デビュー50周年を超えてなお変わらず精力的な活動を展開している森山良子。そんな彼女の恒例となるBunkamuraオーチャードホール公演が2019年1月16日(水)に開催される。【チケット情報はこちら】長年彼女の歌声に魅了されてきたファンにとっても特別なイベントとなる本公演だが今回は「普段のコンサートにプラスしてクラシックも楽しめる盛り沢山な内容となるのでお楽しみに」と森山は話す。これまで限りない数のライヴを行ってきた彼女だが、ステージは歌手である自身を磨き、高める場所であり続けると感じているとのこと。「ステージはいちばん活き活きとして、いちばん自分らしくいられる場所。そしてライヴは、昨日より今日、今日より明日と一歩一歩前に進んでいくために必要なものでもある。毎日同じであったとしたら気持ちとして許せない(笑)。自分がつねに前進し続けることができるという確信を得られる場所でなくてはならないと思っています」明日を見つめるキラキラした目、というのは森山の最新アルバム『Ryoko Classics Ⅱ』のあちこちで発見できるものだ。クラシックや映画音楽の名曲を採り上げたシリーズの第2弾となる本作で彼女はオペラに取り組んでいる。原調で歌うことを課題とし、息継ぎなどさまざまなテクニックと向き合いながら出したことのない音域に挑戦。四苦八苦しながらもしっかりとハードルを乗り越え、美しい響きを獲得することに成功した。練習やレコーディングを振り返りながら、勉強ができたことの有難さを嬉しそうに語ってくれた彼女。「好きだってことと実際にやってみるのはこんなに違うものかと痛感しました。でも引き出しが増えたということで得したなと思うんです。中学2年生から習っているクラシックの声楽家、坂上昌子先生から教えてもらってきたことを形にできた喜びが何よりも大きいですね」昨日より若く、という目標を掲げ、しなやかに走り続ける森山良子。オーチャードホールのステージでも昨日とはまた違う新しい彼女に出会えるだろう。公演は1月16日(水)東京・Bunkamuraオーチャードホールにて。チケットは発売中。取材・文:桑原シロー
2018年10月17日テレビ東京の「ドラマ25」枠の新番組「このマンガがすごい!」が10月5日深夜から放送スタート。第1回は俳優の森山未來が人気コミック「うしおととら」の“実写化”に挑んだのだが、視聴者の想像を超えた“実写化”にネットには「斬新すぎる」という声が殺到している。本作は女優の蒼井優がナビゲータを務め、毎回ゲストとして迎える人気俳優たちの好きなマンガへの愛情とそのマンガのキャラクターを演じるための役作りへのアプローチをお届けするドキュメンタリードラマ。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。番組は蒼井さんが番組のコンセプトを説明する映像からスタート、そのままアンジュルムが歌うOPテーマ「タデ食う虫もLike it!」へ。“マンガ”と絡めたOP映像の演出に「OPの演出鬼かっこよかった」「アンジュルムと蒼井優が間接的に共演とか激アツ」などの声が上がる。本編は蒼井さんと森山さんが蕎麦屋で、マンガの実写化について語り合うところから始まり、続いてはヒロインオーディションのパートへ。10代から50代まで幅広く集められた参加者の前に変身後の主人公の姿に扮した森山さんと蒼井さんが現れ、オーディションが繰り広げられるのだが、「走る」「ポージング」「セリフ」と3つの課題を参加者がこなしていく様子が映し出される。普段なかなか見ることのないリアルなオーディションの様子と、そこにマンガのキャラクターに扮した森山さんが混じっている様のシュールさに「実験映画風になってきたぞオイ」「こんなんなんだ…すごいなこの番組…」など、様々な反応がネット上に溢れかえることに。そして最後は「実写パート」がオンエア。参加者が皆素晴らしくヒロインを絞るのが難しいと語っていた森山さんが選んだ実写化の手法はなんと、“原作のマンガの中の主人公の部分だけを森山さんが実写で置き換える”というもの。想像を超えた“実写化”に、これには「凄い映像を見せられている」「役者さんが漫画に入り込んで演じるのは斬新過ぎる」「コマ割りの中に実写がwwww」「想像の斜め上をいく面白さ」などのツイートが殺到。放送後には「テレ東らしさを期待してたので完全合格点!!」「テレ東しか出来ない企画!」など、本作を放送したテレビ東京を讃える声が多数寄せられていた。(笠緒)
2018年10月06日2015年に『フランス芸術文化勲章』シュヴァリエを受勲し、フランスを中心に海外で精力的に活動するダンサー・伊藤郁女と、ダンサー、俳優の枠を越えて活動する森山未來による初クリエーションKAAT DANCE SERIES 2018『Is it worth to save us?』が10月に横浜・KAAT 神奈川芸術劇場にて世界初演される。演出も手掛ける伊藤に話を聞いた。【チケット情報はこちら】伊藤と森山の共演は初めてのこと。「KAATでこの企画を実施することになり、誰と一緒にやろうかという話になったとき、“未來くんと共演したい”と言いました。私は昔から“お人形さんみたいに踊りますね”と言われたりするのですが、未來くんも舞台では何を考えているかわからないような、お人形みたいな感じのところがあると思うんです。それに、いろんな想像ができる顔だちや身体を持っているとも思います。あとは、私が普段からあまり踊りや演劇の境のないところでやっているので、そういう人がいないかな、と頭の中を探ったときに未來くんがいました。踊れるだけでなく歌も歌えるし、台詞も言える人だから、そういう意味でもすごくいい。良いダンサーはいっぱいいるんですけど、光のあるダンサーはあまりいないですからね」。森山個人の印象は「繊細。いろんなことを考えて生きているし、いろんなことに疑問を持ってやっている人だと思います」作品のもとになるのは三島由紀夫のSF小説『美しい星』。自分たちを宇宙人だと思った家族が地球を救おうとする物語だ。だが、本作ではその物語を上演するのではない。「『Is it worth to save us?』は、“社会からはずされていきそうな自分の感情”を元につくっています。みんな、人と違うことをダメだとか怖いと思い、仲間外れにされないように生きていますよね。『美しい星』の中では、それを“宇宙人だから”と思うことで解消しているところがありますが、今回はポジティブに考えたらどうかという提案をする作品です」昨年の3月から始まった稽古は、今年の2月に日本でも行い、今後はフランスなど世界各地で断続的に続けていくという。「最終的なところは私がやっていますが、人とつくるのが好きですし、なにかを“しなさい”と言うのが嫌なんですよ。未來くんはそこに驚いてましたね。“へー、けっこう聞くんだ、人の話”とか言われて(笑)」。「まだ今は、話をしている段階で何も固まっていないです」と話すが、最終形は「笑ってほしいな、というのはあります。でもそれはハハハじゃなくて微笑んでしまうような感じ。“メッセージ”にはしたくないのですが、ふたりの人間的なものを出したいということがベースにあります」公演は10月31日(水)から11月4日(日)までKAAT神奈川芸術劇場大スタジオにて上演。チケットの一般発売は9月1日(土)より。なお、本日8月31日午後11時59分までチケットぴあにて先着先行受付中。取材・文:中川實穂
2018年08月31日氣志團の綾小路翔さんと親友の森山直太朗さんがMCを務める音楽トーク番組『深夜喫茶スジガネーゼ』。音楽はもちろん、トークも実力抜群のふたりだからこそ、超豪華な“スジガネ”入りのミュージシャンのゲストたちから、ディープな音楽話や普段は見られない素をどんどん引き出します。ふたりだから集う!豪華ゲストと深夜のたっぷりトーク。――収録中、おふたりのマシンガントークが止まりませんでしたね。綾小路:俺、ほんとは緊張しいなんですよ。いつもテレビや雑誌の仕事のときは、直太朗がいたら…と思ってるくらい。この番組では、直太朗がいてくれるから楽しくやれますね。森山:翔やんの気持ち、すごく嬉しいんだけど、このインタビュー、ドッキリじゃないですよね…?綾小路:俺もそれ思ってたんだよ。『アンアン』がこの番組に来てくれるはずないって。真面目に答えてるとこOAされたらどうしよ…。――ドッキリじゃないです(笑)。森山:ほんとに大丈夫ですね?その確認が取れればめっちゃ語ります。綾小路:脱ぐのも辞さない!――ぜひ、語りの続きを(笑)。綾小路:俺は予定調和が嫌いで、全然関係ない話を仕掛けたり、余計なことして現場を困らせちゃうんですよ。直太朗は、脱線もするんだけど、言わなきゃいけないこともしっかり言うし、バランス感覚がすごい。俺だけだったら、石橋凌、横山剣……という、とてつもないゲスト相手に、何も話せないですね。森山:よく言えばオールラウンダーなのかな。家族に個性が強い人が多いから、ここでふざけたことを言うと場が和むかなとか、人の顔色を窺いながら生きてきた結果ですね。綾小路:俺は、テレビに対する恐怖心から、キャラクター作っちゃうところがあるんだけど、昔のガールフレンドに「そういうの誰も求めてないから」って説教されて。森山:いい元カノ!綾小路:この番組は唯一、うまく運ぼうとも、必死で笑い取ろうとも思わずやれる。直太朗とのんきに過ごせる場所なんだよね。森山:平たく言うと、普段バーで飲んでる延長線上にある番組。――清春さん、BUCK‐TICK、GLAYのHISASHIさんまで、ゲストがほんとうに豪華です。綾小路:「直太朗と綾小路だったらいいか」と来てくださるのが嬉しいですね。ゲストは神様!プロモーションの方もいますけど、あえて新曲について聞かないこともある。この番組では、ミュージシャンの日常だとか、普段見えないチャーミングな部分を引き出せたらと思ってます。森山:ミュージシャンって、表現が難しいんだけど、“イッちゃってる”んですよ。その紙一重の面白さや、日常的な部分を垣間見ることで、きっと視聴者の方々は、彼らがすごい音楽を作っているその“すごさ”を、改めて感じられると思いますよ。