自営業者は国民年金、会社員は厚生年金、公務員は共済年金です。現在の年金制度の概要については、 厚生労働省のWebサイト に詳しい説明がありますので、そちらをご覧ください。そうした公的年金制度を補完する制度が、今回のテーマである「確定拠出年金制度(DC)」です。れっきとした国の制度で、個人型と企業型があります。掛金を預貯金や投資信託などで運用し、運用次第で老後の年金額が変わってきます。DCに加入すれば、厚生年金(2階建て)の会社員は3階建てとなり、国民年金(1階建て)の自営業者は2階建ての年金制度を持つことができます。企業型DCは、企業が掛け金を拠出し、個人型DCは、加入者自らが掛け金を出します。以前は加入対象が、国民年金に入っている自営業者と、厚生年金に加入する会社員のうち、勤め先に企業年金などがない人でしたが、先頃の衆議院本会議で改正確定拠出年金法の一部を改定する法案が成立しました。これにより2016年1月から、個人型DCの対象が公務員や主婦にも広がったほか、すでに企業年金に入っている会社員も併用して使えるようになりました。ほぼすべての国民が対象となっています。(※1)・(参考) 確定拠出年金法等の一部を改正する法律案|厚生労働省(PDF) (※1)2016年5月24日の衆議院本会議決議を受け、記事の一部を訂正いたしました。(2016年5月25日11時37分) ■DC制度もNISAと同じく、運用利益が非課税でお得DC制度も、これまで解説してきた NISA 同様、積立投資をするのに向いています。なぜなら、NISAもDC制度も運用益(配当や値上がり益)が非課税だからです。通常、投資の運用益には、20%(復興特別所得税を加えると20.315%)の税金がかかります( 第17回 の冒頭でお話ししました)。しかし、NISAもDC制度も、運用益は非課税で、運用期間中、課税されません。つまり、その分、お得なのです。さらに、DC制度には、税制面でも大きなメリットがあります。掛け金は全額、所得控除されるのです。さらに住民税の負担減にもなります。このメリットはNISAにはありません。DCのほうが、より税制が優遇されている制度なのです。■DC制度でどれくらいの節税になるのか?現在、個人型DCは、自営業者など第1号被保険者は、月6万8,000円まで、会社員で個人型DCに加入する場合は、月2万3,000円まで拠出することができます。・自営業の場合たとえば、社長のAさんが、毎月6万8,000円(年間81万6,000円)を30年間拠出した場合を見てみましょう。自営業者のAさんは所得税率40%ですので、住民税10%と会わせると、30年間で1,224万円もの節税になります。816,000円 × 50%(※1)= 408,000円(1年間の節税額)408,000円 × 30年 = 12,240,000円の節税(※1)所得税率40%と住民税率10%を加えた率 ・会社員の場合次に、会社に企業年金制度のない会社員のBさんが、毎月2万3,000円(年間27万6,000円)を拠出した場合を見てみましょう。会社員のBさんの所得税率は20%ですので、住民税10%と会わせると、30年間で248万4,000円もの節税になります。276,000円 × 30% = 82,800円(1年間の節税額)82,800円 × 30年 = 2,484,000円の節税 大きな節税効果がありますね。 また、DCには受け取り時も、公的年金等控除や退職所得控除の優遇があります。税制優遇を受けられる口座を活用することで、お金の増え方が違ってきますので、ぜひ、NISAやDCを最優先して使いましょう。また、今後、これまで口座をもてなかった主婦(第3号被保険者)や公務員なども平成29年1月1日より加入できるようになります。DCは、原則60歳までお金を引き出せません。引き出せないからこそ、現役世代が資産形成をするためにぜひ利用したい制度なのです。いつでも引き出しのできる NISAと上手に使い分けをするといいですね。次回は、これら非課税口座の上手な使い方についてお話しします。
2016年05月02日