(直近のゲストの)KREVAくんも、やんちゃな部分とか、素が出れば出るほど一筋縄ではいかない感じとかがわかって、面白かった。綾小路:KREVAくんは氣志團とデビューが同じ年で、直太朗はその翌年。僕らなんて当時、鳥肌実の隣にCDが置かれていたようなバンドで(笑)、ヒップホップ代表の彼には、尊敬も嫉妬もライバル心も共感もあった。そんな人と時を経て3人で話せるってすごい。森山:今だから話せることがたくさんあったね。――スタッフに偉人が憑依してトークするコーナーは、バカバカしさが最高です!綾小路:ミュージシャンは忙しいんで、なかなかスケジュールが合わない。予算もないしどうする?ってところから、融通がきくビッグなゲストといったら、死んでる偉人じゃないかと始まったんです。亡くなってるからNGなくざっくばらんに話してもらえそうですし(笑)。森山:あんだけ会議して、新しい風を入れようと始まったけど、和田さん(憑依される元プロデューサー)の底が知れてきたんで、そろそろ終わるんじゃないかな。今日の収録も、段取り全部すっ飛ばしてた(笑)。綾小路:最初はフレディ・マーキュリーとかミュージシャンだったけど、そのシバリもなくなって、戦国武将とか出てきちゃったし!――(笑)。前身番組を含めると、7年続いてます。綾小路:改編時期はいつも「これで最後」とみんな思ってるのに、改編の嵐が吹き荒れても残ってる(笑)。森山:「いつまで続くの?」って不安視されてる割に続いてる(笑)。綾小路:『ウォーキング・デッド』にも、すぐ死ぬと思ってたのに全然死なず、気づいたら憎めなくなってるキャラっているじゃないですか。そういう立ち位置の番組なんでしょうね。やっていくうちに制作側が愛着持っちゃって、マニアックなファンがいてくれるみたいな。――番組で成し遂げたい野望は?森山:「番組グッズ作って予算を潤そう」とか言ってるけど、実現したためしがない。作ったところで大量の在庫抱えるだけでしょう(笑)。綾小路:始まった頃は、ゴールデン進出とかあったけど、もうないなあ。森山:深夜帯を漂ってるのがいい!『深夜喫茶スジガネーゼ』 綾小路さんがマスター、森山さんがバイトの喫茶店に、ミュージシャンが訪れトークを展開。毎週土曜25:45~フジテレビにて放送中。フジテレビNEXT(CS放送)で、未公開分を含めた1時間完全版〈延長営業〉を月1放送。あやのこうじ・しょう4月26日生まれ、千葉県出身。’01年、氣志團のメインボーカルとしてメジャーデビュー。キャッチコピーは“房総の狂犬”。ニューシングル『週末番長』が8/8に発売されたばかり。もりやま・なおたろう1976年4月23日生まれ、東京都出身。’02年メジャーデビュー。翌年発表した『さくら(独唱)』が大ヒット。8/22、新曲「人間の森」を収録したニューアルバム『822』がリリースされる。※『anan』2018年8月15・22日号より。写真・内山めぐみインタビュー、文・小泉咲子(by anan編集部)
2018年08月17日今年2月にも大成功を収めた森山良子と東京フィルハーモニー交響楽団のサントリーホール公演が、9月に再度開催される。2013年に初のクラシックアルバム『Ryoko Classics』を発表した彼女は、さらに一歩前進した第2弾『Ryoko ClassicsⅡ』を8月にリリース予定。公演のプログラムはその収録曲が中心で、プッチーニ『私のお父さん』、ヴェルディ『乾杯の歌』、『オー・ソレ・ミオ』など、誰もが知る珠玉の名旋律が厳選されている。【チケット情報はコチラ】「今私が歌いたい11曲を選んだ欲張りなアルバムを予定しています。オペラ・アリアやカンツォーネはせっかく挑戦するのだから、キーを変えず、歌詞も原語で歌うことにしました。現在はそのためにプロの先生にレッスンを受けている真っ最中。私は両親がジャズ・ミュージシャンの音楽一家に生まれましたが、歌の道に進みたいならば基礎をしっかり学べと言われて、この先生に14歳の時からずっと師事しているんですよ」今回はクラシック以外にも、『タイム・トゥ・セイ・グッバイ』『サウンド・オブ・ミュージック』より『私のお気に入り』など、ポップスやミュージカルの名曲もバランスよく選ばれているのが嬉しい。「『タイム・トゥ~』は、私なりの解釈で訳した“希望のある明日への別れ”がテーマの歌詞でお届けします。『サウンド・オブ~』は、少女時代、母親になってから、そして娘に孫が生まれてからと、3世代に渡って何百回も観続けている大好きな作品。え、息子とは?直太朗はサッカーばかりしていたので、一緒に観た記憶はありませんね(笑)」さらに、レコード大賞に輝いた代表作『さとうきび畑』や、森山が作詞を手がけた『涙そうそう』なども予定演目に並ぶ、まさに“欲張り”な当公演。共演は2月と同じ、鈴木織衛指揮・東京フィルと、ピアニストの中島剛、ホールも日本クラシック音楽の殿堂サントリーホールという盤石の環境で、森山の美しい歌声を存分に堪能できそうだ。「東京フィルも、鈴木さんも、中島さんも、数えきれないくらい共演してきた本当に息の合う方々。今回の録音でもご一緒したので心強いですし、ふたたび共演できるのが楽しみでなりません。サントリーホールの温かく洗練された空間と音響に包まれながら、皆さんどうぞリラックスしてお楽しみください!」公演は9月20日(木)東京・サントリーホール 大ホールにて。チケット発売中。取材・文:渡辺謙太郎(音楽ジャーナリスト)
2018年07月04日俳優の森山瑛(15=もりやま・あき)が、映画『テイク・オーバー・ゾーン』でスクリーンデビューを果たす。映画『テイク・オーバー・ゾーン』に出演する森山瑛第2回ジュブナイル脚本大賞受賞シナリオを映画化する本作(脚本:岩島朋未)。同賞は、少子化の中でもコンスタントにその時代の青春像を残していいきたいという意図で創設され、第1回大賞受賞の『がらくた』(脚本:永井優唯)は2016年に映画化・公開され、ロケ地の香川県で1カ月半のロングラン上映されるなど、好評を博した。今作では、陸上競技に打ち込む少女と、同級生や家族との葛藤を描く。森山は、吉名莉瑠が演じる主人公・田中沙里のボーイフレンド・高須光星を演じる。沙里は、中学校・陸上部の短距離エースだが、3年前に両親が離婚して母と弟が出ていってから、心が荒んでいくばかり。光星は、そんな沙里の理解者として登場する重要な役どころだ。森山は、桐谷美玲や高杉真宙らの芸能事務所・スウィートパワーに所属。2002年6月12日生まれの東京都出身で身長は168センチ。2017年にスカウトされ、芸能界入りした。
2018年06月08日大植真太郎、森山未來、平原慎太郎による「談ス・シリーズ第三弾」が5月15日に開幕。それに先がけ東京・なかのZERO 小ホールにて囲み取材と公開ゲネプロが行われた。【チケット情報はこちら】取材では、平原が「第二弾から時間も経って、久々に顔を合わせるので、できるだけその新鮮さを損なわないように……仲よくやっていけたら!」と意気込みを語り、笑い合う3人は和やか。今回の内容については、構成を手掛ける大植が「“境界線”というものが(テーマとして)ある」と言い、「自分たちが“境界線”をテーマとし、どういうふうにそれを捉えるか、個々のレベルでまずやってみよう、と。そこから洗濯機が回るように外に派生していけばいい、というような作品です」と解説。すると即座に森山から「うちの洗濯機は外に水飛んでいかないけど(笑)」とツッコみが入る場面も。チラシに「あなたはこのタイトルをどう読みますか?こねてください」と書かれた特徴的なタイトル「凸し凹る」について大植は「いつもの作品のつくり方ではありますが、3人でいろんな話をして生まれたもので、“紆余曲折しながらこのタイトルができた”ということが大事。日本だと(縦読み、横読み、読み仮名など)どういうふうにも読める、その文化のあり方も意識しました」と解説し、「お客さんが“(タイトルは)こうだったのかもしれない”と発見したり、それぞれタイトルを決めるような行為が、もしかしたらこの作品のゴールなのかなって。僕らは未完のままというか、届けるだけです」と語った。作品について森山は「『談ス』という言葉は一番大事なキーワード。“談話”の“談”として書かれているのですが、クリエイションでも、ただ踊るためだけの稽古というより、“どういう対話をしようか”“どういう呼吸を共有しようか”とやってきました。なので、ただダンスパフォーマンスをやりますという感じではなくて。ダンスや身体だけでなく、言葉だったり踊りだったり、踊りと言葉の間(あいだ)だったり……そういうものでコミュニケーションを取る。それを自由に行き来する融合感を楽しんでもらえたら」と話した。小さなテーブルが置かれた舞台で、それぞれの身体がぶつかる音や息づかいが響く中、時に絡まり、時にバラけ、時に言葉を交わし、3人がひたすら動いていく。彼らの肉体が生み出す動きの数々はもちろん、客席との静かなやり取りから空気がうごめいていく感覚は「談ス」ならではのものがある。生の舞台にしかないこの感覚をぜひ劇場で味わってほしい。公演は全国を巡演中。東京では6月7日(木)から11日(月)までよみうり大手町ホールにて上演。取材・文:中川實穗
2018年05月18日映画『Vision』の完成披露試写会が18日、都内で行われ、永瀬正敏、夏木マリ、岩田剛典、美波、森山未來、河瀬直美監督が出席した。同作は、世界中で高い評価を受ける河瀨監督が、生まれ故郷の奈良県を舞台に、世界三大映画祭すべてで女優賞を獲得したフランスの名女優ジュリエット・ビノシュと、俳優・永瀬正敏をW主演に制作する。フランスの女性エッセイスト・ジャンヌ(ピノシュ)が訪れた奈良・吉野を訪れ、山守の男・智(永瀬)は、ジャンヌと次第に心を通わせていく。完成した同作について、河瀬監督は「神話、ファンタジーとかのようなことだよね、と言うこともいる」と説明し、「主演の永瀬君でさえ、『えっ』と言ってたから、何が届くのかわからない作品でもあります」と明かした。「森に入っていくということは、旅の途中で何かがあって何を得るのかはわからないけど、帰ってきたときには違う自分がいるのではないかと思う。みなさんの変化を楽しんでほしいです」と観客に語りかけた。初めて見たときは興奮して眠れなかった、という永瀬は「また興奮して寝れないかもしれないですね。みなさんそうだと思うんですけど、驚いたんですよね。監督は多分異次元からいらしてる」と紹介。また、1000年生きているという女性・アキを演じた夏木は「もう山と一体化。もう、山です」と自分の役について表し、観客を笑わせる。フランスと日本を行き来している美波は、フランスでの河瀬作品人気について「侘び寂びが伝わってるんだなという実感は、目の当たりにして感じました」と明かした。撮影で特殊伐採に挑んだ岩田は「特殊伐採という……特殊な伐採なんですけど」と天然発言で会場の笑いを誘う。「意外と上達が早くて、1日2日くらいで馴染んでくる。意外とと向いてるのかな。もし転職するなら次は山守になりたいなという新しい発見がありました」と語った。主演のジュリエット・ビノシュは今回来日していないが、河瀬は男性陣に「ジュリエットは"ジャンヌ"として生きてたんです。ジャンヌに、惹かれた理由を役柄として答えて」と急な無茶振り。最初に指名された森山は動揺しながらも、「獣同士ってイメージがありました」と答え、河瀬から「匂い?」とさらに確認される。岩田は「シーンの中で目が会うと、不思議と、僕もビノシュさんも初めて会った気がしない感覚があった」と振り返り、「ビノシュさんからもそういう連絡をもらったり、そう思って生きていたので。目に惹かれましたね」と語る。永瀬は「ハートの先を見られてる。いろいろなものを抱えている智なので、それを最初から見てくれた、寄り添ってくれた」と、智がジャンヌに惹かれた理由を分析した。河瀬監督は「これらはきっとこの男性陣の惹かれる女性像かもしれません」とニヤリ。さらに「まぐわいがないと命をつないでいけないんだけど、"まぐわい"って、目が会うというのが語源。目が合えば、まぐわうんです」とたたみ掛ける。その言葉に永瀬が「岩田くんが正解だな」と言うと、岩田は右手を掲げてガッツポーズ。河瀬監督は改めて「映画の中でのそれぞれの役割として、目、心、匂い、そういうもので表現しました。彼らは存分にまぐわっていた」と出演者陣を称えた。
2018年05月17日『あん』『光』に次ぐ河瀬直美監督の最新作『Vision』完成披露イベントが5月17日(木)、丸の内ピカデリーにて行われ、河瀬監督のほか、出演する永瀬正敏、夏木マリ、岩田剛典、美波、森山未來が登壇した。『Vision』は、奈良・吉野にある山深い神秘的な森とともに生きる智(永瀬さん)が、紀行文を執筆しているフランスのエッセイスト・ジャンヌ(ジュリエット・ビノシュ)と出会い、心を通わせていく様子を描く。夏木さんは森に住む女アキを、岩田さんは智が山で出会う青年・鈴を演じた。岩田剛典「僕もビノシュさんも初めて会った気がしない」劇中、ジャンヌに惹かれる様子も見受けられるとのことで、役として「ジャンヌのどこに惹かれたか、男性陣に理由を聞きたい」と河瀬監督が思いつきで質問をぶっこんだ。森山さんは、「う~ん」と悩んだ末、「理由があって惹かれたというより、獣動というか、理性も働くけど本能的に惹きつけられて出会うべくして出会うと思う」と答え、永瀬さんは、「ここ(ハート)の先を見られているようなところ。ちゃんと最初から見てくれた心です」と役どころに沿った答えを出す。そして、岩田さんは「シーンの中で目が合うと、僕もビノシュさん(ジャンヌ)も初めて会った気がしないというか。撮影期間中に不思議な感覚があった」と伝え、「クランクアップをした後、ビノシュさんからもそういう連絡をもらいました。そういう経験はあまりない。だから目ですね」と意外なやり取りも明かした。全員の答えを聞いた河瀬監督は「それは、惹かれる女性像かもしれませんね」と、ほくそ笑み、場内からは興奮気味とも取れるが、納得のような、何とも呼べない息が漏れた。「人生でもう一度会いたい大切な人は誰?」の答えは…本作は大切な人に会いたくなる愛と絆の物語でもある。内容にかけて「人生でもう一度会いたい大切な人は誰?」と聞かれた登壇陣。夏木さんは、「相当遠い先祖にルンがいて、ルンに会いたい。あと、ジュリエット・ビノシュさんに会いたい。河瀬組は現場で私語厳禁なんです。おはようございます、もない。大女優と日常会話してみたい!」と希望を語った。そのほか、キャスト陣の回答は「ひいおじいちゃん」(森山さん)、「あえて会うなら過去の自分」(美波さん)、「おじいちゃん」(岩田さん)、「弟とおじいちゃん」(永瀬さん)、だった。『Vision』は6月8日(金)より全国にて公開。(cinamacafe.net)■関連作品:Vision 2018年6月8日より全国にて公開(C)2018『Vision』LDH JAPAN, SLOT MACHINE, KUMIE INC.
2018年05月17日『あん』『光』の河瀬直美監督が、生まれ故郷である奈良県を舞台に描く『Vision』。フランスの名女優ジュリエット・ビノシュと永瀬正敏をW主演に迎えた本作から、この度特報映像が初解禁された。全編奈良で撮影を敢行する本作は、世界中を旅して紀行文エッセイを執筆しているフランスの女性エッセイスト・ジャンヌと、自然豊かな神秘の地・吉野の山々を守る山守の男・智が出会い、言葉や文化の壁を超え、心を通わせていく物語。到着した特報では、木立の狭間から差し込む光と水のせせらぎ、美しい自然が映し出されたかと思えば、突如銃声が響き渡る。そしてスリリングな旋律と共に、エッセイスト・ジャンヌ役のジュリエット、山守の男・智役の永瀬さんをはじめ、同じく山守の鈴役の岩田剛典、ジャンヌのアシスタント役の美波、猟師役の森山未來と田中泯、老女役の夏木マリと、各キャストの劇中での姿が確認出来る。『Vision』は6月8日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2018年02月21日俳優・山田孝之が製作総指揮を執り、監督&脚本を福田雄一(「勇者ヨシヒコ」シリーズ、『銀魂』)が務めることで話題の「聖☆おにいさん」実写化プロジェクト。この度、主人公・イエス役を松山ケンイチ、ブッダ役を染谷将太が演じることが明らかに。また今回の決定を受け、原作者の中村光は「松山さんのアガペー溢れるお顔と、染谷さんのアルカイックスマイルが見られるのを、いまから楽しみにしています」とコメントを寄せている。原作は、2006年から「モーニング・ツー」にて連載している中村氏による人気ギャグ漫画。ブッダとイエス・キリストを主人公に、世紀末を無事に越えた2人が東京・立川でアパートをルームシェアリングしながら下界のバカンスを満喫しているという設定が話題になり、累計発行部数は1,600万部を記録。また、2013年には森山未來や星野源をボイスキャストに迎え、アニメーション映画が公開された。今回イエス役に決定した松山さんは、「福田さんがキリスト役のことは熟知してるので色々聞いて頑張りたいなと思っています」と意気込み。「まさか参加するとは」と驚いたブッダ役の染谷さんは、「福田監督と山田さんという黄金コンビの企画に参加できるとは、心が激しく踊ります。松山さん演じるジーザスとどんな掛け合いになるのか、想像するだけでニヤケてしまうのは俺だけでしょうか?」と撮影開始が待ち遠しいと話す。一方、「松山さんをイエスに、染谷さんをブッダに、想像しただけでも失禁しそうです(少し出てますが)」と興奮気味に語る山田さんは、「すでに悟りを感じさせるお2人の存在感は正にブッダとイエス」と話し、「演出は福田雄一監督ですのでタダでは済まないことは安易に想像できます。アーメン」とコメント。福田監督は、「いままで何度も何度も出演をお願いして叶わなかった松山くんと染谷くん」とやっと今回念願が叶ったと明かし、「全力でユルく臨みます!」と述べている。なお本作は今年、新たに立ち上がる動画配信サービスにて配信される予定だという。(cinemacafe.net)
2018年02月20日俳優の松山ケンイチと染谷将太が、ドラマ『聖☆おにいさん』に主演することが20日、わかった。松山がイエス、染谷がブッダを演じる。同作は中村光による人気ギャグ漫画を実写化。世紀末を無事越えたブッダとイエス・キリストが、東京・立川でアパートをルームシェアリングしながら下界のバカンスを満喫している様を描く。2013年には森山未來、星野源を声優に迎え、アニメーション映画が劇場公開された。大人気漫画のドラマ化というだけでも話題だが、今回は俳優の山田孝之が製作総指揮を務め、福田雄一が監督を務めることでも注目を受ける。2018年、新たに立ち上がる動画配信サービスにて配信を予定している。イエス役の松山は「福田さんがキリスト役の事は熟知してるので色々聞いて頑張りたいなと思っています」と一言。ブッダ役の染谷は「いつか実写でみたいなと思っていた聖☆おにいさんにまさか参加するとは思ってもみませんでした。しかも、ブッタ役で」と驚きを表す。「松山さん演じるジーザスとどんな掛け合いになるのか、想像するだけでニヤケてしまうのは俺だけでしょうか? まだ撮影もしていないのに、皆様に届ける日が楽しみでなりません」と期待を語った。製作総指揮の山田は「想像しただけでも失禁しそうです。 (少し出てますが)」と"うれション"。「既に悟りを感じさせるお二方の存在感は正にブッダとイエス。日頃の激務に追われる天界での生活から離れ、下界での生活をごゆるりとお過ごし頂きたく思いますが演出は福田雄一監督ですのでタダでは済まないことは容易に想像できます。アーメン」と祈った。監督・脚本を務める福田は「今まで何度も何度も出演をお願いして叶わなかった松山くんと染谷くんで、連載当初から念願だったこの原作を実写化出来ることが、ただただ幸せです!」と気合十分。原作の中村は「松山さんのアガペー溢れるお顔と、染谷さんのアルカイックスマイルが見られるのを、今から楽しみにしています」と期待を寄せた。
2018年02月20日世界でも高い評価を受ける河瀬直美監督が、生まれ故郷の奈良県を舞台に、ジュリエット・ビノシュと永瀬正敏をW主演に迎えた映画『Vision』。この度、本作に岩田剛典、美波、森山未來、田中泯(特別出演)、そして夏木マリが出演していることが分かった。■岩田剛典、スタントなしの木登りや英語での芝居も「EXILE/三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE」のパフォーマーで、映画初主演作『植物図鑑運命の恋、ひろいました』では第41回報知映画賞や第40回日本アカデミー賞で新人賞を受賞し、今後も『パーフェクトワールド』『去年の冬、きみと別れ』と主演作の公開を控えるなど俳優としての活動も目覚ましい岩田さん。河瀬監督作品初参加となる今作では、鈴(リン)という青年役で出演。永瀬さん演じる智と同じ“山守”として山で生きているという役どころで、撮影時にはスタントなしでケヤキの木に登るなど、果敢に撮影に挑んだ。岩田さんは、「国際的な作品に出演できる機会はそうそうあるチャンスではないので、作品の中での自分の役割を果たせるように覚悟して現場に臨みました」と話し、実際に参加して、河瀬組は役者にリアルを追求する現場だったと印象を語る。また「英語で芝居をするのも初めての経験でした。撮影現場でアドリブの芝居を求められることが多かったのもとても印象深いです。また撮影期間中は自分の撮影が無い日も東京に戻らずずっと奈良・吉野の大自然に囲まれて住み込みで生活していたのですが、一度もホテルや民宿には泊まらず、撮影現場で寝泊まりしたり、民家の一部屋をお貸し頂いたりして過ごす経験は初めてでした。監督の撮影期間中は役者に役柄から離れて貰いたくないという思いもあり撮影期間中はカメラが回っていないときもずっと役柄のまま生活していました。毎日、役に入る時間とかもなく朝起きてそのまま撮影が始まるような、河瀬組のリアルを追求する撮影手法がとても刺激的でした」とふり返り、「国際的な視点を持って取り組むことで、俳優として視野が広がりました」とコメントしている。■美波、劇中でフランス語も披露『バトル・ロワイアル』(深作欣二監督)で鮮烈デビューを果たし、現在はフランスに拠点を置きながら、映画、テレビドラマ、舞台などで活躍する美波さんが演じるのは、ジュリエット演じるフランス人エッセイストのアシスタント花。本作では流暢なフランス語も披露している。「河瀬監督の世界の一部になれたこと、長年の憧れの存在であるジュリエット・ビノシュと共演ができ、本当に嬉しい」と参加したことへの喜びを表現する美波さん。「撮影は即興が多く、吉野の森の中、物語の中へ深く潜り込んでいくようで、感覚に大変敏感な河瀬監督の演出は、不要になって錆びた表皮を一枚一枚剥がし取っていくようでした。そして、最後に残った真珠を大切に温める。自分自身と花役を重ね合わせることで一番大事なことは何なのか、気づかされる貴重な体験になりました」と撮影の日々を語った。■森山未來、見どころは「幻想的な映像世界」『怒り』で第40回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞し、また第10回日本ダンスフォーラム賞を受賞するなど、ダンサーとしての活動も幅広い森山さんが演じるのは、岳(ガク)という猟師。山守とは違う形ながら彼もまた、山に生き、山を守るキャラクターだ。「期間としては短いものでしたが、密度の濃い吉野の山に触れることができ、そのまま野に還りたいほどでした」と濃密な撮影であったことを明かし、「永瀬さんとは現場ではご一緒させていただくことはなかったのですが、ジュリエット・ビノシュさんや田中泯さんと吉野の風景の中に一緒にいるということ自体がファンタジーでした。河瀬さんの、山や森や人とのセッションの中で生まれていった幻想的な映像世界に注目していただければと思います」と見どころも説明している。■田中泯、「私にとって初めての体験」映像界に欠かせない存在として輝きを増す田中さんは、今回特別出演という形で出演。河瀬監督作品初参加となる田中さんは、岳と同様、猟師の源(ゲン)を演じる。田中さんは、「映像の仕事の中で、嗅ぎとり感じとるべき表現が現場にあるというのは、私にとって初めての体験でした」と新鮮な現場だったと語り、共演者について「永瀬正敏さんではない智という人と出会っていた、源であった僕はそこで時間を過ごした。共演なんて言葉自体が意外に思えます」とコメントしている。■夏木マリ、「死ぬかと思った」不思議な力を持つ老女役に女優として数々の作品に出演し、『モアナと伝説の海』『フェリシーと夢のトウシューズ』などでは吹き替えにも参加、最近ではライブ活動も精力的に続ける夏木さん。今作で夏木さんが演じるのは、山で生き、古くから伝わる薬草を作り、自然と共存しながら静かに暮らしている老女・アキ。「雨が来る」と天気の変化を言い当てる不思議な力を持ち、エッセイスト・ジャンヌが山に入ってくることを予言し、智とジャンヌの運命を導く。夏木さんもまた河瀬作品初出演となり、初共演のジュリエットは、夏木さんとの共演シーン、ファーストカットの際「あのマリという人はどんな俳優なの?」とスタッフに尋ね、自らの携帯で夏木さんの情報を検索するなど一目を置く存在だったという。夏木さんは、撮影は「河瀬流のエモーショナルな現場でびっくりすることが多かった」と言い、「日を追うごとに出来上がりが楽しみだなと思いました。永瀬さんは河瀬組3回目で、河瀬メソッドが身に付いていらっしゃるので、本当に住んでいるキコリのようでしたし、ビノシュの自然な演技を近くで拝観して興味深かったです」とコメント。また「死ぬかと思ったこともありましたが」とも吐露しつつ、仕上がりがとても楽しみと語っている。神秘の森、奈良・吉野にて、昨年9月の撮影開始から夏パートの前半、秋パートの後半に分けて撮影を敢行し、12月初旬に全編奈良でのオールロケ撮影は無事クランクアップ。本作は現在、編集作業に取り掛かっているという。『Vision』は2018年、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2018年01月18日河瀬直美監督の最新作『Vision』(2018年公開)に、岩田剛典、美波、森山未來、田中泯(特別出演)、夏木マリが出演することが18日、わかった。同作は、世界中で高い評価を受ける河瀨監督が、生まれ故郷の奈良県を舞台に、世界三大映画祭すべてで女優賞を獲得したフランスの名女優ジュリエット・ビノシュと、俳優・永瀬正敏をW主演に制作する。フランスの女性エッセイスト・ジャンヌ(ピノシュ)が訪れた奈良・吉野を訪れ、山守の男・智(永瀬)は、ジャンヌと次第に心を通わせていく。EXILE/三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEのパフォーマーであり、俳優としても活躍する岩田が演じるのは、鈴(リン)という青年。“山守”として山で生きているという設定で、撮影時にはスタントなしで実際にケヤキの木に登るなど、果敢に撮影に挑んだ。その佇まいに、河瀬監督も「鈴は、ずっと鈴で、はかなくて、せつなくて、ジャンヌジュリエットと一緒に鈴を抱きしめていたいと願っていました」と語る。現在フランスに拠点を置いている美波は、ジャンヌのアシスタント役・花を務め、流暢なフランス語も披露。森山は猟師の岳、田中は猟師の源を演じる。また、夏木は山で生き不思議な力を持つ女・アキを演じ、主演のビノシュも、夏木との共演シーンのファーストカットの際「あのマリという人はどんな俳優なの?」とスタッフに尋ね、自らの携帯で夏木の情報を検索していたという。実力派が揃った出演者陣に、河瀬監督も「この蒼々たる俳優の……ひとりひとりの無垢な魂が現場で『ひょい』と顔を出す瞬間、モニターを見ずとも、そこに確実な時間がきちんと流れている事を確認し、それが記録されていることに、『ふと』心が震え、涙することがありました」と振り返る。「カットをかけても、まだ、その時間が俳優たちの中に流れ続けていて、その人個人の感情が戻ってこない……そんなとき、ああ、これは、彼らがこの吉野で生きた証だ……と感じ入るのでした」と語った。○岩田剛典コメント河瀬監督とは昨年の夏に映画祭で初めてご挨拶させて頂いた際に『監督といつかご一緒したいです』と話したのですが、まさか本当に、しかもこんなにも早く作品に呼んで頂けるなんて想像もしておらず、お話をいただいた時は心から嬉しかったです。国際的な作品に出演できる機会はそうそうあるチャンスではないので、作品の中での自分の役割を果たせるように覚悟して現場に臨みました。河瀨組は役者にリアルを追求する現場だったように思います。英語で芝居をするのも初めての経験でした。撮影現場でアドリブの芝居を求められることが多かったのもとても印象深いです。また撮影期間中は自分の撮影が無い日も東京に戻らずずっと奈良・吉野の大自然に囲まれて住み込みで生活していたのですが、一度もホテルや民宿には泊まらず、撮影現場で寝泊まりしたり、民家の一部屋をお貸し頂いたりして過ごす経験は初めてでした。監督の撮影期間中は役者に役柄から離れて貰いたくないという思いもあり撮影期間中はカメラが回っていないときもずっと役柄のまま生活していました。毎日、役に入る時間とかもなく朝起きてそのまま撮影が始まるような、河瀬組のリアルを追求する撮影手法がとても刺激的でした。ジュリエット・ビノシュさん、永瀬正敏さん、お2人とも初対面は撮影現場だったのですが、素晴らしいお2人と作品でご一緒させて頂ける日が来るなんて想像もしていなかったので、お会いした時はとても緊張したのを覚えています。自分は役柄的にお2人と一緒のシーンが多かったのですが、ジュリエット・ビノシュさんは現場でとても通じ合えた気がしました。永瀬さんは河瀬組が3作目だということで、初めて参加した自分に現場について分からないことなども色々と優しく教えてくださり、本当に助けて頂きました。日本の奈良・吉野を舞台に、様々な愛の形や命のあり方がテーマになっている作品になっていると思います。日本国内だけでなく国外にも日本古来の伝統や、歴史が詰まった大自然の神秘さや美しさが伝わるといいなと思います。今回『Vision』に参加させて頂き、表現者として大きな経験を積ませて頂きました。国際的な視点を持って取り組むことで、俳優として視野が広がりました。○美波コメント河瀬監督の世界の一部になれたこと、長年の憧れの存在であるジュリエット・ビノシュと共演ができ、本当に嬉しいです。撮影は即興が多く、吉野の森の中、物語の中へ深く潜り込んでいくようで、感覚に大変敏感な河瀬監督の演出は、不要になって錆びた表皮を一枚一枚剥がし取っていくようでした。そして、最後に残った真珠を大切に温める。自分自身と花役を重ね合わせることで一番大事なことは何なのか、気づかされる貴重な体験になりました。繊細なセリフや感情をその場で日本語とフランス語に訳すのには苦労しましたが、大切な役割を担えたことを光栄に思います。○森山未來コメント河瀨監督と何年か前に奈良で初めてお会いした時に、いつかやりましょうとお話しさせていただいていたので、今回ご一緒させてもらえると決まった時には素直にわくわくしました。河瀨監督を中心としたスタッフの結束力の強さ、役者や現場へのケアの細やかさは何かに取り憑かれているようで。とても美しい組だと感じました。期間としては短いものでしたが、密度の濃い吉野の山に触れることができ、そのまま野に還りたいほどでした。永瀬さんとは現場ではご一緒させていただくことはなかったのですが、ジュリエット・ビノシュさんや田中泯さんと吉野の風景の中に一緒にいるということ自体がファンタジーでした。河瀨さんの、山や森や人とのセッションの中で生まれていった幻想的な映像世界に注目していただければと思います。(自分にとって本作は)朝の光を浴びて、起きようとする一歩手前の浅い眠りの中でふっと陥ってしまう一瞬の、でもずっと見ていたくなる夢、のような時間でした。○田中泯(特別出演)(本作出演の)お話を頂いた時、あまりにも急だったので戸惑いましたが、参加してみたいという気持ちが優先しました。映像の仕事の中で、嗅ぎとり感じとるべき表現が現場にあるというのは、私にとって初めての体験でした。(共演者について)永瀬正敏さんではない智という人と出会っていた、源であった僕はそこで時間を過ごした。共演なんて言葉自体が意外に思えます。○夏木マリ以前に一度お声掛け頂いた時、スケジュールの都合でご一緒できなかったので、今回はスケジュールがピタッとはまり良かったです。河瀨流のエモーショナルな現場でびっくりすることが多かったけれど、日を追うごとに出来上がりが楽しみだなと思いました。永瀬さんは河瀨組3回目で、河瀨メソッドが身に付いていらっしゃるので、本当に住んでいるキコリのようでしたし、ビノシュの自然な演技を近くで拝観して興味深かったです。死ぬかと思ったこともありましたが、仕上がりがとても楽しみです。
2018年01月18日木曜日連載、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店による今読むべき1冊。今週は、写真家・森山大道の『Ango』。東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff a/p/a/r/t 1階)によるご紹介です。■『Ango』森山大道本のタイトル、森山大道のモノクロームで撮られた桜の写真。そのあとに続く見開きのページには、坂口安吾の短編小説『桜の森の満開の下』の冒頭一文のみが黒紙に印刷されている。「桜の花が咲くと人々は酒をぶらさげたり団子をたべて花の下を歩いて絶景だの春ランマンだのと浮かれて陽気になりますが、これは嘘です。」このわずか数ページで、写真と言葉が織りなす怖ろしい世界に引き込まれてしまえば、小説の主人公のように桜の魔力に狂いそうになりながらも、読者はページを捲る手を止めることはできないだろう。待ち遠しかったはずの春の桜が、すっかり別のものに見えてしまう、この“書物”を作ったのは、数多くの写真集の造本を手がけ、自らのレーベルを立ち上げて写真集の出版から流通まで行ってきた、グラフィック・デザイナー/パブリッシャーの町口覚だ。森山大道の写真と、戦後近代文学を掛け合わせたシリーズは今回で4作目。これまで、太宰治や寺山修司、織田作之助の小説が、森山大道の写真とともに新たな姿を見せてきた。本書の坂口安吾の短編小説『桜の森の満開の下』は1947年発表の作品、森山大道の桜の写真は撮り下ろしとなっている。なお、NADiff a/p/a/r/tでは、1月16日から森山大道写真展を開催する。本展は2017年、月曜社より刊行された写真集『K』に関連した写真展だ。会期中には森山大道氏のトークイベントも行う。【書籍情報】『Ango』写真:森山大道発行:bookshop M図版:57点ハードカバー/188ページ/240×165mm言語:日本語版、英語版発売:2018年1月価格:5,800円【展覧会情報】森山大道「景」会期:1月16日〜2月4日会場:NADiff a/p/a/r/t住所: 東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 1F時間:12:00~18:00休館日:月曜(祝日の場合は翌火曜)観覧料:無料森山大道トークイベント会期:1月25日時間:19:30〜21:00会場:NADiff a/p/a/r/t 店内定員:70名入場:1,000円■NADiffオフィシャルサイト森山大道「景」展ページ
2018年01月11日舞台『プルートゥ PLUTO』のプレスコールが5日、東京・Bunkamura シアターコクーンにて行われ、森山未來、土屋太鳳、大東駿介、吉見一豊、吹越満、柄本明、演出・振付のシディ・ラルビ・シェルカウイが取材に応じた。原作は、手塚治虫の名作『鉄腕アトム』「地上最大のロボット」を、漫画家の浦沢直樹とストーリー共同制作者の長崎尚志がリメイクしたコミック『PLUTO』。2015年に森山主演で舞台化され、ダンス、音楽、映像、パペットなどの表現方法を駆使して高評価を得た。今回は構成・演出などを新たに構築、さらにヨーロッパでの海外公演も決定した。3年ぶりとなる再演に、アトム役の森山は「この3年間の間、世界でいろんなことが起こっている。少しずつ混沌がひたひたと近寄ってきている中でこの本を読むとさらに突き刺さるものがあった」と稽古を振り返る。「また違う衝撃が得られる舞台になっていると思います」と自信を見せた。イギリス・オランダ・ベルギーでの公演も予定している同作だが、日本公演(1月6日夜、17日昼・夜)にはロボットの"Pepper"も出演。会見にも呼ばれたPepperについて、演出・振付のラルビは「3年ぶりに今日稽古しましたが、彼がすごく成長した。演技力アップがすごい」と絶賛する。森山も再度の共演に「3年前に比べて、体の動きのボキャブラリーがすごく増えてて、今回出るために稽古してくれたんだなということがうなずけました」と満足げだった。Pepperは「前回よりパワーアップした舞台をみなさんにお届けしたいと思います」と気合十分。「森山さんとは一緒のシーンに出させていただきますので、よろしくお願いします」とあいさつしたのち、急にポスターの森山のポーズを披露したり、テレビカメラに手を振る際に思いっきり森山にぶつかったりと、自由な様子を見せていた。東京公演はBunkamura シアターコクーンにて2018年1月6日~28日、海外公演はイギリス・オランダ・ベルギーにて2018年2月、大阪公演は森ノ宮ピロティホールにて2018年3月上旬を予定している。
2018年01月05日舞台『プルートゥ PLUTO』のプレスコールが5日、東京・Bunkamura シアターコクーンにて行われ、森山未來、土屋太鳳、大東駿介、吉見一豊、吹越満、柄本明、演出・振付のシディ・ラルビ・シェルカウイが取材に応じた。原作は、手塚治虫の名作『鉄腕アトム』「地上最大のロボット」を、漫画家の浦沢直樹とストーリー共同制作者の長崎尚志がリメイクしたコミック『PLUTO』。2015年に森山主演で舞台化され、ダンス、音楽、映像、パペットなどの表現方法を駆使して高評価を得た。今回は構成・演出などを新たに構築、さらにヨーロッパでの海外公演も決定した。舞台初挑戦となる土屋は、森山演じるアトムの妹・ウラン役と、大東演じるゲジヒトの妻・ヘレナ役の一人二役を務める。原作にそってツインテールで登場し「舞台って宇宙だなと思いました。ユニバース」と英語も交えて表した。本番を前に「緊張で幽体離脱しそう」と心境を吐露し、「さっき(プレスコール)も2回噛んじゃったんですけど!」と自己申告しつつも本番に向けて意気込んだ。また2018年の抱負を聞かれた土屋は「舞台や海外公演もありますので、そういう時こそ気を引き締めて。あとはいろいろなものに恋をしていきたいと思います」と語った。森山やダンサーチームに感化され、積極的に筋トレを行っているという大東は「楽屋で裸になってたら、柄本さんに『プロレスラーになるのか』と言われて……」と明かす。自分の体の使い方にも発見があったために、2018年の抱負は「体と仲良くなることです」と述べた。森山は「僕は毎日お酒を楽しく飲んで過ごせたらいいなと思います」とシンプルな一言。同作では日本だけでなくイギリス、オランダ、ベルギーを回る事になるが「他者に対して何を思うかというのがどんどん、強く偏りを持ち始めてる今、できる限り多くの人に見てもらいたい作品でもある。3カ国回れるのは嬉しい事だと思います」と真摯に語った。東京公演はBunkamura シアターコクーンにて2018年1月6日~28日、海外公演はイギリス・オランダ・ベルギーにて2018年2月、大阪公演は森ノ宮ピロティホールにて2018年3月上旬を予定している。
2018年01月05日手塚治虫の『鉄腕アトム「地上最大のロボット」』を浦沢直樹とストーリー共同制作者の長崎尚志がリメイクした漫画『PLUTO』を原作に、ベルギーの鬼才シディ・ラルビ・シェルカウイの演出・振付により2015年に舞台化された『プルートゥ PLUTO』。ダンスや映像を駆使したハイブリッドな表現が話題を呼んだこの作品が2018年、構成・演出を刷新して上演される。森山未來演じるアトムの妹ウランと、大東駿介演じるゲジヒトの妻ヘレナの二役を演じるのは、本作が初舞台となる土屋太鳳。現在の心境を、「嵐の前の静けさみたいな感じ」だと笑う。舞台『プルートゥ PLUTO』チケット情報「今年のお正月に、たまたまテレビを見ていたら2015年の舞台が放映されていたんです。お芝居とダンスが融合した刺激的な舞台で、不思議な衝撃を受けました」。出演の話が舞い込んだのは、ちょうどその矢先。導かれるような出会い方をした作品だからこそ、念願だった初舞台にもかかわらず、「初めてのことに挑戦する前はドキドキしていることが多いのですが、今は不思議と穏やかな気持ちです」と気負うことなく準備を進められている。「でもそれは今だけで、きっとこれから“嵐”がくるのだと思います(笑)。その時は、とにかく全力で食らいつくしかないですね」土屋が常に「全力」であることは、映像作品やバラエティ番組からも伝わってくる。今回も、既に毎日5キロ走るなどして体力作りに励んでいるほか、手塚治虫の原作にもあたるべく全巻を揃えたところだとか。だが本人にとって、それはただ必要だからやっていることで、特に努力家という自覚はないよう。「真面目とかではなく、必死なだけなんです(笑)。求められていることと持っているものを比べると、不足しているものがいつもあります。本番までにはできていたいと思うから、いつも“間に合えー!”という気持ちです(笑)」稽古開始に先駆けて行われたワークショップでは、「動いていると感情が出てきて、その感情を大事にしながら次の動きにつなげていくのがダンス。やればやるほど未熟さを感じますが、それでも自分の心と向き合って踊るのが好きだ!と改めて思いました」。強い意志と、高い身体能力と、豊かな感性と。多くの武器を持って、『プルートゥ PLUTO』の壮大な世界の一翼を担う。「確かに規模の大きなお話ですが、私自身は愛情や憎しみ、迷いや恐れなど、日常にある感情を描いた作品だと感じていて。観てくださる方が自分や大切な人と重ねられるように、私はヘレナとウランとして生きたいと思います」公演は2018年1月6日(土)から28日(日)まで東京・シアターコクーンで上演。ヨーロッパツアーを経て3月9日(金)から14日(水)まで大阪・森ノ宮ピロティホールでも上演。チケットは発売中。取材・文:町田麻子
2017年11月29日写真家・森山大道の展覧会「DAIDO MORIYAMA ANOTHER COUNTRY IN NEW YORK」が、2017年11月30日(木)から12月6日(水)まで、GINZA SIX 5階のアールグロリュー ギャラリーオブトーキョー(Artglorieux GALLERY OF TOKYO)にて開催される。「DAIDO MORIYAMA ANOTHER COUNTRY IN NEW YORK」では、森山大道が1971年にニューヨークを訪れた際に撮影した写真「ANOTHER COUNTRY IN NEW YORK」シリーズを、約20点展示する。森山が約1ヶ月間ニューヨークに滞在し、ストリートシーンを2,000枚以上撮影して生み出された作品たちだ。本展では、森山のフィルターを通して写し出された花屋やブルックリンブリッジなどのニューヨークの風景を、シルクスクリーンによるキャンバス作品として展示する。【詳細】DAIDO MORIYAMA ANOTHER COUNTRY IN NEW YORK会期:2017年11月30日(木)~12月6日(水)場所:GINZA SIX 5階 アールグロリュー ギャラリーオブトーキョー住所:東京都中央区銀座6-10-1※最終日は18:00閉場
2017年11月16日写真家・森山大道の作品展覧会「DAIDO MORIYAMA ANOTHER COUNTRY IN NEW YORK」が、11月30日から12月6日までギンザ シックス(GINZA SIX)のアートギャラリー、アールグロリュー ギャラリーオブトーキョー(Artglorieux GALLERY OF TOKYO)にて開催される。フラワーショップ 1632x1100mm森山大道は、写真家の岩宮武二、細江英公のアシスタントを経て64年独立。ニューヨーク・メトロポリタン美術館やパリ・カルティエ現代美術財団で個展を開催など世界的評価も高く、12年にはニューヨークの国際写真センター(ICP)が主催する第28回インフィニティ賞生涯功績部門を日本人として初受賞。2012年-13年にはウィリアム・クラインとの二人展『William Klein + Daido Moriyama』がロンドンのテート・モダンで開催され、絶大な人気を誇る二人の競演は世界を席巻した。1971年、森山大道は初めての海外旅行としてニューヨークを訪れ、約1ヶ月そこに滞在。混沌の中に身を置き、一心不乱、狩りの如くにニューヨークのストリートシーンを2000枚以上撮影した。この作品は「ANOTHER COUNTRY IN NEW YORK」シリーズとして結実。2002年に「’71-NY」(PPP)がニューヨークにて出版されている。本展は「ANOTHER COUNTRY IN NEW YORK」シリーズを新たな解釈として、通常の写真作品としてではなく、シルクスクリーンによるキャンバス作品として展示する。【展覧会情報】「DAIDO MORIYAMA ANOTHER COUNTRY IN NEW YORK」会期:11月30日~12月6日場所:GINZA SIX 5階 アールグロリュー ギャラリーオブトーキョー(Artglorieux GALLERY OF TOKYO)住所:東京都中央区銀座6−10−1 GINZA SIX 5F最終日は午後6時閉場
2017年11月14日森山直太朗が主演を務め、森山の楽曲共作者である御徒町凧が脚本と演出、そしてそのふたりが音楽を手がける劇場公演『あの城』が、9月14日に初日を迎えた。【チケット情報はこちら】『森の人』(2005年)、『とある物語』(2012年)に続いて3度目の公演となる今回の会場は、演劇の聖地と言われる本多劇場だ。敵国に侵略されて城から逃げ出し、森の奥で野営を続ける幼い王子と取り巻きたちの、その先の物語が展開される『あの城』。食料も底をつき、日に日に追いつめられる一行は、このまま逃亡を続けるべきなのか、あるいは命を賭けて城を奪還しに行くべきなのか――。そんな状況下で入り混じった登場人物たちの価値観、人生観が、やはり入り混じった演劇とライヴで描かれていくのだが、これが笑いもあれば、泣きも、シュールもシリアスもあって、理屈抜きに面白い。そして驚かされるのが、森山直太朗の15周年記念ツアーにも同行していたバンド・メンバーも、役を演じているという事実。ステージでどれだけすごいことが行われているのかは、観ていただければまさに一目瞭然だろう。確かに、演劇とライヴがシンクロするステージには、少なからず違和感がある。しかしその違和感が、いつの間にか快感へと変わり、摩訶不思議な、それでいて心の琴線を揺さぶる魅惑の異次元空間に引き込まれてしまうのだ。これが演劇なのかライヴなのかという答えは、自身の目で確かめていただきたいところだが、答えなど出ないかもしれないし、出す必要もないのかもしれない。最後に、まどろっこしい言い方しかできなくて恐縮ながら、お伝えしておきたい。開演を告げるベルが鳴る瞬間、いやベルが鳴る直前から、もう『あの城』は始まっている。くれぐれも、ご油断なきよう。森山直太朗劇場公演『あの城』は東京・本多劇場にて10月1日(日)まで上演。取材・文:鈴木宏和
2017年09月15日オフ・ブロードウェイ発の傑作ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』特別公演が10月、生みの親であるジョン・キャメロン・ミッチェル主演で東京、大阪にて上演される。ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』特別公演 チケット情報日本では過去に三上博史、山本耕史、森山未來が主演を務めて上演を重ね、熱狂的な支持を得てきた衝撃の舞台だ。トランスジェンダーのロックシンガー、ヘドウィグは苦悩の中に己の存在理由を問い、自身のカタワレ(=愛)を求めて珠玉のナンバー(作詞・作曲スティーヴン・トラスク)を歌い叫ぶ。その巡業のステージにヘドウィグとともに立つのが、イツァークである。今回、2007年の山本耕史版ヘドウィグに出演した中村 中が、10年ぶりにイツァーク役としてジョン・キャメロン・ミッチェルと息を合わせることとなった。「嬉しくて小躍りしたい気持ちです。ジョンとは、2008年にやったライブ(山本耕史主演『ヘドウィグ~』ツアーファイナル大打ち上げLIVE~「ジョンも来るよ!」)で一緒のステージに立っているんですが、その時に私が持っていた扇子をプレゼントしたんですね。「今も大切に持っているよ」とメッセージをいただいたりして…。運命の再会だなと感じます」イツァークはドラァグクイーンとして華やかに着飾ることをヘドウィグに禁じられている人物で、どの国においても抜群の歌唱力を持つ女優たちが演じてきた役である。この役を与えられた10年前、中村は「戸惑いの中にいた」と率直な思いを語った。「歌手デビューをした年に、トランスジェンダーであることをカミングアウトしたんですね。その悩みの渦中にいたし、これは、“本当の自分は何なのか”を突きつけられる物語じゃないですか。自分というものが曖昧だった当時は、己と対峙するというテーマに戸惑いを感じていました。でも、イツァークもドラァグクイーンに憧れながらもなれないという迷いの渦中にいて、“自分の生き方”を求めている人。ある意味私にぴったりの役だったのかな…と、今になって思うんです」10年後の今なら自信を持って演じられるかと問うと、さらに正直な、自身をしっかり見つめた答えが返ってきた。「その戸惑いが減った分、できた隙間でこの役を愛せるとは思います。でも逆に当時の未熟な部分が、イツァークという役には必要だったのかも…と思うと、今ではもうできなくなっていることもあると思います。そうやって演じ手によって役が変化していくのも演劇の面白味だと思います。いつやっても答えはない、ということかと」きっと中村やジョンのみならず、劇場に集まった“ヘドヘッド”(熱烈なファンの呼称)の誰もがカタワレを探す旅となる舞台。『銀河英雄伝説』舞台シリーズを手掛けたヨリコジュンの演出にも注目したい。「自信を持って生きられる!という夢を見させてくれる物語です。その世界に飛び込んで、音楽にのって踊りに来てください」チケットぴあでは10月13日(金)追加公演(東急シアターオーブ)のインターネット先行抽選を実施中。取材・文上野紀子
2017年09月06日30日、俳優の高橋一生(36)が日本テレビ系トーク番組『おしゃれイズム』に出演し、理想の女性について告白した。番組終了後には、Twitterトレンド・ランキングで1位に、Yahoo!では2位に、「高橋一生」がランクインし、話題になっている。 高橋は番組内で、理想の女性のタイプを聞かれ「綺麗っていうよりかは、可愛いタイプの方が好きですね」とし、性格的には「思っていることをちゃんと言ってくれない方がいい。こっちが想像できる方がいい」と解答。続いて「どうせ口で説明されても、私はこう思っているのと言われても本当かどうか分からない」からと理由を明らかにした。 その他、友人の森山未來(32)から寄せられたは「皆さんに愛されているあの顔面をくしゃくしゃにして笑う笑顔が、僕の胸をなんだかざわつかせます。気をつけてください」とコメントが届き、これ対し高橋は顔をくしゃくしゃにして大爆笑。 また、スタジオには親交があるという俳優の瀬戸康史(29)が登場し、高橋による素朴な手料理を食べたことや、お肉を切るためだけに買った包丁の切れ味をまな板とお肉を用意してわざわざ瀬戸に見せるなどの珍エピソードも語った。 さらに、小学校に入学してから始めたというスケートボードの腕前や、稲川淳二のモノマネを披露するなどファンにはたまらない内容となった。 番組を見たというファンは、「もう本当に一生くんかっこよすぎる!」「ニヤニヤが止まらなかった」「スケボーする36歳ってこんなにかっこいいんですね!」「森山未來くん、わたしもそう思います」「買った包丁を自慢する一生さん可愛い」「私も手料理食べたい!」などの反応を見せている。
2017年07月31日俳優の阿部サダヲが27日、東京・IHIステージアラウンド東京で行われた、舞台「ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season 鳥 Produced by TBS」のフォトコールに、共演の森山未來、早乙女太一、松雪泰子らとともに登場した。同作は劇団☆新感線による人気演目で、1990年の初演以来、7年ごとに上演されている代表作。今回は360°型の新劇場「IHIステージアラウンド東京」にて、2017年3月より1年3カ月のロングランを予定している。”花・鳥・風・月”の4シーズンに分け、すべて異なるキャスト、それぞれ全く違ったアプローチで上演する。“Season鳥”では、Perfume、星野源の「恋」ダンス」振り付けなどで知られる振り付け師のMIKIKOを迎え、歌にダンスにとショーアップしたステージが特徴に。また、これまでの主役・捨之介の”着流しの傾奇者”というイメージを大きく変えた阿部は脱ぎながら歌って踊り、全く違ったキャラクター像を見せた。「とにかく殺陣頑張ります」と意気込んだ阿部は、「自分が出てないシーンを観てて、歌と踊りがこの劇場にとても合ってる気がします! 髑髏城の七人という1つの作品がここまで変わるの!!」と驚いた様子。また、6年ぶりに天魔王役を演じる森山も「歌と踊りがふんだんに散りばめられているので、例えば蘭兵衛との口説きのシーンは、6年前の『(通称)ワカドクロ』に比べてより幻惑的なものになっていますね」と印象を語った。さらに、歌と踊りが入ったことにより、セリフの量が少なくなっているところもあると明かす森山。それにより「天魔王の残虐性や不条理感が薄まっているようにも見えますが、天魔王の持つ天魔王なりの正義がより浮き彫りになったように感じています」と役について表した。色っぽく歌い、大胆に肌も見せた極楽太夫役の松雪も「よりエンターテインメント色の強い演出になっています」と同作について語る。銀髪姿で殺陣を披露した蘭兵衛役の早乙女は「歌・踊り・殺陣、かなり華やかな演出になっていて、見どころは盛りだくさんです」と太鼓判。「この夏一番のお祭りが豊洲で行われます」とアピールした。同公演は6月27日~9月1日に上演される。前売り券は完売しているものの各回当日券を準備し、7月31日に全国72館の映画館でライブビューイングを予定している(13:00開演/18:00開演の2公演)。
2017年06月27日俳優の森山未來主演の舞台『プルートゥ PLUTO』が上演されることが23日、わかった。森山に加え、土屋太鳳、大東駿介、吉見一豊、吹越満、柄本明がメインキャストを務める。原作は、手塚治虫の名作『鉄腕アトム』「地上最大のロボット」を、漫画家の浦沢直樹とストーリー共同制作者の長崎尚志がリメイクしたコミック『PLUTO』。2015年に森山主演で舞台化され、ダンス、音楽、映像、パペットなどの表現方法を駆使して高評価を得た。今回は構成・演出などを新たに構築、さらにヨーロッパでの海外公演も決定した。現代舞台芸術を牽引する世界的天才振付家シディ・ラルビ・シェルカウイが、 2015年に引き続き演出・振付を行う。ダンサーとしても高い評価を得る森山と、幼い頃からダンスを習い、大学で舞踏学を専攻する土屋のタッグだけに、パフォーマンス競演にも注目。アトムを演じる森山は「土屋太鳳さんとはいつか関わることができればと思っていたので、一緒に作品作りができるのを今から楽しみにしています。アトムとウランのデュオができたりしたら面白いですよね」と土屋に語りかけた。舞台初出演となる土屋は、不思議な能力を持つアトムの妹・ウランと、ゲジヒトの妻・ヘレナの二役を演じる。「演技に心を奪われてから12年、『舞台』という場所に憧れ続けてきました」と明かすほど、満を持しての出演。「役を生きる役者さんがたは、動く太陽のように輝いたり、全てが消えてしまいそうなほど胸に迫ったり……素晴らしい演技をたくさん拝見してきました。だからこそ、舞台という場所を目の前にした今、畏れを強く感じています」と語り、「舞台の上で、ウランとヘレナとして生きたいと思います」と意気込んだ。高性能ロボットでありながら自身のアイデンティティを追い求めるというゲジヒトを演じる大東は、原作ファン&前回の公演も観劇済で、同作に思いれたっぷり。「勝手に思い入れのある作品にまさか参加できるなんて……。とても楽しみです」と喜んだ。また吉見はお茶の水博士、吹越は物語のキーパーソン・天才科学者のアブラー、柄本はアトムの生みの親・天馬博士を演じる。他、上月一臣、大植真太郎、池島優、大宮大奨、渋谷亘宏、AYUMI、湯浅永麻、森井淳、笹本龍史が出演。東京公演はBunkamura シアターコクーンにて2018年1月7~28、海外公演はイギリス・オランダ・ベルギーにて2018年2月、大阪公演は森ノ宮ピロティホールにて2018年3月上旬を予定している。
2017年06月23日昨年大ヒットしたドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」のエンディングとして大流行した“恋ダンス”をはじめ、ガールズグループ「Perfume」や「BABYMETAL」の振り付け、ライブ演出などを手がける演出振付家のMIKIKOが、4月23日(日)今夜放送の「情熱大陸」に登場する。1977年、東京生まれ。三人姉妹の末っ子で2歳のときに父の転勤で広島へ。モダンバレエやストリートダンスなど幅広い経験をもとに広島でダンスの先生としてのキャリアをスタートさせると、2006年には2年間のNY留学を経験。活躍の場を広げ、前述の「Perfume」や「BABYMETAL」の振り付け・ライブ演出や、“恋ダンス”をはじめリオ五輪・パラリンピック閉会式のフラッグハンドオーバーセレモニーの総合演出を手がけるなどして、その才能を世界中から高く評価されるようになったMIKIKOさん。ダンスカンパニー「ELEVENPLAY」を主宰し、Rhizomatiks Researchとのコラボレーションを多く行うなど、新しいテクノロジーと身体表現の融合を追及。“五感に響く作品作り”をモットーにしている彼女の仕事の幅はPV、CM、舞台、広告など多分野にわたり、内容も振り付けや演出からポージング指導、時には自らモデルを務めるなど驚くほど多様だ。誰もが真似たくなる不思議な魅力を持つ振り付けを作り上げる一方で、常に新しいテクノロジーと身体表現の融合を追求するライブ演出によって独創的なMIKIKOワールドを作り出し、常に観客を驚かせてきた彼女には仕事の依頼が国内外問わずひっきりなしに舞い込む。今回番組では「息を止めて走り続けている感覚」というほど多忙を極める彼女のリオ五輪後の半年間に密着。人気アーティストの新曲の振り付けから、森山未來出演のドイツでの新作パフォーマンスまで、怒涛の現場を至近距離で密着。MIKIKOさんの独創的な振り付けはどうやって生まれるのか。“演出振付家”の仕事とはどういうものなのか。アーティストやスタッフ、ファンから「MIKIKO先生」と呼ばれ、絶大な信頼を得ているMIKIKOさんのクリエーションとその素顔、そして“内なる闘い”にも迫る渾身の30分をお届けする。「情熱大陸」は4月23日(日)23時15分~TBS系にて放送。(笠緒)
2017年04月23日舞台「ONWARD presents 劇団☆新感線 『髑髏城の七人』Season 鳥 Produced by TBS」の製作発表記者会見がが18日、都内で行われ、阿部サダヲ、森山未來、早乙女太一、松雪泰子、粟根まこと、福田転球、少路勇介、清水葉月、梶原善、池田成志が登場した。同作は劇団☆新感線による人気演目で、1990年の初演以来、7年ごとに上演されている代表作。今回は360°型の新劇場「IHIステージアラウンド東京」にて、2017年3月より1年3カ月のロングランを予定している。”花・鳥・風・月”の4シーズンに分け、すべて異なるキャスト、それぞれ全く違ったアプローチで上演する。現在、小栗旬主演で「Season 花」を上演中だが、阿部は小栗と同じ主役・捨之介を演じることになる。360°シアターという日本で類のない劇場に、阿部は小栗から「簡潔に『体に気をつけてください。失礼します。お元気で』みたいな」と言われたエピソードを披露し、「本当に疲れるみたいで」としみじみ印象を語った。ハードな舞台に、阿部は「逆に、鍛えるのとかやめまして。駅のホーム階段にしようとかやめまして、エスカレーターにしようと」と告白。体力を「ためとかないと」と理由を説明した。小栗は着流しで色気を見せる役作りだが、阿部は「ポスター撮りでほぼ忍者みたいな感じになったので」と苦笑。「もっと”忍び”に入っていく、新しいものになる」と予想した。そして「僕なりの動きだったり。高校時代野球やってたもんですから、そう言った動きとかも出せればと思いますし」と冗談交じりに意気込み、笑いを誘っていた。演出のいのうえは、「歌ったり踊ったりできる方が多いので、ショーアップした感じで見せられればいい」と「Season鳥」の展望を語る。ダンサーとしても名高い森山は「まじか……立ち回りもありますよね」と戦々恐々としながら、「Perfumeとか、”恋”ダンスのMIKIKOさんが振付やステージングに入りますし」と明かした。さらに「アトラクション的な感覚もあるので、踊ったり歌ったりするというのが似合う劇場かもしれないですよね」と新たな劇場への思いを語った。公演は6月27日から9月1日。9月中旬から「Season風」、11月下旬から「Season月」の上演を予定している。
2017年04月18日第40回日本アカデミー賞の授賞式が3日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われ、最優秀助演男優賞に選ばれた妻夫木聡が受賞の喜びを語った。優秀賞を受賞した竹原ピストル(『永い言い訳』)、東出昌大(『聖の青春』)、森山未來(『怒り』)、リリー・フランキー(『SCOOP!』)とそうそうたるメンバーが並ぶ中から、最優秀賞に選ばれた妻夫木。『怒り』では、千葉編・沖縄編・東京編と3つの物語が交錯する仲で、東京のゲイの青年・優馬を演じ、綾野剛演じる直人と愛を育むも、直人が殺人犯ではないかと悩む姿を演じた。妻夫木は「ああ、ありがとうございます」と感極まった様子。「小さい頃から特に何の取り柄もなかった自分が、今俳優やってること自体が不思議なんですけど、その俳優でこうやって素敵な賞までいただける現実が本当に夢のようです」と真摯に喜びを語った。恋人役となった綾野とは、役作りのために2週間ほど一緒に住んだ仲だが、妻夫木は改めて「これも綾野剛くんと一緒に作り上げた役で」と綾野への感謝の気持ちを表す。また、メガホンを取った李相日監督には「李さんが『東京はお前に任せた』と言われた一言は本当に嬉しかったです。終わってからも『お前に救われた』と言われたのは僕の一生の財産となりました」と監督へのメッセージを贈った。優秀主演男優賞を受賞し、会場にいた綾野剛も目を潤ませ、壇上を降りた妻夫木と熱くハグ。綾野は「めっちゃ嬉しいよ」と声をかけていた。最優秀賞発表前のトークでは「同性愛者の作品を日本でずっとやりたかった」と語った妻夫木。綾野とは、役作りのために2週間ほど一緒に住んでいたエピソードを披露した。妻夫木は「2人で一緒にお風呂に入ったりとか、ベッドは別だったんですけど、いつも彼が寝坊して僕が起こしてあげるとか」と綾野との同居生活について明かし、「ラブラブしてました」と笑顔を見せた。綾野も「今でも愛おしい時間です」と同居生活を振り返り、「妻夫木聡という人がいなければ僕の役は存在しませんでした」と語る。綾野が「妻夫木さんが直人を、僕を愛してくださったことによって、妻夫木さんが座っているんだなと思うと心から本当に、きれいごと抜きに嬉しいです」と妻夫木を見つめながら語ると、妻夫木は「若干会場が引いてる感じが。すいません」と苦笑しながらも「嬉しいです」と喜びを表した。
2017年03月04日妻夫木聡が『怒り』で第40回日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞を受賞。第34回最優秀主演男優賞を受賞した『悪人』以来、3作目の李相日監督と組んだ映画での受賞となった。受賞の瞬間、妻夫木さんは李監督と笑顔で握手をし、受賞スピーチ後は、劇中で恋人役を演じた綾野剛が席を立ち上がり、妻夫木さんをぐっと強く抱きしめ喜びを分かち合っていた。『怒り』は吉田修一の原作を映画化したミステリードラマ。犯人未逮捕の殺人事件から1年後、千葉、東京、沖縄に容疑者らしき男が現れ、それぞれの場所でドラマが展開していく。妻夫木さんは、綾野さん演じる大西直人と運命的な出会いをする、同性愛者の藤田優馬役を熱演。恋人を信じたいのに信じきることができない、細やかな演技を魅せた。助演男優賞には、同じく『怒り』より、「この役を演じられるのは彼しかいない」という李監督の熱烈オファーを受けたバックパッカー役の森山未來のほか、『永い言い訳』の竹原ピストル、『聖の青春』の東出昌大、『SCOOP!』のリリー・フランキーと、俳優やミュージシャン、文化人など個性豊かな面々から、見事、妻夫木さんが最優秀賞を射止めるかたちとなった。妻夫木さんは2002年に『ウォーターボーイズ』で優秀主演男優賞&新人俳優賞、2006年に『春の雪』で優秀主演男優賞、2007年に『涙そうそう』で優秀主演男優賞、2011年に『悪人』最優秀主演男優賞、2014年に『東京家族』優秀助演男優賞を獲得している。撮影中、綾野さんと2週間ほど一緒に生活し、説得力のある関係性を生み出した妻夫木さん。綾野さんとの初共演に関して、妻夫木さんは「今回の作品だけじゃなくて、お互いの作品に対する姿勢とか取り組み方が少し似ている部分があったかもしれません。ある程度の覚悟を持って、役のためならどれだけでも命をかけられるという思いを、彼も僕も持っているので、純粋に行動に出たのかなと思います」と、席にいる綾野さんに向けて言葉を贈った。うるんだ瞳で聞いていた綾野さんは、当時をふり返り、「いまでも愛おしい時間です。いまそこに妻夫木さんが立たれている姿を見て、ものすごくグッときています。本当に妻夫木聡という人がいなければ、僕という役は存在しませんでした。心からキレイごとを抜きにうれしいです」と熱く、熱くラブコールを返した。リアルな愛さながらの告白に、妻夫木さんが「若干会場が引いている感じで…すみません(笑)」と謝りながらも、うれしそうに満面の笑みを広げた。受賞のスピーチでは、妻夫木さんは「小さい頃から取り柄もなかった自分が俳優をやっていることが不思議で、いまの現実が夢のようです」と目を輝かせた。厳しい演出で知られる李監督に対しては、「李監督が『東京はお前に任せた』と言ってくれた一言と、終わってから『お前に救われた』と言ってくれたことが、僕の一生の財産になりました。ありがとうございます」と感謝の思いを口にした。(cinamacafe.net)
2017年03月03日第9回WOWOWシナリオ大賞受賞作品を映像化する「ドラマW 稲垣家の喪主」。この度、本作にバカリズムが登場することが決定。また放送に先駆け予告編も到着した。小学2年生の稲垣宙太(金成祐里)は、猛烈なあがり症で散々つらい想いをしてきた。ある日、ジイジの葬儀のとき、喪主の挨拶で緊張のあまりしどろもどろになる父親の姿を目の当たりにした宙太は悟る。「ぼくのあがり症は、遺伝だったんだ 」。 自分が喪主の挨拶をするのはまだ先の話、そう思っていた宙太だが、ある事実に気付く。宙太の家には元キャリアウーマンの伯母・杏子(広末涼子)と、売れない漫画家の叔父・脩二(森山未來)が同居している。2人は結婚どころか相手もいなく、作ろうともしない。このままだと、杏子と脩二の喪主もやることに!?事の重大さに焦った宙太は、杏子の見合い話が両親のもとに届いたのを千載一遇のチャンスと捉え 、自分の誕生日会で2人を引き合わせようとする。さらに、脩二には結婚したはずの同級生の女性が目の前に現われる。果たして、宙太は杏子と脩二を結婚させ、将来待ち受ける喪主の挨拶を回避できるのか――。本作は、毎年WOWOWが実施する「WOWOWシナリオ大賞」にて、424編から選ばれた第9回受賞作、小山ゴロの脚本「稲垣家の喪主」のドラマ化。物語は、極度のあがり症な7歳の主人公・宙太が、将来待ち受けるであろう独身の伯母・ 杏子と叔父・脩二の“喪主”を回避するために、それぞれを結婚させようと子どもながらに奔走する笑って泣けるホームコメディ。監督を務めるのは、『ヒロイン失格』『トリガール!』の英勉。主人公・宙太役には金成祐里、伯母・ 杏子役を広末涼子、叔父・脩二役を森山未來が演じ、そのほか吉沢悠、松本若菜、紺野まひるらが出演する。そして今回、成長し大人になった宙太をバカリズムさんが演じることが決定。緊張でしどろもどろになりながら喪主の挨拶を務めるシーンなど、大人になった未来でも“ダメダメ”な宙太。時に笑ってしまい、時に切なくなってしまう、愛おしい大人宙太を演じるバカリズムさんにも注目だ。リハーサルなしで撮影に臨んだというバカリズムさんは、「監督や共演者の皆様を笑わせるぐらいの感覚でやりました」と話し、あがり症役だが自身は「この仕事をやっているので、あがり症ではないと思います。自分自身とは違う役柄だったので、“そういう人”として演じました」とコメント。また見どころについては「宙太のかわいらしさと、大人になった自分のダメさ加減です」と語っている。また併せて解禁された予告編では、未来の宙太が喪主として緊張気味に挨拶をするシーンを始め、伯母・杏子と叔父・脩二がそれぞれ結婚に向けて着々と進んでいる様子や、杏子が飛び蹴りをするシーンなどが収録。個性溢れる登場人物の様子が次々と、放送に向けて期待高まる仕上がりとなっている。第9回WOWOWシナリオ大賞受賞作「ドラマW 稲垣家の喪主」は3月18日(土)22時~WOWOWプライムにて放送。(cinemacafe.net)
2017年02月10日